分離ユニット
【課題】 小型でメンテナンスが容易な水洗トイレの主に固体及び主に液体の分離装置を提供する。
【解決手段】 便器と、便器から屎尿及び洗浄水を排出する該便器に接続された管と、該管の排出口に接続された固液分離ユニットと、を含む水洗トイレにおいて、前記管は管中の屎尿又は洗浄水を検出するセンサを含んでよい。前記分離ユニットは、前記管から排出された屎尿及び洗浄水の混合物を受け入れるチャンバーと、該チャンバーに入った屎尿及び洗浄水の混合物を主に液体及び主に固体に分離するフィルタと、該フィルタにより分離された主に固体を排出する第1の排出口と、該フィルタにより分離された主に液体を排出する第2の排出口を含む。このような分離ユニットは、前記センサの信号に応じて、前記チャンバーの容積を変化させることにより、屎尿及び洗浄水を主に固体及び主に液体に分離する。
【解決手段】 便器と、便器から屎尿及び洗浄水を排出する該便器に接続された管と、該管の排出口に接続された固液分離ユニットと、を含む水洗トイレにおいて、前記管は管中の屎尿又は洗浄水を検出するセンサを含んでよい。前記分離ユニットは、前記管から排出された屎尿及び洗浄水の混合物を受け入れるチャンバーと、該チャンバーに入った屎尿及び洗浄水の混合物を主に液体及び主に固体に分離するフィルタと、該フィルタにより分離された主に固体を排出する第1の排出口と、該フィルタにより分離された主に液体を排出する第2の排出口を含む。このような分離ユニットは、前記センサの信号に応じて、前記チャンバーの容積を変化させることにより、屎尿及び洗浄水を主に固体及び主に液体に分離する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は屎尿等を分離する分離ユニットに関し、さらに詳細には、バイオ処理を行うトイレに用いる分離ユニットに関する。また、このトイレは、水洗トイレを含むことができ、屎尿や水等の混合物を主に固体及び主に液体に分離する分離ユニットに関し、この分離ユニットを用いるトイレにも関する。
【背景技術】
【0002】
近年トイレ は、住宅では自家用浄化槽で浄化した後一般下水へ流す形式から公共下水道の整備によって本格的な水洗トイレ が普及している。一方、レジャーキャンプや屋外作業などにおいて、特別なメンテナンスを必要とする事もなく、糞尿(又は屎尿)をバイオ処理するトイレが開発されている(例えば、特許文献1から3)。この様な簡易トイレは、手軽に運搬できしかも携帯できる利点からレジャーボートや屋外作業などにおいて、多く使用される傾向にある。
【0003】
一方、簡易型の水洗トイレでは、処理槽を複数設け、沈殿等により固液分離を行った後、液体成分を適宜処理して、更に水洗用の水として再利用している(例えば、特許文献4)。
【特許文献1】特開2000−308599号公報
【特許文献2】特開2001−120460号公報
【特許文献3】特開2001−204651号公報
【特許文献4】特開2000−257133号公報
【0004】
しかしながら、バイオ処理する簡易トイレ等では、使用後毎回水洗できるほどの洗浄水を使用することができず、また、簡易型の水洗トイレでは、屎尿の処理装置が大きくなる欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような問題点に鑑みて、本発明では、小型の屎尿の処理装置を備えるトイレに用いられる分離ユニットを提供する。また、このような分離ユニットを備えるトイレを提供する。これらのトイレは水洗トイレを含む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述のようにここでいうトイレは、水洗トイレを含み、屎尿のバイオ処理を行う小型な水洗トイレを含むことができる。このようなトイレは、便器と、便器から屎尿や水(例えば水洗水)を排出する該便器に接続された管と、該管の出口に接続された分離ユニットと、を備えてよい。また、前記管は、管中の屎尿又は洗浄水を検出するセンサを含むことができる。前記分離ユニットは、前記管から排出された屎尿及び水の混合物を受け入れるチャンバーと、該チャンバーに入った屎尿及び洗浄水の混合物を主に液体及び主に固体に分離するフィルタと、該フィルタにより分離された主に固体を排出する第1の排出口と、該フィルタにより分離された主に液体を排出する第2の排出口を含むことができる。そして、トイレを使用した後、水栓を開ければ、水が流れ出し、屎尿を水洗する。このとき、前記センサが屎尿又は洗浄水を検出し、信号を発し、この信号に応じて、前記チャンバーの容積を変化させることを特徴とすることができる。
【0007】
より具体的には、以下のものを提供する。
【0008】
(1) 屎尿や水等からなる混合物を固形物及び液状物に分離する分離ユニットであって、 該混合物が導入される開口と、 該混合物を一時的に保持するチャンバーと、 該混合物のうち主に固形物を排出する第1の排出口と、 該混合物のうち主に液状物を排出する第2の排出口と、 前記チャンバーと前記第2の排出口の間に配置され、液状物を透過するフィルタと、 前記第1の排出口を開閉可能な蓋と、を含み、 前記チャンバーの容積を変化させて固形物及び液状物に分離する分離ユニット。
【0009】
(2) 前記第1の排出口は、前記混合物中の液状物の30から70%を排出することを特徴する上記(1)記載の分離ユニット。
【0010】
(3) 前記開口は、前記第1又は第2の排出口よりも高い位置に配置されていることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の分離ユニット。
【0011】
(4) 前記フィルタは、チャンバー側に、粗いメッシュ状フィルタを含むことを特徴とする上記(1)から(3)のいずれかに記載の分離ユニット。
【0012】
(5) 前記フィルタは、前記チャンバーの容積を変化させるように移動する可動壁に取り付けられていることを特徴とする上記(1)から(4)のいずれかに記載の分離ユニット。
【0013】
(6) 前記開口から前記混合物が導入され始めるときに前記蓋は閉じられた状態で前記チャンバーの容積が実質的に最大であり、 前記混合物が前記チャンバーに保持されると前記チャンバーの容積は小さくなり、 所定の時間後若しくは所定量の液状物の前記チャンバー外への排出の後に、前記蓋が開き主に固形物が前記第1の排出口から排出されることを特徴とする上記(1)から(5)のいずれかに記載の分離ユニット。
【0014】
(7) 前記蓋の開閉、前記チャンバーの容積の変化を制御する制御部を更に備えることを特徴とする上記(1)から(6)のいずれかに記載の分離ユニット。
【0015】
(8) 前記混合物が導入されることを感知するセンサを更に含み、 前記制御部は、該センサからの信号を基に制御を行うことを特徴とする上記(1)から(6)のいずれかに記載の分離ユニット。
【0016】
(9) 便器と、便器から屎尿及び洗浄水を排出する該便器に接続された管と、該管の排出口に接続された分離ユニットと、を含む水洗トイレにおいて、 前記管は、管中の屎尿又は洗浄水を検出するセンサを含み、 前記分離ユニットは、前記管から排出された屎尿及び洗浄水の混合物を受け入れるチャンバーと、該チャンバーに入った屎尿及び洗浄水の混合物を主に液体及び主に固体に分離するフィルタと、該フィルタにより分離された主に固体を排出する第1の排出口と、該フィルタにより分離された主に液体を排出する第2の排出口を含み、 前記センサの信号に応じて、前記チャンバーの容積を変化させることを特徴とする水洗トイレ。
