処置用リポソーム
本発明は、動物中の1つ以上の実体の不均衡を是正し得るリポソームを提供する。従って、本発明は、実体を、動物からリポソーム中に取り込むための方法を提供し、その方法は、そのような処置を必要とする動物にその実体を取り込み得るリポソームを投与する工程を包含する。本発明はまた、実体を、生物学的サンプルからリポソーム中に取り込むための方法を提供し、その方法は、その生物学的サンプルと、その実体を取り込み得る1つ以上のリポソームとを接触させる工程を包含する。本発明はまた、動物の血清から実体を除去するための方法を提供し、その方法は、その血清と、その実体をその血清から除去し得る1つ以上のリポソームとを接触させる工程を包含する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の優先権)
本出願は、米国仮出願番号60/501,816および米国仮出願番号60/501,818(どちらも2003年9月9日出願)からの優先権を主張する。これらの仮特許出願のそれぞれの内容全体は、本明細書によって、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、動物における1つ以上の実体の不均衡を是正し得るリポソームに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
多くの病気および状態は、動物中の1つ以上の実体の不均衡によって引き起こされるか、または動物中の1つ以上の実体の不均衡をもたらす。例えば、高カルシウム血症は、一般的な臨床上の代謝性の問題である。これは、以下に挙げられる多くの疾患の発現として生じ得る:副甲状腺機能亢進症、パジェット病、ビタミンA中毒およびビタミンD中毒、結核、サルコイドーシス、悪性腫瘍(例えば、乳癌、小細胞肺癌、扁平上皮癌、多発性骨髄腫など)。
【0004】
高カルシウム血症は、癌を有する人々の10%〜20%で発症し、それは、医師が直面する最も一般的な医学的な管理上の問題の1つとされる。さらに、高カルシウム血症は、悪性腫瘍に関連する、最も一般的な生死にかかわる代謝障害である。悪性腫瘍に関連する急性高カルシウム血症を処置するための最も効果的な処置は、その根底である癌を除去するか、または処置することである。これが達成されるまでか、またはこれが達成され得ない場合、抗高カルシウム血症剤の使用が、必要であり得る。急性高カルシウム血症を処置する処置は、血清カルシウム濃度を減少することによって急性高カルシウム血症の発生を予防し、そして抗高カルシウム血症医薬に由来する有害事象を予防するという特定の患者の目的により、慎重に選択されるべきである。ビスホスホネート、カルシトニン、フロセミド、硝酸ガリウム、糖質コルチコイド、正常生理食塩水およびプリカマイシンは、悪性腫瘍の管理において、ある程度の成功を伴って使用され、そして臨床家に急性高カルシウム血症の処置における処置的選択肢の範囲を提供する。しかし、これらの選択肢は全て、その制限を受ける。
【0005】
高カルシウム血症を処置する1つの方法としては、高カルシウム血症の急性の管理における第1の工程としての、静脈内への正常生理食塩水(NaCl 0.9%)による水分補給が挙げられる。急性高カルシウム血症に罹患する患者のほとんどは、体液量が減少するので、NaCl 0.9%の投与は重要である。なぜなら、腎性のカルシウムクリアランスを増加することに加えて、細胞内液量を増すからである。NaCl 0.9%の最適な投与速度は、高カルシウム血症の重症度、体液量減少(volume contraction)の程度、患者の流体を許容する能力、および患者の臨床状態全体によって決定される。水分補給および利尿を促進するNaCl 0.9%の注入の通常の速度は、200〜300ml/時間である。
【0006】
フロセミド(強力利尿薬)は、高カルシウム血症の処置に使用され得、カルシウム排泄を増加する。フロセミドは、急性高カルシウム血症の処置において重要である。なぜならこれは、腎臓によるカルシウムの再吸収を阻害し、そして生理食塩水の投与による容量過負荷から保護するからである。しかし、フロセミド処置には、制限がある。適切な体液量増大(volume expansion)がない場合、フロセミド処置は、糸球体濾過速度ならびにカルシウムクリアランスにおける減少を生じ得る。従って、その処置は、十分な水分補給後にのみ施されるべきである。1〜4時間毎に100mgまでの静脈内投与量が、投与され得る。
【0007】
NaCl 0.9%およびフロセミドのレジメンは、血清カルシウム濃度の小幅な減少を生じる。臨床試験は、生理食塩水およびフロセミドの組み合わせが、代表的に、カルシウムレベルを最初の48時間以内に0.20〜0.30mmolのみ減少することを示唆する。従って、NaCl 0.9%およびフロセミドの投与のみで達成される、水分補給および利尿の効果は、軽度〜中程度の高カルシウム血症の管理に対して十分であり得るが、通常、重篤な高カルシウム血症に対しては不十分である。重篤な高カルシウム血症を有する患者において、他の抗高カルシウム血症因子の使用は、当然のことであり得る。
【0008】
サケカルシトニンは主に、破骨細胞の再吸収を阻害し、そしてカルシウムの腎排出を増加する。作用の迅速な開始および鎮痛特性は、急性高カルシウム血症の処置におけるカルシトニンの成功に寄与する。代表的に、血清カルシウム濃度は、数時間以内に1〜3mg/dLに減少する。通常、カルシトニンの投与後24時間以内に、最大の効果が達せられる。
【0009】
多くの臨床試験は、カルシトニンに関するタキフィラキシーを実証している。臨床研究はまた、カルシトニンが、たった24時間しか持続しない短い作用持続時間を有する、ことを実証した。タキフィラキシーおよび短い作用持続時間の報告にもかかわらず、カルシトニンは、重篤な高カルシウム血症の初期の管理における重要な薬剤である。急性高カルシウム血症を処置するための、カルシトニンの推奨される皮下開始用量または筋肉内開始用量は、4IU/kgで、12時間毎に投与される。カルシトニンの主な副作用は、顔面紅潮、胃腸不調および発疹であり、それらは、カルシトニンを好ましくないものとし、動物にとって、そして患者の低いコンプライアンスを悪くする。
【0010】
ビスホスホネートは、破骨細胞に対して有毒であり、そして破骨細胞前駆体を阻害し、それによって破骨細胞の機能を低下させる。現在、エチドロン酸は、経口投薬形態および静脈内投薬形態の両方で市販されており、そしてパミドロン酸は、静脈内投薬形態で市販されている。
【0011】
エチドロン酸(etidronate)は、急性高カルシウム血症の場合に静脈内に(IV)投与される。推奨される用量は、1日に7.5mg/kg IVで3〜7日間であり、各投与は2〜4時間かけて注入されるべきである。代表的に、血清カルシウム濃度は2日以内に減少し始める。最大の効力は、処置の開始後7日間以内に生じる。臨床試験は、約40%〜92%の患者がエチドロン酸を受容した後に、正常な血清カルシウム濃度に戻ることを実証した。エチドロン酸に関する副作用は、高い血清リン濃度および腎不全である。他の副作用としては、一時的な発熱、発疹、悪心、腎毒性が挙げられる。腎毒性の可能性は、2.5mg/dL未満の血清クレアチニンレベルを有する患者においては減少する。
【0012】
急性高カルシウム血症のパミドロン酸(pamidronate)処置について推奨される用量は、60mg〜90mg(静脈内に2〜24時間かけて注入)である。単回パミドロン酸用量は、急性高カルシウム血症の処置において有効であり得るが、引き続いての投与が、前回の投与の7日後に与えられ得る。血清カルシウム濃度は、3日以内に減少し得、そして次の投与は、前回投与後の7日目に提供され得る。血清カルシウム濃度は、3日間以内に減少し得、そして最大の効果は、投与後7日まで記録されない。臨床試験は代表的に、パミドロン酸が、患者の約60%〜100%において血清カルシウム濃度を正常化することを実証する。パミドロン酸に関するいくつかの有害事象としては、一時的な発熱、悪心、発疹、腎毒性、低カルシウム血症および血栓性静脈炎が挙げられる。
【0013】
エチドロン酸と同様に、腎機能障害を有する患者または2.5mg/dLより大きい高い血清クレアチニンレベルを有する患者には、パミドロン酸の使用は、推奨されない。
【0014】
ゾレンドラネート(zolwndranete)は、さらに強力であり、そしてより短い静脈投与時間しか必要としない。転移性骨疾患の代表的な処置時間は、3〜4週間毎での、15分の静脈内注射1回である。しかし、ゾレンドラネートは、腎障害に禁忌であるので、適切な代用品ではない。ビホスホネートが、転移性の疾患における骨の疼痛を減少することが主張されているが、救急処置において、このことについての証拠はない。
糖質コルチコイドは、血清カルシウム濃度を低下するために、カルシトニンのような他の抗高カルシウム血症剤と組み合わせて使用されてきた。ヒドロコルチゾン200〜300mgの静脈内投与と等価の用量が、3〜5日間、毎日投与された場合、糖質コルチコイドは、尿のカルシウム排泄の増加および腸のカルシウム吸収の減少によって高カルシウム血症に対抗する。代表的に、リンパ腫、多発性骨髄腫および肉芽性の腫瘍は、最も都合良く糖質コルチコイド処置に反応する。糖質コルチコイドに関連する可能性のある一般的な副作用としては、高血糖および低カリウム血症のような電解質障害が挙げられる。より頻度の低い効果としては、GI出血、糖尿病および精神機能の異常が挙げられる。
【0015】
硝酸ガリウムは、骨からのカルシウム再吸収を誘導するPTH−rpを阻害することによって骨吸収を防ぐ。硝酸ガリウムの推奨される用量は、5日間連続かまたは好ましいカルシウム濃度が得られるまで、毎日、100〜200mg/m2である。硝酸ガリウムは、24時間連続注入として、注入されるべきである。血清カルシウム濃度は、48時間以内に減少する。最大の効果は、初回の硝酸ガリウム投与後10日以内に達成される。腎毒性は、硝酸ガリウムを使用する患者の8%〜15%において実証されている。腎性合併症の危険を減少するために、全ての患者が、この薬剤を受容する前に十分に水分補給することが、推奨される。さらに、硝酸ガリウムは、腎不全を有する患者か、または2.5mg/dLより大きい血清クレアチニン測定値を有する患者においては、忌避されるべきである。さらに、腎毒性のある薬剤の同時使用は、この薬剤を受容する患者においては、忌避されるべきである。硝酸ガリウムに関する他の副作用としては、低リン酸血症、胃腸の不調、視覚障害および聴覚障害、ならびに頻脈が挙げられる。
【0016】
プリカマイシンは、破骨細胞におけるRNA合成を阻害することによって血清カルシウム濃度を減少する。プリカマイシンは、ボーラス注射としてか、または緩徐な注射としてのいずれかによって、静脈内に投与される。局所刺激作用の発生および他の副作用の発生は、プリカマイシンが、緩徐な注射によって投与された場合、減少され得る。推奨される用量は、4時間〜6時間の期間にわたり、25mcg/kgである。血清カルシウム濃度は、プリカマイシンの開始後12時間以内に減少する。最大の効果は、通常、96時間以内に現れる。臨床試験は、投与後48時間以内に、1.4mg/dLまでの血清カルシウム濃度の中央値としての減少を実証した。必要な場合、プリカマイシンのその後の投与は、少なくとも24時間待機した後に投与され得る。プリカマイシンの主な副作用としては、肝毒性、腎毒性、血小板減少、骨髄抑制、悪心、嘔吐、低カルシウム血症および凝固因子レベルの減少が挙げられる。
【0017】
プリカマイシンは、重篤な肝不全または重篤な腎不全にある患者、血小板減少または任意のカグロパシー(cagulopathy)の患者、骨髄毒性がある化学療法を同時に受けている患者、および脱水状態の患者においては忌避されるべきである。プリカマイシンは、通常、他の処置に対して非感受性の患者のために用意される。
【0018】
上記で議論したように、高カルシウム血症を処置する現在の方法は、多くの望ましくない副作用を生じ、その副作用は、処置を困難にし、そしてその患者にとって不快である。さらに、その方法の多くはまた、有益な効果を生じるのにかなりの時間(24〜48時間またはそれより長い時間)を必要とする。さらに、その方法は、多くの方法が他の医薬、疾患、または動物の状態と不適合であるので、選択的に選ばなければならない。従って、現在、生物系からカルシウムを除去するのに使用され得る方法に対する必要性が存在する。
【0019】
糖尿病は、より深刻な症状に(慢性高血糖に)をもたらすインスリンの絶対的欠乏または相対的欠乏によって特徴付けされる状態である。長期間にわたる糖尿病の合併症としては、神経障害、網膜症、腎症、および感染に対する感受性の上昇が挙げられる(非特許文献1)。現在、糖尿病から生じる高血糖を含む高血糖を処置するためのさらなる方法に対するが必要性が存在する。これは特に、インスリンを含むレジメンに対して反応しない高血糖についての場合のものである。
【0020】
過剰な量の金属イオンもまた、種々の疾患または、種々の状態に関係する。例えば、過剰な量のマンガン、鉄、水銀、アルミニウム、および銅は、全てパーキンソン病に関係している。パーキンソン病は、脳の中の特定の神経中枢の変質に関する。これらの過剰なミネラルは、フリーラジカルの病理を増大し、そして細胞死を加速すると考えられている。この変質は、神経シグナルの伝達に必須な2つの神経伝達物質の化学的平衡を変化させる。その最終的な結果は、身体の運動制御の調節欠如である。
【0021】
血中の金属の高いレベルに関連する別の疾患は、アルツハイマー病である。アルツハイマー病は、進行性の容態であり、脳細胞および脳の構造を破壊する。研究者らは、その疾患が、血中および/または脳内の、亜鉛、銅、アルミニウム、および/もしくは鉄の過剰に関連すると考える。アルツハイマー病を有する人々は、彼らの学習する能力、記憶する能力および動作する能力を徐々に失う。
【0022】
身体の中の過剰な金属イオンに関連する別の疾患は、ウイルソン病である。ウイルソン病は、肝臓、脳、および腎臓における過剰な銅の蓄積によって引き起こされる。その病気は、炎症、および肝硬変、および脳の損傷によって特徴付けされる。処置されない場合、ウイルソン病は、致死的である。脳における銅の蓄積はまた、クロイツフェルト−ヤコブ病(CJD)を含む伝染性海綿状脳症(TSE)の種々の形態に関係している。
【0023】
さらに、重金属への曝露は、成長の遅れ、種々の癌、腎臓の損傷に関連している。例えば、水銀、金および鉛への曝露は、自己免疫(自身の細胞を外来の侵入因子と間違えて攻撃する免疫系の状態)の発生に関連している。重金属(例えば、水銀、鉛、カドミウム、およびアルミニウムへの曝露はまた、中枢神経系に対するフリーラジカルによる損傷の増加および多発性硬化症に関連すると考えられる。
【非特許文献1】Stedman’s Medical Dictionary,26 ed.,Williamw & Wilkins,Baltimore,Md.,1995
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
現在、望ましくない実体または有害な実体を、動物系および生物学的サンプルから除去するために有用な方法に対する、必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0025】
(発明の要旨)
本発明は、動物中の1つ以上の実体の不均衡を是正し得るリポソームを提供する。従って、本発明は、実体を、動物からリポソーム中に取り込むための方法を提供し、その方法は、そのような処置を必要とする動物にその実体を取り込み得るリポソームを投与する工程を包含する。
【0026】
本発明はまた、実体を、生物学的サンプルからリポソーム中に取り込むための方法を提供し、その方法は、その生物学的サンプルと、その実体を取り込み得る1つ以上のリポソームとを接触させる工程を包含する。
【0027】
本発明はまた、動物の血清から実体を除去するための方法を提供し、その方法は、その血清と、その実体をその血清から除去し得る1つ以上のリポソームとを接触させる工程を包含する。
【0028】
本発明はまた、動物の脳脊髄液から実体を除去するための方法を提供し、その動物は、そのような処置を必要とし、その方法は、その動物にその実体を取り込み得るリポソームを(例えば、包膜間に)投与する工程を包含する。
【0029】
本発明はまた、動物においてアルツハイマー病を処置するための方法を提供し、その方法は、その動物中の、Zn、Al、FeもしくはCu、またはそれらのイオンのレベルを低下させるのに有効な量のリポソームをその動物に投与する工程を包含する。
【0030】
本発明はまた、動物においてパーキンソン病を処置するための方法を提供し、その方法は、その動物中の、Mn、Fe、Hg、Al、もしくはCu、またはそれらのイオンのレベルを低下させるのに有効な量のリポソームをその動物に投与する工程を包含する。
【0031】
本発明はまた、動物において糖尿病(例えば、高血糖)を処置するための方法を提供し、その方法は、その動物中の、グルコースのレベルを低下させるのに有効な量のリポソームをその動物に投与する工程を包含する。
【0032】
本発明はまた、動物において血清カルシウム負荷を低減するための方法を提供し、その動物は、そのような処置を必要とし、その方法は、その動物に、カルシウムを減少する有効量の1つ以上のリポソームを投与する工程を包含する。
【0033】
本発明はまた、生物系からカルシウムを除去するための方法および高カルシウムイオン濃度に関連する疾患を処置する方法を提供する。従って、本発明は、動物の血清からカルシウムを除去するための方法を提供し、その方法は、その血清と、その血清からカルシウムを除去するリポソームとを(インビトロにて、またはインビボにて)接触させる工程を包含する。
【0034】
本方法はまた、カルシウムイオンを隔離し得るリポソーム、ならびに高カルシウムイオン濃度によって引き起こされる疾患を処置する方法を提供し、その方法は、そのような処置を必要とする動物に、カルシウムイオン受容因子またはカルシウムイオン封鎖因子を含む処置的に効果的な量のリポソームを投与する工程を包含する。
【0035】
本発明はまた、医学的な処置での使用のための、本明細書中に記載されるようなリポソームを提供する。
【0036】
本発明はまた、動物においてアルツハイマー病を処置するのに有用な医薬を調製するための本明細書中に記載されるようなリポソームの使用を提供する。
【0037】
本発明はまた、動物においてパーキンソン病を処置するのに有用な医薬を調製するための本明細書中に記載されるようなリポソームの使用を提供する。
【0038】
本発明はまた、動物において糖尿病(例えば、高血糖)を処置するのに有用な医薬を調製するための本明細書中に記載されるようなリポソームの使用を提供する。
【0039】
本発明はまた、動物において血清のカルシウム負荷を低減するのに有用な医薬を調製するための本明細書中に記載されるようなリポソームの使用を提供する。
【0040】
