説明

分割ケース金型を使用して部品を圧縮成形する方法および装置と、それによって製造される部品

分割ケース金型(60)は、粉末を圧縮成形するのに使用され、金型部品(61、62)は、加圧軸(77)の方向に対して平行でない方向に移動可能である。そのような分割ケース金型(60)によって製造される部品は、加圧軸(77)に対して垂直でない方向を向いた分割ライン跡(30)を有する外側面を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末を固化するための冶金プロセスに関し、そのプロセスは分割ケース金型を使用する。本発明はまた、そのようなプロセスで製造される部品に関する。
【背景技術】
【0002】
焼結可能粉末、すなわち、冶金用サーメットまたはセラミック粉末から切削インサートを製造するには、逸散性バインダを含む、あるいはこれを含まない焼結可能粉末を圧縮して、予備焼結された成形部品(green part)にする。次いで、成形部品を焼成して、切削工具であり得る完成部品ができる。圧縮は、焼結可能粉末を収容した金型内に形成された金型キャビティに上部および底部ラムを押し付けることで発生する大きな対抗力によって得られる高圧力のもとで行われる。
【0003】
米国特許第6,986,866号明細書は、切削インサートを製造するクロスホール圧縮成形を行う方法および装置に関し、その方法および装置によると、内部に金型キャビティがあるソリッド一体金型(solid unified die)を使用して成形部品を製造する。成形部品は一体の金型キャビティから排出されるので、成形部品の形状は、金型キャビティを「スライド」して通過し、これから出ることができる形状に限定される。
【0004】
米国特許出願公開第2006/0165828号明細書は、切削インサートを製造する方法および装置に関し、その方法および装置によると、成形部品の両側で金型キャビティを自由に通過できない成形部品を製造するために、加圧軸に対して平行な方向に分割ケース金型を分離することができる。しかし、そのような装置を使用する場合、成形部品の側部の形体は、成形部品を解放するために金型部品が形体上をスライドできるように形成されなければならない。この要件により、成形部品の形状が制限されるだけでなく、さらに、金型部品が成形部品上をスライドすることで成形部品に対して摩擦が生じ、この摩擦が部品に損傷を与える恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スライドして金型をスライドして通り抜けることで、または金型部品に部品上をスライドさせることで金型から解放することの影響を成形部品の形状が受けることのない、圧縮成形工程で使用するプロセスおよび装置が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、粉末から圧縮部品を形成する単軸プレス機で使用する金型は、上部および底部外側面と、加圧軸に沿って貫通するキャビティとを有する。キャビティは、圧縮した状態の部品の形状を画定する、両端を備えた壁を有する金型チャンバと、金型チャンバの各端部から延びる加圧穴とで構成される。金型は、分割面を備えた少なくとも2つの分離可能な金型部品を含み、分割面の大部分は加圧軸に対して垂直でない。
【0007】
別の実施形態では、粉末から圧縮部品を形成する単軸プレス機で使用する金型は、上部および底部外側面と、加圧軸に沿って貫通するキャビティとを有する。キャビティは、圧縮状態の部品の形状を画定する、両端を備えた壁を有する金型チャンバで構成されている。金型は、少なくとも2つの分離可能な金型部品を含み、各金型部品は、加圧軸に対して平行ではない方向のみに移動するように適合される。各金型部品は、他のチャンバセグメントとともに金型チャンバを画定するチャンバセグメントと、チャンバセグメント内の分割ライン面とを有し、この分割ライン面は、組み立てた金型において、金型チャンバが囲まれ、画定されるように、1つまたは複数の他の金型部品のチャンバセグメント内の隣接する分割ライン面と接する。チャンバ壁は、加圧軸と正の角度をなす少なくとも1つの部分と、加圧軸と負の角度をなす少なくとも1つの他の部分とを有する。
【0008】
さらに別の実施形態では、粉末から圧縮部品を形成する単軸プレス機で使用する金型は、加圧軸に沿って貫通する加圧穴を有する。金型は、少なくとも2つの分離可能な金型部品を含む。各金型部品は、a)他のチャンバセグメントとともに、チャンバ壁を有する金型チャンバを画定するチャンバセグメントと、b)他の加圧穴セグメントとともに、チャンバの両端から金型外側面を貫通する加圧穴を画定する加圧穴セグメントと、c)チャンバセグメントに隣接する分割ライン面であって、組み立てた金型において、金型を組み立てるように、他のチャンバ面の分割ライン面と接する分割ライン面とを有する。チャンバ壁は、加圧軸に対して垂直でない平面に沿った凹面または凸面の少なくともいずれか一方を有し、その面の両端間でその面に沿った少なくとも一点では、接線が加圧軸に対して平行である。
【0009】
さらに別の実施形態では、圧縮された粉末から部品を形成する単軸プレス機は、a)組み立てた状態で、その中にある金型チャンバと、チャンバの両端から加圧軸に沿って金型外側面を貫通する加圧穴とを画定する少なくとも2つの分離可能な金型部品を有する金型と、b)チャンバの両端に最も近くなるまで、加圧軸に沿って互いに対して移動可能な少なくとも1つの上部ラムおよび少なくとも1つの底部ラムとを含む。少なくとも2つの分離可能な金型部品はそれぞれ、ともに金型チャンバを画定するチャンバ部を有し、かつ金型部品は、組み立てた状態と分離した状態との間を加圧軸に対して平行でない方向に移動可能である。
【0010】
さらに別の実施形態では、単軸プレス機を使用して粉末から部品を作製する方法は、a)金型が、組み立てた状態で、その中にある金型チャンバと、加圧軸に沿ってチャンバの両側から金型外側面を貫通する加圧穴とを備えた金型キャビティを画定する少なくとも2つの分離可能な金型部品を有していて、その金型部品を一緒に、組み立てた状態に位置決めし、b)金型および加圧穴に粉末を充填する各ステップを含む。さらに、チャンバに最も近くなるまで加圧軸に沿って互いに対して移動可能な少なくとも1つの上部ラムおよび少なくとも1つの底部ラムを使用して、粉末をチャンバの領域内まで圧縮し、分離可能な各金型部品が、ともに金型チャンバを画定するチャンバ部を有していて、部品を解放するためには、上部および底部ラムを互いに離し、加圧軸に対して平行でない方向に金型部品を切り離す。
【0011】
さらに別の実施形態では、加圧軸に沿って貫通するキャビティを備えた金型を有する中で、単軸加圧動作を使用して物品を形成し、キャビティは、チャンバと、上部ラムおよび底部ラムがキャビティ内で加圧軸に沿って独立して移動できる、チャンバの両側にある加圧穴とで構成される。物品は、a)金型が、組み立てた状態で、その中にある金型チャンバと、加圧軸に沿ってチャンバの両側から金型外側面を貫通する加圧穴とを画定する少なくとも2つの分離可能な金型部品を有していて、その金型部品を一緒に、組み立てた状態に位置決めし、b)金型および加圧穴に粉末を充填し、c)チャンバに最も近くなるまで加圧軸に沿って互いに対して移動可能な少なくとも1つの上部ラムおよび少なくとも1つの底部ラムを使用して、チャンバの領域内まで粉末を圧縮し、d)分離可能な各金型部品が、ともに金型チャンバを画定するチャンバ部を有していて、部品を解放するために、上部および底部ラムを互いに離し、加圧軸に対して平行でない方向に金型部品を切り離す各ステップによって形成される。
