説明

出汁とり用調理器具

【課題】麺つゆの素出汁として使用するのに適した濃い出汁を、出汁素材を熱湯に浸して放置するだけで簡単にとることができる出汁とり用調理器具を提供する。
【解決手段】(A)出汁容器本体21を保温容器本体31に装着し、出汁容器本体21内に濾し網40を装着した状態で出汁素材50と熱湯60を入れる。(B)保温容器本体31に保温容器蓋32を被せて保温容器本体31の口31aを塞ぐとともに、出汁容器本体31の口31aに保温容器蓋32の嵌合部32aを嵌合させる。この状態で室温にて30分以上放置することにより、雑味や濁りのないすっきりとした味を引き出した濃い出汁をとることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出汁素材から出汁を熱水抽出する技術に関し、より詳細には、出汁素材を熱水に浸して常温にて放置することにより出汁素材から出汁を抽出する出汁とり用調理器具及び出汁製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭で出汁を手軽にとるための調理用ポットは公知である(特許文献1)。この種の調理用ポットは、取っ手と注ぎ口を備えたポット本体と、ポット本体内に収納されたこし網と、ポット本体の開口部を塞ぐ蓋とを有し、昆布、鰹節、椎茸などの出汁素材をこし網に入れて調理用ポット本体内で湯に浸して放置することにより簡単に出汁をとることができる。出汁をとった後は、取っ手を持って注ぎ口を傾けることにより、とった出汁をそのままお椀などに注ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−299457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の調理用ポットによれば、ポット本体内に熱湯を注ぎ、出汁素材を入れた後、蓋をした状態でそのまま放置して冷ますことにより、雑味や濁りのないすっきりとした味を引き出した出汁をとることができる。
【0005】
しかし、このようにしてとった出汁は、直接飲む出汁としては適しているが、うどんつゆやそばつゆ等、麺つゆの素出汁として使用するには旨みが弱い。従来の調理用ポットは、ポット本体及び蓋に陶器や耐熱ガラスを用いているため、熱湯を注いでから数分で湯の温度が約80度以下に下がってしまうためである。厚削りの鰹節や鯖節、煮干やアゴ、昆布など厚みのある出汁素材は、ある一定時間の加熱調理を必要とする。従来の調理用ポットを使用して、厚みのある出汁素材から出汁をとろうとした場合、出汁素材が水分を吸収してふやけ、濃い出汁が出るころには湯温がすっかり下がってしまっているため、再加熱しなければ出汁をとることができない。これでは初めから加熱調理可能な鍋を使って出汁をとった方が良かったことになってしまう。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、うどんつゆやそばつゆ等、麺つゆの素出汁として使用するのに適した濃い出汁を、出汁素材を湯に浸して放置するだけで簡単にとることができる出汁とり用調理器具及び出汁製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[出汁とり用調理器具]
本発明の出汁とり用調理器具は、出汁素材を湯に浸して出汁をとるための出汁とり用調理器具であって、
出汁容器と保温容器とを有し、
前記出汁容器は、
出汁容器本体と、当該出汁容器本体の口を開閉自在に密封する出汁容器蓋とを有し、
前記保温容器は、
前記出汁容器本体を着脱自在に収容する保温容器本体と、当該保温容器本体の口を開閉自在に塞ぐ保温容器蓋とを有し、
前記出汁容器本体を前記保温容器本体に装着し、当該出汁容器本体内に出汁素材と熱湯を入れた後、当該保温容器本体の口を前記保温容器蓋で塞いだ状態で室温にて所定時間以上放置することにより当該出汁素材から出汁をとるように構成したものである。
【0008】
上記のように構成された本発明の出汁とり用調理器具によれば、出汁素材を湯に浸した状態で、その湯温を出汁の抽出に好適な高い温度(85℃以上)に所定時間(30分)以上保つことができるので、うどんつゆやそばつゆ等、麺つゆの素出汁として使用するのに適し雑味や濁りのないすっきりとした味を引き出した出汁をとることができる。
【0009】