本発明はまた、本明細書中に記載されるようなリポソーム、および薬学的に受容可能なビヒクルまたはキャリアを含む薬学的組成物を提供する。
【0041】
本発明はまた、本明細書中に記載されるような新規のリポソーム、ならびに本明細書中に記載されるような、本発明のリポソームを調製するための合成プロセスを提供する。
【0042】
(発明の詳細な説明)
(定義)
本明細書中で使用される場合、用語「動物」とは、哺乳類、鳥類、爬虫類、および魚類をいう。
【0043】
本明細書中で使用される場合、用語「生物学的サンプル」としては、組織、血清、血液、血漿、脳脊髄液、唾液、尿などの動物から採取されたサンプルが挙げられる。
【0044】
本明細書中で使用される場合、用語「カルシウム」としては、カルシウムおよびカルシウムイオンが挙げられる。
【0045】
本明細書中で使用される場合、用語「チャネル/トランスポーター(transporter)」としては、実体(例えば、カルシウム)をリポソームに入れることを可能にする(例えば、実体をリポソームの内部に、有効に輸送し得る)任意の分子または任意のセットが挙げられる。
【0046】
本明細書中で使用される場合、用語「不溶性」または用語「難溶性」とは、血清から実体(例えば、カルシウム)を効果的に除去させる範囲の溶解係数(Ksp)を有する、無機塩類(例えば、カルシウム塩)をいう。
【0047】
本明細書中で使用される場合、用語「主に結合する(primarily bind)」とは、1つの実体(例えば、カルシウム)に対して、好ましくは周辺にある1つ以上の他のイオン全体に対して、共有結合性か、またはイオン結合(ionically)のいずれかで結合する金属イオン封鎖因子をいう。
【0048】
本明細書中で使用される場合、用語「金属イオン封鎖因子」または用語「受容因子」は、実体に結合し得る、化合物、錯体、分子、または原子をいい、それによって、周辺の環境からその実体を速やかに除去する。
【0049】
(実体)
本発明は、動物からか、または生物学的サンプルから、望ましくない実体を除去するための方法を提供する。リポソームは、多種多様な実体を取り込むために処方され得る。従って、本発明の方法は概して、動物からか、または生物学的サンプルから、多種多様な物質を除去するのに有用である。例えば、本発明の方法は、金属または金属イオン(例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Fe、Os、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Cd、Hg、Sn、もしくはPb、またはそれらのイオン)を除去するために使用され得る。特に、本発明の方法は、Zn、Al、Fe、もしくはCu、またはそれらのイオンを動物から除去するのに有用である。好ましい実施形態において、その方法は、動物からカルシウムを除去するのに有用である。
【0050】
本方法はまた、動物から望ましくない分子(例えば、ペプチド、有機分子、治療剤、亜酸化窒素、またはグルコース)を除去するのに有用である。従って、本方法は、処置(すなわち、病理学的状態に関連するペプチドまたは化合物を除去すること)のために有用である。本方法はまた、治療剤に対する過剰曝露(すなわち、過量投与)、または有毒物質に対する過剰曝露(すなわち、中毒)を処置するのに有用である。本明細書中で使用される場合、用語「有機化合物」は、1つ以上の炭素原子を含有する任意の化合物を含む。代表的に、有機化合物は、約450原子質量単位(amu)未満の分子量を有する。1つの好ましい実施形態において、その有機化合物は、約300amu未満の分子量を有する。
【0051】
(リポソームとの接触)
本発明の方法は、インビトロか、またはインビボで実施され得る。例えば、本方法は代表的に、リポソームを動物に投与することによって実施され得る。いくつかの状況において、それは、動物から生物学的サンプル(例えば、血清、脳脊髄液、または組織)を除去し、そしてその動物の外部で、そのサンプルとそのリポソームとを接触させるのに、より都合が良い。望ましくない実体の除去に続いて、そのサンプルは、その動物に戻され得る。本発明の方法は、処置上の適用ならびに診断上の適用に有用である。
【0052】
(リポソーム中への取り込み)
金属または金属イオンを取り込むために使用される場合、本発明の方法において使用されるリポソームは、代表的に、イオンチャネルを含むか、またはその金属もしくはそのイオンの、そのリポソーム中への進入を容易にするためのシャトルを含む。例えば、A23187(CalBiochem(La Jolla,CA)またはFennentek Ltd(Jerusalem,Israel)から入手可能)は、Ca2+または他の2価のイオンを輸送するのに使用され得る。しかし、このようなチャネルまたはシャトルは、いつも必要とされるわけではない。例えば、両親媒性の実体は、化学的電位勾配に反応して(例えば、pH勾配に対して)ロードされ得る。さらに、疎水性の実体を取り込むために使用される場合、その疎水性の実体の進入を容易にするチャネルは、必要であっても、必要でなくてもよい。そのリポソームは、いくつかの疎水性の実体に対して浸透可能であるが、その実体は、進入後にそのリポソームの内部で、捕捉され得るか、または修飾され得、従って、それはすぐにリポソームの外へは戻ってこない。
【0053】
一旦、上記リポソーム中に取り込まれると、上記実体は、単にそのリポソーム内部の親水性環境中、疎水性の2重層中に、滞在し得るか、またはそのリポソームは、その実体に(例えば、水素結合またはイオン間相互作用によって)関連する金属イオン封鎖因子を含み得、そしてその実体のリポソームの外へ通過する能力を減少する。例えば、そのリポソームは、金属イオン封鎖因子(例えば、ポリアミン、多座のカルボン酸(例えば、EDTA)、クラウンエーテル、ラクタム、無機イオン化合物、またはその実体をリポソーム中に引き寄せる化学的勾配を生成する他の因子)を含み得る。そのリポソームはまた、その実体と反応し得る、試薬または酵素を含み得、それによって、その実体のリポソームの外へ通過する能力を減少する。例えば、グルコースは、そのリポソーム内で、ヘキソキナーゼを使用してグルコース−6−ホスフェートへの変換を受け得る。そのリポソーム中での反応が、反応が起こるためのエネルギー源(例えば、ATP)、補因子、特定のpH、または特定のイオン平衡を必要とする場合、そのリポソームは、これらの特徴を含むように調製され得る。インビトロ適用のためには、このような特徴はまた、外部の供給源からも提供される。
【0054】
(リポソーム作用の機構)
本発明の方法に従って、上記リポソームは、多くの方法で動物中の実体の有効濃度を低減し得る。例えば、1)そのリポソームは、可逆的な様式においてその実体を取り込み得、その後、その実体を長時間かけて放出し、従って、その時間にわたってその動物において時間に対して有効な、実体の最大量または最大濃度は減少するか;2)そのリポソームは、その実体を取り込み得、その後、その動物から除去され得、それによって動物の血清からその実体を排除し得るか;3)そのリポソームは、その実体を取り込み得、そしてその実体は、そのリポソーム内で捕捉され得るか、または修飾され得、従って、それはリポソームの外へ通過しないか;または4)その実体の取り込みに続いて、そのリポソームは、身体の中の他の場所に再度移行し得(例えば、マクロファージ中に負荷され得)、そこでその実体は、放出され得るか、またはその実体を含むリポソームは、その身体から排除され得る。上の1〜4の1つ以上の組み合わせもまた、起こり得る。
【0055】
(高カルシウム血症を処置する方法)
本発明は、高カルシウム血症を有する動物を処置する方法を含む。本方法は、そのような処置を必要とする動物に治療有効量の少なくとも1つのカルシウム封鎖リポソームを投与する工程を包含し、それによって、その動物内のカルシウムイオン濃度を減少する。本方法は、代表的に、カルシウムを減少する有効量のカルシウム封鎖因子を含む少なくとも1つのリポソームを、動物に投与することによって、血清カルシウム濃度を減少する。
【0056】
1つの実施形態において、本方法は、高カルシウム血症状態にある動物に、その動物において血清コレステロールレベルを下げるのに有効な量の少なくとも1つのカルシウム封鎖リポソームを投与する工程を包含する。その後、その動物のカルシウムイオン血清濃度は、数日間、約4時間〜約6時間毎にモニタリングされ得る。処置は、一旦望ましいカルシウムイオン血清濃度(すなわち、正常カルシウム血)に達すると終了する。必要に応じて、マグネシウムイオンのレベル、PTHのレベル、およびホスフェートのレベルは、カルシウムイオン濃度と一緒に、同時にかまたは連続してかのいずれかで、モニタリングされ得る。
【0057】
(組み合わせ処置)
上記リポソームの使用はまた、他の処置と組み合わせられ得、所与の状態(高血糖、アルツハイマー病、ウイルソン病、重金属中毒、または高カルシウム血症を処置する。例えば、本発明の方法が、高カルシウム血症を処置するために使用される場合、リポソームの投与は、動物中のカルシウム負荷を低減するのに有用な1つ以上の治療剤の投与と組み合わせられ得る。さらなる治療剤は、本発明のリポソームの投与前、投与中、投与後のいずれかに投与され得る。
【0058】
本発明の1つの実施形態において、そのリポソームは、そのリポソーム内に、所定の状態(例えば、高血糖、アルツハイマー病、ウイルソン病、重金属中毒、または高カルシウム血症)を処置する1つ以上のさらなる治療剤を含み得る。高カルシウム血症の処置における使用が検討される治療剤としては、フロセミド、カルシトニン、ビスホスホネート、エチドロン酸、パミドロン酸、ゾレンドラネート、糖質コルチコイド、硝酸ガリウム、プリカマイシン、ミスロマイシン(mithromycin)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
(リポソーム形成脂質)
上記リポソームは、いくつかのリポソーム形成脂質(例えば、ホスファチジルコリンまたはスフィンゴミエリン)を含む。代表的に、その脂質は、少なくとも1つのホスファチジルコリンを含み、このホスファチジルコリンは、リポソームの主要な、充填/捕捉/構造要素を提供する。代表的に、そのホスファチジルコリンは、主にC16または、より長い脂肪酸鎖を含む。鎖の長さは、リポソームの構造、完全性、および安定性の両方を提供する。必要に応じて、1つの脂肪酸鎖は、少なくとも1つの2重結合を有する。
【0060】
本明細書中で使用される場合、用語「ホスファチジルコリン」は、Soy−PC、Egg−PC、ジエライドイル(dielaidoyl)ホスファチジルコリン(DEPC)、ジオレオイル(dioleoyl)ホスファチジルコリン(DOPC)、ジステアロイル(distearoyl)ホスファチジルコリン(DSPC)、水素化されたダイズホスファチジルコリン(HSPC)、ジパルミトイル(dipalmitoyl)ホスファチジルコリン(DPPC)、1−パルミトイル−2−オレオホスファチジルコリン(POPC)、ジベへノイル(dibehenoyl)ホスファチジルコリン(DBPC)、およびジミリストイル(dimyristoyl)ホスファチジルコリン(DMPC)を含む。
【0061】
本明細書中で使用される場合、用語「Soy−PC」とは、種々の、モノ−不飽和脂肪酸、ジ−不飽和脂肪酸、トリ−不飽和脂肪酸、およびモノ−飽和脂肪酸、ジ−飽和脂肪酸、トリ−飽和脂肪酸を含むホスファチジルコリン組成物をいう。代表的に、Soy−PCは、約12重量%〜約33重量%の量で存在するパルミチン酸、約3重量%〜約8重量%の量で存在するステアリン酸、約4重量%〜約22重量%の量で存在するオレイン酸、約60重量%〜約66重量%の量で存在するリノール酸、および約5重量%〜約8重量%の量で存在するリノレン酸を含む。
【0062】
本明細書中で使用される場合、用語「Egg−PC」は、種々の飽和脂肪酸および種々の不飽和脂肪酸(これらに限定されない)を含むホスファチジルコリン組成物をいう。代表的に、Egg−PCは、約34重量%の量で存在するパルミチン酸、約10重量%の量で存在するステアリン酸、約31重量%の量で存在するオレイン酸、および約18重量%の量で存在するリノール酸を含有する。
【0063】
(コレステロール)
コレステロールは、代表的に、上記リポソームに安定性を与える。コレステロールに対するホスファチジルコリンの比は、代表的に、モル比で約0.5:1〜約4:1である。好ましくは、コレステロールに対するホスファチジルコリンの比は、モル比で約1:1〜約2:1である。さらに好ましくは、コレステロールに対するホスファチジルコリンの比は、モル比で約2:1である。
【0064】
(カルシウム封鎖因子)
本発明のリポソームに伴う使用に適したカルシウム封鎖因子としては、周辺の環境からカルシウムイオンを除去するのに十分にカルシウムイオンに結合し得る、化合物、錯体、イオン、分子、試薬、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。カルシウム除去としては、そのリポソーム内でのカルシウム錯体、または不溶性無機化合物もしくは難溶性無機化合物を形成する工程、およびその後、血清からリポソームを除去する工程が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の1つの実施形態において、そのカルシウム封鎖因子は、カルシウムイオンに優先的に結合するが、そのカルシウム封鎖因子は、他のイオンに結合し得る。例えば、そのカルシウム封鎖因子は、カルシウムイオンに主に結合し得、および/または他のイオン(例えば、特にマグネシウムイオン)を除去する。
【0065】
代表的に、カルシウム封鎖因子としては、ポリアミン、ポリカーボネート、多座のカルボン酸、クラウンエーテル、ラクタム、無機化合物、ポリアニオン、タンパク質フラグメントおよびペプチドが挙げられる。特に、カルシウム封鎖因子としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)−四酢酸(EGTA)、およびカルシトニンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
リポソーム中のカルシウム封鎖因子の量は、望ましいカルシウム封鎖因子の型、高カルシウム血症の低減についての望ましい時間、およびその動物の状態によって変化し得る。代表的に、カルシウム封鎖因子の量は、リポソームの投与から数分間以内または数時間以内にカルシウムイオン濃度の減少を生じるのに十分な量であるべきである。あるいは、高カルシウム血の急速な低減が、望ましくない場合、そのカルシウム封鎖因子は、長期間(例えば、1日または数日)、安定かつ延長されたカルシウムイオンの減少を提供するために選択され得る。代表的に、そのカルシウム封鎖因子は、その動物血清との接触前に、少なくとも約50mMの濃度で存在する。好ましくは、そのカルシウム封鎖因子は、その動物血清との接触前に、少なくとも約100mMの濃度で、そしてより好ましくは、少なくとも約200mMの濃度で存在する。1つの実施形態において、そのカルシウム封鎖因子は、動物の血清内において、約10%〜約30%のカルシウムイオン濃度を除去し得、それはまた、その動物のEKGの正常化を生じ得る。
【0067】
(リポソームの調製)
上記リポソームは、代表的に、リン脂質およびコレステロールの脂質層を含む。代表的に、コレステロールに対するリン脂質の比は、一旦動物に投与されると、溶解も崩壊もしないリポソームを形成するのに十分である。その脂質およびコレステロールは、適切な溶媒中または適切な溶媒混合物に、適切な量のイオノフォアと一緒に溶解される。適当な時間の後、その溶媒は、真空乾燥または噴霧乾燥によって除去される。生じる固体物質は、保存され得るか、またはすぐに使用され得る。
【0068】
その後、生じる固体物質は、適切な温度において、必要に応じて金属イオン封鎖因子(例えば、EDTAのようなカルシウム封鎖因子)を含むか、または必要に応じて、適切な温度において別の治療剤を含む水溶液中で水和され、多層状小胞(MLV)を生じる。MLVを含む溶液は、均一化によって大きさを減じ、小さな1枚膜小胞(Small Unilameller Vesicle)(SUV)を形成する。カルシウム封鎖因子の一部は、そのプロセスの間に、SUVの水性区画中に封入される。封入されなかった金属イオン封鎖因子は、適切な方法(例えば、透析、脱塩カラム、またはクロス式濾過)によって除去される。生じるリポソーム溶液は、濾過され、そして使用できる状態である。
【0069】
緩衝液中のカルシウム封鎖因子の負荷は、処方に依存する。とりわけ関連する要因は、脂質成分の効果的な相転移温度(Tm)である。図1は、種々の調製物における、カルシウム負荷の脂質転移温度依存性を示す。緩衝液中の負荷は、インビトロ(血清、血漿もしくは血液)での負荷であるか、またはインビボでの負荷であるかには、直接関係しても関係しなくてもよい。血清タンパク質または他の要素は、トランスポーターチャネルの機能に(積極的または消極的に)影響し得る。全体的なリポソームの性能は、部分的に、インビボにおける負荷および生体内分布と離れて、薬物動態、ならびに/またはリポソームの薬動力学から生じる。
【0070】
(処方物)
本発明の脂質ベースの分散剤はまた、非経口的に投与されるべく処方され得る。さらに脂質ベースの分散は、注入または注射による、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、または腹腔内投与のために処方され得る。これらの調製物はまた、微生物の増殖を防ぐ防腐剤、緩衝液、抗酸化剤を適当な量で含む。
【0071】
組成物および調製物は、代表的に、少なくとも0.1%の金属イオン封鎖因子を含む。その組成物および調製物の割合は、当然、変化され得、そして都合の良いことには、所与の単位投薬形態の約2重量%〜約60重量%の間である。このような治療的に有用な組成物において活性な金属イオン封鎖因子の量によって、効果的な投薬レベルが得られる。
【0072】
上記リポソームはまた、動物血清の等張性を維持する生理学的に受容可能な塩を含む。動物血清の等張性を達成する任意の薬学的に受容可能な塩が、受容可能である(例えば、NaCl)。
【0073】
処置における使用に必要とされる処方物の量は、特定の薬剤によってのみではなく、投与の経路、処置される状態の性質、ならびにその動物の年齢および状態によっても変化し、必要とされる量は、究極的には、担当の医師または臨床家の裁量による量である。
【0074】
処方物の好ましい量は、都合の良いことに、1回の用量、または適当な間隔において投与される分割された用量(例えば、1日あたり、2回、3回、4回またはそれ以上の準用量(sub−dose))であり得る。その準用量自体は、さらに(例えば、大まかに間隔を空けた個別の投与回数に)分割され得る。必要に応じて、そのリポソームおよび/またはその処方物は、少なくとも1つの、抗酸化剤、緩衝液、安定化剤、または薬学的に受容可能な賦形剤を含み得る。
