説明

分析装置およびプローブ使用前準備方法

【課題】容易且つ迅速にプローブの交換が可能であり、さらにキャリーオーバ量が小さく安定した状態でプローブの使用を開始することが可能な分析装置およびプローブ使用前準備方法を提供する。
【解決手段】第1試薬180aをキュベットCへ分注するための第1試薬プローブ173を備えた自動分析装置1において、制御部401は、交換などにより第1試薬プローブ173の前処理が必要か否かを判断する。前処理が必要と判断した場合、制御部401は、第1試薬プローブ173を用いて希釈洗剤46aの吸引および吐出を含む前処理を5回以上繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置およびプローブ使用前準備方法に関し、例えばプローブを用いて所定の液体を所定の容器へ分注する分析装置およびそのプローブ洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な分析装置では、例えば試薬を分注する場合、試薬を吸引して吐出するための試薬プローブを、試薬を貯溜する試薬ボトル内に挿入し、試薬プローブのノズル先端を試薬に浸した状態で吸引することで、試薬ボトルから所望量の試薬を分取していた。その後、分取した試薬を所定の検体が入れられた反応容器(キュベットとも言う)内に吐出することで、試薬の分注が行なわれる。また、近年の分析装置には、作業効率の向上等を目的として、複数の検体に対する複数項目の測定を一連の分析処理において自動的に実行するように構成されたものが存在する。
【0003】
しかしながら、従来の分析装置では、試薬分注の際に試薬プローブのノズル先端を試薬に浸す必要があるため、分注後、試薬プローブの先端および内側に試薬が残留してしまう。したがって、そのままの状態で異なる試薬の分注を行なうと、前の試薬が次に吸引した試薬に混入してしまったり、試薬プローブに付着している試薬がこれと異なる試薬の試薬ボトル内に混入してしまったりなどのような、いわゆる試薬間持込み(試薬間キャリーオーバともいう)が発生し、分析結果が正しく得られないという問題を生じさせる場合がある。
【0004】
そこで従来では、試薬プローブを洗浄するための洗浄槽を設け、一連の分析処理中に、分注後に試薬プローブを洗浄する処理を含めることで、試薬間でキャリーオーバされる試薬の量を低減していた(例えば以下に示す特許文献1または2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2007−248083号公報
【特許文献2】特開2007−225608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般的に新品プローブの内部表面は荒く、細かい無数の凹凸が存在する。このため、内部表面が荒いままで試薬等の分注を行なうと、吸引した試薬が内部表面の凹凸によって多くプローブ内に残留してしまうこととなる。前回分注した試薬がプローブ内に多く残留していると、次に異なる種類の試薬を分注した場合、この分注された試薬に前回分注した試薬が多く持ち込まれてしまう。すなわち、いわゆる試薬間キャリーオーバ量が大きくなってしまう。
【0007】
試薬間キャリーオーバ量が大きいと、次に分注した試薬が用いられる分析において前回分注した試薬の影響が大きく現れてしまい、正確な結果を得られないという問題を発生させる。特に、感染症などの高精度の分析を要する処理では、試薬間キャリーオーバ量が大きいと測定結果の分析において重大なミスを招きかねない。また、異なる試薬を用いた複数の分析を継続して実行する場合には、一連の分析処理における初期のキャリーオーバ量と後期のキャリーオーバ量とが大きく異なってしまうため、キャリーオーバ量を推定した結果の補正も困難になるという問題を発生させる。
【0008】
このような問題を回避する方法としては、例えばプローブを予め所定の液体に所定時間以上浸けておくことが考えられる。しかしながら、この方法では、交換する前に所定時間の浸け置き作業が必要となるため、交換する際の手間や時間が多くかかり、迅速且つ容易にプローブを交換することができないという問題が存在する。
【0009】
また、プローブを所定の液体に浸けた状態で出荷することで、交換前の浸け置きの手間や時間を省くことが可能となるが、この方法では、輸送時に浸け置き用の液体が漏れ出す可能性がある。このため、プローブの運搬者や使用者等が浸け置き用の液体で汚染されるという問題を発生させる場合がある。また、この方法では、交換時に新たなプローブを洗浄して浸け置き用の液体を洗い流すという手間がかかり、交換作業が煩雑化するという問題が存在する。
【0010】
そこで本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、容易且つ迅速にプローブの交換が可能であり、さらにキャリーオーバ量が小さく安定した状態でプローブの使用を開始することが可能な分析装置およびプローブ使用前準備方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するために、本発明による分析装置は、液体を所定の容器へ分注するためのプローブを備えた分析装置であって、前記プローブを用いて所定の液体を吸引または吐出させる吸引/吐出手段と、前記吸引/吐出手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段が、前記プローブに対して所定の液体の吸引および吐出を含む前処理が必要か否かを判断し、該前処理が必要であると判断した場合、前記吸引/吐出手段を制御することで前記プローブを用いた前記前処理を5回以上繰り返すことを特徴としている。
【0012】
上記した本発明による分析装置は、前記プローブを交換したことを入力させる入力手段を備え、前記制御手段が、前記プローブを交換したことが入力された場合、新たなプローブに対する前記前処理が必要であると判断することを特徴としている。
【0013】
上記した本発明による分析装置は、前記プローブが交換されたか否かを検出するセンサ手段を備え、前記制御手段が、前記センサ手段により前記プローブが交換されたことが検出された場合、新たなプローブに対する前記前処理が必要であると判断することを特徴としている。
【0014】
上記した本発明による分析装置は、前記前処理が、前記所定の液体の吸引と吐出との間に、該吸引した所定の液体を所定時間保持する期間を含むことを特徴としている。
【0015】
上記した本発明による分析装置は、前記所定の液体が、洗剤が溶解された希釈洗剤であることを特徴としている。
【0016】
また、本発明によるプローブ使用前準備方法は、液体を所定の容器へ分注するためのプローブを備えた分析装置におけるプローブ使用前準備方法であって、前記プローブに対して所定の液体の吸引および吐出を含む前処理が必要であるか否かを判断する判断ステップと、前記前処理が必要であると判断した場合、前記プローブを用いた前記前処理を5回以上繰り返す前処理ステップと、を含むことを特徴としている。
【0017】
上記した本発明によるプローブ使用前準備方法は、前記プローブを交換したことを入力させる入力ステップを含み、前記判断ステップが、前記入力ステップにおいて前記プローブを交換したことが入力された場合、新たなプローブに対する前記前処理が必要であると判断することを特徴としている。
【0018】
上記した本発明によるプローブ使用前準備方法は、前記プローブが交換されたか否かを検出する検出ステップを含み、前記判断ステップが、前記検出ステップで前記プローブの交換が検出された場合、新たなプローブに対する前記前処理が必要であると判断することを特徴としている。
【0019】
上記した本発明によるプローブ使用前準備方法は、前記前処理ステップが、前記所定の液体の吸引と吐出との間に、該吸引した所定の液体を所定時間保持する期間を含むことを特徴としている。
【0020】
