出血検出のためのデバイス、システムおよび方法
胆汁および血液を検出するデバイス、システムおよび方法が提供される。前記デバイスは、in−vivo流体が内部を流れることが可能な間隙を有するハウジングと、前記間隙の片側に設けられた照明光源と、前記照明光源に対向しかつ前記間隙の反対側に設けられた光検出器であって、前記光検出器は、前記in−vivo流体内を通過する光を検出する、光検出器と、前記検出された光に従って生成された前記検出された信号を送信する送信器とを含み得る。前記システムは、前記送信器から送信された前記検出された信号を受信する受信器と、プロセッサとをさらに含み得る。前記方法は、前記検出された信号と、胆汁の透過スペクトルおよび血液の透過スペクトルから計算された所定の閾値とを比較するステップと、胆汁および血液の存在および/または濃度をin−vivoで決定するステップとを含み得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、in−vivo検出の分野に関する。より詳細には、本発明は、出血をin−vivo検出するためのデバイス、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
in−vivo出血は、体内の異なる疾病に起因して発生し得る。胃腸(GI)管内の出血は、GI管に沿った多様な位置において発生し得、当該位置において異なる病状を示し得る。例えば、食道内の出血は、食道炎に起因する場合もあるし、あるいは、食道内の静脈瘤破裂に起因する場合もある。胃内の潰瘍および十二指腸内の潰瘍があると、出血の原因となり得る。下部消化管においては、結腸直腸癌に起因して、潜在出血が発生し得る。そのため、GI管に沿った出血を早期検出することが、多くの患者の治療の上で重要となり得る。
【0003】
血液検出方法においては、例えば、内視鏡を用いて出血部位(通常は急性出血)を探す方法などのいくつかの公知の方法がある。他の方法では、色素材料または放射性材料を患者に飲み込んでもらい、前記色素により血管が強調され、この血管が画像化されて、出血が検出される。使用可能な別のデバイスとして、NOVINEON HEALTHCARE TECHNOLOGY PARTNERS,GMBHによるデバイスがある。このデバイスは、空洞器官の内壁に固定され得、出血の連続監視が可能である。このデバイスは、所定の波長の光を発し、この光は、前記空洞器官の内部において少なくとも部分的に吸収または反射され、その後、このデバイスは、感光センサーを介して反射光を検出する。血液の吸収スペクトルは、「正常な」内臓の吸収スペクトルと異なる特徴的な吸収スペクトルであるため、当該空洞器官内の血液の有無にかかわらず、検出された反射に基づいて決定することができる。
【0004】
しかし、このデバイスの場合、胆汁の存在を考慮に入れていない。すなわち、小腸内にみられる胆汁の透過スペクトルは、血液の透過スペクトルと類似する場合があり、そのため、血液の存在のin−vivo決定が若干不正確になる可能性が出てくる。例えば、胆汁の透過スペクトルが血液の透過スペクトルに類似する場合、調査領域内に存在するのは実際は胆汁であるのに、デバイスでは血液の存在について表示される場合があり得る。そのため、透過スペクトルが胆汁の存在ではなく血液の存在を示すことを決定することが重要である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、in−vivo出血の検出のためのデバイス、システムおよび方法を提供する。
【0006】
本発明によるデバイスは、間隙は含む。前記間隙は、in−vivo流体が前記間隙内において自由に流れかつ前記間隙を出入りできるように、in−vivo流体と常に接触している。いくつかの照明光源があり得、これらの照明光源は、前記間隙の片側に配置され得、異なる波長において照射し、前記間隙の反対側においては、少なくとも1つの光検出器があり得る。前記光検出器は典型的には、前記光検出器が前記照明光源に対向しかつ前記間隙が前記照明光源と前記光検出器との間に配置されるように、設けられる。前記照明光源から照射された光は、前記in−vivo流体内を通過し、前記光検出器上に到達する。前記光のうち一部は前記in−vivo流体によって吸収され得、そのうち一部は反射され得、そのうち一部は前記光検出器へと透過する。その後、前記光検出器は、前記検出された光に応答して生成された信号を外部受信器へと送信し得る。前記デバイスの外部にあるプロセッサが、前記光検出器から送られた信号を処理し、前記in−vivo流体の吸収スペクトルまたは透過スペクトルを生成し得る。前記信号と、胆汁の基準透過スペクトルおよび血液の基準透過スペクトルとを比較することにより、胆汁、血液または双方がin−vivoでどのような濃度で存在するかについて決定することが可能となり、これにより、病状の存在についてin−vivoで結論を下すことが可能となる。他の実施形態において、透過スペクトルまたは吸収スペクトルの比較の代わりに、前記光検出器によって検出された個別信号と、所定の閾値との比較を行うことができる。
【0007】
本発明を用いれば、胆汁の存在をin−vivoで検出でき、これにより、光検出器によって測定された吸収スペクトルまたは透過スペクトルが血液の存在、胆汁の存在または双方の存在を示すかを決定することができるため、先行技術の不利点を解消することができる。さらに、前記システムは、in−vivoで発見された胆汁および血液双方の濃度も決定することができる。加えて、本発明において、前記システムは、前記デバイスの位置をセグメント分解能において決定することができる。例えば、前記システムは、胆汁の存在および/または濃度に基づいて、GI管セグメントに沿った前記デバイスの位置をを決定することができる(例えば、食道、胃、小腸または大腸内における前記デバイスの存在を決定することができる)。GI管に沿った異なる器官におけるデバイスの位置を決定するための他の方法も用いることができる。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態は、in−vivoデバイスのin−vivo位置(例えば、GI管に沿った位置)を決定するための他の位置特定方法について説明する。例えば、前記in−vivoデバイスは、pH検出器を含み得る。前記pH検出器は、pHレベルを連続的に検出し、前記検出されたpHを、患者身体の外部の受信器に送ることができる。GI管に沿った異なる位置においてpHレベルは異なるため、検出されたpHレベルに基づいて、in−vivo位置を知ることができる。いくつかの方法において、前記2つの方法(例えば、吸収スペクトルまたは透過スペクトルおよびpHレベル双方の検出)が組み合わされ得る。
【0009】
出血位置特定をin−vivoで行うための別のデバイスは、前記間隙内に1つ以上の区画を含み得る。これらの区画により、前記間隙はいくつかのセルに分割され得、各セルは、照明光源と、当該セルの対応する照明光源に対向する光検出器とを含む。他の実施形態において、1つの照明光源から照射された光ビームが、少なくとも1つの区画により、前記間隙を横断する2つ以上のビームに分割される。このような実施形態において、これらの区画により、前記分割された光ビームに対応する光検出器も、前記分割されたビームの光経路に対応する2つ以上の領域に分割することができる。各分割された光ビームの経路は、異なる腸コーティングによって遮断され得る。これらの腸コーティングは、前記光検出器(単数または複数)を被覆しかつ/または各セルを充填し、これにより、前記コーティングまたは充填物が、前記コーティングまたは充填物の分解を発生させるin−vivo条件と接触した場合にのみ、前記分割された光ビームが前記間隙を横断し、当該光ビームの対応する光検出器に到達することができ、その場合にのみ、前記in−vivo流体の吸収スペクトルまたは透過スペクトルが生成される。その結果、位置特定が確実に行われる。なぜならば、例えばGI管に沿った特定の位置のみにおいて、前記光経路が遮断解除され、前記流体内を光が通過し、この光が前記光検出器によって検出されるからである。前記異なるコーティングの分解を発生させるin−vivo条件は、pH、酵素活性、バクテリアの存在などがあり得る。
【0010】
本発明では、GI管に沿った出血の存在位置も決定することが可能な他のデバイスについて記載する。このようなデバイスは、in−vivo流体が内部を通過しかつ出入りすることが可能な間隙を含み得る。これらのデバイスは、基板を含み得る。前記基板上には、結合剤が付着される。前記結合剤は、血液の存在に関連する粒子のタンパク部分(例えば、ヘモグロビンのタンパク質部分であるグロビンAおよびグロビンBまたは赤血球膜上にあるタンパク質の1つであるタンパク質グリコホリンA)に結合し得る。このようなタンパク質またはタンパク質部分は、前記デバイス上に付着した結合剤に結合し得、光センサーによって照射および感知され得、これにより、血液の存在についてin−vivoで知ることができる。出血の位置をin−vivoで特定するために、前記結合剤は、異なるin−vivo条件下において分解し得る異なる腸コーティングにより、被覆され得る。例えば、多様なpHレベル、酵素活性、異なるバクテリア、および/または他の要素により、異なる腸コーティングの分解を発生させることができる。前記異なる腸コーティングを選択する際、各腸コーティングがGI管に沿った異なる位置において分解し、その場合のみにおいて、出血を示すタンパク質を搬送し得るかまたはし得ない前記in−vivo流体に対して前記結合剤を露出させる。
【0011】
本発明は、以下の詳細菜説明を添付図面と共に読めば、より深く理解および認識される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明の一実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの模式図である。
【図1B】本発明の一実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの模式的側面図である。
【図2】本発明の一実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスのプリント回路基板アセンブリの模式図である。
【図3】本発明の別の実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの模式図である。
【図4】本発明の別の実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの模式図である。
【図5】本発明の一実施形態による出血のin−vivo検出のためのシステムの模式図である。
【図6】本発明の一実施形態による出血のin−vivo検出のための方法を示す。
【図7】本発明の別の実施形態による出血のin−vivo検出のための方法を示す。
【図8】本発明の別の実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの模式図である。
【図9】本発明のさらに別の実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの模式図である。
【図10】本発明の一実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの断面の模式図である。
【図11】本発明の実施形態による、水中の血液、胆汁、および胆汁中の血液のスペクトルを示すグラフである。
【図12】本発明の一実施形態による、血液の存在をin−vivoで決定するための閾値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
簡潔さおよび例示の明確さのため、図面中に示される要素は、必ずしも縮尺通りになっていないことが理解される。例えば、これらの要素のうちいくつかの寸法は、明確さのために他の要素よりも相対的に誇張して図示している場合もあるし、あるいは、いくつかの物理的構成要素が1つの機能ブロックまたは要素内に含まれる場合もある。さらに、適切と考えられる場合、図面中、対応または類似する要素を指す際に同じ参照符号を用いる場合がある。
【0014】
以下の詳細な説明において、本発明の深い理解を提供するため、多数の詳細について説明する。しかし、当業者であれば、本発明はこれらの特定の詳細無に実施することが可能であることを理解する。他の場合において、本発明を不明瞭にしないために、周知の方法、手順および構成要素については説明していない。
【0015】
ここで図1を参照する。図1は、出血のin−vivo検出のためのデバイス10の模式図である。デバイス10の実施形態は典型的には自律型であり、典型的には内蔵型である。例えば、デバイス10はカプセルまたは他のユニットであり得、デバイス10内の全ての構成要素(例えば、電力構成要素)は実質的にハウジングまたはシェル内に収容されているため、デバイス10において、例えば電力受信または情報伝送のためのワイヤまたはケーブルなどは不要である。デバイス10は、データ、制御または他の機能のデータ表示のための外部の受信および表示システムと通信し得る。例えば、自律型システムにおいて、電力は、内部バッテリーまたは無線受信システムにより手強され得る。他の実施形態では、他の構成および能力が可能である。本発明の実施形態によれば、図1に示すように、in−vivo感知デバイス10は、in−vivoで投与可能である。デバイス10は、生体適合性材料(例えば、ポリカーボネート(例えば、Isoplast(登録商標)およびMakrolon(登録商標)))により「構成され得る。他の生体適合性材料を用いてもよい。デバイス10は、デバイス本体11を含む。デバイス本体11において、間隙12が形成されている。間隙12は、流体力学的な曲線状とすることができ、これにより、in−vivo流体が連続的に間隙12内において流れかつ間隙12を出入りすることが可能となっている。いくつかの実施形態において、間隙12の幅は4〜5mmであり得るが、他の幅を用いてもよい。流体が連続的に間隙12内において流れかつ間隙12を出入りすることが可能となるように、デバイス10は、常にin−vivo流体と接触していなければならない。そのため、いくつかの実施形態において、デバイス10は、1を若干超える特定の重力を有する。デバイス10の特定の重力が1を超えると、デバイス10は、大腸内を最適な様態で通過することができる。一方、特定の重力が若干1を上回ることにより、デバイス10が前記流体の上方に浮上することが無く(すなわち、デバイス10(およびより詳細には間隙12)が前記流体と接触し)、なおかつ、デバイス10が管腔壁の底部に沈んで自由に移動する能力を失うことのないようにすることができる。
【0016】
いくつかの実施形態において、流体以外のGI内容物が間隙12内に入るのを回避することで当該GI内容物を遮断するために、間隙12は、膜カバーまたはヒドロゲルカバーを間隙12の開口部にわたって含み得る。この膜またはヒドロゲルは、間隙12全体を被覆し、かつ、特定のサイズ以下の粒子のみを通すことが可能な穴または孔を有し得る。Thesizeof前記膜またはヒドロゲル内の孔のサイズは、in−vivo流体中を流れる血液粒子のサイズと類似するサイズの粒子の通過を許容するように、設計することができる。例えば、前記孔のサイズは、グロビンAおよびグロビンBのサイズまたはグリコホリンAのサイズに類似し得る。
【0017】
間隙12の片側において、照明光源13(例えば、LEDまたは垂直共振器面発光レーザ(VCSEL))が設けられ得、間隙12の反対側において、光検出器または光検出器14が設けられ得る。照明光源13は、LED(例えば、Osram(登録商標)によるHyperTOPLED(登録商標)およびKingbright(登録商標)によるKPHHS−1005SYCK(登録商標))でよいが、他の照明光源を用いてもよい。光検出器またはフォトダイオード14は、例えば、Texas InstrumentsからのBurr−Brown Products(登録商標)によるopt101(登録商標)、Melexis(登録商標) Microelectronic Integrated Systemsによるmlx75305C(登録商標)、またはTAOS(登録商標)(Texas Advanced Optoelectronic Solutions)によるtsl12s−e23(登録商標)であり得る。他のフォトダイオードを用いてもよい。光検出器14は、照明光源13に直接対向するように配置され、間隙12は、照明光源13と光または光検出器14との間に配置される。照明光源13は、間隙12を通じて自由に流れるin−vivo流体を照射することができ、その後、前記流体内を通過する光(前記光の一部は前記流体中の粒子によって吸収されるか、または、前記光の一部は前記流れる粒子から反射されるか)は、光検出器14によって検出することができる。いくつかの実施形態によれば、照明光源13は、血液検出手順時のエネルギーを節約するように、低周波数で照射し得る。検出器14は、照明光源13と同期して起動することもできる(例えば、照明光源13および光検出器14は、10秒毎にまたは1分毎に検出することができる)。他の周波数を用いてもよい。
【0018】
デバイス10は、照明光源13および光検出器14が電子的に接続されたプリント回路基板アセンブリ(PCA)15をさらに含み得る。PCA15は、硬質部位および可撓性部位で構成され得る。PCA15上には、送信器20およびアンテナ21がさらに取り付けられ得る。光検出器14は、前記in−vivo流体を通じて送られた前記検出された光によって生成された信号を前記送信器に送り得る。エネルギーを保存するために、送信器20は、光検出器14と同期することができる。デバイス10は、バッテリー18(例えば、酸化銀電池)と、バッテリー接点17および19とをさらに含み得る。これらのバッテリー接点17および19はどちらとも、PCA15上に取り付けられる。バッテリー18は、デバイス10がGI管全体内を通過している間(例えば、少なくとも72時間の間)はデバイス10が動作し続けることが可能なだけの十分な電直を供給しなければならない。
【0019】
照明光源13は、いくつかの(例えば、少なくとも4つの)白色LEDを特定の狭波長における照射のための異なるフィルタと共に含んでもよいし、または、異なる特定の波長における照射のためのいくつかの(例えば、少なくとも4つの)異なるVCSELを含んでもよい。照明光源13は典型的には、(図11〜図12を参照して詳細に説明するように)異なる狭帯域照射(例えば、560nm、610nm、700nmおよび800nm)において照射し得る少なくとも4つの照明光源を含み得る。これらの照明光源13は、光検出器14によって常に検出されている異なる照明光源を区別するために、交互モードまたは順次モードにおいて、異なるパルス持続時間と共に動作し得る。例えば、1つの照明光源13は、前記in−vivo流体を特定の所定の期間にわたって照射した後に停止することができ、第2の照明光源は、前記in−vivo流体を別の期間にわたって照射することができる。第2の照明光源による照射が停止した場合、第3の照明光源がさらに別の所定の期間にわたって照射を開始することができる。第3の照明光源の動作が停止した場合、第4の照明光源が動作を開始することができる。第4の照明光源の動作が停止すると、第1の照明光源が照射を再開することができる、といった具合に動作が続く。いくつかの実施形態において、前記所定の照射継続時間は各照明光源によって異なり得るが、他の実施形態において、これらの照明光源全てが1つずつ順次に同じ長さの継続時間で照射することもできる。その後、光検出器14は、4つの照明光源13のうちの1つから前記in−vivo流体を通じて送られた光を同時に検出することができる。
【0020】
他の実施形態によれば、白色光広帯域照明光源13が設けられ得、光検出器14は、少なくとも4つの光検出器を含み得る。各光検出器14は、in−vivo流体内を通過した光を異なる波長において収集するための異なるフィルタを含み得る。これらのフィルタは、狭帯域フィルタ、干渉フィルタまたは回折光学素子(DOE)フィルタであり得る。
【0021】
デバイス10がGI管内を通過している間または通過した後、光検出器14によって検出された信号は、送信器20により、患者の身体(図示せず)の外部にある外部受信器へと送られる。受信器は、プロセッサを含み得る。このプロセッサは、前記少なくとも4つの波長から検出された信号に従って、前記in−vivo流体の透過スペクトルを生成し得る。このプロセッサは、前記in−vivo流体の透過スペクトルと、胆汁の基準透過スペクトルおよび血液の基準透過スペクトルとをさらに比較し得る(図11に図示)。これらの基準透過スペクトルは、胆汁の透過スペクトルおよび水中の血液の透過スペクトルおよび異なる濃度の胆汁対血液の透過スペクトルを検出することにより、生成される。そのため、このプロセッサは、胆汁が存在するかについてのin−vivo検出、血液が存在するかについてのin−vivo検出、または胆汁および血液双方が存在するかについてのin−vivo検出を決定することができる。さらに、前記プロセッサは、前記測定された透過スペクトルと、前記基準スペクトルとを比較し、胆汁、血液または双方の濃度を決定することができる。胆汁および血液がどちらとも存在する場合、前記プロセッサは、前記測定された透過スペクトルと前記基準スペクトルとを比較することにより、前記胆汁と前記血液との間の比が出血を示しているか、、または、同結果が高濃度の血液(実際の出血は無し)を示しているかを示すことができる。このような結果からも、病状を知ることができる。他の実施形態において、血液の濃度と、他の検出されたin−vivoデータとは、前記血液の位置をin−vivoで示し得る。他の実施形態において、透過スペクトルまたは吸収スペクトル間の比較の代わりに、図11〜図12を参照して以下に詳細に説明するように、前記光検出器によって検出された信号と、所定の閾値との間の比較を行うことができる。
【0022】
他の実施形態において、いくつかの(例えば、少なくとも4つの)照明光源13があり得る。各照明光源13は、異なる狭帯域照射において照射し、対応する数の光検出器14が設けられ得る。これら4つの光検出器14はそれぞれ、自身の対応する照明光源13に対向するように配置され得、各間隙12がその間に設けられる。1つの照明光源13からの光が対応しない光検出器14によって検出されないようにするために、前記光を、先ずコリメータを通過させた後にのみ、前記in−vivo流体を通過させる。各狭帯域照明光源13は、コリメータを含み得る。このコリメータは、前記光が前記流体を通過して自身の対応する光検出器14に到達する前に、前記光をコリメートする。光検出器14は、前記間隙の反対側において前記照明光源に対向するように、配置される。光検出器と照明光源との間の相関を達成するための別の方法として、各光検出器14が特定の(そして恐らくは異なる)波長の光を検出できるように、これらの光検出器上に異なるフィルタを配置する。これらのフィルタは、狭帯域フィルタ、干渉フィルタまたは回折光学素子(DOE)フィルタであり得る。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、デバイス10は、pH検出器(図示せず)を含み得る。pH検出器の一例として、米国特許第6,689,056号に開示されるようなEndonetics Inc.によるpH検出器であり得る。このようなpH検出器は、pHレベルを連続的に検出することができ、送信器20は、前記検出されたpHと、光検出器14によって検出された信号とを、患者身体の外部の受信器に送ることができる。GI管に沿った異なる位置におけるpHレベルは実質的に異なるため、前記検出されたpHから、in−vivo位置を知ることができる。例えば、胃中のpHは1〜4と低酸性であり、小腸中のpH値は7〜8(弱アルカリ性)であり、大腸中のpHは5.5〜7(弱酸性)である。
【0024】
他の実施形態において、血液が検出されたin−vivo位置をアルゴリズム(例えば、米国特許第7,596,403号に開示されているもの)により、計算することができる。米国特許第7,596,403号において、身体管腔における経路長さ(例えば、特定位置までの経路長さまたは距離)を決定する方法が開示されている。光検出器14によって光信号が検出された位置でありかつ血液の存在を示し得る位置であるin−vivo位置を決定するために、この情報は、単独で用いてもよいし、あるいは、他のin−vivoデータ(例えば、pH)と組み合わせて用いてもよい。
【0025】
デバイス10は、内服用カプセルであり得る。典型的には、デバイス10を患者に飲み込んでもらうことにより、デバイス10を患者のGI管に挿入する。他のデバイス10の挿入方法(例えば、カプセル送達デバイス(例えば、米国特許第6,632,171号および米国特許第6,884,213号に開示されているようなもの)または外科手術によるもの)を用いてもよい。デバイス10は、自然の蠕動運動を通じてGI管に沿って移動し得る。
【0026】
ここで、図1Bを参照する。図1Bは、本発明の一実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの模式的側面図である。図1Bは、図1A中に示されるデバイス10の模式的側面図である。図1Bは、デバイス10の側部を示し、PCA15の硬質部位の形状を主に示す。PCA15上に、照明光源13が取り付けられる。PCA15の同じ形状の硬質部位を用いて、光検出器14を照明光源13に対向した様態で取り付けて、これにより、光検出器14が直接照明光源13に対向させる。この実施形態において、照明光源13が取り付けられるPCA15の硬質部位の形状を半円状に図示している。しかし、間隙12のいずれかの側部のデバイス10の側部の形状およびサイズに適合する限り、他の形状を用いてもよい。典型的には、デバイス10の形状は、鋭角部の無い円形状に仕上げるべきであり、これにより、内服または他の方法のいずれかによるin−vivo挿入に適したものとし、これにより、挿入時に組織が損傷を受けないようにする。さらに、デバイス10は、円形縁部を有するように設計すべきであり、これにより、デバイス10がGI管に沿って自然蠕動によって移動している際に組織を損傷させることの無いようにする。従って、照明光源13および光検出器14の接続先となるPCA15の硬質部位を半円形状とすると、好適であり得る。他の実施形態において、PCA15の硬質部位はin−vivo組織と実際に接触する部分であるため、PCA15を被覆するデバイス10のシェルまたはハウジング16の形状が鋭角ではなくかつin−vivo挿入に適したものである限り、他の形状(例えば、三角形、長方形、および四角形)をPCA15に用いてよい。例えば、PCA15を被覆するデバイス10のハウジングのシェルまたはハウジング16は、PCA15がどんな形状であれ、円形の丸み付けされた半円形であり得る。部分16は典型的には、円形縁部を有する透明窓部である。
【0027】
