説明

分析装置および検体の搬送方法

【課題】装置の大型化を回避し、かつ、緊急検体を処理する場合にも、複数のラックを効率よく測定ユニットに分配することが可能な分析装置を提供する。
【解決手段】この血液分析装置1(分析装置)は、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3に検体を搬送可能に構成された検体搬送装置4と、他の検体に優先して優先検体を測定することを指示する検体セット部開閉ボタン26および36と、優先検体を第1測定ユニット2または第2測定ユニット3のいずれかで測定することの指示が検体セット部開閉ボタン26または36によりなされたとき、指示された方の測定ユニットへの検体の搬送を保留し、他の動作を実行するように検体搬送装置4を制御するCPU51aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置および検体の搬送方法に関し、特に、複数の測定ユニットを備えた分析装置、および、複数の測定ユニットを用いた検体の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の検体を自動的に搬送し、搬送された検体を分析する分析装置が知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。このような分析装置は、1つの測定ユニットに1つの搬送装置が接続されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−257450号公報
【特許文献2】特開2007−139462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1および2に記載したような分析装置では、1つの搬送装置に対して測定ユニットが1つしかないので、検体の処理能力を大きく向上させることが難しいという問題点があった。一方、このような分析装置に、測定ユニットを複数設ければ検体の処理能力は大きく向上するが、その場合の搬送装置の構成は全く知られていなかった。たとえば、検体の処理能力を向上させようとすれば、検体を効率よく複数の測定ユニットに搬送する必要があるため、搬送装置が大型化してしまう。一方、搬送装置を小型化しようとすれば、検体を効率よく搬送することができず、検体の処理能力が低下してしまう。特に、他の検体と比較して分析結果をより早く入手することが必要な優先検体を処理しようとすれば、他の検体を効率よく搬送することが非常に難しい。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、装置の大型化を回避し、かつ、緊急検体を処理する場合にも、複数のラックを効率よく測定ユニットに分配することが可能な分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における分析装置は、検体を測定する第1測定ユニットと、検体を測定する第2測定ユニットと、第1測定ユニットおよび第2測定ユニットに検体を搬送可能に構成された搬送装置と、他の検体に優先して所定の検体を測定することを指示する優先検体測定指示手段と、他の検体に優先して所定の検体を第2測定ユニットで測定することの指示が優先検体測定指示手段によりなされたとき、第2測定ユニットへの検体の搬送を保留し、他の動作を実行するように搬送装置を制御する搬送制御手段とを備える。
【0007】
この発明の第1の局面による分析装置では、上記のように、他の検体に優先して所定の検体を測定することを指示する優先検体測定指示手段を設けることによって、ユーザが優先検体測定指示手段により所定の検体の測定を指示する場合に、所定の検体の測定が他の検体に優先して行われるので、他の検体よりも優先して処理する必要のある所定の検体の処理を迅速に行うことができる。また、この分析装置では、他の検体に優先して所定の検体を第2測定ユニットで測定することの指示が優先検体測定指示手段によりなされたとき、第2測定ユニットへの検体の搬送を保留し、他の動作を実行するように搬送装置を制御する搬送制御手段を設けることによって、たとえば、他の検体よりも優先して処理する必要のある所定の検体を第2測定ユニットで測定することが指示された場合には、所定の検体の測定を第2測定ユニットで行いながら、所定の検体の測定と並行して他の検体の処理を行うことができる。これにより、他の検体の処理を保留する必要がないので、他の検体よりも優先して処理する必要のある所定の検体の数が多い場合にも、他の検体の処理が大幅に遅れるのを抑制することができる。さらに、他の検体の搬送が保留された第2測定ユニットに、ユーザが所定の検体を直接提供すれば、搬送装置が所定の検体を搬送する必要がなくなるので、所定の検体の搬送時間分だけ、他の検体よりも優先して処理する必要のある所定の検体の処理をより迅速に行うことができる。したがって、この分析装置では、装置の大型化を回避しながら、他の検体よりも優先して処理する必要のある所定の検体以外の他の検体の処理を大幅に遅らせることなく、所定の検体の処理を迅速に行うことができる。
【0008】
上記第1の局面による分析装置において、好ましくは、他の動作は、優先検体測定指示手段により指示がなされなければ第2測定ユニットに搬送される検体を第1測定ユニットに搬送する動作、優先検体測定指示手段により指示がなされなければ第2測定ユニットに搬送される検体を、検体を収容する検体容器の有無を確認するための検体有無確認位置に搬送する動作、および、優先検体測定指示手段により指示がなされなければ第2測定ユニットに搬送される検体を、検体を収容する検体容器に付された識別子を読み取るための読取位置に搬送する動作のうち少なくとも1つを含む。このように構成すれば、所定の検体の測定が指示された場合に、第1測定ユニットおよび第2測定ユニットのいずれの測定ユニットにおいても他の検体の測定を行うことができない場合でも、他の検体について、検体有無確認位置に検体を搬送する動作、および、読取位置に検体を搬送する動作のいずれかの動作を行うことができる。その結果、所定の検体以外の他の検体の処理が大幅に遅れるのをより抑制することができる。
【0009】
上記第1の局面による分析装置において、好ましくは、第1測定ユニットは、所定の検体を受け入れ可能に構成された第1検体セット部を含み、第2測定ユニットは、所定の検体を受け入れ可能に構成された第2検体セット部を含む。このように構成すれば、ユーザは、第1検体セット部または第2検体セット部に所定の検体をセットすることにより、第1測定ユニットまたは第2測定ユニットのいずれにおいても他の検体よりも優先して処理する必要のある所定の検体を処理することができる。
【0010】
上記第1の局面による分析装置において、好ましくは、搬送制御手段は、他の検体に優先して所定の検体を測定することが優先検体測定指示手段により指示されなければ、複数の検体を、第1測定ユニットおよび第2測定ユニットに交互に搬送するように搬送装置を制御するように構成されている。このように構成すれば、他の検体よりも優先して処理する必要のある所定の検体がない場合に、各測定ユニットに効率よく他の検体を搬送することができるので、検体の処理を迅速に行うことができる。
【0011】
上記第1の局面による分析装置において、好ましくは、優先検体測定指示手段は、第1測定ユニットおよび第2測定ユニットに設けられた、所定の検体の測定を指示するための測定指示ボタンを含む。このように構成すれば、ユーザは、測定指示ボタンを押下することにより、容易に、所定の検体の測定を指示することができる。
【0012】
上記第1の局面による分析装置において、好ましくは、表示部をさらに備え、優先検体測定指示手段は、表示部に、所定の検体の測定を指示するための測定指示画面を表示させる測定指示画面表示手段を含む。このように構成すれば、ユーザは、測定指示画面から、所定の検体の測定を指示することができる。
【0013】
この場合、好ましくは、他の検体に優先して所定の検体を測定することが測定指示画面から指示された場合に、第1測定ユニットおよび第2測定ユニットのうち、所定の検体の測定をより早く行うことが可能な測定ユニットを選択する測定ユニット選択手段をさらに備える。このように構成すれば、第1測定ユニットおよび第2測定ユニットのうち、測定ユニット選択手段が選択したより早く測定を行うことが可能な測定ユニットで所定の検体の測定を行うことができるので、所定の検体の処理をより迅速に行うことができる。
【0014】
上記第1の局面による分析装置において、第1測定ユニットと第2測定ユニットとは、同種類の測定ユニットであってもよい。
【0015】
上記第1の局面による分析装置において、好ましくは、第1測定ユニットおよび第2測定ユニットは、それぞれ所定の検体の測定を開始するための測定開始ボタンを含む。このように構成すれば、ユーザは、各測定ユニットに設けられた測定開始ボタンを押下することによって、容易に、所定の検体の測定を開始することができる。
【0016】
この発明の第2の局面における検体の搬送方法は、検体を第1測定ユニットに搬送する工程と、検体を第2測定ユニットに搬送する工程と、他の検体に優先して所定の検体を測定することを優先検体測定指示手段により受け付ける工程と、他の検体に優先して所定の検体を第2測定ユニットで測定することの指示が優先検体測定指示手段により受け付けられたとき、第2測定ユニットへの検体の搬送を保留し、他の動作を実行するように搬送を行う工程とを備える。
【0017】
この発明の第2の局面による検体の搬送方法では、上記のように、他の検体に優先して所定の検体を測定することを優先検体測定指示手段により受け付ける工程を設けることによって、ユーザが優先検体測定指示手段により所定の検体の測定を指示する場合に、所定の検体の測定が他の検体に優先して行われるので、他の検体よりも優先して処理する必要のある所定の検体の処理を迅速に行うことができる。また、この検体の搬送方法では、他の検体に優先して所定の検体を第2測定ユニットで測定することの指示が優先検体測定指示手段により受け付けられたとき、第2測定ユニットへの検体の搬送を保留し、他の動作を実行するように搬送を行う工程を設けることによって、たとえば、他の検体よりも優先して処理する必要のある所定の検体を第2測定ユニットで測定することが指示された場合には、所定の検体の測定を第2測定ユニットで行いながら、所定の検体の測定と並行して他の検体の処理を行うことができる。これにより、他の検体の処理を保留する必要がないので、他の検体よりも優先して処理する必要のある所定の検体の数が多い場合にも、他の検体の処理が大幅に遅れるのを抑制することができる。さらに、他の検体の搬送が保留された第2測定ユニットに、ユーザが所定の検体を直接提供すれば、搬送装置が所定の検体を搬送する必要がなくなるので、所定の検体の搬送時間分だけ、他の検体よりも優先して処理する必要のある所定の検体の処理をより迅速に行うことができる。したがって、この検体の搬送方法では、装置の大型化を回避しながら、他の検体よりも優先して処理する必要のある所定の検体以外の他の検体の処理を大幅に遅らせることなく、所定の検体の処理を迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による血液分析装置の全体構成を示した斜視図である。図2〜図10は、図1に示した第1実施形態による血液分析装置の各部の詳細を説明するための図である。まず、図1〜図10を参照して、本発明の第1実施形態による血液分析装置1の全体構成について説明する。なお、第1実施形態では、分析装置の一例である血液分析装置に本発明を適用した場合について説明する。
