説明

分子中に統計的平均で2個以上のヒドロキシル基を有する分枝鎖ポリオール、その製法及びその使用

(A1)分子中に統計的平均で2個以上のイソシアネート基及び
デュロプラスチック三次元架橋結合構造の成分としてそのガラス転移温度を高める2個以上の硬質セグメント(a11)、又は
デュロプラスチック三次元架橋結合構造の成分としてそのガラス転移温度を低下させる2個以上の軟質セグメント
を含有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、
(A2)少なくとも1種の、一般式I:
X[−R(−OH) (I)
[式中、指数及び変数は、次の意味を有する:
nは、1〜5の数であり、
mは、1又は2であり、
Xは、イソシアネート反応性の官能基を表わし、かつ
Rは、2−〜5結合性有機基を表わすが、条件として、(A1)が軟質セグメントを含有する場合には、Rは、少なくとも1個の硬質セグメント(a11)を含有し、又はそれから成り立つ]のポリオールとを、モル比(A2):(A1)≧2及び当量比[X+OH]:NCO≧2で反応させることによって製造可能な、分子中に統計的平均で2個以上のヒドロキシル基を有する分枝鎖ポリオール(A)、その製法及びその使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の範囲
本発明は、分子中に統計的平均で2個以上のヒドロキシル基を有する新規の分枝鎖ポリオールに関する。更に本発明は、分子中に統計的平均で2個以上のヒドロキシル基を有する分枝鎖ポリオールの新規製法に関する。更に本発明は、分子中に統計的平均で2個以上のヒドロキシル基を有する新規の分枝鎖ポリオール及び新規製法により製造される分子中に統計的平均で2個以上のヒドロキシル基を有する分枝鎖ポリオールの使用に関する。
【0002】
公知技術水準
ヒドロキシル基含有成分(I)及びポリイソシアネート含有成分(II)を包含する2成分−系は、欧州特許EP0983323B1から公知である。この際、ヒドロキシル基含有成分(I)は、ヒドロキシル基含有の被膜形成結合剤及び一般式:
HO−CH−CR(C)−CH−OH
[式中、変項Rは、3〜6個の炭素原子を有するアルキル基を表わす]の低分子分枝鎖ジオール、例えば、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールを反応性希釈剤として含有する。
【0003】
公知の2成分−系から製造された被覆物質は、良好な希釈可能性、揮発性有機物質の低含量、良好な混合性及び低い塗布粘度を有するそうである。塗布された被覆物質は、低温で速やかな硬化を示し、かつ高硬度、容易な研摩性、水、酸及び有機溶剤に対する良好な安定性及び卓越した可使時間の被覆を供給するそうである。それは、クリアラッカーとして透明な被覆を供給し、ベースラッカー層にそれ以上侵入しないそうである("ストライク−イン(strike-in)効果"
しかし、被覆の引掻き強度は長時間後には予言不可能に低いことが不利である。
【0004】
また、被覆物質の分野で通例使用される他のジオール、例えば、3−メチル−1,3−プロパン−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ヒドロキシピバリン酸−ヒドロキシピバレート又は1,4−シクロヘキサンジメタノールの使用は、反応性希釈剤として問題を惹起することが不利である。即ち、これらのジオールは、当該成分(I)と非相容性又はその中で不溶性であることが判明し、かつ当該の被覆物質は可使時間対乾燥時間の不利な比率、長時間の乾燥及び/又は著しいストライク−イン−効果を有し、かつ混濁した軟質の被覆を供給する。しかし、これら全ては、公知の被覆物質及びそれから製造される被覆の、それらの適用技術的特性プロフィールを改善する目的のための物質的変性化の可能性を敏感に制限する。
【0005】
本発明の課題
2−及び多成分−系で有利に使用され得るジオール及びポリオールの数を著しく高め、かつそうしてそれから製造される被覆物質及び被覆の適用技術的特性プロフィールを改善するために、2−及び多成分−系の物質的変性化の可能性を著しく拡大させる課題が本発明の基礎にある。
【0006】
更に、特に大多数の容易に得られる出発生成物から簡単かつ極めて良好に再現可能な方法で製造することができる新規のポリオールを製造するという課題が本発明の基礎にある。
【0007】
新規のポリオールは、新規の熱硬化可能な物質として、又は新規の熱硬化可能な物質の成分として突出して使用することができる。
【0008】
新規の熱硬化可能な物質は、貯蔵安定性及び輸送可能性であり、かつ殊に、新規の被覆物質、接着剤、密閉物質及び成形品及びシート用の前駆体、殊に、被覆物質、特に、2−又は多成分系からその使用直前に製造される被覆物質として突出して好適である。
【0009】
新規の被覆物質は、特に、電気浸漬ラッカー、プライマー、充填剤、下地、ベースラッカー、単一上塗ラッカー及びクリアラッカー、殊に、クリアラッカーとして突出して好適である。
【0010】
新規の熱硬化可能な物質は、更に、新規のデュロプラスチック物質、特に、被覆、接着層、密閉物、成形品及びシート、殊に、被覆の製造に突出して好適である。
【0011】
この際、新規の熱硬化可能な物質は、高い固体含量、低いVOC、極めて低い塗布粘度及び、それらが2−又は多成分系から製造されている場合には、特に長い可使時間又は加工時間を有するべきである。殊にそれらは、成分の混合分離及び/又は相分離をするべきではない。
【0012】
新規の被覆は、特に、新規の電気浸漬ラッカー被膜、プライマーラッカー被膜、充填剤ラッカー被膜、砕石保護下地、ベースラッカー被膜、単一上塗ラッカー被膜及びクリアラッカー被膜、殊に、クリアラッカー被膜、特に、突出した特性プロフィールを有する着色−及び/又は模様性の多層ラッカー被膜のクリアラッカー被膜であるべきである。
【0013】
新規の被覆は、殊に、高い腐蝕安定性、化学薬品安定性、天候安定性及び湿潤安定性、極めて良好な流展性、突出した可視的な全体印象(外観)、極めて良好な湿潤引掻き強度及び特に高い乾燥引掻き強度を有するべきである。
【0014】
本発明による解明
従って、分子中に統計的平均で2個以上のヒドロキシル基を有する新規の分枝鎖ポリオール(A)が発明され、これは、
(A1)分子中に統計的平均で2個以上のイソシアネート基及び
デュロプラスチック三次元架橋結合構造の成分としてそのガラス転移温度を高める2個以上の硬質セグメント(a11)、又は
デュロプラスチック三次元架橋結合構造の成分としてそのガラス転移温度を低下させる2個以上の軟質セグメント
を含有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、
(A2)少なくとも1種の、一般式I:
X[−R(−OH)n]m (I)
[式中、指数及び変数は、次の意味を有する:
nは、1〜5の数であり、
mは、1又は2であり、
Xは、イソシアネート反応性の官能基を表わし、かつ
Rは、2−〜5結合性有機基を表わすが、条件として、(A1)が軟質セグメントを含有する場合には、Rは、少なくとも1個の硬質セグメント(a11)を含有し又はそれから成り立つ]のポリオールとを、
モル比(A2):(A1)≧2及び当量比[X+OH]:NCO≧2で反応させることによって製造可能であり、かつ次に、》本発明によるポリオール(A)《として表示される。
【0015】
更に、本発明によるポリオール(A)の新規製法が発明され、この方法では、
(A1)分子中に統計的平均で2個以上のイソシアネート基及び
デュロプラスチック三次元架橋結合構造の成分としてそのガラス転移温度を高める2個以上の硬質セグメント(a11)、又は
デュロプラスチック三次元架橋結合構造の成分としてそのガラス転移温度を低下させる2個以上の軟質セグメント
を含有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、
(A2)少なくとも1種の、一般式I:
X[−R(−OH)n]m (I)
[式中、指数及び変数は、次の意味を有する:
nは、1〜5の数であり、
mは、1又は2であり、
Xは、イソシアネート反応性の官能基を表わし、かつ
Rは、2−〜5結合性有機基を表わすが、条件として、(A1)が軟質セグメントを含有する場合には、Rは、少なくとも1個の硬質セグメント(a11)を含有し又はそれから成り立つ]のポリオールとを、モル比(A2):(A1)≧2及び当量比[X+OH]:NCO≧2で、反応混合物中の遊離イソシアネート基がそれ以上検出されなくなるまで反応させ、かつ次に、》本発明による方法《として表示される。
【0016】
当然、本発明によるポリオール(A)及び本発明による方法によって製造される本発明によるポリオール(A)の、熱硬化可能な物質として、又は熱硬化可能な物質の製造のための新規の使用が発明され、これは次に、》本発明による使用《として表示される。
【0017】
更なる本発明の目的は、説明から明らかである。
【0018】
本発明の利点
公知技術水準の観点では、本発明によるポリオール(A)、本発明による方法及び本発明による使用により、本発明の基礎にある課題が解明され得ることは驚異的であり、かつ当業者には予知不可能であった。
【0019】
本発明によるポリオール(A)は、2−及び多成分−系で有利に使用され得るジオール及びポリオールの数を著しく高め得るので、これから製造される被覆物質及び被覆の適用技術的特性プロフィールを改善するために、2−及び多成分−系の物質的変性化の可能性が著しく拡大される。
【0020】
本発明によるポリオール(A)は、簡単かつ極めて良好に再現可能な方法で、容易に得られる極めて大多数の出発生成物から製造することができる。
【0021】
本発明によるポリオール(A)は、新規の熱硬化可能な物質として又は新規の熱硬化可能な物質の成分として突出して好適である。
【0022】