【0075】
(特異的かつ好ましい実施形態)
特定かつ好ましい値は、以下に網羅され、それらは、他に定義された値または定義された範囲内の他の値を排除しない。
【0076】
本発明の特定の実施形態において、上記接触させる工程は、インビボで起こる。
【0077】
本発明の別の特定の実施形態において、上記接触させる工程は、インビトロで起こる。
【0078】
本発明の別の特定の実施形態において、上記実体は、金属または金属イオンである。
【0079】
本発明の別の特定の実施形態において、上記実体は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Fe、Os、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Cd、Hg、Sn、もしくはPb、またはそれらのイオンである。
【0080】
本発明の別の特定の実施形態において、上記実体は、Zn、Al、Fe、もしくはCu、またはそれらのイオンである。
【0081】
本発明の別の特定の実施形態において、上記実体は、カルシウムまたはそのイオンである。
【0082】
本発明の別の特定の実施形態において、上記実体は、ペプチドである。
【0083】
本発明の別の特定の実施形態において、上記実体は、有機分子である。
【0084】
本発明の別の特定の実施形態において、上記実体は、治療剤である。
【0085】
本発明の別の特定の実施形態において、上記実体は、グルコースである。
【0086】
本発明の別の特定の実施形態において、上記動物は、哺乳動物である。
【0087】
本発明の別の特定の実施形態において、上記動物は、ヒトである。
【0088】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームは、1つ以上の、リポソームを形成する脂質およびコレステロールを含み、コレステロールに対するその脂質のモル比は、約0.5:1〜約4:1である。
【0089】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームは、ホスファチジルコリンおよびコレステロールを含む。
【0090】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームにおけるコレステロールに対するホスファチジルコリンのモル比は、約0.5:1〜約4:1である。
【0091】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームにおけるコレステロールに対するホスファチジルコリンのモル比は、約1:1〜約2:1である。
【0092】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームにおけるコレステロールに対するホスファチジルコリンのモル比は、約2:1である。
【0093】
本発明の別の特定の実施形態において、上記ホスファチジルコリンは、Soy−PC、Egg−PC、DEPC、DOPC、DSPC、HSPC、DMPC、およびDPPC、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0094】
本発明の別の特定の実施形態において、上記ホスファチジルコリンは、DEPC、DOPC、DSPC、HSPC、DMPC、POPC、DBPC、およびDPPC、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0095】
本発明の別の特定の実施形態において、上記ホスファチジルコリンは、DEPC、DOPC、DSPC、HSPC、DMPC、およびDPPC、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0096】
本発明の別の特定の実施形態において、上記ホスファチジルコリンは、DOPC、DSPC、HSPC、DMPC、およびDPPC、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0097】
本発明の別の特定の実施形態において、上記ホスファチジルコリンは、DOPC、DSPC、HSPC、およびDPPC、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0098】
本発明の別の特定の実施形態において、上記ホスファチジルコリンは、DPPCである。
【0099】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームは、上記実体のリポソーム中への取り込みを容易にする、チャネルまたはシャトルを含む。
【0100】
本発明の別の特定の実施形態において、上記チャネルは、イオンチャネルである。
【0101】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームの内部のpHが、投与前、または上記生物学的サンプルもしくは上記血清との接触前に、約8未満である。
【0102】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームは、SUVまたはMLVである。
【0103】
本発明の別の特定の実施形態において、上記実体は、上記リポソームの内部で金属イオン封鎖因子と結合して、そのリポソームの外へ通過できない錯体を形成する。
【0104】
本発明の別の特定の実施形態において、カルシウムは、上記リポソームの内部で金属イオン封鎖因子と結合して、そのリポソームの外へ通過できないカルシウム錯体を形成する。
【0105】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームは、1つ以上のカルシウムイオン封鎖因子を含有する。
【0106】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームは、リポソームを形成する脂質およびそのリポソーム中へのカルシウムの通過を可能にするトランスポーター/チャネルを含有する。
【0107】
本発明の別の特定の実施形態において、上記金属イオン封鎖因子は、ポリアミン、多座のカルボン酸、クラウンエーテル、ラクタム、または無機化合物である。
【0108】
本発明の別の特定の実施形態において、上記金属イオン封鎖因子は、EDTAである。
【0109】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソーム中の上記EDTAの濃度は、投与前または接触前に少なくとも約10mMである。
【0110】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソーム中の上記EDTAの濃度は、投与前または接触前に少なくとも約20mMである。
【0111】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソーム中の上記EDTAの濃度は、投与前または接触前に少なくとも約25mMである。
【0112】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソーム中の上記EDTAの濃度は、投与前または接触前に少なくとも約50mMである。
【0113】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソーム中の上記EDTAの濃度が、投与前または接触前に少なくとも約80mMである。
【0114】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソーム中の上記EDTAの濃度が、投与前または接触前に少なくとも約100mMである。
【0115】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソーム中の上記EDTAの濃度が、投与前または接触前に少なくとも約200mMである。
【0116】
本発明の別の特定の実施形態において、上記金属イオン封鎖因子は、亜鉛、セレン、または銅に比べて、カルシウム結合に対して、少なくとも2倍選択的である。
【0117】
本発明の別の特定の実施形態において、上記実体は、前記リポソームの内部で酵素と反応する。本発明の別の特定の実施形態において、上記反応した実体は、リポソームの外に通過できない。
【0118】
本発明の別の特定の実施形態において、上記実体は、上記リポソームの内部で酵素と反応する。本発明の別の特定の実施形態において、前記実体と前記酵素との間の反応は、ATPを必要とする。
【0119】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームは、イオンチャネルA23187を含む。
【0120】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームは、イオンチャネルを含み、そのイオンチャネルは、そのリポソーム中へのカルシウムの流入に関して、亜鉛、セレン、または銅に比べて少なくとも2倍選択的である。
【0121】
別の特定の実施形態において、本発明の方法は、動物の血液循環からカルシウムを除去し得るリポソームを利用する。
【0122】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームは、カルシウムイオンと関係し得る、カルシウム封鎖因子またはカルシウム受容因子を含む。
【0123】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームは、リポソームを形成する、脂質、コレステロール、およびチャネル/トランスポーターを含む脂質層、ならびに1つ以上のカルシウムイオンと結合可能な、カルシウム封鎖因子またはカルシウム受容因子を含有する。
【0124】
(図面)
図1は、種々のリポソーム調製物についての緩衝溶液中のカルシウム負荷の脂質転移温度依存性を示す。2:1のリン脂質−コレステロール調製物の5つの異なる処方物が、示される。5つのリン脂質は、HSPC(55℃)、DPPC(41℃)、DMPC(23℃)、DEPC(12℃)およびDOPC(−20℃)である。全てのサンプルは、200mM EDTAを用いてpH4.5で調製された。DSPC−コレステロール処方物において、2つのさらなる調製物は、取り込まれるか、または包括されかつ緩衝液の外側において取り込まれるかのいずれかで、硫酸アンモニウムを使用して作製された。
【0125】
図2は、4つの異なる様式で調製された3つの処方物におけるカルシウム負荷を示す。その処方物は、2:1のHSPC:コレステロール(処方物2A)、1:1.25:1.5のHSPC:コレステロール:DOPC(処方物2B)、および2:1のDPPC:コレステロール(処方物2C)を使用して140mM NaClを用いてpH4.5で、そして140mM NaClを用いずにpH4.5で、または140mM NaClを用いてpH7.5で、そして140mM NaClを用いずにpH7.5で調製された。4つの異なる調製物における各リン脂質:コレステロール調製物は、平均化されて、示された負荷曲線を得るために平均化された。
【0126】
図3は、カルシウム負荷の効力のインビトロpHおよびNaCl依存性を示す。4つの異なる処方物が、調製された。2:1のDPPC:コレステロール処方物は、4.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して調製され(処方物3A)、そして第2に7.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して調製された(処方物3D)。その後、2:1のDPPC:コレステロール処方物は、4.5のpHにて200mMのEDTAを使用して(処方物3C)、そして第2に7.5のpHにて200mMのEDTAを使用して調製された(処方物3D)。測定は、0分、30分、60分、120分、および240分において行われた。グラフは、4.5のpHにおいて調製された処方物が、最も高いEDTA%飽和度を有したことを示す。
【0127】
図4は、4つのHSPC:コレステロール処方物におけるカルシウム負荷を示す。特に、2:1のHSPC:コレステロール処方物は、4.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して(処方物4A)、そして第2に7.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して調製された(処方物4B)。その後、2:1のHSPC:コレステロール処方物は、4.5のpHにて200mMのEDTAを使用して(処方物4D)、そして第2に7.5のpHにて200mMのEDTAを使用して調製された(処方物4D)。測定は、0分、30分、60分、120分、および240分において行われた。グラフは、4.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを用いて調製された処方物が、最も高い血清飽和度を有したことを示した。
【0128】
図5は、4つのHSPC:コレステロール処方物における負荷の効力を示す。2:1のHSPC:コレステロール処方物は、4.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して(処方物5A)、そして第2に7.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して調製された(処方物5B)。その後、2:1のHSPC:コレステロール処方物は、4.5のpHにて200mMのEDTAを使用して(処方物5D)、そして第2に7.5のpHにて200mMのEDTAを使用して調製された(処方物5C)。測定は、0分、30分、60分、120分、および240分において行われた。グラフは、NaClを用いずに、そして200mMのEDTAを用いて、4.5のpHにて調製された処方物が、最も高いカルシウムイオン濃度を有したことを示した。
【0129】
図6は、7つのHSPC:コレステロール:DOPC処方物におけるカルシウム負荷を示す。4つの、1:1.25:1.5のHSPC:コレステロール:DOPC処方物が、調製された。1つは、4.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して(処方物6B)、第2に7.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して(処方物6C)、第3に7.5のpHにてNaClを用いずに(処方物6A)、そして第4に4.5のpHにてNaClを用いずに(処方物6D)調製された。3つのHSPC:コレステロール:DOPC処方物が、調製された。1つは、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.14:0.25のHSPC:コレステロール:DOPC(処方物6E)であり、第2は、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.12:0.05のHSPC:コレステロール:DOPC(処方物6F)であり、第3は、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.17:0.5のHSPC:コレステロール:DOPC(処方物6G)である。測定は、0分、30分、60分、120分、および240分において行われた。
【0130】
図7は、7つのHSPC:コレステロール:DOPC処方物におけるカルシウム負荷効力を示す。4つの、1:1.25:1.5のHSPC:コレステロール:DOPC処方物が調製された。1つは、4.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して(処方物7B)、第2に7.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して(処方物7C)、第3に7.5のpHにてNaClを用いずに(処方物7A)、そして第4に4.5のpHにてNaClを用いずに(処方物7D)調製された。3つのHSPC:コレステロール:DOPC処方物が、調製された。1つは、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.17:0.5のHSPC:コレステロール:DOPC(処方物7E)であり、第2は、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.14:0.25のHSPC:コレステロール:DOPC(処方物7F)であり、第3は、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.12:0.05のHSPC:コレステロール:DOPC(処方物7G)である。測定は、0分、30分、60分、120分、および240分において行われた。
【0131】
図8は、3つのHSPC:コレステロール:DEPC処方物におけるカルシウム負荷を示す。3つのHSPC:コレステロール:DEPC処方物が、調製された。1つは、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.14:0.25のHSPC:コレステロール:DEPC(処方物8A)であり、第2は、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.12:0.05のHSPC:コレステロール:DEPC(処方物8B)であり、第3は、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.17:0.5のHSPC:コレステロール:DEPC(処方物8C)である。測定は、0分、30分、60分、120分、および240分において行われた。
【0132】
図9は、3つのHSPC:コレステロール:DEPC処方物における負荷の効力を示す。3つのHSPC:コレステロール:DEPC処方物が、調製された。1つは、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.17:0.5のHSPC:コレステロール:DEPC(処方物9A)であり、第2は、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.14:0.25のHSPC:コレステロール:DEPC(処方物9B)であり、第3は、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.12:0.05のHSPC:コレステロール:DEPC(処方物9C)である。測定は、0分、30分、60分、120分、および240分において行われた。
【0133】
