説明

分離装置

【課題】流体流れから粒子を分離するための分離装置、特に、ほこり含有空気流からほこり粒子を除去するためにそのような分離装置を有する真空掃除機を提供する。
【解決手段】本発明は、流体流れから粒子を分離するための分離装置に関する。特に、以下に限定するものではないが、本発明は、ほこり含有空気流からほこり粒子を除去するためにそのような分離装置を有する家庭用真空掃除機に関する。分離装置は、少なくとも1つのサイクロンを含む第1のサイクロン掃除段と、静電フィルタとを含み、静電フィルタは、空気経路を通じて少なくとも1つのサイクロンと流体連通しており、空気通路の少なくとも一部分は、分離装置を通って縦方向に形成され、第1のサイクロン掃除段の少なくとも一部分、静電フィルタ、及び空気通路は、同心に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体流れから粒子を分離するための分離装置に関する。特に、以下に限定するものではないが、本発明は、ほこり含有空気流からほこり粒子を除去するためにそのような分離装置を有する真空掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
メッシュフィルタ及びフォームフィルタのような機械的フィルタ、サイクロン分離器、及び静電分離器を用いて流体流れから汚れ及びほこり粒子のような粒子を分離することは公知である。
公知の分離装置は、真空掃除機に用いるもの、例えば、サイクロン分離装置を含む。そのようなサイクロン分離装置は、比較的大きな粒子を分離するための低効率サイクロンと、空気流内に同伴されたままの微粒子を分離するために低効率サイクロンの下流に位置する高効率サイクロンとを含むことは公知である(例えば、EP第0、042、723号B参照)。
【0003】
公知の静電フィルタは、摩擦静電フィルタ及びエレクトレット媒体フィルタを含む。そのようなフィルタの例は、EP第0815788号、US第7179314号、及びUS第6482252号に説明されている。
そのような静電フィルタは、生産するのに比較的廉価であるが、それらの電荷が時間と共に消散してそれらの静電特性の低減をもたらすという欠点を抱えている。これは、次に、静電フィルタが収集することができるほこりの量を低減し、これは、静電フィルタ自体及びあらゆる更に下流のフィルタの両方の寿命を短縮する場合がある。
【0004】
公知の静電フィルタはまた、空気流のほこり粒子が何らかの方法で荷電され、次に、収集のために荷電集電極の上又は周囲を通されるようなフィルタを含む。そのような静電フィルタの例は、特開2007−296305号公報に説明されており、そこでは、空気流のほこり粒子は、これらが「コロナ放電」ワイヤを通過する時に荷電され、次に、コロナ放電ワイヤの下流に位置する導電性フィルタ媒体上に捕捉される。この配置による欠点は、これらが、比較的非効率的であり、比較的高価な材料から作られ、集電極が、収集されたほこりが付かないように一定の保守を必要とする点である。集電極がほこりの層で被覆された状態では、これらは、効率がはるかに低下する。
【0005】
静電フィルタの別の例は、GB第2418163号に示されており、そこでは、空気流のほこり粒子は、これらがサイクロンの内側に位置するコロナ放電ワイヤを通過する時に荷電される。荷電ほこり粒子は、次に、導電性塗料で被覆したサイクロンの壁上に捕捉される。この配置は、小型であるが、これは、ほこりがサイクロンの内側に集まるという欠点を抱えている。これは、サイクロンの壁からほこりを除去する一定の困難な保守を必要とするだけでなく、サイクロンの内側に捕捉されたあらゆるほこりは、サイクロン空気流に干渉してサイクロン自体の分離効率を低下させることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP第0、042、723B号
【特許文献2】EP第0815788号
【特許文献3】US第7179314号
【特許文献4】US第6482252号
【特許文献5】特開2007−296305号公報
【特許文献6】GB第2418163号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
真空掃除機用途では、特に、家庭用真空掃除機用途では、その電気器具が、性能を損なうことなくできるだけ小型に作られることが望ましい。また、ほこり分離効率が、適切なフィルタ寿命を維持しながらできるだけ高いことも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明は、少なくとも1つのサイクロンと静電フィルタとを含む分離装置を提供し、静電フィルタは、空気通路を通じて少なくとも1つのサイクロンと流体連通しており、空気通路の少なくとも一部分は、分離装置を通って縦方向に形成される。
好ましい実施形態では、本発明は、少なくとも1つのサイクロンを含む第1のサイクロン掃除段と静電フィルタとを含む分離装置を提供し、静電フィルタは、空気通路を通じて少なくとも1つのサイクロンと流体連通しており、空気通路の少なくとも一部分は、分離装置を通って縦方向に形成され、第1のサイクロン掃除段の少なくとも一部分、静電フィルタ、及び空気通路は、同心に配置される。
【0009】
本発明の配置は、サイクロン式ほこり分離及び静電ほこり分離の組合せを用いて達成可能であることが見出されている高分離効率及び長いフィルタ寿命を利用する。分離装置を通って縦方向に位置する空気通路を有する配置は、例えば、家庭用真空掃除機用途では非常に有用であると考えられる小型の構造をもたらすことが見出されている。更に、同心に配置された第1のサイクロン段の少なくとも一部分、静電フィルタ、及び空気通路を有する配置は、小型の構造をもたらすことが見出されている。更に、ほこり粒子が、使用中に空気通路を通過すると、これらは、空気通路の壁との摩擦により荷電される。ほこり粒子のこの予備荷電も、静電フィルタのほこり収集効率を改良するのに役立つと考えられる。
【0010】
好ましい実施形態では、空気通路の全て又は実質的に全ては、分離装置を通って縦方向に形成することができる。好ましい実施形態では、静電フィルタは、分離装置を通って縦方向に位置することができる。
最も好ましくは、空気通路は、第1のサイクロン掃除段と静電フィルタの間に同心に位置することができる。空気通路は、環状とすることができる。
代替的な実施形態では、静電フィルタは、第1のサイクロン掃除段と空気通路の間に同心に位置することができる。特定的な実施形態では、空気通路は、分離装置の中心軸の周りに配置することができる。空気通路は、あらゆる適切な形状のものとすることができる。特定的な実施形態では、空気通路は、管状、例えば、円筒形とすることができるが、それは、断面が適切なあらゆる形状のものとすることができる。
