説明

函体構造物の構築方法

【課題】橋脚によって支持された橋桁の下方の領域に、中空の函体構造物を橋脚を横断して構築する際に、橋桁からの荷重を強固かつ安定した状態で支持することのできる函体構造物の構築方法を提供する。
【解決手段】橋脚15A,15Bを挟んだ両側に一対の側部立坑18を築造する工程と、この側部立坑18内から縦方向パイプ列11を設置する工程と、側部立坑18に土砂20を埋戻すと共に、縦方向パイプ列11と橋脚15との間の部分に支持基盤21を形成する工程と、縦方向パイプ列11の最上段の角部矩形パイプ19bから横方向に連設して、横方向パイプ列12の矩形パイプ19cを支持基盤21上に設置する工程と、橋桁16と角部矩形パイプ19b及び矩形パイプ19cとの間に介在して取り付けた桁受け部材17によって橋桁16を支持させる工程と、横方向パイプ列12を構成する矩形パイプ19cを橋脚15A,15Bを横断して設置する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、函体構造物の構築方法に関し、特に、橋脚によって支持された橋桁の下方に、橋脚を横断して矩形断面を有する中空の函体構造物を構築するための函体構造物の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば鉄道の軌条や道路の下方を横断するようにして設けられている地下道等の既設の地下構造物が、長年の使用によって改築する必要を生じた場合や、これらの地下構造物を拡幅する必要を生じた場合に、鉄道や道路の使用状態を保持したまま、新たな地下構造物を構築できるようにする技術が種々開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の既設地下構造物の改築方法では、既設の地下構造物よりも大型の地下構造物となる函体構造物を新たに構築する際に、当該函体構造物の両側の側壁部及び天盤部が配置される部分に沿って、矩形パイプによる縦方向パイプ列及び横方向パイプ列を地中に設置しておき、横方向パイプ列の上面に載置した縁切り板の端部を不動箇所に固定した状態で、既製の函体構造物の端面を縦方向パイプ列及び横方向パイプ列に当接させた後に、既設の地下構造物を含む地盤を函体構造物の中空内部を介して撤去しつつ函体構造物を前進させ、横方向パイプ列の矩形パイプの上面に載置した縁切り板の下面をガイド面として、当該縁切り板を残置しつつ既成の函体構造物を縦方向パイプ列及び横方向パイプ列と置換することにより、鉄道や道路の使用状態を保持したまま、置換した函体構造物によって新たに地下構造物を構築するようにしたものである。
【特許文献1】特公平6−105025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の既設地下構造物の改築方法では、鉄道の軌条や道路の下方の基礎地盤中に設けられた既設地下構造物を、既製の函体構造物を縦方向パイプ列及び横方向パイプ列と置換することによって新たに地下構造物を構築するものであことから、橋脚によって支持された橋桁の下方に、橋脚を横断して既製の函体構造物を設置して、例えば立体交差の道路や通路等を構築しようとする場合には、特許文献1に記載の技術をそのまま適用することは困難である。
【0005】
すなわち、橋脚によって支持された橋桁の下方の部分に、橋脚を横断して既製の函体構造物を設置する場合には、橋桁の下方は基礎地盤が存在しない中空部分となっているため、また函体構造物を横断する部分の橋脚を撤去することになるため、鉄道や道路の使用状態を保持するには、構築作業中に橋桁からの荷重を何らかの方法によって強固かつ安定した状態で支持する必要がある。したがって、橋脚を横断する函体構造物の構築作業中に、橋桁からの荷重を強固かつ安定した状態で支持できるようにするための新たな技術の開発が要望されている。
【0006】
本発明は、橋脚によって支持された橋桁の下方に、矩形断面を有する中空の函体構造物を橋脚を横断して構築する際に、橋桁からの荷重を強固かつ安定した状態で支持しつつ、函体構造物を縦方向パイプ列及び横方向パイプ列と置換することのできる函体構造物の構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、橋脚によって支持された橋桁の下方に、前記橋脚を横断して矩形断面を有する中空の函体構造物を構築するための函体構造物の構築方法であって、前記函体構造物の側壁部が配置される部分の前記橋桁の下方の地盤を掘削して、横断される前記橋脚を挟んだ両側に一対の側部立坑を築造する工程と、前記函体構造物の側壁部が設けられる位置に沿って、前記函体構造物の天盤部の高さ位置まで前記一対の側部立坑内から横設した矩形パイプを各々積み上げて、一対の縦方向パイプ列を設置する工程と、前記一対の側部立坑を各々埋戻すと共に、前記各縦方向パイプ列と前記橋脚との間の部分に土砂を充填して横方向パイプ列の支持基盤を形成する工程と、前記各縦方向パイプ列の最上段に配置されると共に上面に縁切り板が載置された角部矩形パイプから前記橋脚側に各々連設して、横方向パイプ列を構成する横設した矩形パイプを、前記函体構造物の天盤部が設けられる高さ位置に沿って上面に縁切り板が載置された状態で前記支持基盤上に設置する工程と、前記橋桁と前記角部矩形パイプ及び/又は