説明

分裂可能な複合カテーテル組立体

【課題】手元部分を除去でき、患者内にあるカテーテルの末端部分を乱すことなく取り外し交換でき、ハブの位置が調節可能である複合カテーテル組立体及び複合カテーテル組立体を挿入する方法を提供する。
【解決手段】第一及び第二の手元端領域112,132、第一及び第二の末端チップ116,136で終点する第一及び第二の末端領域114,134、及び第一及び第二の末端と第一及び第二の手元端開口との間を通じて前後方向に延びる少なくとも一つの第一及び第二のルーメンを定める外表面、を有する第一及び第二のカテーテル110,130を含み、第一及び第二のルーメンは、反対方向への同時の流れを容易にするため互いに独立し、第一及び第二のカテーテルの外表面は、第一及び第二の末端チップと第一及び第二の手元端領域とが互いに少なくとも部分的に前後方向に裂けることを可能とするように離脱可能につながれている構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年10月31日に受理された米国仮特許出願第60/422,726号及び2002年11月1日に受理された米国仮特許出願第60/423,002号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、典型的には血液透析に使用される、分裂可能な複合カテーテル組立体に関する。
【背景技術】
【0003】
流体の導入又は除去のためのカテーテルは、これらの流体の導入又は除去のため、体中にわたる種々の静脈位置や空洞に置かれ得る。そのようなカテーテル法は、多数のルーメン(内腔)を有する単一のカテーテルを用いてなされ得る。マルチプル(多数)・ルーメン・カテーテルの典型例は、デュアル・ルーメン・カテーテルで、一方のルーメンが流体を導入し、他方のルーメンが流体を除去する。そのようなデュアル・ルーメン・カテーテル組立体の一例は、ペンシルバニア・ハーレイズビルのメディカル・コンポネンツ社により製造販売されているスプリット・キャス (SPLIT‐CATH、登録商標)カテーテルである。
【0004】
一般に、任意のカテーテルを血管に挿入するためには、良く知られているセルディンガー技術に従って、長い中空針を用いる吸引により血管を同定する。その針が取付けられた注射器に血液が入り、血管が見つかったことを示せば、細い案内ワイヤが、典型的には注射針又は他の導入具を通じて、その血管内部に導入される。次いで、その導入具は案内ワイヤを血管内に残して除去される。案内ワイヤは皮膚の表面を越えて突き出す。このとき、外科医にはカテーテル設置のために幾つかの選択肢が与えられる。最も簡単なものは、案内ワイヤの上にカテーテルを直接血管まで通すことである。次いで、案内ワイヤはカテーテルを血管内の位置に残して除去される。しかしながら、この技術は、カテーテルが堅い材料で作られた比較的小さな直径を有するものであり、且つ案内ワイヤより有意に大きくない場合、例えば小さな直径のデュアル・ルーメン・カテーテルの挿入に対してのみ可能である。もし挿入すべきカテーテルが案内ワイヤより有意に大きいならば、拡張器が、穴を拡大するために、案内ワイヤの上を通される。この拡張器は除去され、次いでカテーテルが案内ワイヤ上を通される。カテーテルが挿入された後、案内ワイヤは除去される。
【0005】
カテーテルが患者の内部に長期間、例えば数週間又は数ヶ月間、残すことを意図する、慢性的カテーテル法のためには、種々のトンネリング技術を用いてカテーテルを皮下に突き進ませる(トンネルする)ことが典型的に求められる。そのカテーテルは、典型的にはカテーテルが患者の血管に挿入されるに先立ち、患者内を突き進まされる。そのトンネリング後のある時点で、カテーテルの手元端(プロキシマル・エンド)を患者に保持するために、カテーテル・ハブが患者の皮膚に縫合される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、患者や移植外科医の技量によっては、患者にカテーテルが埋め込まれた後にトンネリングを行うことが、より有利な時がある。しかし、いくつかのカテーテル、例えばある種のハブを有しカテーテルの手元端に結合したルエル(luers)を有する多数ルーメン・カテーテルにとっては、カテーテルが患者に設置された後にトンネリングを行うのは実用的でない。患者の必要性又は外科医の技量の何れにもより良く適合するように、カテーテルを設置する別の設置手順を外科医に提供するカテーテル組立体を提供することは有益であろう。
【0007】
更に、慢性的に設置されたカテーテルのために、患者にとっては外者であるカテーテルの部分が、例えば漏洩により、及び/又は塵、バクテリア等の外来からの微粒子のカテーテルへの導入により、時として機能しなくなり、患者からカテーテル全体の除去を要することがある。そのような不具合には、クランプの磨耗又は破損、或いはルエルの破損が含まれる。これらの問題を修復するには、現在、患者からカテーテル全体を除去する必要があり、患者への付加的なトラウマ(外傷)を生じ、患者への付加的な医学的問題のリスクとなる。カテーテルの手元部分を除去でき、患者内にあるカテーテルの末端部分を乱すことなく取り外し交換できるカテーテルを提供することは有益であろう。
【0008】
また、カテーテル組立体は、典型的に例えば12フレンチ、14フレンチ等の標準サイズで作られているが、患者(複数)は、多くの種々の形状及びサイズで現れる。特定のサイズのカテーテルがある患者にとって最適サイズであっても、外科医は別の患者のために異なる皮下トンネルの長さを要求あるいは必要とすることがある。しかしながら、カテーテル・ハブの位置は、皮下トンネルの長さ及び/又は位置を左右し得る。カテーテル組立体に沿ってハブの位置が調節可能で、外科医にそのカテーテル組立体を患者に保持させるための選択肢を提供するカテーテル組立体を提供することは有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