上記した本発明によるプローブ使用前準備方法は、前記所定の液体が、洗剤が溶解された希釈洗剤であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、交換などによりプローブに対する前処理の必要性が発生した場合、新たなプローブの使用開始に先だって、このプローブを用いた所定の液体の吸引および吐出を含む前処理を5回以上実行することが可能であるため、新たなプローブの浸け置きや洗浄等の作業やこれに要する時間を省略することができ、容易且つ迅速にプローブの交換が可能な自動分析装置およびこれを可能とするプローブ使用前準備方法を実現することができる。また、以上のような前処理を5回以上実行するため、キャリーオーバ量が小さく安定した状態でプローブの使用を開始することが可能な自動分析装置およびこれを可能とするプローブ使用前準備方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において、各図は本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。さらに、各図では、構成の明瞭化のため、断面におけるハッチングの一部が省略されている。
【0023】
<実施の形態1>
以下、本発明の実施の形態1による自動分析装置1を図面と共に詳細に説明する。
【0024】
(自動分析装置)
図1は、本実施の形態による自動分析装置1の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、自動分析装置1は、各種分析項目についての測定を自動的に遂行するためのメインユニット100と、メインユニット100へ供給される検体や後述するキュベットCをストックしておくためのサブユニット300と、メインユニット100およびサブユニット300に対する処理や動作の制御ならびに入力された測定結果の分析などを実行するための制御端末400と、を備える。なお、分析実行面であるメインユニット100の上面100Aは、例えば開閉可能なカバー等により適宜覆われる。
【0025】
また、図1に示すように、サブユニット300には、例えば、液体状の検体が入れられる検体容器302を1つ以上保持可能な検体ラック301と、検体ラック301を1つ以上収容可能なラックセット部310と、分析済みの検体が入っている検体容器302を保持する検体ラック301を1つ以上収容可能なラック回収部320と、が搭載されている。
【0026】
上記において、ラックセット部310に格納された検体ラック301は、サブユニット300に搭載された図示しない搬送機構によって図1に示す搬送経路330上を搬送され、その後、ラック回収部320内に収容される。この際、検体ラック301は、搬送経路330上における検体分取位置114に一旦停止し、後述の検体分注ユニット110を用いて適宜保持している検体容器302から検体が分取される。ただし、再検査が必要とされた検体が入っている検体容器302を保持する検体ラック301は、一旦、搬送経路330から再検経路340へ分岐され、再検検体分取位置115において再度検体が分取された後、再び搬送経路330へ戻ってラック回収部320内に収容される。
【0027】
また、同じく図1に示すように、メインユニット100には、例えば、検体分注ユニット110と、反応槽120と、検体プローブ洗浄ユニット130と、割込み検体用ユニット140と、電解質測定ユニット150と、第1攪拌ユニット160と、第1試薬分注ユニット170と、第1試薬保冷庫180と、第1試薬プローブ洗浄ユニット190と、光源ランプセット210および受光ユニット211と、第2試薬分注ユニット220と、第2試薬保冷庫230と、第2試薬プローブ洗浄ユニット240と、第2攪拌ユニット250と、キュベット洗浄ユニット260と、が搭載される。
【0028】
ここで、本実施の形態において使用するキュベットCの一例について、図面を用いて説明する。図2Aは、キュベットCの形状を示す斜視図であり、図2Bは、キュベットCの変形例であるキュベットC2の形状を示す斜視図である。図2Aに示すように、本実施の形態において使用するキュベットCは、例えば、上部に開口CAが形成された円筒状の容器である。このようなキュベットCは、例えば硬質ガラスやプラスチックやクォーツなどの透明な材料を用いて形成される。測定時には、光源ランプセット210から出力された所定波長の光がキュベットC側面に照射される。各分析項目についての測定は、キュベットCを透過した光を受光ユニット211で受光し、この光強度を計測することで行なわれる。また、本実施の形態によるキュベットCの変形例としては、例えば図2Bに示すように、上部に形成された開口CA2の角がやや丸みを帯びた略四角形の形状を有している略四角柱状の容器である。ただし、本発明はこれらの形状に限定されず、仕様等に応じて適宜変形することが可能である。
【0029】
上記のようなキュベットCは、図3に示すように、反応槽120内の外周内側に沿って円周状に配列された複数のキュベットホルダ122bにそれぞれセットされる。各キュベットホルダ122bには、光源ランプセット210からの光を受光ユニット211へ透過させるための孔(不図示)が設けられている。図1に示す各位置(122、124、125など)には、反応槽120におけるキュベットホルダ122bが回転軸121を中心として周回することで目的のキュベットCが配置される。そして、反応槽120内のキュベットCには、検体分注ユニット110を用いて分取された検体と、第1試薬分注ユニット170を用いて分取された第1試薬と、第2試薬分注ユニット220を用いて分取された第2試薬と、が適宜分注される。これにより、反応槽120におけるキュベットC内に、1つ以上の分析項目に応じた混合液(または反応液)が生成される。なお、図3は、反応槽120内に配列された複数のキュベットホルダ122bのレイアウト例を示す上視図である。
【0030】
図1に戻り説明する。検体分注ユニット110は、枢軸112を中心に枢回または上下動することで、検体分取位置114、再検検体分取位置115または割込み検体分取位置141へ移動し、この位置において所定の検体容器302から検体を吸引することでこれを分取する。また、分取した検体を検体分注位置122において反応槽120内の目的のキュベットC内へ吐出することでこれを分注する。一方、第1試薬分注ユニット170は、枢軸172を中心に枢回または上下動することで第1試薬分取位置183に移動し、この位置において第1試薬保冷庫180内の第1試薬ボトル182から第1試薬を吸引することでこれを分取する。また、分取した第1試薬を第1試薬分注位置124において反応槽120内の目的のキュベットC内へ吐出することでこれを分注する。同様に、第2試薬分注ユニット220は、枢軸222を中心に枢回または上下動することで第2試薬分取位置233へ移動し、この位置において第2試薬保冷庫230内の第2試薬ボトル232から第2試薬を分取する。また、分取した第2試薬を第2試薬分注位置125において反応槽120内の目的のキュベットCへ分注する。
【0031】
キュベットC内に混入されて生成された混合液は、例えば第1攪拌ユニット160または第2攪拌ユニット250を用いて適宜攪拌されて反応が促進された後、光源ランプセット210および受光ユニット211を用いて各分析項目について測定される。得られた測定結果は、例えばインターフェース(I/F)290を介して接続された制御端末400へ出力され、制御端末400において適宜分析される。
【0032】
なお、図1において、検体プローブ洗浄ユニット130は、検体間のキャリーオーバを防止するためのユニットであり、分注後の検体分注ユニット110における検体プローブ123を適宜洗浄する。また、第1試薬プローブ洗浄ユニット190および第2試薬プローブ洗浄ユニット240は、それぞれ第1試薬プローブ173または第2試薬プローブ223を介した試薬間のキャリーオーバによるコンタミネーションを防止するためのユニットであり、分注後の第1試薬分注ユニット170または第2試薬分注ユニット220における第1試薬プローブ173または第2試薬プローブ223を適宜洗浄する。なお、第1試薬分注ユニット170および第1試薬プローブ洗浄ユニット190、ならびに、第2試薬分注ユニット220および第2試薬プローブ洗浄ユニット240の詳細については、後述において触れる。
【0033】