本発明による熱硬化可能な物質は、貯蔵安定性及び輸送性であり、新規の被覆物質、接着物質、密閉物質及び成形品及びシート用の前駆体、殊に、被覆物質、特に、2−又は多成分系からその使用直前に製造される被覆物質として突出して好適である。
【0023】
本発明の被覆物質は、特に、電気浸漬ラッカー、プライマー、充填剤、下地、ベースラッカー、単一上塗ラッカー及びクリアラッカー、殊に、クリアラッカーとして突出して好適である。
【0024】
更に本発明による熱硬化可能な物質は、新規のデュロプラスチック物質、特に、被覆、接着層、密閉物、成形品及びシート、殊に、被覆の製造に突出して好適である。
【0025】
この際、本発明による熱硬化可能な物質は、高い固体含量、低いVOC、極めて低い塗布粘度及び、それらが2−又は多成分系から製造されている場合には、特に長い可使時間又は加工時間を有する。殊にそれらは、成分の混合分離及び/又は相分離を起こさない。
【0026】
本発明による被覆は、特に、新規の電気浸漬ラッカー被膜、プライマーラッカー被膜、充填剤ラッカー被膜、砕石保護下地、ベースラッカー被膜、単一上塗ラッカー被膜及びクリアラッカー被膜、殊に、クリアラッカー被膜、特に、突出した特性プロフィールを有する、着色−及び/又は模様性の多層ラッカー被膜のクリアラッカー被膜である。
【0027】
本発明による被覆は、殊に、高い腐蝕安定性、化学薬品安定性、天候安定性及び湿潤安定性、極めて良好な流展性、突出した可視的な全体印象(外観)、極めて良好な湿潤引掻き強度及び特に高い乾燥引掻き強度を有する。
【0028】
本発明の詳細な説明
本発明によるポリオール(A)は、有利に、本発明による方法によって製造可能である。
【0029】
本発明による方法は、分子中に統計的平均で2個以上、有利に2.5〜7及び殊に2.5〜6個のイソシアネート基を含有する少なくとも1種の、殊に1種のポリイソシアネート(A1)から出発する。
【0030】
更に、本発明により使用すべきポリイソシアネート(A1)は、デュロプラスチック三次元架橋結合構造の成分としてそのガラス転移温度を上昇させる、2個以上の、有利に3個以上の硬質セグメント(a11)を含有する。周知のように、その硬質セグメント(a11)とは、空間中でのその可動性が制限されている剛性構造のことである。
【0031】
選択的に、本発明により使用すべきポリイソシアネート(A1)は、デュロプラスチック三次元架橋結合構造の成分としてそのガラス転移温度を低下させる、2個以上の、有利に3個以上の軟質セグメントを含有する。周知のように、その軟質セグメントとは、空間中でのその可動性が高い可撓性構造、例えば、有利に3〜30、有利に4〜10及び殊に6個の炭素原子を有する直鎖アルキレン基、ポリオキシアルキレン基、ポリイミン基又はシロキサン基のことである。
【0032】
ポリイソシアネート(A1)は、有利に、イソシアヌレート−、尿素−、ウレタン−、ビウレット−、ウレットジオン(Uretdion)−、イミノオキサジアジンジオン−、カルボジイミド−及びアロファネート基を含む群から選択される、少なくとも1個の基(a12)を含有する。
【0033】
本発明による使用すべきポリイソシアネート(A1)は、2個以上、有利に3個以上の硬質セグメント(a11)を有することが有利である。
【0034】
ポリイソシアネート(A1)の硬質セグメント(a11)は、有利に、非置換の及び不活性置換基(a14)で置換された、ヘテロ原子(a15)含有及びヘテロ原子(a15)不含の、飽和及び不飽和の環状脂肪族基(a13)及び不活性置換基(a14)で置換された及び非置換の、へテロ原子(a15)含有及びヘテロ原子(a15)不含の芳香族基(a13)を含む群から選択される。
【0035】
基(a11)のへテロ原子(a15)は、有利に、硼素−、窒素−、燐−、酸素−及び硫黄原子を含む群から選択される。
【0036】
基(a11)の不活性置換基(a14)は、有利に、ハロゲン原子、1結合性の、非置換の及び過弗素化の、脂肪族、環状脂肪族及び芳香族基、ニトロ基、ニトリル基及び、ポリイソシアネート(A1)の硬質セグメント(a11)と、炭素−炭素−結合を介して又は2結合性の、結合性官能基(a16)を介して結合している脂肪族、環状脂肪族又は芳香族基を含む群から選択される。
【0037】
2結合性の、結合性官能基(a16)は、有利に、エーテル−、チオエーテル−、カルボン酸エステル−、チオカルボン酸エステル−、カルボネート−、チオカルボネート−、燐酸エステル−、チオ燐酸エステル−、ホスホン酸エステル−、チオホスホン酸エステル−、ホスフィット−、チオホスフィット−、スルホン酸エステル−、アミド−、アミン−、チオアミド−、燐酸アミド−、チオ燐酸アミド−、ホスホン酸アミド−、チオホスホン酸アミド−、スルホン酸アミド−、イミド−、ヒドラジド−、ウレタン−、チオウレタン−、尿素−、チオ尿素−、アロファネート−、カルボニル−、チオカルボニル−、スルホン−及びスルホキシド基を含む群から選択される。
【0038】
ポリイソシアネート(A1)の硬質セグメント(a11)は、非置換の及び1〜4個の炭素原子を有する1結合性の脂肪族基(a14)で置換された、へテロ原子(a15)不含の、飽和の、環状脂肪族基(a13)及び非置換の及び1〜4個の炭素原子を有する1結合性の脂肪族基(a14)で置換された、へテロ原子(a15)不含の芳香族基(a13)を含む群から選択される。
【0039】
ポリイソシアネート(A1)のへテロ原子(a15)不含の、飽和の、環状脂肪族硬質セグメント(a11)は、特に有利に、置換及び非置換の、単環状、二環状、三環状及び四環状の架橋結合−化合物及びスピロ環状化合物を含む群から選択される環状脂肪族化合物(a131)から誘導される;かつヘテロ原子(a15)不含の、芳香族硬質セグメント(a11)は、置換及び非置換の、単環状及び多環状の、縮合された及び非縮合の芳香体を含む群から選択される芳香族化合物(a131)から誘導される。
【0040】
非置換の、単環状、二環状、三環状及び四環状の架橋結合−化合物(a131)及びスピロ環状化合物(a131)は、極めて特に有利に、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、p−メンタン、m−メンタン、o−メンタン、1,1,2,3−テトラメチルシクロヘキサン、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサン、ツジャン、カラン、ピナン、ボルナン、ノルカラン、ノルピナン、ノルボルナン、カンファン、2−エチル−ピナン、2,4,7,7−テトラメチル−ノルカラン、2,2−ジメチル−ノルボルナン、ヒドロインダン、ジシクロヘキシルメタン、2,2−ジシクロヘキシルプロパン、ペルヒドロナフタリン、ペルヒドロアセナフテン、ペルヒドロフェナントレン、ペルヒドロアントラセン、ペルヒドロフルオレン、アビエタン、ピマラン、ラブダン、フィロクラダン、ギブバン、ゴナン、コレスタン、ラノスタン、アンブラン、オナセラン、オレアナン、ウルサン、ガンマセラン、ルパン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[5.2.0]ノナン、ビシクロ[4.3.2]ウンデカン、トリシクロ[2.2.1.02,6]ヘプタン、トリシクロデカン、トリシクロ[5.4.0.02,9]ウンデカン、トリシクロ[5.3.2.04,9]ドデカン、トリシクロ[5.5.1.03,11]トリデカン、ペルヒドロ−1,4−エタノ−5,8−メタノアントラセン、アダマンタン、スピロ[3.3]ヘプタン、スピロ[3.4]オクタン、スピロ[4.5]デカン、スピロビシクロヘキサン及びジスピロ[5.1.7.2]ヘプタデカンを含む群から選択される;かつ単環状及び多環状の縮合及び非縮合芳香体(a131)は、ベンゾール、トルオール、キシロール、テトラメチルキシロール、ビフェニル、ジフェニルメタン、2,2−ジフェニルプロパン、1,2−、1,3−又は1,4−ジフェニルベンゾール(テルフェニレン)、位置異性のクァテルフェニレン、1,3,5−トリフェニルベンゾール、ナフタリン、アセナフチレン、アセナフテン、フェナントレン、フルオレン、アントラセン、クリセン、ピレン及びフルオランテンを含む群から選択される;殊に、ベンゾール、トルオール、テトラメチルキシロール、ジフェニルメタン及び2,2−ジフェニルプロパンから選択される。
化合物(a131)は、殊に、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサン、2−エチル−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、3−プロピル−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、4−ブチル−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン、ブチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン、2,2−ジシクロヘキシルプロパン、ベンゾール、トルオール、テトラメチルキシロール、ジフェニルメタン及び2,2−ジフェニルプロパンを含む群から選択される。
【0041】
