説明

分岐装置

【課題】コンベヤにより経路を搬送される物品の形態、又は配置に関わりなく、アームの旋回する速度を適切に設定できる分岐装置を提供する。
【解決手段】分岐装置9は、経路5に対して分岐路7の反対側に配置された回転軸13と、回転軸13の径方向に延出するアーム19と、アーム19に支軸21を介して回動自在に支持されたプッシャー23,24と、アーム19を回転軸13の周りで旋回させる駆動手段25と、プッシャー23の姿勢を維持する姿勢維持手段27とを備える。駆動手段25が、プッシャー23を分岐路7から後退させた位置でアーム19の旋回を停止させる。コンベヤに搬送される物品3がプッシャー23に対面したとき、駆動手段25が、プッシャー23を分岐路7に前進させる向きにアーム19を旋回させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の搬送、及び仕分けを行うことのできる分岐装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献は、コンベヤにより経路を搬送される物品を分岐路へ導く装置を開示している。図9は、従来例の分岐装置101と、経路103に設置され矢印Xの向きに物品105を搬送するコンベヤ107と、経路103から分岐した分岐路109とを表している。分岐装置101は、分岐路109と反対側の経路103の近傍に回転軸111を配置し、回転軸111の径方向に延出するアーム113の両端部にプッシャー115を取り付けたものである。符号110は、矢印Yの向きに物品を搬送するコンベヤを指している。
【0003】
アーム113は、回転機等により所定の周期で回転軸111を中心に矢印αの向きに旋回される。この過程で、プッシャー115を分岐路109へ前進させる動作と、分岐路109からプッシャー115を後退させる動作が繰り返される。実線で表した複数の物品105は相互に等間隔で整列し、コンベヤ107が物品105を搬送する速度は一定である。アーム113と共に旋回するプッシャー115が、分岐路109へ前進する行程で複数の物品105に順次突き当たることにより、物品105は一つずつ分岐路109へ押し出され、符号105'で指した位置に達する。
【0004】
しかしながら、物品105の相互の間隔が図示よりも広く設定されることがある。この場合、アーム113の旋回する周期を長くするためにアーム113の旋回する速度を遅くすると、プッシャー115が物品105を分岐路109へ押し出すときに両者の接触する時間が長くなる。その分、コンベヤ107により搬送される物品105がプッシャー115に対して矢印Xの向きの滑りを生じるので、分岐路109に押し出される物品105の位置は、アーム113の旋回する速度が遅い程、105'の位置から矢印Xの向きに逸れる傾向がある。
【0005】
また、コンベヤ107に載せられる物品105の配置、又は大きさは一様でないことがある。分岐路109から後退したプッシャー115とこれに対面する物品105との間の距離[s]が広くなると、プッシャー115が分岐路109へ前進する行程で物品105に接触するタイミングが遅れる。このため、プッシャー115が物品105に接触する前に物品105がプッシャー115に対して矢印Xの向きに余計に移動するので、分岐路109に押し出される物品105の位置は、距離[s]が長い程、105'の位置から矢印Xの向きに逸れる傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭56−43125号公報
【特許文献2】実開昭61−68025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の実情に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、コンベヤにより経路を搬送される物品の形態、又は配置に関わりなく、アームの旋回する速度を適切に設定できる分岐装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、コンベヤが物品を搬送する経路から分岐する分岐路に、前記コンベヤにより搬送される物品を導く分岐装置であって、前記経路に対して前記分岐路の反対側に配置された回転軸と、前記回転軸の径方向に延出するアームと、前記アームに支軸を介して回動自在に支持されたプッシャーと、前記アームを前記回転軸の周りで旋回させることにより、前記プッシャーを前記分岐路に前進させる動作、及び前記プッシャーを前記分岐路から後退させる動作を繰り返す駆動手段と、前記プッシャーが物品の搬送される向きに沿う姿勢を維持するように、前記支