【0012】
さらに別の実施形態では、物品は圧縮された粉末を含み、物品の本体には、貫通する主軸があり、本体は圧縮成形工程を通じて形成され、本体の外側面は、加圧軸に対して垂直でない方向の分割ラインを有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】金属加工工程で使用する切削インサートを表す部品の斜視図である。
【図2】図1に示した部品の側面図を示している。
【図3】上部および底部ラムを備えた分割ケース金型の概略図であり、上部および底部ラムは分割ケース金型と協同して機能する。
【図4】図3と同じ要素の概略図であるが、「充填」構成を示すために位置が変わっている。
【図5】図3と同じ部品を含むが、部品の圧縮を示す構成の概略図である。
【図6】、図3の部品と同様の部品を含むが、圧を減らすために部品から若干離れた上部および底部ラムを示す概略図である。
【図7】図3に示す部品の概略図であるが、分離を示すために金型部品が離れている。
【図8】図3に示す金型部品の概略図であるが、圧縮された部品を排出するように構成されている。
【図9】組み立てた状態の、本発明による1つの分割ケース金型を示している。
【図10】分離した状態の、本発明による1つの分割ケース金型を示している。
【図11】図9および図10の金型から取った単一金型部品の詳細を示している。
【図12】異なる金型の金型部品が取り付けられたベースプレートの斜視図を示し、金型部品は開いた状態にある。
【図13】図12に示したものと同様であるが、金型部品が閉じた状態にある斜視図を示している。
【図14A】分離した状態および組み立てた状態にある図12および図13の金型の概略的な断面図を示している。
【図14B】分離した状態および組み立てた状態にある図12および図13の金型の概略的な断面図を示している。
【図15】ベースプレートの裏面の斜視図を示している。
【図16A】ベースプレートの概略的な平面図を示し、金型部品が移動できる経路を示している。
【図16B】ベースプレートの概略的な平面図を示し、金型部品が移動できる経路を示している。
【図16C】ベースプレートの概略的な平面図を示し、金型部品が移動できる経路を示している。
【図17】複雑な部品を製造した後の分離した状態にある金型部品を示している。
【図18】図18に示す部品の拡大図である。
【図19】図17および図18に示す複雑な部品を製造するために組み立てた状態にある金型部品を示している。
【図20A】どのような場合に分割ケース金型の使用が最も有益になるかを明らかにするために、内部金型チャンバの形状を示している。
【図20B】どのような場合に分割ケース金型の使用が最も有益になるかを明らかにするために、内部金型チャンバの形状を示している。
【図20C】どのような場合に分割ケース金型の使用が最も有益になるかを明らかにするために、内部金型チャンバの形状を示している。
【図20D】どのような場合に分割ケース金型の使用が最も有益になるかを明らかにするために、内部金型チャンバの形状を示している。
【図21A】中子ピンを分割ケース金型と併用できる構成を示している。
【図21B】中子ピンを分割ケース金型と併用できる構成を示している。
【図21C】中子ピンを分割ケース金型と併用できる構成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1および図2は、焼成後に切削インサートになる成形部品10を示している。しかし、この成形部品10に関しては、成形部品が分割ケース金型に適用される場合について説明する。図3は、図2に示す成形部品10の側面図のものと概ね同様の形状の金型チャンバ50を有する金型60を表す構成を示している。特に、成形部品10は上面12および底面14を有し、それらの間に側壁16、18、20、22がある。側壁16は、上面12から延びる概ね垂直なセグメント17Aと、底面14まで延びる傾斜セグメント17Bとを有する。さらに、側壁20は、底面14から延びる概ね垂直なセグメント21Aと、上面12まで延びる傾斜セグメント21Bとを有する。成形部品10は、中心線24に関して対称である。なお、側壁16、20の傾斜セグメント17B、21Bはともに、中心線24と部分的に重なることに留意されたい。成形部品10は、焼成後に切刃として使用される稜線26と、正反対にある稜線28とを有する。
【0015】
ここで、冶金粉末などの粉末から圧縮部品10(図2)を形成するための単軸プレス機で使用する金型60を示す図3を参照する。概要として、金型60は、圧縮成形部品10(図2)が形成される金型チャンバ50で構成された金型キャビティ65を有する。第1の加圧穴68が、金型キャビティ65内で金型チャンバ50の片側にあり、第2の加圧穴70が、金型キャビティ65内で金型チャンバ50の反対側にある。上部ラム72は、矢印71Aに沿って第1の加圧穴68内を移動することができ、一方、底部ラム74は、矢印71Bに沿って第2の加圧穴70内を移動することができる。各ラムは、金型チャンバ50のエッジ52、54に合わせた圧縮位置まで移動することができる。上部ラム72および底部ラム74が、それぞれの加圧穴68、70内に伸長している場合、金型チャンバ50は、成形部品10の形状と基本的に同一の形状を有する。
【0016】
なお、一方で図3に関連して、成形部品10が金型チャンバ50内に形成されると、成形部品10は、基本的に金型チャンバ50内に捕捉され、たとえ上部ラム72および底部ラム74が完全に後退したとしても、金型60を切り離すことなしに成形部品10を無傷で取り出すことができないことに留意されたい。しかし、本発明によると、金型60は分割ケース金型であり、例えば、金型部品61は金型部品62から独立し、金型部品62とは別個のものである。これを説明するために、金型部品61、62は、加圧軸77と合致した分割ライン75に沿って分割されている。その結果として、図7に示すように、例えば、矢印58A、58Bの方向に沿って金型部品61を金型部品62から切り離して、金型60から成形部品10を容易に取り出すのに十分なすき間を形成することができる。
【0017】
分割ライン75は直線として図示されているが、このラインは、所望する部品の形状と、干渉なく金型部品を切り離すという要望とに依存して、非直線形状としてもよい。
【0018】
単軸プレス機を使用して粉末から成形部品10を作製する方法に目を向けて、以下に図3〜8について説明する。
【0019】
金型60は、組み立てた状態(図3)で、その中に金型チャンバ50を含む金型キャビティ65を画定する少なくとも2つの分離可能な金型部品61、62を有する。第1の加圧穴68は、金型チャンバ50から加圧軸77に沿って金型上方外側面80を貫通する。第2の加圧穴70は、金型チャンバ50から加圧軸77に沿って金型下方外側面82を貫通する。図3は、金型部品61、62を一緒に、組み立てた状態で示している。図4に示すように、底部ラム74は上方に移動して、第2の加圧穴70の一部を占めている。その後、金型キャビティ65は適切な量の粉末85を充填され、上部ラム72および底部ラム74が互いに向かって金型チャンバ50のエッジ52、54まで運ばれると、粉末85が圧縮されて最終的な成形部品10の形状(図1)となる。
【0020】
