説明

分割型堰付浸漬ノズル

【課題】鋳型厚み方向と幅方向の偏流が抑制される浸漬ノズルを提供する。
【解決手段】タンディッシュ内に保持される溶鋼を鋳型内へ注湯するのに供される有底円筒状の浸漬ノズル1である。該浸漬ノズル1の内側底面2から所定距離上方へ離れた位置において該浸漬ノズル1の周壁に一対の対向する溶鋼吐出孔3が穿孔されると共に、前記内側底面2には該浸漬ノズル1の底面視において前記溶鋼吐出孔3の穿孔方向3Aと平行に延在する突部4・4が同列状に一対で設けられ、更に下記式(1)及び(2)を満足する。
h/H=0.5〜2.0・・・(1)
c/D=0.1〜0.6・・・(2)
ただし、
h:前記突部の延在方向に対する垂直断面における該突部の上面の高さ
H:前記溶鋼吐出孔の内周側開口縁の下端と前記内側底面との間の距離
c:前記一対の突部間の距離
D:前記浸漬ノズルの内径

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続鋳造用浸漬ノズルに係り、特に底部湯溜り部に突部を設けて、鋳型厚み方向及び幅方向の偏流抑制を図った連続鋳造用浸漬ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の浸漬ノズルでは、ノズル底部に鋳造開始時のスプラッシュ低減を目的として湯溜り部が形成されている。ノズル吐出孔上方ノズル内において鋳型厚み方向に速度勾配を有する流れが発生したとき、ノズル底部の湯溜り部における圧力勾配からノズル底部を横切る流れが生じて吐出孔部において吐出方向を軸とした大きな単一の回転流が発生する。この偏流は溶鋼流量を調節するスライドプレートの開閉方向に依存せず発生する(非特許文献1及び非特許文献2参照)。この局所的に強い流れが鋳型コーナー部におけるシェルの再溶解を促し、凝固遅れを発生させる。この凝固遅れが大きいときには鋳片のブレークアウトに繋がる。
【0003】
このような偏流を抑制するために、ノズル内底部に吐出方向に平行な一本の尾根状突起物を設置する発明がある(特許文献1参照)。
【0004】
また、湯溜り部に突起部を設け、この突起部を、長方形状の底面と、この底面から直立し対向する二等辺三角形の2個の垂直端面と、この垂直端面の辺に沿って傾斜し対向する長方形の2個の傾斜面を有する三角柱等とし、前記の垂直面を各々吐出孔に対向させる発明もある(特許文献2参照)。
【0005】
【非特許文献1】市川健治、外2名、「浸漬ノズル管内の流れについて[タンディッシュSNに関する水モデル実験結果;第3報]」、耐火物、耐火物技術協会、1990年1月、第42巻、第1号、p.43-46
【非特許文献2】A.R.マンデラス(A.R.Manderas)、「浸漬ノズル内の2相流に関する動力学と、当該流動が鋳型内2相流に及ぼす影響(Dynamics of two-phase downwards flow in submerged entry nozzle and its influence on the two-phase flow in the mold)」、Int.J.混相流(International Journal of Multiphase Flow)、オランダ、ELSEVIER、2005年、第31巻、p.643-665
【特許文献1】国際公開2005/070589号パンフレット
【特許文献2】特開2005-125389号公報(図4、図5参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この特許文献1及び2に記載されているように突起物の幅が一定の場合、鋳型幅方向の偏流が顕著に現れる。その結果、幅方向の偏流によって鋳型コーナー部の凝固遅れは十分には抑制されない。
【0007】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、鋳型厚み方向と幅方向の偏流が抑制される浸漬ノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0009】
本発明の観点によれば、以下のように構成される浸漬ノズルが提供される。即ち、タンディッシュ内に保持される溶鋼を鋳型内へ注湯するのに供される有底円筒状の浸漬ノズルである。該浸漬ノズルの内側底面から所定距離上方へ離れた位置において該浸漬ノズルの周壁に一対の対向する溶鋼吐出孔が穿孔されると共に、前記内側底面には該浸漬ノズルの底面視において前記溶鋼吐出孔の穿孔方向と平行に延在する突部が同列状に一対で設けられ、更に下記式(1)及び(2)を満足する。
h/H=0.5〜2.0・・・(1)
c/D=0.1〜0.6・・・(2)
ただし、
h:前記突部の延在方向に対する垂直断面における該突部の上面の高さ
H:前記溶鋼吐出孔の内周側開口縁の下端と前記内側底面との間の距離
c:前記一対の突部間の距離
D:前記浸漬ノズルの内径
