分別装置および分別方法
【課題】家電製品を破断したものに含まれる樹脂片のリサイクルを行なうには、一定量以上の臭素を含む樹脂片と一定量以上の臭素を含まない樹脂片とに分別する。
【解決手段】分別装置101は、対象物である樹脂片1同士が重なったり接触したりしないようにするために、樹脂片1を同極に帯電させる。このことにより、樹脂片同士が互いに反発しあうようになるため、複数個の樹脂片1同士が重なったり接触したりしないように、配置を調整させることができる。さらに、調整機構を用いて樹脂片1の主面がベルト4に接する配置となるように調整する。その上で樹脂片1に連続X線6を照射し、X線検出機構にて連続X線6の透過する強度を求め、データ処理部8にて臭素の含有の有無を判定する。
【解決手段】分別装置101は、対象物である樹脂片1同士が重なったり接触したりしないようにするために、樹脂片1を同極に帯電させる。このことにより、樹脂片同士が互いに反発しあうようになるため、複数個の樹脂片1同士が重なったり接触したりしないように、配置を調整させることができる。さらに、調整機構を用いて樹脂片1の主面がベルト4に接する配置となるように調整する。その上で樹脂片1に連続X線6を照射し、X線検出機構にて連続X線6の透過する強度を求め、データ処理部8にて臭素の含有の有無を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分別装置および分別方法に関するものであり、より特定的には、リサイクルする家電製品に含まれているプラスチックなどの樹脂を臭素の含有の有無に応じて分別するための分別装置および分別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家電製品などに使用されているプラスチックなどの樹脂には、難燃剤を含有する難燃性樹脂が一部使用されている。樹脂における難燃剤含有量は通常1〜30質量%であり、難燃剤としては主に臭素系難燃剤が利用されている。
【0003】
プラスチックなどの樹脂の素材別分離は、磁気選別や渦電流選別、比重選別、静電選別などの組み合わせによりほぼ確立されている。しかし、リサイクルする家電製品を破断したものに含まれる樹脂の破片(樹脂片)の性能を確保・管理するためには、難燃剤を含有する樹脂片と難燃剤を含有しない樹脂片との分別技術が重要課題となっている。それは、樹脂の難燃性を向上させるために用いられる臭素系難燃剤には有害性が高く、環境に与える影響が大きい物質があるためである。このため、EUのRoHS指令の施行に伴い水銀、カドミウム、鉛、六価クロム、ポリ臭素化ビフェニール(PBB)、ポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDE)の6品目が使用規制対象物質となった。
【0004】
したがって、家電リサイクル法を遵守するためには、回収された使用済み家電製品などに使用されているプラスチックなどの樹脂に対するリサイクル技術が重要である。家電製品を破断したものに含まれる樹脂片のリサイクルを的確に行なうには、一定量以上の臭素を含む樹脂片と一定量以上の臭素を含まない樹脂片とに分別した上で、リサイクルまたは廃棄処分を行なうことが必要である。より具体的には、分別した上でリサイクルすることとなった樹脂片には一定量以上の臭素が含まれたものが混入することがないように、高精度に分別する必要があるということである。
【0005】
従来の分別方法としては、たとえば、分別対象物であるプラスチックや金属などをたとえばコンベアなどの搬送装置により搬送し、分別対象物に連続X線を照射する。そのとき発生する特性X線の波長あるいはエネルギーから、たとえば臭素などの特定元素の有無を判定する方法が、特許文献1に開示されている。また、リサイクルしたい樹脂片に連続X線を照射し、照射した連続X線が樹脂を透過する量をX線検出器にて検出することにより、樹脂が一定量以上の臭素を含んでいるか否かを判定する方法が、特許文献2に開示されている。
【0006】
しかし、上述した分別方法においては、分別対象物に連続X線を照射する前に、複数個の分別対象物であるたとえば樹脂片同士が重なったり接触したりしないように、分別対象物を調整させる方法については開示も示唆もされていない。対象物を調整させる方法としては、たとえばコンベアの搬送面の上に2本の調整桟を設けた調整搬送路を備えることにより、調整搬送路の上流端に供給された対象物を1個ずつ個別に調整させる方法が、特許文献3に開示されている。また、対象物が回転されて所定方向を向くように調整させる調整装置と、対象物同士の相互間隔が所定の間隔になるよう調整させる滑落シュートおよび調整コンベアとを備える、対象物の搬送装置が、特許文献4に開示されている。
【特許文献1】特開2004−219366号公報
【特許文献2】特許第3307968号公報
【特許文献3】特開2002−114363号公報
【特許文献4】特開平8−188231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3に開示されている、対象物を調整させる方法は、たとえば搬送路に対して交差する方向に配列された対象物を、搬送路に沿った方向を向くよう調整させる方法であり、対象物同士が重なったり衝突したり接触したりしないように、対象物を調整させる方法については開示も示唆もされていない。また、特許文献4に開示されている搬送装置は、たとえば直方体形状を持つチョコレートの製品など、一定の形状を有する対象物が、搬送面の一辺に接するように調整させる方法を用いたものである。このため、たとえばリサイクル用の樹脂片のように、ランダムな形状を有する対象物を調整させる方法としては適さないものと思われる。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、対象物である樹脂片同士が重なったり接触したりしないように配置を調整させた上で、樹脂片における臭素の有無に応じて樹脂片を分別する分別装置および分別方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明における分別装置は、樹脂片における臭素の有無に応じて樹脂片を分別する分別装置であって、樹脂片を帯電させる帯電機構を備える。また、樹脂片を搬送する搬送面を有する搬送部材と、樹脂片の配置を、搬送面上にて調整させる調整機構とを備える。さらに、樹脂片に照射した連続X線が樹脂片を透過した強度を検出することにより、樹脂片における臭素の有無を判定し、その判定結果に基づいて樹脂片を分別するX線検出機構とを備える、分別装置である。
【0010】
また、本発明における分別方法は、樹脂片における臭素の有無に応じて樹脂片を分別する分別方法であって、樹脂片を帯電させる工程を備える。また、樹脂片の配置を調整する工程と、樹脂片に照射した連続X線が樹脂片を透過した強度を検出することにより、樹脂片における臭素の有無を判定する工程とを備える。さらに、判定する工程における判定結果に基づいて樹脂片を分別する工程とを備える、分別方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の分別装置および分別方法を用いれば、対象物である樹脂片同士が重なったり接触したりしないように配置を調整させた上で、樹脂片における臭素の有無に応じて樹脂片を的確に分別することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態が説明される。なお、各実施の形態において、同一の機能を果たす部位には同一の参照符号が付されており、その説明は、特に必要がなければ、繰り返さない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における樹脂片を分別する分別装置の構成を示す概略図である。図1における分別装置101は、樹脂片における臭素の有無に応じて樹脂片を分別する分別装置である。なお、本書においては臭素の有無に関して、一定量以上の臭素を含む場合にはたとえば臭素を含有する、臭素があると表現し、一定量以上の臭素を含まない場合にはたとえば臭素を含有しない、臭素がないと表現する。
【0014】
図1における分別装置101は、まず、分別したい対象物である樹脂片1を供給する供給機2を備えている。また、樹脂片1を調整させるコンベアにおける、搬送するための搬送面を有する搬送部材であるベルト4と、ベルト4を駆動させるための回転軸3とを有する。また、樹脂片1を分別するために連続X線6を照射するためのX線源5を有する。さらに、ベルト4に対してX線源5と反対側には、樹脂片1を透過した連続X線6を検出するためのX線検出器7とを有する。X線検出器7にて検出される連続X線6の強度が、樹脂片1以外の物質に影響されないようにするため、ベルト4の材質としては、たとえばポリアミド系樹脂をフッ素樹脂でコーティングしたものを用いることが好ましい。また、X線検出器7にて検出されたX線透過像のデータを処理するためのデータ処理部8を備える。データ処理部8には、樹脂片1を透過した連続X線6のデータを記憶する記憶部8aと、透過した連続X線の透過強度を、あらかじめ記憶部8aに記憶されたデータと比較することにより、樹脂片1を分別する機能を持つ演算部8bとを有する。以上のX線検出器7およびデータ処理部8にて、X線検出機構を構成する。さらに、図1に示すように、樹脂片1における臭素の有無に応じて樹脂片を分別するために用いる分別機構9と、臭素を含まない樹脂片を回収するための回収容器10とを備える。また、樹脂片1の配置を、ベルト4上にて調整させるための調整機構として、ベルト4の上部に備える上部板11と、樹脂片1の配置を調整させる際に、ベルト4が弛まないように調整するためにベルト4の下部に備える一対の下部板12とを備える。また、後述するようにたとえばベルト4の下側に嵌まり込んだ樹脂片1を、ベルト4の上側に押し上げる役割を有するローラー13をさらに備えている。なお、ここでたとえば上、上部、上側とは、水平面に沿った方向に存在するベルト4と対向する方向であり、樹脂片1が載っていて、その配置が調整されている方向を指す。また、たとえば下、下部、下側とは、水平面に沿った方向に存在するベルト4に対して、樹脂片1が載っていて、その配置が調整されている方向と反対方向を指す。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態1における樹脂片を分別する分別方法を示したフローチャートである。図2に示すように、まず、樹脂片を帯電させる工程(S10)を行なう。具体的には、分別したい対象物である複数個の樹脂片1をベルト4上に供給した際に、樹脂片1同士が互いに重なったり接触しないように、樹脂片1をあらかじめ帯電させる工程である。