当然のことながら、上部ラム72および底部ラム74は、金型チャンバ50に最も近くなるまで、加圧軸77に沿って互いに対して移動することができ、粉末85を金型チャンバ50の容積まで圧縮する。底部ラム74を固定状態に保持し、金型60および上部ラム72を下方に移動させて、最大限に圧縮された成形部品10を製造することも可能である。
【0021】
図5は、最大限に圧縮する位置にあり、それによって成形部品10を画定する上部ラム72および底部ラム74を示している。
【0022】
成形部品10を焼成して得られた部品は基本的に剛性であるが、成形部品10を焼成する前の圧縮粉末は幾分弾力性がある。そのため、金型60から部品10を取り出すステップを開始したときに、高度に圧縮された成形部品10は、中立状態まで弾性的に膨張する。この減圧が妨げのない態様で起こるのを容認した場合、成形部品10に応力が発生し、クラックが入る恐れがある。このため、成形部品10を最大限に圧縮した(図5)後、図6に示すように、上部ラム72および底部ラム74を離れる方向に若干移動させて、上部ラム72に対応する上部ギャップ87と、底部ラム74に対応する底部ギャップ90で示すように、予め定められた量だけであるが、成形部品10が復元するのを可能にする。これらのギャップ87、90により、成形部品10に部分的な逃げ空間が付与され、それによって復元を制御することが可能になる。成形部品10は、これらの新たに形成されたギャップ87、90を概ね埋めるように膨張する。次いで、図7に示すように、金型部品61、62を横方向に互いから切り離して、金型キャビティ65であった部分から成形部品10を取り出すのに十分なすき間を形成する。なお、図7に示すように、成形部品10を解放するために、金型部品61は、加圧軸77に対して平行でない方向に金型62に対して移動することに留意されたい。図8に示すように、金型部品61、62が部品10に対して十分な量移動したので、成形部品10は金型60から解放され、その後、取り出すことができる。
【0023】
図5に示すように、金型部品61、62は一緒に組み立てられて、成形部品10が金型キャビティ65内で動かないように成形部品10を捕捉する金型チャンバ50を形成する。
【0024】
これまで説明したのは、冶金粉末などの粉末85を圧縮して、圧縮された成形部品10を形成する方法である。一方、金型部品61、62(図6)が圧縮され、組み立てられる態様について以下に説明する。図9〜11は、第1の金型部品61、第2の金型部品62、第3の金型部品63、および第4の金型部品64で構成される円形金型60を示している。この説明のために、各金型部品は同一であり、円形金型60の90°分を占める部分からなるとする。しかし、説明するように、所望の部品形状に対処するために、1つまたは複数の金型部品が異なっていてもよい。上部ラム(図示せず)および底部ラム(図示せず)は、加圧軸77に沿って金型キャビティ65内を移動する。金型60は、上部外側面80および底部外側面82と、加圧軸77に沿って貫通する金型キャビティ65とを有する。キャビティ65は、圧縮状態の成形部品10の形状を画定する、エッジ52、54を備えた壁を有する金型チャンバ50で構成される。金型キャビティ65はまた、金型チャンバ50の一方のエッジ52から上部外側面80まで延びる第1の加圧穴68と、金型チャンバ50の一方のエッジ44から下部外側面82を貫通する第2の加圧穴70とを有する。図10を参照すると、各金型部品61、62、63、64は、一対の分割面61A、61B、62A、62B、63A、63B、64A、64Bを有する。隣接する金型部品の分割面は、図9に示す組み立てた円形金型60を形成するように当接し合う。なお、分割面は加圧軸77に対して垂直ではないので、金型部品61、62、63、64は、加圧軸77に対して平行でない方向に離れるように動くことができ、それによって、成形部品10の形状が、加圧軸77に沿った動作では金型部品61、62、63、64を解放することができないようなものである場合に、成形部品10の損傷を回避することに留意されたい。結果的に、成形部品10を解放するのに、金型部品61、62、63、64は、加圧軸77に対して垂直でない方向に移動しなければならない。そのような動作により、成形部品10を所望の形状に圧縮成形する際に大きな自由度が付与され、また、成形部品10が加圧軸77に沿って排出された場合に結果として起こることであるが、金型を成形部品10に対してスライドさせる、すなわち、成形部品10の上部や下部の任意の張出突起に損傷を与える、といったことなく、金型から成形部品10を解放することが可能になる。
【0025】
各金型部品61、62、63、64は、両側に加圧穴部分がある金型チャンバ部分を有する。一例として、他の金型部分61、63、64を代表して金型部分62に目を向けると、金型チャンバ部分50Aは、第1の加圧穴部分68Aおよび第2の加圧穴部分70Aによって囲まれている。チャンバ部分50A、50B、50C、50Dは、ともに金型チャンバ50を画定する。
【0026】
説明のために、図9〜11には、同一のキャビティ部分50Aを備えた、形状が基本的に同一の4つの金型部品61、62、63、64を示したが、当然のことながら、成形部品10の所望する形状に応じて、2つ以上の金型部品であってもよく、各金型部分の加圧穴部分およびキャビティ部分は、成形部品10の形状に対処するためだけでなく、さらに、金型キャビティに粉末を充填することに関して最も効率的な態様を提供するために、さらに、成形部品10を金型から解放するために、若干異なっていてもよい。
【0027】
金型部品61、62、63、64の働きを示すために図9〜11を提示した。当然のことながら、キャビティ50、第1の加圧穴68、および第2の加圧穴70については、単にそれらの働きを示すために概略的に描いた。キャビティ50、第1の加圧穴68、および第2の加圧穴70の形状は、製造することを意図した成形部品10の形状に対処するための、任意の数量の異なる幾何形状であってもよい。また、円筒を構成する4つの同一部片として、金型部品61、62、63、64を示したが、成形部品10の所望する形状によっては、わずか2つの金型部品であってもよく、各金型部品は、圧縮成形部品10を解放するために、金型部品が、離れる方向に自由に移動できなければならないということによってのみ制約される、全く異なる形状であってもよい。
【0028】
金型部品61、62、63、64は互いに密着するが、製造公差があるために、成形部品10が圧縮されたときに、成形部品10の外側面に分割ラインの跡がつく。図5〜8は、そのような分割ライン跡30を示している。この跡30は直線として示されているが、この跡30の線は、金型部品の合わせパターンによって決まる。さらに、製造公差によっては、分割ライン跡を肉眼で容易に見ることができない。加えて、分割ライン跡30は、成形部品10全体の周囲にわたる。しかしながら、分割ライン跡30が、成形部品10の角部または縁部に沿って配置されている場合、分割ライン跡を識別するのが困難なこともある。
【0029】
ここまで、本発明を説明するのに概略図を使用した。図12〜14は、方法および装置の一実施形態を実現するために使用される実際のハードウェアを示している。区別のために、装置の同様な部品に対しては、これまでの図を説明するのに使用した参照番号から100だけ増加させる。
【0030】
