説明

分離回収方法

【課題】容器の上部の開口部に加え下部は目的回収層回収時に目的回収層の下端に沿って前記筒型部材を前記切断手段にて切断することで、従来の一点吸引ではなく、面排出に近づけ、目的層回収率の向上ができる方法を提供すること。
【解決手段】一端が開放された筒型部材1を密度勾配遠心用容器として筒型部材1の開放された一端側を上方とする鉛直方向にし筒型部材1内部に比重の異なる溶液を1筒型部材の下方に比重の大きな溶液、上方に比重の小さな溶液となるように比重の異なる溶液を積層し、最上部に比重の異なる菌・異物混入サンプルを入れ、遠心処理後、上方を閉鎖し密閉状態とし、目的回収層の下端を切断後、内部分離液自重が前記筒型部材1に対する前記内部分離液の表面張力を上回り前記内部分離液が自然落下しない切断面より目的回収層を回収できることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密度勾配遠心分離により微生物と異物を分離する方法及び微生物の回収する方法に関するもので、特に微生物が混在する飲料水や食品、食材中から微生物のみを効率良く分離し回収する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の密度勾配遠心分離方法は、特表2002−505866号公報に明記されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その特表2002−505866号公報について図7を参照しながら説明する。
【0004】
図7に示すように、遠心チューブ101は各密度勾配溶液層毎に開口部を変え、必要な密度勾配溶液を各層毎に注入し、微生物の入った溶液から、密度勾配溶液層上方に静置し遠心分離装置を用い遠心処理を行い、所定の密度勾配溶液層を回収し、微生物のみを検出する方法を取っている。
【0005】
また、従来の密度勾配を用い分離方法は、各層の界面を検出するために、定められた比重の粒子を入れ、遠心分離後に粒子が集まった部分で、比重の層を見分け、微生物と同様な比重の層を設けてから、食材中等に含まれる溶液を、密度勾配溶液により遠心処理後、分離し、微生物が集まった部分を回収し、特定する方法が一般的に用いられている。密度勾配に使用する遠心容器は、密度勾配溶液の挿入部と吸引部が同じものを用いることが一般的なものとされている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
以下、その遠心容器の構成について図7を参照しながら説明する。図に示すように、遠心チューブ101は上部をキャップ102により密閉され、キャップ上に配置された注入用チューブ103によって、上部より密度勾配溶液及び微生物を含んだ食材溶液の液体試料を遠心チューブ101内に充填される。遠心分離後は、キャップ中心点より遠心チューブ101の中心軸上に沿って、遠心チューブ101内部に毛細管プローブ104を挿入し、目的の密度勾配溶液を吸引、回収するものである(特表2002−505866号公報:特許文献1)。
【特許文献1】特表2002−505866号公報(図8A)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来の密度勾配遠心を用いた分離回収方法では、容器上部の開口部が1つしかない為、目的層回収には針・ピペット等を用いて一点吸引にて回収を行う必要があり、一点吸引の為、分離液層回収時に液流が乱れ、液流の乱れのため回収中分離液層と隣接する分離液層の境界面に乱れが発生し目的回収層の回収率が低下するという課題があり、目的回収層の回収率を改善することが要求されている。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、容器の上部の開口部に加え下部は目的回収層回収時に目的回収層の下端に沿って前記筒型部材を前記切断手段により切断することで、従来の一点吸引ではなく、面排出に近づけることにより、目的層回収率を向上することができる方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の分離回収方法は上記の目的を達成するために、目的層及び不要液層の回収方法を針・ピペット等のように一点吸引を用いるのでは無く、筒型部材下端に開放部を備えることで近似的に面排出としたものである。
【0010】
この手段により一点吸引の場合よりも目的層回収率を向上することができ、また、菌検査の精度を向上できる分離回収方法が得られる。
