説明

分析処理画像表示装置及び分析処理画像表示システム

【課題】分析装置における分析処理結果を表す分析処理画像の比較作業を容易に行うことができる分析処理画像表示装置及び分析処理画像表示システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る分析処理画像表示装置1は、分析装置2における試料の分析処理画像を表示するためのものであって、前記分析処理画像を表示する複数の画像ウインドウを含む複数のウインドウを同一表示画面に表示可能な表示部14と、前記ウインドウの表示を制御するウインドウ表示制御部22と、選択されたウインドウを半透明で表示する半透明表示処理部24と、半透明表示させるウインドウを選択するための入力部12を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロマトグラフ、質量分析装置、分光光度計等の分析装置における検体の分析処理による分析結果を表す画像を表示する分析処理画像表示装置及び分析処理画像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
クロマトグラフや質量分析装置、分光光度計などの分析装置は、複数のサンプルを分析し、得られた結果からクロマトグラムやスペクトル等の波形画像を作成して表示する表示装置を備えている。このような表示装置には、サンプルや分析条件が異なる複数の分析結果から得られた波形画像を同一の表示画面にまとめて表示できるようにしたものがある。このように同一の表示画面に複数の波形画像をまとめて表示することにより、作業者は波形画像の波形の違いを目視で確認することができる。
【特許文献1】特開2006-153628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来の方法では、各波形画像の波形の違いが微差の場合にその比較判断が難しい。また、複数の波形画像データを所定のファイル形式で出力し、分析用アプリケーションで処理することにより、複数の波形画像を同じ座標軸上に表示することも可能であるが、作業に手間がかかる。
本発明が解決しようとする課題は、分析装置における分析処理結果を表す分析処理画像の比較作業を容易に行うことができる分析処理画像表示装置及び分析処理画像表示システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために成された本発明に係る分析処理画像表示装置は、分析装置における試料の分析処理結果を表す分析処理画像を表示するためのものであって、
a) 前記分析処理画像を表示する複数の画像ウインドウを含む複数のウインドウを同一表示画面に表示可能な表示部と、
b) 前記ウインドウの表示を制御するウインドウ表示制御部と、
c) 選択されたウインドウを半透明で表示する半透明表示処理部と、
d) 半透明表示させるウインドウを選択するためのウインドウ選択手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明に係る分析処理画像表示システムは、接続された分析装置を制御することにより複数の試料の分析処理画像を表示装置に表示するためのシステムであって、
a) 前記分析処理画像を表示するための複数の画像ウインドウを含む複数のウインドウを前記表示装置の同一表示画面に表示させる表示制御部と、
b) 選択されたウインドウを半透明で表示させる半透明表示処理部と、
c) 半透明表示させるウインドウを選択するためのウインドウ選択手段と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、同一表示画面に複数のウインドウが重なって表示されている場合に、上に配置されているウインドウを半透明表示させることにより、その背後に隠れているウインドウの表示内容を参照することができる。また、クロマトグラムやスペクトル等の分析処理画像を表示する画像ウインドウを半透明で表示させて他の画像ウインドウの上に重ね合わせれば、複数の分析処理画像を容易に比較することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の係る分析処理画像表示装置の一実施形態の概略構成を図1に示す。本実施形態の分析処理画像表示装置1(以下、表示装置1と呼ぶ)は、マウスやキーボード等から成る入力部12、LCDやCRT等からなる表示部14、ハードディスク等から成る記憶部16、及びプロセッサやメモリ等から成る中央制御部18を備えるコンピュータから構成されている。
