分別容易な複合シート材およびその製造方法
【課題】 簡素な製造工程で、紙と樹脂との分別廃棄を容易にすることができる分別容易な複合シート材、およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 多数の気泡を内部に有する熱可塑性樹脂材料からなる緩衝シート材を成形すると共に、紙シートの裏面に、前記緩衝シート材と同質の熱可塑性樹脂材料を一様に付着せしめることにより熱可塑性樹脂膜層を一体に被覆した複合シート基材を形成し、
少なくともこの複合シート基材を帯熱状態にして前記裏面の熱可塑性樹脂膜層を熱溶着せしめて、前記緩衝シート材と積層一体化し、
こうして作製した積層シートにおける紙シートの界面から、前記紙シートのみを剥離容易に構成するという技術的手段を採用した。
【解決手段】 多数の気泡を内部に有する熱可塑性樹脂材料からなる緩衝シート材を成形すると共に、紙シートの裏面に、前記緩衝シート材と同質の熱可塑性樹脂材料を一様に付着せしめることにより熱可塑性樹脂膜層を一体に被覆した複合シート基材を形成し、
少なくともこの複合シート基材を帯熱状態にして前記裏面の熱可塑性樹脂膜層を熱溶着せしめて、前記緩衝シート材と積層一体化し、
こうして作製した積層シートにおける紙シートの界面から、前記紙シートのみを剥離容易に構成するという技術的手段を採用した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合シート材の改良、更に詳しくは、簡素な工程で製造することができ、紙と樹脂との分別廃棄を容易に行うことができる分別容易な複合シート材およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、緩衝用の資材としては、樹脂(プラスチック)製のシート材にエアセルラーが多数成形された緩衝シート材(air-cellular-cushioning-sheet)や、発泡樹脂により成形された多孔質の緩衝シート材(フォーム:foam)など、シート内部に気泡を有するものが多く用いられている。
【0003】
そして、このような緩衝シート材の具体的な活用例としては、この緩衝シート材を二つ折りにして、その両側の端縁部をそれぞれ接合して、その接合部分を切断することによって袋状に成形したものがあり、最近では、プライバシー保護等の観点から袋体の内容物が外から見えないように、表面に紙を被覆一体化して構成したものもある。
【0004】
ところで、このような袋体は、昨今、資源のリサイクルの要請により、使用後には樹脂材料部分と紙材料部分とを分別して廃棄する必要がある。そこで、樹脂材料部分と紙材料部分との一部を接着して、使用後にこの接着部分を剥離できるように構成したものが開示されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【0005】
しかしながら、このような従来構造の袋体は、樹脂材料部分と紙材料部分とを局部的に接着しているため、樹脂材料部分から紙材料部分を剥がして分離させようとする場合、紙材料部分または樹脂材料部分にそれぞれの断片や接着剤が残存し易く、きれいに剥がすことができず、これらの両材料を完全に分別することが困難であるという問題があった。
【0006】
また、このような複合的な積層シート材料を製造する際に、紙に粘着材を付着させるものもあるが、この粘着部が乾燥しきらずに他の部位に接触して汚してしまうこともあり、取り扱いが困難であるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−89104号公報(第5−6頁、図1)
【特許文献2】特開2004−231268号公報(第4−6頁、図1−7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の複合シート材料において、上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、簡素な製造工程で、紙と樹脂との分別廃棄を容易にすることができる分別容易な複合シート材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者が上記技術的課題を解決するために採用した手段を、添付図面を参照して説明すれば、次のとおりである。
【0010】
即ち、本発明は、多数の気泡11・11…を内部に有する熱可塑性樹脂材料からなる緩衝シート材1を成形すると共に、
紙シート2の裏面に、前記緩衝シート材1と同質の熱可塑性樹脂材料を一様に付着せしめることにより熱可塑性樹脂膜層3を一体に被覆した複合シート基材Aを形成し、
少なくともこの複合シート基材Aを帯熱状態にして前記裏面の熱可塑性樹脂膜層3を熱溶着せしめて、前記緩衝シート材1と積層一体化し、
こうして作製した積層シートにおける紙シートの界面から、前記紙シート2のみを剥離容易に構成するという技術的手段を採用したことによって、分別容易な複合シート材の製造方法を完成させた。
【0011】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、複合シート基材Aと緩衝シート材1とを帯熱状態でヒートプレスすることにより、前記複合シート基材A裏面の熱可塑性樹脂膜層3と緩衝シート材1とを熱溶着せしめて積層一体化するという技術的手段を採用することができる。
【0012】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、緩衝シート材1における多数の気泡11・11…として、エアセルラー11aを一体に成形すると同時に、成形された緩衝シート材1に複合シート基材Aを積層一体化するという技術的手段を採用することができる。
【0013】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、緩衝シート材1におけるエアセルラー11aのキャップの頭頂面側にライナーフィルム13を一体に被覆すると同時に、成形された緩衝シート材1に複合シート基材Aを積層一体化するという技術的手段を採用することができる。