【0011】
この手段により筒型部材下端に内径と同径の開放部を設けることで、開放部の内径が筒型部材内径に比べ小さい場合と比較すると分離液層回収時に液流の乱れが小さくでき、また、液流の乱れが小さいため回収中分離液層と隣接する分離液層の境界面の乱れを軽減できる分離回収方法が得られる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、容器の上部に加え切断により下部にも開口部を設けることで、従来の一点吸引ではなく、面排出に近づけることで、目的層回収率を向上する方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の請求項1記載の発明は、密度勾配遠心用容器として一端が開放された筒型部材を前記筒型部材の開放された一端側を上方にし、前記筒型部材内部に比重の異なる溶液を前記筒型部材の下方には比重の大きな溶液、上方には比重の小さな溶液となるように積層し、最上部に比重の異なる菌及び異物混入のサンプルを入れ、遠心分離処理をすることにより菌及び異物が各々の比重に近い溶液層に分離し、遠心処理後、前記筒型部材の開放された一端側を上方とし鉛直方向になるようにして上方を前記閉鎖手段内部を密閉状態とするための閉鎖手段により閉鎖して、目的回収層の下端を前記筒型部材も含め切断するための切断手段により切断後、内部分離液自重が前記筒型部材に対する前記内部分離液表面張力を上回り前記内部分離液が自然落下しないようにし、切断面より目的回収層を回収できることを特徴としたものであり、遠心処理後、前記筒型部材上部を前記閉鎖手段により閉じることによって前記筒型部材内部に負圧を発生させることによって、前記筒型部材の目的回収層下端を切断手段により切断した時、前記筒型部材切断開放部より分離液の自然落下を最小限にし、目的回収層下端に存在した不要液層を切落とすことにより境界層を乱さず目的回収層を直接回収できるという作用を有する。
【0014】
また、前記目的回収層回収時に前記筒型部材下端を切断する為の切断可能な材質と、前記容器開放部を閉鎖できる構造を備えることを特徴としたものであり、開放部を閉鎖できる構造であることにより、前記筒型部材内部に負圧を発生させることができ、切断可能な材質であることにより、目的層の回収がピペットや針のような一点吸引ではなく面排出になり、分離液層回収時に液流の乱れが小さくでき、また、液流の乱れが小さいため回収中分離層と隣接する分離層の境界面の乱れを軽減できるという作用を有する。
【0015】
また、前記筒型部材の開放部を閉じるため閉鎖手段を用いたことを特徴としたものであり、前記筒型部材上部の開放部を前記閉鎖手段により閉鎖することにより前記閉鎖手段の内部を負圧を発生させることにより密閉状態にし、前記筒型部材下端の切断部分から分離液の自然落下を防ぐという作用を有する。
【0016】
また、前記閉鎖手段として前記筒型部材開放部を折り曲げることにより前記筒型部材内を密閉状態にできることを特徴としたものであり、前記筒型部材上部の開放部を折り曲げることにより閉鎖し、前記筒型部材の内部に負圧を発生させ密閉状態にし、前記筒型部材下端の切断部分から分離液の自然落下を防ぐという作用を有する。
【0017】
また、前記閉鎖手段として前記筒型部材開放部を加熱し、前記筒型部材開放部を熱収縮させることにより前記容器内を密閉状態にできることを特徴としたものであり、前記筒型部材上部の開放部を加熱し前記筒型部材を熱収縮させ密閉させることにより開放部を閉鎖し、前記筒型部材の内部を負圧を発生させることにより密閉状態にし、前記筒型部材下端の切断部分から分離液の自然落下を防ぐという作用を有する。
【0018】
また、前記閉鎖手段として前記筒型部材開放部をクリップ止めすることにより前記筒型部材内を密閉状態にできることを特徴としたものであり、前記筒型部材上部の開放部をクリップ止めすることにより閉鎖し、前記筒型部材の内部に負圧を発生させ密閉状態にし、前記筒型部材下端の切断部分から分離液の自然落下を防ぐという作用を有する。
【0019】
また、前記閉鎖手段として前記筒型部材開放部を捻じることにより前記筒型部材内を密閉状態にできることを特徴としたものであり、前記筒型部材上部の開放部を捻じることにより閉鎖し、前記筒型部材の内部に負圧を発生させ密閉状態にし、前記筒型部材下端の切断部分から分離液の自然落下を防ぐという作用を有する。
【0020】
