説明

分配ヘッド

本願発明は、流体、特にビール又は水などの液体、のための容器(1)のバルブ(5)に接続されるための分配ヘッド(15)であって、前記分配ヘッド(15)がハウジング(16)及びプローブ(18)を備える分配ヘッド(15)に関する。前記プローブ(18)の遠位端部(24)は、前記プローブの静止部分及び/又はハウジング(16)から取り外される、又は分離でき、遠位端部(24)は、フレキシブルホース(26)に接続される、又は接続可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、流体、特にビール又は液体のための容器のバルブに接続されるための、カプラーとして言及される分配ヘッドであって、ハウジング及びプローブを備える分配ヘッドに関する。本願発明はまた、容器を備えているキットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、(特許文献1の図面において参照符号1及び25で示される)飲料分配アセンブリを開示し、飲料分配アセンブリは、軟質プラスチックの分配ライン(17,18)を収容するためのタップ(18、29;分配ヘッドとして誤って言及された)が設けられた分配装置(2、37)と、飲料、特に、炭酸飲料を含有している容器(7,27)と、を備え、使用中に、容器(7,27)は、分配ライン(17,28)に接続され、該分配ライン(17,28)は、タップ(18,29)に対する接続のための外側端部で、結合要素を有する。分配ラインは、炭酸飲料を含有している容器に永久的に接続されることができるが、容器に分離可能な接続のためのカプラーが設けられる場合もある。特許文献1に開示された発明は、実に少ないメンテナンスを必要とし、少ない清掃を必要とし、飲料のために比較的長い寿命とともに衛生環境を提供する飲料分配アセンブリを提供することである。
【0003】
フレキシブルホースは、分配ラインを頻繁に清掃する周知な代替物である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開2004/226967号明細書
【特許文献2】欧州特許第0 626 338号明細書
【特許文献3】国際公開第00/07902号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フレキシブルホースを備えているより一般的なシステムを提供することは、本願発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、本願発明による分配ヘッドは、プローブの遠位端部がプローブの静止部分及び/又はハウジングから取り外される、又は分離可能であり、遠位端部は、フレキシブルホースに接続される、又は接続可能であることを特徴とする。
【0007】
それ故に、フレキシブルホースが分配システムの分配ラインで適合され、遠位端部がプローブ及び/又はハウジングに取り付けられた後で、分配ヘッドは、既存の分配ヘッドと少なくとも実質的に同一の方法で容器に結合されることができる。
【0008】
本願発明はまた、流体、特にビール又は水などの液体のための容器であって、分配ヘッドに接続されるようにバルブを有している容器と、分配ヘッドの(不完全な)プローブに適合される要素と、前記要素に接続される、又は接続可能であるフレキシブルホースと、を備えているキットに関する。
【0009】
本願発明は次に、本願発明による分配ヘッドの実施形態を示す、図面を参照してより詳細に説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】流体のための容器の断面図である。
【図2】図1における容器のバルブ部分の断面図である。
【図3A】ちょうど容器にブローチングするより前の、従来技術による分配ヘッドの断面図である。
【図3B】容器にブローチングした後の、従来技術による分配ヘッドの断面図である。
【図4】本願発明によるプローブの断面図である。
【図5】図4に示されたプローブの遠位端部の平面図である。
【図6】図4に示されたプローブの遠位端部の断面図である
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面は、必ずしも縮尺及び詳細ではなく、本願発明を理解するために必要ではなく、省略される場合がある。さらに、少なくとも略同一であり、又は少なくとも略同一の機能を実行する要素は、同一参照符号によって示される。さらに、「上部」の用語、「下部」の用語、及び同様の用語は、図面に示された要素の方向に関する。
【0012】