【0016】
図3は、複数個の臭素を含有する樹脂片と臭素を含有しない樹脂片とが互いに重なり合い接触し合った状態を示す概略図である。図4は、複数個の臭素を含有する樹脂片と臭素を含有しない樹脂片とが互いに重なり合わず接触し合わず配置を調整した状態を示す概略図である。複数個の樹脂片1をベルト4上に供給した際に、たとえば図3に示すように、臭素を含有しない樹脂片1aと臭素を含有する樹脂片1bとが互いに重なり合ったり接触し合った状態となっていたと仮定する。この場合、臭素を含有しない樹脂片1aおよび臭素を含有する樹脂片1bに連続X線6を照射しても、臭素を含有しない樹脂片1aと臭素を含有する樹脂片1bとの分別を精密に行なうことは難しい。そこで、臭素を含有しない樹脂片1aおよび臭素を含有する樹脂片1bを同極に帯電させる。このことにより、樹脂片同士が互いに反発しあうようになるため、たとえば図4に示すように、臭素を含有しない樹脂片1aおよび臭素を含有する樹脂片1bを互いに接触し合わず位置を調整させることが可能となる。
【0017】
図5は、分別したい樹脂片を帯電させてベルト上に供給させる帯電機構を示した概略図である。また図6は、複数個の臭素を含有する樹脂片と臭素を含有しない樹脂片とが互いに重なり合わず接触し合わずにベルト上に配置を調整した状態を示す概略図である。図5に示すように、まず複数個の分別したい樹脂片1を、帯電機構である供給機2の内部に供給する。供給機2の内壁は、樹脂片1を形成するプラスチック材料と帯電列の中での互いの距離が離れた材料である帯電手段2bがコーティングされている。
【0018】
樹脂片1を帯電させるために、たとえば供給機2に、これを振動させる振動機20を備えさせる。そのため、供給機2の内部に供給された樹脂片1は、振動機20により上下方向、横方向などランダムな方向に振動を加えられる。すると、樹脂片1と上述した帯電手段2bとの摩擦により樹脂片1が帯電される。
【0019】
樹脂片1を形成するプラスチック材料としてはたとえばポリプロピレンが考えられ、供給機2の内壁に用いる帯電手段2bの材料としてはたとえばポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂が用いられる。なお、樹脂片1を形成するプラスチック材料として、ポリプロピレンの代わりに、たとえばポリスチレンやABS樹脂など、他の種類のプラスチック材料を用いてもよい。
【0020】
以上のような材料を用いた場合、振動機20により振動を加えられた樹脂片1には、帯電手段2bとの間で接触摩擦が起こり、樹脂片1は+側に帯電する。そのため、供給機2の中で十分に帯電した樹脂片1同士は、互いに反発する。このことにより、複数個の樹脂片1が供給機2の供給口2aからコンベアのベルト4上に供給される際、1個ずつ分離した形で、1個ずつ間隔をおいてコンベアのベルト上に、たとえば図6のように供給することが可能となる。
【0021】
ところで、上述したように接触摩擦により樹脂片1を帯電させた場合、樹脂片1がたとえば+側に帯電する一方で、供給機2の内壁の帯電手段2bは樹脂片1と逆の−側に帯電する。そして時間とともに帯電飽和に至り、やがては樹脂片1を+側に帯電させる能力を失う。このため、供給機2の内壁に帯電された電気を定期的に除電する作業を行なう必要がある。除電方法としては、たとえば供給機2の内部に帯電手段2bと逆の極性の(たとえば帯電手段2bが−側に帯電する場合は+の極性の)イオンを含む気体を通過させて帯電電荷を中和させる方法を用いることができる。
【0022】
なお、樹脂片1を帯電させる方法としては上述したとおり、振動機20を用いて樹脂片を振動させて接触摩擦により帯電させる方法の他に、以下のような方法を用いてもよい。たとえば図7は、コロナ放電により樹脂片を帯電させる帯電機構を示した概略図である。また図8は、コロナ放電の原理を示した概略図である。
【0023】
図7に示すコロナ放電による帯電機構は、供給機2の供給口2a近傍に、コロナ帯電装置30と、コロナ帯電装置30に電圧を供給するための高電圧電源32とを備える。コロナ帯電装置30により発生したコロナ放電31が、供給口2aから排出される樹脂片1に照射されることにより、樹脂片1が帯電されるという原理である。
【0024】
コロナ放電とは、先端の尖った針電極、細線電極の近傍に不平等電界が形成されることにより、その電界が局部的に絶縁破壊電界強度を超えることによって起こる持続的な放電のことである。図8に示すように、コロナ帯電装置30には放電電極33と対向電極34とを備えている。先端の尖った放電電極33と対向電極34との間に、高電圧電源32により高電圧を加える。すると両電極の間、特に放電電極33の近傍において空気の絶縁が破壊される。このことにより、両極の間、および図8に示すように、先端の尖った放電電極33に対して対向電極34と反対側においてもコロナ放電31が発生する。この、対向電極34と反対側に発生したコロナ放電31を、図8に示すように、たとえば供給口2aから排出される樹脂片1に照射されることにより、樹脂片1を帯電することが可能となる。
【0025】
また、樹脂片1を帯電させるさらに別の方法として、たとえば磁界などの電磁波を利用する方法を用いてもよい。図9は、電磁波により樹脂片を帯電させる帯電機構を示した概略図である。図9に示すように、供給機2の供給口2aの外側に存在する、樹脂片1が排出される管の外周に、たとえばコイル40を巻きつける。そのコイル40は電源41と接続されており、電源41からコイル40に電流を流す。すると電磁誘導により、コイル40の内側には磁界が発生する。この磁界を利用して、コイル40の内側を通過する樹脂片1に帯電させることができるという原理である。なお、図9に示すように、コイル内部に発生した磁界を最大限効率よく樹脂片1の帯電に利用できるようにするために、コイル40の外周に電磁シールド42を施すことが好ましい。
【0026】
上述した方法により、帯電されてベルト4上に供給された樹脂片1に対して、樹脂片の配置を調整する工程(S20)を行なう。具体的には、ベルト4の搬送面に沿った方向に樹脂片1の主表面が接触する配置となるよう、樹脂片1の配置を調整することにより調整を行なう工程である。
【0027】
図10は、ベルトに対して不安定な状態に配置された樹脂片の状態を示す概略図である。本発明の実施の形態1における分別装置101において、樹脂片1を搬送するための搬送面として用いるベルト4には、図10に示すように、多数のメッシュが施してある。供給機2からベルト4上に供給された樹脂片1は、たとえ帯電されて1個ずつ分離されていたとしても、たとえば図10に示すように、メッシュを介してベルト4の下側に嵌まり込んで不安定な状態で配置されているという状態になる可能性がある。このような状態の樹脂片1に対して連続X線6を照射すると、樹脂片1の厚みにより、連続X線6が樹脂片1の内部を通過する距離が、本来通過すべき距離に比べて長くなることがある。すると、連続X線6の本来の樹脂片1に対する透過強度に比べて、透過強度が少なくなる可能性がある。樹脂片1は、その表面のうちたとえば最も表面積の大きい主表面が下側を向くように、すなわちベルト4の搬送面に接するように配置されれば、最も安定に配置できる。さらに、このような配置にすることにより、樹脂片1の上下方向(すなわち、連続X線6が樹脂片1の内部を透過する方向に沿った方向)の厚みを小さくすることができるため、図1に示すように、ベルト4の上側から照射する連続X線6が樹脂片1を透過する距離を短くすることができる。そのような配置となるよう、樹脂片1を調整する工程である。
【0028】
図11は、ベルトに対して不安定な状態に配置された樹脂片がローラーの真上を通過した状態を示す概略図である。図12は、ローラーが樹脂片を回転させる状態を示す概略図である。図13は、ベルトに対して安定に配置された樹脂片の状態を示す概略図である。
【0029】
図1に示すように、樹脂片1の配置をベルト4上にて調整する調整機構は、ベルト4の上部に備える上部板11と、樹脂片1の配置を調整させる際に、ベルト4が弛まないように調整するためにベルト4の下部に備える一対の下部板12とを備える。さらに、たとえばベルト4の下側に嵌まり込んだ樹脂片1を、ベルト4の上側に押し上げる役割を有するローラー13を備えている。樹脂片1がベルト4上に配置された状態で、図1に示すコンベアの回転軸3により搬送され、調整機構を構成するローラー13の上部に達する。このとき、たとえば図11に示すように、樹脂片1がベルト4のメッシュのために、その下側に一部嵌まり込んでいたとすれば、ベルト4の直下に存在する円柱形のローラー13に接触し、下側に嵌まり込んだ部分がベルト4の上側に押し上げられる。すると、図12に示すように樹脂片1を回転させて図13に示すような、樹脂片1の主表面がベルト4の搬送面に接するように配置させることができる。なお、ローラー13の円柱形の長軸方向に伸びる曲面の表面に、メッシュの穴よりも小さい大きさを持つ小突起を、メッシュと等間隔に設けてもよい。このことにより、ベルト4のメッシュから下側に嵌まり込んだ樹脂片1をさらに効率よく押し上げることが可能となる。また、ベルト4が弛まないように調整するためにベルト4の下部に備える一対の下部板12(図1参照)により、ローラー13付近のベルト4の張力を大きくすることにより、樹脂片1をさらに効率よく押し上げることが可能となる。
【0030】
なお、樹脂片1が、ベルト4の下側に嵌まり込んではいないが、たとえば連続X線6が樹脂片1の内部を透過する方向に沿った方向である、上下方向の厚みが大きくなるように配置されている場合もある。この場合、樹脂片1はベルト4上にて比較的安定してはいるが、表面積の小さい面がベルト4に接しているため、表面積のより大きい面である主表面がベルト4に接する配置となるよう調整することが好ましい。また、上下方向の厚みが大きいため、先述のように、樹脂片1の厚みにより、連続X線6が樹脂片1の内部を通過する距離が、本来通過すべき距離に比べて長くなることがある。すると、連続X線6が本来樹脂片1を透過する量に比べて、透過する量が少なくなる可能性がある。以上により、主表面がベルト4に接する配置となるように調整することにより、上下方向の厚みを小さくすることが好ましい。
【0031】