前記支持基盤上の矩形パイプとの間に介在させて桁受け部材を取り付けることにより、該桁受け部材によって前記橋桁を支持させる工程と、前記両側の支持基盤上の矩形パイプから横方向に連設して、前記横方向パイプ列を構成する矩形パイプを、前記橋脚を横断すると共に上面に縁切り板が載置された状態で設置する工程とを含み、前記一対の縦方向パイプ列を前記横方向パイプ列を介して連結一体化したら、前記橋脚を挟んだ横断方向の一方の側部に設けた既製の前記函体構造物の両側の側壁部及び天盤部の端面を、前記一対の縦方向パイプ列及び前記横方向パイプ列に直接又は間接的に当接させた後に、前記一対の縦方向パイプ列及び前記横方向パイプ列の内側の前記橋脚を含む地盤の土砂を前記函体構造物の中空内部を介して撤去しつつ、前記函体構造物を前記橋脚を挟んだ横断方向の他方の側部に向けて押し出し、前記角部矩形パイプを含む前記横方向パイプ列の矩形パイプの上面に載置された前記縁切り板の下面をガイド面として、当該縁切り板を残置しつつ前記函体構造物を前記一対の縦方向パイプ列及び前記横方向パイプ列と置換することにより、前記函体構造物を前記橋桁の下方に前記橋脚を横断して構築する函体構造物の構築方法を提供することによって、上記目的を達成したものである。
【0008】
そして、本発明の函体構造物の構築方法は、少なくとも2基の橋脚を横断して前記矩形断面を有する中空の函体構造物を構築する場合に、各一対の橋脚によって挟まれる部分に土砂を盛土して横方向パイプ列の中間部支持基盤を形成する工程と、前記各一対の橋脚によって挟まれる部分において横方向に連設して、前記横方向パイプ列を構成する横設した矩形パイプを、前記函体構造物の天盤部が設けられる高さ位置に沿って上面に縁切り板が載置された状態で前記中間部支持基盤上に設置する工程と、前記各一対の橋脚によって挟まれる部分において、前記橋桁と前記中間部支持基盤上の矩形パイプとの間に介在させて桁受け部材を取り付けることにより、該桁受け部材によって前記橋桁を支持させる工程とを含んでいることが好ましい。
【0009】
また、本発明の函体構造物の構築方法は、前記桁受け部材によって前記橋桁を支持させる工程において、前記桁受け部材は、前記角部矩形パイプ及び/又は前記支持基盤上(中間部支持基盤を含む。)の矩形パイプの上面に載置された前記縁切り板に対してスライド移動可能に設置されることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明の函体構造物の構築方法は、前記一対の側部立坑の外側の土留壁を、前記函体構造物の天盤部が設けられる高さ位置まで上方に延設する工程を含み、前記一対の側部立坑を埋戻すと共に前記各縦方向パイプ列と前記橋脚との間の部分に土砂を充填する工程において、前記土留壁の上方への延設部分と前記縦方向パイプ列と間の部分にも土砂を充填することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の函体構造物の構築方法によれば、橋脚によって支持された橋桁の下方に、矩形断面を有する中空の函体構造物を橋脚を横断して構築する際に、橋桁からの荷重を強固かつ安定した状態で支持しつつ、函体構造物を縦方向パイプ列及び横方向パイプ列と置換することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の好ましい一実施形態に係る函体構造物の構築方法は、図1及び図2に示すように、例えば鉄道の軌条13が敷設され、橋脚15A,15Bによって支持された橋桁16の下方部分に、道路トンネル用の地下構造物を形成するための矩形断面を有する中空の函体構造物10を、先行して設けられた縦方向パイプ列11及び横方向パイプ列12と置換することにより設置して構築する際に採用されたものである。
【0013】
すなわち、本実施形態では、函体構造物10は、その天盤部10bを含む上部が、軌条13を敷設した橋桁16の下方の中空部分に構築されるように計画されている。したがって、函体構造物10の天盤部10bは、橋脚15A,15Bを横断して構築されることになるが、本実施形態は、函体構造物10が橋脚15A,15Bを横断する場合でも、橋桁16を安定した状態で支持して、鉄道の軌条13を使用状態に保持したまま函体構造物10の構築作業を行えるようにするために、本発明の函体構造物10の構築方法を採用したものである。
【0014】
そして、本実施形態の函体構造物10の構築方法は、橋脚15A,15Bによって支持された橋桁16の下方に、橋脚15A,15Bを横断して矩形断面を有する中空の函体構造物10を構築するための構築方法であって、図3及び図4にも示すように、函体構造物10の側壁部10aが配置される部分の橋桁16の下方の地盤を掘削して、横断される橋脚15A,15Bを挟んだ両側に一対の側部立坑18を築造する工程と、函体構造物10の側壁部10aが設けられる位置に沿って、函体構造物10の天盤部10bの高さ位置まで一対の側部立坑18内から横設した矩形パイプ19aを各々積み上げて、一対の縦方向パイプ列11を設置する工程と、一対の側部立坑18に土砂20を充填してを各々埋戻すと共に、各縦方向パイプ列11と橋脚15A,15Bとの間の部分に土砂20を充填して横方向パイプ列12の支持基盤21を形成する工程と、各縦方向パイプ列11の最上段に配置されると共