【0010】
この構成によれば、鋳型厚み方向と幅方向の偏流を抑制し、鋳造開始時のスプラッシュを低減した連続鋳造用浸漬ノズルを提供できる。
【0011】
上記の浸漬ノズルは、更に、以下のように構成されるとよい。即ち、下記式(3)を満足する。
s/S=0.07〜0.5・・・(3)
ただし、
s:前記浸漬ノズルの底面視における前記一対の突部の上面の総投影面積
S:前記浸漬ノズルの底面視において観念し得る該浸漬ノズルの流路断面積
【0012】
この構成によれば、スプラッシュ抑制効果が有効に奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る浸漬ノズルの縦断面図である。図2は、図1の2-2線矢視断面図である。図3は、図1の3-3線矢視断面図である。
【0014】
図1に示される浸漬ノズル1は、鋼の連続鋳造において、タンディッシュ内に保持される溶鋼を鋳型内へ滑らかに注湯するのに供される有底円筒状のものであって、その使用状態においては垂直とされる。
【0015】
本図に示す如く浸漬ノズル1は、中空円筒状の耐火物により構成され、その下端は閉塞される。この浸漬ノズル1の内側底面2から所定距離上方へ離れた位置において該浸漬ノズル1の周壁に一対の対向する溶鋼吐出孔3が穿孔される(図2も併せて参照)。更に、前記内側底面2には浸漬ノズル1の底面視(図3参照)において前記溶鋼吐出孔3の穿孔方向3Aと平行に延在する突部4が同列上に一対で設けられる。具体的には下記の通りである。
【0016】
前記の浸漬ノズル1の周壁の耐火物厚み(図3において符号gで示す。)と、同じく底壁の耐火物厚みは略同一とされる。前記の溶鋼吐出孔3は、タンディッシュから浸漬ノズル1へ流入する溶鋼を鋳型内へ適宜に吐出するための孔であって、一端は該浸漬ノズル1の内周面に接続され、他端は該浸漬ノズル1の外周面に接続され、更に、図2に示す垂直断面視において溶鋼吐出孔3はその穿孔方向が若干斜め下向きとなるように形成される。詳しくは、図2に示す垂直断面視において、この溶鋼吐出孔3の内底面3gと水平との為す角度θ1[deg]は-10〜60に設定される。溶鋼吐出孔3の内周側開口縁3aは、図1に示す垂直断面視において角部に若干の丸みを帯びた矩形とされ、溶鋼吐出孔3の外周側開口縁3bも同様である。なお、この溶鋼吐出孔3の外周側開口縁3bは内周側開口縁3aよりも幅広に形成され、もって、図3に示す底面視において溶鋼吐出孔3は、内周側開口縁3aから外周側開口縁3bへ向かうにつれて徐々に拡大するように形成される。内周側開口縁3aの幅は本図において符号fで示され、外周側開口縁3bの幅は同じく符号eで示す。
【0017】
前記一対の突部4・4の形状を以下に詳細に説明する。即ち、突部4・4は、前述したように本図に示す底面視において、前記溶鋼吐出孔3の穿孔方向3Aと平行に且つ同列状に一対で延在し、夫々の外周側端部は図2にも示すように浸漬ノズル1の内周面に至る。この突部4の延在方向に対する垂直断面(図1に示す垂直断面視)における該突部4の上面の高さ(内側底面2からの高さ)を符号hで観念し、前記溶鋼吐出孔3の内周側開口縁3aの下端と前記内側底面2との間の距離を符号Hで観念すると、下記式(1)が満足される。なお、前記突部4の上面は必ずしも平坦である必要はなく、角部に若干の丸みを形成するなどの設計変更は許容される。更に、前記一対の突部4・4間の距離を符号cで観念すると、下記式(2)が満足される。なお、下記式(2)において変数Dは浸漬ノズル1の内径を意味する。
h/H=0.5〜2.0・・・(1)
c/D=0.1〜0.6・・・(2)
【0018】
上記突部4の形状を更に詳細に説明する。即ち、浸漬ノズル1の底面視(図3)における突部4・4の上面の総投影面積s(本図において二点鎖線で略示する。)と、浸漬ノズル1の流路断面積Sと、は下記式(3)を満足する。なお、この流路断面積Sは、浸漬ノズル1の内径Dに基づいて一義的に求まる。
s/S=0.07〜0.5・・・(3)
【0019】
なお、本実施形態において突部4・4は、図3に示す底面視においてその延在方向に対して垂直な方向で観念する幅aが前記浸漬ノズル1の内径Dのおよそ0.1〜0.6とされ、延在方向全域に亘って一定とされる(ただし、必ずしも一定である必要はない。)。
【0020】
上記の浸漬ノズル1の上端は、この浸漬ノズル1から鋳型内へ吐出される溶鋼の吐出流量を調節するための溶鋼流量調節ユニットを介してタンディッシュの底部に接続される。この溶鋼流量調節ユニットに関して以下に概説する。図4を参照されたい。図4は、浸漬ノズルが連結された溶鋼流量調節ユニットの縦断面図である。本図に示す如く溶鋼流量調節ユニット10は、略円筒状に形成され、その延在方向中央には紙面と垂直方向へ開閉可能なスライドプレート11を備え、その延在方向上部にはポーラス状のリング12が設けられる。このリング12は、浸漬ノズル1や溶鋼流量調節ユニット10の内部に形成される流路内を流動する溶鋼に対してArガスに代表される不活性ガスを吹き込むためのガス噴出孔としての役割を担うものであって、適宜の吹込みノズル13を備える。以上の構成で、図略のArガス供給装置を吹込みノズル13に接続すると、Arガスが、浸漬ノズル1内を流動する溶鋼に適宜に供給されることとなる。
