説明

切り抜き加工装置

【課題】カッターの記録メディアに対する往復変位を長時間に亘って安定した駆動力で行なえるようにして、記録メディアに対する二次元情報の切り抜き加工精度を向上させることができる切り抜き加工装置を提供する。
【解決手段】切り抜き加工装置100は、記録メディアWKに対して変位しながら同記録メディアWKに二次元情報を切り抜くカッティングヘッドを備えている。カッティングヘッド112は、電動モータ115によって回転駆動されるネジ軸117上を変位する連結片120を備えている。連結片120には、第1の弾性体121を介して加工工具ベース122が連結されている。加工工具ベース122は、第1のカッター113を保持して第2の弾性体126を介して固定ベース118に吊り下げられた状態で支持されている。固定ベース118には支持軸118cを介して第2のカッター114を保持する第2のカッターホルダー119が揺動自在に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の記録メディアに対して所望する二次元情報を切り抜き加工する切り抜き加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙などの記録メディアに所望する文字、記号および図形からなる二次元情報を切り抜き加工する切り抜き加工装置がある。一般に、このような切り抜き加工装置は、プラテン上に保持した記録メディアを所定の搬送方向に変位させながら、記録メディアを切断するためのカッターを保持したカッティングキャリッジを記録メディアの搬送方向に直交する方向に往復変位させることにより二次元情報を切り抜いている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、プラテン上に保持した記録メディアを主走査方向に往復変位させながら、二次元情報を印刷するための記録ヘッドと二次元情報を切り抜くためのカッティングヘッドとを備えた画像形成キャリッジを副走査方向に往復変位させることにより記録メディア上に所望の二次元情報を印刷または切り抜き加工を行う所謂プリント&カット型の切り抜き加工装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−6531号公報
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のような切り抜き加工装置においては、カッティングヘッドに保持されて二次元情報を切り抜くカッターの記録メディアに対する接触および離隔の往復駆動がソレノイドによって行なわれている。このため、カッターが記録メディアを押圧する力のバラツキが大きく記録メディアに対するカッターの切り込み過多または切り込み不足が生じて加工精度が低下することがあるという問題があった。また、カッティングヘッドによる二次元情報の形成が長くなると、ソレノイドの発熱によりカッターの駆動力が著しく減衰して上記加工精度の低下が顕著になるという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、二次元情報を切り抜くカッターの記録メディアに対する往復変位を長時間に亘って安定した駆動力で行なえるようにして、記録メディアに対する二次元情報の切り抜き加工精度を向上させることができる切り抜き加工装置を提供することにある。
【発明の概要】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明の特徴は、記録メディアに対してカッターを変位させ、またはカッターに対して記録メディアを変位させることにより同記録メディアを切断して二次元情報を切り抜き加工する切り抜き加工装置において、電動モータと、第1のカッターを保持するとともに同第1のカッターを記録メディアに対して接近および離隔するZ軸方向に変位可能に支持する加工工具ベースと、加工工具ベースをZ軸方向に変位させるための連結片を電動モータの駆動によってZ軸方向に沿って変位させる変位機構と、連結片と加工工具ベースとを連結する第1の弾性体と、加工工具ベースと、同加工工具ベースをZ軸方向に摺動可能に支持する摺動支持部を有する固定部とを連結する第2の弾性体とを備えることにある。
【0008】
このように構成した請求項1に係る本発明の特徴によれば、切り抜き加工装置は、記録メディアを切断する第1のカッターを保持した加工工具ベースが電動モータによって記録メディアに対して接触および離隔するZ軸方向に往復駆動される。この場合、加工工具ベースは、電動モータによってZ軸方向に変位する連結片に対して第1の弾性体を介して連結されるとともに、Z軸方向に対する変位が固定された固定部に第2の弾性体を介して連結される。すなわち、第1のカッターを保持する加工工具ベースは、第1の弾性体および第2の弾性体によってZ軸方向の往復方向にそれぞれ弾性的に支持された状態で電動モータにより同Z軸方向に変位される。これにより、記録メディアを切断する第1のカッターは、電動モータの駆動制御によりZ軸方向における位置決めが正確に行なわれるとともに、第1の弾性体および第2の弾性体による弾性力によって安定的な力で記録メディアに押し付けられる。また、記録メディアの切断加工中において記録メディアまたはプラテンなどの起伏により第1のカッターに作用するZ軸方向の力に変化した場合であっても、第1の弾性体および第2の弾性体による弾性力によって第1のカッターの位置を追従させて加工を行うことができる。これらにより、記録メディアに対する第1のカッターの切り込み過多または切り込み不足が抑制されて長時間に亘って安定的に記録メディアに刺し込まれるようになり、二次元情報の切り抜き加工精度が向上する。
【0009】
