説明

出荷形態管理装置

【課題】RTP基板のように、搬送途中で受けた細かい傷が製品に影響しないものにおいて、回収費用や洗浄費用を削減して、磁気ディスク用基板の製造コストを低減すること。
【解決手段】出荷形態管理装置10は、磁気ディスク用基板の複数の製造段階における半製品基板の出荷形態を管理する出荷形態管理装置10であって、前記複数の製造段階に応じた半製品基板の出荷形態を示す出荷形態情報を有するデータベース12と、前記データベース12内の前記出荷形態情報の中から、指定された製造段階に対応した前記半製品基板の出荷形態情報を選択して出荷形態を決定する出荷形態決定手段13と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の出荷形態を管理する出荷形態管理装置に関し、特に、磁気ディスク用基板の複数の製造段階における半製品の基板の出荷形態を管理する出荷形態管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ハードディスク用の基板として円板状の磁気ディスクが広く用いられている。一般に、磁気ディスク用基板製造メーカにおいて、形状加工工程(コアリング及びチャンファリング等)、研削工程(ラッピング)、研磨工程(端面部、主表面部)を経て磁気ディスク用基板が製造され、磁気ディスク製造メーカにおいて磁気ディスク基板上に磁性層が形成されて磁気ディスクが製造される。
【0003】
ところで、磁気ディスク用基板は、薄く形成されて傷を受け易いため、慎重に搬送する必要がある。このため、磁気ディスク用基板製造メーカから磁気ディスク製造メーカに磁気ディスク用基板を出荷する際には、FOUP(Front Opening Unified Pod)やFOSB(Front Opening Shipping Box)等の基板収納ケースに収納して出荷している(例えば、特許文献1参照)。この基板収納ケースは、磁気ディスク製造メーカにおいて磁気ディスク用基板が取り出された後に磁気ディスク用基板製造メーカに返却され、磁気ディスク用基板製造メーカにおいて洗浄されて磁気ディスク用基板の出荷に再利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−277662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、磁気ディスク製造メーカによっては、磁気ディスク用基板製造メーカから研削加工後の磁気ディスク用基板を入荷し、磁気ディスク製造メーカにて研磨加工を行った後に磁気ディスク用基板上に磁性層を形成する製造形態が取られている。この場合において、磁気ディスク用基板製造メーカにおいて、研磨工程前まで加工された磁気ディスク用基板をRTP(Ready to Polish)基板という。このRTP基板においても、上記した基板収納ケースに収納された状態で、磁気ディスク用基板製造メーカから磁気ディスク製造メーカに出荷される。
【0006】
RTP基板は、研磨工程前に出荷されて磁気ディスク製造メーカにおいて研磨されるため、研磨工程後の磁気ディスク用基板と異なり、出荷途中で受けた細かい傷が製品品質へ影響することが少ない。しかしながら、RTP基板においても、研磨工程後の磁気ディスク用基板と同様に基板収納ケースを用いて出荷されるため、基板収納ケースの回収作業や洗浄作業が発生し、製造工数が増加して製造コストが増大するという問題があった。
【0007】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、梱包手段の回収費用や洗浄費用を削減して、磁気ディスク用基板の製造コストを低減することができる出荷形態管理装置及び半製品基板の出荷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の出荷形態管理装置は、磁気ディスク用基板の複数の製造段階における半製品基板の出荷形態を管理する出荷形態管理装置であって、前記複数の製造段階に応じた前記半製品基板の出荷形態を示す出荷形態情報を有するデータベースと、前記データベース内の前記出荷形態情報の中から、指定された製造段階に対応した前記半製品基板の出荷形態情報を選択して出荷形態を決定する出荷形態決定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、磁気ディスク用基板を作製するに際し、データベース内の出荷形態情報の中から、指定された製造段階に対応した半製品基板の出荷形態を決定するので、複数の製造段階における加工処理後の半製品基板の特性に応じて最適な出荷形態を選ぶことができる。従って、例えば、半製品基板が研磨加工処理前の状態である場合においては、通常の磁気ディスク用基板(最終研磨工程まで行われた基板)を出荷するほどの厳密な出荷状態が必要でないため、基板収納ケースの回収・洗浄費用が不要な出荷形態にして、回収・洗浄費用に係る製造コストを削減することができる。ここで、半製品基板とは、磁気ディスク用基板の複数の製造段階において、最終加工段階前の各工程で加工処理が施された基板(途中加工段階の基板)をいう。