簡単に言えば、本発明は、複合カテーテル組立体を提供する。この組立体は、第一の手元端(プロキシマル)領域、第一の末端(ディスタル)チップで終点する第一の末端領域、及び第一の末端と第一の手元端開口との間を通じて前後方向に延びる少なくとも一つの第一のルーメンを定める外表面、を有する第一のカテーテルを含む。この組立体は又、第二の手元端領域、第二の末端チップで終点する第二の末端領域及び第二の末端と第二の手元端開口との間を通じて前後方向に延びる少なくとも一つの第二のルーメンを定める外表面、を有する第二のカテーテルも含む。この第一のルーメン及び第二のルーメンは、反対方向への同時の流れを容易にするために、互いに独立している。第一及び第二のカテーテルの外表面は、この第一及び第二の末端チップと第一及び第二の手元端領域とが互いに少なくとも部分的に前後方向に裂けることを可能とするように離脱可能につながれている。
【0010】
加えて、本発明は、この複合的カテーテル組立体を体のカテーテライズすべき部位に挿入する方法も提供する。この方法は、カテーテライズすべき部位付近に切開口を作る工程;第一の手元端領域、第一の末端チップで終点する第一の末端領域及び第一の縦に延びる少なくとも一つの第一のルーメンを定める第一の外表面、を有する第一のカテーテル;及び第二の手元端領域、第二の末端チップで終点する第二の末端領域及び第二の縦に延びる少なくとも一つの第二のルーメンを定める第二の外表面、を有する第二のカテーテル、を含む複合カテーテル組立体を用意する工程、ここで、前記第一及び第二のカテーテルの各々の外表面は、離脱可能につながれ且つ前記第一及び第二のルーメンの各々は反対方向への同時の流れを容易にするために互いに独立しており、前記第一及び第二のカテーテルの各々の外表面は、前記第一及び第二の末端チップ、及び第一及び第二の手元端の各々が互いに少なくとも部分的に前後方向に裂けることを可能にするために離脱可能につながれている;前記第一及び第二のカテーテルの第一及び第二の末端領域は互いに少なくとも部分的に分離する工程;及び前記第一及び第二のカテーテルの第一及び第二の末端領域を互いに並列関係で、切開口を通じカテーテライズすべき部位に挿入する工程を含む。
【0011】
更に、本発明は、ハブをカテーテルに離脱可能に取付ける方法も提供し、そこでそのハブは、2ヒンジ(かなめ・蝶番)的に接続された対向する部分を含み、その各部分は、内面及び外面、前記2ヒンジ的に接続された対向する部分の少なくとも一つの内面上に置かれたカテーテルの、少なくとも一つのルーメンを収容するための少なくとも一つのチャンネル、及び閉じた姿勢に離脱可能に固定した状態のまま保持するための手段、を有する。この方法は、カテーテルの少なくとも一つのルーメンを、前記2ヒンジ的に接続された対向する部分の少なくとも一方の、少なくとも一つのチャンネルに置く工程;前記2ヒンジ的に接続された対向する部分の他方を、少なくとも一つのルーメン上に折り、前記2ヒンジ的に接続された対向する部分の一つの内面を、前記2ヒンジ的に接続された対向する部分の他の一つの内面と噛み合わせ、且つ前記2ヒンジ的に接続された対向する部分を、少なくとも一つのルーメンの周りに適合させる工程;及びハブを閉じた姿勢に、離脱可能に固定する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
ここに組合せられ明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の現在好ましいとされる実施例を解説するもので、上記の一般的記述及び詳細な説明とともに、本発明の特徴を説明するために役立つものである。
【図1】図1は、本発明の好ましい実施例によるカテーテル組立体の平面図である。
【図2】図2は、図1の線2−2に沿って切り取ったカテーテル組立体のカテーテル・ルーメンの拡大断面図である。
【図3】図3は、図1の線3−3に沿って切り取ったカテーテル組立体のカテーテル・ルーメンの末端の拡大断面図である。
【図4】図4は、図1の線4−4に沿ったカテーテル組立体のカテーテル・ルーメンの末端の拡大端面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例によるカテーテル・ハブの開いた姿勢での拡大平面図である。
【図6】図6は、図5のハブの側面図である。
【図7】図7は、図1のカテーテル組立体からのカテーテルだけの平面図である。
【図8】図8は、図7の線8−8に沿って切り取ったカテーテルの断面図である。
【図9】図9は、本発明の実施例による延長チューブ組立体の拡大分解図である。
【図10】図10は、本発明による複合カテーテル組立体を挿入する一実施例に従い、部分的に裂きカテーテライズすべき部位に挿入された複合カテーテル組立体の、部分切欠図である。
【図11】図11は、図10の複合カテーテル組立体の部分切欠図で、本発明による複合カテーテル組立体を挿入する一実施例に従い、皮下的にトンネルされたカテーテル組立体の手元部分を示すものである。
【図12】図12は、図10の複合カテーテル組立体の部分切欠図で、本発明による複合カテーテル組立体を挿入する一実施例に従い、カテーテル組立体の手元部分に接続されたハブとカテーテル延伸部を示すものである。
【図13】図13は、皮下トンネルを通じてカテーテルの手元端を引くために使われるカテーテル・トンネラーの透視図である。
【符号の説明】
【0013】
12 部位
14 体
16 皮下部位
18 切開口
20 挿入サイト
21 カテーテライズすべき部位
22 静脈
24 トンネル
100 複合カテーテル組立体
102 カニュレーティング部分
104 外表面
106 概ね円形の断面
110 第一のカテーテル
111 第一の手元端
112 第一の手元端領域
113 第一の延伸管組立体
114 第一の末端領域
116 第一の末端チップ
117 第一の末端の概ね卵形の断面
118 第一の末端開口
119、139 末端遷移部分
120 第一の外表面
122 第一のルーメン
124 第一の概ね平らな部分
125 第一の丸められた壁部分(カフ)
126 概ね卵型の断面
128、148 半円形断面
130 第二のカテーテル
131 第二の手元端
132 第二の手元端領域
133 第二の延伸管組立体
134 第二の末端領域
136 第二の末端チップ
137 第二の末端の概ね卵形の断面
138 第二の末端開口
140 第二の外表面
142 第二のルーメン
144 第二の概ね平らな部分
145 第二の丸められた壁部分
146 概ね円型の断面
150 ハブ
151 蝶番
152、184 末端
154、182 手元端
155 末端チャンネル
156 縫合ウイング
157 縫合ウイング組立体
158 第一の手元チャンネル