【0014】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、紙シート2の裏面に、緩衝シート材1と同質の熱可塑性樹脂材料を押出成形機によって押し出して付着せしめることにより、熱可塑性樹脂膜層3を一体に被覆した複合シート基材Aを緩衝シート材1に積層一体化せしめるという技術的手段を採用することができる。
【0015】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、紙シート2の裏面に、緩衝シート材1と同質の熱可塑性樹脂材料を、塗布することによって付着せしめることにより、熱可塑性樹脂膜層3を一体に被覆した複合シート基材Aを緩衝シート材1に積層一体化せしめるという技術的手段を採用することができる。
【0016】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、緩衝シート材1および熱可塑性樹脂膜層3の熱可塑性樹脂材料が、ポリエチレンにするという技術的手段を採用することができる。
【0017】
また、本発明は、多数の気泡を内部に有する熱可塑性樹脂材料からなる緩衝シート材1と、紙シート2に、前記緩衝シート材1と同質の熱可塑性樹脂材料が層着してなる複合シート基材Aとが、当該複合シート基材Aの熱可塑性樹脂膜層3側において、前記緩衝シート材1と一体化して積層シートを構成しており、この積層シートにおける前記紙シート2の界面から、この紙シート2のみを容易に剥離可能にするという技術的手段を採用することによって、分別容易な複合シート材を完成させた。
【0018】
また、本発明は、多数のエアセルラー11a・11a…を有する熱可塑性樹脂材料からなるエアセルラー緩衝シート材1のベースフィルム12面側に、前記緩衝シート材1と同質の熱可塑性樹脂材料を紙シート2に層着してなる複合シート基材Aが、当該複合シート基材Aの熱可塑性樹脂膜層3側において、前記緩衝シート材1と一体化して積層シートを構成しており、この積層シートにおける紙シート2の界面から、当該紙シート2のみを容易に剥離可能にするという技術的手段を採用することによっても、分別容易な複合シート材を完成させた。
【0019】
また、本発明は、多数のエアセルラー11a・11a…を有する熱可塑性樹脂材料からなるエアセルラー緩衝シート材1におけるキャップの頭頂面側をライナーフィルム13が一体に被覆しており、このライナーフィルム13面側に、前記緩衝シート材1と同質の熱可塑性樹脂材料を紙シート2に層着してなる複合シート基材Aが、当該複合シート基材Aの熱可塑性樹脂膜層3側において、前記緩衝シート材1と一体化して積層シートを構成しており、この積層シートにおける紙シート2の界面から、当該紙シート2のみを容易に剥離可能にするという技術的手段を採用することによっても、分別容易な複合シート材を完成させた。
【発明の効果】
【0020】
本発明にあっては、多数の気泡を内部に有する熱可塑性樹脂材料からなる緩衝シート材を成形すると共に、紙シートの裏面に、前記緩衝シート材と同質の熱可塑性樹脂材料を一様に付着せしめることにより熱可塑性樹脂膜層を一体に被覆した複合シート基材を形成して、少なくともこの複合シート基材を帯熱状態にして前記裏面の熱可塑性樹脂膜層を熱溶着せしめて、前記緩衝シート材と積層一体化することによって、
こうして作製した積層シートにおける紙シートの界面から、前記紙シートのみを剥離容易にすることができる。
【0021】
そして、紙シートに対し、熱可塑性樹脂膜層は紙シート面に付着しているに過ぎず、緩衝シート材に対するように熱可塑性樹脂膜が分子レベルで融合して強固に一体化していないから、容易に剥離されることになるのである。
【0022】
したがって、本発明における複合シート材の製造方法は、製造工程が非常に簡素であるとともに、また、作製された複合シート材は、紙と樹脂との分別廃棄を容易にすることができることから、資源リサイクルの促進にも貢献することができ、産業上の利用価値は頗る大きいと云える。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態における複合シート基材の製造工程を表わす説明概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態における複合シートの製造工程を表わす説明拡大断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態における複合シートの製造工程を表わす説明概略図である。
【図4】本発明の第1実施形態における複合シートを表わす説明拡大断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の複合シートの使用状態を表わす説明拡大断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態の複合シートの使用した袋体を表わす斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態における複合シートの製造工程を表わす説明拡大断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態における複合シートの製造工程を表わす説明概略図である。
【図9】本発明の第2実施形態における複合シートを表わす説明拡大断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態における複合シートの製造工程を表わす説明概略図である。
【図11】本発明の第4実施形態における複合シートの製造工程を表わす説明概略図である。
【図12】本発明の第5実施形態における複合シートの製造工程を表わす説明概略図である。
【図13】本発明の実施形態の変形例における複合シートの製造工程を表わす説明概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための形態を、具体的に図示した図面に基づいて、更に詳細に説明すると、次のとおりである。
【0025】
『第1実施形態』