【0010】
また、本発明は、上記出荷形態管理装置において、前記出荷形態は、研磨加工前の半製品基板を梱包する第1の出荷形態と、研磨加工後の半製品基板を梱包する第2の出荷形態と、を有し、前記第1の出荷形態は、使い捨て可能な梱包材で梱包される出荷形態であることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、研磨加工前の第1の出荷形態では、使い捨て可能な梱包材で出荷されるので、磁気ディスク製造メーカに対する半製品基板の出荷後に、磁気ディスク製造メーカから基板収納ケースを回収する必要がない。従って、RTP基板のように、搬送途中で受けた細かい傷が製品に影響しないものを出荷する場合には、基板収納ケースの回収費用や洗浄費用を削減することができる。
【0012】
本発明は、上記出荷形態管理装置において、前記半製品基板は、ガラスからなることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の半製品基板の出荷方法は、上述した出荷形態管理装置を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、RTP基板のように、搬送途中で受けた細かい傷が製品に影響しないものにおいて、梱包手段の回収費用や洗浄費用を削減して、磁気ディスク用基板の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る出荷形態管理装置の機能ブロック図である。
【図2】本実施の形態に係る出荷形態管理装置のデータベースの一例を示す図である。
【図3】本実施の形態に係る出荷形態管理装置の出荷形態決定動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施の形態に係る出荷形態管理装置は、磁気ディスク用基板の複数の製造工程において最終加工前の半製品基板から最終加工後の磁気ディスク用基板の出荷形態を管理する装置であり、各加工処理後の基板の特性に応じた出荷形態を決定するものである。ここで、半製品基板とは、磁気ディスク用基板の複数の製造段階において、最終加工段階前における各工程で加工処理が施された基板(途中加工段階の基板)をいう。
【0017】
磁気ディスク用基板の材料としては、結晶化ガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラス等が用いられる。特に、化学強化を施すことができ、また主表面の平坦性及び基板強度において優れた磁気ディスク用基板を提供することができるという点で、アルミノシリケートガラスを好ましく用いることができる。また、ガラス基板に限らず、本発明の効果は磁気ディスク基板種によらず発揮できることから、その他の磁気ディスク基板(アルミニウム基板等)への適用を排除するものではない。
【0018】
磁気ディスク用基板の製造工程は、素材加工工程及び第1ラッピング工程;端部形状工程(穴部を形成するコアリング工程、端部(外周端部及び/又は内周端部)に面取り面を形成するチャンファリング工程(面取り面形成工程));端面研磨工程(外周端面及び内周端面);第2ラッピング工程;主表面研磨工程(第1及び第2研磨工程);化学強化工程などの工程を含む。
【0019】
以下に、磁気ディスク用基板の製造工程の各工程について説明する。なお、各工程の順序は適宜入れ替えてもよい。
【0020】
(1)素材加工工程及び第1ラッピング工程
まず、素材加工工程においては、板状ガラスを用いることができる。この板状ガラスは、例えば、溶融ガラスを材料として、プレス法やフロート法、ダウンドロー法、リドロー法、フュージョン法など、公知の製造方法を用いて製造することができる。これらの方法うち、プレス法を用いれば、板状ガラスを廉価に製造することができる。ガラスとしては、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラスなどを用いることができる。特に、主表面の平坦性及び基板強度において優れた磁気ディスク用ガラス基板を提供することができるという点では、アルミノシリケートガラスを用いることが好ましい。
【0021】
第1ラッピング工程においては、ディスク状のガラスの両主表面をラッピング加工し、主にガラス基板の平坦度、板厚を調整する。このラッピング加工は、遊星歯車機構を利用した両面ラッピング装置により、アルミナ系遊離砥粒を用いて行うことができる。具体的には、ディスク状ガラスの両面に上下からラップ定盤を押圧させ、遊離砥粒を含む研削液をディスク状ガラスの主表面上に供給し、これらを相対的に移動させてラッピング加工を行う。このラッピング加工により、平坦な主表面を有するガラス基板を得ることができる。本実施の形態では、この第1ラッピング工程まで加工が行われた基板を半製品基板Aとする。