【0021】
そして、以上のように構成される浸漬ノズル1は、その周壁に穿孔される溶鋼吐出孔3の穿孔方向3A(図3参照)が鋳型の幅方向と一致するようにタンディッシュ(実質的には溶鋼流量調節ユニット10)に着設される。
【0022】
以上の構成の浸漬ノズル1の採用により奏される効果を図5に基づいて説明する。図5は、溶鋼の流れを曲線と矢でイメージした図である。即ち、本発明の発明者は、以前に、本図左に示す浸漬ノズル(比較例)を考案した。この浸漬ノズルは、内側底面に、溶鋼吐出孔の穿孔方向に対して平行に延在する突部を備え、この構成により、鋳造開始時におけるスプラッシュの抑制効果を維持しつつ、溶鋼吐出孔において鋳型厚み方向の偏流の原因とされる大きな単一の回転流の発生を抑制できる。しかし、本図左上に示す浸漬ノズルの底面視において現れるように上記突部の延在方向に沿って小径の渦の発生が確認されると共に、この渦の分岐点は上記突部の延在方向に沿って容易に移動できることが認められる。一方、本実施形態に係る浸漬ノズル1は、その内側底面2に同様の突部4を一対で相互に離間させて備える(図3も併せて参照)。この突部4・4の特殊な配置により上記の渦の分岐点が突部4・4の間(切れ目)において強力に拘束され、もって、一対の溶鋼吐出孔3・3夫々から吐出される溶鋼の流量を略同一とできると考えられる。
【0023】
以下、本実施形態に係る浸漬ノズル1の技術的効果を確認するための試験に関して説明する。上述した各数値範囲などは、下記の確認試験により合理的に裏付けられている。
【0024】
<第一確認試験>
本試験は、鋳型厚み方向の偏流抑制効果の有無を検証するための試験(水モデル試験)である。以下に、試験方法及び試験条件、試験結果を示す。
【0025】
(試験方法)
図6を参照されたい。図6は、第一確認試験の試験方法を説明するための正面模式図である。本図に示すように、溶鋼吐出孔3の外周側開口縁3bの内側を通って吐出される水流の流速を電磁流速計(型番:ケネック製VM802H)で測定する。具体的には、電磁流速計の測定子は、外周側開口縁3bの左下端近傍と右下端近傍の二箇所に設置する。そして、外周側開口縁3bの左下端近傍に設置する電磁流速計により測定される水流の流速をV1とし、同じく外周側開口縁3bの右下端近傍に設置する電磁流速計により測定される水流の流速をV2として、下記式(4)に基づいて厚み方向偏流抑制率[%]を求め、これを、鋳型厚み方向の偏流抑制効果の有無を検証するのに供される評価対象とする。なお、この厚み方向偏流抑制率[%]が80以上となったものを「良好(厚み方向偏流なし)」と評価することにする。
(厚み方向偏流抑制率[%])=100×(1-速度差/速度和)=200×V2/(V1+V2) (ただし、V1>V2)・・・(4)
【0026】
(試験条件)
鋳型寸法[mm]:幅1260×厚み240
鋳造速度[m/min]:1.65
溶鋼過熱度ΔT[℃]:−
モデル種類:水モデル
溶鋼流量(又は水流量)[L/min]:水流量550
Arガス流量(又は空気流量)[L/min]:空気流量0
スライドプレートの開閉方向:鋳型厚み方向
h[mm](図1参照):下記表1参照
H[mm](図1参照):下記表1参照
h/H:下記表1参照
c[mm](図3参照):下記表1参照
D[mm](図3参照):下記表1参照
c/D:下記表1参照
s[mm2](図3参照):下記表1参照
S(=πD2/4)[mm2]:下記表1参照
s/S:下記表1参照
θ1[deg.](図2参照):35
e[mm](図3参照):100
f[mm](図3参照):70
g[mm](図3参照):30
【0027】
(試験結果)
本試験結果を下記表1及び図7に示す。なお、下記表1中、比較例2において上記突部は設けられていない。
【0028】
【表1】

【0029】
上記表1及び図7によれば、鋳型厚み方向の偏流抑制効果が有効に奏されるには、上記突部の存在を要し、更に、前述の変数c/Dが0.6以下であることを要することが判る。
【0030】
<第二確認試験>
本試験は、鋳型厚み方向の偏流抑制効果の有無を検証するための試験(水モデル試験)である。以下に、試験方法及び試験条件、試験結果を示す。
【0031】
(試験方法)
上記第一確認試験と同様である。
【0032】
(試験条件)
鋳型寸法[mm]:幅1260×厚み240
鋳造速度[m/min]:1.65
溶鋼過熱度ΔT[℃]:−
モデル種類:水モデル
溶鋼流量(又は水流量)[L/min]:水流量550