本発明の第1実施形態を図1から図6に基づいて説明する。図中、符号1で指示するものは緩衝シート材1であり、本実施形態におけるこの緩衝シート材1は、長尺の熱可塑性樹脂製(本実施形態では、ポリエチレン)のシート材であって、多数の気泡11・11…が内部に成形されている。本実施形態では、これらの気泡11をエアセルラー構造とし、これらのエアセルラー11a・11a…は、規則的に整列して配置されており、径は7〜31mm程度(例えば、7mm・10mm・20mm・31mmの4種類)であり、シート厚は約2.5〜14mm(気泡11の高さ)である。
【0026】
また、本実施形態の緩衝シート材1の材料に用いるポリエチレン系樹脂として、好ましくは、エチレン成分単位が50モル%以上の樹脂が挙げられ、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、の単体あるいはこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。この際、材料に(低温)接着性や(低温)ヒートシール性、ホットタック性などを付与するために、適宜、酸無水基およびアクリル酸エステルを添加することもできる。
【0027】
また、符号2で指示するものは紙シートであり、この紙シート2として晒クラフト紙を採用する。更にまた、符号3で指示するものは熱可塑性樹脂膜層であり、この熱可塑性樹脂膜層3は、前記緩衝シート材1と同質の熱可塑性樹脂材料(本実施形態ではポリエチレン)からなる薄手の被膜層である。
【0028】
しかして、本発明における複合シート材を製造する方法について、以下に説明する。まず、気泡11・11…として、多数のエアセルラー11a・11a…を有する熱可塑性樹脂材料(本実施形態では低密度ポリエチレン:LDPE)からなる緩衝シート材1を成形する。本実施形態では、エアセルラー11a・11a…をベースフィルム12から突成させるとともに、エアセルラー11a・11a…の頭頂部側にライナーフィルム13(厚さ10〜20μm)を一体に被覆して形成する。
【0029】
一方、前記緩衝シート材1の製造工程とは別工程において、紙シート2の裏面に、前記緩衝シート材1と同質の熱可塑性樹脂材料を一様に付着せしめる。本実施形態では、晒クラフト紙からなる紙シート2の裏面に、前記緩衝シート材1と同質の熱可塑性樹脂材料(低密度ポリエチレン)を押出成形機のダイD(Tダイ)から押し出して、表面全体に一様に付着せしめる。具体的には、ダイの加熱設定温度を275〜285℃にして押し出し、引き取り速さを200m/minにして、熱可塑性樹脂膜層3の厚みを約15μm程度にして紙シート2の裏面に挟持プレスして付着せしめる(図1参照)。
【0030】
このように、熱可塑性樹脂膜層3を一体に被覆して、熱可塑性樹脂膜層3を一体に被覆した複合シート基材Aを形成する。そして、本実施形態では、この複合シート基材Aを一旦ロール状に巻き取る。
【0031】
そして、図2および図3に示すように、このロール状の複合シート基材Aを解舒しながら、少なくとも複合シート基材Aを帯熱状態にして前記熱可塑性樹脂膜層3を熱溶着せしめて、前記緩衝シート材1にヒートプレスする。本実施形態では、前記複合シート基材Aをヒーター照射により加熱して帯熱状態にする。こうすることにより、前記熱可塑性樹脂膜層3と緩衝シート材1(のライナーフィルム13面側)とを熱溶着せしめて積層一体化する(図4参照)。
【0032】
なお、この際、複合シート基材Aと緩衝シート材1とを帯熱状態でヒートプレスすることにより、熱可塑性樹脂膜層3と緩衝シート材1とを熱溶着せしめて積層一体化することもできる。
【0033】
しかして、本実施形態の製造方法によって作製した積層シートは、熱可塑性樹脂膜層3と緩衝シート材1とは熱溶着によって両者が融合し合って分子レベルで接合一体化するので、前記紙シート2のみを容易に剥離することができる(図5参照)。
【0034】
更に、図6に示すように、本実施形態の複合シート材を使用して袋体を成形することができる。この袋体の製造は常法に従って、複合シート材を2つに折り曲げて所定長で切断し、両端縁を止着することにより形成する。そして、使用後に廃棄する場合には、内側の樹脂材料部分と、外側の紙材料部分とを簡単に分別することができる。
【0035】
『第2実施形態』
次に、本発明の第2実施形態を図7から図9に基づいて説明する。本実施形態では、緩衝シート材1において、エアセルラー11a・11a…がベースフィルム12から帽子型に突成された構造のものを採用する。
【0036】
そして、複合シート基材Aをヒーター照射により加熱して帯熱状態にして、熱可塑性樹脂膜層3と緩衝シート材1におけるエアセルラー11a・11a…の頭頂部において直接的に積層して、熱溶着することにより一体化することができる(図9参照)。
【0037】
『第3実施形態』
次に、本発明の第3実施形態を図10に基づいて説明する。本実施形態では、複合シート基材Aを加熱状態にすることができる送り機構である熱ロールHにより、帯熱状態にして前記熱可塑性樹脂膜層3を熱溶着せしめて、別途送り出されてきた前記緩衝シート材1に積層させる。
【0038】
本実施形態では、緩衝シート材1の表面に複合シート基材Aの熱可塑性樹脂膜層3を付着させる際に、緩衝シート材1の送り出しロールを可動式にして、適宜移動せしめることによって、他方から送り出されてきた複合シート基材A方向に付勢して、両シートを会合せしめることができる。
【0039】
このように構成したことにより、緩衝シート材1にエアセルラー11aが形成されている場合には、その頭頂部を複合シート基材Aの熱可塑性樹脂膜層3に適正圧力で付勢することができる。こうして両シート材を積層一体化させることができる。
【0040】
『第4実施形態』
次に、本発明の第4実施形態を図11に基づいて説明する。本実施形態では、ベースフィルム12からエアセルラー11a・11a…が突成された緩衝シート材1におけるエアセルラー11aの頭頂部側に、ダイD(Tダイ)からライナーフィルム13となる溶融樹脂を押し出して(厚さ10〜20μm)一体に被覆すると同時に、複合シート基材Aを積層一体化するものである。