また、請求項2に係る本発明の他の特徴は、前記切り抜き加工装置において、さらに、固定部に設けられた支持軸と、支持軸を回転中心として同支持軸の径方向に沿って延びて形成され、一方の端部に第2のカッターを保持するとともに他方の端部に受け部を有する第2カッターホルダーと、加工工具ベースに設けられ、第2カッターホルダーにおける受け部を押圧するための押圧部とを備えることにある。
【0010】
このように構成した請求項2に係る本発明の他の特徴によれば、切り抜き加工装置は、一方の端部側に第2のカッターを保持する保持部を有するとともに他方の端部側に受け部を有した第2カッターホルダーが支持軸によって揺動自在に支持されている。すなわち、第2カッターホルダーは、支持軸を支点とするシーソー機構によって支持されている。そして、第2カッターホルダーに対して変位する加工工具ベースには、第2カッターホルダーの受け部を押圧するための押圧部が形成されている。これにより、切り抜き加工装置は、加工工具ベースのZ軸方向の変位に応じて第2カッターホルダーの受け部を押圧するため、同第2カッターホルダーに保持された第2のカッターを記録メディアに対して接触または離隔させることができる。すなわち、切り抜き加工装置は、加工工具ベースを変位させることにより第1のカッターまたは第2のカッターを用いて記録メディアを切断して二次元情報を切断加工により形成することができる。この場合、例えば、切り抜き加工装置は、第1のカッターを記録メディアの切り抜き用として用いるとともに、第2のカッターを記録メディアの分断のための切断用として用いることにより用途の異なるカッターを使い分けることができる。
【0011】
また、請求項3に係る本発明の他の特徴は、前記切り抜き加工装置において、変位機構は、電動モータに連結されて回転駆動するネジ軸と、連結片に設けられてネジ軸に噛合うネジ係合部とを備えるネジ送り機構であることにある。
【0012】
このように構成した請求項3に係る本発明の他の特徴によれば、切り抜き加工装置は、変位機構が、電動モータに連結されて回転駆動するネジ軸と、連結片に設けられてネジ軸に噛合うネジ係合部とからなるネジ送り機構で構成されている。これにより、切り抜き加工装置は、変位機構を簡単な構成で剛性を確保しつつカッティングヘッド延いては切り抜き加工装置をコンパクトに構成することができる。
【0013】
また、請求項4に係る本発明の他の特徴は、前記切り抜き加工装置において、摺動支持部は、Z軸方向に沿って延びたガイド体で構成され、加工工具ベースは、ガイド体に接触して同ガイド体に沿って変位する従動体を備えることにある。
【0014】
このように構成した請求項4に係る本発明の他の特徴によれば、切り抜き加工装置は、摺動支持部がZ軸方向に沿って延びるガイド体で構成されるとともに、同ガイド体に接触して同ガイド体に沿って変位する従動体を加工工具ベースに備えて構成されている。すなわち、切り抜き加工装置は、加工工具ベースをZ軸方向に案内するための案内機構がガイド体と従動体とで構成されている。これにより、切り抜き加工装置は、加工工具ベースに取り付けられた摺動体をガイド体に沿って変位させることにより加工工具ベースを精度良くZ軸方向に往復変位させることができる。
【0015】
また、請求項5に係る本発明の他の特徴は、前記切り抜き加工装置において、さらに、第1の弾性体および第2の弾性体は、それぞれコイルスプリングで構成され、第1の弾性体のバネ定数は、第2の弾性体のバネ定数より大きいことにある。
【0016】
このように構成した請求項5に係る本発明の他の特徴によれば、切り抜き加工装置は、第1の弾性体および第2の弾性体がコイルスプリングでそれぞれ構成されるとともに、第1の弾性体のバネ定数が第2の弾性体のバネ定数より大きく設定されている。これにより、記録メディアの切断加工中において記録メディアまたはプラテンなどの起伏により第1のカッターがZ軸方向に変位した場合であっても、第1のカッターを記録メディアに刺し込んだ状態を精度良く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る切り抜き加工装置の全体構成を概略的に示す一部破断外観斜視図である。
【図2】図1に示す切り抜き加工装置の作動を制御するための制御システムのブロック図である。
【図3】図1に示す切り抜き加工装置に用いられるカッティングヘッドにおける待機状態の外観を模式的に示す正面図である。
【図4】図3に示すカッティングヘッドにおける待機状態の外観を模式的に示す斜視図である。
【図5】図1に示す切り抜き加工装置に用いられるカッティングヘッドにおける切抜き加工時の状態の外観を模式的に示す正面図である。
【図6】図5に示すカッティングヘッドにおける切抜き加工時の状態の外観を模式的に示す斜視図である。
【図7】図1に示す切り抜き加工装置に用いられるカッティングヘッドにおける分断切断時の状態の外観を模式的に示す正面図である。
【図8】図7に示すカッティングヘッドにおける分断切断時の状態の外観を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る切り抜き加工装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る切り抜き加工装置100の外観構成を概略的に示す斜視図である。また、図2は、同切り抜き加工装置100の作動を制御するための制御システムのブロック図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。この切り抜き加工装置100は、ロールシート状の記録メディアWKに対してインクを付着させるまたはカッターを用いて切り抜き加工を行うことにより所望する文字、記号または図形などからなる二次元情報を形成する所謂プリント&カッティング装置である。なお、本実施形態における記録メディアWKは、二次元情報の形成対象となる上側シートと同上側シートを離脱可能に支持する下側シートとの2つのシートが積層されて構成されている。