Arガス流量(又は空気流量)[L/min]:空気流量0
スライドプレートの開閉方向:鋳型厚み方向
h[mm](図1参照):下記表2参照
H[mm](図1参照):下記表2参照
h/H:下記表2参照
c[mm](図3参照):下記表2参照
D[mm](図3参照):下記表2参照
c/D:下記表2参照
s[mm2](図3参照):下記表2参照
S(=πD2/4)[mm2]:下記表2参照
s/S:下記表2参照
θ1[deg.](図2参照):35
e[mm](図3参照):100
f[mm](図3参照):70
g[mm](図3参照):30
【0033】
(試験結果)
本試験結果を下記表2及び図8に示す。なお、下記表2中、比較例3において上記突部は設けられていない。
【0034】
【表2】

【0035】
上記表2及び図8によれば、鋳型厚み方向の偏流抑制効果が有効に奏されるには、上記突部の存在を要し、更に、前述の変数h/Hが上記式(1)を満足することを要することが判る。
【0036】
<凝固遅れとブレークアウトとの因果関係>
上記実施形態に係る浸漬ノズル1を用いることにより期される効果は、前述したように主として鋳型厚み方向と鋳型幅方向における偏流の抑制である。この偏流を抑制することにより、所謂凝固遅れを改善し、もって、究極的には所謂ブレークアウト(凝固シェル内の溶鋼が凝固シェル外部へ流出してしまう現象)を回避することを目的とする。そこで、ここでは、凝固遅れを定量的に評価するための凝固遅れ度を定義すると共に、この凝固遅れ度とブレークアウトとの因果関係について説明する。
【0037】
即ち、「凝固遅れ」とは凝固シェルの部分的な成長遅れをいい、その定量化には凝固遅れ度が用いられる。「凝固遅れ度」は、図9に示すホワイトバンドに基づく。「ホワイトバンド」とは、凝固中のシェル前方の溶質が溶鋼流動により洗浄されて現れる線状組織であり、凝固シェルの成長の様子を表す。コーナー部のシェルBと健全部のシェルAの厚さに差が生じると、凝固遅れ部と健全部の凝固に伴う収縮量が異なり、凝固遅れ部には鋳片幅方向の引張応力が集中し、縦割の原因となる。縦割の程度が大きくなると凝固シェル内の溶鋼が凝固シェル外部へ流出し、ブレークアウトが発生する。過去のデータ(下記表3参照)で、凝固遅れ度が40%を越えるとブレークアウトが発生した実績があるために凝固遅れ度40%を許容上限とした。
【0038】
【表3】

【0039】
<鋳型幅方向の偏流の定量化方法>
次に、実機鋳造における鋳型幅方向の偏流の定量化方法について説明する。図10を参照されたい。図10は、実機鋳造における鋳型幅方向の偏流の定量化方法を説明するための説明図である。即ち、本図に示すように、(1)鋳型狭面中央に縦一列に埋め込まれる熱電対を用いて鋳造方向における鋳型の温度分布を測定し、(2)その温度分布の変曲点を湯面レベルとみなし、(3)鋳型狭面の一方における湯面レベル(「右側湯面」に相当。)と、他方における湯面レベル(「左側湯面」に相当。)との差Δhを求め、(4)この差Δhに依って鋳型幅方向の偏流を定量化した。
【0040】
<凝固遅れ度と鋳片幅方向の偏流との因果関係>
次に、実機操業における、凝固遅れ度と鋳片幅方向の偏流との因果関係を図11を参照しつつ説明する。図11は、実機操業における凝固遅れ度と差Δhとの関係を示す図である。ただし、図11において溶鋼加熱度ΔTは、20〜30とされる。本図によれば、上記の差Δh(本図において「湯面レベル差」に相当する。)が10[mm]を超えると、凝固遅れ度が40%以上である凝固遅れが発生することが判る。従って、上述したブレークアウトを回避する観点からは、上記差Δh[mm]を10以下に抑えるとよい。
【0041】
<水モデルを用いた検証実験の便宜を図るための換算>
上述した鋳型幅方向の偏流の定量化方法は、溶鋼が極めて高温であることを利用するものであるから、実機に代えて行おうとする水モデルを用いた検証実験に対しては該定量化方法を直接的には適用できない。従って、この定量化方法に対して若干の工夫を為して考案した、水モデルを用いた検証実験における鋳型幅方向の偏流の定量化方法を説明する。ここで、図12を参照されたい。図12は、水モデルにおける鋳型幅方向の偏流の定量化方法を説明するための説明図である。即ち、上記の差Δh[m]は、下記式(5)で表現できる。
Δh=ρm×U12/(2×g×(ρmp))-ρm×U22/(2×g×(ρmp))・・・(5)
ただし、
ρm[kg/m3]:溶鋼の密度
ρp[kg/m3]:モールドパウダの密度
U1[m/s]:鋳型狭面のうち一方の狭面の近傍における溶鋼の上昇流の流速
U2[m/s]:鋳型狭面のうち他方の狭面の近傍における溶鋼の上昇流の流速(U1>U2)
g[m/s2]:重力加速度
【0042】
例えば上記式(5)に対して、Δh[m]=0.01、g[m/s2]=9.8、ρm[kg/m3]=7000、ρp[kg/m3]=3000を代入すると下記式(6)が導かれる。