極めて特に有利なポリイソシアネート(A1)は、イソホロンジイソシアネート(=5−イソシアナト−1−イソシアナトメチル−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン)、5−イソシアナト−1−(2−イソシアナトエチ−1−イル)−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、5−イソシアナト−1−(3−イソシアナトプロピ−1−イル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、5−イソシアナト−(4−イソシアナトブチ−1−イル)−1,3,3−トリメチル−シクロへキサン、1−イソシアナト−2−(3−イソシアナトプロピ−1−イル)−シクロヘキサン、1−イソシアナト−2−(3−イソシアナトエチ−1−イル)シクロヘキサン、1−イソシアナト−2−(4−イソシアナトブチ−1−イル)−シクロヘキサン、1,2−ジイソシアナトシクロブタン、1,3−ジイソシアナトシクロブタン、1,2−ジイソシアナトシクロペンタン、1,3−ジイソシアナトシクロペンタン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−及び2,6−トルイレンジイソシアネート、1,2−、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、ナフタリン−1,4−、−1,3−、−1,2−、−1,5−又は−2,5−ジイソシアネート、プロパン−2,2−ジ(フェニル−4’−ジイソシアネート)、メタン−ジ(フェニル−4’−イソシアネート)又は1,1’−ジフェニル−4,4’−ジイソシアネート及びこれらのジイソシアネートのオリゴマーを含む群から選択され得る。
【0042】
この際、ジイソシアネート(A1)のオリゴマー(A1)が、イソシアヌレート−、尿素−、ウレタン−、ビウレット−、ウレットジオン−、イミノオキサジアジンジオン−、カルボジイミド−及びアロファネート基(a12)を含む群から選択される基を含有する場合が特に有利である。
【0043】
本発明によりポリイソシアネート(A1)を、少なくとも1種の、殊に1種の一般式I:
X[−R(−OH) (I)
[式中、指数及び変数は、次の意味を有する:
nは、1〜5の数、有利に1〜5の整数及び殊に1又は2であり、
mは、1又は2、殊に1であり、
Xは、有利に、ヒドロキシル基、チオール基、一級アミノ基及び二級アミノ基−NH−を含む群から選択されるイソシアネート反応性の官能基、殊にヒドロキシル基を表わし、
Rは、2−〜5結合性、有利に2結合性又は3結合性及び殊に2結合性の有機基を表わすが、条件として、(A1)が軟質セグメント、有利に前記されたそれを含有する場合には、Rは、少なくとも1個、殊に1個の硬質セグメント(a11)を含有し、又はそれから成り立つ]のポリオール(A2)と反応させる。
【0044】
一般式Iの有機基Rは、有利に、
非置換の及び不活性置換基(a14)で置換された、へテロ原子(a15)含有及びヘテロ原子(a15)不含の、2結合性の、結合性官能基(a16)含有及びそれを不含の、飽和及び不飽和の、脂肪族、環状脂肪族及び芳香族基を含有する基、及び
非置換の及び不活性置換基(a14)で置換された、ヘテロ原子(a15)含有及びヘテロ原子(a15)不含の、2結合性の、結合性官能基(a16)含有及びそれを不含の、飽和及び不飽和の、脂肪族、環状脂肪族及び芳香族基を含む基
を含む群から選択される。
【0045】
基Rは、特に有利に、2〜50個の炭素原子を含有する。
【0046】
一般式Iのポリオール(A2)は、有利に、ジオール、トリオール、テトロール、ペンチット、ヘキシット、チオアルカノール及びアルカノールアミンを含む群から、有利に、ジオール、トリオール及びアルカノールアミン及び殊にジオールから選択される。
【0047】
本発明により有利である、ポリイソシアネート(A1)が前記の硬質セグメント(a11)を含有する場合には、軟質セグメントを含有するポリオール(A2)が有利に使用される。
【0048】
この種類の好適なトリオール、テトロール、ペンチット及びヘキシット(A2)の例は、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、エリスリット、トレイット、ペンタエリスリット、ジペンタエリスリット、ホモペンタエリスリット、アラビット、アドニット、キシリット、マンニット、ソルビット、ダルシット及びイノシットである。
【0049】
この種類の好適なチオアルカノール(A2)の例は、チオエタノール及びチオプロパノールである。
【0050】
この種類の好適なアルカノールアミン(A2)の例は、アミノエタノール及びジエタノールアミンである。
【0051】
この種類の好適なジオール(A2)の例は、2個のヒドロキシル基で官能化されている環状及び非環状のC〜C16−アルカンである。
【0052】
ジオール(A2)がそれから誘導されるC〜C16−アルカンとして、基本的に全ての直鎖又は分枝鎖の、有利に分枝鎖の、9〜16個の炭素原子を有するアルカンがこれに該当する。
【0053】
化合物(B)がそれから誘導されるC〜C16−アルカンは、有利に、2−メチルオクタン、4−メチルオクタン、2,3−ジメチル−ヘプタン、3,4−ジメチル−ヘプタン、2,6−ジメチル−ヘプタン、3,5−ジメチル−ヘプタン、2−メチル−4−エチル−ヘキサン、イソプロピル−シクロヘキサン、4−エチルオクタン、2,3,4,5−テトラメチル−ヘキサン、2,3−ジエチル−ヘキサン、1−メチル−2−n−プロピル−シクロヘキサン、2,4,5,6−テトラメチル−ヘプタン、3−メチル−6−エチル−オクタン、1’−エチル−ブチル−シクロヘキサン、位置異性のジエチルオクタン、3,4−ジメチル−5−エチル−ノナン、4,6−ジメチル−5−エチル−ノナン、3,4−ジメチル−7−エチル−デカン、3,6−ジエチル−ウンデカン、3,6−ジメチル−9−エチル−ウンデカン、3,7−ジエチル−ドデカン及び4−エチル−6−イソプロピル−ウンデカンを含む群から選択される。
【0054】
〜C16−アルカンは、有利に、位置異性のジエチルオクタンである。
【0055】
従って、有利なジオール(A2)は、位置異性のジエチルオクタンジオールであり、直鎖のC−炭素鎖を含有するそれが特に有利である。
【0056】
この際、C−炭素鎖は、2個のエチル基について、置換型2,3、2,4、2,5、2,6、2,7、3,4、3,5、3,6又は4,5を有することができる。
【0057】
同様に、C−炭素鎖は、2個のヒドロキシル基について、置換型1,2、1,3、1,4、1,5、1,6、1,7、1,8、2,3、2,4、2,5、2,6、2,7、2,8、3,4、3,5、3,6、3,7、3,8、4,5、4,6、4,8、5,6、5,7、5,8、6,7、6,8又は7,8を有することができる。
【0058】
ジエチルオクタンジオール(A2)は、有利に、
2,3−ジエチルオクタン−1,2−、−1,3−、−1,4−、−1,5−、−1,6−、−1,7−、−1,8−、−2,3−、−2,4−、−2,5−、−2,6−、−2,7−、−2,8−、−3,4−、−3,5−、−3,6−、−3,7−、−3,8−、−4,5−、−4,6−、−4,7−、−4,8−、−5,6−、−5,7−、−5,8−、−6,7−、−6,8−及び−7,8−ジオール、
2,4−ジエチルオクタン−1,2−、−1,3−、−1,4−、−1,5−、−1,6−、−1,7−、−1,8−、−2,3−、−2,4−、−2,5−、−2,6−、−2,7−、−2,8−、−3,4−、−3,5−、−3,6−、−3,7−、−3,8−、−4,5−、−4,6−、−4,7−、−4,8−、−5,6−、−5,7−、−5,8−、−6,7−、−6,8−及び−7,8−ジオール、
2,5−ジエチルオクタン−1,2−、−1,3−、−1,4−、−1,5−、−1,6−、−1,7−、−1,8−、−2,3−、−2,4−、−2,5−、−2,6−、−2,7−、−2,8−、−3,4−、−3,5−、−3,6−、−3,7−、−3,8−、−4,5−、−4,6−、−4,7−、−4,8−、−5,6−、−5,7−、−5,8−、−6,7−、−6,8−及び−7,8−ジオール、
2,6−ジエチルオクタン−1,2−、−1,3−、−1,4−、−1,5−、−1,6−、−1,7−、−1,8−、−2,3−、−2,4−、−2,5−、−2,6−、−2,7−、−2,8−、−3,4−、−3,5−、−3,6−、−3,7−、−3,8−、−4,5−、−4,6−、−4,7−、−4,8−、−5,6−、−5,7−、−5,8−、−6,7−、−6,8−及び−7,8−ジオール、
2,7−ジエチルオクタン−1,2−、−1,3−、−1,4−、−1,5−、−1,6−、−1,7−、−1,8−、−2,3−、−2,4−、−2,5−、−2,6−、−2,7−、−2,8−、−3,4−、−3,5−、−3,6−、−3,7−、−3,8−、−4,5−、−4,6−、−4,7−、−4,8−、−5,6−、−5,7−、−5,8−、−6,7−、−6,8−及び−7,8−ジオール、
3,4−ジエチルオクタン−1,2−、−1,3−、−1,4−、−1,5−、−1,6−、−1,7−、−1,8−、−2,3−、−2,4−、−2,5−、−2,6−、−2,7−、−2,8−、−3,4−、−3,5−、−3,6−、−3,7−、−3,8−、−4,5−、−4,6−、−4,7−、−4,8−、−5,6−、−5,7−、−5,8−、−6,7−、−6,8−及び−7,8−ジオール、
3,5−ジエチルオクタン−1,2−、−1,3−、−1,4−、−1,5−、−1,6−、−1,7−、−1,8−、−2,3−、−2,4−、−2,5−、−2,6−、−2,7−、−2,8−、−3,4−、−3,5−、−3,6−、−3,7−、−3,8−、−4,5−、−4,6−、−4,7−、−4,8−、−5,6−、−5,7−、−5,8−、−6,7−、−6,8−及び−7,8−ジオール、
3,6−ジエチルオクタン−1,2−、−1,3−、−1,4−、−1,5−、−1,6−、−1,7−、−1,8−、−2,3−、−2,4−、−2,5−、−2,6−、−2,7−、−2,8−、−3,4−、−3,5−、−3,6−、−3,7−、−3,8−、−4,5−、−4,6−、−4,7−、−4,8−、−5,6−、−5,7−、−5,8−、−6,7−、−6,8−及び−7,8−ジオール、並びに
4,5−ジエチルオクタン−1,2−、−1,3−、−1,4−、−1,5−、−1,6−、−1,7−、−1,8−、−2,3−、−2,4−、−2,5−、−2,6−、−2,7−、−2,8−、−3,4−、−3,5−、−3,6−、−3,7−、−3,8−、−4,5−、−4,6−、−4,7−、−4,8−、−5,6−、−5,7−、−5,8−、−6,7−、−6,8−及び−7,8−ジオール、