【0019】
(切り抜き加工装置100の構成)
切り抜き加工装置100は、平面部を有するとともに同平面部における切り抜き加工装置100の前方側および後方側が図示下方に向かってそれぞれ湾曲したエプロンを有するプラテン101を備えている。プラテン101は、前記平面部上に記録メディアWKが載置されて支持する載置台であり、図示左右(Y軸)方向に延びて形成されている。このプラテン101における平面部には、図示Y軸方向に沿って円筒状のグリッドローラ102がその上面部を露出させた状態で設けられている。グリッドローラ102は、後述するコントローラ130によって駆動が制御されるX軸方向フィードモータ103によって回転駆動される。なお、図1において、プラテン101が延びる長手方向(図示Y軸方向)を主走査方向、同主走査方向に直交する図示前後方向(図示X軸方向)を記録メディアWKが搬送される副走査方向とする。
【0020】
プラテン101の上方には、図示Y軸方向に延びるプラテン101に沿って長尺状のガイドレール104が設けられている。ガイドレール104は、主として画像形成キャリッジ110を支持する鋼製の長尺部材であり、図示前側の側面に直動レール105を備えている。直動レール105は、図示しない直動ブロックを介して画像形成キャリッジ110を摺動可能に支持する1本の鋼製のレール体であり、図示Y軸方向に沿ってガイドレール104に固定されている。この直動レール105の上方には、図示Y軸方向に沿って駆動ベルト106が架設されている。駆動ベルト106は、Y軸方向スキャンモータ107によって回転駆動される環状の無端ベルトであり、その一部が画像形成キャリッジ110に連結されている。すなわち、画像形成キャリッジ110は、駆動ベルト106を介してY軸方向スキャンモータ107により直動レール105、すなわちガイドレール104に沿って図示Y軸方向に変位する。
【0021】
また、ガイドレール104における図示しない下端部には、グリッドローラ102に対向した状態で円筒部を有する4つのピンチローラ108が図示Y軸方向に沿って変位可能な状態それぞれ設けられている(図においては3つの図示)。これらのグリッドローラ102およびピンチローラ108は、シート状の記録メディアWKを図示上下方向から挟持した状態でグリッドローラ102の回転駆動により図示前後方向に搬送する。
【0022】
画像形成キャリッジ110は、二次元情報の形成対象である記録メディアWKに対してインクを付着させるまたはカッターを用いて切断することにより文字、記号または図形を含む所望の二次元情報を形成する機械装置であり、インクヘッド111およびカッティングヘッド112を備えて構成されている。インクヘッド111は、互いに異なる複数(例えば、3つ)の色のインクごとに設けられており、前記コントローラ130によって作動が制御される。これらの各インクヘッド111は、図示しないインクタンクから供給されるインクのインク滴を記録メディアWKに向けてそれぞれ吐出する。すなわち、インクヘッド111は、互いに異なる複数(例えば、3つ)の色のインクの組み合わせによって記録メディアWKの表面にカラーの二次元情報を印刷する。
【0023】
一方、カッティングヘッド112は、詳しくは、図3および図4に示すように、記録メディアWKを切断するための第1のカッター113および第2のカッター114の2つのカッターをそれぞれ保持するとともに、これらのカッターを記録メディアWKに対して接触および離隔させる図示Z軸方向(図示上下方向)にそれぞれ変位させる機械装置である。このカッティングヘッド112に支持される第1のカッター113および第2のカッター114のうち、第1のカッター113は、記録メディアWKにおける上側シート上に二次元情報を切り抜くための切断工具であり、棒状体の先端部に切れ刃が形成されて構成されている。一方、第2のカッター114は、二次元情報の形成が終了したロールシート状の記録メディアWKを単シート状に分断するための切断工具であり、長尺板状体の縁部に切れ刃が形成されて構成されている。
【0024】
このカッティングヘッド112は、電動モータ115を備えている。電動モータ115は、第1のカッター113および第2のカッター114を記録メディアWKに対して接触および離隔させる図示Z軸方向にそれぞれ変位させるための駆動源となるアクチュエータであり、コントローラ130によって作動が制御される。本実施形態においては、電動モータ115は、ステッピングモータによって構成されている。なお、電動モータ115は、ステッピングモータ以外のモータ、例えば、サーボモータなどを用いることができることは当然である。この電動モータ115は、カッティングヘッド112に固定的に設けられた鋼板製の支持ステー116上に固定されている。
【0025】
電動モータ115の駆動軸には、ネジ軸117が接続されている。ネジ軸117は、表面に雄ネジが形成された軸体であり、図示Z軸方向に延びて配置されて一方の端部が電動モータ115の駆動軸に接続されるとともに他方の端部が固定ベース118に回転自在に支持されている。固定ベース118は、支持ステー116の下方にてカッティングヘッド112に固定的に設けられた鋼製のブロック体である。この固定ベース118の前面には、加工工具ベース122を貫通した状態で突出する突出部118aが形成されており、この突出部118aに前記ネジ軸117が回転自在に支持されている。また、固定ベース118の前面および両側面には、断面が略V字状の案内溝118b(一部のみ図示)がそれぞれ形成されている。さらに、固定ベース118の前面における図示右側下部には、図示X軸方向に延びた状態で支持軸118cが設けられている。
【0026】