図12〜14は、上部および底部ラムが示されていない単軸プレス機200を示している。単軸プレス機200は、圧縮粉末から成形部品(図示せず)を形成するのに使用される。プレス機200は、金型部品161、162、163、164で構成される金型160を支持するのに使用される床部210を有するベース部205を含み、これらの金型部品は、分離した状態で図12に示され、組み立てた状態で図13に示されている。成形部品10を製造する方法は、概略図を使用して前に説明した方法と同じであるが、図12および図13で分かるように、金型キャビティ165は、別の形状の部品を製造するために形状が大幅に異なっている。
【0031】
それにもかかわらず、金型部品161、162、163、164は、ベース205に固定されているが、分離した状態(図12)と組み立てた状態(図13)との間でベース205上をスライドすることもできる。
【0032】
図12を参照すると、金型部品161、162、163、164が分離した位置に付勢されている。特に、各金型部品161、162、163、164はスプリング機構215に連結されており、説明を進めるために、金型部品161に連結されたスプリング機構215およびその作用は、残りの金型部品162、163、164に対しても同じであるという理解のもとで、このスプリング機構215について説明する。
【0033】
ケーブル218の第1の端部217は金型部品161に取り付けられ、一方、ケーブル218の第2の端部219は、ブラケット222内にスライド可能に固定されたテンションボルト220に連結されている。ブラケット222は、ボルトなどの留め具225を使用して、ベース部205に強固に固定されている。ボルト220は、ケーブル218を張力がかかった状態に維持するために、圧縮スプリング227によって付勢されている。特に、ボルト220は、そのボルトヘッド221が圧縮スプリング227と係合しており、それによって、図12で分かるように、右方向に押される。ケーブル218は、金型部品161から半径方向に延び、ピボットピン229に巻き付いている。ケーブル218の第2の端部219は、テンションボルト220に取り付けられている。各金型部品161、162、163、164に連結されたスプリング機構215は、分離した位置に各金型部品を付勢するように働く。金型部品を切り離す一実施形態として、スプリング機構215について説明したが、油圧シリンダなどの他の機構を使用してもよい。
【0034】
図13は、金型キャビティ165を明確に画定する、組み立てた位置にある金型部品161、162、163、164を示し、組み立てた位置まで金型部品161でケーブル218を引っ張ることにより、圧縮スプリング227を圧縮している。図13に明瞭に示すように、金型160の側面167の外形は円錐形であり、金型部品161、162、163、164の側面167は、組み立てた状態でダイコーン173を形成する。
【0035】
図14Aは、円錐形の側面167を備えた金型160を示し、さらに、内側面272に陥凹円錐274がある保持器270を示しており、陥凹円錐274は、形状がダイコーン173に一致していて、保持器270は、図14Bに示し、図13に保持器270がない状態で示すように、円錐形の金型部品161、162、163、164を捕捉し、これらを一緒に、組み立てた状態で固定する。
【0036】
図14Bは、金型160の中心線275とダイコーン173の側面167との間、かつ金型160の中心線275と保持器270の陥凹円錐274の内側面272との間の円錐角Xを示している。ダイコーン273および陥凹円錐274のそれぞれの円錐角Xは、モールステーパを形成してもよく、このモールステーパは、ダイコーン173と陥凹円錐274との間に自己固着式摩擦連結をもたらす小勾配のテーパである。約5/8インチ/フィートのテーパがモールステーパであるとされている。ダイコーン173および陥凹円錐274のそれぞれに対する円錐角Xは、10°〜20°とすることができる。
【0037】
金型160上で保持器270を下方に移動させて、金型160を分離した状態から組み立てた状態に位置決めするために、陥凹円錐274をダイコーン173上に置いて、陥凹円錐274の内側面272が、ダイコーン173の側面167を半径方向内側に押すようにする。これを行うためには、各金型部品161、162、163、164に連結されたスプリング機構215(図12)の付勢力に打ち勝つのに十分な力を用いて、ダイコーン173に対して保持器270を移動させることが必要である。駆動機構(図示せず)は、保持器270を移動させて、金型部品161、162、163、164を分離位置から組み立て位置に配置する。駆動機構は、1つまたは複数の油圧シリンダ(図示せず)であってもよい。
【0038】
図14Aは、金型160から垂直方向に長い距離離れた保持器270を示している。しかし、実際上、金型部品161、162、163、164の分離は、単に成形部品(図示せず)を金型キャビティ165から解放することを可能にするのに十分な量でありさえすればよい。より大きく分離させることは不必要であり、望ましくないこともある。したがって、金型部品161、162、163、164の分離度を制御するために、保持器270の垂直動作が厳密に制御される。特に、図14Bに関連して、制限ボルト280が穴282を貫通し、保持器270を貫通している。制限ボルト280は、ベース部205(図13)であってもよい基礎プレート284内に延びている。ナット286は、制限ボルト282の端部に固定されて、基礎プレート284に対するボルトの動きを制限することができる。しかしながら、制限ボルト280は細長く、保持器270の上面289から若干離間したボルトヘッド281を有する。その結果、保持器270が上方に移動すると、スプリングで付勢された金型部品161、162、163、164(図13)は、半径方向外側に押されるが、保持器270の垂直方向動作によって可能となった量に限られ、保持器270の垂直方向動作自体は、保持器270の上面289と各ボルトヘッド281の底面288との間のギャップgがその限度になる。スペーサ295は、ナット286と基礎プレート284との間に置かれて、保持器270が移動できる移動度を制限することができ、結果的に、金型部品161、162、163、164が横方向へ分離した状態に移動できる移動度を制限することができる。
【0039】
金型部品161、162、163、164が組み立てられて、金型チャンバ150を形成すると、金型部品は対合し、金型チャンバ150の壁に分割ラインを形成する。これらの分割ラインは金型チャンバ150内に溝を作る。これらの分割ラインによって作られた溝は、分割ラインの跡として成形部品に加えられ、金型部品161、162、163、164が金型チャンバ150の領域内で対合する精度に応じて、これらの分割ライン跡は、張り出しが多くなったり、少なくなったりする。ただし、分割ライン跡は常にある程度存在する。
【0040】
図1に示した成形部品10は、図12および図13に示した金型キャビティ165で単軸プレス機200を利用して製造することができる。図12および図13で分かるように、金型部品161、162、163、164は、半径方向経路、例えば、図12に示す、金型部品161に関連する経路287に沿って、分離位置から組み立て位置に前後に移動する。金型部品161は、残りの金型部品162、163、164と同様に、単軸プレス機200のベース部205内に延在するガイドスロット290(図12)によって画定される、ベアリング285に沿った半径方向経路287(図12)内を移動する。図12に示すように、ガイドスロット290は、残りのガイドスロット291、292、293が、それぞれ金型部品162、163、164を案内するために、加圧軸277に対して放射状になっているのと同様に、ベース部205を通じて加圧軸277に対して半径方向に向けられる。
