分散型電源システム及びこのシステムを用いた系統電圧安定化方法
【課題】電力系統において発生する比較的時間の短い電圧フリッカ問題を解決し、10秒以下、特に1秒以下の電圧変動に対しても素早く系統電圧の安定化を図ることができるようにする。
【解決手段】情報収集用サーバは、電力系統に発生する急峻な電圧変動を監視するとともに、複数の分散型電源のそれぞれの稼動状況を監視する。そして、各分散型電源の稼働状況に応じて当該分散型電源から電力系統に供出可能な無効電力を演算する。更に、系統電圧の変動が所定の閾値を超えると、各分散型電源に対して電力系統に出力させる無効電力を割り当て、この割り当てた無効電力を電力系統に供出するように指令する。これにより、周期の短いフリッカに対しても系統電圧の安定化を図ることができる。
【解決手段】情報収集用サーバは、電力系統に発生する急峻な電圧変動を監視するとともに、複数の分散型電源のそれぞれの稼動状況を監視する。そして、各分散型電源の稼働状況に応じて当該分散型電源から電力系統に供出可能な無効電力を演算する。更に、系統電圧の変動が所定の閾値を超えると、各分散型電源に対して電力系統に出力させる無効電力を割り当て、この割り当てた無効電力を電力系統に供出するように指令する。これにより、周期の短いフリッカに対しても系統電圧の安定化を図ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、分散型電源、特に複数の分散型電源を組み合わせたマイクログリッドシステム及びこのシステムを用いた系統電圧安定化方法に関し、分散型電源の従来からの利用方法である需要家へのエネルギー供給を行いながら、余力を活用して電力系統側に無効電力を供給・放出し電力系統側の電圧安定性に寄与する分散型電源システム及び系統電圧安定化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分散型電源(DG:Distributed Generator)の導入促進により、電力系統全体の安定性の低下が懸念されている。すなわち、分散型電源の導入により、電力系統の周波数や電圧の変動が大きくなり、最悪の場合は停電や機器の損傷につながる可能性があると指摘されている。
【0003】
電力系統が不安定になる原因としては、下記のような要因が挙げられている。
(1)太陽光発電(PV:Photovoltaic)や風力発電(WT:Wind Turbine)の有効電力出力変動により、系統全体での周波数変動が生じる。
(2)分散型電源出力を電力会社に売電することにより、分散型電源側から電力系統側に逆潮流が発生し、この結果、電圧変動が発生する。
(3)アーク炉などの変動が激しい負荷による周期の短い電圧変動が発生する。
【0004】
上記電力系統の不安定要因のうち、特に、本発明に関連する(3)の不安定要因について説明する。電力系統に周期の短い変動が発生する負荷としては、アーク炉のほかには、ゴミ焼却場や工事用仮設電源などがある(非特許文献1を参照)。また、風力発電なども風の影響で周期の短い電圧変動が発生する。ここで短い周期とは、10秒以下、特に1秒以下の電圧変動をいう。これに対して、(2)の逆潮流による電圧変動とは、数秒から数分以上の単位で電圧が変化することを意味している。
【0005】
上述(3)の不安定要因に対する従来の対処法としては、需要家側で電力用コンデンサ(SC:Shunt Capacitor)や分路リアクトル(ShR:Shunt Reacter)、静止型無効電力補償装置(SVC:Static var Compensator)などを設置することで行われていた。例えば、電圧変動を抑制する装置として、静止型調相設備を用いた電圧安定化制御装置が提案されている(特許文献1を参照)。この技術は、特に制御対象の電力系統の電圧変動を検出し、予定値以上の変動が検出されたときは、既設の電力用コンデンサや分路リアクトルなどを投入または開放して系統電圧を運用基準範囲内に調整するものである。
【0006】
また、分散型電源の系統連系時に電力を系統側へ送り出す、いわゆる逆潮流時において電圧が上昇する問題や、出力変動による電圧変動に対し、分散型電源自身もしくは分散型電源に付設した制御機器(インバータなど)によって出力を抑制する方法も提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0007】
特許文献2に記載される技術は、分散型電源の力率を順次調整する制御システムである。分散電源の出力を力率一定のまま一時的に変動させ、その時の制御目標地点の電圧を計測する。そして、制御目標地点の電圧が上昇した場合は運転力率を減少させ(進相無効電力出力を増加)、逆に制御目標地点の電圧が降下した場合は運転力率を増加(進相無効電力出力を減少)させるようにしている。
【0008】
【特許文献1】特開平11−89090号公報
【特許文献2】特開2005−160260号公報
【非特許文献1】田波貞夫「電圧変動の要因とその対策」(電気設備学会誌Vol24, No.4 pp.265-267, 2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、制御可能な時間幅は数秒以上の間隔であり、フリッカのようなミリ秒オーダーの電圧変動は補償することが不可能である。
また、特許文献2には、力率を制御して系統電圧の安定化を図る方法が示されている。分散型電源を含む大型同期発電機では、力率の調整を励磁回路で行うが、この場合、1秒以下の変動に対応できるような高速制御ができない。また、有効電力出力に対し無効電力出力が決まるため、複数の分散型電源を制御する場合、各分散型電源がどのくらい有効電力を必要とし、どのくらいの無効電力を出力可能とするのかを把握しておく必要があるが、特許文献2記載の技術ではその点について考慮されていない。
【0010】
上述したように、電力系統における短周期の電圧変動(フリッカ)に対して電力用コンデンサ(SC)、分路リアクトル(ShR)、静止型無効電力補償装置(SVC)などの電圧調整機器が用いる方法や、電線を張り替えして太線化するなどの対策が取られている。しかしながら、これらの対策費用は高価であり、フリッカ発生源に対する抑制方法としてはコスト的に問題がある。特に、静止型無効電力補償装置(SVC)を系統内に導入する場合には、新規に電力機器を導入しなければならないなど、設備が大型化するなどの不都合もあった。
【0011】
一方、現在、産業用・業務用を中心にコージェネレーションシステムをベースとした分散型電源が導入されている。また、今後、家庭用においても太陽光発電や燃料電池コージェネレーションシステムの導入が進展すると想定される。また、マイクログリッドという、特定エリア内で複数・多種の分散型電源を制御しエネルギーを供給するシステムについても実証研究が行われているところである。これらの分散型電源では部分負荷運転を行うことが可能で、その出力(設備容量)に余力がある場合がある。しかも、これらの分散型電源では、その余力が十分に活用されていないという現実がある。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、電力系統において発生する比較的時間の短い変動である電圧フリッカ問題を解決し、10秒以下、特に1秒以下の電圧変動に対しても素早く系統電圧の安定化を図ることができる分散型電源システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決し本発明の目的を達成するため、本発明の分散型電源システムは、情報収集用サーバと、複数の分散型電源とからなる分散型電源システムであって、情報収集用サーバは、電力系統における電圧変動を監視する電圧変動監視手段と、複数の分散型電源の稼動状況を監視する稼働状況監視手段と、各分散型電源の稼働状況に応じて当該分散型電源から電力系統に供出可能な無効電力を演算する無効電力演算手段と、を備えている。
また、電圧変動監視手段が電力系統に所定の閾値を超える電圧変動を検出したときに、各分散型電源に対して電力系統に出力させる無効電力を割り当て、該割り当てた無効電力を電力系統に出力させる指令を各分散型電源に指令する無効電力供出指令手段と、を備えている。そして、複数の分散型電源のそれぞれは電力系統に接続されており、情報収集用サーバの電圧変動監視手段が、電力系統の電圧変動を検出したとき、情報収集用サーバの無効電力供出手段からの指令に基づいて、当該分散型電源に割り当てられた無効電力量を、前記電力系統に出力するようにしている。なお、電力系統の電圧変動は、10秒以下、特に1秒以下の短い周期で発生する急峻な電圧変動である。
【0014】
また、本発明の好ましい形態としては、無効電力供出指令手段は、複数の分散型電源から電力系統に出力できる無効電力量の大きい順番に各分散型電源を並び替え、この無効電力量の大きい順番に各分散型電源から電力系統に無効電力を出力させるようにしている。
ここで、複数の分散型電源は、ガスタービン、ガスエンジン、太陽光発電、燃料電池、蓄電池の中いずれか一つまたは複数から構成されるものである。
【0015】
本発明の分散型電源システムを利用した系統電圧安定化方法は、情報収集用サーバによって、電力系統における電圧変動を監視するステップと、複数の分散型電源のそれぞれの稼動状況を監視するステップと、各分散型電源の稼働状況に応じて当該分散型電源から電力系統に供出可能な無効電力を演算するステップと、電力系統の電圧変動が所定の閾値を超えたとき、各分散型電源に対して電力系統に出力させる無効電力を割り当てるステップと、各分散型電源に割り当てた無効電力を電力系統に供出させる指令を各分散型電源に与えるステップと、情報収集用サーバが、電力系統の電圧変動を検出したとき、情報収集用サーバからの供出指令に基づいて、当該分散型電源に割り当てられた無効電力量を、前記電力系統に出力させるステップと、を含む。ここでは、電力系統の電圧変動は10秒以下、特に1秒以下の短い周期の急峻な電圧変動が対象になっている。
【0016】