【0041】
このような方法で製造することにより、緩衝シート材1の成形工程を兼用することができるので、製造時間の短縮および製造コストの軽減を実現することができる。
【0042】
『第5実施形態』
次に、本発明の第5実施形態を図12に基づいて説明する。本実施形態では、緩衝シート材1における多数のエアセルラー11a・11a…を一体に成形すると同時に、複合シート基材Aを積層一体化する。
【0043】
具体的には、エアセルラー11a・11a…は、回転する真空成形ロールの外周面に複数のロール凹部C・C…を形成し、帯熱状態の樹脂をダイD(Tダイ)から押し出して、吸引することによってエアセルラー11aを帽子型に成形することができる。
【0044】
このような方法で製造することによっても、緩衝シート材1の成形工程を兼用することができるので、製造時間の短縮および製造コストの軽減を実現することができる。
【0045】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、緩衝シート材1および熱可塑性樹脂膜層3の使用材料は、ポリエチレン(低密度、高密度)に限らず、ポリプロピレンやポリアセテート、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリスチロール、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂を採用することができる。
【0046】
また、緩衝シート材1は、発泡体11を内部に有するものとして、図13に示すような、樹脂材料の発泡成形によるフォーム状のものを採用することもできる。この際、独立気泡であるか連続気泡であるかは問わない。更にまた、気泡11をエアセルラー11aに構成する場合、その大きさや配置、数量は適宜変更することができる。
【0047】
更にまた、紙シート2の裏面に、緩衝シート材1と同質の熱可塑性樹脂材料を、常法による塗布により付着せしめることによって、熱可塑性樹脂膜層3を一体に被覆して複合シート基材Aを形成することもでき、これら何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0048】
1 緩衝シート材
11 気泡
11a エアセルラー
12 ベースフィルム
13 ライナーフィルム
2 紙シート
3 熱可塑性樹脂膜層
A 複合シート基材
D ダイ
H 熱ロール
C ロール凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合シート材の改良、更に詳しくは、簡素な工程で製造することができ、紙と樹脂との分別廃棄を容易に行うことができる分別容易な複合シート材およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、緩衝用の資材としては、樹脂(プラスチック)製のシート材にエアセルラーが多数成形された緩衝シート材(air-cellular-cushioning-sheet)や、発泡樹脂により成形された多孔質の緩衝シート材(フォーム:foam)など、シート内部に気泡を有するものが多く用いられている。
【0003】
そして、このような緩衝シート材の具体的な活用例としては、この緩衝シート材を二つ折りにして、その両側の端縁部をそれぞれ接合して、その接合部分を切断することによって袋状に成形したものがあり、最近では、プライバシー保護等の観点から袋体の内容物が外から見えないように、表面に紙を被覆一体化して構成したものもある。
【0004】
ところで、このような袋体は、昨今、資源のリサイクルの要請により、使用後には樹脂材料部分と紙材料部分とを分別して廃棄する必要がある。そこで、樹脂材料部分と紙材料部分との一部を接着して、使用後にこの接着部分を剥離できるように構成したものが開示されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【0005】
しかしながら、このような従来構造の袋体は、樹脂材料部分と紙材料部分とを局部的に接着しているため、樹脂材料部分から紙材料部分を剥がして分離させようとする場合、紙材料部分または樹脂材料部分にそれぞれの断片や接着剤が残存し易く、きれいに剥がすことができず、これらの両材料を完全に分別することが困難であるという問題があった。
【0006】
また、このような複合的な積層シート材料を製造する際に、紙に粘着材を付着させるものもあるが、この粘着部が乾燥しきらずに他の部位に接触して汚してしまうこともあり、取り扱いが困難であるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−89104号公報(第5−6頁、図1)
【特許文献2】特開2004−231268号公報(第4−6頁、図1−7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の複合シート材料において、上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、簡素な製造工程で、紙と樹脂との分別廃棄を容易にすることができる分別容易な複合シート材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者が上記技術的課題を解決するために採用した手段を、添付図面を参照して説明すれば、次のとおりである。
【0010】
即ち、本発明は、多数の気泡11・11…を内部に有する熱可塑性樹脂材料からなる緩衝シート材1を成形すると共に、
紙シート2の裏面に、前記緩衝シート材1と同質の熱可塑性樹脂材料を一様に付着せしめることにより熱可塑性樹脂膜層3を一体に被覆した複合シート基材Aを形成し、
少なくともこの複合シート基材Aを帯熱状態にして前記裏面の熱可塑性樹脂膜層3を熱溶着せしめて、前記緩衝シート材1と積層一体化し、
こうして作製した積層シートにおける紙シートの界面から、前記紙シート2のみを剥離容易に構成するという技術的手段を採用したことによって、分別容易な複合シート材の製造方法を完成させた。
