説明

分割空間構成自動認識システムおよび分割空間制御システム

【課題】間仕切りの変更に伴う分割空間の構成の変更を自動で認識する。
【解決手段】大空間1内の小空間AR1とAR2との境界部L1に間仕切りセンサ3−1を設ける。同様にして、境界部L2,L3,L4に、間仕切りセンサ3−2,3−3,3−4を設ける。分割空間構成自動認識装置4において、間仕切りセンサ3−1〜3−4からの間仕切りの設置/非設置の検知情報を受信し、小空間AR1〜AR4の境界部毎の間仕切りの設置状態と小空間AR1〜AR4の隣接関係に基づいて、間仕切りによって分割された大空間1における各分割空間に属する小空間の組を認識する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、間仕切りの変更に伴う分割空間の構成の変更を自動的に認識する分割空間構成自動認識システムおよびこの分割空間構成自動認識システムを用いた分割空間制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、多目的ホールや会議室フロアなどの施設では、1つの比較的広い空間(大空間)を着脱自在な間仕切りによって大小様々ないくつかの分割エリア(分割空間)に分割するレイアウト変更が可能であって、かつ、ある時間毎に利用形態あるいは人数の違いを考慮してこのレイアウト変更を頻繁に行うケースが多い。
【0003】
このような施設の空調制御システムでは、施設内をいくつかの単位エリア(小空間)に分けて、その単位エリア毎に調和空気の供給量を調整する空調機器(例えば、VAVユニット)を設けている。上述した分割エリアは、このような単位エリアをいくつか結合させて、その周りを壁と間仕切りで仕切ることで形成される。また、その周りを間仕切りで囲むことで形成される。なお、複数の単位エリアの結合ではなく、1つの単位エリアが分割エリアとされることもある。
【0004】
ところで、複数の単位エリアからなる分割エリアでは各単位エリアに対応した空調機器が複数存在することになるが、同一の分割エリアに属する複数の空調機器は連動して運用されることが望ましい。すなわち、同一の分割エリアに属する複数の空調機器を同じグループとして、各空調機器の設定値(設定温度、設定湿度など)を共通にしたり、同一の分割エリアの空調負荷を除去するために同じグループの各空調機器間でその空調能力を調整したりすることが望まれる。例えば、ある空調機器の空調能力が上限に達していた場合、同じグループの他の空調機器の空調能力を高めてカバーしたりする。
【0005】
特許文献1には、大空間を間仕切りによって分割するシステムとして、会議室の申し込み内容に応じて会議室内の間仕切りを調節する会議室の可動間仕切り制御装置が示されている。この可動間仕切り制御装置は、会議室内を間仕切りする複数の可動間仕切り手段と、この可動間仕切り手段を駆動する間仕切り駆動手段と、入力部より入力される利用申し込みの人数から間仕切りパターンを決め当該間仕切りパターンで間仕切り駆動手段を制御する制御手段とを備えている。
【0006】
特許文献2には、ビル内に配置された複数の空調機器、照明機器、防犯機器などの設備機器と、この設備機器を管理する中央操作監視装置と、この中央操作監視装置からの出力信号を制御信号に変換する制御信号変換手段と、この制御信号変換手段で変換された制御信号を受けて設備機器を操作監視制御する設備機器制御手段と、設備機器の出力データに応じて設備機器を連動制御する連動制御手段とを備えるビル管理制御装置が示されている。このビル管理制御装置において、設備機器制御手段は、ビル内の所定の空間に配置された複数台の設備機器を集合管理単位で操作監視制御し、連動制御手段は集合管理された設備機器の出力データに応じて設備機器を連動制御する。この特許文献2に示されたシステムにおいて、ビル内の所定空間は間仕切りによって自由に分割可能とされ、間仕切りによって分割された所定空間における各分割エリア内の複数の設備機器は同じグループとして登録される。
【0007】
【特許文献1】特公平3−6303号公報
【特許文献2】特開平10−76605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に示された会議室の可動間仕切り制御装置によると、会議室の申し込み人数によって間仕切りパターンを定め、この定めた間仕切りパターンに従って会議室内の各間仕切りを開/閉あるいは移動制御するのみで、自由なレイアウト変更又は人数に関係ないレイアウト変更に対しては、間仕切りによって分割された会議室内における各分割エリアに属する単位エリアの組を認識することができず、同一の分割エリアに属する複数の設備機器を連動して運用するというようなことはできない。
【0009】