【0041】
なお、ベース部205は、単軸プレス機200内の予め定められた穴に収まるガイドピン294A、294B、294C、294Dを有する独立型の部品であることに留意されたい。ベース部205は、他の金型を収容できる他のベース部と交換可能であるので、同じ単軸プレス機200を使用して、その単軸プレス機200に取り付けられたベース部に応じて、様々な異なる切刃用の異なる部品を製造することができる。
【0042】
図15は、ベース部205、スプリング機構215、ベアリング285、および金型部品161、162、163、164の外側面を、金型部品161、162、163、164の適切な開閉を損ねる恐れのある余分な粉末がない状態に保つために、残存粉末が落下できる排出スロット296A、296B、296C、296Dを設けたベース部205の底部を示している。
【0043】
特定の金型部品が、組み立てた状態から分離した状態へ進む経路を作る主な目的は、圧縮後、成形部品の妨げとならないように、金型部品を成形部品から分離することである。特に、本発明による分割ケース金型を使用して、様々な形状を部品に付与することができ、アンダーカットのある形状さえも付与することができる。その金型部品に対して適切な金型部品形状を確立して、分離時の、金型部品と部品との間の干渉をなくすことができる。この干渉を言い表すのに使用される専門用語はバックドラフトである。
【0044】
図16A、図16B、図16Cは、バックドラフトを回避するために、部品から分離されるときに、金型部品がたどることのできる様々な経路を示している。特に、図16Aに関連して、ガイドスロット297A、297B、297C、297Dが、中心を外れた半径方向の直線経路を画定するように位置決めされている。これらの形状は、図15に示した、特定のベース部用のガイドスロット290、291、292、293に付与される。
【0045】
図16Bを参照すると、ガイドスロット298A、298B、298C、298Dは、成形部品を解放するために金型部品がたどることができる非直線の湾曲経路を示している。最後に図16Cを参照して、299Aなどの1つのガイドスロットの経路が、299Bなどの別のガイドスロットの経路に類似している必要はない。図16Cは、バックドラフトを成形部品にもたらすことなく、成形部品から金型部品を解放するために選択され得る、ガイドスロット299A、299B、299C、299Dによる様々な異なる経路を示している。
【0046】
本発明による分割ケース金型は金型部品を含み、その金型部品は、加圧軸とは異なる方向に移動し、そうすることにより、部品が、圧縮成形工程を通じてこれまで得られなかった幾何形状に成形されることを可能にする。これまでは、射出成形技術を利用していたか、または最初の圧縮成形工程後、最終的な形状に至るのに部品が広範な研削を必要とする圧縮成形技術を利用していた。本明細書で説明した、単軸プレス機で使用される分割ケース金型を通じて、今や、これまで圧縮成形工程で得られなかった部品形状を生成することができる。
【0047】
これまで説明してきたのは、本発明による分割ケース金型単軸プレス機を使用する、図1および図2に示す成形部品10の製造に係わるハードウェアである。
【0048】
そのような分割ケース金型を用いて、いずれかの側面に複雑な面がある成形部品を製造することが可能である。図17および図18を参照すると、金型360は、図17および図18に示した例において、加圧軸377に対して半径方向に移動可能な金型部品361、362、363、364を含む。上部ラムの端部のみを図示した上部ラム372および底部ラム374は、加圧軸377に沿って互いに対して移動する。金型部品361、362、363、364、上部ラム372、および底部ラム374は、組み立てた状態(図20)で、圧縮成形工程時に形成される成形部品310と同一形状の金型チャンバ350を画定する。図18により詳しく示した成形部品310は、上面312、底面314、およびそれらの間の側壁316、318、320、322で構成されている。典型的な側壁322は、一対の主切刃380A、384Aと、それに隣接する補助切刃382A、386Aとを含む。この特定の成形部品310の場合、各側面は上記の切刃構成であり、結果として、側壁316に付随する主切刃380Bおよび補助切刃382Bは、側壁322の最も奥の部分である陥凹プラトまたは着座パッド390から突出する突出部388をもたらす。成形部品310の反対側の切刃に対応する別の突出部392は、突出部388とは正反対にある。陥凹面と突出部とのこの組み合わせにより、本発明による分割ケース金型単軸プレス機に理想的に適した幾何形状が得られる。特に、図17に戻り、金型部品364に目を向けると、金型部品364の面395は、側壁322の外形と基本的に同一の外形を有する。これら2つの面395、396が同一であるという理解のもとで、説明のために金型部品363に付随する面396を使用する。
【0049】
説明のために、金型面396(図17)を成形部品310の側壁322(図18)と合わせて説明する。少なくとも成形部品310に関しては、4つの側面はすべて同一であり、側面322の図の方が側面320の図よりもよく見える。金型面396(図17)は、着座パッド390(図18)を形成するのに使用される着座パッド用突出部399を有し、側壁322を検討して反映されたその他の面を有する。図20は、成形部品310を形成するための金型チャンバ350内にある、側壁316、322を備えた成形部品310を示している。金型部品364の面395および金型部品361の面398は、成形部品310の側壁322、316の外形を画定する。図19に関連して、成形部品310は、金型部品361、362、363、364(図17)によって捕捉され、各金型部品361、362、363、364の、加圧軸377に対して平行でない動作によってのみ解放され得るので、上部ラム372および底部ラム374が離れたとしても、金型チャンバ350内で加圧軸377に沿って動くことができないことが分かる。成形部品310があると、加圧軸377に対して完全に平行な相対運動は何ら行うことができない。図17は、この圧縮成形工程時に、部品を解放するのに必要な移動の方向を示している。
【0050】
金型チャンバの幾何形状によっては、特定の成形部品を圧縮成形するのに、分割ケース金型を必要とすることがある。図20Aを参照して、制限するものがない、開口端452を有する金型チャンバ450は、分割ケース金型を必要としない。その理由は、成形部品を加圧軸477に沿って矢印454の方向に押して、成形部品410を金型460から排出することができるからである。図20Bは、比較的単純であるが、分割ケース金型による圧縮成形工程に理想的な形状を示している。金型チャンバ550の壁553は、加圧軸577に対して正の角度Yをなす少なくとも1つの部分554と、加圧軸577に対して負の角度Zをなす少なくとも1つの他の部分555とを有する。金型チャンバ550によって捕捉され、分割ケース金型の金型部品を横方向に移動させなければ金型チャンバ550から安全に取り出すことができない成形部品が、これらの角度の付いた面の組み合わせによって画定される。
【0051】
図20Bに示す装置はかなり単純な形状であるが、示した形体は、分割ケース金型による圧縮成形工程を使用する製造に適した、はるかに複雑な構成に適用することができる。