【0011】
空気通路、第1のサイクロン掃除段、及び/又は静電フィルタの間に同心に位置する付加的な構成要素が存在する場合がある。
好ましい実施形態では、空気通路は、第1のサイクロン掃除段又はその一部分、例えば、少なくとも1つのサイクロンが空気流通路を取り囲むように、分離装置を通って縦方向に形成することができる。そのような実施形態では、少なくとも1つのサイクロン又はその一部分は、環状とすることができる。
【0012】
静電フィルタは、少なくとも1つのサイクロンの上流又は下流のいずれかに位置することができる。好ましい実施形態では、静電フィルタは、少なくとも1つのサイクロンの下流に位置することができる。
好ましくは、少なくとも1つのサイクロンの少なくとも一部分は、少なくとも部分的に静電フィルタを取り囲むように配置される。特定的な実施形態では、静電フィルタの少なくとも一部分は、少なくとも部分的に空気通路を取り囲むように配置される。好ましい実施形態では、空気通路は、静電フィルタの表面から形成される。特定的な実施形態では、静電フィルタは、その形状を環状とすることができる。
【0013】
理想的には、少なくとも1つのサイクロン又は第1のサイクロン掃除段の少なくとも一部分、静電フィルタ、及び空気通路は、同じ縦軸線の周りに同心に配置される。
理想的には、第1のサイクロン掃除段は、単一円筒サイクロン及びほこり収集容器を含む。ほこり収集容器は、円筒サイクロン自体の下側区画から形成することができ、又はそれは、円筒サイクロンの基部に取外し可能に取り付けられた別のほこり収集容器の形態にすることができる。
【0014】
分離装置はまた、第2のサイクロン掃除段を更に含むことができる。第2のサイクロン掃除段は、平行に配置された複数の2次サイクロンを含むことができる。好ましくは、2次サイクロンより下に配置されたほこり収集容器を更に含むことができる。
好ましい実施形態では、空気通路は、第1及び/又は第2のサイクロン掃除段から分離されているが、これらと流体連通している。本明細書で用いられる場合、用語「から分離した」は、空気通路が、第1のサイクロン掃除段又は第2のサイクロン掃除段内に物理的に位置しておらず、すなわち、空気通路の壁は、使用中にサイクロン掃除段の内側に設定されたサイクロン空気流を受けないという意味を取るものとする。
【0015】
静電フィルタは、第1のサイクロン掃除段の上流、第1及び第2のサイクロン掃除段の間、又は第2のサイクロン掃除段の下流に位置することができる。特に好ましい実施形態では、静電フィルタは、第2のサイクロン掃除段の下流に位置することができる。この実施形態では、静電フィルタは、空気通路を通じて第2のサイクロン掃除段と流体連通することができる。
この配置は、静電フィルタが、小さなほこり粒子、例えば、1ミクロンよりも小さなほこり粒子にチャレンジされる時により効率的であることが見出されているので特に有利である。静電フィルタを第2のサイクロン掃除段の下流に置くことは、従って、静電フィルタにとって第1及び第2のサイクロン掃除段をかろうじて通過する非常に小さな粒子にチャレンジされるに過ぎないことを保証する。更に、ほこり粒子が、使用中に第1及び第2のサイクロン掃除段を通過すると、これらは、サイクロン掃除段の壁との摩擦により荷電される。ほこり粒子のこの予備荷電はまた、静電フィルタのほこり収集効率を改良するのに役立つ。
【0016】
特定的な実施形態では、第2のサイクロン掃除段の2次サイクロンは、第1のサイクロン掃除段の上方、好ましくは、第1のサイクロン掃除段の中心軸の周りにリング構成に配置される。理想的には、第2のサイクロン掃除段のほこり収集容器は、2次サイクロンより下に配置される。第2のサイクロン掃除段のほこり収集容器は、その形状を環状とすることができる。
好ましい実施形態では、第1のサイクロン掃除段は、少なくとも部分的に及び好ましくは全体的に第2のサイクロン掃除段の少なくとも一部分、例えば、第2のサイクロン掃除段のほこり収集容器を取り囲むように配置することができる。言い換えると、第2のサイクロン掃除段のほこり収集容器は、第1のサイクロン掃除段の内側に同心に位置する。この配置は、それが小型の構造をもたらすので有利であると考えられる。好ましい実施形態では、第2のサイクロン掃除段の一部分又は全体は、少なくとも部分的に静電フィルタを取り囲むように配置することができ、それは、次に、少なくとも部分的に空気通路を取り囲むように配置することができる。そのような実施形態では、第1のサイクロン掃除段、第2のサイクロン掃除段、静電フィルタ、及び空気通路は、第1のサイクロン掃除段及び静電フィルタの間に同心に位置する第2のサイクロン掃除段と、第2のサイクロン掃除段及び空気通路の間に同心に位置する静電フィルタとの少なくとも一部分と全て同心に配置される。
【0017】
特定的な実施形態では、静電フィルタは、空気通路を取り囲み、第2のサイクロン掃除段のほこり収集容器は、静電フィルタの下側部分を取り囲み、2次サイクロンは、静電フィルタの上側部分を取り囲み、第1のサイクロン掃除段は、第2のサイクロン掃除段のほこり収集容器を取り囲む。
代替的な実施形態では、第2のサイクロン掃除段の一部分又は全体は、少なくとも部分的に空気通路を取り囲むように配置することができ、それは、次に、少なくとも部分的に静電フィルタを取り囲むように配置することができる。そのような実施形態では、空気通路は、第2のサイクロン掃除段と静電フィルタの間に同心に位置する。第2のサイクロン掃除段又はその一部分は、次に、第1のサイクロン掃除段及び空気通路の間に同心に位置する。好ましくは、静電フィルタは、空気通路によって取り囲むことができ、空気通路は、ほこり収集容器及び/又は第2のサイクロン掃除段の2次サイクロンによって取り囲むことができる。最も好ましい実施形態では、空気通路は、静電フィルタを取り囲み、第2のサイクロン掃除段は、空気通路を取り囲み、第1のサイクロン掃除段は、第2のサイクロン掃除段の少なくとも一部分を取り囲む。
【0018】
特定的な実施形態では、空気通路は、第2のサイクロン掃除段の上縁から分離装置の基部及び/又は静電フィルタの基部又はその近くまで延びることができる。好ましくは、空気通路は、第2のサイクロン掃除段の上縁と基部の間の距離の40、又は45、又は50、又は55、又は60、又は65、から70、又は75、から80、又は85、又は90、又は95、又は100パーセントまで延びることができる。代替的に又は追加的に、空気通路は、分離装置の長さの50、又は55、又は60、から65、又は70又は、75、から80、又は85、又は90、又は95、又は100パーセントまで延びることができる。