これに対し、特許文献2では、間仕切りによって分割された所定空間における各分割エリア内の複数の設備機器を同じグループとして登録するようにしているので、同一の分割エリアに属する複数の設備機器を連動して運用することが可能である。しかしながら、所定空間における各分割エリアがどこにどのように存在するかをオペレータが判断し、各分割エリア内の複数の設備機器を同じグループとして手動で登録するようにしているので、レイアウト変更が頻繁に行われるような場合、その都度、手動で登録変更作業を行わなければならず、作業が煩わしく、登録ミスが生じたりする。また、急にレイアウト変更が生じたような場合、その連絡が登録作業者に伝わらないことがあり、分割エリア毎の設備機器の連動制御が適切に行われないという問題が生じる虞れもある。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、間仕切りの変更に伴う分割空間の構成の変更を自動的に認識し、手動で登録変更作業を行うことなく、同一の分割空間に属する複数の設備機器を連動して運用可能とする分割空間構成自動認識システムおよび分割空間制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために、本発明の分割空間構成自動認識システム(請求項1に係る発明(第1発明))は、複数の隣接する小空間から構成される大空間内の隣接する小空間の境界部毎に必要に応じて設置/非設置される間仕切りと、前記境界部毎に間仕切りが設置されているか否かを検知する間仕切り存在検知手段と、間仕切り存在検知手段により検知された前記境界部毎の間仕切りの設置状態と小空間同士の隣接関係に基づいて間仕切りによって分割された大空間における各分割空間に属する小空間の組を認識する分割空間構成認識手段とを設けたものである。
【0012】
この発明によれば、隣接する小空間(単位エリア)の境界部毎に間仕切りが設置されているか否かが検知され、この検知された隣接する小空間の境界部毎の間仕切りの設置状態と小空間同士の隣接関係に基づいて、間仕切りによって分割された大空間における各分割空間(分割エリア)に属する小空間の組(分割エリアの構成)が認識される。
【0013】
例えば、隣接する4つの小空間AR1〜AR4によって大空間が構成され、小空間AR1とAR2とが上段に隣接して設けられ、小空間AR3とAR4とが下段に隣接して設けられ、小空間AR1とAR3との境界部および小空間AR2とAR4との境界部に間仕切りが設置されたとする。この場合、小空間AR1〜AR4の境界部毎の間仕切りの設置状態と小空間AR1〜AR4の隣接関係に基づいて、小空間AR1とAR2が第1の分割空間に属する小空間の組として認識され、小空間AR3とAR4が第2の分割空間に属する小空間の組として認識される。
【0014】
ここで、例えば、小空間AR2とAR4との境界部に設置されていた間仕切りが取り除かれ、小空間AR1とAR2との境界部に間仕切りが設置されたとする。すると、この間仕切りの変更を間仕切り存在検知手段が検知し、分割空間構成認識手段に知らせる。これにより、分割空間構成認識手段は、小空間AR1を第1の分割空間に属する小空間の組として認識し、小空間AR2とAR3とAR4を第2の分割空間に属する小空間の組として認識する。
【0015】
このようにして、本発明の分割空間構成自動認識システムでは、間仕切りの変更に伴う大空間における分割空間の構成の変更が自動的に認識され、手動で登録変更作業を行うことなく、同一の分割空間に属する複数の設備機器を連動して運用することが可能となる。例えば、本発明の分割空間構成自動認識システムによって認識された分割空間毎にその分割空間に属する小空間に設置された空調機器を連携して制御したり(請求項2に係る発明(第2発明))、防犯機器を連歴して制御したり(請求項3に係る発明(第3発明))、照明機器を連携して制御する(請求項4に係る発明(第4発明))ということが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、隣接する小空間の境界部毎に間仕切りが設置されているか否かが検知され、この検知された隣接する小空間の境界部毎の間仕切りの設置状態と小空間同士の隣接関係に基づいて、間仕切りによって分割された大空間における各分割空間に属する小空間が認識されるものとなり、間仕切りの変更に伴う分割空間の構成の変更を自動的に認識し、手動で登録変更作業を行うことなく、同一の分割空間に属する複数の設備機器を連動して運用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
〔実施の形態1:分割空間構成自動認識システム〕