ここで図2を参照する。図2は、本発明の一実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスのプリント回路基板アセンブリ(PCA)の模式図である。本発明の一実施形態によれば、図2に示すように、プリント回路基板アセンブリ(PCA)15が設けられる。PCA15は、硬質部位15rと、可撓性部位15fとを含み得る。
【0028】
上記の図1Bにおいて示すように、一実施形態において、照明光源13および光検出器14がそれぞれ取り付けられた2つの硬質部位15r’および15r’’は、半円形状である。しかし、他の形状を用いてもよい。PCA15は、各硬質部位15rの端部が可撓性部位15fとなるように、設計され得る。可撓性部位15f’および15f’’は、PCA15の形状がデバイス10の容積内に入るように。折り畳むことができる。例えば、可撓性部位15f’および15f’’はそれぞれ、一端において2つの硬質部位15r’および15r’’それぞれの端部に接続され、かつ、1つの共通硬質部位15r’’’に接続される。その後、デバイス10のU形状に適合するU形状を形成するように可撓性部位15f’および15f’’を折り畳み、これにより、間隙12に対して硬質部位15r’と硬質部位15r’’との間に空間ができるようにする。
【0029】
別の硬質部位15r’’’’は、可撓性部位15f’’’を通じて、U形状のPCA15の底部に設けられた硬質部位15r’’’へと接続することができる。硬質部位15r’’’には、バッテリー接点17が接続され得、バッテリー接点17には、バッテリー接点19が対向し得る。これらのバッテリー接点19は、硬質部位15r’’’’に接続される。バッテリー接点17とバッテリー接点19との間には、(図1A〜図1Bに示すように)バッテリー18を挿入することができる。さらに、PCA15は、送信器20およびアンテナ21を含み得る。送信器20およびアンテナ21は、無線通信(例えば、RF通信)により、光検出器14によって検出された信号を(図3に示す)外部受信器へと送ることができる。他の通信方法を用いてもよい。送信器20は、制御能力(例えば、デバイス10の多様な動作の制御)を含み得るが、制御能力または1つ以上の制御局面を別個の構成要素内に採用してもよい。送信器20は典型的には、ASIC(特定用途向け集積回路)の一部であるが、他の構造物の一部であってもよい(例えば、送信器20を、命令を実行するプロセッサとしてもよい)。デバイス10は、送信器20と別個の処理ユニットを含み得る。この処理ユニットは、例えば、命令を収容または処理する。
【0030】
ここで図3を参照する。図3は、本発明の別の実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの模式図である。本発明の実施形態によれば、図3に示すように、デバイス300は、図1A〜図1Bに示すようなデバイス10と類似し得る。デバイス300は、デバイス本体またはシェル311を含み得る。デバイス本体またはシェル311は、照明光源313と、PCA315上に取り付けられた光検出器314とを含み得る。
【0031】
しかし、デバイス10とは対照的に、デバイス300が有するさらなる特徴として、1つ以上の区画301がある。これらの1つ以上の区画301は、1つ以上のセル(例えば、セル312a、312bおよび312c)を形成するように、照明光源313と光検出器314との間の間隙312にわたって編成される。区画301により、各セルに対して固有の照明光源313および固有の光検出器314が設けられるようにしつつ、複数のセル312a〜312cが形成される。これらの照明光源313および光検出器314は、各セル内において相互に対向して配置される。典型的には、各照明光源313およびその対応する光検出器314は、相互に対向する。セル312a〜312cはそれぞれ、in−vivo流体と接触し得る。
【0032】
出血のin−vivo検出およびGI管に沿った出血位置の決定のために、セル312a〜312cを、異なる腸コーティング材料で充填しかつ/またはコーティングすることができる。各セルは、開口するように設計され得(すなわち、当該セルをコーティングしかつ/または充填する腸コーティング材料は、分解するように設計され)、これにより、照明光源313からの光をin−vivo流体内において通過させることができる。この光は、前記セル内を自由に通過し前記セルを自由に出入りして、GI管に沿った異なる位置において光検出器314に到達する。例えば、(例えばデバイス300の内服によって)デバイス300をin−vivo挿入するために、セル312a〜312c全てを特定の腸溶性材料で充填しかつコーティングする。デバイス300が食道および胃に到達すると、例えば、胃環境(例えば、ゼラチン)内にある際に分解するように設計された充填材によって充填されたセル312aが開口する。セル312a中の充填材が分解すると、胃からのin−vivo流体が流れて、セル312aを出入りし得る。その後、照明光源313からの光は、さきほどまでセル312aの充填物および/またはコーティングによって遮断されていた光検出器314に到達し得る。光検出器314は、セル312a内にあり、光信号を検出し、これらの光信号を送信器(例えば、デバイス10におけるような送信器20)を通じて外部受信器へと送ることができる。他の実施形態において、セル312aは、胃中の血液を検出するように設計されているが、コーティングは何も施さなくてよい。なぜならば、胃は、デバイスがGI管を通じて実際に移動する際に到達する最初の器官であるからである。
【0033】
デバイス300がGI管に沿って進み続けると、小腸に到達する。セル312bをコーティングおよび充填する材料は、胃液中に存在する低pH(例えば、約3前後のpH)に耐えかつより高いpH(例えば、5.5を超えるpH)中において分解し得、これによりセル312bの内容物を空にすることが可能な材料である。セル312b内を充填している材料が無くなると、小腸のin−vivo流体がセル312b内に自由に入り、セル312bから自由に出ることが可能となり、これにより、照明光源313からの光が前記in−vivo流体内を通過し、セル312b内の光検出器314に到達することができる。他の小腸特定の材料(例えば、胃内のデバイス300が小腸に到達するまでのおおよその既知の通過時間に対応する所定の期間後に分解する時間依存性材料)を用いてもよい。in−vivoデバイスの胃内における典型的な通過時間は、数分間から1時間である(「Capsule endoscopy−Transit abnormalities」(LewisB.、GI Endoscopy Clinics of NorthAmerica)を参照)。使用可能な材料のさらなる例は、例えば、小腸に依存する酵素反応によって異なり得る。
【0034】
このデバイスは、GI管に沿ってさらに移動して、大腸に到達し得る。前記デバイスが大腸に到達すると、セル312cを充填している材料(この材料は、大腸流体中において特異的に分解するように設計された材料で構成され得る)が分解し得、これにより、セル312c内の照明光源313からの光が大腸流体を通過し、セル312c内の光検出器314に到達し得る。その後、セル312cの光検出器314は、大腸流体の光信号を検出し、これにより出血を検出することができる。セル312cを充填している材料の分解は、pH性であり得る。5.5を越えるpH中にのみおいて分解するpH依存性充填物の例は、メタクリル酸共重合体(例えば、Eudragit(登録商標)ポリマー)で構成され得る。多様なグレードのメタクリル酸共重合体があり、これにより、各種のEudragit(登録商標)ポリマーが異なるpHレベルにおいて分解する。他の腸溶性ポリマーを挙げると、ポリ酢酸ビニルフタレート、ヒドロプロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロース、およびセルロースアセテートトリメリエート、またはこれらの組み合わせがある。これらのポリマーは、セルを充填するためのマトリックスとして作製され得る。
【0035】
大腸中における分解専用の他の充填(およびコーティング)材料は、大腸バクテリアの存在下においてまたは大腸に特異的な酵素反応に起因して分解するポリマーであり得る。例えば、マトリックス構成における生分解性ポリマーまたはアゾポリマーを、充填材として(またはコーティング中に)用いることができる。なぜならば、これらのポリマーは、大腸中に存在するアゾバクターによって発生するアゾレダクターゼ酵素に起因して分解するからである。他の大腸中の特異的材料は、多糖類マトリックスによって構成され得る。多糖類マトリックスは、胃および小腸中では完全なままであるが、大腸中では細菌性多糖類(例えば、アミラーゼ、グァーガム、ペクチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、コンドロイチン硫酸、デキストランおよびローカストビーンガム)によって分解される。
【0036】
他の材料も、デバイス300が大腸に到達するまでのデバイス300の小腸中におけるおおよその既知の通過時間に対応する所定の期間の後に分解するような、時間依存性であり得る。小腸中におけるin−vivoデバイスの典型的な通過時間は、追加を全く考慮しない場合、2〜8時間である(「Enhanced Diagnostic Yield with Prolonged Small Bowel Transit Time During Capsule Endoscopy」(Buscagliaら、International Journal of Medical Sciences)を参照)。従って、例えば大腸内のみにおいて分解するようになっている、セル312cを占有する充填物またはコーティング材料を、デバイス300の内服後6時間経過後に分解するように設計すればよい。6時間は、デバイス300が胃を通過するのにかかるおおよその通過時間である1時間と、デバイス300が小腸を通過するのにかかるおおよその通過時間である5時間との合計であり得る。デバイス300が大腸に到達するまでのデバイス300の小腸内における通過時間は、デバイス300をGI管に挿入する手順を緩下剤および増進剤の内服と共に行うことにより、制御および短縮することができる。デバイス300(または10)を挿入し、血液の存在を決定する手順を実質的に短時間で行わなければならない場合、デバイス300の挿入の前および/または後の特定の時期に増進剤を内服する(例えば、特定の時間において大量の食事を取る)よう患者に指示することができる。他の方法としては、前記手順の時間を短縮するための緩下剤の内服がある。
【0037】
セル312a〜312cの各セル内の照明光源313は、2つ以上の照明光源(例えば、3つまたは4つの照明光源)を含み得る。そのため、対応する数の光検出器314を各セル内に設けることができる。各セル内の複数の光検出器314はそれぞれ異なるフィルタを含み得、これにより、GI管に沿った各特定の位置においてin−vivo流体を通過する特定の波長の光を、対応する光検出器によって検出することができる。各セル内の光検出器によって検出された信号は、特定の波長における信号と、基準としての胆汁および血液の透過スペクトルとを比較することができ、これにより、胆汁の存在、血液またはこれら両方についての結論を下すことができる。
【0038】
他の実施形態において、複数の別個の間隙が設けられ得る。各間隙は、デバイス300の外周に沿って異なる側部に配置される。各間隙はデバイスの外周に配置されるため、各間隙はin−vivo流体と接触することができる。これらの間隙は、デバイス300の異なる側部上に配置され得る。各間隙は、複数の照明光源と、光検出器とを含み得る。これら複数の照明光源はそれぞれ、異なる波長において照射する。この光検出器は、各間隙内において流れて各間隙を出入りするin−vivo流体から出される光信号を検出する。いくつかの実施形態において、各間隙は、上述したようにGI管に沿った異なる位置において開口または分解するように設計された異なるコーティング/充填物により、コーティング/充填され得る。
【0039】
他の実施形態において、1つの間隙が設けられ得る。この1つの間隙は、特定の波長において照射する複数の照明光源と、光検出器とを含む。デバイス300の外周に沿った別の側部において、複数のセルまたはチャンバが設けられ得る。これらの複数のセルまたはチャンバには、GI管に沿った異なる位置において開口するように設計された異なるコーティングが施されている。これらのチャンバはそれぞれ、光検出器を含み得る。この光検出器は、前記チャンバが開口しているかまたは未だ閉口状態のままであるかを検出することができる。これらのチャンバは小型光源も含み得、これにより、チャンバ内の光検出器が暗画像を検出した場合、前記チャンバが未だ並行状態であると推定することができ、前記光検出器が明画像を検出した場合、前記チャンバが開口している(すなわち、前記チャンバを占有しているコーティングおよび/または充填物が分解した)と推定することができる。前記間隙内の光検出器からの情報と、前記チャンバの画像とを組み合わせることで、血液の存在をin−vivoで知ることができ、その位置もin−vivoで知ることができる。
【0040】
ここで図4を参照する。図4は、図3の実施形態および本発明の別の実施形態による、出血のin−vivo検出のためのデバイス300の模式的上面図であり、閉口状態のセル312a〜312cを示す。いくつかの実施形態によれば、区画301は不透明であり得、これにより、1つのセルからの照射が隣接セルに到達しないようになっている。いくつかの実施形態において、照明光源313は、照明光源313からの照射がセル312a〜312cそれぞれに到達するように、PCA315上に配置され得る。例えば、照明光源313を複数の照明光源に分割することで、各セル312a〜312cを照射する1つ以上の照明光源を各セル312a〜312cに対して設けることができる。
【0041】
そのため、光検出器314は、in−vivo流体を通過した光の光信号がセル312a〜312cそれぞれによって検出されるように、PCA315上に配置され得る。例えば、各セル312a〜312cが(恐らくは、異なる波長において照射する照明光源の数に対応する数だけの)1つ以上の光検出器を有するように、光検出器314を複数の光検出器に分割することができる。他の実施形態によれば、デバイス300は、セル312a〜312cそれぞれに対し、白色広帯域照射を照射する1つの照明光源を含み得、各セルは、複数の光検出器を有し得る。これら複数の光検出器はそれぞれ、異なる特定の波長または波長範囲において光信号を検出する。これら複数の光検出器は典型的には3つ〜4つの光検出器であり、特定の波長の光を検出できるように、フィルタを含み得る。このようなフィルタは、狭帯域フィルタ、干渉フィルタまたは回折光学素子(DOE)フィルタであり得る。
【0042】
照明光源313は、光検出器314の動作に依存せずに、セル312それぞれを連続的に照射し得る。いくつかの実施形態において、セル(例えば、セル312b)内に未だ腸溶性材料が充填されている場合、照明光源313からの光は、セル312b内の光検出器314に到達することができない。デバイス300の内部またはデバイス300の外部にあるプロセッサは、照射パルス持続時間を制御することができる。光検出器314が信号を検出しなかった場合、照明光源313を低フレームレートで照射するように調節するか、または、各期間間の長い持続時間と共に短期間のみにわたって照射するように調節する。同様に、デバイス300の電力をより節約できるように(「スリープモード」)、セル312b内の光検出器314を低フレームレートにおいて光信号を検出するように調節することができる。しかし、セル312b内の充填材が分解した場合、セル312b内の光検出器314は、光信号の検出を開始する。このときに、プロセッサは、照明光源313および光検出器314(またはこれらのうち1つのみ)を制御して、高レートによる照射および高周波数における光信号の検出をそれぞれ行う(「覚醒モード」)ことができる。
【0043】
いくつかの実施形態において、GI管に沿った異なる位置において開口する異なるセル312a〜312cを形成する区画301を含むデバイス300の代わりに、デバイス300は、pH検出器(図示せず)を含んでもよい。pH検出器は、pHレベルを連続的に検出し、前記検出されたpHを患者身体の外部にある受信器へと送ることができる。GI管に沿った異なる位置pHレベルはそれぞれ異なるため、検出されたpHから、特定のin−vivo位置を知ることができる。他の実施形態によれば、前記pH検出器は、前記複数のセルs312a〜312cとは別のさらなるセンサーであり得る。
【0044】
いくつかの実施形態において、デバイス300は、身体管腔内へのデバイス挿入後の経過時間の表示を支援し得るカウンターをさらに含み得る。このようなカウンターにより、位置(例えば、GI管に沿った位置)をin−vivoで概算することが可能となる。すなわち、デバイス挿入からGI管に沿った特定の器官への到達までの時間を、統計(例えば、蠕動運動の持続時間に関する研究)に基づいて理解することもできるし、あるいは、デバイス挿入手順に増進剤および緩下剤の内服が含まれる場合に所定の時間軸に基づいて理解することもできる。
【0045】
ここで図5を参照する。図5は、本発明の一実施形態による出血のin−vivo検出のためのシステムの模式図である。デバイス10は、図2に示すような送信器20を含み得る。デバイス10またはデバイス300は、in−vivo流体内を通過して検出された照射を外部受信器52へと送り得る。受信器52は、デバイス10またはデバイス300から送られたデータを保存するメモリユニットを含み得る。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態によるシステムは、in−vivo感知デバイスを含む。このin−vivo感知デバイスは、光信号および/または他の情報(例えば、画像、pH値など)をデータ受信器および/またはレコーダ52へと送る。このレコーダ52は、被検者の近隣に設けることもできるし、あるいは、被検者が装着することもできる。データ受信器および/またはレコーダ52はもちろん、他の適切な構成をとることができる。データ受信器および/またはレコーダ52は、前記受信された情報をより大型のコンピューティングデバイス54(例えば、ワークステーションまたはパーソナルコンピュータ)へと転送し得る。コンピューティングデバイス54において、前記データについてのさらなる分析、保存および/またはユーザへの表示が行われる。他の実施形態において、ディスプレイ56は、コンピューティングデバイス54の一部ではなく別個のユニットであり得る。他の実施形態において、これら多様な構成要素はそれぞれ不要である。例えば、内部デバイスからの情報を直接表示システムまたは処理システムへと直接送信するかまたは他の場合に(例えば配線により)転送することができる。
【0047】
いくつかの実施形態において、コンピューティングデバイス54は、処理ユニットおよび記憶ユニットを含み得る。前記処理ユニットは、光検出器14(または314)によって検出された光信号からの透過スペクトルを生成し得る。この透過スペクトルは、in−vivo流体の透過スペクトルに対応する。その後、前記処理ユニットは、前記生成された透過スペクトルと、(例えば、胆汁の)基準透過スペクトルとを比較し得る。処理ユニットは、スペクトル全体を比較することもできるし、あるいは、胆汁が相関位置に存在するかをin−vivoで決定するために、複数の値のみを比較することもできる。例えば、照明光源14または314は、約500nm、700nmおよび850nmの波長において照射し得る。波長450nmと波長700nmとの間の胆汁の透過比は極めて高く(およそ1000)、血液の透過スペクトルの振る舞いと類似している。そのため、特定の位置における胆汁の存在をin−vivo決定するためには、胆汁の透過スペクトルのみに対して固有でありかつおよび血液の透過スペクトルには存在しない固有の結果を導き出せるさらなる比を計算する必要がある。例えば、波長700nmと850nmとの間の比を上記位置において計算する。その後、700nmと850nmとの間のこの比を基準値と比較する。この基準値は、水中の胆汁の透過スペクトルから計算することができ、胆汁の存在を示すことができる。胆汁中の700nmと850nmとの間の比は典型的には、血液中における比よりも大きいことが多い。従って、この比は、両者間の差を示す際に適している。in−vivo信号から計算された比が、前記プロセッサが前記基準スペクトルに基づいて計算した特定閾値を越えた場合、これは、700nmと850nmとの間の比が計算された当該特定の位置における胆汁の存在をin−vivoで示し得る。
【0048】
血液の存在をin−vivo決定するためには、さらなる比を計算し、この比を基準と比較する必要がある。例えば、波長576nmと波長700nmとの間の透過比を計算する。その後、この比と、基準値とを比較する。この基準値は、水中の血液の透過スペクトルから計算することができる。前記検出された信号から計算された比が血液の基準透過スペクトルに基づいて計算された特定の閾値を超える場合、この結果から、病状をin−vivoで示し得る血液の存在を知ることができる。
【0049】
従って、血液の存在をin−vivoでおよび/または胆汁の存在を決定するために、照明光源13または313は典型的には、3つの異なる波長(例えば、576nm、700nmおよび850nm)において照射し得る。他の波長の選択肢を挙げると、415nm、540nm、560nm、700nmおよび850nmがある。典型的には、全ての比において特定の波長が用いられる。この波長は、血液中での透過率が高い波長(例えば、700nm)でなければならない。
【0050】
さらに、血液が酸化しているか否かについても、知ることができる。すなわち、水中の血液の透過スペクトル中には2つの最小ピークがあり、そのうち1つ波長は約542nmであり、そのうち他方の波長は約576nmである。これらのピークから、酸化した血液の存在を知ることができる。検出された信号によって生成された透過スペクトル中のピークの波長が約542nmおよび約576nmではない場合、血液が酸化していないことが分かる。従って、デバイス10または300が5つの異なる波長を有する5個の照明光源を含む場合、前記プロセッサは、胆汁の存在と、血液の存在と、血液が酸化しているかとを示し得る。例えば、これらの5個の波長は、415nm、542nm、576nm、700nmおよび850nmであり得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、ディスプレイ56は、in−vivo流体の透過スペクトルを表示し得る。他の実施形態において、ディスプレイ56は、maydisplay前記透過スペクトルを他の情報(例えば、光信号が検出された位置である相関in−vivo位置におけるpH値)と共に表示し得る。他の実施形態において、デバイス10が例えば画像装置および広帯域照射(すなわち、白色光)を含み得る場合、in−vivo画像を単独でまたは血液/胆汁または双方が検出されたin−vivo位置と共に表示することができる。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、受信器52は、使い捨て型の受信器であり得る。いくつかの実施形態において、前記受信器は、装着可能な使い捨て型パッチであり得る。患者は、例えば出血検出目的ののためにin−vivo環境を監視するために、前記受信器を装着し、新規のデバイス10または300を毎日1週間にわたって服用し得る。このようにする理由は、出血は一定した病状ではなく、ある日に出血が発生し、その後1〜2日間出血が発生せず、その後別の日に出血が見られる場合があるからである。そのため、患者に新規デバイスを毎日1週間にわたって挿入することにより、長期間(例えば、1週間)にわたって出血を監視する必要がある場合がある。前記受信器は、GI管に沿って血液が検出された位置を示し得る可視指示を含み得る。例えば、前記受信器は、GI管に沿った多様な位置(例えば、食道、胃、小腸および大腸)に対応する異なるLEDを含み得る。これらのLEDは、光検出器(14または314)により出血が検出された際に、発光し得る。例えば、小腸内において出血が検出された場合、小腸に対応するLEDが発光することで、患者および/または医師に対し、当該患者の状態を通知することができる。
【0053】
他の実施形態において、患者および患者の医師に対して患者の状態を通知するための他の方法があり得る。さらに他の実施形態において、前記通知を暗号化することで、当該患者の医学的状態が患者には分からないようにし、医師だけが前記通知を読解することができるようにすることができる。このようにすると、患者が手順の結果を見て理解することができる場合に患者が苦悩および心配するのを回避するために有用であり得る。
【0054】
ここで図6を参照する。図6は、本発明の一実施形態による出血のin−vivo検出のための方法を示す。図6による方法は、in−vivo流体を異なる波長において照射するステップ(610)と、前記in−vivo流体の透過スペクトルを測定するステップ(620)とを含み得る。前記方法は、前記in−vivo流体の前記透過スペクトルと、特定の波長における所定の胆汁の透過スペクトルとを比較するステップ(630)をさらに含み得る。この比較ステップは、デバイス10または300内のプロセッサによって行ってもよいし、あるいは、デバイス10または300の外部にあるプロセッサによって行ってもよい。前記スペクトル間の比較により、前記特定の位置における胆汁の存在がin−vivoで決定され得る(640)。前記方法は、前記in−vivo流体の前記透過スペクトルと、特定の波長における血液の所定のスペクトルとを比較するステップ(650)を含み得、これにより、前記透過スペクトルに従って血液の存在を決定する(660)。他の実施形態において、透過スペクトルまたは吸収スペクトル間の比較の代わりに、前記方法は、図11〜図12を参照して以下に詳細に説明するように、光検出器によって検出された離散的信号と、所定の閾値とを比較するステップを含み得る。
【0055】