【0011】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、複合シート基材Aと緩衝シート材1とを帯熱状態でヒートプレスすることにより、前記複合シート基材A裏面の熱可塑性樹脂膜層3と緩衝シート材1とを熱溶着せしめて積層一体化するという技術的手段を採用することができる。
【0012】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、緩衝シート材1における多数の気泡11・11…として、エアセルラー11aを一体に成形すると同時に、成形された緩衝シート材1に複合シート基材Aを積層一体化するという技術的手段を採用することができる。
【0013】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、緩衝シート材1におけるエアセルラー11aのキャップの頭頂面側にライナーフィルム13を一体に被覆すると同時に、成形された緩衝シート材1に複合シート基材Aを積層一体化するという技術的手段を採用することができる。
【0014】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、紙シート2の裏面に、緩衝シート材1と同質の熱可塑性樹脂材料を押出成形機によって押し出して付着せしめることにより、熱可塑性樹脂膜層3を一体に被覆した複合シート基材Aを緩衝シート材1に積層一体化せしめるという技術的手段を採用することができる。
【0015】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、紙シート2の裏面に、緩衝シート材1と同質の熱可塑性樹脂材料を、塗布することによって付着せしめることにより、熱可塑性樹脂膜層3を一体に被覆した複合シート基材Aを緩衝シート材1に積層一体化せしめるという技術的手段を採用することができる。
【0016】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、緩衝シート材1および熱可塑性樹脂膜層3の熱可塑性樹脂材料が、ポリエチレンにするという技術的手段を採用することができる。
【0017】
また、本発明は、多数の気泡を内部に有する熱可塑性樹脂材料からなる緩衝シート材1と、紙シート2に、前記緩衝シート材1と同質の熱可塑性樹脂材料が層着してなる複合シート基材Aとが、当該複合シート基材Aの熱可塑性樹脂膜層3側において、前記緩衝シート材1と一体化して積層シートを構成しており、この積層シートにおける前記紙シート2の界面から、この紙シート2のみを容易に剥離可能にするという技術的手段を採用することによって、分別容易な複合シート材を完成させた。
【0018】
また、本発明は、多数のエアセルラー11a・11a…を有する熱可塑性樹脂材料からなるエアセルラー緩衝シート材1のベースフィルム12面側に、前記緩衝シート材1と同質の熱可塑性樹脂材料を紙シート2に層着してなる複合シート基材Aが、当該複合シート基材Aの熱可塑性樹脂膜層3側において、前記緩衝シート材1と一体化して積層シートを構成しており、この積層シートにおける紙シート2の界面から、当該紙シート2のみを容易に剥離可能にするという技術的手段を採用することによっても、分別容易な複合シート材を完成させた。
【0019】
また、本発明は、多数のエアセルラー11a・11a…を有する熱可塑性樹脂材料からなるエアセルラー緩衝シート材1におけるキャップの頭頂面側をライナーフィルム13が一体に被覆しており、このライナーフィルム13面側に、前記緩衝シート材1と同質の熱可塑性樹脂材料を紙シート2に層着してなる複合シート基材Aが、当該複合シート基材Aの熱可塑性樹脂膜層3側において、前記緩衝シート材1と一体化して積層シートを構成しており、この積層シートにおける紙シート2の界面から、当該紙シート2のみを容易に剥離可能にするという技術的手段を採用することによっても、分別容易な複合シート材を完成させた。
【発明の効果】
【0020】
本発明にあっては、多数の気泡を内部に有する熱可塑性樹脂材料からなる緩衝シート材を成形すると共に、紙シートの裏面に、前記緩衝シート材と同質の熱可塑性樹脂材料を一様に付着せしめることにより熱可塑性樹脂膜層を一体に被覆した複合シート基材を形成して、少なくともこの複合シート基材を帯熱状態にして前記裏面の熱可塑性樹脂膜層を熱溶着せしめて、前記緩衝シート材と積層一体化することによって、
こうして作製した積層シートにおける紙シートの界面から、前記紙シートのみを剥離容易にすることができる。
【0021】
そして、紙シートに対し、熱可塑性樹脂膜層は紙シート面に付着しているに過ぎず、緩衝シート材に対するように熱可塑性樹脂膜が分子レベルで融合して強固に一体化していないから、容易に剥離されることになるのである。
【0022】
したがって、本発明における複合シート材の製造方法は、製造工程が非常に簡素であるとともに、また、作製された複合シート材は、紙と樹脂との分別廃棄を容易にすることができることから、資源リサイクルの促進にも貢献することができ、産業上の利用価値は頗る大きいと云える。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態における複合シート基材の製造工程を表わす説明概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態における複合シートの製造工程を表わす説明拡大断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態における複合シートの製造工程を表わす説明概略図である。
【図4】本発明の第1実施形態における複合シートを表わす説明拡大断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の複合シートの使用状態を表わす説明拡大断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態の複合シートの使用した袋体を表わす斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態における複合シートの製造工程を表わす説明拡大断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態における複合シートの製造工程を表わす説明概略図である。