【0022】
(2)形状加工工程(穴部を形成するコアリング工程、端部(外周端部及び内周端部)に面取り面を形成するチャンファリング工程(面取り面形成工程))
コアリング工程においては、例えば、円筒状のダイヤモンドドリルを用いて、このガラス基板の中心部に内孔を形成し、円環状のガラス基板とする。チャンファリング工程においては、内周端面及び外周端面をダイヤモンド砥石によって研削し、所定の面取り加工を施す。
【0023】
(3)第2ラッピング工程
第2ラッピング工程においては、得られたガラス基板の両主表面について、第1ラッピング工程と同様に、第2ラッピング加工を行う。この第2ラッピング工程を行うことにより、例えば前工程である形状加工工程において主表面に形成された微細な凹凸形状を予め除去しておくことができ、後続の主表面に対する研磨工程を短時間で完了させることができるようになる。本実施の形態では、この第2ラッピング工程まで加工が行われた基板を半製品基板Bとする。
【0024】
(4)端面研磨工程
端面研磨工程においては、ガラス基板の外周端面及び内周端面について、ブラシ研磨方法により、鏡面研磨を行う。このとき、研磨砥粒としては、例えば、酸化セリウム砥粒を含むスラリー(遊離砥粒)を用いることができる。この端面研磨工程により、ガラス基板の端面は、ナトリウムやカリウムの析出の発生を防止でき、また、サーマルアスペリティ等の発生原因となるパーティクルの発生およびその端面部分への付着を抑制しうる鏡面状態になる。
【0025】
(5)主表面研磨工程(第1研磨工程)
主表面研磨工程として、まず第1研磨工程を施す。第1研磨工程は、前述のラッピング工程で両主表面に残留したキズや歪みの除去を主たる目的とする工程である。この第1研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、硬質樹脂ポリッシャを用いて、両主表面の研磨を行う。研磨剤としては、酸化セリウム砥粒を用いることができる。第1研磨工程を終えたガラス基板は、中性洗剤、純水、IPA等で洗浄する。本実施の形態では、この第1研磨工程まで行われた基板を半製品基板Cとする。
【0026】
(6)化学強化工程
化学強化工程においては、前述のラッピング工程及び研磨工程を終えたガラス基板に化学強化を施す。化学強化に用いる化学強化液としては、例えば、硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)の混合溶液などを用いることができる。化学強化においては、化学強化液を300℃〜400℃に加熱し、洗浄済みのガラス基板を200℃〜300℃に予熱し、化学強化溶液中に3時間〜4時間浸漬することによって行う。この浸漬の際には、ガラス基板の両表面全体が化学強化されるようにするため、複数のガラス基板が端面で保持されるように、ホルダに収納した状態で行うことが好ましい。
【0027】
このように、化学強化溶液に浸漬処理することによって、ガラス基板の表層のリチウムイオン及びナトリウムイオンが、化学強化溶液中の相対的にイオン半径の大きなナトリウムイオン及びカリウムイオンにそれぞれ置換され、ガラス基板が強化される。化学強化されたガラス基板は、硫酸で洗浄した後に、純水、IPA等で洗浄する。本実施の形態では、この化学強化工程まで行われた基板を半製品基板Dとする。
【0028】
(7)主表面研磨工程(最終研磨工程)
次に、最終研磨工程として、第2研磨工程を施す。第2研磨工程は、両主表面を鏡面状に仕上げることを目的とする工程である。第2研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、軟質発泡樹脂ポリッシャを用いて、両主表面の鏡面研磨を行う。スラリーとしては、第1研磨工程で用いた酸化セリウム砥粒よりも微細な酸化セリウム砥粒やコロイダルシリカなどを用いることがきる。本実施の形態では、少なくともこの工程は出荷先にて行うものとして説明する。
【0029】
次に、上記複数の製造工程における各加工処理に応じた半製品基板の出荷形態を管理する出荷形態管理装置について説明する。本実施の形態に係る出荷形態管理装置は、半製品基板から磁気ディスク用基板を作製するに際し、複数の製造段階に対応した半製品基板の特性に応じた出荷形態を管理するものである。本実施の形態では、第1ラッピング工程まで処理が行われた半製品基板A、第2ラッピング工程まで処理が行われた半製品基板B、第1研磨工程まで処理が行われた半製品基板C及び化学強化工程まで処理が行われた半製品基板Dの4つの半製品基板を例に挙げて説明するが、半製品基板に対する加工状態はこれらに限定されるものではない。
【0030】
図1は、本実施の形態に係る出荷形態管理装置の機能を示すブロック図である。図1に示す出荷形態管理装置10は、製造段階指定部11と、出荷形態データベース(DB)12と、出荷形態決定部13と、表示部14と、を備えている。この出荷形態管理装置10は、例えばPC等の端末装置で構成される。