を含む群から選択される。
【0059】
2個のエチル基は2,4−位にあることが有利である。
【0060】
2個のヒドロキシル基は、1,5−位にあることが有利である。
【0061】
前記の種類のジオール(A2)として、有利に、2,4−ジエチルオクタン−1,5−ジオールが使用される。
【0062】
位置異性のジエチルオクタンジオール(A2)は自体公知の化合物であり、かつ有機化学の慣例的な公知合成法、例えば、塩基触媒アルドール縮合によって製造され得て、又は化学的大合成、例えば、2−エチル−ヘキサノールの製造の副生成物として生成する。
【0063】
好適なジオール(A2)の他の例は、ドイツ国特許出願DE19948004A1、5頁38行〜6頁7行、及び欧州特許EP0983323B1、2頁[0010]及び[0011]節、及び7頁[0055]節から公知である。
【0064】
この際、本発明による方法の極めて特別な利点として、欧州特許EP0983323B1で不利であると記載されたジオール 3−メチル−1,3−プロパン−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ヒドロキシピバリン酸−ヒドロキシピバレート又は1,4−シクロヘキサンジメタノールを、本発明の範囲で問題なく使用することができることが実証される。
【0065】
本発明によりあまり有利ではないが、ポリイソシアネート(A1)が前記の軟質セグメントを含有する場合には、硬質セグメント(a11)を含有するポリオール(A2)を有利に使用する。前記の硬質セグメント(a11)を使用することが有利である。
【0066】
この種類の好適なポリオール(A2)の例は、1,2−、1,3−及び1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン及び1,2−、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノールである。
【0067】
本発明による方法では、ポリオール(A2)を、ポリイソシアネート(A1)と、モル比(A2):(A1)≧2、有利に≧2〜5、及び当量比[X+OH]:NCO≧2、有利に≧2〜4で反応させる。
【0068】
更に、本発明による方法では、一般式Iのポリオール(A2)の30モル%までを、少なくとも1種の、一般式II:
X−R (II)
[式中、変項Xは前記の意味を有し、かつ変項Rは、1結合性の有機基を表わす]の化合物(A3)によって代えられていてよい。
【0069】
基Rは、有利に、非置換及び不活性置換基(a14)で置換された、ヘテロ原子(a15)含有及びヘテロ原子(a15)不含の、飽和及び不飽和の、脂肪族及び環状脂肪族基(r11)及び不活性置換基(a14)で置換された及び非置換の、へテロ原子(a15)含有及びへテロ原子(a15)不含の芳香族基(r11)を含む群から、及び2個以上の異なった基(r11)を含有する群から選択される。不活性置換基は、基(r11)を有する2結合性の結合性官能基(a16)と結合していてよい。2個以上の異なった基(r11)は、基(a16)を介して相互に結合していてもよい。
【0070】
基(r11)は、有利に、1〜1000、特に有利に2〜750及び殊に2〜500個の炭素原子を含有する。
【0071】
基(r11)は、飽和脂肪族であることが特に有利である。
【0072】
Xは、ヒドロキシル基であることが極めて特に有利である。
【0073】
化合物(A3)とは、殊に、低分子及びオリゴマーの脂肪族モノアルコール、例えば、2−エチルヘキサノール、数平均分子量250ダルトンを有するオリゴマーのポリイソブチレン−1−オール又はエプシロン−カプロラクトンとモノアルコールとのオリゴマー反応生成物のことである。
【0074】
化合物(A3)を使用する場合には、モル比[(A2)+(A3)]:(A1)は、≧2、有利に≧2〜5であり、かつ当量比[X+OH]:NCOは、≧2、有利に≧2〜4である。
【0075】
(A1)と(A2)及び場合により(A3)との反応は、例えば、イソシアネート基とイソシアネート反応性官能基との反応の触媒に通例使用される触媒が存在して実施することができる。この際、通例的な公知の触媒的有効量を使用することができる。好適な触媒の例は、有機錫化合物、例えば、ジブチル錫ジラウレート及びビスマス化合物、例えば、ビスマスラクテートである。
【0076】
本発明による方法では、(A1)と(A2)及び場合により(A3)との反応は、反応混合物中で、イソシアネート基についての慣例的及び公知の定性的及び定量的検出法で、遊離イソシアネート基がそれ以上検出不可能になるまでの間実施される。
【0077】
(A1)と(A2)及び場合により(A3)との反応は、物質で又は有利に、イソシ
アネート反応性官能基を含有しない不活性有機溶剤中で実施され得る。
【0078】
(A1)と(A2)及び場合により(A3)との反応は、方法的には特殊性を示さないが、ポリイソシアネートの取扱い及び反応のために通例使用される反応器中で行なわれ、この際、ポリイソシアネートとの関係に通例的な公知の安全手段が講じられる。
【0079】
生成する本発明によるポリオール(A)は、様々な使用目的に用いられ得る。これは、有利に、本発明による使用範囲で、本発明による熱硬化可能な物質として、又は本発明による熱硬化可能な物質の製造のために用いられる。
【0080】
更に、本発明による熱硬化可能な物質は、なお物理的に、酸化的に及び/又は化学線で硬化可能であってよい。化学線とは、電磁線、例えば、近赤外線(NIR)、可視光線、UV−線、レントゲン線及びガンマ線、殊にUV−線、及び粒子線、例えば、電子線、ベータ線、陽子線、中性子線及びアルファ線、殊に電子線が解される。
【0081】
本発明による物質は、有利に、新規の、熱的に又は熱的に及び化学線で硬化可能な被覆物質、接着剤、密閉物質及び成形品及びシートの前駆体として使用される。
【0082】
これは本発明による被覆物質として使用されることが有利である。
【0083】
本発明による被覆物質は、有機溶剤をベースとする慣例的被覆物質、水性被覆物質、粉末状被覆物質又は粉末の懸濁液(粉末スラリ)であってよい。これは、単成分−又は多成分系、殊に、2成分系であってよい。これは、イソシアネート反応性の官能基、殊に、ヒドロキシル基を有する成分を含有する結合剤成分及びポリイソシアネートを有する架橋結合剤成分を含む2成分系であることが有利である。
【0084】
本発明による被覆物質は、特に有利に、新規の電気浸漬ラッカー、プライマー、充填剤、下地、ベースラッカー、単一上塗ラッカー及びクリアラッカー、殊に、クリアラッカーである。
【0085】
本発明による熱硬化可能な物質の製造は、方法的に見れば特殊性を示さないが、これは、本発明によるポリオール(A)と被覆物質の通例的な及び公知の成分との混合によって混合され、その後に混合物を均一にする。本発明による熱硬化可能な物質の製造のための好適な混合装置の例は、攪拌釜、インライン−溶解機、ローター/スターター−分散機、ウルトラテュラックス(Ultraturrax)、マイクロフルイダイザー(Microfluidizer)、高圧−ホモジナイザー又はノズル噴射−分散機である。本発明による熱硬化可能な物質が、化学線で活性化可能である成分を含有すべき場合には、本発明による熱硬化可能な物質の製造及び続いての貯蔵の際に、化学線の排除が推奨される。
【0086】
この際、本発明による熱硬化可能な物質の、本発明によるポリオール(A)の含量は、極めて広く変化し、即ち、個々の場合の必要性に最適に適合され得る。(A)の含量は、有利に、各々本発明による被覆物質の固体に対して、5〜95質量%、有利に5〜90質量%、特に有利に10〜80質量%及び殊に10〜70質量%であり、この際、》固体《とは、本発明により熱硬化可能な物質から製造される本発明によるデュロプラスチック物質を構成する全ての成分の合計が解される。
【0087】
被覆物質の通例的及び公知の成分は、酸化的、物理的、熱的に及び/又は化学線で硬化可能な結合剤、架橋結合剤、中和剤;有機溶剤、熱的に、化学線で及び熱的に及び化学線で硬化可能な反応性希釈剤;透明及び不透明な、着色性、模様性及び着色−及び模様性の顔料;透明及び不透明の充填剤;ナノ粒子;分子分散性の可溶性染料;光保護剤;抗酸化剤;中和剤;湿潤剤;乳化剤;スリップ剤;重合抑制剤;熱的架橋結合のための触媒;易熱性のラジカル重合開始剤;光重合開始剤及び−助重合開始剤;付着助剤;流展剤;膜化助剤;流動助剤;防炎剤;腐蝕抑制剤;蝋;乾燥剤;殺生物剤及び艶消し剤;を含む群から選択される。
【0088】
これらは通例的な公知の有効量で有利に使用される。
【0089】
本発明による熱硬化可能な物質が、クリアラッカー又は透明シート及び成形品の前駆体である場合には、これらは不透明な成分を含まない。
【0090】
被覆物質の好適な成分の例は、ドイツ国特許出願DE19914899A1、14頁36行〜16頁63行、17頁7行〜18頁13行、18頁16〜21行、19ページ10〜22行及び30〜61行から公知である。
【0091】
本発明による熱硬化可能な物質は、本発明によるディロプラスチック物質の製造の本発明による使用範囲で用いられる。
【0092】
本発明によるデュロプラスチック物質は、有利に、新規の被覆被膜、接着層、密閉物質、成形品及びシート、殊に新規の被覆被膜である。
【0093】
本発明による被覆は、有利に、新規の電気浸漬ラッカー被膜、プライマーラッカー被膜、充填剤ラッカー被膜又は砕石保護下地、ベースラッカー被膜、単一上塗ラッカー被膜及びクリアラッカー被膜、殊に、クリアラッカー被膜である。
【0094】