また、前記切断手段としてはさみを用いることを特徴としたものであり、前記筒型部材内部の前記目的回収層下端を切断することにより、目的層の回収がピペットや針のような一点吸引ではなく面排出になり、分離液層回収時に液流の乱れが小さくでき、また、液流の乱れが小さいため回収中分離層と隣接する分離層の境界面の乱れを軽減できるという作用を有する。
【0021】
また、前記切断手段としてカッターを用いることを特徴としたものであり、前記筒型部材内部の前記目的回収層下端を切断することにより、目的層の回収がピペットや針のような一点吸引ではなく面排出になり、分離液層回収時に液流の乱れが小さくでき、また、液流の乱れが小さいため回収中分離層と隣接する分離層の境界面の乱れを軽減できるという作用を有する。
【0022】
また、前記切断手段としてレーザを用いることを特徴としたものであり、前記筒型部材内部の前記目的回収層下端を切断することにより、目的層の回収がピペットや針のような一点吸引ではなく面排出になり、分離液層回収時に液流の乱れが小さくでき、また、液流の乱れが小さいため回収中分離層と隣接する分離層の境界面の乱れを軽減できるという作用を有する。
【0023】
また、遠心処理後に前記分離液の液層を固化することを特徴としたものであり、特定もしくは全ての分離液層を固化させることにより、他の分離液層と区別できるという作用を有する。
【0024】
また、遠心処理後、前記容器内の液層を固化させることにより目的回収層を回収できることを特徴としたものであり、目的回収層もしくはその他の分離液層を固化させることにより、目的層の回収を容易に行うことができるという作用を有する。
【0025】
また、液層を固化する方法として冷凍を行うことを特徴としたものであり、固化する方法を冷凍とすることで、固化することを容易に行うことができるという作用を有する。
【0026】
また、液層を固化する方法として寒天を用いて固化することを特徴としたものであり、固化する方法に寒天を用いることで冷凍庫が無くとも固化できるという作用を有する。
【0027】
また、前記筒型部材本体を密度勾配遠心に耐えうる材料で構成したことを特徴としたものであり、遠心処理を行っても前記筒型部材が破壊されない強度を持つという作用を有する。
【0028】
また、前記筒型部材に捻じりを加えることにより前記筒型部材内部に積層された目的回収層をその他の層から分離することができることを特徴としたものであり、筒型部材本体を目的回収層の上端と下端にて捻じることにより目的層を不要液層から完全に独立させ、目的層回収作業を行い易くするという特徴を有する。
【0029】
また、前記筒型部材に捻じりを加えることにより前記筒型部材内部に積層された目的回収層をその他の層から分離し、捻じり箇所で切断することにより目的回収層をその他の層から分離し前記目的回収層を回収することができることを特徴としたものであり、筒型部材本体を目的回収層の上端と下端にて捻じることにより目的層を不要液層から完全に独立させ、捻じり箇所で切断することにより目的層のみ取り出すことができ、目的層回収作業を容易にするという特徴を有する。
【0030】
また、前記筒型部材に捻じりを加えることにより前記筒型部材内部に積層された目的回収層をその他の層から分離し、捻じり箇所で切断することにより前記目的回収層をその他の層から分離し、分離された前記目的回収層部分に穴を開けることにより前記目的回収層を回収することができることを特徴としたものであり、筒型部材本体を目的回収層の上端と下端にて捻じることにより目的層を不要液層から完全に独立させ、独立した目的層の壁面に穴を開けることで目的層回収作業を容易にするという特徴を有する。
【0031】
また、前記筒型部材内に液体を積層する手段として、最下層に積層する比重の最も大きい液を積層後、その層の上端にて前記筒型部材を分離手段により筒型部材を分断後、次の層の積層を行い、この作業を繰り返すことで積層を完了させた後に、前記分離手段を外すことを特徴としたものであり、積層作業を容易にすることができるという作用を有する。
【0032】
また、前記分離手段として前記筒型部材分離部をクリップ止めすることにより前記筒型部材内を分離状態にできることを特徴としたものであり、積層作業を容易にすることができるという作用を有する。
【0033】
また、前記分離手段として前記筒型部材分離部を捻じることにより前記筒型部材内を分離状態にできることを特徴としたものであり、積層作業を容易にすることができるという作用を有する。
【0034】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明するが、本発明の分離回収方法は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