このため、ベルト4の上側に、上部板11を設け、上下方向の厚みが大きい状態に配置されている樹脂片については、上部板11の下側を通過する際に、配置を調整できるようにしている。図14は、上下方向の厚みの大きい樹脂片が上部板とベルトとの間を通過しようとする状態を示す概略図である。たとえば表面積の小さい面がベルト4に接した状態にて配置され、上下方向の厚みが大きくなっている樹脂片1は、上部板11の下側を通過する際に樹脂片1の上部が上部板11に衝突する。そのため、樹脂片1は回転し、その主表面がベルト4に接する配置となり、上下方向の厚みがより小さくなるように配置される。以上のように上部板11を調整機構として機能させるために、上部板11は、ベルト4の搬送面に対する高さが、樹脂片1のその高さ分の厚みが連続X線6を透過する強度に影響を及ぼさない程度の高さとすることが好ましい。具体的には、連続X線6が樹脂片1を透過する距離がある距離以上になると、樹脂片1による連続X線6の吸収が無視できなくなる。その結果、連続X線6が樹脂片1を透過する強度が本来透過する強度よりも小さくなり、その樹脂片1における臭素の有無の判定を誤る可能性がある。したがって、連続X線6が樹脂片1を透過する距離が、上述のように臭素の有無の判定に影響しない程度となるよう、樹脂片1の上下方向の厚みを調整する必要がある。そのために樹脂片1に対して行なう配置の調整である。具体的には、上部板11の、ベルト4に対する上下方向の高さが、たとえば樹脂片1における主表面と主表面に対向する面とのなす距離である厚みの平均値より広く、厚みの平均値の2倍より狭くなる高さの位置に設置することが好ましい。
【0032】
なお、以上のように上部板11を設置することにより、樹脂片1が連続X線6を透過する距離が一定値以下となるよう調整しても、分別対象物である樹脂片1は破砕した樹脂片で、多種多様な形状を有し、その大きさもばらつきが大きい。たとえば、どのような向きに配置しても、上述した上部板11の下側を通過できないほど大きい樹脂片1も存在する。そこで、このような調整機構を通過できない樹脂片1については、一定時間間隔で、たとえば後述する分別機構9(図1参照)として用いるエアガンや押し出し棒などを用いて除去、回収を行ない、再度粉砕処理を行なった上で再度分別装置101に供給してもよい。このことにより、上下方向の厚みが大きいことが、連続X線6を透過する強度に影響することを抑制することができる。
【0033】
樹脂片の配列の調整が終わった樹脂片1は、さらにベルト4により搬送され、連続X線6を照射するためのX線源5の下部に達する。ここで樹脂片にX線を照射する工程(S30)を行なう。具体的には、樹脂片1における臭素の有無を判定するために、樹脂片1に連続X線6を照射する工程である。樹脂片1に含有される臭素により、樹脂片1に照射した連続X線6が一部吸収される。そのため、たとえば樹脂片1が臭素を含有する場合、樹脂片1が臭素を含有しない場合に比べて、連続X線6の透過する強度が小さくなる。以上の原理を利用して、樹脂片1における臭素の有無を判定するために、樹脂片1に連続X線6を照射する工程である。なお、臭素により照射した連続X線6の一部を吸収させるためには、臭素のX線吸収端以上のエネルギーを持つX線を樹脂片1へ照射することが好ましい。臭素のK吸収端は13.474keVであるため、13.5keVから20keVのエネルギー範囲の連続X線6を樹脂片1に照射することが好ましい。
【0034】
続いて、透過X線強度を検出する工程(S40)に進む。具体的には、先の工程(S30)にて樹脂片1に照射された連続X線6のうち、樹脂片1を透過してベルト4の下側に設置されている、X線検出器7(図1参照)に到達する連続X線6の強度を検出する工程である。
【0035】
X線検出器7としては、ライン内のX線強度分布の測定が可能な、たとえば、X線ラインセンサを用いることが好ましい。特に本発明の実施の形態1のように、連続して移動してくる対象物によるX線の透過する強度を検出する際には、X線ラインセンサを用いると、1スキャン毎にビデオ出力されるため、画像の連続的な処理を容易に行なうことができる。X線ラインセンサを用いた場合、画面をスキャンする位置が移動しないため、動いている像を観察した際に、像が変形する可能性が小さい。このため、容易に像の処理を行なうことができる。また、X線ラインセンサを用いると、臭素を含有する樹脂片1bの箇所は臭素によって連続X線が一部吸収されて、臭素を含有しない樹脂片1aの箇所よりも連続X線6の透過する強度が小さくなる。このため、重なったり接触したりすることなく、間隔を隔ててベルト4上に配置された樹脂片1の中から、臭素を含有する樹脂片1bの存在する位置を特定することができる。また、X線ラインセンサを用いるとライン内のX線の強度分布を可視画像化することが可能である。
【0036】
図15は、樹脂片に連続X線を照射し、X線検出器にて透過強度を検出する状態を示す概略図である。図15に示すように、X線源5から照射された連続X線6は、ベルト4上に載って随時X線源5の下部に搬送されてくる、臭素を含有しない樹脂片1aおよび臭素を含有する樹脂片1bに照射される。すると、上述のように、臭素を含有する樹脂片1bによる連続X線6の透過する強度は、臭素を含有しない樹脂片1aによる連続X線6の透過する強度よりも小さくなる。この結果、図15において模式的に示すように、臭素を含有する樹脂片1bを透過した連続X線6によるX線検出器7における画像は、臭素を含有しない樹脂片1aを透過した連続X線6によるX線検出器7における画像よりも、輝度が小さく表示される。以上の構成によれば、複数個の樹脂片1の中から臭素を含有する樹脂片1bを容易に検出することが可能となる。
【0037】
次に臭素の含有有無を判定する工程(S50)を実施する。具体的には、先の工程(S40)にて検出を行なった、連続X線6を透過する強度のデータを、データ処理部8(図1参照)にて処理を行ない、処理結果から樹脂片1に臭素を含有するか否かを判定する工程である。X線検出器7にて検出された、樹脂片1による連続X線6の透過する強度は、X線検出器7と電気的に接続されたデータ処理部8に転送される。
【0038】
X線検出器7とともにX線検出機構を構成するデータ処理部8には、臭素の含有の有無を判定するための制御部を備えている。その制御部は、図1に示すように、たとえばメモリなどの記憶部8aと、たとえばCPUなどの演算部8bとから構成される。そして、記憶部には、データ処理部8に随時転送される、X線検出器7にて検出された、樹脂片1による連続X線6の透過する強度のデータが、臭素を含有する樹脂片1bにより検出されたデータか否かを判定する判定基準としてのデータが、あらかじめ記憶されている。
【0039】
あらかじめ記憶部に記憶されている判定基準としてのデータは、本発明の実施の形態1において分別しようとしている樹脂片1と同一の材質で形成された試験片を用いた測定を行なうことにより準備する。具体的には、たとえば不純物を含まないポリプロピレン、ポリスチレンあるいはABS樹脂に、臭素を含有する物質である、たとえばデカブロモジフェニルエーテルを、臭素濃度が1質量%となるように添加して混練・成型することにより、臭素を1質量%含有する試験片を形成する。なお、この試験片の厚みは、実際に分別する樹脂片1を分別する際に配置された状態における上下方向の厚みの平均値となるように成型する。そして、この試験片を分別装置101にセットし、分別しようとしている樹脂片1と同様の方法にて、この試験片による連続X線6の透過する強度を、X線検出器7にて検出する。そして、検出されたデータをデータ処理部8の演算部8bにて演算処理を行なったものを記憶部8aに格納しておく。この、臭素を1質量%含有する樹脂にて形成された試験片による連続X線6の透過する強度のデータが、分別しようとしている樹脂片1における臭素の有無を判定するための判定基準として用いられる。
【0040】
先の工程(S40)にて、分別しようとしている樹脂片1を透過した連続X線6の強度を検出したデータは、データ処理部8に送られる。そして、データ処理部8の演算部8bにて、上述したあらかじめ判定基準として記憶部8aに記憶されているデータと比較を行なう。その比較結果が、たとえば判定基準としてのデータよりも連続X線6の透過する強度が小さい場合は、その樹脂片1には臭素を含有すると判定する。判定基準としてのデータは、1質量%の臭素を含有する試験片にて測定を行なった結果であるため、樹脂片1が臭素を含有すると判定する場合、その樹脂片1には1質量%以上の臭素を含有するということになる。逆に、比較結果が、たとえば判定基準としてのデータよりも連続X線6の透過する強度が大きい場合は、その樹脂片1には臭素を含有しないと判定する。同様に考えて、樹脂片1が臭素を含有しないと判定する場合、その樹脂片1には1質量%未満の臭素を含有するということになる。
【0041】
そして、樹脂片を分別する工程(S60)を実施する。すなわち、先の工程(S50)において判定された、臭素を含有する樹脂片1bを、図1に示す分別機構9を用いて、臭素を含有しない樹脂片1aから分別する工程である。
【0042】
分別機構9としては、たとえば空気圧力式対象物質排出機構としてのエアガンを用いる。コンベアのベルト4は一定速度で移動しているため、樹脂片1がX線検出器7の上側を通過して検出を行なう位置から、分別機構9による分別を行なう位置に到達するまでに要する時間は一定である。そこで、たとえばX線検出機構であるX線検出器7とデータ処理部8により臭素を含有する樹脂片1bを検出した場合は、演算部8bから分別機構9に、一定時間後にたとえば分別機構9のエアガンからエアブローを稼動するよう指令する信号を送信する。このことにより、複数個の樹脂片1の中から、臭素を含有する樹脂片1bが分別機構9による分別を行なう位置に到達するタイミングに同期させて、エアブローにより臭素を含有する樹脂片1bを吹き飛ばす。このことにより、複数個の樹脂片1の中から、臭素を含有する樹脂片1bのみを選択除去することによる分別を行なうことができる。
【0043】
なお、たとえ樹脂片1をあらかじめ帯電させることにより、ベルト4上にて間隔を隔てて配置されていても、臭素を含有する樹脂片1bのみにスポット的にエアブローを照射させるために、分別機構9であるエアガンをコンベアのベルト4に近づけ、スポット的に臭素を含有する樹脂片1bのみにエアを照射することが好ましい。また、分別機構9を複数台設置することにより、エアの照射をより円滑に行なえるようにすることがさらに好ましい。なお、分別機構9として、エアガンの代わりに、たとえば押し出し棒を用いて、臭素を含有する樹脂片1bのみを押し出し選択除去することによる分別を行なってもよい。
【0044】