これらの本発明によるラッカー被膜は、1層又は多層であってよい。これらは多層であることが極めて特に有利であり、この際、少なくとも2層のラッカー被膜、殊に少なくとも1層の電気浸漬ラッカー被膜、少なくとも1層の充填剤ラッカー被膜又は砕石保護下地、及び少なくとも1層のベースラッカー被膜及び少なくとも1層のクリアラッカー被膜又は少なくとも1層の単一上塗ラッカー被膜を包含し得る。
【0095】
本発明による多層ラッカー被膜は、特に有利に、少なくとも1層のベースラッカー被膜及び少なくとも1層のクリアラッカー被膜を包含する。
【0096】
本発明による多層ラッカー被膜のクリアラッカー被膜を、本発明によるクリアラッカー被膜から製造することが特に有利である。
【0097】
本発明によるクリアラッカー被膜とは、本発明による多層ラッカー被膜の最も外側の層のことであり、これは、実際に、可視的な全体印象(外観)を決定しかつ着色−及び/又は模様性のベースラッカー被膜を機械的及び化学的損傷及び光線による損傷から保護する。この際、本発明によるクリアラッカー被膜は、
機械的応力、例えば、引張り、伸長、衝撃、引掻き又は摩擦に対して特に無感応である、
水分(例えば、水蒸気の形で)、溶剤及び希釈された化学薬品に対して特に耐性である及び
環境的影響、例えば、温度変化及びUV−線に対して特に安定である及び
高い光沢を有する及び
様々な支持体上での良好な付着性を有する
ことが実証される。
【0098】
これがその製造後に、黄変化を示さないことは当然である。
【0099】
使用目的に応じて、本発明による物質は、一時的又は永久的支持体上に塗布される。
【0100】
本発明によるシート及び成形品の製造のために、通例で公知の一時的支持体、例えば、本発明によるシート又は成形品が損傷されることなく容易に除去され得る、金属−及びプラスチック帯状物又は金属、ガラス、プラスチック、木又はセラミック製の中空体が使用される。
【0101】
本発明による混合物を、被覆、接着物質及び密閉物質の製造のために使用する場合には永久的支持体が使用される。
【0102】
支持体とは、有利に、次のものが重要である:
地面、水又は空気に対して筋力、熱気又は風で操作される推進手段、例えば、自転車、トロッコ、こぎ舟、帆掛け舟、熱気球、気球又はグライダー、及びそれらの部品、
地面、水又は空気に対して発動力で操作される推進手段、例えば、オートバイ、実用車又は自動車、殊に、PKW、水上−又は潜水艇又は飛行機、及びそれらの部品
固定された浮遊体、例えば、ブイ又は港湾設備の部品、
内部範囲及び外部範囲における建築物、
ドア、窓及び家具及び
ガラス中空体、
工業的小型部品、例えば、ネジ、ナット、ハブキャップ又はリム、
容器、例えば、コイル、コンテナー又は包装、
電気技術的建築物、例えば、電気的巻物、例えば、コイル、
光学的建築物、
機械的建築物及び
白色物品、例えば、家具、ボイラ及びラジェーター。
【0103】
本発明によるシート及び成形品は、支持体としても同様に用いられる。
【0104】
支持体とは、殊に、自動車体及びその部品が重要である。この際、本発明による熱硬化可能な物質又はそれから製造される本発明による被覆は、有利に、自動車体の仕上げラッカー被膜(OEM)又は本発明による及び非本発明による仕上げラッカー被膜の修復ラッカー被膜に用いられる。本発明による仕上げ塗布、殊に、本発明によるクリアラッカー被膜を含有するそれは、突出した仕上げラッカー可能性を有する。本発明による修復ラッカー被膜は、本発明による及び非本発明による仕上げラッカー被膜上に突出的に付着する。
【0105】
本発明による熱硬化可能な物質の塗布は、方法的に特別性を示さないが、全ての通例的な公知の、各々の混合物に好適な塗布法、例えば、電気浸漬ラッカー塗布、射出、噴霧、ナイフ塗布、ハケ塗り、注入、浸漬、滴下又はローラー掛けによって行なわれる。射出塗布法が有利に適用される。
【0106】
塗布の際に、本発明による熱硬化可能な物質が付加的に化学線で硬化可能である場合には、化学線の遮断下に作業することが推奨される。
【0107】
本発明による多層ラッカー被膜の製造には、ウェット−オン−ウェット法及び構成法を使用することができ、これは、例えば、ドイツ国特許出願DE19930067A1、15頁23行〜16頁36行、又はDE19940855A1、30欄39行〜31欄48行、及び32欄15〜29行から公知である。基本的に本発明による多層ラッカー被膜の全体層が本発明による熱硬化可能な物質から製造され得ることは、本発明による使用の極めて重要な利点である。ウェット−オン−ウェット法で、ストライク−イン−効果(strike-in-Effekten)とならないことがもう1つの特別な利点である。
【0108】
本発明による熱硬化可能な物質の熱硬化は、有利に室温で既に行なわれる又は開始する。
【0109】
しかし、これは一定の静止時間又は暴気時間後に初めて行なうこともできる。暴気時間又は静止時間は、30秒間(s)〜2時間(h)、有利に1分間(min)〜1時間及び殊に1〜45分間の時間を有することができる。静止時間は、例えば、塗布した本発明による熱硬化可能な物質の経過及び脱ガスのために、及び揮発成分、例えば、場合により存在する溶剤の揮発のために用いられる。暴気は、高められた温度によって及び/又は減少された空気湿度によって促進され得る。
【0110】
塗布された本発明による熱硬化可能な物質の熱硬化は、例えば、ガス状、液状及び/又は固体の熱媒体、例えば、熱気、加熱油又は加熱ローラー、又はマイクロウェーブ線、赤外線光及び/又は近赤外線光(NIR)の作用によって促進され得る。加熱は、空気循環炉中で又はIR−及び/又はNIR−ランプでの照射によって行なわれる。
【0111】
化学線での硬化は、例えば、ドイツ国特許出願DE19818735A1、10欄31〜61行、ドイツ国特許出願DE10202565A1、9頁[0092]節〜10頁[0106]節、ドイツ国特許出願DE10316890A1、17頁[0128]〜[0130]節、国際特許出願WO94/11123、2頁35行〜3頁6行、3頁10〜15行及び8頁1〜14行、又は米国特許US6743466B2、6欄53行〜7欄14行に記載されている、通例的な公知の装置及び方法で実施され得る。
【0112】
本発明による熱硬化可能な物質の硬化は、酸素の広汎な又は完全な遮断下に実施され得る。
【0113】
本発明の範囲では、塗布された本発明による混合物の表面での酸素濃度が<21容量%、有利に<18容量%、有利に<16容量%、特に有利に<14容量%、極めて特に有利に<10容量%及び殊に<6容量%である場合に、酸素は広汎に遮断されたと認められる。
【0114】
本発明の範囲では、表面の酸素濃度が通例で公知の検出法の検出限度下にある場合に、酸素は完全に遮断されたと認められる。
【0115】
酸素の濃度は、≧0.001容量%、特に有利に≧0.01容量%、極めて特に有利に≧0.1容量%及び殊に≧0.5容量%であることが有利である。
【0116】
酸素の所望濃度は、ドイツ国特許DE10130972C1、6頁[0047]〜[0052]節に記載された手段によって又はシートの貼付によって調整され得る。
【0117】
得られる本発明によるデュロプラスチック物質、有利に、本発明によるシート、成形品、被覆、接着層及び密閉物室、特に有利に、本発明による被覆、極めて特に有利に、本発明による電気浸漬ラッカー被膜、プライマー−ラッカー被膜、充填剤ラッカー被膜又は砕石保護下地、ベースラッカー被膜、単一上塗ラッカー被膜及びクリアラッカー被膜、殊に、本発明によるクリアラッカー被膜は、前記の下地された又は非下地化の支持体の被覆、接着、密着、包被及び包装、及び前記の下地された又は非下地化の支持体への取付又は組入に突出して好適である。
【0118】
本発明による被覆で被覆されている、本発明による接着層で接着されている、本発明による密閉物質で密閉されている及び/又は本発明によるシート及び/又は成形品で包被されている、包装されている及び/又は結合されている、得られる本発明による支持体は、特に長い使用時間と結び付いた、突出した使用特性を有する。
【0119】
例及び比較試験
例1
分枝鎖ポリオール(A1)の製造
攪拌器、還流冷却器、内部温度計及び不活性ガス導入口を備えた反応容器中に、バイエルマテリアルサイエンス社(Firma Bayer Material Science)のデスモデュール(Desmodur)(登録商標)Z4470(トライマーのイソホロンジイソシアネート、イソシアネート−当量:252g固体/イソシアネート−当量、ブチルアセテート中70質量%の)169.2質量部を、窒素雰囲気下に前以て装入させた。ソルベントナフサ(Solventnaphtha)(登録商標)中のジブチル錫ジラウレートの5%溶液0.48質量部及びヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル(HPN、分子量204ダルトン)121.5質量部及びブチルアセテート109質量部を添加した。生成した均一混合物を室温で攪拌した。この際、HPNは、4時間の間に弱発熱的変化で溶解した。生成した均一混合物を、2時間の間に80℃に攪拌下で加熱した。続いて、この中では遊離イソシアネート基はそれ以上検出されなかった。反応混合物を室温に冷却させ、それによって、理論的固体含量60質量%及び理論的ヒドロキシル−当量333g固体樹脂/ヒドロキシル−当量を有する分枝鎖ポリオール(A1)の澄明な溶液が生成した。
【0120】
例2
分枝鎖ポリオール(A2)の製造
