説明

分散システムにおけるフィールド装置の一体化

【課題】分散自動化システムにおいてフィールド装置を自動的に一体化する。
【解決手段】各フィールド装置は最初に自動化システムのバスシステムに接続され、システムに接続された各フィールド装置は自動的に動作する第1のルーチンにより予め規定されたデフォルトアドレスを使用して上位制御装置により自動的にアドレスされ、システムでその装置アドレスを登録し、アドレスメモリからの多数の割当てられていないアドレスから与えられる固定されたアドレスは第2の自動的に動作するルーチンによりシステムで登録される装置へ自動的に割当てられる。自動化システムの予め定められた構造から与えられる個々に割当てられた識別TAGは割当てられ固定されたアドレスに割当てられ、自動的に割当てられ固定されたアドレスがフィールド装置へ送信された後、フィールド装置は上位制御装置と通信するための適切な状態に変化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散自動化システムにおいてフィールド装置を自動的に一体化する方法に関し、そのフィールド装置は少なくとも1つのバスシステム、好ましくはフィールドバスを介して、技術的設置または技術的プロセスを制御および/または監視するための上位制御装置と通信する。
【背景技術】
【0002】
自動化システムの構造は通常、バスシステムを介して相互におよび/または上位制御技術または制御装置と通信する多数のフィールド装置を具備している。この場合、例示的なフィールド装置は駆動装置、弁、モーター保護及び制御装置、周波数変換器、圧力及び温度測定トランスデューサ、流量計および解析装置である。
【0003】
自動化システムが使用に適合される前に、与えられるハードウェアはエンジニアリングツールとも呼ばれるプログラミングツールを使用していわゆるプロジェクトの一部としてモデル化される。例えば、これらのハードウェア装置の入力/出力アドレスおよびそれらの相互に対するリンクに関する情報はプロジェクトにおいて構成される。
【0004】
この場合、自動化システムにおけるフィールド装置の一体化は、OPC、FDT(フィールド装置ツール)のような標準と、フィールドバスプロトコルおよびフィールドバス仕様、例えばFOUNDATIONフィールドバスまたはPROFIBUSに基づいている。
【0005】
技術的設置を開始または拡張するとき、フィールド装置はこれらが自動化システムのフィールドバスに接続された後に、上位制御装置により検出されなければならず、それによってプログラム可能な論理制御システム(PLC)または特にプロセス制御システムの形態である自動化システムのフィールド装置に対する上位制御装置によるアクセスを確実にする。この目的で、フィールド装置は特有のバスアドレスを割当てられ、これは前記フィールド装置をアドレスするために使用されることができる。バスアドレスは通常、上位位置から割当てられる。
【0006】
フィールドバスで登録するためにフィールド装置により使用される特別の識別子、装置のアドレスはこの目的のためそれぞれのフィールド装置で確保される。装置のアドレスは転送状態にフィールド装置中で予め設定され、通常はフィールド装置のメモリ中に記憶されるが、コード化スイッチを使用して装置で設定されることもできる。
【0007】
新しいフィールド装置が自動化システムのネットワークに接続されるならば、そのフィールド装置は、アドレス割当て動作の一部としていわゆるデフォルトアドレスを使用してシステムによりアドレスされる全てのものの第1のものである。
【0008】
現在、フィールド装置の装置アドレスはフィールドバスの設置を計画するとき考慮されなければならず、フィールド中のその後の実際の状況に整合されなければならない。この目的で、フィールド装置は装置アドレスを使用して上位制御装置に登録し、その制御装置は代わりに装置アドレスを置換する個々のバスアドレスを装置に割当てる。アドレス割当て方法についてこの場合に必要とされる計画および文書化の量はエラーを起こしやすく、時間を消費する。
【0009】
しかしながら、それぞれのフィールド装置に割当てられるバスアドレスは装置とのプロトコル特定通信でのみ必要とされるので、例えば制御装置とフィールド装置または上位制御システム(PLC)或いはプロセス制御システムとフィールド装置との間の接続を設けるために必要とされるので、「一般的PD TAG」とも呼ばれる特別な識別子またはシステム特定名称が通常、自動化システム内のそれぞれの装置を識別するために使用されるため、バスアドレスは自動化システムのユーザにはあまり重要ではない。
【0010】
技術的設置のプロセス制御システムでは、TAGは例えばシステム中のそれぞれのフィールド装置の位置名を有し、その名称はMCR(測定/制御/調整)スキームからの測定位置番号に対応でき、特に装置のそれぞれの機能、製造業者、装置のタイプ、およびその改定状態を含んでいる。
【0011】
代わりに、フィールドバス通信の補助によってバスに接続されるバスユーザとも呼ばれるフィールド装置を検出し、プロセスで得られたデータからシステムのトポロジを生成するツールが市場に存在する。しかしながら、この方法はフィールド装置がさらに特有の識別のための適切なアドレスを既に有する場合のみ、即ちフィールドバスが開始している場合に有効である。
【発明の概要】
【0012】
したがって本発明は自動化システムでフィールド装置を自動的に一体化するための方法を特定する目的に基づいており、この方法は前述の欠点を回避する。
【0013】