159 第二の手元チャンネル
160 表側ハブ部分
162 裏側ハブ部分
164、166 内面
172 タブ
174 リセス
176 バンプ
178 くぼみ
180 分割可能な結合
186 第一の遷移部分
188 第二の遷移部分
194 側面開口
196 延伸管
198 ルエル・コネクタ
200 コネクタ部分
202 クランプ
204 管コネクタ
205 バーブ
206 圧縮フィッティング
208 雌ねじ付きコネクタ部分
210 アダプタ
214 トロカール
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面において、類似の数字は、全体を通じ類似の要素を示している。便宜上のためだけに、ここでは特定の専門用語が用いられているが、本発明を限定するものと解釈されるべきでない。『末(端)』及び『手元(端)』なる用語は、各々患者にカテーテルを挿入する外科医『から離れる』及び『へ近づく』方向を指すものである。前記専門用語には、特に上述した前記用語、その派生語及び類義語が含まれる。
【0015】
以下は、本発明の好ましい実施例を述べるものである。しかしながら、この開示に基づいて、本発明がここに述べられた好ましい実施例に限定されるものでないことを理解すべきである。さて、図面を詳細に参照すると、図1に100として通常表示する複合カテーテル組立体の実施例が示されている。この図1に示される複合カテーテル組立体100は、ダブル・カテーテル組立体であるが、二つ又はそれ以上のカテーテルを有する組立体も本発明の範囲内にある。
【0016】
この開示で示される発明は、とりわけ、内頚静脈のような血管からの浄化のための血液の抜き取り、及び同じ血管への浄化血液の導入に有用である。しかしながら、当該技術に熟練した者には、複合カテーテル組立体100が、カテーテライズすべき種々の部位への、種々の流体の導入又は除去に使えることは良く知られるであろう。
【0017】
複合カテーテル組立体100は外表面104により定められるカニュレーティング(カニューレを挿入する)部分102を含む。複合カテーテル組立体100は更に、少なくとも部分的に離脱可能に第二のカテーテル130とつながれる第一のカテーテル110を含む。第一のカテーテル110は第一の手元端領域112、及び第一の末端チップ116を有する第一の末端領域114を含む。第一の末端チップ116は第一の末端開口118を有する。第一のカテーテル110は又、第一のルーメン122を定める第一の外表面120も有する。第一のルーメン(内腔)122は、第一の末端開口118と流体的に連通している。第二のカテーテル130は第二の手元端領域132、及び第二の末端チップ136を有する第二の末端領域134を含む。第二の末端チップ136は第二の末端開口138を有する。第二のカテーテル130は又、第二のルーメン142を定める第二の外表面140も有する。第二のルーメン142は、第二の末端開口138と流体的に連通している。好ましくは、この第一の末端チップ116は、第二の末端チップ136から約2.5cm手元側で終わっている。第一のカテーテル110は、好ましくは、患者から血液のような流体を引くのに使われる動脈ルーメンであり、一方、第二のカテーテル130は、好ましくは、血液透析によるような処理の後、患者に流体を戻すのに使われる静脈ルーメンである。第一の末端チップ116と第二の末端チップ136との間の約2.5cmの差は、既に処理された流体の再循環を減少させるのに役立つ。
【0018】
図2に示すように、複合カテーテル組立体100のカニュレーティング部分102において、第一のカテーテル110及び第二のカテーテル130の各々は、各々半円形断面128、148を持つ。したがって、第一の外表面120は、第一の概ね平らな部分124及び第一の丸められた壁部分125により定められる。同様に、第二の外表面140は、第二の概ね平らな部分144及び第二の丸められた壁部分145により定められる。好ましくは、第一の概ね平らな部分124及び第二の概ね平らな部分144は、互いに並列され且つ互いに非常に接近しているが、必ずしも互いに接触してはいない。また、第一の外表面120と第二の外表面140とは、実質的には互いに同一で、第一の概ね平らな部分124が第二の概ね平らな部分144に極めて接近したとき、カニュレーティング部分102の外表面104が概ね円形の断面106を有することが好ましい。この開示に基づき、本発明の範囲内で、第一のカテーテル110及び第二のカテーテル130が、更に細かく分割し得ること、及び/又は同一又は変化した断面形状の付加的なカテーテル・チューブを設け得ることは、理解されるべきである。
【0019】
複合カテーテル組立体100は、第一の概ね平らな部分124と第二の概ね平らな部分144との間を前後方向に延びそれらを結合する分割可能な結合180を含む。分割可能な結合180は、第一の概ね平らな部分124と第二の概ね平らな部分144とを離脱可能に接続するのに使われる接着剤であり得る。
【0020】
複合カテーテル組立体100のカニュレーティング部分102に対応する、図2に示すような第一のカテーテル110及び第二のカテーテルの概ね半円形の断面128、148は、第一のルーメン122及び第二のルーメン142の各々における流体の流れのために好ましい形状であるが、その他の形状、例えば卵型、円形、楕円形、正方形、三角形及びインゲン豆形も本発明の精神より逸脱することなく使用し得る。そのようなルーメン形状を有する複合カテーテル組立体は、それに応じた種々の断面形状を有し得る。第一のルーメン122及び第二のルーメン142は、等しい断面積でも異なる断面積であっても良い。
【0021】
図2−4には等しい寸法の断面を有する二つのルーメン122、142が示されているが、同一又は異なる断面積のルーメンを有する付加的なカテーテルが、複合カテーテル組立体100に含まれてもよい。例えば、血液透析に使われる複合カテーテル組立体100は、等しい断面積の二つのカテーテルを血液の除去及び血液の返還のために含み、且つより小さな断面積の第三のカテーテルを患者への薬剤の注入のために使われるものとして含むものであっても良い。そのような実施例においては、カテーテルは一以上の分割可能な結合により接続されていることが好ましい。そのような形状のカテーテル組立体は、等しくない断面積の形状で、必ずしも円形の断面でなくても良い。