軸を支点として前記プッシャーを回動させる姿勢維持手段とを備え、前記駆動手段が、前記プッシャーを前記分岐路から後退させた状態で前記アームの旋回を停止させ、前記コンベヤに搬送される物品が前記分岐路から後退したプッシャーに対面するとき、前記駆動手段が、前記プッシャーを前記分岐路に前進させる向きに前記アームを旋回させ、前記アームと共に旋回するプッシャーにより物品を前記分岐路へ押し出すことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記プッシャーが、物品の搬送される向きに延びる当接片と、前記コンベヤにより物品の搬送される向きの反対側へ前記当接片から先端を延出し、前前記先端へ向かうに従い前記分岐路から後退するよう傾斜した案内片と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記分岐路から後退された前記プッシャーと前記コンベヤに搬送される物品との間の距離を検出する測距手段を備え、前記測距手段の検出する距離に基づき、前記駆動手段が前記プッシャーを前記分岐路に前進させる向きに前記アームを旋回させることを特徴とする。また、本発明は、前記測距手段を前記プッシャーに取付けたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記アームが、前記回転軸から延出する両端部を有し、前記回転軸から前記両端部のそれぞれ延出する向きが、互いに前記回転軸を中心とする180°未満の夾角を成し、前記クランクが、前記回転軸に対して偏心した位置に軸受けされる偏心軸と、前記偏心軸から延出する両端部とを有し、前記偏心軸から前記両端部のそれぞれ延出する向きが、前記夾角に等しい角度を成すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る分岐装置によれば、コンベヤにより搬送される物品が分岐路から後退したプッシャーに対面したとき、駆動手段がプッシャーを分岐路に前進させる向きにアームを旋回させ、アームと共に旋回するプッシャーにより物品を分岐路へ押し出すことができる。駆動手段が更にアームを旋回させ、プッシャーを分岐路から後退させた状態でアームの旋回を停止させる。以上の駆動手段の動作に基づき分岐路へ押し出された物品に続いて、コンベヤにより搬送される後続の物品が、分岐路から後退したプッシャーに対面する。この時点で、駆動手段が、プッシャーを分岐路へ前進させることにより、後続の物品を分岐路へ押し出すことができる。
【0013】
本発明に係る分岐装置によれば、コンベヤに搬送される物品とその後続の物品との間隔が長い程、駆動手段がアームの旋回を停止させておく時間を長くし、物品を上記のように分岐路へ押し出した直後に、後続の物品を分岐路へ押し出すまでの時間的間隔を長くすることができる。このため、コンベヤにより搬送される物品の相互の間隔が変更されても、当該分岐装置は、駆動手段がアームを旋回させる速度を増減しなくて良いので、物品を分岐路の所望の位置に押し出すことができる。
【0014】
本発明に係る分岐装置によれば、分岐路から後退したプッシャーと物品との間の距離に基づき、駆動手段がプッシャーを分岐路へ前進させる向きにアームを旋回させる動作を開始するので、上記の距離が長い程、駆動手段がアームの旋回を開始するタイミングを早めることができる。このため、ベルトコンベヤに載せられる物品の配置、又は大きさが不規則であっても、当該分岐装置は、物品を分岐路の所望の位置に押し出すことができる。
【0015】
本発明に係る分岐装置によれば、分岐装置は、プッシャーが物品を分岐路へ押し出す過程で、プッシャーの当接片が主に物品に接触する。当接片は、物品の搬送される向きに延びる形状であるので、コンベヤが物品を搬送する力を適度に逃がし、物品に不要な外力を加えなくて良い。また、プッシャーの案内片がコンベヤにより搬送される物品に接触すると、コンベヤが物品を搬送する力によって物品が案内片に沿って移動し、当接片に接触する位置まで達する。このため、分岐装置は、物品にプッシャーの当接片を引っ掛けることなく、物品を分岐路へ押し出すことができる。
【0016】