【0017】
(10) 前記第1の排出口は、前記チャンバーの容積変化に応じて開閉する蓋を備えることを特徴とする上記(9)記載の水洗トイレ。
【0018】
(11) 前記チャンバーは、実質的に直方体の容積と、該容積の底面を備え、該底面は、垂直面に対し60度から80度の角度で傾斜することを特徴とする上記(9)又は(10)記載の水洗トイレ。
【0019】
(12) 前記分離ユニットは、前記屎尿及び洗浄水の混合物中の液体成分の約50%を、分離する前記主に固体の中に含ませることを特徴とする上記(9)から(11)のいずれかに記載の水洗トイレ。
【0020】
本分離ユニットでは、混合物中の液状物(主に洗浄水や尿等)を所定量、固形物と共に排出することが好ましい。バイオ処理において水分が重要な意味を有するからである。従って、用いるバイオ処理用の微生物により適宜選択されてよい。一般に、上記所定量は、より好ましくは40から60%である。
【0021】
本分離ユニットでは、重力を利用することができる。即ち、混合物をポンプで汲み上げる必要がなく、また、分離された液状物や固形物も重力によってそれぞれの排出口から排出される。また、流れ出る水の勢いで屎尿を押し流すため、水の量も適量であることが好ましい。このときチャンバーの容積の変化も重力を利用して行うことができる。即ち、該チャンバーの少なくとも1つの壁部が重力によって移動するように構成できる。例えば、水平面から傾いて、斜めに設置されたチャンバーの底面に配置されたレール上を移動可能にチャンバーの1の壁部(縦壁)が配置された場合を考える。重力により最下点に該1の壁部があり、このときチャンバーの容積が最大となる。例えば、電磁石の吸引力により、この1の壁部が引き寄せられ、レール上を移動し(上に上がり)、チャンバーの容積が小さくなる。そして、電磁石の吸引力がなくなると、重力によりこの1の壁部がレール上を移動し(下に下がり)、再びチャンバーの容積が最大になる。この電磁石以外に、電気的な、機械的な、その他の機構により、上述と同様なことを行い得る。例えば、ばね等による駆動である。
【0022】
また、重力はもっぱら混合物の流れを付勢する(助ける)ものとすることもできる。このときは、前記1の壁部の移動は、ばね及び/又はギアを用いた機械式のもので行うことも可能である。
【0023】
ここでメッシュ状フィルタの例として例えば金網を上げることができる。チャンバー側から第2の排出口に向けて目の粗さがより細かくなるように複数のフィルタを重ねることができる。不要な目詰まりを防ぐためである。また、フィルタは、複数箇所に設けることができ、例えば、前記1の壁部のみならず、チャンバーの上面部等に配置することもできる。このような位置に配置した場合、容積変化と連動して、排出圧を制御することも可能である。
【0024】
ここで前記制御部は、機械的なもの、電気的なものを含んでよく、例えば、シーケンサやマイコンなどデジタルによる制御を含んでよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、小型でメンテナンスが容易な水洗トイレを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に本発明の実施例を図面に基づいてより詳しく説明する。
【0027】
図1は、トイレ本体11と固液分離装置22(固液分離ユニットに含まれてよい)とからなる、トイレ主要部10を模式的に示したものである。このトイレは水洗式であるため、便器12への洗浄水の供給ラインを有するが、簡単のためこの図では省略している。
【0028】
トイレ本体11は、基準面となる床13に設置され、トイレ本体11の外枠の中に陶器製の便器12がはめ込まれている。その便器12の上には、蓋11aがヒンジ部11bによって開閉可能に設置されている。便器12の底部には、排泄物や洗浄水等を排出する配水管14がほぼ垂直に設けられ、この配水管14は、通常の排水管と同様S字状に屈曲し、必要な水を配水管14に保持できるようになっている。このS字状屈曲部の先をほぼ垂直に延びる管には、排水検知センサ16が備えられている。このセンサとしては、配管中にある水等の液体及び/又は固形物を検知できる如何なる公知のセンサを用いることができ、例えば、光学的センサ、磁気的センサ、振動センサ等を用いることができる。光学式センサでは、該管内部を観察し、屎尿等の通過と共に、その透過度が変化することにより検出するセンサを含むことができる。
【0029】
上記配管は、フランジ18で、固液分離装置22の入口に接続される配管19とフランジ接合される。このフランジ18は、容易に脱着できるので、メンテナンスのため等、必要に応じ、固液分離装置22を脱離させるために用いることができる。固液分離装置22は、その底面が垂直面(例えば、床13に垂直な面)に対して60から80度となるように、設置されることができる。この固液分離装置22の底面には、開口26があり、該開口26を開閉する蓋28が備えられている。この蓋28が開けば、配管19の端部の開口20から導入される屎尿等を、以下に詳しく説明するように排出管31へと排出することができる。排出管31は、バイオタンク150(図7参照)に接続されており、排出された屎尿等が投入される。
【0030】
固液分離装置22は、開口20から導入される屎尿等が入るチャンバー24が設けられる。チャンバー24は、その上面に固液分離のためのフィルタ30と、後述するように移動可能な奥壁32と、固液分離装置22の両側の内壁によって規定される。固液分離装置22の前壁には、配管19の近傍に電磁石34が設けられ、奥壁32の上部スライド部に配置された相手の永久磁石33が設けられている。後述するような手順で、電磁石34が作用され、チャンバー24の容積を縮小させることにより、フィルタ30による固液分離を円滑に行うことができる。即ち、上部に設けられたフィルタ30から押し出された液体は、図中右下へと流れ、排出管36へと流れ、固液分離装置22から排出される。その後、電磁石に加えられた電圧が解除され、奥壁32は、自重により図中右下へと移動し、チャンバー24の容積が大きくなる。
【0031】
図2は、固液分離装置22の内部を示す部分破断斜視図である。チャンバー24の上面に設けられたフィルタ30は、金属製の網、紙若しくは布製のフィルタ紙からなる複合フィルタカートリッジで、必要に応じて交換可能に設計されている。このフィルタ30の下面を奥壁32の上辺がスライド可能に設計されている。該上辺の手前側には、永久磁石33が設けられており、固液分離装置22の前壁に設けられた電磁石34により引き寄せられる。このとき、奥壁32の下辺の両端の突起は、ガイド溝35(右側は図示されない)に沿ってスライドする。
【0032】