に上面に縁切り板22(図5参照)が載置された角部矩形パイプ19bから橋脚15A,15B側に各々連設して、横方向パイプ列12を構成する横設した矩形パイプ19cを、函体構造物10の天盤部10bが設けられる高さ位置に沿って上面に縁切り板22(図5参照)が載置された状態で支持基盤21上に設置する工程と、橋桁16と角部矩形パイプ19b及び/又は支持基盤21上の矩形パイプ19cとの間に介在させて桁受け部材17を取り付けることにより、この桁受け部材17によって橋桁16を支持させる工程と、両側の支持基盤21上の矩形パイプ19cから横方向に連設して、横方向パイプ列12を構成する矩形パイプ19cを、橋脚15A,15Bを横断すると共に上面に縁切り板22(図5参照)が載置された状態で設置する工程とを含んでいる。
【0015】
また、本実施形態では、一対の縦方向パイプ列11を横方向パイプ列12を介して連結一体化したら(図1参照)、橋脚15A,15Bを挟んだ横断方向の一方の側部に設けた既製の函体構造物10の両側の側壁部10a及び天盤部10bの端面10dを、一対の縦方向パイプ列11及び横方向パイプ列12に直接又は間接的に当接させた後に(図2参照)、図8〜図10に示すように、一対の縦方向パイプ列11及び横方向パイプ列12の内側の橋脚15A,15Bを含む地盤の土砂を函体構造物10の中空内部を介して撤去しつつ、函体構造物10を橋脚15A,15Bを挟んだ横断方向の他方の側部に向けて押し出し、角部矩形パイプ19bを含む横方向パイプ列12の矩形パイプ19cの上面に載置された縁切り板22(図5参照)の下面をガイド面として、当該縁切り板22を残置しつつ函体構造物10を一対の縦方向パイプ列11及び横方向パイプ列12と置換することにより、函体構造物10を橋桁16の下方に橋脚15A,15Bを横断して構築するようになっている。
【0016】
さらに、本実施形態では、少なくとも2基(本実施形態では2基)の橋脚15A,15Bを横断して矩形断面を有する中空の函体構造物10を構築するようになっており、図1に示すように、一対の橋脚15A,15Bによって挟まれる部分に土砂20を盛土して横方向パイプ列の中間部支持基盤21aを形成する工程と、一対の橋脚15A,15Bによって挟まれる部分において横方向に連設して、横方向パイプ列12を構成する横設した矩形パイプ19cを、函体構造物10の天盤部10bが設けられる高さ位置に沿って上面に縁切り板22(図5参照)が載置された状態で中間部支持基盤21a上に設置する工程と、一対の橋脚15A,15Bによって挟まれる部分において、橋桁16と中間部支持基盤21a上の矩形パイプ19cとの間に介在させて桁受け部材17を取り付けることにより、この桁受け部材17によって橋桁16を支持させる工程とを含んでいる。
【0017】
さらにまた、本実施形態では、図4に示すように、一対の側部立坑18の外側の土留壁23aを、函体構造物10の天盤部10aが設けられる高さ位置まで上方に延設する工程を含んでおり、一対の側部立坑18を埋戻すと共に各縦方向パイプ列11と橋脚15A,15Bとの間の部分に土砂20を充填する工程において、外側の土留壁23aの上方への延設部分24と縦方向パイプ列11と間の部分にも土砂20を充填するようになっている。
【0018】
本実施形態では、函体構造物10の両側の側壁部10aが配置される部分の地盤を各々掘削して、横断される2基の橋脚15A,15Bを挟んだ両側に一対の側部立坑18を築造する工程においては、図3に示すように、各橋脚15A,15Bと隣接する橋桁16の下方の地盤に、各一対の通り線に沿って例えばH形鋼からなる土留杭を所定の間隔をおいて複数打込むと共に、土留杭の間隔部分に横矢板を設置しつつ各一対の通り線の間の地盤を函体構造物10の底盤部10cが位置する深さまで掘り下げ、さらに切梁や腹起し等の支保部材25を取り付けることによって、土留壁23a,23bによって両側の壁面が保護された側部立坑18が各々築造されることになる。また、各側部立坑18の底部には、例えば基礎砕石を敷均し転圧すること等によって、基盤部18aが形成される。さらに、内側の土留壁23bと基盤部18aとの角部分には、矩形パイプ19aの受け台26が、基盤部18aから支持された状態で設置される。また本実施形態では、各橋脚15A,15B側に設けられる内側の土留壁23bは、その壁面が、函体構造物10の両側の側壁部10aによって押し出される各縦方向パイプ列11の内側の通り線に沿って配置されるように、各々設置されている(図4参照)。
【0019】
函体構造物10の両側の側壁部10aが設けられる位置に沿って、横設した矩形パイプ19aを積み上げて縦方向パイプ列11を設置する工程では、図4に示すように、矩形パイプ19aの内側面を各側部立坑18内の内側の土留壁23bの壁面に各々沿わせつつ、各側部立坑18の基盤部18aに設置した受け台26から上方に向けて、函体構造物10の天盤部10bの高さ位置まで矩形パイプ19aを順次積み上げてゆく。また積み上げた最上段に角部矩形パイプ19bを各々取り付けることにより、両側の縦方向パイプ列11を形成する。
【0020】
ここで、各縦方向パイプ列11を構成する矩形パイプ19aや角部矩形パイプ19bは、例えばアール・アンド・シー工法(株式会社奥村組製)に使用する公知の矩形パイプを好ましく用いることができる。これらの矩形パイプ19a,19bは、例えば外周面から突出して設けた継手リブ等を介して互いに連結することにより、縦方向に積み重ねた状態で容易に接合一体化することができる。
