説明

分析方法及びキット

核酸配列の検出又は分析のためのRNA含有プローブを用いた分析方法を記載する。これらのプローブは、核酸配列を含有すると疑われるサンプルと接触され、そしてそれらが2本鎖を形成する場合、それらは加水分解される。これは、例えば、増幅反応の最中に実行されうる。加水分解の結果として生成されたAMPはATPに変換される。次いでATPは生物発光試薬を用いて検出されうる。少なくとも1のプローブ内に修飾アデノシンを含ませることは、1のプローブから生じたシグナルが異なる、かつ、区別しうる生物発光シグナルを生じ、それゆえ、例えば、生物発光により報告された核酸試験における内部対照の使用を可能にすることを意味する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、サンプル中の特定の配列の存在を検出するための、又は特定の核酸の正確な配列を決定するための、核酸配列の分析方法に、及びこれらの方法に使用されるキット及び試薬に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、核酸の分析を行うための多種多様な方法が在る。分析方法は、特定の核酸配列を含有すると疑われるサンプル中の当該サンプルの存在又は量を検出する方法に関するものでありうる。他の方法は、情報又は診断目的のためにヌクレオチドの配列を決定するために核酸の構造を明らかにする。
【0003】
増幅反応は、特に特定の核酸配列が少量でのみ存在する場合に、上記分析を行い又は支援するために、一般に用いられる。標的核酸配列の検出のための増幅反応、例えばポリメラーゼ・チェイン・リアクション(PCR)の使用は周知である。特定の配列に特異的な1以上のプライマーが、増幅反応混合物中に含まれる。これらは、サンプル管内で1本鎖で存在するとき、特定の標的配列にハイブリダイズするであろう。標的配列が存在する場合、プライマーはそれに結合し、その上で混合物中に存在するポリメラーゼ酵素が、一定の温度条件で、プライマーを延長して完全な相補鎖を形成するであろう。この材料は、その後、変性、プライマー・アニーリング、及び伸長のその後のサイクルにおける増幅のためのさらなるテンプレート(鋳型)を形成する。
【0004】
等温増幅技術も知られており、そしてこれらは、Strand Displacement Amplification (SDA) (Walker et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1992) 89, 392-396)、ループ仲介等温増幅(LAMP)(Notomi et al. Nucleic Acids Res. 28, 2000)(ここで、使用されるポリメラーゼはストランド変位活性を有する)、ローリング・サークル増幅(RCA)などを含む。
【0005】
増幅された生成物は、例えば、電気泳動ゲル上で検出されうる。しかしながら、蛍光ラベリング法は、増幅反応が行われたときを検出し、そして/又はその進行をモニターするために、今日頻繁に使用される。このようなアッセイの例は、TAQMANTMアッセイ、並びに、例えば、WO99/28500、WO99/28501、WO99/42611、及びWO99/66071中に記載され、そして請求されるアッセイを含む。標識されたリボ−オリゴヌクレオチド・プローブを使用するアッセイは、WO98/04738中に記載されている。しかしながら、プローブの標識付けは、費用を増大させる複雑なプロセスである。
【0006】
核酸配列をシークエンスする方法も周知である。ゲル法が慣用される。より最新の方法は、正しいヌクレオチドが、1本鎖核酸テンプレート上での相補鎖の構築の間に添加されるとき、生物発光シグナルの生成に頼るデバイス、例えば、Biotage ABから入手可能なPyrosequencerを用いて行われる。熱リン酸分解(pyrophosphorolysis)反応を用いる核酸サンプル中の特定の塩基の同一性を質問する他の方法は、WO99/46409中に記載されている。
【0007】
WO02/090586は、標識されていないリボ核酸(RNA)プローブがどのようにして、上記事件をモニターし又は検出するための有用な手段を提供しうるかについて記載する。この場合の検出は、特異的プローブの加水分解、その後の、加水分解により生じたアデノシン1リン酸(AMP)の検出に頼る。特に、プローブ加水分解の副生成物として作られたAMPはリン酸化されてアデノシン3リン酸(ATP)が作られ、これは、例えば、生物発光シグナリング系、例えばルシフェラーゼ/ルシフェリン系を用いて、その後に検出されうる。
【0008】
生物発光シグナリング系は特に好ましい。なぜなら、それらは、一般に、蛍光系よりも感度が良く、そしてより大きなダイナミックレンジを提供するからである。したがって、分析方法におけるRNA加水分解プローブの使用は、サンプル中の核酸レベルにおける相互作用の検出を容易にし、そしてそれゆえ、強化された分析方法をもたらす。
【0009】
さらに、生物発光シグナルを検出するために要求される装置は、蛍光シグナルを検出するために要求される装置よりも簡易である。光検出器、例えば、CCDカメラは、生物発光シグナルを検出することができるが、蛍光シグナルを計測するためには検出器に加えて、フィルター視準光源及び光学装置が要求される。
【0010】
しかしながら、蛍光シグナリング系は各種プローブに対して異なる蛍光染料等の使用により、多重アッセイにおいて使用されうるが、WO02/090586中に記載されるシステムは、多重アッセイに使用するためには好適でない。なぜなら、そのシグナリングは、全てのプローブの加水分解において遍在するAMPの生成に頼るからである。
【0011】
さらに、このようなシステムを使用するとき、これまで、内部対照を使用することはできなかった。例えば、内部対照反応は、一般に、試験反応に類似した反応であるが、異なる標的配列を用いたものである。それらは、試験反応、例えば、増幅反応と、反応容器内で、同時に実行される。このような反応の例は、米国特許第6,723,507号中に記載されている。内部対照反応の標的は、反応容器内の全体にわたり存在することが知られており、そしてその増幅は、特にアッセイが試験の標的に関してネガティブな結果を正しく提供する場合に、アッセイが機能したことを保証するために、使用される。内部対照は、偽陰性結果が除外されるようにアッセイが機能したという保証を提供する。
【0012】
しかしながら、シグナリング系のための基準としてAMPを使用するとき、内部対照は不可能である。なぜなら、それが生成するシグナルは、源にかかわらず同じものとなるからである。
【0013】
本願出願人らは、かかる問題を解決する方法を発見した。かかる方法は、有利な生物発光系が多重アッセイにおいて適用され、そして/又は内部対照に供されることを可能にする。
【0014】
本発明によれば、サンプル中の2以上の核酸配列の検出方法であって、以下のステップ:
前記サンプルを、第1核酸配列にハイブリダイズすることができる第1RNA含有プローブ、及び第2核酸配列にハイブリダイズすることができる第2RNA含有プローブと、前記第1RNA含有プローブが前記サンプル中に存在する第1核酸配列に結合し、そして前記第2RNA含有プローブが前記サンプル中に存在する第2核酸配列に結合する条件下で、接触させる、ここで、前記第1RNA含有プローブと第2RNA含有プローブ内の少なくとも1のアデノシンは、アデノシンの修飾形態であり、かかる修飾形態は、対応の3リン酸化形態にリン酸化されるとき、生物発光シグナリング系と相互作用して、当該生物発光シグナリング系が3リン酸化形態における非修飾アデノシンと相互作用するとき、当該生物発光シグナリング系により生成されるシグナルに比較して、変更された生物発光シグナルを生成する;
核酸に結合したRNA含有プローブが加水分解されて、アデノシン1リン酸(AMP)、及び/又は修飾アデノシン1リン酸(AMPm)を生成する条件下に、核酸/プローブ複合体をもっていき;
存在するAMPとAMPmを全てリン酸化して、それぞれ、アデノシン3リン酸(ATP)又は修飾アデノシン3リン酸(ATPm)を生成し;