【0035】
(実施の形態1)
図1に示すように、筒型部材1の一端は閉じられ、他端は微生物を含み得る液状検体と比重の異なる溶液を注入するための開口部2を備え、筒型部材1は切断・捻じり等が可能である。筒型部材1は筒等である。
【0036】
上記構成において筒である筒型部材1の開口部2を上方となるようにし、比重の異なる溶液を開口部2より筒型部材1の下方には比重の大きな溶液、上方には比重の小さな溶液となるようにピペットもしくは針を備えたシリンジにて注入量を確定した上で積層し、最上部に比重の異なる微生物及び異物混入のサンプルをピペットもしくは針を備えたシリンジにて注入量を確定した上で入れ、遠心分離処理をすることにより微生物及び異物が各々の比重に近い溶液層に分離でき、遠心処理後、図2に示すように開口部2が上方になるように筒型部材1を鉛直方向にし、上端の開口部2をクリップ等の閉鎖手段により閉鎖し筒型部材1内を密閉状態にし、図3に示すように目的回収層の下方に存在する不要液層を切断手段により切り落とし、図4に示すように目的回収層を回収することができる分離回収方法である。
【0037】
なお、筒型部材1の上方を閉鎖手段により閉鎖する順序は遠心処理前でもよい。
【0038】
また、材料として密度勾配を形成する溶液としては、シリカゲル系溶液、ショ糖溶液、グリセリン、塩化セシウム溶液、その他高分子材料を含むが、これに限定されるものではない。
【0039】
また、材料として、筒型部材には、ビニル、シリコンゴム、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリウレタン、テフロン(登録商標)などであるが、これに限定されるものではない。
【0040】
また、閉鎖手段には、筒型部材1の上端折り曲げ、筒型部材1の上端加熱による熱収縮を利用した密閉、クリップ、捻じりを含むが、これに限定されるものではない。筒型部材としては筒等がある。
【0041】
また、切断手段には、はさみ、カッター、レーザ切断を含むが、これに限定されるものではない。
【0042】
また、筒型部材1の色には透明、半透明を含むが、これに限定されるものではない。筒型部材1は筒等である。
【0043】
また、筒型部材1の内径条件は5mm以下、分離液ショ糖溶液のものを含むがこれに限定されるものではない。
【0044】
(実施の形態2)
実施の形態1と同一部分は同一番号を付し詳細な説明は省略する。図1に示すように、筒型部材1の一端は閉じられ、他端は微生物を含み得る液状検体と比重の異なる溶液を注入するための開口部2を備え、筒型部材1は切断・捻じり等が可能である。
【0045】
上記構成において筒型部材1の開口部2を上方となるようにし、比重の異なる溶液を開口部2より筒型部材1の下方には比重の大きな溶液、上方には比重の小さな溶液となるように自動で装置により注入量を確定した上で積層し、最上部に比重の異なる微生物及び異物混入のサンプルを自動で装置により注入量を確定した上で注入し、遠心分離処理をすることにより微生物及び異物が各々の比重に近い溶液層に分離でき、遠心処理後、図2に示すように開口部2が上方になるように筒型部材1を鉛直方向にし、上端の開口部2をクリップ等の閉鎖手段により閉鎖し筒型部材1内を密閉状態にし、図3に示すように目的回収層の下方に存在する不要液層をはさみ等の切断手段により切り落とし、図4に示すように目的回収層を回収することができる分離回収方法である。筒型部材1としては筒等がある。
【0046】
また、注入量・排出量を確定する自動装置として、シリンジポンプを含むが、これに限定されるものではない。
【0047】
(実施の形態3)
実施の形態1、または2と同一部分は同一番号を付し詳細な説明は省略する。図1に示すように、筒型部材1の一端は閉じられ、他端は微生物を含み得る液状検体と比重の異なる溶液を注入するための開口部2を備え、筒型部材1は切断・捻じり等が可能である。
【0048】