【0021】
また、本実施形態では、各側部立坑18の内側の土留壁23bは、上述のように、その壁面が、縦方向パイプ列11の内側の通り線に沿って各々配置されるように形成されている。これによって、内側の土留壁23bの壁面をガイドとして、縦方向パイプ列11の少なくとも下半部分の矩形パイプ19aを積み上げて行く作業を容易にすることが可能になる。また各側部立坑18に土砂20を充填して埋戻した際に、埋戻した土砂20の土圧によって縦方向パイプ列11の下半部分の矩形パイプ19aを内側の土留壁23bに押し付けるようにして支持させることが可能になる。これによって、各縦方向パイプ列11をより安定した状態で設置することが可能になる。なお、内側の土留壁23aは、後述するように橋脚15A,15Bや基礎地盤14の掘削土砂等を撤去しつつ既製の函体構造物10を押し出して行く際に、これらの掘削土砂や解体ガラ等と共に函体構造物10の中空内部を介して撤去されることになる。
【0022】
一対の側部立坑18を各々埋戻すと共に、形成した各縦方向パイプ列11と橋脚15A,15Bとの間の部分に土砂20を各々充填して横方向パイプ列12の支持基盤21を形成する工程では、土砂20として例えば砂質土等からなる良質土を、側部立坑18や縦方向パイプ列11と橋脚15A,15Bとの間の部分に投入する。また投入された土砂20は、所定の敷均し厚さ毎に十分に転圧して、支持基盤21を強固に締め固められた状態とする。
【0023】
ここで、本実施形態では、上述のように、一対の側部立坑18の外側の土留壁23aは、各々函体構造物10の天盤部10bが設けられる高さ位置まで上方に延設して設けられており、外側の土留壁23aの上方への延設部分24と縦方向パイプ列11と間の部分にも、土砂20が充填されるようになっている。側部立坑18の外側の土留壁23aを上方に延設するには、例えば土留杭を溶接等によって継ぎ足す方法等、公知の各種の工法によって容易に行うことができる。このような外側の土留壁23aを上方に延設する工程は、各側部立坑18を埋戻した後に行うこともでき、また各側部立坑18を埋戻すのに先立って、外側の土留壁23aを函体構造物10の天盤部10bの高さ位置まで上方に各々延設し、側部立坑18を埋戻す際に延設部分24の内側にも土砂20を充填することもできる。
【0024】
外側の土留壁23aの延設部分24と縦方向パイプ列11と間の部分にも土砂20を充填することにより、例えば各縦方向パイプ列11と橋脚15A,15Bとの間の部分に土砂20を投入充填して横方向パイプ列12の支持基盤21を形成する際に、転圧時の荷重等を、縦方向パイプ列11を挟んだ反対側からの土圧によって強固に支持して、十分に締め固められた安定した状態の支持基盤21を容易に形成することが可能になる。
【0025】
各縦方向パイプ列11の最上段に配置された角部矩形パイプ19bから横方向に連設して、横方向パイプ列12を構成する矩形パイプ19cを支持基盤21上に各々設置する工程では、例えば横設した矩形パイプ19cを、十分に締め固められた縦方向パイプ列11と橋脚15との間の各支持基盤21上に並べた状態で配置する。本実施形態では、橋脚15a,15bにかからないように、矩形パイプ19cが両側の支持基盤21上に各々2列に配置される。
【0026】
ここで、横方向パイプ列12を構成する矩形パイプ19cは、縦方向パイプ列11を構成する矩形パイプ19aや角部矩形パイプ19bと同様に、例えばアール・アンド・シー工法(株式会社奥村組製)に使用する公知の矩形パイプを好ましく用いることができる。また矩形パイプ19cは、例えば外周面から突出して設けた継手リブ等を介して連結することにより、他の矩形パイプ19cや角部矩形パイプ19bと連設した状態で容易に接合一体化することができる。
【0027】
本実施形態では、図5(a),(b)に示すように、角部矩形パイプ19b及び横方向パイプ列12を構成する矩形パイプ19cの上面には、当該上面を覆うようにして、縁切り板22が、各矩形パイプ19b,19cの長手方向に沿って載置される。ここで、縁切り板22は、例えば上述のアール・アンド・シー工法に使用する公知のフリクションカットプレートを好ましく用いることができる。また縁切り板22は、例えば側縁部に沿って設けられた継手プレートを介して密着状態で連結することにより、容易に接合一体化することができる。
【0028】
なお、本実施形態では、角部矩形パイプ19bを含む縦方向パイプ列11を構成する矩形パイプ19aの側面にも、当該側面を覆って縁切り板22を取り付けておくことができる。これらの側面を覆って縁切り板22を取り付けておくことにより、一対の縦方向パイプ列11及び横方向パイプ列12と置換して既製の函体構造物10を押し出してゆく際に、縁切り板22の内側面をガイド面として、周囲の土砂20と縁切りした状態で、函体構造物10をスムーズに押し出してゆくことが可能になる。
【0029】