【0019】
静電フィルタは、あらゆるタイプの静電フィルタ、例えば、摩擦又はエレクトレット媒体フィルタとすることができるが、好ましくは、それは、第1及び第2の電極の間に位置するフィルタ媒体を含み、電極の各々は、電位差がフィルタ媒体にわたって形成されるように使用中に異なる電圧である。第1及び第2の電極は、好ましくは、使用時に空気がフィルタ媒体を貫流するように、フィルタ媒体が位置する空気通路の少なくとも一部分を形成する。
好ましい実施形態では、電極は、無孔性とすることができる。好ましくは、フィルタ媒体は、ある一定の長さを有し、第1及び第2の電極は、フィルタ媒体の長さに沿って無孔である。最も好ましい実施形態では、第1及び第2の電極は、これらの全長に沿って無孔である。
【0020】
本明細書で用いられる場合、用語「無孔性」は、第1及び第2の電極が穿孔、開口、又は間隙なしに連続中実表面を有するという意味を取るものとする。好ましい実施形態では、第1及び第2の電極は、使用中に、空気流がフィルタ媒体を通って電極の長さに沿って移動するように無孔性である。理想的には、空気流は、第1又は第2の電極を通過しない。
空気が使用中に電極を貫流する必要がないそのような配置は、それが、静電フィルタにわたる圧力低下を低減することができるので有利であると考えられる。更に、電極は、無孔性であるので、これらは、電極が多孔性であったとした場合よりも大きな表面積を有する。これは、静電フィルタの全体の性能を改良することができる。
【0021】
好ましい実施形態では、フィルタ媒体は、電気抵抗フィルタ媒体とすることができる。本明細書で用いられる場合、用語「電気抵抗フィルタ媒体」は、フィルタ媒体が22℃で1x107から1x1013オームメートルの抵抗性を有するという意味を取るものとする。最も好ましい実施形態では、フィルタ媒体は、22℃で2x109から2x1011オームメートルの抵抗性を有することができる。フィルタ媒体の電気抵抗は、フィルタ媒体の長さに沿って変化する場合がある。特定的な実施形態では、電気抵抗は、下流方向に低下すると考えられる。
【0022】
静電フィルタは、フィルタ媒体にわたって形成された電位差を用いて、集電極上ではなくてフィルタ媒体自体にほこりを収集する。この配置は、清浄化する集電極がないので、以前の静電フィルタにも勝って有利である。これは、フィルタ媒体のほこり保持機能により保守の必要性を低減し、フィルタの寿命を増大させることができる。
この電位差は、電気抵抗フィルタ媒体が負荷をもたらし、従って、僅かな電流のみがそれを貫流するので起こる。しかし、この電界は、電気抵抗フィルタ媒体の繊維におけるあらゆる正及び負電荷の分布を乱すことになり、それらをそのそれぞれの電極と整列させる。この工程は、フィルタを貫流する空気流のほこり粒子が、フィルタ媒体のそれぞれの正及び負端部に引き付けられることになるので、ほこりをフィルタ媒体の繊維に結合させるか又はこの上に定着させる。これは、ほこり粒子を荷電電極上に捕捉する必要なく、ほこり粒子をフィルタ媒体自体に捕捉させるのに役立つと考えられる。
【0023】
静電フィルタはまた、少なくとも1つのコロナ放電手段を更に含むことができ、フィルタ媒体は、コロナ放電手段の下流に配置される。コロナ放電手段を加えることで、有利な態様では、静電フィルタの効率を増大させることができる。この理由は、コロナ放電手段が、空気流のあらゆるほこり粒子をこれらがフィルタ媒体を通過する前に荷電するのに役立ち、従って、フィルタ媒体に対するほこり粒子吸引力を増大させるのを助けるからである。
【0024】
好ましい実施形態では、コロナ放電手段は、高曲率の少なくとも1つのコロナ放電電極と、低曲率の少なくとも1つの電極とを含むことができる。この配置は、それが、空気流のあらゆるほこり粒子を荷電するための大きなイオン源を発生させることができるので有利と考えられる。これらの荷電ほこり粒子は、次に、使用中にフィルタ媒体にわたる電位差を有するフィルタ媒体によって濾過して取り除かれる可能性が高い。
【0025】
低曲率の電極は、平面又は曲面とすることができる。コロナ放電電極は、それが、低曲率の電極よりも高い曲率のものである限りあらゆる適切な形態にすることができる。言い換えると、コロナ放電電極は、好ましくは、その表面における電界が低曲率の電極の表面における電界よりも大きくなるようにする形状のものである。適切な配置の例は、コロナ放電電極が、1つ又はそれよりも多くのワイヤ、ポイント、針、又は鋸歯である場合であると考えられ、低曲率の電極は、これらを取り囲むチューブである。代替的に、低曲率の電極は、平板にすることができる。
特定的な実施形態では、コロナ放電電極は、第1又は第2の電極の一部分から形成することができる。好ましい実施形態では、コロナ放電電極は、第1又は第2の電極の下縁又は上縁から又はこの上に形成された1つ又はそれよりも多くのポイントの形態である。理想的には、第2の電極の下縁又は上縁は、鋸歯状にされてコロナ放電電極を形成する。
【0026】
低曲率の電極も、第1又は第2の電極の一部分から形成することができる。特定的な実施形態では、第2の電極の上側又は下縁は、鋸歯状にされてコロナ放電電極を形成し、第1の電極の対応する上側又は下側部分は、低曲率の電極を形成する。低曲率の電極及び/又はコロナ放電電極の位置は、静電フィルタの配向及び空気が使用中にそれに入る方向に依存する。例えば、静電フィルタが空気が上端から入るように配置される場合、低曲率の電極及びコロナ放電電極は、好ましくは、第1及び第2の電極の上側部分上に位置する。代替的に、静電フィルタが空気が下端から入るように配置される場合、低曲率の電極及びコロナ放電電極は、好ましくは、第1及び第2の電極の下側部分上に位置する。
この配置は、コロナ放電電極又は低曲率の電極を形成する別々の構成要素の要件がないので有利である。
【0027】
好ましい実施形態では、低曲率の電極は、コロナ放電電極の下面から上流側及び下流側の両方に突出する。これは、イオン化電界が発生する容積を最大にし、従って、ほこり粒子がイオン化電界を通過する時にほこり粒子を荷電するための機会を最大にするのに役立つと考えられる。
代替的な実施形態では、コロナ放電電極は、第1及び第2の電極から取り除くことができる。そのような実施形態では、コロナ放電電極は、1つ又はそれよりも多くのワイヤ、針、ポイント、又は鋸歯の形態にすることができる。そのような実施形態では、低曲率の電極は、依然として第1又は第2の電極の一部分から形成することができる。特定的な実施形態では、第2の電極の一部分は、低曲率の電極を形成することができる。好ましい実施形態では、低曲率の電極及びコロナ放電電極は、ほこり粒子がイオン化電界を通過する時にほこり粒子を荷電する機会を最大にするイオン化電界が発生される容積を最大にするように配置される。