本発明の出汁とり用調理器具において、
前記保温容器蓋は、前記出汁容器本体の口に嵌合してこれを塞ぐ嵌合部を有し、
前記出汁容器本体を前記保温容器本体に装着し、当該出汁容器本体内に出汁素材と熱湯を入れた後、当該保温容器本体の口を前記保温容器蓋で塞ぎ且つ当該出汁容器本体の口に前記嵌合部を嵌合させた状態で室温にて所定時間放置することにより当該出汁素材から出汁をとるように構成することが望ましい。
【0010】
また、前記保温容器蓋は、当該蓋の内外に貫通した通気孔を有していることが望ましい。保温容器蓋が通気孔を有していることにより、出汁容器本体からの保温容器蓋の取り外しが容易になる。
【0011】
また、前記保温容器蓋の表面に前記出汁素材の計量用実物大画像(写真、イラスト、等)が付されていることが望ましい。この構成によれば、出汁素材の計量を計量用実物大画像との目視比較により簡単に行うことができる。
【0012】
また、前記保温容器蓋の表面に調味料(醤油、砂糖、等)を計量するための計量用窪みが形成されていることが望ましい。この構成によれば、調味料を計量用窪みに入れることにより、調味料を簡単に計量できる。そして、計量した調味料を直接、保温容器蓋から出汁容器本体内に入れることができる。また、前記保温容器蓋の表面に、計量した調味料を計量用窪みから前記保温容器蓋の外縁角部に案内するための案内溝が形成されていることが望ましい。この構成によれば、保温容器蓋を案内溝側に傾けることにより、計量した調味料をこぼすことなく出汁容器本体内に導入できる。
【0013】
また、前記出汁容器本体の口を前記出汁容器蓋で密封することにより、とった出汁を前記出汁容器内にてそのまま保存し得るように構成されていることが望ましい。この構成によれば、出汁容器をとった出汁の保存容器としてそのまま使用できる。
【0014】
また、前記出汁容器本体及び前記出汁容器蓋は、ポリプロピレンからなる成型品であり、
前記保温容器本体及び前記保温容器蓋は、発泡スチロールからなる成型品であることが望ましい。
【0015】
また、前記保温容器の内面に熱反射層が設けられていることが望ましい。
【0016】
また、前記出汁容器は、コンテナータイプのジップロック(登録商標)であることが望ましい。
【0017】
[出汁とり用保温容器]
本発明の出汁とり用保温容器は、コンテナータイプのジップロック(登録商標)を出汁容器に使用し、当該出汁容器内にて出汁素材を湯に浸して出汁をとるための出汁とり用保温容器であって、
前記出汁容器の容器本体を着脱自在に収容する保温容器本体と、当該保温容器本体の口を開閉自在に塞ぐ保温容器蓋とを有し、
前記保温容器蓋は、前記出汁容器本体の口に嵌合してこれを塞ぐ嵌合部を有するものである。
【0018】
上記のように構成された本発明の出汁とり用保温容器と食品保存容器として広く普及しているコンテナータイプのジップロック(登録商標)を利用して本発明の出汁とり用調理器具を実現することができる。
【0019】
本発明の出汁とり用保温容器において、前記保温容器蓋は、当該蓋の内外に貫通した通気孔を有していることが望ましい。保温容器蓋が通気孔を有していることにより、出汁容器本体からの保温容器蓋の取り外しが容易になる。
【0020】
また、前記保温容器蓋の表面に前記出汁素材の計量用実物大画像(写真、イラスト、等)が付されていることが望ましい。この構成によれば、出汁素材の計量を計量用実物大画像との目視比較により簡単に行うことができる。
【0021】
また、前記保温容器蓋の表面に調味料(醤油、砂糖、等)を計量するための計量用窪みが形成されていることが望ましい。この構成によれば、調味料を計量用窪みに入れることにより、調味料を簡単に計量できる。そして、計量した調味料を直接、保温容器蓋から出汁容器本体内に入れることができる。また、前記保温容器蓋の表面に、計量した調味料を計量用窪みから前記保温容器蓋の外縁角部に案内するための案内溝が形成されていることが望ましい。この構成によれば、保温容器蓋を案内溝側に傾けることにより、計量した調味料をこぼすことなく出汁容器本体内に導入できる。
【0022】
また、前記保温容器本体及び前記保温容器蓋は、発泡スチロールからなる成型品であることが望ましい。
また、前記保温容器の内面に熱反射層が設けられていることが望ましい。
【0023】
[出汁製造方法]