上記構成において筒型部材1の開口部2を上方となるようにし、比重の異なる溶液を開口部2より筒型部材1の下方には比重の大きな溶液、上方には比重の小さな溶液となるようにピペットもしくは針を備えたシリンジにて注入量を確定した上で積層し、最上部に比重の異なる微生物及び異物混入のサンプルをピペットもしくは針を備えたシリンジにて注入量を確定した上で入れ、遠心分離処理をすることにより微生物及び異物が各々の比重に近い溶液層に分離でき、遠心処理後、図2に示すように開口部2が上方になるように筒型部材1を鉛直方向にし、上端の開口部2をクリップ等の閉鎖手段により閉鎖し筒型部材1内を密閉状態にし、図5に示すように目視にて分離層の境界面を確認し、分割手段により目的回収層と不要液層の境界面を筒型部材1の上から分割し、目的層とその他の層を分割することにより筒型部材1内部に積層された目的回収層をその他の層から分離し、分割箇所ではさみ等の切断手段により切断し、分割手段を外し目的回収液を回収するもしくは針等の穴開け手段により目的回収層が含まれている分割された箇所に穴を開けることにより目的回収層を回収することができる分離回収方法。
【0049】
また、分割手段には、筒型部材1上端折り曲げ、クリップ、捻じりを含むが、これに限定されるものではない。
【0050】
また、穴開け手段には、針を含むが、これに限定されるものではない。
【0051】
(実施の形態4)
実施の形態1乃至3のいずれかと同一部分は同一番号を付し詳細な説明は省略する。図1に示すように、筒型部材1の一端は閉じられ、他端は微生物を含み得る液状検体と比重の異なる溶液を注入するための開口部2を備え、筒型部材1は切断・捻じり等が可能である。
【0052】
上記構成において筒型部材1の開口部2を上方となるようにし、比重の異なる溶液を開口部2より筒型部材1の下方には比重の大きな溶液、上方には比重の小さな溶液となるように自動で装置にて注入量を確定した上で積層し、最上部に比重の異なる微生物及び異物混入のサンプルを自動で装置にて排出量を確定した上で入れ、遠心分離処理をすることにより微生物及び異物が各々の比重に近い溶液層に分離でき、遠心処理後、図2に示すように開口部2が上方になるように筒型部材1を鉛直方向にし、上端の開口部2を閉鎖手段により閉鎖し筒型部材1内を密閉状態にし、図5に示すように筒型部材1の高さにて分離層の境界面を確認し、捻り等の分割手段により目的回収層と不要液層の境界面を筒型部材1の上から分割し、目的層とその他の層を分割することにより筒型部材1内部に積層された目的回収層をその他の層から分離し、分割箇所で切断手段により切断し、分割手段を外し目的回収液を回収するもしくは針等の穴開け手段により目的回収層が含まれている分割された箇所に穴を開けることにより目的回収層を回収することができる分離回収方法。
【0053】
(実施の形態5)
実施の形態1乃至4のいずれかと同一部分は同一番号を付し詳細な説明は省略する。図1に示すように、筒型部材1の一端は閉じられ、他端は微生物を含み得る液状検体と比重の異なる溶液を注入するための開口部2を備え、筒型部材1は切断・捻じり等が可能である。
【0054】
上記構成において、図6に示すように筒型部材1内に溶液を積層する手段として、最下層に積層する比重の最も大きい液をピペットもしくは針を備えたシリンジにて注入量を確定した上で積層後、その層の上端にて筒型部材1を捻り等の分割手段により分割後、次の層の積層をピペットもしくは針を備えたシリンジにて注入量を確定した上で行い、この作業を繰り返すことで積層を完了させた後に、分離手段を外し積層できる分離回収方法。
【0055】
(実施の形態6)
実施の形態1乃至5のいずれかと同一部分は同一番号を付し詳細な説明は省略する。図1に示すように、筒型部材1の一端は閉じられ、他端は微生物を含み得る液状検体と比重の異なる溶液を注入するための開口部2を備え、筒型部材1は切断・捻じり等が可能である。
【0056】
上記構成において、図6に示すように筒型部材1内に溶液を積層する手段として、最下層に積層する比重の最も大きい液を自動注入装置にて注入量を確定した上で注入積層後、その層の上端にて筒型部材1をクリップ等の分割手段により分割後、次の層の積層を自動注入装置にて注入量を確定した上で注入積層を行い、この作業を繰り返すことで積層を完了させた後に、クリップ等の分割手段を外し積層できる分離回収方法。
【0057】
(実施の形態7)
実施の形態1乃至6のいずれかと同一部分は同一番号を付し詳細な説明は省略する。図1に示すように、筒型部材1の一端は閉じられ、他端は微生物を含み得る液状検体と比重の異なる溶液を注入するための開口部2を備え、筒型部材1は切断・捻じり等が可能である。
【0058】