別の代替的な実施形態では、コロナ放電電極及び低曲率の電極の両方は、第1及び第2の電極から遠隔に位置することができる。
【0028】
第1及び第2の電極は、あらゆる適切な形状のものとすることができ、例えば、これらは、平面とすることができ、電気抵抗フィルタ媒体は、層間に挟むことができる。そのような平面層は、あらゆる適切な形状、例えば、四角形、矩形、円形、又は三角形のものとすることができる。代替的に、第1及び/又は第2の電極は、管状とすることができ、例えば、これらは、電気抵抗フィルタ媒体が電極チューブ間に位置する円筒形とすることができる。好ましい実施形態では、第1及び第2の電極は、同心に位置し、電気抵抗フィルタ媒体は、これらの間に同心に位置する。好ましくは、第2の電極は、第1の電極の内側に同心に位置し、従って、第1の電極よりも小さな直径を有する。特定的な実施形態では、第2の電極の表面又は第2の電極を取り囲むか又は支持する壁は、空気通路を形成することができる。
【0029】
静電フィルタはまた、第3の電極を更に含むことができる。そのような実施形態では、第2の電極は、第1と第3の電極の間に位置することができる。第3の電極も、あらゆる適切な形状のものとすることができるが、好ましくは、円筒形であり、そのような実施形態では、第2の電極は、好ましくは、第1の電極と第3の電極の間に同心に位置することができる。そのような実施形態では、別の電気抵抗フィルタ媒体が、第2の電極と第3の電極の間に位置することができる。好ましくは、第3の電極は、第2の電極の内側に同心に位置し、従って、第2の電極よりも小さな直径を有する。更に、この配置は、それが非常に小型の構造を考慮するので有利である。この実施形態では、第3の電極の表面又は第3の電極を取り囲むか又は支持する壁は、空気通路を形成することができる。
【0030】
特定的な実施形態では、第1及び第2の電極、並びに電気抵抗フィルタ媒体は、空気通路を取り囲み、第3の電極は、空気通路の壁を形成し、第2のサイクロン掃除段は、静電フィルタを取り囲み、第1のサイクロン掃除段は、第2のサイクロン掃除段のほこり収集容器を取り囲む。この同心配置は、非常に小型の構造を提供する。この配置はまた、第1のサイクロン掃除段と第2のサイクロン掃除段のほこり収集容器との両方が、高電圧供給源に接続した静電フィルタとユーザの間に位置するので、電気器具の安全性を増大させる。
【0031】
ここでもまた、第2の電極及び第3の電極は、好ましくは、電位差が更に別の電気抵抗フィルタ媒体にわたって形成されるように、使用中に各々異なる電圧である。
そのような実施形態では、第1の電極及び第3の電極は、使用中に同じ電圧とすることができる。第2の電極は、正又は負のいずれかに荷電することができる。理想的には、第2の電極は、負に荷電される。第1の電極及び第3の電極は、第2の電極よりも高いか又は低い電圧のいずれかを有することができる。好ましい実施形態では、第1の電極及び第3の電極は、第2の電極よりも高い電圧を有することができる。特に好ましい実施形態では、第1の電極及び第3の電極は、±2kV又は0ボルトとすることができ、第2の電極は、±2、又は4、又は5、又は6、又は7、又は8、又は9、又は10から11、又は12、又は13、又は14、又は15kVまでとすることができる。最も好ましい実施形態では、第2の電極は、−2又は−4から−10kVとすることができる。電極は、規則正しく離間させることができ、例えば、第1、第2、及び第3の電極は、1mm、又は3mm、又は5mm、又は7mmから9mm、又は10mm、又は12mm、又は15mm、又は20mm、又は40mmまで離して配置することができる。
【0032】
実施形態の全てに関して上述した電極は、あらゆる適切な導電材料から形成することができる。好ましくは、第1及び/又は第2及び/又は第3の電極は、2ミクロン、又は10ミクロン、又は50ミクロン、又は0.1mm、又は0.25mm、又は0.5mm、又は1mm、又は1.5mm、又は2mmから2.5mm、又は3mm、又は4mmまでの厚みの導電性金属シート、箔、又はコーティングから形成される。追加的に又は代替的に、フィルタ媒体は、電極の1つ又はそれよりも多くで被覆することができる。例えば、フィルタ媒体の1つ又はそれよりも多くの表面は、導電材料で被覆することができる。
【0033】
フィルタ媒体は、あらゆる適切な材料、例えば、ガラス、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリウレタン、又はあらゆる他の適切なプラスチック材料のものとすることができる。好ましい実施形態では、フィルタ媒体は、開放セル網状発泡体、例えば、ポリウレタン発泡体である。網状発泡体は、発泡体内のセルウィンドウが取り除かれて完全に開放セル網状組織を作り出す時に形成される。このタイプのフィルタ媒体は、発泡体がその構造を空気流内で保持することができるので特に有利である。ポリウレタン発泡体は、ポリエステル又はポリエーテルのいずれかから導出することができる。
【0034】
フィルタ媒体の孔隙サイズ/直径、PPI、又はタイプは、フィルタ媒体の長さに沿って変更することができる。例えば、孔隙サイズは、下流方向に減少するか又は増加する場合がある。本明細書で用いられる場合、用語「孔隙サイズ」及び「孔隙直径」は、互換性がある。平均孔隙サイズ/直径を測定して1インチ当たりの孔隙数を計算する方法は、具体的な説明に示されている。
孔隙サイズのそのような変化は、単一フィルタ媒体で起こる段階的変化とすることができ、又はフィルタ媒体の複数の区画を一緒にして、その長さにわたって様々な孔隙サイズを有するフィルタ媒体を形成することができる。PPIはまた、下流方向に減少するか又は増加する場合があり、又は代替的に、それは、別のランダム又は非ランダム方式で変化する場合がある。
【0035】
フィルタ媒体又はその区画は、0.4、又は0.5、又は1、又は1.5、又は2、又は2.5、又は3、又は3.5から4、又は4.5、又は5、又は5.5、又は6、又は6.5、又は7、又は7.5、又は8、8.5mmまで(又は400ミクロンから8500ミクロン)の平均孔隙直径と共に、3、又は5、又は6、又は8、又は10、又は15、又は20、又は25、又は30から35、又は40、又は45、又は50、又は55、又は60の1インチ当たりの孔隙数(PPI)を有することができる。好ましい実施形態では、フィルタ媒体又はその区画は、1.5mmから5mmまでの平均孔隙直径と共に8から30までのPPIを有することができる。別の好ましい実施形態では、フィルタ媒体又はその区画は、1.5mmから8mmまでの平均孔隙直径と共に3から30までのPPIを有することができる。最も好ましくは、PPIは、3から10までのPPIとすることができる。好ましい実施形態では、フィルタ媒体の上流部分/区画は、3つのPPIのうちの1つのPPIを有することができ、下流部分/区画は、6つのPPIのうちの1つのPPIを有することができる。好ましい実施形態では、フィルタ媒体の上流部分/区画は、7200ミクロン(7.2mm)の平均孔隙直径を有することができ、下流部分/区画は、4500ミクロン(4.5mm)の平均孔隙直径を有することができる。