本発明に係る分岐装置は、回転軸からアームの両端部のそれぞれ延出する向きが、互いに回転軸を中心とする180°未満の夾角であるので、姿勢維持手段のアームの両端部のうちの一端部、この一端部に支持されたプッシャー、及びクランクが一直線上に並んだ状態でアームが停止されたとしても、アームに対して、この他端部に支持されたプッシャーの回動軸の位置は死点から外れることになる。この状態で直ちに駆動手段を起動させれば、アームの他端部に支持されたプッシャーがその支軸を支点に旋回し、これに同期してアームの一端部に支持されたプッシャーも旋回する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る分岐装置の使用例を示す平面図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る分岐装置の側面を示す図1のA−A線断面図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る分岐装置の要部の側面図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る分岐装置の要部の平面図。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る分岐装置の変形例の一部を破断した側面図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る分岐装置の要部の側面図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る分岐装置の要部の平面図。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る分岐装置の要部の平面図。
【図9】従来例の分岐装置の使用例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1,2は、コンベヤ1により搬送される物品3を経路5から分岐する分岐路7へ導く分岐装置9の第1の実施形態を示している。矢印Xはコンベヤ1が物品3を搬送する向きを指している。矢印Yは、分岐路7に設置されたコンベヤ11が物品3を搬送する向きを指している。分岐装置9は、経路5に対して分岐路7の反対側に設けられ鉛直方向に延びる回転軸13と、両端部15,17を回転軸13から水平方向に延出するアーム19と、アーム19の両端部15,17に設けた一対の支軸21と、両端部15,17に支軸21を介して回動自在に支持された一対のプッシャー23,24と、アーム19を回転軸13の周りで旋回させる駆動手段25と、姿勢維持手段27とを備える。
【0019】
図1のA−A線で破断したコンベヤ1のフレーム29、ベルト31、及び分岐装置9の筐体33が図2に表れている。コンベヤ1は、フレーム29で支持されたプーリー等にベルト31を巻掛し、プーリー等を回転機で回転させることにより、ベルト31をフレーム29の上面35に沿わせて矢印Xの向きに走行させるベルトコンベヤである。ベルト31は、その走行する向きをプーリー等の周りで180°反転するエンドレスベルトであり、符号31'は、矢印Xの反対向きに走行するベルトの断面を指している。
【0020】
物品3として、青果物の載せられる円盤形のトレーを例示している。物品3の形状、寸法、重量、又は材質は何ら限定されるものでない。経路5、及び分岐路7は、コンベヤ1,11により物品3のそれぞれ搬送される領域である。また、分岐路7のコンベヤ11は必須の要素でなく、分岐路7としてシュート等を適用しても良い。
【0021】
図3は、アーム19、プッシャー23,24、及び姿勢維持手段27の一部を破断したものである。駆動手段25は、筐体33に支持された減速機37に回転力を入力する電動機であり、回転軸13は減速機37の出力軸に相当する。図3,4に示すように、アーム19は、回転軸13に継手部材39を介して接合された板材であり、両端部(以下で一端部15、他端部17と記す。)の上面に一対の支軸21を設けている。
【0022】
プッシャー23,24は、鋼板を曲折することにより水平片41、当接片43、及び案内片45を形成したものである。水平片41は、その基端部に取付けたベアリング49で支軸21を軸受けし、支軸21を支点に回動自在にアーム19に連結されている。当接片43は、鉛直方向の幅を有し、矢印Xの向きに延びる平滑な形状であれば良い。案内片45は、鉛直方向の幅を有し、当接片43から矢印Xの反対向きに先端46を延出し、その先端46へ向かうに従い分岐路7から後退するよう傾斜している。
【0023】
姿勢維持手段27は、筐体33に固定され回転軸13に対して偏心した位置にベアリング51を保持するホルダー53と、ベアリング51に軸受けされた偏心軸55と、偏心軸55に接合され両端部をそれぞれ偏心軸55から水平方向に延出した平板状のクランク57とを備える。ベアリング51、及びホルダー53は図4で省略されている。クランク57は、その両端部の下面に一対の回動軸59を設けている。プッシャー23,24は、水平片41の先端部に取付けたベアリング63で回動軸59を軸受けし、回動軸59を支点に回動自在にクランク57に連結されている。