ここで図7を参照する。図7は、本発明の別の実施形態による出血のin−vivo検出のための方法を示す。この請求項7による方法は、胃腸(GI)管に沿ったセグメント分解能においてin−vivo感知デバイスを局所化し、各位置において血液の存在を検出する方法であり得る。前記方法は、in−vivo感知デバイスを患者のGI管に挿入するステップ(710)を含み得る。本発明の実施形態によれば、前記デバイスは、間隙と、1つ以上の照明光源と、光検出器とを含み得る。前記間隙を通じて、in−vivo流体が流れて出入りする。前記1つ以上の照明光源は、前記間隙の片側に配置される。前記光検出器は、前記間隙の他方側において前記照明光源に対向して配置される。例えば、前記in−vivoデバイスは、デバイス10またはデバイス300であり得る。前記デバイスは、反対側において前記間隙を含む前記デバイスの他端上において、画像装置および広帯域白色光照明光源をさらに含み得る。前記方法は、in−vivo流体を異なる波長において照射するステップ(720)と、前記in−vivo流体の透過スペクトルを測定するステップ(730)とを含み得る。前記デバイスの内部または前記デバイスの外部にあるプロセッサは、前記in−vivo流体の前記透過スペクトルと、所定の胆汁の透過スペクトルとを比較するステップ(740)を行い得、これにより、胆汁の濃度を決定する(750)。各位置におけるin−vivo胆汁濃度に従って、前記プロセッサは、セグメント分解能における前記透過スペクトルの各点における前記in−vivoデバイスの位置を決定するステップ(760)を行い得る。いくつかの実施形態において、プロセッサは、デバイス10または300内にあるか、またはデバイス10または300の外部にあり、あるいは、外部ユーザ(例えば、医師)が、前記デバイスの前記in−vivo位置を決定するステップを行ってもよい。前記方法は、前記透過スペクトルに従って血液の存在を決定するステップをさらに含み得、これにより、血液がin−vivoで存在するかそしてどの位置にあるかを決定することができる。他の実施形態において、透過スペクトルまたは吸収スペクトル間の比較の代わりに、前記方法は、図11〜図12を参照して詳細に説明するように、前記光検出器によって検出された処理された離散的信号と、所定の閾値とを比較するステップを含み得る。
【0056】
他の位置特定方法では、画像装置と、間隙を含むデバイスの端部の反対側にある白色光とを含まれ得、これにより、in−vivo画像により、in−vivo位置と、血液の存在に関する決定とを示すことができる。他の実施形態において、前記デバイスはpH検出器を含み得、これにより、検出されたpHレベルに基づいて、前記デバイスのGI管に沿った位置を決定することができる。さらに他の実施形態において、前記デバイスの位置特定を胆汁のスペクトル情報を用いて行うことができる。血液のスペクトル情報から血液の存在をin−vivoで知ることができるため、in−vivo画像に基づいて、組織上のあらゆる出血源を知ることができる。
【0057】
ここで図8を参照する。図8は、本発明の別の実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの模式図である。本発明の実施形態によれば、in−vivo感知デバイス800は、反応性基板801を含む。反応性基板801は、デバイス800の長手方向軸に対して垂直方向に配置され得る。反応性基板801の情報には不透明カバー820が設けられ得る。不透明カバー820は、長手方向軸に対して垂直方向に配置される。不透明カバー820により、管腔壁が反応性基板801から遠隔方向に押圧され、かつ、反応性基板801が周囲のinvivo方位物から良好に隔離される。
【0058】
不透明カバー820は、デバイス800内において感知されたデータを、不透明カバー820の存在が無い場合に感知され得るデータから隔離することを支援する。(例えば、内服用画像化カプセルにおいて公知のような)透明カバーではなく不透明カバー820を設けることにより、デバイス800は、デバイス800の外部において発生する反応からいかなる干渉を受けること無く、デバイス800内において発生する反応の情報のみを感知および収集する能力を持つことができる。その結果、高い信号対ノイズ比の達成が支援される。
【0059】
不透明カバー820は、少なくとも2つの開口部821を含む。これら少なくとも2つの開口部821により、in−vivo流体がデバイス800の本体内を連続的に流れることが可能となる。いくつかの実施形態によれば、開口部821の形状は、開口部821内におけるin−vivo流体の流れを誘発する形状(例えば、円錐台形状)であればよく、ここで、前記円錐の基部は、デバイス800と周囲のin−vivoとの間の界面に設けられ、その直径は、デバイス800内に進む方向において低減する。これにより、デバイス800内を通過する流体の濃度を増加させ、不透明カバー820内に形成された空間内へ前記少なくとも2つの開口部821を通じて自由に流れ込むin vivo流体と共に搬送されるin−vivoマーカーの数量を増加させることができる。いくつかの実施形態によれば、不透明カバー820の代わりに鏡が用いられ得る。
【0060】
反応性基板801上には、少なくとも1つの種類の結合剤(例えば、抗体または他の適切なペプチド)が付着され得る。前記結合剤は典型的には、血液の存在をin−vivoで示す所望のin−vivoマーカーに対して特異的であるかまたは高親和性である。前記付着された結合剤は、GI環境に耐えなければならない(例えば、GI管に沿った露出されるであろう位置に応じた、胆汁の存在および他の酸性またはアルカリ性環境に耐えなければならない)。
【0061】
例えば、前記in−vivoマーカーは、グロビンAおよびグロビンBまたはタンパク質グリコホリンAであり得る。グロビンAおよびグロビンBは、ヘモグロビンのタンパク質部分である。タンパク質グリコホリンAは、赤血球の膜上にあるタンパク質の1つである。このようなタンパク質またはタンパク質部分は、反応性基板801上に付着した結合剤に結合し得る。いくつかの実施形態によれば、反応性基板10を2つ以上の部分(例えば、部分810、811および812)に分割することができる。これらの部分それぞれには、血液の存在を示すマーカーとの結合に適した少なくとも1つの種類の結合剤が付着され得る。いくつかの実施形態において、反応性基板810の各部分は、異なるコーティングを含み得る(例えば、部分810はコーティング810’でコーティングされ得、部分811はコーティング811’でコーティングされ得、部分812はコーティング812’でコーティングされ得る)。いくつかの実施形態において、これらのコーティングは、デバイス800がGI管内を通過している間、特定のin−vivo環境条件(例えば、特定のpHレベル下において、特定の酵素活性下において、、所定の期間後)下において共にまたは別個に分解するように、設計される。例えば、コーティング810’は、胃環境において分解するように設計され得、コーティング811’は、小腸環境において分解するように設計され得、コーティング812’は、大腸内において劣化し得る。
【0062】
例えば、デバイス800が胃に到達すると、コーティング810’は、胃環境と接触することにより劣化し得る。デバイス800がさらにGI管に沿って進むと、デバイス800は小腸に到達する。例えばコーティング811’を構成する材料は、胃液中に存在する低pH(約3のpH)に耐える材料であり得る。しかし、より高いpHレベル(5.5を超えるpH)において、コーティング811’の材料は分解し得、そのため、反応性基板部分811の近隣のin−vivo流体が自由に流れることが可能となり、これにより、部分811上に付着した結合剤にin−vivoマーカーが結合し得る。他の小腸に対して特異的な材料(例えば、デバイス800が胃を通過して小腸に到達するまでの通過時間に対応する所定の期間後に分解するように設計された時間依存性材料)を用いてもよい。利用可能な材料のさらなる例は、小腸に依存する酵素反応などによって異なり得る。
【0063】
デバイス800は、GI管に沿ってさらに移動し、大腸に到達し得る。前記デバイスが大腸に到達すると、コーティング812’が分解し得、血液の存在を示すin−vivoマーカーを搬送する大腸流体が、部分812に付着した結合剤と結合し得る。コーティング812’の分解は、pHに依存し得る。pHが5.5を超えた場合のみに分解するpH依存型コーティングの例は、メタクリル酸共重合体(すなわち、Eudragit(登録商標)ポリマー)によって構成され得る。これらの共重合体には多様なグレードがあるため、各種のEudragit(登録商標)ポリマーは、異なるpHレベルにおいて分解する。他の腸溶性ポリマーを挙げると、ポリ酢酸ビニルフタレート、ヒドロプロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロース、およびセルロースアセテートトリメリエート、またはこれらの組み合わせがある。
【0064】
大腸内のみにおいて分解する他のコーティング材料は、大腸バクテリアの存在下においてまたは大腸に特異的な酵素反応に起因して分解するポリマーであり得る。例えば、大腸内において分解するように設計された生分解性ポリマーまたはアゾポリマーをコーティングとして用いると効率的である。なぜならば、これらのポリマーは、大腸内に存在するアゾバクターによって生成されたアゾレダクターゼ酵素に起因して分解するからである。他の材料は時間依存性であり得、そのため、これらの他の材料は、分解するか、または、デバイス800が小腸を通過して大腸に到達するまでの通過時間に対応する所定の期間後に分解するように、設計される。
【0065】
in−vivo感知デバイス800は、in−vivo包囲物に露出される。反応性基板801は、in−vivo流体の流れに露出されるため、前記in−vivo流体内を流れるin−vivoマーカーに露出され得る。このように常に露出させることにより、異なる部分810、811および812内の結合剤と所望のin vivoマーカーを高濃度で結合させるのを支援することができる。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、反応性基板801を網羅するようにセンサー804が配置され、これにより、反応性基板801上において発生した光学的変化をセンサー804によって検出することができる。前記光学的変化は、色の変化、色相の変化、輝度の変化、明度の変化、光学濃度の変化、光学透過率の変化、光散乱の変化、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。
【0067】
反応性基板801上で発生しセンサー804によって感知される光学的変化は、結合剤または前記結合剤に結合したin−vivoマーカーまたはこれら両方の構造的変化に起因して発生する光学的変化である。
【0068】
いくつかの実施形態によれば、反応性基板801は、免疫測定に適した多様な材料(例えば、シリコン、ガラス、プラスチック)から作製され得る。反応性基板801の製作に適した材料であるかを評価する際に勘案すべきパラメータとしては、例えば、当該材料の透明度、当該材料の内部使用における安全性、当該材料の腔内条件下での耐久性などがある。従って、当該分野において結合剤の付着先となる生物基板の製造において既知の任意の材料が、適切であり得る。いくつかの実施形態によれば、反応性基板801は、透明なラブオンチップ型の基板であり得、この基板上において多様な反応を発生させることができ、これらの反応をセンサー804によって感知させることができる。他の実施形態によれば、ポリスチレンなどの複合材料も、反応性基板801の構築において適切である。
【0069】
いくつかの実施形態において、デバイス800は、光学系802を含み得る。光学系802は典型的には、レンズを含み得る。前記レンズは、光学的変化をセンサー804上に集束させる。光学的変化は、例えば、反応性基板801上に付着した結合剤から発せられた照射であり得る。いくつかの実施形態において、光学系802は、光学系802と反応性基板801との間の所定の距離から発出された照射のみを集束させるように、設計される。光学系802がこのように設計されている場合、さらに遠隔の距離から発出された照射はセンサー804上に集束されず、センサー804によって感知されない。そのため、背景雑音が実質的に回避される。
【0070】
いくつかの実施形態において、デバイス800は、少なくとも1つの照明光源803を含む。いくつかの実施形態によれば、センサー804および照明光源803は、反応性基板801と対向し得、これにより、照明光源803からの光線は、反応性基板801上に入射した後、反射されてセンサー804に到達する。いくつかの実施形態によれば、反応性基板801内において結合剤が付着された領域のサイズは、センサー804のサイズと相関し、これにより、反応性基板801からの情報全てが、いかなるデータ損失無く、センサー804によって検出される。
【0071】
典型的には、一実施形態において、照明光源803は白色LEDである。他の実施形態によれば、照明光源803は、単色照明光源であり得る。いくつかの実施形態において、2つ以上の単色照明光源があり得る。他の実施形態によれば、2つ以上の照明光源803があり得る。これら2つ以上の照明光源803はそれぞれ、異なる照射スペクトルを持ち得る。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、異なるスペクトルを有する各照明光源803は、反応性基板801の各部分に付着されている同じ種類の結合剤を照射してもよいし、あるいは、部分810、811および812にそれぞれ付着されている2種類以上の結合剤を照射してもよい。異なる照射スペクトルをそれぞれ有する2つ以上の照明光源803が照射されると、センサー804は、異なる照射スペクトルにおいて多様な反射を受信し得る。いくつかの実施形態において、前記多様な反射から、生体内に存在し得る病状に関するさらなる情報を得ることができる。結合剤が1種類である場合、in−vivoマーカーと結合剤との結合に起因して発生して感知された光学的変化から、1種類の病状(例えば、出血)についての情報をin−vivoで得ることができる。一方、2種類以上の結合剤がある場合、異なるin−vivoマーカーがその対応する異なる結合剤と結合することによって発生する光学的変化から、多様な種類の病状(例えば、血液の存在および結腸直腸癌を示すマーカーの存在)に関する情報を得ることができる。
【0073】
いくつかの実施形態において、病状を示すin vivoマーカーの存在を検出するために、タグ付き結合剤を前記マーカーに結合させる必要がある場合がある。いくつかの実施形態によれば、前記in vivoマーカーを前記結合剤に結合させた後、これを各部分において反応性基板801上に付着させ、さらなる結合剤(例えば、抗体)を身体の管腔に挿入することができる。この挿入された結合剤は典型的には、所望のin−vivoマーカー(典型的には、反応性基板801に付着した結合剤が結合している部分ではなく、マーカー構造上の異なる部分)に対して特異的であるかまたは高親和性である。前記挿入された結合剤は、タグ(例えば金粒子、ビーズ、または、米国特許出願公開番号第2009/0312631(公開日:2009年12月17日)にさらに開示されているように蛍光発光し得るタグ付け分子)により、タグ付けされ得る。従って、いくつかの実施形態において、前記in vivoマーカーと、反応性基板801に付着している結合剤とを結合させた後、前記タグ付き結合剤は、異なる部分において前記マーカーと結合し得、これにより、結合剤、マーカーおよびタグ付き結合剤の複合物が得られる。いくつかの実施形態において、デバイス800が胃に到達すると、例えば、コーティング810’が分解し、これにより、前記タグ付き結合剤と、部分810に付着した結合剤に結合しているマーカーとの結合が発生する。前記複合物が付着している反応性基板801が照射されると、センサー804は、前記異なる結合分子およびよって血液の存在を示す光学的変化を検出し得る。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、身体管腔内に投与される結合剤の挿入方法としては、飲み込み、内服、注入などがある。結合剤の挿入は、デバイス800の身体内への挿入後に行われ得る。いくつかの実施形態において、デバイス800を身体内に挿入して所定期間が経過した後、反応性基板801内の特定部分を被覆するコーティングが分解し、所望のin vivoマーカーと、反応性基板801上の結合剤とが結合し、タグ付き結合剤が前記身体内へと挿入される。他の実施形態において、デバイス800がin−vivo挿入されるのと実質的に同時に、タグ付き結合剤を投与する。他の実施形態において、デバイス800の挿入舞前に、タグ付き結合剤が投与され得る。
【0075】
いくつかの実施形態によれば、前記挿入された結合剤は、金粒子、ビーズ、蛍光発光分子、または照射されたときに認識可能となる他の任意のタグ付け技術によってタグ付けされ得る。例えば金粒子またはビーズによってタグ付けされている結合剤の場合、前記結合剤は、可視光波長において照射された際に、認識可能となる。例えば蛍光発光タグ付け分子によってタグ付けされている結合剤の場合、前記結合剤は、蛍光発光を誘発させるのに適したスペクトルにおいて照射されると、認識可能となる。例えば、紫外線スペクトルにおける照射により、可視光スペクトルにおける発光を誘発することができる。
【0076】
反応性基板801は、センサー804によって連続的に視認可能となっており、これにより、長時間の露出が可能である。これは、検出された光学的変化が蛍光発光に関連するものである場合に、重要な特徴である。蛍光発光において、照射された分子によって吸収される光子の数は、前記分子から発出される光子の数よりも多い。そのため、高い信号を得るためには、実質的に静止した画像を感知する(例えば、in vivo流体と常に接触しておりかつ光学的変化について連続的に視認されている反応性基板801を感知する)必要がある。
【0077】
in vivoマーカーは、デバイス800の近隣において自由に流れるin vivo流体と共に搬送可能であり、これにより、血液が確実にin−vivoで存在する。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、センサー804に含まれる画素数は、画像装置(例えば、CCD画像装置またはCMOS画像装置)において典型的に用いられる画素数よりも多い。例えば、センサー804は、100ミクロンまでの画素を含み得る。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの照明光源803およびセンサー804が、PCB805上に配置される。典型的には、デバイス800は、自律型であり得、内部電源806(例えば、酸化銀電池)を含み得る。他の実施形態によれば、デバイス800は、ワイヤまたはケーブルを通じて外部電源に接続され得る。
【0080】
いくつかの実施形態によれば、デバイス800は、送信器807を含み得る。送信器807は、センサー804によって感知されたデータを、デバイス800の外部にある受信器に送る。いくつかの実施形態において、送信器807は、無線送信器を含み得る(例えば、無線周波数(RF)信号または他の種類の通信信号を送ることができる)。例えば、送信器807は、アンテナ808を用いて無線信号を送ることができる。他の無線送信方法を用いてもよい。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態によるシステムは、in−vivo感知デバイス800を含み得る。in−vivo感知デバイス800は、情報(例えば、画像および/または他のデータ)をデータ受信器および/またはレコーダへと送る。このデータ受信器および/またはレコーダは恐らくは、被検者の近隣に設けられるか、または、被検者によって装着される。前記データ受信器および/またはレコーダはもちろん、他の適切な構成をとってもよい。前記データ受信器および/またはレコーダは、前記受信された情報をより大型のコンピューティングデバイス(例えば、ワークステーションまたはパーソナルコンピュータ)へと転送し得る。このコンピューティングデバイスにおいて、前記データについてのさらなる分析、保存および/またはユーザへの表示が行われ得る。他の実施形態において、前記多様な構成要素それぞれが不要となる場合もあるし、あるいは、別の構成内に収容される場合もある。例えば、内部デバイスからの情報を直接表示システムまたは処理システムへと直接送信するかまたは他の場合に(例えば配線により)転送することができる。別の例において、前記データ受信器またはワークステーションは、情報を前記in−vivoデバイスへと送信または他の場合に転送することができる。一実施形態において前記デバイスは自律型カプセルであり得るが、他の構成(例えば、内視鏡またはトロカール)を用いることも可能である。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、デバイス800は、内服用カプセルであり得る。他の実施形態によれば、デバイス800は、カプセル形状であってもよいし、あるいは、他の任意の形状(例えば、球状、楕円状、ピーナッツ状)であってもよい。他の実施形態において、不透明カバー820はドーム形状でなくてもよく、例えば平坦状であってもよい。
【0083】
ここで図9を参照する。図9は、本発明のさらに別の実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの模式図である。図9に示すような本発明の実施形態によれば、in−vivoデバイス900は、デバイス800と同様であるが、別の感知ヘッド922が追加される。いくつかの実施形態によれば、画像センサー914は、ドーム920の下側にあるセンサー904の端部の反対端部において、デバイス900の端部に配置される。そのため、この実施形態において、デバイス900は2つの端部(すなわち、上述したような血液/胆汁分析のための、ドーム920によって被覆された端部、および画像化のための端部922)を有する。
【0084】
画像センサー914は、デバイス900が挿入された管腔の画像化の際に用いることができる。いくつかの実施形態において、画像装置914は、サイズが例えば5〜6ミクロンのCCD画像装置またはCMOS画像装置であり得る。いくつかの実施形態によれば、画像装置914は、身体管腔の画像を取得し、センサー904は、in−vivoマーカーと結合剤との結合に起因する光学的変化を感知する。従って、病状が存在する管腔内の位置のデータを画像センサー914を用いて取得することができる。
【0085】
いくつかの実施形態によれば、画像装置914は、センサー904による信号取得と同時に画像を取得することもできるし、あるいは、センサー904による信号取得と共に順次に画像を取得することもできる。いくつかの実施形態によれば、画像装置914は、ユーザ(例えば、医師)により、制御され得る。例えば、医師は、感知されたデータをセンサー904からリアルタイムで受信し、光学的変化が感知された場合、前記医師は、画像装置914を起動して、前記光学的変化の位置における管腔の画像を取得することができる。いくつかの実施形態において、医師は、画像センサー914によって取得された画像(これは、in−vivo出血を示し得る)に従って、センサー904を起動し得る。
【0086】
他の実施形態によれば、画像装置914および/またはセンサー904は、その他のセンサー(それぞれ、センサー904または画像装置914)によって感知された画像データまたは他の光学データに応答して、自動的に起動され得る。画像分析または他の認識アルゴリズムが、この実施形態において用いられ得る。デバイス上においてまたは外部デバイス(例えば、受信器におけるようなもの)内において画像がオンボードで分析され得、前記分析に基づいて、必要なセンサー(センサー904または画像装置914)にコマンドが送られ得る。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、デバイス900が挿入された管腔を照射するための、少なくとも1つの照明光源913が設けられ得る。いくつかの実施形態において、画像センサー914の前方に、前記管腔から画像装置914へと反射された照射を画像取得のために集束させるための光学系916が設けられ得る。いくつかの実施形態によれば、画像センサー914および光学系916は、米国特許出願公開番号第2007/0118018号(公開日:2007年5月24日)に記載のように、設計され得る。
【0088】
いくつかの実施形態によれば、デバイス900は、自律型であり得、内部電源906(例えば、酸化銀電池)を含み得る。デバイス900は、2つ以上のバッテリー906を含んでもよいし、あるいは、例えばバッテリーへの電力誘導によりまたは外部電源へのワイヤまたはケーブルを介して、外部からの電力供給を受けてもよい。
【0089】
いくつかの実施形態において、デバイス900は、送信器907を含み得る。送信器907は、センサー904によって感知されたデータ、画像装置914によって取得された画像データ、またはこれら両方を送信し得る。いくつかの実施形態において、デバイス900は、デバイス900によって取得されたデータを送信するための2つ以上の送信器を含み得る。1つの送信器をセンサー904によって取得されたデータの送信用とし、1つの送信器を画像装置914によって取得された画像データの送信用とする。いくつかの実施形態によれば、送信されたデータは、外部受信器(図示せず)へと送信され得る。この外部受信器は、前記少なくとも2つの送信器からのデータを同時に受信し得る。
【0090】
いくつかの実施形態によれば、in−vivoマーカーに結合することとなるタグ付き結合剤を別個に患者に投与する代わりに、デバイス900は、さらなるセル910’’、911’’および912’’を含み得る。これらのセル910’’、911’’および912’’は、反応性基板部分910、911および912にそれぞれ対応するタグ付き結合剤を含み得る。セル910’’、911’’および912’’は、各反応性基板部分910〜912の反対側に配置され得る。セル910’’〜912’’は、コーティング910’、911’および912’それぞれと同じコーティングによって被覆され得る。これにより、特定の反応基板部分上のコーティングが分解する相関位置において、特定のタグ付き結合剤が確実に放出されることとなる。
【0091】
例えば、デバイス900が胃に到達すると、コーティング910’が分解する。それと同時に、同様に胃において分解するように設計されているセル910’’上のコーティングが分解する。他の実施形態において、胃中の血液を検出するように設計されたセルは、全くコーティングしなくてよい。なぜならば、胃は、デバイスが実際に移動する際に到達する最初の器官であるからである。コーティング910’が分解した後、反応性基板部分910は胃流体と接触し得、セル910’’内のタグ付き結合剤も同様である。血液の存在を示すin−vivoマーカー(例えば、グロビンA、グロビンBまたはグリコホリンA)が前記胃流体中に存在する場合、このin−vivoマーカーは、反応性基板部分910上の結合剤に結合する。その後、セル910’’から放出されたタグ付き結合剤は、前記結合したマーカーに結合した後、センサー904によって検出され得る。デバイス900が小腸に到達すると(例えば、コーティング911’がセル911’’のコーティングと共に分解すると)、同様のことが部分911内において発生し得る。そして、デバイス900が大腸に到達し、例えば、コーティング912’がセル912’’上のコーティングと共に分解すると、同じことが部分912内において発生し得る。これにより、光学的変化がセンサー904によって検出され得、血液がin−vivoで示される。
【0092】
いくつかの実施形態によれば、デバイス900は、内服用カプセルであり得る。他の実施形態によれば、デバイス900は、カプセル形状であってもよいし、あるいは他の任意の形状(例えば、球状、楕円状、ピーナッツ状)であってもよい。
【0093】