【0052】
図20Bにおいて、金型チャンバ550は、成形部品510が加圧軸577に沿って軸方向に移動するのを防止する制限部552を含む。したがって、金型チャンバ550を有する金型は、本発明による分割ケース金型にとって理想的である。
【0053】
図20Cを参照すると、金型チャンバ650は、成形部品610を捕捉し、加圧軸677に沿った部品の移動を不可能にする、ベローズ形状の壁652を含む。図20Cは、分割ケース金型による圧縮成形工程にとって理想的な別の構造を示している。金型チャンバ650の壁662は、加圧軸677に対して垂直でない平面に沿った凹面663を有する。面663の端部666、668間で面663に沿った少なくとも1つの点665では、接線が加圧軸677に対して平行である。
【0054】
この代替案では、チャンバ650の壁662は、加圧軸677に対して垂直でない平面に沿った凸面683を有してもよい。面663の端部686、688間で面683に沿った少なくとも1つの点685では、接線が加圧軸677に対して平行である。
【0055】
図20Dは、さらに別の金型チャンバ750を示し、この金型チャンバ750は、成形部品710に螺旋溝のねじ712を加えることができる。この構成もまた、本発明による分割ケース金型に理想的に適している。
【0056】
これまで説明してきたのは、独自の面形体を有する成形部品の製造についてであり、これらの面形体は、本明細書で説明したような単軸プレス機および分割ケース金型を使用して、最も効率的に形成される。
【0057】
本願の譲受人に譲渡され、「切削インサートを製造するクロスホール圧縮成形を行う方法および装置(Method and Apparatus for Cross-Hole Pressing To Produce Cutting Inserts)」と題した米国特許第6,986,866号明細書は、参照することで本明細書に援用するものとし、加圧軸に対して平行でない方向に成形部品を貫通するクロスホールをその部品に付与するための方法および装置について記載している。ただし、この特許は、そのようなクロスホールを形成するためのソリッド一体金型(solid unified die)の使用について述べている。
【0058】
本発明の別の実施形態では、分割ケース金型の使用と併せてクロスホールを成形部品に付与することができ、分割ケース金型を使用して得られる独自の面形体を提供するだけでなく、さらに、加圧軸とは異なる軸に沿って成形部品を貫通する穴も提供する。
【0059】
図21Aは、金型部品861および対向する金型部品862を有する金型860を示している。金型部品861、862を貫通する穴890は、金型部品861内にクロスピン892を受け入れ、金型部品862内にクロスピン893を受け入れるのに適している。組み立てた状態で、これらのクロスピン892、893は、金型チャンバ850内で接し合うので、金型部品861、862が組み立てられ、クロスピン892、893が接し合うと、金型キャビティ860に粉末を充填することができ、圧縮成形すると同時に、その成形部品(図示せず)が、図21Aに示すように、紙面に入っていく加圧軸877に対して平行でない方向に貫通する穴を有することになる。図21Aに示す装置において、金型部品861および金型部品862は、クロスピン892、893が移動するのと同じ方向である矢印894、895に沿って移動可能である。なお、クロスピン892、893は、金型部品861、862に対して平行な動きに限定されるものではない。
【0060】
図21Bを参照すると、金型960の金型部品961、962、963、964は、紙面に入っていく加圧軸977から放射状に延びる矢印994、995、996、997によって示される半径方向に移動可能である。クロスピン992、993は、金型部品970、971、972、973にそれぞれ含まれる窪み970、971、972、973内に位置決めすることができ、この窪みは、金型960が組み立てた状態にある場合に、クロスピン992、993を収容する。クロスピン992、993は、金型チャンバ950内で接する。次いで、金型チャンバ950が粉末を充填され、その粉末が圧縮されて成形部品を形成すると、この成形品は、クロスピン992、993によって付与されたクロス穴を有することになる。なお、図21Bにおいて、クロスピン992、993は、矢印994、995、996、997によって示された金型部品の方向とは異なる、矢印998、999に沿った方向に移動することに留意されたい。
【0061】
窪み970、971、972、973が、各金型部品961、962、963、964の壁内に配置された図21Bとは異なる図21Cを参照すると、金型1060は、矢印1094、1095、1096、1097に沿って移動可能な金型部品1061、1062、1063、1064を含む。しかしまがら、ともに移動して、紙面に入っていく加圧軸1077を中心として広がる(radial)金型チャンバ1050内で対合したクロスピン1092、1093は、矢印1094、1095、1096、1097によって示した方向とは異なる、矢印1098、1099に沿った方向に、金型部品1063、1064内の穴1080、1082を貫通する。再度、金型チャンバ1050は、組み立てた状態で粉末を充填され、圧縮されて、成形部品には、加圧軸1077とは異なる軸に沿って貫通する穴ができる。
【0062】
本発明の特定の実施形態を詳細に説明したが、本開示の全教示を考慮して、これら詳説に対する様々な修正および代替案を発案できることが当業者には分かるであろう。本明細書で説明した現時点での好ましい実施形態は、単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではないことを意図され、本発明の範囲には、添付の特許請求の最大限の範囲およびそのあらゆる等価物を当てるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末から圧縮部品を形成するための単軸プレス機で使用する金型であって、上部および底部外側面と、加圧軸に沿って貫通するキャビティとを有し、前記キャビティは、圧縮した状態で前記部品の形状を画定する、端部を備えた壁を有する金型チャンバと、前記金型チャンバの各端部から延びる加圧穴とで構成され、前記金型は、分割面を備えた少なくとも2つの分離可能な金型部品を含み、前記分割面の大部分が前記加圧軸に対して垂直でない、金型。
【請求項2】
対向する金型部品の分割ラインの少なくとも2つは、前記加圧軸に沿って見た場合に、互いに平行であるが、互いに同一線上にない、請求項1に記載の金型。
【請求項3】
前記加圧軸に沿って見た場合に、少なくとも2つの金型部品の前記チャンバ壁は異なる外形を有する、請求項1に記載の金型。
【請求項4】
前記チャンバを貫通して中子穴を画定するように、前記加圧軸に対して平行でない方向で前記金型チャンバに挿入できる、取り外し可能な中子ロッドをさらに含む、請求項1に記載の金型。
【請求項5】
側壁が円錐形状である、請求項1に記載の金型。
【請求項6】
粉末から圧縮部品を形成するための単軸プレス機で使用する金型であって、上部および底部外側面と、加圧軸に沿って貫通するキャビティとを有し、前記キャビティは、圧縮した状態で前記部品の形状を画定する、端部を備えた壁を有する金型チャンバで構成され、前記金型は、少なくとも2つの分離可能な金型部品を含み、各金型部品は、前記加圧軸に対して平行でない方向にのみ移動するように構成され、かつ各金型部品は、