以上の方法により、コンベアのベルト4上に配置された複数個の樹脂片1のうち、臭素を含有する樹脂片1bのみが分別により除去される。そして、先の工程(S50)において判定された、臭素を含有しない樹脂片1aは、そのままベルト4により搬送され、臭素を含有しない樹脂片1aを回収するための回収容器10に回収される。
【0045】
以上の構成を有する分別装置101を用いて以上の方法を用いることにより、複数個の樹脂片1の中から検出された、臭素を含有する樹脂片1bを、臭素を含有しない樹脂片1aから容易にかつ確実に分別することが可能となる。
【0046】
(実施の形態2)
図16は、本発明の実施の形態2における、分別したい樹脂片を帯電させてベルト上に供給させる帯電機構を示した概略図である。図16に示すように、本発明の実施の形態2における帯電機構は、基本的には本発明の実施の形態1における帯電機構(図5、図7、図9参照)と同様の態様を備えている。しかし、図16に示すように、供給機2の内部から樹脂片1をコンベアのベルト4に供給する供給口2aに続く輸送部2cが、本発明の実施の形態1における供給機2よりも長くなっている。そしてこの輸送部2cに存在する樹脂片1に対して、乾燥空気送風機50から乾燥空気が送られる構成となっている。
【0047】
供給機2にこのような乾燥空気送風機50を付属させることにより、樹脂片1に帯電させた電気を放電させず、蓄電を続けることができる。すなわち、特に湿度の高い環境下にて樹脂片1を帯電させると、樹脂片1の表面に吸着する水分の量が増加する。その結果、樹脂片1の帯電が抑制されたり、樹脂片1の帯電が放電されてしまう可能性が高くなる。そこで、湿度の十分低い乾燥空気を乾燥空気送風機50から樹脂片1に対して供給する。このことにより、樹脂片1の表面に吸着された水分を除去し、効率的にかつ安定に樹脂片1を帯電させることが可能となる。さらに、乾燥空気送風機50の送風が、樹脂片1をベルト4上に供給するために押し出すため、樹脂片1をベルト4上により効率よく供給させることが可能となる。
【0048】
なお、乾燥空気送風機50の送風は、帯電を阻害しない任意の気体を用いて行なうことが可能であり、たとえば乾燥空気の代わりに、窒素ガスなどの不活性ガスを用いてもよい。
【0049】
以上の点においてのみ、本発明の実施の形態1と異なる。すなわち、本発明の実施の形態2の説明において、上述しなかった構成や条件、工程などは、全て本発明の実施の形態1に順ずる。
【0050】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3においては、透過X線強度を検出する工程(S40)において、X線検出機構を構成するX線検出器7として、X線ラインセンサの代わりに、面内X線強度分布が測定可能である、たとえばX線CCDカメラを用いている。
【0051】
図17は、本発明の実施の形態3において、コンベアのベルト上に樹脂片が配置された状態を二次元的に示す概略図である。また、図18は、図17に示すようにベルト上に配置された樹脂片に連続X線を透過した際にX線CCDカメラが検出する像を示す概略図である。たとえば図17に示すようにコンベアのベルト4上に配置された樹脂片1(臭素を含有しない樹脂片1aおよび臭素を含有する樹脂片1b)が、ベルト4により搬送され、連続X線6を照射するためのX線源5の下部に達する。ここで、本発明の実施の形態1と同様に樹脂片にX線を照射する工程(S30)を行なう。すると、臭素を含有する樹脂片1bによる連続X線6の透過する強度は、臭素を含有しない樹脂片1aによる連続X線6の透過する強度よりも小さくなる。この結果、図18において模式的に示すように、臭素を含有する樹脂片1bを透過した連続X線6によるX線検出器7における画像は、臭素を含有しない樹脂片1aを透過した連続X線6によるX線検出器7における画像よりも、輝度が小さく表示される。
【0052】
X線検出器7としてX線ラインセンサを用いた場合には、図15に示すように、X線検出器7における画像は、臭素を含有する樹脂片1bは一次元的に輝度が小さく表示される。これに対し、X線検出器7としてX線CCDカメラを用いた場合には、図18に示すように、X線検出器7における画像は、臭素を含有する樹脂片1bは二次元的に輝度が小さく表示される。このことにより、X線ラインセンサを用いた場合と同様に、複数個の樹脂片1の中から臭素を含有する樹脂片1bを容易に検出することが可能となる。
【0053】
X線検出器7としてX線CCDカメラなどの面内X線強度分布を用いた場合には、二次元的に連続X線6の透過する強度を検出できる。このため、図17および図18に示すように、X線ラインセンサを用いて一次元的に連続X線6の透過する強度を検出した場合に比べて、同時に多数個の樹脂片1の臭素の含有有無が判定できる。このため、測定を行なう処理量を著しく増大させることができ、作業効率を著しく増加させることができる。なお、面内X線強度分布を測定させるX線検出器7として、X線CCDカメラの代わりに、たとえばX線イメージインテンシファイア、X線シンチレータ、位置感度型比例計数管などを用いてもよい。
【0054】
以上の点においてのみ、本発明の実施の形態1または2と異なる。すなわち、本発明の実施の形態3の説明において、上述しなかった構成や条件、工程などは、全て本発明の実施の形態1または2に順ずる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、家電製品を破断したものに含まれる樹脂片のリサイクルを的確に行なう技術として特に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態1における樹脂片を分別する分別装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態1における樹脂片を分別する分別方法を示したフローチャートである。
【図3】複数個の臭素を含有する樹脂片と臭素を含有しない樹脂片とが互いに重なり合い接触し合った状態を示す概略図である。
【図4】複数個の臭素を含有する樹脂片と臭素を含有しない樹脂片とが互いに重なり合わず接触し合わず配置を調整した状態を示す概略図である。
【図5】分別したい樹脂片を帯電させてベルト上に供給させる帯電機構を示した概略図である。
【図6】複数個の臭素を含有する樹脂片と臭素を含有しない樹脂片とが互いに重なり合わず接触し合わずにベルト上に配置を調整した状態を示す概略図である。
【図7】コロナ放電により樹脂片を帯電させる帯電機構を示した概略図である。
【図8】コロナ放電の原理を示した概略図である。
【図9】電磁波により樹脂片を帯電させる帯電機構を示した概略図である。
【図10】ベルトに対して不安定な状態に配置された樹脂片の状態を示す概略図である。
【図11】ベルトに対して不安定な状態に配置された樹脂片がローラーの真上を通過した状態を示す概略図である。
【図12】ローラーが樹脂片を回転させる状態を示す概略図である。
【図13】ベルトに対して安定に配置された樹脂片の状態を示す概略図である。
【図14】上下方向の厚みの大きい樹脂片が上部板とベルトとの間を通過しようとする状態を示す概略図である。
【図15】樹脂片に連続X線を照射し、X線検出器にて透過強度を検出する状態を示す概略図である。
【図16】本発明の実施の形態2における、分別したい樹脂片を帯電させてベルト上に供給させる帯電機構を示した概略図である。
【図17】本発明の実施の形態3において、コンベアのベルト上に樹脂片が配置された状態を二次元的に示す概略図である。
【図18】図17に示すようにベルト上に配置された樹脂片に連続X線を透過した際にX線CCDカメラが検出する像を示す概略図である。
【符号の説明】
【0057】
1 樹脂片、1a 臭素を含有しない樹脂片、1b 臭素を含有する樹脂片、2 供給機、2a 供給口、2b 帯電手段、2c 輸送部、3 回転軸、4 ベルト、5 X線源、6 連続X線、7 X線検出器、8 データ処理部、8a 記憶部、8b 演算部、9 分別機構、10 回収容器、11 上部板、12 下部板、13 ローラー、20 振動機、30 コロナ帯電装置、31 コロナ放電、32 高電圧電源、40 コイル、41 電源、42 電磁シールド、50 乾燥空気送風機。
【技術分野】
【0001】
本発明は、分別装置および分別方法に関するものであり、より特定的には、リサイクルする家電製品に含まれているプラスチックなどの樹脂を臭素の含有の有無に応じて分別するための分別装置および分別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家電製品などに使用されているプラスチックなどの樹脂には、難燃剤を含有する難燃性樹脂が一部使用されている。樹脂における難燃剤含有量は通常1〜30質量%であり、難燃剤としては主に臭素系難燃剤が利用されている。
【0003】
プラスチックなどの樹脂の素材別分離は、磁気選別や渦電流選別、比重選別、静電選別などの組み合わせによりほぼ確立されている。しかし、リサイクルする家電製品を破断したものに含まれる樹脂の破片(樹脂片)の性能を確保・管理するためには、難燃剤を含有する樹脂片と難燃剤を含有しない樹脂片との分別技術が重要課題となっている。それは、樹脂の難燃性を向上させるために用いられる臭素系難燃剤には有害性が高く、環境に与える影響が大きい物質があるためである。このため、EUのRoHS指令の施行に伴い水銀、カドミウム、鉛、六価クロム、ポリ臭素化ビフェニール(PBB)、ポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDE)の6品目が使用規制対象物質となった。
【0004】
したがって、家電リサイクル法を遵守するためには、回収された使用済み家電製品などに使用されているプラスチックなどの樹脂に対するリサイクル技術が重要である。家電製品を破断したものに含まれる樹脂片のリサイクルを的確に行なうには、一定量以上の臭素を含む樹脂片と一定量以上の臭素を含まない樹脂片とに分別した上で、リサイクルまたは廃棄処分を行なうことが必要である。より具体的には、分別した上でリサイクルすることとなった樹脂片には一定量以上の臭素が含まれたものが混入することがないように、高精度に分別する必要があるということである。
【0005】
従来の分別方法としては、たとえば、分別対象物であるプラスチックや金属などをたとえばコンベアなどの搬送装置により搬送し、分別対象物に連続X線を照射する。そのとき発生する特性X線の波長あるいはエネルギーから、たとえば臭素などの特定元素の有無を判定する方法が、特許文献1に開示されている。また、リサイクルしたい樹脂片に連続X線を照射し、照射した連続X線が樹脂を透過する量をX線検出器にて検出することにより、樹脂が一定量以上の臭素を含んでいるか否かを判定する方法が、特許文献2に開示されている。