図1は本発明に係る分割空間構成自動認識システムの一実施の形態の要部を示す構成図である。同図において、1は大空間であり、隣接する4つの小空間(単位エリア)AR1〜AR4によって構成されている。この例では、小空間AR1とAR2とが上段に隣接して設けられ、小空間AR3とAR4とが下段に隣接して設けられている。大空間1の周囲は壁で囲まれており、大空間1における小空間AR1〜AR4には、隣接する小空間との境界部に必要に応じて間仕切りを設置することが可能とされている。
【0018】
図2に隣接する小空間の境界部の全てに間仕切りを設置した状態を示す。小空間AR1とAR2との境界部L1には間仕切り2−1を着脱可能に設置することができ、小空間AR1とAR3との境界部L2には間仕切り2−2を着脱可能に設置することができ、小空間AR2とAR4との境界部L3には間仕切り2−3を着脱可能に設置することができ、小空間AR3とAR4との境界部L4には間仕切り2−4を着脱可能に設置することができる。
【0019】
なお、間仕切り2−1〜2−4は、可動間仕切りとして、自動的に開/閉制御されたり、自動的に移動制御されたりするものであってもよい。この例では、単純な例として、手動で、間仕切り2−1〜2−4を境界部L1〜L4に設置/非設置するものとする。
【0020】
また、小空間AR1とAR2との境界部L1には間仕切り2−1が設置されているか否かを検知する間仕切りセンサ3−1が設けられ、小空間AR1とAR3との境界部L2には間仕切り2−2が設置されているか否かを検知する間仕切りセンサ3−2が設けられ、小空間AR2とAR3との境界部L3には間仕切り2−3が設置されているか否かを検知する間仕切りセンサ3−3が設けられ、小空間AR3とAR4との境界部L4には間仕切り2−4が設置されているか否かを検知する間仕切りセンサ3−4が設けられている。
【0021】
間仕切りセンサ3−1〜3−4は無線式のセンサとされており、境界部L1〜L4に間仕切り2−1〜2−4が設置されているか否かの検知情報は、分割空間構成自動認識装置4へ無線で送られるようになっている。
【0022】
なお、間仕切りセンサ3−1〜3−4からの分割空間構成自動認識装置4への検知情報の送信は、必ずしも無線方式としなくてもよく、有線方式としてもよい。
また、間仕切り2−1〜2−4を自動開閉方式とするような場合、間仕切りセンサ3−1〜3−4を境界部L1〜L4側ではなく、間仕切り2−1〜2−4側に設けるようにしてもよい。
【0023】
分割空間構成自動認識装置4は、間仕切りセンサ3−1〜3−4からの検知情報を受信する受信部4−1と、大空間1における隣接空間情報を記憶する隣接空間情報記憶部4−2と、受信部4−1が受信した間仕切りセンサ3−1〜3−4からの検知情報を取得し、この取得した検知情報に基づいて隣接空間情報記憶部4−2における隣接空間情報を書き替え、この書き替えた隣接空間情報から大空間1における分割空間構成情報を作成する分割空間構成情報作成部4−3と、分割空間構成情報作成部4−3で作成された分割空間構成情報を記憶する分割空間構成情報記憶部4−4とを備えている。
【0024】
図3に隣接空間情報記憶部4−2における隣接空間情報の初期状態を示す。この隣接空間情報の初期状態は、大空間1に間仕切り2−1〜2−4が設置されていない場合の隣接空間情報を示し、境界部L1〜L4を示す間仕切りIDと、境界部L1〜L4がどの組の小空間の境界部であるかを示す小空間の組情報と、境界部L1〜L4に間仕切りが設置されているか否かを示す間仕切り設置情報とから構成され、境界部L1を示す間仕切りIDS1に対してはその境界部の小空間の組情報が(1(AR1),2(AR2))として、境界部L2を示す間仕切りIDS2に対してはその境界部の小空間の組情報が(1(AR1),3(AR3))として、境界部L3を示す間仕切りIDS3に対してはその境界部の小空間の組情報が(2(AR2),4(AR4))として、境界部L4を示す間仕切りIDS4に対してはその境界部の小空間の組情報が(3(AR3),4(AR4))として記憶され、間仕切りIDS1〜S4に対する間仕切り設置情報は全て「0」とされている。この場合、間仕切り設置情報の「0」は間仕切りが設置されていないことを示し、間仕切り設置情報の「1」は間仕切りが設置されていることを示す。
【0025】
〔分割空間構成情報の作成〕
分割空間構成自動認識装置4において、分割空間構成情報作成部4−3は、次のようにして大空間1における分割空間構成情報を作成する。なお、この分割空間構成情報作成部4−3における分割空間構成情報の作成処理動作は、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現される。
【0026】
今、大空間1において、図4に示すように、小空間AR1とAR3との境界部L2に間仕切り2−2が設置され、小空間AR2とAR4との境界部L3に間仕切り2−3が設置されたとする。
【0027】