キュベット洗浄ユニット260は、使用後のキュベットCを洗浄して再利用するためのユニットである。また、第1試薬保冷庫180は、第1試薬を温度管理された環境下で保管するための保冷庫であり、外周円の内側に沿って円周状に配列された複数の第1試薬ボトル182を格納する。第1試薬分取位置183には、第1試薬保冷庫180が回転軸181を中心として周回することで、目的の第1試薬が入っている第1試薬ボトル182が配置される。なお、第1試薬保冷庫180には、第1試薬ボトル182の外側に貼り付けられたバーコードを読み取るためのバーコードリーダ184が設けられており、バーコードに記述されたステータスなどの情報を読み取ることで各第1試薬ボトル182に収容されている第1試薬が管理される。同様に、第2試薬保冷庫230は、第2試薬を温度管理された環境下で保管するための保冷庫であり、外周円に沿って円周状に配列された複数の第2試薬ボトル232を格納する。第2試薬分取位置233には、第2試薬保冷庫230が回転軸231を中心として周回することで、目的の第2試薬が入っている第2試薬ボトル232が配置される。なお、第2試薬保冷庫230にも、第1試薬保冷庫180と同様に、第2試薬ボトル232の外側に貼り付けられたバーコードを読み取るためのバーコードリーダ234が設けられており、バーコードに記述されたステータスなどの情報を読み取ることで各第2試薬ボトル232に収容されている第2試薬が管理される。
【0034】
さらに、割込み検体用ユニット140は、ラックセット部310にセットされた複数の検体に対する一連の分析処理に割り込んで先に分析処理したい検体をセットするためのユニットである。電解質測定ユニット150は、必要に応じて検体に含まれる電解質を測定するためのユニットである。
【0035】
なお、上記各ユニットは、例えばメインユニット100に設けられたインターフェース(I/F)290を介して外部接続された制御端末400からの制御の下に動作する。制御端末400は、例えばメインユニット100のインターフェース290と所定の回線420を介して接続するためのインターフェース(I/F)410と、入力された測定結果を分析するための分析部402と、使用者が各種指示や命令などを入力するための入力部403と、各種測定・分析結果や検体ステータスや測定・分析進行状況などをユーザへ表示するための表示部404と、各種制御プログラムや入力された測定結果および生成した分析結果などを記憶するための記憶部405と、上記各部の制御やメインユニット100およびサブユニット300における各部を制御するための制御部401と、を含む。
【0036】
(試薬プローブ)
続いて、本実施の形態による第1試薬分注ユニット170および第2試薬分注ユニット220の構成および動作を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、本実施の形態では、第2試薬分注ユニット220の構成および動作は、第1試薬分注ユニット170の構成および動作と略同様であるため、以下では、第1試薬分注ユニット170に着目して説明する。
【0037】
図4は、本実施の形態による第1試薬分注ユニット170の概略構成例を示す側面図である。図5は、第1試薬分注ユニット170の概略内部構成を示す断面図である。図6は、第1試薬分注ユニット170およびメインユニット100の上面100Aにおける第1試薬分注ユニット170周辺の概略構成例を示す上視図である。なお、図5では、メインユニット100の上面100Aと垂直な面で第1試薬分注ユニット170をアーム部11の長手方向に切断した際の概略断面構成を示す。
【0038】
図4に示すように、第1試薬分注ユニット170は、異なる分析項目を測定するための複数種類の第1試薬、あるいは、同一の分析項目について異なるダイナミックレンジで測定するために異なる濃度に希釈された複数種類の第1試薬の内いずれかを目的のキュベットC内へ分注するための第1試薬プローブ173と、一方の端に第1試薬プローブ173が着脱可能に取り付けられたアーム部11と、アーム部11の他方の端を上下動および枢回可能に枢持する枢軸172として機能する軸部材12と、を備える。なお、ダイナミックレンジとは、実質的な測定範囲を意味する。例えばある検体(これを第1検体とする)に対するある分析項目についての測定を、他の検体(これを第2検体とする)に対する同一の分析項目についての測定よりも10倍のダイナミックレンジで測定したい場合、第1検体に対して使用する第1試薬の濃度を第2検体に対して使用する第1試薬の濃度の例えば1/10倍とする。これにより、第1検体についての実質的な測定範囲を第2検体についての実質的な測定範囲の10倍とすることができる。また、例えば第1検体に対するある分析項目についての測定を、第2検体に対する同一項目についての測定よりも10倍の分解能で測定したい場合、第1検体に対して使用する第1試薬の濃度を第2検体に対して使用する第1試薬の濃度の例えば10倍とする。これにより、第1検体についての実質的な測定範囲は1/10となるが、その計測数は同じなため、第1検体についての分解能を第2検体についての分解能の10倍とすることができる。
【0039】
軸部材12の下部は、図5に示すように、メインユニット100の上面100A下に配置された駆動機構20に連結されている。駆動機構20は、第1試薬プローブ173を所定の位置へ移動させるための移動手段である。例えば駆動機構20は、図4に示す枢軸172を中心に軸部材12を回転させる。したがって、軸部材12に固定されたアーム部11は、図6に示すように、メインユニット100の上面100Aと平行な面を軸部材12の枢軸172を中心として矢印r1方向(時計回りまたは反時計回り)に枢回する。この構成によって、軸部材12と反対の端に設けられた第1試薬プローブ173が、軌跡e1上に設けられた、第1試薬分取位置183上、第1試薬分注位置124上、または、第1試薬プローブ洗浄位置190a上等に、適宜、移動することが可能となる。
【0040】
また、駆動機構20は、図4に示すように、メインユニット100の上面100Aに対して軸部材12を矢印h1方向に突出入させる。これにより、軸部材12に固定されたアーム部11は、軸部材12の上下方向への移動に従って上下する。この構成によって、軸部材12と反対側の端に設けられた第1試薬プローブ173の高さ位置を上下に変位させることが可能となる。例えば図5または図6において、第1試薬プローブ173のノズル13aは、軸部材12の下降により、第1試薬保冷庫180の蓋180−1における第1試薬分取位置183に設けられた開口183aから、第1試薬保冷庫180内の第1試薬分取位置183下に位置する第1試薬ボトル182内に、これの挿入口182aを介して挿入される。また、図6において、ノズル13aは、軸部材12の下降により、反応槽120の蓋120−1における第1試薬分注位置124に設けられた開口124aから、反応槽120内の第1試薬分注位置124下に位置するキュベットホルダ122bに保持されたキュベットC内に挿入される。また、図6において、ノズル13aは、軸部材12の下降により、第1試薬プローブ洗浄位置190aに配置された第1試薬プローブ洗浄ユニット190における洗浄槽41内に挿入される。
【0041】
図4に戻り説明する。アーム部11は、軸部材12の上端に固定された第1部材11−1、第1試薬プローブ173を着脱可能に保持する第2部材11−2、および、第1部材11−1と第2部材11−2とを連結する連結部材11−3を含んで構成される。なお、第1部材11−1と連結部材11−3と、および、第2部材11−2と連結部材11−3とは、それぞれ例えばネジ11−3a等で固定される。
【0042】
第2部材11−2における連結部材11−3と反対側の端11−2a内には、図5に示すように、円筒状の空洞11−2bが設けられる。端11−2aの底部11−2cには、これを貫通する孔11−2dが設けられる。第1試薬プローブ173は、端11−2aの底部11−2cから下方(上面100A方向)へ突出するように、空洞11−2b内から孔11−2dへ嵌挿されて保持される。
【0043】
ここで、図7を参照して、第1試薬プローブ173の形状について説明する。図7は、本実施の形態で使用する第1試薬プローブ173の形状例を示す外観図である。図7に示すように、第1試薬プローブ173は、胴体部13と、胴体部13の下端に設けられたノズル13aと、胴体部13の上端に設けられた拡径部13bと、を含み、拡径部13b上面からノズル13a底面にかけて貫通する穴が形成されている。
【0044】