記憶部16には、分析設定保存部160、分析結果保存部162、波形画像データ保存部164が設けられている。波形画像は本発明の分析処理画像に相当し、例えばクロマトグラフやスペクトル等の波形グラフを意味する。
中央制御部18は、プログラムによりソフトウェア的に構成された機能部である入出力制御部20、表示制御部22、半透明表示処理部24、波形画像生成部26を備えている。
【0007】
次に、本実施形態の表示装置1を用いた分析処理画像の表示の手順について説明する。なお、以下の説明では、クロマトグラフにおける試料の分析処理画像を表示するものとする。
表示制御部22は、クロマトグラフにおける試料の分析中、入出力制御部20を介してクロマトグラフからの出力信号を逐次受取り、その信号から分析生データ、分析条件、分析日、サンプル名等の分析結果データを抽出して分析結果保存部162に保存する。
【0008】
分析が終了すると、表示制御部22は分析結果保存部162から分析生データを読み出し、波形画像生成部24に供給する。波形画像生成部24は分析生データからクロマトグラムの波形画像(ビットマップ画像)を生成し、表示制御部22に渡す。表示制御部22は、その波形画像を前記分析結果データと関連づけて波形画像データ保存部164に保存する。
【0009】
また、マウスやキーボードなどの入力部12の操作があると、表示制御部22は、波形画像データ及び分析結果データを記憶部16から読み出す。そして、分析処理画像(クロマトグラム)を表示する画像ウインドウを作成して表示部14に供給する。これにより、表示部14の表示画面には、各試料のクロマトグラムが別々の画像ウインドウに表示される。
【0010】
図2は表示部14の表示画面140の一例を示している。前記表示画面140にはその大部分を占めるウインドウ表示エリア142が設定されており、その左側に縦長の編集メニューエリア144が設定されている。前記ウインドウ表示エリア142にはウインドウが表示される。ここでは、2個の画像ウインドウ146,148が表示されている。画像ウインドウ146,148には、クロマトグラムと共にサンプル名、分析条件等が表示されている。
【0011】
前記編集メニューエリア144には、編集ボタン30、拡大/縮小ボタン32、透明化ボタン34、取消ボタン36、ヘルプボタン38が表示されている。また、表示画面140には、キーボードやマウスによって操作できるポインタ40が表示されている。編集メニューエリア144の各種ボタンと前記ポインタ40のクリック操作、ドラッグ/ドロップ操作により、ユーザは各画像ウインドウの表示に関する種々の処理を行うことができる。
【0012】
例えば複数の画像ウインドウが選択されて拡大/縮小ボタン32が操作されると、表示制御部22は、複数の画像ウインドウのそれぞれに表示されているクロマトグラフのY軸スケールが同じになるように画像ウインドウを拡大/縮小表示する。図3は、画像ウインドウ146,148のY軸スケールが同じになるように前記画像ウインドウ146を縮小表示した例を示している。当初、画像ウインドウ146に表示されたクロマトグラムのY軸スケールは画像ウインドウ148に表示されたクロマトグラフのY軸スケールの約2倍であったが、画像ウインドウ146をY軸方向に縮小することにより処理により両画像ウインドウ146,148のクロマトグラムのY軸スケールが一致した。
なお、ウインドウの拡大/縮小倍率は、ユーザが数値を入力するようにしても良く、予め設定された拡大/縮小倍率の中から選択するようにしても良い。又、画像ウインドウ以外のウインドウについても拡大/縮小表示することができる。
【0013】
画像ウインドウが選択されて半透明ボタン34が操作されると、表示制御部22は選択された画像ウインドウを半透明表示する(図4参照。図4では画像ウインドウ148が半透明表示されている。)。画像ウインドウの半透明表示のために表示制御部22は波形画像データを読み出して半透明表示処理部24に供給する。半透明表示処理部24では、読み出した波形画像データを処理して半透明表示用データを作成する。半透明処理を実現する手法としては、アルファブレンディングを用いることができる。
【0014】
ウインドウ表示エリア142のいずれかの画像ウインドウが半透明表示された状態で、その半透明表示された画像ウインドウ(以下、「半透明画像ウインドウ」という。)をポインタ40で移動させ、その半透明画像ウインドウを他の画像ウインドウの一部に重ねて表示させる。すると、表示制御部22は他の画像ウインドウの上に「データ比較」ボタン42を表示させる。この「データ比較」ボタン42をポインタで操作すると、表示制御部22は半透明画像ウインドウを他の画像ウインドウの上に重ねて表示する。このとき、両画像ウインドウに表示されたスペクトルのX軸、Y軸が一致するように表示制御部22は半透明画像ウインドウを他の画像ウインドウの上に重ね合わせる。