図1は、流体、特に、圧力下のビール又はソフトドリンクなどの液体のための容器1を示し、該容器1は、中央開口部3を有する球形の耐圧外側ケース2と、外側ケース2の内側に配置された、例えばバッグなどの可撓性材料の気密内側ケース4と、容器1から液体をそれぞれ取り出している、液体で容器1、特に内側ケース4を満たすために中央開口部3に配置されたバルブ部分5と、を備える。
【0013】
この例において、外側ケース2は、ポリエステルの予備成形物、特に、PET(ポリエチレンテレフタレート)の予備成形物又はPEN(ポリエチレンナフタレート)の予備成形物をブロー成形することによって形成される。予備成形物の上部リブ7(図2)、(従って)外側ケース3における開口部3の上部リブ7は、それ自体が周知の方法でブロー成形中に予備成形物を保持するためのカラー8と、該カラー8の上には、以下に詳細に説明されるように、バルブ部分5とのスナップ嵌め接続を確立している1つ又は複数の環状上方先細リッジ9、例えば2つの環状上方先細リッジ9と、を備えている。
【0014】
その代わりに、外側ケースは、比較的厚い熱可塑性材料又はアルミニウムなどの金属からなる場合がある。その他の例として、外側ケースは、折り畳み可能であり、ブロー成形された熱可塑性材料、例えばPE又は、フィラメント巻外側補強部と、ラテックスバス(latex bath)にライナーを沈ませることによって得られたラテックスの外側層と、が設けられたゴム弾性ライナーからなる。さらなる他の適切なケースは、例えば、特許文献2に記載され、特許文献2は、参照によって本願明細書に組み込まれる。
【0015】
図2に示されるように、バルブ部分5は、外側ジャケット10、この例において、ガラス繊維強化ポリプロピレンから形成される外側ジャケット10と、外側ジャケット10の内側にスライド可能に受容される内側ジャケット11と、同様に内側ジャッケト11の内側にスライド可能に受容され、且つ複数の弾性フィンガ12Aを備える閉鎖要素12と、を備える。内側ジャケット11及び閉鎖要素は両方とも、PE又はPPなどのポリオレフィンから形成される。この種の好ましいバルブ部分はまた、特許文献3(特に、図4A及び図4Bとともに、8頁の12行目から以下に見られる)に開示されており、参照によって本願明細書に組み込まれる。
【0016】
図3A及び図3Bに見られるように、分配ヘッドのプローブは、バルブ部分5内に押し出され、内側ジャケット11は、内側ケース4から液体を放出するように、加圧されたガスを入れるための1つ又は複数の穴を設けている外側ジャケット10に対してスライドする。さらに、閉鎖要素12は、液体を外側に出すための開口部を設けている内側ジャケット11に対してスライドする。外側ジャケット10は、その底部において、好ましくは、製造を容易にするための別個の構成要素上に、複数の半径方向延在チャンネル、又は、この場合において通気溝13を備える。
【0017】
外側ジャケット10の内壁は、1つ又は複数の環状の、下向きに先細されたカウンターリッジ14(図2)、この例においては、2つの環状の、下向きに先細されたカウンターリッジ14を備える。それ故に、バルブ部分5は、適切な位置に外側ケース2を保持することによって、例えば、カラー8の下の半円状リングに対して、外側ジャケット10を配置することによって、好ましくは、上部リム7に亘って、60℃から80℃まで加熱した後で、カウンターリッジ14がリッジ9に亘って、外側ケースの上部リム7にスナップ嵌めするまで、バルブ部分5を下向きに押し、バルブ部分5を冷却することを可能にすることによって、外側ケース2に対して実質的に不可逆的にスナップ嵌めされることができる。
【0018】
内側ケース3は、気液密積層体の二重の軟質シートを備え、この例においては、気液密積層体の二重の多角形の軟質シートを備え、好ましくは、それらの縁部に沿って一緒にシールされた、例えば、溶着によってシールされた、シール層(例えば、PE又はPP)、バリア層(例えば、アルミニウム)、及び1つ又は複数のさらなる層(例えば、PA及び/又はPET)を備えている積層体を備える。図1に示されるように、内側ケース3は、開口部を備え、該開口部の周囲は、バルブ部分5の内側ジャケット上のフランジに対して溶着される。
【0019】
図3A及び図3Bは、先行技術による分配ヘッド15を示し、該分配ヘッド15は、バイオネット嵌め合い17によってバルブ部分5に結合されることができるハウジング16と、不可逆的に圧入され、一緒に接着される2つの金属部分からなり、且つハウジング16の内側にスライド可能に収容されるプローブ18と、ブローチング前(図3A)に、及びブローチング後(図3B)に、ハウジング16の内側にプローブ18をスライドするためのハンドル19と、を備えています。
【0020】