特に本発明による方法は、アドレス割当て方法の期間中に分散システムでフィールド装置を一体化するときに必要とされる計画及び文書化の量を減少し、自動化システムの開始を簡単にすることに適していることが意図されている。
【0014】
本発明によれば、この目的は請求項1に特定されている特徴を有している、当初述べたタイプのフィールド装置を自動的に一体化する方法により達成される。本発明による方法の有効な微調整および改良はさらに別の請求項および明細書中で特定されている。
【0015】
自動化システムでフィールド装置を自動的に一体化するための本発明による方法は、バスシステムまたはバス接続、例えばHART、FOUNDATION FIELDBUSまたはPROFIBUSを介して技術的設置又は技術的プロセスを制御および/または監視するための少なくとも1つの上位制御装置へ接続される複数のフィールド装置と、分散システムのソフトウェアシステムに記憶されている予め定められた構造にしたがってバスシステムを介して分散システムのネットワークに組み込まれるフィールド装置とを提供する。
【0016】
本発明による方法は、それぞれのフィールド装置の装置アドレスを予め定められた構造で使用される識別(TAGとも呼ばれる)で置換するために使用される後続する方法ステップを含んでいる。
【0017】
第1のステップで、それぞれのフィールド装置は自動化システムのバスシステムに接続される。
【0018】
第2のステップで、システムに接続されたそれぞれのフィールド装置は自動的に作動する第1のルーチンにより、予め規定されたデフォルトアドレスを使用して上位制御装置により自動的にアドレスされる。デフォルトアドレスはシステム中に保持されたアドレスであり、転送状態でフィールド装置で予め設定され、全てのフィールド装置で同一である。新しいフィールド装置が自動化システムのネットワークに接続されるならば、新しく接続されたフィールド装置は最初に自動化アドレス割当て動作の一部としてこのアドレスを使用してアドレスされる。
【0019】
デフォルトアドレスを使用してアドレスされる装置は次のステップで、その装置のアドレスを使用してシステムで登録する。
【0020】
さらに別のステップで、アドレスメモリからの多数の割当てられていないアドレスから与えられる固定されたアドレスは第2の自動的に作動するルーチンによりシステムで登録される装置へ自動的に割当てられる。新しく割当てられた固定されたアドレスは分散システムの上位制御装置が通信接続を介してそれぞれのフィールド装置を特有にアドレスすることを可能にする。この場合、自動アドレス割当て動作は例えばグラフィカルユーザインターフェースを使用して開始される。
【0021】
最後のステップで、自動化システムの予め定められた構造から与えられる(TAGとも呼ばれる)個々に割当てられた一般的識別は割当てられ固定されたアドレスに割当てられ、自動的に割当てられ固定されたアドレスがフィールド装置へ送信された後、フィールド装置は上位制御装置と通信するための適切な状態に変化される。TAGは例えば次の情報、即ち設置識別、装置アドレス、バスアドレス、測定位置番号、プロセス装置、センサタイプ、最大のセンサ範囲を含んでいる。
【0022】
本発明は分散システムの設置に関するプロジェクトデータへ採択される割当てられ固定されたアドレスを提供し、プロジェクトデータはそのシステムで与えられるハードウェアを記述する。
【0023】
本発明による方法の1つの有効な改良は、アドレス領域からフィールド装置へ既に自動的に割当てられた固定されたアドレスを検出する試験ルーチンを提供し、既に割り当てられたアドレスはそれぞれのフィールド装置により保持されている。
【0024】
本発明による方法の1つの有効な発展は変化ルーチンを使用してアドレス領域から先に割当てられていないバスアドレスへ変化される先に自動的に割当てられ固定されたアドレスを与える。アドレス領域の特別なアドレスは自動化システムの予め規定された機能に基づいてフィールド装置に対して確保されることもできる。例えばFOUNDATIONフィールドバス仕様によれば、実行される切換え動作期間中の優先順位は前記アドレスに応じているので、そこで使用されるバックアップリンクマスターは可能な限り低いアドレスを有することを意図される。
【0025】
本発明による方法を使用して実行されることができる、識別(TAG)を割当てるステップおよび/またはそれを装置の予め計画された機能に割当てる構造ステップはスタートアップツールを使用して実行されることができる。スタートアップツールは既に装置に記憶されている識別(TAG)がプロジェクトデータに対応するか否かをチェックすることにも使用される。対応するならば、予め計画された機能への自動割当てがその後実行される。
【0026】
本発明による方法はプロセスの自動化、またはプロセスおよび/または設置コンポーネントを制御するためのマシン制御で使用される。
【0027】
本発明による方法とさらに別の有効な改良及びさらに別の利点は図1で示されている例示的な実施形態を使用してより詳細に説明し示すことを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】自動化システムに新しく接続されるフィールド装置の装置アドレスを、自動化システムのプロジェクトの予め決定された構造で使用され、FOUNDATIONフィールドバス仕様により、物理的装置の識別としてフィールド装置の名称を具備しているPD(物理的装置)TAGにより置換する例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