図2では、図解をわかり易くするため、開口26の蓋28は開いた状態になっているが、配管19の端部の開口20から屎尿等が導入されるときは閉じた状態で、奥壁32は前壁から最も遠い位置にある。そして、電磁石34により、永久磁石33が引き寄せられ、奥壁32が図中左へと移動し、チャンバー24の容積が狭くなり、導入された屎尿等のうち液体がフィルタ30を透過し、その表面に沿って図中右側に流れ、排出管36を通って、固液分離装置22外に出ていく。
【0033】
この図では、開口26は、チャンバー24の前側に設けられているが、これに限らず、より後ろに配置することもできる。また、左右の位置も問わない。混合物中の液状物の約半分を含んで該開口26から主に固形物を排出できるのであれば、特に位置はこだわる必要はないと考えられる。チャンバー24の形状は、ほぼ矩形であるが、これに限られるものではなく、円筒状でもよい。
【0034】
図3は、別の実施例であるトイレ主要部10’を図解する。トイレ主要部10’は、トイレ本体11と固液分離装置22’とからなり、トイレ本体11は、上記実施例と同様に配水管14に接続され、洗浄水と共に屎尿が排出される。固液分離装置22’は、フィルタ30’と、奥壁32’と、固液分離装置22’の両側壁によって規定されるが、上述の実施例と異なり、チャンバー24’の容積は変化しない。固液分離装置22’の底面には開口26があり、それを開閉する蓋28がヒンジ部により回動自在に取り付けられている。
【0035】
導入された屎尿等は、フィルタ30’を通過する液体と、通過しない主に固体部分とに分離され、液体は排出管37を介して浄化システムへと移動し、主に固体部分は、開口26からバイオタンクへと移動する。
【0036】
図4は、更に別の実施例であるトイレ主要部10’’を図解する。トイレ主要部10’’は、トイレ本体11と固液分離装置22’’とからなり、トイレ本体11は、上記実施例と同様に配水管14に接続され、洗浄水と共に屎尿が排出される。固液分離装置22’’は、フィルタ30’と、奥壁32’と、固液分離装置22’’の両側壁によって規定されるが、最初の実施例と異なり、チャンバー24’の容積は変化しない。固液分離装置22’’の底面には開口26’があり、蓋29がスライドするこことにより、バイオタンクに通じる管27への開閉を行う。
【0037】
上述と同様、導入された屎尿等は、フィルタ30’を通過する液体と、通過しない主に固体部分とに分離され、液体は排出管37を介して浄化システムへと移動し、主に固体部分は、開口26からバイオタンクへと移動する。
【0038】
図5は、トイレ主要部10の制御系を図解する。トイレ主要部10は、CPUを有するコントロールユニット110によって制御される。コントロールユニット110は、センサ16からの信号をセンサユニット112を介して受信し、排水を検知すると遅れ時間後に電磁装置114を作用させ、奥壁32をスライドさせた後、遅れ時間後、ドアユニット116を作用させ、蓋28を開放して、主に固体部分を開口26からバイオタンクに移動させる。
【0039】
図6は、トイレ主要部10の動作を表すフローチャートである。センサ16の信号を待って、信号が入ると(S10)、遅れ時間後(S12)、電磁石34の電源をONし、奥壁32をスライドさせる(S14)。そして、所定の遅れ時間後(S16)、蓋28を開ける信号を送信し(S18)、蓋28を開放する。所定時間後(S20)、電磁石の電源をOFFとし(S22)、奥壁32を自重によりガイド溝35に沿ってスライドさせ、チャンバー24の容積を拡大させる。所定時間後(S24)、蓋28を閉じて(S26)、リターンされる。
【0040】
ここで、奥壁32のスライドや蓋28の開閉は、固液分離が好ましく行われるように制御される。即ち、洗浄水を含む屎尿等の液体の約50%が固体部分と共にバイオタンク150(図7)へと導入されるように制御される。バイオタンク150では、バイオ処理において所定の水分量を確保することが好ましいからである。また、固液分離装置22の設置角度も、電磁石34をOFFしたときに奥壁32が自重で元の位置に戻るように、そして、洗浄水を含む屎尿等の液体の約50%が固体部分と共にバイオタンク150(図7)へと導入されるように設定される。より具体的には、固液分離装置22は、垂直面から60から80度の角度で取り付けることがより好ましい。尚、バイオタンク150の微生物の活動を継続的に活発に行わせることが好ましく、そのために、これら微生物の活動を阻害するような成分(例えば、殺菌成分)を、洗浄水等に含ませておかないことが好ましい。
【0041】
図7は、トイレ主要部10を含む、トイレシステム全体200を図解する。トイレ主要部10は、上述したような構成からなっているが、固液分離装置22の下には、排出管31が配置され、バイオタンク150に接続される。バイオタンク150は、主に固体成分を受けるが、適量の水分も同時に受けることが好ましい。固液分離装置22で分離された液体は、排出管36を通り、更に管302を経由して、バッファとしての貯留槽304に蓄えられる。
【0042】
貯留槽304に一旦蓄えられた液体は、ポンプ306により最適量ずつ汲み上げられ、供給管308から、液体浄化装置300へと投入される。左側の一連のフィルタユニットで濾された液体は、ポンプ(図示せず)により再度汲み上げられ、右側の一連のフィルタユニットで処理される。右側の処理済液は、配管380を通って、光触媒等による更なる浄化槽390へと導かれる。この浄化槽390で処理された液体は、ポンプ392により汲み上げられ、トイレ本体11を洗浄する洗浄水のタンク402に投入される。
【0043】
タンク402には、洗浄水を含む屎尿等の処理により減少した液体を補うための水のタンク400が接続され、常時不足した水をタンク402に補うようにしている。タンク402の洗浄水は、バルブ450の開閉により、適宜、便器12の洗浄用に用いられる。
【0044】
図8は、異なるフィルタを用いた別の実施例である分離ユニットを図解する。上述と同様に固液分離装置22の入口に接続される配管19はフランジ18を持つ。このフランジ18は、容易に脱着できるので、メンテナンスのため等、必要に応じ、固液分離装置22を脱離させるために用いられる。固液分離装置22は、その底面が垂直面(例えば、床13に垂直な面)に対して60から80度となるように、設置されている。この固液分離装置22の底面には、開口26があり、該開口26を開閉する蓋28が備えられている。この蓋28が開けば、配管19の端部の開口20から導入される屎尿等を、上述した実施例の説明と同様に排出管31へと排出することができる。排出管31は、バイオタンク(図7参照)に接続されており、排出された屎尿等が投入される。
【0045】
固液分離装置22は、開口20から導入される屎尿等が入るチャンバー24が設けられる。チャンバー24は、その上面の固液分離のためのフィルタ30と、後述するように移動可能な奥壁に設置されたフィルタ32a、32b、32cと、固液分離装置22の両側壁によって規定される。固液分離装置22の前壁には、配管19の近傍に電磁石34が設けられ、奥壁32の上部スライド部に配置された相手の永久磁石33が設けられている。上述した手順で、電磁石34が作用され、チャンバー24の容積を縮小させることにより、フィルタ30及びフィルタ32a、32b、32cによる固液分離を更に円滑に行うことができる。即ち、上部に設けられたフィルタ30から押し出された液体は、図中右下へと流れ、排出管36へと流れ、固液分離装置22から排出される。一方、下部に設けられたフィルタ32a、32b、32cから自重より及び/又は容積変化に伴う圧力により濾過された液体は、図中右下へと流れ、排出管36へと流れ、固液分離装置22から排出される。ここで、フィルタ32aはいわゆる金網のようなメッシュ状のフィルタであり、フィルタ32b、32cは、それぞれ布製のより目の細かい(32bの方が32cより粗い)フィルタである。その後、電磁石に加えられた電圧が解除され、奥壁32は、自重により図中右下へと移動し、チャンバー24の容積が大きくなる。