【0020】
本発明の第1実施形態による血液分析装置1は、図1および図2に示すように、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3の2つの測定ユニットと、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3の前面側に配置された検体搬送装置(サンプラ)4と、第1測定ユニット2、第2測定ユニット3および検体搬送装置4に電気的に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)からなる制御装置5とを備えている。また、血液分析装置1は、制御装置5によりホストコンピュータ6(図3参照)に接続されている。
【0021】
なお、血液分析装置1は、複数の分析装置を搬送装置によって接続した搬送システムではなく、スタンドアローンの分析装置である。また、この血液分析装置1を搬送システムに組み込んでもよい。
【0022】
また、図1〜図4に示すように、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3は、実質的に同種類の測定ユニット(本実施形態では、第2測定ユニット3は、第1測定ユニット2と同じ測定原理を使用して、同一の測定項目について検体を測定する。さらに第2測定ユニット3は、第1測定ユニット2が分析しない測定項目についても測定する)であり、互いに隣接して配置されている。ここで、同種類とは、2つの測定ユニットが完全に同一の測定項目について検体を測定する場合のみならず、第1測定ユニット2による複数の測定項目と第2測定ユニット3による複数の測定項目とが部分的に共通している場合も含む。また、図3に示すように、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3は、それぞれ、検体である血液をサンプル容器(試験管)100から吸引する検体吸引部21および31と、検体吸引部21および31により吸引した血液から検出用試料を調製する試料調製部22および32と、試料調製部22および32により調製された検出用試料から血液の血球を検出する検出部23および33とを含んでいる。また、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3は、それぞれ、検体搬送装置4が搬送するラック101(図5参照)に収容されたサンプル容器100を内部に取り込むための取り込み口24および34(図1および図2参照)と、ラック101からサンプル容器100を内部に取り込み、検体吸引部21および31による吸引位置(図3参照)までサンプル容器100を搬送するサンプル容器搬送部25および35とをさらに含んでいる。また、図1および図2に示すように、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3の外側表面には、それぞれ、検体セット部開閉ボタン26および36と、優先検体測定開始ボタン27および37とが設けられている。
【0023】
検体吸引部21および31の先端部には、それぞれ針(図示せず)が設けられている。また、検体吸引部21および31は、それぞれ、鉛直方向(矢印Z方向)に移動可能に構成されている。また、検体吸引部21および31は、下方に移動されることによって、吸引位置まで搬送されたサンプル容器100の密閉蓋を貫通し、内部の血液を吸引するように構成されている。
【0024】
検出部23および33は、RBC検出(赤血球の検出)およびPLT検出(血小板の検出)をシースフローDC検出法により行うとともに、HGB検出(血液中の血色素の検出)をSLS−ヘモグロビン法により行うように構成されている。また、検出部23および33は、WBC検出(白血球の検出)を半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うようにも構成されている。
【0025】
検出部23および33で得られた検出結果は、検体の測定データ(測定結果)として、制御装置5に送信される。なお、この測定データは、ユーザに提供される最終的な分析結果(赤血球数、血小板数、ヘモグロビン量、白血球数など)のもととなるデータである。
【0026】
サンプル容器搬送部25および35は、図3および図4に示すように、それぞれ、サンプル容器100を把持することが可能なハンド部251および351と、サンプル容器100を把持するようにハンド部251および351をそれぞれ開閉させる開閉部252および352と、ハンド部251および351をそれぞれ鉛直方向(矢印Z方向)に直線移動する鉛直移動部253および353と、ハンド部251および351をそれぞれ鉛直方向(矢印Z方向)に振り子状に移動する攪拌部254および354とを有している。また、サンプル容器搬送部25および35は、それぞれ、ハンド部251および351によりラック101から取得されたサンプル容器100を検体セット部255a(図3参照)および355aに保持し、検体吸引部21および31の吸引位置まで矢印Y方向に水平に直線移動するサンプル容器移動部255(図3参照)および355と、バーコード読取部256および356とをさらに有している。
【0027】
ハンド部251および351は、それぞれ、検体搬送装置4が搬送するラック101の搬送路の上方に配置されている。また、ハンド部251および351は、それぞれ、後述する第1提供位置43aおよび第2提供位置43b(図3参照)にサンプル容器100が搬送された場合に、下方(矢印Z方向)に移動した後、開閉部252および352により開閉されることによりラック101に収容されたサンプル容器100を把持するように構成されている。また、ハンド部251および351は、把持したサンプル容器100を上方に移動してラック101から取り出し、その後、攪拌部254および354によりそれぞれ振り子状に移動される(たとえば、10往復)ように構成されている。これにより、ハンド部251および351は、把持するサンプル容器100内の血液を攪拌することが可能である。また、攪拌終了後、ハンド部251および351は、下方に移動した後、開閉部252および352によりサンプル容器100の把持を開放するように構成されている。これにより、ハンド部251および351は、サンプル容器移動部255および355の検体セット部255aおよび355aにサンプル容器100をセットすることが可能である。
【0028】
開閉部252および352は、それぞれ、エアシリンダ252aおよび352aによる動力により、サンプル容器100を把持するようにハンド部251および351を開閉するように構成されている。
【0029】
鉛直移動部253および353は、それぞれ、ステッピングモータ253aおよび353aによる動力により、レール253bおよび353bに沿ってハンド部251および351を鉛直方向(矢印Z方向)に移動するように構成されている。
【0030】
攪拌部254および354は、それぞれ、図示しないステッピングモータによる動力により、ハンド部251および351を鉛直方向(矢印Z方向)に振り子状に移動するように構成されている。
【0031】
サンプル容器移動部255および355は、それぞれ、図示しないステッピングモータによる動力により、検体セット部255aおよび355aを矢印Y方向に水平移動するように構成されている。これにより、図3に示すように、サンプル容器移動部255および355は、検体セット部255aおよび355aにセットされたサンプル容器100を、優先検体セット位置、攪拌位置、バーコード読取位置および吸引位置に搬送することが可能である。また、サンプル容器移動部255および355は、矢印X方向に搬送されるラック101の搬送路に平面的に見て交差するように、ラック101の搬送路の上方を通過してサンプル容器100を搬送するように構成されている。また、検体セット部255aおよび355aは、ユーザが検体セット部開閉ボタン26および36(図1および図2参照)を押下した場合に、優先検体セット位置(図3参照)まで移動されるように構成されている。また、サンプル容器移動部255および355は、図示しない規制部によりそれぞれの吸引位置においてサンプル容器100をクランプ(固定)するように構成されている。
【0032】
バーコード読取部256および356は、図5に示すような、各サンプル容器100に貼付されたバーコード100aを読み取るように構成されている。また、バーコード読取部256および356は、図示しない回転装置によって対象のサンプル容器100を検体セット部255aおよび355aに保持したまま水平方向に回転させながらサンプル容器100のバーコード100aを読み取るように構成されている。これにより、サンプル容器100のバーコード100aがバーコード読取部256および356に対して反対側に貼付されている場合にも、サンプル容器100を回転させることによって、バーコード100aをバーコード読取部256および356側に向けることが可能である。また、各サンプル容器100のバーコード100aは、各検体に固有に付されたものであり、各検体の分析結果の管理などに使用される。
【0033】
検体セット部開閉ボタン26および36は、優先検体の測定を行う際に、ユーザにより押下可能なように構成されている。
【0034】
優先検体測定開始ボタン27および37は、ユーザにより押下可能なように構成されている。ユーザが、優先検体を検体セット部255aおよび355aにセットした後、優先検体測定開始ボタン27および37を押下すると、優先検体がセットされた検体セット部255aおよび355aが、測定ユニットの内部に取り込まれ、測定が開始される。
【0035】
また、図4および図6に示すように、検体搬送装置4は、分析が行われる前の検体を収容するサンプル容器100が収容された複数のラック101を保持することが可能な分析前ラック保持部41と、分析が行われた後の検体を収容するサンプル容器100が収容された複数のラック101を保持することが可能な分析後ラック保持部42と、ラック101を矢印X方向に水平に直線移動するラック搬送部43と、バーコード読取部44と、サンプル容器100の有無を検知する有無検知センサ45(図4参照)と、分析後ラック保持部42内にラック101を移動するラック送出部46とを含んでいる。
【0036】
分析前ラック保持部41は、ラック送込部411を有し、ラック送込部411が矢印Y方向に移動することによって、分析前ラック保持部41に保持されたラック101を1つずつラック搬送部43上に押し出すように構成されている。ラック送込部411は、分析前ラック保持部41の下方に設けられた図示しないステッピングモータによって駆動するように構成されている。また、分析前ラック保持部41は、ラック搬送部43近傍に規制部412(図4参照)を有し、一度ラック搬送部43上に押し出されたラック101が分析前ラック保持部41内に戻されないようにラック101の移動を規制するように構成されている。