【0022】
一ルーメン内に前後方向に延びる少なくとも一つの隔膜を設けることにより、組立体100内の種々のカテーテル・ルーメン110、130を細分しても良い。このやり方で前後方向に延びる隔膜を設けることにより、デュアル・カテーテル組立体は、個別のカテーテルを分割することによって、三又はそれ以上の個別のルーメンを提供することができる。これら及び代わりの全てのチューブ構成は単なる例示及び解説を意図しており、決して包括的なリストではない。本発明は、この明細書に示され、且つ述べられ、または図面に示された構成に限定されないことは理解されるべきである。
【0023】
図1に戻って参照すると、第一のカテーテル110の末端チップは、それを通じて延びる第一の末端開口118を含んでいる。同様に、第二のカテーテル130の末端チップ136は、それを通じて延びる第二の末端開口138を含んでいる。好ましくは、末端チップ116、136は鈍く、それらが概ねカニュレーティング部分102の前後の長さに垂直な平面にあるように構成されている。末端チップ116、136は、半円形状又は僅かに円形断面を有するものであって良い。しかしながら、本実施例においては、図3及び4を参照すると、末端チップ116、136は、第一の末端の概ね卵型の断面117及び第二の末端の概ね卵型の断面137を含む。しかしながら、当該技術に熟達した者は、末端チップ116、136が、丸いあるいは他の適当な形状のような、違った形状の断面を含み得ることに気づくだろう。図1を参照すると、末端チップ116、136は、各々末端遷移部分119、139を有し、その断面は各末端遷移部分119、139の手元における半円形から、各末端遷移部分119、139の末端における卵形まで遷移していることが好ましい。複数の側面開口194が、第一の末端領域114及び第二の末端領域134にわたって配置されている。とりわけ、この好ましい実施例においては、複数の側面開口194が各々第一及び第二の概ね卵型の断面117、137上に配置されているが、当該技術に熟達した者は、この側面開口が、各末端チップ116、136のすぐ手元の第一及び第二の概ね半円形断面128、148上にも、あるいはその代わりとして配置されて良いことに気づくだろう。第一の半円形断面上の側面開口194は第一のルーメン122と流体的に連通しており、第二の半円形断面上の側面開口194は第二のルーメン142と流体的に連通している。
【0024】
尚も図1を参照すると、前後方向に平行移動可能なハブ150が、各々第一及び第二のカテーテル110、130の手元領域112、132に離脱可能に接続されている。好ましいハブ150は、同日付けで受理された米国特許出願第______号(代理人書類番号MED−0063)に開示され、参照することにより、その全部が十分に説明されたかのようにここに盛り込まれるが、当該技術に熟達した者は、他のハブ・デザインが使えること、あるいはハブ150を全面的に省略できることに気づくであろう。図1、5及び6に示されるようなハブ150は、その開いた位置と閉じた位置との間で作動可能で、末端152及び手元端154を有している。ハブ150は、複合カテーテル組立体100のカテーテル110、130の両方がハブ150の末端152に納まるように設計されている。末端チャンネル155が、ハブ150を通じてカテーテル110、130を収容するように前後方向に延びている。ハブ150に沿う所定のポイントにおいて、末端チャンネル155は、ハブ150の末端152付近の単一の末端チャンネル155から枝分れして、ハブ150の手元端154付近で第一の手元チャンネル158及び第二の手元チャンネル159になる。第一の手元及び第二の手元チャンネル158、159の各々は、一以上の個別のカテーテル110、130を収容するが、それより少ない数のカテーテルが、末端チャンネル155に収容されても良い。本実施例においては、図1、5及び6に示されるように、ハブ150の末端152は、第一のカテーテル110及び第二のカテーテル130を互いに並列させるように設計され、且つハブ150の手元端154は、第一のカテーテル110を第二のカテーテル130から引き離すように設計されている。ハブ150は又、複合カテーテル100に沿って前後方向に滑るものであっても良い。このハブの末端チャンネル155及び第一及び第二の手元チャンネル158、159は、ハブ150が複合カテーテル組立体100上の位置を摩擦的に維持できるような寸法とされている。
【0025】
図5及び6を参照すると、ハブ150は表側ハブ部分160及び裏側ハブ部分162を有している。表側及び裏側ハブ部分160、162は、ハブ150の手元端154で、蝶番151によりヒンジ(蝶番)的に接続されている。蝶番151は、第一の手元チャンネル158と第二の手元チャンネル159との間に置かれている。表側ハブ部分160は、ハブ150が閉じた姿勢にある時、裏側ハブ部分162と噛み合うようにされている。末端チャンネル155と第一及び第二の手元チャンネル158、159とは、表側ハブ部分160の内面164及び裏側ハブ部分162の内面166に部分的に配置され、ハブ150がその閉じた姿勢にある時、表側ハブ部分160の内面164が裏側ハブ部分162の内面166と噛み合うように、且つ末端及び第一及び第二の手元チャンネル155、158、159がハブ150を貫通するようにされている。ハブ150は閉じた姿勢で離脱可能に固定する。表側ハブ部分160は裏側ハブ部分162のリセス(凹部)174に嵌め込む(スナップ・インする)タブ172を含む。タブ172及びリセス174は、表側ハブ部分160上の小さなくぼみ178と噛み合う裏側ハブ部分162上の盛り上がったバンプ(隆起)176とともに、閉じた姿勢にある時のハブ150の堅固さを確保する。スナッピング(パチンと噛み付き合う)タブ及びリセスのメカニズムをここに開示したが、本発明は、閉じた姿勢で、表側ハブ部分160と裏側ハブ部分162とを離脱可能に固定する多様な手段を見込んでいる。
【0026】