胴体部13、ノズル13aおよび拡径部13bは、それぞれ円筒状の管である。ただし、拡径部13bの内径および外径は例えば胴体部13の内径および外径よりもそれぞれ大きい。このため、図5に示すように、拡径部13bの底部、すなわち胴体部13と拡径部13bとの段差部分が、空洞11−2bの底部11−2c上面と当接する。これにより、第1試薬プローブ173が第2部材11−2から抜け落ちることが防止される。また、図7に示すように、拡径部13bには、後述するチューブ14の一方の端部である先端部14aが嵌着される。これにより、チューブ14の空洞と第1試薬プローブ173の空洞とが連結される。
【0045】
図4から図6に戻り説明する。第1試薬プローブ173は、図5に示すように、チューブ14の先端部14aが拡径部13bに嵌着された状態で、第2部材11−2の空洞11−2b内に嵌挿される。また、端11−2aの上部には、外側面に螺旋状の凸部が形成されたキャップ口が設けられている。この端11−2a上部のキャップ口にスクリューキャップ15が嵌められることで、空洞11−2bに蓋がなされる。なお、スクリューキャップ15の上部には、チューブ14を嵌挿するための貫通孔が設けられている。スクリューキャップ15は、チューブ14が嵌挿された状態で、端11−2a上部に嵌められる。なお、第1試薬プローブ173の交換については、後述において詳細に説明する。
【0046】
スクリューキャップ15が嵌まった状態では、図5に示すように、スクリューキャップ15の内側に設けられた凸部15aが、第1試薬プローブ173の拡径部13b上面と当接する。これにより、拡径部13bが底部11−2cと凸部15aとに挟まれた状態になるため、第1試薬プローブ173が端11−2aに固定される。
【0047】
スクリューキャップ15の上面から突出するチューブ14は、図5に示すように、第2部材11−2に形成された空洞11−2e内を介して、保持部16に嵌挿される。保持部16は、連結部材11−3に例えばネジ16aを用いて取り付けられる。これにより、チューブ14が連結部材11−3に保持される。
【0048】
チューブ14は、例えば図5に示すように、第2部材11−2の空洞11−2e内において、例えば第2部材11−2に固定された保持部11−2fにより保持される。これにより、チューブ14の余分な弛みなどが緩和される。
【0049】
また、チューブ14は、例えば図5に示すように、例えば第1部材11−1上端から突出する軸部材12の上面中央から下面中央を通るように形成された穴12a内に挿入され、この穴12aを介してメインユニット100の上面100A下へ導かれる。なお、軸部材12の上端には、図5に示すように、チューブ14を保持する保持部17が設けられている。
【0050】
上面100A下に導かれたチューブ14は、例えば軸部材12の下部に連結された駆動機構20から導出された後、例えば制御部401からの制御の下で接続関係を切り替えることが可能な三方弁14−3を介して第1経路14−1と第2経路14−2とに分岐される。第1経路14−1は、例えばシリンジ22に接続される。一方、第2経路14−2は、例えば内洗浄水供給部24に接続される。内洗浄水供給部24には、チューブ14−2aを介して内洗浄水タンク25に接続される。
【0051】
なお、三方弁14−3は、例えば外部からの電気的な制御の下で開閉が可能な開閉バルブである。ただし、これに限定されず、複数の開閉バルブを組み合わせて構成してもよい。また、本実施の形態では、第1試薬プローブ173を用いて第1試薬を吸引または吐出させる吸引/吐出手段としてシリンジ22を例に挙げるが、本発明はこれに限定されず、例えば数nl(ナノリットル)〜数ml(ミリリットル)単位程度の高分解能での吸引および吐出を制御することが可能なポンプ等であれば如何なるものを用いてもよい。さらに、内洗浄水25aには、例えば蒸溜によって精製した純水を適用することができる。
【0052】
・第1試薬分注動作
ここで、第1試薬分注ユニット170を用いた第1試薬の分注動作について、以下に図面を参照して詳細に説明する。
【0053】
例えば図5または図6に示すように、第1試薬180aを分取する際、制御部401(図1参照)は、駆動機構20を制御して軸部材12を回転させることで、第1試薬プローブ173を第1試薬分取位置183上に移動させる。続いて制御部401は、駆動機構20を制御して軸部材12を下降させることで、第1試薬プローブ173のノズル13aを第1試薬保冷庫180の蓋180−1に設けられた開口183aから第1試薬ボトル182の挿入口182aを介して第1試薬ボトル182内に挿入する。この際、第1試薬プローブ173のノズル13a先端は、第1試薬ボトル182内の第1試薬180aに浸される。したがって、この状態で制御部401が三方弁14−3を制御して第1経路14−1とチューブ14とを接続させると共にシリンジ22を所定時間稼働することで、所定量の第1試薬180aがノズル13a先端から第1試薬プローブ173内に吸引される。これにより、所定量の第1試薬180aが第1試薬プローブ173によって分取される。なお、この動作において、第2経路14−2とチューブ14との間は遮断されている。
【0054】
また、第1試薬180aを分取後、制御部401は、図6に示すように、駆動機構20を制御して軸部材12を上昇させた後にこれを回転させることで、第1試薬プローブ173を第1試薬分取位置183の開口183aから引き出した後これを第1試薬分注位置124上に移動させる。続いて制御部401は、駆動機構20を制御して軸部材12を下降させることで、第1試薬プローブ173のノズル13aを反応槽120の蓋120−1に設けられた開口124aからキュベットC内に挿入する。この状態で制御部401がシリンジ22を稼働することで、分取された第1試薬180aがノズル13a先端からキュベットC内へ吐出される。これにより、分取した所定量の第1試薬180aがキュベットC内に分注される。なお、この動作において、第1経路14−1とチューブ14とは接続されたままであり、第2経路14−2とチューブ14とは切断されたままである。
【0055】
(試薬プローブ洗浄ユニット)
次に、本実施の形態による第1試薬プローブ洗浄ユニット190および第2試薬プローブ洗浄ユニット240の構成、並びに、第1試薬プローブ洗浄動作および第2試薬プローブ洗浄動作を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、本実施の形態では、第2試薬プローブ洗浄ユニット240の構成および第2試薬プローブ洗浄動作は、第1試薬プローブ洗浄ユニット190の構成および第1試薬プローブ洗浄動作と略同様であるため、以下では、第1試薬プローブ洗浄ユニット190および第1試薬プローブ洗浄動作に着目して説明する。
【0056】
図8は、本実施の形態による第1試薬プローブ洗浄ユニット190の概略構成例を示す斜視図である。図9は、第1試薬プローブ洗浄ユニット190の概略内部構成を示す断面図である。なお、図9では、メインユニット100の上面100Aと垂直な面であって後述する希釈洗剤貯留槽42と廃液管47とを結ぶ面で切断した際の概略断面構成を示す。
【0057】
図8に示すように、第1試薬プローブ洗浄ユニット190は、第1試薬プローブ173を洗浄するための洗浄手段であり、下方へ延伸する希釈洗剤貯留槽42と廃液管47とが形成された洗浄槽41と、洗浄槽41内に後述する外洗浄水27aを吐出するための外洗浄水吐出ノズル45と、を備え、洗浄槽41内に洗浄対象の第1試薬プローブ173が適宜挿入される。
【0058】
洗浄槽41は、例えば長手方向が第1試薬プローブ173の軌跡e1と略平行に配置された略長方形の上面形状を有する箱型の容器であり、図8または図9に示すように、内部に上部が開口された空洞41aを備える。空洞41aの底面41bは、例えばある一点(最底点)に向かって水平断面が狭まるように漏斗状に傾斜している。この底面41bにおける最底部には、廃液管47が設けられる。廃液管47には、例えばポリタンクなどで構成された廃液タンク49に接続されたドレイン管48が連結される。したがって、洗浄槽41内の液体(例えば後述する希釈洗剤46a、内洗浄水25a、外洗浄水27a等)は、底面41bを伝って開口47aから廃液管47内へ流れ込み、その後、ドレイン管48を通って廃液タンク49に排出される。