【0037】
分析後ラック保持部42は、ラック搬送部43の近傍に規制部421(図4参照)を有し、一度分析後ラック保持部42内に移動されたラック101がラック搬送部43側に戻されないようにラック101の移動を規制するように構成されている。
【0038】
ラック搬送部43は、図3に示すように、第1測定ユニット2に検体を提供するための第1提供位置43a、および、第2測定ユニット3に検体を提供するための第2提供位置43bに検体が搬送されるようにラック101を搬送可能に構成されている。さらに、ラック搬送部43は、有無検知センサ45が検体を収容するサンプル容器100の有無を確認するための検体有無確認位置43c、および、バーコード読取部44が検体を収容するサンプル容器100のバーコード100aを読み取るための読取位置43dまで検体が搬送されるようにラック101を搬送可能に構成されている。
【0039】
また、ラック搬送部43は、それぞれ独立して動くことが可能な第1ベルト431および第2ベルト432の2つのベルトを有している。また、第1ベルト431および第2ベルト432の矢印Y方向の幅b1およびb2(図6参照)は、それぞれラック101の矢印Y方向の幅Bの半分以下の大きさである。これにより、ラック搬送部43がラック101を搬送する際に、第1ベルト431および第2ベルト432は、ともにラック101の幅Bからはみ出ないように並列に配置されている。また、図7および図8に示すように、第1ベルト431および第2ベルト432は、環状に形成されており、それぞれローラ431a〜431cおよびローラ432a〜432cを取り囲むように配置されている。また、第1ベルト431および第2ベルト432の外周部には、ラック101の矢印X方向の幅Wよりも若干(たとえば、約1mm)大きい内幅w1(図7参照)およびw2(図8参照)を有するように突起片431dおよび432dがそれぞれ2つずつ形成されている。第1ベルト431は、突起片431dの内側にラック101を保持した状態において、ステッピングモータ431e(図4参照)によりローラ431a〜431cの外周を移動されることによって、ラック101を矢印X方向に移動するように構成されている。また、第2ベルト432は、突起片432dの内側にラック101を保持した状態において、ステッピングモータ432e(図4参照)によりローラ432a〜432cの外周を移動されることによって、ラック101を矢印X方向に移動するように構成されている。また、第1ベルト431および第2ベルト432は、それぞれ、互いに独立してラック101を移動することが可能なように構成されている。
【0040】
バーコード読取部44は、図5に示したサンプル容器100のバーコード100aを読み取るとともに、ラック101に貼付されたバーコード101aを読み取るように構成されている。また、バーコード読取部44は、図示しない回転装置によって対象のサンプル容器100をラック101に収容したまま水平方向に回転させながらサンプル容器100のバーコード100aを読み取るように構成されている。これにより、サンプル容器100のバーコード100aがバーコード読取部44に対して反対側に貼付されている場合にも、サンプル容器100を回転させることによって、バーコード100aをバーコード読取部44側に向けることが可能である。また、ラック101のバーコード101aは、各ラックに固有に付されたものであり、検体の分析結果の管理などに使用される。
【0041】
有無検知センサ45は、接触型のセンサであり、のれん形状の接触片451(図4参照)、光を出射する発光素子(図示せず)および受光素子(図示せず)を有している。有無検知センサ45は、接触片451が検知対象の被検知物に当接されることにより屈曲され、その結果、発光素子から出射された光が接触片451により反射されて受光素子に入射されるように構成されている。これにより、有無検知センサ45の下方をラック101に収容された検知対象のサンプル容器100が通過する際に、接触片451がサンプル容器100により屈曲されて、サンプル容器100が有ることを検知することが可能である。
【0042】
ラック送出部46は、ラック搬送部43を挟んで分析後ラック保持部42に対向するように配置されており、矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部42とラック送出部46との間(以下、ラック送出位置という)にラック101が搬送された場合に、ラック送出部46を分析後ラック保持部42側に移動することによって、ラック101を押圧して分析後ラック保持部42内に移動することが可能である。
【0043】
制御装置5は、図1、図2および図9に示すように、パーソナルコンピュータ(PC)などからなり、CPU、ROM、RAMなどからなる制御部51と、表示部52と、入力デバイス53とを含んでいる。また、表示部52は、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3から送信されたデジタル信号のデータを分析して得られた分析結果などを表示するために設けられている。また、表示部52は、他の検体に優先して測定を行う必要がある優先検体の測定において、ユーザが検体を識別するための検体識別番号の入力や、測定項目の設定などを行うための優先検体測定指示画面520(図10参照)を表示するように構成されている。
【0044】
次に、制御装置5の構成について説明する。制御装置5は、図9に示すように、制御部51と、表示部52と、入力デバイス53とから主として構成されたコンピュータ500によって構成されている。制御部51は、CPU51aと、ROM51bと、RAM51cと、ハードディスク51dと、読出装置51eと、入出力インタフェース51fと、通信インタフェース51gと、画像出力インタフェース51hとから主として構成されている。CPU51a、ROM51b、RAM51c、ハードディスク51d、読出装置51e、入出力インタフェース51f、通信インタフェース51g、および画像出力インタフェース51hは、バス51iによって接続されている。
【0045】
CPU51aは、ROM51bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM51cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなアプリケーションプログラム54a〜54cをCPU51aが実行することにより、コンピュータ500が制御装置5として機能する。
【0046】
ROM51bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されており、CPU51aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータなどが記録されている。
【0047】
RAM51cは、SRAMまたはDRAMなどによって構成されている。RAM51cは、ROM51bおよびハードディスク51dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU51aの作業領域として利用される。
【0048】
ハードディスク51dは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU51aに実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。第1測定ユニット2用の測定処理プログラム54a、第2測定ユニット3用の測定処理プログラム54bおよび検体搬送装置4用の測定処理プログラム54cも、このハードディスク51dにインストールされている。これらのアプリケーションプログラム54a〜54cがCPU51aに実行されることによって、第1測定ユニット2、第2測定ユニット3および検体搬送装置4の各部の動作が制御される。また、測定結果データベース54dもインストールされている。
【0049】
読出装置51eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブなどによって構成されており、可搬型記録媒体54に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体54には、アプリケーションプログラム54a〜54cが格納されており、コンピュータ500がその可搬型記録媒体54からアプリケーションプログラム54a〜54cを読み出し、そのアプリケーションプログラム54a〜54cをハードディスク51dにインストールすることが可能である。
【0050】
なお、上記アプリケーションプログラム54a〜54cは、可搬型記録媒体54によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ500と通信可能に接続された外部の機器から上記電気通信回線を通じて提供することも可能である。たとえば、上記アプリケーションプログラム54a〜54cがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ500がアクセスして、そのアプリケーションプログラム54a〜54cをダウンロードし、これをハードディスク51dにインストールすることも可能である。
【0051】
また、ハードディスク51dには、たとえば、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、アプリケーションプログラム54a〜54cは上記オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0052】
入出力インタフェース51fは、たとえば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインタフェース、およびD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェースなどから構成されている。入出力インタフェース51fには、入力デバイス53が接続されており、ユーザがその入力デバイス53を使用することにより、コンピュータ500にデータを入力することが可能である。
【0053】
通信インタフェース51gは、たとえば、Ethernet(登録商標)インタフェースである。コンピュータ500は、その通信インタフェース51gにより、所定の通信プロトコルを使用して第1測定ユニット2、第2測定ユニット3、検体搬送装置4およびホストコンピュータ6との間でデータの送受信が可能である。
【0054】
画像出力インタフェース51hは、LCDまたはCRTなどで構成された表示部52に接続されており、CPU51aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部52に出力するようになっている。表示部52は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0055】