ハブ150は患者に離脱可能に取り付けられる。ハブ150はそこから突き出している複数の縫合ウイング156を有し、それは患者に離脱可能に取り付けられ得る。縫合ウイング156は、図5に示されるように、末端チャンネル155の何れの側でも、ハブ150から突き出している。四つの縫合ウイング156は表側ハブ部分160及び裏側ハブ部分162上に配置され、ハブ150が閉じた姿勢にある時、四個の縫合ウイング156が、図1に示されるような二つの縫合ウイング組立体157を形成するために整列するようになっている。本実施例では、縫合ウイング組立体157はタブ172及びリセス174に隣接しているが、それらはハブ150のどこにでも配置され得る。蝶番158から離れた位置にある縫合ウイング組立体157により、ハブ150を閉じた姿勢に確保することを助けるのにそれらを使用できる。更に、本発明は、ハブ150を患者に離脱可能に取り付ける他の手段も見込んでいる。更に、図1には二つの縫合ウイング組立体157が示されているが、当該技術に熟達した者は、この二つより多いあるいは少ない縫合ウイング組立体157が使用できることに気づくであろう。
【0027】
さてカテーテル110、130だけが示されている図7を参照すると、分割可能な結合180が第一のカテーテル110を第二のカテーテル130に、そのカニュレ−ティング部分102で離脱可能に接続している。分割可能な結合180は末端184及び手元端182を含み、その何れか又は両方が裂け得て、第一のカテーテル110及び第二のカテーテル130の手元端領域112、132及び末端領域114、134の各々を、互いに独立して操作できるようにしている。
【0028】
分割可能な結合180は、多重の機能を果たす。第一に、分割可能な結合180は、第一のカテーテル110を第二のカテーテル130につなぎ、第一のカテーテル110と第二のカテーテル130とを、とりわけ、分割可能な結合180が壊れていない第一のカテーテル110及び第二のカテーテル130の部分に沿って一緒に操作し易くする。もし分割可能な結合180が無傷(原型)のままならば、第一のカテーテル110と第二のカテーテル130とは単一のカテーテルのように操作できる。第二に、分割可能な結合180は、第一のカテーテル110と第二のカテーテル130とが、第一のカテーテル110又は第二のカテーテル130の外面を損なうことなく、互いに少なくとも部分的に前後方向に分離することを可能にする。分割可能な結合180の末端184を裂くことは、カテーテライズすべき血管又は他の部位内にある第一の末端領域114及び第二の末端領域134の個別の独立した動きを可能にする。逆に、分割可能な結合180の手元端182を裂くことは、第一の手元端領域112及び第二の手元端領域132の個別の独立した動きを可能にする。そのような独立した動きは、ハブ150(図7には示されていない)のカテーテル組立体100の全長に沿う前後方向の平行移動を可能にする。分割可能な結合180は、第一のカテーテル110と第二のカテーテル130とが、互いに強制的に引き離される時、容易に裂けるように作られている。図2に示すように、分割可能な結合180が複合カテーテル組立体100の外径の極めて小さな一部分である最薄の点で、断面幅『w』を有し、容易に裂けること手助けしていることが好ましい。
【0029】
分割可能な結合180は又、接着剤のような材料で作られ、第一のカテーテル110又は第二のカテーテル130の何れかの外面に加えられている力が、それの破壊を生じるレベルに達する前に、裂けるようになっている。しかしながら、分割可能な結合180は複合カテーテル組立体100の通常の取り扱い中には裂けることに抵抗するよう充分強くなければならない。分割可能な結合180は、複合カテーテル組立体100の外径の小さな一部分である断面長さ『l』を有する。分割可能な結合180の断面長さ『l』は又、第一の概ね平らな面124と第二の概ね平らな面144との間の距離を定める。分割可能な結合180の断面長さ『l』は、概ね円形の断面104全体を維持し、且つ複合カテーテル組立体100の分離していないカニュレーティング部分102の取り扱いを容易にするために充分小さいことが好ましい。
【0030】
図7に戻り参照すると、第一及び第二のカテーテル110、130の各々の手元部分112、132は、それぞれ第一の遷移部分186及び第二の遷移部分188を含む。これらの遷移部分186、188は、第一及び第二のカテーテル110、130の断面輪郭の変化を含む。特に、第一の遷移部分186の末端方向で、第一のカテーテル110は、図2に示されるように、概ね半円形断面128を有するが、第一の遷移部分186の手元端方向で、第一のカテーテル110は、図8に示されるように概ね卵型の断面126を有する。同様に、第二の遷移部分188の末端方向で、第二のカテーテル130は概ね半円形断面148を有するが、第二の遷移部分188の手元端方向で、第二のカテーテル130は概ね円型の断面146を有する。第一の遷移部分186及び第二の遷移部分188は、分割可能な結合180の手元端182の非常に手元近くに配置されている。分割可能な結合180によりつながれた第一の概ね平らな面124及び第二の概ね平らな面144は、各々第一の遷移部分186及び第二の遷移部分188で終わっている。
【0031】
図1に戻り参照すると、第一の延伸管組立体113及び第二の延伸管組立体133が各々第一の手元端111及び第二の手元端131に取付けられている。図解する目的で、図9に第一の延伸管組立体113が分解図で示されている。第二の延伸管組立体133の分解図は示さないが、当該技術に熟達した者は、第二の延伸管組立体133が、第一の延伸管組立体113と同様の部材を含むことが分かるだろう。
【0032】
各延伸管組立体113、133は、延伸管196、各延伸管196の手元端と接続されたルエル・コネクタ198、各延伸管196の末端に接続された雄ねじ付きのコネクタ部分200を含む。ロバーツ・クランプや当該技術に熟達した者に知られる他の適切なクランプのようなクランプ202が、各延伸管196上の各ルエル・コネクタ198と各雄ねじ付きのコネクタ部分200との間に配置されている。各クランプ202は、各々の各延伸管196を通じる流体の流れを許容する開いた状態と、各々の各延伸管196を通じる流体の流れ阻止する閉じた状態との間で動作できる。
【0033】