【0046】
図9は、電磁石に代えてばねを用いた別の実施例である分離ユニットを図解する。図8との違いは、電磁石ではなくばね34aを用いたことである。容積を小さくするときは、ラッチ機構により止められていた奥壁を開放し、ばねの引っ張り力により奥壁を引き上げ、それと共に設置されたフィルタ32a、32b、32cを上に移動させる。固形物を排出した後は、レール(図2の35参照)に設置された、ウォームギア等による機械的な機構によって奥壁を押し下げ、容積が最大となる位置に再配置する。このため、機械装置及びその制御装置を含むことができる。
【0047】
図10は、固液分離装置22の底部開口26が、対応する導入管156の開口154と結合するようすを、円筒形の外殻152の一部を切り出すことにより示している。この図では、便器等から排出される屎尿等が投入されるための配管は省略してある。固液分離装置22は、フィルタ(図示せず)等により、主に液体及び主に固形物を分離し、主に液体を排出管36へと排出し、主に固形物を開口26から開口154へと、そして、導入管156を介して、バイオ処理装置150内に導入する(蓋28は簡単のため、図示せず)。このとき、固液分離装置22は、斜めに設置されているため、液体は重力により排出管36へと排出され易く、好ましい量の液体を含む主に固形物が前記開口26より、バイオ処理装置150へと落下するのである。
【0048】
図11は、別の固液分離装置22’’’を備えたバイオ処理装置150を側面視(一部断面視)で示している。便器等からの洗浄水を含む屎尿等が通る配水管14は、フランジ18aにおいて、固液分離装置22’’’へと導入する配管19のフランジ18bとフランジ接続される。前記屎尿等が固液分離装置22’’’内に投入されると、フィルタ30a、金属メッシュ30b、紙フィルタ30c、より細かい紙フィルタ30dにより液体が分離され、排出管36へと排出される。残った主に固形物(適正量の液体を含む)は、開口26から導入管156を通って、バイオ処理装置150に投入される。尚、ここでは、簡単のため、蓋28は図示しない。
【0049】
図からわかるように固液分離装置22’’’が適切な角度で設置されているため、金属メッシュやフィルタ等(30a、30b、30c、30d)を適宜選択することにより、適切な量の液体を含む主に固形物が、バイオ処理装置150に入ることとなる。
【0050】
以上説明してきたように、本発明では、小型の屎尿の処理装置を備える、効率的に屎尿等を効率的に処理できる水洗トイレを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】水洗トイレ主要部の概略図である。
【図2】図1に示す固液分離装置の部分破断斜視図である。
【図3】別の水洗トイレ主要部の概略図である。
【図4】更に別の水洗トイレ主要部の概略図である。
【図5】水洗トイレシステムのコントロールシステムの模式図である。
【図6】水洗トイレ主要部の動作を説明するフローチャートである。
【図7】図1等の水洗トイレ主要部を用いた水洗トイレシステムを示す概略図である。
【図8】更に別の固液分離装置の概略図である。
【図9】更に別の固液分離装置の概略図である。
【図10】更に別の固液分離装置の取付け状態を示す概略図である。
【図11】更に別の固液分離装置の取付け状態を示す概略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は屎尿等を分離する分離ユニットに関し、さらに詳細には、バイオ処理を行うトイレに用いる分離ユニットに関する。また、このトイレは、水洗トイレを含むことができ、屎尿や水等の混合物を主に固体及び主に液体に分離する分離ユニットに関し、この分離ユニットを用いるトイレにも関する。
【背景技術】
【0002】
近年トイレ は、住宅では自家用浄化槽で浄化した後一般下水へ流す形式から公共下水道の整備によって本格的な水洗トイレ が普及している。一方、レジャーキャンプや屋外作業などにおいて、特別なメンテナンスを必要とする事もなく、糞尿(又は屎尿)をバイオ処理するトイレが開発されている(例えば、特許文献1から3)。この様な簡易トイレは、手軽に運搬できしかも携帯できる利点からレジャーボートや屋外作業などにおいて、多く使用される傾向にある。
【0003】
一方、簡易型の水洗トイレでは、処理槽を複数設け、沈殿等により固液分離を行った後、液体成分を適宜処理して、更に水洗用の水として再利用している(例えば、特許文献4)。
【特許文献1】特開2000−308599号公報
【特許文献2】特開2001−120460号公報
【特許文献3】特開2001−204651号公報
【特許文献4】特開2000−257133号公報
【0004】
しかしながら、バイオ処理する簡易トイレ等では、使用後毎回水洗できるほどの洗浄水を使用することができず、また、簡易型の水洗トイレでは、屎尿の処理装置が大きくなる欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような問題点に鑑みて、本発明では、小型の屎尿の処理装置を備えるトイレに用いられる分離ユニットを提供する。また、このような分離ユニットを備えるトイレを提供する。これらのトイレは水洗トイレを含む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述のようにここでいうトイレは、水洗トイレを含み、屎尿のバイオ処理を行う小型な水洗トイレを含むことができる。このようなトイレは、便器と、便器から屎尿や水(例えば水洗水)を排出する該便器に接続された管と、該管の出口に接続された分離ユニットと、を備えてよい。また、前記管は、管中の屎尿又は洗浄水を検出するセンサを含むことができる。前記分離ユニットは、前記管から排出された屎尿及び水の混合物を受け入れるチャンバーと、該チャンバーに入った屎尿及び洗浄水の混合物を主に液体及び主に固体に分離するフィルタと、該フィルタにより分離された主に固体を排出する第1の排出口と、該フィルタにより分離された主に液体を排出する第2の排出口を含むことができる。そして、トイレを使用した後、水栓を開ければ、水が流れ出し、屎尿を水洗する。このとき、前記センサが屎尿又は洗浄水を検出し、信号を発し、この信号に応じて、前記チャンバーの容積を変化させることを特徴とすることができる。
【0007】
より具体的には、以下のものを提供する。
【0008】