a)チャンバセグメントであって、他のチャンバセグメントとともに前記金型チャンバを画定するチャンバセグメントと、
b)前記チャンバセグメント内の分割ライン面であって、組み立てた前記金型において、前記金型チャンバが囲まれ、画定されるように、1つまたは複数の他の金型部品の前記チャンバセグメント内の隣接する分割ライン面と接する分割ライン面とを有し、
c)前記チャンバ壁は、前記加圧軸と正の角度をなす少なくとも1つの部分と、前記加圧軸と負の角度をなす少なくとも1つの他の部分とを有する、金型。
【請求項7】
対向する金型部品の前記分割ラインの少なくとも2つは、前記加圧軸に沿って見た場合に、互いに平行であるが、互いに同一線上にない、請求項6に記載の金型。
【請求項8】
前記加圧軸に沿って見た場合に、少なくとも2つの金型部品の前記チャンバ壁は異なる外形を有する、請求項6に記載の金型。
【請求項9】
前記チャンバを貫通して中子穴を画定するように、前記加圧軸に対して平行でない方向で前記金型チャンバに挿入できる、取り外し可能な中子ロッドをさらに含む、請求項6に記載の金型。
【請求項10】
前記上部外側面が円錐形状である、請求項6に記載の金型。
【請求項11】
前記チャンバは、反対側にある2つの端部をさらに含み、前記キャビティは、第1の加圧穴および第2の加圧穴を有し、各加圧穴は、前記金型チャンバの両端から前記加圧軸に沿って延び、前記上部および底部外側面を貫通する、請求項6に記載の金型。
【請求項12】
粉末から圧縮部品を形成するための単軸プレス機で使用する金型であって、加圧軸に沿って貫通する加圧穴を有し、少なくとも2つの分離可能な金型部品を含み、各金型部品は、
a)チャンバセグメントであって、他のチャンバセグメントとともに、チャンバ壁を有する金型チャンバを画定するチャンバセグメントと、
b)加圧穴セグメントであって、他の加圧穴セグメントとともに、前記チャンバの両端から金型外側面を貫通する前記加圧穴を画定する加圧穴セグメントと、
c)前記チャンバセグメントに隣接する分割ライン面であって、組み立てた前記金型において、前記金型を組み立てるように、他のチャンバ面の分割ライン面と接する分割ライン面とを有し、
d)前記チャンバ壁が、前記加圧軸に対して垂直でない平面に沿った凹面または凸面の少なくともいずれか一方を有するか、あるいは前記面の両端間で前記面に沿った少なくとも一点では、接線が前記加圧軸に対して平行である、金型。
【請求項13】
対向する金型部品の分割ラインの少なくとも2つは、前記加圧軸に沿って見た場合に、互いに平行であるが、互いに同一線上にない、請求項12に記載の金型。
【請求項14】
前記加圧軸に沿って見た場合に、少なくとも2つの金型部品の前記チャンバ壁は異なる外形を有する、請求項12に記載の金型。
【請求項15】
前記チャンバを貫通して中子穴を画定するように、前記加圧軸に対して平行でない方向で前記金型チャンバに挿入できる、取り出し可能な中子ロッドをさらに含む、請求項12に記載の金型。
【請求項16】
上部外側面が円錐形状である、請求項12に記載の金型。
【請求項17】
前記チャンバは、反対側にある2つの端部をさらに含み、前記キャビティは、第1の加圧穴および第2の加圧穴を有し、各加圧穴は、前記金型チャンバの両端から前記加圧軸に沿って延び、前記上部外側面および底部外側面を貫通する、請求項12に記載の金型。
【請求項18】
圧縮粉末から部品を形成するための単軸プレス機であって、
a)組み立てた状態で、その中にある金型チャンバと、前記チャンバの両端から加圧軸に沿って金型外側面を貫通する加圧穴とを画定する少なくとも2つの分離可能な金型部品を有する金型と、
b)前記チャンバの前記両端に最も近くなるまで前記加圧軸に沿って互いに対して移動可能な少なくとも1つの上部ラムおよび少なくとも1つの底部ラムとを含み、
c)前記少なくとも2つの分離可能な金型部品はそれぞれ、ともに前記金型チャンバを画定するチャンバ部を有し、かつ組み立てた状態と分離した状態との間を前記加圧軸に対して平行でない方向に移動可能である、
単軸プレス機。
【請求項19】
前記金型は、前記加圧軸に対して半径方向に移動する、請求項18に記載の単軸プレス機。
【請求項20】
前記金型は、前記加圧軸からずれた経路に沿った方向に移動する、請求項18に記載の単軸プレス機。
【請求項21】
前記金型は直線的に移動する、請求項18に記載の単軸プレス機。
【請求項22】
前記金型は非直線的に移動する、請求項18に記載の単軸プレス機。
【請求項23】
前記金型は、組み立てた前記金型内で成形部品が動かないように、前記成形部品を捕捉する形状の空間を画定するチャンバ壁を有する、請求項18に記載の単軸プレス機。
【請求項24】
前記チャンバ部に隣接する分割ライン面が、組み立てた前記金型において、前記チャンバが囲まれるように、他のチャンバ部の隣接する分割ライン面と接し、前記分割ライン面は、前記加圧軸と直角でない角度をなすように向けられる、請求項23に記載の単軸プレス機。
【請求項25】
前記チャンバ壁は、前記加圧軸と正の角度をなす部分と、前記加圧軸と負の角度をなす別の部分とを有する、請求項23に記載の単軸プレス機。
【請求項26】
前記チャンバ壁は、前記加圧軸に対して垂直でない平面に沿った凹面または凸面の少なくともいずれか一方を有するか、あるいは前記面の両端間で前記面に沿った少なくとも一点では、接線が前記加圧軸に対して平行である、請求項23に記載の単軸プレス機。
【請求項27】
組み立てた状態にある前記金型部品の側面はダイコーンを形成する、請求項18に記載の単軸プレス機。
【請求項28】
内側面が前記ダイコーンに一致する形状の陥凹円錐である保持器をさらに含み、前記保持器は、前記円錐形の金型部品を捕捉し、それらの金型部品を一緒に、組み立てた状態で固定する、請求項27に記載の単軸プレス機。
【請求項29】
各前記ダイコーンおよび前記陥凹円錐での円錐角はモールステーパを形成する、請求項28に記載の単軸プレス機。
【請求項30】
各前記ダイコーンおよび前記陥凹円錐での円錐角は10〜20°である、請求項28に記載の単軸プレス機。
【請求項31】
前記金型部品を支持し、前記金型部品が前記組み立てた状態と前記分離した状態との間でスライド動作するのを可能にするベース部をさらに含む、請求項18に記載の単軸プレス機。
【請求項32】
前記金型部品を収容する前記ベース部は、他のベース部と交換可能であり、前記ベース部を交換することで、前記プレス機を使用して異なる形状の部品を製造することができる、請求項31に記載の単軸プレス機。
【請求項33】
前記組み立てた状態と前記分離した状態との間で前記金型部品を移動させる駆動機構をさらに含む、請求項31に記載の単軸プレス機。
【請求項34】
前記金型部品を前記組み立てた状態に移動させる前記駆動機構は、1つまたは複数の油圧シリンダである、請求項33に記載の単軸プレス機。
【請求項35】
前記金型部品を前記分離した状態に移動させる前記駆動機構は、前記金型部品を前記分離した位置に付勢するスプリングセットである、請求項33に記載の単軸プレス機。
【請求項36】
前記金型部品が前記分離した状態に移動できる程度を制限するスペーサをさらに含む、請求項33に記載の単軸プレス機。
【請求項37】
前記加圧軸に対して平行でない方向に前記チャンバを貫通して中子穴を画定するように挿入できる、取り外し可能な中子ロッドをさらに含む、請求項18に記載の単軸プレス機。
【請求項38】
多重プラテンプレス機である、請求項18に記載の単軸プレス機。