この場合、間仕切りセンサ3−2は、小空間AR1とAR3との境界部L2への間仕切り2−2の設置を検知し、その検知情報を「1」として分割空間構成自動認識装置4へ送る。間仕切りセンサ3−3も同様にして、小空間AR2とAR4との境界部L3への間仕切り2−3の設置を検知し、その検知情報を「1」として分割空間構成自動認識装置4へ送る。なお、この場合、間仕切りセンサ3−1,3−4からの分割空間構成自動認識装置4への検知情報は「0」を維持する。
【0028】
分割空間構成自動認識装置4において、分割空間構成情報作成部4−3は、間仕切りセンサ3−1〜3−4からの検知情報を受信部4−1を介して取得し、この取得した間仕切りセンサ3−1〜3−4からの検知情報に基づいて、隣接空間情報記憶部4−2における隣接空間情報を書き替える。この場合、図5に示すように、境界部L2を示す間仕切りIDS2に対する間仕切り設置情報を「1」に書き替え、境界部L3を示す間仕切りIDS3に対する間仕切り設置情報を「1」に書き替える。
【0029】
そして、分割空間構成情報作成部4−3は、この書き替えられた隣接空間情報から間仕切り設置位置情報が「0」であるものの小空間の組情報を抽出し、抽出した小空間の組情報同士を比較して共通する小空間を有するか否かを調べる。共通する小空間があれば、その小空間の組情報を結合して行き、結合した最後の組情報を分割空間の組情報とする。共通する小空間がなければ、その小空間の組情報を分割空間の組情報とする。
【0030】
この例では、間仕切り設置位置情報が「0」である小空間の組情報として、組情報(1,2)と(3,4)が抽出されるが、小空間の組情報(1,2)と(3,4)には共通する小空間がないので、小空間の組情報(1,2)と(3,4)との結合は行わず、小空間の組情報(1,2)を第1の分割空間D1の組情報(1,2)とし、小空間の組情報(3,4)を第2の分割空間D2の組情報(3,4)とする。
【0031】
この結果、分割空間構成情報作成部4−3は、第1の分割空間D1の組情報(1,2)と第2の分割空間D2の組情報(3,4)を分割空間構成情報として作成し(図6参照)、この作成した分割空間構成情報を分割空間構成情報記憶部4−4に格納する。
【0032】
すなわち、分割空間構成情報作成部4−3は、間仕切りによって大空間1が第1の分割空間D1と第2の分割空間D2とに分割され、第1の分割空間D1に属する小空間の組が小空間AR1とAR2であり、第2の分割空間D2に属する小空間の組が小空間AR3とAR4であることを認識し、この認識した結果を分割空間構成情報として分割空間構成情報記憶部4−4に格納する。
【0033】
このような状態から、大空間1において、図7に示すように、小空間AR2とAR4との境界部L3に設置されていた間仕切り2−3が取り除かれ、小空間AR1とAR2との境界部L1に間仕切り2−1が設置されたとする。
【0034】
この場合、間仕切りセンサ3−3は、小空間AR2とAR4との境界部L3への間仕切り2−2の非設置を検知し、その検知情報を「0」として分割空間構成自動認識装置4へ送る。また、間仕切りセンサ3−1は、小空間AR1とAR2との境界部L1への間仕切り2−1の設置を検知し、その検知情報を「1」として分割空間構成自動認識装置4へ送る。なお、この場合、間仕切りセンサ3−2からの分割空間構成自動認識装置4への検知情報は「1」を維持し、間仕切りセンサ3−4からの分割空間構成自動認識装置4への検知情報は「0」を維持する。
【0035】
分割空間構成自動認識装置4において、分割空間構成情報作成部4−3は、間仕切りセンサ3−1〜3−4からの検知情報を受信部4−1を介して取得し、この取得した間仕切りセンサ3−1〜3−4からの検知情報に基づいて、隣接空間情報記憶部4−2における隣接空間情報を書き替える。この場合、図8に示すように、境界部L3を示す間仕切りIDS3に対する間仕切り設置情報を「0」に書き替え、境界部L1を示す間仕切りIDS1に対する間仕切り設置情報を「1」に書き替える。
【0036】
そして、分割空間構成情報作成部4−3は、この書き替えられた隣接空間情報から間仕切り設置位置情報が「0」であるものの小空間の組情報を抽出し、抽出した小空間の組情報同士を比較して共通する小空間を有するか否かを調べる。共通する小空間があれば、その小空間の組情報を結合して行き、結合した最後の組情報を分割空間の組情報とする。共通する小空間がなければ、その小空間の組情報を分割空間の組情報とする。
【0037】
この例では、間仕切り設置位置情報が「0」である小空間の組情報として、組情報(2,4)と(3,4)を抽出する。この抽出した小空間の組情報(2,4)と(3,4)には共通する小空間があるので、小空間の組情報(2,4)と(3,4)との結合を行い、小空間の組情報(2,3,4)を得る。この小空間の組情報(2,3,4)と比較する小空間の組情報は他にないので、この小空間の組情報(2,3,4)を第1の分割空間D1の組情報(2,3,4)とする。なお、この場合、分割空間D1の組情報(2,3,4)から小空間AR1が単独で残されることが分かるので、この単独で残される小空間AR1を示す組情報(1)を第2の分割空間D2の組情報(1)とする。