(1) 屎尿や水等からなる混合物を固形物及び液状物に分離する分離ユニットであって、 該混合物が導入される開口と、 該混合物を一時的に保持するチャンバーと、 該混合物のうち主に固形物を排出する第1の排出口と、 該混合物のうち主に液状物を排出する第2の排出口と、 前記チャンバーと前記第2の排出口の間に配置され、液状物を透過するフィルタと、 前記第1の排出口を開閉可能な蓋と、を含み、 前記チャンバーの容積を変化させて固形物及び液状物に分離する分離ユニット。
【0009】
(2) 前記第1の排出口は、前記混合物中の液状物の30から70%を排出することを特徴する上記(1)記載の分離ユニット。
【0010】
(3) 前記開口は、前記第1又は第2の排出口よりも高い位置に配置されていることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の分離ユニット。
【0011】
(4) 前記フィルタは、チャンバー側に、粗いメッシュ状フィルタを含むことを特徴とする上記(1)から(3)のいずれかに記載の分離ユニット。
【0012】
(5) 前記フィルタは、前記チャンバーの容積を変化させるように移動する可動壁に取り付けられていることを特徴とする上記(1)から(4)のいずれかに記載の分離ユニット。
【0013】
(6) 前記開口から前記混合物が導入され始めるときに前記蓋は閉じられた状態で前記チャンバーの容積が実質的に最大であり、 前記混合物が前記チャンバーに保持されると前記チャンバーの容積は小さくなり、 所定の時間後若しくは所定量の液状物の前記チャンバー外への排出の後に、前記蓋が開き主に固形物が前記第1の排出口から排出されることを特徴とする上記(1)から(5)のいずれかに記載の分離ユニット。
【0014】
(7) 前記蓋の開閉、前記チャンバーの容積の変化を制御する制御部を更に備えることを特徴とする上記(1)から(6)のいずれかに記載の分離ユニット。
【0015】
(8) 前記混合物が導入されることを感知するセンサを更に含み、 前記制御部は、該センサからの信号を基に制御を行うことを特徴とする上記(1)から(6)のいずれかに記載の分離ユニット。
【0016】
(9) 便器と、便器から屎尿及び洗浄水を排出する該便器に接続された管と、該管の排出口に接続された分離ユニットと、を含む水洗トイレにおいて、 前記管は、管中の屎尿又は洗浄水を検出するセンサを含み、 前記分離ユニットは、前記管から排出された屎尿及び洗浄水の混合物を受け入れるチャンバーと、該チャンバーに入った屎尿及び洗浄水の混合物を主に液体及び主に固体に分離するフィルタと、該フィルタにより分離された主に固体を排出する第1の排出口と、該フィルタにより分離された主に液体を排出する第2の排出口を含み、 前記センサの信号に応じて、前記チャンバーの容積を変化させることを特徴とする水洗トイレ。
【0017】
(10) 前記第1の排出口は、前記チャンバーの容積変化に応じて開閉する蓋を備えることを特徴とする上記(9)記載の水洗トイレ。
【0018】
(11) 前記チャンバーは、実質的に直方体の容積と、該容積の底面を備え、該底面は、垂直面に対し60度から80度の角度で傾斜することを特徴とする上記(9)又は(10)記載の水洗トイレ。
【0019】
(12) 前記分離ユニットは、前記屎尿及び洗浄水の混合物中の液体成分の約50%を、分離する前記主に固体の中に含ませることを特徴とする上記(9)から(11)のいずれかに記載の水洗トイレ。
【0020】
本分離ユニットでは、混合物中の液状物(主に洗浄水や尿等)を所定量、固形物と共に排出することが好ましい。バイオ処理において水分が重要な意味を有するからである。従って、用いるバイオ処理用の微生物により適宜選択されてよい。一般に、上記所定量は、より好ましくは40から60%である。
【0021】
本分離ユニットでは、重力を利用することができる。即ち、混合物をポンプで汲み上げる必要がなく、また、分離された液状物や固形物も重力によってそれぞれの排出口から排出される。また、流れ出る水の勢いで屎尿を押し流すため、水の量も適量であることが好ましい。このときチャンバーの容積の変化も重力を利用して行うことができる。即ち、該チャンバーの少なくとも1つの壁部が重力によって移動するように構成できる。例えば、水平面から傾いて、斜めに設置されたチャンバーの底面に配置されたレール上を移動可能にチャンバーの1の壁部(縦壁)が配置された場合を考える。重力により最下点に該1の壁部があり、このときチャンバーの容積が最大となる。例えば、電磁石の吸引力により、この1の壁部が引き寄せられ、レール上を移動し(上に上がり)、チャンバーの容積が小さくなる。そして、電磁石の吸引力がなくなると、重力によりこの1の壁部がレール上を移動し(下に下がり)、再びチャンバーの容積が最大になる。この電磁石以外に、電気的な、機械的な、その他の機構により、上述と同様なことを行い得る。例えば、ばね等による駆動である。
【0022】
また、重力はもっぱら混合物の流れを付勢する(助ける)ものとすることもできる。このときは、前記1の壁部の移動は、ばね及び/又はギアを用いた機械式のもので行うことも可能である。
【0023】
ここでメッシュ状フィルタの例として例えば金網を上げることができる。チャンバー側から第2の排出口に向けて目の粗さがより細かくなるように複数のフィルタを重ねることができる。不要な目詰まりを防ぐためである。また、フィルタは、複数箇所に設けることができ、例えば、前記1の壁部のみならず、チャンバーの上面部等に配置することもできる。このような位置に配置した場合、容積変化と連動して、排出圧を制御することも可能である。
【0024】
ここで前記制御部は、機械的なもの、電気的なものを含んでよく、例えば、シーケンサやマイコンなどデジタルによる制御を含んでよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、小型でメンテナンスが容易な水洗トイレを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に本発明の実施例を図面に基づいてより詳しく説明する。
【0027】
図1は、トイレ本体11と固液分離装置22(固液分離ユニットに含まれてよい)とからなる、トイレ主要部10を模式的に示したものである。このトイレは水洗式であるため、便器12への洗浄水の供給ラインを有するが、簡単のためこの図では省略している。
【0028】
トイレ本体11は、基準面となる床13に設置され、トイレ本体11の外枠の中に陶器製の便器12がはめ込まれている。その便器12の上には、蓋11aがヒンジ部11bによって開閉可能に設置されている。便器12の底部には、排泄物や洗浄水等を排出する配水管14がほぼ垂直に設けられ、この配水管14は、通常の排水管と同様S字状に屈曲し、必要な水を配水管14に保持できるようになっている。このS字状屈曲部の先をほぼ垂直に延びる管には、排水検知センサ16が備えられている。このセンサとしては、配管中にある水等の液体及び/又は固形物を検知できる如何なる公知のセンサを用いることができ、例えば、光学的センサ、磁気的センサ、振動センサ等を用いることができる。光学式センサでは、該管内部を観察し、屎尿等の通過と共に、その透過度が変化することにより検出するセンサを含むことができる。
【0029】