【0059】
また、希釈洗剤貯留槽42は、図8または図9に示すように、内部に空洞42aを有する略円筒状の容器である。この希釈洗剤貯留槽42は、図9に示すように、洗浄槽41の空洞41aの底面41bが形成する傾斜の上部または途中から洗浄槽41の下方へ向かって延伸するように配設される。希釈洗剤貯留槽42の上部には、図8または図9に示すように、空洞41aの底面41bの一部を開口する開口42bが形成される。したがって、洗浄槽41の空洞41aと希釈洗剤貯留槽42の空洞42aとは開口42bを介して連続している。なお、希釈洗剤貯留槽42の開口42bと廃液管47の開口47aとは、第1試薬プローブ173の軌跡e1上にそれぞれ配置される。
【0060】
希釈洗剤貯留槽42の側面には、図8または図9に示すように、突出する希釈洗剤導入管42−1が形成される。この希釈洗剤導入管42−1は、希釈洗剤貯留槽42内部の空洞42aと連続する。また、希釈洗剤導入管42−1には、希釈洗剤供給部44に接続されたチューブ43が差し込まれる。希釈洗剤供給部44には、図9に示すように、希釈洗剤タンク46からチューブ43−1を介して希釈洗剤46aが供給される。したがって、希釈洗剤供給部44は、制御部401からの制御の下、チューブ43および希釈洗剤導入管42−1を介して希釈洗剤貯留槽42内の空洞42aへ希釈洗剤46aを充填する。
【0061】
なお、希釈洗剤貯留槽42の開口42bにおける最下位置H42は、廃液管47の開口47aにおける最上位置H47よりも高く設定される。これにより、希釈洗剤貯留槽42からこぼれ出した液体を洗浄槽41内の空洞41aに溜まらせることなく、廃液管47より排出することが可能となる。
【0062】
また、外洗浄水吐出ノズル45は、図8または図9に示すように、吐出口が洗浄槽41内に向かうように配設される。この外洗浄水吐出ノズル45は、図9に示すように、チューブ45−1を介して外洗浄水供給部26に接続される。外洗浄水供給部26には、外洗浄水タンク27からチューブ45−2を介して外洗浄水27aが供給される。したがって、外洗浄水供給部26は、制御部401からの制御の下、チューブ45−1を介して外洗浄水吐出ノズル45から洗浄槽41内へ外洗浄水27aを吐出する。これにより、洗浄槽41内に配置された第1試薬プローブ173の外側に外洗浄水27aが流れ、これが洗浄される。なお、外洗浄水吐出ノズル45の吐出口の高さ位置を、洗浄槽41の上端位置よりも低くするとよい。これにより、洗浄槽41外へ外洗浄水27aが飛散することを低減することができる。なお、外洗浄水27aには、例えば蒸溜によって精製された純水等を適用することができる。
【0063】
・第1試薬プローブ洗浄処理
ここで、第1試薬プローブ洗浄ユニット190による第1試薬プローブ173の洗浄処理について、以下に図面を参照して詳細に説明する。
【0064】
例えば図6に示すように、第1試薬プローブ173を洗浄する際、制御部401(図1参照)は、駆動機構20を制御して軸部材12を回転させることで、第1試薬プローブ173を第1試薬プローブ洗浄位置190a上に移動させる。続いて制御部401は、まず、希釈洗剤供給部44を制御して希釈洗剤タンク46から供給された希釈洗剤46aをチューブ43内に送り込むことで、図9に示すように、希釈洗剤貯留槽42内に希釈洗剤導入管42−1を介して希釈洗剤46aを充填する。この際、希釈洗剤貯留槽42内に充填する希釈洗剤46aの量は、第1試薬プローブ173における第1試薬ボトル182内の第1試薬180aに浸かる可能性がある部分をカバーする深さを希釈洗剤貯留槽42内に形成することができる程度の量であればよい。続いて、制御部401は、駆動機構20を制御することで、アーム部11を下降させて第1試薬プローブ173のノズル13a先端を第1試薬プローブ洗浄位置190aに配置された第1試薬プローブ洗浄ユニット190における希釈洗剤貯留槽42(図8または図9参照)内に挿入して、ノズル13a先端を希釈洗剤吸引位置42c(図9参照)に配置する。この際、希釈洗剤貯留槽42内には、第1試薬プローブ173外面における第1試薬180aが接触した部分を浸す程度に希釈洗剤46aが充填されているため、第1試薬プローブ173の外側の面が希釈洗剤46aによって洗浄される。続いて、制御部401は、三方弁14−3を制御してチューブ14と第1経路14−1とを接続し、この状態でシリンジ22を駆動することで、図9に示すように、希釈洗剤貯留槽42内に充填されている希釈洗剤46aを第1試薬プローブ173内に吸引する。この際、チューブ14と第2経路14−2との間は三方弁14−3により遮断されている。
【0065】
次に、制御部401は、駆動機構20を制御することで、ノズル13a先端が洗浄槽41内であって例えば廃液管47の開口47a上に設定された洗浄液吐出位置47b(図9参照)に位置するように、第1試薬プローブ173を移動させる。続いて、制御部401は、シリンジ22を駆動することで、図9に示すように、第1試薬プローブ173内の希釈洗剤46aをノズル13a先端から吐出する。これにより、第1試薬プローブ173内が希釈洗剤46aによって洗浄される。なお、この動作では、チューブ14と第1経路14−1とが接続されたままであり、チューブ14と第2経路14−2とが遮断されたままである。また、希釈洗剤46aを吸引してから吐出するまでの間に、所定期間希釈洗剤46aを第1試薬プローブ173内に保持しておくように構成してもよい。これにより、希釈洗剤46aの保持による洗浄効果を得ることができる。
【0066】
次に、制御部401は、三方弁14−3を制御してチューブ14と第1経路14−1とを接続すると共にチューブ14と第2経路14−2とを遮断し、この状態で内洗浄水供給部24を駆動して第2経路14−2内に内洗浄水25aを流入することで、図9に示すように、第1試薬プローブ173のノズル13a先端から内洗浄水25aを吐出させる。また、制御部401は、内洗浄水25aの吐出と並行して、外洗浄水供給部26を駆動してチューブ45−1内に外洗浄水27aを流入することで、図9に示すように、外洗浄水吐出ノズル45先端から第1試薬プローブ173へ向けて外洗浄水27aを吐出させる。この際、少なくとも第1試薬180aが付着している可能性のある部分に外洗浄水27aが流れるように、外洗浄水吐出ノズル45の吐出口の位置および洗浄液吐出位置47bを設定するとよい。これにより、第1試薬プローブ173内に残留する希釈洗剤46aが内洗浄水25aによって洗い流されると共に、第1試薬プローブ173外面に残留する希釈洗剤46aが外洗浄水27aによって洗い流される。なお、吐出された内洗浄水25aおよび外洗浄水27aは、図9に示すように、その後、洗浄槽41に形成された廃液管47からドレイン管48を通って廃液タンク49へ排出される。
【0067】
(試薬プローブ交換)
次に、第1試薬プローブ173または第2試薬プローブ223の交換作業およびこの際に実行されるプローブ使用前準備動作について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、本実施の形態では、第2試薬プローブ223の交換作業およびこの際に実行されるプローブ使用前準備動作は、第1試薬プローブ173と同様であるため、以下では、第1試薬プローブ173の交換に着目して説明する。
【0068】
図10は、第1試薬プローブ173を交換する際の手順を説明するための外観図である。なお、以下の説明では、古い第1試薬プローブ173aを新しい第1試薬プローブ173bに交換する際の手順を示す。
【0069】
本実施の形態では、図10(a)に示すように、まず、第1試薬分注ユニット170における第2部材11−2の端11−2a上部に取り付けられたスクリューキャップ15を廻してこれを端11−2a上部のキャップ口11−2gから取り外す。これにより、第1試薬プローブ173が固定された状態から開放される。その後、第1試薬プローブ173を端11−2aから引き抜く。また、チューブ14の先端部14aを第1試薬プローブ173上部の拡径部13bから引き抜くと共に、スクリューキャップ15と拡径部13bとを分離する。この際、チューブ14をスクリューキャップ15から引き抜いても良い。これにより、第1試薬プローブ173aが第2部材11−2の端11−2aから外されると共に、チューブ14と第1試薬プローブ173aとが分離される。