【0038】
この結果、分割空間構成情報作成部4−3は、第1の分割空間D1の組情報(2,3,4)と第2の分割空間D2の組情報(1)を分割空間構成情報として作成し(図9参照)、この作成した分割空間構成情報を分割空間構成情報記憶部4−4に格納する。
【0039】
すなわち、分割空間構成情報作成部4−3は、間仕切りによって大空間1が第1の分割空間D1と第2の分割空間D2とに分割され、第1の分割空間D1に属する小空間の組が小空間AR2とAR3とAR4であり、第2の分割空間D2に属する小空間の組が小空間AR1のみであることを認識し、この認識した結果を分割空間構成情報として分割空間構成情報記憶部4−4に格納する。
【0040】
このようにして、実施の形態1の分割空間構成自動認識システムでは、間仕切りの変更に伴う大空間1における分割空間の構成の変更が自動的に認識される。これにより、手動で登録変更作業を行うことなく、同一の分割空間に属する複数の設備機器を連動して運用することが可能となる。
【0041】
〔実施の形態2:分割空間制御システム〕
図10は上述した実施の形態1の分割空間構成自動認識システムを用いた分割空間制御システムの要部を示す構成図である。同図において、図1と同一符号は図1を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
【0042】
この実施の形態において、小空間AR1には空調機器5−1と防犯機器6−1と照明機器7−1が設置され、小空間AR2には空調機器5−2と防犯機器6−2と照明機器7−2が設置され、小空間AR3には空調機器5−3と防犯機器6−3と照明機器7−3が設置され、小空間AR4には空調機器5−4と防犯機器6−4と照明機器7−4が設置されている。
【0043】
また、空調機器5−1〜5−4は分割空間連携空調制御装置8に接続され、防犯機器6−1〜6−4は分割空間連携防犯制御装置9に接続され、照明機器7−1〜7−4は分割空間連携照明制御装置10に接続されている。分割空間連携空調制御装置8,分割空間連携防犯制御装置9および分割空間連携照明制御装置10には分割空間構成自動認識装置4において作成された分割空間構成情報が送られる。
【0044】
〔分割空間連携空調制御装置〕
分割空間連携空調制御装置8は、分割空間構成自動認識装置4からの分割空間構成情報を受けて、この分割空間構成情報によって示される分割空間毎に、その分割空間に属する小空間に設置された空調機器を連携して制御する。なお、この分割空間連携空調制御装置8による空調機器の連携制御は、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現される。
【0045】
例えば、小空間AR1とAR3との境界部L2に間仕切りが設置され、小空間AR2とAR4との境界部L3に間仕切りが設置され、第1の分割空間D1の組情報(1,2)と第2の分割空間D2の組情報(3,4)が分割空間構成情報として作成された場合(図6参照)、第1の分割空間D1に属する小空間AR1,AR2を同一のグループとし、この小空間AR1,AR2に設置されている空調機器5−1と5−2とを連携して制御し、第2の分割空間D2に属する小空間AR3,AR4を同一のグループとし、この小空間AR3,AR4に設置されている空調機器5−3と5−4とを連携して制御する。
【0046】
また、小空間AR1とAR3との境界部L2に間仕切りが設置され、小空間AR1とAR2との境界部L2に間仕切りが設置され、第1の分割空間D1の組情報(2,3,4)と第2の分割空間D2の組情報(1)が分割空間構成情報として作成された場合(図9参照)、第1の分割空間D1に属する小空間AR2,AR3,AR4を同一のグループとし、この小空間AR2,AR3,AR4に設置されている空調機器5−2と5−3と5−4とを連携して制御し、第2の分割空間D2に属する小空間AR1を同一のグループとし、この小空間AR1に設置されている空調機器5−1を連携して制御する。なお、この場合、第2の分割空間D2に属する小空間はAR1のみであるので、小空間AR1に設置されている空調機器5−1は単独で制御されることになる。
【0047】
〔分割空間連携防犯制御装置〕
分割空間連携防犯制御装置9は、分割空間構成自動認識装置4からの分割空間構成情報を受けて、この分割空間構成情報によって示される分割空間毎に、その分割空間に属する小空間に設置された防犯機器を連携して制御する。なお、この分割空間連携防犯制御装置9による防犯機器の連携制御は、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現される。