上記配管は、フランジ18で、固液分離装置22の入口に接続される配管19とフランジ接合される。このフランジ18は、容易に脱着できるので、メンテナンスのため等、必要に応じ、固液分離装置22を脱離させるために用いることができる。固液分離装置22は、その底面が垂直面(例えば、床13に垂直な面)に対して60から80度となるように、設置されることができる。この固液分離装置22の底面には、開口26があり、該開口26を開閉する蓋28が備えられている。この蓋28が開けば、配管19の端部の開口20から導入される屎尿等を、以下に詳しく説明するように排出管31へと排出することができる。排出管31は、バイオタンク150(図7参照)に接続されており、排出された屎尿等が投入される。
【0030】
固液分離装置22は、開口20から導入される屎尿等が入るチャンバー24が設けられる。チャンバー24は、その上面に固液分離のためのフィルタ30と、後述するように移動可能な奥壁32と、固液分離装置22の両側の内壁によって規定される。固液分離装置22の前壁には、配管19の近傍に電磁石34が設けられ、奥壁32の上部スライド部に配置された相手の永久磁石33が設けられている。後述するような手順で、電磁石34が作用され、チャンバー24の容積を縮小させることにより、フィルタ30による固液分離を円滑に行うことができる。即ち、上部に設けられたフィルタ30から押し出された液体は、図中右下へと流れ、排出管36へと流れ、固液分離装置22から排出される。その後、電磁石に加えられた電圧が解除され、奥壁32は、自重により図中右下へと移動し、チャンバー24の容積が大きくなる。
【0031】
図2は、固液分離装置22の内部を示す部分破断斜視図である。チャンバー24の上面に設けられたフィルタ30は、金属製の網、紙若しくは布製のフィルタ紙からなる複合フィルタカートリッジで、必要に応じて交換可能に設計されている。このフィルタ30の下面を奥壁32の上辺がスライド可能に設計されている。該上辺の手前側には、永久磁石33が設けられており、固液分離装置22の前壁に設けられた電磁石34により引き寄せられる。このとき、奥壁32の下辺の両端の突起は、ガイド溝35(右側は図示されない)に沿ってスライドする。
【0032】
図2では、図解をわかり易くするため、開口26の蓋28は開いた状態になっているが、配管19の端部の開口20から屎尿等が導入されるときは閉じた状態で、奥壁32は前壁から最も遠い位置にある。そして、電磁石34により、永久磁石33が引き寄せられ、奥壁32が図中左へと移動し、チャンバー24の容積が狭くなり、導入された屎尿等のうち液体がフィルタ30を透過し、その表面に沿って図中右側に流れ、排出管36を通って、固液分離装置22外に出ていく。
【0033】
この図では、開口26は、チャンバー24の前側に設けられているが、これに限らず、より後ろに配置することもできる。また、左右の位置も問わない。混合物中の液状物の約半分を含んで該開口26から主に固形物を排出できるのであれば、特に位置はこだわる必要はないと考えられる。チャンバー24の形状は、ほぼ矩形であるが、これに限られるものではなく、円筒状でもよい。
【0034】
図3は、別の実施例であるトイレ主要部10’を図解する。トイレ主要部10’は、トイレ本体11と固液分離装置22’とからなり、トイレ本体11は、上記実施例と同様に配水管14に接続され、洗浄水と共に屎尿が排出される。固液分離装置22’は、フィルタ30’と、奥壁32’と、固液分離装置22’の両側壁によって規定されるが、上述の実施例と異なり、チャンバー24’の容積は変化しない。固液分離装置22’の底面には開口26があり、それを開閉する蓋28がヒンジ部により回動自在に取り付けられている。
【0035】
導入された屎尿等は、フィルタ30’を通過する液体と、通過しない主に固体部分とに分離され、液体は排出管37を介して浄化システムへと移動し、主に固体部分は、開口26からバイオタンクへと移動する。
【0036】
図4は、更に別の実施例であるトイレ主要部10’’を図解する。トイレ主要部10’’は、トイレ本体11と固液分離装置22’’とからなり、トイレ本体11は、上記実施例と同様に配水管14に接続され、洗浄水と共に屎尿が排出される。固液分離装置22’’は、フィルタ30’と、奥壁32’と、固液分離装置22’’の両側壁によって規定されるが、最初の実施例と異なり、チャンバー24’の容積は変化しない。固液分離装置22’’の底面には開口26’があり、蓋29がスライドするこことにより、バイオタンクに通じる管27への開閉を行う。
【0037】
上述と同様、導入された屎尿等は、フィルタ30’を通過する液体と、通過しない主に固体部分とに分離され、液体は排出管37を介して浄化システムへと移動し、主に固体部分は、開口26からバイオタンクへと移動する。
【0038】
図5は、トイレ主要部10の制御系を図解する。トイレ主要部10は、CPUを有するコントロールユニット110によって制御される。コントロールユニット110は、センサ16からの信号をセンサユニット112を介して受信し、排水を検知すると遅れ時間後に電磁装置114を作用させ、奥壁32をスライドさせた後、遅れ時間後、ドアユニット116を作用させ、蓋28を開放して、主に固体部分を開口26からバイオタンクに移動させる。
【0039】
図6は、トイレ主要部10の動作を表すフローチャートである。センサ16の信号を待って、信号が入ると(S10)、遅れ時間後(S12)、電磁石34の電源をONし、奥壁32をスライドさせる(S14)。そして、所定の遅れ時間後(S16)、蓋28を開ける信号を送信し(S18)、蓋28を開放する。所定時間後(S20)、電磁石の電源をOFFとし(S22)、奥壁32を自重によりガイド溝35に沿ってスライドさせ、チャンバー24の容積を拡大させる。所定時間後(S24)、蓋28を閉じて(S26)、リターンされる。
【0040】
ここで、奥壁32のスライドや蓋28の開閉は、固液分離が好ましく行われるように制御される。即ち、洗浄水を含む屎尿等の液体の約50%が固体部分と共にバイオタンク150(図7)へと導入されるように制御される。バイオタンク150では、バイオ処理において所定の水分量を確保することが好ましいからである。また、固液分離装置22の設置角度も、電磁石34をOFFしたときに奥壁32が自重で元の位置に戻るように、そして、洗浄水を含む屎尿等の液体の約50%が固体部分と共にバイオタンク150(図7)へと導入されるように設定される。より具体的には、固液分離装置22は、垂直面から60から80度の角度で取り付けることがより好ましい。尚、バイオタンク150の微生物の活動を継続的に活発に行わせることが好ましく、そのために、これら微生物の活動を阻害するような成分(例えば、殺菌成分)を、洗浄水等に含ませておかないことが好ましい。
【0041】
図7は、トイレ主要部10を含む、トイレシステム全体200を図解する。トイレ主要部10は、上述したような構成からなっているが、固液分離装置22の下には、排出管31が配置され、バイオタンク150に接続される。バイオタンク150は、主に固体成分を受けるが、適量の水分も同時に受けることが好ましい。固液分離装置22で分離された液体は、排出管36を通り、更に管302を経由して、バッファとしての貯留槽304に蓄えられる。
【0042】