本発明の出汁製造方法は、本発明の出汁とり用調理器具を使用して出汁素材から出汁をとる方法であって、前記出汁素材として昆布、煮干及び混合節を使用することを特徴とする。熱湯100質量%に対し、昆布0.55質量%、煮干1質量%、混合節1質量%を使用することが望ましい。前記出汁容器本体の容量が591mlの場合、前記出汁容器本体に昆布2.5g、煮干4.5g、混合節4.5g、熱湯450ccを入れて出汁をとることが望ましい。
【0024】
本発明の出汁製造方法には、前記出汁素材と共に薄口醤油及び砂糖を前記出汁容器本体内に入れて出汁をとる方法、すなわち前記出汁素材から抽出した出汁に薄口醤油及び砂糖を加味したつゆの製造方法が含まれる。熱湯100質量%に対し、昆布0.55質量%、煮干1質量%、混合節1質量%、薄口醤油5.5質量%、砂糖0.8質量%を使用することが望ましい。前記出汁容器本体の容量が591mlの場合、前記出汁容器本体に昆布2.5g、煮干4.5g、混合節4.5g、薄口醤油25cc、砂糖4g、熱湯450ccを入れて出汁をとることが望ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の出汁とり用調理器具によれば、出汁容器本体を保温容器本体に装着し、当該出汁容器本体内に出汁素材と熱湯を入れた後、当該保温容器本体の口を保温容器蓋で塞いだ状態で室温にて所定時間放置することにより、うどんつゆやそばつゆ等、麺つゆの素出汁として使用するのに適し雑味や濁りのないすっきりとした味を引き出した出汁を簡単にとることができる。
【0026】
本発明の出汁とり用保温容器によれば、食品保存容器として広く普及しているコンテナータイプのジップロック(登録商標)を利用して本発明の出汁とり用調理器具を実現できる。
【0027】
本発明の出汁製造方法によれば、本発明の出汁とり用調理器具を使用することにより、うどんつゆやそばつゆ等、麺つゆの素出汁として使用するのに適し雑味や濁りのないすっきりとした味を引き出した出汁を簡単にとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の出汁とり用調理器具の実施形態を例示する分解斜視図
【図2】本発明の出汁とり用調理器具の実施形態を例示する斜視図
【図3】本発明の出汁とり用調理器具の実施形態を例示する断面図
【図4】本発明の出汁とり用調理器具を使用して出汁をとる方法を例示する工程図
【図5】本発明の出汁とり用調理器具の別の形態例を示す平面図
【図6】本発明の出汁とり用調理器具の別の形態例を示す平面図
【図7】(A)図6のA−A断面図 (B)図6のB−B断面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態につき添付図面を参照して説明する。
図1乃至図3に示すように、この実施形態の出汁とり用調理器具10は、出汁容器20と保温容器30と濾し網40とを有している。
出汁容器20は、出汁容器本体21と、当該出汁容器本体21の口21aを開閉自在に密封する出汁容器蓋22とを有している。出汁容器本体21及び出汁容器蓋22は、ポリプロピレンからなる成型品である。この実施形態では、出汁容器20として角形、中サイズのコンテナータイプのジップロック(登録商標)を利用している。この出汁容器20の容量、寸法、質量、耐熱温度、耐冷温度はそれぞれ、591ml、縦145mm×横145mm×高さ63mm、34g、140℃、−20℃である。出汁容器本体21は、その平面形状が四隅に若干丸みを有する正方形であり、その上端から下端にかけて縮寸している。出汁容器本体21には、その口21a全周を縁取るようにして張出部21bが形成されている。張出部21bは、口21aの外方下向きに円弧状に湾曲して張り出している。出汁容器蓋22は、張出部21bの外面に全周に亘って密に嵌合することにより出汁容器本体21の口21aを密封する。出汁容器蓋22には、その一角から外方に張り出した半円状の摘み部22aが形成されている。出汁容器蓋22は、とった出汁を出汁容器20内で保存する時に使用するものであり、出汁をとっている間は使用しない。
【0030】