好ましくは、分離装置は、表面処理電気器具、例えば、真空掃除機の一部を形成する。好ましい実施形態では、分離装置は、表面処理電気器具の本体上に取外し可能に装着することができる。
ここで、添付図面を参照して一例として本発明を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による分離装置を組み込むキャニスタ真空掃除機の図である。
【図2】本発明による分離装置を組み込む直立真空掃除機の図である。
【図3a】図1及び2に示す分離装置を通る縦方向断面図である。
【図3b】図1及び2に示す分離装置を通る水平断面図である。
【図4】図3に示す静電フィルタを通る概略断面図である。
【図5】分離装置の代替的な実施形態を通る断面図である。
【図6a】分離装置の代替的な実施形態を通る縦方向断面図である。
【図6b】図6aに示す実施形態を通る水平断面図である。
【図7】分離装置の代替的な実施形態を通る断面図である。
【図8】分離装置の代替的な実施形態を通る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
同じ参照番号は、本明細書を通して同じ部分を意味する。
図1及び2を参照すると、真空掃除機が示されて全体が参照番号1によって表示されている。
図1では、真空掃除機1は、本体2、掃除する表面を横切る真空掃除機1を操作するための本体2に装着されたホイール4、及び本体2上に取外し可能に装着された分離装置6を含む。ホース8は、分離装置6と連通し、モータ及びファンユニット(図示せず)は、ほこり含有空気をホース8を通じて分離装置6に引き込むための本体2内に収容される。通常、床係合掃除機ヘッド(図示せず)は、ワンドを通じてホース8の遠位端に連結され、掃除する表面にわたって汚れ空気入口10の操作を容易にする。
使用時には、ホース8を通じて分離装置6に引き込まれたほこり含有空気は、分離装置6のホース8から分離されたほこり粒子を有する。汚れ及びほこりは、分離装置6内に収集され、一方、清浄化された空気は、真空掃除機1から取り出される前に冷却目的のためにモータを越して送られる。
【0038】
図2に示す直立真空掃除機1は、モータ及びファンユニット(図示せず)が装着され、かつホイール4が装着されて、真空掃除機1が掃除する表面を横切って操作されることを可能にする本体2を有する。掃除機ヘッド14は、本体2の下端上にピボット回転可能に装着され、汚れ空気入口10は、掃除する表面に向いている掃除機ヘッド14の下側に設けられる。分離装置6は、本体2上に取外し可能に設けられ、ダクト系統16は、汚れ空気入口10と分離装置6の間に連通を提供する。ワンド及びハンドルアセンブリ18は、分離装置6の後方の本体2上に解除可能に装着される。
【0039】
使用時には、モータ及びファンユニットは、ほこり含有空気を汚れ空気入口10又はワンド18を通じて真空掃除機1に引き込む。汚れ含有空気は、ダクト系統16を通じて分離装置6まで運ばれ、同伴ほこり粒子は、空気から分離されて分離装置6に保持される。清浄化空気は、冷却目的のためにモータを横切って通り、次に、真空掃除機1から取り出される。
真空掃除機1の各々の一部を形成する分離装置6は、図3a、図3b、図5、図6a、図6b、図7、及び図8により詳細に示されている。分離装置6の具体的な全体の形状は、分離装置6を用いるべき真空掃除機1のタイプにより変更することができる。例えば、分離装置6の全体の長さは、分離装置6の直径に対して増加するか又は減少する場合がある。
【0040】
分離装置6は、分離装置6を通って縦方向に位置する第1のサイクロン掃除段20、第2のサイクロン掃除段22、及び静電フィルタ70を含む。静電フィルタの実施形態は、図4でより詳細に見ることができる。
第1のサイクロン掃除段20は、実質的にその形状が円筒形である外壁24と、外壁24から半径方向内向きに位置して外壁24から離間した第2の円筒壁36との間に位置する環状チャンバ38であることが分る。第1のサイクロン掃除段20の下端は、ピボット28により外壁24にピボット回転可能に取り付けられた基部26によって閉鎖され、キャッチ30によって閉鎖位置に保持される。閉鎖位置では、基部26は、壁24、36の下端に対して密封される。キャッチ30の解除は、基部26が、第1のサイクロン掃除段20及び第2のサイクロン掃除段22を空にするために外壁24及び第2の円筒壁36から離れてピボット回転することを可能にする。
【0041】
この実施形態では、環状チャンバ38の上部部分は、第1のサイクロン掃除段22の円筒サイクロン32を形成し、下側部分は、ほこり収集容器34を形成する。第2のサイクロン掃除段22は、平行に配置された2次サイクロン52及び第2のほこり収集容器64を含む。
ほこり含有空気入口40は、第1の段のサイクロン20の外壁24に設けられる。ほこり含有空気入口40は、流入ほこり含有空気が、環状チャンバ38の周囲の螺旋経路に従わざるを得ないことを保証するために外壁24に対して接線方向に配置される。第1のサイクロン掃除段20からの流体出口は、シュラウド42の形態で設けられる。シュラウド42は、多数の穿孔46が形成される円筒壁44を含む。第1のサイクロン掃除段20からの流体出口のみが、シュラウド42の穿孔46によって形成される。
【0042】
通路48は、シュラウド42の下流に形成される。通路48は、第2のサイクロン掃除段22と連通する。通路48は、2次サイクロン50の入口52をもたらす環状チャンバの形態にすることができ、又は各々が別々の2次サイクロン50をもたらす複数の別個の空気通路の形態にすることができる。
第3の円筒壁54は、基部26の方向に2次サイクロン50の各々の上面を形成する渦ファインダプレート56から下向きに延びている。第3の円筒壁54は、第2の円筒壁36の半径方向内向きに位置し、これらの間に第2の環状チャンバ58を形成するためにそれから離間している。
【0043】