ATPに比較してATPmと反応するとき異なるシグナルを生成する生物発光シグナリング系を検出し;
そうして生成されたシグナルの性質を測定し、そしてその測定値を、前記サンプル中の前記第1核酸と第2核酸の存在又は不存在に関係付ける;
を含む方法が提供される。
【0015】
疑義をただすため、本明細書中に使用するとき、表現「アデノシンの修飾形態」とは、アデノシンの構造が変更されているが、アデノシンと同様の方法で未だリン酸化されることができ、そしてそれが対応の3リン酸化形態にリン酸化されるとき、生物発光シグナリング系が3リン酸化形態の非修飾アデノシンと相互作用するときに当該生物発光シグナリング系により生成されるシグナルに比較して変更された生物発光シグナルを生成するように生物発光シグナリング系と相互作用することを意味する。当該分子は、それが糖分子に連結されたプリン環を含有するであろう点でアデノシン誘導体として未だ認識されるであろう。しかしながら、それは、一般に、他の修飾成分、例えば、ビオチン等を含有しないであろう。
【0016】
本明細書中に使用するとき、表現「RNA含有プローブ」は、少なくともいくつかのRNAを含む核酸配列に関する。したがって、それは、前記した少なくとも1のアデノシンヌクレオチド又はアデノシンの修飾形態を含むRNA/DNAヘテロポリマー、並びにRNA分子を含む。例えば、プローブは、1以上のデオキシ−アデノシンヌクレオチドが前記したアデノシン又はアデノシンの修飾形態により置換されたDNAポリマーを本質的に含むことができるであろうし、又はプローブは、DNA、又は、RNA又は修飾RNAテールをもつ混合DNA/RNA塩基のストレッチを含むことができるであろう。
【0017】
1の態様においては、プローブはRNA分子である。
しかしながら、他の態様においては、プローブは、前記したようにRNA/DNAヘテロポリマーである。これらの分子は、例えば、プローブを加水分解するために使用される酵素がこのタイプの分子を加水分解するためにより有効である場合に、好ましいものであることができる。いくつかのAMPが加水分解の間に解放される場合には、検出可能なシグナルは、前記した方法を用いて生成されるであろう。
【0018】
RNA含有プローブの配列は、それらが特定の標的核酸にハイブリダイズするようなものであろう。
プローブと特にRNA含有プローブは、それに相補的な又は実質的に相補的な核酸配列にハイブリダイズするであろう。好ましくは、前記第1又は第2RNA含有プローブ内に含まれるアデノシンの修飾形態は、ワトソン−クリック結合により非修飾アデノシンと同じ方法で相補的な核酸であるチミジン又はウリジンに結合するであろう。しかしながら、この修飾は前記結合を弱め又は除去する可能性があり、そしてプローブは十分な長さを有しそしてまたは有意な相補性を有する場合には、それは標的配列に未だハイブリダイズするであろう。
【0019】
疑義をただすため、表現「2本鎖形態にあるときのRNA含有プローブ」とは、本明細書中に使用するとき、当該RNA含有プローブが、2本鎖核酸の1の要素であり、そして当該2本鎖の他の要素が、DNA,RNA又はさらにDNA/RNAヘテロポリマーを含むいずれかの核酸であることを意味する。
【0020】
前記第1又は第2RNA含有プローブ内のアデノシンヌクレオシドの内の少なくとも1のアデノシン、好適には2以上、そして好ましくは全てのアデノシンが、アデノシンの修飾形態である。同様に修飾されたアデノシンが前記プローブの内の1つのみの内に存在すべきであり、その結果、当該プローブの加水分解は、他のプローブの生物発光シグナルとは異なり、かつ、区別しうる生物発光シグナルを生成するであろう。
【0021】
3以上のRNA含有プローブが、さらなる核酸配列を検出するために本発明に係る方法において使用されうる。但し、追加のプローブの各々は、当該システム内の他のプローブ内に含まれるものとは異なって修飾されている少なくとも1つのアデノシンを含み、そしてかかる異なる修飾は、異なる、かつ、区別しうる生物発光シグナルを導く。
【0022】
前記した修飾アデノシンを取り込んだものを含むRNA含有プローブは、2本鎖形態にあるとき、さまざまな方法で、例えば酵素又はリボザイムを使用して加水分解されることができる。好ましくは、プローブは酵素を用いて加水分解される。
【0023】
さまざまな酵素が使用されることができ、そして選択は、使用されるプローブの正確な性質、アッセイが行われるところの条件、及び他の反応、例えば増幅反応、例えばポリメラーゼ・チェイン・リアクション(PCR)とともにそれが行われるか否かの如き要因に依存するであろう。これらは、以下詳細に記載するPCR反応において一般に使用されるポリメラーゼ酵素、例えば、Taqポリメラーゼを含む。
【0024】
あるいは又はさらに、それらは、2本鎖形態、例えばRNA/DNA2本鎖として存在するときにのみ、それらを加水分解するであろうRNAse酵素により加水分解されうる。このような2本鎖は、必ずしもそうではないが、増幅反応、例えばPCR反応の経過とともに形成されうる。このような酵素の例は、T7エキソヌクレアーゼ(BioLabsから入手可能)、ヘビ毒ホスホジエステラーゼ(SVPD(Sigma及びAmersham Biosciencesから入手可能)、RNAse H(Epicentreから入手可能)を含む。しかしながら、この方法で使用される酵素は、例えば1本鎖形態においてRNA含有プローブを非選択的に加水分解するであろう不所望の活性、例えばDNAse又はRNAse活性を有さないことを保証することが重要である。この特性は、日常的な方法を用いて試験されうる。例えば、酵素は、使用前にプローブのサンプルとともにインキュベートされ、そしてその後、例えばゲル電気泳動、又は核酸のサイズの違いを検出する他の慣用方法によりサンプルが分析されうる。
【0025】
特に好ましい酵素はT7エキソヌクレアーゼ及びSVPDである。しかしながら、特別な状況においては、酵素は前に概説したものの如き日常的な手順を用いて試験されて、少なくともいくつかの遊離AMP又はAMPmが解放されることを保証するために十分に良く2本鎖形態にあるRNA含有プローブを、それらが加水分解することが保証される。
【0026】
第1又は第2核酸プローブの加水分解により得られたアデノシン1リン酸(AMP)又は修飾アデノシン1リン酸(AMPm)は、それぞれ、酵素により直接的に又はアデノシン2リン酸の生成により、アデノシン3リン酸(ATP)又は修飾アデノシン3リン酸(ATPm)にリン酸化されうる。
【0027】
(例えば、以下の(c)において使用されるような)生成されたAMP又はAMPmをそれぞれATP又はATPmに変換するために必要な1以上の酵素は、同様に試薬として反応混合物に添加されるホスフェート及びホスホエノールピルベートの存在下でAMPから直接的にATPを作り出すホスホエノールピルベート・シンターゼから選択されうる。あるいは、ヌクレオシド3リン酸−アデニレート・キナーゼとNTPの組合せは、アデニレート・キナーゼの如き酵素の含有又は添加により、それぞれATP又はATPmにその後変換されうるアデノシン2リン酸(ADP)又は修飾アデノシン2リン酸(ADPm)を作り出すであろう。(例えば、ポリメラーゼ・チェイン・リアクションとともに使用される場合、NTPはいずれにしても反応混合物中に存在しうる。)
【0028】
好適な酵素のさらなる例は、ピルベート・ホスフェート・ジキナーゼ、例えば、Eisaki et al, Biochim. et Biophys Acta 1431 (1999) 363-373により記載されるものを含む。
【0029】
ATP又はATPmは、生物発光系を用いて容易に検出されうる。最も一般的な生物発光シグナリング系の内の1つは、生物、特にコエレオプテラ(Coeleoptera)、例えばホタル、及びツチボタルの幼虫(glow−worms)に天然に存在する酵素ルシフェラーゼ、及び酵素基質、ルシフェリンを使用する。全細胞内に存在するアデノシン3リン酸(ATP)の存在下、ルシフェラーゼはルシフェリンを酸化して、オキシルシフェリン及びAMP並びに生物発光シグナルを作り出し、これは、例えば照度計を用いてモニターされうる。