ここで図10を参照する。図10は、本発明の一実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの一部の模式図である。図10は、本発明の特定の実施形態による反応性基板901をより大きく示す。いくつかの実施形態によれば、部分910、911および912それぞれにおいて、2つ以上の種類の結合剤が反応性基板901上に付着され得る。
【0094】
いくつかの実施形態において、結合剤100は反応性基板901に上に付着され、in−vivoマーカー110は結合剤100に結合する。結合剤100とin−vivoマーカー110との結合に起因して、結合剤100、in−vivoマーカー110またはこれら両方において構造的変化が発生し得、その結果光学的変化が発生し得る。いくつかの実施形態において、同じマーカーに結合するかまたは血液の存在をin−vivoで示す異なるマーカーに結合する、別の種類のさらなる結合剤100’が設けられ得る。結合剤100’は、in−vivoでマーカー110’(これは、マーカー110と同じであってもよいし、同じでなくてもよい)に結合し得、その結果、結合剤100’、inin−vivoマーカー110’またはこれら両方において構造的変化が発生し得、これにより、光学的変化が発生する。
【0095】
他の実施形態において、例えば部分910において、結合剤100が反応性基板901上に付着され、in−vivoマーカー110が反応性基板901に結合する。タグ130によってタグ付けされた結合剤120は、患者の外部から(例えば、内服または注入によって)管腔内へ投与してもよいし、あるいは、デバイス900内のセルから放出させてもよい。その後、結合剤120は、反応性基板901上において既に固定されているin−vivoマーカー110に結合する。反応性基板901が照射されると、タグ130が認識可能となり、センサー904によって検出され得る。これは、反応性基板901の各部分(例えば、1種類の以上の結合剤における部分910、911および912)において同様に発生し得る。いくつかの実施形態において、例えば部分910において、結合剤100’が反応性基板901上に付着され、in−vivoマーカー110’が結合剤100’に結合する。タグ130’によってタグ付けされた結合剤120’は、患者の外部から(例えば、内服または注入によって)管腔内へ投与してもよいし、あるいは、デバイス900内のセルから放出させてもよい。その後、結合剤120’は、反応性基板901上において既に固定されているin−vivoマーカー110’に結合する。反応性基板901が照射されると、タグ130’が認識可能となり、センサー904によって検出され得る。
【0096】
いくつかの実施形態によれば、送信器807または907は、前記検出されたデータを外部受信器(図示せず)へと送信し得る。この受信器は、図5において上述したような使い捨て型受信器であり得る。いくつかの実施形態において、前記受信器は、装着可能な使い捨て型パッチであり得る。例えば、出血検出のためのin−vivo環境を監視するために、患者は、前記受信器を装着し、新規のデバイス800または900を毎日1週間にわたって内服し得る。このようにする理由は、出血は常に一定した病状であるわけではなく、ある日に出血が発生し、その後1〜2日間出血が発生せず、その後別の日に出血が見られる場合があるからである。そのため、患者に新規デバイスを毎日1週間にわたって挿入することにより、長期間(例えば、1週間)にわたって出血を監視する必要がある場合がある。前記受信器は、GI管に沿って血液が検出された位置を示し得る可視指示を含み得る。例えば、前記受信器は、GI管に沿った多様な位置(例えば、食道、胃、小腸および大腸)に対応する異なるLEDを含み得る。センサー814または914によって出血が検出されると、前記LEDが発光し得る。例えば、、小腸内において出血が検出された場合、小腸に対応するLEDが発光することで、患者および/または医師に対し、当該患者の状態を通知することができる。他の実施形態において、患者および患者の医師に対して患者の状態を通知するための他の方法があり得る。さらに他の実施形態において、前記通知を暗号化することで、当該患者の医学的状態が患者には分からないようにし、医師だけが前記通知を読解することができるようにすることができる。このようにすると、患者が手順の結果を見て理解することができる場合に患者が苦悩および心配するのを回避するために有用であり得る。
【0097】
いくつかの実施形態によれば、出血のin−vivo検出に用いられるデバイスは、デバイス10または300およびデバイス800または900の組み合わせであり得る。出血検出に用いられるデバイスは、光信号を検出する(例えば、スペクトル分析を行う)ことが可能なデバイス(例えば、デバイス10または300)と、免疫測定に基づいた分析を用いることにより血液を検出するデバイス(例えば、デバイス800または900)との組み合わせであり得る。前記組み合わされたデバイスが大腸に入ると、例えば、大腸流体中で浮遊している固体により、前記組み合わされたデバイスの一端に配置された間隙12(図1A)または312(図3)が遮断され得、そのため、信号が検出できなくなる場合がある。そのため、免疫測定を行うデバイスを前記組み合わされたデバイスの他端に追加することで、スペクトル分析または免疫測定分析またはこれら両方による血液検出を確実に行うことができる。
【0098】
いくつかの実施形態によれば、in−vivoデバイス800または900は、in−vivoデバイス10または300と組み合わされ得、この場合、前記組み合わされたin−vivoデバイスの一端は、反応性基板(801または901)を含むデバイス800または900の端部と類似し、前記組み合わされたデバイスの他端は、デバイス10または300のいずれかの端部と類似する。デバイス10または300は、間隙(12または312)と、照明光源と、前記間隙の反対側において相互に対向する光検出器とを含む。このように組み合わされたin−vivoデバイスは、一端(デバイス10または300と同様の端部)を通じて、前記間隙内を流れるin−vivo流体から送信および反射されたスペクトル信号を検出し、反対側端部(デバイス800と同様の端部)を通じて、前記in−vivo流体内を流れるマーカー(例えば、タンパク質)から反射された信号を検出することができる。前記組み合わされたin−vivoデバイスは、血液の存在を検出するための2つの方法(すなわち、(a)前記組み合わされたデバイスの一端に設けられた間隙内に流れ前記間隙を出入りする流体が照射された際に得られる光信号を通じた方法、および(b)前記組み合わされたデバイスの反対側端部に付着されたタグ付け剤に付着したタグ付きマーカー(例えば、タンパク質)が照射された際に得られる光信号を通じた方法)を有し得る。いくつかの実施形態によれば、前記組み合わされたin−vivoデバイスは、スペクトル信号およびタンパク質関連信号(免疫測定分析を可能にする)を検出することができ、これにより、血液の存在について、より正確な分析および決定をin−vivoで行うことが可能となる。
【0099】
いくつかの実施形態によれば、デバイス800および900は、不透明カバー820および920それぞれの内部の開口部を被覆するゲルまたはヒドロゲルを含み得る。ヒドロゲルを用いた場合、デバイス800および900それぞれの開口部821および921内を流体が流れることはできるが、in−vivo流体内を流れる固体がデバイス800および900に入ることはできない。ヒドロゲルは、固体を遮断する役割を果たすことができ、これにより、固体によって開口部が遮断される事態が回避され、これにより、in−vivo流体の自由な流れが可能となる。液の存在を示すマーカーが流体と共に搬送されるため、このようなゲルは不可欠である。
【0100】
他の実施形態において、デバイス800および900は、反応性基板801および901それぞれを被覆する不透明カバー820および920によって形成される空間全体を充填するヒドロゲルを含み得る。これらの実施形態において、前記ヒドロゲルは、in−vivo流体が流入し、デバイス800および900から出て行くことが予測される空間全体にわたって充填され得る。前記ヒドロゲルにより、デバイス800および900内へ固体が入ることを阻止し、デバイス800および900内には流体しか通過できないようにすることが可能となる。
【0101】
いくつかの実施形態によれば、デバイス10および300は、間隙12および312それぞれを被覆するヒドロゲルをさらに含み得る。前記ヒドロゲルは、環境に特異的なコーティングまたは充填物312a〜312cの上または下にコーティングすることができる。前記ヒドロゲルにより、間隙(12または312)内に固体が入るのを阻止することが可能となり、これにより、in−vivo流体内を光が通過し、この光が光検出器(14または314)によって検出されることが可能となる。前記ヒドロゲルにより、前記間隙を出入りできるのは流体のみとすることができ、これにより、干渉無く血液検出を行うことが可能となる。
【0102】
ここで図11を参照する。図11は、本発明の実施形態による、水中の血液のスペクトル(110BD)、胆汁のスペクトル(110BL)、および胆汁中の血液のスペクトル(111)を示すグラフである。図11中のグラフによれば、水中の血液は、400nm〜650nmの波長(より詳細には、グラフ中円112BDによって囲んだ部分の500〜650nmの波長)において、実質的に高い特異性と共に光を吸収する。しかし、波長400〜650nmにおける胆汁スペクトル110BLは、水中血液スペクトル110BDと極めて類似している。そのため、血液の存在と胆汁の存在とを区別するのが困難となる(すなわち、波長400nm〜650nmにおける光強度の読み取り値のみを用いた場合、血液の存在を胆汁の存在と区別することが困難となり得る)。そのため、他の波長におけるさらなる読み取り値が必要となる。図11中のグラフによれば、水中の血液は、波長650nm〜900nmにおいては光を吸収しない。なぜならば、110BDの傾斜は、波長650〜900nmにおいて一定であるからである。一方、胆汁は、これらの同じ波長において光を吸収する。なぜならば、110BLの傾斜は、650〜900nmにおいて増加しているからである。グラフ中、この胆汁スペクトル領域(より詳細には、700〜800nm)を円112BLによって囲んでいる。
【0103】
本発明によれば、血液の存在と胆汁の存在とをin−vivoで区別するために、「血液スコア」および「胆汁スコア」を計算する。本発明によれば、「血液スコア」は、(血液が高い特異性と共に光を吸収する波長である)波長400〜650nmから選択された少なくとも2つの異なる波長における光強度を測定した少なくとも2つの読み取り値から計算することができ、「胆汁スコア」は、(胆汁が高い特異性と共に光を吸収する波長である)波長650〜900nmから選択された少なくとも2つの異なる波長における光強度を測定した少なくとも2つの読み取り値から計算することができる。
【0104】
本発明の一実施形態によれば、in−vivoデバイス10または300は、いくつかの(例えば、4つの)異なる照明光源(例えば、LED)を含み得る。これら4つの照明光源のうち2つは、400nm〜650nmから選択された2つの異なる波長において照射し得、残り2つの照明光源は、650nm〜900nmから選択された2つの異なる波長において照射し得る。例えば、これら少なくとも4つの照明光源は、560nm、610nm、700nmおよび800nmにおいて照射し得る。、「血液スコア」は、560nmにおいて照射する1つの照明光源および610nmにおいて照射する別の照明光源照射によって照射された検出光の比から計算することができ、「胆汁スコア」は、700nmにおいて照射する1つの照明光源照射および800nmにおいて照射する別の照明光源によって照射された検出光の比から計算することができる。560nmおよび610nmの読み取り値からの比がゼロである(すなわち、前記スペクトルが平坦な線である)場合、間隙(12または312)内を流れて出入りする照射された流体中には血液が含まれていないと結論付けることができる。700nmおよび800nmの記読み取り値からの比がゼロである(すなわち、前記スペクトルが平坦な線である)場合、前記照された流体中に胆汁は含まれていないと結論付けることができる。
【0105】
ここで図12を参照する。図12は、本発明の一実施形態による、血液の存在をin−vivoで決定するための閾値を示すグラフである。4つの異なる波長(例えば、560nm、610nm、700nmおよび800nm)において照射されて、デバイス10または300内を流れて出入りするin−vivo流体を通過する光から得られた、光検出器14または314の4つの読み取り値から前記「血液スコア」および「胆汁スコア」を計算した後、前記検出された信号が、in−vivo病状に起因する血液濃度を示しているのかあるいは血液濃度が正常な範囲内であるのか(典型的には、血液濃度が10−3[血液(リットル)/流体(リットル)]になると、病状があると考えられている)を示しているのかを決定する必要がある。そのため、前記計算された読み取り値と所定の閾値113とを比較することで、前記読み取り値が示す血液濃度が10−3[血液(リットル)/流体(リットル)]を上回るかまたは下回るかを知ることができる。
【0106】
図12によれば、このグラフは、前記「血液スコア」および前記「胆汁スコア」を各4つの読み取り値について組み合わせることにより、得られている。前記「胆汁スコア」をX軸において表し、前記「血液スコア」をY軸において表し、これにより、各4つの読み取り値から(x、y)座標の点を得ている。例えば、「血液スコア」は、560nmおよび610nmにおける光強度の比によって得られ、「胆汁スコア」は、700nmおよび800nmにおける光強度の比によって得られている。グラフ上の(x、y)座標のある点は、(x=「胆汁スコア」、y=「血液スコア」)としたスコアから得られている。これらのスコアは、実質的に同じin−vivo位置における読み取り値を表すように、実質的に同じ期間において検出された4つの読み取り値に対して計算しなければならない。
【0107】
前記グラフ中の各点と、所定の事前計算された閾値113とを比較することができる。閾値113は、10−3[血液(リットル)/流体(リットル)]の血液濃度の根拠となる、前記「血液スコア」と前記「胆汁スコア」との間の相関を示す。所定の閾値113により、各4つの読み取り値が、10−3[血液(リットル)/流体(リットル)]を上回る(病状を示す)血液濃度を示しているのか否かを決定するのを支援することができる。図12中のグラフ中の点のうちいずれかの点が閾値113を超えた場合、当該点の読み取りが行われたin−vivo位置における血液濃度が10−3[血液(リットル)/流体(リットル)]を超えていること(すなわち、当該in−vivo位置において病状が存在すること)が分かり得る。任意の点が閾値113を下回った場合、当該点の読み取りが行われたin−vivo位置における血液濃度が10−3[血液(リットル)/流体(リットル)]を下回っている(すなわち、当該in−vivo位置においては病状は存在しないこと)が分かり得る。
【0108】
閾値113は、例えば、in−vitro実験から計算することができる。このin−vitro実験において、異なる波長における光強度を水中の多様な濃度の胆汁に対して検出し、異なる波長における光強度を水中の多様な濃度血液に対して検出する。図11から分かるように、照射された流体が胆汁および血液を含む場合(スペクトル111)、胆汁の存在に起因して、水中血液のスペクトル(110BD)の傾斜が低くなる(すなわち、波長400〜600nmにおける血液による光吸収(110BD)の実質的に高い特異性は、胆汁の存在下における場合ほど高くならない。そのため、所定の閾値113は、上昇する閾値である。すなわち、胆汁濃度が高いほど、前記閾値も高くなる。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記少なくとも4つの照明光源(例えば、560nm、610nm、700nm、800nm)を同時に照射することができるが、そのためには、4つの別個の光検出器が4つの別個のフィルタと共に必要であり、各光検出器には異なるフィルタが設けられる。しかし、他の実施形態において、これら4つの照明光源からの照射を1つずつ順次行ってもよく、この場合、1つの光検出器が、1つの照明光源からのin−vivo流体内を通過する光を一度に検出することができる。いずれの場合においても、実質的に同じin−vivo位置における血液の存在(または血液濃度)をin−vivoで決定するためには、前記4つの異なる照明光源4つの読み取り値が実質的に同時に必要である。
【0110】
いくつかの実施形態によれば、図11および図12中に示すグラフは、in−vivoデバイス10または300内において行われ得る処理プロセス時において、生成することができる。他の実施形態において、前記処理は、前記in−vivoデバイスの外部にあるユニットにより(例えば、図5に示すような受信器52または処理ユニット54により)行うことができる。前記処理を前記in−vivoデバイス内において行い、前記デバイスが4つの異なる照明光源および1つのみの光検出器を含む場合実施形態において、前記in−vivoデバイスは、メモリユニットを含まなければならない。(前記4つの照明光源の)各4つの読み取り値から前記光検出器によって実質的に同時に検出された信号は、実質的に同じin−vivo位置に相関し、前記in−vivoデバイスのメモリ内に記憶され得、4つの読み取り値が検出された後にのみ、血液スコアおよび胆汁スコアが計算され、前記所定の閾値と比較される。
【0111】
いくつかの実施形態によれば、4つの異なる波長における照射の代わりに、血液の存在のin−vivo通知が、2つの照明光源のみによって行われ得る。これら2つの照明光源は、胆汁スペクトルが線形である波長(すなわち、650〜900nm(図11))から選択された異なる波長において、照射し得る。例えば、1つの照明光源は700nmにおいて照射し得、別の照明光源は610nmにおいて照射し得る。検出された光信号を処理する方法は、X軸と交差する2つの点から線形プロットを生成するステップを含み得る。これらの照射波長に対応する検出光強度から、プロット上に2つの点が得られる。前記プロットのX軸は、前記照明光源の波長であり得、前記Y軸は、前記検出された光強度であり得る。450nm付近においてX軸との交差が発生した場合、胆汁スペクトル(110BL)もX軸と交差し(図11)、その結果、前記照射されているin−vivo流体中には胆汁しか存在せず、血液は存在していないと決定することができる。すなわち、これら2つの点から生成されたプロットは、実際に胆汁スペクトルのプロットである。しかし、X軸との交差がより高い波長において発生した場合、前記照射されているin−vivo流体中に血液が存在すると決定することができる。
【0112】
他の実施形態によれば、3つの異なる照明光源を用いて、デバイス10または300内を流れているin−vivo流体を照射することができる。この処理方法は、上述したように2つの照明光源に対応する2つの点からのプロットを生成するステップと、第3の照明光源からの第3の点と、前記生成されたプロットとを比較するステップとを含み得る。前記プロットのX軸は、前記照明光源の波長であり得、前記プロットのY軸は、前記照射波長に対応する、検出された光強度であり得る。例えば、上述したようにm700nmにおいて照射する照明光源および610nmにおいて照射する照明光源を用いて、X軸と交差するプロット上の2つの点を生成することができる。第3の点の位置は、血液が高い特異性を以て光を吸収する波長(すなわち、400〜650nm)から選択された波長において照射する第3の照明光源に対応し、この第3の点の位置と、前記プロットとを比較することができる。例えば、第3の照明光源は、560nmにおいて照射し得る。第3の点の光強度(例えば、560nmにおける強度)が前記生成されたプロット上にある場合、照射されているin−vivo流体中には、胆汁しか存在せず、血液は存在していないと決定することができる。第3の点が前記プロットの下側にある場合(すなわち、第3の点が前記プロットとX軸との間にある場合)、前記照射されているin−vivo流体中に血液が存在していると決定することができる。第3の点が前記生成されたプロットから遠ざかるほど、そして第3の点がX軸に近づくほど、前記照射されているin−vivo流体中の血液濃度はより高くなる。
【0113】
本発明は、本明細書中上記において具体的に図示および記載した内容に限定されないことが理解される。すなわち、本発明の範囲は、以下の請求項のみによって規定される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、in−vivo検出の分野に関する。より詳細には、本発明は、出血をin−vivo検出するためのデバイス、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
in−vivo出血は、体内の異なる疾病に起因して発生し得る。胃腸(GI)管内の出血は、GI管に沿った多様な位置において発生し得、当該位置において異なる病状を示し得る。例えば、食道内の出血は、食道炎に起因する場合もあるし、あるいは、食道内の静脈瘤破裂に起因する場合もある。胃内の潰瘍および十二指腸内の潰瘍があると、出血の原因となり得る。下部消化管においては、結腸直腸癌に起因して、潜在出血が発生し得る。そのため、GI管に沿った出血を早期検出することが、多くの患者の治療の上で重要となり得る。
【0003】
血液検出方法においては、例えば、内視鏡を用いて出血部位(通常は急性出血)を探す方法などのいくつかの公知の方法がある。他の方法では、色素材料または放射性材料を患者に飲み込んでもらい、前記色素により血管が強調され、この血管が画像化されて、出血が検出される。使用可能な別のデバイスとして、NOVINEON HEALTHCARE TECHNOLOGY PARTNERS,GMBHによるデバイスがある。このデバイスは、空洞器官の内壁に固定され得、出血の連続監視が可能である。このデバイスは、所定の波長の光を発し、この光は、前記空洞器官の内部において少なくとも部分的に吸収または反射され、その後、このデバイスは、感光センサーを介して反射光を検出する。血液の吸収スペクトルは、「正常な」内臓の吸収スペクトルと異なる特徴的な吸収スペクトルであるため、当該空洞器官内の血液の有無にかかわらず、検出された反射に基づいて決定することができる。
【0004】
しかし、このデバイスの場合、胆汁の存在を考慮に入れていない。すなわち、小腸内にみられる胆汁の透過スペクトルは、血液の透過スペクトルと類似する場合があり、そのため、血液の存在のin−vivo決定が若干不正確になる可能性が出てくる。例えば、胆汁の透過スペクトルが血液の透過スペクトルに類似する場合、調査領域内に存在するのは実際は胆汁であるのに、デバイスでは血液の存在について表示される場合があり得る。そのため、透過スペクトルが胆汁の存在ではなく血液の存在を示すことを決定することが重要である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、in−vivo出血の検出のためのデバイス、システムおよび方法を提供する。
【0006】
本発明によるデバイスは、間隙は含む。前記間隙は、in−vivo流体が前記間隙内において自由に流れかつ前記間隙を出入りできるように、in−vivo流体と常に接触している。いくつかの照明光源があり得、これらの照明光源は、前記間隙の片側に配置され得、異なる波長において照射し、前記間隙の反対側においては、少なくとも1つの光検出器があり得る。前記光検出器は典型的には、前記光検出器が前記照明光源に対向しかつ前記間隙が前記照明光源と前記光検出器との間に配置されるように、設けられる。前記照明光源から照射された光は、前記in−vivo流体内を通過し、前記光検出器上に到達する。前記光のうち一部は前記in−vivo流体によって吸収され得、そのうち一部は反射され得、そのうち一部は前記光検出器へと透過する。その後、前記光検出器は、前記検出された光に応答して生成された信号を外部受信器へと送信し得る。前記デバイスの外部にあるプロセッサが、前記光検出器から送られた信号を処理し、前記in−vivo流体の吸収スペクトルまたは透過スペクトルを生成し得る。前記信号と、胆汁の基準透過スペクトルおよび血液の基準透過スペクトルとを比較することにより、胆汁、血液または双方がin−vivoでどのような濃度で存在するかについて決定することが可能となり、これにより、病状の存在についてin−vivoで結論を下すことが可能となる。他の実施形態において、透過スペクトルまたは吸収スペクトルの比較の代わりに、前記光検出器によって検出された個別信号と、所定の閾値との比較を行うことができる。
【0007】
本発明を用いれば、胆汁の存在をin−vivoで検出でき、これにより、光検出器によって測定された吸収スペクトルまたは透過スペクトルが血液の存在、胆汁の存在または双方の存在を示すかを決定することができるため、先行技術の不利点を解消することができる。さらに、前記システムは、in−vivoで発見された胆汁および血液双方の濃度も決定することができる。加えて、本発明において、前記システムは、前記デバイスの位置をセグメント分解能において決定することができる。例えば、前記システムは、胆汁の存在および/または濃度に基づいて、GI管セグメントに沿った前記デバイスの位置をを決定することができる(例えば、食道、胃、小腸または大腸内における前記デバイスの存在を決定することができる)。GI管に沿った異なる器官におけるデバイスの位置を決定するための他の方法も用いることができる。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態は、in−vivoデバイスのin−vivo位置(例えば、GI管に沿った位置)を決定するための他の位置特定方法について説明する。例えば、前記in−vivoデバイスは、pH検出器を含み得る。前記pH検出器は、pHレベルを連続的に検出し、前記検出されたpHを、患者身体の外部の受信器に送ることができる。GI管に沿った異なる位置においてpHレベルは異なるため、検出されたpHレベルに基づいて、in−vivo位置を知ることができる。いくつかの方法において、前記2つの方法(例えば、吸収スペクトルまたは透過スペクトルおよびpHレベル双方の検出)が組み合わされ得る。
【0009】