図10は、4つのDPPC:コレステロール処方物におけるカルシウム負荷を示す。特に、2:1のDPPC:コレステロール処方物は、4.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して調製され(処方物10D)、そして第2に7.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して調製された(処方物10C)。その後、2:1のDPPC:コレステロール処方物は、4.5のpHにて200mMのEDTAを使用し(処方物10B)、そして第2に7.5のpHにて200mMのEDTAを使用して調製された(処方物10A)。測定は、0分、30分、60分、120分、および240分において行われた。グラフは、7.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを用いて調製された処方物が、最も高いカルシウムイオン濃度を有したことを示した。
【0134】
図11は、4つのDPPC:コレステロール処方物における負荷の効力を示す。2:1のDPPC:コレステロール処方物は、4.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用し(処方物11D)、そして第2に7.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して調製された(処方物11C)。その後、2:1のDPPC:コレステロール処方物は、4.5のpHにて200mMのEDTAを使用し(処方物11B)、そして第2に7.5のpHにて200mMのEDTAを使用して調製された(処方物11A)。測定は、0分、30分、60分、120分、および240分において行われた。グラフは、4.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを用いて調製された処方物が、最も高いカルシウムイオン濃度を有したことを示した。
【0135】
本発明はさらに、上記リポソームの調製および上記リポソームを使用して高カルシウム血症を処置する方法を記載する以下の実施例に対する参照によって定義される。材料および方法の両方に対する多くの改変が、この発明の目的および関心から逸脱することなく実施される得ることは、当業者にとって明らかである。
【0136】
カルシウム負荷は、緩衝液、または生物学的媒体(例えば、血清)においてリポソームを希釈する工程、およびインキュベートする工程(例えば、37℃で)によって、インビトロにて研究された。インキュベーションの過程にわたって、サンプルは、小さい直径カットオフ(100kDa)のマイクロフィルター濾過デバイスによって精密フィルター濾過される。濾過産物は、全カルシウム濃度について、高性能液体クロマトグラフィーによってアッセイされる。これらの濾過濃度は、その媒体において見出される遊離型カルシウムの量を示す。従って、カルシウムの減少は、その媒体に由来する、カルシウムのリポソーム取り込みに起因し得る。
【実施例】
【0137】
(実施例1:一般的なリポソームの調製)
約2:1の比のリン脂質およびコレステロールを、それぞれ、適切な量のイオノフォアを有する適切な溶媒、または溶媒混合物に溶解する。その後、その溶媒を真空乾燥または噴霧乾燥を通じて除去する。生じる固体物質は保存することもでき、すぐに使用することもできる。
【0138】
その後、生じる固体物質を、適切な温度にてEDTAを含む水溶液中で水和し、多層状小胞(MLV)を生じる。MLVを含む溶液を、均一化によって大きさを減じ、小さな1枚膜小胞(SUV)を形成する。EDTAの一部を、そのプロセスの間に、SUVの水性区画中に封入する。封入されなかったEDTAを、適切な方法(例えば、透析、脱塩カラム、またはクロス式濾過)によって除去する。生じるリポソーム溶液を、濾過し、そして使用できる状態にする。
【0139】
全ての刊行物、特許、および特許文献は、あたかも個別に参考として援用されるかのように、本明細書中に参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】図1は、種々の調製物におけるカルシウム負荷の脂質転移温度依存性を示す。
【図2】図2は、異なる方法を使用して調製された3つの処方物についてのカルシウム負荷を示す。
【図3】図3は、カルシウム負荷の効力における、pHおよびNaClの影響を示す。
【図4】図4は、HSPC:コレステロール処方物におけるカルシウム負荷を示す。
【図5】図5は、HSPC:コレステロール処方物における負荷の効力を示す。
【図6】図6は、DOPC:コレステロール処方物におけるカルシウム負荷を示す。
【図7】図7は、DOPC:コレステロール処方物における負荷の効力を示す。
【図8】図8は、DEPC:コレステロール処方物におけるカルシウム負荷を示す。
【図9】図9は、DEPC:コレステロール処方物における負荷の効力を示す。
【図10】図10は、DPPD:コレステロール処方物におけるカルシウム負荷を示す。
【図11】図11は、DPPD:コレステロール処方物における負荷の効力を示す。
【技術分野】
【0001】
(発明の優先権)
本出願は、米国仮出願番号60/501,816および米国仮出願番号60/501,818(どちらも2003年9月9日出願)からの優先権を主張する。これらの仮特許出願のそれぞれの内容全体は、本明細書によって、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、動物における1つ以上の実体の不均衡を是正し得るリポソームに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
多くの病気および状態は、動物中の1つ以上の実体の不均衡によって引き起こされるか、または動物中の1つ以上の実体の不均衡をもたらす。例えば、高カルシウム血症は、一般的な臨床上の代謝性の問題である。これは、以下に挙げられる多くの疾患の発現として生じ得る:副甲状腺機能亢進症、パジェット病、ビタミンA中毒およびビタミンD中毒、結核、サルコイドーシス、悪性腫瘍(例えば、乳癌、小細胞肺癌、扁平上皮癌、多発性骨髄腫など)。
【0004】
高カルシウム血症は、癌を有する人々の10%〜20%で発症し、それは、医師が直面する最も一般的な医学的な管理上の問題の1つとされる。さらに、高カルシウム血症は、悪性腫瘍に関連する、最も一般的な生死にかかわる代謝障害である。悪性腫瘍に関連する急性高カルシウム血症を処置するための最も効果的な処置は、その根底である癌を除去するか、または処置することである。これが達成されるまでか、またはこれが達成され得ない場合、抗高カルシウム血症剤の使用が、必要であり得る。急性高カルシウム血症を処置する処置は、血清カルシウム濃度を減少することによって急性高カルシウム血症の発生を予防し、そして抗高カルシウム血症医薬に由来する有害事象を予防するという特定の患者の目的により、慎重に選択されるべきである。ビスホスホネート、カルシトニン、フロセミド、硝酸ガリウム、糖質コルチコイド、正常生理食塩水およびプリカマイシンは、悪性腫瘍の管理において、ある程度の成功を伴って使用され、そして臨床家に急性高カルシウム血症の処置における処置的選択肢の範囲を提供する。しかし、これらの選択肢は全て、その制限を受ける。
【0005】
高カルシウム血症を処置する1つの方法としては、高カルシウム血症の急性の管理における第1の工程としての、静脈内への正常生理食塩水(NaCl 0.9%)による水分補給が挙げられる。急性高カルシウム血症に罹患する患者のほとんどは、体液量が減少するので、NaCl 0.9%の投与は重要である。なぜなら、腎性のカルシウムクリアランスを増加することに加えて、細胞内液量を増すからである。NaCl 0.9%の最適な投与速度は、高カルシウム血症の重症度、体液量減少(volume contraction)の程度、患者の流体を許容する能力、および患者の臨床状態全体によって決定される。水分補給および利尿を促進するNaCl 0.9%の注入の通常の速度は、200〜300ml/時間である。
【0006】
フロセミド(強力利尿薬)は、高カルシウム血症の処置に使用され得、カルシウム排泄を増加する。フロセミドは、急性高カルシウム血症の処置において重要である。なぜならこれは、腎臓によるカルシウムの再吸収を阻害し、そして生理食塩水の投与による容量過負荷から保護するからである。しかし、フロセミド処置には、制限がある。適切な体液量増大(volume expansion)がない場合、フロセミド処置は、糸球体濾過速度ならびにカルシウムクリアランスにおける減少を生じ得る。従って、その処置は、十分な水分補給後にのみ施されるべきである。1〜4時間毎に100mgまでの静脈内投与量が、投与され得る。
【0007】
NaCl 0.9%およびフロセミドのレジメンは、血清カルシウム濃度の小幅な減少を生じる。臨床試験は、生理食塩水およびフロセミドの組み合わせが、代表的に、カルシウムレベルを最初の48時間以内に0.20〜0.30mmolのみ減少することを示唆する。従って、NaCl 0.9%およびフロセミドの投与のみで達成される、水分補給および利尿の効果は、軽度〜中程度の高カルシウム血症の管理に対して十分であり得るが、通常、重篤な高カルシウム血症に対しては不十分である。重篤な高カルシウム血症を有する患者において、他の抗高カルシウム血症因子の使用は、当然のことであり得る。
【0008】
サケカルシトニンは主に、破骨細胞の再吸収を阻害し、そしてカルシウムの腎排出を増加する。作用の迅速な開始および鎮痛特性は、急性高カルシウム血症の処置におけるカルシトニンの成功に寄与する。代表的に、血清カルシウム濃度は、数時間以内に1〜3mg/dLに減少する。通常、カルシトニンの投与後24時間以内に、最大の効果が達せられる。
【0009】
多くの臨床試験は、カルシトニンに関するタキフィラキシーを実証している。臨床研究はまた、カルシトニンが、たった24時間しか持続しない短い作用持続時間を有する、ことを実証した。タキフィラキシーおよび短い作用持続時間の報告にもかかわらず、カルシトニンは、重篤な高カルシウム血症の初期の管理における重要な薬剤である。急性高カルシウム血症を処置するための、カルシトニンの推奨される皮下開始用量または筋肉内開始用量は、4IU/kgで、12時間毎に投与される。カルシトニンの主な副作用は、顔面紅潮、胃腸不調および発疹であり、それらは、カルシトニンを好ましくないものとし、動物にとって、そして患者の低いコンプライアンスを悪くする。
【0010】
ビスホスホネートは、破骨細胞に対して有毒であり、そして破骨細胞前駆体を阻害し、それによって破骨細胞の機能を低下させる。現在、エチドロン酸は、経口投薬形態および静脈内投薬形態の両方で市販されており、そしてパミドロン酸は、静脈内投薬形態で市販されている。
【0011】
エチドロン酸(etidronate)は、急性高カルシウム血症の場合に静脈内に(IV)投与される。推奨される用量は、1日に7.5mg/kg IVで3〜7日間であり、各投与は2〜4時間かけて注入されるべきである。代表的に、血清カルシウム濃度は2日以内に減少し始める。最大の効力は、処置の開始後7日間以内に生じる。臨床試験は、約40%〜92%の患者がエチドロン酸を受容した後に、正常な血清カルシウム濃度に戻ることを実証した。エチドロン酸に関する副作用は、高い血清リン濃度および腎不全である。他の副作用としては、一時的な発熱、発疹、悪心、腎毒性が挙げられる。腎毒性の可能性は、2.5mg/dL未満の血清クレアチニンレベルを有する患者においては減少する。
【0012】
急性高カルシウム血症のパミドロン酸(pamidronate)処置について推奨される用量は、60mg〜90mg(静脈内に2〜24時間かけて注入)である。単回パミドロン酸用量は、急性高カルシウム血症の処置において有効であり得るが、引き続いての投与が、前回の投与の7日後に与えられ得る。血清カルシウム濃度は、3日以内に減少し得、そして次の投与は、前回投与後の7日目に提供され得る。血清カルシウム濃度は、3日間以内に減少し得、そして最大の効果は、投与後7日まで記録されない。臨床試験は代表的に、パミドロン酸が、患者の約60%〜100%において血清カルシウム濃度を正常化することを実証する。パミドロン酸に関するいくつかの有害事象としては、一時的な発熱、悪心、発疹、腎毒性、低カルシウム血症および血栓性静脈炎が挙げられる。
【0013】
エチドロン酸と同様に、腎機能障害を有する患者または2.5mg/dLより大きい高い血清クレアチニンレベルを有する患者には、パミドロン酸の使用は、推奨されない。
【0014】
ゾレンドラネート(zolwndranete)は、さらに強力であり、そしてより短い静脈投与時間しか必要としない。転移性骨疾患の代表的な処置時間は、3〜4週間毎での、15分の静脈内注射1回である。しかし、ゾレンドラネートは、腎障害に禁忌であるので、適切な代用品ではない。ビホスホネートが、転移性の疾患における骨の疼痛を減少することが主張されているが、救急処置において、このことについての証拠はない。
糖質コルチコイドは、血清カルシウム濃度を低下するために、カルシトニンのような他の抗高カルシウム血症剤と組み合わせて使用されてきた。ヒドロコルチゾン200〜300mgの静脈内投与と等価の用量が、3〜5日間、毎日投与された場合、糖質コルチコイドは、尿のカルシウム排泄の増加および腸のカルシウム吸収の減少によって高カルシウム血症に対抗する。代表的に、リンパ腫、多発性骨髄腫および肉芽性の腫瘍は、最も都合良く糖質コルチコイド処置に反応する。糖質コルチコイドに関連する可能性のある一般的な副作用としては、高血糖および低カリウム血症のような電解質障害が挙げられる。より頻度の低い効果としては、GI出血、糖尿病および精神機能の異常が挙げられる。
【0015】
硝酸ガリウムは、骨からのカルシウム再吸収を誘導するPTH−rpを阻害することによって骨吸収を防ぐ。硝酸ガリウムの推奨される用量は、5日間連続かまたは好ましいカルシウム濃度が得られるまで、毎日、100〜200mg/m2である。硝酸ガリウムは、24時間連続注入として、注入されるべきである。血清カルシウム濃度は、48時間以内に減少する。最大の効果は、初回の硝酸ガリウム投与後10日以内に達成される。腎毒性は、硝酸ガリウムを使用する患者の8%〜15%において実証されている。腎性合併症の危険を減少するために、全ての患者が、この薬剤を受容する前に十分に水分補給することが、推奨される。さらに、硝酸ガリウムは、腎不全を有する患者か、または2.5mg/dLより大きい血清クレアチニン測定値を有する患者においては、忌避されるべきである。さらに、腎毒性のある薬剤の同時使用は、この薬剤を受容する患者においては、忌避されるべきである。硝酸ガリウムに関する他の副作用としては、低リン酸血症、胃腸の不調、視覚障害および聴覚障害、ならびに頻脈が挙げられる。
【0016】
プリカマイシンは、破骨細胞におけるRNA合成を阻害することによって血清カルシウム濃度を減少する。プリカマイシンは、ボーラス注射としてか、または緩徐な注射としてのいずれかによって、静脈内に投与される。局所刺激作用の発生および他の副作用の発生は、プリカマイシンが、緩徐な注射によって投与された場合、減少され得る。推奨される用量は、4時間〜6時間の期間にわたり、25mcg/kgである。血清カルシウム濃度は、プリカマイシンの開始後12時間以内に減少する。最大の効果は、通常、96時間以内に現れる。臨床試験は、投与後48時間以内に、1.4mg/dLまでの血清カルシウム濃度の中央値としての減少を実証した。必要な場合、プリカマイシンのその後の投与は、少なくとも24時間待機した後に投与され得る。プリカマイシンの主な副作用としては、肝毒性、腎毒性、血小板減少、骨髄抑制、悪心、嘔吐、低カルシウム血症および凝固因子レベルの減少が挙げられる。
【0017】
プリカマイシンは、重篤な肝不全または重篤な腎不全にある患者、血小板減少または任意のカグロパシー(cagulopathy)の患者、骨髄毒性がある化学療法を同時に受けている患者、および脱水状態の患者においては忌避されるべきである。プリカマイシンは、通常、他の処置に対して非感受性の患者のために用意される。
【0018】
上記で議論したように、高カルシウム血症を処置する現在の方法は、多くの望ましくない副作用を生じ、その副作用は、処置を困難にし、そしてその患者にとって不快である。さらに、その方法の多くはまた、有益な効果を生じるのにかなりの時間(24〜48時間またはそれより長い時間)を必要とする。さらに、その方法は、多くの方法が他の医薬、疾患、または動物の状態と不適合であるので、選択的に選ばなければならない。従って、現在、生物系からカルシウムを除去するのに使用され得る方法に対する必要性が存在する。
【0019】
糖尿病は、より深刻な症状に(慢性高血糖に)をもたらすインスリンの絶対的欠乏または相対的欠乏によって特徴付けされる状態である。長期間にわたる糖尿病の合併症としては、神経障害、網膜症、腎症、および感染に対する感受性の上昇が挙げられる(非特許文献1)。現在、糖尿病から生じる高血糖を含む高血糖を処置するためのさらなる方法に対するが必要性が存在する。これは特に、インスリンを含むレジメンに対して反応しない高血糖についての場合のものである。
【0020】
過剰な量の金属イオンもまた、種々の疾患または、種々の状態に関係する。例えば、過剰な量のマンガン、鉄、水銀、アルミニウム、および銅は、全てパーキンソン病に関係している。パーキンソン病は、脳の中の特定の神経中枢の変質に関する。これらの過剰なミネラルは、フリーラジカルの病理を増大し、そして細胞死を加速すると考えられている。この変質は、神経シグナルの伝達に必須な2つの神経伝達物質の化学的平衡を変化させる。その最終的な結果は、身体の運動制御の調節欠如である。
【0021】
血中の金属の高いレベルに関連する別の疾患は、アルツハイマー病である。アルツハイマー病は、進行性の容態であり、脳細胞および脳の構造を破壊する。研究者らは、その疾患が、血中および/または脳内の、亜鉛、銅、アルミニウム、および/もしくは鉄の過剰に関連すると考える。アルツハイマー病を有する人々は、彼らの学習する能力、記憶する能力および動作する能力を徐々に失う。
【0022】
身体の中の過剰な金属イオンに関連する別の疾患は、ウイルソン病である。ウイルソン病は、肝臓、脳、および腎臓における過剰な銅の蓄積によって引き起こされる。その病気は、炎症、および肝硬変、および脳の損傷によって特徴付けされる。処置されない場合、ウイルソン病は、致死的である。脳における銅の蓄積はまた、クロイツフェルト−ヤコブ病(CJD)を含む伝染性海綿状脳症(TSE)の種々の形態に関係している。
【0023】
さらに、重金属への曝露は、成長の遅れ、種々の癌、腎臓の損傷に関連している。例えば、水銀、金および鉛への曝露は、自己免疫(自身の細胞を外来の侵入因子と間違えて攻撃する免疫系の状態)の発生に関連している。重金属(例えば、水銀、鉛、カドミウム、およびアルミニウムへの曝露はまた、中枢神経系に対するフリーラジカルによる損傷の増加および多発性硬化症に関連すると考えられる。
【非特許文献1】Stedman’s Medical Dictionary,26 ed.,Williamw & Wilkins,Baltimore,Md.,1995