攪拌器、還流冷却器、内部温度計及び不活性ガス導入口を備えた反応容器中に、バイエルマテリアルサイエンス社のデスモデュール(登録商標)Z4470(トライマーのイソホロンジイソシアネート、イソシアネート−当量:252g固体/イソシアネート−当量、ブチルアセテート中70質量%の)201質量部を、窒素雰囲気下に前以て装入させた。ソルベントナフサ(登録商標)中のジブチル錫ジラウレートの5%溶液0.48質量部及び2−エチルヘキサノール(分子量130ダルトン)24.2質量部を添加した。生成した溶液を、発熱的熱変化が沈静するまでの間攪拌した。引き続き、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール(分子量144ダルトン)75質量部を添加した。生成した均一混合物を室温で攪拌し、そうしてシクロヘキサン−1,4−ジメタノールは3時間の間に弱い熱変化及び反応下に溶解した。反応混合物を2時間の間に80℃に加熱した。その後、遊離イソシアネートはそれ以上検出されなかった。反応混合物を室温に冷却させ、それによって、理論的固体含量60質量%及び理論的ヒドロキシル−当量358g固体樹脂/ヒドロキシル−当量を有する分枝鎖ポリオール(A2)の澄明な溶液が生成した。
【0121】
製造例1
結合剤としてのヒドロキシ官能性ポリアクリレート樹脂の製造
2個の装入管、攪拌器、内部温度計、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた反応容器中で、ソルベントナフサ(登録商標)756質量部を前以て装入させた。溶剤を137℃に加熱した。この温度で、第一装入管から、4時間の間に、スチロール173質量部、エチルヘキシルアクリレート804質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート467質量部、n−ヒドロキシブチルアクリレート259質量部及びアクリル酸26質量部を含むモノマー混合物を、かつ第二装入管から、4.5時間の間に、t−ブチルペルエチルヘキサノエート138質量部及びソルベントナフサ(登録商標)176質量部を含む重合開始剤溶液を、同時に開始して、一様に容器に供給した。重合開始剤供給の終了後に、反応混合物を2時間の間に140℃で後重合させ、引き続き冷却させた。生成した結合剤溶液を、ソルベントナフサ(登録商標)で、固体含量65質量%(130℃で1時間の間に空気循環炉中で測定した)に希釈した。結合剤のヒドロキシル価は、ヒドロキシル−当量320に相応する、KOH175mg/樹脂固体gであった。
【0122】
例3及び4及び比較試験V1
分枝鎖ポリオール(A1)又は(A2)を含有する2成分系の結合剤成分の製造(例3及び4)及びジオール(A’)を含有する2成分系の結合剤成分の製造(比較試験V1)
例3:
製造例1の結合剤溶液56.6質量部に、例1の分枝鎖ポリオール(A1)の溶液63.8質量部を添加した。生成した混合物を、ブチルグリコールアセテート12質量部、ソルベントナフサ(登録商標)6質量部及びブチルアセテート11質量部で希釈した。生成した溶液に、Byk(登録商標)306(アルタナヒェミー社(Firma Altana Chemie)の流展剤)0.48質量部及びソルベントナフサ(登録商標)中のジブチル錫ジラウレートの5質量%の溶液0.2質量部を加えた。生成した結合剤成分を5分間室温で攪拌した。結合剤成分は、14日間の貯蔵後も、均一で、澄明でかつ透明のままであった。
【0123】
例4:
製造例1の結合剤溶液78.5質量部に、例2の分枝鎖ポリオール(A2)の溶液40.8質量部を添加した。生成した混合物を、ブチルグリコールアセテート9.6質量部、ソルベントナフサ(登録商標)6質量部及びブチルアセテート15質量部で希釈した。生成した溶液に、Byk(登録商標)306(アルタナヒェミー社の流展剤)0.48質量部及びソルベントナフサ(登録商標)中のジブチル錫ジラウレートの5質量%の溶液0.2質量部を加えた。生成した結合剤成分を5分間室温で攪拌した。結合剤成分は、14日間の貯蔵後も、均一で、澄明でかつ透明のままであった。
【0124】
比較例V1:
製造例1の結合剤溶液56.6質量部に、HPN19.4質量部を加えた。この混合物をブチルグリコールアセテート12部、ソルベントナフサ(登録商標)6質量部及びブチルアセテート28.4質量部で希釈した。生成した溶液に、Byk(登録商標)306(アルタナヒェミー社の流展剤)0.48質量部及びソルベントナフサ(登録商標)中のジブチル錫ジラウレートの5質量%の溶液0.2質量部を加えた。この溶液を、HPNが均一に加入混合するまで、45℃で40分間攪拌した。結合剤成分は、貯蔵の2日間後に既に、微細なHPN−小結晶により生じた混濁を示した。この結合剤成分で製造したクリアラッカーは、針状刺傷を有するクリアラッカー被膜を生じさせた。14日間の貯蔵後に、混濁した結合剤成分は既にHPN結晶を含む沈殿を含有した。この結合剤成分で製造したクリアラッカーは、泡状物及び多数の針状刺傷を有するクリアラッカー被膜を生じさせた。
【0125】
例5及び6及び比較試験V2
例3(例5)又は例4(例6)の結合剤成分を含有するクリアラッカー、及び比較試験V1(比較試験V2)の結合剤成分を含有するクリアラッカーの製造
例5:
例3の結合剤成分を、空気圧射出ラッカー塗布の直前に、バイエルマテリアルサイエンス社のデスモデュール(登録商標)N3390(ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとするポリイソシアネート、ブチルアセテート中90%、イソシアネート−当量:195g固体/イソシアネート−当量)49.9質量部と混合させた。生成したクリアラッカーを、ブチルアセテートで、DIN4−充填剤スコ中で27.5秒間の射出粘度に調整した。これは、比較試験V2のクリアラッカーよりも長い可使時間又は加工時間を有した。
【0126】
例6:
例4の結合剤成分を、空気圧射出ラッカー塗布の直前に、バイエルマテリアルサイエンス社のデスモデュール(登録商標)N3390(ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとするポリイソシアネート、ブチルアセテート中90%、イソシアネート−当量195g固体/イソシアネート−当量)49.9質量部と混合させた。生成したクリアラッカーを、ブチルアセテートで、DIN4−充填剤スコ中で27.5秒間の射出粘度に調整した。これは、比較試験V2のクリアラッカーよりも長い可使時間又は加工時間を有した。
【0127】
比較試験V2:
比較試験V1の結合剤成分を、その製造直後及び空気圧射出ラッカー塗布の直前に、バイエルマテリアルサイエンス社のデスモデュール(登録商標)Z4470(イソホロンジイソシアネートをベースとするポリイソシアネート、ブチルアセテート中70%、イソシアネート−当量252)27質量部及びデスモデュール(登録商標)N3390 49.9質量部と混合させた。生成したクリアラッカーは、例3のクリアラッカーと同様の総組成を有した。これを同様にブチルアセテートで、DIN4−充填剤スコ中で27.5秒間の射出粘度に調整した。
【0128】
例7及び8及び比較試験V3:
例5(例7)のクリアラッカー又は例6(例8)のクリアラッカーでの多層ラッカー被膜及び比較試験V2(比較試験V3)のクリアラッカーでの多層ラッカー被膜の製造
全般的試験工程
クリアラッカーを、空気圧射出ピストルで、電気浸漬ラッカー被膜、充填剤ラッカー被膜及び黒色ベースラッカー被膜で被覆されていた試験板上に塗布した。生成したクリアラッカー層を、室温で10分間の暴気後に、80℃で7分間乾燥させ、引き続き140℃で15分間硬化させた。層厚45μmのクリアラッカー被膜が生成した。
【0129】
例5及び比較試験V2のクリアラッカーの架橋結合変換率を、別々に、140℃で40分間、"ゴールデン−ゲイト(Golden-Gate)−ATR(減衰全反射(attenuated total reflection))−法"で測定した。それにより、例4のクリアラッカーは40分間後に変換率92%及び資格試験V2のクリアラッカーは変換率85%を示した。
【0130】
比較試験V3の多層ラッカー被膜は高光沢性であり、良好な可視的全体印象(外観)を示した。例7及び8の多層ラッカー被膜は、同様に高光沢性であったが、極めて良好な可視的全体印象を示した。
【0131】
例7及び8の多層ラッカー被膜は、10周期の洗濯ブラシ−試験後に、残余光沢58%又は56%及び60℃で2時間の逆流後に、残余光沢84%又は83%を示した。比較試験V3の多層ラッカー被膜の相応する値は、54%及び82%であった。従って、例7及び8の多層ラッカー被膜は、著しくより良好な湿潤引掻き強度を有した。
【0132】
例7及び8の多層ラッカー被膜は、ロタハブ(Rotahub)試験後に、残余光沢93%又は91%を示した。比較試験V3の多層ラッカー被膜の相応する残余光沢は、82%であった。従って、例7及び8の多層ラッカー被膜は、同様に著しくより良好な乾燥引掻き強度を有した。
【0133】
ダイムラークライスラー(Daimler Chrysler)による勾配炉試験は、殊に、例7の多層ラッカー被膜が、比較試験V3の多層ラッカー被膜よりも良好な化学薬品耐性を有することを明らかにした。即ち、最初に可視可能な損傷は、NaOHにより49℃以上で初めて、硫酸により42℃以上で初めて、及び水により50℃以上で初めて出現した。例8の多層ラッカー被膜の相応する温度値は、41℃、45℃及び40℃であった;比較試験V3の多層ラッカー被膜の相応する温度値は、42℃、42℃及び41℃であった。
【0134】
例7の多層ラッカー被膜は、比較試験V3の多層ラッカー被膜(微小押込硬度=113)よりも高い微小押込硬度122(25.6mNでのユニバーサル硬度、ビッカース(Vickers)によるダイアモンドピラミッド(Diamantenpyramide)でのフィッシャースコープ(Fischerscope)100V)を示した。例8の多層ラッカー被膜の微小押込硬度は108であった。
【0135】
例7及び8及び比較試験V3のクリアラッカー被膜の機械的動的特性を、通例で公知の方法で、動的−機械的分析(DMA)で、層厚40±10μmの均一の独立被膜で測定した。例7及び8のクリアラッカー被膜は、比較試験V3のクリアラッカー被膜(メモリモジュールE’=1.2×10Pa;ガラス転移温度=69℃)よりも高いメモリモジュールE’1.5×10Pa又は1.3×10Paを弾性範囲で、かつより高いガラス転移温度76℃又は73℃を有した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A1)分子中に統計的平均で2個以上のイソシアネート基及び
