説明

凹版印刷による微細パターンの印刷方法及び微細パターンの印刷装置

本発明は、微細パターンの印刷方法及び微細パターンの印刷装置に関する。本発明による微細パターンの印刷方法は、凹版パターンを持つ弾性モールドを用いて基材に微細パターンを印刷する微細パターンの印刷方法であって、微細パターン印刷用インクを凹状にパターニングされた弾性モールドの表面に塗布するステップと、<前記インクの表面エネルギー−2erg/cm>から<前記インクの表面エネルギー+8erg/cm>の表面エネルギーを有する高分子樹脂または有機化合物を含んでなるインク除去部を前記印刷用インクが塗布された弾性モールド表面と密着させてから離し、前記弾性モールドの凸状部に塗布されたインクを除去するステップと、前記弾性モールドと基材とを密着させて前記印刷用インクを基材に転写するステップと、を含むことを特徴とする。本発明の微細パターンの印刷方法によれば、グラビア印刷時に弾性モールドの凸状部に塗布されたインクを効果的に除去でき、優れた品質の微細パターンを形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細パターンの印刷方法、微細パターンの印刷装置、及びこれらに採用されるインク除去方法に関し、より詳しくは、グラビア印刷時に印刷ローラーの凸状部に塗布されたインクを効果的に除去して高品質の微細パターンを形成することができる微細パターンの印刷方法、微細パターンの印刷装置、及びこれらに採用されるインク除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微細パターンを形成するためのグラビア印刷方法とは、凹版モールドにパターニングしようとする物質(以下、「インク」とする)を塗布した後、ドクターブレードなどのナイフを使って突出した凸状部にある残余物質を除去した後、基材にパターンを印刷する印刷方法を言う。
【0003】
従来、このようなグラビア印刷に用いられた凹版モールドは鋼鉄材質などのハードモールドであったが、近年ハードモールドの代わりに製造及び取替えが容易な弾性モールドが主に用いられている。図1は、弾性モールドを用いたグラビア印刷工程を示した工程図である。以下、図1を参照して弾性モールドを用いたグラビア印刷工程について説明する。まず、インク供給部113は凹状にパターニングされた弾性モールド111の表面にパターン形成のためのインク115を塗布する。このような過程を通じてインク115は弾性モールド111の凹状部だけでなく凸状部にも塗布されるので、その後は凸状部に塗布されたインク115を除去ローラー117などを用いて除去する。このとき、凸状部にインク115が残れば良好なパターンを形成することができないので、残留物がないように完全に除去しなければならない。その後、凹状部にインク115が詰められた弾性モールド111を基材に密着させて圧力をかけた後、弾性モールド111を基材から離せばインク115だけが基材119上に残るようになり、パターンが形成される。
【0004】
このような弾性モールドを用いたグラビア印刷において、従来インク除去に用いられたドクターブレードなどのナイフを用いれば、弾性モールドの弾性によって凹状部にあるインクまで除去される問題が生じる。このような問題を解決するために軟らかい布や高分子スラブ(slab)、またはブラッシュでふき取る方法などが用いられるが、大面的に亘って再現性良く均一に除去することは困難である。
【0005】
したがって、弾性モールドを用いたグラビア印刷時に印刷ローラーの凸状部に塗布されたインクを効果的に除去するための努力が関連分野で引き続いて行われ、本発明はこのような技術的な背景から案出されたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、グラビア印刷時に印刷ローラーの凸状部に塗布されたインクを効果的に除去し、特に弾性モールドを用いたグラビア印刷時に凹状部に詰められたインクは除去せず、凸状部に塗布されたインクのみを効果的に除去でき、優れた品質の微細パターンを印刷することができる微細パターンの印刷方法を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、前記微細パターンの印刷方法を採用する微細パターンの印刷装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