更に、上記好ましい形態として、複数の分散型電源から電力系統に出力できる無効電力量の大きい順番に前記各分散型電源を並び替えるステップと、情報サーバから各分散型電源に無効電力の供給指令があったとき、上記並び替えた無効電力量の大きい順番に各分散型電源から前記電力系統に無効電力を出力させるステップと、を含んでいる。
【0017】
本発明が解決する10秒以下、特に1秒以下の短周期の変動としては、アーク炉等で発生する電圧フリッカが存在する。本発明では、これらの電圧変動に対する安定化手段として、分散型電源の余力を活用し、電圧変動に応じて系統側に無効電力を供給するものである。そのため、無効電力の余力を推定し、その余力の大きさと電圧感度係数に応じ各分散型電源の電力系統(配電系統)での変動安定化に寄与できる割合が決定される。また、電圧変動の大きさにより、電圧変動を安定化させるのに必要な分散型電源の台数が決定される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電圧変動が生じているかどうかを分散型電源やマイクログリッド側で監視し、必要に応じて系統側に供給するようにしているので、静止型無効電力補償装置(SVC)などの新規導入に関わる費用の低減を図ることができる。また、分散型電源の余力(無効電力)を活用して電圧変動の安定化を図っているため、分散型電源やマイクログリッドの設備の有効利用ができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<本発明の原理を説明するための有効電力と無効電力の関係を表わす計算式>
以下、図面を参照して本発明の実施形態例を説明するが、その前に本発明の実施の形態例を説明する上で必要となる、有効電力と無効電力の関係について図1に基づいて説明する。一般に、インバータの容量は一般的に皮相電力(VA)で表わされる。皮相電力は図1のベクトルaで表わされる。図1に示すように、有効電力を横軸、無効電力を縦軸にとると、皮相電力S(VA)と有効電力P(W)及び無効電力Q(var)の関係は(1)式で表わされる。
【0020】
【数1】
この式(1)は(2)式のように変形できる。
【0021】
【数2】
この(2)式は、インバータ容量Sの場合、分散型電源から出力される有効電力をPとすると、無効電力Qを出力することができるインバータの余力を示している。つまり、有効電力Pがインバータの容量Sの定格以下(S>P)であれば、所定の無効電力Qを取り出すことができる。
【0022】
ここで有効電力Pは、需要家(住宅用負荷)における抵抗分で消費される電力であり、無効電力Qは、需要家には利用できない仕事をしないエネルギーである。高圧以上の電力系統ではこの仕事をしない成分であるリアクトル分が大きく、無効電力Qを利用して系統電圧の調整が行われるのが一般的である。この無効電力Qを調整する機器は分路リアクトル(ShR)や電力用コンデンサ(SC)などがある。
【0023】
本発明の実施形態例(以下「本例」ということもある)では、有効電力Pが定格以下(皮相電力S以下)で運転され、その結果無効電力Qが出力される分散型電源が複数配置されるモデルを考えている。このような複数の分散型電源による統合制御システムをマイクログリッドというが、このマイクログリッドを利用して系統電圧の調整を図るためには、次々刻々と変化する個々の分散型電源の余力(無効電力Q)を集計する必要がある。この余力(無効電力Q)の推定手段としては、各分散型電源に専用通信線もしくはインターネット回線を敷設して、後述する情報収集用のサーバと接続する方式が考えられる。なお、統合制御システムとしてのマイクログリッド全体の余力の集計を行うためには、専用サーバを設置することが望ましい。
【0024】
<本発明の分散型電源システムの実施の形態例の説明>
次に、図2に基づいて、本例の分散型電源システムの構成と動作について説明する。図2は、本例の分散型電源システムのシステム構成図である。図2に示すように、本例の分散型電源システムは、電力系統の低圧配電線1に接続された情報収集用サーバ2と、同じく低圧配電線1に接続された複数(N個)の分散型電源4と、この分散型電源が用いられる複数の住宅用負荷3と、から構成されている。ここで、通常の分散型電源4の運用としては、定格出力の範囲内で住宅の電力需要(住宅用負荷3)を賄うように運転され(矢印6参照)、発電時の排熱は貯湯槽5に蓄熱されるようになっている。
【0025】
そして、貯湯槽5の蓄熱容量が定格に達すると分散型電源4の運転を停止する。なお、蓄熱容量に余裕が生じた場合は分散型電源4を再度運転する場合も考えられる。
また、情報収集用サーバ2は、低圧配電線1に接続されているので、この配電線の電圧変動を知ることができる。そして、上記複数の分散型電源4の運転状況を把握するために、ネットワーク8を介して分散型電源4と定期的に通信する。ここで分散型電源4はその制御用の不図示のコンピュータを備えており、情報収集用サーバ2と分散型電源4との通信はいわゆるインターネットや専用回線を経由したコンピュータ間の通信となる。
【0026】
図3は、情報収集用サーバ2の機能(働き)を説明するための機能ブロック図である。
情報収集用サーバ2は、電力系統の低圧配電線1の電圧を常時監視する系統電圧監視部31と、分散型電源4の稼動状況を監視する稼働状況監視部32を備えている。また、系統電圧の異常を検出する系統電圧変動検出部33を備え、この系統電圧変動検出部33で所定範囲を上回る電圧変動が検出された場合に、分散型電源側から系統側に出力するべき電圧変動を補償するための無効電力量を計算する無効電力量演算部34を備えている。
【0027】
更に、情報収集用サーバ2は、無効電力量演算部34と稼動状況監視部32からの出力に基づいて、分散型電源が系統側に供出できる余力(無効電力)を演算する余力(無効電力)演算部35を備える。そして、この余力(無効電力)演算部35で計算した各分散型電源ごとの余力(無効電力)の供出を各分散型電源4に求める無効電力供出司令部36を備えている。
【0028】
次に、図3に示した情報収集用サーバ2の各機能ブロックが分散型電源4との間でどのような動作を行うかについて説明する。
例えば、不図示のアーク炉等が原因で、電力系統の低圧配電線1に、時間的に短い周期(10秒以下、特に1秒以下)の電圧変動があったと仮定する。情報収集用サーバ2の系統電圧監視部31は、系統電圧を常時監視しており、系統電圧の変動が系統電圧変動検出部33で検出される。また、情報収集用サーバ2の分散型電源稼動状況監視部32は、その管理下にあるマイクログリッドに属する全ての分散型電源4の稼動状況を監視している。
【0029】
系統電圧変動検出部33が、系統電圧の電圧変動を検出すると、この結果を無効電力演算部34が受け取り、系統側の電圧変動を補償するために分散型システム全体として系統側に供給することが必要とされる無効電力量を計算する。
【0030】
そして、分散型電源の余力(無効電力)演算部35で、それぞれの個別の分散型電源4に対して系統側に供出する無効電力量が計算され、その結果、分散型電源への余力供出司令部36から各分散型電源4に対して、系統側に出力するべき無効電力量が指令される。
分散型電源4は、情報収集用サーバ2からの上記指令に基づいて、その余力(無効電力Q)を図2の点線矢印7で示すように、所定時間(例えば100ms程度)毎に必要に応じて出力を変化させ、電力系統側の低圧配電線1に供給する。
【0031】
言い換えると、情報収集用サーバ2は、各分散型電源4の定格容量と、個々の分散電源4がそれぞれの住宅用負荷3での利用状況(分散型電源4の運用状況)から出力できる余力(無効電力Q)を(2)式に基づいて演算する。そして、複数(N個)の分散型電源4を含む分散型電源システム全体としての余力を導出する。
ここで、情報収集用サーバ2と分散型電源4間のデータ通信間隔は短いほど良いが、安定化させたい電圧変動の周期を考慮し、分散型電源4の有効電力出力6のデータ計測間隔を適宜設定するようにしている。
【0032】
<本発明の実施形態例における系統電圧安定化のための動作説明>
次に、図4、図5に基づいて、本例の分散型電源システムによる系統電圧の安定化動作について説明する。
図4は、複数の分散型電源4の稼働状況を調査するためのフローチャートである。分散型電源4(図2参照)の稼働状況の調査は、マイクログリッドを構成する全ての分散型電源4について行われる(ステップS1)。つまり、分散型電源4は、N個(i=1〜N)あり、このN個の分散型電源4が調査の対象になる。まず、初期値として、無効電力Qの総和Qsum=0、分散型電源4の番号i=0と設定する(ステップS2)。
【0033】
続いて、初期設定した分散型電源の番号(i=0)に「1」を加え(ステップS3)、最初の分散型電源4(i=1)について稼働状況を調査する(ステップS4)。この分散型電源4の稼動状況の調査は、インバータの皮相電力S(VA)、需要家で消費される有効電力P(W)、分散型電源4(1番目)の余力としての無効電力Q(var)の関係式(2)から、無効電力Q1を計算することによって行われる(ステップS5)。この段階では、Qsum=Q1になる。
【0034】
この稼動状況調査は、N個の分散型電源4の全てに対して行われる。すなわち番号iが最終Nになるまで繰り返し行われる(ステップS6)。そして、ステップS5に示されるように、各分散型電源4に対して求められた無効電力Qiが、既に求めた無効電力Qの総和Qsumに加算される。そして、マイクログリッドを構成する最後の分散型電源4(N番目)の余力(無効電力QN)が求まると(ステップS6のYes)、続いて各分散型電源の無効電力(Q1〜QN)を大きい順に並び替える(ステップS7)。これにより、稼働状況の調査が終了する(ステップS8)
【0035】
次に、図5に基づいて、本例の分散型電源システムによる系統電圧の安定化動作について説明する。本例の分散型電源システムは複数の分散型電源のそれぞれに、系統安定化のため役割を持たせているので、いわば統合的分散型電源システムということもできる。
