説明

切断用具

【課題】故障の発生を低減すると共に解袋作業の効率を向上し得る切断用具を提供する。
【解決手段】グリップ部2と、グリップ部2の先端部2cに着脱可能に構成された刃部3とを備えて、グリップ部2に装着された刃部3を加熱させた状態で刃部3を接触させた切断対象体の接触部位を溶融して切断可能に構成され、刃部3は、先端部3bが二等辺三角形状に構成されると共に幅方向の中央部に基端部3aから先端部3bに向けてスリットが形成されて、基端部3aにおけるスリットを挟んで互いに対向する位置に接続された電力供給用の電気コード4を介して供給される電力によって自己発熱可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリップ部に装着された刃部を加熱させた状態で刃部を接触させた切断対象体の接触部位を溶融しつつ切断可能に構成された切断用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
穀物等の農産物の収納に用いられる袋として樹脂製の織布によって形成された収納袋が知られている。この場合、収納された収納物(穀物等)を収納した収納袋は、一般的に、縫い合わせによって投入口が閉じられている。このように投入口が縫い合わされている収納袋から収納物を取り出す際には、糸を切って縫い合わせを解くのが困難であるため、一般的に、カッター等を用いて収納袋を切断(切り開いて)している。しかしながら、この方法(解袋方法)では、収納袋を構成している織布の破片(糸くず)が発生して収納物に混入するおそれがあるという問題点が存在する。この場合、大量の収納袋を自動的に解袋する自動解袋機が知られているが、一日の解袋量が数百程度の規模の事業所において自動解袋機を導入するのは、採算性の点で困難である。また、自動解袋機においても、収納袋の切断にはカッターが用いられているため、織布の破片(糸くず)が収納物に混入するおそれがあるという問題点が依然として存在する。このような問題点を解決可能な手段として、刃部を加熱可能に構成された加熱型の切断用具(例えば、特開平10−225898号公報に開示されたコーキング材剥離用カッター)が知られている。この種の切断用具を用いて上記の収納袋を解袋する際には、加熱させた刃部を接触させた接触部位が溶融しつつ切断されるため、通常のカッターを用いる解袋方法とは異なり、糸くずの発生が防止される。
【特許文献1】特開平10−225898号公報(第2−3頁、第2、3、5、6図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記のコーキング材剥離用カッターを含む従来の加熱型の切断用具には、以下の問題点がある。すなわち、この種の切断用具は、一般的に、ニクロム線等の発熱体によって刃部を加熱している(上記公報の図2,3,5,6参照)。このため、長時間に亘って連続使用したときには、発熱体の断線等の故障が発生するおそれがあるという問題点が存在する。また、この種の切断用具では、発熱体がホルダー内における刃部の基端部側に配設され、さらに、火傷を防止するために、発熱体の周囲に断熱部材が配設されている(上記公報の図5,6参照)。このため、例えば、刃部を交換する際には、発熱体や断熱部材の取外しや取付けが必要なため、刃部の交換作業が煩雑であるという問題点も存在する。また、発熱体が刃部の基端部側に配設されているため、先端部を十分に加熱させるためには発熱体の温度を先端部の温度以上に高める必要がある、つまり加熱効率が悪いという問題点も存在する。さらに、この種の切断用具では、一般的に刃部が片刃(先端部における両端部端部の一方のみが傾斜する形状)に形成されているため、切断する向きが一方向に限定される。このため、例えば収納袋の積み降ろしと解袋とを交互に繰り返すような作業を行うときには、グリップ部(ホルダー)を握る度に刃の向きを確認する必要があり、その分作業効率が低下するという問題点も存在する。
【0004】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、故障の発生を低減すると共に解袋作業の効率を向上し得る切断用具を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成すべく請求項1記載の切断用具は、グリップ部と、当該グリップ部の先端部に着脱可能に構成された刃部とを備えて、前記グリップ部に装着された前記刃部を加熱させた状態で当該刃部を接触させた切断対象体の接触部位を溶融して切断可能に構成された切断用具であって、前記刃部は、先端部が二等辺三角形状に構成されると共に幅方向の中央部に基端部から当該先端部に向けてスリットが形成されて、前記基端部における当該スリットを挟んで互いに対向する位置に接続された電力供給用の電線を介して供給される電力によって自己発熱可能に構成されている。