橋桁16と角部矩形パイプ19b及び/又は支持基盤21上の矩形パイプ19cとの間に介在させて桁受け部材17を取り付ける工程では、図5(a),(b)に示すように、桁受け部材17として例えばH形鋼やI形鋼を、角部矩形パイプ19bや矩形パイプ19cの縁切り板22によって覆われた上面に、橋桁16と略垂直に交差させて設置する。桁受け部材17を設置するには、例えば角部矩形パイプ19bや矩形パイプ19cの上面に支持させて、橋桁16を一旦ジャッキアップし、ジャッキアップした橋桁16の下方に桁受け部材17を挿入配置して、これの天端面が橋脚15の橋台15aの高さと合致するようにその高さを調整した後に、橋桁16を桁受け部材17の天端面に載置する。
【0030】
また、本実施形態では、桁受け部材17は、これの底面と、角部矩形パイプ19bや矩形パイプ19cの上面に載置された縁切り板22との間に介在して、回転移動機能を備えるスライド部材27として、例えばコンベアチェーンが設けられている。スライド部材27が設けられていることにより、桁受け部材17は、角部矩形パイプ19bや矩形パイプ19cの上面に載置された縁切り板22に対してスライド移動可能に設置されることになる。これによって、縁切り板22の下面をガイド面として、当該縁切り板22を残置しつつ既製の函体構造物10を押し出して一対の縦方向パイプ列11及び横方向パイプ列12と置換する際に、押し出し時の衝撃や摩擦等によって縁切り板22が移動しようとしても、このような移動による変位を吸収して、橋桁16の位置を保持することが可能になる。
【0031】
さらに、本実施形態では、図4に示すように、橋桁16の下方における、側部立坑18の外側の土留壁23aと隣接する部分の地盤から立設して、土留壁23aの上方への延設部分24と間隔をおいて配置された複数本の桁受け柱28が設けられている。また、これらの桁受け柱28の上端と土留壁23aの延設部分24の上端との間に架設されて、桁受け梁29が取り付けられている。そして、桁受け梁29の上面には、橋桁16との間に介在して、例えばH形鋼やI形鋼からなる補助桁受け部材30が、桁受け梁29及び橋桁16と略垂直に交差して設置される。補助桁受け部材30は、角部矩形パイプ19bや矩形パイプ19cの上面に設置した桁受け部材17と共に橋桁16を支持することにより、さらに安定した状態で橋桁16を使用状態に保持することが可能になる。
【0032】
そして、本実施形態では、2基の橋脚15A,15Bを横断して矩形断面を有する中空の函体構造物10を構築するものであることから、横方向パイプ列12を構成する矩形パイプ19cを、橋脚15A,15Bを横断して設置する工程に先立って、図1及び図4に示すように、一対の橋脚15A,15Bによって挟まれる部分に土砂20を盛土して中間部支持基盤21aを形成すると共に、横方向パイプ列12を構成する矩形パイプ19cを中間部支持基盤21a上に設置し、さらに橋桁16と中間部支持基盤21a上の矩形パイプ19cとの間に介在させて桁受け部材17を取り付けることにより、一対の橋脚15A,15Bの間の部分で橋桁16を支持させる作業を行う。これらの作業の各工程は、好ましくは上述の各工程と適宜並行して行うことができる。
【0033】
一対の橋脚15A,15Bによって挟まれる部分に土砂20を盛土して横方向パイプ列の中間部支持基盤21aを形成する工程では、土砂20として例えば砂質土等からなる良質土を、一対の橋脚15A,15Bの間の部分に投入すると共に、投入された土砂20を、所定の敷均し厚さ毎に十分に転圧して強固に締め固めることによって、中間部支持基盤21aを形成する。
【0034】
なお、本実施形態では、一対の橋脚15A,15Bの間の部分に土砂20を投入する作業や、上述の各縦方向パイプ列11と橋脚15A,15Bとの間の部分に土砂20を各々充填する作業に先立って、後述する、橋脚15A,15Bを横断方向に挟んだ一方の側部の地盤及び他方の側部の地盤14を掘り下げて発進基地32及び到達基地33を形成する工程において、例えば発進基地32の発進面や到達基地33の到達面に形成した、例えばH形鋼からなる土留杭と横矢板とからなる土留壁50(図6(a)参照)を利用して、この土留壁50を横方向パイプ列12が配置される高さ位置まで上方に延設することにより、当該土留壁50の上方への延設部分によって、橋脚15A,15Bを横断方向に挟んだ両側に、一対の橋脚15A,15Bの間の部分や各縦方向パイプ列11と橋脚15A,15Bとの間の部分に投入された土砂20の横断方向への流出や緩みを抑える山留壁51を形成する作業が行われる。
【0035】
すなわち、この山留壁51によって、支持基盤21及び中間部支持基盤21aの横断方向両側の、橋桁16の桁行方向に沿った面が強固に保護されることになり、中間部支持基盤21aや支持基盤21は、締め固められた状態を安定して保持することが可能になる。また、土留壁50の上方への延設部分による山留壁51と、各橋脚15A,15Bの横断方向両側部との間の隙間にも、土砂20が投入されて十分に締め固められた状態で充填されることになる。これらの土留壁50や山留壁51は、後述するように橋脚15A,15Bや基礎地盤14の掘削土砂等を撤去しつつ既製の函体構造物10を押し出して行く際に解体され、これらの掘削土砂やガラ等と共に函体構造物10の中空内部を介して撤去されることになる。
【0036】