デュロプラスチック三次元架橋結合構造の成分としてそのガラス転移温度を高める2個以上の硬質セグメント(a11)、又は
デュロプラスチック三次元架橋結合構造の成分としてそのガラス転移温度を低下させる2個以上の軟質セグメント
を含有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、
(A2)少なくとも1種の、一般式I:
X[−R(−OH) (I)
[式中、指数及び変数は、次の意味を有する:
nは、1〜5の数であり、
mは、1又は2であり、
Xは、イソシアネート反応性の官能基を表わし、かつ
Rは、2〜5結合性有機基を表わすが、条件として、(A1)が軟質セグメントを含有する場合には、Rは、少なくとも1個の硬質セグメント(a11)を含有し、又はそれから成り立つ]のポリオールとを、
モル比(A2):(A1)≧2及び当量比[X+OH]:NCO≧2で反応させることによって製造可能な、分子中に統計的平均で2個以上のヒドロキシル基を有する分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項2】
ポリイソシアネート(A1)は、硬質セグメント(a11)を有する、請求項1に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項3】
分子中に統計的平均で2個以上のヒドロキシル基を有する、請求項1又は2に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項4】
ポリイソシアネート(A1)は、分子中に3個以上のイソシアネート基を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項5】
ポリイソシアネート(A1)は、分子中に3個以上の硬質セグメント(a11)を含有する請求項2から4までのいずれか1項に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項6】
ポリイソシアネート(A1)は、イソシアヌレート−、尿素−、ウレタン−、ビウレット−、ウレットジオン−、イミノオキサジアジンジオン−、カルボジイミド−及びアロファネート基を含む群から選択される、少なくとも1個の基(a12)を含有する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項7】
ポリイソシアネート(A1)の硬質セグメント(a11)は、非置換の及び不活性置換基(a14)で置換された、へテロ原子(a15)含有及びへテロ原子(a15)不含の、飽和及び不飽和の環状脂肪族基(a13)及び不活性置換基(a14)で置換された及び非置換の、へテロ原子(a15)含有及びヘテロ原子(a15)不含の芳香族基(a13)を含む群から選択される、請求項2から6までのいずれか1項に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項8】
基(a11)のへテロ原子(a15)は、硼素−、窒素−、燐−、酸素−及び硫黄原子を含む群から選択される、請求項7に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項9】
基(a11)の不活性置換基(a14)は、ハロゲン原子、1結合性の非置換の及び過弗素化の、脂肪族、環状脂肪族及び芳香族基、ニトロ基、ニトリル基及び、ポリイソシアネート(A1)の硬質セグメント(a11)と、炭素−炭素−結合を介して又は2結合性の結合性官能基(a16)を介して結合している脂肪族、環状脂肪族又は芳香族基を含む群から選択される、請求項7又は8に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項10】
2結合性の、結合性官能基(a16)は、エーテル−、チオエーテル−、カルボン酸エステル−、チオカルボン酸エステル−、カルボネート−、チオカルボネート−、燐酸エステル−、チオ燐酸エステル−、ホスホン酸エステル−、チオホスホン酸エステル−、ホスフィット−、チオホスフィット−、スルホン酸エステル−、アミド−、アミン−、チオアミド−、燐酸アミド−、チオ燐酸アミド−、ホスホン酸アミド−、チオホスホン酸アミド−、スルホン酸アミド−、イミド−、ヒドラジド−、ウレタン−、チオウレタン−、尿素−、チオ尿素−、アロファネート−、カルボニル−、チオカルボニル−、スルホン−及びスルホキシド基を含む群から選択される、請求項9に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項11】
ポリイソシアネート(A1)の硬質セグメント(a11)は、非置換の及び1〜4個の炭素原子を有する1結合性の脂肪族基(a14)で置換された、へテロ原子(a15)不含の、飽和の、環状脂肪族基(a13)及び非置換の及び1〜4個の炭素原子を有する1結合性の脂肪族基(a14)で置換された、へテロ原子(a15)不含の芳香族基(a13)を含む群から選択される、請求項7から10までのいずれか1項に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項12】
ポリイソシアネート(A1)の、へテロ原子(a15)不含の、飽和の、環状脂肪族硬質セグメント(a11)は、置換及び非置換の、単環状、二環状、三環状及び四環状の架橋結合−化合物及びスピロ環状化合物を含む群から選択される環状脂肪族化合物(a131)から誘導される;かつヘテロ原子(a15)不含の、芳香族硬質セグメント(a11)は、置換及び非置換の、単環状及び多環状の、縮合された及び非縮合の芳香体を含む群から選択される芳香族化合物(a131)から誘導される、請求項7から11までのいずれか1項に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項13】
非置換の、単環状、二環状、三環状及び四環状の架橋結合−化合物(a131)及びスピロ環状化合物(a131)は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、p−メンタン、m−メンタン、o−メンタン、1,1,2,3−テトラメチルシクロヘキサン、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサン、ツジャン、カラン、ピナン、ボルナン、ノルカラン、ノルピナン、ノルボルナン、カンファン、2−エチル−ピナン、2,4,7,7−テトラメチル−ノルカラン、2,2−ジメチル−ノルボルナン、ヒドロインダン、ジシクロヘキシルメタン、2,2−ジシクロヘキシルプロパン、ペルヒドロナフタリン、ペルヒドロアセナフテン、ペルヒドロフェナントレン、ペルヒドロアントラセン、ペルヒドロフルオレン、アビエタン、ピマラン、ラブダン、フィロクラダン、ギブバン、ゴナン、コレスタン、ラノスタン、アンブラン、オナセラン、オレアナン、ウルサン、ガンマセラン、ルパン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[5.2.0]ノナン、ビシクロ[4.3.2]ウンデカン、トリシクロ[2.2.1.02,6]ヘプタン、トリシクロデカン、トリシクロ[5.4.0.02,9]ウンデカン、トリシクロ[5.3.2.04,9]ドデカン、トリシクロ[5.5.1.03,11]トリデカン、ペルヒドロ−1,4−エタノ−5,8−メタノアントラセン、アダマンタン、スピロ[3.3]ヘプタン、スピロ[3.4]オクタン、スピロ[4.5]デカン、スピロビシクロヘキサン及びジスピロ[5.1.7.2]ヘプタデカンを含む群から選択される;かつ単環状及び多環状の縮合及び非縮合芳香体(a131)は、ベンゾール、トルオール、キシロール、テトラメチルキシロール、ビフェニル、ジフェニルメタン、2,2−ジフェニルプロパン、1,2−、1,3−又は1,4−ジフェニルベンゾール(テルフェニレン)、位置異性のクァテルフェニレン、1,3,5−トリフェニルベンゾール、ナフタリン、アセナフチレン、アセナフテン、フェナントレン、フルオレン、アントラセン、クリセン、ピレン及びフルオランテンを含む群から選択される;殊に、ベンゾール、トルオール、テトラメチルキシロール、ジフェニルメタン及び2,2−ジフェニルプロパンから選択される、請求項12に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項14】
化合物(a131)は、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサン、2−エチル−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、3−プロピル−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、4−ブチル−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン、ブチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン、2,2−ジシクロヘキシルプロパン、ベンゾール、トルオール、テトラメチルキシロール、ジフェニルメタン及び2,2−ジフェニルプロパンを含む群から選択される、請求項13に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項15】