【図9】本発明の第2実施形態における複合シートを表わす説明拡大断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態における複合シートの製造工程を表わす説明概略図である。
【図11】本発明の第4実施形態における複合シートの製造工程を表わす説明概略図である。
【図12】本発明の第5実施形態における複合シートの製造工程を表わす説明概略図である。
【図13】本発明の実施形態の変形例における複合シートの製造工程を表わす説明概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための形態を、具体的に図示した図面に基づいて、更に詳細に説明すると、次のとおりである。
【0025】
『第1実施形態』
本発明の第1実施形態を図1から図6に基づいて説明する。図中、符号1で指示するものは緩衝シート材1であり、本実施形態におけるこの緩衝シート材1は、長尺の熱可塑性樹脂製(本実施形態では、ポリエチレン)のシート材であって、多数の気泡11・11…が内部に成形されている。本実施形態では、これらの気泡11をエアセルラー構造とし、これらのエアセルラー11a・11a…は、規則的に整列して配置されており、径は7〜31mm程度(例えば、7mm・10mm・20mm・31mmの4種類)であり、シート厚は約2.5〜14mm(気泡11の高さ)である。
【0026】
また、本実施形態の緩衝シート材1の材料に用いるポリエチレン系樹脂として、好ましくは、エチレン成分単位が50モル%以上の樹脂が挙げられ、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、の単体あるいはこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。この際、材料に(低温)接着性や(低温)ヒートシール性、ホットタック性などを付与するために、適宜、酸無水基およびアクリル酸エステルを添加することもできる。
【0027】
また、符号2で指示するものは紙シートであり、この紙シート2として晒クラフト紙を採用する。更にまた、符号3で指示するものは熱可塑性樹脂膜層であり、この熱可塑性樹脂膜層3は、前記緩衝シート材1と同質の熱可塑性樹脂材料(本実施形態ではポリエチレン)からなる薄手の被膜層である。
【0028】
しかして、本発明における複合シート材を製造する方法について、以下に説明する。まず、気泡11・11…として、多数のエアセルラー11a・11a…を有する熱可塑性樹脂材料(本実施形態では低密度ポリエチレン:LDPE)からなる緩衝シート材1を成形する。本実施形態では、エアセルラー11a・11a…をベースフィルム12から突成させるとともに、エアセルラー11a・11a…の頭頂部側にライナーフィルム13(厚さ10〜20μm)を一体に被覆して形成する。
【0029】
一方、前記緩衝シート材1の製造工程とは別工程において、紙シート2の裏面に、前記緩衝シート材1と同質の熱可塑性樹脂材料を一様に付着せしめる。本実施形態では、晒クラフト紙からなる紙シート2の裏面に、前記緩衝シート材1と同質の熱可塑性樹脂材料(低密度ポリエチレン)を押出成形機のダイD(Tダイ)から押し出して、表面全体に一様に付着せしめる。具体的には、ダイの加熱設定温度を275〜285℃にして押し出し、引き取り速さを200m/minにして、熱可塑性樹脂膜層3の厚みを約15μm程度にして紙シート2の裏面に挟持プレスして付着せしめる(図1参照)。
【0030】
このように、熱可塑性樹脂膜層3を一体に被覆して、熱可塑性樹脂膜層3を一体に被覆した複合シート基材Aを形成する。そして、本実施形態では、この複合シート基材Aを一旦ロール状に巻き取る。
【0031】
そして、図2および図3に示すように、このロール状の複合シート基材Aを解舒しながら、少なくとも複合シート基材Aを帯熱状態にして前記熱可塑性樹脂膜層3を熱溶着せしめて、前記緩衝シート材1にヒートプレスする。本実施形態では、前記複合シート基材Aをヒーター照射により加熱して帯熱状態にする。こうすることにより、前記熱可塑性樹脂膜層3と緩衝シート材1(のライナーフィルム13面側)とを熱溶着せしめて積層一体化する(図4参照)。
【0032】
なお、この際、複合シート基材Aと緩衝シート材1とを帯熱状態でヒートプレスすることにより、熱可塑性樹脂膜層3と緩衝シート材1とを熱溶着せしめて積層一体化することもできる。
【0033】
しかして、本実施形態の製造方法によって作製した積層シートは、熱可塑性樹脂膜層3と緩衝シート材1とは熱溶着によって両者が融合し合って分子レベルで接合一体化するので、前記紙シート2のみを容易に剥離することができる(図5参照)。
【0034】
更に、図6に示すように、本実施形態の複合シート材を使用して袋体を成形することができる。この袋体の製造は常法に従って、複合シート材を2つに折り曲げて所定長で切断し、両端縁を止着することにより形成する。そして、使用後に廃棄する場合には、内側の樹脂材料部分と、外側の紙材料部分とを簡単に分別することができる。
【0035】
『第2実施形態』
次に、本発明の第2実施形態を図7から図9に基づいて説明する。本実施形態では、緩衝シート材1において、エアセルラー11a・11a…がベースフィルム12から帽子型に突成された構造のものを採用する。
【0036】
そして、複合シート基材Aをヒーター照射により加熱して帯熱状態にして、熱可塑性樹脂膜層3と緩衝シート材1におけるエアセルラー11a・11a…の頭頂部において直接的に積層して、熱溶着することにより一体化することができる(図9参照)。
【0037】
『第3実施形態』
次に、本発明の第3実施形態を図10に基づいて説明する。本実施形態では、複合シート基材Aを加熱状態にすることができる送り機構である熱ロールHにより、帯熱状態にして前記熱可塑性樹脂膜層3を熱溶着せしめて、別途送り出されてきた前記緩衝シート材1に積層させる。