一対の橋脚15A,15Bによって挟まれる部分に、横方向パイプ列12を構成する矩形パイプ19cを、函体構造物10の天盤部10bが設けられる高さ位置に沿って中間部支持基盤21a上に設置する工程では、例えば横設した矩形パイプ19cを、十分に締め固められた一対の橋脚15A,15Bの間に中間部支持基盤21a上に並べた状態で配置する。矩形パイプ19cとしては、上述と同様の例えばアール・アンド・シー工法(株式会社奥村組製)に使用する公知の矩形パイプを好ましく用いることができる。また矩形パイプ19cの上面には、当該上面を覆うようにして、縁切り板22が長手方向に沿って載置される。
【0037】
一対の橋脚15A,15Bによって挟まれる部分に、橋桁16と矩形パイプ19cとの間に介在させて桁受け部材17を取り付け、この桁受け部材17によって橋桁16を支持させる工程では、上述と同様に、橋桁16を一旦ジャッキアップし、ジャッキアップした橋桁16の下方に桁受け部材17を挿入配置して、これの天端面が橋脚15A,15Bの橋台15aの高さと合致するようにその高さを調整した後に、橋桁16を桁受け部材17の天端面に載置する。桁受け部材17には、これの底面と、角部矩形パイプ19bや矩形パイプ19cの上面に載置された縁切り板22との間に介在して、回転移動機能を備えるスライド部材27が取り付けられている。
【0038】
一対の橋脚15A,15Bの間の部分及びこれらの外側部分に配置された複数の桁受け部材17によって、橋桁16を橋脚15A,15Bから盛換え可能に支持したら、支持基盤21上、及び中間部支持基盤21a上の矩形パイプ19cから横方向に連設する矩形パイプ19cを、各橋脚15A,15Bを横断して設置して、連接した矩形パイプ19cによる横方向パイプ列12を形成すると共に、両側の一対の縦方向パイプ列11を横方向パイプ列12を介して連結一体化する作業を行う。本実施形態では、橋脚15A,15Bを横断して矩形パイプ19cを設置する作業に先立って、例えば図6及び図7に示すように、作業領域の周囲の地盤に地盤改良31を施すと共に、橋脚15A,15Bを挟んだ横断方向の一方の側部及び他方の側部を掘り下げて、発進基地32や到達基地33を形成する。また、発進基地32や到達基地33に作業用の諸設備を設置する。
【0039】
すなわち、例えば薬液注入工法等の公知の各種の改良工法を用いて地盤改良31を行うことにより、作業領域の周囲の地盤を安定させると共に、作業領域の周囲を囲むようにして土留鋼矢板34を打設し、反力を得るための背面盛土35を施工する。また、橋脚15A,15Bを横断方向に挟んだ両側に、発進基地32の発進面や到達基地33の到達面となる土留壁50を、例えばH形鋼からなる土留杭と横矢板を用いて形成しつつ、橋脚15A,15Bを挟んだ両側部を掘り下げて、発進基地32及び到達基地33を形成する(図6参照)。なお、橋脚15A,15Bを横断方向に挟んだ両側に設けられた土留壁50は、例えばタイロッド52(図7参照)を用いて適宜補強することができると共に、周囲の地盤は例えばアースアンカーを打設して適宜補強することができる。
【0040】
さらに、作業用の諸設備として、到達基地33には、矩形パイプ発進架台36、矩形パイプ推進機37等が設置されると共に、発進基地32には、矩形パイプ撤去架台38、反力壁39等が設置される。また発進基地32では、函体構造物10が築造される(図7参照)。なお、これらの作業は、上述の各工程と併行して行うこともできる。
【0041】
そして、支持基盤21上及び中間部支持基盤21a上の矩形パイプ19cから横方向に連設して、横方向パイプ列12を構成する矩形パイプ19cを、橋脚15A,15Bを横断して設置する工程では、例えば上述のアール・アンド・シー工法と同様にして、図7に示すように、到達基地33に設置した矩形パイプ発進架台36から、単位パイプ40を順次継ぎ足しつつ、上面に縁切り板22が載置された矩形パイプ19cを、矩形パイプ推進機37によって橋脚15A,15B及び発進基地32に向けて押し出す。また矩形パイプ19cの先端の作業開口から、橋脚15A,15Bや支持基盤21,21aの土砂20を、例えばブレーカやノミ、スコップ等を用いて破砕したり掘削しながら矩形パイプ19cを推進させ、発進基地32に到達させることにより、矩形パイプ19cが、橋脚15A,15Bを横断して例えば各3列設置されることになる(図4参照)。
【0042】
上述のようにして、橋脚15A,15Bによって支持された橋桁16の下方に、函体構造物10の両側の側壁部10a及び天盤部10bの構築予定位置に沿って、一対の縦方向パイプ列11と横方向パイプ列12を連結一体化した状態で設置したら(図1参照)、本実施形態では、例えば上述のアール・アンド・シー工法と同様に、発進基地32で築造された函体構造物10を、到達基地33に向けて押し出すことにより一対の縦方向パイプ列11及び横方向パイプ列12と置換して、函体構造物10を道路トンネル用の地下構造物として構築する。
【0043】
発進基地32で築造された函体構造物10を一対の縦方向パイプ列11及び横方向パイプ列12と置換するには、図2に示すように、発進基地32において、矩形パイプ撤去架台38を撤去すると共に、築造された既製の函体構造物10の前方に刃口41や先端ジャッキ42を組み付ける。また、函体構造物10の後方に元押しジャッキ、井桁、調整枠等による反力設備43を設置する。さらに、到達基地33では、矩形パイプ発進架台36を矩形パイプ撤去架台38として組み替える。
【0044】