出血位置特定をin−vivoで行うための別のデバイスは、前記間隙内に1つ以上の区画を含み得る。これらの区画により、前記間隙はいくつかのセルに分割され得、各セルは、照明光源と、当該セルの対応する照明光源に対向する光検出器とを含む。他の実施形態において、1つの照明光源から照射された光ビームが、少なくとも1つの区画により、前記間隙を横断する2つ以上のビームに分割される。このような実施形態において、これらの区画により、前記分割された光ビームに対応する光検出器も、前記分割されたビームの光経路に対応する2つ以上の領域に分割することができる。各分割された光ビームの経路は、異なる腸コーティングによって遮断され得る。これらの腸コーティングは、前記光検出器(単数または複数)を被覆しかつ/または各セルを充填し、これにより、前記コーティングまたは充填物が、前記コーティングまたは充填物の分解を発生させるin−vivo条件と接触した場合にのみ、前記分割された光ビームが前記間隙を横断し、当該光ビームの対応する光検出器に到達することができ、その場合にのみ、前記in−vivo流体の吸収スペクトルまたは透過スペクトルが生成される。その結果、位置特定が確実に行われる。なぜならば、例えばGI管に沿った特定の位置のみにおいて、前記光経路が遮断解除され、前記流体内を光が通過し、この光が前記光検出器によって検出されるからである。前記異なるコーティングの分解を発生させるin−vivo条件は、pH、酵素活性、バクテリアの存在などがあり得る。
【0010】
本発明では、GI管に沿った出血の存在位置も決定することが可能な他のデバイスについて記載する。このようなデバイスは、in−vivo流体が内部を通過しかつ出入りすることが可能な間隙を含み得る。これらのデバイスは、基板を含み得る。前記基板上には、結合剤が付着される。前記結合剤は、血液の存在に関連する粒子のタンパク部分(例えば、ヘモグロビンのタンパク質部分であるグロビンAおよびグロビンBまたは赤血球膜上にあるタンパク質の1つであるタンパク質グリコホリンA)に結合し得る。このようなタンパク質またはタンパク質部分は、前記デバイス上に付着した結合剤に結合し得、光センサーによって照射および感知され得、これにより、血液の存在についてin−vivoで知ることができる。出血の位置をin−vivoで特定するために、前記結合剤は、異なるin−vivo条件下において分解し得る異なる腸コーティングにより、被覆され得る。例えば、多様なpHレベル、酵素活性、異なるバクテリア、および/または他の要素により、異なる腸コーティングの分解を発生させることができる。前記異なる腸コーティングを選択する際、各腸コーティングがGI管に沿った異なる位置において分解し、その場合のみにおいて、出血を示すタンパク質を搬送し得るかまたはし得ない前記in−vivo流体に対して前記結合剤を露出させる。
【0011】
本発明は、以下の詳細菜説明を添付図面と共に読めば、より深く理解および認識される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明の一実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの模式図である。
【図1B】本発明の一実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの模式的側面図である。
【図2】本発明の一実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスのプリント回路基板アセンブリの模式図である。
【図3】本発明の別の実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの模式図である。
【図4】本発明の別の実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの模式図である。
【図5】本発明の一実施形態による出血のin−vivo検出のためのシステムの模式図である。
【図6】本発明の一実施形態による出血のin−vivo検出のための方法を示す。
【図7】本発明の別の実施形態による出血のin−vivo検出のための方法を示す。
【図8】本発明の別の実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの模式図である。
【図9】本発明のさらに別の実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの模式図である。
【図10】本発明の一実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの断面の模式図である。
【図11】本発明の実施形態による、水中の血液、胆汁、および胆汁中の血液のスペクトルを示すグラフである。
【図12】本発明の一実施形態による、血液の存在をin−vivoで決定するための閾値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
簡潔さおよび例示の明確さのため、図面中に示される要素は、必ずしも縮尺通りになっていないことが理解される。例えば、これらの要素のうちいくつかの寸法は、明確さのために他の要素よりも相対的に誇張して図示している場合もあるし、あるいは、いくつかの物理的構成要素が1つの機能ブロックまたは要素内に含まれる場合もある。さらに、適切と考えられる場合、図面中、対応または類似する要素を指す際に同じ参照符号を用いる場合がある。
【0014】
以下の詳細な説明において、本発明の深い理解を提供するため、多数の詳細について説明する。しかし、当業者であれば、本発明はこれらの特定の詳細無に実施することが可能であることを理解する。他の場合において、本発明を不明瞭にしないために、周知の方法、手順および構成要素については説明していない。
【0015】
ここで図1を参照する。図1は、出血のin−vivo検出のためのデバイス10の模式図である。デバイス10の実施形態は典型的には自律型であり、典型的には内蔵型である。例えば、デバイス10はカプセルまたは他のユニットであり得、デバイス10内の全ての構成要素(例えば、電力構成要素)は実質的にハウジングまたはシェル内に収容されているため、デバイス10において、例えば電力受信または情報伝送のためのワイヤまたはケーブルなどは不要である。デバイス10は、データ、制御または他の機能のデータ表示のための外部の受信および表示システムと通信し得る。例えば、自律型システムにおいて、電力は、内部バッテリーまたは無線受信システムにより手強され得る。他の実施形態では、他の構成および能力が可能である。本発明の実施形態によれば、図1に示すように、in−vivo感知デバイス10は、in−vivoで投与可能である。デバイス10は、生体適合性材料(例えば、ポリカーボネート(例えば、Isoplast(登録商標)およびMakrolon(登録商標)))により「構成され得る。他の生体適合性材料を用いてもよい。デバイス10は、デバイス本体11を含む。デバイス本体11において、間隙12が形成されている。間隙12は、流体力学的な曲線状とすることができ、これにより、in−vivo流体が連続的に間隙12内において流れかつ間隙12を出入りすることが可能となっている。いくつかの実施形態において、間隙12の幅は4〜5mmであり得るが、他の幅を用いてもよい。流体が連続的に間隙12内において流れかつ間隙12を出入りすることが可能となるように、デバイス10は、常にin−vivo流体と接触していなければならない。そのため、いくつかの実施形態において、デバイス10は、1を若干超える特定の重力を有する。デバイス10の特定の重力が1を超えると、デバイス10は、大腸内を最適な様態で通過することができる。一方、特定の重力が若干1を上回ることにより、デバイス10が前記流体の上方に浮上することが無く(すなわち、デバイス10(およびより詳細には間隙12)が前記流体と接触し)、なおかつ、デバイス10が管腔壁の底部に沈んで自由に移動する能力を失うことのないようにすることができる。
【0016】
いくつかの実施形態において、流体以外のGI内容物が間隙12内に入るのを回避することで当該GI内容物を遮断するために、間隙12は、膜カバーまたはヒドロゲルカバーを間隙12の開口部にわたって含み得る。この膜またはヒドロゲルは、間隙12全体を被覆し、かつ、特定のサイズ以下の粒子のみを通すことが可能な穴または孔を有し得る。Thesizeof前記膜またはヒドロゲル内の孔のサイズは、in−vivo流体中を流れる血液粒子のサイズと類似するサイズの粒子の通過を許容するように、設計することができる。例えば、前記孔のサイズは、グロビンAおよびグロビンBのサイズまたはグリコホリンAのサイズに類似し得る。
【0017】
間隙12の片側において、照明光源13(例えば、LEDまたは垂直共振器面発光レーザ(VCSEL))が設けられ得、間隙12の反対側において、光検出器または光検出器14が設けられ得る。照明光源13は、LED(例えば、Osram(登録商標)によるHyperTOPLED(登録商標)およびKingbright(登録商標)によるKPHHS−1005SYCK(登録商標))でよいが、他の照明光源を用いてもよい。光検出器またはフォトダイオード14は、例えば、Texas InstrumentsからのBurr−Brown Products(登録商標)によるopt101(登録商標)、Melexis(登録商標) Microelectronic Integrated Systemsによるmlx75305C(登録商標)、またはTAOS(登録商標)(Texas Advanced Optoelectronic Solutions)によるtsl12s−e23(登録商標)であり得る。他のフォトダイオードを用いてもよい。光検出器14は、照明光源13に直接対向するように配置され、間隙12は、照明光源13と光または光検出器14との間に配置される。照明光源13は、間隙12を通じて自由に流れるin−vivo流体を照射することができ、その後、前記流体内を通過する光(前記光の一部は前記流体中の粒子によって吸収されるか、または、前記光の一部は前記流れる粒子から反射されるか)は、光検出器14によって検出することができる。いくつかの実施形態によれば、照明光源13は、血液検出手順時のエネルギーを節約するように、低周波数で照射し得る。検出器14は、照明光源13と同期して起動することもできる(例えば、照明光源13および光検出器14は、10秒毎にまたは1分毎に検出することができる)。他の周波数を用いてもよい。
【0018】
デバイス10は、照明光源13および光検出器14が電子的に接続されたプリント回路基板アセンブリ(PCA)15をさらに含み得る。PCA15は、硬質部位および可撓性部位で構成され得る。PCA15上には、送信器20およびアンテナ21がさらに取り付けられ得る。光検出器14は、前記in−vivo流体を通じて送られた前記検出された光によって生成された信号を前記送信器に送り得る。エネルギーを保存するために、送信器20は、光検出器14と同期することができる。デバイス10は、バッテリー18(例えば、酸化銀電池)と、バッテリー接点17および19とをさらに含み得る。これらのバッテリー接点17および19はどちらとも、PCA15上に取り付けられる。バッテリー18は、デバイス10がGI管全体内を通過している間(例えば、少なくとも72時間の間)はデバイス10が動作し続けることが可能なだけの十分な電直を供給しなければならない。
【0019】
照明光源13は、いくつかの(例えば、少なくとも4つの)白色LEDを特定の狭波長における照射のための異なるフィルタと共に含んでもよいし、または、異なる特定の波長における照射のためのいくつかの(例えば、少なくとも4つの)異なるVCSELを含んでもよい。照明光源13は典型的には、(図11〜図12を参照して詳細に説明するように)異なる狭帯域照射(例えば、560nm、610nm、700nmおよび800nm)において照射し得る少なくとも4つの照明光源を含み得る。これらの照明光源13は、光検出器14によって常に検出されている異なる照明光源を区別するために、交互モードまたは順次モードにおいて、異なるパルス持続時間と共に動作し得る。例えば、1つの照明光源13は、前記in−vivo流体を特定の所定の期間にわたって照射した後に停止することができ、第2の照明光源は、前記in−vivo流体を別の期間にわたって照射することができる。第2の照明光源による照射が停止した場合、第3の照明光源がさらに別の所定の期間にわたって照射を開始することができる。第3の照明光源の動作が停止した場合、第4の照明光源が動作を開始することができる。第4の照明光源の動作が停止すると、第1の照明光源が照射を再開することができる、といった具合に動作が続く。いくつかの実施形態において、前記所定の照射継続時間は各照明光源によって異なり得るが、他の実施形態において、これらの照明光源全てが1つずつ順次に同じ長さの継続時間で照射することもできる。その後、光検出器14は、4つの照明光源13のうちの1つから前記in−vivo流体を通じて送られた光を同時に検出することができる。
【0020】
他の実施形態によれば、白色光広帯域照明光源13が設けられ得、光検出器14は、少なくとも4つの光検出器を含み得る。各光検出器14は、in−vivo流体内を通過した光を異なる波長において収集するための異なるフィルタを含み得る。これらのフィルタは、狭帯域フィルタ、干渉フィルタまたは回折光学素子(DOE)フィルタであり得る。
【0021】
デバイス10がGI管内を通過している間または通過した後、光検出器14によって検出された信号は、送信器20により、患者の身体(図示せず)の外部にある外部受信器へと送られる。受信器は、プロセッサを含み得る。このプロセッサは、前記少なくとも4つの波長から検出された信号に従って、前記in−vivo流体の透過スペクトルを生成し得る。このプロセッサは、前記in−vivo流体の透過スペクトルと、胆汁の基準透過スペクトルおよび血液の基準透過スペクトルとをさらに比較し得る(図11に図示)。これらの基準透過スペクトルは、胆汁の透過スペクトルおよび水中の血液の透過スペクトルおよび異なる濃度の胆汁対血液の透過スペクトルを検出することにより、生成される。そのため、このプロセッサは、胆汁が存在するかについてのin−vivo検出、血液が存在するかについてのin−vivo検出、または胆汁および血液双方が存在するかについてのin−vivo検出を決定することができる。さらに、前記プロセッサは、前記測定された透過スペクトルと、前記基準スペクトルとを比較し、胆汁、血液または双方の濃度を決定することができる。胆汁および血液がどちらとも存在する場合、前記プロセッサは、前記測定された透過スペクトルと前記基準スペクトルとを比較することにより、前記胆汁と前記血液との間の比が出血を示しているか、、または、同結果が高濃度の血液(実際の出血は無し)を示しているかを示すことができる。このような結果からも、病状を知ることができる。他の実施形態において、血液の濃度と、他の検出されたin−vivoデータとは、前記血液の位置をin−vivoで示し得る。他の実施形態において、透過スペクトルまたは吸収スペクトル間の比較の代わりに、図11〜図12を参照して以下に詳細に説明するように、前記光検出器によって検出された信号と、所定の閾値との間の比較を行うことができる。
【0022】
他の実施形態において、いくつかの(例えば、少なくとも4つの)照明光源13があり得る。各照明光源13は、異なる狭帯域照射において照射し、対応する数の光検出器14が設けられ得る。これら4つの光検出器14はそれぞれ、自身の対応する照明光源13に対向するように配置され得、各間隙12がその間に設けられる。1つの照明光源13からの光が対応しない光検出器14によって検出されないようにするために、前記光を、先ずコリメータを通過させた後にのみ、前記in−vivo流体を通過させる。各狭帯域照明光源13は、コリメータを含み得る。このコリメータは、前記光が前記流体を通過して自身の対応する光検出器14に到達する前に、前記光をコリメートする。光検出器14は、前記間隙の反対側において前記照明光源に対向するように、配置される。光検出器と照明光源との間の相関を達成するための別の方法として、各光検出器14が特定の(そして恐らくは異なる)波長の光を検出できるように、これらの光検出器上に異なるフィルタを配置する。これらのフィルタは、狭帯域フィルタ、干渉フィルタまたは回折光学素子(DOE)フィルタであり得る。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、デバイス10は、pH検出器(図示せず)を含み得る。pH検出器の一例として、米国特許第6,689,056号に開示されるようなEndonetics Inc.によるpH検出器であり得る。このようなpH検出器は、pHレベルを連続的に検出することができ、送信器20は、前記検出されたpHと、光検出器14によって検出された信号とを、患者身体の外部の受信器に送ることができる。GI管に沿った異なる位置におけるpHレベルは実質的に異なるため、前記検出されたpHから、in−vivo位置を知ることができる。例えば、胃中のpHは1〜4と低酸性であり、小腸中のpH値は7〜8(弱アルカリ性)であり、大腸中のpHは5.5〜7(弱酸性)である。
【0024】
他の実施形態において、血液が検出されたin−vivo位置をアルゴリズム(例えば、米国特許第7,596,403号に開示されているもの)により、計算することができる。米国特許第7,596,403号において、身体管腔における経路長さ(例えば、特定位置までの経路長さまたは距離)を決定する方法が開示されている。光検出器14によって光信号が検出された位置でありかつ血液の存在を示し得る位置であるin−vivo位置を決定するために、この情報は、単独で用いてもよいし、あるいは、他のin−vivoデータ(例えば、pH)と組み合わせて用いてもよい。
【0025】
デバイス10は、内服用カプセルであり得る。典型的には、デバイス10を患者に飲み込んでもらうことにより、デバイス10を患者のGI管に挿入する。他のデバイス10の挿入方法(例えば、カプセル送達デバイス(例えば、米国特許第6,632,171号および米国特許第6,884,213号に開示されているようなもの)または外科手術によるもの)を用いてもよい。デバイス10は、自然の蠕動運動を通じてGI管に沿って移動し得る。
【0026】
ここで、図1Bを参照する。図1Bは、本発明の一実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの模式的側面図である。図1Bは、図1A中に示されるデバイス10の模式的側面図である。図1Bは、デバイス10の側部を示し、PCA15の硬質部位の形状を主に示す。PCA15上に、照明光源13が取り付けられる。PCA15の同じ形状の硬質部位を用いて、光検出器14を照明光源13に対向した様態で取り付けて、これにより、光検出器14が直接照明光源13に対向させる。この実施形態において、照明光源13が取り付けられるPCA15の硬質部位の形状を半円状に図示している。しかし、間隙12のいずれかの側部のデバイス10の側部の形状およびサイズに適合する限り、他の形状を用いてもよい。典型的には、デバイス10の形状は、鋭角部の無い円形状に仕上げるべきであり、これにより、内服または他の方法のいずれかによるin−vivo挿入に適したものとし、これにより、挿入時に組織が損傷を受けないようにする。さらに、デバイス10は、円形縁部を有するように設計すべきであり、これにより、デバイス10がGI管に沿って自然蠕動によって移動している際に組織を損傷させることの無いようにする。従って、照明光源13および光検出器14の接続先となるPCA15の硬質部位を半円形状とすると、好適であり得る。他の実施形態において、PCA15の硬質部位はin−vivo組織と実際に接触する部分であるため、PCA15を被覆するデバイス10のシェルまたはハウジング16の形状が鋭角ではなくかつin−vivo挿入に適したものである限り、他の形状(例えば、三角形、長方形、および四角形)をPCA15に用いてよい。例えば、PCA15を被覆するデバイス10のハウジングのシェルまたはハウジング16は、PCA15がどんな形状であれ、円形の丸み付けされた半円形であり得る。部分16は典型的には、円形縁部を有する透明窓部である。
【0027】
ここで図2を参照する。図2は、本発明の一実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスのプリント回路基板アセンブリ(PCA)の模式図である。本発明の一実施形態によれば、図2に示すように、プリント回路基板アセンブリ(PCA)15が設けられる。PCA15は、硬質部位15rと、可撓性部位15fとを含み得る。
【0028】
上記の図1Bにおいて示すように、一実施形態において、照明光源13および光検出器14がそれぞれ取り付けられた2つの硬質部位15r’および15r’’は、半円形状である。しかし、他の形状を用いてもよい。PCA15は、各硬質部位15rの端部が可撓性部位15fとなるように、設計され得る。可撓性部位15f’および15f’’は、PCA15の形状がデバイス10の容積内に入るように。折り畳むことができる。例えば、可撓性部位15f’および15f’’はそれぞれ、一端において2つの硬質部位15r’および15r’’それぞれの端部に接続され、かつ、1つの共通硬質部位15r’’’に接続される。その後、デバイス10のU形状に適合するU形状を形成するように可撓性部位15f’および15f’’を折り畳み、これにより、間隙12に対して硬質部位15r’と硬質部位15r’’との間に空間ができるようにする。
【0029】
別の硬質部位15r’’’’は、可撓性部位15f’’’を通じて、U形状のPCA15の底部に設けられた硬質部位15r’’’へと接続することができる。硬質部位15r’’’には、バッテリー接点17が接続され得、バッテリー接点17には、バッテリー接点19が対向し得る。これらのバッテリー接点19は、硬質部位15r’’’’に接続される。バッテリー接点17とバッテリー接点19との間には、(図1A〜図1Bに示すように)バッテリー18を挿入することができる。さらに、PCA15は、送信器20およびアンテナ21を含み得る。送信器20およびアンテナ21は、無線通信(例えば、RF通信)により、光検出器14によって検出された信号を(図3に示す)外部受信器へと送ることができる。他の通信方法を用いてもよい。送信器20は、制御能力(例えば、デバイス10の多様な動作の制御)を含み得るが、制御能力または1つ以上の制御局面を別個の構成要素内に採用してもよい。送信器20は典型的には、ASIC(特定用途向け集積回路)の一部であるが、他の構造物の一部であってもよい(例えば、送信器20を、命令を実行するプロセッサとしてもよい)。デバイス10は、送信器20と別個の処理ユニットを含み得る。この処理ユニットは、例えば、命令を収容または処理する。
【0030】
ここで図3を参照する。図3は、本発明の別の実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの模式図である。本発明の実施形態によれば、図3に示すように、デバイス300は、図1A〜図1Bに示すようなデバイス10と類似し得る。デバイス300は、デバイス本体またはシェル311を含み得る。デバイス本体またはシェル311は、照明光源313と、PCA315上に取り付けられた光検出器314とを含み得る。
【0031】
しかし、デバイス10とは対照的に、デバイス300が有するさらなる特徴として、1つ以上の区画301がある。これらの1つ以上の区画301は、1つ以上のセル(例えば、セル312a、312bおよび312c)を形成するように、照明光源313と光検出器314との間の間隙312にわたって編成される。区画301により、各セルに対して固有の照明光源313および固有の光検出器314が設けられるようにしつつ、複数のセル312a〜312cが形成される。これらの照明光源313および光検出器314は、各セル内において相互に対向して配置される。典型的には、各照明光源313およびその対応する光検出器314は、相互に対向する。セル312a〜312cはそれぞれ、in−vivo流体と接触し得る。
【0032】
出血のin−vivo検出およびGI管に沿った出血位置の決定のために、セル312a〜312cを、異なる腸コーティング材料で充填しかつ/またはコーティングすることができる。各セルは、開口するように設計され得(すなわち、当該セルをコーティングしかつ/または充填する腸コーティング材料は、分解するように設計され)、これにより、照明光源313からの光をin−vivo流体内において通過させることができる。この光は、前記セル内を自由に通過し前記セルを自由に出入りして、GI管に沿った異なる位置において光検出器314に到達する。例えば、(例えばデバイス300の内服によって)デバイス300をin−vivo挿入するために、セル312a〜312c全てを特定の腸溶性材料で充填しかつコーティングする。デバイス300が食道および胃に到達すると、例えば、胃環境(例えば、ゼラチン)内にある際に分解するように設計された充填材によって充填されたセル312aが開口する。セル312a中の充填材が分解すると、胃からのin−vivo流体が流れて、セル312aを出入りし得る。その後、照明光源313からの光は、さきほどまでセル312aの充填物および/またはコーティングによって遮断されていた光検出器314に到達し得る。光検出器314は、セル312a内にあり、光信号を検出し、これらの光信号を送信器(例えば、デバイス10におけるような送信器20)を通じて外部受信器へと送ることができる。他の実施形態において、セル312aは、胃中の血液を検出するように設計されているが、コーティングは何も施さなくてよい。なぜならば、胃は、デバイスがGI管を通じて実際に移動する際に到達する最初の器官であるからである。
【0033】
デバイス300がGI管に沿って進み続けると、小腸に到達する。セル312bをコーティングおよび充填する材料は、胃液中に存在する低pH(例えば、約3前後のpH)に耐えかつより高いpH(例えば、5.5を超えるpH)中において分解し得、これによりセル312bの内容物を空にすることが可能な材料である。セル312b内を充填している材料が無くなると、小腸のin−vivo流体がセル312b内に自由に入り、セル312bから自由に出ることが可能となり、これにより、照明光源313からの光が前記in−vivo流体内を通過し、セル312b内の光検出器314に到達することができる。他の小腸特定の材料(例えば、胃内のデバイス300が小腸に到達するまでのおおよその既知の通過時間に対応する所定の期間後に分解する時間依存性材料)を用いてもよい。in−vivoデバイスの胃内における典型的な通過時間は、数分間から1時間である(「Capsule endoscopy−Transit abnormalities」(LewisB.、GI Endoscopy Clinics of NorthAmerica)を参照)。使用可能な材料のさらなる例は、例えば、小腸に依存する酵素反応によって異なり得る。
【0034】
このデバイスは、GI管に沿ってさらに移動して、大腸に到達し得る。前記デバイスが大腸に到達すると、セル312cを充填している材料(この材料は、大腸流体中において特異的に分解するように設計された材料で構成され得る)が分解し得、これにより、セル312c内の照明光源313からの光が大腸流体を通過し、セル312c内の光検出器314に到達し得る。その後、セル312cの光検出器314は、大腸流体の光信号を検出し、これにより出血を検出することができる。セル312cを充填している材料の分解は、pH性であり得る。5.5を越えるpH中にのみおいて分解するpH依存性充填物の例は、メタクリル酸共重合体(例えば、Eudragit(登録商標)ポリマー)で構成され得る。多様なグレードのメタクリル酸共重合体があり、これにより、各種のEudragit(登録商標)ポリマーが異なるpHレベルにおいて分解する。他の腸溶性ポリマーを挙げると、ポリ酢酸ビニルフタレート、ヒドロプロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロース、およびセルロースアセテートトリメリエート、またはこれらの組み合わせがある。これらのポリマーは、セルを充填するためのマトリックスとして作製され得る。