保温容器30は、出汁容器本体21を着脱自在に収容する保温容器本体31と、当該保温容器本体31の口31aを開閉自在に塞ぐ保温容器蓋32とを有している。保温容器蓋32は、出汁容器本体21の口21aに丁度嵌合してこれを塞ぐ嵌合部32aを有している。保温容器本体31及び保温容器蓋32は、発泡スチロールからなる成型品である。保温容器本体31の内面及び保温容器蓋32の嵌合部32aの内面(下面)には、アルミ薄膜からなる熱反射層33が設けられている。保温容器本体31の底部中央及び保温容器蓋32の中央には内外(上下)に貫通した小径の通気孔31b、32bがそれぞれ設けられている。保温容器本体31の口31aの四隅には、保温容器本体31から出汁容器本体21を取り外す際に出汁容器本体21の張出部21bに指を掛けやすくするために球状の窪み31cが設けられている。保温容器本体31の側面部及び保温容器蓋32の側面部には、出汁容器本体21及び保温容器本体31への保温容器蓋32の着脱時に指を掛けるための溝31d、32dが設けられている。
【0031】
濾し網40は、出汁をとる際に出汁容器本体21内に収容されるステンレス製またはプラスチック製の籠状の網である。濾し網40は、その平面形状が四隅に若干丸みを有する正方形であり、その上端から下端にかけて縮寸している。濾し網40は、保温容器蓋32で出汁容器本体21の口21aを塞いだときに、保温容器蓋32の嵌合部32aと干渉しないようにその高さ寸法が選定されている。
【0032】
つぎに、上記のように構成された出汁とり用調理器具10を使用して麺つゆの素出汁として使用するのに適した出汁をとる方法について図4を参照して説明する。
【0033】
まず、出汁容器本体21を保温容器本体31に装着し、出汁容器本体21内に濾し網40を装着した状態で出汁素材50と熱湯60を入れる(図4(A))。この例では、出汁素材50として、昆布2.5g、煮干4.5g、及び混合節4.5gを使用する。熱湯60の量は約450ccであり、温度は約100℃である。
保温容器本体31に保温容器蓋32を被せて保温容器本体31の口31aを塞ぐとともに、出汁容器本体31の口31aに保温容器蓋32の嵌合部32aを嵌合させる(図4(B))。この状態で室温にて30分以上放置することにより出汁をとる。出汁素材50のうち煮干が吸水してふやけるのに10分〜30分程度要するが、30分以上放置することにより濃い出汁が出始める。40分程放置した時点でも、出汁容器本体21内の湯温は出汁の抽出に好適な温度である85℃以上に保たれている。
【0034】
この方法によれば、うどんつゆやそばつゆ等、麺つゆの素出汁として使用するのに適し雑味や濁りのないすっきりとした味を引き出した濃い出汁を簡単にとることができる。60分程放置すれば、よりコクのある出汁をとることができる。出汁容器本体31の口31aを保温容器蓋32で塞ぐことにより、出汁容器本体31内がほぼ密封状態に保たれるため、出汁をとっている間における香り成分の揮発を極力抑えて薫り高い出汁をとることができる。使用する出汁素材量50の量は必要最小限であり、至って経済的に美味しい出汁をとることができる。
【0035】
出汁をとった後は、保温容器本体31から出汁容器本体21を取り外すとともに、出汁容器本体21から濾し網40を取り出し、出汁容器本体21の口21aを出汁容器蓋22で密封することにより、とった出汁を別の容器に移し替えることなく出汁容器20内にてそのまま保存することができる。高温(初期温度約100℃)の熱湯60を使用していることにより殺菌効果が得られるので、密封による効果と相まってそのまま数日間保存することも可能である。とった出汁を出汁容器20ごと冷蔵庫内で冷温保存すれば、出汁を良好な状態でさらに長期保存することができる。
【0036】
なお、上記の例では、出汁容器20として角形、中サイズのコンテナータイプのジップロック(登録商標)を利用しているが、保温容器30の寸法を変更すれば、出汁容器20として角形、大サイズのコンテナータイプのジップロック(登録商標)を利用することも可能である。また、保温容器30の寸法・形状を変更すれば、出汁容器20として丸形のコンテナータイプのジップロック(登録商標)を利用することも可能である。
【0037】
また、上記の例では、市販されている汎用の保存容器であるジップロック(登録商標)を出汁容器20として利用しているが、本発明の出汁とり用調理器具10専用の出汁容器20を使用してもよいことは無論である。
【0038】