制御部51は、上記した構成により、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3から送信された測定結果を用いて分析対象の成分を解析するとともに、分析結果(赤血球数、血小板数、ヘモグロビン量、白血球数など)を取得するように構成されている。
【0056】
ラック101には、図5に示すように、10本のサンプル容器100を一列に収容可能なように10個の容器収容部101bが形成されている。また、各容器収容部101bには、それぞれ収容したサンプル容器100のバーコード100aが視認可能なように開口部101cが設けられている。
【0057】
図11は、図1に示した第1実施形態による血液分析装置の測定処理プログラムによる測定処理動作を説明するためのフロー図である。次に、図11を参照して、第1実施形態による血液分析装置1の測定処理プログラム54aおよび54bによる測定処理動作を説明する。なお、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3では、それぞれ同様に分析対象の成分が測定されるので、以下では代表的な例として、第1測定ユニット2により分析対象の成分を測定する場合について説明する。
【0058】
まず、ステップS1において、吸引位置(図3参照)まで搬送されたサンプル容器100から検体吸引部21により検体の吸引が行われる。そして、ステップS2において、吸引した検体から試料調製部22により検出用試料が調製され、ステップS3で、検出用試料から分析対象の成分が検出部23により検出される。そして、ステップS4で、測定データが、第1測定ユニット2から制御装置5に送信される。その後、ステップS5において、第1測定ユニット2から送信される測定結果に基づいて、制御部51により分析対象の成分が解析される。このステップS5により、検体の分析が完了され、動作が終了される。
【0059】
図12は、図1に示した第1実施形態による血液分析装置の第1測定ユニットおよび第2測定ユニットの状態遷移を説明するための状態遷移図である。次に、図12を参照して、第1実施形態による血液分析装置1の第1測定ユニット2および第2測定ユニット3の状態遷移について説明する。なお、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3では、それぞれ同様に状態遷移するので、以下では代表的な例として、第1測定ユニット2による状態遷移について説明する。
【0060】
ここで、第1実施形態では、第1測定ユニット2の状態は、電源がオン状態にされることによって、非起動状態(開始)からサンプラモードスタンバイ状態2aに遷移される。また、第1測定ユニット2は、サンプラモードスタンバイ状態2aにおいて、ユーザによりサンプラ測定開始指示がなされると、サンプラモード測定中状態2bに遷移される。このサンプラモード測定中状態2bにおいて、第1測定ユニット2により、図11に示す測定処理動作が行われる。サンプラモード測定中状態2bにおいて、検体の測定が終了すると、第1測定ユニット2は、サンプラモードスタンバイ状態2aに戻される。また、サンプラモードスタンバイ状態2aにおいて、電源がオフ状態にされると、第1測定ユニット2は、非起動状態(終了)に遷移される。
【0061】
また、第1実施形態では、サンプラモードスタンバイ状態2aおよびサンプラモード測定中状態2bにおいて、ユーザにより、検体セット部開閉ボタン26が押下されると、第1測定ユニット2は、優先検体測定モードスタンバイ状態2cに遷移される。第1測定ユニット2が優先検体測定モードスタンバイ状態2cに遷移されると、第1測定ユニット2への検体の搬送は保留される。すなわち、この場合には、検体搬送装置4は、第1提供位置43aには検体を搬送せずに、第2提供位置43bにのみ検体を搬送する。なお、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3の両方が優先検体測定モードスタンバイ状態2cに遷移された場合には、第1提供位置43aおよび第2提供位置43bの両方への検体の搬送が保留される。
【0062】
そして、優先検体測定モードスタンバイ状態2cにおいて、優先検体測定開始ボタン27が押下されると、第1測定ユニット2は、優先検体測定モード測定中状態2dに遷移される。そして、優先検体の測定が終了すると、第1測定ユニット2は、優先検体測定モードスタンバイ状態2cに戻される。また、全ての優先検体の測定が終了した場合には、ユーザが検体セット部開閉ボタン26を押下することによって、第1測定ユニット2は、サンプラモードスタンバイ状態2aに遷移される。
【0063】
また、サンプラモードスタンバイ状態2a、サンプラモード測定中状態2b、優先検体測定モードスタンバイ状態2cおよび優先検体測定モード測定中状態2dそれぞれの状態において、エラーが発生した場合には、第1測定ユニット2は、中止・中断発生状態2eに遷移される。そして、エラーが解消した場合には、第1測定ユニット2は、各状態のモードのスタンバイ状態に戻される。具体的には、サンプラモードスタンバイ状態2aおよびサンプラモード測定中状態2bにおいて発生したエラーが解消した場合には、第1測定ユニット2は、サンプラモードスタンバイ状態2aに戻される。一方、優先検体測定モードスタンバイ状態2cおよび優先検体測定モード測定中状態2dにおいて発生したエラーが解消した場合には、第1測定ユニット2は、優先検体測定モードスタンバイ状態2cに戻される。
【0064】
また、第1測定ユニット2が状態遷移する際には、第1測定ユニット2がどの状態に遷移するかを知らせる状態通知が第1測定ユニット2から制御装置5に送信される。具体的には、第1測定ユニット2が、サンプラモード測定中状態2b、優先検体測定モードスタンバイ状態2cおよび中止・中断発生状態2eからサンプラモードスタンバイ状態2aに遷移する場合には、第1測定ユニット2がサンプラモードスタンバイ状態2aに遷移することを知らせる状態通知が第1測定ユニット2から制御装置5に送信される。サンプラモードスタンバイ状態2a以外の他の状態に遷移した場合にも、第1測定ユニット2が各状態であることを知らせる状態通知が第1測定ユニット2から制御装置5に送信される。さらに、中止・中断発生状態2eから各状態に戻される場合には、第1測定ユニット2がどの状態に遷移するかを知らせる状態通知が第1測定ユニット2から制御装置5に送信されるとともに、エラーが解消したことを知らせる通知も合わせて通知される。
【0065】
図13は、図1に示した第1実施形態による血液分析装置の検体搬送装置の状態遷移を説明するための状態遷移図である。図14は、図1に示した第1実施形態による血液分析装置の検体搬送装置の次の動作を決定する処理を説明するためのフロー図である。また、図15および図16は、図1に示した第1実施形態による血液分析装置の詳細な構成を説明するための図である。まず、図13を参照して、第1実施形態による血液分析装置1の検体搬送装置4の状態遷移について説明する。
【0066】
第1実施形態では、ユーザによりサンプラ測定開始指示がなされると、検体搬送装置4の状態が、次の動作の決定処理中状態4aとなる。この状態は、検体搬送装置4が、コマンドキューに登録された動作を実行するために待機している状態である。ここで、第1実施形態において、コマンドキューとは、検体搬送装置4への動作指示が登録されたデータ構造であり、検体搬送装置4は、コマンドキューに登録された動作を実行するように制御装置5のCPU51aにより制御される。なお、このコマンドキューは、制御装置5のRAM51cまたはハードディスク51dに記憶される。
【0067】
ここで、図14〜図16を参照して、第1実施形態による血液分析装置1の検体搬送装置4が、次の動作の決定処理中状態4aにある場合に、検体搬送装置4が実行する次の動作が決定される処理について説明する。
【0068】
まず、図14に示すステップS11において、CPU51aにより、イベントの通知が待たれる。ここで、第1実施形態では、イベントの通知とは、図15に示す11種類のイベントの通知のことであり、所定の動作が完了したことを知らせる通知や、測定ユニット側の状態を知らせる状態通知などが含まれる。具体的には、ラック101が、検体搬送装置4の分析前ラック保持部41からラック搬送部43上に送り込まれた場合には、ラック送り込み完了通知が検体搬送装置4から制御装置5に送信される。また、ラック搬送部43上のラック101が、ラック送出部46により分析後ラック保持部42に送り出された場合には、ラック送り出し完了通知が検体搬送装置4から制御装置5に送信される。また、検体搬送装置4の有無検知センサ45によりサンプル容器100の有無が検知された場合には、試験管有無確認完了通知がなされる。また、バーコード読取部44によりサンプル容器100のバーコード100aが読み取られ、測定オーダーが割り当てられた場合には、検体ID・測定オーダー割当完了通知がなされる。また、第1測定ユニット側試験管取り込み完了通知、第2測定ユニット側試験管取り込み完了通知、第1測定ユニット側試験管取り出し完了通知および第2測定ユニット側試験管取り出し完了通知は、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3において各動作が完了した際に、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3から制御装置5に送信される。さらに、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3からは、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3の状態通知に加えて、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3からサンプル容器100を取り出すことが可能であることを知らせる試験管取り出し要求通知、および、次の新たな検体の吸引を行うことが可能な状態であることを知らせる次検体吸引可通知も制御装置5に送信される。
【0069】
そして、ステップS12において、CPU51aにより、上記した11種類のイベント通知のうちのいずれかのイベント通知を着信したか否かが判断され、着信するまでイベント通知待ち状態が継続される。いずれかのイベント通知を着信した場合には、ステップS13において、CPU51aにより、コマンドキューに登録されている動作のうち、実行が行われないように保留状態に設定されている動作について、実行の保留が解除される。
【0070】