【0006】
また、請求項2記載の切断用具は、請求項1記載の切断用具において、前記刃部に対して供給する電力の電圧を調整可能な電圧調整部を備えている。
【0007】
また、請求項3記載の切断用具は、請求項1または2記載の切断用具において、前記刃部は、電気抵抗率が1μΩm以上2μΩm以下の範囲内の金属材料で構成されている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の切断用具によれば、基端部におけるスリットを挟んで互いに対向する位置に接続された電力供給用の電線を介して供給される電力によって自己発熱可能に刃部を構成したことにより、従来の切断用具とは異なり、長時間の連続使用に起因して断線等の故障発生のおそれがあるニクロム線等の発熱体を備えることなく、刃部そのものを自己発熱させることができる。したがって、この切断用具によれば、長時間に亘って連続使用したとしても、断線等の故障発生を確実に低減することができる。また、この切断用具によれば、刃部の先端部を二等辺三角形状に構成したことにより、刃部が片刃に形成されて切断する向きが一方向に限定される従来の切断用具とは異なり、例えば左右(または上下)いずれの向きにも切断対象体を切断することができる。したがって、この切断用具によれば、解袋と収納物の投入とを交互に繰り返して行う場合においても、グリップ部を握る度に刃部の向きを確認する必要がないため、作業効率を十分に向上させることができる。さらに、この切断用具によれば、発熱体によって基端部側を加熱している従来の切断装置とは異なり、刃部そのものを自己発熱させているため、加熱効率を十分に高めることができると共に刃部全体を均等に温度上昇させることができる。また、この切断用具によれば、刃部とは別体の発熱体や火傷防止用の断熱部材をグリップ部の内部に配設する必要がないため、刃部の交換の際にこれらの取外しや取付けが不要な分、交換作業を短時間でしかも容易に行うことができる。
【0009】
また、請求項2記載の切断用具によれば、刃部に対して供給する電力の電圧を調整可能な電圧調整部を備えたことにより、電圧の調整によって刃部の温度を切断対象体の材質に応じた適切な温度に調整することができる結果、作業効率を一層向上させることができる。
【0010】
また、請求項3記載の切断用具によれば、電気抵抗率が1μΩm以上2μΩm以下の範囲内の金属材料で刃部を構成したことにより、刃部を十分に高い温度に自己発熱させることができるため、切断対象体における刃部との接触部位を確実に溶融させることができる結果、作業効率をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る切断用具の最良の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0012】
最初に、切断用具1の構成について説明する。図1に示す切断用具1は、本発明に係る切断用具の一例であって、同図および図2に示すように、グリップ部2、刃部3、電気コード4および変圧器5を備えて、グリップ部2の先端部2cに装着された刃部3を加熱させた状態で刃部3を接触させた切断対象体としての収納袋100(図6参照)の接触部位を溶融しつつ切断可能に構成されている。この場合、収納袋100は、主として穀物等の農産物の収納に用いる収納袋であって、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂製の織布によって形成されている。なお、以下の説明において、グリップ部2、刃部3および電気コード4によって構成される部分を本体部1aともいう。
【0013】
グリップ部2は、図2,3に示すように、2つの半体21a,21b(以下、区別しないときには単に「半体21」ともいう)を備えて構成されている。この場合、半体21a,21bは、互いに同じ形状(例えば、薄皿状)にそれぞれ構成されて、後述する各側板23〜26の端面同士を突合させた状態において、基端部2aの幅が先端部2cの幅よりもやや広く中央部2bの幅が先端部2cの幅よりもやや狭い略扁平直方体を形成する(図1,2参照)。具体的には、半体21は、略長方形の主板22と、主板22の各縁部に沿って立設された側板23〜26とを備えて構成されている。
【0014】