U12-U22=0.1・・・(6)
【0043】
<偏流度・無偏流・無偏流率の定義>
ところで、一般に、鋳型狭面における溶鋼の上昇流の流速は、該鋳型狭面近傍における溶鋼の表面流速と略等しいとされる(今村ら:連続鋳造内溶鋼流動の水力学的検討、鉄と鋼、Vol.78、No.3(1992)、p.439-446)から、図4に示すように鋳型狭面から30cm離れ、水面から深さ2cmの地点における水の表面流速を電磁流速計(型番:ケネック製VM-802H)を用いて測定し、以降の説明においては、この測定した表面流速を上記変数U1及びU2とみなすこととする。要するに、水の表面流速を測定することで、鋳型幅方向の偏流を評価する。
【0044】
そして、「偏流度」を下記式(7)のように定義する。
(偏流度)=(U12-U22)/(U12-U22)cr・・・(7)
ただし、「(U12-U22)cr」は、上記式(6)の如く上記差Δh[m]が0.01となるときの(U12-U22)の値(つまり、0.1)を意味する。
【0045】
上記式(7)によって定義される偏流度の絶対値が1未満であるときを「無偏流」の状態と定義し、流速測定時間中において「無偏流」の状態の時間が占める割合を「無偏流率」と定義し、この「無偏流率」が60%以上を「幅方向偏流抑制に効果あり」と評価した。ここで、上記偏流度の測定結果の一例を図13に紹介する。図13は、偏流度の時間推移を表すグラフである。本図において「無偏流部」は、上記偏流度の絶対値が1未満である時間領域を示す。なお、図13に係る測定の測定条件は以下の通りである。
【0046】
(試験条件)
鋳型寸法[mm]:幅1260×厚み240
鋳造速度[m/min]:2.0
溶鋼過熱度ΔT[℃]:−
モデル種類:水モデル
溶鋼流量(又は水流量)[L/min]:水流量600
Arガス流量(又は空気流量)[L/min]:空気流量10
スライドプレートの開閉方向:鋳型幅方向
h[mm](図1参照):20
H[mm](図1参照):20
h/H:1.00
c[mm](図3参照):10
D[mm](図3参照):85
c/D:0.12
s[mm2](図3参照):1500
S(=πD2/4)[mm2]:5675
s/S:0.26
θ1[deg.](図2参照):35
e[mm](図3参照):100
f[mm](図3参照):70
g[mm](図3参照):30
【0047】
次に、第三〜第五確認試験について説明する。これらの試験は、鋳型幅方向の偏流抑制効果の有無を検証するための試験(水モデル試験)である。なお、(1)第三及び第四確認試験に係る浸漬ノズル1の突部4・4としては図3において幅aが外周側端部へ向かうにつれて増大する(所謂鼓型堰:詳しくは、外周側端部における幅が40[mm]であり、延在方向に対して約18度の傾斜で幅が増大する)ものを採用し(第三確認試験に対応する表4及び第四確認試験に対応する表5に夫々模式図(図3に類似する図。)を示す。)、(2)一方、第五確認試験に係る浸漬ノズル1の突部4・4としては図3に示す幅aが一定のものを採用した。
【0048】
<第三確認試験>
以下、試験方法及び試験条件、試験結果を示す。
【0049】
(試験方法)
無偏流率の測定方法は上記の通りである。なお、測定時間は二時間とする。
【0050】
(試験条件)
鋳型寸法[mm]:幅1260×厚み240
鋳造速度[m/min]:1.8
溶鋼過熱度ΔT[℃]:−
モデル種類:水モデル
溶鋼流量(又は水流量)[L/min]:水流量550
Arガス流量(又は空気流量)[L/min]:空気流量10
スライドプレートの開閉方向:鋳型幅方向と平行
h[mm](図1参照):下記表4参照
H[mm](図1参照):下記表4参照
h/H:下記表4参照
c[mm](図3参照):下記表4参照
D[mm](図3参照):下記表4参照
c/D:下記表4参照
s[mm2](図3参照):下記表4参照
S(=πD2/4)[mm2]:下記表4参照
s/S:下記表4参照
θ1[deg.](図2参照):35
e[mm](図3参照):100
f[mm](図3参照):70
g[mm](図3参照):30
【0051】
(試験結果)
本試験結果を下記表4及び図14に示す。なお、実機では浸漬ノズル内への介在物付着を抑制するためにArガスが溶鋼中に吹き込まれ、その流量は5〜20NL/minとされる。また、吹き込まれたArガスは溶鋼中で6.5倍に熱膨張[273K→1773K]する。更に、スライドプレート上方よりArガスを吹き込む場合、鋳型内に導入されるArガスの流量は、吹き込み量の約20%との報告(山中ら:日本学術振興会製鋼第19委員会凝固プロセス研究会資料、19委-12228、凝固プロセスIV40,2006)があるため、空気流量を10[L/min]とすることは、実機におけるArガス吹き込み流量7.7[NL/min]に相当する。