次に、函体構造物10の端面10dを、先端ジャッキ42を介して一対の縦方向パイプ列11及び横方向パイプ列12の端面に当接させ、且つ横方向パイプ列12の上面に載置された縁切り板22の端部を不動箇所に固定する。この状態で、図8に示すように、橋脚15A,15Bを含む軌条13の下方の支持基盤21及び中間部支持基盤21aの土砂や基礎地盤14の土砂を、函体構造物10の中空内部を介して撤去しつつ、横方向パイプ列12の上面に載置された縁切り板22の下面をガイド面として、元押しジャッキ等の駆動によって函体構造物10を押し出すようにして到達基地33に向けて前進させる。
【0045】
ここで、函体構造物10の前進によって、縦方向パイプ列11や横方向パイプ列12を構成する各矩形パイプ19a,19b,19cは、到達基地33に押し出されるので、押し出された矩形パイプ19a,19b,19cを例えば単位パイプ40毎に回収する。
【0046】
そして、発進基地32において反力設備43に井桁等を追加配置すると共に、到達基地33で押し出された矩形パイプ19a,19b,19cを回収しつつ、図9及び図10に示すように、函体構造物10の先端が到達基地33に到達するまで、引き続き函体構造物10を前進させれば、一対の縦方向パイプ列11及び横方向パイプ列12と置換されて、函体構造物10が、道路トンネル用の地下構造物として橋桁16の下方の領域に構築されることになる。
【0047】
函体構造物10の先端が到達基地33に到達したら、例えば函体構造物10の周囲の地盤に裏込めを注入すると共に、刃口41、反力設備43、矩形パイプ撤去架台38、反力壁39等を解体撤去して、函体構造物10の設置作業が終了する。また函体構造物10を設置したら、土留鋼矢板34や、桁受け柱28、桁受け梁29等を撤去して現場復旧作業を行う。さらに、例えば角部矩形パイプ19bや矩形パイプ19cの上面から桁受け部材17によって支持された橋桁16の下方の中空部分に、コンクリート充填打設する等の仕舞作業を行って、全体の工事を完了する。
【0048】
そして、本実施形態の函体構造物10の構築方法によれば、上述のように、橋脚15A,15Bを挟んだ両側に一対の側部立坑18を築造する工程と、この側部立坑18内から矩形パイプ19aを積み上げて縦方向パイプ列11を設置する工程と、側部立坑18に土砂20を充填して埋戻すと共に、縦方向パイプ列11と橋脚15A,15Bとの間の部分に支持基盤21を形成する工程と、縦方向パイプ列11の最上段の角部矩形パイプ19bから横方向に連設して、横方向パイプ列12を構成する矩形パイプ19cを支持基盤21上に設置する工程と、橋桁16と角部矩形パイプ19b及び支持基盤21上の矩形パイプ19cとの間に介在させて取り付けた桁受け部材17によって橋桁16を支持させる工程と、横方向パイプ列12を構成する矩形パイプ19cを橋脚15A,15Bを横断して設置する工程とを含んでいるので、橋脚15A,15Bによって支持された橋桁16の下方の領域に、函体構造物10を橋脚15A,15Bを横断して構築する際に、橋桁16からの荷重を強固かつ安定した状態で支持しつつ、函体構造物10を一対の縦方向パイプ列11及び横方向パイプ列12と容易に置換することが可能になる。
【0049】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、本発明は、2基の橋脚を横断して矩形断面を有する中空の函体構造物を構築する場合に限定されることなく、1基又は3基以上の橋脚を挟んだ両側に側部立坑を築造して、1基又は3基以上の橋脚を横断して中空の函体構造物を構築する際にも適用することが可能である。また、桁受け部材は、角部矩形パイプや支持基盤上の矩形パイプの上面に載置された縁切り板に対してスライド移動可能に設置される必要は必ずしもない。さらに、橋桁の下方に桁受け柱や桁受け梁を設置して、補助桁受け部材を設ける必要は必ずしもない。さらにまた、本発明は、軌条の下方に道路トンネル用の地下構造物を形成する場合に限定されることなく、橋脚によって支持された橋桁の下方の領域に、矩形断面を有する種々の函体構造物を構築するべく採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係る函体構造物の構築方法を説明する、橋脚の横断方向から視た断面図である。
【図2】本発明の好ましい一実施形態に係る函体構造物の構築方法の作業工程を説明する、橋脚の横断方向と垂直な方向から視た略示断面図である。
【図3】本発明の好ましい一実施形態に係る函体構造物の構築方法の作業工程を説明する、橋脚の横断方向から視た断面図である。
【図4】本発明の好ましい一実施形態に係る函体構造物の構築方法の作業工程を説明する、橋脚の横断方向から視た断面図である。
【図5】(a)は、桁受け部材によって橋桁を支持する状態を説明する拡大断面図、(b)は、桁受け部材を縁切り板に対してスライド移動可能に設置した状態を説明する部分斜視図である。
【図6】(a)は、本発明の好ましい一実施形態に係る函体構造物の構築方法の作業工程を説明する、橋脚の横断方向と垂直な方向から視た略示断面図、(b)は、橋脚の横断方向から視た略示断面図である。
【図7】本発明の好ましい一実施形態に係る函体構造物の構築方法の作業工程を説明する、橋脚の横断方向と垂直な方向から視た略示断面図である。