の技術的課題を達成するため、本発明は、凹版パターンを持つ弾性モールドを用いて基材に微細パターンを印刷する微細パターンの印刷方法であって、微細パターン印刷用インクを凹状にパターニングされた弾性モールドの表面に塗布するステップと、<前記インクの表面エネルギー−2erg/cm>から<前記インクの表面エネルギー+8erg/cm>の表面エネルギーを有する高分子樹脂または有機化合物を含んでなるインク除去部を前記印刷用インクが塗布された弾性モールドの表面に密着させてから離し、前記弾性モールドの凸状部に塗布されたインクを除去するステップと、前記弾性モールドと基材とを密着させて前記印刷用インクを基材に転写するステップと、を含む微細パターンの印刷方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、外周部が凹状にパターニングされ、中心軸を基準に回転しながら外周部の凹状部に詰められた微細パターン形成用インクを基材に転写する印刷ローラーと、前記印刷ローラーの外周部に前記インクを供給して塗布するインク供給部と、前記印刷ローラーの外周部の凸状部に塗布されたインクを除去するために前記印刷ローラーの外周部の凸状部と密着した状態で回転し、<前記インクの表面エネルギー−2erg/cm>から<前記インクの表面エネルギー+8erg/cm>の表面エネルギーを有する高分子樹脂または有機化合物を含んでなるインク除去ベルトと、前記インク除去ベルトを連続回転させるためのベルト回転部と、を含むことを特徴とする微細パターンの印刷装置を提供する。
【0010】
さらに、本発明は、外周部が凹状にパターニングされ、中心軸を基準に回転しながら凹状部に詰められた微細パターン形成用インクを基材に転写する印刷ローラーと、前記印刷ローラーの外周部に前記インクを供給して塗布するインク供給部と、前記印刷ローラーの外周部の凸状部に塗布されたインクを除去するために前記印刷ローラーの外周部の凸状部と密着した状態で回転し、<前記インクの表面エネルギー−2erg/cm>から<前記インクの表面エネルギー+8erg/cm>の表面エネルギーを有する高分子樹脂または有機化合物を含んでなるインク除去ローラーと、を含むことを特徴とする微細パターンの印刷装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図1】弾性モールドを用いたグラビア印刷工程を示した工程図である。
【図2】本発明の一実施例による微細パターンの印刷装置を示した概略図である。
【図3】本発明の他の実施例による微細パターンの印刷装置を示した概略図である。
【図4】実施例1による微細パターンの写真である。
【図5】実施例2による微細パターンの写真である。
【図6】実施例3による微細パターンの写真である。
【図7】比較例1による微細パターンの写真である。
【図8】比較例1による微細パターンの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付図面に基づいて詳しく説明する。
【0013】
本発明による微細パターンの印刷方法は、凹版パターンを持つ弾性モールドを用いて基材に微細パターンを印刷する微細パターンの印刷方法であって、微細パターン印刷用インクを凹状にパターニングされた弾性モールドの表面に塗布するステップと、<前記インクの表面エネルギー−2erg/cm>から<前記インクの表面エネルギー+8erg/cm>の表面エネルギーを有する高分子樹脂または有機化合物を含んでなるインク除去部を前記印刷用インクが塗布された弾性モールドの表面と密着させてから離し、前記弾性モールドの凸状部に塗布されたインクを除去するステップと、前記弾性モールドと基材とを密着させて前記印刷用インクを基材に転写するステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の微細パターンの印刷方法によれば、グラビア印刷工程において印刷用インクを基材に転写する前に弾性モールドの表面に塗布されたインクを効果的に除去でき、印刷品質を大幅に向上させることができる。本発明の微細パターンの印刷方法は、印刷用インクの表面エネルギーと同じくらいの表面エネルギーを有する物質、望ましくは<前記インクの表面エネルギー−2erg/cm>から<前記インクの表面エネルギー+8erg/cm>の表面エネルギーを有する高分子樹脂または有機化合物を含んでなるインク除去部をグラビア印刷のために凹状にパターニングされた弾性モールドの凸状部に密着させてから離し、弾性モールド凸状部に塗布されたインクを除去する。上記のような表面エネルギーの数値範囲から外れれば、十分なインク除去効果が得られず望ましくない。