【0024】
上記のアーム19に設けた一対の支軸21のうちの一方の支軸から回転軸13までの軸間の距離と、他方の支軸から回転軸13までの軸間の距離とは互いに等しい。これらの軸間の距離は、一対の回動軸59のうちの一方の回動軸から偏心軸55までの軸間の距離、及び他方の回動軸から偏心軸55までの軸間の距離にもそれぞれ等しい。
【0025】
分岐装置9は、駆動手段25がアーム19を図1の矢印αの向きに旋回させることにより、プッシャー23,24を分岐路7へ前進させる動作、及びプッシャー23,24を分岐路7から後退させる動作を繰り返すことができる。また、アーム19、プッシャー23,24、及びクランク57は、支軸21、及び回動軸59を支点とする平行クランク機構であるので、プッシャー23,24は、駆動手段25によるアーム19の旋回に同期して、それぞれ支軸21を支点に図4の矢印β,β'の向きに旋回する。これにより、プッシャー23,24は、その当接片43が矢印Xの向きに平行になる姿勢を維持される。
【0026】
図5に示すように、測距手段65を分岐装置9に付加しても良い。測距手段65は、分岐路7から後退されたプッシャー23,24と、コンベヤ1により搬送される物品3との間の距離[s]を検出するものである。高周波発振型の近接センサー、又は超音波センサー等を測距手段65として適用できる。同図は、プッシャー23,24に測距手段65を固定し、プッシャー23,24の当接片43に測距手段65の頭部を面一に揃えた例を示している。物品3がコンベヤ1の側方へ逸脱するのを規制するガイドレール67をフレーム29に取付けている場合、測距手段65をガイドレール67に固定しても良い。
【0027】
分岐装置9が物品3を経路5から分岐路7へ押し出す動作について以下に説明する。先ず、アーム19のプッシャー23を分岐路7から後退させた状態で、駆動手段25がアーム19の回転を停止させる。即ち、アーム19を図1に実線で表した姿勢で待機させる。物品3がコンベヤ1により搬送され、分岐路7から後退したプッシャー23に対面するに至る。この時点で、駆動手段25が起動してアーム19を旋回させ、アーム19の一端部15と共に分岐路7へ前進するプッシャー23が物品3を分岐路7へ押し出す。ここで、対面とは、物品3がプッシャー23の当接片43の正面に対向し、物品3から当接片43までの距離が最も短くなることを意味する。
【0028】
駆動手段25が更にアーム19を旋回させ、アーム19が図1に実線で表した姿勢から180°旋回したところで、アーム19の旋回を停止させる。そして、後続の物品30がプッシャー24に対面するタイミングで、駆動手段25が再び起動する。これにより、アーム19の他端部17と共に分岐路7へ前進するプッシャー24が、後続の物品30を分岐路7へ押し出すことができる。このように、分岐装置9は、アーム19を180°旋回させる毎に、アーム19の停止を繰り返す間欠運転を駆動手段25に行わせることより、矢印Xの向きに整列する複数の物品3を一つずつ分岐路7へ押し出すことができる。
【0029】
更に、分岐装置9には次の利点がある。矢印Xの向きに整列する複数の物品3の相互の間隔が図1の例よりも広く設定され、或いはコンベヤ1が物品3を搬送する速度が減速されることがある。この場合、アーム19を180°旋回させるのに要する時間が長くなるように、駆動手段25がアーム19を停止させておく時間を長く設定すれば良いので、分岐装置9は、アーム19の旋回する速度を遅くしなくて良い。このため、プッシャー23,24が物品3を分岐路7へ押し出す過程で両者の接触する時間が長くならないので、コンベヤ1により搬送される物品3がプッシャー23,24に対して矢印Xの向きに滑ることがなく、分岐装置9は、物品3を仮想線3'で示した分岐路7の所望の位置に押し出すことができる。
【0030】
或いは、コンベヤ1に載せられる物品3の配置、又は大きさが一様でないために、図5に示した測距手段65の検出する距離[s]が不規則に変化することがある。この場合、距離[s]の値が測距手段65から信号として送出され、駆動手段25の起動、及び停止を制御するコンピューターに入力される。このコンピューターは、距離[s]が長い程、駆動手段25がアーム19の旋回を開始させるタイミングを早める。このため、距離[s]の長短に関わらずプッシャー23,24が物品3に接触する前に物品3がプッシャー23,24に対して矢印Xの向きに余計に移動することがないので、分岐装置9は、物品3を分岐路7の所望の位置に押し出すことができる。
【0031】