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
現在、望ましくない実体または有害な実体を、動物系および生物学的サンプルから除去するために有用な方法に対する、必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0025】
(発明の要旨)
本発明は、動物中の1つ以上の実体の不均衡を是正し得るリポソームを提供する。従って、本発明は、実体を、動物からリポソーム中に取り込むための方法を提供し、その方法は、そのような処置を必要とする動物にその実体を取り込み得るリポソームを投与する工程を包含する。
【0026】
本発明はまた、実体を、生物学的サンプルからリポソーム中に取り込むための方法を提供し、その方法は、その生物学的サンプルと、その実体を取り込み得る1つ以上のリポソームとを接触させる工程を包含する。
【0027】
本発明はまた、動物の血清から実体を除去するための方法を提供し、その方法は、その血清と、その実体をその血清から除去し得る1つ以上のリポソームとを接触させる工程を包含する。
【0028】
本発明はまた、動物の脳脊髄液から実体を除去するための方法を提供し、その動物は、そのような処置を必要とし、その方法は、その動物にその実体を取り込み得るリポソームを(例えば、包膜間に)投与する工程を包含する。
【0029】
本発明はまた、動物においてアルツハイマー病を処置するための方法を提供し、その方法は、その動物中の、Zn、Al、FeもしくはCu、またはそれらのイオンのレベルを低下させるのに有効な量のリポソームをその動物に投与する工程を包含する。
【0030】
本発明はまた、動物においてパーキンソン病を処置するための方法を提供し、その方法は、その動物中の、Mn、Fe、Hg、Al、もしくはCu、またはそれらのイオンのレベルを低下させるのに有効な量のリポソームをその動物に投与する工程を包含する。
【0031】
本発明はまた、動物において糖尿病(例えば、高血糖)を処置するための方法を提供し、その方法は、その動物中の、グルコースのレベルを低下させるのに有効な量のリポソームをその動物に投与する工程を包含する。
【0032】
本発明はまた、動物において血清カルシウム負荷を低減するための方法を提供し、その動物は、そのような処置を必要とし、その方法は、その動物に、カルシウムを減少する有効量の1つ以上のリポソームを投与する工程を包含する。
【0033】
本発明はまた、生物系からカルシウムを除去するための方法および高カルシウムイオン濃度に関連する疾患を処置する方法を提供する。従って、本発明は、動物の血清からカルシウムを除去するための方法を提供し、その方法は、その血清と、その血清からカルシウムを除去するリポソームとを(インビトロにて、またはインビボにて)接触させる工程を包含する。
【0034】
本方法はまた、カルシウムイオンを隔離し得るリポソーム、ならびに高カルシウムイオン濃度によって引き起こされる疾患を処置する方法を提供し、その方法は、そのような処置を必要とする動物に、カルシウムイオン受容因子またはカルシウムイオン封鎖因子を含む処置的に効果的な量のリポソームを投与する工程を包含する。
【0035】
本発明はまた、医学的な処置での使用のための、本明細書中に記載されるようなリポソームを提供する。
【0036】
本発明はまた、動物においてアルツハイマー病を処置するのに有用な医薬を調製するための本明細書中に記載されるようなリポソームの使用を提供する。
【0037】
本発明はまた、動物においてパーキンソン病を処置するのに有用な医薬を調製するための本明細書中に記載されるようなリポソームの使用を提供する。
【0038】
本発明はまた、動物において糖尿病(例えば、高血糖)を処置するのに有用な医薬を調製するための本明細書中に記載されるようなリポソームの使用を提供する。
【0039】
本発明はまた、動物において血清のカルシウム負荷を低減するのに有用な医薬を調製するための本明細書中に記載されるようなリポソームの使用を提供する。
【0040】
本発明はまた、本明細書中に記載されるようなリポソーム、および薬学的に受容可能なビヒクルまたはキャリアを含む薬学的組成物を提供する。
【0041】
本発明はまた、本明細書中に記載されるような新規のリポソーム、ならびに本明細書中に記載されるような、本発明のリポソームを調製するための合成プロセスを提供する。
【0042】
(発明の詳細な説明)
(定義)
本明細書中で使用される場合、用語「動物」とは、哺乳類、鳥類、爬虫類、および魚類をいう。
【0043】
本明細書中で使用される場合、用語「生物学的サンプル」としては、組織、血清、血液、血漿、脳脊髄液、唾液、尿などの動物から採取されたサンプルが挙げられる。
【0044】
本明細書中で使用される場合、用語「カルシウム」としては、カルシウムおよびカルシウムイオンが挙げられる。
【0045】
本明細書中で使用される場合、用語「チャネル/トランスポーター(transporter)」としては、実体(例えば、カルシウム)をリポソームに入れることを可能にする(例えば、実体をリポソームの内部に、有効に輸送し得る)任意の分子または任意のセットが挙げられる。
【0046】
本明細書中で使用される場合、用語「不溶性」または用語「難溶性」とは、血清から実体(例えば、カルシウム)を効果的に除去させる範囲の溶解係数(Ksp)を有する、無機塩類(例えば、カルシウム塩)をいう。
【0047】
本明細書中で使用される場合、用語「主に結合する(primarily bind)」とは、1つの実体(例えば、カルシウム)に対して、好ましくは周辺にある1つ以上の他のイオン全体に対して、共有結合性か、またはイオン結合(ionically)のいずれかで結合する金属イオン封鎖因子をいう。
【0048】
本明細書中で使用される場合、用語「金属イオン封鎖因子」または用語「受容因子」は、実体に結合し得る、化合物、錯体、分子、または原子をいい、それによって、周辺の環境からその実体を速やかに除去する。
【0049】
(実体)
本発明は、動物からか、または生物学的サンプルから、望ましくない実体を除去するための方法を提供する。リポソームは、多種多様な実体を取り込むために処方され得る。従って、本発明の方法は概して、動物からか、または生物学的サンプルから、多種多様な物質を除去するのに有用である。例えば、本発明の方法は、金属または金属イオン(例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Fe、Os、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Cd、Hg、Sn、もしくはPb、またはそれらのイオン)を除去するために使用され得る。特に、本発明の方法は、Zn、Al、Fe、もしくはCu、またはそれらのイオンを動物から除去するのに有用である。好ましい実施形態において、その方法は、動物からカルシウムを除去するのに有用である。
【0050】
本方法はまた、動物から望ましくない分子(例えば、ペプチド、有機分子、治療剤、亜酸化窒素、またはグルコース)を除去するのに有用である。従って、本方法は、処置(すなわち、病理学的状態に関連するペプチドまたは化合物を除去すること)のために有用である。本方法はまた、治療剤に対する過剰曝露(すなわち、過量投与)、または有毒物質に対する過剰曝露(すなわち、中毒)を処置するのに有用である。本明細書中で使用される場合、用語「有機化合物」は、1つ以上の炭素原子を含有する任意の化合物を含む。代表的に、有機化合物は、約450原子質量単位(amu)未満の分子量を有する。1つの好ましい実施形態において、その有機化合物は、約300amu未満の分子量を有する。
【0051】
(リポソームとの接触)
本発明の方法は、インビトロか、またはインビボで実施され得る。例えば、本方法は代表的に、リポソームを動物に投与することによって実施され得る。いくつかの状況において、それは、動物から生物学的サンプル(例えば、血清、脳脊髄液、または組織)を除去し、そしてその動物の外部で、そのサンプルとそのリポソームとを接触させるのに、より都合が良い。望ましくない実体の除去に続いて、そのサンプルは、その動物に戻され得る。本発明の方法は、処置上の適用ならびに診断上の適用に有用である。
【0052】
(リポソーム中への取り込み)
金属または金属イオンを取り込むために使用される場合、本発明の方法において使用されるリポソームは、代表的に、イオンチャネルを含むか、またはその金属もしくはそのイオンの、そのリポソーム中への進入を容易にするためのシャトルを含む。例えば、A23187(CalBiochem(La Jolla,CA)またはFennentek Ltd(Jerusalem,Israel)から入手可能)は、Ca2+または他の2価のイオンを輸送するのに使用され得る。しかし、このようなチャネルまたはシャトルは、いつも必要とされるわけではない。例えば、両親媒性の実体は、化学的電位勾配に反応して(例えば、pH勾配に対して)ロードされ得る。さらに、疎水性の実体を取り込むために使用される場合、その疎水性の実体の進入を容易にするチャネルは、必要であっても、必要でなくてもよい。そのリポソームは、いくつかの疎水性の実体に対して浸透可能であるが、その実体は、進入後にそのリポソームの内部で、捕捉され得るか、または修飾され得、従って、それはすぐにリポソームの外へは戻ってこない。
【0053】
一旦、上記リポソーム中に取り込まれると、上記実体は、単にそのリポソーム内部の親水性環境中、疎水性の2重層中に、滞在し得るか、またはそのリポソームは、その実体に(例えば、水素結合またはイオン間相互作用によって)関連する金属イオン封鎖因子を含み得、そしてその実体のリポソームの外へ通過する能力を減少する。例えば、そのリポソームは、金属イオン封鎖因子(例えば、ポリアミン、多座のカルボン酸(例えば、EDTA)、クラウンエーテル、ラクタム、無機イオン化合物、またはその実体をリポソーム中に引き寄せる化学的勾配を生成する他の因子)を含み得る。そのリポソームはまた、その実体と反応し得る、試薬または酵素を含み得、それによって、その実体のリポソームの外へ通過する能力を減少する。例えば、グルコースは、そのリポソーム内で、ヘキソキナーゼを使用してグルコース−6−ホスフェートへの変換を受け得る。そのリポソーム中での反応が、反応が起こるためのエネルギー源(例えば、ATP)、補因子、特定のpH、または特定のイオン平衡を必要とする場合、そのリポソームは、これらの特徴を含むように調製され得る。インビトロ適用のためには、このような特徴はまた、外部の供給源からも提供される。
【0054】
(リポソーム作用の機構)
本発明の方法に従って、上記リポソームは、多くの方法で動物中の実体の有効濃度を低減し得る。例えば、1)そのリポソームは、可逆的な様式においてその実体を取り込み得、その後、その実体を長時間かけて放出し、従って、その時間にわたってその動物において時間に対して有効な、実体の最大量または最大濃度は減少するか;2)そのリポソームは、その実体を取り込み得、その後、その動物から除去され得、それによって動物の血清からその実体を排除し得るか;3)そのリポソームは、その実体を取り込み得、そしてその実体は、そのリポソーム内で捕捉され得るか、または修飾され得、従って、それはリポソームの外へ通過しないか;または4)その実体の取り込みに続いて、そのリポソームは、身体の中の他の場所に再度移行し得(例えば、マクロファージ中に負荷され得)、そこでその実体は、放出され得るか、またはその実体を含むリポソームは、その身体から排除され得る。上の1〜4の1つ以上の組み合わせもまた、起こり得る。
【0055】
(高カルシウム血症を処置する方法)
本発明は、高カルシウム血症を有する動物を処置する方法を含む。本方法は、そのような処置を必要とする動物に治療有効量の少なくとも1つのカルシウム封鎖リポソームを投与する工程を包含し、それによって、その動物内のカルシウムイオン濃度を減少する。本方法は、代表的に、カルシウムを減少する有効量のカルシウム封鎖因子を含む少なくとも1つのリポソームを、動物に投与することによって、血清カルシウム濃度を減少する。
【0056】
1つの実施形態において、本方法は、高カルシウム血症状態にある動物に、その動物において血清コレステロールレベルを下げるのに有効な量の少なくとも1つのカルシウム封鎖リポソームを投与する工程を包含する。その後、その動物のカルシウムイオン血清濃度は、数日間、約4時間〜約6時間毎にモニタリングされ得る。処置は、一旦望ましいカルシウムイオン血清濃度(すなわち、正常カルシウム血)に達すると終了する。必要に応じて、マグネシウムイオンのレベル、PTHのレベル、およびホスフェートのレベルは、カルシウムイオン濃度と一緒に、同時にかまたは連続してかのいずれかで、モニタリングされ得る。
【0057】
(組み合わせ処置)
上記リポソームの使用はまた、他の処置と組み合わせられ得、所与の状態(高血糖、アルツハイマー病、ウイルソン病、重金属中毒、または高カルシウム血症を処置する。例えば、本発明の方法が、高カルシウム血症を処置するために使用される場合、リポソームの投与は、動物中のカルシウム負荷を低減するのに有用な1つ以上の治療剤の投与と組み合わせられ得る。さらなる治療剤は、本発明のリポソームの投与前、投与中、投与後のいずれかに投与され得る。
【0058】
本発明の1つの実施形態において、そのリポソームは、そのリポソーム内に、所定の状態(例えば、高血糖、アルツハイマー病、ウイルソン病、重金属中毒、または高カルシウム血症)を処置する1つ以上のさらなる治療剤を含み得る。高カルシウム血症の処置における使用が検討される治療剤としては、フロセミド、カルシトニン、ビスホスホネート、エチドロン酸、パミドロン酸、ゾレンドラネート、糖質コルチコイド、硝酸ガリウム、プリカマイシン、ミスロマイシン(mithromycin)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
(リポソーム形成脂質)
上記リポソームは、いくつかのリポソーム形成脂質(例えば、ホスファチジルコリンまたはスフィンゴミエリン)を含む。代表的に、その脂質は、少なくとも1つのホスファチジルコリンを含み、このホスファチジルコリンは、リポソームの主要な、充填/捕捉/構造要素を提供する。代表的に、そのホスファチジルコリンは、主にC16または、より長い脂肪酸鎖を含む。鎖の長さは、リポソームの構造、完全性、および安定性の両方を提供する。必要に応じて、1つの脂肪酸鎖は、少なくとも1つの2重結合を有する。
【0060】
本明細書中で使用される場合、用語「ホスファチジルコリン」は、Soy−PC、Egg−PC、ジエライドイル(dielaidoyl)ホスファチジルコリン(DEPC)、ジオレオイル(dioleoyl)ホスファチジルコリン(DOPC)、ジステアロイル(distearoyl)ホスファチジルコリン(DSPC)、水素化されたダイズホスファチジルコリン(HSPC)、ジパルミトイル(dipalmitoyl)ホスファチジルコリン(DPPC)、1−パルミトイル−2−オレオホスファチジルコリン(POPC)、ジベへノイル(dibehenoyl)ホスファチジルコリン(DBPC)、およびジミリストイル(dimyristoyl)ホスファチジルコリン(DMPC)を含む。
【0061】
本明細書中で使用される場合、用語「Soy−PC」とは、種々の、モノ−不飽和脂肪酸、ジ−不飽和脂肪酸、トリ−不飽和脂肪酸、およびモノ−飽和脂肪酸、ジ−飽和脂肪酸、トリ−飽和脂肪酸を含むホスファチジルコリン組成物をいう。代表的に、Soy−PCは、約12重量%〜約33重量%の量で存在するパルミチン酸、約3重量%〜約8重量%の量で存在するステアリン酸、約4重量%〜約22重量%の量で存在するオレイン酸、約60重量%〜約66重量%の量で存在するリノール酸、および約5重量%〜約8重量%の量で存在するリノレン酸を含む。
【0062】
本明細書中で使用される場合、用語「Egg−PC」は、種々の飽和脂肪酸および種々の不飽和脂肪酸(これらに限定されない)を含むホスファチジルコリン組成物をいう。代表的に、Egg−PCは、約34重量%の量で存在するパルミチン酸、約10重量%の量で存在するステアリン酸、約31重量%の量で存在するオレイン酸、および約18重量%の量で存在するリノール酸を含有する。
【0063】
(コレステロール)
コレステロールは、代表的に、上記リポソームに安定性を与える。コレステロールに対するホスファチジルコリンの比は、代表的に、モル比で約0.5:1〜約4:1である。好ましくは、コレステロールに対するホスファチジルコリンの比は、モル比で約1:1〜約2:1である。さらに好ましくは、コレステロールに対するホスファチジルコリンの比は、モル比で約2:1である。
【0064】
(カルシウム封鎖因子)
本発明のリポソームに伴う使用に適したカルシウム封鎖因子としては、周辺の環境からカルシウムイオンを除去するのに十分にカルシウムイオンに結合し得る、化合物、錯体、イオン、分子、試薬、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。カルシウム除去としては、そのリポソーム内でのカルシウム錯体、または不溶性無機化合物もしくは難溶性無機化合物を形成する工程、およびその後、血清からリポソームを除去する工程が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の1つの実施形態において、そのカルシウム封鎖因子は、カルシウムイオンに優先的に結合するが、そのカルシウム封鎖因子は、他のイオンに結合し得る。例えば、そのカルシウム封鎖因子は、カルシウムイオンに主に結合し得、および/または他のイオン(例えば、特にマグネシウムイオン)を除去する。
【0065】
代表的に、カルシウム封鎖因子としては、ポリアミン、ポリカーボネート、多座のカルボン酸、クラウンエーテル、ラクタム、無機化合物、ポリアニオン、タンパク質フラグメントおよびペプチドが挙げられる。特に、カルシウム封鎖因子としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)−四酢酸(EGTA)、およびカルシトニンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
リポソーム中のカルシウム封鎖因子の量は、望ましいカルシウム封鎖因子の型、高カルシウム血症の低減についての望ましい時間、およびその動物の状態によって変化し得る。代表的に、カルシウム封鎖因子の量は、リポソームの投与から数分間以内または数時間以内にカルシウムイオン濃度の減少を生じるのに十分な量であるべきである。あるいは、高カルシウム血の急速な低減が、望ましくない場合、そのカルシウム封鎖因子は、長期間(例えば、1日または数日)、安定かつ延長されたカルシウムイオンの減少を提供するために選択され得る。代表的に、そのカルシウム封鎖因子は、その動物血清との接触前に、少なくとも約50mMの濃度で存在する。好ましくは、そのカルシウム封鎖因子は、その動物血清との接触前に、少なくとも約100mMの濃度で、そしてより好ましくは、少なくとも約200mMの濃度で存在する。1つの実施形態において、そのカルシウム封鎖因子は、動物の血清内において、約10%〜約30%のカルシウムイオン濃度を除去し得、それはまた、その動物のEKGの正常化を生じ得る。