この場合、主板22の内面における基端部22a側(図3における右側)および先端部22b側(同図における左側)には、固定用ねじ61(図5参照)を挿通させるための挿通孔27aが中心部に形成された突起部27,27・・が形成されている。また、主板22の内面における幅方向の中央部には、電気コード4を固定するためのリブ28,28・・が形成されている。さらに、側板25には、電気コード4を通すための切欠き25aが形成されている。また、側板26には、刃部3の基端部3a(図4参照)を嵌め込むための切欠き26aが形成されている。なお、グリップ部2を形成する材料としては、例えば、耐熱性を有する樹脂(一例として、PPS、PTFE、PEEK、PBT)を用いることができる。
【0015】
刃部3は、図4に示すように、基端部3a側の平面視が長方形で、かつ先端部3bの平面視が二等辺三角形の板状(つまり五角形の板状)に構成されている。また、刃部3における幅方向の中央部には、基端部3aから先端部3bに向かって延在するスリット31が形成されている。また、刃部3における幅方向の中央部には、スリット31に連通して平面視円形に開口する一対の開口部32が形成されている。さらに、基端部3aにおけるスリット31を挟んで互いに対向する位置には、固定用ねじ61を挿通可能な一対の挿通孔33が形成されている。この場合、刃部3は、後に詳述するように、基端部3aをグリップ部2の先端部2cに配置した状態で固定用ねじ61およびナット62(図5参照)を用いてグリップ部2を構成する半体21a,21bを固定することでグリップ部2に取り付けられ、半体21a,21bの固定を解除することでグリップ部2から取り外される。つまり、刃部3は、グリップ部2の先端部2cに着脱することが可能となっている。
【0016】
また、刃部3は、電気抵抗率が適度な大きさ(具体的には、電気抵抗率が1μΩm以上2μΩm以下の範囲内)の金属材料で形成されている。この場合、この金属材料としては、一例として、Cr・Fe・Alの合金、Ni・Crの合金、Ni・Cr・Feの合金、並びにNi・Cr・Fe・Mnの合金を用いることができる。ここで、刃部3がグリップ部2に取り付けられた状態では、後述するように、刃部3の基端部3aにおける挿通孔33の周囲に電気コード4の接続端子41(図5参照)が接続され、この電気コード4を介して電力が供給される。また、電気コード4を介して供給される電力(電流)が、一方の挿通孔33の周囲から他方の挿通孔33の周囲に至る電流経路に沿って流れる。この場合、上記したように電気抵抗率が適度な大きさの金属材料によって刃部3が形成されているため、上記したように電流が流れることにより、刃部3が発熱(自己発熱)する。
【0017】
電気コード4は、本発明における電力供給用の電線であって、図5に示すように、一端部に取り付けられた接続端子41がグリップ部2の内部において刃部3の基端部3aにおける挿通孔33の周囲に接続されると共に、一端部側がグリップ部2の内部に配設され、一端部側を除く部分が半体21における側板25 の切欠き25aを通ってグリップ部2の外部に引き出されている。また、図1,2に示すように、電気コード4の他端部は、変圧器5に接続されている。
【0018】
変圧器5は、本発明における電圧調整部に相当し、トライアックおよびトリガ・ダイオード等で構成された電子回路を有する電子式の変圧器であって、例えば、100Vの商用電源を入力して、ダイヤル51(図1,2参照)の操作に応じた電圧に変圧(一例として数Vまで降圧)して出力する。
【0019】
次に、切断用具1における本体部1aの組立て方法について、図面を参照して説明する。
【0020】
まず、図5に示すように、主板22の内側を上向きにした状態の半体21aにおける各リブ28の間に電気コード4を嵌め込むことによって電気コード4を主板22に固定すると共に、側板25の切欠き25aに電気コード4を通す。次いで、半体21aの突起部27の上に、電気コード4の接続端子41を載置し、続いて、側板26の切欠き26aに基端部3aを嵌め込むようにして接続端子41の上に刃部3を載置する。この場合、半体21aにおける突起部27の挿通孔27a、刃部3の挿通孔33、および接続端子41の挿通孔41aが連通するように、接続端子41および刃部3を位置合わせする。
【0021】
次いで、主板22の内側を下向きにした状態で(伏せた状態で)各側板23〜26の端面同士を突合させるようにして、半体21bを半体21aの上に覆い被せる。続いて、半体21bにおける主板22の外面側から各挿通孔27aに固定用ねじ61を挿入して、その先端部を半体21aの主板22の外面側に突き出させる。この場合、先端部22b側の挿通孔27aに挿入した固定用ねじ61が、刃部3の挿通孔33および接続端子41の挿通孔41aを貫通する。次いで、主板22の外面側に突き出たすべての固定用ねじ61の先端部をナット62にねじ込む。以上により、本体部1aの組立てが完了する。
【0022】
次に、切断用具1の使用方法の一例について、図面を参照して説明する。
【0023】