【0035】
大腸中における分解専用の他の充填(およびコーティング)材料は、大腸バクテリアの存在下においてまたは大腸に特異的な酵素反応に起因して分解するポリマーであり得る。例えば、マトリックス構成における生分解性ポリマーまたはアゾポリマーを、充填材として(またはコーティング中に)用いることができる。なぜならば、これらのポリマーは、大腸中に存在するアゾバクターによって発生するアゾレダクターゼ酵素に起因して分解するからである。他の大腸中の特異的材料は、多糖類マトリックスによって構成され得る。多糖類マトリックスは、胃および小腸中では完全なままであるが、大腸中では細菌性多糖類(例えば、アミラーゼ、グァーガム、ペクチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、コンドロイチン硫酸、デキストランおよびローカストビーンガム)によって分解される。
【0036】
他の材料も、デバイス300が大腸に到達するまでのデバイス300の小腸中におけるおおよその既知の通過時間に対応する所定の期間の後に分解するような、時間依存性であり得る。小腸中におけるin−vivoデバイスの典型的な通過時間は、追加を全く考慮しない場合、2〜8時間である(「Enhanced Diagnostic Yield with Prolonged Small Bowel Transit Time During Capsule Endoscopy」(Buscagliaら、International Journal of Medical Sciences)を参照)。従って、例えば大腸内のみにおいて分解するようになっている、セル312cを占有する充填物またはコーティング材料を、デバイス300の内服後6時間経過後に分解するように設計すればよい。6時間は、デバイス300が胃を通過するのにかかるおおよその通過時間である1時間と、デバイス300が小腸を通過するのにかかるおおよその通過時間である5時間との合計であり得る。デバイス300が大腸に到達するまでのデバイス300の小腸内における通過時間は、デバイス300をGI管に挿入する手順を緩下剤および増進剤の内服と共に行うことにより、制御および短縮することができる。デバイス300(または10)を挿入し、血液の存在を決定する手順を実質的に短時間で行わなければならない場合、デバイス300の挿入の前および/または後の特定の時期に増進剤を内服する(例えば、特定の時間において大量の食事を取る)よう患者に指示することができる。他の方法としては、前記手順の時間を短縮するための緩下剤の内服がある。
【0037】
セル312a〜312cの各セル内の照明光源313は、2つ以上の照明光源(例えば、3つまたは4つの照明光源)を含み得る。そのため、対応する数の光検出器314を各セル内に設けることができる。各セル内の複数の光検出器314はそれぞれ異なるフィルタを含み得、これにより、GI管に沿った各特定の位置においてin−vivo流体を通過する特定の波長の光を、対応する光検出器によって検出することができる。各セル内の光検出器によって検出された信号は、特定の波長における信号と、基準としての胆汁および血液の透過スペクトルとを比較することができ、これにより、胆汁の存在、血液またはこれら両方についての結論を下すことができる。
【0038】
他の実施形態において、複数の別個の間隙が設けられ得る。各間隙は、デバイス300の外周に沿って異なる側部に配置される。各間隙はデバイスの外周に配置されるため、各間隙はin−vivo流体と接触することができる。これらの間隙は、デバイス300の異なる側部上に配置され得る。各間隙は、複数の照明光源と、光検出器とを含み得る。これら複数の照明光源はそれぞれ、異なる波長において照射する。この光検出器は、各間隙内において流れて各間隙を出入りするin−vivo流体から出される光信号を検出する。いくつかの実施形態において、各間隙は、上述したようにGI管に沿った異なる位置において開口または分解するように設計された異なるコーティング/充填物により、コーティング/充填され得る。
【0039】
他の実施形態において、1つの間隙が設けられ得る。この1つの間隙は、特定の波長において照射する複数の照明光源と、光検出器とを含む。デバイス300の外周に沿った別の側部において、複数のセルまたはチャンバが設けられ得る。これらの複数のセルまたはチャンバには、GI管に沿った異なる位置において開口するように設計された異なるコーティングが施されている。これらのチャンバはそれぞれ、光検出器を含み得る。この光検出器は、前記チャンバが開口しているかまたは未だ閉口状態のままであるかを検出することができる。これらのチャンバは小型光源も含み得、これにより、チャンバ内の光検出器が暗画像を検出した場合、前記チャンバが未だ並行状態であると推定することができ、前記光検出器が明画像を検出した場合、前記チャンバが開口している(すなわち、前記チャンバを占有しているコーティングおよび/または充填物が分解した)と推定することができる。前記間隙内の光検出器からの情報と、前記チャンバの画像とを組み合わせることで、血液の存在をin−vivoで知ることができ、その位置もin−vivoで知ることができる。
【0040】
ここで図4を参照する。図4は、図3の実施形態および本発明の別の実施形態による、出血のin−vivo検出のためのデバイス300の模式的上面図であり、閉口状態のセル312a〜312cを示す。いくつかの実施形態によれば、区画301は不透明であり得、これにより、1つのセルからの照射が隣接セルに到達しないようになっている。いくつかの実施形態において、照明光源313は、照明光源313からの照射がセル312a〜312cそれぞれに到達するように、PCA315上に配置され得る。例えば、照明光源313を複数の照明光源に分割することで、各セル312a〜312cを照射する1つ以上の照明光源を各セル312a〜312cに対して設けることができる。
【0041】
そのため、光検出器314は、in−vivo流体を通過した光の光信号がセル312a〜312cそれぞれによって検出されるように、PCA315上に配置され得る。例えば、各セル312a〜312cが(恐らくは、異なる波長において照射する照明光源の数に対応する数だけの)1つ以上の光検出器を有するように、光検出器314を複数の光検出器に分割することができる。他の実施形態によれば、デバイス300は、セル312a〜312cそれぞれに対し、白色広帯域照射を照射する1つの照明光源を含み得、各セルは、複数の光検出器を有し得る。これら複数の光検出器はそれぞれ、異なる特定の波長または波長範囲において光信号を検出する。これら複数の光検出器は典型的には3つ〜4つの光検出器であり、特定の波長の光を検出できるように、フィルタを含み得る。このようなフィルタは、狭帯域フィルタ、干渉フィルタまたは回折光学素子(DOE)フィルタであり得る。
【0042】
照明光源313は、光検出器314の動作に依存せずに、セル312それぞれを連続的に照射し得る。いくつかの実施形態において、セル(例えば、セル312b)内に未だ腸溶性材料が充填されている場合、照明光源313からの光は、セル312b内の光検出器314に到達することができない。デバイス300の内部またはデバイス300の外部にあるプロセッサは、照射パルス持続時間を制御することができる。光検出器314が信号を検出しなかった場合、照明光源313を低フレームレートで照射するように調節するか、または、各期間間の長い持続時間と共に短期間のみにわたって照射するように調節する。同様に、デバイス300の電力をより節約できるように(「スリープモード」)、セル312b内の光検出器314を低フレームレートにおいて光信号を検出するように調節することができる。しかし、セル312b内の充填材が分解した場合、セル312b内の光検出器314は、光信号の検出を開始する。このときに、プロセッサは、照明光源313および光検出器314(またはこれらのうち1つのみ)を制御して、高レートによる照射および高周波数における光信号の検出をそれぞれ行う(「覚醒モード」)ことができる。
【0043】
いくつかの実施形態において、GI管に沿った異なる位置において開口する異なるセル312a〜312cを形成する区画301を含むデバイス300の代わりに、デバイス300は、pH検出器(図示せず)を含んでもよい。pH検出器は、pHレベルを連続的に検出し、前記検出されたpHを患者身体の外部にある受信器へと送ることができる。GI管に沿った異なる位置pHレベルはそれぞれ異なるため、検出されたpHから、特定のin−vivo位置を知ることができる。他の実施形態によれば、前記pH検出器は、前記複数のセルs312a〜312cとは別のさらなるセンサーであり得る。
【0044】
いくつかの実施形態において、デバイス300は、身体管腔内へのデバイス挿入後の経過時間の表示を支援し得るカウンターをさらに含み得る。このようなカウンターにより、位置(例えば、GI管に沿った位置)をin−vivoで概算することが可能となる。すなわち、デバイス挿入からGI管に沿った特定の器官への到達までの時間を、統計(例えば、蠕動運動の持続時間に関する研究)に基づいて理解することもできるし、あるいは、デバイス挿入手順に増進剤および緩下剤の内服が含まれる場合に所定の時間軸に基づいて理解することもできる。
【0045】
ここで図5を参照する。図5は、本発明の一実施形態による出血のin−vivo検出のためのシステムの模式図である。デバイス10は、図2に示すような送信器20を含み得る。デバイス10またはデバイス300は、in−vivo流体内を通過して検出された照射を外部受信器52へと送り得る。受信器52は、デバイス10またはデバイス300から送られたデータを保存するメモリユニットを含み得る。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態によるシステムは、in−vivo感知デバイスを含む。このin−vivo感知デバイスは、光信号および/または他の情報(例えば、画像、pH値など)をデータ受信器および/またはレコーダ52へと送る。このレコーダ52は、被検者の近隣に設けることもできるし、あるいは、被検者が装着することもできる。データ受信器および/またはレコーダ52はもちろん、他の適切な構成をとることができる。データ受信器および/またはレコーダ52は、前記受信された情報をより大型のコンピューティングデバイス54(例えば、ワークステーションまたはパーソナルコンピュータ)へと転送し得る。コンピューティングデバイス54において、前記データについてのさらなる分析、保存および/またはユーザへの表示が行われる。他の実施形態において、ディスプレイ56は、コンピューティングデバイス54の一部ではなく別個のユニットであり得る。他の実施形態において、これら多様な構成要素はそれぞれ不要である。例えば、内部デバイスからの情報を直接表示システムまたは処理システムへと直接送信するかまたは他の場合に(例えば配線により)転送することができる。
【0047】
いくつかの実施形態において、コンピューティングデバイス54は、処理ユニットおよび記憶ユニットを含み得る。前記処理ユニットは、光検出器14(または314)によって検出された光信号からの透過スペクトルを生成し得る。この透過スペクトルは、in−vivo流体の透過スペクトルに対応する。その後、前記処理ユニットは、前記生成された透過スペクトルと、(例えば、胆汁の)基準透過スペクトルとを比較し得る。処理ユニットは、スペクトル全体を比較することもできるし、あるいは、胆汁が相関位置に存在するかをin−vivoで決定するために、複数の値のみを比較することもできる。例えば、照明光源14または314は、約500nm、700nmおよび850nmの波長において照射し得る。波長450nmと波長700nmとの間の胆汁の透過比は極めて高く(およそ1000)、血液の透過スペクトルの振る舞いと類似している。そのため、特定の位置における胆汁の存在をin−vivo決定するためには、胆汁の透過スペクトルのみに対して固有でありかつおよび血液の透過スペクトルには存在しない固有の結果を導き出せるさらなる比を計算する必要がある。例えば、波長700nmと850nmとの間の比を上記位置において計算する。その後、700nmと850nmとの間のこの比を基準値と比較する。この基準値は、水中の胆汁の透過スペクトルから計算することができ、胆汁の存在を示すことができる。胆汁中の700nmと850nmとの間の比は典型的には、血液中における比よりも大きいことが多い。従って、この比は、両者間の差を示す際に適している。in−vivo信号から計算された比が、前記プロセッサが前記基準スペクトルに基づいて計算した特定閾値を越えた場合、これは、700nmと850nmとの間の比が計算された当該特定の位置における胆汁の存在をin−vivoで示し得る。
【0048】
血液の存在をin−vivo決定するためには、さらなる比を計算し、この比を基準と比較する必要がある。例えば、波長576nmと波長700nmとの間の透過比を計算する。その後、この比と、基準値とを比較する。この基準値は、水中の血液の透過スペクトルから計算することができる。前記検出された信号から計算された比が血液の基準透過スペクトルに基づいて計算された特定の閾値を超える場合、この結果から、病状をin−vivoで示し得る血液の存在を知ることができる。
【0049】
従って、血液の存在をin−vivoでおよび/または胆汁の存在を決定するために、照明光源13または313は典型的には、3つの異なる波長(例えば、576nm、700nmおよび850nm)において照射し得る。他の波長の選択肢を挙げると、415nm、540nm、560nm、700nmおよび850nmがある。典型的には、全ての比において特定の波長が用いられる。この波長は、血液中での透過率が高い波長(例えば、700nm)でなければならない。
【0050】
さらに、血液が酸化しているか否かについても、知ることができる。すなわち、水中の血液の透過スペクトル中には2つの最小ピークがあり、そのうち1つ波長は約542nmであり、そのうち他方の波長は約576nmである。これらのピークから、酸化した血液の存在を知ることができる。検出された信号によって生成された透過スペクトル中のピークの波長が約542nmおよび約576nmではない場合、血液が酸化していないことが分かる。従って、デバイス10または300が5つの異なる波長を有する5個の照明光源を含む場合、前記プロセッサは、胆汁の存在と、血液の存在と、血液が酸化しているかとを示し得る。例えば、これらの5個の波長は、415nm、542nm、576nm、700nmおよび850nmであり得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、ディスプレイ56は、in−vivo流体の透過スペクトルを表示し得る。他の実施形態において、ディスプレイ56は、maydisplay前記透過スペクトルを他の情報(例えば、光信号が検出された位置である相関in−vivo位置におけるpH値)と共に表示し得る。他の実施形態において、デバイス10が例えば画像装置および広帯域照射(すなわち、白色光)を含み得る場合、in−vivo画像を単独でまたは血液/胆汁または双方が検出されたin−vivo位置と共に表示することができる。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、受信器52は、使い捨て型の受信器であり得る。いくつかの実施形態において、前記受信器は、装着可能な使い捨て型パッチであり得る。患者は、例えば出血検出目的ののためにin−vivo環境を監視するために、前記受信器を装着し、新規のデバイス10または300を毎日1週間にわたって服用し得る。このようにする理由は、出血は一定した病状ではなく、ある日に出血が発生し、その後1〜2日間出血が発生せず、その後別の日に出血が見られる場合があるからである。そのため、患者に新規デバイスを毎日1週間にわたって挿入することにより、長期間(例えば、1週間)にわたって出血を監視する必要がある場合がある。前記受信器は、GI管に沿って血液が検出された位置を示し得る可視指示を含み得る。例えば、前記受信器は、GI管に沿った多様な位置(例えば、食道、胃、小腸および大腸)に対応する異なるLEDを含み得る。これらのLEDは、光検出器(14または314)により出血が検出された際に、発光し得る。例えば、小腸内において出血が検出された場合、小腸に対応するLEDが発光することで、患者および/または医師に対し、当該患者の状態を通知することができる。
【0053】
他の実施形態において、患者および患者の医師に対して患者の状態を通知するための他の方法があり得る。さらに他の実施形態において、前記通知を暗号化することで、当該患者の医学的状態が患者には分からないようにし、医師だけが前記通知を読解することができるようにすることができる。このようにすると、患者が手順の結果を見て理解することができる場合に患者が苦悩および心配するのを回避するために有用であり得る。
【0054】
ここで図6を参照する。図6は、本発明の一実施形態による出血のin−vivo検出のための方法を示す。図6による方法は、in−vivo流体を異なる波長において照射するステップ(610)と、前記in−vivo流体の透過スペクトルを測定するステップ(620)とを含み得る。前記方法は、前記in−vivo流体の前記透過スペクトルと、特定の波長における所定の胆汁の透過スペクトルとを比較するステップ(630)をさらに含み得る。この比較ステップは、デバイス10または300内のプロセッサによって行ってもよいし、あるいは、デバイス10または300の外部にあるプロセッサによって行ってもよい。前記スペクトル間の比較により、前記特定の位置における胆汁の存在がin−vivoで決定され得る(640)。前記方法は、前記in−vivo流体の前記透過スペクトルと、特定の波長における血液の所定のスペクトルとを比較するステップ(650)を含み得、これにより、前記透過スペクトルに従って血液の存在を決定する(660)。他の実施形態において、透過スペクトルまたは吸収スペクトル間の比較の代わりに、前記方法は、図11〜図12を参照して以下に詳細に説明するように、光検出器によって検出された離散的信号と、所定の閾値とを比較するステップを含み得る。
【0055】
ここで図7を参照する。図7は、本発明の別の実施形態による出血のin−vivo検出のための方法を示す。この請求項7による方法は、胃腸(GI)管に沿ったセグメント分解能においてin−vivo感知デバイスを局所化し、各位置において血液の存在を検出する方法であり得る。前記方法は、in−vivo感知デバイスを患者のGI管に挿入するステップ(710)を含み得る。本発明の実施形態によれば、前記デバイスは、間隙と、1つ以上の照明光源と、光検出器とを含み得る。前記間隙を通じて、in−vivo流体が流れて出入りする。前記1つ以上の照明光源は、前記間隙の片側に配置される。前記光検出器は、前記間隙の他方側において前記照明光源に対向して配置される。例えば、前記in−vivoデバイスは、デバイス10またはデバイス300であり得る。前記デバイスは、反対側において前記間隙を含む前記デバイスの他端上において、画像装置および広帯域白色光照明光源をさらに含み得る。前記方法は、in−vivo流体を異なる波長において照射するステップ(720)と、前記in−vivo流体の透過スペクトルを測定するステップ(730)とを含み得る。前記デバイスの内部または前記デバイスの外部にあるプロセッサは、前記in−vivo流体の前記透過スペクトルと、所定の胆汁の透過スペクトルとを比較するステップ(740)を行い得、これにより、胆汁の濃度を決定する(750)。各位置におけるin−vivo胆汁濃度に従って、前記プロセッサは、セグメント分解能における前記透過スペクトルの各点における前記in−vivoデバイスの位置を決定するステップ(760)を行い得る。いくつかの実施形態において、プロセッサは、デバイス10または300内にあるか、またはデバイス10または300の外部にあり、あるいは、外部ユーザ(例えば、医師)が、前記デバイスの前記in−vivo位置を決定するステップを行ってもよい。前記方法は、前記透過スペクトルに従って血液の存在を決定するステップをさらに含み得、これにより、血液がin−vivoで存在するかそしてどの位置にあるかを決定することができる。他の実施形態において、透過スペクトルまたは吸収スペクトル間の比較の代わりに、前記方法は、図11〜図12を参照して詳細に説明するように、前記光検出器によって検出された処理された離散的信号と、所定の閾値とを比較するステップを含み得る。
【0056】
他の位置特定方法では、画像装置と、間隙を含むデバイスの端部の反対側にある白色光とを含まれ得、これにより、in−vivo画像により、in−vivo位置と、血液の存在に関する決定とを示すことができる。他の実施形態において、前記デバイスはpH検出器を含み得、これにより、検出されたpHレベルに基づいて、前記デバイスのGI管に沿った位置を決定することができる。さらに他の実施形態において、前記デバイスの位置特定を胆汁のスペクトル情報を用いて行うことができる。血液のスペクトル情報から血液の存在をin−vivoで知ることができるため、in−vivo画像に基づいて、組織上のあらゆる出血源を知ることができる。
【0057】
ここで図8を参照する。図8は、本発明の別の実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの模式図である。本発明の実施形態によれば、in−vivo感知デバイス800は、反応性基板801を含む。反応性基板801は、デバイス800の長手方向軸に対して垂直方向に配置され得る。反応性基板801の情報には不透明カバー820が設けられ得る。不透明カバー820は、長手方向軸に対して垂直方向に配置される。不透明カバー820により、管腔壁が反応性基板801から遠隔方向に押圧され、かつ、反応性基板801が周囲のinvivo方位物から良好に隔離される。
【0058】
不透明カバー820は、デバイス800内において感知されたデータを、不透明カバー820の存在が無い場合に感知され得るデータから隔離することを支援する。(例えば、内服用画像化カプセルにおいて公知のような)透明カバーではなく不透明カバー820を設けることにより、デバイス800は、デバイス800の外部において発生する反応からいかなる干渉を受けること無く、デバイス800内において発生する反応の情報のみを感知および収集する能力を持つことができる。その結果、高い信号対ノイズ比の達成が支援される。
【0059】
不透明カバー820は、少なくとも2つの開口部821を含む。これら少なくとも2つの開口部821により、in−vivo流体がデバイス800の本体内を連続的に流れることが可能となる。いくつかの実施形態によれば、開口部821の形状は、開口部821内におけるin−vivo流体の流れを誘発する形状(例えば、円錐台形状)であればよく、ここで、前記円錐の基部は、デバイス800と周囲のin−vivoとの間の界面に設けられ、その直径は、デバイス800内に進む方向において低減する。これにより、デバイス800内を通過する流体の濃度を増加させ、不透明カバー820内に形成された空間内へ前記少なくとも2つの開口部821を通じて自由に流れ込むin vivo流体と共に搬送されるin−vivoマーカーの数量を増加させることができる。いくつかの実施形態によれば、不透明カバー820の代わりに鏡が用いられ得る。
【0060】
反応性基板801上には、少なくとも1つの種類の結合剤(例えば、抗体または他の適切なペプチド)が付着され得る。前記結合剤は典型的には、血液の存在をin−vivoで示す所望のin−vivoマーカーに対して特異的であるかまたは高親和性である。前記付着された結合剤は、GI環境に耐えなければならない(例えば、GI管に沿った露出されるであろう位置に応じた、胆汁の存在および他の酸性またはアルカリ性環境に耐えなければならない)。
【0061】
例えば、前記in−vivoマーカーは、グロビンAおよびグロビンBまたはタンパク質グリコホリンAであり得る。グロビンAおよびグロビンBは、ヘモグロビンのタンパク質部分である。タンパク質グリコホリンAは、赤血球の膜上にあるタンパク質の1つである。このようなタンパク質またはタンパク質部分は、反応性基板801上に付着した結合剤に結合し得る。いくつかの実施形態によれば、反応性基板10を2つ以上の部分(例えば、部分810、811および812)に分割することができる。これらの部分それぞれには、血液の存在を示すマーカーとの結合に適した少なくとも1つの種類の結合剤が付着され得る。いくつかの実施形態において、反応性基板810の各部分は、異なるコーティングを含み得る(例えば、部分810はコーティング810’でコーティングされ得、部分811はコーティング811’でコーティングされ得、部分812はコーティング812’でコーティングされ得る)。いくつかの実施形態において、これらのコーティングは、デバイス800がGI管内を通過している間、特定のin−vivo環境条件(例えば、特定のpHレベル下において、特定の酵素活性下において、、所定の期間後)下において共にまたは別個に分解するように、設計される。例えば、コーティング810’は、胃環境において分解するように設計され得、コーティング811’は、小腸環境において分解するように設計され得、コーティング812’は、大腸内において劣化し得る。
【0062】
例えば、デバイス800が胃に到達すると、コーティング810’は、胃環境と接触することにより劣化し得る。デバイス800がさらにGI管に沿って進むと、デバイス800は小腸に到達する。例えばコーティング811’を構成する材料は、胃液中に存在する低pH(約3のpH)に耐える材料であり得る。しかし、より高いpHレベル(5.5を超えるpH)において、コーティング811’の材料は分解し得、そのため、反応性基板部分811の近隣のin−vivo流体が自由に流れることが可能となり、これにより、部分811上に付着した結合剤にin−vivoマーカーが結合し得る。他の小腸に対して特異的な材料(例えば、デバイス800が胃を通過して小腸に到達するまでの通過時間に対応する所定の期間後に分解するように設計された時間依存性材料)を用いてもよい。利用可能な材料のさらなる例は、小腸に依存する酵素反応などによって異なり得る。
【0063】