【0038】
本実施形態では、緩衝シート材1の表面に複合シート基材Aの熱可塑性樹脂膜層3を付着させる際に、緩衝シート材1の送り出しロールを可動式にして、適宜移動せしめることによって、他方から送り出されてきた複合シート基材A方向に付勢して、両シートを会合せしめることができる。
【0039】
このように構成したことにより、緩衝シート材1にエアセルラー11aが形成されている場合には、その頭頂部を複合シート基材Aの熱可塑性樹脂膜層3に適正圧力で付勢することができる。こうして両シート材を積層一体化させることができる。
【0040】
『第4実施形態』
次に、本発明の第4実施形態を図11に基づいて説明する。本実施形態では、ベースフィルム12からエアセルラー11a・11a…が突成された緩衝シート材1におけるエアセルラー11aの頭頂部側に、ダイD(Tダイ)からライナーフィルム13となる溶融樹脂を押し出して(厚さ10〜20μm)一体に被覆すると同時に、複合シート基材Aを積層一体化するものである。
【0041】
このような方法で製造することにより、緩衝シート材1の成形工程を兼用することができるので、製造時間の短縮および製造コストの軽減を実現することができる。
【0042】
『第5実施形態』
次に、本発明の第5実施形態を図12に基づいて説明する。本実施形態では、緩衝シート材1における多数のエアセルラー11a・11a…を一体に成形すると同時に、複合シート基材Aを積層一体化する。
【0043】
具体的には、エアセルラー11a・11a…は、回転する真空成形ロールの外周面に複数のロール凹部C・C…を形成し、帯熱状態の樹脂をダイD(Tダイ)から押し出して、吸引することによってエアセルラー11aを帽子型に成形することができる。
【0044】
このような方法で製造することによっても、緩衝シート材1の成形工程を兼用することができるので、製造時間の短縮および製造コストの軽減を実現することができる。
【0045】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、緩衝シート材1および熱可塑性樹脂膜層3の使用材料は、ポリエチレン(低密度、高密度)に限らず、ポリプロピレンやポリアセテート、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリスチロール、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂を採用することができる。
【0046】
また、緩衝シート材1は、発泡体11を内部に有するものとして、図13に示すような、樹脂材料の発泡成形によるフォーム状のものを採用することもできる。この際、独立気泡であるか連続気泡であるかは問わない。更にまた、気泡11をエアセルラー11aに構成する場合、その大きさや配置、数量は適宜変更することができる。
【0047】
更にまた、紙シート2の裏面に、緩衝シート材1と同質の熱可塑性樹脂材料を、常法による塗布により付着せしめることによって、熱可塑性樹脂膜層3を一体に被覆して複合シート基材Aを形成することもでき、これら何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0048】
1 緩衝シート材
11 気泡
11a エアセルラー
12 ベースフィルム
13 ライナーフィルム
2 紙シート
3 熱可塑性樹脂膜層
A 複合シート基材
D ダイ
H 熱ロール
C ロール凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の気泡を内部に有する熱可塑性樹脂材料からなる緩衝シート材を成形すると共に、
紙シートの裏面に、前記緩衝シート材と同質の熱可塑性樹脂材料を一様に付着せしめることにより熱可塑性樹脂膜層を一体に被覆した複合シート基材を形成し、
少なくともこの複合シート基材を帯熱状態にして前記裏面の熱可塑性樹脂膜層を熱溶着せしめて、前記緩衝シート材と積層一体化し、
こうして作製した積層シートにおける紙シートの界面から、前記紙シートのみを剥離容易に構成したことを特徴とする分別容易な複合シート材の製造方法。
【請求項2】
複合シート基材と緩衝シート材とを帯熱状態でヒートプレスすることにより、前記複合シート基材裏面の熱可塑性樹脂膜層と緩衝シート材とを熱溶着せしめて積層一体化することを特徴とする請求項1記載の分別容易な複合シート材の製造方法。
【請求項3】
緩衝シート材における多数の気泡として、エアセルラーを一体に成形すると同時に、成形された緩衝シート材に複合シート基材を積層一体化することを特徴とする請求項1または2記載の分別容易な複合シート材の製造方法。
【請求項4】
緩衝シート材におけるエアセルラーのキャップの頭頂面側にライナーフィルムを一体に被覆すると同時に、複合シート基材を積層一体化することを特徴とする請求項3記載の分別容易な複合シート材の製造方法。
【請求項5】
紙シートの裏面に、緩衝シート材と同質の熱可塑性樹脂材料を押出成形機によって押し出して付着せしめることにより、熱可塑性樹脂膜層を一体に被覆した複合シート基材を緩衝シート材に積層一体化せしめることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の分別容易な複合シート材の製造方法。
【請求項6】
紙シートの裏面に、緩衝シート材と同質の熱可塑性樹脂材料を、塗布することによって付着せしめることにより、熱可塑性樹脂膜層を一体に被覆した複合シート基材を緩衝シート材に積層一体化せしめることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の分別容易な複合シート材の製造方法。
【請求項7】
緩衝シート材および熱可塑性樹脂膜層の熱可塑性樹脂材料が、ポリエチレンであることを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載の分別容易な複合シート材の製造方法。
【請求項8】