貯留槽304に一旦蓄えられた液体は、ポンプ306により最適量ずつ汲み上げられ、供給管308から、液体浄化装置300へと投入される。左側の一連のフィルタユニットで濾された液体は、ポンプ(図示せず)により再度汲み上げられ、右側の一連のフィルタユニットで処理される。右側の処理済液は、配管380を通って、光触媒等による更なる浄化槽390へと導かれる。この浄化槽390で処理された液体は、ポンプ392により汲み上げられ、トイレ本体11を洗浄する洗浄水のタンク402に投入される。
【0043】
タンク402には、洗浄水を含む屎尿等の処理により減少した液体を補うための水のタンク400が接続され、常時不足した水をタンク402に補うようにしている。タンク402の洗浄水は、バルブ450の開閉により、適宜、便器12の洗浄用に用いられる。
【0044】
図8は、異なるフィルタを用いた別の実施例である分離ユニットを図解する。上述と同様に固液分離装置22の入口に接続される配管19はフランジ18を持つ。このフランジ18は、容易に脱着できるので、メンテナンスのため等、必要に応じ、固液分離装置22を脱離させるために用いられる。固液分離装置22は、その底面が垂直面(例えば、床13に垂直な面)に対して60から80度となるように、設置されている。この固液分離装置22の底面には、開口26があり、該開口26を開閉する蓋28が備えられている。この蓋28が開けば、配管19の端部の開口20から導入される屎尿等を、上述した実施例の説明と同様に排出管31へと排出することができる。排出管31は、バイオタンク(図7参照)に接続されており、排出された屎尿等が投入される。
【0045】
固液分離装置22は、開口20から導入される屎尿等が入るチャンバー24が設けられる。チャンバー24は、その上面の固液分離のためのフィルタ30と、後述するように移動可能な奥壁に設置されたフィルタ32a、32b、32cと、固液分離装置22の両側壁によって規定される。固液分離装置22の前壁には、配管19の近傍に電磁石34が設けられ、奥壁32の上部スライド部に配置された相手の永久磁石33が設けられている。上述した手順で、電磁石34が作用され、チャンバー24の容積を縮小させることにより、フィルタ30及びフィルタ32a、32b、32cによる固液分離を更に円滑に行うことができる。即ち、上部に設けられたフィルタ30から押し出された液体は、図中右下へと流れ、排出管36へと流れ、固液分離装置22から排出される。一方、下部に設けられたフィルタ32a、32b、32cから自重より及び/又は容積変化に伴う圧力により濾過された液体は、図中右下へと流れ、排出管36へと流れ、固液分離装置22から排出される。ここで、フィルタ32aはいわゆる金網のようなメッシュ状のフィルタであり、フィルタ32b、32cは、それぞれ布製のより目の細かい(32bの方が32cより粗い)フィルタである。その後、電磁石に加えられた電圧が解除され、奥壁32は、自重により図中右下へと移動し、チャンバー24の容積が大きくなる。
【0046】
図9は、電磁石に代えてばねを用いた別の実施例である分離ユニットを図解する。図8との違いは、電磁石ではなくばね34aを用いたことである。容積を小さくするときは、ラッチ機構により止められていた奥壁を開放し、ばねの引っ張り力により奥壁を引き上げ、それと共に設置されたフィルタ32a、32b、32cを上に移動させる。固形物を排出した後は、レール(図2の35参照)に設置された、ウォームギア等による機械的な機構によって奥壁を押し下げ、容積が最大となる位置に再配置する。このため、機械装置及びその制御装置を含むことができる。
【0047】
図10は、固液分離装置22の底部開口26が、対応する導入管156の開口154と結合するようすを、円筒形の外殻152の一部を切り出すことにより示している。この図では、便器等から排出される屎尿等が投入されるための配管は省略してある。固液分離装置22は、フィルタ(図示せず)等により、主に液体及び主に固形物を分離し、主に液体を排出管36へと排出し、主に固形物を開口26から開口154へと、そして、導入管156を介して、バイオ処理装置150内に導入する(蓋28は簡単のため、図示せず)。このとき、固液分離装置22は、斜めに設置されているため、液体は重力により排出管36へと排出され易く、好ましい量の液体を含む主に固形物が前記開口26より、バイオ処理装置150へと落下するのである。
【0048】
図11は、別の固液分離装置22’’’を備えたバイオ処理装置150を側面視(一部断面視)で示している。便器等からの洗浄水を含む屎尿等が通る配水管14は、フランジ18aにおいて、固液分離装置22’’’へと導入する配管19のフランジ18bとフランジ接続される。前記屎尿等が固液分離装置22’’’内に投入されると、フィルタ30a、金属メッシュ30b、紙フィルタ30c、より細かい紙フィルタ30dにより液体が分離され、排出管36へと排出される。残った主に固形物(適正量の液体を含む)は、開口26から導入管156を通って、バイオ処理装置150に投入される。尚、ここでは、簡単のため、蓋28は図示しない。
【0049】
図からわかるように固液分離装置22’’’が適切な角度で設置されているため、金属メッシュやフィルタ等(30a、30b、30c、30d)を適宜選択することにより、適切な量の液体を含む主に固形物が、バイオ処理装置150に入ることとなる。
【0050】
以上説明してきたように、本発明では、小型の屎尿の処理装置を備える、効率的に屎尿等を効率的に処理できる水洗トイレを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】水洗トイレ主要部の概略図である。
【図2】図1に示す固液分離装置の部分破断斜視図である。
【図3】別の水洗トイレ主要部の概略図である。
【図4】更に別の水洗トイレ主要部の概略図である。
【図5】水洗トイレシステムのコントロールシステムの模式図である。
【図6】水洗トイレ主要部の動作を説明するフローチャートである。
【図7】図1等の水洗トイレ主要部を用いた水洗トイレシステムを示す概略図である。
【図8】更に別の固液分離装置の概略図である。
【図9】更に別の固液分離装置の概略図である。
【図10】更に別の固液分離装置の取付け状態を示す概略図である。
【図11】更に別の固液分離装置の取付け状態を示す概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屎尿や水等からなる混合物を固形物及び液状物に分離する分離ユニットであって、
該混合物が導入される開口と、
該混合物を一時的に保持するチャンバーと、
該混合物のうち主に固形物を排出する第1の排出口と、
該混合物のうち主に液状物を排出する第2の排出口と、
前記チャンバーと前記第2の排出口の間に配置され、液状物を透過するフィルタと、
前記第1の排出口を開閉可能な蓋と、を含む分離ユニット。
【請求項2】
前記第1の排出口は、前記混合物中の液状物の30から70%を排出することを特徴する請求項1記載の分離ユニット。
【請求項3】
前記開口は、前記第1又は第2の排出口よりも高い位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の分離ユニット。