【0006】
しかし、上述した分別方法においては、分別対象物に連続X線を照射する前に、複数個の分別対象物であるたとえば樹脂片同士が重なったり接触したりしないように、分別対象物を調整させる方法については開示も示唆もされていない。対象物を調整させる方法としては、たとえばコンベアの搬送面の上に2本の調整桟を設けた調整搬送路を備えることにより、調整搬送路の上流端に供給された対象物を1個ずつ個別に調整させる方法が、特許文献3に開示されている。また、対象物が回転されて所定方向を向くように調整させる調整装置と、対象物同士の相互間隔が所定の間隔になるよう調整させる滑落シュートおよび調整コンベアとを備える、対象物の搬送装置が、特許文献4に開示されている。
【特許文献1】特開2004−219366号公報
【特許文献2】特許第3307968号公報
【特許文献3】特開2002−114363号公報
【特許文献4】特開平8−188231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3に開示されている、対象物を調整させる方法は、たとえば搬送路に対して交差する方向に配列された対象物を、搬送路に沿った方向を向くよう調整させる方法であり、対象物同士が重なったり衝突したり接触したりしないように、対象物を調整させる方法については開示も示唆もされていない。また、特許文献4に開示されている搬送装置は、たとえば直方体形状を持つチョコレートの製品など、一定の形状を有する対象物が、搬送面の一辺に接するように調整させる方法を用いたものである。このため、たとえばリサイクル用の樹脂片のように、ランダムな形状を有する対象物を調整させる方法としては適さないものと思われる。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、対象物である樹脂片同士が重なったり接触したりしないように配置を調整させた上で、樹脂片における臭素の有無に応じて樹脂片を分別する分別装置および分別方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明における分別装置は、樹脂片における臭素の有無に応じて樹脂片を分別する分別装置であって、樹脂片を帯電させる帯電機構を備える。また、樹脂片を搬送する搬送面を有する搬送部材と、樹脂片の配置を、搬送面上にて調整させる調整機構とを備える。さらに、樹脂片に照射した連続X線が樹脂片を透過した強度を検出することにより、樹脂片における臭素の有無を判定し、その判定結果に基づいて樹脂片を分別するX線検出機構とを備える、分別装置である。
【0010】
また、本発明における分別方法は、樹脂片における臭素の有無に応じて樹脂片を分別する分別方法であって、樹脂片を帯電させる工程を備える。また、樹脂片の配置を調整する工程と、樹脂片に照射した連続X線が樹脂片を透過した強度を検出することにより、樹脂片における臭素の有無を判定する工程とを備える。さらに、判定する工程における判定結果に基づいて樹脂片を分別する工程とを備える、分別方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の分別装置および分別方法を用いれば、対象物である樹脂片同士が重なったり接触したりしないように配置を調整させた上で、樹脂片における臭素の有無に応じて樹脂片を的確に分別することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態が説明される。なお、各実施の形態において、同一の機能を果たす部位には同一の参照符号が付されており、その説明は、特に必要がなければ、繰り返さない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における樹脂片を分別する分別装置の構成を示す概略図である。図1における分別装置101は、樹脂片における臭素の有無に応じて樹脂片を分別する分別装置である。なお、本書においては臭素の有無に関して、一定量以上の臭素を含む場合にはたとえば臭素を含有する、臭素があると表現し、一定量以上の臭素を含まない場合にはたとえば臭素を含有しない、臭素がないと表現する。
【0014】
図1における分別装置101は、まず、分別したい対象物である樹脂片1を供給する供給機2を備えている。また、樹脂片1を調整させるコンベアにおける、搬送するための搬送面を有する搬送部材であるベルト4と、ベルト4を駆動させるための回転軸3とを有する。また、樹脂片1を分別するために連続X線6を照射するためのX線源5を有する。さらに、ベルト4に対してX線源5と反対側には、樹脂片1を透過した連続X線6を検出するためのX線検出器7とを有する。X線検出器7にて検出される連続X線6の強度が、樹脂片1以外の物質に影響されないようにするため、ベルト4の材質としては、たとえばポリアミド系樹脂をフッ素樹脂でコーティングしたものを用いることが好ましい。また、X線検出器7にて検出されたX線透過像のデータを処理するためのデータ処理部8を備える。データ処理部8には、樹脂片1を透過した連続X線6のデータを記憶する記憶部8aと、透過した連続X線の透過強度を、あらかじめ記憶部8aに記憶されたデータと比較することにより、樹脂片1を分別する機能を持つ演算部8bとを有する。以上のX線検出器7およびデータ処理部8にて、X線検出機構を構成する。さらに、図1に示すように、樹脂片1における臭素の有無に応じて樹脂片を分別するために用いる分別機構9と、臭素を含まない樹脂片を回収するための回収容器10とを備える。また、樹脂片1の配置を、ベルト4上にて調整させるための調整機構として、ベルト4の上部に備える上部板11と、樹脂片1の配置を調整させる際に、ベルト4が弛まないように調整するためにベルト4の下部に備える一対の下部板12とを備える。また、後述するようにたとえばベルト4の下側に嵌まり込んだ樹脂片1を、ベルト4の上側に押し上げる役割を有するローラー13をさらに備えている。なお、ここでたとえば上、上部、上側とは、水平面に沿った方向に存在するベルト4と対向する方向であり、樹脂片1が載っていて、その配置が調整されている方向を指す。また、たとえば下、下部、下側とは、水平面に沿った方向に存在するベルト4に対して、樹脂片1が載っていて、その配置が調整されている方向と反対方向を指す。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態1における樹脂片を分別する分別方法を示したフローチャートである。図2に示すように、まず、樹脂片を帯電させる工程(S10)を行なう。具体的には、分別したい対象物である複数個の樹脂片1をベルト4上に供給した際に、樹脂片1同士が互いに重なったり接触しないように、樹脂片1をあらかじめ帯電させる工程である。
【0016】
図3は、複数個の臭素を含有する樹脂片と臭素を含有しない樹脂片とが互いに重なり合い接触し合った状態を示す概略図である。図4は、複数個の臭素を含有する樹脂片と臭素を含有しない樹脂片とが互いに重なり合わず接触し合わず配置を調整した状態を示す概略図である。複数個の樹脂片1をベルト4上に供給した際に、たとえば図3に示すように、臭素を含有しない樹脂片1aと臭素を含有する樹脂片1bとが互いに重なり合ったり接触し合った状態となっていたと仮定する。この場合、臭素を含有しない樹脂片1aおよび臭素を含有する樹脂片1bに連続X線6を照射しても、臭素を含有しない樹脂片1aと臭素を含有する樹脂片1bとの分別を精密に行なうことは難しい。そこで、臭素を含有しない樹脂片1aおよび臭素を含有する樹脂片1bを同極に帯電させる。このことにより、樹脂片同士が互いに反発しあうようになるため、たとえば図4に示すように、臭素を含有しない樹脂片1aおよび臭素を含有する樹脂片1bを互いに接触し合わず位置を調整させることが可能となる。
【0017】
図5は、分別したい樹脂片を帯電させてベルト上に供給させる帯電機構を示した概略図である。また図6は、複数個の臭素を含有する樹脂片と臭素を含有しない樹脂片とが互いに重なり合わず接触し合わずにベルト上に配置を調整した状態を示す概略図である。図5に示すように、まず複数個の分別したい樹脂片1を、帯電機構である供給機2の内部に供給する。供給機2の内壁は、樹脂片1を形成するプラスチック材料と帯電列の中での互いの距離が離れた材料である帯電手段2bがコーティングされている。
【0018】
樹脂片1を帯電させるために、たとえば供給機2に、これを振動させる振動機20を備えさせる。そのため、供給機2の内部に供給された樹脂片1は、振動機20により上下方向、横方向などランダムな方向に振動を加えられる。すると、樹脂片1と上述した帯電手段2bとの摩擦により樹脂片1が帯電される。
【0019】
樹脂片1を形成するプラスチック材料としてはたとえばポリプロピレンが考えられ、供給機2の内壁に用いる帯電手段2bの材料としてはたとえばポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂が用いられる。なお、樹脂片1を形成するプラスチック材料として、ポリプロピレンの代わりに、たとえばポリスチレンやABS樹脂など、他の種類のプラスチック材料を用いてもよい。
【0020】
以上のような材料を用いた場合、振動機20により振動を加えられた樹脂片1には、帯電手段2bとの間で接触摩擦が起こり、樹脂片1は+側に帯電する。そのため、供給機2の中で十分に帯電した樹脂片1同士は、互いに反発する。このことにより、複数個の樹脂片1が供給機2の供給口2aからコンベアのベルト4上に供給される際、1個ずつ分離した形で、1個ずつ間隔をおいてコンベアのベルト上に、たとえば図6のように供給することが可能となる。
【0021】
ところで、上述したように接触摩擦により樹脂片1を帯電させた場合、樹脂片1がたとえば+側に帯電する一方で、供給機2の内壁の帯電手段2bは樹脂片1と逆の−側に帯電する。そして時間とともに帯電飽和に至り、やがては樹脂片1を+側に帯電させる能力を失う。このため、供給機2の内壁に帯電された電気を定期的に除電する作業を行なう必要がある。除電方法としては、たとえば供給機2の内部に帯電手段2bと逆の極性の(たとえば帯電手段2bが−側に帯電する場合は+の極性の)イオンを含む気体を通過させて帯電電荷を中和させる方法を用いることができる。
【0022】