【0070】
次に、図10(b)に示すように、第1試薬プローブ173aを新しい第1試薬プローブ173bに交換し、これの拡径部13bにチューブ14の先端部14aを嵌挿する。この際、チューブ14はスクリューキャップ15上面の貫通孔に嵌挿されている。
【0071】
次に、図10(c)に示すように、チューブ14の先端部14aが嵌挿された第1試薬プローブ173bを第2部材11−2における端11−2aに嵌挿し、その後、スクリューキャップ15を端11−2a上部のキャップ口11−2g(図10(a)参照)に廻し込む。これにより、第1試薬プローブ173bがチューブ14と連結された状態で第2部材11−2の端11−2aに固定される。
【0072】
・第1試薬プローブ使用前準備動作
上記のように、第1試薬プローブ173を交換すると、本実施の形態では、新たな第1試薬プローブ173を使用可能な状態とするために、以下に示すようなプローブ使用前準備動作を実行する。なお、使用可能な状態とは、使用時の試薬間キャリーオーバ量が十分に低減された状態で安定していることを指す。また、本実施の形態では、第1試薬プローブ173を新しいものに交換した際にプローブ使用前準備動作を実行する場合を例に挙げるが、本発明はこれに限定されず、プローブ使用前準備動作を例えばユーザの指示に従って任意のタイミングで実行するように構成しても良い。また、第2試薬プローブ223についてのプローブ使用前準備動作は、第1試薬プローブ173についてのプローブ使用前準備動作と同様である。さらに、検体プローブ123についても、本実施の形態によるプローブ使用前準備動作を適用することが可能である。
【0073】
図11は、本実施の形態によるプローブ使用前準備動作の流れを示すフローチャートである。また、図12は、本動作を開始するにあたり、第1試薬プローブ173の交換者(以下、単にユーザという)が第1試薬プローブ173を交換したことを入力するための画面例である。
【0074】
上述において図10を用いて説明したような手順により第1試薬プローブ173を交換すると、本実施の形態では、ユーザが、制御端末400(図1参照)における入力部403を用いて図12に示す画面を表示部404に呼び出し、これに基づいて入力部403から第1試薬プローブ173を交換したことを入力する。なお、入力部403は、例えば表示部404における画面上に重畳されたパッチパネルであっても良いし、キーボードやマウスなどであっても良い。
【0075】
これに対し、制御端末400の制御部401は、第1試薬プローブ173を交換したことがユーザより入力されたか否かを常時または定期的に監視する(ステップS101)(判断ステップ)。この監視は、例えば本実施の形態による自動分析装置1の電源がオフされる(ステップS103のYes)まで繰り返し実行される(ステップS101のNoおよびステップS103のNo)。
【0076】
ユーザから第1試薬プローブ173を交換したことが入力されると(ステップS101のYes)、制御部401は、第1試薬プローブ173についてのプローブ使用前準備処理を実行する(ステップS102)(前処理ステップ)。ここで図13のフローチャートを用いて、本実施の形態によるプローブ使用前準備処理の具体例を示す。
【0077】
図13に示すように、本実施の形態によるプローブ使用前準備処理では、制御部401は、まず、駆動機構20を制御して軸部材12を回転させることで、第1試薬プローブ173を第1試薬プローブ洗浄位置190a上に移動させる(ステップS111)。続いて制御部401は、希釈洗剤供給部44を制御することで、希釈洗剤貯留槽42内にチューブ43および希釈洗剤導入管42−1を介して希釈洗剤46aを充填する(ステップS112)。この際、希釈洗剤貯留槽42内に充填する希釈洗剤46aの量は、例えば上述した第1試薬プローブ洗浄処理における量と同様であってもよい。続いて、制御部401は、駆動機構20を制御することで、アーム部11を下降させて第1試薬プローブ173のノズル13a先端を第1試薬プローブ洗浄位置190aに配置された第1試薬プローブ洗浄ユニット190における希釈洗剤貯留槽42(図8または図9参照)内に挿入して、ノズル13a先端を希釈洗剤吸引位置42c(図9参照)に配置する(ステップS113)。続いて、制御部401は、三方弁14−3を制御してチューブ14と第1経路14−1とを接続すると共にチューブ14と第2経路14−2とを遮断し、この状態でシリンジ22を駆動することで、図9に示すように、希釈洗剤貯留槽42内に充填されている希釈洗剤46aを第1試薬プローブ173内に吸引する(ステップS114)。
【0078】
次に制御部401は、駆動機構20を制御することで、ノズル13a先端が洗浄槽41内であって例えば廃液管47の開口47a上に設定された洗浄液吐出位置47b(図9参照)に位置するように、第1試薬プローブ173を移動させる(ステップS115)。続いて制御部401は、所定時間待機することで、第1試薬プローブ173内に希釈洗剤46aを所定時間保持する(ステップS116)。
【0079】
次に制御部401は、シリンジ22を駆動することで、図9に示すように、第1試薬プローブ173内の希釈洗剤46aをノズル13a先端から吐出する(ステップS117)。これにより、第1試薬プローブ173内が希釈洗剤46aによって洗浄される。なお、このステップにおいて、チューブ14と第1経路14−1とは接続されたままであり、チューブ14と第2経路14−2とは遮断されたままである。また、本実施の形態では、図13におけるステップS112〜S117に示した動作を、1セットの前処理とする。
【0080】
以上のようにステップS112からステップS117までの1セットの前処理を実行すると、次に制御部401は、三方弁14−3を制御してチューブ14の接続先を第1経路14−1から第2経路14−2に切り替え、この状態で内洗浄水供給部24を駆動して第2経路14−2内に内洗浄水25aを流入することで、図9に示すように、第1試薬プローブ173のノズル13a先端から内洗浄水25aを吐出させる。また、制御部401は、内洗浄水25aの吐出と並行して、外洗浄水供給部26を駆動してチューブ45−1内に外洗浄水27aを流入することで、図9に示すように、外洗浄水吐出ノズル45先端から第1試薬プローブ173へ向けて外洗浄水27aを吐出させる(ステップS118)。これにより、第1試薬プローブ173内に残留する希釈洗剤46aが内洗浄水25aによって洗い流されると共に、第1試薬プローブ173外面に残留する希釈洗剤46aが外洗浄水27aによって洗い流される。
【0081】
次に制御部401は、この前処理を所定回数繰り返したか否かを判定し(ステップS119)、繰り返し済みの場合(ステップS119のYes)、ステップS103へ移行する。一方、ステップS119の判定の結果、繰り返し済みでない場合(ステップS119のNo)、制御部401は、ステップS112へ帰還し、以降の前処理(ステップS112〜S118)を実行後、ステップS119に戻る。すなわち、本実施の形態では、ステップS112からステップS118までの前処理を所定回数繰り返す。なお、図13におけるステップS119をステップS118の前に配置しても良い。すなわち、内洗浄水25aによる第1試薬プローブ173内側の希釈洗剤46aの洗い流しと、外洗浄水27aによる第1試薬プローブ173外側の希釈洗剤46aの洗い流しとは、所定回数の前処理を繰り返した後のステップにおいて実行してもよい。
【0082】
・前処理の繰返し回数
ここで、図13に示すステップS112〜S118までの前処理を何セット繰り返すことが好ましいか、すなわち、図13におけるステップS119において判定する回数を何回にすることが好ましいかについて、実験結果を基に以下に説明する。
【0083】
図14は、前処理を実行しなかった場合と、前処理の繰返し回数を1回から8回までのいずれかとした場合との単位体積あたりの試薬間キャリーオーバ量を示す図である。また、図15は、前処理の繰り返し回数ごとの試薬間キャリーオーバ量の減少割合を示す図である。なお、本実験では、吸引した希釈洗剤を吐出する際の流量を2.9ml(ミリリットル)/秒とし、一回の吐出にかける時間を2秒とした。