ポリイソシアネート(A1)は、イソホロンジイソシアネート(=5−イソシアナト−1−イソシアナトメチル−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン)、5−イソシアナト−1−(2−イソシアナトエチ−1−イル)−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、5−イソシアナト−1−(3−イソシアナトプロピ−1−イル)−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン、5−イソシアナト−(4−イソシアナトブチ−1−イル)−1,3,3−トリメチル−シクロへキサン、1−イソシアナト−2−(3−イソシアナトプロピ−1−イル)−シクロヘキサン、1−イソシアナト−2−(3−イソシアナトエチ−1−イル)シクロヘキサン、1−イソシアナト−2−(4−イソシアナトブチ−1−イル)−シクロヘキサン、1,2−ジイソシアナトシクロブタン、1,3−ジイソシアナトシクロブタン、1,2−ジイソシアナトシクロペンタン、1,3−ジイソシアナトシクロペンタン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−及び2,6−トルイレンジイソシアネート、1,2−、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、ナフタリン−1,4−、−1,3−、−1,2−、−1,5−又は−2,5−ジイソシアネート、プロパン−2,2−ジ(フェニル−4’−ジイソシアネート)、メタン−ジ(フェニル−4’−イソシアネート)又は1,1’−ジフェニル−4,4’−ジイソシアネート及びこれらのジイソシアネートのオリゴマーを含む群から選択される、請求項2から14までのいずれか1項に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項16】
ジイソシアネート(A1)のオリゴマー(A1)は、イソシアヌレート、尿素−、ウレタン−、ビウレット−、ウレットジオン−、イミノオキサジアジンジオン−、カルボジイミド−及びアロファネート基(a12)を含む群から選択される基を含有する、請求項15に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項17】
一般式Iの指数nは、1〜5の整数である、請求項1から16までのいずれか1項に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項18】
一般式Iの指数nは、1又は2である、請求項17に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項19】
一般式Iのイソシアネート反応性官能基Xは、ヒドロキシル基、チオール基、一級アミノ基及び二級アミノ基−NH−を含む群から選択される、請求項1から18までのいずれか1項に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項20】
イソシアネート反応性官能基Xは、ヒドロキシル基である、請求項19に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項21】
一般式Iの有機基Rは、2結合性又は3結合性である、請求項1から20までのいずれか1項に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項22】
一般式Iの有機性Rは、
非置換の及び不活性置換基(a14)で置換された、へテロ原子(a15)含有及びヘテロ原子(a15)不含の、2結合性の、結合性官能基(a16)含有及びそれを不含の、飽和及び不飽和の、脂肪族、環状脂肪族及び芳香族基を含有する基、及び
非置換の及び不活性置換基(a14)で置換された、ヘテロ原子含有及びヘテロ原子(a15)不含の、2結合性の、結合性官能基(a16)含有及びそれを不含の、飽和及び不飽和の、脂肪族、環状脂肪族及び芳香族基を含む基
を含む群から選択される、請求項2から21までのいずれか1項に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項23】
基Rは、2〜50個の炭素原子を有する、請求項2から21までのいずれか1項に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項24】
一般式Iのポリオール(A2)は、ジオール、トリオール、テトロール、ペンチット、ヘキシット、チオアルカノール及びアルカノールアミンを含む群から選択される、請求項1から22までのいずれか1項に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項25】
一般式Iのポリオール(A2)の30モル%までは、少なくとも1種の、一般式II:
X−R (II)
[式中、変項Xは前記の意味を有し、かつ変項Rは、1結合性の有機基を表わす]の化合物(A3)によって代えられている、請求項1から24までのいずれか1項に記載の分枝鎖ポリオール(A)。
【請求項26】
請求項1から25までのいずれか1項に記載の、分子中に統計的平均で2個以上のヒドロキシル基を有する分枝鎖ポリオール(A)を製造する方法において、
(A1)分子中に統計的平均で2個以上のイソシアネート基及び
デュロプラスチック三次元架橋結合構造の成分としてそのガラス転移温度を高める2個以上の硬質セグメント(a11)、又は
デュロプラスチック三次元架橋結合構造の成分としてそのガラス転移温度を低下させる2個以上の軟質セグメント
を含有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、
(A2)少なくとも1種の、一般式I:
X[−R(−OH) (I)
[式中、指数及び変数は、次の意味を有する:
nは、1〜5の数であり、
mは、1又は2であり、
Xは、イソシアネート反応性の官能基を表わし、かつ
Rは、2−〜5結合性有機基を表わすが、条件として、(A1)が軟質セグメントを含有する場合には、Rは、少なくとも1個の硬質セグメント(a11)を含有し、又はそれから成り立つ]のポリオールとを、
モル比(A2):(A1)≧2及び当量比[X+OH]:NCO≧2で、反応混合物中の遊離イソシアネート基がそれ以上検出されなくなるまで反応させることを特徴とする方法。
【請求項27】
一般式Iのポリオール(A2)の30モル%までを、請求項25に記載の少なくとも1種の一般式IIの化合物(A3)によって代える、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
モル比(A2):(A1)又は[(A2)+(A3)]:(A1)≧2〜5及び当量比[X+OH]:NCO≧2〜4である、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
請求項1から25までのいずれか1項に記載のポリオール(A)及び請求項26から28までのいずれか1項に記載の方法により製造されるポリオール(A)を、熱硬化可能な物質として又は熱硬化可能な物質の製造のために用いる使用。
【請求項30】
熱硬化可能な物質は、付加的に、物理的に、酸化的に及び/又は化学線で硬化可能である、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
熱硬化可能な物質は、デュロプラスチック物質の製造に用いられる、請求項29又は30に記載の使用。
【請求項32】
熱硬化可能な物質は、被覆物質、接着物質、密閉物質及び成形品及びシートの前駆体である、請求項29から31までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項33】
被覆物質は、電気浸漬ラッカー、プライマー、充填剤、下地、ベースラッカー、単一上塗ラッカー及びクリアラッカーである、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
被覆物質はクリアラッカーである、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
デュロプラスチック物質は、被覆物、接着層、密閉物、成形品及びシートである、請求項29から34までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項36】
被覆物は、下地された又は非下地化支持体上の、電気浸漬ラッカー被膜、プライマーラッカー被膜、充填剤ラッカー被膜、砕石保護下地、ベースラッカー被膜、単一上塗ラッカー被膜及びクリアラッカー被膜である、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
被覆物は、クリアラッカー被膜である、請求項36に記載の使用。
【請求項38】
被覆物は、着色−及び/又は模様性の多層ラッカー被膜のクリアラッカー被膜である、請求項37に記載の使用。
【請求項39】
着色−及び/又は模様性の多層ラッカー被膜は、ウェット−オン−ウェット法によって製造される、請求項38に記載の使用。
【請求項40】
下地された及び非下地化の支持体は、自動車両及びその部材である、請求項36から39までのいずれか1項に記載の使用。

【公表番号】特表2009−536674(P2009−536674A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508245(P2009−508245)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004082
【国際公開番号】WO2007/131674
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス アクチェンゲゼルシャフト (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings AG
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】