ここで、実行の保留について説明する。第1実施形態では、コマンドキューに登録される各動作には、図16に示すように、優先順位が設けられており、原則、動作実行時においてコマンドキューに登録されている動作のうち優先度の高い動作から実行するようにCPU51aにより検体搬送装置4が制御される。しかし、たとえば、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3の内部に測定中の他の検体が存在し、次の新たな検体を取り込むことができないような場合など、「第1測定ユニットに試験管取り込み」および「第2測定ユニットに試験管取り込み」の2つの動作については、直ちに実行することができない場合がある。このような場合には、後述するように、「第1測定ユニットに試験管取り込み」および「第2測定ユニットに試験管取り込み」の動作をスキップして次に優先度の高い動作が先に実行されるように、「第1測定ユニットに試験管取り込み」および「第2測定ユニットに試験管取り込み」の動作の実行が、CPU51aにより保留状態に設定される。これにより、第1実施形態による血液分析装置1では、「第1測定ユニットに試験管取り込み」および「第2測定ユニットに試験管取り込み」の動作を実行することができない場合にも、「第1測定ユニットに試験管取り込み」および「第2測定ユニットに試験管取り込み」以外の他の動作が先に実行されるので、検体の処理をより迅速に行うことが可能である。
【0071】
ステップS14において、CPU51aにより、現状でコマンドキューに登録されている動作のうち、最も優先度の高い動作が検索される。そして、ステップS15において、その検索された最も優先度の高い動作が、「第1測定ユニットに試験管取り込み」または「第2測定ユニットに試験管取り込み」のいずれかの動作であるか否かが判断され、「第1測定ユニットに試験管取り込み」または「第2測定ユニットに試験管取り込み」のいずれの動作でもない場合には、ステップS16において、検索された最も優先度の高い動作が実行される。この際、ラック送り出し動作が実行される場合には、CPU51aにより、ラック搬送部43上のラック101を分析後ラック保持部42に送り出すようにラック送出部46が制御され、ラック送り込み動作が実行される場合には、CPU51aにより、分析前ラック保持部41のラック101をラック搬送部43上に送り込むようにラック送込部411が制御される。また、第1測定ユニットから試験管取り出し動作または第2測定ユニットから試験管取り出し動作が実行される場合には、CPU51aにより、第1提供位置43aまたは第2提供位置43bのいずれか対応する方に、取り出されるサンプル容器100の容器収容部101bがくるようにラック101を搬送するようにラック搬送部43が制御される。また、試験管有無確認動作が実行される場合には、CPU51aにより、ラック101に収容された未確認のサンプル容器100が検体有無確認位置43cまでくるようにラック101を搬送するようにラック搬送部43が制御される。また、検体ID・測定オーダー割当動作が実行される場合には、ラック101に収容され、まだ測定オーダーが割り当てられていないサンプル容器100が読取位置43dまでくるように、ラック101を搬送するようにラック搬送部43が制御される。その後、動作が終了される。
【0072】
一方、「第1測定ユニットに試験管取り込み」または「第2測定ユニットに試験管取り込み」のいずれかの動作である場合には、ステップS17において、測定オーダーと第1測定ユニット2および第2測定ユニット3の状態に基づいて、CPU51aにより、「第1測定ユニットに試験管取り込み」または「第2測定ユニットに試験管取り込み」のうちの対応する動作を行うことが可能か否かが判断される。具体的には、CPU51aは、各測定ユニットから送信される状態通知、試験管取り出し要求通知および次検体吸引可通知に基づいて、第1測定ユニット2または第2測定ユニット3のうちの対応する方の測定ユニットが試験管を取り込むことが可能な状態であるか否かを判断する。たとえば、第1測定ユニット2から次検体吸引可通知が送信されていない場合には、CPU51aは、第1測定ユニット2が試験管を取り込むことが可能な状態ではないと判断する。取り込みが可能な場合には、ステップS18において、「第1測定ユニットに試験管取り込み」または「第2測定ユニットに試験管取り込み」のうちの対応する動作が実行される。この際、CPU51aにより、第1提供位置43aまたは第2提供位置43bのいずれか対応する方に、取り出されるサンプル容器100の容器収容部101bがくるようにラック101を搬送するようにラック搬送部43が制御される。その後、処理が終了される。また、可能でない場合には、ステップS19において、CPU51aにより、「第1測定ユニットに試験管取り込み」または「第2測定ユニットに試験管取り込み」のうちの対応する動作の実行が保留状態に設定される。
【0073】
このように、検体搬送装置4が次に実行する動作は、検体搬送装置4が次の動作を実行する直前の、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3それぞれの最新の状態に基づいて、CPU51aにより決定される。これにより、検体搬送装置4が第1測定ユニット2および第2測定ユニット3それぞれの最新の状態に基づいた効率のよい搬送を行うことが可能であるので、検体の処理を迅速に行うことが可能である。
【0074】
検体搬送装置4は、図13に示す次の動作の決定処理中状態4aにおいて、上記した図14の処理により次の動作が実行されると、各動作に対応する状態4b〜4iに遷移される。具体的には、検体搬送装置4は、次の動作の決定処理中状態4aに加えて、ラック送り込み中状態4b、試験管有無確認中状態4c、検体ID・測定オーダー割り当て中状態4d、第1測定ユニットへ試験管を取り込み中状態4e、第2測定ユニットへ試験管を取り込み中状態4f、第1測定ユニットから試験管を取り出し中状態4g、第2測定ユニットから試験管を取り出し中状態4hおよびラック送り出し中状態4iの9種類の状態への遷移が可能である。
【0075】
また、図13では、「次;」として、次の動作状態において実行される動作を示している。さらに、図13では、「I;」として、各動作状態から次の動作の決定処理中状態4aに遷移する際に、制御装置5に通知されるイベントを示すとともに、「C;」として、コマンドキューに登録される動作を示している。たとえば、検体搬送装置4がラック送り込み中状態4bである場合には、「次;」として示したラック送り込み動作が実行される。また、検体搬送装置4が、ラック送り込み中状態4bから次の動作の決定処理中状態4aに遷移する際には、「I;」として示したラック送り込み完了を知らせるイベント通知が制御装置5に送信されるとともに、「C;」として示した試験管有無確認の動作が、CPU51aによりコマンドキューに登録される。図15に示した他のイベントについても、ラック送り込み完了通知と同様に、通知が行われる。また、図16に示した他の動作についても、試験管有無確認の動作と同様に、コマンドキューへの登録がなされる。なお、「第1測定ユニットから試験管取り出し」および「第2測定ユニットから試験管取り出し」の2つの動作については、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3から送信される試験管取り出し要求に基づいて、コマンドキューに登録される。
【0076】
また、検体搬送装置4が第1測定ユニットへ試験管を取り込み中状態4eにある場合において、第1測定ユニット2に取り込むサンプル容器100を所定の位置まで搬送した際に、所定の位置まで搬送が完了したことを知らせる取り込み要求通知が第1測定ユニット2に送信される。この通知に基づいて、CPU51aは、ハンド部251によりサンプル容器100を把持するように第1測定ユニット2を制御することが可能である。なお、第2測定ユニット3に対しても、第1測定ユニット2と同様に、取り込み要求通知がなされる。
【0077】
図17は、図1に示した第1実施形態による血液分析装置の優先検体測定時の動作を説明するためのフロー図である。次に、図1、図2、図10および図17を参照して、第1実施形態による血液分析装置1の優先検体測定時の動作について説明する。なお、第1実施形態では、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3は、それぞれ互いに独立して優先検体の測定を行うことが可能であり、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3における優先検体測定時の動作は同様である。したがって、ここでは、代表的な例として第1測定ユニット2における優先検体測定時の動作について説明する。
【0078】
まず、図17に示すステップS101において、CPU51aにより、検体セット部開閉ボタン26(図1および図2参照)が押下されたか否かが判断され、押下されるまでこの判断が繰り返される。押下された場合には、ステップS102において、検体セット部255a(図2参照)が、取り込み口24から外側に突出するように出される。そして、ステップS103において、表示部52に優先検体測定指示画面520(図10参照)が表示される。ステップS104において、ユーザが検体識別番号の入力や、測定項目の設定などを行った後、優先検体測定指示画面520上に表示されたOKボタン520aが押下されたか否かがCPU51aにより判断される。この判断はOKボタン520aが押下されるまで継続され、押下された場合には、ステップS105において、ユーザが優先検体を収容したサンプル容器100を検体セット部255aにセットした後、優先検体測定開始ボタン27(図1および図2参照)が押下されたか否かがCPU51aにより判断される。押下されていない場合には、この判断が繰り返され、押下された場合には、ステップS106において、検体セット部255aが、取り込み口24から第1測定ユニット2の内側に戻される。これにより、優先検体が第1測定ユニット2の内側に取り込まれる。
【0079】
そして、ステップS107において、優先検体の測定が行われ、ステップS108において、測定が終了したか否かが判断される。この判断は、測定が終了するまで繰り返され、測定が終了した場合には、ステップS109において、検体セット部255aが取り込み口24から外側に出される。これにより、測定が終了された優先検体のサンプル容器100が、第1測定ユニット2の外側に取り出し可能に排出される。その後、ステップS110において、優先検体測定開始ボタン27が押下されたか否かが判断される。
【0080】
ここで、第1実施形態では、ユーザは、測定が終了された優先検体のサンプル容器100を検体セット部255aから取り除いた後、次の新たな優先検体を収容したサンプル容器100を検体セット部255aにセットし、優先検体測定開始ボタン27を押下することによって、連続して優先検体の測定を行うことが可能である。ユーザが次の新たな優先検体を収容したサンプル容器100を検体セット部255aにセットし、優先検体測定開始ボタン27を押下した場合には、動作はステップS106に移行され、連続して次の優先検体の測定が行われる。この場合、ユーザは検体識別番号の入力や、測定項目の設定などを行わなくても、CPU51aにより自動的に、連続した識別番号が割り当てられるとともに、一度設定された測定項目と同じ項目で測定が行われる。
【0081】