上記構成において筒型部材1の開口部2を上方となるようにし、比重の異なる溶液を開口部2より筒型部材1の下方には比重の大きな溶液、上方には比重の小さな溶液となるようにピペットもしくは針を備えたシリンジにて注入量を確定した上で積層し、最上部に比重の異なる微生物及び異物混入のサンプルをピペットもしくは針を備えたシリンジにて注入量を確定した上で入れ、遠心分離処理をすることにより微生物及び異物が各々の比重に近い溶液層に分離でき、遠心処理後、図2に示すように開口部2が上方になるように筒型部材1を鉛直方向にし、冷凍等の固化手段により遠心処理後の分離液を含んだ筒型部材1の状態で固化後、目視にて目的回収層を確認しはさみ等の切断手段により切断し、目的回収層を回収する分離回収方法。
【0059】
また、固化手段には、冷凍(−10℃)を含むが、これに限定されるものではない。
【0060】
(実施の形態8)
実施の形態1乃至7のいずれかと同一部分は同一番号を付し詳細な説明は省略する。図1に示すように、筒型部材1の一端は閉じられ、他端は微生物を含み得る液状検体と比重の異なる溶液を注入するための開口部2を備え、筒型部材1は切断・捻じり等が可能である。
【0061】
上記構成において筒型部材1の開口部2を上方となるようにし、比重の異なる溶液を開口部2より筒型部材1の下方には比重の大きな溶液、上方には比重の小さな溶液となるように自動で装置にて注入量を確定した上で積層し、最上部に比重の異なる微生物及び異物混入のサンプルを自動で装置にて注入量を確定した上で入れ、遠心分離処理をすることにより微生物及び異物が各々の比重に近い溶液層に分離でき、遠心処理後、図2に示すように開口部2が上方になるように筒型部材1を鉛直方向にし、冷凍等の固化手段により遠心処理後の分離液を含んだ筒型部材1の状態で固化後、筒型部材の高さ方向の距離を判断基準にし目的回収層を確認し切断手段により切断し、目的回収層を回収する分離回収方法。
【0062】
(実施の形態9)
実施の形態1乃至8のいずれかと同一部分は同一番号を付し詳細な説明は省略する。図1に示すように、筒型部材1の一端は閉じられ、他端は微生物を含み得る液状検体と比重の異なる溶液を注入するための開口部2を備え、筒型部材1は切断・捻じり等が可能である。
【0063】
上記構成において筒型部材1の開口部2を上方となるようにし、比重の異なる溶液を開口部2より筒型部材1の下方には比重の大きな溶液、上方には比重の小さな溶液となるようにピペットもしくは針を備えたシリンジにて注入量を確定した上で積層し、最上部に比重の異なる微生物及び異物混入のサンプルをピペットもしくは針を備えたシリンジにて注入量を確定した上で入れ、遠心分離処理をすることにより微生物及び異物が各々の比重に近い溶液層に分離でき、遠心処理後、図2に示すように開口部2が上方になるように筒型部材1を鉛直方向にし、上端の開口部2をクリップ等の閉鎖手段により閉鎖し筒型部材1内を密閉状態にし、図3に示すように目的回収層の下方に存在する不要液層をはさみ等の切断手段により切り落とし、図4に示すように目的回収層を回収することができ、不要層の回収もできる分離回収方法。
【0064】
(実施の形態10)
図1に示すように、筒型部材1の一端は閉じられ、他端は微生物を含み得る液状検体と比重の異なる溶液を注入するための開口部2を備え、筒型部材1は切断・捻じり等が可能である。
【0065】
上記構成において筒型部材1の開口部2を上方となるようにし、比重の異なる溶液を開口部2より筒型部材1の下方には比重の大きな溶液、上方には比重の小さな溶液となるように自動で装置により注入量を確定した上で積層し、最上部に比重の異なる微生物及び異物混入のサンプルを自動で装置により注入量を確定した上で注入し、遠心分離処理をすることにより微生物及び異物が各々の比重に近い溶液層に分離でき、遠心処理後、図2に示すように開口部2が上方になるように筒型部材1を鉛直方向にし、上端の開口部2をクリップ等の閉鎖手段により閉鎖し筒型部材1内を密閉状態にし、図3に示すように目的回収層の下方に存在する不要液層をはさみ等の切断手段により切り落とし、図4に示すように目的回収層を回収することができ、不要液層も回収できる分離回収方法。
【0066】
(実施の形態11)
図1に示すように、筒型部材1の一端は閉じられ、他端は微生物を含み得る液状検体と比重の異なる溶液を注入するための開口部2を備え、筒型部材1は切断・捻じり等が可能である。
【0067】