処理が開始されると(ステップS10)、最初にΔV10の閾値が、例えば0.45に設定される(ステップS11)。このΔV10という値は、照明負荷のフリッカ(ちらつき)の大きさ、つまり、ちらつきが生じる電圧変動を示す値である。点滅の頻度を表す値であるといってよい。例えば、一時的な過負荷状態で系統に大電流が流れ、電圧降下が起こると、様々な設備に影響する。照明器具では特に蛍光灯や水銀灯などの放電灯が影響を受けやすい。この許容値は電力会社毎に、あるいは配電線毎に異なるが、通常は0.23〜0.45に設定される。つまり、このΔV10の値がフリッカの補償が必要となる電圧変動の値であり、ΔV10=0.45という数値は、この許容値を超えたら何らかの対策が必要とされる限界値である。
【0036】
ΔV10の設定に関係するものとして、ちらつき視感度係数がある。図6は、正弦波状電圧変動の周波数を横軸にとり、ちらつき視感度係数を縦軸にとったグラフである。ここで、ちらつき視感度というのは、人間の目がどの周波数のときに「ちらつき」に敏感になるかどうかを示した度合いであり、図6は、略10Hzのちらつきに対して人間の目が最も敏感であることを示している。図6から分かるように、ちらつき視感度係数は10Hzをピークにして、それより低い周波数でも高い周波数でも漸次下がっていく。図6は、10Hzのときを「1」として、他の周波数の視感度係数を相対的に数値化したものである。このように、フリッカの大きさの指標の一つであるΔV10を基準として設定する際には、人間の目のちらつき視感度係数が考慮される。
【0037】
図5のステップS11でΔV10の閾値が設定されるのと併行して、電圧感度係数ΔQが設定される(ステップS12)。この電圧感度係数ΔQは、分散型電源4による電圧変動を意味している。この電圧感度係数ΔQは、分散型電源4が設置される場所と時間(そのときの系統の需要)で変化するものなので、定期的に、例えば1時間毎に把握しておくことが望ましい。この電圧感度係数ΔQは、フリッカが発生していない時にマイクログリッドの連系点(情報収集用サーバが電圧を計測する点)で電圧が大きく変動しない程度の無効電力Qを分散型電源側から出力させ、電圧がどのくらい変化するかを計測することにより計算できる。
【0038】
次に、電圧制御目標値Vrefを設定する(ステップS13)。フリッカは常に一定の大きさで発生するわけではなく、例えばアーク炉ではΔV10が基準を超えたり超えなかったりを繰り返す場合がある。従って、電圧を常に計測しておき、フリッカが発生した場合にΔV10が基準を超えてない時点での最新の連系点電圧値をVrefとして設定するようにする。
【0039】
ステップS11〜S13で、ΔV10、ΔQ、Vrefの初期値設定が終了すると、続いてフリッカメータなどによりΔV10の計測値(ΔV10m)を求める(ステップS14)。そして、計測したΔV10mをステップS11で設定したΔV10と比較する(ステップS15)。計測値ΔV10mが設定値ΔV10に等しくなるか、設定値ΔV10を超えるまでは、ステップS14の計測を繰り返す。ステップS15で、計測値ΔV10mが設定値ΔV10に等しいか、この値を超えたと判定された場合(ステップS15のYes)は、数式(3)により、分散型電源(DG)から供出させる無効電力Qreqを求める(ステップS16)。
【0040】
[数3]
Qreq=(Vref−V)/ΔQ (3)
ここで、Vは電力系統の電圧、Vrefは電圧制御目標値、ΔQは電圧感度係数である。
この式(3)は、系統電圧の安定化に必要な無効電力量を推定するための式である。言い換えると、各分散型電源(DG)から供給される無効電力の総和を意味している。
【0041】
続いて、各分散型電源(DG)当たりに期待される無効電力出力量を求め(ステップS17)、この結果に基づいて、各分散型電源(DG)に対して無効電力の出力指令を行う(ステップS18)。すなわち、ステップS17では、(a)まず、一台当たりの分散型電源の無効電力出力Q/Nを算出し、この無効電力量を出力するように情報収集用サーバ2から各分散型電源(DG)4に対して出力指令を出す。
【0042】
ここで、全ての分散型電源に出力指令以上の余力があれば問題ないが、サーバからの指令値に対して余力が小さい分散型電源(DG)がある場合が問題となる。この問題の解決策としては、第一に、余力が小さい分散型電源によって不足する無効電力量を補うために、余力が大きい分散型電源(DG)の出力を増やすことが考えられる。
【0043】
このため、ステップS17で求めた一台当たりの分散型電源(DG)から出力される無効電力の平均出力値と、各分散型電源(DG)が出力できる最大値の差分(増分)を計算する。そして、余力がない分散型電源(DG)に対しては、出力できる最大値を出力させ、他の余力のある分散型電源(DG)に対してはステップS17で求めた出力増分値を出力するように指令する。
【0044】
また、図5のステップS17とステップS18を実行するに際し、余力の大きい分散型電源(DG)の順に無効電力を出力し、系統電圧の安定化に必要な無効電力量に達したら、それ以降の分散型電源4からの無効電力の供出はしないように、全体のシステムを制御することも考えられる。
この方法では、まず、余力の大きい分散型電源(DG)から順番に出力すべき無効電力を割り当て、系統安定化に必要な無効電力Qの大きさを確保していく。ここで、系統安定化のために必要な無効電力量は、必ずしも全台数でまかなわれるのではなく、あらかじめ決められた優先順位に従って各分散型電源から電力系統(配電線)に出力される無効電力出力を調整するようにする。
【0045】
このため、図4のステップS7で説明したように、各分散型電源(DG)を余力の大きい順(降順)にあらかじめ並べ替える。そして、i番目の分散型電源(DG)の無効電力(余力)Qiを計算する。その後、他の分散型電源(DG)から系統へ出力する必要がある無効電力Qreq´をQreq´=Qreq−Qi式から計算する。そして、Qreq´≦0(Qreq≦Qi)となった場合は、分散型電源(DG)からの無効電力が系統電圧の変動を補償するに十分な無効電力(目標値)Qreqに達したことになり、その後の分散型電源(DG)からの無効電力の供給は不要となる。最後に、ステップS18で各分散型電源(DG)の出力指令が行われた後、図7の処理が終了する(ステップS19)。
【0046】
図7は、図2に示した本発明の第1の実施形態例の変形例を示したものである。図2に示す第1の実施形態例と変更がない部分は同一符号を付して説明を省略する。この変形例では、フリッカ源として、周期の短い電圧変動を引き起こすアーク炉負荷設備、燃料電池発電等の分散型電源を含む電気設備15がある場合を想定している。
【0047】
ここで、情報収集用サーバ2は、ネットワーク回線25を介してアーク炉等の設備15を常時監視しており、このアーク炉等の設備15が発生する周期の短い電圧変動を検出する。そして、短周期の電圧変動を検出した場合には、情報収集用サーバ2から各分散型電源4に対して、それぞれの余力である無効電力を電力系統(配電線)に供給するように指令する。この動作は、図4、図5に基づいて説明した図2に示した分散型電源システムにおける系統電圧安定化動作と同じなので、重複説明はしない。
【0048】
<配電系統シミュレーションモデルへの比較例:ノード15をフリッカの発生源として系統電圧が変動する例>
図8は、配電用変電所9から負荷10〜24への樹枝状の配電系統シミュレーションモデルを示したものである。配電用変電所9から系統末端までは直線距離でおよそ4kmである。実際の系統では、負荷10〜24は配電線1上に分布しているのであるが(図2参照)、ここでは、便宜的に各番号の点(以下「ノード」という)に集中して複数の分散型電源4が接続されていると考える。
【0049】
図8では、ノード15にフリッカ変動が発生していることを示している。フリッカは、負荷の急激な変動に伴って電圧変動が起こる減少であり、フリッカ源(ノード15)の近隣に住んでいる需要家の照明にちらつきが生じたり、機器が誤動作するなどの問題を発生させたりする。このフリッカの原因として考えられるものには、工場などのアーク炉の稼働によるもの、ゴミ処理場の大型ごみ処理機や工事現場での電動機の負荷変動によるものなどが挙げられる。
【0050】
ここで、フリッカ(ちらつき)の大きさを表わす指標として、ΔV10が用いられている。このΔV10の算出方法に関しては、前述した非特許文献1に示されているが、各分散型電源4の変動周波数に対するちらつき視感度係数(図6参照)と、当該変動周波数の変動大きさから求めることができる。また、直接測定できるフリッカメータも市販されている。
【0051】
図9は、図8に示したシミュレーションモデルで想定したノード15における有効電力Pと無効電力Qの変動の大きさを示した図である。この変動はフリッカの要因となるものである。実際のフリッカ変動は多くの周波数成分を含むが、このシミュレーションモデルでは最も視感度係数の高い10Hzの変動が発生していると想定した(図6参照)。負荷変動の大きさは、無効電力Qが500〜800kvar、有効電力Pが400〜600kWとしている。ここでは、無効電力Qに約300kvarの変動があり、この無効電力の変動と略同期する形で有効電力Pに約200kWの変動が起こっている。
【0052】
図10は、フリッカ源となっているノード15とその他のノード10〜14のフリッカ変動の大きさを示した図である。なお、フリッカの許容値の基準としては、各電力会社が個別にΔV10の大きさを定めているが、ここでは低圧換算で0.45Vとしている。この値は、約半数の人が照明のちらつきを感じるレベルである。図10に示すように、このシミュレーション結果では、負荷変動が発生しているノード15ではΔV10が0.8と高い値を示し、また、ノード15にもっとも近いノード14でも上記許容値0.45Vを超えていることが分かる。これは、ノード15の負荷変動の影響がノード14の位置まで影響していることを示している。
【0053】