一方、優先検体測定開始ボタン27が押下されない場合には、ステップS111において、CPU51aにより、検体セット部開閉ボタン26が押下されたか否かが判断される。ユーザは、検体セット部開閉ボタン26を押下することによって、優先検体の測定を終了させることが可能である。検体セット部開閉ボタン26が押下されない場合には、優先検体測定開始ボタン27または検体セット部開閉ボタン26のいずれかが押下されるまで、これらの判断が繰り返される。そして、検体セット部開閉ボタン26が押下されると、ステップS112において、検体セット部255aが、取り込み口24から第1測定ユニット2の内側に戻され、優先検体の測定動作が終了される。
【0082】
第1実施形態では、上記のように、他の検体に優先して優先検体を測定することを指示する検体セット部開閉ボタン26および36を設けることによって、ユーザが検体セット部開閉ボタン26または36により優先検体の測定を指示する場合に、優先検体の測定が他の検体に優先して行われるので、他の検体よりも優先して処理する必要のある優先検体の処理を迅速に行うことができる。また、第1実施形態による血液分析装置1では、優先検体を第1測定ユニット2または第2測定ユニット3のいずれかで測定することの指示が検体セット部開閉ボタン26または36によりなされたとき、それぞれ第1提供位置43aまたは第2提供位置43bへの検体の搬送を保留し、他の動作を実行するように検体搬送装置4を制御するCPU51aを設けることによって、たとえば、他の検体よりも優先して処理する必要のある優先検体を第2測定ユニット3で測定することが指示された場合にも、優先検体の測定を第2測定ユニット3で行いながら、優先検体の測定と並行して他の検体の処理を行うことができる。これにより、他の検体の処理を保留する必要がないので、他の検体よりも優先して処理する必要のある優先検体の数が多い場合にも、他の検体の処理が大幅に遅れるのを抑制することができる。さらに、他の検体の搬送が保留された第2測定ユニット3に、ユーザが優先検体を直接提供すれば、検体搬送装置4が優先検体を搬送する必要がなくなるので、優先検体の搬送時間分だけ、他の検体よりも優先して処理する必要のある優先検体の処理をより迅速に行うことができる。したがって、第1実施形態による血液分析装置1では、装置の大型化を回避しながら、他の検体よりも優先して処理する必要のある優先検体以外の他の検体の処理を大幅に遅らせることなく、優先検体の処理を迅速に行うことができる。
【0083】
また、第1実施形態では、優先検体の測定を指示するための検体セット部開閉ボタン26および36を、それぞれ第1測定ユニット2および第2測定ユニット3に設けることによって、ユーザは、検体セット部開閉ボタン26または36を押下することにより、容易に、優先検体の測定を指示することができる。
【0084】
また、第1実施形態では、ユーザは、測定が終了された優先検体のサンプル容器100を検体セット部255aから取り除いた後、次の新たな優先検体を収容したサンプル容器100を検体セット部255aにセットし、優先検体測定開始ボタン27を押下することによって、連続して優先検体の測定を行うことが可能であるので、優先検体の測定を行う際に、ユーザの負担を軽減することができる。
【0085】
また、第1実施形態では、検体搬送装置4が次に実行する動作を、検体搬送装置4が次の動作を実行する直前の、第1測定ユニット2、第2測定ユニット3および検体搬送装置4それぞれの最新の状態に基づいて、CPU51aにより決定する例を示したが、本発明はこれに限らず、ユーザにより優先検体を測定することが指示されなければ、複数の検体を、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3に交互に搬送するように検体搬送装置4をCPU51aにより制御してもよい。これにより、他の検体よりも優先して処理する必要のある優先検体がない場合に、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3それぞれに効率よく他の検体を搬送することができるので、検体の処理を迅速に行うことができる。
【0086】
図18は、図1に示した第1実施形態による血液分析装置の変形例における検体搬送装置の動作を説明するためのフロー図である。次に、図3および図18を参照して、第1実施形態による血液分析装置1の変形例における検体搬送装置4の動作について説明する。この変形例では、制御装置5にインストールされているサンプラ動作処理プログラム54cが、上記の第1実施形態による血液分析装置とは異なる。この変形例のサンプラ動作処理プログラム54cは、検体搬送装置4をシーケンシャルに制御する。
【0087】
まず、ユーザによりサンプラ測定開始指示がなされると、ステップS21において、分析前ラック保持部41(図3参照)からラック搬送部43(図3参照)にラック101が送り込まれる。ステップS22において、ユーザから優先検体測定の指示がなされたか否かが判断される。具体的には、制御装置5のCPU51aにより、ユーザが検体セット部開閉ボタン26または36を押下したか否かが判断される。指示がない場合には、ステップS23において、ラック搬送部43により、N本目のサンプル容器100の検体が第1測定ユニット2に搬送され、ステップS24において、再度、CPU51aにより、ユーザから優先検体測定の指示がなされたか否かが判断される。ここで、Nは、1から始まる実数である。したがって、初めてステップS23の動作を行う際には、N=1であり、1本目のサンプル容器100の検体が第1測定ユニット2に搬送される。
【0088】
優先検体測定の指示があった場合には、動作は、後述するステップS46に移行される。指示がない場合には、ステップS25において、ラック搬送部43により、(N+1)本目のサンプル容器100の検体が第2測定ユニット3に搬送される。そして、ステップS26において、ユーザから優先検体測定の指示がなされたか否かが判断され、指示がない場合には、ステップS27において、N=9であるか否かが判断される。N=9でない場合には、ステップS28において、Nが(N+2)になるように変更される。すなわち、ステップS28に移行される直前にN=1であった場合には、ステップS28において、NはN=3になるように変更される。この処理は、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3の2つの測定ユニットに交互に検体を搬送するように、CPU51aが検体搬送装置4を制御するために行われる。そして、動作は、ステップS23に移行される。ステップS27において、N=9の場合には、ステップS36において、ラック101がラック搬送部43上から分析後ラック保持部42に送り出され、動作は終了される。また、ステップS26において、優先検体測定の指示があった場合には、動作は、ステップS45に移行され、Nが(N+2)に変更される。
【0089】
ステップS22において、優先検体測定の指示があった場合には、ステップS29において、優先検体測定の指示が第1測定ユニット2側で行われたか否かが判断される。第1測定ユニット2側でない場合には、動作は、後述するステップS52に移行される。第1測定ユニット2側である場合には、ステップS30において、N本目のサンプル容器100の検体が第2測定ユニット3に搬送される。そして、ステップS31において、優先検体測定終了の指示があったか否かが判断され、指示がない場合には、ステップS32において、(N+1)本目のサンプル容器100の検体も第2測定ユニット3に搬送される。その後、ステップS33において、優先検体測定終了の指示があったか否かが判断され、指示がない場合には、ステップS34において、N=9であるか否かが判断される。N=9である場合には、CPU51aにより、検体搬送装置4がラック101に収容された10本目のサンプル容器100を第2測定ユニット3に搬送したと判断され、動作はステップS36に移行される。N=9でない場合には、CPU51aにより、検体搬送装置4がラック101に収容された10本のサンプル容器100の全てを測定ユニットに搬送し終えていないと判断され、ステップS35において、Nが(N+2)に変更される。そして、動作はステップS30に戻される。ステップS33において、指示があった場合には、ステップS37において、Nが(N+2)に変更され、動作はステップS23に移行される。
【0090】
また、ステップS31において、優先検体測定終了の指示があった場合には、ステップS38において、(N+1)本目のサンプル容器100の検体が第1測定ユニット2に搬送され、ステップS39において、優先検体測定の指示があったか否かが判断される。指示があった場合には、ステップS40において、Nが(N+2)に変更され、ステップS45に移行される。一方、指示がない場合には、ステップS41において、N=9であるか否かが判断され、N=9でない場合には、ステップS42において、Nが(N+2)に変更される。そして、ステップS43において、N本目のサンプル容器100の検体が第2測定ユニット3に搬送され、ステップS44において、優先検体測定の指示があったか否かが判断される。ここで、指示がない場合には、動作はステップS38に移行される。また、指示があった場合には、ステップS46において、優先検体測定の指示が第1測定ユニット2側で行われたか否かが判断される。第1測定ユニット2側である場合には、ステップS47において、(N+1)本目のサンプル容器100の検体が第2測定ユニット3に搬送され、ステップS48において、優先検体測定終了の指示があったか否かが判断される。指示がない場合には、ステップS49において、N=9であるか否かが判断され、N=9である場合には、ステップS36に移行される。N=9でない場合には、ステップS50において、Nが(N+2)に変更され、動作は、ステップS30に移行される。ステップS48において、指示があった場合には、ステップS51において、Nが(N+2)に変更される。また、ステップS46において、第1測定ユニット2側でない場合には、動作は、ステップS54に移行される。
【0091】
また、ステップS29において、優先検体測定の指示が第1測定ユニット2側で行われていない場合には、ステップS52において、N本目のサンプル容器100の検体が第1測定ユニット2に搬送される。そして、ステップS53において、優先検体測定終了の指示があったか否かが判断され、指示があった場合には、ステップS25に移行される。指示がない場合には、ステップS54において、(N+1)本目のサンプル容器100の検体も第1測定ユニット2に搬送される。そして、ステップS55において、優先検体測定終了の指示があったか否かが判断され、指示があった場合には、動作は、ステップS42に移行される。指示がない場合には、ステップS56において、N=9であるか否かが判断され、N=9である場合には、動作は、ステップS36に移行される。N=9でない場合には、ステップS57において、Nが(N+2)に変更され、動作は、ステップS52に移行される。
【0092】
(第2実施形態)
図19は、本発明の第2実施形態による血液分析装置の全体構成を示した斜視図である。図20は、図19に示した第2実施形態による血液分析装置の優先検体測定時の動作を説明するためのフロー図である。次に、図10、図19および図20を参照して、第2実施形態による血液分析装置600の優先検体測定時の動作について説明する。なお、この第2実施形態による血液分析装置600は、上記第1実施形態による血液分析装置1と異なり、第1測定ユニット601または第2測定ユニット602のいずれか一方の測定ユニットにおいてのみ、優先検体の測定を行うように構成されている。