例えば、米などの穀物を収納袋100に収納し、その収納状態の収納袋100を加工工場等に複数まとめて輸送する際には、一般的に、図6に示すように、パレット200に積み重ねた状態(パレット積みの状態)で輸送する方法が採用される。この場合、加工工場では、輸送された収納袋100内の収納物(穀物)を加工設備の投入口300に投入する際には、収納状態の収納袋100をパレット積みの状態のままフォークリフト等によって投入口300近傍に移送し、その場で収納袋100を解袋して収納物を投入口300に投入する。
【0024】
このような作業において切断用具1を使用する際には、まず、変圧器5の入力側の電気コード52に接続されている図外のプラグを商用電源のコンセントに差し込んで、続いて、変圧器5のダイヤル51を操作する。この際に、変圧器5によって商用電源の電圧が降圧されて、電気コード4を介して刃部3の基端部3aに電力が供給される。また、供給された電力が、基端部3aにおける一方の挿通孔33の周囲から他方の挿通孔33の周囲に至る電流経路に沿って流れることにより、刃部3が発熱する。次いで、刃部3が十分に発熱してその温度が十分に高まった後に、解袋を開始する。
【0025】
具体的には、グリップ部2を握って、図6に示すように、例えば、最上部にパレット積みされている収納状態の収納袋100における投入口300側の縁部に刃部3の先端部3bを押し当てる。この際に、収納袋100における押し当てられた部位が刃部3の熱によって溶融し、刃部3の先端部3bがその部位に差し込まれる。続いて、本体部1aを同図に示す矢印Aの向きに移動させる。これにより、先端部3bが接触した収納袋100の接触部位が溶融されつつ切断されて、収納袋100に切り込み部が形成される。次いで、同図に示すように、収納袋100内の収納物をその切り込み部から放出させて、投入口300に投入する。この場合、この切断用具1では、刃部3を発熱させることで、刃部3の接触部位を溶融させつつ切断することが可能なため、通常の(刃部を加熱しない)カッター等とは異なり、糸くずが発生して収納物に混入する事態が確実に防止される。
【0026】
続いて、図7に示すように、次の収納状態の収納袋100における投入口300側の縁部に切断用具1の刃部3を押し当てて、次いで、本体部1aを同図に示す矢印Bの向きに移動させることにより、収納袋100に切り込み部を形成する。この場合、この切断用具1では、刃部3の先端部3bが二等辺三角形状に形成されている。このため、刃部が片刃に形成されて切断する向きが一方向に限定される従来の切断用具とは異なり、例えば左右(または上下)いずれの向きにも切断対象体を切断することができる。このため、この切断用具1では、解袋と収納物の投入口300への投入とを交互に繰り返して行う場合においても、グリップ部2を握る度に刃部3の向きを確認する必要がないため、作業効率を十分に向上させることが可能となっている。続いて、同図に示すように、収納袋100内の収納物をその切り込み部から放出させて、投入口300に投入する。
【0027】
以下、同様にして収納袋100の解袋(切断)と収納物の投入口300への投入とを繰り返して行う。この場合、この切断用具1では、従来の切断用具とは異なり、長時間の連続使用に起因して断線等のおそれがあるニクロム線等の発熱体を備えることなく、刃部3に対する電力供給によって刃部3そのものを自己発熱させている。このため、長時間に亘って連続使用したとしても、断線等の発生を確実に回避することが可能となっている。また、この切断用具1では、発熱体によって基端部側を加熱している従来の切断装置とは異なり、刃部3そのものを自己発熱させているため、加熱効率を十分に高めることが可能となると共に刃部3全体を均等に温度上昇させることが可能となっている。
【0028】
一方、例えば、長期間の使用によって刃部3の先端部3bが摩耗したときには、上記の組立て方法の手順とは逆の手順で本体部1aを分解して、使用済み刃部3を新たな刃部3と交換し、上記の組立て方法の手順で本体部1aを組み立てる。この場合、この切断用具1では、刃部3とは別体の発熱体や火傷防止用の断熱部材をグリップ部2の内部に配設する必要がないため、刃部3の交換の際にこれらの取外しや取付けが不要な分、交換作業を短時間でしかも容易に行うことが可能となっている。
【0029】