【0048】
例えば、小空間AR1とAR3との境界部L2に間仕切りが設置され、小空間AR2とAR4との境界部L3に間仕切りが設置され、第1の分割空間D1の組情報(1,2)と第2の分割空間D2の組情報(3,4)が分割空間構成情報として作成された場合(図6参照)、第1の分割空間D1に属する小空間AR1,AR2を同一のグループとし、この小空間AR1,AR2に設置されている防犯機器6−1と6−2とを連携して制御し、第2の分割空間D2に属する小空間AR3,AR4を同一のグループとし、この小空間AR3,AR4に設置されている防犯機器6−3と6−4とを連携して制御する。
【0049】
また、小空間AR1とAR3との境界部L2に間仕切りが設置され、小空間AR1とAR2との境界部L2に間仕切りが設置され、第1の分割空間D1の組情報(2,3,4)と第2の分割空間D2の組情報(1)が分割空間構成情報として作成された場合(図9参照)、第1の分割空間D1に属する小空間AR2,AR3,AR4を同一のグループとし、この小空間AR2,AR3,AR4に設置されている防犯機器6−2と6−3と6−4とを連携して制御し、第2の分割空間D2に属する小空間AR1を同一のグループとし、この小空間AR1に設置されている防犯機器6−1を連携して制御する。なお、この場合、第2の分割空間D2に属する小空間はAR1のみであるので、小空間AR1に設置されている防犯機器6−1は単独で制御されることになる。
【0050】
〔分割空間連携照明制御装置〕
分割空間連携照明制御装置10は、分割空間構成自動認識装置4からの分割空間構成情報を受けて、この分割空間構成情報によって示される分割空間毎に、その分割空間に属する小空間に設置された照明機器を連携して制御する。なお、この分割空間連携照明制御装置10による照明機器の連携制御は、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現される。
【0051】
例えば、小空間AR1とAR3との境界部L2に間仕切りが設置され、小空間AR2とAR4との境界部L3に間仕切りが設置され、第1の分割空間D1の組情報(1,2)と第2の分割空間D2の組情報(3,4)が分割空間構成情報として作成された場合(図6参照)、第1の分割空間D1に属する小空間AR1,AR2を同一のグループとし、この小空間AR1,AR2に設置されている照明機器7−1と7−2とを連携して制御し、第2の分割空間D2に属する小空間AR3,AR4を同一のグループとし、この小空間AR3,AR4に設置されている照明機器7−3と7−4とを連携して制御する。
【0052】
また、小空間AR1とAR3との境界部L2に間仕切りが設置され、小空間AR1とAR2との境界部L2に間仕切りが設置され、第1の分割空間D1の組情報(2,3,4)と第2の分割空間D2の組情報(1)が分割空間構成情報として作成された場合(図9参照)、第1の分割空間D1に属する小空間AR2,AR3,AR4を同一のグループとし、この小空間AR2,AR3,AR4に設置されている照明機器7−2と7−3と7−4とを連携して制御し、第2の分割空間D2に属する小空間AR1を同一のグループとし、この小空間AR1に設置されている照明機器7−1を連携して制御する。なお、この場合、第2の分割空間D2に属する小空間はAR1のみであるので、小空間AR1に設置されている照明機器7−1は単独で制御されることになる。
【0053】
このようにして、実施の形態2の分割空間制御システムでは、大空間1内の複数の小空間に頻繁に分割空間の変更が生じても、それを自動的に検出して、その分割空間を構成する小空間に設置されている空調機器、防犯機器、照明機器同士を同じグループとして連携して制御することができるので、大空間1内の各分割空間内を1つの独立した空間として、適切な空調制御、防犯制御、照明制御が可能となる。
【0054】
〔実施の形態3:分割空間構成自動認識システム〕
実施の形態1では、説明を簡単とするために、大空間1を4つの小空間AR1〜AR4によって構成するものとした。これに対し、実施の形態3では、図11に示すように、大空間1が8つの小空間AR1〜AR8によって構成されるものとする。この場合、隣接空間情報記憶部4−2における隣接空間情報の初期状態は、図12に示すようになる。
【0055】
ここで、図13に示すように、小空間AR2とAR3との境界部L3に間仕切り2−3が設置され、小空間AR6とAR7との境界部L9に間仕切り2−9が設置され、小空間AR1とAR5との境界部L2に間仕切り2−2が設置され、小空間AR2とAR6との境界部L4に間仕切り2−4が設置されたとする。この場合、隣接空間情報記憶部4−2における隣接空間情報は、図14に示すように書き替えられる。