多数の気泡を内部に有する熱可塑性樹脂材料からなる緩衝シート材と、紙シートに、前記緩衝シート材と同質の熱可塑性樹脂材料が層着してなる複合シート基材とが、当該複合シート基材の熱可塑性樹脂膜層側において、前記緩衝シート材と一体化して積層シートを構成しており、この積層シートにおける前記紙シートの界面から、この紙シートのみを容易に剥離可能としたことを特徴とする分別容易な複合シート。
【請求項9】
多数のエアセルラーを有する熱可塑性樹脂材料からなるエアセルラー緩衝シート材のベースフィルム面側に、前記緩衝シート材と同質の熱可塑性樹脂材料を紙シートに層着してなる複合シート基材が、当該複合シート基材の熱可塑性樹脂膜層側において、前記緩衝シート材と一体化して積層シートを構成しており、この積層シートにおける紙シートの界面から、当該紙シートのみを容易に剥離可能としたことを特徴とする分別容易な複合シート。
【請求項10】
多数のエアセルラーを有する熱可塑性樹脂材料からなるエアセルラー緩衝シート材におけるキャップの頭頂面側をライナーフィルムが一体に被覆しており、このライナーフィルム面側に、前記緩衝シート材と同質の熱可塑性樹脂材料を紙シートに層着してなる複合シート基材が、当該複合シート基材の熱可塑性樹脂膜層側において、前記緩衝シート材と一体化して積層シートを構成しており、この積層シートにおける紙シートの界面から、当該紙シートのみを容易に剥離可能としたことを特徴とする分別容易な複合シート。
【請求項1】
多数の気泡を内部に有する熱可塑性樹脂材料からなる緩衝シート材を成形すると共に、
紙シートの裏面に、前記緩衝シート材と同質の熱可塑性樹脂材料を一様に付着せしめることにより熱可塑性樹脂膜層を一体に被覆した複合シート基材を形成し、
少なくともこの複合シート基材を帯熱状態にして前記裏面の熱可塑性樹脂膜層を熱溶着せしめて、前記緩衝シート材と積層一体化し、
こうして作製した積層シートにおける紙シートの界面から、前記紙シートのみを剥離容易に構成したことを特徴とする分別容易な複合シート材の製造方法。
【請求項2】
複合シート基材と緩衝シート材とを帯熱状態でヒートプレスすることにより、前記複合シート基材裏面の熱可塑性樹脂膜層と緩衝シート材とを熱溶着せしめて積層一体化することを特徴とする請求項1記載の分別容易な複合シート材の製造方法。
【請求項3】
緩衝シート材における多数の気泡として、エアセルラーを一体に成形すると同時に、成形された緩衝シート材に複合シート基材を積層一体化することを特徴とする請求項1または2記載の分別容易な複合シート材の製造方法。
【請求項4】
緩衝シート材におけるエアセルラーのキャップの頭頂面側にライナーフィルムを一体に被覆すると同時に、複合シート基材を積層一体化することを特徴とする請求項3記載の分別容易な複合シート材の製造方法。
【請求項5】
紙シートの裏面に、緩衝シート材と同質の熱可塑性樹脂材料を押出成形機によって押し出して付着せしめることにより、熱可塑性樹脂膜層を一体に被覆した複合シート基材を緩衝シート材に積層一体化せしめることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の分別容易な複合シート材の製造方法。
【請求項6】
紙シートの裏面に、緩衝シート材と同質の熱可塑性樹脂材料を、塗布することによって付着せしめることにより、熱可塑性樹脂膜層を一体に被覆した複合シート基材を緩衝シート材に積層一体化せしめることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の分別容易な複合シート材の製造方法。
【請求項7】
緩衝シート材および熱可塑性樹脂膜層の熱可塑性樹脂材料が、ポリエチレンであることを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載の分別容易な複合シート材の製造方法。
【請求項8】
多数の気泡を内部に有する熱可塑性樹脂材料からなる緩衝シート材と、紙シートに、前記緩衝シート材と同質の熱可塑性樹脂材料が層着してなる複合シート基材とが、当該複合シート基材の熱可塑性樹脂膜層側において、前記緩衝シート材と一体化して積層シートを構成しており、この積層シートにおける前記紙シートの界面から、この紙シートのみを容易に剥離可能としたことを特徴とする分別容易な複合シート。
【請求項9】
多数のエアセルラーを有する熱可塑性樹脂材料からなるエアセルラー緩衝シート材のベースフィルム面側に、前記緩衝シート材と同質の熱可塑性樹脂材料を紙シートに層着してなる複合シート基材が、当該複合シート基材の熱可塑性樹脂膜層側において、前記緩衝シート材と一体化して積層シートを構成しており、この積層シートにおける紙シートの界面から、当該紙シートのみを容易に剥離可能としたことを特徴とする分別容易な複合シート。
【請求項10】
多数のエアセルラーを有する熱可塑性樹脂材料からなるエアセルラー緩衝シート材におけるキャップの頭頂面側をライナーフィルムが一体に被覆しており、このライナーフィルム面側に、前記緩衝シート材と同質の熱可塑性樹脂材料を紙シートに層着してなる複合シート基材が、当該複合シート基材の熱可塑性樹脂膜層側において、前記緩衝シート材と一体化して積層シートを構成しており、この積層シートにおける紙シートの界面から、当該紙シートのみを容易に剥離可能としたことを特徴とする分別容易な複合シート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−195193(P2011−195193A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67340(P2010−67340)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(592093958)酒井化学工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(592093958)酒井化学工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
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