【0093】
まず、図20に示すステップS201において、表示部52(図19参照)に表示する優先検体測定指示画面520(図10参照)の表示指示がユーザからなされたか否かがCPU51aにより判断される。この判断は、表示指示があるまで繰り返され、指示があった場合には、ステップS202において、表示部52に優先検体測定指示画面520が表示される。ステップS203において、ユーザが検体識別番号の入力や、測定項目の設定などを行った後、優先検体測定指示画面520上に表示されたOKボタン520aが押下されたか否かがCPU51aにより判断される。この判断はOKボタン520aが押下されるまで継続される。
【0094】
ここで、第2実施形態では、OKボタン520aが押下された場合には、ステップS204において、CPU51aにより、現状において、第1測定ユニット601の方が第2測定ユニット602よりも早く優先検体の測定を開始することが可能であるか否かが判断される。具体的には、CPU51aは、制御装置5に送信される第1測定ユニット2および第2測定ユニット3の状態通知や各イベント通知などに基づいて判断を行う。第1測定ユニット601の方が早く優先検体の測定を開始することが可能である場合には、ステップS205において、検体セット部255aが、取り込み口24から外側に突出するように出される。そして、ステップS206において、ユーザが優先検体を収容したサンプル容器100を検体セット部255aにセットした後、優先検体測定開始ボタン27(図19参照)が押下されたか否かがCPU51aにより判断される。押下されていない場合には、この判断が繰り返され、押下された場合には、ステップS207において、検体セット部255aが、取り込み口24から第1測定ユニット601の内側に戻される。これにより、優先検体が第1測定ユニット601の内側に取り込まれる。
【0095】
そして、ステップS208において、優先検体の測定が行われ、ステップS209において、測定が終了したか否かが判断される。この判断は、測定が終了するまで繰り返され、測定が終了した場合には、ステップS210において、検体セット部255aが取り込み口24から外側に出される。これにより、測定が終了された優先検体のサンプル容器100が、第1測定ユニット601の外側に取り出し可能に排出される。その後、ステップS211において、測定が終了された優先検体のサンプル容器100が検体セット部255aから取り除かれたか否かがCPU51aにより判断され、取り除かれるまでこの判断が繰り返される。取り除かれると、ステップS212において、検体セット部255aが、取り込み口24から第1測定ユニット601の内側に戻され、ステップS213において、再度、表示部52に優先検体測定指示画面520が表示される。そして、ステップS214において、ユーザが、次の新たな優先検体用の検体識別番号の入力や、測定項目の設定などを行った後、優先検体測定指示画面520上に表示されたOKボタン520aが押下されたか否かがCPU51aにより判断される。押下された場合には、動作はステップS204に移行され、押下されない場合には、ステップS215において、優先検体測定指示画面520上に表示されたキャンセルボタン520bが押下されたか否かがCPU51aにより判断される。第2実施形態では、ユーザは、キャンセルボタン520bを押下することによって、優先検体の測定を終了させることが可能である。ステップS215において、キャンセルボタン520bが押下されない場合には、OKボタン520aまたはキャンセルボタン520bのいずれかが押下されるまで、これらの判断が繰り返される。そして、キャンセルボタン520bが押下されると、そのまま、優先検体の測定動作が終了される。
【0096】
また、ステップS204での判断において、第2測定ユニット602の方が早く優先検体の測定を開始することが可能である場合には、動作がステップS216に移行される。ここでは、ステップS216〜S226までの第2測定ユニット602側での優先検体の測定動作は、ステップS205〜S215に示す第1測定ユニット601側での測定動作と同様であるので、第2測定ユニット602側での優先検体の測定動作の説明は省略する。
【0097】
上記のとおり、第2実施形態では、CPU51aが、第1測定ユニット601または第2測定ユニット602のいずれの測定ユニットで優先検体の測定を行うかを判断するので、ユーザが優先検体を測定する測定ユニットを選択する必要がない。そのため、図19に示すように、第2実施形態による血液分析装置600の第1測定ユニット601および第2測定ユニット602には、検体セット部開閉ボタンが設けられていない。
【0098】
なお、第2実施形態による血液分析装置600のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0099】
第2実施形態では、上記のように、CPU51aを、優先検体を測定することが優先検体測定指示画面520から指示された場合に、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3のうち、優先検体の測定をより早く行うことが可能な測定ユニットを選択するように構成することによって、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3のうち、CPU51aが選択したより早く測定を行うことが可能な方で優先検体の測定を行うことができるので、優先検体の処理を迅速に行うことができる。
【0100】
また、第2実施形態では、CPU51aが、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3のうち、優先検体の測定をより早く行うことが可能な方を選択し、選択した方の検体セット部だけが外側に出てくるので、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3のうち、どちらの検体セット部に優先検体のサンプル容器100をセットするかを、ユーザが迷うのを抑制することができる。
【0101】
(第3実施形態)
図21は、本発明の第3実施形態による血液分析装置の全体構成を示した斜視図である。図22は、図21に示した第3実施形態による血液分析装置の優先検体測定時の動作を説明するためのフロー図である。次に、図10、図21および図22を参照して、第3実施形態による血液分析装置700の優先検体測定時の動作について説明する。なお、この第3実施形態による血液分析装置700は、上記第2実施形態による血液分析装置600と異なり、検体ごとに優先検体測定指示画面520から測定の指示を行うことなく、連続して次の新たな優先検体の測定を行うことが可能なように構成されている。
【0102】
まず、図22に示すステップS301において、表示部52(図21参照)に表示する優先検体測定指示画面520(図10参照)の表示指示がユーザからなされたか否かがCPU51aにより判断される。この判断は、表示指示があるまで繰り返され、指示があった場合には、ステップS302において、表示部52に優先検体測定指示画面520が表示される。ステップS303において、ユーザが検体識別番号の入力や、測定項目の設定などを行った後、優先検体測定指示画面520上に表示されたOKボタン520aが押下されたか否かがCPU51aにより判断される。この判断はOKボタン520aが押下されるまで継続される。
【0103】
ここで、第3実施形態では、OKボタン520aが押下された場合には、ステップS304において、CPU51aにより、現状において、第1測定ユニット701の方が第2測定ユニット702よりも早く優先検体の測定を開始することが可能であるか否かが判断される。具体的には、CPU51aは、制御装置5に送信される第1測定ユニット701および第2測定ユニット702の状態通知や各イベント通知などに基づいて判断を行う。第1測定ユニット701の方が早く優先検体の測定を開始することが可能である場合には、ステップS305において、検体セット部255aが、取り込み口24から外側に突出するように出される。そして、ステップS306において、ユーザが優先検体を収容したサンプル容器100を検体セット部255aにセットした後、優先検体測定開始ボタン27(図21参照)が押下されたか否かがCPU51aにより判断される。押下されていない場合には、この判断が繰り返され、押下された場合には、ステップS307において、検体セット部255aが、取り込み口24から第1測定ユニット701の内側に戻される。これにより、優先検体が第1測定ユニット701の内側に取り込まれる。
【0104】
そして、ステップS308において、優先検体の測定が行われ、ステップS309において、測定が終了したか否かが判断される。この判断は、測定が終了するまで繰り返され、測定が終了した場合には、ステップS310において、検体セット部255aが取り込み口24から外側に出される。これにより、測定が終了された優先検体のサンプル容器100が、第1測定ユニット701の外側に取り出し可能に排出される。その後、ステップS311において、優先検体測定開始ボタン27が押下されたか否かが判断される。
【0105】
また、第3実施形態では、ユーザは、測定が終了された優先検体のサンプル容器100を検体セット部255aから取り除いた後、次の新たな優先検体を収容したサンプル容器100を検体セット部255aにセットし、優先検体測定開始ボタン27を押下することによって、連続して優先検体の測定を行うことが可能である。ユーザが次の新たな優先検体を収容したサンプル容器100を検体セット部255aにセットし、優先検体測定開始ボタン27を押下した場合には、動作はステップS307に移行され、連続して次の優先検体の測定が行われる。この場合、ユーザは検体識別番号の入力や、測定項目の設定などを行わなくても、CPU51aにより自動的に、連続した識別番号が割り当てられるとともに、一度設定された測定項目と同じ項目で測定が行われる。
【0106】
一方、優先検体測定開始ボタン27が押下されない場合には、ステップS312において、CPU51aにより、検体セット部クローズボタン701a(図21参照)が押下されたか否かが判断される。ユーザは、検体セット部クローズボタン701aを押下することによって、優先検体の測定を終了させることが可能である。検体セット部クローズボタン701aが押下されない場合には、優先検体測定開始ボタン27または検体セット部クローズボタン701aのいずれかが押下されるまで、これらの判断が繰り返される。そして、検体セット部クローズボタン701aが押下されると、ステップS313において、検体セット部255aが、取り込み口24から第1測定ユニット701の内側に戻され、優先検体の測定動作が終了される。
【0107】