支持軸118cは、第2のカッター114を保持する第2カッターホルダー119を回転摺動可能に支持するための軸体であり、固定ベース118の前方に突出した状態で支持されている。第2カッターホルダー119は、第2のカッター114の刃先を記録メディアWKに向って露出させた状態で着脱自在に保持する部品であり、第2のカッター114の長さより若干長い板状体に形成されている。より具体的には、第2カッターホルダー119は、前記支持軸118cを回転中心として互いに反対方向に延びて形成されており、一方の端部に第2のカッター114を保持するとともに他方の端部に受け部119aが形成されている。受け部119aは、後述する押圧棒122cから押圧力を受ける部分であり、図示Z軸方向に延びて形成された垂直部119bと同垂直部119bから斜め上方に延びた傾斜部119cとからなる屈曲した形状に形成されている。また、第2カッターホルダー119における第2のカッター114の保持部分の近傍には、第2のカッター114が記録メディアWKを切断する際に同記録メディアWKの上面を押さえつつ転動する転動ローラ119dが設けられている。
【0027】
一方、ネジ軸117には、連結片120が設けられている。連結片120は、ネジ軸117の雄ネジに噛合う雌ネジが形成された樹脂製のブロック体であり、ネジ軸117の回転駆動により同ネジ軸117の軸線方向に沿って変位する。すなわち、連結片120における雌ネジ部が本発明に係るネジ係合部に相当し、これらネジ軸117および連結片120が、本発明に係るネジ送り機構に相当する。この連結体120は、ネジ軸117の図示右側に突出するとともに図示Z軸方向に延びる突出片120aが形成されている。突出片120aは、図示Z軸方向に沿った断面略コ字状に形成されており、その内部に第1の弾性体121が配置され同第1の弾性体121の下端部が接続されている。
【0028】
第1の弾性体121は、連結片120の変位に従って伸縮しながら連結片120と加工工具ベース122とを連結する引張りコイルバネであり、上端部が加工工具ベース122に接続されている。すなわち、連結片120は、第1の弾性体121を介して加工工具ベース122に連結されている。この第1の弾性体121は、第1のカッター113が記録メディアWKの上側シートを貫通して下側シートまで刺し込まれない程度の弾性力を発揮するバネ定数に設定されている。
【0029】
加工工具ベース122は、前記第1のカッター113を支持しつつ図示Z軸方向に変位する樹脂製の板状体である。この加工工具ベース122における前面の図示右上部には、前記連結片120の突出片120aの上方に位置した状態で第1の弾性体121の上端部を支持する支持ピン122aが設けられている。また、加工工具ベース122における前面の図示左下部には、第1のカッター113を第1カッターホルダー123を介して着脱自在に保持するための把持部122bが設けられている。この場合、第1カッターホルダー123は、記録メディアWK側に開口した有底円筒状に形成されており、筒体内に挿し込まれる第1のカッター113を前記開口部から刃先を露出させるとともに軸線回りに回転自在な状態で着脱自在に保持する。
【0030】
また、加工工具ベース122における前面の図示下部には、前記第2カッターホルダー119の受け部119aの下方に突出した状態で押圧棒122cが設けられている。そして、この加工工具ベース122は、前記支持ステー116および前記固定ベース118に対して図示Z軸方向に変位可能な状態で支持されている。
【0031】
より具体的には、加工工具ベース122は、図示右側側面、加工工具ベース122の背面における図示左側部および前面における図示中央下部に樹脂製の回転ローラ124がそれぞれ設けられており、これら回転ローラ124が前記固定ベース118の案内溝118bに板バネ125(一部のみ図示)によって押し付けられて固定ベース118に摺動自在に取り付けられている。また、加工工具ベース122は、加工工具ベース122の前面における図示中央上部に設けられた第2の弾性体126を介して前記支持ステー116の下面から吊り下げされた状態で支持されている。
【0032】
第2の弾性体126は、加工工具ベース122の変位に従って伸縮しながら加工工具ベース122と支持ステー116とを連結する引張りコイルバネである。この第2の弾性体126は、固定ベース118に摺動自在に支持された加工工具ベース122を吊り上げることができる程度の弾性力を発揮するバネ定数に設定されている。すなわち、加工工具ベース122は、前記第1の弾性体121と第2の弾性体126とによって図示Z軸方向の往復方向にそれぞれ弾性的に支持されている。また、この第2の弾性体126は、第1の弾性体121より小さいバネ定数のコイルバネで構成されている。
【0033】
この画像形成キャリッジ110の上方には、切り抜き加工装置100の上側の筐体を構成する長尺状の上カバー127が設けられている。また、プラテン101および上カバー127の両側には、切り抜き加工装置100の両側の筐体を構成するサイドカバー128R,128Lがそれぞれ設けられている。これらのうち、サイドカバー128Rの前面には、切り抜き加工装置100に指示を与えるとともに、切り抜き加工装置100からの情報を表示するための操作パネル129が設けられている。なお、この切り抜き加工装置100は、ロールシート状の記録メディアWKを保持しつつプラテン101上に送り出すメディア保持機構を備えているが、本発明に直接関わらないため図示およびその説明を省略する。
【0034】