分岐装置9は、プッシャー23,24が物品3を分岐路7へ押し出す過程で、プッシャー23,24の当接片43を物品3に接触させるので、コンベヤ1が物品3を搬送する力を適度に逃がし、物品3に不要な外力を加えなくて良い。また、案内片45はその先端46へ向かうに従い分岐路7から後退するよう傾斜しているので、プッシャー23,24の案内片45が物品3に接触すると、物品3はコンベヤ1により搬送される力を受けながら案内片45に沿って移動し、当接片43に接触する位置まで案内される。このため、分岐装置9はプッシャー23,24の当接片43を物品3に引っ掛けることなく、物品3を分岐路7へ押し出すことができる。
【0032】
分岐装置9が以上の動作により物品3を矢印Yの向きに押し出す過程で、図1,2に示すコンベヤ1により搬送される物品3の重心の位置がコンベヤ1のベルト31の外方に移動したところで、物品3はコンベヤ1からコンベヤ11に乗り移ることになる。ベルト31、及びフレーム29の上面35の幅は、物品3の幅(直径)よりも狭く設定されているので、分岐装置9が上記のように物品3を押し出すストロークは比較的短くて良い。その分、アーム19の全長も短くて良いので、分岐装置9を小型化するのに有利である。
【0033】
図6,7は、本発明の第2の実施形態に係る分岐装置69を表している。分岐装置69について分岐装置9との相違点を以下に説明する。
【0034】
姿勢維持手段71は、筐体33に固定され回転軸13の直上にサンギア73を保持するホルダー75と、アーム19の一端部15、及び他端部17に配置された一対のプラネタリギア77と、アーム19の一端部15、及び他端部17を貫きプラネタリギア77に上端を接合しプッシャー23,24の水平片41に下端を接合した一対の支軸79と、サンギア73とプラネタリギア77の両方に噛み合う一対のプラネタリギア81と、アーム19に設けられプラネタリギア81を回転自在に支持する一対の支軸83とを備える。ホルダー75は図7で省略されている。
【0035】
駆動手段25がアーム19を矢印αの向きに旋回させるとき、サンギア73の周りでプラネタリギア81、及びプラネタリギア77が回動し、支軸79と共にプッシャー23,24がそれぞれ矢印β,β'の向きに回動する。これにより、アーム19が上記のように旋回する過程で、プッシャー23,24は、それぞれの当接縁を物品3の搬送される向きに平行にした姿勢に維持される。
【0036】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る分岐装置85を表している。分岐装置85について分岐装置9との相違点を以下に説明する。既述のベアリング51、及びホルダー53は、同図で省略されている。
【0037】
アーム89は、回転軸13から一端部15,及び他端部17のそれぞれ延出する向きが、互いに回転軸13を中心とする180°未満の夾角を成している。ここで、夾角とは、アーム89の他端部17から一端部15が矢印αの向きに隔たる角度であり、アーム89の一端部15に設けた支軸21の中心Bから回転軸13の中心Oに延びる仮想線と、アーム89の他端部17に設けた支軸21の中心Cから回転軸13の中心Oに延びる仮想線とが交差する内側の角度[θ]である。クランク91は、偏心軸55から延出する両端部を有し、偏心軸55から両端部(以下に一端部93、他端部95と記す。)のそれぞれ延出する向きは、上記の[θ]に等しい角度を成している。
【0038】
例えば、不測の事態により駆動手段25が緊急に停止された場合、図8に示すように、姿勢維持手段87のアーム89の停止した時点で、アーム89の一端部15、プッシャー23、及びクランク91の一端部93が一直線上に並ぶことがある。この状態で、クランク91の他端部95に設けた回動軸59の位置は、平行クランク機構の原動節であるアーム89に対して死点から外れているので、駆動手段25を起動させれば、直ちにプッシャー24が矢印βの向きに旋回する。これに同期してプッシャー23も矢印β'の向きに旋回する。姿勢維持手段87の始動する原理は、アーム89の他端部17、プッシャー24、及びクランク91の他端部95が一直線上に並んだ場合も同様である。
【0039】
また、アーム89の旋回する速度が一定であれば、プッシャー23が物品3を分岐路7へ押し出した直後に駆動手段25がアーム89を停止させておく時間よりも、プッシャー24が物品3を分岐路7へ押し出した直後に駆動手段25がアーム89を停止させておく時間を長く設定すれば良い。このように、分岐装置85は、駆動手段25がアーム89を旋回させる動作の制御を容易に行うことができる。
【0040】