このように、図10はノード15の負荷変動による各ノードのフリッカのレベルを表わしている。従来の方法によれば、静止型無効電力補償装置(SVC)などの電圧変動を抑制し安定化させる機器を、フリッカの発生源近傍(即ち、ノード15)に設置したり、電線の張り替えなどを実施したりしてフリッカ変動を抑制している。
【0054】
<配電系統シミュレーションモデルへの応用例1:フリッカ源の遠方にある分散型電源システムを利用して系統電圧の安定化を図る例>
図11は、変電所9から遠方(例えば4km)のノード15にフリッカ源があるとした場合、フリッカ源15に比較的近い場所にあるノード14を制御ノードとして系統電圧の安定化を図る例である。この例では、ノード14に図2に示したマイクログリッドから構成される分散型電源システムが存在するものと想定している。ここで、ノード14を構成する分散型電源システムでは、無効電力を出力できる余力がシステム全体で300kvarとされる。そして、この無効電力出力(余力)によって、ノード14の電圧変動を抑制しつつ、ノード14におけるトータルの無効電力を調整して系統の安定化を図るようにしている。
【0055】
図12は、ノード14における分散型電源システムの無効電力の調整を図ることにより、系統電圧の安定化制御を行った結果を示した図である。図12を見るとわかるように、負荷変動の生じるノード15では、対策をしない場合の約0.8V(図10参照)と比べて基準より十分に低い値(約0.4V)に抑制され、安定化されていることが理解される。
【0056】
<配電系統シミュレーションモデルの応用例2:フリッカ源のノードと通信路で結ばれた複数のノードの分散型電源システムを利用して系統電圧の安定化を図る例>
図13は、本発明の分散型システムの他のシミュレーションモデルを示す図である。ノード12、13に分散型システムが存在しており、ノード12、13の2箇所の地点から、フリッカ源であるノード15の連携点の電圧変動を目標値として安定化させる制御を実施した場合を示している。図13に示すように、ノード12とノード13に配置された分散型電源システムで、系統電圧の変動を安定化させている。この点が図8〜10に示す応用例1あるいは図11、図12に示す応用例2と異なっている。また、この応用例3では、通信路(図13の一点鎖線)を通して、フリッカ源であるノード15から、ノード12とノード13の分散型電源システムへ電圧変動の情報を伝達している。
【0057】
図14は、ノード12、13の2つの地点の分散型電源システムで系統電圧の安定化を図ったときのΔV10を求めた図である。
図14に示すように、単一地点の分散型電源システムを利用したのでは、系統の安定化が困難な場合でも、複数地点(この例では2箇所)の分散型電源システムを用いることにより、系統電圧の安定化を図ることができる。また、フリッカ源であるノード15の変動を制御目標値に設定することにより、自端制御では困難だった抑制が可能となる。
【0058】
すなわち、図10から分かる通り、フリッカ源であるノードから遠方になるとフリッカ変動の大きさも小さくなる場合がある。その場合、ΔV10が基準値より小さい変動を目標値として変動安定化制御を行ったとしても効果は低い。
そのため、ΔV10の大きい地点の変動を抑制させるようにするためには、分散型電源の連系点で基準値を超えない範囲で大きな変動を目標値として安定化制御を行うことが考えられる。その目標値設定の一例がノード15の変動である。
また、本実施例では、高速動作が可能なインバータ連系式分散型電源を想定しているが、励磁回路により力率制御を行う大型同期発電機でも高速動作が可能なものがあればそれを採用しても良い。
【0059】
なお本発明は、上述の説明した実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形例および応用例を含むことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の原理を説明するために必要な、インバータの容量と有効電力、無効電力の関係を示す図である。
【図2】本発明の分散型電源システムの実施形態例を示すブロック図である。
【図3】本発明の分散型電源システムの主要な構成要素である情報収集用サーバの機能(働き)を示す機能ブロック図である。
【図4】複数の分散型電源から構成される本発明の分散型電源システム(マイクログリッド)において、各分散型電源の稼働状況を調査する方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】複数の分散型電源から構成される本発明の分散型電源システム(マイクログリッド)において、系統電圧のΔV10を計測してから各分散型電源に無効電力の出力指令を出すまでのフローチャートである。
【図6】正弦波状電圧変動の周波数に対するちらつき視感度係数の変化を示す図である。
【図7】本発明の分散型電源システムの実施形態例の変形例を表わすブロック図であり、フリッカ源の分散型電源を監視して系統電圧の安定化を図る分散型電源システムの例である。
【図8】本発明の分散型電源システムの配電系統シミュレーションモデルの比較例を示した図である。
【図9】図8に示したシミュレーションモデル(比較例)でノード15の負荷変動(有効電力と無効電力)を示した図である。
【図10】図8に示したシミュレーションモデル(比較例)において、ノード15の負荷変動による各ノードのフリッカ電圧(ΔV10)を示した図である。
【図11】本発明の分散型電源システムの配電系統シミュレーションモデルである第1の応用例を示した図であり、フリッカ源のノードに比較的近いノードにある分散型電源システムを利用して系統電圧の安定化を図る例である。
【図12】図11に示したシミュレーションモデル(応用例1)でノード14の分散型電源システムによる電圧安定化制御の結果(ΔV10)を示した図である。
【図13】本発明の分散型電源システムの配電系統シミュレーションモデルの第3の応用例を示した図であり、複数のノードの分散型電源システムを利用して系統電圧の安定化を図る例である。
【図14】図13に示したシミュレーションモデル(応用例2)でノード13、14の分散型電源システムによる電圧安定化制御の結果(ΔV10)を示した図である。
【符号の説明】
【0061】
1・・・低圧配電線(電力系統)、2・・・情報収集用サーバ、3・・・住宅用負荷、4・・・分散型電源、5・・・貯湯槽、6・・・有効電力出力(分散型電源から住宅用負荷に対して)、7・・・無効電力出力(分散型電源からの配電線に対して)、8・・・情報通信サーバと分散型電源との通信路、9・・・変電所、10〜24・・・分散型電源システムが存在するノード、15・・・フリッカ源があるノード、12、13、14・・・制御ノード、31・・・電力系統監視部、32・・・稼動状況監視部、33・・・系統電圧変動検出部、34・・・系統電圧変動補償用無効電力量演算部、35・・・分散型電源の余力(無効電力)演算部、36・・・分散型電源への余力供出司令部
【技術分野】
【0001】
この発明は、分散型電源、特に複数の分散型電源を組み合わせたマイクログリッドシステム及びこのシステムを用いた系統電圧安定化方法に関し、分散型電源の従来からの利用方法である需要家へのエネルギー供給を行いながら、余力を活用して電力系統側に無効電力を供給・放出し電力系統側の電圧安定性に寄与する分散型電源システム及び系統電圧安定化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分散型電源(DG:Distributed Generator)の導入促進により、電力系統全体の安定性の低下が懸念されている。すなわち、分散型電源の導入により、電力系統の周波数や電圧の変動が大きくなり、最悪の場合は停電や機器の損傷につながる可能性があると指摘されている。
【0003】
電力系統が不安定になる原因としては、下記のような要因が挙げられている。
(1)太陽光発電(PV:Photovoltaic)や風力発電(WT:Wind Turbine)の有効電力出力変動により、系統全体での周波数変動が生じる。
(2)分散型電源出力を電力会社に売電することにより、分散型電源側から電力系統側に逆潮流が発生し、この結果、電圧変動が発生する。
(3)アーク炉などの変動が激しい負荷による周期の短い電圧変動が発生する。
【0004】
上記電力系統の不安定要因のうち、特に、本発明に関連する(3)の不安定要因について説明する。電力系統に周期の短い変動が発生する負荷としては、アーク炉のほかには、ゴミ焼却場や工事用仮設電源などがある(非特許文献1を参照)。また、風力発電なども風の影響で周期の短い電圧変動が発生する。ここで短い周期とは、10秒以下、特に1秒以下の電圧変動をいう。これに対して、(2)の逆潮流による電圧変動とは、数秒から数分以上の単位で電圧が変化することを意味している。
【0005】
上述(3)の不安定要因に対する従来の対処法としては、需要家側で電力用コンデンサ(SC:Shunt Capacitor)や分路リアクトル(ShR:Shunt Reacter)、静止型無効電力補償装置(SVC:Static var Compensator)などを設置することで行われていた。例えば、電圧変動を抑制する装置として、静止型調相設備を用いた電圧安定化制御装置が提案されている(特許文献1を参照)。この技術は、特に制御対象の電力系統の電圧変動を検出し、予定値以上の変動が検出されたときは、既設の電力用コンデンサや分路リアクトルなどを投入または開放して系統電圧を運用基準範囲内に調整するものである。
【0006】
また、分散型電源の系統連系時に電力を系統側へ送り出す、いわゆる逆潮流時において電圧が上昇する問題や、出力変動による電圧変動に対し、分散型電源自身もしくは分散型電源に付設した制御機器(インバータなど)によって出力を抑制する方法も提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0007】