コントローラ130は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータによって構成されており、ユーザからの指示、またはインターフェース131を介して接続される外部コンピュータ装置200からの指示に従って、ROMなどの記憶装置に予め記憶された制御プログラムを実行することにより、切り抜き加工装置100の各種作動を制御する。具体的には、このコントローラ130は、X軸方向フィードモータ103、Y軸方向スキャンモータ107、インクヘッド111およびカッティングヘッド112の各作動をそれぞれ制御する。外部コンピュータ装置200は、キーボードおよびマウスからなる入力装置201および液晶ディスプレイからなる表示装置202を備えるパーソナルコンピュータ(所謂パソコン)である。
【0035】
(切り抜き加工装置100の作動)
次に、上記のように構成した切り抜き加工装置100の作動について説明する。なお、本作動説明においては、カッティングヘッド112による二次元情報の切り抜き加工処理について説明し、インクヘッド111による二次元情報の印刷処理については本発明に直接関わらないため、その説明は省略する。まず、作業者は、外部コンピュータ装置200と切り抜き加工装置100とをインターフェース201を介して接続し、外部コンピュータ装置200および切り抜き加工装置100の電源をそれぞれONにする。これにより、外部コンピュータ装置200は、図示しない所定の制御プログラムを実行することにより作業者からの指令の入力を待つ待機状態となる。
【0036】
また、切り抜き加工装置100は、コントローラ130内のROMに予め記憶されている図示しない所定の制御プログラムを実行することにより、画像形成キャリッジ110を原点復帰させた後、外部コンピュータ装置200からの指示を待つ待機状態となる。なお、この場合、画像形成キャリッジ110における図示X軸方向の原点とは、画像形成キャリッジ110の主走査方向における移動可能範囲内の一方の移動可能限界位置(図示最右端)である(図1参照)。また、画像形成キャリッジ110のカッティングヘッド112における図示Z軸方向の原点とは、連結片120の図示Z軸方向の変位範囲内の中間位置より若干上方の所定の位置に連結片120が位置決めさたときの第1のカッター113および第2のカッター114の各刃先が記録メディアWKの上面から完全に離隔した位置である(図3および図4参照)。
【0037】
次に、作業者は、二次元情報の切り抜き加工対象となるロールシート状の記録メディアWKをプラテン101上にセットする。具体的には、作業者は、記録メディアWKをプラテン101上に配置するとともに、同記録メディアWKをプラテン101上でグリッドローラ102とピンチローラ108とによって挟持させる。次に、作業者は、外部コンピュータ装置200の入力装置301を操作して、切り抜き加工装置100に二次元情報の切り抜き加工を指示する。この場合、作業者は、記録メディアWKに切り抜き加工する二元情報を表わす加工対象画像データを外部コンピュータ装置200上にて予め作成しておく。外部コンピュータ装置200は、前記指示に応答して、外部コンピュータ装置200内に記憶されている加工対象画像データに対応する加工用画像データを生成して切り抜き加工装置100(コントローラ130)に出力する。
【0038】
これにより、切り抜き加工装置100、具体的には、切り抜き加工装置100に内蔵されるコントローラ130は、外部コンピュータ装置200から出力される加工用画像データに基づいて画像形成キャリッジ110と記録メディアWKとの相対的な位置関係を変化させながら、画像形成キャリッジ110、すなわち、カッティングヘッド112の作動を制御して同記録メディアWKに二次元情報の切り抜き加工処理を実行する。
【0039】
具体的には、コントローラ130は、X軸方向フィードモータ103の作動を制御してグリッドローラ102を回転駆動させることによりプラテン101上に保持した記録メディアWKを図示X軸方向の副走査方向に変位させる。また、コントローラ130は、Y軸方向スキャンモータ107の作動を制御して駆動ベルト106を回転駆動させることにより画像形成キャリッジ110を図示Y軸方向の主走査方向に変位させる。また、コントローラ130は、カッティングヘッド112の作動を制御して記録メディアWKに向けてカ第1のカッター113を昇降させて二次元情報の切り抜き加工を行なう。
【0040】
この二次元情報の切り抜き加工処理においては、コントローラ130は、電動モータ115の作動を制御することにより、第1のカッター112および第2のカッター113の一方を記録メディアWKに刺し込むとともに同刺し込んだ第1のカッター112または第2のカッター113を離隔させる。具体的には、コントローラ130は、第1のカッター113を記録メディアWKに刺し込む際には、連結片120がネジ軸117上を図示下方に変位する回転方向に電動モータ115を回転駆動する。この場合、コントローラ130は、第1のカッター113の刃先が記録メディアWKの上側シートを貫通する刺し込み深さとなる量だけ回転駆動させる。
【0041】
これにより、連結片120に第1の弾性体121を介して連結された加工工具ベース122は、図5および図6に示すように、連結片120がネジ軸117の軸線に沿って図示下方に変位するため固定ベース118の案内溝118aに沿って図示下方に変位する。この場合、第1の弾性体121は、加工工具ベース122が第2の弾性体126により支持ステー116に懸吊された状態で支持されているため、第2の弾性体126の弾性力に抗しながら初張力が解消されて伸長して加工工具ベース122を図示下方に引っ張る。これにより、第1のカッター113は、加工工具122の変位とともに下降して記録メディアWKの上側シートに刺し込まれる。この場合、加工工具ベース122は、第1の弾性体121の弾性力によって図示下方に引っ張られるとともに第2の弾性体126の弾性力によって図示上方に引っ張られた状態で支持される。
【0042】