上記構成において筒型部材1の開口部2を上方となるようにし、比重の異なる溶液を開口部2より筒型部材1の下方には比重の大きな溶液、上方には比重の小さな溶液となるようにピペットもしくは針を備えたシリンジにて注入量を確定した上で積層し、最上部に比重の異なる微生物及び異物混入のサンプルをピペットもしくは針を備えたシリンジにて注入量を確定した上で入れ、遠心分離処理をすることにより微生物及び異物が各々の比重に近い溶液層に分離でき、遠心処理後、図2に示すように開口部2が上方になるように筒型部材1を鉛直方向にし、上端の開口部2をクリップ等の閉鎖手段により閉鎖し筒型部材1内を密閉状態にし、図5に示すように目視にて分離層の境界面を確認し、クリップ等の分割手段により目的回収層と不要液層の境界面を筒型部材1の上から分割し、目的層とその他の層を分割することにより筒型部材1内部に積層された目的回収層をその他の層から分離し、分割箇所ではさみ等の切断手段により切断し、クリップ等の分割手段を外し目的回収液を回収するもしくは穴開け手段により目的回収層が含まれている分割された箇所に針等で穴を開けることにより目的回収層を回収することができ、不要液層も回収できる分離回収方法。
【0068】
(実施の形態12)
図1に示すように、筒型部材1の一端は閉じられ、他端は微生物を含み得る液状検体と比重の異なる溶液を注入するための開口部2を備え、筒型部材1は切断・捻じり等が可能である。
【0069】
上記構成において筒型部材1の開口部2を上方となるようにし、比重の異なる溶液を開口部2より筒型部材1の下方には比重の大きな溶液、上方には比重の小さな溶液となるように自動で装置にて注入量を確定した上で積層し、最上部に比重の異なる微生物及び異物混入のサンプルを自動で装置にて排出量を確定した上で入れ、遠心分離処理をすることにより微生物及び異物が各々の比重に近い溶液層に分離でき、遠心処理後、図2に示すように開口部2が上方になるように筒等の筒型部材1を鉛直方向にし、上端の開口部2をクリップ等の閉鎖手段により閉鎖し筒型部材1内を密閉状態にし、図5に示すように筒型部材1の高さにて分離層の境界面を確認し、クリップ等の分割手段により目的回収層と不要液層の境界面を筒型部材1の上から分割し、目的層とその他の層を分割することにより筒型部材1内部に積層された目的回収層をその他の層から分離し、分割箇所ではさみ等の切断手段により切断し、クリップ等の分割手段を外し目的回収液を回収するもしくは穴開け手段により目的回収層が含まれている分割された箇所に穴を開けることにより目的回収層を回収することができ、不要液層も回収できる分離回収方法。
【産業上の利用可能性】
【0070】
食品、化粧品や飲料水中の微生物のみを分離回収することにより、微生物以外の異物を除くことで、蛍光発光試薬や発光試薬染色や抗体試薬での検出が、従来に比べ精度良く検出することができ、食品分野、医薬品分野、化成品分野における微生物の検査において適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態1〜8の分離回収方法の一態様の構成部品毎の概略図
【図2】本発明の実施の形態1〜8の分離液とサンプルの積層の概略図
【図3】本発明の実施の形態1,2の不要層切断の概略図
【図4】本発明の実施の形態1,2の目的層回収の概略図
【図5】本発明の実施の形態3,4の境界面分割の概略図
【図6】本発明の実施の形態5,6の積層手順の概略図
【図7】従来の密度勾配溶液を注入する容器を示す断面図
【符号の説明】
【0072】
1 筒型部材
2 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密度勾配遠心用容器として一端が開放された筒型部材を前記筒型部材の開放された一端側を上方にし、前記筒型部材内部に比重の異なる溶液を前記筒型部材の下方には比重の大きな溶液、上方には比重の小さな溶液となるように積層し、最上部に比重の異なる菌及び異物混入のサンプルを入れ、遠心分離処理をすることにより菌及び異物が各々の比重に近い溶液層に分離し、遠心処理後、前記筒型部材の開放された一端側を上方とし鉛直方向になるようにして上方を前記閉鎖手段内部を密閉状態とするための閉鎖手段により閉鎖して、目的回収層の下端を前記筒型部材も含め切断するための切断手段により切断後、内部分離液自重が前記筒型部材に対する前記内部分離液表面張力を上回り前記内部分離液が自然落下しないようにし、切断面より目的回収層を回収できることを特徴とする分離回収方法。
【請求項2】
前記目的回収層回収時に前記筒型部材下端を切断する為の切断可能な材質と、前記容器開放部を閉鎖できる構造を備えることを特徴とする請求項1記載の分離回収方法。
【請求項3】
前記筒型部材の開放部を閉じるため閉鎖手段を用いたことを特徴とする請求項1あるいは2に記載の分離回収方法。
【請求項4】