このように、この切断用具1によれば、基端部3aにおけるスリット31を挟んで互いに対向する位置に接続された電気コード4を介して供給される電力によって自己発熱可能に刃部3を構成したことにより、従来の切断用具とは異なり、長時間の連続使用に起因して断線等の故障発生のおそれがあるニクロム線等の発熱体を備えることなく、刃部3そのものを自己発熱させることができる。したがって、この切断用具1によれば、長時間に亘って連続使用したとしても、断線等の故障発生を確実に低減することができる。また、この切断用具1によれば、刃部3の先端部3bを二等辺三角形状に構成したことにより、刃部が片刃に形成されて切断する向きが一方向に限定される従来の切断用具とは異なり、例えば左右(または上下)いずれの向きにも切断対象体を切断することができる。したがって、この切断用具1によれば、解袋と収納物の投入とを交互に繰り返して行う場合においても、グリップ部2を握る度に刃部3の向きを確認する必要がないため、作業効率を十分に向上させることができる。さらに、この切断用具1によれば、発熱体によって基端部側を加熱している従来の切断装置とは異なり、刃部3そのものを自己発熱させているため、加熱効率を十分に高めることができると共に刃部3全体を均等に温度上昇させることができる。また、この切断用具1によれば、刃部3とは別体の発熱体や火傷防止用の断熱部材をグリップ部2の内部に配設する必要がないため、刃部3の交換の際にこれらの取外しや取付けが不要な分、交換作業を短時間でしかも容易に行うことができる。
【0030】
また、この切断用具1によれば、刃部3に対して供給する電力の電圧を調整可能な変圧器5を備えたことにより、電圧の調整によって刃部3の温度を収納袋100の材質に応じた適切な温度に調整することができる結果、作業効率を一層向上させることができる。
【0031】
また、この切断用具1によれば、電気抵抗率が1μΩm以上2μΩm以下の範囲内の金属材料で刃部3を構成したことにより、刃部3を十分に高い温度に自己発熱させることができるため、切断対象体における刃部3との接触部位を確実に溶融させることができる結果、作業効率をさらに向上させることができる。
【0032】
なお、本発明は上記の構成に限定されない。例えば、樹脂製のグリップ部2を採用した例について上記したが、グリップ部2を形成する材質としては、樹脂に限定されず、木材や耐熱性を有するゴム等の各種の材料を採用することができる。また、電圧調整部として電子式の変圧器5を用いる構成例について上記したが、本発明における電圧調整部の構成はこれに限定されず、例えば降圧用の変圧器を用いることもできる。また、本体部1aと変圧器5とを別体に構成した例について上記したが、例えば、グリップ部2の内部に電圧調整部を配設して本体部1aと電圧調整部とを一体に構成することもできる。また、本体部1aと別体のバッテリー(例えば、一次電池や二次電池)や、グリップ部2の内部に配設したバッテリーを備えて、そのバッテリーからの電力供給によって刃部3を発熱させる構成を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】切断用具1の平面図である。
【図2】切断用具1の斜視図である。
【図3】グリップ部2の分解斜視図である。
【図4】刃部3の平面図である。
【図5】本体部1aの組立て方法を説明するための説明図である。
【図6】切断用具1の使用方法を説明するための第1の説明図である。
【図7】切断用具1の使用方法を説明するための第2の説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1 切断用具
2 グリップ部
2c 先端部
3 刃部
3a 基端部
3b 先端部
4 電気コード
5 変圧器
31 スリット
33 挿通孔
100 収納袋


【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップ部と、当該グリップ部の先端部に着脱可能に構成された刃部とを備えて、前記グリップ部に装着された前記刃部を加熱させた状態で当該刃部を接触させた切断対象体の接触部位を溶融して切断可能に構成された切断用具であって、
前記刃部は、先端部が二等辺三角形状に構成されると共に幅方向の中央部に基端部から当該先端部に向けてスリットが形成されて、前記基端部における当該スリットを挟んで互いに対向する位置に接続された電力供給用の電線を介して供給される電力によって自己発熱可能に構成されている切断用具。
【請求項2】
前記刃部に対して供給する電力の電圧を調整可能な電圧調整部を備えている請求項1記載の切断用具。
【請求項3】
前記刃部は、電気抵抗率が1μΩm以上2μΩm以下の範囲内の金属材料で構成されている請求項1または2記載の切断用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−142354(P2009−142354A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320331(P2007−320331)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(593096387)株式会社イトウ精麥 (9)
【Fターム(参考)】