【0015】
2つの物質が相互付着した状態を維持しようとする傾向を表す用語として{ふちゃく しごとりょう}ワークオブアドヒージョン(Work of adhesion、W)とワークオブコヒージョン(W)がある。この値が大きければ、2つの物質が相互付着した状態を維持しようとする傾向が大きいことを意味する。ワークオブアドヒージョンは2つの物質が異なる物質である場合に、ワークオブコヒージョンは2つの物質が同じ物質である場合に使われる用語である。ところで、ワークオブアドヒージョンはそれぞれの物質の表面エネルギーに影響を受け、2つの物質の表面エネルギーが近いほど相互付着しようとする傾向が大きくなり、より大きいワークオブアドヒージョンを示すようになる。一方、弾性モールドからインクを除去するとき、凹状部のインクは基材に転写されるものであるので、凸状部のインクのみを選択的に除去しなければならない。また、弾性モールドの凹状部にはインクが多量溜まっているので、凸状部に比べてインクのワークオブコヒージョンによる影響がより大きくなる。よって、インク除去部の表面エネルギーをインクの表面エネルギーと同じくらいにすれば、インクのワークオブコヒージョンによる影響の小さい凸状部のインクは除去し、インクのワークオブコヒージョンによる影響の大きい凹状部のインクは弾性モールドに残すことができる。
【0016】
微細パターンを形成するための弾性モールドの材料としては、代表的にシリコーンエラストマーを使うことができるが、これに限定されることはない。前記インク除去方法は微細パターン形成のために使われるすべての物質に対して制限なく用いられる。微細パターン形成のために一般的に使われるインクの表面エネルギーは20から45erg/cmである。よって、インクの表面エネルギーに応じて18から53erg/cmの高分子樹脂または有機化合物を用いてインク除去部を製造する。シリコーンエラストマーから形成した弾性モールドを使う場合、インクの表面エネルギーは25から30erg/cmであることが望ましく、このときにはインクの表面エネルギーに応じて23から38erg/cmの高分子樹脂または有機化合物を用いてインク除去部を製造する。このような表面エネルギーを有する高分子樹脂としては、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリブチルメタクリレートなどがある。これら高分子樹脂の表面エネルギーは、それぞれ34.5erg/cm、31.9erg/cm、31.2erg/cmである。これら高分子樹脂は単独でまたは混合して使用でき、フィルム、シート及びロールなどの形態に加工して使用でき、必要な場合、フィルム、シート及びロールなどの形態に加工された金属、炭素、プラスチック、セラミックなどの支持体に付着して使うことができる。有機化合物はその特性上、主にフィルム、シート及びロールなどの形態に加工された金属、炭素、プラスチック、セラミックなどの支持体にコーティングして使うことが望ましい。上記のような表面エネルギーを有する有機化合物としてはジフェニルジクロロシランが代表的である。
【0017】
本発明による微細パターンの印刷方法はすべてのグラビア印刷工程で使用できるが、特に弾性モールドを用いるグラビア印刷工程で、すなわち本体及び凹状にパターニングされた弾性モールドを含んでなる印刷ローラーを用いる場合にさらに効果的に使うことができる。弾性モールドを用いたグラビア印刷工程に本発明の微細パターンの印刷方法を適用すれば、凹状部に詰められたインクは除去せずに凸状部に塗布されたインクのみを効果的に除去することができる。
【0018】
また、本発明は前述した微細パターンの印刷方法に活用できる微細パターンの印刷装置を提供する。
【0019】