なお、樹脂片1を帯電させる方法としては上述したとおり、振動機20を用いて樹脂片を振動させて接触摩擦により帯電させる方法の他に、以下のような方法を用いてもよい。たとえば図7は、コロナ放電により樹脂片を帯電させる帯電機構を示した概略図である。また図8は、コロナ放電の原理を示した概略図である。
【0023】
図7に示すコロナ放電による帯電機構は、供給機2の供給口2a近傍に、コロナ帯電装置30と、コロナ帯電装置30に電圧を供給するための高電圧電源32とを備える。コロナ帯電装置30により発生したコロナ放電31が、供給口2aから排出される樹脂片1に照射されることにより、樹脂片1が帯電されるという原理である。
【0024】
コロナ放電とは、先端の尖った針電極、細線電極の近傍に不平等電界が形成されることにより、その電界が局部的に絶縁破壊電界強度を超えることによって起こる持続的な放電のことである。図8に示すように、コロナ帯電装置30には放電電極33と対向電極34とを備えている。先端の尖った放電電極33と対向電極34との間に、高電圧電源32により高電圧を加える。すると両電極の間、特に放電電極33の近傍において空気の絶縁が破壊される。このことにより、両極の間、および図8に示すように、先端の尖った放電電極33に対して対向電極34と反対側においてもコロナ放電31が発生する。この、対向電極34と反対側に発生したコロナ放電31を、図8に示すように、たとえば供給口2aから排出される樹脂片1に照射されることにより、樹脂片1を帯電することが可能となる。
【0025】
また、樹脂片1を帯電させるさらに別の方法として、たとえば磁界などの電磁波を利用する方法を用いてもよい。図9は、電磁波により樹脂片を帯電させる帯電機構を示した概略図である。図9に示すように、供給機2の供給口2aの外側に存在する、樹脂片1が排出される管の外周に、たとえばコイル40を巻きつける。そのコイル40は電源41と接続されており、電源41からコイル40に電流を流す。すると電磁誘導により、コイル40の内側には磁界が発生する。この磁界を利用して、コイル40の内側を通過する樹脂片1に帯電させることができるという原理である。なお、図9に示すように、コイル内部に発生した磁界を最大限効率よく樹脂片1の帯電に利用できるようにするために、コイル40の外周に電磁シールド42を施すことが好ましい。
【0026】
上述した方法により、帯電されてベルト4上に供給された樹脂片1に対して、樹脂片の配置を調整する工程(S20)を行なう。具体的には、ベルト4の搬送面に沿った方向に樹脂片1の主表面が接触する配置となるよう、樹脂片1の配置を調整することにより調整を行なう工程である。
【0027】
図10は、ベルトに対して不安定な状態に配置された樹脂片の状態を示す概略図である。本発明の実施の形態1における分別装置101において、樹脂片1を搬送するための搬送面として用いるベルト4には、図10に示すように、多数のメッシュが施してある。供給機2からベルト4上に供給された樹脂片1は、たとえ帯電されて1個ずつ分離されていたとしても、たとえば図10に示すように、メッシュを介してベルト4の下側に嵌まり込んで不安定な状態で配置されているという状態になる可能性がある。このような状態の樹脂片1に対して連続X線6を照射すると、樹脂片1の厚みにより、連続X線6が樹脂片1の内部を通過する距離が、本来通過すべき距離に比べて長くなることがある。すると、連続X線6の本来の樹脂片1に対する透過強度に比べて、透過強度が少なくなる可能性がある。樹脂片1は、その表面のうちたとえば最も表面積の大きい主表面が下側を向くように、すなわちベルト4の搬送面に接するように配置されれば、最も安定に配置できる。さらに、このような配置にすることにより、樹脂片1の上下方向(すなわち、連続X線6が樹脂片1の内部を透過する方向に沿った方向)の厚みを小さくすることができるため、図1に示すように、ベルト4の上側から照射する連続X線6が樹脂片1を透過する距離を短くすることができる。そのような配置となるよう、樹脂片1を調整する工程である。
【0028】
図11は、ベルトに対して不安定な状態に配置された樹脂片がローラーの真上を通過した状態を示す概略図である。図12は、ローラーが樹脂片を回転させる状態を示す概略図である。図13は、ベルトに対して安定に配置された樹脂片の状態を示す概略図である。
【0029】
図1に示すように、樹脂片1の配置をベルト4上にて調整する調整機構は、ベルト4の上部に備える上部板11と、樹脂片1の配置を調整させる際に、ベルト4が弛まないように調整するためにベルト4の下部に備える一対の下部板12とを備える。さらに、たとえばベルト4の下側に嵌まり込んだ樹脂片1を、ベルト4の上側に押し上げる役割を有するローラー13を備えている。樹脂片1がベルト4上に配置された状態で、図1に示すコンベアの回転軸3により搬送され、調整機構を構成するローラー13の上部に達する。このとき、たとえば図11に示すように、樹脂片1がベルト4のメッシュのために、その下側に一部嵌まり込んでいたとすれば、ベルト4の直下に存在する円柱形のローラー13に接触し、下側に嵌まり込んだ部分がベルト4の上側に押し上げられる。すると、図12に示すように樹脂片1を回転させて図13に示すような、樹脂片1の主表面がベルト4の搬送面に接するように配置させることができる。なお、ローラー13の円柱形の長軸方向に伸びる曲面の表面に、メッシュの穴よりも小さい大きさを持つ小突起を、メッシュと等間隔に設けてもよい。このことにより、ベルト4のメッシュから下側に嵌まり込んだ樹脂片1をさらに効率よく押し上げることが可能となる。また、ベルト4が弛まないように調整するためにベルト4の下部に備える一対の下部板12(図1参照)により、ローラー13付近のベルト4の張力を大きくすることにより、樹脂片1をさらに効率よく押し上げることが可能となる。
【0030】
なお、樹脂片1が、ベルト4の下側に嵌まり込んではいないが、たとえば連続X線6が樹脂片1の内部を透過する方向に沿った方向である、上下方向の厚みが大きくなるように配置されている場合もある。この場合、樹脂片1はベルト4上にて比較的安定してはいるが、表面積の小さい面がベルト4に接しているため、表面積のより大きい面である主表面がベルト4に接する配置となるよう調整することが好ましい。また、上下方向の厚みが大きいため、先述のように、樹脂片1の厚みにより、連続X線6が樹脂片1の内部を通過する距離が、本来通過すべき距離に比べて長くなることがある。すると、連続X線6が本来樹脂片1を透過する量に比べて、透過する量が少なくなる可能性がある。以上により、主表面がベルト4に接する配置となるように調整することにより、上下方向の厚みを小さくすることが好ましい。
【0031】
このため、ベルト4の上側に、上部板11を設け、上下方向の厚みが大きい状態に配置されている樹脂片については、上部板11の下側を通過する際に、配置を調整できるようにしている。図14は、上下方向の厚みの大きい樹脂片が上部板とベルトとの間を通過しようとする状態を示す概略図である。たとえば表面積の小さい面がベルト4に接した状態にて配置され、上下方向の厚みが大きくなっている樹脂片1は、上部板11の下側を通過する際に樹脂片1の上部が上部板11に衝突する。そのため、樹脂片1は回転し、その主表面がベルト4に接する配置となり、上下方向の厚みがより小さくなるように配置される。以上のように上部板11を調整機構として機能させるために、上部板11は、ベルト4の搬送面に対する高さが、樹脂片1のその高さ分の厚みが連続X線6を透過する強度に影響を及ぼさない程度の高さとすることが好ましい。具体的には、連続X線6が樹脂片1を透過する距離がある距離以上になると、樹脂片1による連続X線6の吸収が無視できなくなる。その結果、連続X線6が樹脂片1を透過する強度が本来透過する強度よりも小さくなり、その樹脂片1における臭素の有無の判定を誤る可能性がある。したがって、連続X線6が樹脂片1を透過する距離が、上述のように臭素の有無の判定に影響しない程度となるよう、樹脂片1の上下方向の厚みを調整する必要がある。そのために樹脂片1に対して行なう配置の調整である。具体的には、上部板11の、ベルト4に対する上下方向の高さが、たとえば樹脂片1における主表面と主表面に対向する面とのなす距離である厚みの平均値より広く、厚みの平均値の2倍より狭くなる高さの位置に設置することが好ましい。
【0032】
なお、以上のように上部板11を設置することにより、樹脂片1が連続X線6を透過する距離が一定値以下となるよう調整しても、分別対象物である樹脂片1は破砕した樹脂片で、多種多様な形状を有し、その大きさもばらつきが大きい。たとえば、どのような向きに配置しても、上述した上部板11の下側を通過できないほど大きい樹脂片1も存在する。そこで、このような調整機構を通過できない樹脂片1については、一定時間間隔で、たとえば後述する分別機構9(図1参照)として用いるエアガンや押し出し棒などを用いて除去、回収を行ない、再度粉砕処理を行なった上で再度分別装置101に供給してもよい。このことにより、上下方向の厚みが大きいことが、連続X線6を透過する強度に影響することを抑制することができる。
【0033】
樹脂片の配列の調整が終わった樹脂片1は、さらにベルト4により搬送され、連続X線6を照射するためのX線源5の下部に達する。ここで樹脂片にX線を照射する工程(S30)を行なう。具体的には、樹脂片1における臭素の有無を判定するために、樹脂片1に連続X線6を照射する工程である。樹脂片1に含有される臭素により、樹脂片1に照射した連続X線6が一部吸収される。そのため、たとえば樹脂片1が臭素を含有する場合、樹脂片1が臭素を含有しない場合に比べて、連続X線6の透過する強度が小さくなる。以上の原理を利用して、樹脂片1における臭素の有無を判定するために、樹脂片1に連続X線6を照射する工程である。なお、臭素により照射した連続X線6の一部を吸収させるためには、臭素のX線吸収端以上のエネルギーを持つX線を樹脂片1へ照射することが好ましい。臭素のK吸収端は13.474keVであるため、13.5keVから20keVのエネルギー範囲の連続X線6を樹脂片1に照射することが好ましい。
【0034】
続いて、透過X線強度を検出する工程(S40)に進む。具体的には、先の工程(S30)にて樹脂片1に照射された連続X線6のうち、樹脂片1を透過してベルト4の下側に設置されている、X線検出器7(図1参照)に到達する連続X線6の強度を検出する工程である。
【0035】