デバイス800は、GI管に沿ってさらに移動し、大腸に到達し得る。前記デバイスが大腸に到達すると、コーティング812’が分解し得、血液の存在を示すin−vivoマーカーを搬送する大腸流体が、部分812に付着した結合剤と結合し得る。コーティング812’の分解は、pHに依存し得る。pHが5.5を超えた場合のみに分解するpH依存型コーティングの例は、メタクリル酸共重合体(すなわち、Eudragit(登録商標)ポリマー)によって構成され得る。これらの共重合体には多様なグレードがあるため、各種のEudragit(登録商標)ポリマーは、異なるpHレベルにおいて分解する。他の腸溶性ポリマーを挙げると、ポリ酢酸ビニルフタレート、ヒドロプロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロース、およびセルロースアセテートトリメリエート、またはこれらの組み合わせがある。
【0064】
大腸内のみにおいて分解する他のコーティング材料は、大腸バクテリアの存在下においてまたは大腸に特異的な酵素反応に起因して分解するポリマーであり得る。例えば、大腸内において分解するように設計された生分解性ポリマーまたはアゾポリマーをコーティングとして用いると効率的である。なぜならば、これらのポリマーは、大腸内に存在するアゾバクターによって生成されたアゾレダクターゼ酵素に起因して分解するからである。他の材料は時間依存性であり得、そのため、これらの他の材料は、分解するか、または、デバイス800が小腸を通過して大腸に到達するまでの通過時間に対応する所定の期間後に分解するように、設計される。
【0065】
in−vivo感知デバイス800は、in−vivo包囲物に露出される。反応性基板801は、in−vivo流体の流れに露出されるため、前記in−vivo流体内を流れるin−vivoマーカーに露出され得る。このように常に露出させることにより、異なる部分810、811および812内の結合剤と所望のin vivoマーカーを高濃度で結合させるのを支援することができる。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、反応性基板801を網羅するようにセンサー804が配置され、これにより、反応性基板801上において発生した光学的変化をセンサー804によって検出することができる。前記光学的変化は、色の変化、色相の変化、輝度の変化、明度の変化、光学濃度の変化、光学透過率の変化、光散乱の変化、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。
【0067】
反応性基板801上で発生しセンサー804によって感知される光学的変化は、結合剤または前記結合剤に結合したin−vivoマーカーまたはこれら両方の構造的変化に起因して発生する光学的変化である。
【0068】
いくつかの実施形態によれば、反応性基板801は、免疫測定に適した多様な材料(例えば、シリコン、ガラス、プラスチック)から作製され得る。反応性基板801の製作に適した材料であるかを評価する際に勘案すべきパラメータとしては、例えば、当該材料の透明度、当該材料の内部使用における安全性、当該材料の腔内条件下での耐久性などがある。従って、当該分野において結合剤の付着先となる生物基板の製造において既知の任意の材料が、適切であり得る。いくつかの実施形態によれば、反応性基板801は、透明なラブオンチップ型の基板であり得、この基板上において多様な反応を発生させることができ、これらの反応をセンサー804によって感知させることができる。他の実施形態によれば、ポリスチレンなどの複合材料も、反応性基板801の構築において適切である。
【0069】
いくつかの実施形態において、デバイス800は、光学系802を含み得る。光学系802は典型的には、レンズを含み得る。前記レンズは、光学的変化をセンサー804上に集束させる。光学的変化は、例えば、反応性基板801上に付着した結合剤から発せられた照射であり得る。いくつかの実施形態において、光学系802は、光学系802と反応性基板801との間の所定の距離から発出された照射のみを集束させるように、設計される。光学系802がこのように設計されている場合、さらに遠隔の距離から発出された照射はセンサー804上に集束されず、センサー804によって感知されない。そのため、背景雑音が実質的に回避される。
【0070】
いくつかの実施形態において、デバイス800は、少なくとも1つの照明光源803を含む。いくつかの実施形態によれば、センサー804および照明光源803は、反応性基板801と対向し得、これにより、照明光源803からの光線は、反応性基板801上に入射した後、反射されてセンサー804に到達する。いくつかの実施形態によれば、反応性基板801内において結合剤が付着された領域のサイズは、センサー804のサイズと相関し、これにより、反応性基板801からの情報全てが、いかなるデータ損失無く、センサー804によって検出される。
【0071】
典型的には、一実施形態において、照明光源803は白色LEDである。他の実施形態によれば、照明光源803は、単色照明光源であり得る。いくつかの実施形態において、2つ以上の単色照明光源があり得る。他の実施形態によれば、2つ以上の照明光源803があり得る。これら2つ以上の照明光源803はそれぞれ、異なる照射スペクトルを持ち得る。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、異なるスペクトルを有する各照明光源803は、反応性基板801の各部分に付着されている同じ種類の結合剤を照射してもよいし、あるいは、部分810、811および812にそれぞれ付着されている2種類以上の結合剤を照射してもよい。異なる照射スペクトルをそれぞれ有する2つ以上の照明光源803が照射されると、センサー804は、異なる照射スペクトルにおいて多様な反射を受信し得る。いくつかの実施形態において、前記多様な反射から、生体内に存在し得る病状に関するさらなる情報を得ることができる。結合剤が1種類である場合、in−vivoマーカーと結合剤との結合に起因して発生して感知された光学的変化から、1種類の病状(例えば、出血)についての情報をin−vivoで得ることができる。一方、2種類以上の結合剤がある場合、異なるin−vivoマーカーがその対応する異なる結合剤と結合することによって発生する光学的変化から、多様な種類の病状(例えば、血液の存在および結腸直腸癌を示すマーカーの存在)に関する情報を得ることができる。
【0073】
いくつかの実施形態において、病状を示すin vivoマーカーの存在を検出するために、タグ付き結合剤を前記マーカーに結合させる必要がある場合がある。いくつかの実施形態によれば、前記in vivoマーカーを前記結合剤に結合させた後、これを各部分において反応性基板801上に付着させ、さらなる結合剤(例えば、抗体)を身体の管腔に挿入することができる。この挿入された結合剤は典型的には、所望のin−vivoマーカー(典型的には、反応性基板801に付着した結合剤が結合している部分ではなく、マーカー構造上の異なる部分)に対して特異的であるかまたは高親和性である。前記挿入された結合剤は、タグ(例えば金粒子、ビーズ、または、米国特許出願公開番号第2009/0312631(公開日:2009年12月17日)にさらに開示されているように蛍光発光し得るタグ付け分子)により、タグ付けされ得る。従って、いくつかの実施形態において、前記in vivoマーカーと、反応性基板801に付着している結合剤とを結合させた後、前記タグ付き結合剤は、異なる部分において前記マーカーと結合し得、これにより、結合剤、マーカーおよびタグ付き結合剤の複合物が得られる。いくつかの実施形態において、デバイス800が胃に到達すると、例えば、コーティング810’が分解し、これにより、前記タグ付き結合剤と、部分810に付着した結合剤に結合しているマーカーとの結合が発生する。前記複合物が付着している反応性基板801が照射されると、センサー804は、前記異なる結合分子およびよって血液の存在を示す光学的変化を検出し得る。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、身体管腔内に投与される結合剤の挿入方法としては、飲み込み、内服、注入などがある。結合剤の挿入は、デバイス800の身体内への挿入後に行われ得る。いくつかの実施形態において、デバイス800を身体内に挿入して所定期間が経過した後、反応性基板801内の特定部分を被覆するコーティングが分解し、所望のin vivoマーカーと、反応性基板801上の結合剤とが結合し、タグ付き結合剤が前記身体内へと挿入される。他の実施形態において、デバイス800がin−vivo挿入されるのと実質的に同時に、タグ付き結合剤を投与する。他の実施形態において、デバイス800の挿入舞前に、タグ付き結合剤が投与され得る。
【0075】
いくつかの実施形態によれば、前記挿入された結合剤は、金粒子、ビーズ、蛍光発光分子、または照射されたときに認識可能となる他の任意のタグ付け技術によってタグ付けされ得る。例えば金粒子またはビーズによってタグ付けされている結合剤の場合、前記結合剤は、可視光波長において照射された際に、認識可能となる。例えば蛍光発光タグ付け分子によってタグ付けされている結合剤の場合、前記結合剤は、蛍光発光を誘発させるのに適したスペクトルにおいて照射されると、認識可能となる。例えば、紫外線スペクトルにおける照射により、可視光スペクトルにおける発光を誘発することができる。
【0076】
反応性基板801は、センサー804によって連続的に視認可能となっており、これにより、長時間の露出が可能である。これは、検出された光学的変化が蛍光発光に関連するものである場合に、重要な特徴である。蛍光発光において、照射された分子によって吸収される光子の数は、前記分子から発出される光子の数よりも多い。そのため、高い信号を得るためには、実質的に静止した画像を感知する(例えば、in vivo流体と常に接触しておりかつ光学的変化について連続的に視認されている反応性基板801を感知する)必要がある。
【0077】
in vivoマーカーは、デバイス800の近隣において自由に流れるin vivo流体と共に搬送可能であり、これにより、血液が確実にin−vivoで存在する。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、センサー804に含まれる画素数は、画像装置(例えば、CCD画像装置またはCMOS画像装置)において典型的に用いられる画素数よりも多い。例えば、センサー804は、100ミクロンまでの画素を含み得る。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの照明光源803およびセンサー804が、PCB805上に配置される。典型的には、デバイス800は、自律型であり得、内部電源806(例えば、酸化銀電池)を含み得る。他の実施形態によれば、デバイス800は、ワイヤまたはケーブルを通じて外部電源に接続され得る。
【0080】
いくつかの実施形態によれば、デバイス800は、送信器807を含み得る。送信器807は、センサー804によって感知されたデータを、デバイス800の外部にある受信器に送る。いくつかの実施形態において、送信器807は、無線送信器を含み得る(例えば、無線周波数(RF)信号または他の種類の通信信号を送ることができる)。例えば、送信器807は、アンテナ808を用いて無線信号を送ることができる。他の無線送信方法を用いてもよい。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態によるシステムは、in−vivo感知デバイス800を含み得る。in−vivo感知デバイス800は、情報(例えば、画像および/または他のデータ)をデータ受信器および/またはレコーダへと送る。このデータ受信器および/またはレコーダは恐らくは、被検者の近隣に設けられるか、または、被検者によって装着される。前記データ受信器および/またはレコーダはもちろん、他の適切な構成をとってもよい。前記データ受信器および/またはレコーダは、前記受信された情報をより大型のコンピューティングデバイス(例えば、ワークステーションまたはパーソナルコンピュータ)へと転送し得る。このコンピューティングデバイスにおいて、前記データについてのさらなる分析、保存および/またはユーザへの表示が行われ得る。他の実施形態において、前記多様な構成要素それぞれが不要となる場合もあるし、あるいは、別の構成内に収容される場合もある。例えば、内部デバイスからの情報を直接表示システムまたは処理システムへと直接送信するかまたは他の場合に(例えば配線により)転送することができる。別の例において、前記データ受信器またはワークステーションは、情報を前記in−vivoデバイスへと送信または他の場合に転送することができる。一実施形態において前記デバイスは自律型カプセルであり得るが、他の構成(例えば、内視鏡またはトロカール)を用いることも可能である。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、デバイス800は、内服用カプセルであり得る。他の実施形態によれば、デバイス800は、カプセル形状であってもよいし、あるいは、他の任意の形状(例えば、球状、楕円状、ピーナッツ状)であってもよい。他の実施形態において、不透明カバー820はドーム形状でなくてもよく、例えば平坦状であってもよい。
【0083】
ここで図9を参照する。図9は、本発明のさらに別の実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの模式図である。図9に示すような本発明の実施形態によれば、in−vivoデバイス900は、デバイス800と同様であるが、別の感知ヘッド922が追加される。いくつかの実施形態によれば、画像センサー914は、ドーム920の下側にあるセンサー904の端部の反対端部において、デバイス900の端部に配置される。そのため、この実施形態において、デバイス900は2つの端部(すなわち、上述したような血液/胆汁分析のための、ドーム920によって被覆された端部、および画像化のための端部922)を有する。
【0084】
画像センサー914は、デバイス900が挿入された管腔の画像化の際に用いることができる。いくつかの実施形態において、画像装置914は、サイズが例えば5〜6ミクロンのCCD画像装置またはCMOS画像装置であり得る。いくつかの実施形態によれば、画像装置914は、身体管腔の画像を取得し、センサー904は、in−vivoマーカーと結合剤との結合に起因する光学的変化を感知する。従って、病状が存在する管腔内の位置のデータを画像センサー914を用いて取得することができる。
【0085】
いくつかの実施形態によれば、画像装置914は、センサー904による信号取得と同時に画像を取得することもできるし、あるいは、センサー904による信号取得と共に順次に画像を取得することもできる。いくつかの実施形態によれば、画像装置914は、ユーザ(例えば、医師)により、制御され得る。例えば、医師は、感知されたデータをセンサー904からリアルタイムで受信し、光学的変化が感知された場合、前記医師は、画像装置914を起動して、前記光学的変化の位置における管腔の画像を取得することができる。いくつかの実施形態において、医師は、画像センサー914によって取得された画像(これは、in−vivo出血を示し得る)に従って、センサー904を起動し得る。
【0086】
他の実施形態によれば、画像装置914および/またはセンサー904は、その他のセンサー(それぞれ、センサー904または画像装置914)によって感知された画像データまたは他の光学データに応答して、自動的に起動され得る。画像分析または他の認識アルゴリズムが、この実施形態において用いられ得る。デバイス上においてまたは外部デバイス(例えば、受信器におけるようなもの)内において画像がオンボードで分析され得、前記分析に基づいて、必要なセンサー(センサー904または画像装置914)にコマンドが送られ得る。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、デバイス900が挿入された管腔を照射するための、少なくとも1つの照明光源913が設けられ得る。いくつかの実施形態において、画像センサー914の前方に、前記管腔から画像装置914へと反射された照射を画像取得のために集束させるための光学系916が設けられ得る。いくつかの実施形態によれば、画像センサー914および光学系916は、米国特許出願公開番号第2007/0118018号(公開日:2007年5月24日)に記載のように、設計され得る。
【0088】
いくつかの実施形態によれば、デバイス900は、自律型であり得、内部電源906(例えば、酸化銀電池)を含み得る。デバイス900は、2つ以上のバッテリー906を含んでもよいし、あるいは、例えばバッテリーへの電力誘導によりまたは外部電源へのワイヤまたはケーブルを介して、外部からの電力供給を受けてもよい。
【0089】
いくつかの実施形態において、デバイス900は、送信器907を含み得る。送信器907は、センサー904によって感知されたデータ、画像装置914によって取得された画像データ、またはこれら両方を送信し得る。いくつかの実施形態において、デバイス900は、デバイス900によって取得されたデータを送信するための2つ以上の送信器を含み得る。1つの送信器をセンサー904によって取得されたデータの送信用とし、1つの送信器を画像装置914によって取得された画像データの送信用とする。いくつかの実施形態によれば、送信されたデータは、外部受信器(図示せず)へと送信され得る。この外部受信器は、前記少なくとも2つの送信器からのデータを同時に受信し得る。
【0090】
いくつかの実施形態によれば、in−vivoマーカーに結合することとなるタグ付き結合剤を別個に患者に投与する代わりに、デバイス900は、さらなるセル910’’、911’’および912’’を含み得る。これらのセル910’’、911’’および912’’は、反応性基板部分910、911および912にそれぞれ対応するタグ付き結合剤を含み得る。セル910’’、911’’および912’’は、各反応性基板部分910〜912の反対側に配置され得る。セル910’’〜912’’は、コーティング910’、911’および912’それぞれと同じコーティングによって被覆され得る。これにより、特定の反応基板部分上のコーティングが分解する相関位置において、特定のタグ付き結合剤が確実に放出されることとなる。
【0091】
例えば、デバイス900が胃に到達すると、コーティング910’が分解する。それと同時に、同様に胃において分解するように設計されているセル910’’上のコーティングが分解する。他の実施形態において、胃中の血液を検出するように設計されたセルは、全くコーティングしなくてよい。なぜならば、胃は、デバイスが実際に移動する際に到達する最初の器官であるからである。コーティング910’が分解した後、反応性基板部分910は胃流体と接触し得、セル910’’内のタグ付き結合剤も同様である。血液の存在を示すin−vivoマーカー(例えば、グロビンA、グロビンBまたはグリコホリンA)が前記胃流体中に存在する場合、このin−vivoマーカーは、反応性基板部分910上の結合剤に結合する。その後、セル910’’から放出されたタグ付き結合剤は、前記結合したマーカーに結合した後、センサー904によって検出され得る。デバイス900が小腸に到達すると(例えば、コーティング911’がセル911’’のコーティングと共に分解すると)、同様のことが部分911内において発生し得る。そして、デバイス900が大腸に到達し、例えば、コーティング912’がセル912’’上のコーティングと共に分解すると、同じことが部分912内において発生し得る。これにより、光学的変化がセンサー904によって検出され得、血液がin−vivoで示される。
【0092】
いくつかの実施形態によれば、デバイス900は、内服用カプセルであり得る。他の実施形態によれば、デバイス900は、カプセル形状であってもよいし、あるいは他の任意の形状(例えば、球状、楕円状、ピーナッツ状)であってもよい。
【0093】
ここで図10を参照する。図10は、本発明の一実施形態による出血のin−vivo検出のためのデバイスの一部の模式図である。図10は、本発明の特定の実施形態による反応性基板901をより大きく示す。いくつかの実施形態によれば、部分910、911および912それぞれにおいて、2つ以上の種類の結合剤が反応性基板901上に付着され得る。
【0094】
いくつかの実施形態において、結合剤100は反応性基板901に上に付着され、in−vivoマーカー110は結合剤100に結合する。結合剤100とin−vivoマーカー110との結合に起因して、結合剤100、in−vivoマーカー110またはこれら両方において構造的変化が発生し得、その結果光学的変化が発生し得る。いくつかの実施形態において、同じマーカーに結合するかまたは血液の存在をin−vivoで示す異なるマーカーに結合する、別の種類のさらなる結合剤100’が設けられ得る。結合剤100’は、in−vivoでマーカー110’(これは、マーカー110と同じであってもよいし、同じでなくてもよい)に結合し得、その結果、結合剤100’、inin−vivoマーカー110’またはこれら両方において構造的変化が発生し得、これにより、光学的変化が発生する。
【0095】
他の実施形態において、例えば部分910において、結合剤100が反応性基板901上に付着され、in−vivoマーカー110が反応性基板901に結合する。タグ130によってタグ付けされた結合剤120は、患者の外部から(例えば、内服または注入によって)管腔内へ投与してもよいし、あるいは、デバイス900内のセルから放出させてもよい。その後、結合剤120は、反応性基板901上において既に固定されているin−vivoマーカー110に結合する。反応性基板901が照射されると、タグ130が認識可能となり、センサー904によって検出され得る。これは、反応性基板901の各部分(例えば、1種類の以上の結合剤における部分910、911および912)において同様に発生し得る。いくつかの実施形態において、例えば部分910において、結合剤100’が反応性基板901上に付着され、in−vivoマーカー110’が結合剤100’に結合する。タグ130’によってタグ付けされた結合剤120’は、患者の外部から(例えば、内服または注入によって)管腔内へ投与してもよいし、あるいは、デバイス900内のセルから放出させてもよい。その後、結合剤120’は、反応性基板901上において既に固定されているin−vivoマーカー110’に結合する。反応性基板901が照射されると、タグ130’が認識可能となり、センサー904によって検出され得る。
【0096】
いくつかの実施形態によれば、送信器807または907は、前記検出されたデータを外部受信器(図示せず)へと送信し得る。この受信器は、図5において上述したような使い捨て型受信器であり得る。いくつかの実施形態において、前記受信器は、装着可能な使い捨て型パッチであり得る。例えば、出血検出のためのin−vivo環境を監視するために、患者は、前記受信器を装着し、新規のデバイス800または900を毎日1週間にわたって内服し得る。このようにする理由は、出血は常に一定した病状であるわけではなく、ある日に出血が発生し、その後1〜2日間出血が発生せず、その後別の日に出血が見られる場合があるからである。そのため、患者に新規デバイスを毎日1週間にわたって挿入することにより、長期間(例えば、1週間)にわたって出血を監視する必要がある場合がある。前記受信器は、GI管に沿って血液が検出された位置を示し得る可視指示を含み得る。例えば、前記受信器は、GI管に沿った多様な位置(例えば、食道、胃、小腸および大腸)に対応する異なるLEDを含み得る。センサー814または914によって出血が検出されると、前記LEDが発光し得る。例えば、、小腸内において出血が検出された場合、小腸に対応するLEDが発光することで、患者および/または医師に対し、当該患者の状態を通知することができる。他の実施形態において、患者および患者の医師に対して患者の状態を通知するための他の方法があり得る。さらに他の実施形態において、前記通知を暗号化することで、当該患者の医学的状態が患者には分からないようにし、医師だけが前記通知を読解することができるようにすることができる。このようにすると、患者が手順の結果を見て理解することができる場合に患者が苦悩および心配するのを回避するために有用であり得る。
【0097】
いくつかの実施形態によれば、出血のin−vivo検出に用いられるデバイスは、デバイス10または300およびデバイス800または900の組み合わせであり得る。出血検出に用いられるデバイスは、光信号を検出する(例えば、スペクトル分析を行う)ことが可能なデバイス(例えば、デバイス10または300)と、免疫測定に基づいた分析を用いることにより血液を検出するデバイス(例えば、デバイス800または900)との組み合わせであり得る。前記組み合わされたデバイスが大腸に入ると、例えば、大腸流体中で浮遊している固体により、前記組み合わされたデバイスの一端に配置された間隙12(図1A)または312(図3)が遮断され得、そのため、信号が検出できなくなる場合がある。そのため、免疫測定を行うデバイスを前記組み合わされたデバイスの他端に追加することで、スペクトル分析または免疫測定分析またはこれら両方による血液検出を確実に行うことができる。
【0098】
いくつかの実施形態によれば、in−vivoデバイス800または900は、in−vivoデバイス10または300と組み合わされ得、この場合、前記組み合わされたin−vivoデバイスの一端は、反応性基板(801または901)を含むデバイス800または900の端部と類似し、前記組み合わされたデバイスの他端は、デバイス10または300のいずれかの端部と類似する。デバイス10または300は、間隙(12または312)と、照明光源と、前記間隙の反対側において相互に対向する光検出器とを含む。このように組み合わされたin−vivoデバイスは、一端(デバイス10または300と同様の端部)を通じて、前記間隙内を流れるin−vivo流体から送信および反射されたスペクトル信号を検出し、反対側端部(デバイス800と同様の端部)を通じて、前記in−vivo流体内を流れるマーカー(例えば、タンパク質)から反射された信号を検出することができる。前記組み合わされたin−vivoデバイスは、血液の存在を検出するための2つの方法(すなわち、(a)前記組み合わされたデバイスの一端に設けられた間隙内に流れ前記間隙を出入りする流体が照射された際に得られる光信号を通じた方法、および(b)前記組み合わされたデバイスの反対側端部に付着されたタグ付け剤に付着したタグ付きマーカー(例えば、タンパク質)が照射された際に得られる光信号を通じた方法)を有し得る。いくつかの実施形態によれば、前記組み合わされたin−vivoデバイスは、スペクトル信号およびタンパク質関連信号(免疫測定分析を可能にする)を検出することができ、これにより、血液の存在について、より正確な分析および決定をin−vivoで行うことが可能となる。
【0099】
いくつかの実施形態によれば、デバイス800および900は、不透明カバー820および920それぞれの内部の開口部を被覆するゲルまたはヒドロゲルを含み得る。ヒドロゲルを用いた場合、デバイス800および900それぞれの開口部821および921内を流体が流れることはできるが、in−vivo流体内を流れる固体がデバイス800および900に入ることはできない。ヒドロゲルは、固体を遮断する役割を果たすことができ、これにより、固体によって開口部が遮断される事態が回避され、これにより、in−vivo流体の自由な流れが可能となる。液の存在を示すマーカーが流体と共に搬送されるため、このようなゲルは不可欠である。