【0052】
【表4】

【0053】
<第四確認試験>
以下、試験方法及び試験条件、試験結果を示す。
【0054】
(試験方法)
無偏流率の測定方法は上記の通りである。なお、測定時間は二時間とする。
【0055】
(試験条件)
鋳型寸法[mm]:幅1260×厚み240
鋳造速度[m/min]:2.0
溶鋼過熱度ΔT[℃]:−
モデル種類:水モデル
溶鋼流量(又は水流量)[L/min]:水流量600
Arガス流量(又は空気流量)[L/min]:空気流量10
スライドプレートの開閉方向:鋳型幅方向と平行
h[mm](図1参照):下記表5参照
H[mm](図1参照):下記表5参照
h/H:下記表5参照
c[mm](図3参照):下記表5参照
D[mm](図3参照):下記表5参照
c/D:下記表5参照
s[mm2](図3参照):下記表5参照
S(=πD2/4)[mm2]:下記表5参照
s/S:下記表5参照
θ1[deg.](図2参照):35
e[mm](図3参照):100
f[mm](図3参照):70
g[mm](図3参照):30
【0056】
(試験結果)
本試験結果を下記表5及び図15に示す。
【0057】
【表5】

【0058】
<第五確認試験>
以下、試験方法及び試験条件、試験結果を示す。
【0059】
(試験方法)
無偏流率の測定方法は上記の通りである。なお、測定時間は二時間とする。
【0060】
(試験条件)
鋳型寸法[mm]:幅1260×厚み240
鋳造速度[m/min]:2.0
溶鋼過熱度ΔT[℃]:−
モデル種類:水モデル
溶鋼流量(又は水流量)[L/min]:水流量600
Arガス流量(又は空気流量)[L/min]:空気流量10
スライドプレートの開閉方向:鋳型幅方向と平行
h[mm](図1参照):下記表6参照
H[mm](図1参照):下記表6参照
h/H:下記表6参照
c[mm](図3参照):下記表6参照
D[mm](図3参照):下記表6参照
c/D:下記表6参照
s[mm2](図3参照):下記表6参照
S(=πD2/4)[mm2]:下記表6参照
s/S:下記表6参照
θ1[deg.](図2参照):35
e[mm](図3参照):100
f[mm](図3参照):70
g[mm](図3参照):30
【0061】
(試験結果)
本試験結果を下記表6及び図16に示す。
【0062】
【表6】

【0063】
上記表4〜6及び図14〜16によれば、c/Dを0.1〜0.6とすると、鋳型幅方向の偏流の抑制効果と、鋳型厚み方向の偏流の抑制効果と、が有効に奏されることが判る。
【0064】
以上説明したように上記実施形態において浸漬ノズル1は以下のように構成される。即ち、タンディッシュ内に保持される溶鋼を鋳型内へ注湯するのに供される有底円筒状の浸漬ノズル1である。該浸漬ノズル1の内側底面2から所定距離上方へ離れた位置において該浸漬ノズル1の周壁に一対の対向する溶鋼吐出孔3が穿孔されると共に、前記内側底面2には該浸漬ノズル1の底面視において前記溶鋼吐出孔3の穿孔方向3Aと平行に延在する突部4・4が同列状に一対で設けられ、更に下記式(1)及び(2)を満足する。
h/H=0.5〜2.0・・・(1)
c/D=0.1〜0.6・・・(2)
ただし、
h:前記突部の延在方向に対する垂直断面における該突部の上面の高さ
H:前記溶鋼吐出孔の内周側開口縁の下端と前記内側底面との間の距離
c:前記一対の突部間の距離
D:前記浸漬ノズルの内径
【0065】
この構成によれば、鋳型厚み方向と幅方向の偏流を抑制すると共に、鋳造開始時のスプラッシュを低減できる。
【0066】
<第六確認実験>
本試験は、スプラッシュ抑制効果の有無を検証するための試験(水モデル試験)である。以下に、試験方法及び試験条件、試験結果を示す。
【0067】
(試験方法)
ここで、上記の「スプラッシュ」とは、鋳造開始時において浸漬ノズル1に注湯された溶鋼がその内側底面2に勢いよく当たることで跳ね上がるように吐出される現象のことをいい、これに限らず、浸漬ノズル1の溶鋼吐出孔3から下方へ向かって溶鋼が勢いよく吐出されて鋳型内に予め挿入されているダミーバの上端面と鋳型の狭面とを介して跳ね上がってしまう現象をも含むものである。このスプラッシュは、生産性が低下するなどの理由から好ましくないとされる。
【0068】
上記スプラッシュ抑制効果の有無は、「飛散高さ」及び「気泡潜り深さ」を測定し、これらに基づいて評価する。なお、「飛散高さ」とは前者の現象に係るものであり、同じく「気泡潜り深さ」とは後者の現象に係るものである。なお、後者の現象は、溶鋼吐出孔3から下向きに吐出される水流の強さ(気泡潜り深さ)を評価することにより間接的に評価する。
【0069】
上記「飛散高さ」の測定は以下のように行う。図17は浸漬ノズルの側面図である。即ち、本図に示す如く浸漬ノズルの溶鋼吐出孔から上方に向かって吐出されて飛散する水滴の到達高さを、当該溶鋼吐出孔の外周側開口縁の上辺を基準として、目視により計測する。