【0067】
(リポソームの調製)
上記リポソームは、代表的に、リン脂質およびコレステロールの脂質層を含む。代表的に、コレステロールに対するリン脂質の比は、一旦動物に投与されると、溶解も崩壊もしないリポソームを形成するのに十分である。その脂質およびコレステロールは、適切な溶媒中または適切な溶媒混合物に、適切な量のイオノフォアと一緒に溶解される。適当な時間の後、その溶媒は、真空乾燥または噴霧乾燥によって除去される。生じる固体物質は、保存され得るか、またはすぐに使用され得る。
【0068】
その後、生じる固体物質は、適切な温度において、必要に応じて金属イオン封鎖因子(例えば、EDTAのようなカルシウム封鎖因子)を含むか、または必要に応じて、適切な温度において別の治療剤を含む水溶液中で水和され、多層状小胞(MLV)を生じる。MLVを含む溶液は、均一化によって大きさを減じ、小さな1枚膜小胞(Small Unilameller Vesicle)(SUV)を形成する。カルシウム封鎖因子の一部は、そのプロセスの間に、SUVの水性区画中に封入される。封入されなかった金属イオン封鎖因子は、適切な方法(例えば、透析、脱塩カラム、またはクロス式濾過)によって除去される。生じるリポソーム溶液は、濾過され、そして使用できる状態である。
【0069】
緩衝液中のカルシウム封鎖因子の負荷は、処方に依存する。とりわけ関連する要因は、脂質成分の効果的な相転移温度(Tm)である。図1は、種々の調製物における、カルシウム負荷の脂質転移温度依存性を示す。緩衝液中の負荷は、インビトロ(血清、血漿もしくは血液)での負荷であるか、またはインビボでの負荷であるかには、直接関係しても関係しなくてもよい。血清タンパク質または他の要素は、トランスポーターチャネルの機能に(積極的または消極的に)影響し得る。全体的なリポソームの性能は、部分的に、インビボにおける負荷および生体内分布と離れて、薬物動態、ならびに/またはリポソームの薬動力学から生じる。
【0070】
(処方物)
本発明の脂質ベースの分散剤はまた、非経口的に投与されるべく処方され得る。さらに脂質ベースの分散は、注入または注射による、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、または腹腔内投与のために処方され得る。これらの調製物はまた、微生物の増殖を防ぐ防腐剤、緩衝液、抗酸化剤を適当な量で含む。
【0071】
組成物および調製物は、代表的に、少なくとも0.1%の金属イオン封鎖因子を含む。その組成物および調製物の割合は、当然、変化され得、そして都合の良いことには、所与の単位投薬形態の約2重量%〜約60重量%の間である。このような治療的に有用な組成物において活性な金属イオン封鎖因子の量によって、効果的な投薬レベルが得られる。
【0072】
上記リポソームはまた、動物血清の等張性を維持する生理学的に受容可能な塩を含む。動物血清の等張性を達成する任意の薬学的に受容可能な塩が、受容可能である(例えば、NaCl)。
【0073】
処置における使用に必要とされる処方物の量は、特定の薬剤によってのみではなく、投与の経路、処置される状態の性質、ならびにその動物の年齢および状態によっても変化し、必要とされる量は、究極的には、担当の医師または臨床家の裁量による量である。
【0074】
処方物の好ましい量は、都合の良いことに、1回の用量、または適当な間隔において投与される分割された用量(例えば、1日あたり、2回、3回、4回またはそれ以上の準用量(sub−dose))であり得る。その準用量自体は、さらに(例えば、大まかに間隔を空けた個別の投与回数に)分割され得る。必要に応じて、そのリポソームおよび/またはその処方物は、少なくとも1つの、抗酸化剤、緩衝液、安定化剤、または薬学的に受容可能な賦形剤を含み得る。
【0075】
(特異的かつ好ましい実施形態)
特定かつ好ましい値は、以下に網羅され、それらは、他に定義された値または定義された範囲内の他の値を排除しない。
【0076】
本発明の特定の実施形態において、上記接触させる工程は、インビボで起こる。
【0077】
本発明の別の特定の実施形態において、上記接触させる工程は、インビトロで起こる。
【0078】
本発明の別の特定の実施形態において、上記実体は、金属または金属イオンである。
【0079】
本発明の別の特定の実施形態において、上記実体は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Fe、Os、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Cd、Hg、Sn、もしくはPb、またはそれらのイオンである。
【0080】
本発明の別の特定の実施形態において、上記実体は、Zn、Al、Fe、もしくはCu、またはそれらのイオンである。
【0081】
本発明の別の特定の実施形態において、上記実体は、カルシウムまたはそのイオンである。
【0082】
本発明の別の特定の実施形態において、上記実体は、ペプチドである。
【0083】
本発明の別の特定の実施形態において、上記実体は、有機分子である。
【0084】
本発明の別の特定の実施形態において、上記実体は、治療剤である。
【0085】
本発明の別の特定の実施形態において、上記実体は、グルコースである。
【0086】
本発明の別の特定の実施形態において、上記動物は、哺乳動物である。
【0087】
本発明の別の特定の実施形態において、上記動物は、ヒトである。
【0088】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームは、1つ以上の、リポソームを形成する脂質およびコレステロールを含み、コレステロールに対するその脂質のモル比は、約0.5:1〜約4:1である。
【0089】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームは、ホスファチジルコリンおよびコレステロールを含む。
【0090】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームにおけるコレステロールに対するホスファチジルコリンのモル比は、約0.5:1〜約4:1である。
【0091】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームにおけるコレステロールに対するホスファチジルコリンのモル比は、約1:1〜約2:1である。
【0092】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームにおけるコレステロールに対するホスファチジルコリンのモル比は、約2:1である。
【0093】
本発明の別の特定の実施形態において、上記ホスファチジルコリンは、Soy−PC、Egg−PC、DEPC、DOPC、DSPC、HSPC、DMPC、およびDPPC、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0094】
本発明の別の特定の実施形態において、上記ホスファチジルコリンは、DEPC、DOPC、DSPC、HSPC、DMPC、POPC、DBPC、およびDPPC、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0095】
本発明の別の特定の実施形態において、上記ホスファチジルコリンは、DEPC、DOPC、DSPC、HSPC、DMPC、およびDPPC、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0096】
本発明の別の特定の実施形態において、上記ホスファチジルコリンは、DOPC、DSPC、HSPC、DMPC、およびDPPC、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0097】
本発明の別の特定の実施形態において、上記ホスファチジルコリンは、DOPC、DSPC、HSPC、およびDPPC、ならびにそれらの混合物から選択される。
【0098】
本発明の別の特定の実施形態において、上記ホスファチジルコリンは、DPPCである。
【0099】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームは、上記実体のリポソーム中への取り込みを容易にする、チャネルまたはシャトルを含む。
【0100】
本発明の別の特定の実施形態において、上記チャネルは、イオンチャネルである。
【0101】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームの内部のpHが、投与前、または上記生物学的サンプルもしくは上記血清との接触前に、約8未満である。
【0102】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームは、SUVまたはMLVである。
【0103】
本発明の別の特定の実施形態において、上記実体は、上記リポソームの内部で金属イオン封鎖因子と結合して、そのリポソームの外へ通過できない錯体を形成する。
【0104】
本発明の別の特定の実施形態において、カルシウムは、上記リポソームの内部で金属イオン封鎖因子と結合して、そのリポソームの外へ通過できないカルシウム錯体を形成する。
【0105】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームは、1つ以上のカルシウムイオン封鎖因子を含有する。
【0106】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームは、リポソームを形成する脂質およびそのリポソーム中へのカルシウムの通過を可能にするトランスポーター/チャネルを含有する。
【0107】
本発明の別の特定の実施形態において、上記金属イオン封鎖因子は、ポリアミン、多座のカルボン酸、クラウンエーテル、ラクタム、または無機化合物である。
【0108】
本発明の別の特定の実施形態において、上記金属イオン封鎖因子は、EDTAである。
【0109】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソーム中の上記EDTAの濃度は、投与前または接触前に少なくとも約10mMである。
【0110】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソーム中の上記EDTAの濃度は、投与前または接触前に少なくとも約20mMである。
【0111】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソーム中の上記EDTAの濃度は、投与前または接触前に少なくとも約25mMである。
【0112】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソーム中の上記EDTAの濃度は、投与前または接触前に少なくとも約50mMである。
【0113】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソーム中の上記EDTAの濃度が、投与前または接触前に少なくとも約80mMである。
【0114】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソーム中の上記EDTAの濃度が、投与前または接触前に少なくとも約100mMである。
【0115】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソーム中の上記EDTAの濃度が、投与前または接触前に少なくとも約200mMである。
【0116】
本発明の別の特定の実施形態において、上記金属イオン封鎖因子は、亜鉛、セレン、または銅に比べて、カルシウム結合に対して、少なくとも2倍選択的である。
【0117】
本発明の別の特定の実施形態において、上記実体は、前記リポソームの内部で酵素と反応する。本発明の別の特定の実施形態において、上記反応した実体は、リポソームの外に通過できない。
【0118】
本発明の別の特定の実施形態において、上記実体は、上記リポソームの内部で酵素と反応する。本発明の別の特定の実施形態において、前記実体と前記酵素との間の反応は、ATPを必要とする。
【0119】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームは、イオンチャネルA23187を含む。
【0120】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームは、イオンチャネルを含み、そのイオンチャネルは、そのリポソーム中へのカルシウムの流入に関して、亜鉛、セレン、または銅に比べて少なくとも2倍選択的である。
【0121】
別の特定の実施形態において、本発明の方法は、動物の血液循環からカルシウムを除去し得るリポソームを利用する。
【0122】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームは、カルシウムイオンと関係し得る、カルシウム封鎖因子またはカルシウム受容因子を含む。
【0123】
本発明の別の特定の実施形態において、上記リポソームは、リポソームを形成する、脂質、コレステロール、およびチャネル/トランスポーターを含む脂質層、ならびに1つ以上のカルシウムイオンと結合可能な、カルシウム封鎖因子またはカルシウム受容因子を含有する。
【0124】
(図面)
図1は、種々のリポソーム調製物についての緩衝溶液中のカルシウム負荷の脂質転移温度依存性を示す。2:1のリン脂質−コレステロール調製物の5つの異なる処方物が、示される。5つのリン脂質は、HSPC(55℃)、DPPC(41℃)、DMPC(23℃)、DEPC(12℃)およびDOPC(−20℃)である。全てのサンプルは、200mM EDTAを用いてpH4.5で調製された。DSPC−コレステロール処方物において、2つのさらなる調製物は、取り込まれるか、または包括されかつ緩衝液の外側において取り込まれるかのいずれかで、硫酸アンモニウムを使用して作製された。
【0125】
図2は、4つの異なる様式で調製された3つの処方物におけるカルシウム負荷を示す。その処方物は、2:1のHSPC:コレステロール(処方物2A)、1:1.25:1.5のHSPC:コレステロール:DOPC(処方物2B)、および2:1のDPPC:コレステロール(処方物2C)を使用して140mM NaClを用いてpH4.5で、そして140mM NaClを用いずにpH4.5で、または140mM NaClを用いてpH7.5で、そして140mM NaClを用いずにpH7.5で調製された。4つの異なる調製物における各リン脂質:コレステロール調製物は、平均化されて、示された負荷曲線を得るために平均化された。
【0126】
図3は、カルシウム負荷の効力のインビトロpHおよびNaCl依存性を示す。4つの異なる処方物が、調製された。2:1のDPPC:コレステロール処方物は、4.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して調製され(処方物3A)、そして第2に7.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して調製された(処方物3D)。その後、2:1のDPPC:コレステロール処方物は、4.5のpHにて200mMのEDTAを使用して(処方物3C)、そして第2に7.5のpHにて200mMのEDTAを使用して調製された(処方物3D)。測定は、0分、30分、60分、120分、および240分において行われた。グラフは、4.5のpHにおいて調製された処方物が、最も高いEDTA%飽和度を有したことを示す。
【0127】
図4は、4つのHSPC:コレステロール処方物におけるカルシウム負荷を示す。特に、2:1のHSPC:コレステロール処方物は、4.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して(処方物4A)、そして第2に7.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して調製された(処方物4B)。その後、2:1のHSPC:コレステロール処方物は、4.5のpHにて200mMのEDTAを使用して(処方物4D)、そして第2に7.5のpHにて200mMのEDTAを使用して調製された(処方物4D)。測定は、0分、30分、60分、120分、および240分において行われた。グラフは、4.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを用いて調製された処方物が、最も高い血清飽和度を有したことを示した。
【0128】
図5は、4つのHSPC:コレステロール処方物における負荷の効力を示す。2:1のHSPC:コレステロール処方物は、4.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して(処方物5A)、そして第2に7.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して調製された(処方物5B)。その後、2:1のHSPC:コレステロール処方物は、4.5のpHにて200mMのEDTAを使用して(処方物5D)、そして第2に7.5のpHにて200mMのEDTAを使用して調製された(処方物5C)。測定は、0分、30分、60分、120分、および240分において行われた。グラフは、NaClを用いずに、そして200mMのEDTAを用いて、4.5のpHにて調製された処方物が、最も高いカルシウムイオン濃度を有したことを示した。
【0129】
図6は、7つのHSPC:コレステロール:DOPC処方物におけるカルシウム負荷を示す。4つの、1:1.25:1.5のHSPC:コレステロール:DOPC処方物が、調製された。1つは、4.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して(処方物6B)、第2に7.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して(処方物6C)、第3に7.5のpHにてNaClを用いずに(処方物6A)、そして第4に4.5のpHにてNaClを用いずに(処方物6D)調製された。3つのHSPC:コレステロール:DOPC処方物が、調製された。1つは、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.14:0.25のHSPC:コレステロール:DOPC(処方物6E)であり、第2は、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.12:0.05のHSPC:コレステロール:DOPC(処方物6F)であり、第3は、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.17:0.5のHSPC:コレステロール:DOPC(処方物6G)である。測定は、0分、30分、60分、120分、および240分において行われた。