自動化システムのバスシステムへ新しく接続されるフィールド装置が第1のステップ1でデフォルトアドレスを使用して検出された後、利用可能なアドレスからの自由アドレス又はプロジェクトのメモリ領域はフィールド装置の仮アドレスについて第2のステップ2で自動的に検索される。発見された新しいアドレスはもはやバスシステムの永久動作についてユーザにより変更される必要がないので、自由アドレスもまた以下、固定されたアドレスとも呼んでいる。
【0030】
次のステップ3において、PD TAGが既に装置に記憶されるか否か、およびPD TAGが既に装置中に存在するか否かをチェックした後、装置に既に記憶されているTAGは例えばスタートアップツールを使用して予め計画された機能に自動的に割り当てられる。
【0031】
PD TAGがまだ存在しないならば、対応するPD TAGは自動的に割当てられ固定されたアドレスに割当てられる。
【0032】
PD TAGが固定されたアドレスに割当てられた後、固定されたアドレスはさらにステップ5で装置に割当てられる。
【0033】
最後のステップ6で、予め規定された通信接続は自動化システムのネットワーク管理のために発生され、自動的に割当てられ固定されたアドレスがフィールド装置へ送信された後、フィールド装置は例えばフィールドバスプロトコルPROFIBUSおよび/またはFoundationフィールドバスにしたがって、自動化システムの上位制御装置と通信できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのバスシステムを介して接続可能な複数のフィールド装置を有する自動化システムでフィールド装置を自動的に一体化するための方法において、前記フィールド装置は前記自動化システムのソフトウェアシステムに記憶されている予め定められた構造にしたがって前記バスシステムを介して前記自動化システムに組み込まれており、
−前記各フィールド装置は前記自動化システムの前記バスシステムに接続され、
−前記システムに接続された前記各フィールド装置は自動的に動作する第1のルーチンにより、予め規定されたデフォルトアドレスを使用して上位制御装置により自動的にアドレスされ、
−前記デフォルトアドレスを使用してアドレスされた前記装置はその装置のアドレスを使用して前記システムで登録し、
−アドレスメモリからの多数の割当てられていないアドレスから与えられる固定されたアドレスは第2の自動的に動作するルーチンにより前記システムで登録される前記装置に自動的に割当てられ、
−前記自動化システムの前記予め定められた構造から与えられる個々に割当てられた識別(TAG)は前記割当てられ固定されたアドレスに割当てられ、
−前記自動的に割当てられた固定されたアドレスが前記フィールド装置へ送信された後に、前記フィールド装置は前記上位制御装置と通信するための適切な状態に変化されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記割当てられ固定されたアドレスは前記分散システムの前記設置に関する前記プロジェクトデータへ採択され、前記プロジェクトデータは前記システム中で与えられる前記ハードウェアを記述していることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記アドレス領域からフィールド装置へ既に自動的に割当てられている固定されたアドレスを検出する試験ルーチンの設備が与えられ、前記既に割り当てられているアドレスは前記各フィールド装置により保持されていることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記先に自動的に割当てられた固定されたアドレスは変化ルーチンを使用して前記アドレス領域から先に割当てられていないバスアドレスへ変化されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記アドレス領域の特別なアドレスは前記自動化システムの予め規定された機能に基づいて前記フィールド装置に対して確保されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記自動アドレス割当てはグラフィカルユーザインターフェースの助けにより開始されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
識別(TAG)を割当ておよび/またはそれを計画された機能に割当てる前記構造ステップを実行するスタートアップツールの設備が与えられることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
既に前記装置に記憶され、前記プロジェクトデータに対応している識別(TAG)は前記スタートアップツールを使用して前記予め計画された機能へ自動的に割当てられることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記自動化システムは前記フィールドバスプロトコルPROFIBUSおよび/またはFoundationフィールドバスを使用して通信することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−150795(P2012−150795A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−278182(P2011−278182)
【出願日】平成23年12月20日(2011.12.20)
【出願人】(508278675)アーベーベー・アーゲー (9)
【氏名又は名称原語表記】ABB AG
【住所又は居所原語表記】Kallstadter Str. 1,68309 Mannheim,Germany
【Fターム(参考)】