【0070】
一方、上記「気泡潜り深さ」の測定は以下のように行う。即ち、本図に示す如く浸漬ノズルの下方に、当該浸漬ノズルの下端に対する鉛直方向距離が5cmとなるように水面高さが調整された水槽を設置し、浸漬ノズルの溶鋼吐出孔から下方へ向かって勢いよく吐出された水吐出流が巻き込む気泡の到達深さを、当該水面を基準として、目視により測定する。なお、この到達深さを記録する観測対象は、水吐出流により巻き込まれた気泡のうち、その径が5mm以上のものに限定する。
【0071】
そして、水滴の飛散高さが15cm未満であり、気泡潜り深さが35cm未満を、「スプラッシュ抑制効果あり」と評価する。
【0072】
(試験条件)
鋳型寸法[mm]:幅1260×厚み240
鋳造速度[m/min]:−
溶鋼過熱度ΔT[℃]:−
モデル種類:水モデル
溶鋼流量(又は水流量)[L/min]:水流量800(実機における鋳造開始相当)
Arガス流量(又は空気流量)[L/min]:空気流量0
スライドプレートの開閉方向:厚み方向
h[mm](図1参照):下記表7参照
H[mm](図1参照):下記表7参照
h/H:下記表7参照
c[mm](図3参照):下記表7参照
D[mm](図3参照):下記表7参照
c/D:下記表7参照
s[mm2](図3参照):下記表7参照
S(=πD2/4)[mm2]:下記表7参照
s/S:下記表7参照
θ1[deg.](図2参照):35
e[mm](図3参照):100
f[mm](図3参照):70
g[mm](図3参照):30
【0073】
(試験結果)
本試験結果を下記表7及び図18に示す。
【0074】
【表7】

【0075】
上記表7及び図18によれば、スプラッシュ抑制効果が有効に奏されるには、前述の変数s/Sが上記式(3)を満足することを要することが判る。
【0076】
以上説明したように上記実施形態において、浸漬ノズル1は、更に以下のように構成される。即ち、下記式(3)を満足する。
s/S=0.07〜0.5・・・(3)
ただし、
s:前記浸漬ノズル1の底面視における前記一対の突部4・4の上面の総投影面積
S:前記浸漬ノズル1の底面視において観念し得る該浸漬ノズル1の流路断面積
【0077】
この構成によれば、スプラッシュ抑制効果が有効に奏される。
【0078】
以上に、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は、以下のように変更して実施できる。
【0079】
◆ 即ち、上記実施形態において溶鋼吐出孔3は、図3に示すように内周側から外周側へ向かって拡大するように形成されるとしたが、これに限らず、この溶鋼吐出孔3の内周側開口と外周側開口の開口断面積は同一としてもよい。
【0080】
◆ また、前記突部4・4は、図20に示される形状としてもよい。図20は、図3に類似する図である。即ち、前記突部4・4は、前記浸漬ノズル1の底面視においてノズル中心側端部からノズル外周側端部へ向かうにつれて緩やかに幅が増す形状、所謂楕円状の形状としてもよい。この底面視において観念される楕円形状は、例えば長軸を70[mm]とし短軸を30[mm]とするものが考えられる。また、本図右側に示される縦断面視において突部4・4のノズル中心側端部の角部には、例えば半径10[mm]の丸みが付されていてもよい。この場合の突部4・4の上面の高さh[mm]は、前記変数H[mm]と等しくしてもよい。即ち、前記変数H[mm]が20の場合は、この突部4・4の上面の高さh[mm]を20としてもよい。以上に説明した底面視に特徴を有する突部4・4(図20に示されるもの。)の形態の技術的効果は下記表9に示す如く実験的に十分に立証されている。
【0081】
【表9】

【0082】
(A)なお、図20に示される形状のように前記突部4・4の縦断面図(図20においてA-A線矢視部分断面図に相当。)において角部にR(本図において該R=10[mm]に相当。)が付された結果、(i)前記浸漬ノズル1の底面視2における前記一対の突部4・4の上面の総投影面積s、を直接的には観念できない場合は、該Rが付される前の段階における「突部4・4の上面」に基づいて(i)を観念するのが合理的である。(B)上記縦断面図に現れた突部4・4の側面(本図右側に示されるA-A線矢視部分断面図において内側底面2から左方向へ垂直に延びる輪郭線により表現される面。)に平面部が存在しないことを理由として、該Rが付される前の段階においても「突部4・4の上面」を観念できない場合は、該側面の輪郭線の変曲点における該側面の法線を有する仮想側面に基づいて上記(A)の手法により上記「突部4・4の上面」を観念するものとするのが合理的である。(C)上記(B)において該側面の輪郭線に変曲点が全く認められない場合でも、該側面の輪郭線と内側底面2との交点における該側面の法線を有し、該交点を面内に含む仮想側面に基づいて上記(A)の手法により上記「突部4・4の上面」を観念するものとするのが合理的である。