延伸管コネクタ204は各雄ねじ付きのコネクタ部分200から延びている。各延伸管コネクタ204は、第1のカテーテル110及び第二のカテーテル130の各々の手元端111、131に各々挿入できるような寸法とされている。バーブ(あご)205は、第一及び第二のルーメン110、130の各々の手元端112、132を保持するために、管コネクタ204から延びているが、当該技術に熟達した者は、一以上のバーブ205を使っても良く、又バーブ205は全部省略されても良いことに気づくだろう。圧縮フィッティング(接続金具)206が、各カテーテル110、130の外表面上、及び各延伸管コネクタ204上に配置されている。雌ねじ付きコネクタ部分208は、各圧縮フィッティング206上に配置され、各延伸管組立体113、133を各個別のカテーテル・ルーメン110、130に保持し、且つ延伸管組立体113、133と各個別のカテーテル・ルーメン110、130との間に流体連通を提供している。
【0034】
図1に戻り参照すると、ファブリック(織物)・カフ125が、カテーテル110、130の外表面の部分、好ましくはカテーテル110、130の手元端領域112、132と末端領域114、134との間のほぼ中間に配置されている。カテーテル110、130のカフ125より末端側にある部分は、カテーテル法の間、切開口を通じて患者に挿入され、且つカテーテル110、130の一部分及びカテーテル組立体100の残りの部分は、切開口の外に残る。カフ125は、患者の皮膚に、カテーテル組立体100に移植するための表面を提供する。好ましくは、カフ125は、ダクロン(DACRON・登録商標)又はその他の生体適合性のある(バイオコンパチブル)織物で作られる。
【0035】
好ましくは、第一及び第二のカテーテル110、130は、テコサン(TECOTHANE・登録商標)又はカーボサン(CARBOTHANE・登録商標)のような生体適合性のあるポリウレタンで作られるが、当該技術に熟達した者は、例えば、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル・コポリマーのような酢酸ビニルのホモポリマー及びコポリマー類、ポリ塩化ビニル類、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート、ポリメタアクリレート、エチレン・グリコール・ジメタアクリレート、エチレン・ジメタアクリレート及びヒドロキシメチル・メタアクリレートのようなアクリレートのホモポリマー及びコポリマー類、ポリウレタン類、ポリビニルピロリドン、2−ピロリドン、ポリアクリロニトリル・ブタジエン、ポリカーボネイト類、ポリアミド類、ポリテトラフルオレチレン及びポリビニル・フルオライドのホモポリマー及びコポリマー類のようなフルオロポリマー類、ポリスチレン類、スチレン・アクリロニトリルのホモポリマー及びコポリマー類、酢酸セルローズ、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンのホモポリマー及びコポリマー類、ポリメチルペンテン、ポリスルフォン類、ポリエステル類、ポリイミド類、ポリイソブチレン、ポリメチルスチレン及びその他の当該技術に熟達した者に知られる同様な化合物類のようなバイオコンパチブル・プラスチック類のような他の材料が使用できることに気づくだろう。これらの可能なバイオコンパチブル材料は、例示の目的のため上記に含まれ、限定するためのものでない事は理解されるべきである。もし、第一及び第二のカテーテル110、130を形成するのに、あるバイオコンパチブルなポリマー材料が使われたなら、そのポリマー材料には好ましくは柔らかいデュロメータを有するポリウレタン又はポリオレフィンのポリマー材料が含まれることが最も好ましい。
【0036】
第一及び第二のカテーテル110、130を形成するのに使われる、その他の適切で好ましいバイオコンパチブル・エラストマーには、医用級のシリコーンゴム類、ポリ塩化ビニルのエラストマー類、ポリオレフィンのホモポリメリック及びコポリメリックなエラストマー類及び天然ゴム又は他の合成ゴムのようなバイオコンパチブル・エラストマー類が含まれる。好ましくは、カテーテル110、130は、柔軟で、丈夫で、柔らかく、カテーテライズすべき部位及び/又は皮下の部位の形状に容易に適合でき、且つ血管壁損傷のリスクを最小にするようなエラストマー材料で作られる。もしカテーテル110、130が血液透析に使われるならば、それらは、ショア・デユロメータ・スケールで少なくとも約80−Aの硬度を有する柔らかいシリコーン・エラストマーで形成されることが好ましい。そのようなエラストマーは、ダウ・コーニング社から入手可能で、ラジオパシティ(放射線不透過性)を備えるためエラストマーに20%の硫酸バリウムを含ませることができる。もしあるバイオコンパチブル・エラストマーが、特に血液透析のために使われるならば、それらにより高いショア・デユロメータ硬度を持たせることが好ましいが、本発明の精神から逸脱することなく、より低いショア・デユロメータ硬度を有するエラストマーで装置を作る事も可能である。この開示に基づき、カテーテル110、130は、その意図した用途に依り、ラジオパック(放射線不透過性)にする事も可能である。
【0037】
本発明の一つの好ましい実施例において、組立体100のカニュレーティング部分102は、単純押出し工程、射出成形工程又はブロー成形工程で作られる。一つの製造工程は押出しである。そのような工程では、分割可能な結合180は、カテーテル110、130と同様な材料を用いて形成できる。他の実施例では、カテーテル110、130及び結合180は個別に作られ、一体的な製品となるように適当な製造技術でつながれる。この他の工程では、結合180は、カテーテル110、130と同一の材料又は接着剤のような異なる材料で形成され得る。
【0038】
カテーテル組立体100の好ましい挿入方法は、図10から12に図解されている。カテーテル組立体100は、ハブ150及び延伸管組立体113、133を欠いており、カテーテル組立体100は図7に示すように見える。さて図10を参照すると、切開口18が当初、患者14のカテーテライズすべき部位21の近く又はその手元で、注射器あるいはその他の導入装置で吸引されるべき所である挿入サイト20近くに作られる。もしこのカテーテル組立体100が血液透析に使用され、カテーテライズすべき部位21が、内頚静脈22であれば、切開口18は、例えば図10に示すように、鎖骨三角領域に作られる。切開口18の正確な位置は外科医に依り変化し得る。セルディンガー技術に従って、切開口18を通じ、静脈21に細い針が挿入され、静脈22が吸引される。次いで、案内ワイヤ(図示せず)が針又は他の導入具を通じて通され、針は除去される。拡張器(図示せず)及び分割可能な鞘が、その案内ワイヤ上を通じ、部分的には静脈22にまで導入される。一旦鞘がその位置に置かれると、拡張器及び案内ワイヤが、鞘をその場に残して、除去される。これで挿入サイト18はカテーテル組立体100を受け入れる準備が整う。