また、上記の例に示した保温容器本体31及び保温容器蓋32は発泡スチロール製であるが、保温性が高く且つ十分な定形性と耐熱性を有するものであればその他の材質・構造のものを使用してもよい。たとえば、真空断熱構造のステンレス製のものを使用してもよい。また、内部に発泡スチロール、ウレタンフォームなどからなる保温材層を有するプラスチック製のものを使用してもよい。
【0039】
また、上記の例に示した濾し網40は、その平面形状が四隅に若干丸みを有する正方形のものであるが、底部が球面状に丸くなっているものを使用してもよい。濾し網40の底部が球面状に丸くなっていることにより、出汁をとった後の濾し網40の洗浄がしやすくなる。
【0040】
また、上記の例では、出汁とり用調理器具10を使用して麺つゆの素出汁として使用するのに適した出汁をとる方法について説明したが、この出汁とり用調理器具10を使用することにより、出汁素材50から抽出した出汁に薄口醤油及び砂糖を加味したうどんつゆやそばつゆを簡単に製造することもできる。図4の例と同様に、出汁容器本体21に昆布2.5g、煮干4.5g、混合節4.5g、薄口醤油25cc、砂糖4g、熱湯450ccを入れて30分以上放置することにより、雑味や濁りのないすっきりとした味を引き出した美味しいうどんつゆやそばつゆを簡単に製造することができる。
【0041】
また、出汁容器本体31としてその内面の色が白又は乳白色のものを使用することにより、出汁の旨味の抽出の度合いを視認し易くできる。出汁の旨味の抽出の度合いを視認できることは、うどんつゆや八方出汁を作る際に特に有効であり、また、醤油を入れたときのつゆの色味を見て醤油の加減を調整するのにも大変役立つ。
【0042】
また、図5に例示するように、出汁素材50の計量用実物大写真51を保温容器蓋32の表面に印刷あるいは貼り付けなどの方法で付しておくことにより、出汁素材50の計量を計量用実物大写真51との目視比較により簡単に行うことができる。
【0043】
また、煮干一尾がほぼ一定の大きさであれば、たとえば煮干4.5gを煮干何尾と言い換えることもできるので、保温容器蓋32の表面に煮干しの計量目安として尾数を付しておくことも有効である。また、混合節に関しても一定の厚みで大きさが同じであれば、たとえば混合節2.5gを混合節何枚と言い換えることができるので、保温容器蓋32の表面に混合節の計量目安として枚数を付しておくことも有効である。また、昆布に関しては、厚みは様々で大きさも形も様々であるが実物大写真により厚みと形を示すことで昆布2.5gの可成り正確な計量目安を示すことができる。
【0044】
また、図6及び図7に例示するように、保温容器蓋32の表面に、うどんつゆやそばつゆを造る際に薄口醤油と砂糖の使用量を適量に計量するための計量用窪み32e、32fを設けておくことも有効である。薄口醤油と砂糖をそれぞれの計量用窪み32e、32fに入れることにより、薄口醤油と砂糖を簡単に計量できる。そして、計量した薄口醤油と砂糖を直接、保温容器蓋32から出汁容器本体31内に入れることができる。図6及び図7の例では、各計量用窪み32e、32fの内面に、それぞれ薄口醤油と砂糖の適量目安を示す計量ライン32i、32jがそれぞれ付されている。また、計量した薄口醤油と砂糖を、それぞれの計量用窪み32e、32fから保温容器蓋32の外縁角部に案内するための浅い案内溝32g、32hが保温容器蓋32の表面に設けられている。この構成によれば、保温容器蓋32を案内溝32g、32h側に傾けることにより、計量した薄口醤油と砂糖をこぼすことなく出汁容器本体31内に導入できる。
【符号の説明】
【0045】
10 出汁とり用調理器具
20 出汁容器
21 出汁容器本体
21a 口
22 出汁容器蓋
30 保温容器
31 保温容器本体
31a 口
31b 通気孔
32 保温容器蓋
32a 嵌合部
32b 通気孔
32e、32f 計量用窪み
32g、32h 案内溝
33 熱反射層
40 濾し網
50 出汁素材
51 計量用実物大写真(計量用実物大画像)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出汁素材を湯に浸して出汁をとるための出汁とり用調理器具であって、
出汁容器と保温容器とを有し、
前記出汁容器は、
出汁容器本体と、当該出汁容器本体の口を開閉自在に密封する出汁容器蓋とを有し、
前記保温容器は、
前記出汁容器本体を着脱自在に収容する保温容器本体と、当該保温容器本体の口を開閉自在に塞ぐ保温容器蓋とを有し、