【0083】
<参考資料>
上記実施形態に係る浸漬ノズル1の奏する幅方向偏流の抑制効果に対するスライドプレート11の開閉方向の影響を検証するために実施した試験(水モデル試験)について紹介する。スライドプレート11の開閉方向としては、鋳型幅方向に対して平行な方向と、鋳型幅方向に対して垂直な方向(即ち、鋳型厚み方向に対して平行な方向)と、が考えられる。以下、本試験の試験方法及び試験条件、試験結果を示す。
【0084】
(試験方法)
無偏流率の測定方法は、上述した通りである。
【0085】
(試験条件)
鋳型寸法[mm]:幅1260×厚み240
鋳造速度[m/min]:2.0
溶鋼過熱度ΔT[℃]:−
モデル種類:水モデル
溶鋼流量(又は水流量)[L/min]:水流量600
Arガス流量(又は空気流量)[L/min]:空気流量10
スライドプレートの開閉方向:下記表8参照
h[mm](図1参照):下記表8参照
H[mm](図1参照):下記表8参照
h/H:下記表8参照
c[mm](図3参照):下記表8参照
D[mm](図3参照):下記表8参照
c/D:下記表8参照
s[mm2](図3参照):下記表8参照
S(=πD2/4)[mm2]:下記表8参照
s/S:下記表8参照
θ1[deg.](図2参照):35
e[mm](図3参照):100
f[mm](図3参照):70
g[mm](図3参照):30
突部4・4:前述の所謂鼓型堰(表4や表5を併せて参照)
【0086】
(試験結果)
本試験結果を下記表8及び図19に示す。
【0087】
【表8】

【0088】
上記表8及び図19によれば、上記実施形態に係る浸漬ノズル1に係る幅方向偏流の抑制効果は、スライドプレート11の開閉方向の如何に関わらず、有効に奏されることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の一実施形態に係る浸漬ノズルの縦断面図
【図2】図1の2-2線矢視断面図
【図3】図1の3-3線矢視断面図
【図4】浸漬ノズルが連結された溶鋼流量調節ユニットの縦断面図
【図5】溶鋼の流れを曲線と矢でイメージした図
【図6】第一確認試験の試験方法を説明するための正面模式図
【図7】第一確認試験の試験結果を示す図
【図8】第二確認試験の試験結果を示す図
【図9】鋳片の鋳造方向に対する垂直断面図
【図10】実機鋳造における鋳型幅方向の偏流の定量化方法を説明するための説明図
【図11】実機操業における凝固遅れ度と差Δhとの関係を示す図
【図12】水モデルにおける鋳型幅方向の偏流の定量化方法を説明するための説明図
【図13】偏流度の時間推移を表すグラフ
【図14】第三確認試験の試験結果を示す図
【図15】第四確認試験の試験結果を示す図
【図16】第五確認試験の試験結果を示す図
【図17】浸漬ノズルの側面図
【図18】第六確認試験の試験結果を示す図
【図19】他の試験の試験結果を示す図
【図20】図3に類似する図であって、変形例を示す図
【符号の説明】
【0090】
1 浸漬ノズル
2 内側底面
3 溶鋼吐出孔
3A 穿孔方向
4 突部
D 内径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンディッシュ内に保持される溶鋼を鋳型内へ注湯するのに供される有底円筒状の浸漬ノズルにおいて、該浸漬ノズルの内側底面から所定距離上方へ離れた位置において該浸漬ノズルの周壁に一対の対向する溶鋼吐出孔が穿孔されると共に、前記内側底面には該浸漬ノズルの底面視において前記溶鋼吐出孔の穿孔方向と平行に延在する突部が同列状に一対で設けられ、更に下記式(1)及び(2)を満足する、ことを特徴とする浸漬ノズル。
h/H=0.5〜2.0・・・(1)
c/D=0.1〜0.6・・・(2)
ただし、
h:前記突部の延在方向に対する垂直断面における該突部の上面の高さ
H:前記溶鋼吐出孔の内周側開口縁の下端と前記内側底面との間の距離
c:前記一対の突部間の距離
D:前記浸漬ノズルの内径
【請求項2】
下記式(3)を満足する、ことを特徴とする請求項1に記載の浸漬ノズル。
s/S=0.07〜0.5・・・(3)
ただし、
s:前記浸漬ノズルの底面視における前記一対の突部の上面の総投影面積
S:前記浸漬ノズルの底面視において観念し得る該浸漬ノズルの流路断面積

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−161921(P2008−161921A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−356063(P2006−356063)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】