【0056】
分割空間構成情報作成部4−3は、この書き替えられた隣接空間情報から間仕切り設置位置情報が「0」であるものの小空間の組情報を抽出し、抽出した小空間の組情報同士を比較して共通する小空間を有するか否かを調べる。共通する小空間があれば、その小空間の組情報を結合して行き、結合した最後の組情報を分割空間の組情報とする。共通する小空間がなければ、その小空間の組情報を分割空間の組情報とする。
【0057】
この例では、間仕切り設置位置情報が「0」である小空間の組情報として、組情報(1,2)、(3,4)、(3,7)、(4,8)、(5,6)、(7,8)を抽出する。ここで、組情報(1,2)は他の組情報と共通する小空間がないので、第1の分割空間D1の組情報(1,2)とする。組情報(3,4)と(3,7)とは共通する小空間があるので、結合して組情報(3,4,7)とする。また、この組情報(3,4,7)と(4,8)とは共通する小空間があるので、結合して組情報(3,4,7,8)とする。また、この組情報(3,4,7,8)と組情報(7,8)とは共通する小空間があるので、結合して組情報(3,4,7,8)とする。組情報(3,4,7,8)は他に小空間が共通する組情報がないので、第2の分割空間D2の組情報(3,4,7,8)とする。組情報(5,6)は他の組情報と共通する小空間がないので、第3の分割空間D3の組情報(5,6)とする。
【0058】
この結果、分割空間構成情報作成部4−3は、第1の分割空間D1の組情報(1,2)と第2の分割空間D2の組情報(3,4,7,8)と第3の分割空間D3の組情報(5,6)を分割空間構成情報として作成し(図15参照)、この作成した分割空間構成情報を分割空間構成情報記憶部4−4に格納する。
【0059】
すなわち、分割空間構成情報作成部4−3は、間仕切りによって大空間1が第1の分割空間D1と第2の分割空間D2と第3の分割空間D3とに分割され、第1の分割空間D1に属する小空間の組が小空間AR1とAR2であり、第2の分割空間D2に属する小空間の組が小空間AR3とAR4とAR7とAR8であり、第3の分割空間D3に属する小空間の組が小空間AR5とAR6であることを認識し、この認識した結果を分割空間構成情報として分割空間構成情報記憶部4−4に格納する。
【0060】
なお、上述した実施の形態1,2,3では、隣接空間情報中の間仕切り設置位置情報が「0」であるものの小空間の組情報を抽出し、抽出した小空間の組情報同士を比較して共通する小空間を有するか否かを調べ、共通する小空間の組情報を結合して分割空間の組情報を得るようにしたが、分割空間およびその分割空間に属する小空間の組を認識する方法はこのような方法に限られるものではない。
【0061】
例えば、大空間における小空間の構成を示すパターン図を作成し、このパターン図に間仕切りの設置/非設置の情報を書き込み、この設置/非設置の情報が書き込まれたパターン図を解析して、分割空間およびその分割空間に属する小空間の組を認識するようにしてもよい。
【0062】
また、上述した実施の形態1では、大空間1を4つの小空間AR1〜AR4によって構成し、上述した実施の形態3では、大空間1を8つの小空間AR1〜AR8によって構成するものしたが、大空間1における小空間の数は複数であればよく、その数に制約はない。また、小空間の形状も升目状に限られるものではなく、小空間同士の形状や大きさが異なるものであってもよい。
【0063】
また、上述した実施の形態2では、連携制御される機器を空調機器,防犯機器,照明機器としたが、他の機器であってもよく、コントローラ,センサ,設定器などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る分割空間構成自動認識システムの一実施の形態(実施の形態1)の要部を示す構成図である。
【図2】この分割空間構成自動認識システムにおける大空間内の隣接する小空間の境界部の全てに間仕切りを設置した状態を示す図である。
【図3】この分割空間構成自動認識システムの分割空間構成自動認識装置における隣接空間情報の初期状態を示す図である。
【図4】この分割空間構成自動認識システムにおける大空間内の隣接する小空間の境界部に間仕切りを設置した例(第1例)を示す図である。
【図5】この分割空間構成自動認識システムの分割空間構成自動認識装置における隣接空間情報の書き替え例(第1例)を示す図である。
【図6】この分割空間構成自動認識システムの分割空間構成自動認識装置における分割空間情報の作成例(第1例)を示す図である。
【図7】この分割空間構成自動認識システムにおける大空間内の隣接する小空間の境界部に間仕切りを設置した例(第2例)を示す図である。
【図8】この分割空間構成自動認識システムの分割空間構成自動認識装置における隣接空間情報の書き替え例(第2例)を示す図である。