前記閉鎖手段として前記筒型部材開放部を折り曲げることにより前記筒型部材内を密閉状態にできることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の分離回収方法。
【請求項5】
前記閉鎖手段として前記筒型部材開放部を加熱し、前記筒型部材開放部を熱収縮させることにより前記筒型部材内を密閉状態にできることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の分離回収方法。
【請求項6】
前記閉鎖手段として前記筒型部材開放部をクリップ止めすることにより前記筒型部材内を密閉状態にできることを特徴とする請求項項1乃至3のいずれかに記載の分離回収方法。
【請求項7】
前記閉鎖手段として前記筒型部材開放部を捻じることにより前記筒型部材内を密閉状態にできることを特徴とする請求項項1乃至3のいずれかに記載の分離回収方法。
【請求項8】
前記切断手段としてはさみを用いることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の分離回収方法。
【請求項9】
前記切断手段としてカッターを用いることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の分離回収方法。
【請求項10】
前記切断手段としてレーザを用いることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の分離回収方法。
【請求項11】
遠心処理後に前記分離液の液層を固化することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の分離回収方法。
【請求項12】
遠心処理後、前記容器内の液層を固化させることにより目的回収層を回収できることを特徴とした請求項1乃至11のいずれかに記載の分離回収方法。
【請求項13】
液層を固化する方法として冷凍を行うことを特徴とする請求項12記載の分離回収法。
【請求項14】
液層を固化する方法として寒天を用いて固化することを特徴とする請求項12記載の分離回収方法。
【請求項15】
前記筒型部材本体を密度勾配遠心に耐えうる材料で構成したことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の分離回収方法。
【請求項16】
前記筒型部材に捻じりを加えることにより前記筒型部材内部に積層された目的回収層をその他の層から分離することができることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の分離回収方法。
【請求項17】
前記筒型部材に捻じりを加えることにより前記筒型部材内部に積層された目的回収層をその他の層から分離し、捻じり箇所で切断することにより目的回収層をその他の層から分離し前記目的回収層を回収することができることを特徴とする請求項16記載の分離回収方法。
【請求項18】
前記筒型部材に捻じりを加えることにより前記筒型部材内部に積層された目的回収層をその他の層から分離し、捻じり箇所で切断することにより前記目的回収層をその他の層から分離し、分離された前記目的回収層部分に穴を開けることにより前記目的回収層を回収することができることを特徴とする請求項16あるいは17記載の分離回収方法。
【請求項19】
前記筒型部材内に液体を積層する手段として、最下層に積層する比重の最も大きい液を積層後、その層の上端にて前記筒型部材を分離手段により前記筒型部材を分断後、次の層の積層を行い、この作業を繰り返すことで積層を完了させた後に、前記分離手段を外すことを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の分離回収方法。
【請求項20】
前記分離手段として前記筒型部材分離部をクリップ止めすることにより前記筒型部材内を分離状態にできることを特徴とする請求項項19に記載の分離回収方法。
【請求項21】
前記分離手段として前記筒型部材分離部を捻じることにより前記筒型部材内を分離状態にできることを特徴とする請求項19に記載の分離回収方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−67901(P2006−67901A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−255238(P2004−255238)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】