X線検出器7としては、ライン内のX線強度分布の測定が可能な、たとえば、X線ラインセンサを用いることが好ましい。特に本発明の実施の形態1のように、連続して移動してくる対象物によるX線の透過する強度を検出する際には、X線ラインセンサを用いると、1スキャン毎にビデオ出力されるため、画像の連続的な処理を容易に行なうことができる。X線ラインセンサを用いた場合、画面をスキャンする位置が移動しないため、動いている像を観察した際に、像が変形する可能性が小さい。このため、容易に像の処理を行なうことができる。また、X線ラインセンサを用いると、臭素を含有する樹脂片1bの箇所は臭素によって連続X線が一部吸収されて、臭素を含有しない樹脂片1aの箇所よりも連続X線6の透過する強度が小さくなる。このため、重なったり接触したりすることなく、間隔を隔ててベルト4上に配置された樹脂片1の中から、臭素を含有する樹脂片1bの存在する位置を特定することができる。また、X線ラインセンサを用いるとライン内のX線の強度分布を可視画像化することが可能である。
【0036】
図15は、樹脂片に連続X線を照射し、X線検出器にて透過強度を検出する状態を示す概略図である。図15に示すように、X線源5から照射された連続X線6は、ベルト4上に載って随時X線源5の下部に搬送されてくる、臭素を含有しない樹脂片1aおよび臭素を含有する樹脂片1bに照射される。すると、上述のように、臭素を含有する樹脂片1bによる連続X線6の透過する強度は、臭素を含有しない樹脂片1aによる連続X線6の透過する強度よりも小さくなる。この結果、図15において模式的に示すように、臭素を含有する樹脂片1bを透過した連続X線6によるX線検出器7における画像は、臭素を含有しない樹脂片1aを透過した連続X線6によるX線検出器7における画像よりも、輝度が小さく表示される。以上の構成によれば、複数個の樹脂片1の中から臭素を含有する樹脂片1bを容易に検出することが可能となる。
【0037】
次に臭素の含有有無を判定する工程(S50)を実施する。具体的には、先の工程(S40)にて検出を行なった、連続X線6を透過する強度のデータを、データ処理部8(図1参照)にて処理を行ない、処理結果から樹脂片1に臭素を含有するか否かを判定する工程である。X線検出器7にて検出された、樹脂片1による連続X線6の透過する強度は、X線検出器7と電気的に接続されたデータ処理部8に転送される。
【0038】
X線検出器7とともにX線検出機構を構成するデータ処理部8には、臭素の含有の有無を判定するための制御部を備えている。その制御部は、図1に示すように、たとえばメモリなどの記憶部8aと、たとえばCPUなどの演算部8bとから構成される。そして、記憶部には、データ処理部8に随時転送される、X線検出器7にて検出された、樹脂片1による連続X線6の透過する強度のデータが、臭素を含有する樹脂片1bにより検出されたデータか否かを判定する判定基準としてのデータが、あらかじめ記憶されている。
【0039】
あらかじめ記憶部に記憶されている判定基準としてのデータは、本発明の実施の形態1において分別しようとしている樹脂片1と同一の材質で形成された試験片を用いた測定を行なうことにより準備する。具体的には、たとえば不純物を含まないポリプロピレン、ポリスチレンあるいはABS樹脂に、臭素を含有する物質である、たとえばデカブロモジフェニルエーテルを、臭素濃度が1質量%となるように添加して混練・成型することにより、臭素を1質量%含有する試験片を形成する。なお、この試験片の厚みは、実際に分別する樹脂片1を分別する際に配置された状態における上下方向の厚みの平均値となるように成型する。そして、この試験片を分別装置101にセットし、分別しようとしている樹脂片1と同様の方法にて、この試験片による連続X線6の透過する強度を、X線検出器7にて検出する。そして、検出されたデータをデータ処理部8の演算部8bにて演算処理を行なったものを記憶部8aに格納しておく。この、臭素を1質量%含有する樹脂にて形成された試験片による連続X線6の透過する強度のデータが、分別しようとしている樹脂片1における臭素の有無を判定するための判定基準として用いられる。
【0040】
先の工程(S40)にて、分別しようとしている樹脂片1を透過した連続X線6の強度を検出したデータは、データ処理部8に送られる。そして、データ処理部8の演算部8bにて、上述したあらかじめ判定基準として記憶部8aに記憶されているデータと比較を行なう。その比較結果が、たとえば判定基準としてのデータよりも連続X線6の透過する強度が小さい場合は、その樹脂片1には臭素を含有すると判定する。判定基準としてのデータは、1質量%の臭素を含有する試験片にて測定を行なった結果であるため、樹脂片1が臭素を含有すると判定する場合、その樹脂片1には1質量%以上の臭素を含有するということになる。逆に、比較結果が、たとえば判定基準としてのデータよりも連続X線6の透過する強度が大きい場合は、その樹脂片1には臭素を含有しないと判定する。同様に考えて、樹脂片1が臭素を含有しないと判定する場合、その樹脂片1には1質量%未満の臭素を含有するということになる。
【0041】
そして、樹脂片を分別する工程(S60)を実施する。すなわち、先の工程(S50)において判定された、臭素を含有する樹脂片1bを、図1に示す分別機構9を用いて、臭素を含有しない樹脂片1aから分別する工程である。
【0042】
分別機構9としては、たとえば空気圧力式対象物質排出機構としてのエアガンを用いる。コンベアのベルト4は一定速度で移動しているため、樹脂片1がX線検出器7の上側を通過して検出を行なう位置から、分別機構9による分別を行なう位置に到達するまでに要する時間は一定である。そこで、たとえばX線検出機構であるX線検出器7とデータ処理部8により臭素を含有する樹脂片1bを検出した場合は、演算部8bから分別機構9に、一定時間後にたとえば分別機構9のエアガンからエアブローを稼動するよう指令する信号を送信する。このことにより、複数個の樹脂片1の中から、臭素を含有する樹脂片1bが分別機構9による分別を行なう位置に到達するタイミングに同期させて、エアブローにより臭素を含有する樹脂片1bを吹き飛ばす。このことにより、複数個の樹脂片1の中から、臭素を含有する樹脂片1bのみを選択除去することによる分別を行なうことができる。
【0043】
なお、たとえ樹脂片1をあらかじめ帯電させることにより、ベルト4上にて間隔を隔てて配置されていても、臭素を含有する樹脂片1bのみにスポット的にエアブローを照射させるために、分別機構9であるエアガンをコンベアのベルト4に近づけ、スポット的に臭素を含有する樹脂片1bのみにエアを照射することが好ましい。また、分別機構9を複数台設置することにより、エアの照射をより円滑に行なえるようにすることがさらに好ましい。なお、分別機構9として、エアガンの代わりに、たとえば押し出し棒を用いて、臭素を含有する樹脂片1bのみを押し出し選択除去することによる分別を行なってもよい。
【0044】
以上の方法により、コンベアのベルト4上に配置された複数個の樹脂片1のうち、臭素を含有する樹脂片1bのみが分別により除去される。そして、先の工程(S50)において判定された、臭素を含有しない樹脂片1aは、そのままベルト4により搬送され、臭素を含有しない樹脂片1aを回収するための回収容器10に回収される。
【0045】
以上の構成を有する分別装置101を用いて以上の方法を用いることにより、複数個の樹脂片1の中から検出された、臭素を含有する樹脂片1bを、臭素を含有しない樹脂片1aから容易にかつ確実に分別することが可能となる。
【0046】
(実施の形態2)
図16は、本発明の実施の形態2における、分別したい樹脂片を帯電させてベルト上に供給させる帯電機構を示した概略図である。図16に示すように、本発明の実施の形態2における帯電機構は、基本的には本発明の実施の形態1における帯電機構(図5、図7、図9参照)と同様の態様を備えている。しかし、図16に示すように、供給機2の内部から樹脂片1をコンベアのベルト4に供給する供給口2aに続く輸送部2cが、本発明の実施の形態1における供給機2よりも長くなっている。そしてこの輸送部2cに存在する樹脂片1に対して、乾燥空気送風機50から乾燥空気が送られる構成となっている。
【0047】
供給機2にこのような乾燥空気送風機50を付属させることにより、樹脂片1に帯電させた電気を放電させず、蓄電を続けることができる。すなわち、特に湿度の高い環境下にて樹脂片1を帯電させると、樹脂片1の表面に吸着する水分の量が増加する。その結果、樹脂片1の帯電が抑制されたり、樹脂片1の帯電が放電されてしまう可能性が高くなる。そこで、湿度の十分低い乾燥空気を乾燥空気送風機50から樹脂片1に対して供給する。このことにより、樹脂片1の表面に吸着された水分を除去し、効率的にかつ安定に樹脂片1を帯電させることが可能となる。さらに、乾燥空気送風機50の送風が、樹脂片1をベルト4上に供給するために押し出すため、樹脂片1をベルト4上により効率よく供給させることが可能となる。
【0048】
なお、乾燥空気送風機50の送風は、帯電を阻害しない任意の気体を用いて行なうことが可能であり、たとえば乾燥空気の代わりに、窒素ガスなどの不活性ガスを用いてもよい。
【0049】
以上の点においてのみ、本発明の実施の形態1と異なる。すなわち、本発明の実施の形態2の説明において、上述しなかった構成や条件、工程などは、全て本発明の実施の形態1に順ずる。
【0050】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3においては、透過X線強度を検出する工程(S40)において、X線検出機構を構成するX線検出器7として、X線ラインセンサの代わりに、面内X線強度分布が測定可能である、たとえばX線CCDカメラを用いている。
【0051】
図17は、本発明の実施の形態3において、コンベアのベルト上に樹脂片が配置された状態を二次元的に示す概略図である。また、図18は、図17に示すようにベルト上に配置された樹脂片に連続X線を透過した際にX線CCDカメラが検出する像を示す概略図である。たとえば図17に示すようにコンベアのベルト4上に配置された樹脂片1(臭素を含有しない樹脂片1aおよび臭素を含有する樹脂片1b)が、ベルト4により搬送され、連続X線6を照射するためのX線源5の下部に達する。ここで、本発明の実施の形態1と同様に樹脂片にX線を照射する工程(S30)を行なう。すると、臭素を含有する樹脂片1bによる連続X線6の透過する強度は、臭素を含有しない樹脂片1aによる連続X線6の透過する強度よりも小さくなる。この結果、図18において模式的に示すように、臭素を含有する樹脂片1bを透過した連続X線6によるX線検出器7における画像は、臭素を含有しない樹脂片1aを透過した連続X線6によるX線検出器7における画像よりも、輝度が小さく表示される。