【0100】
他の実施形態において、デバイス800および900は、反応性基板801および901それぞれを被覆する不透明カバー820および920によって形成される空間全体を充填するヒドロゲルを含み得る。これらの実施形態において、前記ヒドロゲルは、in−vivo流体が流入し、デバイス800および900から出て行くことが予測される空間全体にわたって充填され得る。前記ヒドロゲルにより、デバイス800および900内へ固体が入ることを阻止し、デバイス800および900内には流体しか通過できないようにすることが可能となる。
【0101】
いくつかの実施形態によれば、デバイス10および300は、間隙12および312それぞれを被覆するヒドロゲルをさらに含み得る。前記ヒドロゲルは、環境に特異的なコーティングまたは充填物312a〜312cの上または下にコーティングすることができる。前記ヒドロゲルにより、間隙(12または312)内に固体が入るのを阻止することが可能となり、これにより、in−vivo流体内を光が通過し、この光が光検出器(14または314)によって検出されることが可能となる。前記ヒドロゲルにより、前記間隙を出入りできるのは流体のみとすることができ、これにより、干渉無く血液検出を行うことが可能となる。
【0102】
ここで図11を参照する。図11は、本発明の実施形態による、水中の血液のスペクトル(110BD)、胆汁のスペクトル(110BL)、および胆汁中の血液のスペクトル(111)を示すグラフである。図11中のグラフによれば、水中の血液は、400nm〜650nmの波長(より詳細には、グラフ中円112BDによって囲んだ部分の500〜650nmの波長)において、実質的に高い特異性と共に光を吸収する。しかし、波長400〜650nmにおける胆汁スペクトル110BLは、水中血液スペクトル110BDと極めて類似している。そのため、血液の存在と胆汁の存在とを区別するのが困難となる(すなわち、波長400nm〜650nmにおける光強度の読み取り値のみを用いた場合、血液の存在を胆汁の存在と区別することが困難となり得る)。そのため、他の波長におけるさらなる読み取り値が必要となる。図11中のグラフによれば、水中の血液は、波長650nm〜900nmにおいては光を吸収しない。なぜならば、110BDの傾斜は、波長650〜900nmにおいて一定であるからである。一方、胆汁は、これらの同じ波長において光を吸収する。なぜならば、110BLの傾斜は、650〜900nmにおいて増加しているからである。グラフ中、この胆汁スペクトル領域(より詳細には、700〜800nm)を円112BLによって囲んでいる。
【0103】
本発明によれば、血液の存在と胆汁の存在とをin−vivoで区別するために、「血液スコア」および「胆汁スコア」を計算する。本発明によれば、「血液スコア」は、(血液が高い特異性と共に光を吸収する波長である)波長400〜650nmから選択された少なくとも2つの異なる波長における光強度を測定した少なくとも2つの読み取り値から計算することができ、「胆汁スコア」は、(胆汁が高い特異性と共に光を吸収する波長である)波長650〜900nmから選択された少なくとも2つの異なる波長における光強度を測定した少なくとも2つの読み取り値から計算することができる。
【0104】
本発明の一実施形態によれば、in−vivoデバイス10または300は、いくつかの(例えば、4つの)異なる照明光源(例えば、LED)を含み得る。これら4つの照明光源のうち2つは、400nm〜650nmから選択された2つの異なる波長において照射し得、残り2つの照明光源は、650nm〜900nmから選択された2つの異なる波長において照射し得る。例えば、これら少なくとも4つの照明光源は、560nm、610nm、700nmおよび800nmにおいて照射し得る。、「血液スコア」は、560nmにおいて照射する1つの照明光源および610nmにおいて照射する別の照明光源照射によって照射された検出光の比から計算することができ、「胆汁スコア」は、700nmにおいて照射する1つの照明光源照射および800nmにおいて照射する別の照明光源によって照射された検出光の比から計算することができる。560nmおよび610nmの読み取り値からの比がゼロである(すなわち、前記スペクトルが平坦な線である)場合、間隙(12または312)内を流れて出入りする照射された流体中には血液が含まれていないと結論付けることができる。700nmおよび800nmの記読み取り値からの比がゼロである(すなわち、前記スペクトルが平坦な線である)場合、前記照された流体中に胆汁は含まれていないと結論付けることができる。
【0105】
ここで図12を参照する。図12は、本発明の一実施形態による、血液の存在をin−vivoで決定するための閾値を示すグラフである。4つの異なる波長(例えば、560nm、610nm、700nmおよび800nm)において照射されて、デバイス10または300内を流れて出入りするin−vivo流体を通過する光から得られた、光検出器14または314の4つの読み取り値から前記「血液スコア」および「胆汁スコア」を計算した後、前記検出された信号が、in−vivo病状に起因する血液濃度を示しているのかあるいは血液濃度が正常な範囲内であるのか(典型的には、血液濃度が10−3[血液(リットル)/流体(リットル)]になると、病状があると考えられている)を示しているのかを決定する必要がある。そのため、前記計算された読み取り値と所定の閾値113とを比較することで、前記読み取り値が示す血液濃度が10−3[血液(リットル)/流体(リットル)]を上回るかまたは下回るかを知ることができる。
【0106】
図12によれば、このグラフは、前記「血液スコア」および前記「胆汁スコア」を各4つの読み取り値について組み合わせることにより、得られている。前記「胆汁スコア」をX軸において表し、前記「血液スコア」をY軸において表し、これにより、各4つの読み取り値から(x、y)座標の点を得ている。例えば、「血液スコア」は、560nmおよび610nmにおける光強度の比によって得られ、「胆汁スコア」は、700nmおよび800nmにおける光強度の比によって得られている。グラフ上の(x、y)座標のある点は、(x=「胆汁スコア」、y=「血液スコア」)としたスコアから得られている。これらのスコアは、実質的に同じin−vivo位置における読み取り値を表すように、実質的に同じ期間において検出された4つの読み取り値に対して計算しなければならない。
【0107】
前記グラフ中の各点と、所定の事前計算された閾値113とを比較することができる。閾値113は、10−3[血液(リットル)/流体(リットル)]の血液濃度の根拠となる、前記「血液スコア」と前記「胆汁スコア」との間の相関を示す。所定の閾値113により、各4つの読み取り値が、10−3[血液(リットル)/流体(リットル)]を上回る(病状を示す)血液濃度を示しているのか否かを決定するのを支援することができる。図12中のグラフ中の点のうちいずれかの点が閾値113を超えた場合、当該点の読み取りが行われたin−vivo位置における血液濃度が10−3[血液(リットル)/流体(リットル)]を超えていること(すなわち、当該in−vivo位置において病状が存在すること)が分かり得る。任意の点が閾値113を下回った場合、当該点の読み取りが行われたin−vivo位置における血液濃度が10−3[血液(リットル)/流体(リットル)]を下回っている(すなわち、当該in−vivo位置においては病状は存在しないこと)が分かり得る。
【0108】
閾値113は、例えば、in−vitro実験から計算することができる。このin−vitro実験において、異なる波長における光強度を水中の多様な濃度の胆汁に対して検出し、異なる波長における光強度を水中の多様な濃度血液に対して検出する。図11から分かるように、照射された流体が胆汁および血液を含む場合(スペクトル111)、胆汁の存在に起因して、水中血液のスペクトル(110BD)の傾斜が低くなる(すなわち、波長400〜600nmにおける血液による光吸収(110BD)の実質的に高い特異性は、胆汁の存在下における場合ほど高くならない。そのため、所定の閾値113は、上昇する閾値である。すなわち、胆汁濃度が高いほど、前記閾値も高くなる。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記少なくとも4つの照明光源(例えば、560nm、610nm、700nm、800nm)を同時に照射することができるが、そのためには、4つの別個の光検出器が4つの別個のフィルタと共に必要であり、各光検出器には異なるフィルタが設けられる。しかし、他の実施形態において、これら4つの照明光源からの照射を1つずつ順次行ってもよく、この場合、1つの光検出器が、1つの照明光源からのin−vivo流体内を通過する光を一度に検出することができる。いずれの場合においても、実質的に同じin−vivo位置における血液の存在(または血液濃度)をin−vivoで決定するためには、前記4つの異なる照明光源4つの読み取り値が実質的に同時に必要である。
【0110】
いくつかの実施形態によれば、図11および図12中に示すグラフは、in−vivoデバイス10または300内において行われ得る処理プロセス時において、生成することができる。他の実施形態において、前記処理は、前記in−vivoデバイスの外部にあるユニットにより(例えば、図5に示すような受信器52または処理ユニット54により)行うことができる。前記処理を前記in−vivoデバイス内において行い、前記デバイスが4つの異なる照明光源および1つのみの光検出器を含む場合実施形態において、前記in−vivoデバイスは、メモリユニットを含まなければならない。(前記4つの照明光源の)各4つの読み取り値から前記光検出器によって実質的に同時に検出された信号は、実質的に同じin−vivo位置に相関し、前記in−vivoデバイスのメモリ内に記憶され得、4つの読み取り値が検出された後にのみ、血液スコアおよび胆汁スコアが計算され、前記所定の閾値と比較される。
【0111】
いくつかの実施形態によれば、4つの異なる波長における照射の代わりに、血液の存在のin−vivo通知が、2つの照明光源のみによって行われ得る。これら2つの照明光源は、胆汁スペクトルが線形である波長(すなわち、650〜900nm(図11))から選択された異なる波長において、照射し得る。例えば、1つの照明光源は700nmにおいて照射し得、別の照明光源は610nmにおいて照射し得る。検出された光信号を処理する方法は、X軸と交差する2つの点から線形プロットを生成するステップを含み得る。これらの照射波長に対応する検出光強度から、プロット上に2つの点が得られる。前記プロットのX軸は、前記照明光源の波長であり得、前記Y軸は、前記検出された光強度であり得る。450nm付近においてX軸との交差が発生した場合、胆汁スペクトル(110BL)もX軸と交差し(図11)、その結果、前記照射されているin−vivo流体中には胆汁しか存在せず、血液は存在していないと決定することができる。すなわち、これら2つの点から生成されたプロットは、実際に胆汁スペクトルのプロットである。しかし、X軸との交差がより高い波長において発生した場合、前記照射されているin−vivo流体中に血液が存在すると決定することができる。
【0112】
他の実施形態によれば、3つの異なる照明光源を用いて、デバイス10または300内を流れているin−vivo流体を照射することができる。この処理方法は、上述したように2つの照明光源に対応する2つの点からのプロットを生成するステップと、第3の照明光源からの第3の点と、前記生成されたプロットとを比較するステップとを含み得る。前記プロットのX軸は、前記照明光源の波長であり得、前記プロットのY軸は、前記照射波長に対応する、検出された光強度であり得る。例えば、上述したようにm700nmにおいて照射する照明光源および610nmにおいて照射する照明光源を用いて、X軸と交差するプロット上の2つの点を生成することができる。第3の点の位置は、血液が高い特異性を以て光を吸収する波長(すなわち、400〜650nm)から選択された波長において照射する第3の照明光源に対応し、この第3の点の位置と、前記プロットとを比較することができる。例えば、第3の照明光源は、560nmにおいて照射し得る。第3の点の光強度(例えば、560nmにおける強度)が前記生成されたプロット上にある場合、照射されているin−vivo流体中には、胆汁しか存在せず、血液は存在していないと決定することができる。第3の点が前記プロットの下側にある場合(すなわち、第3の点が前記プロットとX軸との間にある場合)、前記照射されているin−vivo流体中に血液が存在していると決定することができる。第3の点が前記生成されたプロットから遠ざかるほど、そして第3の点がX軸に近づくほど、前記照射されているin−vivo流体中の血液濃度はより高くなる。
【0113】
本発明は、本明細書中上記において具体的に図示および記載した内容に限定されないことが理解される。すなわち、本発明の範囲は、以下の請求項のみによって規定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液検出のためのin−vivo感知システムであって、
in−vivo感知デバイスであって、
in−vivo流体が内部を流れることが可能な間隙を有するハウジングと、
前記間隙の片側に設けられた照明光源であって、各照明光源は、異なる狭帯域照射において前記in−vivo流体を照射する、照明光源と、
前記間隙の反対側において前記照明光源に対向するように配置された少なくとも1つの光検出器であって、前記光検出器は、前記in−vivo流体内を通過する光を検出する、光検出器と、
検出された信号を送信する送信器と、
を含む、in−vivo感知デバイスと、
前記検出された信号を受信する受信器と、
前記検出された信号と、所定の閾値とを比較することにより、胆汁の存在および血液をin−vivoで決定する処理ユニットと、
を含む、システム。
【請求項2】
広帯域照射を照射する照明光源と、
画像をin−vivoで取得するための画像装置であって、前記広帯域照明光源および前記画像装置は、前記デバイスの一端に配置され、前記デバイスの一端の反対側には、前記照明光源、前記間隙および前記検出器が設けられる、画像装置と、
をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記照明光源は、異なるパルス持続時間と共に交互に作動する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムは、照明光源の数に対応する数の光検出器を含み、各光検出器は、前記各光検出器が対向する対応する照明光源からの光を検出する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記照明光源からの照射は、コリメータを通過した後に前記in−vivo流体を通過し、これにより、各光検出器は、前記各光検出器が対向する対応する照明光源からの光のみを検出する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
各光検出器は、前記各光検出器の対応する照明光源から照射された特定の波長の光を通過させるフィルタを含む、請求項4または5に記載のシステム。
【請求項7】
前記フィルタは、狭帯域フィルタ、干渉フィルタおよび回折光学素子フィルタからなる群から選択される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記in−vivoデバイスは内服用カプセルである、請求項1〜7のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項9】
血液を検出するin−vivo感知デバイスであって、
in−vivo流体が内部を流れることが可能な間隙を有するハウジングであって、前記間隙は2つ以上のセルに分割され、前記2つ以上のセルはそれぞれ、
照明光源であって、各照明光源は、異なる狭帯域照射において照射する、照明光源と、
前記in−vivo流体内を通過する光を検出する検出器と、
を含む、ハウジング、
を含み、
前記2つ以上のセルはそれぞれ、感知されたパラメータに応答して分解する異なる腸コーティングによってコーティングされる、
デバイス。
【請求項10】
感知されたパラメータに応答する前記腸コーティングの分解は、所定のin−vivo位置において発生する、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記感知されたパラメータは、pH、バクテリアおよび酵素活性からなる群から選択されたパラメータである、請求項9に記載のデバイス。
【請求項12】
前記デバイスは内服用カプセルである、請求項9〜11のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項13】
血液をin−vivoで検出する方法であって、
in−vivo流体を異なる波長において照射するステップと、
前記異なる波長の前記in−vivo流体を通過する光信号を検出するステップと、
前記検出された光信号を処理するステップと、
前記処理された光信号と、所定の閾値とを比較するステップと、
前記in−vivo流体内の血液の存在を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
胃腸(GI)管に沿ったセグメント分解能においてin−vivo感知デバイスを局所化する方法であって、
in−vivo感知デバイスinto患者の前記GI管に挿入するステップであって、前記デバイスは、in−vivo流体が内部を流れることが可能な間隙を有するハウジングと、前記間隙の片側に配置された少なくとも2つの照明光源と、前記間隙の他方側に配置されかつ前記照明光源に対向する光検出器とを含む、ステップと、
in−vivo流体を異なる波長において照射するステップと、
前記in−vivo流体の透過スペクトルを測定するステップと、
前記in−vivo流体の前記透過スペクトルと、所定の胆汁の透過スペクトルとを比較するステップと、
胆汁の濃度を決定するステップと、
前記透過スペクトルの各点における前記in−vivoデバイスの位置をセグメント分解能において決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記in−vivoデバイスの位置を決定するステップは、胃、小腸または大腸からなる群から選択されたセグメント内に前記デバイスが存在するかを決定するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記in−vivoデバイスは、前記GI管に沿ったpHを検出するpH検出器をさらに含む、請求項14または15のうち1つに記載の方法。
【請求項17】
前記デバイスの位置を決定するステップは、前記胆汁の濃度を決定するステップと、前記GI管に沿ったpHを決定するステップとにより、行われる、請求項14〜16のうちいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
前記透過スペクトルに従って血液の存在を決定するステップをさらに含む、請求項14〜17のうちいずれか1つに記載の方法。
【請求項1】
血液検出のためのin−vivo感知システムであって、
in−vivo感知デバイスであって、
in−vivo流体が内部を流れることが可能な間隙を有するハウジングと、
前記間隙の片側に設けられた照明光源であって、各照明光源は、異なる狭帯域照射において前記in−vivo流体を照射する、照明光源と、
前記間隙の反対側において前記照明光源に対向するように配置された少なくとも1つの光検出器であって、前記光検出器は、前記in−vivo流体内を通過する光を検出する、光検出器と、
検出された信号を送信する送信器と、
を含む、in−vivo感知デバイスと、
前記検出された信号を受信する受信器と、
前記検出された信号と、所定の閾値とを比較することにより、胆汁の存在および血液をin−vivoで決定する処理ユニットと、
を含む、システム。
【請求項2】
広帯域照射を照射する照明光源と、
画像をin−vivoで取得するための画像装置であって、前記広帯域照明光源および前記画像装置は、前記デバイスの一端に配置され、前記デバイスの一端の反対側には、前記照明光源、前記間隙および前記検出器が設けられる、画像装置と、
をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記照明光源は、異なるパルス持続時間と共に交互に作動する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムは、照明光源の数に対応する数の光検出器を含み、各光検出器は、前記各光検出器が対向する対応する照明光源からの光を検出する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記照明光源からの照射は、コリメータを通過した後に前記in−vivo流体を通過し、これにより、各光検出器は、前記各光検出器が対向する対応する照明光源からの光のみを検出する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
各光検出器は、前記各光検出器の対応する照明光源から照射された特定の波長の光を通過させるフィルタを含む、請求項4または5に記載のシステム。
【請求項7】
前記フィルタは、狭帯域フィルタ、干渉フィルタおよび回折光学素子フィルタからなる群から選択される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記in−vivoデバイスは内服用カプセルである、請求項1〜7のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項9】
血液を検出するin−vivo感知デバイスであって、
in−vivo流体が内部を流れることが可能な間隙を有するハウジングであって、前記間隙は2つ以上のセルに分割され、前記2つ以上のセルはそれぞれ、
照明光源であって、各照明光源は、異なる狭帯域照射において照射する、照明光源と、
前記in−vivo流体内を通過する光を検出する検出器と、
を含む、ハウジング、
を含み、
前記2つ以上のセルはそれぞれ、感知されたパラメータに応答して分解する異なる腸コーティングによってコーティングされる、
デバイス。
【請求項10】
感知されたパラメータに応答する前記腸コーティングの分解は、所定のin−vivo位置において発生する、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記感知されたパラメータは、pH、バクテリアおよび酵素活性からなる群から選択されたパラメータである、請求項9に記載のデバイス。
【請求項12】
前記デバイスは内服用カプセルである、請求項9〜11のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項13】
血液をin−vivoで検出する方法であって、
in−vivo流体を異なる波長において照射するステップと、
前記異なる波長の前記in−vivo流体を通過する光信号を検出するステップと、
前記検出された光信号を処理するステップと、
前記処理された光信号と、所定の閾値とを比較するステップと、
前記in−vivo流体内の血液の存在を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
胃腸(GI)管に沿ったセグメント分解能においてin−vivo感知デバイスを局所化する方法であって、
in−vivo感知デバイスinto患者の前記GI管に挿入するステップであって、前記デバイスは、in−vivo流体が内部を流れることが可能な間隙を有するハウジングと、前記間隙の片側に配置された少なくとも2つの照明光源と、前記間隙の他方側に配置されかつ前記照明光源に対向する光検出器とを含む、ステップと、
in−vivo流体を異なる波長において照射するステップと、
前記in−vivo流体の透過スペクトルを測定するステップと、
前記in−vivo流体の前記透過スペクトルと、所定の胆汁の透過スペクトルとを比較するステップと、
胆汁の濃度を決定するステップと、
前記透過スペクトルの各点における前記in−vivoデバイスの位置をセグメント分解能において決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記in−vivoデバイスの位置を決定するステップは、胃、小腸または大腸からなる群から選択されたセグメント内に前記デバイスが存在するかを決定するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記in−vivoデバイスは、前記GI管に沿ったpHを検出するpH検出器をさらに含む、請求項14または15のうち1つに記載の方法。
【請求項17】
前記デバイスの位置を決定するステップは、前記胆汁の濃度を決定するステップと、前記GI管に沿ったpHを決定するステップとにより、行われる、請求項14〜16のうちいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
前記透過スペクトルに従って血液の存在を決定するステップをさらに含む、請求項14〜17のうちいずれか1つに記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−516186(P2012−516186A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−547058(P2011−547058)
【出願日】平成22年1月31日(2010.1.31)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000079
【国際公開番号】WO2010/086859
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(506203914)ギブン イメージング リミテッド (45)
【氏名又は名称原語表記】GIVEN IMAGING LTD.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月31日(2010.1.31)
【国際出願番号】PCT/IL2010/000079
【国際公開番号】WO2010/086859
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(506203914)ギブン イメージング リミテッド (45)
【氏名又は名称原語表記】GIVEN IMAGING LTD.
【Fターム(参考)】
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