【0030】
シグナリング反応は、以下のように表される:
【化1】

{式中、垂直方向の矢印は生物発光シグナルを示す。}。CO2とAMP(又はAMPm、ここでATPmはルシフェラーゼの基質である)は他の反応生成物である。
【0031】
このような検出系の適用の例は、例えば、WO96/02665中に記載されている(その内容を本明細書中援用する)。
【0032】
したがって、ATPの存在に対して反応する特に好適な生物発光試薬は、ルシフェリンとルシフェラーゼを含む。使用されるルシフェラーゼは、好ましくは、天然形態に比較して、基質に対して同様の効果を及ぼす組換えルシフェラーゼ、例えば、高められた熱安定性を有するルシフェラーゼでありうる。このような形態の特別な例は、例えば、EP−A−0524448、WO95/25798、WO99/14336、WO00/23878、WO01/20002、及びWO01/31028中に記載されている。
【0033】
これらの試薬は、必要により、マグネシウムインオ源、例えば酢酸マグネシウムを同伴しうる。しかしながら、このような塩は、例えば、増幅反応、例えば、ポリメラーゼ・チェイン・リアクションの経過とともに要求される場合には、いずれにしても反応混合物中に存在しうる。
【0034】
シグナルを生成するとき、これらの試薬は、AMP又はAMPm分子を再生産し、これは、AMP又はAMPmをATP又はATPmにリン酸化する酵素及び/又は試薬の存在下で、ATP又はATPmに再変換されるであろう。したがって、シグナルは、指数関数的に生成され、そしてそれゆえ、直ちに及び迅速に検出されるであろう。このようなシステムの1例は、Sakakibara et al.,によりAnalytical Biochemistry, 268, 94-101 (1999)により記載されている。このシグナルの指数関数的上昇は、増幅反応が従来要求されてきた状況において、直接的に実施されうることを意味する。
【0035】
ATPがルシフェラーゼ/ルシフェリン反応系を触媒するとき、得られるシグナルは、約562nmにおける黄緑色のシグナルである。しかしながら、ATPの特定の修飾形態(ATPm)、例えば、デオキシ・アデノシン3リン酸(dATP)は、上記反応を未だ触媒するであろうが、生成された生物発光シグナルは、より長い波長、例えば、約610nm〜620nmにおける赤色シグナル、かつ、かなり低いレベル(例えば、上記アッセイにおけるATPの活性の約1%)であることが、今日知られている。このシグナルは、低いレベルにあっても、観察される光に対して好適なフィルターを用いて検出されうる。
【0036】
ATP及びdATPの構造を以下に示す:
【化2】

【化3】

他の修飾されたアデノシンも使用されうる。
【0037】
生成されたシグナルの波長は、異なる波長のシグナルを区別しうる(光源のスイッチ−オフにより操作される)波長選択フィルター又は高感度スペクトロフル・オリメーターを好適には備えた、慣用の照度計を用いて読まれることができる。非修飾ATPにより触媒されるルシフェラーゼ/ルシフェリン反応のみからのシグナルの生成は、修飾されたアデノシンを含んでいなかったプローブのみが当該アッセイの間に加水分解されたこと、そしてそれゆえ、かかるプローブがそれにハイブリダイズするところの核酸配列のみが当該反応混合物中に存在したことを指標するであろう。しかしながら、発光された光の波長の差は、修飾されたアデノシンを含むプローブ内の少なくともいくつかが加水分解されたこと、そしてそれゆえ、当該サンプルが、当該プローブがそれにハイブリダイズするところの核酸配列の内のいくつかを含むことを指標するであろう。
【0038】
特に好ましい態様においては、本発明の方法は、元のサンプル中にほんの少量で存在する配列を検出するために、増幅反応、例えばポリメラーゼ・チェイン・リアクション又は等温増幅反応、例えば前記したものとともに使用される。
【0039】
それは、例えば、アニールされたプローブの加水分解及びAMP又はAMPmのリン酸化をもたらすために必要な酵素又は試薬とともに第1RNAプローブ及び第2RNAプローブが、増幅反応の終わりに生物発光試薬とともに添加され、そして得られた混合物が、前記したようにアッセイが行われるために好適な条件にもっていかれるような、終点アッセイとして応用される。
【0040】
しかしながら、あるいは、これらの試薬は、増幅反応の全体を通じて存在して、増幅と同時にシグナルが生成されうる可能性がある。
【0041】
例えば、RNA含有プローブが増幅の全体を通じて存在する場合、プローブは、増幅プロセスのアニーリング期の間(最中)にそれらの対応の標的配列にアニールするようにデザインされうる。好適には、増幅反応に使用されるポリメラーゼは、2本鎖形態にあるときRNA含有プローブを加水分解するものである。この場合、反応は、プローブが伸長期の間に少なくとも部分的に加水分解されてAMP又はAMPmが、そしてリン酸化後に、検出のためのATP又はATPmが作られるようにデザインされることができる。
【0042】
慣用のPCR反応の文脈において使用されうる好適なDNAポリメラーゼの例は、熱安定性(耐熱性)ポリメラーゼ、例えば、サームス・アクアティカス(Thermus aquaticus)ポリメラーゼ(Taq)、サームス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)ポリメラーゼ(Tth)、サームス種NHポリメラーゼ(TspNH)、サームス・ブロキアナス(Thermus brockianus)ポリメラーゼ(Tbr)(これらの全ては、例えば、GeneSys Limited,Farnborough,U.K.から入手可能である)、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)ポリメラーゼ(Pfu)(Stratageneから入手可能である)、9°N7エキソ−DNAポリメラーゼ、及びサーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)DNAポリメラーゼ(VENTTM DNAポリメラーゼとしてNew England Biolabsから入手可能である)である。
【0043】
しかしながら、使用されるポリメラーゼがRNA含有プローブを十分に速く加水分解しない場合、例えば、迅速PCRが使用される場合、又はAMP又はAMPmを含む単一のヌクレオチドが解放される程度にプローブを十分に加水分解しない場合、ポリメラーゼにより解放される小さな断片をAMPを含む遊離のヌクレオチドまで消化するために、追加の加水分解酵素が添加されうる。このような酵素の例は、先に列記したもの、例えば、T7エキソヌクレアーゼ又はSVPDを含む。
【0044】
このような加水分解酵素が使用されるとき、遊離の状態にあるこれらの酵素によりプローブが加水分解されないように各プローブを修飾することが好ましいかもしれない。例えば、酵素が、小さな1本鎖の断片に対して5′−3′エキソヌクレアーゼ活性を有する場合、当該プローブは、好適には、その5′末端でブロックされる。3′末端においては、ブロッキングは、さらにもっと必要とされうる。なぜなら、不所望の3′−5′エキソヌクレアーゼ活性を妨害することに加え、プローブは、ポリメラーゼ活性による伸長を妨害するようにブロックされることも必要とされるからである。好適なブロッキング方法は本分野において周知である。例えば、3′ヒドロキシ成分は、伸長をブロックするために、例えば、リン酸基の導入により、化学的に修飾されうる。
【0045】