【請求項39】
単軸プレス機を使用して粉末から部品を作製する方法であって、
a)金型が、組み立てた状態で、その中にある金型チャンバと、前記チャンバの両側から加圧軸に沿って金型外側面を貫通する加圧穴とを備えた金型キャビティを画定する少なくとも2つの分離可能な金型部品を有していて、前記金型部品を一緒に、組み立てた状態に位置決めするステップと、
b)前記金型および前記加圧穴に粉末を充填するステップと、
c)前記チャンバに最も近くなるまで前記加圧軸に沿って互いに対して移動可能な少なくとも1つの上部ラムおよび少なくとも1つの底部ラムを使用して、前記粉末を前記チャンバの領域内まで圧縮するステップと、
d)各分離可能な金型部品は、ともに前記金型チャンバを画定するチャンバ部を有していて、前記部品を解放するために、前記上部および底部ラムを互いに離し、前記金型部品を前記加圧軸に対して平行でない方向に切り離すステップと、
を含む、部品を作製する方法。
【請求項40】
前記粉末を圧縮した後で、かつ部品を解放する前に、前記部品に部分的な逃げ空間を付与して、前記部品に作用する圧縮を軽減する、請求項39に記載の部品を作製する方法。
【請求項41】
前記部品を解放する前に前記部品に加わる圧を減らすために、上部および底部ラムを少しだけ離して、前記部品に部分的な逃げ空間を付与する、請求項40に記載の部品を作製する方法。
【請求項42】
前記金型部品が移動できる距離が制限される、請求項40に記載の部品を作製する方法。
【請求項43】
前記金型は、前記加圧軸に対して半径方向に移動する、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記金型は、前記加圧軸からずれた方向に移動する、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記金型は直線的に移動する、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記金型は非直線的に移動する、請求項39に記載の方法。
【請求項47】
組み立てた前記金型は、前記部品が前記金型キャビティ内で動かないように前記部品を捕捉する、請求項39に記載の方法。
【請求項48】
内部がダイコーンと一致する形状の陥凹円錐である保持器を前記ダイコーンの前記円錐形金型部品に押して、前記円錐形金型部品を一緒に、組み立てた状態で固定する、請求項39に記載の方法。
【請求項49】
前記ダイコーンを前記円錐形金型部品に対して押すステップは、油圧シリンダを使用して行われる、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
部品が形成された後、前記金型部品を離れる方向に押して部品を解放するステップをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記金型部品を前記組み立てた状態および分離した状態に位置決めするステップは、前記金型部品をベースプレート内で予め定められた経路に沿ってスライドさせることにより行われる、請求項39に記載の方法。
【請求項52】
前記金型チャンバに充填するステップの前に、同じ単軸プレス機を使用した様々な部品の製造を可能にするために、特定の金型セットを備えた特定のいずれかのベースプレートを前記単軸プレス機内に配置するステップをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記加圧軸に対して平行でない方向に前記チャンバを貫通して中子穴を画定するように、取り外し可能な中子ロッドを前記チャンバ内に挿入するステップをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項54】
加圧軸に沿って貫通するキャビティを備えた金型を有する中で単軸加圧動作を使用して形成される物品であって、前記キャビティは、チャンバと、上部ラムおよび底部ラムが前記キャビティ内で前記加圧軸に沿って独立して移動できる、前記チャンバの両側にある加圧穴とで構成され、前記物品は、
a)金型が、組み立てた状態で、その中にある金型チャンバと、前記チャンバの両側から前記加圧軸に沿って金型外側面を貫通する加圧穴とを画定する少なくとも2つの分離可能な金型部品を有していて、前記金型部品を一緒に、組み立てた状態に位置決めするステップと、
b)前記金型および前記加圧穴に粉末を充填するステップと、
c)前記チャンバに最も近くなるまで前記加圧軸に沿って互いに対して移動可能な少なくとも1つの上部ラムおよび少なくとも1つの底部ラムを使用して、前記粉末を前記チャンバの領域内まで圧縮するステップと、
d)各分離可能な金型部品は、ともに前記金型チャンバを画定するチャンバ部を有していて、前記上部および底部ラムを互いに離し、前記部品を解放するために前記金型部品を前記加圧軸に対して平行でない方向に切り離すステップと、
によって形成される物品。
【請求項55】
前記粉末を圧縮した後で、かつ前記部品を解放する前に、前記部品に部分的な逃げ空間を付与するために、前記部品に作用する圧縮を軽減する、請求項54に記載の物品。
【請求項56】
組み立てた前記金型は、前記部品が前記金型内で動かないように前記部品を捕捉する、請求項54に記載の物品。
【請求項57】
前記金型部品を前記組み立てた状態および分離した状態に位置決めするステップは、前記金型部品をベースプレート内の予め定められた経路に沿ってスライドさせることにより行われる、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
圧縮領域で前記加圧軸に対して垂直な方向に前記チャンバを貫通して中子穴を画定するように、取り外し可能な中子ロッドを前記チャンバ内に挿入するステップをさらに含む、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
圧縮された粉末を含む物品であって、貫通する主軸がある本体を有し、前記本体は圧縮成形工程を通じて形成され、前記本体の外側面は、部品を形成するための金型チャンバを形成するように組み立てられた分割ケース金型部品の合わせラインを表す、加圧軸に対して垂直でない方向の分割ライン跡を有する、物品。
【請求項60】
前記部品を焼成した切削インサートである、請求項59に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図20D】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【公表番号】特表2011−505258(P2011−505258A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536092(P2010−536092)
【出願日】平成20年11月24日(2008.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/084500
【国際公開番号】WO2009/070525
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(399031078)ケンナメタル インコーポレイテッド (182)
【氏名又は名称原語表記】Kennametal Inc.
【住所又は居所原語表記】1600 Technology Way Latrobe PA 15650−0231, USA
【Fターム(参考)】