基部26が閉鎖位置にある時に、第3の円筒壁54は、図5及び6aに示すように基部26に至るまで到達し、これに対して密封することができる。代替的に、図3a及び7に示すように、第3の円筒壁54は、基部26の寸前で止まることができ、かつ静電フィルタ底板60によって密封することができる。
2次サイクロン50は、実質的に又は全体的に第1のサイクロン掃除段20の上方に円形に配置される。2次サイクロン50の一部分は、第1のサイクロン掃除段20の上部に突出することができる。2次サイクロン50は、第1のサイクロン掃除段20の軸に中心が置かれた輪になって配置される。各2次サイクロン50は、第1のサイクロン掃除段20の軸の下向きに及びこれの方向に傾斜している軸を有する。
【0044】
各2次サイクロン50は、その形状が円錐台状であり、第2の環状チャンバ58の上部に開放する円錐開口部62を含む。使用時には、2次サイクロン50によって分離されたほこりは、円錐開口部62を通って出ることになり、第2の環状チャンバ58に収集されることになる。第2の環状チャンバ58は、従って、2次サイクロン掃除段22のほこり収集容器64を形成する。渦ファインダ66は、各2次サイクロン50の上端に設けられる。渦ファインダ66は、渦ファインダプレート56の一体化部分とすることができ、又はこれらは、渦ファインダプレート56を通過することができる。図示の実施形態の全てにおいて、渦ファインダは、静電フィルタ70と流体的に接続する。
【0045】
図3a、5、7、及び8に示す実施形態では、渦ファインダ66は、渦フィンガ68内に通じており、これは、図3a、5、及び8では、静電フィルタ70の下端に通じる空気通路74と連通し、かつ図7では、直接静電フィルタ70の上端と直接に連通している。しかし、渦ファインダ66は、次に、空気通路又は直接に静電フィルタ70と連通するプレナム又はマニホルド98と連通することができる。図6aでは、渦ファインダ66は、直接に静電フィルタ70の上端と連通するプレナム98と連通することが分る。
【0046】
図3a及び3bでは、空気通路74は、分離装置6の中心の縦方向下方に配置される。静電フィルタ70は、空気通路74が、静電フィルタ70によって部分的に又は全体的に取り囲まれるように、空気通路74の周囲に配置される。静電フィルタ70の上端は、排出マニホルド94を通じて分離装置6の出口ポート96に流体的に接続される。排出マニホルド94は、少なくとも部分的に渦フィンガ68を囲み、第1が排出マニホルド94自体であって第2が渦フィンガ68である2つの流体的に別個の空気通路を収容する排出マニホルドを形成する。
【0047】
図5では、空気通路74は、その形状が環状であり、少なくとも部分的に静電フィルタ70によって取り囲まれることが分る。空気通路74は、流体通路又は個々の流体通路を静電フィルタ70の下端に設けるように配置される。排出通路100は、静電フィルタ70の上端と分離装置6の下端上に位置する出口ポート96の間に流体通路を提供する。排出通路100は、分離装置6の中心の縦方向下方に配置される。空気通路74は、排出通路100が空気通路74によって部分的に又は全体的に取り囲まれるように、排出通路100の周囲に配置される。
図6aでは、プレナム98は、渦ファインダ66及び静電フィルタ70を流体的に接続することが分る。静電フィルタ70の下端は、分離装置6の下端に位置する分離装置6の出口ポート96に流体的に接続される。この実施形態では、空気通路又は排出通路はない。
【0048】
図7では、渦フィンガ68は、直接に静電フィルタ70に通じることが分る。環状排出通路100は、静電フィルタ70が、分離装置6の中心の縦方向下方に配置され、環状排出通路100によって部分的に又は全体的に取り囲まれるように、静電フィルタ70の周囲に配置される。環状排出通路100の上端は、分離装置6の上端に位置する排出マニホルド94を通じて分離装置6の出口ポート96に流体的に接続される。更に、排出マニホルド94は、少なくとも部分的に渦フィンガ68を囲み、第1が排出マニホルド94自体であって第2が渦フィンガ68である2つの流体的に別個の空気通路を収容する排出マニホルド94を形成する。
図8では、空気通路74は、その形状が環状であり、静電フィルタ70を取り囲むことが分る。空気通路74は、次に、第2のサイクロン掃除段22によって取り囲まれる。第2のサイクロン掃除段22はまた、少なくとも部分的に第1のサイクロン掃除段20によって取り囲まれる。空気通路74は、2次サイクロン50から静電フィルタ70の下端までの流体通路をもたらすように配置される。
【0049】
上述の実施形態の全てにおいて、静電フィルタ70は、2次サイクロン50及びほこり収集容器64の少なくとも一部分が静電フィルタ70を取り囲むように分離装置6の縦方向下方に配置される。2次サイクロン50が、静電フィルタ70の上部を囲み、ほこり収集容器64が、静電フィルタ70の下側部分を取り囲むことが分る。静電フィルタ70が、渦ファインダプレート56から基部26の近くまで延びることも見ることができる。
【0050】
図3a、3b、4、及び5に示す実施形態では、静電フィルタ70は、中心に配置された円筒形の第1、第2、及び第3の電極76、78、80を含む。フィルタ媒体82は、第1及び第2の電極76、78と第2及び第3の電極78、80との両方の間に位置する。
静電フィルタ70はまた、コロナ放電電極84及び低曲率86の2つの電極の形態のコロナ放電手段を含む。静電フィルタ70は、しかし、コロナ放電手段なしに機能すると考えられる。
【0051】
低曲率86の第1の電極は、フィルタ媒体82の下面88より下の第1の電極76の延長部であり、低曲率86の第2の電極は、フィルタ媒体82の下面88より下の第3の電極80の延長部である。
コロナ放電電極84は、フィルタ媒体82の下面88より下に延びる第2の電極78の鋸歯状下縁90の形態である。低曲率86の電極は、コロナ放電電極84の鋸歯状下縁90の上流及び下流の両方に突出することを見ることができる。
【0052】
第1及び第3の電極76、80は、0ボルトであり、第2の電極78は、−2又は−4から−10kVである。電極76、78、80は、高電圧電源に接続される。高電圧電源は、好ましくは、排出マニホルド94に位置するPCB93によって発生する。
電極76、78、80は、あらゆる適切な導電材料、例えば、アルミニウムから形成することができる。
【0053】
図6a及び6bに示す実施形態では、静電フィルタ70は、平行に配置された複数の第1及び第2の平板電極76、78を含む。フィルタ媒体82は、各隣接する第1及び第2の電極76、78の間に位置し、層状静電フィルタ70を形成する。静電フィルタ70は、断面をあらゆる形状とすることができるが、好ましくは、円筒形である。第1及び第2の電極76、78は、静電フィルタ70の外面を形成する管状通路を提供する第3の円筒壁54の内側に配置される。第1及び第2の電極76、78は、縦方向に配置され、縦方向に静電フィルタ70を通過する複数の平行空気通路を提供する。