特許文献2に記載される技術は、分散型電源の力率を順次調整する制御システムである。分散電源の出力を力率一定のまま一時的に変動させ、その時の制御目標地点の電圧を計測する。そして、制御目標地点の電圧が上昇した場合は運転力率を減少させ(進相無効電力出力を増加)、逆に制御目標地点の電圧が降下した場合は運転力率を増加(進相無効電力出力を減少)させるようにしている。
【0008】
【特許文献1】特開平11−89090号公報
【特許文献2】特開2005−160260号公報
【非特許文献1】田波貞夫「電圧変動の要因とその対策」(電気設備学会誌Vol24, No.4 pp.265-267, 2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、制御可能な時間幅は数秒以上の間隔であり、フリッカのようなミリ秒オーダーの電圧変動は補償することが不可能である。
また、特許文献2には、力率を制御して系統電圧の安定化を図る方法が示されている。分散型電源を含む大型同期発電機では、力率の調整を励磁回路で行うが、この場合、1秒以下の変動に対応できるような高速制御ができない。また、有効電力出力に対し無効電力出力が決まるため、複数の分散型電源を制御する場合、各分散型電源がどのくらい有効電力を必要とし、どのくらいの無効電力を出力可能とするのかを把握しておく必要があるが、特許文献2記載の技術ではその点について考慮されていない。
【0010】
上述したように、電力系統における短周期の電圧変動(フリッカ)に対して電力用コンデンサ(SC)、分路リアクトル(ShR)、静止型無効電力補償装置(SVC)などの電圧調整機器が用いる方法や、電線を張り替えして太線化するなどの対策が取られている。しかしながら、これらの対策費用は高価であり、フリッカ発生源に対する抑制方法としてはコスト的に問題がある。特に、静止型無効電力補償装置(SVC)を系統内に導入する場合には、新規に電力機器を導入しなければならないなど、設備が大型化するなどの不都合もあった。
【0011】
一方、現在、産業用・業務用を中心にコージェネレーションシステムをベースとした分散型電源が導入されている。また、今後、家庭用においても太陽光発電や燃料電池コージェネレーションシステムの導入が進展すると想定される。また、マイクログリッドという、特定エリア内で複数・多種の分散型電源を制御しエネルギーを供給するシステムについても実証研究が行われているところである。これらの分散型電源では部分負荷運転を行うことが可能で、その出力(設備容量)に余力がある場合がある。しかも、これらの分散型電源では、その余力が十分に活用されていないという現実がある。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、電力系統において発生する比較的時間の短い変動である電圧フリッカ問題を解決し、10秒以下、特に1秒以下の電圧変動に対しても素早く系統電圧の安定化を図ることができる分散型電源システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決し本発明の目的を達成するため、本発明の分散型電源システムは、情報収集用サーバと、複数の分散型電源とからなる分散型電源システムであって、情報収集用サーバは、電力系統における電圧変動を監視する電圧変動監視手段と、複数の分散型電源の稼動状況を監視する稼働状況監視手段と、各分散型電源の稼働状況に応じて当該分散型電源から電力系統に供出可能な無効電力を演算する無効電力演算手段と、を備えている。
また、電圧変動監視手段が電力系統に所定の閾値を超える電圧変動を検出したときに、各分散型電源に対して電力系統に出力させる無効電力を割り当て、該割り当てた無効電力を電力系統に出力させる指令を各分散型電源に指令する無効電力供出指令手段と、を備えている。そして、複数の分散型電源のそれぞれは電力系統に接続されており、情報収集用サーバの電圧変動監視手段が、電力系統の電圧変動を検出したとき、情報収集用サーバの無効電力供出手段からの指令に基づいて、当該分散型電源に割り当てられた無効電力量を、前記電力系統に出力するようにしている。なお、電力系統の電圧変動は、10秒以下、特に1秒以下の短い周期で発生する急峻な電圧変動である。
【0014】
また、本発明の好ましい形態としては、無効電力供出指令手段は、複数の分散型電源から電力系統に出力できる無効電力量の大きい順番に各分散型電源を並び替え、この無効電力量の大きい順番に各分散型電源から電力系統に無効電力を出力させるようにしている。
ここで、複数の分散型電源は、ガスタービン、ガスエンジン、太陽光発電、燃料電池、蓄電池の中いずれか一つまたは複数から構成されるものである。
【0015】
本発明の分散型電源システムを利用した系統電圧安定化方法は、情報収集用サーバによって、電力系統における電圧変動を監視するステップと、複数の分散型電源のそれぞれの稼動状況を監視するステップと、各分散型電源の稼働状況に応じて当該分散型電源から電力系統に供出可能な無効電力を演算するステップと、電力系統の電圧変動が所定の閾値を超えたとき、各分散型電源に対して電力系統に出力させる無効電力を割り当てるステップと、各分散型電源に割り当てた無効電力を電力系統に供出させる指令を各分散型電源に与えるステップと、情報収集用サーバが、電力系統の電圧変動を検出したとき、情報収集用サーバからの供出指令に基づいて、当該分散型電源に割り当てられた無効電力量を、前記電力系統に出力させるステップと、を含む。ここでは、電力系統の電圧変動は10秒以下、特に1秒以下の短い周期の急峻な電圧変動が対象になっている。
【0016】
更に、上記好ましい形態として、複数の分散型電源から電力系統に出力できる無効電力量の大きい順番に前記各分散型電源を並び替えるステップと、情報サーバから各分散型電源に無効電力の供給指令があったとき、上記並び替えた無効電力量の大きい順番に各分散型電源から前記電力系統に無効電力を出力させるステップと、を含んでいる。
【0017】
本発明が解決する10秒以下、特に1秒以下の短周期の変動としては、アーク炉等で発生する電圧フリッカが存在する。本発明では、これらの電圧変動に対する安定化手段として、分散型電源の余力を活用し、電圧変動に応じて系統側に無効電力を供給するものである。そのため、無効電力の余力を推定し、その余力の大きさと電圧感度係数に応じ各分散型電源の電力系統(配電系統)での変動安定化に寄与できる割合が決定される。また、電圧変動の大きさにより、電圧変動を安定化させるのに必要な分散型電源の台数が決定される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電圧変動が生じているかどうかを分散型電源やマイクログリッド側で監視し、必要に応じて系統側に供給するようにしているので、静止型無効電力補償装置(SVC)などの新規導入に関わる費用の低減を図ることができる。また、分散型電源の余力(無効電力)を活用して電圧変動の安定化を図っているため、分散型電源やマイクログリッドの設備の有効利用ができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<本発明の原理を説明するための有効電力と無効電力の関係を表わす計算式>
以下、図面を参照して本発明の実施形態例を説明するが、その前に本発明の実施の形態例を説明する上で必要となる、有効電力と無効電力の関係について図1に基づいて説明する。一般に、インバータの容量は一般的に皮相電力(VA)で表わされる。皮相電力は図1のベクトルaで表わされる。図1に示すように、有効電力を横軸、無効電力を縦軸にとると、皮相電力S(VA)と有効電力P(W)及び無効電力Q(var)の関係は(1)式で表わされる。
【0020】
【数1】
この式(1)は(2)式のように変形できる。
【0021】
【数2】
この(2)式は、インバータ容量Sの場合、分散型電源から出力される有効電力をPとすると、無効電力Qを出力することができるインバータの余力を示している。つまり、有効電力Pがインバータの容量Sの定格以下(S>P)であれば、所定の無効電力Qを取り出すことができる。
【0022】
ここで有効電力Pは、需要家(住宅用負荷)における抵抗分で消費される電力であり、無効電力Qは、需要家には利用できない仕事をしないエネルギーである。高圧以上の電力系統ではこの仕事をしない成分であるリアクトル分が大きく、無効電力Qを利用して系統電圧の調整が行われるのが一般的である。この無効電力Qを調整する機器は分路リアクトル(ShR)や電力用コンデンサ(SC)などがある。
【0023】
本発明の実施形態例(以下「本例」ということもある)では、有効電力Pが定格以下(皮相電力S以下)で運転され、その結果無効電力Qが出力される分散型電源が複数配置されるモデルを考えている。このような複数の分散型電源による統合制御システムをマイクログリッドというが、このマイクログリッドを利用して系統電圧の調整を図るためには、次々刻々と変化する個々の分散型電源の余力(無効電力Q)を集計する必要がある。この余力(無効電力Q)の推定手段としては、各分散型電源に専用通信線もしくはインターネット回線を敷設して、後述する情報収集用のサーバと接続する方式が考えられる。なお、統合制御システムとしてのマイクログリッド全体の余力の集計を行うためには、専用サーバを設置することが望ましい。
【0024】
<本発明の分散型電源システムの実施の形態例の説明>
次に、図2に基づいて、本例の分散型電源システムの構成と動作について説明する。図2は、本例の分散型電源システムのシステム構成図である。図2に示すように、本例の分散型電源システムは、電力系統の低圧配電線1に接続された情報収集用サーバ2と、同じく低圧配電線1に接続された複数(N個)の分散型電源4と、この分散型電源が用いられる複数の住宅用負荷3と、から構成されている。ここで、通常の分散型電源4の運用としては、定格出力の範囲内で住宅の電力需要(住宅用負荷3)を賄うように運転され(矢印6参照)、発電時の排熱は貯湯槽5に蓄熱されるようになっている。
【0025】