図4は、本願発明によるプローブ18を示し、該プローブ18は、図3A及び図3Bに示されるような分配ヘッドに装着されることができる。プローブ18は、貫通孔20と、上から下に向けて、ハンドル19の両側を受容するための接線方向のノッチ21と、Oリングを収納するためのプローブ18の円周面に関する環状ノッチ22と、非結合位置において、ハウジング16に対するプローブ18の軸方向位置を画定するためのストップ23と、を備える。
【0021】
プローブ18の遠位端部24、すなわち、分配ヘッド15を操作する人から離隔して面し、且つ容器に接続されると、容器1に向けて面する端部は、プローブ18の静止部分から取り外し可能である。この端部に対して、遠位端部24の示された実施形態は、PE又はPPなどのポリマーからなり、貫通孔20の内径を僅かに超える外径、例えば5%超える外径を有する円筒状の中央ジョイント25(図6に見られる)を備え、それ故に、遠位端部24がプローブ18の静止部分に締め付けられることを可能にする。
【0022】
この構成構成(24)をプローブの静止部分に取り付ける他の適切な方法は、それに限定されることがないが、構成要素及びプローブの両方にねじ、及びプローブに要素を可逆的にスナップ嵌めすることを含み、例えば、構成要素上の環状ノッチ又は突出環状リムによって、又は一の部分上に2つ又はそれ以上の弾性フィンガ及び他の部分上に対応する凹みによって、プローブに要素を可逆的にスナップ嵌めすることを含む。
【0023】
フレキシブルホース26は、ポリエチレン又は低密度ポリエチレン(LDPE)などのポリオレフィンから形成され、例えば6mmの外径を有し、この例において、前記中央ジョイント25におけるフレキシブルホース26の一端を締め付けることによって、遠位端部に接続される。この目的のために、フレキシブルホース26の端部の外径は、中央ジョイント25の内径を超えている。フレキシブルホース26と遠位端部24との間にシールの気密性をさらに高めるために、中央ジョイント25には、その内壁に沿って、弾性リング27が設けられる。代替的には、遠位端部及びフレキシブルホース26は、完全な一体部を形成し、又は例えば溶着又は接着によって、不可逆的に接続される。
【0024】
遠位端部24は、その周囲に沿って、シール、例えば弾性リング28をさらに備え、分配ヘッド15を容器1に結合すると、弾性リング28は、容器1における流体から分配ヘッド15を密閉する。それ故に、システムの分配ライン又は分配ヘッドの再利用可能な任意の部品は、流体が容器から分配される状態で、接触状態とならず、又は別の表現で言うと、分配中に、接触状態になる全ての部品は、別々に分離可能でなく、又は清掃されることができない。遠位端部及びシールは、例えば、2コンポーネント射出成形(two component injection molding)によって、形成される場合がある。
【0025】
フレキシブルホース26が一度以上使用されることを防止するために、遠位端部24は、分配ヘッド15を容器1に取り付けると、プローブ18の遠位端部24と容器1との間に確立された接続が、プローブ18の遠位端部24とプローブの静止部分との間の接続より強くなるように設計される場合がある。この場合において、分配ヘッド15が容器1から取り除かれる場合、遠位端部は、プローブの静止部分から分離される状態になり、フレキシブルホース26とともに、容器1上に残る。この種類の接続は、遠位部分の幾何学形状を変化させることによって、例えば、遠位端部24の固定表面29の(遠位端部24の中心軸30に対する)角度を増加させることによって、閉鎖要素12のフィンガ12Aと相互作用する遠位端部24の外径を増加させることによって、得られる場合がある。
【0026】
本願発明は、特許請求の範囲の技術的範囲における複数の方法において変えることができる上述された実施形態に制限されない。例えば、本願発明が特定の種類の分配ヘッド、例えば、図2、3、及び4に示されるようなLWC型と称されるタル取付具(keg fitting)とともに使用するための分配ヘッドを参照して図示されるけれども、本願発明はまた、同様にS型、D型、A型、又はG型のインターフェースとしてそれぞれ言及される、ヨーロッパサンキー型のタル取付具又はアメリカサンキー型(European or American Sankey)のタル取付具、ドイツスライド式タル取付具又はグランディ型(Grundy)のタル取付具のための分配ヘッドなどの、他の一般的に入手可能な分配ヘッドとともに使用するために適切である。
【符号の説明】
【0027】
1 容器
2 外側ケース
3 中央開口部
4 気密内側ケース
5 バルブ部分
7 上部リブ
8 カラー
9 環状上方先細リッジ
10 側ジャケット
11 内側ジャケット
12 閉鎖要素
12A 弾性フィンガ
13 通気溝13