また、加工工具ベース122の下降によって加工工具ベース122に設けられた押圧棒122cは第2カッターホルダー119の受け部119aにおける垂直部119bに沿って下降する。これにより、第2カッターホルダー119は、押圧棒122cが垂直部1119bを押圧するため回転変位が規制されて記録メディアWKの表面から離隔した状態を維持する。
【0043】
このように、加工工具ベース122、すなわち、第1のカッター113は、図示Z軸方向における図示上方および図示下方に弾性的に支持された状態で記録メディアWKの切り抜き加工を行う。このため、記録メディアWKの切り抜き加工中において、記録メディアWKやプラテン101の起伏などによって第1のカッター113に作用する力のバランスが変化して第1のカッター113の刺し込み深さが変化した場合であっても、これらの変化に第1のカッター113の図示Z軸方向の位置を追従させることができる。これにより、第1のカッター113の記録メディアWKに対する刺し込み深さを一定量に保ちながら切り抜き加工を行うことができる。また、この場合、第1の弾性体121のバネ定数が第2の弾性体のバネ定数より大きい値に設定されているため、第1のカッター113を記録メディアWK側に積極的に押圧して記録メディアWKに対する刺し込み状態を精度良く維持することができる。
【0044】
一方、記録メディアWKに刺し込まれた第1のカッター113を抜き取る際には、コントローラ130は、連結片120がネジ軸117上を図示上方に変位する回転方向に電動モータ115を回転駆動する。この場合、コントローラ130は、第1のカッター113の刃先が記録メディアWKから抜き取られて前記原点に復帰する量だけ回転駆動させる。
【0045】
これにより、第1の弾性体121は、連結片120がネジ軸117の軸線に沿って図示上方に変位するため、第1の弾性体121が縮んで第2の弾性体126を図示下方に引っ張る力が弱まる。このため、加工工具ベース122は、第2の弾性体126の弾性力によって固定ベース118の案内溝118aに沿って図示上方に変位する。したがって、記録メディアWKに刺し込まれた第1のカッター113が上昇し記録メディアWKから離脱して図示Z軸方向における原点位置に復帰する。この場合、加工工具ベース122の上昇によって加工工具ベース122に設けられた押圧棒122cは受け部119aにおける垂直部119bに沿って上昇する。これにより、第2カッターホルダー119は、押圧棒122cが垂直部1119bを押圧する状態が維持されて回転変位が規制されるため、記録メディアWKの表面から離隔した状態が維持される。
【0046】
コントローラ130は、このような第1のカッター113の昇降動作を繰り返し実行することにより記録メディアWKの上側シート上に二次元情報の切り抜き加工を行う。そして、記録メディアWKに対して二次元情報の切り抜き加工が終了した場合には、コントローラ130は、記録メディアWKを副走査方向に送った後、切り抜き加工を施した記録メディアWKの分断処理を実行する。
【0047】
具体的には、コントローラ130は、第2のカッター114を記録メディアWKに刺し込む際には、連結片120がネジ軸117上を図示上方に変位する回転方向に電動モータ115を回転駆動する。この場合、コントローラ130は、第2のカッター114の刃先が記録メディアWKを完全に貫通する刺し込み深さとなる量だけ回転駆動させる。
【0048】
これにより、連結片120がネジ軸117の軸線に沿って図示上方に変位すると、図7および図8に示すように、第1の弾性体121および第2の弾性体126が縮みきった後、連結片120における突出片120aの上面が加工工具ベース122の支持ピン122aを下方から押し上げる。このため、加工工具ベース122が固定ベース118の案内溝118aに沿ってさらに図示上方に変位して押圧棒122aが第2カッターホルダー119の受け部119aの傾斜部119cを下方から押し上げる。この結果、第2カッターホルダー119は、支持軸122cを回転中心として第2のカッター114を保持した側が下降して第2のカッター114が記録メディアWKに刺し込まれる。また、この第2のカッター114の記録メディアWKの刺し込みと同時に転動ローラ119dが記録メディアWKの上面を押圧する。
【0049】
次に、コントローラ130は、この第2のカッター114が記録メディアWKに刺し込まれたタイミングでY軸方向スキャンモータ107の作動を制御して駆動ベルト106を回転駆動させることにより画像形成キャリッジ110、すなわち、カッティングヘッド112を図示Y軸方向の主走査方向に変位させる。これにより、第2のカッター114は、転動ローラ119dによって押えられた記録メディアを切断して分断する。なお、第2のカッター114が記録メディアWKに刺し込まれた状態においては、第1のカッター113は、加工工具ホルダー122が図示Z軸方向における変位可能上限位置にあるため記録メディアWKに接して記録メディアWKを切断することはない。
【0050】
一方、記録メディアWKに刺し込まれた第2のカッター114を抜き取る際には、コントローラ130は、連結片120がネジ軸117上を図示下方に変位する回転方向に電動モータ115を回転駆動する。この場合、コントローラ130は、第2のカッター114
の刃先が記録メディアWKから抜き取られて前記原点に復帰する量だけ回転駆動させる。
【0051】
これにより、連結片120がネジ軸117の軸線に沿って図示下方に変位すると、加工工具ベース122は連結片120の変位とともに固定ベース118の案内溝118aに沿って図示下方に自然降下する。このため、加工工具ベース122に設けられた押圧棒122aは、受け部122aの傾斜部122cに代えて垂直部122bを押圧するようになる。この結果、第2カッターホルダー119は、支持軸122cを回転中心として第2のカッター114を保持した側が上昇して第2のカッター114が記録メディアWKから離脱する。