そして、貯湯槽5の蓄熱容量が定格に達すると分散型電源4の運転を停止する。なお、蓄熱容量に余裕が生じた場合は分散型電源4を再度運転する場合も考えられる。
また、情報収集用サーバ2は、低圧配電線1に接続されているので、この配電線の電圧変動を知ることができる。そして、上記複数の分散型電源4の運転状況を把握するために、ネットワーク8を介して分散型電源4と定期的に通信する。ここで分散型電源4はその制御用の不図示のコンピュータを備えており、情報収集用サーバ2と分散型電源4との通信はいわゆるインターネットや専用回線を経由したコンピュータ間の通信となる。
【0026】
図3は、情報収集用サーバ2の機能(働き)を説明するための機能ブロック図である。
情報収集用サーバ2は、電力系統の低圧配電線1の電圧を常時監視する系統電圧監視部31と、分散型電源4の稼動状況を監視する稼働状況監視部32を備えている。また、系統電圧の異常を検出する系統電圧変動検出部33を備え、この系統電圧変動検出部33で所定範囲を上回る電圧変動が検出された場合に、分散型電源側から系統側に出力するべき電圧変動を補償するための無効電力量を計算する無効電力量演算部34を備えている。
【0027】
更に、情報収集用サーバ2は、無効電力量演算部34と稼動状況監視部32からの出力に基づいて、分散型電源が系統側に供出できる余力(無効電力)を演算する余力(無効電力)演算部35を備える。そして、この余力(無効電力)演算部35で計算した各分散型電源ごとの余力(無効電力)の供出を各分散型電源4に求める無効電力供出司令部36を備えている。
【0028】
次に、図3に示した情報収集用サーバ2の各機能ブロックが分散型電源4との間でどのような動作を行うかについて説明する。
例えば、不図示のアーク炉等が原因で、電力系統の低圧配電線1に、時間的に短い周期(10秒以下、特に1秒以下)の電圧変動があったと仮定する。情報収集用サーバ2の系統電圧監視部31は、系統電圧を常時監視しており、系統電圧の変動が系統電圧変動検出部33で検出される。また、情報収集用サーバ2の分散型電源稼動状況監視部32は、その管理下にあるマイクログリッドに属する全ての分散型電源4の稼動状況を監視している。
【0029】
系統電圧変動検出部33が、系統電圧の電圧変動を検出すると、この結果を無効電力演算部34が受け取り、系統側の電圧変動を補償するために分散型システム全体として系統側に供給することが必要とされる無効電力量を計算する。
【0030】
そして、分散型電源の余力(無効電力)演算部35で、それぞれの個別の分散型電源4に対して系統側に供出する無効電力量が計算され、その結果、分散型電源への余力供出司令部36から各分散型電源4に対して、系統側に出力するべき無効電力量が指令される。
分散型電源4は、情報収集用サーバ2からの上記指令に基づいて、その余力(無効電力Q)を図2の点線矢印7で示すように、所定時間(例えば100ms程度)毎に必要に応じて出力を変化させ、電力系統側の低圧配電線1に供給する。
【0031】
言い換えると、情報収集用サーバ2は、各分散型電源4の定格容量と、個々の分散電源4がそれぞれの住宅用負荷3での利用状況(分散型電源4の運用状況)から出力できる余力(無効電力Q)を(2)式に基づいて演算する。そして、複数(N個)の分散型電源4を含む分散型電源システム全体としての余力を導出する。
ここで、情報収集用サーバ2と分散型電源4間のデータ通信間隔は短いほど良いが、安定化させたい電圧変動の周期を考慮し、分散型電源4の有効電力出力6のデータ計測間隔を適宜設定するようにしている。
【0032】
<本発明の実施形態例における系統電圧安定化のための動作説明>
次に、図4、図5に基づいて、本例の分散型電源システムによる系統電圧の安定化動作について説明する。
図4は、複数の分散型電源4の稼働状況を調査するためのフローチャートである。分散型電源4(図2参照)の稼働状況の調査は、マイクログリッドを構成する全ての分散型電源4について行われる(ステップS1)。つまり、分散型電源4は、N個(i=1〜N)あり、このN個の分散型電源4が調査の対象になる。まず、初期値として、無効電力Qの総和Qsum=0、分散型電源4の番号i=0と設定する(ステップS2)。
【0033】
続いて、初期設定した分散型電源の番号(i=0)に「1」を加え(ステップS3)、最初の分散型電源4(i=1)について稼働状況を調査する(ステップS4)。この分散型電源4の稼動状況の調査は、インバータの皮相電力S(VA)、需要家で消費される有効電力P(W)、分散型電源4(1番目)の余力としての無効電力Q(var)の関係式(2)から、無効電力Q1を計算することによって行われる(ステップS5)。この段階では、Qsum=Q1になる。
【0034】
この稼動状況調査は、N個の分散型電源4の全てに対して行われる。すなわち番号iが最終Nになるまで繰り返し行われる(ステップS6)。そして、ステップS5に示されるように、各分散型電源4に対して求められた無効電力Qiが、既に求めた無効電力Qの総和Qsumに加算される。そして、マイクログリッドを構成する最後の分散型電源4(N番目)の余力(無効電力QN)が求まると(ステップS6のYes)、続いて各分散型電源の無効電力(Q1〜QN)を大きい順に並び替える(ステップS7)。これにより、稼働状況の調査が終了する(ステップS8)
【0035】
次に、図5に基づいて、本例の分散型電源システムによる系統電圧の安定化動作について説明する。本例の分散型電源システムは複数の分散型電源のそれぞれに、系統安定化のため役割を持たせているので、いわば統合的分散型電源システムということもできる。
処理が開始されると(ステップS10)、最初にΔV10の閾値が、例えば0.45に設定される(ステップS11)。このΔV10という値は、照明負荷のフリッカ(ちらつき)の大きさ、つまり、ちらつきが生じる電圧変動を示す値である。点滅の頻度を表す値であるといってよい。例えば、一時的な過負荷状態で系統に大電流が流れ、電圧降下が起こると、様々な設備に影響する。照明器具では特に蛍光灯や水銀灯などの放電灯が影響を受けやすい。この許容値は電力会社毎に、あるいは配電線毎に異なるが、通常は0.23〜0.45に設定される。つまり、このΔV10の値がフリッカの補償が必要となる電圧変動の値であり、ΔV10=0.45という数値は、この許容値を超えたら何らかの対策が必要とされる限界値である。
【0036】
ΔV10の設定に関係するものとして、ちらつき視感度係数がある。図6は、正弦波状電圧変動の周波数を横軸にとり、ちらつき視感度係数を縦軸にとったグラフである。ここで、ちらつき視感度というのは、人間の目がどの周波数のときに「ちらつき」に敏感になるかどうかを示した度合いであり、図6は、略10Hzのちらつきに対して人間の目が最も敏感であることを示している。図6から分かるように、ちらつき視感度係数は10Hzをピークにして、それより低い周波数でも高い周波数でも漸次下がっていく。図6は、10Hzのときを「1」として、他の周波数の視感度係数を相対的に数値化したものである。このように、フリッカの大きさの指標の一つであるΔV10を基準として設定する際には、人間の目のちらつき視感度係数が考慮される。
【0037】
図5のステップS11でΔV10の閾値が設定されるのと併行して、電圧感度係数ΔQが設定される(ステップS12)。この電圧感度係数ΔQは、分散型電源4による電圧変動を意味している。この電圧感度係数ΔQは、分散型電源4が設置される場所と時間(そのときの系統の需要)で変化するものなので、定期的に、例えば1時間毎に把握しておくことが望ましい。この電圧感度係数ΔQは、フリッカが発生していない時にマイクログリッドの連系点(情報収集用サーバが電圧を計測する点)で電圧が大きく変動しない程度の無効電力Qを分散型電源側から出力させ、電圧がどのくらい変化するかを計測することにより計算できる。
【0038】
次に、電圧制御目標値Vrefを設定する(ステップS13)。フリッカは常に一定の大きさで発生するわけではなく、例えばアーク炉ではΔV10が基準を超えたり超えなかったりを繰り返す場合がある。従って、電圧を常に計測しておき、フリッカが発生した場合にΔV10が基準を超えてない時点での最新の連系点電圧値をVrefとして設定するようにする。
【0039】
ステップS11〜S13で、ΔV10、ΔQ、Vrefの初期値設定が終了すると、続いてフリッカメータなどによりΔV10の計測値(ΔV10m)を求める(ステップS14)。そして、計測したΔV10mをステップS11で設定したΔV10と比較する(ステップS15)。計測値ΔV10mが設定値ΔV10に等しくなるか、設定値ΔV10を超えるまでは、ステップS14の計測を繰り返す。ステップS15で、計測値ΔV10mが設定値ΔV10に等しいか、この値を超えたと判定された場合(ステップS15のYes)は、数式(3)により、分散型電源(DG)から供出させる無効電力Qreqを求める(ステップS16)。
【0040】
[数3]
Qreq=(Vref−V)/ΔQ (3)
ここで、Vは電力系統の電圧、Vrefは電圧制御目標値、ΔQは電圧感度係数である。
この式(3)は、系統電圧の安定化に必要な無効電力量を推定するための式である。言い換えると、各分散型電源(DG)から供給される無効電力の総和を意味している。
【0041】
続いて、各分散型電源(DG)当たりに期待される無効電力出力量を求め(ステップS17)、この結果に基づいて、各分散型電源(DG)に対して無効電力の出力指令を行う(ステップS18)。すなわち、ステップS17では、(a)まず、一台当たりの分散型電源の無効電力出力Q/Nを算出し、この無効電力量を出力するように情報収集用サーバ2から各分散型電源(DG)4に対して出力指令を出す。
【0042】
ここで、全ての分散型電源に出力指令以上の余力があれば問題ないが、サーバからの指令値に対して余力が小さい分散型電源(DG)がある場合が問題となる。この問題の解決策としては、第一に、余力が小さい分散型電源によって不足する無効電力量を補うために、余力が大きい分散型電源(DG)の出力を増やすことが考えられる。
【0043】