【0015】
このように本実施形態では、画像ウインドウを含むウインドウを容易に透明表示させることができる。このため、半透明表示された画像ウインドウを他の画像ウインドウの上に重ね合わせることにより、両画像ウインドウのクロマトグラムを目視で比較することができる。また、複数の画像ウインドウを重ね合わせるに先だってこれら画像ウインドウのクロマトグラムのX軸スケール、Y軸スケールが一致するように拡大/縮小することができる。このため、複数の画像ウインドウを重ね合わせたときにクロマトグラムの比較を正確に行うことができる。
【0016】
以上、本発明に係る分析結果画像表示装置の一実施形態について説明したが、実施形態は上記のものに限らない。以下、変形例を挙げる。
(変形例1)
上記実施形態では、ウインドウ表示エリアに2個の画像ウインドウが表示された場合について説明したが、3個以上の画像ウインドウがウインドウ表示エリアに表示されていても構わない。3個以上の画像ウインドウが表示された場合には、例えば1個を除く他の全ての画像ウインドウを半透明処理し、これら半透明画像ウインドウを半透明処理していない画像ウインドウの上に重ね合わせて表示すると良い。
(変形例2)
半透明処理した画像ウインドウを他の画像ウインドウに重ね合わせる操作は、ポインタで行うようにしても良い。この場合は、「データ比較」ボタンの表示が不要となる。
(変形例3)
ウインドウ表示エリアに表示される画像ウインドウ以外のウインドウ、例えば編集ウインドウやヘルプファイルを表示するヘルプウインドウ等も半透明表示可能に構成しても良い。このような構成により、分析結果画像を見ながらヘルプファイルを表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る分析処理画像表示装置の一実施形態の概略構成図。
【図2】表示画面の一例を示す図。
【図3】一の画像ウインドウを縮小表示した状態を示す図。
【図4】一の画像ウインドウを半透明表示した状態を示す図。
【図5】半透明表示された画像ウインドウを通常の画像ウインドウに重ねた状態を示す図。
【図6】半透明表示された画像ウインドウを通常の画像ウインドウの上に完全に重ね合わせた状態を示す図。
【符号の説明】
【0018】
1…分析処理画像表示装置
2…分析装置
12…入力部
14…表示部
140…表示画面
142…ウインドウ表示エリア
146,148…画像ウインドウ
16…記憶部
164…波形画像データ保存部
18…中央制御部
20…入出力制御部
22…表示制御部
24…半透明表示処理部
26…波形画像生成部
40…ポインタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析装置における試料の分析処理結果を表す分析処理画像を表示するための分析処理画像表示装置であって、
a) 前記分析処理画像を表示する複数の画像ウインドウを含む複数のウインドウを同一表示画面に表示可能な表示部と、
b) 前記ウインドウの表示を制御するウインドウ表示制御部と、
c) 選択されたウインドウを半透明で表示する半透明表示処理部と、
d) 半透明表示させるウインドウを選択するためのウインドウ選択手段
とを備えることを特徴とする分析処理画像表示装置。
【請求項2】
画像ウインドウを拡大/縮小表示させる拡大/縮小表示処理部を備えることを特徴とする請求項12に記載の分析処理画像表示装置。
【請求項3】
接続された分析装置を制御することにより複数の試料の分析処理結果を表す分析処理画像を表示装置に表示させるための分析処理画像表示システムであって、
a) 前記分析処理画像を表示するための複数の画像ウインドウを含む複数のウインドウを前記表示装置の同一表示画面に表示させるウインドウ表示制御部と、
b) 選択されたウインドウを半透明で表示する半透明表示処理部と、
c) 半透明表示するウインドウを選択するためのウインドウ選択部と
を備えることを特徴とする分析処理画像表示システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−54318(P2010−54318A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219071(P2008−219071)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】