【0084】
図14から明らかなように、本実施の形態による前処理を数多く繰り返すことで、キャリーオーバ量が低減すると共に安定化することができた。また、図15から明らかなように、前処理の繰り返し回数が5回である場合に最も効率的にキャリーオーバ量が減少していることが分かる。
【0085】
これらのことから、前処理を5回繰り返すことが、最も短期間で効率的に試薬間キャリーオーバ量を低減させ且つ安定化させることが可能であるということが分かる。よって、本実施の形態では、前処理の繰返し回数を5回とする。ただし、本発明は5回に限定されるものではない。また、前処理の繰返し回数を5回以上とすることで、よりキャリーオーバ量を低減し且つ安定化させることが可能である。
【0086】
以上で説明したように、本実施の形態では、第1試薬プローブ173が交換されたことが入力された場合、新たな第1試薬プローブ173の使用開始に先だって、第1試薬プローブ173を用いた希釈洗剤46aの吸引・保持・吐出を含む一連の前処理を所定回数(例えば5回)実行するため、新たな第1試薬プローブ173の浸け置きや洗浄等の作業やこれに要する時間を省略することができる。この結果、プローブの交換時に要していた手間や時間を大幅に削減することが可能となる。また、以上のような前処理を所定回数(例えば5回)実行することで、キャリーオーバ量が小さく安定した状態で第1試薬プローブ173の使用を開始することが可能となる。
【0087】
図16は、本実施の形態によるプローブ使用前準備処理(5回の前処理)を1回行なった場合と、2回行なった場合と、行なわなかった場合との、その後の分注処理における単位体積あたりの試薬間キャリーオーバ量を示す図である。
【0088】
図16のラインL0に示すように、本実施の形態によるプローブ使用前準備処理を行なわなかった場合、その後の分注処理において発生する試薬間キャリーオーバ量が大きい。また、1回目の分注処理とそれ以降の分注処理とで試薬間キャリーオーバ量が非常に大きく変化している。
【0089】
これに対し、図16のラインL1に示すように、本実施の形態によるプローブ使用前処理を1回行なうことで、その後の分注処理における試薬間キャリーオーバ量が低減されている。また、1回目の分注処理とそれ以降の分注処理とで発生する試薬間キャリーオーバ量が安定している。
【0090】
なお、図16のラインL1とラインL2とを比較すると明らかなように、本実施の形態によるプローブ使用前処理を1回行なった場合(L1)と2回行なった場合(L2)とでは、その後の分注処理におけるキャリーオーバ量および1回目の分注処理とそれ以降の分注処理とで発生するキャリーオーバ量の変化にそれほどの差がない。すなわち、何れにおいても十分な効果を得られることが分かる。
【0091】
<実施の形態2>
次に、本実施の形態による自動分析装置を説明する。なお、以下の説明において、本発明の実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付すことで、その詳細な説明を省略する。また、以下の説明では、簡略化のため、第1試薬分注ユニット170の構成に着目する。ただし、以下の説明から、本実施の形態を第2試薬分注ユニット220または検体分注ユニット110に適用することは容易である。
【0092】
本実施の形態による自動分析装置は、本発明の実施の形態1による自動分析装置1と同様の構成(例えば図1〜図9参照)を備える。ただし、本実施の形態による自動分析装置は、図17に示すように、アーム部11における第2部材11−2の端11−2aに、第1試薬プローブ173の交換を検出するためのセンサ60が設けられている。なお、図17は、本発明の実施の形態1における図5に対応する図であり、第1試薬分注ユニット170の概略内部構成を示す断面図である。
【0093】
センサ60は、例えば圧電センサや受光センサなどを含んで構成され、第1試薬プローブ173の端11−2aからの取り外しまたは取り付けを検出する。例えばセンサ60を圧電センサ60aとした場合、圧電センサ60aは、端11−2aに取り付けられた状態の第1試薬プローブ173が接触する位置に設けられる。したがって、例えば図18Aに示すように端11−2aから第1試薬プローブ173が引き抜かれると、接触状態が解除された圧電センサ60aからは電圧レベルが変化した信号が出力される。制御部401は、この電圧レベルの変化を検出することで、第1試薬プローブ173の交換があったことを検出することができる。また、例えばセンサ60を受光センサ60bとした場合、受光センサ60bは、端11−2a上部に取り付けられた状態のスクリューキャップ15によって外部からの光が遮断される位置に設けられる。したがって、例えば図18Bのように端11−2aから第1試薬プローブ173を引き抜く際にスクリューキャップ15を端11−2a上部から取り外すと、センサ60bが外部の光を受光し、これを電気信号として出力する。制御部401は、この信号を検出することで、第1試薬プローブ173の交換があったことを検出することができる。なお、図18Aは本実施の形態による圧電センサ60aを用いた第1試薬プローブ173の交換検出を説明するための外観図であり、図18Bは本実施の形態による受光センサ60bを用いた第1試薬プローブ173の交換検出を説明するための外観図である。
【0094】
センサ60により得られた検出結果は、図示しない所定の信号線を介して制御端末400の制御部401へ入力される。制御部401は、入力された検出結果に基づいて、第1試薬プローブ173が交換されたか否かを判定する。
【0095】
・第1試薬プローブ使用前準備動作
次に、本実施の形態による第1試薬プローブ173についてのプローブ使用前準備動作について説明する。ただし、第2試薬プローブ223についてのプローブ使用前準備動作は、第1試薬プローブ173についてのプローブ使用前準備動作と同様である。また、検体プローブ123についても、本実施の形態によるプローブ使用前準備動作を適用することが可能である。
【0096】
図19は、本実施の形態によるプローブ使用前準備動作の流れを示すフローチャートである。なお、図11または図13を参照して説明した本発明の実施の形態1によるプローブ使用前準備動作と同様のステップについては、同一の符号を付すことで、その詳細な説明を省略する。
【0097】
本発明の実施の形態1において図10を用いて説明したような手順により第1試薬プローブ173を交換すると、本実施の形態では、このことがセンサ60により検出される。また、センサ60による検出結果は、図示しない信号線を介して制御端末400における制御部401(図1参照)に入力される。これに対し制御部401は、図19に示すように、入力される検出結果に基づいて、第1試薬プローブ173が交換されたか否かを常時または定期的に監視する(ステップS101a)(判断ステップ)。この監視は、本発明の実施の形態1と同様に、例えば本実施の形態による自動分析装置の電源がオフされるまで実行される(ステップS101aのNo)。
【0098】
センサ60により第1試薬プローブ173の交換が検出されると(ステップS101aのYes)、制御部401は、本発明の実施の形態1と同様に、第1試薬プローブ173についてのプローブ使用前準備処理を実行する(ステップS102)(前処理ステップ)。なお、本実施の形態によるプローブ使用前準備処理の内容は、本発明の実施の形態1において図13を用いて説明した具体例と同様であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0099】
以上で説明したように、本実施の形態では、第1試薬プローブ173が交換されたことを自動的に検出し、これが検出された場合、新たな第1試薬プローブ173の使用開始に先だって、第1試薬プローブ173を用いた希釈洗剤46aの吸引・保持・吐出を含む一連の前処理を所定回数(例えば5回)実行するため、新たな第1試薬プローブ173の浸け置きや洗浄等の作業やこれに要する時間を省略することができる。この結果、プローブの交換時に要していた手間や時間を大幅に削減することが可能となる。また、以上のような前処理を所定回数(例えば5回)実行することで、キャリーオーバ量が小さく安定した状態で第1試薬プローブ173の使用を開始することが可能となる。
【0100】