このような増幅反応は、生物発光シグナリング系と有意に反応するATPのいずれかの形態の不存在下で行われなければならない。特定の増幅反応、例えば、PCR反応は、ポリメラーゼの効率的なオペレーションのために、ATPのある形態、例えばデオキシATP(dATP)の存在下で実施されることを要求する。明らかに、このような試薬は、前記した方法の間に使用されるプローブの内のいずれかが同様に修飾されたアデノシンを含む場合に、含まれることはできない。なぜなら、これは、偽陽性の結果を導くであろうからである。このような場合、dATPとは別の形態、好ましくは、DNA重合の基質として作用するけれども、生物発光反応において有意な活性を有さない形態を使用することが必要かもしれない。好適な別形態の特別な例は、2′−デオキシアデノシン−5′−O(1−チオトリホスフェート(dATPαS)又は7−デアザ−2′−デオキシアデノシン−5′−トリホスフェート(c7dATP)であることができ、これらの構造を以下に示す:
【化4】

【化5】

【0046】
これらの分子は、PCRにおけるポリメラーゼ活性を支援するが、ピコモルの濃度レンジで検出可能なシグナルを生成するATP又はdATPに比較して、ナノモル濃度の如きひじょうに高いレベルでのみ生物発光系内で相互作用する(J. Eriksson, Doctoral Thesis, Advancements〔sic〕in Firefly Luciferase-Based Assays and Pyrosequencing Technology, KTH, Stockholm, Sweden, 2004)。結果として、それらは、PCRを支援するレベルで反応混合物中に含まれることができるが、そのようなレベルにおいては、プローブの加水分解の結果として生成されたシグナルを妨害するために十分な強度又は波長の生物発光シグナルを生成しない。
【0047】
この方法で、他の目的、例えばPCRの実行のために反応混合物に添加されるATPの別の形態の存在から生じるシグナルは、RNA含有プローブの加水分解の結果として生成されるシグナルを妨害しないであろう。
【0048】
前記した方法を使用するポリメラーゼ・チェイン・リアクションは、2以上の配列、例えば、標的配列と、増幅前の反応混合物に添加される内部対照配列とが増幅される多重PCRを含みうる。このような場合、2セットの反応プライマー、本分野において理解されるであろうような、増幅されるべき各配列に適用可能な1セットを添加することが適当であるかもしれない。しかしながら、第1プローブと第2プローブが、類似配列の異なる形態に、例えば異なる対立遺伝子形態にアニールする場合、単一セットのプライマーが両形態の増幅を引き起こすために十分なものであることができる。
【0049】
生物発光試薬は、終点検出手順を実施するために、増幅の終わりに添加されることができる。しかしながら、反応の進行をモニターするために増幅反応の全体を通じて、それらは存在し又は添加されることができる。
【0050】
本方法において使用されるルシフェラーゼの好ましい形態は、野生型よりも高いレベルの熱安定性を有するものであることができる。このような酵素の特別な例は、例えば、EP−A−0524448、WO95/025798、WO99/14336、WO00/24878、WO01/20002、WO01/31028中に記載され、これらの内容を本明細書中に援用する。しかしながら、それらが、アデノシンのリン酸化に由来するATPに比較してアデノシンの修飾形態のリン酸化に由来するATPにより活性化されるとき、区別しうるシグナルを作り出す場合には、それらは、本発明に係る方法において使用されうる。これは、本分野において慣用される日常的な方法を用いて試験されうる。
【0051】
しかしながら、一般的には、ルシフェラーゼの如き試薬の熱安定性は、PCR反応の如き熱サイクリングを含む増幅反応の全体を通じてそれが存在することを可能ならしめるためには十分なものではない。それゆえ、連続モニタリングが要求される場合には、等温増幅反応が好ましいかもしれない。しかしながら、モニタリング情報を作成するように、生物発光試薬が各サイクルの終りに添加され、そして生成されたシグナルがその時点で読まれるようにPCR反応を改作することもできる。このような情報は、その後、本分野において知られたアルゴリズム等を用いて、サンプル中の標的核酸配列の定量において使用されうる。
【0052】
増幅反応は、通常の方法で、例えば、変性、アニーリング、及び伸長温度を通じて反応混合物をサイクリングすることにより、行われることができる。
【0053】
前記した反応は、さまざまな慣用の装置内で実施されうる。これらは、例えば、適当なシグナル検出手段が既に提供されている、(Biotage AB,Swedenから入手可能な)Pyrosequencerを含む。あるいは、反応は、例えばEP−A−0810030中に記載され、そしてthe Perkin−Elmer Corporationにより供給されるブロック加熱装置、又はWO98/24548中に記載されるものの如き他のタイプのサーマル・サイクラーであって、好適な光検出手段、例えば適当なフィルターを備えたCCDカメラを付加されたものを使用して、実施されうる。
【0054】
したがって、さらに特別な態様においては、本発明は、核酸配列の検出方法であって、以下のステップ:
(a)ポリメラーゼ・チェイン・リアクションのアニーリング期の最中に第1核酸配列にハイブリダイズすることができる第1RNA含有プローブ、及びポリメラーゼ・チェイン・リアクションの同じくアニーリング期の最中に第2核酸配列にハイブリダイズすることができる第2RNA含有プローブ、ここで前記第1又は第2RNA含有プローブの内の少なくとも1つのアデノシンは、アデノシンの修飾形態であり、かかる修飾形態は、対応の3リン酸化形態にリン酸化されるとき、生物発光シグナリング系が3リン酸化された形態のアデノシンと相互作用するときに当該生物発光シグナリング系により生成されるシグナルに比較して、変更された生物発光シグナルを生成するように生物発光シグナリング系と相互作用する、(b)2本鎖形態(例えば、RNA/DNA2本鎖)で存在するとき前記RNA含有プローブを加水分解する酵素又は酵素混合物、及び(c)アデノシン1リン酸をアデノシン3リン酸へ又は修飾アデノシン1リン酸を修飾アデノシン3リン酸へ変換するために必要な1以上の酵素又は試薬の存在下でポリメラーゼ・チェイン・リアクションを実行し;
存在するAMP及び修飾アデノシン1リン酸を、それぞれ、ATP又は修飾アデノシン3リン酸にリン酸化し;
ATPと修飾ATPの存在に対して、異なって、かつ、区別しうる状態で反応する生物発光試薬を、前記サンプルに添加し;そして
そうして生成されたシグナルの性質を測定し、そして当該測定値を、前記サンプル中の前記第1核酸及び第2核酸の存在又は不存在と関係付ける、
を含む前記方法を提供する。
【0055】
上記方法を、以下の図1において図示して説明する。
2つの特別な核酸配列、“標的DNA配列1”と“標的DNA配列2”(これは、標的DNA配列1と同じプライマーを用いて増幅される対照配列であるかもしれない)を含む又は含むと疑われるサンプルは、PCRに供され、かかるPCRはdNTPsを添加して行われるが、この場合、dATPはdATPαSで置き替えられている。
【0056】
各標的配列に特異的な異なるRNA含有プローブが存在する。これらのプローブは、A)AMP塩基又はB)修飾AMP塩基(AMPm)、例えば、結合依存性加水分解及び酵素的リン酸化の後に、ルシフェラーゼと相互作用して区別しうるシグナルを生じるdAMP塩基のいずれかを含む。
【0057】
図1に説明するPCR反応のDNA重合ステップの間に、プライマーと相補的RNA含有プローブの両者が標的配列に結合する。
【0058】
ポリメラーゼ酵素を含みうるヌクレアーゼは、これが5′→3′ヌクレアーゼ活性をもつもの、例えばTaqポリメラーゼである場合、点線で示すようにRNA含有プローブを加水分解するように働き、第1の反応(A)の場合にはAMPを解放し、そして第2の反応(B)の場合にはdAMPを解放する。次いで、AMPはその場でATPに変換され、一方、AMPm、例えばdAMPは、次いでその場でdATPに変換される。ATPとdATPの両者が、生物発光試薬、例えばルシフェリンとルシフェラーゼの添加後に、光シグナルとして検出されうる。
【0059】