このため、ステップS17で求めた一台当たりの分散型電源(DG)から出力される無効電力の平均出力値と、各分散型電源(DG)が出力できる最大値の差分(増分)を計算する。そして、余力がない分散型電源(DG)に対しては、出力できる最大値を出力させ、他の余力のある分散型電源(DG)に対してはステップS17で求めた出力増分値を出力するように指令する。
【0044】
また、図5のステップS17とステップS18を実行するに際し、余力の大きい分散型電源(DG)の順に無効電力を出力し、系統電圧の安定化に必要な無効電力量に達したら、それ以降の分散型電源4からの無効電力の供出はしないように、全体のシステムを制御することも考えられる。
この方法では、まず、余力の大きい分散型電源(DG)から順番に出力すべき無効電力を割り当て、系統安定化に必要な無効電力Qの大きさを確保していく。ここで、系統安定化のために必要な無効電力量は、必ずしも全台数でまかなわれるのではなく、あらかじめ決められた優先順位に従って各分散型電源から電力系統(配電線)に出力される無効電力出力を調整するようにする。
【0045】
このため、図4のステップS7で説明したように、各分散型電源(DG)を余力の大きい順(降順)にあらかじめ並べ替える。そして、i番目の分散型電源(DG)の無効電力(余力)Qiを計算する。その後、他の分散型電源(DG)から系統へ出力する必要がある無効電力Qreq´をQreq´=Qreq−Qi式から計算する。そして、Qreq´≦0(Qreq≦Qi)となった場合は、分散型電源(DG)からの無効電力が系統電圧の変動を補償するに十分な無効電力(目標値)Qreqに達したことになり、その後の分散型電源(DG)からの無効電力の供給は不要となる。最後に、ステップS18で各分散型電源(DG)の出力指令が行われた後、図7の処理が終了する(ステップS19)。
【0046】
図7は、図2に示した本発明の第1の実施形態例の変形例を示したものである。図2に示す第1の実施形態例と変更がない部分は同一符号を付して説明を省略する。この変形例では、フリッカ源として、周期の短い電圧変動を引き起こすアーク炉負荷設備、燃料電池発電等の分散型電源を含む電気設備15がある場合を想定している。
【0047】
ここで、情報収集用サーバ2は、ネットワーク回線25を介してアーク炉等の設備15を常時監視しており、このアーク炉等の設備15が発生する周期の短い電圧変動を検出する。そして、短周期の電圧変動を検出した場合には、情報収集用サーバ2から各分散型電源4に対して、それぞれの余力である無効電力を電力系統(配電線)に供給するように指令する。この動作は、図4、図5に基づいて説明した図2に示した分散型電源システムにおける系統電圧安定化動作と同じなので、重複説明はしない。
【0048】
<配電系統シミュレーションモデルへの比較例:ノード15をフリッカの発生源として系統電圧が変動する例>
図8は、配電用変電所9から負荷10〜24への樹枝状の配電系統シミュレーションモデルを示したものである。配電用変電所9から系統末端までは直線距離でおよそ4kmである。実際の系統では、負荷10〜24は配電線1上に分布しているのであるが(図2参照)、ここでは、便宜的に各番号の点(以下「ノード」という)に集中して複数の分散型電源4が接続されていると考える。
【0049】
図8では、ノード15にフリッカ変動が発生していることを示している。フリッカは、負荷の急激な変動に伴って電圧変動が起こる減少であり、フリッカ源(ノード15)の近隣に住んでいる需要家の照明にちらつきが生じたり、機器が誤動作するなどの問題を発生させたりする。このフリッカの原因として考えられるものには、工場などのアーク炉の稼働によるもの、ゴミ処理場の大型ごみ処理機や工事現場での電動機の負荷変動によるものなどが挙げられる。
【0050】
ここで、フリッカ(ちらつき)の大きさを表わす指標として、ΔV10が用いられている。このΔV10の算出方法に関しては、前述した非特許文献1に示されているが、各分散型電源4の変動周波数に対するちらつき視感度係数(図6参照)と、当該変動周波数の変動大きさから求めることができる。また、直接測定できるフリッカメータも市販されている。
【0051】
図9は、図8に示したシミュレーションモデルで想定したノード15における有効電力Pと無効電力Qの変動の大きさを示した図である。この変動はフリッカの要因となるものである。実際のフリッカ変動は多くの周波数成分を含むが、このシミュレーションモデルでは最も視感度係数の高い10Hzの変動が発生していると想定した(図6参照)。負荷変動の大きさは、無効電力Qが500〜800kvar、有効電力Pが400〜600kWとしている。ここでは、無効電力Qに約300kvarの変動があり、この無効電力の変動と略同期する形で有効電力Pに約200kWの変動が起こっている。
【0052】
図10は、フリッカ源となっているノード15とその他のノード10〜14のフリッカ変動の大きさを示した図である。なお、フリッカの許容値の基準としては、各電力会社が個別にΔV10の大きさを定めているが、ここでは低圧換算で0.45Vとしている。この値は、約半数の人が照明のちらつきを感じるレベルである。図10に示すように、このシミュレーション結果では、負荷変動が発生しているノード15ではΔV10が0.8と高い値を示し、また、ノード15にもっとも近いノード14でも上記許容値0.45Vを超えていることが分かる。これは、ノード15の負荷変動の影響がノード14の位置まで影響していることを示している。
【0053】
このように、図10はノード15の負荷変動による各ノードのフリッカのレベルを表わしている。従来の方法によれば、静止型無効電力補償装置(SVC)などの電圧変動を抑制し安定化させる機器を、フリッカの発生源近傍(即ち、ノード15)に設置したり、電線の張り替えなどを実施したりしてフリッカ変動を抑制している。
【0054】
<配電系統シミュレーションモデルへの応用例1:フリッカ源の遠方にある分散型電源システムを利用して系統電圧の安定化を図る例>
図11は、変電所9から遠方(例えば4km)のノード15にフリッカ源があるとした場合、フリッカ源15に比較的近い場所にあるノード14を制御ノードとして系統電圧の安定化を図る例である。この例では、ノード14に図2に示したマイクログリッドから構成される分散型電源システムが存在するものと想定している。ここで、ノード14を構成する分散型電源システムでは、無効電力を出力できる余力がシステム全体で300kvarとされる。そして、この無効電力出力(余力)によって、ノード14の電圧変動を抑制しつつ、ノード14におけるトータルの無効電力を調整して系統の安定化を図るようにしている。
【0055】
図12は、ノード14における分散型電源システムの無効電力の調整を図ることにより、系統電圧の安定化制御を行った結果を示した図である。図12を見るとわかるように、負荷変動の生じるノード15では、対策をしない場合の約0.8V(図10参照)と比べて基準より十分に低い値(約0.4V)に抑制され、安定化されていることが理解される。
【0056】
<配電系統シミュレーションモデルの応用例2:フリッカ源のノードと通信路で結ばれた複数のノードの分散型電源システムを利用して系統電圧の安定化を図る例>
図13は、本発明の分散型システムの他のシミュレーションモデルを示す図である。ノード12、13に分散型システムが存在しており、ノード12、13の2箇所の地点から、フリッカ源であるノード15の連携点の電圧変動を目標値として安定化させる制御を実施した場合を示している。図13に示すように、ノード12とノード13に配置された分散型電源システムで、系統電圧の変動を安定化させている。この点が図8〜10に示す応用例1あるいは図11、図12に示す応用例2と異なっている。また、この応用例3では、通信路(図13の一点鎖線)を通して、フリッカ源であるノード15から、ノード12とノード13の分散型電源システムへ電圧変動の情報を伝達している。
【0057】
図14は、ノード12、13の2つの地点の分散型電源システムで系統電圧の安定化を図ったときのΔV10を求めた図である。
図14に示すように、単一地点の分散型電源システムを利用したのでは、系統の安定化が困難な場合でも、複数地点(この例では2箇所)の分散型電源システムを用いることにより、系統電圧の安定化を図ることができる。また、フリッカ源であるノード15の変動を制御目標値に設定することにより、自端制御では困難だった抑制が可能となる。
【0058】
すなわち、図10から分かる通り、フリッカ源であるノードから遠方になるとフリッカ変動の大きさも小さくなる場合がある。その場合、ΔV10が基準値より小さい変動を目標値として変動安定化制御を行ったとしても効果は低い。
そのため、ΔV10の大きい地点の変動を抑制させるようにするためには、分散型電源の連系点で基準値を超えない範囲で大きな変動を目標値として安定化制御を行うことが考えられる。その目標値設定の一例がノード15の変動である。
また、本実施例では、高速動作が可能なインバータ連系式分散型電源を想定しているが、励磁回路により力率制御を行う大型同期発電機でも高速動作が可能なものがあればそれを採用しても良い。
【0059】
なお本発明は、上述の説明した実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形例および応用例を含むことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の原理を説明するために必要な、インバータの容量と有効電力、無効電力の関係を示す図である。
【図2】本発明の分散型電源システムの実施形態例を示すブロック図である。
【図3】本発明の分散型電源システムの主要な構成要素である情報収集用サーバの機能(働き)を示す機能ブロック図である。