【0039】
挿入に先立って、カテーテル組立体100は、分割可能な結合180に沿い、第一のカテーテル110の末端チップ116から、少なくとも全ての側面開口194を通じる自由な流れを許すのに充分な長さの前後方向の距離だけ、分割される。好ましくは、結合180は、カテーテル110、130の長さに沿い、外科医が望むように、イングロウス・カフ125まで割ける。好ましくは、カテーテル110、130は、挿入に先立ち、図1に示されるように、既に少なくとも部分的にカテーテル110、130の末端領域114、134の一部分に沿い割けて、分割可能な結合180の裂けを容易にする。使用者は、結合180をその全長にわたり裂く必要がないが、血管内にあるカテーテル110、130の末端領域114、134の独立した運動を許すために、結合180を完全に分割することが好ましい。
【0040】
分割後、第一及び第二のカテーテル110、130の末端領域114、134は、並列した関係で、鞘の中に鞘を通じて挿入される。末端領域114、134は、図10に示すように、それらが部位12内に適切に配置されるまで挿入される。次いで鞘は、従来の手法で、第一及び第二のカテーテル110、130の末端領域114、134を部位12に残して除去される。図10に示されるように、各カテーテル110、130の末端領域114、134の少なくとも一部は部位12内で自由に動き得る。
【0041】
図11を参照すると、カテーテル110、130の手元部分は、種々のトンネリング技術を用いた、体14の皮下部位16にある皮下トンネル24内に配置されている。一つの好ましい技術においては、カテーテル110、130の手元端領域112、132は、トロカール(套管針)又はその他のトンネリング工具を用いてトンネル24を形成し、切開口18に近接したトンネル24の終端から、トンネル24を通じて、手元端領域112、132を少なくとも部分的にトンネル24内に残し、手元端111、131を、トンネル24を過ぎて延ばしながら、引かれる。
【0042】
好ましくは、図13に示された、2003年2月13日受理された米国仮特許出願第60/447,086号及び2003年7月30日受理された米国仮特許出願第60/491,034号に開示されたカテーテル・トンネリング・アダプタと同様なカテーテル・トンネリング・アダプタ210が、カテーテル110、130の手元端111、131に離脱可能に接続される。この代わりに、2003年7月17日受理された米国仮特許出願第60/495,077号に開示されたアダプタの様なアダプタも使用できる。好ましくは、トンネリング・アダプタ210の第一の端部212から延びる延伸部211は、カテーテル110、130の手元端111、131の各々に挿入され、トロカール214はアダプタ210の第二の端部216に接続される。トロカール214、アダプタ210及びカテーテル110、130は、トロカール214の尖った先端218によって作られた皮下トンネル24を通じて引かれる。カテーテル110、130が皮下トンネル24内に置かれ、且つアダプタ210とトロカール214とが除去された後、カテーテル110、130は、図11に示されるようになる。イングロウス・カフ125は皮下トンネル24内に配置される。時間とともに、皮下トンネル24の壁を形成する皮膚組織は、イングロウス・カフ125に向って伸び、カテーテル110、130を皮下トンネル24内に保持するようになる。
【0043】
カテーテル組立体100が図11に示されるように挿入された後、切開口18は閉じられ、組立体100のカニュレーティング部分102は、患者の皮膚よりかなり下になる。次いで、延伸管組立体113、133は、各々第一及び第二のカテーテル110、130の手元端111、131に接続される。
【0044】
第一の延伸管組立体113に関して、第一の雌ねじ付きコネクタ部分208は、最初第一のルーメン110の手元端111の外側を滑る。次いで、第一の圧縮フィッティング206が、第一のルーメン110の手元端111の外側を滑る。次いで、第一の延伸管コネクタ204が、第一のカテーテル110の手元端111に挿入される。第一の雌ねじ付きコネクタ部分208は、第一の雄ねじ付きコネクタ部分200とねじ接続され、圧縮フィッティング206及び第一のカテーテル110の手元端111が、第一の雌ねじ付きコネクタ部分208と第一の延伸管コネクタ204との間にしっかり保持される。この手順は、第二の延伸管組立体133を第二のカテーテル130に接続するのにも繰り返される。
【0045】
カテーテル手元端領域112、134が、体14の皮下部位16に保持されたままであることを更に保証するために、カテーテル110、130を裏側ハブ部分162に置くことにより、ハブ150を組立体100に保持し、第一の遷移部分186を第一の手元チャンネル158内に置き、第二の遷移部分188を第二の手元チャンネル159内に置き、第一及び第二のカテーテル110、130の、第一及び第二の遷移部分158、159から末端になる部分が末端チャンネル155に置かれるようにする。表側ハブ部分160は、蝶番151を中心に旋回され、閉じた姿勢になり、この表側ハブ部分160上のタブ172が裏側ハブ部分162のリセス174にスナップ・インして、ハブ150をカテーテル110、130に保持させるようにする。ハブ150は、すぐに縫合ウイング組立体157を縫合糸(図示せず)で縫合することにより、患者の皮膚に縫合される。これでカテーテル組立体100の挿入は、図12に示されるように完了する。
【0046】
最後に、トンネル24から尾のように延びているルエル・コネクタ198の開口が、血液透析ユニット又はその他の流体交換装置(図示せず)の各流体入口及び出口と流体連通のために取付けられ、透析が開始できる。
【0047】
カテーテル組立体100が患者に、イングロウス・カフ125が皮下トンネル24内に確保されるのに充分な時間にわたり挿入された後、縫合糸は縫合ウイング組立体157から切られても良い。ハブ150は、表側ハブ部分160のタブ172を裏側ハブ部分162のリセス174から外し、表側ハブ部分160を、蝶番151を中心に旋回させてハブ150を開く事で除去することができ、これらはハブ150をカテーテル組立体100のその他の部分から除去することになる。