【0130】
図7は、7つのHSPC:コレステロール:DOPC処方物におけるカルシウム負荷効力を示す。4つの、1:1.25:1.5のHSPC:コレステロール:DOPC処方物が調製された。1つは、4.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して(処方物7B)、第2に7.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して(処方物7C)、第3に7.5のpHにてNaClを用いずに(処方物7A)、そして第4に4.5のpHにてNaClを用いずに(処方物7D)調製された。3つのHSPC:コレステロール:DOPC処方物が、調製された。1つは、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.17:0.5のHSPC:コレステロール:DOPC(処方物7E)であり、第2は、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.14:0.25のHSPC:コレステロール:DOPC(処方物7F)であり、第3は、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.12:0.05のHSPC:コレステロール:DOPC(処方物7G)である。測定は、0分、30分、60分、120分、および240分において行われた。
【0131】
図8は、3つのHSPC:コレステロール:DEPC処方物におけるカルシウム負荷を示す。3つのHSPC:コレステロール:DEPC処方物が、調製された。1つは、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.14:0.25のHSPC:コレステロール:DEPC(処方物8A)であり、第2は、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.12:0.05のHSPC:コレステロール:DEPC(処方物8B)であり、第3は、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.17:0.5のHSPC:コレステロール:DEPC(処方物8C)である。測定は、0分、30分、60分、120分、および240分において行われた。
【0132】
図9は、3つのHSPC:コレステロール:DEPC処方物における負荷の効力を示す。3つのHSPC:コレステロール:DEPC処方物が、調製された。1つは、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.17:0.5のHSPC:コレステロール:DEPC(処方物9A)であり、第2は、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.14:0.25のHSPC:コレステロール:DEPC(処方物9B)であり、第3は、7.5のpHにて200mMのEDTAを使用する1:0.12:0.05のHSPC:コレステロール:DEPC(処方物9C)である。測定は、0分、30分、60分、120分、および240分において行われた。
【0133】
図10は、4つのDPPC:コレステロール処方物におけるカルシウム負荷を示す。特に、2:1のDPPC:コレステロール処方物は、4.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して調製され(処方物10D)、そして第2に7.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して調製された(処方物10C)。その後、2:1のDPPC:コレステロール処方物は、4.5のpHにて200mMのEDTAを使用し(処方物10B)、そして第2に7.5のpHにて200mMのEDTAを使用して調製された(処方物10A)。測定は、0分、30分、60分、120分、および240分において行われた。グラフは、7.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを用いて調製された処方物が、最も高いカルシウムイオン濃度を有したことを示した。
【0134】
図11は、4つのDPPC:コレステロール処方物における負荷の効力を示す。2:1のDPPC:コレステロール処方物は、4.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用し(処方物11D)、そして第2に7.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを使用して調製された(処方物11C)。その後、2:1のDPPC:コレステロール処方物は、4.5のpHにて200mMのEDTAを使用し(処方物11B)、そして第2に7.5のpHにて200mMのEDTAを使用して調製された(処方物11A)。測定は、0分、30分、60分、120分、および240分において行われた。グラフは、4.5のpHにて140mMのNaClおよび200mMのEDTAを用いて調製された処方物が、最も高いカルシウムイオン濃度を有したことを示した。
【0135】
本発明はさらに、上記リポソームの調製および上記リポソームを使用して高カルシウム血症を処置する方法を記載する以下の実施例に対する参照によって定義される。材料および方法の両方に対する多くの改変が、この発明の目的および関心から逸脱することなく実施される得ることは、当業者にとって明らかである。
【0136】
カルシウム負荷は、緩衝液、または生物学的媒体(例えば、血清)においてリポソームを希釈する工程、およびインキュベートする工程(例えば、37℃で)によって、インビトロにて研究された。インキュベーションの過程にわたって、サンプルは、小さい直径カットオフ(100kDa)のマイクロフィルター濾過デバイスによって精密フィルター濾過される。濾過産物は、全カルシウム濃度について、高性能液体クロマトグラフィーによってアッセイされる。これらの濾過濃度は、その媒体において見出される遊離型カルシウムの量を示す。従って、カルシウムの減少は、その媒体に由来する、カルシウムのリポソーム取り込みに起因し得る。
【実施例】
【0137】
(実施例1:一般的なリポソームの調製)
約2:1の比のリン脂質およびコレステロールを、それぞれ、適切な量のイオノフォアを有する適切な溶媒、または溶媒混合物に溶解する。その後、その溶媒を真空乾燥または噴霧乾燥を通じて除去する。生じる固体物質は保存することもでき、すぐに使用することもできる。
【0138】
その後、生じる固体物質を、適切な温度にてEDTAを含む水溶液中で水和し、多層状小胞(MLV)を生じる。MLVを含む溶液を、均一化によって大きさを減じ、小さな1枚膜小胞(SUV)を形成する。EDTAの一部を、そのプロセスの間に、SUVの水性区画中に封入する。封入されなかったEDTAを、適切な方法(例えば、透析、脱塩カラム、またはクロス式濾過)によって除去する。生じるリポソーム溶液を、濾過し、そして使用できる状態にする。
【0139】
全ての刊行物、特許、および特許文献は、あたかも個別に参考として援用されるかのように、本明細書中に参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】図1は、種々の調製物におけるカルシウム負荷の脂質転移温度依存性を示す。
【図2】図2は、異なる方法を使用して調製された3つの処方物についてのカルシウム負荷を示す。
【図3】図3は、カルシウム負荷の効力における、pHおよびNaClの影響を示す。
【図4】図4は、HSPC:コレステロール処方物におけるカルシウム負荷を示す。
【図5】図5は、HSPC:コレステロール処方物における負荷の効力を示す。
【図6】図6は、DOPC:コレステロール処方物におけるカルシウム負荷を示す。
【図7】図7は、DOPC:コレステロール処方物における負荷の効力を示す。
【図8】図8は、DEPC:コレステロール処方物におけるカルシウム負荷を示す。
【図9】図9は、DEPC:コレステロール処方物における負荷の効力を示す。
【図10】図10は、DPPD:コレステロール処方物におけるカルシウム負荷を示す。
【図11】図11は、DPPD:コレステロール処方物における負荷の効力を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実体を、動物からリポソーム中に取り込むための方法であって、そのような処置を必要とする動物に該実体を取り込み得るリポソームを投与する工程を包含する、方法。
【請求項2】
実体を、生物学的サンプルからリポソーム中に取り込むための方法であって、該生物学的サンプルと該実体を取り込み得る1つ以上のリポソームとを接触させる工程を包含する、方法。
【請求項3】
動物の血清から実体を除去するための方法であって、該血清と実体を除去し得る1つ以上のリポソームとを接触させる工程を包含する、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記リポソームを前記血清から分離する工程をさらに包含する、方法。
【請求項5】
前記接触させる工程が、インビボで起こる、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記接触させる工程が、インビトロで起こる、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記実体が、金属または金属イオンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記実体が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Fe、Os、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Cd、Hg、Sn、もしくはPb、またはそれらのイオンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記実体が、Zn、Al、FeもしくはCu、またはそれらのイオンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記実体が、カルシウムまたはそのイオンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記実体が、ペプチドである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記実体が、有機分子である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記実体が、治療剤である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記実体が、グルコースである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
動物においてパーキンソン病を処置するための方法であって、該動物の脳内の、Mn、Fe、Hg、Al、もしくはCu、またはそれらのイオンのレベルを低下させるのに有効な量のリポソームを該動物に投与する工程を包含する、方法。
【請求項16】
動物においてアルツハイマー病を処置するための方法であって、該動物の脳内の、Zn、Al、FeもしくはCu、またはそれらのイオンのレベルを低下させるのに有効な量のリポソームを該動物に投与する工程を包含する、方法。
【請求項17】
動物において糖尿病を処置するための方法であって、動物の血清中の、グルコースのレベルを低下させるのに有効な量のリポソームを該動物に投与する工程を包含する、方法。
【請求項18】
動物の脳脊髄液から実体を除去するための方法であって、該動物は、そのような処置を必要とし、該動物に該実体を取り込み得るリポソームを、包膜間に投与する工程を包含する、方法。
【請求項19】
前記実体が、金属または金属イオンである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
動物において血清カルシウム負荷を低減するための方法であって、該動物は、そのような処置を必要とし、該動物に効果的にカルシウムを減少する量の1つ以上のリポソームを投与する工程を包含する、方法。
【請求項21】
前記動物が、哺乳動物である、請求項1および請求項3〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記動物が、ヒトである、請求項1および請求項3〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記リポソームが、1つ以上の、リポソームを形成する脂質およびコレステロールを含み、該脂質のコレステロールに対するモル比が、約0.5:1〜約4:1である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記リポソームが、ホスファチジルコリンおよびコレステロールを含有する、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記ホスファチジルコリンのコレステロールに対するモル比が、約0.5:1〜約4:1である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ホスファチジルコリンのコレステロールに対するモル比が、約1:1〜約2:1である請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記ホスファチジルコリンのコレステロールに対するモル比が、約2:1である請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記ホスファチジルコリンが、Soy−PC、Egg−PC、DEPC、DOPC、DSPC、HSPC、DMPC、およびDPPC、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記ホスファチジルコリンが、DEPC、DOPC、DSPC、HSPC、DMPC、POPC、DBPC、およびDPPC、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記ホスファチジルコリンが、DEPC、DOPC、DSPC、HSPC、DMPC、およびDPPC、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記ホスファチジルコリンが、DOPC、DSPC、HSPC、DMPC、およびDPPC、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記ホスファチジルコリンが、DOPC、DSPC、HSPC、およびDPPC、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記ホスファチジルコリンが、DPPCである、請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記リポソームが、前記実体の該リポソーム中への取り込みを容易にする、チャネルまたはシャトルを含む、請求項1〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記チャネルが、イオンチャネルである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記リポソームの内部のpHが、投与前または前記生物学的サンプルとの接触前に約8未満である、請求項1〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記リポソームが、SUVまたはMLVである、請求項1〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記実体が、前記リポソームの内部で金属イオン封鎖因子と結合して、該リポソームの外へ通過できない錯体を形成する、請求項1〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記カルシウムが、前記リポソームの内部で金属イオン封鎖因子と結合して、該リポソームの外へ通過できないカルシウム錯体を形成する、請求項10または請求項20に記載の方法。
【請求項40】
前記リポソームが、1つ以上のカルシウムイオン封鎖因子を含有する、請求項10または請求項20に記載の方法。
【請求項41】
前記リポソームが、脂質および該リポソーム中へのカルシウムの通過を可能にするトランスポーター/チャネルを形成するリポソームを含有する、請求項10または請求項20に記載の方法。
【請求項42】
前記金属イオン封鎖因子が、ポリアミン、多座のカルボン酸、クラウンエーテル、ラクタム、または無機化合物である、請求項38〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記金属イオン封鎖因子が、EDTAである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記リポソーム中の前記EDTAの濃度が、投与前または接触前に少なくとも約10mMである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記リポソーム中の前記EDTAの濃度が、投与前または接触前に少なくとも約20mMである、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記リポソーム中の前記EDTAの濃度が、投与前または接触前に少なくとも約50mMである、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記リポソーム中の前記EDTAの濃度が、投与前または接触前に少なくとも約100mMである、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記金属イオン封鎖因子が、亜鉛、セレン、または銅に比べて、カルシウム結合に対して、少なくとも2倍選択的である、請求項40に記載の方法。
【請求項49】