【0054】
静電フィルタ70はまた、コロナ放電電極84及び低曲率86の電極の形態のコロナ放電手段を含む。静電フィルタ70は、しかし、コロナ放電手段なしに機能すると考えられる。低曲率86の各電極は、フィルタ媒体82の上面102の上方の第1の電極76の延長部である。コロナ放電電極84は、フィルタ媒体82の上面102の上方に延びる第2の電極78の鋸歯状上縁91の形態である。低曲率86の電極は、コロナ放電電極84の鋸歯状上縁91の上流及び下流の両方に突出することを見ることができる。
第1の電極76は、−2又は0ボルトであり、第2の電極78は、±2又は4から±10kVである。電極76、78は、高電圧電源に接続される。
【0055】
図7では、上述の静電フィルタ70は、代替のタイプの静電フィルタ70で置換されていることを見ることができる。この実施形態では、静電フィルタ70は、摩擦静電フィルタ又はエレクトレット媒体静電フィルタ70とすることができる。
静電フィルタ70は、勿論、図3a、3b、4、5、6a、及び6bに関して上述したように静電フィルタ70によって置換することができる。同様に、図3a、3b、4、5、6a、及び6bに説明した静電フィルタ70は、異なるタイプの静電フィルタ70、例えば、摩擦静電フィルタ又はエレクトレット媒体フィルタで置換することができる。
【0056】
図8に示す実施形態では、静電フィルタ70の詳細は、示されていない。この実施形態における静電フィルタは、前の実施形態のいずれでも図示して説明することができると考えられ、例えば、静電フィルタ70は、例えば、図3aに示すような円筒電極を有することができ、又はそれは、例えば、図6aに示すような平板電極を有することができる。代替的に、静電フィルタ70は、図7に示すように摩擦静電フィルタ又はエレクトレット媒体静電フィルタ70とすることができる。
【0057】
上述の実施形態の使用中に、ほこり含有空気は、ほこり含有空気入口40を通じて分離装置6に入り、入口40の接線方向配置のために、ほこり含有空気は、外壁24の周囲の螺旋経路に従って進む。より大きな汚れ及びほこり粒子は、環状チャンバ38におけるサイクロン作用によって堆積され、ほこり収集容器34に収集される。部分清浄化されたほこり含有空気は、シュラウド42の穿孔46を通じて環状チャンバ38を出て通路48に入る。部分清浄化ほこり含有空気は、次に、2次サイクロン50の接線方向入口52に貫流する。サイクロン分離は、依然として空気流内に同伴されたほこり粒子の一部の分離が起こるように、2次サイクロン50の内側に設定される。2次サイクロン50の空気流から分離されたほこり粒子は、2次サイクロン掃除段22のほこり収集容器64の少なくとも一部を形成する2次環状チャンバ58に堆積される。別の清浄化ほこり含有空気は、次に、渦ファインダ66を通じて2次サイクロン50を出る。別の清浄化ほこり含有空気は、次に、静電フィルタ70に貫流する。
【0058】
図3a及び3bに示す実施形態では、更に別の清浄化ほこり含有空気は、静電フィルタ70の下端の方向に渦ファインダ66から渦フィンガ68に沿って及び空気通路74の下方に流れていく。空気は、次に、更に別の清浄化ほこり含有空気に残っているあらゆるほこり粒子が荷電されるように、コロナ放電電極84及び低曲率86の電極から形成されたコロナ放電手段を越して移動する。荷電ほこりを含有する更に別の清浄化ほこり含有空気は、次に、フィルタ媒体82を通って上向きに移動する。電位差が、フィルタ媒体82にわたって発生し、荷電ほこり粒子がフィルタ媒体82のそれぞれの正及び負の端部に吸引され、従って、これらをフィルタ媒体82内に捕捉する。
清浄化空気は、次に、渦ファインダプレート56の開口92を通じて静電フィルタ70の上部を離れ、排出マニホルド94に入る。清浄化空気は、次に、出口ポート96を通じて分離装置6から排出される。
【0059】
図5に示す実施形態では、更に別の清浄化ほこり含有空気は、静電フィルタ70の底端部の方向に渦ファインダ66から渦フィンガ68に沿って及び空気通路74の下方に流れていく。空気は、次に、更に別の清浄化ほこり含有空気に残っているあらゆるほこり粒子が荷電されるように、コロナ放電電極84及び低曲率86の電極から形成されたコロナ放電手段を越して移動する。荷電ほこりを含有する更に別の清浄化ほこり含有空気は、次に、フィルタ媒体82を通って上向きに移動する。電位差が、フィルタ媒体82にわたって発生し、荷電ほこり粒子がフィルタ媒体82のそれぞれの正及び負の端部に吸引され、従って、これらをフィルタ媒体82内に捕捉する。
清浄化空気は、次に、静電フィルタ70の上部を離れ、空気を分離装置6の中心を通って分離装置6の下端上に位置する出口ポート96に対して下に向ける排出通路100に入る。
【0060】
図6a及び6bに示す実施形態では、更に別の清浄化ほこり含有空気は、渦ファインダ66から流れ出て、プレナム98に入る。空気は、プレナム98を通過し、静電フィルタ70の上部に入る。空気は、次に、更に別の清浄化ほこり含有空気に残っているあらゆるほこり粒子が荷電されるように、コロナ放電電極84及び低曲率86の電極から形成されたコロナ放電手段を越して移動する。荷電ほこりを含有する更に別の清浄化ほこり含有空気は、次に、フィルタ媒体82を通って下向きに移動する。電位差が、フィルタ媒体82にわたって発生し、荷電ほこり粒子がフィルタ媒体82のそれぞれの正及び負の端部に吸引され、従って、これらをフィルタ媒体82内に捕捉する。
清浄化空気は、次に、静電フィルタ70の下端を離れ、分離装置6の下端上に位置する出口ポート96を通じて分離装置6から排出される。
【0061】
図7に示す実施形態では、更に別の清浄化ほこり含有空気は、渦ファインダ66から渦フィンガ68に沿って及び静電フィルタ70に流れていく。別の清浄化ほこり含有空気は、静電フィルタ70を通って下向きに移動する。清浄化空気は、次に、静電フィルタ70の下端を離れ、排出通路100に移動し、分離装置6の上端上に位置する出口ポート96を通じて分離装置6を出る。
【0062】
図8に示す実施形態では、更に別の清浄化ほこり含有空気は、静電フィルタ70の底端部の方向に渦ファインダ66から渦フィンガ68に沿って及び空気通路74の下方に流れていく。荷電ほこりを含有する更に別の清浄化ほこり含有空気は、次に、静電フィルタ70を通って上向きに移動する。清浄化空気は、次に、分離装置6の上端上に位置する出口ポート96を通じて静電フィルタ70の上端を離れる。