また、上記実施の形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、仕様等に応じて種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは上記記載から自明である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施の形態1または2による自動分析装置の概略構成を示す模式図である。
【図2A】本発明の実施の形態1または2において使用するキュベットの概略構成を示す斜視図である。
【図2B】図2Aに示すキュベットの変形例を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1または2による反応槽におけるキュベットホルダの概略構成を示す上視図である。
【図4】本発明の実施の形態1または2による第1試薬分注ユニットの概略構成例を示す側面図である。
【図5】本発明の実施の形態1または2による第1試薬分注ユニットの概略内部構成を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1または2による第1試薬分注ユニットおよびメインユニット上面における第1試薬分注ユニット周辺の概略構成例を示す上視図である。
【図7】本発明の実施の形態1または2で使用する第1試薬プローブの形状例を示す外観図である。
【図8】本発明の実施の形態1または2による第1試薬プローブ洗浄ユニットの概略構成例を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態1または2による第1試薬プローブ洗浄ユニットの概略内部構成を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態1における第1試薬プローブを交換する際の手順を説明するための外観図である。
【図11】本発明の実施の形態1によるプローブ使用前準備動作の流れを示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態1においてユーザが第1試薬プローブを交換したことを入力するための画面例である。
【図13】本発明の実施の形態1または2によるプローブ使用前準備処理の具体例を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態1による前処理を実行しなかった場合と前処理の繰返し回数を1回から8回までのいずれかとした場合との単位体積あたりの試薬のキャリーオーバ量を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態1による前処理の実行順番に対するキャリーオーバ量の減少割合を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態1によるプローブ使用前準備処理を1回行なった場合と2回行なった場合と行なわなかった場合とのその後の分注処理における単位体積あたりのキャリーオーバ量を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態2による第1試薬分注ユニットの概略内部構成を示す断面図である。
【図18A】本発明の実施の形態2による圧電センサ60aを用いた第1試薬プローブ173の交換検出を説明するための外観図である。
【図18B】本発明の実施の形態2による受光センサ60bを用いた第1試薬プローブ173の交換検出を説明するための外観図である。
【図19】本発明の実施の形態2によるプローブ使用前準備動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0102】
1 自動分析装置
11 アーム部
11−2 第2部材
11−2a 端
11−2g キャップ口
12 軸部材
13a ノズル
13b 拡径部
14 チューブ
14a 先端部
14−1 第1経路
14−2 第2経路
15 スクリューキャップ
20 駆動機構
22 シリンジ
24 内洗浄水供給部
25a 内洗浄水
26 外洗浄水供給部
27a 外洗浄水
41 洗浄槽
42 希釈洗剤貯留槽
42c 希釈洗剤吸引位置
42−1 希釈洗剤導入管
43 チューブ
44 希釈洗剤供給部
45 外洗浄水吐出ノズル
45−1 チューブ
46a 希釈洗剤
47 廃液管
47b 洗浄液吐出位置
60 センサ
60a 圧電センサ
60b 受光センサ
110 検体分注ユニット
123 検体プローブ
170 第1試薬分注ユニット
173、173a、173b 第1試薬プローブ
190 第1試薬プローブ洗浄ユニット
190a 第1試薬プローブ洗浄位置
220 第2試薬分注ユニット
223 第2試薬プローブ
400 制御端末
401 制御部
403 入力部
404 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を所定の容器へ分注するためのプローブを備えた分析装置であって、
前記プローブを用いて所定の液体を吸引または吐出させる吸引/吐出手段と、
前記吸引/吐出手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記プローブに対して所定の液体の吸引および吐出を含む前処理が必要か否かを判断し、該前処理が必要であると判断した場合、前記吸引/吐出手段を制御することで前記プローブを用いた前記前処理を5回以上繰り返すことを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記プローブを交換したことを入力させる入力手段を備え、
前記制御手段は、前記プローブを交換したことが入力された場合、新たなプローブに対する前記前処理が必要であると判断することを特徴とする請求項1記載の分析装置。
【請求項3】
前記プローブが交換されたか否かを検出するセンサ手段を備え、
前記制御手段は、前記センサ手段により前記プローブが交換されたことが検出された場合、新たなプローブに対する前記前処理が必要であると判断することを特徴とする請求項1記載の分析装置。
【請求項4】
前記前処理は、前記所定の液体の吸引と吐出との間に、該吸引した所定の液体を所定時間保持する期間を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項5】
前記所定の液体は、洗剤が溶解された希釈洗剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項6】
液体を所定の容器へ分注するためのプローブを備えた分析装置におけるプローブ使用前準備方法であって、
前記プローブに対して所定の液体の吸引および吐出を含む前処理が必要であるか否かを判断する判断ステップと、
前記前処理が必要であると判断した場合、前記プローブを用いた前記前処理を5回以上繰り返す前処理ステップと、
を含むことを特徴とするプローブ使用前準備方法。
【請求項7】
前記プローブを交換したことを入力させる入力ステップを含み、
前記判断ステップは、前記入力ステップにおいて前記プローブを交換したことが入力された場合、新たなプローブに対する前記前処理が必要であると判断することを特徴とする請求項6記載のプローブ使用前準備方法。
【請求項8】
前記プローブが交換されたか否かを検出する検出ステップを含み、
前記判断ステップは、前記検出ステップで前記プローブの交換が検出された場合、新たなプローブに対する前記前処理が必要であると判断することを特徴とする請求項6記載のプローブ使用前準備方法。
【請求項9】
前記前処理ステップは、前記所定の液体の吸引と吐出との間に、該吸引した所定の液体を所定時間保持する期間を含むことを特徴とする請求項6〜8のいずれか一つに記載のプローブ使用前準備方法。
【請求項10】
前記所定の液体は、洗剤が溶解された希釈洗剤であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一つに記載のプローブ使用前準備方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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