【0052】
X線検出器7としてX線ラインセンサを用いた場合には、図15に示すように、X線検出器7における画像は、臭素を含有する樹脂片1bは一次元的に輝度が小さく表示される。これに対し、X線検出器7としてX線CCDカメラを用いた場合には、図18に示すように、X線検出器7における画像は、臭素を含有する樹脂片1bは二次元的に輝度が小さく表示される。このことにより、X線ラインセンサを用いた場合と同様に、複数個の樹脂片1の中から臭素を含有する樹脂片1bを容易に検出することが可能となる。
【0053】
X線検出器7としてX線CCDカメラなどの面内X線強度分布を用いた場合には、二次元的に連続X線6の透過する強度を検出できる。このため、図17および図18に示すように、X線ラインセンサを用いて一次元的に連続X線6の透過する強度を検出した場合に比べて、同時に多数個の樹脂片1の臭素の含有有無が判定できる。このため、測定を行なう処理量を著しく増大させることができ、作業効率を著しく増加させることができる。なお、面内X線強度分布を測定させるX線検出器7として、X線CCDカメラの代わりに、たとえばX線イメージインテンシファイア、X線シンチレータ、位置感度型比例計数管などを用いてもよい。
【0054】
以上の点においてのみ、本発明の実施の形態1または2と異なる。すなわち、本発明の実施の形態3の説明において、上述しなかった構成や条件、工程などは、全て本発明の実施の形態1または2に順ずる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、家電製品を破断したものに含まれる樹脂片のリサイクルを的確に行なう技術として特に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態1における樹脂片を分別する分別装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態1における樹脂片を分別する分別方法を示したフローチャートである。
【図3】複数個の臭素を含有する樹脂片と臭素を含有しない樹脂片とが互いに重なり合い接触し合った状態を示す概略図である。
【図4】複数個の臭素を含有する樹脂片と臭素を含有しない樹脂片とが互いに重なり合わず接触し合わず配置を調整した状態を示す概略図である。
【図5】分別したい樹脂片を帯電させてベルト上に供給させる帯電機構を示した概略図である。
【図6】複数個の臭素を含有する樹脂片と臭素を含有しない樹脂片とが互いに重なり合わず接触し合わずにベルト上に配置を調整した状態を示す概略図である。
【図7】コロナ放電により樹脂片を帯電させる帯電機構を示した概略図である。
【図8】コロナ放電の原理を示した概略図である。
【図9】電磁波により樹脂片を帯電させる帯電機構を示した概略図である。
【図10】ベルトに対して不安定な状態に配置された樹脂片の状態を示す概略図である。
【図11】ベルトに対して不安定な状態に配置された樹脂片がローラーの真上を通過した状態を示す概略図である。
【図12】ローラーが樹脂片を回転させる状態を示す概略図である。
【図13】ベルトに対して安定に配置された樹脂片の状態を示す概略図である。
【図14】上下方向の厚みの大きい樹脂片が上部板とベルトとの間を通過しようとする状態を示す概略図である。
【図15】樹脂片に連続X線を照射し、X線検出器にて透過強度を検出する状態を示す概略図である。
【図16】本発明の実施の形態2における、分別したい樹脂片を帯電させてベルト上に供給させる帯電機構を示した概略図である。
【図17】本発明の実施の形態3において、コンベアのベルト上に樹脂片が配置された状態を二次元的に示す概略図である。
【図18】図17に示すようにベルト上に配置された樹脂片に連続X線を透過した際にX線CCDカメラが検出する像を示す概略図である。
【符号の説明】
【0057】
1 樹脂片、1a 臭素を含有しない樹脂片、1b 臭素を含有する樹脂片、2 供給機、2a 供給口、2b 帯電手段、2c 輸送部、3 回転軸、4 ベルト、5 X線源、6 連続X線、7 X線検出器、8 データ処理部、8a 記憶部、8b 演算部、9 分別機構、10 回収容器、11 上部板、12 下部板、13 ローラー、20 振動機、30 コロナ帯電装置、31 コロナ放電、32 高電圧電源、40 コイル、41 電源、42 電磁シールド、50 乾燥空気送風機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂片における臭素の有無に応じて前記樹脂片を分別する分別装置であって、
前記樹脂片を帯電させる帯電機構と、
前記樹脂片を搬送する搬送面を有する搬送部材と、
前記樹脂片の配置を、前記搬送面上にて調整させる調整機構と、
前記樹脂片に照射した連続X線が前記樹脂片を透過した強度を検出することにより、前記樹脂片における臭素の有無を判定し、その判定結果に基づいて前記樹脂片を分別するX線検出機構とを備える、分別装置。
【請求項2】
前記調整機構には、
前記樹脂片を回転させるローラーと、
前記搬送面と対向するように位置し、前記搬送面とのなす距離が、前記樹脂片における主表面と前記主表面に対向する面とのなす距離である厚みの平均値より広く、前記厚みの平均値の2倍より狭くなるよう、間隔を隔てて設置した上部板とを有する、請求項1に記載の分別装置。
【請求項3】
前記X線検出機構には、前記判定を行なうための制御部を備え、
前記制御部には、
前記樹脂片と同一の材質の、臭素を一定量含む試験片に前記連続X線を照射したときに前記試験片を透過した前記連続X線の強度を示すデータが、前記樹脂片における臭素の有無を判定するための判定基準としてあらかじめ記憶されている記憶部と、
前記樹脂片に照射した連続X線が前記樹脂片を透過した強度を、前記判定基準と比較することにより、前記樹脂片を分別する演算部とを含む、請求項1または2に記載の分別装置。
【請求項4】
樹脂片における臭素の有無に応じて前記樹脂片を分別する分別方法であって、
前記樹脂片を帯電させる工程と、
前記樹脂片の配置を調整する工程と、
前記樹脂片に照射した連続X線が前記樹脂片を透過した強度を検出することにより、前記樹脂片における臭素の有無を判定する工程と、
前記判定する工程における判定結果に基づいて前記樹脂片を分別する工程とを備える、分別方法。
【請求項5】
前記調整する工程には、
前記樹脂片の主表面が前記樹脂片を搬送する搬送面に沿った方向を向くように前記樹脂片を回転させる工程と、
前記搬送面と対向するように位置し、前記搬送面とのなす距離が、前記樹脂片における主表面と前記主表面に対向する面とのなす距離である厚みの平均値より広く、前記厚みの平均値の2倍より狭くなるよう、間隔を隔てて設置した上部板と前記搬送面との間に前記樹脂片を通過させる工程とを含む、請求項4に記載の分別方法。
【請求項6】
前記樹脂片における臭素の有無を判定する工程に先立って、
前記樹脂片と同一の材質の、臭素を一定量含む試験片に前記連続X線を照射したときに前記試験片を透過した前記連続X線の強度を示すデータを、前記樹脂片における臭素の有無を判定するための判定基準としてあらかじめ記憶させる工程をさらに含む、請求項4または5に記載の分別方法。
【請求項1】
樹脂片における臭素の有無に応じて前記樹脂片を分別する分別装置であって、
前記樹脂片を帯電させる帯電機構と、
前記樹脂片を搬送する搬送面を有する搬送部材と、
前記樹脂片の配置を、前記搬送面上にて調整させる調整機構と、
前記樹脂片に照射した連続X線が前記樹脂片を透過した強度を検出することにより、前記樹脂片における臭素の有無を判定し、その判定結果に基づいて前記樹脂片を分別するX線検出機構とを備える、分別装置。
【請求項2】
前記調整機構には、
前記樹脂片を回転させるローラーと、
前記搬送面と対向するように位置し、前記搬送面とのなす距離が、前記樹脂片における主表面と前記主表面に対向する面とのなす距離である厚みの平均値より広く、前記厚みの平均値の2倍より狭くなるよう、間隔を隔てて設置した上部板とを有する、請求項1に記載の分別装置。
【請求項3】
前記X線検出機構には、前記判定を行なうための制御部を備え、
前記制御部には、
前記樹脂片と同一の材質の、臭素を一定量含む試験片に前記連続X線を照射したときに前記試験片を透過した前記連続X線の強度を示すデータが、前記樹脂片における臭素の有無を判定するための判定基準としてあらかじめ記憶されている記憶部と、
前記樹脂片に照射した連続X線が前記樹脂片を透過した強度を、前記判定基準と比較することにより、前記樹脂片を分別する演算部とを含む、請求項1または2に記載の分別装置。
【請求項4】
樹脂片における臭素の有無に応じて前記樹脂片を分別する分別方法であって、
前記樹脂片を帯電させる工程と、
前記樹脂片の配置を調整する工程と、
前記樹脂片に照射した連続X線が前記樹脂片を透過した強度を検出することにより、前記樹脂片における臭素の有無を判定する工程と、
前記判定する工程における判定結果に基づいて前記樹脂片を分別する工程とを備える、分別方法。
【請求項5】
前記調整する工程には、
前記樹脂片の主表面が前記樹脂片を搬送する搬送面に沿った方向を向くように前記樹脂片を回転させる工程と、
前記搬送面と対向するように位置し、前記搬送面とのなす距離が、前記樹脂片における主表面と前記主表面に対向する面とのなす距離である厚みの平均値より広く、前記厚みの平均値の2倍より狭くなるよう、間隔を隔てて設置した上部板と前記搬送面との間に前記樹脂片を通過させる工程とを含む、請求項4に記載の分別方法。
【請求項6】
前記樹脂片における臭素の有無を判定する工程に先立って、
前記樹脂片と同一の材質の、臭素を一定量含む試験片に前記連続X線を照射したときに前記試験片を透過した前記連続X線の強度を示すデータを、前記樹脂片における臭素の有無を判定するための判定基準としてあらかじめ記憶させる工程をさらに含む、請求項4または5に記載の分別方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−207946(P2009−207946A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50422(P2008−50422)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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