【請求項4】
前記フィルタは、チャンバー側に、粗いメッシュ状フィルタを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の分離ユニット。
【請求項5】
前記フィルタは、前記チャンバーの容積を変化させるように移動する可動壁に取り付けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の分離ユニット。
【請求項6】
前記開口から前記混合物が導入され始めるときに前記蓋は閉じられた状態で前記チャンバーの容積が実質的に最大であり、
前記混合物が前記チャンバーに保持されると前記チャンバーの容積は小さくなり、
所定の時間後若しくは所定量の液状物の前記チャンバー外への排出の後に、前記蓋が開き主に固形物が前記第1の排出口から排出されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の分離ユニット。
【請求項7】
前記蓋の開閉、前記チャンバーの容積の変化を制御する制御部を更に備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の分離ユニット。
【請求項8】
前記混合物が導入されることを感知するセンサを更に含み、
前記制御部は、該センサからの信号を基に制御を行うことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の分離ユニット。
【請求項9】
便器と、便器から屎尿及び洗浄水を排出する該便器に接続された管と、該管の排出口に接続された分離ユニットと、を含む水洗トイレにおいて、
前記管は、管中の屎尿又は洗浄水を検出するセンサを含み、
前記分離ユニットは、前記管から排出された屎尿及び洗浄水の混合物を受け入れるチャンバーと、該チャンバーに入った屎尿及び洗浄水の混合物を主に液体及び主に固体に分離するフィルタと、該フィルタにより分離された主に固体を排出する第1の排出口と、該フィルタにより分離された主に液体を排出する第2の排出口を含み、
前記センサの信号に応じて、前記チャンバーの容積を変化させることを特徴とする水洗トイレ。
【請求項10】
前記第1の排出口は、前記チャンバーの容積変化に応じて開閉する蓋を備えることを特徴とする請求項9記載の水洗トイレ。
【請求項11】
前記チャンバーは、実質的に直方体の容積と、該容積の底面を備え、該底面は、垂直面に対し60度から80度の角度で傾斜することを特徴とする請求項9又は10記載の水洗トイレ。
【請求項12】
前記分離ユニットは、前記屎尿及び洗浄水の混合物中の液体成分の約50%を、分離する前記主に固体の中に含ませることを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の水洗トイレ。
【請求項1】
屎尿や水等からなる混合物を固形物及び液状物に分離する分離ユニットであって、
該混合物が導入される開口と、
該混合物を一時的に保持するチャンバーと、
該混合物のうち主に固形物を排出する第1の排出口と、
該混合物のうち主に液状物を排出する第2の排出口と、
前記チャンバーと前記第2の排出口の間に配置され、液状物を透過するフィルタと、
前記第1の排出口を開閉可能な蓋と、を含む分離ユニット。
【請求項2】
前記第1の排出口は、前記混合物中の液状物の30から70%を排出することを特徴する請求項1記載の分離ユニット。
【請求項3】
前記開口は、前記第1又は第2の排出口よりも高い位置に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の分離ユニット。
【請求項4】
前記フィルタは、チャンバー側に、粗いメッシュ状フィルタを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の分離ユニット。
【請求項5】
前記フィルタは、前記チャンバーの容積を変化させるように移動する可動壁に取り付けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の分離ユニット。
【請求項6】
前記開口から前記混合物が導入され始めるときに前記蓋は閉じられた状態で前記チャンバーの容積が実質的に最大であり、
前記混合物が前記チャンバーに保持されると前記チャンバーの容積は小さくなり、
所定の時間後若しくは所定量の液状物の前記チャンバー外への排出の後に、前記蓋が開き主に固形物が前記第1の排出口から排出されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の分離ユニット。
【請求項7】
前記蓋の開閉、前記チャンバーの容積の変化を制御する制御部を更に備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の分離ユニット。
【請求項8】
前記混合物が導入されることを感知するセンサを更に含み、
前記制御部は、該センサからの信号を基に制御を行うことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の分離ユニット。
【請求項9】
便器と、便器から屎尿及び洗浄水を排出する該便器に接続された管と、該管の排出口に接続された分離ユニットと、を含む水洗トイレにおいて、
前記管は、管中の屎尿又は洗浄水を検出するセンサを含み、
前記分離ユニットは、前記管から排出された屎尿及び洗浄水の混合物を受け入れるチャンバーと、該チャンバーに入った屎尿及び洗浄水の混合物を主に液体及び主に固体に分離するフィルタと、該フィルタにより分離された主に固体を排出する第1の排出口と、該フィルタにより分離された主に液体を排出する第2の排出口を含み、
前記センサの信号に応じて、前記チャンバーの容積を変化させることを特徴とする水洗トイレ。
【請求項10】
前記第1の排出口は、前記チャンバーの容積変化に応じて開閉する蓋を備えることを特徴とする請求項9記載の水洗トイレ。
【請求項11】
前記チャンバーは、実質的に直方体の容積と、該容積の底面を備え、該底面は、垂直面に対し60度から80度の角度で傾斜することを特徴とする請求項9又は10記載の水洗トイレ。
【請求項12】
前記分離ユニットは、前記屎尿及び洗浄水の混合物中の液体成分の約50%を、分離する前記主に固体の中に含ませることを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の水洗トイレ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−21379(P2007−21379A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−207661(P2005−207661)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(505182018)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(505182018)
【Fターム(参考)】
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