【0031】
製造段階指定部11は、表示部14が表示する上記複数の製造段階情報の中から、磁気ディスク製造メーカ等の顧客の要望に応じた加工処理後の半製品基板に相当する製造段階を指定し、指定した製造段階情報を出荷形態決定部13に送る。本実施の形態では、製造段階指定部11は、第1ラッピング工程まで処理が行われた基板A、第2ラッピング工程まで処理が行われた基板B、第1研磨工程まで処理が行われた基板C及び化学強化工程まで処理が行われた基板Dに相当する製造段階の中から任意の製造段階を指定する。この製造段階指定部11の指定により、出荷製品となる半製品基板が指定される。
【0032】
出荷形態DB12には、少なくとも半製品基板への加工処理に応じた出荷形態を示す出荷形態情報が格納されている。図2は、出荷形態DB12に格納される出荷形態情報を示すデータベースの一例である。図2に示す出荷形態DB12は、上記半製品基板4つの加工処理後に相当する製造段階に、各加工処理後の半製品基板の板厚等と出荷形態とが紐付けられて構成されている。ここで、出荷形態とは、半製品基板の加工処理後の基板の特性(状態)を考慮して決められた形態であり、例えば、これら特性に応じた最適な梱包形態である。
【0033】
具体的には、第1ラッピング加工処理後(半製品基板Aに相当)には出荷形態Aが紐付けられ、第2ラッピング加工処理後(半製品基板Bに相当)には出荷形態Bが紐付けられている。第1及び第2ラッピング加工処理は、基板の両主表面への研磨加工処理前であるため、搬送途中に基板の両主表面に細かい傷等が付いた場合でも、搬送後に磁気ディスク製造メーカで研磨加工処理を行えば、これら傷等は除去可能である。一方、第1及び第2ラッピング加工処理後は、研磨工程前であり基板の表面粗さが比較的高い。また、化学強化されていないために強度が低い。このため、この状態での基板は、応力が集中するとクラック等が発生しやすい。そのため、出荷形態A及びBでは、例えば、使い捨て可能な梱包材で構成されると共に基板の両主表面のクラック発生が防止されるような基板収納ケースを用いる。ここで、梱包材とは、梱包に用いられる材料のことをいい、使い捨て可能な梱包材としては、例えば、段ボール材等の紙やプラスチックなどのディスク素材に傷を発生させいないような材料で形成されたものである。また、基板の両主表面のクラック発生を防止するために、例えば、基板の主表面間に、上記梱包材と同材料からなる保護部材を収容することが考えられる。従って、第1又は第2ラッピング加工処理まで処理が行われた半製品基板A又はBが出荷製品として選択された場合には、従来のように研磨加工前も研磨加工後も同一の基板収納ケースを用いていた場合に比べて、研磨加工前における基板収納ケースの回収費用や洗浄費用を削減することが可能である。
【0034】
また、第2ラッピング加工処理では基板の両主表面の凹凸除去が行われるものの、第1ラッピング加工処理では基板の両主表面の凹凸の大半は残ったままである。そのため、出荷形態Aで使用される基板収容ケースは、出荷形態Bで使用される基板収容ケースに比して、基板間距離を小さくした小型サイズの基板収容ケースを用いてもよい。なお、この場合にも上記同様に、基板の主表面間に保護部材を収容することが好ましい。従って、第1ラッピング加工処理まで処理が行われた半製品基板Aが出荷製品として選択された場合、第2ラッピング加工処理まで処理が行われた半製品基板Bが出荷製品として選択された場合と比べて基板収容ケース形成に係る材料コストを削減することが可能である。
【0035】
一方、第1研磨加工処理後(半製品基板Cに相当)には出荷形態Cが紐付けられ、化学強化処理後(半製品基板Dに相当)には出荷形態Dが紐付けられている。半製品基板C及びDは、基板の両主表面への研磨加工処理後であるため、搬送中に基板の両主表面への多少の傷が付いた場合には、再度研磨加工処理が必要となる。そのため、出荷形態C及びDでは、例えば、研磨加工がなされた基板の両主表面の傷を防止可能な基板収容ケースを用いる。
【0036】
出荷形態決定部13は、出荷形態DB12内に格納された出荷形態情報の中から、製造段階指定部11で指定された製造段階に対応した半製品基板の出荷形態情報を選択し出荷形態を決定する。
【0037】
表示部14は、製造段階指定部11による製造段階指定の際に、半製品基板への加工処理に相当する製造段階情報を表示する。また、表示部14は、出荷形態決定部13による出荷形態決定処理の際に、決定後の出荷形態を表示する。なお、製造段階指定部11、出荷形態決定部13、表示部14は、出荷形態管理システム10内に組み込まれたCPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)内の各種プログラムに従ってRAM(Random Access Memory)内のデータを演算し、各部と協働して製造段階指定処理及び出荷形態決定処理等を実行するようになっている。
【0038】