【図9】この分割空間構成自動認識システムの分割空間構成自動認識装置における分割空間情報の作成例(第2例)を示す図である。
【図10】実施の形態1の分割空間構成自動認識システムを用いた分割空間制御システムの要部(実施の形態2)を示す構成図である。
【図11】大空間が8つの小空間によって構成された場合の例を示す図である。
【図12】大空間が8つの小空間によって構成された場合の隣接空間情報の初期状態を示す図である。
【図13】大空間が8つの小空間によって構成された場合の隣接する小空間の境界部への間仕切りの設置例を示す図である。
【図14】大空間が8つの小空間によって構成された場合の隣接空間情報の書き替え例を示す図である。
【図15】大空間が8つの小空間によって構成された場合の分割空間情報の作成例を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1…大空間、2−1〜2−4,2−9…間仕切り、3−1〜3−4…間仕切りセンサ、4…分割空間構成自動認識装置、4−1…受信部、4−2…隣接空間情報記憶部、4−3…分割空間構成情報作成部、4−3…分割空間構成情報記憶部、AR1〜AR8…小空間(単位エリア)、L1〜L10…境界部、S1〜S10…間仕切りID、D1〜D3…分割空間ID、5−1〜5−4…空調機器、6−1〜6−4…防犯機器、7−1〜7−4…照明機器、8…分割空間連携空調制御装置、9…分割空間連携防犯制御装置、10…分割空間連携照明制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の隣接する小空間から構成される大空間内の前記隣接する小空間の境界部毎に必要に応じて設置/非設置される間仕切りと、
前記境界部毎に前記間仕切りが設置されているか否かを検知する間仕切り存在検知手段と、
前記間仕切り存在検知手段により検知された前記境界部毎の間仕切りの設置状態と前記小空間同士の隣接関係に基づいて前記間仕切りによって分割された前記大空間内の各分割空間に属する小空間の組を認識する分割空間構成認識手段と
を備えることを特徴とする分割空間構成自動認識システム。
【請求項2】
複数の隣接する小空間から構成される大空間内の前記隣接する小空間の境界部毎に必要に応じて設置/非設置される間仕切りと、前記境界部毎に前記間仕切りが設置されているか否かを検知する間仕切り存在検知手段と、前記間仕切り存在検知手段により検知された前記境界部毎の間仕切りの設置状態と前記小空間同士の隣接関係に基づいて前記間仕切りによって分割された前記大空間内の各分割空間に属する小空間の組を認識する分割空間構成認識手段とを備えた分割空間構成自動認識システムと、
前記小空間毎に設置された空調機器と、
前記分割空間構成自動認識システムによって認識された前記分割空間毎にその分割空間に属する小空間に設置された前記空調機器を連携して制御する制御手段と
を備えることを特徴とする分割空間制御システム。
【請求項3】
複数の隣接する小空間から構成される大空間内の前記隣接する小空間の境界部毎に必要に応じて設置/非設置される間仕切りと、前記境界部毎に前記間仕切りが設置されているか否かを検知する間仕切り存在検知手段と、前記間仕切り存在検知手段により検知された前記境界部毎の間仕切りの設置状態と前記小空間同士の隣接関係に基づいて前記間仕切りによって分割された前記大空間内の各分割空間に属する小空間の組を認識する分割空間構成認識手段とを備えた分割空間構成自動認識システムと、
前記小空間毎に設置された防犯機器と、
前記分割空間構成自動認識システムによって認識された前記分割空間毎にその分割空間に属する小空間に設置された前記防犯機器を連携して制御する制御手段と
を備えることを特徴とする分割空間制御システム。
【請求項4】
複数の隣接する小空間から構成される大空間内の前記隣接する小空間の境界部毎に必要に応じて設置/非設置される間仕切りと、前記境界部毎に前記間仕切りが設置されているか否かを検知する間仕切り存在検知手段と、前記間仕切り存在検知手段により検知された前記境界部毎の間仕切りの設置状態と前記小空間同士の隣接関係に基づいて前記間仕切りによって分割された前記大空間内の各分割空間に属する小空間の組を認識する分割空間構成認識手段とを備えた分割空間構成自動認識システムと、
前記小空間毎に設置された照明機器と、
前記分割空間構成自動認識システムによって認識された前記分割空間毎にその分割空間に属する小空間に設置された前記照明機器を連携して制御する制御手段と
を備えることを特徴とする分割空間制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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