しかしながら、ATPにより生成される光の波長は、dATPにより生成される波長とは異なるであろう。RNA含有プローブ内に正常なアデノシン塩基をもつ、第1の反応は、これらの条件下、約562nmの波長において緑色の光の発光を生じるであろう。第2の反応が進行する場合には、RNA含有プローブ内の修飾アデノシン塩基は、異なる波長の光の発光を生じ、例えばdAMPの場合、最終的なシグナルは、約610nmの波長にある赤色の光を含むであろう。それゆえ、標的配列の内の1方又は両者の存在は、発光された光の波長を分析することにより、決定されることができる。
【0060】
同時に、ポリメラーゼ活性は、PCRが進行することを保証するであろう。但し、ATPmがdATPである場合、この内のいくつかは、副反応として得られたDNA産物中に取り込まれるであろう。
【0061】
前記した方法は、特定のサンプルが1以上の特異的核酸配列を含むか否かを決定するために使用されうる。
例えば、本法は、異なる配列の存在、例えば異なる生物、例えば微生物、例えば細菌又はウイルスに由来するものの存在が疑われる場合に、利用されうる。第1の生物内に存在する核酸配列に特異的な第1RNA含有プローブ、及び第2の生物内に存在する第2RNA含有プローブを使用することは、生成された生物発光シグナルが、これらの生物の内の1方又は両者の存在又は不存在が決定されることを可能にするであろう。これは、衛生上の用途及び臨床診断において有用でありうる。
【0062】
例えば、それは、特異的遺伝子型、多形等の存在について遺伝子サンプルを分析するために使用しうる。この場合、第1の核酸は、特定の遺伝子の1の形態であり、そして第2の核酸は別の形態であろう。サンプルが遺伝子のホモ接合体又は特別な形態であるとき、第1のプローブ又は第2のプローブだけが加水分解されるであろう。このプローブが修飾アデノシンを含まない場合、検出される生物発光シグナルはATPのみを特徴とするであろう。同様に、サンプルが、遺伝子の他の形態についてホモ接合である場合、計測される生物発光シグナルは、修飾アデノシンを含むプローブの加水分解のみを特徴とするであろう。好ましくは、このプローブ内のアデノシンの全てが修飾され、それゆえ単一の波長をもつシグナルが検出されるであろう。しかしながら、「混合」シグナルが測定されることもでき、そこでは、異なる波長をもつシグナルが発光され、そして光学フィルター等のシステムを用いて検出される。このようなシステムは、サンプルが遺伝子型についてヘテロ接合である場合に、要求されるであろう。
【0063】
本発明に係る方法が増幅反応、例えばPCRとともに使用される場合、RNA含有プローブを、好適には化学リンカー又は非増幅性モノマー、例えばヘキセチレン・グリコールである「ブロッキング基」により反応に対してプライマーとして作用し、かつ、オリゴヌクレオチドのプローブ領域を増幅する伸長反応を妨害するDNA配列に、連結することが望ましい。このリンカーは、プローブの加水分解が、プライマーに沿って伸長することをさらに妨害するであろう。
【0064】
この一般的なタイプのプローブ/プライマーは「スコルピオン(Scorpions)」として周知であり、そしてそれらは、例えばWO99/66071中に記載されている。
【0065】
慣用のスコルピオンTMプローブを用いて、単一のオリゴヌクレオチドを用いることにより配列特異的プライミング及びPCR産物検出が達成される。スコルピオンTMプローブは、ハイブリダイズされていない状態でステムループ立体配置を維持する。一対の相互作用性蛍光団がオリゴヌクレオチドに付着され;例えばオリゴヌクレオチドの5′プライマー末端にある蛍光団が、3′プローブ末端に結合された成分によりクエンチされる。このプローブのセクションは、プライマーの伸長産物に相補的な配列を含む。スコルピオンTMプライマーの伸長後、特異的なプローブ配列は、伸長されたアンプリコン内のその相補物に結合することによりヘアピンループを開くことができる。これは、蛍光団がクエンチされることを妨害し、そしてシグナルが観察される。
【0066】
本発明に係る方法に使用するためには、単一のオリゴヌクレオチド・プローブ/プライマーは、特異的なシグナリング成分、例えば蛍光団を担持する必要はない。なぜなら、シグナルは、プローブ・セクションの加水分解の結果として生成されるからである。これは、費用及び調製の困難さを低下させるであろう。さらに、それは、プローブ・セクションが前記したようなRNA含有プローブを含む程度で、修飾されることのみが必要とされる。RNA含有プローブは、当該プロセスの実行のために要求されるときアデノシン又は修飾アデノシンを含むであろう。
【0067】
このようなプライマー/プローブの組合せは、新規であり、そして本発明のさらなる側面を形成する。
本発明に係る方法は、シーケンシング適用のために、及び/又はDNA又はRNA配列内の多形又は変化を検出するために改作されることもできる。
【0068】
さらなる局面においては、本発明は、核酸の配列を決定する方法であって、以下のステップ:
(i)第1RNA含有プローブと第2RNA含有プローブを前記配列の知られた領域に結合させて、当該プローブの末端にある少なくとも1のヌクレオチドを当該配列の知られていない又は不明な領域内に到達するようにする、そしてここで前記第1RNA含有プローブと第2RNA含有プローブは、その末端に存在するヌクレオシドが異なり、そしてここで前記第1又は第2RNA含有プローブ内の少なくとも1のアデノシンは、アデノシンの修飾された形態であり、そしてかかる修飾された形態は、対応の3リン酸化形態にリン酸化されるとき、生物発光シグナリング系が3リン酸化形態のアデノシンと相互作用するときに当該生物発光シグナリング系により生成されるシグナルに比較して、変更された生物発光シグナルを生成するように生物発光シグナリング系と相互作用する;
(ii)2本鎖形態(例えば、RNA/DNA2本鎖)で存在するとき前記RNA含有プローブを加水分解する酵素を用いて前記RNA含有プローブを加水分解し;
(iii)生成されたアデノシン1リン酸をアデノシン3リン酸(ATP)に、そして修飾アデノシン1リン酸(AMPm)を修飾アデノシン3リン酸(ATPm)に変更し;
(iv)ATP及びATPmの存在に対して異なって反応する生物発光試薬を前記サンプルに添加し;
(v)前記生物発光試薬からのシグナルを検出し;そして
(vi)前記シグナルを、前記プローブの内の1の末端に相補するか又はそうではない配列の領域の存在と関係付ける、
を含む前記方法を提供する。
【0069】
このような場合、プローブの末端にある1以上のヌクレオチドが、知られていない又は不明な配列に正確に相補的である場合、プローブはそれに対し最も効率的に結合するであろうし、その結果、酵素は、ステップ(ii)の最中に結合されたプローブを効率的に加水分解するであろう。結果として、AMP又はAMPmが生成され、それに依存してプローブがこの方法で加水分解し、そしてこれは前記したように、それぞれ、ATP又はATPmに変換され、そして生物発光システムを用いて検出される。
【0070】
しかしながら、RNA含有プローブの末端にあるヌクレオチドが、テンプレートDNAに正しく対合しない場合、ステップ(ii)における酵素の効果は、テンプレートからの無傷のプローブを大きく追い払うこととなるであろう。その結果、有意な加水分解は生じず、そしてこれは当該プローブから生成される生物発光シグナルの欠如又は実質的な低下となるであろう。
【0071】
この反応は、末端領域に異なるヌクレオチドをもつプローブを用いて同時に、又は望ましくは、2回以上行われる。例えば、この位置にある配列内に存在するヌクレオチドが知られていない場合、それぞれ末端に異なるヌクレオチドC,G,U、及びAをもつ4つの異なるプローブが調製されうる。可能であれば、各プローブはアデノシンの異なる形態を含むであろうし、その内の3つは好適には修飾され、そしてその内の1つは修飾されない。あるいは、プローブの内の2つは、修飾されたアデノシンを用いて調製されることができ、そして反応は2回実行され、各反応時において、1のプローブは修飾アデノシンを有し、そして1のプローブは非修飾アデノシンを有する。
【0072】