【0052】
そして、さらに連結片120がネジ軸117の軸線に沿って図示下下方に変位すると、加工工具ベース122は、突出片120aの上面が加工工具ベース122の支持ピン122aを下方から離脱することにより第2の弾性体126によって弾性的に吊り下げられた状態となる。また、これと同時に、記録メディアWKに刺し込まれた第2のカッター114がさらに上昇して図示Z軸方向における原点位置に復帰する。これにより、記録メディアWKの分断処理が終了し、記録メディアWKに対する一連の切り抜き加工処理が終了する。
【0053】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、切り抜き加工装置100は、記録メディアWKを切断する第1のカッター113を保持した加工工具ベース122が電動モータ115によって記録メディアWKに対して接触および離隔するZ軸方向に往復駆動される。この場合、加工工具ベース122は、電動モータ115によってZ軸方向に変位する連結片120に対して第1の弾性体121を介して連結されるとともに、Z軸方向に対する変位が固定された固定ベース118に第2の弾性体126を介して連結される。すなわち、第1のカッター113を保持する加工工具ベース122は、第1の弾性体121および第2の弾性体126によってZ軸方向の往復方向にそれぞれ弾性的に支持された状態で電動モータ115により同Z軸方向に変位される。これにより、記録メディアWKを切断する第1のカッター113は、電動モータ115の駆動制御によりZ軸方向における位置決めが正確に行なわれるとともに、第1の弾性体121および第2の弾性体126による弾性力によって安定的な力で記録メディアWKに押し付けられる。また、記録メディアWKの切断加工中において記録メディアWKまたはプラテン101などの起伏により第1のカッター113に作用するZ軸方向の力に変化した場合であっても、第1の弾性体121および第2の弾性体126による弾性力によって第1のカッター113の位置を追従させて加工を行うことができる。これらにより、記録メディアWKに対する第1のカッター113の切り込み過多または切り込み不足が抑制されて長時間に亘って安定的に記録メディアWKに刺し込まれるようになり、二次元情報の切り抜き加工精度が向上する。
【0054】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0055】
例えば、上記実施形態においては、連結片120を図示Z軸方向に変位させる変位機構をネジ軸117と連結片120に形成した雌ネジ(ネジ係合部)で構成した。しかし、変位機構は、連結片120を図示Z軸方向に変位させることができる機構であれば、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。例えば、電動モータ115と固定ベース118の突出部118aにプーリをそれぞれ設けるとともにこれら2つのプーリ間に連結片120を取り付けた無端ベルトを巻き掛けたベルト伝達機構によって変位機構を構成することもできる。また、ラック&ピニオン機構によって変位機構を構成することもできる。
【0056】
また、上記実施形態においては、第1の弾性体121および第2の弾性体126をそれぞれ引張りコイルスプリングで構成した。しかし、第1の弾性体121および第2の弾性体126は、連結片120と加工工具ベース122と、および固定ベース118と加工工具ベース122とをそれぞれ弾性的に連結するものであれば、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第1の弾性体121および第2の弾性体126は、圧縮コイルバネ、板バネ、ゴム紐などで第1の弾性体121および第2の弾性体126を構成することもできる。
【0057】
また、上記実施形態においては、第1の弾性体121のバネ定数を第2の弾性体126のバネ定数より大きく設定した。これにより、第1のカッター113をより精度良く記録メディアWKに押し付けることができる。しかし、第1の弾性体121のバネ定数は、第2の弾性体126のバネ定数と同等以下に設定しても第1のカッター113により記録メディアWKを切断するは可能である。
【0058】
また、上記実施形態においては、第1のカッター113を記録メディアWKにおける上側シート上に二次元情報を切り抜く刃物で構成し、第2のカッター114を記録メディアWKを単シート状に分断するための刃物で構成した。しかし、第1のカッター113および第2のカッター114は、記録メディアWKの切断に必要とされる刃物を用いれば、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第1のカッター113を記録メディアWKを単シート状に分断するための刃物で構成することもできるし、第2のカッター114を第1のカッター113を記録メディアWKにおける上側シート上に二次元情報を切り抜く刃物で構成することもできる。
【0059】
また、上記実施形態においては、カッティングヘッド112は、第1のカッター113とともに第2のカッター116を備えて構成されている。しかし、カッティングヘッド112は、少なくとも第1のカッター113を備えて構成されていれば、必ずしも、第2のカッター114、および同第2のカッター114を保持して変位させる機構、具体的には、支持軸118c、第2のカッターホルダー119および押圧棒122cを備える必要はない。
【0060】