14 カウンターリッジ
15 分配ヘッド
16 ハウジング
17 バイオネット嵌め合い
18 プローブ
19 ハンドル
20 貫通孔
21 接線方向ノッチ
22 環状ノッチ
23 ストップ
24 遠位端部
25 中央ジョイント
26 フレキシブルホース
27 弾性リング
28 弾性リング
29 固定表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体、特にビール又は水などの液体のための容器のバルブ(5)に接続されるための分配ヘッド(15)であって、
前記分配ヘッド(15)は、ハウジング(16)及びプローブ(18)を備え、
前記プローブ(18)の遠位端部(24)は、前記プローブの静止部分及び/又は前記ハウジング(16)から切り離される、分離可能であり、ハウジング(16)及び遠位端部(24)は、フレキシブルホース(26)に接続される、接続可能であることを特徴とする分配ヘッド(15)。
【請求項2】
前記遠位端部(24)は、締付、螺合、又はスナップ嵌めによって、前記プローブ(18)の静止部分に取り付けられる、又は取付可能であることを特徴とする請求項1に記載の分配ヘッド(15)。
【請求項3】
前記分配ヘッド(15)を容器(1)に結合すると、前記プローブ(18)の前記遠位端部(24)と前記容器(1)との間に確立された接続は、前記プローブ(18)の前記遠位端部(24)と前記プローブの静止部分との間の接続より強くなることを特徴とする請求項1又は2に記載の分配ヘッド(15)。
【請求項4】
前記遠位端部(15)は、シール(28)を備え、
前記分配ヘッド(15)を容器(1)に結合すると、前記シール(28)は、前記容器(1)内で流体から前記分配ヘッド(15)を密閉することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の分配ヘッド(15)。
【請求項5】
前記遠位端部(15)と前記フレキシブルホース(26)とは、完全な一体部を形成する、又は、不可逆的に接続されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の分配ヘッド(15)。
【請求項6】
前記遠位端部(24)は、前記遠位端部(24)に前記フレキシブルホース(26)を摩擦嵌めするためのホースジョイント(25)を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の分配ヘッド(15)。
【請求項7】
前記遠位端部(24)は、ポリマー材料から形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の分配ヘッド(15)。
【請求項8】
前記遠位端部(24)は、ヨーロッパサンキー型のタル取付具又はアメリカサンキー型のタル取付具、ドイツスライド式タル取付具、又はグランディ型のタル取付具、LWC型タル取付部で使用されるように、プローブの遠位端部として形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の分配ヘッド(15)。
【請求項9】
流体、特にビール又は水などの液体のための容器(1)であって、分配ヘッド(15)に、好ましくは、請求項1〜8のいずれか一項に記載の分配ヘッド(15)に接続されるようにバルブ(5)を有している容器(1)と、
前記分配ヘッド(15)のプローブ(18)に装着される要素(24)と、
前記要素(24)に接続される、又は接続可能であるフレキシブルホース(26)と、
を備えていることを特徴とするキット。
【請求項10】
分配ヘッド(15)、好ましくは、請求項1〜8のいずれか一項に記載の分配ヘッド(15)のプローブ(18)に装着される要素(24)と、
前記要素(24)に接続される、又は接続可能であるフレキシブルホース(26)と、
を備えていることを特徴とするキット。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5−6】
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【公表番号】特表2011−501720(P2011−501720A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515467(P2010−515467)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058425
【国際公開番号】WO2009/007270
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(510007115)
【Fターム(参考)】