これらの反応を実行することにより、生成されたシグナルのレベルにより、どれがこの位置にある正しいヌクレオチドであるかが直ちに明らかとなるはずである。良好なシグナルは、プローブがその末端に相補的ヌクレオチドを含むところの反応においてのみ、予測されるであろう。
【0073】
所望により、2以上の、例えば3までの知られていないヌクレオチドが、その末端に含まれうる。このような場合には、当該位置に可能である配列組合せの全てを提示するプローブが実施されうる。末端で正確に相補的な配列をもつプローブが効率的に加水分解されることが予想される。
【0074】
使用される末端は、知られた配列対知られていない又は不明な配列の性質に依存して、プローブの3′又は5′末端でありうる。ステップ(ii)で使用される酵素は、これを考慮して選ばれるであろう。緊密に結合するRNA含有プローブの加水分解は、その末端が5′末端であり、そしてステップ(ii)で使用される酵素が、良好な「プルーフリーディング(校正)」機能をもつと認められる酵素においてしばしば見られるような(3′−5′加水分解に比較して)5′−3′加水分解することができるときに、より良好に実行されうる。
【0075】
前記方法において使用される酵素及び試薬は、前記した核酸サンプルの存在又は量を検出するための方法において使用されるものに類似したものである。同様に、反応は、前記したような装置内で実行されうる。
【0076】
シーケンシング反応は、増幅反応、例えばPCR反応とともに使用されうる。例えば、反応は、PCR反応の後に実施されうる。PCR反応の少なくともいくつかのステージは、ステップ(ii)での加水分解を達成するために実行されうる。しかしながら、一般には、これは必要ではない。なぜなら、検出されるAMPの「リサイクリング」の結果として、当該システム自体が良好な増幅シグナルを提供するからである。
【0077】
このような方法は、出発配列の少なくとも1部が知られている(例えばユニバーサル・プライミング配列)である場合に、シーケンシングにおいて使用されるであろう。その後、完全な配列が、その配列の長さに沿って当該プロセスを繰り返すことにより、解明されうる。例えば配列が、例えばリボダイピングの最中に生じるように、その長さに沿っていくつかの保存された領域を含むことが知られている場合に、配列を明らかにするための並行反応は、プローブとしてRNAオリゴヌクレオチド・ライブラリーを使用することができる。これらの領域は、各々、RNA含有プローブを位置決めするための知られた配列として使用されうる。
【0078】
確認のための逆方向のシーケンシングも、前記した方法を用いて実施されうる。可能な場合、保存された領域の存在の結果として、これは、反応のアレイを用いて並行して行われうる。
【0079】
あるいは、前記方法は、診断の使用のために多形又は対立遺伝子変異の検出に使用されうる。このような場合には、配列は、多形又は変異の座において不明でありうる1以上のヌクレオチドの小さな領域を除き、広く知られたものであることができる。このような場合には、RNA含有プローブは、少なくとも末端領域のヌクレオチドが配列内の多形又は変異に相当するようにデザインされ、その結果、効率的な加水分解又はその他のものが、実際の配列がプローブ配列に相補的であるか否かを指標するであろう。
【0080】
検出、増幅、及びシーケンシング反応を含む前記した反応は、適宜、及び本分野において知られているように、反応管、ウェル又は容器内で行われることができる。
【0081】
前記した複数の反応、例えば増幅又はシーケンシング反応が実行される場合、これらは、好適には、アレイに整列された別個の反応管、ウェル又は容器内で同時に実行されうる。管ウェル又は容器は、一緒に、熱サイクルされ(又は、使用されるプロセスの性質に依存して、等温インキュベートされ)、そして各管からのシグナルは、適当に形状化された照度システムを用いてモニターされる。
【0082】
あるいは、プローブは、例えば、先に概説したような特別な試験配列内の多形又は対立遺伝子変異のための診断試験を提供するために、例えば、「ディップスティック」デザイン又はスライド又はチップの支持体上に固定化されうる。
【0083】
さらなる局面においては、本発明は、前記した方法に使用されるキットを提供する。このようなキットは、標的配列に特異的な少なくとも2つのRNA含有プローブであって、その内の1つは前記したような少なくとも1の修飾アデノシンを含むものを含むであろう。
【0084】
キットは、場合により、AMPをATPに又はAMPmをATPmに変換するための手段をも含みうる。このような手段の特別な例は、当該文脈において使用される先に列記した酵素である。
【0085】
多形を検出するための方法の場合には、キットは、3′末端にある異なるヌクレオチドの存在のみが相違する、4つまでの類似のRNA含有プローブを含みうる。このような場合には、異なる修飾アデノシンが、当該プローブの少なくとも3つの内に存在するであろう。
【0086】
キットは、好適には、本法に使用される1以上のさらなる試薬を含むであろう。特に、それらは、生物発光試薬、例えばルシフェラーゼ及び/又はルシフェリンを含みうる。好適には、ルシフェラーゼは、前記したような組換え熱安定性ルシフェラーゼである。
【0087】
キットの他の特別な任意成分は、特別な増幅又は複数の増幅に使用される1以上のプライマー・セットを含みうる。前記したように、プライマーは、それらが単一のオリゴヌクレオチドを形成するように、前記したようなブロッキング基によりRNA含有プローブに連結されうる。
【0088】
さらに、キットは、核酸に結合されたRNA含有プローブを加水分解してアデノシン1リン酸(AMP)、及び/又は修飾アデノシン1リン酸(AMPm)を生成することができる1以上の酵素(例えば、酵素混合物)を含みうる。このような酵素の例は、RNA含有プローブを加水分解するDNAポリメラーゼ又は他の加水分解酵素、例えば前記したRNAseを含む。
【0089】
増幅を行うために要求されるかもしれない、他の試薬、例えば、バッファー、ヌクレオチド、ポリメラーゼ酵素等も含有されうる。
【0090】
それゆえ、RNA含有加水分解プローブは、サンプル中のきわめて特異的な核酸配列の存在を指標するシグナルを生成するためのきわめて用途の広い手段を提供する。生物発光検出システムと組合せた前記プローブを用いたアッセイの感度は高く、そしてシグナルは迅速に生成されうる。
【0091】
前記したような修飾アデノシンを含むRNA含有プローブも新規であり、そして本発明のさらなる局面を形成する。
前記したアデノシンの修飾形態を含むRNA分子又はDNA/RNAヘテロポリマーのいずれかである、前記したRNA含有プローブは新規であり、そして本発明のさらなる局面を形成する。さらに、それらが加水分解されてAMP又はAMPmを解放し、これらがATP又はATPmにリン酸化され、そして生物発光系を用いて検出されるところの、特別の核酸配列のためのアッセイにおいて個々に使用される前記プローブの使用も、本発明のさらなる局面を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0092】
(原文記載なし)
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中の2以上の核酸配列の検出方法であって、以下のステップ:
前記サンプルを、第1核酸配列にハイブリダイズすることができる第1RNA含有プローブ、及び第2核酸配列にハイブリダイズすることができる第2RNA含有プローブと、前記第1RNA含有プローブが前記サンプル中に存在する第1核酸配列に結合し、そして前記第2RNA含有プローブが前記サンプル中に存在する第2核酸配列に結合する条件下で、接触させる、ここで、前記第1RNA含有プローブと第2RNA含有プローブ内の少なくとも1のアデノシンは、アデノシンの修飾形態であり、かかる修飾形態は、対応の3リン酸化形態にリン酸化されるとき、生物発光シグナリング系と相互作用して、当該生物発光シグナリング系が3リン酸化形態におけるアデノシンと相互作用するとき、当該生物発光シグナリング系により生成されるシグナルに比較して、変更された生物発光シグナルを生成する;