図2は、本発明の一実施例による微細パターンの印刷装置を示した概略図である。図2を参照すれば、本発明の一実施例による微細パターンの印刷装置は、外周部が凹状にパターニングされ、中心軸を基準に回転して凹状部に塗布された微細パターン形成用インク215を基材に転写する印刷ローラー211、212と、前記印刷ローラー211、212の外周部に前記微細パターン形成用インク215を供給して塗布するインク供給部213と、前記印刷ローラー211、212の外周部の凸状部に塗布されたインク215を除去するために前記印刷ローラー211、212の外周部の凸状部と密着した状態で回転し、<前記インクの表面エネルギー−2erg/cm>から<前記インクの表面エネルギー+8erg/cm>の表面エネルギーを有する高分子樹脂または有機化合物を含んでなるインク除去ベルト221と、前記インク除去ベルト221を連続回転させるためのベルト回転部223と、を含む。
【0020】
前記微細パターンの印刷装置において、前記印刷ローラー211、212は回転しながら基材上を密着して移動することで基材上に印刷用インク215を転写する。前記印刷ローラー211、212は、図示されたように、本体212と弾性モールド211から構成でき、単一材質でなる本体212の外周部にパターンを形成して構成することもできる。このとき、前記インク供給部213は微細パターン形成用インク215を印刷ローラー211、212の外周部に供給して塗布し、印刷ローラー211、212が矢印方向に回転しながら外周部の全領域に亘って連続的に塗布される。前記インク除去ベルト221は、印刷ローラー211、212に塗布されたインク215が基材に転写される前に、印刷ローラー211、212の外周部の凸状部に塗布されたインク215を連続的に除去する。前記インク除去ベルト221は、前述したように<前記インクの表面エネルギー−2erg/cm>から<前記インクの表面エネルギー+8erg/cm>の表面エネルギーを有する高分子樹脂または有機化合物を主原料として使用することで優れたインク除去効果を奏する。印刷ローラー211、212外周部の凸状部のインク215が除去されれば、印刷ローラー211、212の外周部の凹状部に詰められていたインク215は基材上に転写される。ベルト回転部223はインク除去ベルトの連続的な回転のために前記微細パターンの印刷装置に設けられ、基材219は揺れ防止のために基台218上に固定され得る。
【0021】
上記の実施例においては、インク除去部としてインク除去ベルト221が使われ、インク除去ベルト221を回転させるためにベルト回転部223が使われたが、インク除去部としてインク除去ベルト221及びベルト回転部223の代わりにインク除去ローラーも使用され得る。このようなインク除去ローラーは印刷ローラーの外周部の凸状部と密着した状態で回転して、インク供給部から供給されて印刷ローラーの外周部の凸状部に塗布されたインクを除去する。前記インク除去ローラーはその外注面が<前記インクの表面エネルギー−2erg/cm>から<前記インクの表面エネルギー+8erg/cm>の表面エネルギーを有する高分子樹脂または有機化合物を含んでなり、優れたインク除去効果を奏する。
【0022】
本発明による微細パターンの印刷装置は、狭持ローラーをさらに含むことができ、このような狭持ローラーはフィルム状の基材が使われる場合、基材を印刷ローラーと狭持して移送する機能を果たす。また、前記微細パターンの印刷装置は基材上に転写されたインクを乾燥させるための乾燥装置をさらに含むことができる。
【0023】
図3は、本発明の他の実施例による微細パターンの印刷装置を示した概略図である。本実施例の微細パターンの印刷装置によれば、狭持ローラー331と印刷ローラー311、312との間をフィルム状の基材319が通過しながら印刷ローラー本体312に固設された弾性モールド311の凹状部に詰められたインク315が基材上に転写される。このとき、印刷ローラー311、312と狭持ローラー331は継続的に回転しながら基材319の表面に連続的にインク315を印刷するようになる。印刷ローラー311、312は回転しながらインク供給部313からインク315の供給を受け、弾性モールド311の表面はインク315で塗布される。弾性モールド311の表面がインク315で塗布されれば、まずインク平坦化部314によって弾性モールド311の表面全体に均一にインク315が塗布され、ベルト回転部323によって回転されるインク除去ベルト321によって弾性モールド311表面の凸状部に塗布されたインク315が除去される。
【実施例】
【0024】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供される。
【0025】
微細パターンの印刷
実施例1