次に、図3を用いて、本実施の形態に係る出荷形態管理装置の出荷形態決定動作について説明する。ここでは、図2に示す4つの出荷形態において、第2ラッピング加工処理まで行われた半製品基板をRTP基板として出荷する場合を例に説明する。
【0039】
まず、表示部14に半製品基板A〜Dに相当する製造段階情報が表示されると、製造段階指定部11により、半製品基板A〜Dに相当する製造段階の中から所望の半製品基板(出荷製品)が指定される(ステップST31)。ここでは、製造段階指定部11により、第2ラッピング加工まで処理が行われた半製品基板Bに相当する製造段階が指定される。
【0040】
次に、出荷形態決定部13により、指定された出荷製品が第1研磨加工処理前の半製品基板か否かが判定される(ステップST32)。指定された出荷製品が第1研磨加工処理前の場合には(ステップST32;Yes)、さらに第2ラッピング加工処理前か否かが判定される(ステップST33)。出荷製品が第2ラッピング加工処理前の場合には(ステップST33;Yes)、出荷形態が出荷形態Aに決定される(ステップST34)。一方、出荷製品が第2ラッピング加工処理後の場合には(ステップST33;No)、出荷形態が出荷形態Bに決定される(ステップST35)。本実施の形態では、半製品基板Bに相当する製造段階が指定されているので、第1研磨加工処理前と判定され(ステップST32;Yes)、さらに第2ラッピング加工処理後と判定され(ステップST33;No)、出荷形態Bに決定される(ステップS35)。
【0041】
また、指定された出荷製品が第1研磨加工処理後の場合には(ステップST32;No)、さらに化学強化処理前か否かが判定される(ステップST36)。出荷製品が化学強化処理前である場合(ステップST36;Yes)、出荷形態が出荷形態Cに決定され(ステップST37)、化学強化処理後である場合(ステップST36;No)、出荷形態が出荷形態Dに決定される(ステップST38)。
【0042】
このように、本実施の形態によれば、データベース内の出荷形態情報の中から、指定された製造段階に対応した半製品基板の出荷形態(梱包方法等)を決定するので、加工処理後の基板の特性に応じて最適な出荷形態を選択することができる。特に、研磨加工処理前の出荷形態では、使い捨て可能な梱包材で出荷されるので、磁気ディスク製造メーカに対する磁気ディスク用基板の出荷後に、磁気ディスク製造メーカから基板収納ケースを回収する必要がない。従って、RTP基板のように、搬送途中で受けた細かい傷が製品に影響しないものを出荷する場合には、基板収納ケースの回収費用や洗浄費用を削減することができる。
【0043】
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上説明したように、本発明は、回収費用や洗浄費用を削減して、磁気ディスク用基板の製造コストを低減することができるという効果を有し、特に、磁気ディスク用のRTP基板の搬送に有用である。
【符号の説明】
【0045】
10 出荷形態管理装置
11 製造段階指定部
12 出荷形態データベース(DB)
13 出荷形態決定部
14 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ディスク用基板の複数の製造段階における半製品基板の出荷形態を管理する出荷形態管理装置であって、
前記複数の製造段階に応じた前記半製品基板の出荷形態を示す出荷形態情報を有するデータベースと、
前記データベース内の前記出荷形態情報の中から、指定された製造段階に対応した前記半製品基板の出荷形態情報を選択して出荷形態を決定する出荷形態決定手段と、を備えたことを特徴とする出荷形態管理装置。
【請求項2】
前記出荷形態は、研磨加工前の半製品基板を梱包する第1の出荷形態と、研磨加工後の半製品基板を梱包する第2の出荷形態と、を有し、前記第1の出荷形態は、使い捨て可能な梱包材で梱包される出荷形態であることを特徴とする請求項1に記載の出荷形態管理装置。
【請求項3】
前記半製品基板は、ガラスからなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の出荷形態管理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の出荷形態管理装置を用いることを特徴とする半製品基板の出荷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−209791(P2011−209791A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74208(P2010−74208)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【出願人】(503069159)ホーヤ ガラスディスク タイランド リミテッド (85)
【Fターム(参考)】