核酸に結合したRNA含有プローブが加水分解されて、アデノシン1リン酸(AMP)、及び/又は修飾アデノシン1リン酸(AMPm)を生成する条件下に、核酸/プローブ複合体をもっていき;
存在するAMPとAMPmを全てリン酸化して、それぞれ、アデノシン3リン酸(ATP)又は修飾アデノシン3リン酸(ATPm)を生成し;
ATPに比較してATPmと反応するとき異なるシグナルを生成する生物発光シグナリング系を検出し;
そうして生成されたシグナルの性質を測定し、そしてその測定値を、前記サンプル中の前記第1核酸と第2核酸の存在又は不存在に関係付ける;
を含む方法。
【請求項2】
AMPと修飾AMPが、それぞれ、ATPと修飾ATPに、酵素反応により変換される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記RNA含有プローブがRNA分子である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記RNA含有プローブがRNA/DNAヘテロポリマーである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1又は第2RNA含有プローブの内の1つの2以上のアデノシン・ヌクレオシドが、アデノシンの修飾された形態である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記修飾されたアデノシンがdATPである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記RNA含有プローブは、核酸/プローブ複合体の形態にあるとき、酵素を用いて加水分解される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記酵素は、ポリメラーゼ酵素、又はRNAse酵素又はそれらの組合せから選択される、但し、前記酵素は、1本鎖形態でRNA含有プローブを非選択的に加水分解するDNAse又はRNAse活性を有さない、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記酵素はRNAseを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記酵素はT7エキソヌクレアーゼ又はヘビ毒ホスホジエステラーゼである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1又は第2核酸プローブの加水分解により得られるAMP又はAMPmは、1以上のリン酸化酵素を用いてアデノシン3リン酸(ATP)又は修飾アデノシン3リン酸(ATPm)にリン酸化される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記1以上のリン酸化酵素は、ホスホエノールピルベート・シンターゼ、又はヌクレオシド3リン酸−アデニレート・キナーゼとNTP又はピルベート・ホスフェート・ジキナーゼの組合せである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記生物発光シグナリング系は、酵素ルシフェラーゼと、酵素基質、ルシフェリンとの組合せを含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1RNA含有プローブと第2RNA含有プローブは、遊離状態にあるとき、核酸/プローブ複合体の形態にあるときプローブの加水分解を生じないように、使用される酵素により加水分解されないことを保証するように、修飾される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記プローブは、その5′末端で化学的にブロックされる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
核酸増幅反応とともに実施される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記増幅反応は等温反応である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
核酸/プローブ複合体の形態にあるときプローブの加水分解を生じさせるために必要な酵素又は試薬とともに、そしてまた場合により、AMP又はAMPmのリン酸化のために必要な試薬及び生物発光シグナリング系とともに、第1RNAプローブ及び第2RNAプローブが、増幅反応の全体を通して存在する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記増幅反応は、ポリメラーゼ・チェイン・リアクションである、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
核酸/プローブ複合体の形態にあるときプローブの加水分解を生じさせるために必要な酵素又は試薬とともに、そしてまた場合により、AMP又はAMPmのリン酸化のために必要な試薬とともに、第1RNAプローブ及び第2RNAプローブが、増幅反応の全体を通じて存在する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
核酸/プローブ複合体の形態にあるときプローブの加水分解を生じさせるために必要な酵素又は試薬が、PCR反応を実行するために使用されるDNAポリメラーゼを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
核酸/プローブ複合体の形態にあるときプローブの加水分解を生じさせるために必要な酵素又は試薬が、追加の加水分解酵素をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1プローブと第2プローブは、3′末端での伸長をブロックされる、請求項19〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
DNAポリメライゼーションのための基質として作用するけれども、生物発光シグナリング系内で有意な活性をもたない、dATPの他形態の存在下で、PCRが実行される、請求項19〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記dATPの他形態は、2′−デオキシアデノシン−5′−O−1−チオトリホスフェート(dATPαS)又は7−デアザ−2′−デオキシアデノシン−5′−トリホスフェート(c7dATP)である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
生物発光シグナリング系の試薬は、増幅反応の終りに添加される、請求項19〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
生物発光シグナリング系の試薬は、各サイクルの終りに添加され、そして生成したシグナルは、その時点で読まれる、請求項19〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記第1又は第2核酸配列の内の1は、標的配列であり、そして他は、反応混合物に添加される内部対照配列である、請求項1〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
核酸配列の検出方法であって、以下のステップ:
(a)ポリメラーゼ・チェイン・リアクションのアニーリング期の最中に第1核酸配列にハイブリダイズすることができる第1RNA含有プローブ、及びポリメラーゼ・チェイン・リアクションの同じくアニーリング期の最中に第2核酸配列にハイブリダイズすることができる第2RNA含有プローブ、ここで前記第1又は第2RNA含有プローブの内の少なくとも1つのアデノシンは、アデノシンの修飾形態であり、かかる修飾形態は、対応の3リン酸化形態にリン酸化されるとき、生物発光シグナリング系が3リン酸化された形態のアデノシンと相互作用するときに当該生物発光シグナリング系により生成されるシグナルに比較して、変更された生物発光シグナルを生成するように生物発光シグナリング系と相互作用する、(b)2本鎖形態(例えば、RNA/DNA2本鎖)で存在するとき前記RNA含有プローブを加水分解する酵素又は酵素混合物、及び(c)アデノシン1リン酸をアデノシン3リン酸へ又は修飾アデノシン1リン酸を修飾アデノシン3リン酸へ変換するために必要な1以上の酵素又は試薬の存在下でポリメラーゼ・チェイン・リアクションを実行し;