表面エネルギーが29〜30ergs/cmである高分子樹脂液を主成分がPDMSである弾性モールドのパターン面にマイヤーバー(Meyer bar)No.5でバーコーティングした。この高分子樹脂液はカーボンブラック、アクリル系バインダー、分散剤、界面活性剤を含み、溶媒の主成分がプロピレングリコールモノメチルエーテルである。その後、表面エネルギーが31.9ergs/cmであるポリプロピレンロールを高分子樹脂液がコーティングされた弾性モールドの表面に転がして相対的に突出した凸状部の表面にある高分子樹脂をポリプロピレンロールの表面で除去した。このような方式で高分子樹脂が凹状部に選択的に詰められた弾性モールドをPET基材と密着させて弱い圧力をかけた後、弾性モールドを離すことで高分子樹脂の微細パターンをPET基材に印刷した。
【0026】
実施例2
表面エネルギーが29〜30ergs/cmである高分子樹脂液を主成分がPDMSである弾性モールドのパターン面にマイヤーバーNo.5でバーコーティングした。その後、表面エネルギーが31.9ergs/cmであるポリプロピレンシートを高分子樹脂液がコーティングされた弾性モールドの表面に転がして相対的に突出した凸状部の表面にある高分子樹脂をポリプロピレンシートの表面で剥がした。このような方式で高分子樹脂が凹状部に選択的に詰められた弾性モールドをガラス基材と密着させて弱い圧力をかけた後、弾性モールドを離すことで高分子樹脂の微細パターンをガラス基材に印刷した。
【0027】
実施例3
表面エネルギーが25.8ergs/cmである高分子樹脂液を主成分がPDMSである弾性モールドのパターン面にマイヤーバーNo.5でバーコーティングした。次いで、PETシートに表面エネルギーが31ergs/cmであるポリ(ブチルメタクリレート)をコーティングしてポリ(ブチルメタクリレート)フィルムを製造し、これを高分子樹脂液がコーティングされた弾性モールドの表面に転がして相対的に突出した凸状部の表面にある高分子樹脂をポリ(ブチルメタクリレート)フィルムの表面で剥がした。このような方式で高分子樹脂が凹状部に選択的に詰められた弾性モールドをガラスと密着させて弱い圧力をかけた後、弾性モールドを離すことで高分子樹脂の微細パターンをガラス基材に印刷した。
【0028】
比較例1及び2
ポリプロピレンシートの代わりに表面エネルギーが46.7ergs/cmであるPETシート(比較例1)及び表面エネルギーが18〜20ergs/cmであるPDMSシート(比較例2)を使用したことを除けば、全て実施例2と同じ方式で微細パターンを印刷した。
【0029】
図4から図8は、それぞれ実施例1〜3及び比較例1、2による微細パターンの写真である。本発明による実施例1〜3の微細パターン(図4から図6)は印刷ローラーの凸状部の残余物が完全に除去され、凹状部の高分子樹脂液が鮮やかに印刷されていることが確認できる。一方、比較例1、2による微細パターン(図7、図8)は凸状部の残余物が印刷されて微細パターンが不規則的且つ不鮮明に印刷されていることが確認できる。
【0030】
本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0031】
したがって、本明細書に記載された実施例は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の微細パターンの印刷方法及び微細パターンの印刷装置によれば、微細パターンを形成するためのグラビア印刷時にインクと同じくらいの表面エネルギーを有する高分子樹脂からなるインク除去部を使うことで、グラビア印刷時に印刷ローラーの凸状部に塗布されたインクを効果的に除去でき、特に弾性モールドを用いたグラビア印刷時に凹状部に詰められたインクは除去せずに凸状部に塗布されたインクのみを除去することができ、優れた品質の微細パターンを形成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹版パターンを持つ弾性モールドを用いて基材に微細パターンを印刷する微細パターンの印刷方法において、
微細パターン印刷用インクを凹状にパターニングされた弾性モールドの表面に塗布するステップと、
<前記インクの表面エネルギー−2erg/cm>から<前記インクの表面エネルギー+8erg/cm>の表面エネルギーを有する高分子樹脂または有機化合物を含んでなるインク除去部を前記印刷用インクが塗布された弾性モールド表面と密着させてから離し、前記弾性モールドの凸状部に塗布されたインクを除去するステップと、