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。経路5と分岐路7とは直交している必要はない。複数の分岐装置9,69,85を矢印Xの向きに配列しても良い。また、プッシャー23,24の何れかを省略し、駆動手段25がアーム19,89を360°旋回させる毎に、物品3が一つずつ分岐路7へ押し出されるようにしても良い。また、2つ以上のアーム19,89を回転軸13に取り付けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、青果物の載せられるトレーに限らず、あらゆる物品の搬送、及び仕分けに適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1,11...コンベヤ、3,30...物品、5...経路、7...分岐路、9,69,85...分岐装置、13...回転軸、15,17...両端部(一端部、他端部)、19,89...アーム、21,79,83...支軸、23,24...プッシャー、25...駆動手段、27,71,87...姿勢維持手段、29...フレーム、31...ベルト、33...筐体、35...上面、37...減速機、39...継手部材、41...水平片、43...当接片、45...案内片、46...先端、49,51,63...ベアリング、53,75...ホルダー、55...偏心軸、57,91...クランク、59...回動軸、61...先端部、65...測距手段、67...ガイドレール、73...サンギア、77,81...プラネタリギア、93,95...両端部(一端部、他端部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤが物品を搬送する経路から分岐する分岐路に、前記コンベヤにより搬送される物品を導く分岐装置であって、
前記経路に対して前記分岐路の反対側に配置された回転軸と、
前記回転軸の径方向に延出するアームと、
前記アームに支軸を介して回動自在に支持されたプッシャーと、
前記アームを前記回転軸の周りで旋回させることにより、前記プッシャーを前記分岐路に前進させる動作、及び前記プッシャーを前記分岐路から後退させる動作を繰り返す駆動手段と、
前記プッシャーが物品の搬送される向きに沿う姿勢を維持するように、前記支軸を支点として前記プッシャーを回動させる姿勢維持手段とを備え、
前記駆動手段が、前記プッシャーを前記分岐路から後退させた状態で前記アームの旋回を停止させ、
前記コンベヤに搬送される物品が前記分岐路から後退したプッシャーに対面するとき、前記駆動手段が、前記プッシャーを前記分岐路に前進させる向きに前記アームを旋回させ、前記アームと共に旋回するプッシャーにより物品を前記分岐路へ押し出すことを特徴とする分岐装置。
【請求項2】
前記プッシャーが、物品の搬送される向きに延びる当接片と、
前記コンベヤにより物品の搬送される向きの反対側へ前記当接片から先端を延出し、前前記先端へ向かうに従い前記分岐路から後退するよう傾斜した案内片と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の分岐装置。
【請求項3】
前記分岐路から後退された前記プッシャーと前記コンベヤに搬送される物品との間の距離を検出する測距手段を備え、
前記測距手段の検出する距離に基づき、前記駆動手段が前記プッシャーを前記分岐路に前進させる向きに前記アームを旋回させることを特徴とする請求項1又は2に記載の分岐装置。
【請求項4】
前記測距手段を前記プッシャーに取付けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の分岐装置。
【請求項5】
前記アームが、前記回転軸から延出する両端部を有し、前記回転軸から前記両端部のそれぞれ延出する向きが、互いに前記回転軸を中心とする180°未満の夾角を成し、
前記クランクが、前記回転軸に対して偏心した位置に軸受けされる偏心軸と、前記偏心軸から延出する両端部とを有し、前記偏心軸から前記両端部のそれぞれ延出する向きが、前記夾角に等しい角度を成すことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の分岐装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−46295(P2012−46295A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188999(P2010−188999)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】