前記実体が、前記リポソームの内部で試薬と反応して反応物を形成する、請求項1〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記反応物が、前記リポソームの外へ通過できない、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記実体が、前記リポソームの内部で酵素と反応する、請求項1〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記実体と前記酵素との間の反応が、ATPを必要とする、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記リポソームが、イオンチャネルA23187を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項54】
前記リポソームが、イオンチャネルを含み、該イオンチャネルが、該リポソーム中へのカルシウムの流入に関して、亜鉛、セレン、または銅に比べて少なくとも2倍選択的である、請求項40または請求項48に記載の方法。
【請求項55】
請求項1および請求項15〜20のいずれか1項に記載の方法であって、別の治療剤を前記動物に投与する工程をさらに包含する、方法。
【請求項56】
請求項10または請求項20に記載の方法であって、カルシウム負荷を低減するのに有用な治療剤を前記動物に投与する工程をさらに包含する、方法。
【請求項57】
前記治療剤が、パミドロン酸、フロセミド、ジホホネート、硝酸ガリウム、糖質コルチコイド、ゾレンドラネート、エチドロン酸、またはカルシトニンである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記リポソームが、前記治療剤を含有する、請求項56または請求項57に記載の方法。
【請求項59】
医学的処置に使用するための実体を取り込み得るリポソーム。
【請求項60】
カルシウムまたはそれらのイオンを取り込み得るリポソームの使用であって、動物において血清のカルシウム負荷を低減するのに有用な医薬を調製するための、使用。
【請求項61】
Zn、Al、Fe、もしくはCu、またはそれらのイオンを取り込み得るリポソームの使用であって、動物においてアルツハイマー病を処置するのに有用な医薬を調製するための、使用。
【請求項62】
グルコースを取り込み得るリポソームの使用であって、動物において糖尿病を処置するのに有用な医薬を調製するための、使用。
【請求項63】
Mn、Fe、Hg、Al、もしくはCu、またはそれらのイオンを取り込み得るリポソームの使用であって、動物においてパーキンソン病を処置するのに有用な医薬を調製するための、使用。
【請求項64】
実体を取り込み得るリポソームの使用であって、動物の脳脊髄液から前記実体を除去するのに有用な医薬を調製するための、使用。
【請求項65】
前記実体が、金属または金属イオンである、請求項64に記載の使用。
【請求項66】
本明細書中に記載されるようなリポソーム。
【請求項67】
薬学的に受容可能なビヒクルまたはキャリア、および明細書中に記載されるような実体を取り込み得るリポソームを含む、薬学的組成物。
【請求項68】
前記実体が、金属、金属イオン、ペプチド、有機分子、有毒物質、亜酸化窒素、またはグルコースである、請求項59に記載のリポソーム。
【請求項69】
前記実体が、Ca、Fe、Os、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Cd、Hg、Sn、またはPb、もしくはそれらのイオンである、請求項59に記載のリポソーム。
【請求項70】
前記実体が、金属、金属イオン、ペプチド、有機分子、有毒物質、亜酸化窒素、またはグルコースである、請求項67に記載の組成物。
【請求項71】
前記実体が、Ca、Fe、Os、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Cd、Hg、Sn、もしくはPb、またはそれらのイオンである、請求項67に記載の組成物。
【請求項1】
実体を、動物からリポソーム中に取り込むための方法であって、そのような処置を必要とする動物に該実体を取り込み得るリポソームを投与する工程を包含する、方法。
【請求項2】
実体を、生物学的サンプルからリポソーム中に取り込むための方法であって、該生物学的サンプルと該実体を取り込み得る1つ以上のリポソームとを接触させる工程を包含する、方法。
【請求項3】
動物の血清から実体を除去するための方法であって、該血清と実体を除去し得る1つ以上のリポソームとを接触させる工程を包含する、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記リポソームを前記血清から分離する工程をさらに包含する、方法。
【請求項5】
前記接触させる工程が、インビボで起こる、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記接触させる工程が、インビトロで起こる、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記実体が、金属または金属イオンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記実体が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Fe、Os、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Cd、Hg、Sn、もしくはPb、またはそれらのイオンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記実体が、Zn、Al、FeもしくはCu、またはそれらのイオンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記実体が、カルシウムまたはそのイオンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記実体が、ペプチドである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記実体が、有機分子である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記実体が、治療剤である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記実体が、グルコースである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
動物においてパーキンソン病を処置するための方法であって、該動物の脳内の、Mn、Fe、Hg、Al、もしくはCu、またはそれらのイオンのレベルを低下させるのに有効な量のリポソームを該動物に投与する工程を包含する、方法。
【請求項16】
動物においてアルツハイマー病を処置するための方法であって、該動物の脳内の、Zn、Al、FeもしくはCu、またはそれらのイオンのレベルを低下させるのに有効な量のリポソームを該動物に投与する工程を包含する、方法。
【請求項17】
動物において糖尿病を処置するための方法であって、動物の血清中の、グルコースのレベルを低下させるのに有効な量のリポソームを該動物に投与する工程を包含する、方法。
【請求項18】
動物の脳脊髄液から実体を除去するための方法であって、該動物は、そのような処置を必要とし、該動物に該実体を取り込み得るリポソームを、包膜間に投与する工程を包含する、方法。
【請求項19】
前記実体が、金属または金属イオンである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
動物において血清カルシウム負荷を低減するための方法であって、該動物は、そのような処置を必要とし、該動物に効果的にカルシウムを減少する量の1つ以上のリポソームを投与する工程を包含する、方法。
【請求項21】
前記動物が、哺乳動物である、請求項1および請求項3〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記動物が、ヒトである、請求項1および請求項3〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記リポソームが、1つ以上の、リポソームを形成する脂質およびコレステロールを含み、該脂質のコレステロールに対するモル比が、約0.5:1〜約4:1である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記リポソームが、ホスファチジルコリンおよびコレステロールを含有する、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記ホスファチジルコリンのコレステロールに対するモル比が、約0.5:1〜約4:1である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ホスファチジルコリンのコレステロールに対するモル比が、約1:1〜約2:1である請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記ホスファチジルコリンのコレステロールに対するモル比が、約2:1である請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記ホスファチジルコリンが、Soy−PC、Egg−PC、DEPC、DOPC、DSPC、HSPC、DMPC、およびDPPC、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記ホスファチジルコリンが、DEPC、DOPC、DSPC、HSPC、DMPC、POPC、DBPC、およびDPPC、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記ホスファチジルコリンが、DEPC、DOPC、DSPC、HSPC、DMPC、およびDPPC、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記ホスファチジルコリンが、DOPC、DSPC、HSPC、DMPC、およびDPPC、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記ホスファチジルコリンが、DOPC、DSPC、HSPC、およびDPPC、ならびにそれらの混合物から選択される、請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記ホスファチジルコリンが、DPPCである、請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記リポソームが、前記実体の該リポソーム中への取り込みを容易にする、チャネルまたはシャトルを含む、請求項1〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記チャネルが、イオンチャネルである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記リポソームの内部のpHが、投与前または前記生物学的サンプルとの接触前に約8未満である、請求項1〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記リポソームが、SUVまたはMLVである、請求項1〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記実体が、前記リポソームの内部で金属イオン封鎖因子と結合して、該リポソームの外へ通過できない錯体を形成する、請求項1〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記カルシウムが、前記リポソームの内部で金属イオン封鎖因子と結合して、該リポソームの外へ通過できないカルシウム錯体を形成する、請求項10または請求項20に記載の方法。
【請求項40】
前記リポソームが、1つ以上のカルシウムイオン封鎖因子を含有する、請求項10または請求項20に記載の方法。
【請求項41】
前記リポソームが、脂質および該リポソーム中へのカルシウムの通過を可能にするトランスポーター/チャネルを形成するリポソームを含有する、請求項10または請求項20に記載の方法。
【請求項42】
前記金属イオン封鎖因子が、ポリアミン、多座のカルボン酸、クラウンエーテル、ラクタム、または無機化合物である、請求項38〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記金属イオン封鎖因子が、EDTAである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記リポソーム中の前記EDTAの濃度が、投与前または接触前に少なくとも約10mMである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記リポソーム中の前記EDTAの濃度が、投与前または接触前に少なくとも約20mMである、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記リポソーム中の前記EDTAの濃度が、投与前または接触前に少なくとも約50mMである、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記リポソーム中の前記EDTAの濃度が、投与前または接触前に少なくとも約100mMである、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記金属イオン封鎖因子が、亜鉛、セレン、または銅に比べて、カルシウム結合に対して、少なくとも2倍選択的である、請求項40に記載の方法。
【請求項49】
前記実体が、前記リポソームの内部で試薬と反応して反応物を形成する、請求項1〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記反応物が、前記リポソームの外へ通過できない、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記実体が、前記リポソームの内部で酵素と反応する、請求項1〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記実体と前記酵素との間の反応が、ATPを必要とする、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記リポソームが、イオンチャネルA23187を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項54】
前記リポソームが、イオンチャネルを含み、該イオンチャネルが、該リポソーム中へのカルシウムの流入に関して、亜鉛、セレン、または銅に比べて少なくとも2倍選択的である、請求項40または請求項48に記載の方法。
【請求項55】
請求項1および請求項15〜20のいずれか1項に記載の方法であって、別の治療剤を前記動物に投与する工程をさらに包含する、方法。
【請求項56】
請求項10または請求項20に記載の方法であって、カルシウム負荷を低減するのに有用な治療剤を前記動物に投与する工程をさらに包含する、方法。
【請求項57】
前記治療剤が、パミドロン酸、フロセミド、ジホホネート、硝酸ガリウム、糖質コルチコイド、ゾレンドラネート、エチドロン酸、またはカルシトニンである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記リポソームが、前記治療剤を含有する、請求項56または請求項57に記載の方法。
【請求項59】
医学的処置に使用するための実体を取り込み得るリポソーム。
【請求項60】
カルシウムまたはそれらのイオンを取り込み得るリポソームの使用であって、動物において血清のカルシウム負荷を低減するのに有用な医薬を調製するための、使用。
【請求項61】
Zn、Al、Fe、もしくはCu、またはそれらのイオンを取り込み得るリポソームの使用であって、動物においてアルツハイマー病を処置するのに有用な医薬を調製するための、使用。
【請求項62】
グルコースを取り込み得るリポソームの使用であって、動物において糖尿病を処置するのに有用な医薬を調製するための、使用。
【請求項63】
Mn、Fe、Hg、Al、もしくはCu、またはそれらのイオンを取り込み得るリポソームの使用であって、動物においてパーキンソン病を処置するのに有用な医薬を調製するための、使用。
【請求項64】
実体を取り込み得るリポソームの使用であって、動物の脳脊髄液から前記実体を除去するのに有用な医薬を調製するための、使用。
【請求項65】
前記実体が、金属または金属イオンである、請求項64に記載の使用。
【請求項66】
本明細書中に記載されるようなリポソーム。
【請求項67】
薬学的に受容可能なビヒクルまたはキャリア、および明細書中に記載されるような実体を取り込み得るリポソームを含む、薬学的組成物。
【請求項68】
前記実体が、金属、金属イオン、ペプチド、有機分子、有毒物質、亜酸化窒素、またはグルコースである、請求項59に記載のリポソーム。
【請求項69】
前記実体が、Ca、Fe、Os、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Cd、Hg、Sn、またはPb、もしくはそれらのイオンである、請求項59に記載のリポソーム。
【請求項70】
前記実体が、金属、金属イオン、ペプチド、有機分子、有毒物質、亜酸化窒素、またはグルコースである、請求項67に記載の組成物。
【請求項71】
前記実体が、Ca、Fe、Os、Co、Ni、Pd、Cu、Ag、Au、Zn、Al、Cd、Hg、Sn、もしくはPb、またはそれらのイオンである、請求項67に記載の組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−505043(P2007−505043A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525537(P2006−525537)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/029265
【国際公開番号】WO2005/053605
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(500029420)ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド (141)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/029265
【国際公開番号】WO2005/053605
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(500029420)ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド (141)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]