前記弾性モールドと前記基材とを密着させて前記印刷用インクを基材に転写するステップと、を含む微細パターンの印刷方法。
【請求項2】
前記インクの表面エネルギーは20から45erg/cmであることを特徴とする請求項1に記載の微細パターンの印刷方法。
【請求項3】
前記凹版パターンを持つ前記弾性モールドは弾性を持つエラストマーからなることを特徴とする請求項1に記載の微細パターンの印刷方法。
【請求項4】
外周部が凹状にパターニングされ、中心軸を基準に回転しながら前記外周部の凹状部に詰められた微細パターン形成用インクを基材に転写する印刷ローラーと、
前記印刷ローラーの前記外周部に前記インクを供給して塗布するインク供給部と、
前記印刷ローラーの前記外周部の凸状部に塗布されたインクを除去するために前記印刷ローラーの前記外周部の前記凸状部と密着した状態で回転し、<前記インクの表面エネルギー−2erg/cm>から<前記インクの表面エネルギー+8erg/cm>の表面エネルギーを有する高分子樹脂または有機化合物を含んでなるインク除去ベルトと、
前記インク除去ベルトを連続回転させるためのベルト回転部と、を含むことを特徴とする微細パターンの印刷装置。
【請求項5】
前記インクの表面エネルギーは20から45erg/cmであることを特徴とする請求項4に記載の微細パターンの印刷装置。
【請求項6】
前記印刷ローラーは、本体、及び前記本体の外周部に固設され、凹状にパターニングされた弾性モールドを含んでなることを特徴とする請求項4に記載の微細パターンの印刷装置。
【請求項7】
前記微細パターンの印刷装置は、狭持ローラーをさらに含み、前記狭持ローラーはフィルム状の基材を前記印刷ローラーと狭持して移送できるように前記印刷ローラーと間隔を置いて位置することを特徴とする請求項4に記載の微細パターンの印刷装置。
【請求項8】
前記微細パターンの印刷装置は、前記基材上に転写されたインクを乾燥させるための乾燥装置をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の微細パターンの印刷装置。
【請求項9】
外周部が凹状にパターニングされ、中心軸を基準に回転しながら凹状部に詰められた微細パターン形成用インクを基材に転写する印刷ローラーと、
前記印刷ローラーの前記外周部に前記インクを供給して塗布するインク供給部と、
前記印刷ローラーの前記外周部の凸状部に塗布されたインクを除去するために前記印刷ローラーの前記外周部の前記凸状部と密着した状態で回転し、<前記インクの表面エネルギー−2erg/cm>から<前記インクの表面エネルギー+8erg/cm>の表面エネルギーを有する高分子樹脂または有機化合物を含んでなるインク除去ローラーと、を含むことを特徴とする微細パターンの印刷装置。
【請求項10】
前記インクの表面エネルギーは20から45erg/cmであることを特徴とする請求項9に記載の微細パターンの印刷装置。
【請求項11】
前記印刷ローラーは、本体、及び前記本体の外周部に固設され、凹状にパターニングされた弾性モールドを含んでなることを特徴とする請求項9に記載の微細パターンの印刷装置。
【請求項12】
前記微細パターンの印刷装置は、狭持ローラーをさらに含み、前記狭持ローラーはフィルム状の基材を前記印刷ローラーと狭持して移送できるように前記印刷ローラーと間隔を置いて位置することを特徴とする請求項9に記載の微細パターンの印刷装置。
【請求項13】
前記微細パターンの印刷装置は、前記基材上に転写されたインクを乾燥させるための乾燥装置をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の微細パターンの印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−520823(P2010−520823A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552592(P2009−552592)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【国際出願番号】PCT/KR2008/001299
【国際公開番号】WO2008/111765
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】