また、ステップS304での判断において、第2測定ユニット702の方が早く優先検体の測定を開始することが可能である場合には、動作がステップS314に移行される。ここでは、ステップS314〜S322までの第2測定ユニット702側での優先検体の測定動作は、ステップS305〜S313に示す第1測定ユニット701側での測定動作と同様であるので、第2測定ユニット702側での優先検体の測定動作の説明は省略する。
【0108】
なお、第3実施形態による血液分析装置700のその他の構造は、上記第2実施形態と同様である。
【0109】
第3実施形態では、上記のように、CPU51aが選択した一方の測定ユニットの検体セット部だけが外側に出てくるので、第1測定ユニット2および第2測定ユニット3のうち、どちらの検体セット部に優先検体のサンプル容器100をセットするかを、ユーザが迷うのを抑制することができる。
【0110】
また、第3実施形態では、ユーザは、測定が終了された優先検体のサンプル容器100を検体セット部255aから取り除いた後、次の新たな優先検体を収容したサンプル容器100を検体セット部255aにセットし、優先検体測定開始ボタン27を押下することによって、連続して優先検体の測定を行うことが可能であるので、優先検体の測定を行う際に、ユーザの負担を軽減することができる。
【0111】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第2実施形態と同様である。
【0112】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0113】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、分析装置の一例として血液分析装置を示したが、本発明はこれに限らず、複数の測定ユニットを備える分析装置であれば他の分析装置に本発明を適用してもよい。
【0114】
また、上記第1〜第3実施形態では、血液分析装置が、第1測定ユニットおよび第2測定ユニットの2つの測定ユニットを備える例を示したが、本発明はこれに限らず、血液分析装置が、3つ以上の測定ユニットを備える構成であってもよい。
【0115】
また、上記第1〜第3実施形態では、優先検体測定の指示がなければ、検体搬送装置が、第1測定ユニットおよび第2測定ユニットに交互に検体を搬送する例を示したが、本発明はこれに限らず、検体搬送装置が、第1測定ユニットおよび第2測定ユニットのうち、検体の搬送時においてより早く検体の測定を開始することができる方の測定ユニットに検体を搬送するようにしてもよい。これにより、この血液分析装置は、第1測定ユニットおよび第2測定ユニットの処理能力がそれぞれ異なる場合にも、検体を迅速に処理することができる。
【0116】
また、上記第1〜第3実施形態では、制御装置に1つの制御部を設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、第1測定ユニットおよび第2測定ユニットそれぞれに別々の制御部を設けてもよい。また、これらの制御部は、第1測定ユニットおよび第2測定ユニットそれぞれに組み込まれてもよい。
【0117】
また、上記第1〜第3実施形態では、第1測定ユニットおよび第2測定ユニットをそれぞれ独立した別々のハウジングに収容する例(図1、図2、図19および図21参照)を示したが、本発明はこれに限らず、図23に示すように、第1測定ユニットおよび第2測定ユニットをともに1つのハウジング7に収容するようにしてもよい。
【0118】
また、上記第1〜第3実施形態では、第1測定ユニットおよび第2測定ユニットが、実質的に同種類の測定ユニットである例を示したが、本発明はこれに限らず、第1測定ユニットおよび第2測定ユニットを、それぞれ互いに異なる種類の測定ユニットにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の第1実施形態による血液分析装置の全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した第1実施形態による血液分析装置の各部の詳細を説明するための斜視図である。
【図3】図1に示した第1実施形態による血液分析装置の測定ユニットおよび検体搬送装置を示す概略図である。
【図4】図1に示した第1実施形態による血液分析装置の測定ユニットおよび検体搬送装置を示す斜視図である。
【図5】図1に示した第1実施形態による血液分析装置のラックおよびサンプル容器を示す斜視図である。
【図6】図1に示した第1実施形態による血液分析装置の検体搬送装置を説明するための平面図である。
【図7】図1に示した第1実施形態による血液分析装置の検体搬送装置を説明するための側面図である。
【図8】図1に示した第1実施形態による血液分析装置の検体搬送装置を説明するための側面図である。
【図9】図1に示した第1実施形態による血液分析装置の制御装置を説明するためのブロック図である。
【図10】図1に示した第1実施形態による血液分析装置の優先検体測定指示画面を示した図である。
【図11】図1に示した第1実施形態による血液分析装置の測定処理プログラムによる測定処理動作を説明するためのフロー図である。
【図12】図1に示した第1実施形態による血液分析装置の第1測定ユニットおよび第2測定ユニットの状態遷移を説明するための状態遷移図である。
【図13】図1に示した第1実施形態による血液分析装置の検体搬送装置の状態遷移を説明するための状態遷移図である。
【図14】図1に示した第1実施形態による血液分析装置の検体搬送装置の次の動作を決定する処理を説明するためのフロー図である。
【図15】図1に示した第1実施形態による血液分析装置のイベント通知を示した図である。
【図16】図1に示した第1実施形態による血液分析装置のコマンドの優先順位を示した図である。
【図17】図1に示した第1実施形態による血液分析装置の優先検体測定時の動作を説明するためのフロー図である。
【図18】図1に示した第1実施形態による血液分析装置の変形例における検体搬送装置の動作を説明するためのフロー図である。
【図19】本発明の第2実施形態による血液分析装置の全体構成を示した斜視図である。
【図20】図19に示した第2実施形態による血液分析装置の優先検体測定時の動作を説明するためのフロー図である。
【図21】本発明の第3実施形態による血液分析装置の全体構成を示した斜視図である。
【図22】図21に示した第3実施形態による血液分析装置の優先検体測定時の動作を説明するためのフロー図である。
【図23】本発明の第1実施形態による血液分析装置の変形例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0120】
1 血液分析装置(分析装置)
2、601、701 第1測定ユニット
3、602、702 第2測定ユニット
4 検体搬送装置(搬送装置)
26、36 検体セット部開閉ボタン(測定指示ボタン)
27、37 優先検体測定開始ボタン(測定開始ボタン)
51a CPU(搬送制御手段、測定ユニット選択手段)
255a 検体セット部(第1検体セット部)
355a 検体セット部(第2検体セット部)
520 優先検体測定指示画面(測定指示画面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を測定する第1測定ユニットと、
検体を測定する第2測定ユニットと、
前記第1測定ユニットおよび前記第2測定ユニットに検体を搬送可能に構成された搬送装置と、
他の検体に優先して所定の検体を測定することを指示する優先検体測定指示手段と、
他の検体に優先して前記所定の検体を前記第2測定ユニットで測定することの指示が前記優先検体測定指示手段によりなされたとき、前記第2測定ユニットへの検体の搬送を保留し、他の動作を実行するように前記搬送装置を制御する搬送制御手段とを備える、分析装置。
【請求項2】
前記他の動作は、前記優先検体測定指示手段により前記指示がなされなければ前記第2測定ユニットに搬送される検体を前記第1測定ユニットに搬送する動作、前記優先検体測定指示手段により前記指示がなされなければ前記第2測定ユニットに搬送される検体を、検体を収容する検体容器の有無を確認するための検体有無確認位置に搬送する動作、および、前記優先検体測定指示手段により前記指示がなされなければ前記第2測定ユニットに搬送される検体を、検体を収容する検体容器に付された識別子を読み取るための読取位置に搬送する動作のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記第1測定ユニットは、前記所定の検体を受け入れ可能に構成された第1検体セット部を含み、
前記第2測定ユニットは、前記所定の検体を受け入れ可能に構成された第2検体セット部を含む、請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記搬送制御手段は、他の検体に優先して前記所定の検体を測定することが前記優先検体測定指示手段により指示されなければ、複数の検体を、前記第1測定ユニットおよび前記第2測定ユニットに交互に搬送するように前記搬送装置を制御するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項5】
前記優先検体測定指示手段は、前記第1測定ユニットおよび前記第2測定ユニットに設けられた、前記所定の検体の測定を指示するための測定指示ボタンを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項6】
表示部をさらに備え、
前記優先検体測定指示手段は、前記表示部に、前記所定の検体の測定を指示するための測定指示画面を表示させる測定指示画面表示手段を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項7】
他の検体に優先して前記所定の検体を測定することが前記測定指示画面から指示された場合に、前記第1測定ユニットおよび前記第2測定ユニットのうち、前記所定の検体の測定をより早く行うことが可能な測定ユニットを選択する測定ユニット選択手段をさらに備える、請求項6に記載の分析装置。
【請求項8】
前記第1測定ユニットと前記第2測定ユニットとは、同種類の測定ユニットである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項9】
前記第1測定ユニットおよび前記第2測定ユニットは、それぞれ前記所定の検体の測定を開始するための測定開始ボタンを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項10】
検体を第1測定ユニットに搬送する工程と、
検体を第2測定ユニットに搬送する工程と、
他の検体に優先して所定の検体を測定することを優先検体測定指示手段により受け付ける工程と、
他の検体に優先して前記所定の検体を前記第2測定ユニットで測定することの指示が前記優先検体測定指示手段により受け付けられたとき、前記第2測定ユニットへの検体の搬送を保留し、他の動作を実行するように搬送を行う工程とを備える、検体の搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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