また、上記実施形態においては、加工工具ベース122は、回転ローラ124を板バネ125によって固定ベース118の案内溝118bに押し付けることによって図示Z軸方向に摺動可能な状態で固定ベース118に支持されている。すなわち、案内溝118bが本発明に係る摺動支持部を構成するガイド体に相当し、板バネ125によって押圧された回転ローラ124が本発明に係る従動体に相当して案内機構を構成している。しかし、案内機構は、ガイド体および従動体を備えて加工工具ベース122を図示Z軸方向に案内可能な構成であれば、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。例えば、ガイド体を図示Z軸方向に延びる軸体で構成するとともに、従動体を前記軸体上を摺動する筒体(ブッシュ)で構成することもできる。この場合、軸体は、必ずしも固定ベース118に設ける必要はないが、加工工具ベース122に対して固定的に配置されている必要がある。すなわち、本発明に係る固定部とは、図示Z軸方向に変位する加工工具ベース122に対して図示Z軸方向の変位が固定されて変位不能に設けられた部材のすべてを含むものである。したがって、固定ベース118や支持ステー116は、本発明に係る固定部である。また、加工工具ベース122の案内機構が不要の場合には、案内機構を省略してカッティングヘッド112を構成することもできる。
【0061】
また、上記実施形態においては、画像形成キャリッジ110は、記録メディアWKに対して二次元情報の印刷を行うインクヘッド111と、二次元情報の切り抜きを行うカッティングヘッド112とで構成した。しかし、画像形成キャリッジ112は、記録メディアWKに対して変位しながら二次元情報を切り抜き加工により形成するように構成されていれば、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。すなわち、画像形成キャリッジ110は、少なくともカッティングヘッド112を備えて構成されていればよい。
【符号の説明】
【0062】
WK…記録メディア、
100…切り抜き加工装置、101…プラテン、102…グリッドローラ、103…X軸方向フィードモータ、104…ガイドレール、105…直動レール、106…駆動ベルト、107…Y軸方向スキャンモータ、108…ピンチローラ、110…画像形成キャリッジ、111…インクヘッド、112…カッティングヘッド、113…第1のカッター、114…第2のカッター、115…電動モータ、116…支持ステー、117…ネジ軸、118…固定ベース、118a…突出部、118b…案内溝、118c…支持軸、119…第2のカッターホルダー、119a…受け部、119b…垂直部、119c…傾斜部、119d…転動ローラ、120…連結片、120a…突出片、121…第1の弾性体、122…加工工具ベース、122a…支持ピン、122b…把持部、122c…押圧棒、123…第1のカッターホルダー、124…回転ローラ、125…板バネ、126…第2の弾性体、127…上カバー、128R,128L…サイドカバー、129…操作パネル、130…コントローラ、131…インターフェース、200…外部コンピュータ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録メディアに対してカッターを変位させ、または前記カッターに対して前記記録メディアを変位させることにより同記録メディアを切断して二次元情報を切り抜き加工する切り抜き加工装置において、
電動モータと、
第1のカッターを保持するとともに同第1のカッターを前記記録メディアに対して接近および離隔するZ軸方向に変位可能に支持する加工工具ベースと、
前記加工工具ベースを前記Z軸方向に変位させるための連結片を前記電動モータの駆動によって前記Z軸方向に沿って変位させる変位機構と、
前記連結片と前記加工工具ベースとを連結する第1の弾性体と、
前記加工工具ベースと、同加工工具ベースを前記Z軸方向に摺動可能に支持する摺動支持部を有する固定部とを連結する第2の弾性体とを備えることを特徴とする切り抜き加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載した切り抜き加工装置において、さらに、
前記固定部に設けられた支持軸と、
前記支持軸を回転中心として同支持軸の径方向に沿って延びて形成され、一方の端部に前記第2のカッターを保持するとともに他方の端部に受け部を有する第2カッターホルダーと、
前記加工工具ベースに設けられ、前記第2カッターホルダーにおける前記受け部を押圧するための押圧部とを備えることを特徴とする切り抜き加工装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載した切り抜き加工装置において、
前記変位機構は、
前記電動モータに連結されて回転駆動するネジ軸と、
前記連結片に設けられて前記ネジ軸に噛合うネジ係合部とを備えるネジ送り機構であることを特徴とする切り抜き加工装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載した切り抜き加工装置において、
前記摺動支持部は、前記Z軸方向に沿って延びたガイド体で構成され、
前記加工工具ベースは、前記ガイド体に接触して同ガイド体に沿って変位する従動体を備えることを特徴とする切り抜き加工装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載した切り抜き加工装置において、さらに、
前記第1の弾性体および前記第2の弾性体は、それぞれコイルスプリングで構成され、
前記第1の弾性体のバネ定数は、前記第2の弾性体のバネ定数より大きいことを特徴とする切り抜き加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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