前記出汁容器本体を前記保温容器本体に装着し、当該出汁容器本体内に出汁素材と熱湯を入れた後、当該保温容器本体の口を前記保温容器蓋で塞いだ状態で室温にて所定時間以上放置することにより当該出汁素材から出汁をとるように構成したことを特徴とする出汁とり用調理器具。
【請求項2】
前記保温容器蓋は、前記出汁容器本体の口に嵌合してこれを塞ぐ嵌合部を有し、
前記出汁容器本体を前記保温容器本体に装着し、当該出汁容器本体内に出汁素材と熱湯を入れた後、当該保温容器本体の口を前記保温容器蓋で塞ぎ且つ当該出汁容器本体の口に前記嵌合部を嵌合させた状態で室温にて所定時間以上放置することにより当該出汁素材から出汁をとるように構成した請求項1の出汁とり用調理器具。
【請求項3】
前記保温容器蓋は、当該蓋の内外に貫通した通気孔を有している請求項2の出汁とり用調理器具。
【請求項4】
前記保温容器蓋の表面に前記出汁素材の計量用実物大画像が付されている請求項1乃至3のいずれかの出汁とり用調理器具。
【請求項5】
前記保温容器蓋の表面に調味料を計量するための計量用窪みが形成されている請求項1乃至4のいずれかの出汁とり用調理器具。
【請求項6】
前記出汁容器本体の口を前記出汁容器蓋で密封することにより、とった出汁を前記出汁容器内にてそのまま保存し得るように構成した請求項1乃至5のいずれかの出汁とり用調理器具。
【請求項7】
前記出汁容器本体及び前記出汁容器蓋は、ポリプロピレンからなる成型品であり、
前記保温容器本体及び前記保温容器蓋は、発泡スチロールからなる成型品である請求項1乃至6のいずれかの出汁とり用調理器具。
【請求項8】
前記保温容器の内面に熱反射層が設けられている請求項7の出汁とり用調理器具。
【請求項9】
前記出汁容器は、コンテナータイプのジップロック(登録商標)である請求項6乃至8のいずれかの出汁とり用調理器具。
【請求項10】
コンテナータイプのジップロック(登録商標)を出汁容器に使用し、当該出汁容器の容器本体内にて出汁素材を湯に浸して出汁をとるための出汁とり用保温容器であって、
前記出汁容器の容器本体を着脱自在に収容する保温容器本体と、当該保温容器本体の口を開閉自在に塞ぐ保温容器蓋とを有し、
前記保温容器蓋は、前記出汁容器本体の口に嵌合してこれを塞ぐ嵌合部を有することを特徴とする出汁とり用保温容器。
【請求項11】
前記保温容器蓋は、当該蓋の内外に貫通した通気孔を有している請求項10の出汁とり用保温容器。
【請求項12】
前記保温容器蓋の表面に前記出汁素材の計量用実物大画像が付されている請求項10又は11の出汁とり用保温容器。
【請求項13】
前記保温容器蓋の表面に調味料を計量するための計量用窪みが形成されている請求項10乃至12のいずれかの出汁とり用保温容器。
【請求項14】
前記保温容器本体及び前記保温容器蓋は、発泡スチロールからなる成型品である請求項10乃至13のいずれかの出汁とり用保温容器。
【請求項15】
前記保温容器の内面に熱反射層が設けられている請求項14の出汁とり用保温容器。
【請求項16】
請求項1乃至9のいずれかの出汁とり用調理器具を使用して出汁素材から出汁をとる方法であって、
前記出汁素材として昆布、煮干及び混合節を使用することを特徴とする出汁製造方法。
【請求項17】
前記出汁素材と共に薄口醤油及び砂糖を前記出汁容器本体内に入れて出汁をとることを特徴とする請求項16の出汁製造方法。
【請求項18】
熱湯100質量%に対し、昆布0.55質量%、煮干1質量%、混合節1質量%を使用する請求項16の出汁製造方法。
【請求項19】
熱湯100質量%に対し、昆布0.55質量%、煮干1質量%、混合節1質量%、薄口醤油5.5質量%、砂糖0.8質量%を使用する請求項17の出汁製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−143161(P2011−143161A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8153(P2010−8153)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者名 株式会社ワニブックス 刊行物名 「つゆから教えるおつまみレシピ」 発行年月日 平成22年1月3日
【出願人】(509182548)
【Fターム(参考)】