存在するAMP及び修飾アデノシン1リン酸を、それぞれ、ATP又は修飾アデノシン3リン酸にリン酸化し;
ATPと修飾ATPの存在に対して、異なって、かつ、区別しうる状態で反応する生物発光試薬を、前記サンプルに添加し;そして
そうして生成されたシグナルの性質を測定し、そして当該測定値を、前記サンプル中の前記第1核酸及び第2核酸の存在又は不存在と関係付ける、
を含む前記方法。
【請求項30】
核酸の配列を決定する方法であって、以下のステップ:
(i)第1RNA含有プローブと第2RNA含有プローブを前記配列の知られた領域に結合させて、当該プローブの末端にある少なくとも1のヌクレオチドを当該配列の知られていない又は不明な領域内に到達するようにする、そしてここで前記第1RNA含有プローブと第2RNA含有プローブは、その末端に存在するヌクレオシドが異なり、そしてここで前記第1又は第2RNA含有プローブ内の少なくとも1のアデノシンは、アデノシンの修飾された形態であり、そしてかかる修飾された形態は、対応の3リン酸化形態にリン酸化されるとき、生物発光シグナリング系が3リン酸化形態のアデノシンと相互作用するときに当該生物発光シグナリング系により生成されるシグナルに比較して、変更された生物発光シグナルを生成するように生物発光シグナリング系と相互作用する;
(ii)2本鎖形態(例えば、RNA/DNA2本鎖)で存在するとき前記RNA含有プローブを加水分解する酵素を用いて前記RNA含有プローブを加水分解し;
(iii)生成されたアデノシン1リン酸をアデノシン3リン酸(ATP)に、そして修飾アデノシン1リン酸(AMPm)を修飾アデノシン3リン酸(ATPm)に変更し;
(iv)ATP及びATPmの存在に対して異なって反応する生物発光試薬を前記サンプルに添加し;
(v)前記生物発光試薬からのシグナルを検出し;そして
(vi)前記シグナルを、前記プローブの内の1の末端に相補するか又はそうではない配列の領域の存在と関係付ける、
を含む前記方法。
【請求項31】
各々がその末端に異なるヌクレオチドをもち、かつ、各々がアデノシンの異なる形態を含有する4つのRNA加水分解プローブを用いて実施される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ステップ(iii)において、ホスホエノールピルベート・シンターゼ、ホスフェート、及びホスホエノールピルベートを添加することにより、変更が行われる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ステップ(iii)において、ヌクレオシドトリホスフェート−アデニレート・キナーゼ、ヌクレオシド5′−トリホスフェート(NTP)、及びアデニレート・キナーゼの組合せにより、変換が行われる、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
ステップ(iv)において使用される生物発光試薬は、ルシフェリンとルシフェラーゼを含む、請求項31〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
各々が標的配列に特異的であり、その内の1が修飾アデノシンを含む少なくとも2のRNA含有プローブを含む分析用キット。
【請求項36】
2本鎖形態で存在するときRNA含有プローブを加水分解することができる酵素又は酵素混合物をさらに含む、請求項35に記載のキット。
【請求項37】
AMPからATPに又はAMPmからATPmに変換するための手段をさらに含む、請求項35又は36に記載のキット。
【請求項38】
生物発光試薬をさらに含む、請求項35〜37のいずれか1項に記載のキット。
【請求項39】
前記生物発光試薬が、ルシフェラーゼ及び/又はルシフェリンを含む、請求項38に記載のキット。
【請求項40】
前記ルシフェラーゼが組換え耐熱性ルシフェラーゼである、請求項39に記載のキット。
【請求項41】
少なくとも2つの増幅プライマーをさらに含む、請求項35〜40のいずれか1項に記載のキット。
【請求項42】
RNA含有プローブが、オリゴヌクレオチドのプローブ領域を増幅する伸長反応を妨害するブロッキング基によりRNA含有プローブ領域に連結された、核酸増幅反応におけるプライマーとして機能しうるDNAポリマーを含む前記オリゴヌクレオチドを含む、請求項35〜40のいずれか1項に記載のキット。
【請求項43】
対応の3リン酸化形態にリン酸化されるとき、生物発光シグナリング系が3リン酸化形態のアデノシンと相互作用するとき当該生物発光シグナリング系により生成されるシグナルに比較して変更された生物発光シグナルを生成するように生物発光シグナリング系と相互作用する、アデノシンの修飾形態を含むRNA含有プローブ。
【請求項44】
少なくとも1のアデノシンヌクレオチド又は、対応の3リン酸化形態にリン酸化されるとき、生物発光シグナリング系が3リン酸化形態のアデノシンと相互作用するときに当該生物発光シグナリング系により生成されるシグナルに比較して変更された生物発光シグナルを生成するように生物発光シグナリング系と相互作用するアデノシンの修飾形態を含むRNA/DNAヘテロポリマーを含むRNA含有プローブ。
【請求項45】
DNAポリマーを含み、ここで、1以上のデオキシ−アデノシンヌクレオチドが、場合により修飾されたアデノシンヌクレオチドにより置換されており、かかる修飾されたアデノシンヌクレオチドは、対応の3リン酸化形態にリン酸化されるとき、生物発光シグナリング系が3リン酸化形態のアデノシンと相互作用するときに当該生物発光シグナリング系により生成されるシグナルに比較したとき変更された生物発光シグナリング系を生成するように生物発光シグナリング系と相互作用する、請求項44に記載のRNA含有プローブ。
【請求項46】
オリゴヌクレオチドのプローブ領域を増幅する伸長反応を妨害するブロッキング基によりRNA含有プローブ領域に連結された、核酸増幅反応においてプライマーとして機能しうるDNAポリマーを含む前記オリゴヌクレオチド。
【請求項47】
核酸の検出における、請求項44〜46のいずれか1項に記載のプローブの使用。
【請求項48】
サンプル中の核酸配列の検出方法であって、以下のステップ:
RNA含有プローブが前記サンプル中に存在する標的核酸配列に結合する条件下で、前記サンプルを、標的核酸配列にハイブリダイズすることができる請求項44〜46のいずれか1項に記載のRNA含有プローブと、接触させ;
核酸に結合したRNA含有プローブがアデノシン1リン酸(AMP)又は修飾アデノシン1リン酸(AMPm)を生じるように加水分解される条件に、核酸/プローブ複合体をもっていき;
存在するAMP又は修飾アデノシン1リン酸を、それぞれ、アデノシン3リン酸(ATP)又は修飾アデノシン3リン酸(ATPm)にリン酸化し;
生物発光シグナリング系を用いてATP又は修飾アデノシン3リン酸を検出する、
を含む前記方法。

【公表番号】特表2009−504173(P2009−504173A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526534(P2008−526534)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002967
【国際公開番号】WO2007/020384
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(506072055)エニグマ ディアグノスティックス リミテッド (13)
【Fターム(参考)】