【図8】本発明の好ましい一実施形態に係る函体構造物の構築方法の作業工程を説明する、橋脚の横断方向と垂直な方向から視た略示断面図である。
【図9】本発明の好ましい一実施形態に係る函体構造物の構築方法の作業工程を説明する、橋脚の横断方向と垂直な方向から視た略示断面図である。
【図10】本発明の好ましい一実施形態に係る函体構造物の構築方法の作業工程を説明する、橋脚の横断方向と垂直な方向から視た略示断面図である。
【符号の説明】
【0051】
10 函体構造物
10a 函体構造物の側壁部
10b 函体構造物の天盤部
11 縦方向パイプ列
12 横方向パイプ列
13 軌条
14 基礎地盤
15A,15B 橋脚
16 橋桁
17 桁受け部材
18 側部立坑
19a 縦方向パイプ列を構成する矩形パイプ
19b 角部矩形パイプ
19c 横方向パイプ列を構成する矩形パイプ
20 土砂
21 横方向パイプ列の支持基盤
21a 横方向パイプ列の中間部支持基盤
22 縁切り板
23a 側部立坑の外側の土留壁
23b 側部立坑の内側の土留壁
24 側部立坑の外側の土留壁の上方への延設部分
27 スライド部材
30 補助桁受け部材
32 発進基地
33 到達基地
41 刃口
43 反力設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋脚によって支持された橋桁の下方に、前記橋脚を横断して矩形断面を有する中空の函体構造物を構築するための函体構造物の構築方法であって、
前記函体構造物の側壁部が配置される部分の前記橋桁の下方の地盤を掘削して、横断される前記橋脚を挟んだ両側に一対の側部立坑を築造する工程と、
前記函体構造物の側壁部が設けられる位置に沿って、前記函体構造物の天盤部の高さ位置まで前記一対の側部立坑内から横設した矩形パイプを各々積み上げて、一対の縦方向パイプ列を設置する工程と、
前記一対の側部立坑を各々埋戻すと共に、前記各縦方向パイプ列と前記橋脚との間の部分に土砂を充填して横方向パイプ列の支持基盤を形成する工程と、
前記各縦方向パイプ列の最上段に配置されると共に上面に縁切り板が載置された角部矩形パイプから前記橋脚側に各々連設して、横方向パイプ列を構成する横設した矩形パイプを、前記函体構造物の天盤部が設けられる高さ位置に沿って上面に縁切り板が載置された状態で前記支持基盤上に設置する工程と、
前記橋桁と前記角部矩形パイプ及び/又は前記支持基盤上の矩形パイプとの間に介在させて桁受け部材を取り付けることにより、該桁受け部材によって前記橋桁を支持させる工程と、
前記両側の支持基盤上の矩形パイプから横方向に連設して、前記横方向パイプ列を構成する矩形パイプを、前記橋脚を横断すると共に上面に縁切り板が載置された状態で設置する工程とを含み、
前記一対の縦方向パイプ列を前記横方向パイプ列を介して連結一体化したら、前記橋脚を挟んだ横断方向の一方の側部に設けた既製の前記函体構造物の両側の側壁部及び天盤部の端面を、前記一対の縦方向パイプ列及び前記横方向パイプ列に直接又は間接的に当接させた後に、前記一対の縦方向パイプ列及び前記横方向パイプ列の内側の前記橋脚を含む地盤の土砂を前記函体構造物の中空内部を介して撤去しつつ、前記函体構造物を前記橋脚を挟んだ横断方向の他方の側部に向けて押し出し、前記角部矩形パイプを含む前記横方向パイプ列の矩形パイプの上面に載置された前記縁切り板の下面をガイド面として、当該縁切り板を残置しつつ前記函体構造物を前記一対の縦方向パイプ列及び前記横方向パイプ列と置換することにより、前記函体構造物を前記橋桁の下方に前記橋脚を横断して構築する函体構造物の構築方法。
【請求項2】
少なくとも2基の橋脚を横断して前記矩形断面を有する中空の函体構造物を構築するための構築方法であって、
各一対の橋脚によって挟まれる部分に土砂を盛土して横方向パイプ列の中間部支持基盤を形成する工程と、
前記各一対の橋脚によって挟まれる部分において横方向に連設して、前記横方向パイプ列を構成する横設した矩形パイプを、前記函体構造物の天盤部が設けられる高さ位置に沿って上面に縁切り板が載置された状態で前記中間部支持基盤上に設置する工程と、
前記各一対の橋脚によって挟まれる部分において、前記橋桁と前記中間部支持基盤上の矩形パイプとの間に介在させて桁受け部材を取り付けることにより、該桁受け部材によって前記橋桁を支持させる工程とを含む請求項1に記載の函体構造物の構築方法。
【請求項3】
前記桁受け部材によって前記橋桁を支持させる工程において、前記桁受け部材は、前記角部矩形パイプ及び/又は前記支持基盤上の矩形パイプの上面に載置された前記縁切り板に対してスライド移動可能に設置される請求項1又は2に記載の函体構造物の構築方法。
【請求項4】
前記一対の側部立坑の外側の土留壁を、前記函体構造物の天盤部が設けられる高さ位置まで上方に延設する工程を含み、前記一対の側部立坑を埋戻すと共に前記各縦方向パイプ列と前記橋脚との間の部分に土砂を充填する工程において、前記土留壁の上方への延設部分と前記縦方向パイプ列と間の部分にも土砂を充填する請求項1〜3のいずれかに記載の函体構造物の構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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