【図4】複数の分散型電源から構成される本発明の分散型電源システム(マイクログリッド)において、各分散型電源の稼働状況を調査する方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】複数の分散型電源から構成される本発明の分散型電源システム(マイクログリッド)において、系統電圧のΔV10を計測してから各分散型電源に無効電力の出力指令を出すまでのフローチャートである。
【図6】正弦波状電圧変動の周波数に対するちらつき視感度係数の変化を示す図である。
【図7】本発明の分散型電源システムの実施形態例の変形例を表わすブロック図であり、フリッカ源の分散型電源を監視して系統電圧の安定化を図る分散型電源システムの例である。
【図8】本発明の分散型電源システムの配電系統シミュレーションモデルの比較例を示した図である。
【図9】図8に示したシミュレーションモデル(比較例)でノード15の負荷変動(有効電力と無効電力)を示した図である。
【図10】図8に示したシミュレーションモデル(比較例)において、ノード15の負荷変動による各ノードのフリッカ電圧(ΔV10)を示した図である。
【図11】本発明の分散型電源システムの配電系統シミュレーションモデルである第1の応用例を示した図であり、フリッカ源のノードに比較的近いノードにある分散型電源システムを利用して系統電圧の安定化を図る例である。
【図12】図11に示したシミュレーションモデル(応用例1)でノード14の分散型電源システムによる電圧安定化制御の結果(ΔV10)を示した図である。
【図13】本発明の分散型電源システムの配電系統シミュレーションモデルの第3の応用例を示した図であり、複数のノードの分散型電源システムを利用して系統電圧の安定化を図る例である。
【図14】図13に示したシミュレーションモデル(応用例2)でノード13、14の分散型電源システムによる電圧安定化制御の結果(ΔV10)を示した図である。
【符号の説明】
【0061】
1・・・低圧配電線(電力系統)、2・・・情報収集用サーバ、3・・・住宅用負荷、4・・・分散型電源、5・・・貯湯槽、6・・・有効電力出力(分散型電源から住宅用負荷に対して)、7・・・無効電力出力(分散型電源からの配電線に対して)、8・・・情報通信サーバと分散型電源との通信路、9・・・変電所、10〜24・・・分散型電源システムが存在するノード、15・・・フリッカ源があるノード、12、13、14・・・制御ノード、31・・・電力系統監視部、32・・・稼動状況監視部、33・・・系統電圧変動検出部、34・・・系統電圧変動補償用無効電力量演算部、35・・・分散型電源の余力(無効電力)演算部、36・・・分散型電源への余力供出司令部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報収集用サーバと複数の分散型電源とからなる分散型電源システムであって、
前記情報収集用サーバは、
電力系統における電圧変動を監視する電圧変動監視手段と、
前記複数の分散型電源の稼動状況を監視する稼働状況監視手段と、
前記各分散型電源の稼働状況に応じて当該分散型電源から電力系統に供出可能な無効電力を演算する無効電力演算手段と、
前記電圧変動監視手段が電力系統に所定の閾値を超える電圧変動を検出したときに、前記各分散型電源に対して電力系統に出力させる無効電力を割り当て、該割り当てた無効電力を電力系統に出力させる指令を各分散型電源に指令する無効電力供出指令手段と、を備え、
前記複数の分散型電源のそれぞれは、
前記電力系統に接続されており、前記情報収集用サーバの前記電圧変動監視手段が、前記電力系統の電圧変動を検出したとき、前記情報収集用サーバの前記無効電力供出手段からの指令に基づいて、当該分散型電源に割り当てられた無効電力量を、前記電力系統に出力することを特徴とする分散型電源システム。
【請求項2】
前記電力系統の電圧変動は、1秒以下の短い周期で発生する急峻な電圧変動であることを特徴とする請求項1に記載の分散型電源システム。
【請求項3】
前記無効電力供出指令手段は、前記複数の分散型電源から電力系統に出力できる無効電力量の大きい順番に前記各分散型電源を並び替え、前記無効電力量の大きい順番に前記各分散型電源から電力系統に無効電力を出力させることを特徴とする請求項1又は2に記載の分散型電源システム。
【請求項4】
前記複数の分散型電源は、ガスタービン、ガスエンジン、太陽光発電、燃料電池、蓄電池の中いずれか一つまたは複数から構成される請求項1〜3のいずれかに記載の分散型電源システム。
【請求項5】
情報収集用サーバと複数の分散型電源から構成される分散型電源システムの各分散型電源から電力系統に無効電力を供出させて電力系統の安定化を図る分散型電源システムを利用した系統電圧安定化方法であって、
前記情報収集用サーバによって、電力系統における電圧変動を監視するステップと、
前記複数の分散型電源のそれぞれの稼動状況を監視するステップと、
前記各分散型電源の稼働状況に応じて当該分散型電源から電力系統に供出可能な無効電力を演算するステップと、
前記電力系統の電圧変動が所定の閾値を超えたとき、前記各分散型電源に対して電力系統に出力させる無効電力を割り当てるステップと、
前記各分散型電源に割り当てた無効電力を電力系統に供出指令を各分散型電源に与えるステップと、
前記情報収集用サーバが、前記電力系統の電圧変動を検出したとき、前記情報収集用サーバからの供出指令に基づいて、当該分散型電源に割り当てられた無効電力量を、前記電力系統に出力させるステップと、
を含むことを特徴とする分散型電源システムを用いた系統電圧安定化方法。
【請求項6】
前記電力系統の電圧変動は、1秒以下の短い周期で発生する急峻な電圧変動であることを特徴とする請求項5に記載の分散型電源システムを用いた系統電圧安定化方法。
【請求項7】
更に、前記複数の分散型電源から前記電力系統に出力できる無効電力量の大きい順番に前記各分散型電源を並び替えるステップと、
前記情報サーバから前記各分散型電源に無効電力の供給指令があったとき、前記並び替えた無効電力量の大きい順番に前記各分散型電源から前記電力系統に無効電力を出力させるステップと、
を含む請求項5または6に記載の分散型電源システムを用いた系統電圧安定化方法。
【請求項1】
情報収集用サーバと複数の分散型電源とからなる分散型電源システムであって、
前記情報収集用サーバは、
電力系統における電圧変動を監視する電圧変動監視手段と、
前記複数の分散型電源の稼動状況を監視する稼働状況監視手段と、
前記各分散型電源の稼働状況に応じて当該分散型電源から電力系統に供出可能な無効電力を演算する無効電力演算手段と、
前記電圧変動監視手段が電力系統に所定の閾値を超える電圧変動を検出したときに、前記各分散型電源に対して電力系統に出力させる無効電力を割り当て、該割り当てた無効電力を電力系統に出力させる指令を各分散型電源に指令する無効電力供出指令手段と、を備え、
前記複数の分散型電源のそれぞれは、
前記電力系統に接続されており、前記情報収集用サーバの前記電圧変動監視手段が、前記電力系統の電圧変動を検出したとき、前記情報収集用サーバの前記無効電力供出手段からの指令に基づいて、当該分散型電源に割り当てられた無効電力量を、前記電力系統に出力することを特徴とする分散型電源システム。
【請求項2】
前記電力系統の電圧変動は、1秒以下の短い周期で発生する急峻な電圧変動であることを特徴とする請求項1に記載の分散型電源システム。
【請求項3】
前記無効電力供出指令手段は、前記複数の分散型電源から電力系統に出力できる無効電力量の大きい順番に前記各分散型電源を並び替え、前記無効電力量の大きい順番に前記各分散型電源から電力系統に無効電力を出力させることを特徴とする請求項1又は2に記載の分散型電源システム。
【請求項4】
前記複数の分散型電源は、ガスタービン、ガスエンジン、太陽光発電、燃料電池、蓄電池の中いずれか一つまたは複数から構成される請求項1〜3のいずれかに記載の分散型電源システム。
【請求項5】
情報収集用サーバと複数の分散型電源から構成される分散型電源システムの各分散型電源から電力系統に無効電力を供出させて電力系統の安定化を図る分散型電源システムを利用した系統電圧安定化方法であって、
前記情報収集用サーバによって、電力系統における電圧変動を監視するステップと、
前記複数の分散型電源のそれぞれの稼動状況を監視するステップと、
前記各分散型電源の稼働状況に応じて当該分散型電源から電力系統に供出可能な無効電力を演算するステップと、
前記電力系統の電圧変動が所定の閾値を超えたとき、前記各分散型電源に対して電力系統に出力させる無効電力を割り当てるステップと、
前記各分散型電源に割り当てた無効電力を電力系統に供出指令を各分散型電源に与えるステップと、
前記情報収集用サーバが、前記電力系統の電圧変動を検出したとき、前記情報収集用サーバからの供出指令に基づいて、当該分散型電源に割り当てられた無効電力量を、前記電力系統に出力させるステップと、
を含むことを特徴とする分散型電源システムを用いた系統電圧安定化方法。
【請求項6】
前記電力系統の電圧変動は、1秒以下の短い周期で発生する急峻な電圧変動であることを特徴とする請求項5に記載の分散型電源システムを用いた系統電圧安定化方法。
【請求項7】
更に、前記複数の分散型電源から前記電力系統に出力できる無効電力量の大きい順番に前記各分散型電源を並び替えるステップと、
前記情報サーバから前記各分散型電源に無効電力の供給指令があったとき、前記並び替えた無効電力量の大きい順番に前記各分散型電源から前記電力系統に無効電力を出力させるステップと、
を含む請求項5または6に記載の分散型電源システムを用いた系統電圧安定化方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−74989(P2010−74989A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241254(P2008−241254)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
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