【0048】
代わりの挿入方法において、カテーテル110、130は、そのカテーテル110、130の末端114、124をカテーテライズされる血管に挿入するに先立ち、皮下トンネル24を通じて引っ張られる。この方法では、カテーテル・トンネリング・アダプタ210がカテーテル110、130の末端114、134と接続され、トロカール214の尖った先端218が、皮下トンネル24の形成及びカテーテル・ルーメン110、130を、トンネル24を通じて引くのに使われる。トロカール214の尖った先端218は挿入サイト20に近接した皮膚から出る。トロカール214及びカテーテル・トンネリング・アダプタ210は除去され、カテーテル210、230の末端214、234は、上記したように切開口18内に挿入される。カテーテル110、130の血管への挿入に先立ち、又はその後、延伸管組立体113、133はカテーテル110、130の手元端111、131に接続されても良い。
【0049】
その広い発明概念から逸脱することなく上記した実施例に変更を加え得ることは、当該技術に熟達した者に認識されるだろう。それゆえ、本発明は開示した特定の実施例に限らず、添付の特許請求の範囲に定義されたように本発明の精神及び範囲内の改良にわたることを意図するものであることは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記要素を具備した複合カテーテル組立体:
a.第一の手元端領域、第一の末端チップで終点する第一の末端領域、及び第一の末端と第一の手元端開口との間を通じて前後方向に延びる少なくとも一つの第一のルーメンを定める外表面、を有する第一のカテーテル;
b.第二の手元端領域、第二の末端チップで終点する第二の末端領域、及び第二の末端と第二の手元端開口との間を通じて前後方向に延びる少なくとも一つの第二のルーメンを定める外表面、を有する第二のカテーテルであって、前記第一のルーメン及び第二のルーメンが、反対方向への同時の流れを容易にするため互いに独立している第二のカテーテル;
c.ここで、前記第一及び第二のカテーテルの外表面は、前記第一及び第二の末端チップと第一及び第二の手元端領域とが互いに少なくとも部分的に前後方向に裂けることを可能とするように離脱可能につながれている;及び
d.第一のカテーテル及び第二のカテーテルの手元端領域の各々に直接係合し且つ離脱可能に直接取付けられたハブであって、第一のカテーテルの第一の手元端部分の一部及び第二のカテーテルの手元端部分の一部がそれぞれ医療器具に接続されるために前記ハブを通り越して手元端側に伸びるように、前記第一のカテーテル及び第二のカテーテルの手元端領域に取り付けられたハブ。
【請求項2】
前記ハブが、第一及び第二のカテーテルの手元端領域に沿い前後方向に平行移動可能なものであり、かつ、前記第一及び第二のカテーテルの末端が分割可能な結合で結合された状態で前記第一及び第二のカテーテルを並列させるように構成された末端、及び前記第一のカテーテルと第二のカテーテルとを離すように構成された手元端を有するものである、請求項1に記載の複合カテーテル組立体。
【請求項3】
前記ハブが、患者に離脱可能に保持され得るものである、請求項2に記載の複合カテーテル組立体。
【請求項4】
更に、第一及び第二のルーメンの各々の末端領域と手元端領域との間で、第一及び第二のルーメンの外側に配置されたイングロウス・カフを含む、請求項2に記載の複合カテーテル組立体。
【請求項5】
前記ハブが、第一及び第二のルーメンの手元端領域とイングロウス・カフとの間で、前後方向に平行移動可能である、請求項4に記載の複合カテーテル組立体。
【請求項6】
前記組立体が更に、第一のカテーテルの手元端領域に離脱可能に接続された第一の延伸管、及び第二のカテーテルの手元端領域に離脱可能に接続された第二の延伸管を含む、請求項1に記載の複合カテーテル組立体。
【請求項7】
前記第一及び第二のカテーテルが、第一のカテーテルの外表面と第二のカテーテルの外表面との間に延びる、分割可能な結合によりつながれている、請求項1に記載の複合カテーテル組立体。
【請求項8】
前記分割可能な結合が接着剤を含むものである、請求項7に記載の複合カテーテル組立体。
【請求項9】
前記第一及び第二のカテーテルの各々が、概ね半円形断面を有し、前記第一のカテーテルが、概ね平らな側面を有し、前記第二のカテーテルが第一の平らな側面に並列された概ね平らな側面を有するものである、請求項7に記載の複合カテーテル組立体。
【請求項10】
第一及び第二のルーメンの手元端領域が概ね円形断面を有するものである、請求項9に記載の複合カテーテル組立体。
【請求項11】
前記分割可能な結合が、第一のカテーテルの概ね平らな第一の側面と、前記第二のカテーテルの概ね平らな第二の側面との間で前後方向に延び、且つ前記分割可能な結合が、前記複合カテーテル組立体を横切って測定した前記複合カテーテル組立体の外径より、有意に小さな断面長さを有するものである、請求項10に記載の複合カテーテル組立体。
【請求項12】
前記第一及び第二のカテーテルの手元端領域が、前記第一及び第二のルーメンの概ね円形の断面と第一及び第二のルーメンの概ね半円形の断面との間で遷移部分を含むものである、請求項11に記載の複合カテーテル組立体。
【請求項13】
前記分割可能な結合が手元端領域を含み、前記分割可能な結合の手元端領域が、前記第一及び第二のルーメンの概ね円形の断面と第一及び第二のルーメンの概ね半円形の断面との間の遷移部分と連続している、請求項12に記載の複合カテーテル組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−136706(P2009−136706A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28729(P2009−28729)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【分割の表示】特願2005−502193(P2005−502193)の分割
【原出願日】平成15年10月28日(2003.10.28)
【出願人】(500053263)メデイカル コンポーネンツ,インコーポレーテツド (36)
【Fターム(参考)】