【0063】
分離装置6は、サイクロン分離の2つの別個の段及び静電濾過の別個の段を含むことはこの説明から認められるであろう。第1のサイクロン掃除段20は、単一円筒サイクロン32を含む。その外壁24の相対的に大きな直径は、汚れ及びデブリの比較的大きな粒子が、汚れ及びほこりに印加された遠心力が比較的小さいので空気から分離されることになることを意味する。一部の細かいほこりも同様に分離されることになる。より大きなデブリの大部分は、確実にほこり収集容器34に堆積されることになる。
【0064】
12個の2次サイクロン50があり、これらの各々は、円筒サイクロン32よりも小さな直径を有し、従って、円筒サイクロン32よりも細かい汚れ及びほこり粒子を分離することができる。これらはまた、既に円筒サイクロン32によって清浄化されている空気によってチャレンジされるという付加的な利点を有し、従って、同伴ほこり粒子の量及び平均サイズは、そうでなかった場合よりも小さい。2次サイクロン50の分離効率は、円筒サイクロン32のそれよりもかなり高いが、一部の小さな粒子は、依然として2次サイクロン50を通って静電フィルタ70まで移動する。
【0065】
上述の実施形態の全てにおいて、フィルタ媒体82は、あらゆる適切な材料、例えば、ポリエステルから導出された開放セル網状ポリウレタン発泡体から形成することができる。
フィルタ媒体82は、3から12のPPI、好ましくは、8から10のPPI、及び最も好ましくは、3から6のPPIの範囲のPPIを有する。図3aに示すフィルタ媒体82の孔隙サイズ及びPPIは、それが、異なる孔隙サイズ及びPPIを有する2つの断面の各々から形成されるので、その長さに沿って変化する。図3aに示す実施形態では、上流部分は、3又は8のPPIを有し、下流部分は、6又は10のPPIを有する。
【0066】
孔隙サイズ/直径は、以下の方法を用いて測定することができる。
1)孔隙一貫性を保証する発泡体構造の顕微鏡写真を水平断面を通して取るべきである。
2)5つの個々の孔隙を選択すべきである。
3)各孔隙直径は、100ミクロンよりも小さくない精度で測定すべきであり、平均は、5つの孔隙にわたって取るべきである。
4)この平均孔隙サイズ(孔隙直径)は、ミクロン又はミリメートルで測定される。
1インチ当たりの孔隙数は、25400(1インチ=25400ミクロン)をミクロンの孔隙直径で割って計算される。
図示の実施形態の全てにおいて、電極の全ては無孔性であることが好ましい。しかし、第1及び第2の電極が無孔性である限り、存在するいずれの他の電極も、必要に応じて多孔性とすることができることが可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 真空掃除機
2 本体
4 ホイール
6 分離装置
10 汚れ空気入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離装置であって、
少なくとも1つのサイクロンを含む第1のサイクロン掃除段と、
静電フィルタと、
を含み、
前記静電フィルタは、空気通路を通じて前記少なくとも1つのサイクロンと流体連通しており、該空気通路の少なくとも一部分が、分離装置を通って縦方向に形成され、
前記第1のサイクロン掃除段の少なくとも一部分、前記静電フィルタ、及び前記空気通路は、同心に配置される、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記静電フィルタは、分離装置を通って縦方向に位置することを特徴とする請求項1に記載の分離装置。
【請求項3】
前記空気通路は、前記第1のサイクロン掃除段と前記静電フィルタの間に同心に位置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分離装置。
【請求項4】
前記空気通路は、環状であることを特徴とする請求項3に記載の分離装置。
【請求項5】
前記静電フィルタは、前記第1のサイクロン掃除段と前記空気通路の間に同心に位置することを特徴とする請求項1に記載の分離装置。
【請求項6】
前記空気通路は、分離装置の中心軸の周りに配置されることを特徴とする請求項5に記載の分離装置。
【請求項7】
第2のサイクロン掃除段を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の分離装置。
【請求項8】
前記静電フィルタは、前記第2のサイクロン掃除段の下流に位置することを特徴とする請求項7に記載の分離装置。
【請求項9】
前記静電フィルタは、前記空気通路を通じて前記第2のサイクロン掃除段と流体連通していることを特徴とする請求項8に記載の分離装置。
【請求項10】
前記第1のサイクロン掃除段は、前記第2のサイクロン掃除段のほこり収集容器を少なくとも部分的に取り囲むように配置されることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の分離装置。
【請求項11】
前記第2のサイクロン掃除段の前記ほこり収集容器は、前記空気通路を少なくとも部分的に取り囲むように配置され、該空気通路は、次に、前記静電フィルタを少なくとも部分的に取り囲むように配置されることを特徴とする請求項10に記載の分離装置。
【請求項12】
前記空気通路は、分離装置の長さの50から100パーセントまで延びることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の分離装置。
【請求項13】
前記静電フィルタは、第1及び第2の電極の間に位置するフィルタ媒体を含み、該電極の各々は、電位差が該フィルタ媒体にわたって形成されるように使用中に異なる電圧であることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の分離装置。
【請求項14】
前記第1及び第2の電極は、実質的に無孔性であることを特徴とする請求項13に記載の分離装置。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の分離装置、
を含むことを特徴とする真空掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−25050(P2011−25050A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−179794(P2010−179794)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(508032310)ダイソン テクノロジー リミテッド (286)
【Fターム(参考)】