説明

切断装置

【課題】切断刃の取り付けが容易であり、耐久性が高く、被切断物が軟らかい素材や薄い材料であっても安定して高品質に切断可能な切断装置を提供する。
【解決手段】トムソン刃等の切断刃18と、その切断駆動装置50を有する。切断刃18を位置決めする保持部材20と、保持部材20に形成された側面に対向して設けられ、切断刃18を挟持する固定部材30を備える。固定部材30を保持部材20の側面に対して押圧し、切断刃18を固定する止めネジ32a,32bを備える。切断刃18の刃先18aが当接する刃受け部24を有する。刃受け部24は、弾性ゴム体44と、弾性ゴム体44の表面に配置された金属受け部材46とから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、合成樹脂等の被切断物を押圧動作により切断する切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、切断装置に用いられる切断刃として、紙や薄いプラスチックシートを切断する場合には、トムソン刃が用いられている。このトムソン刃は、ベニヤ板に複数の刃の基端部を差し込んで、所定の刃先形状に固定して用いられている。
【0003】
その他、射出成形された樹脂成形品をランナーから切り離して製品外形を整える際や、樹脂製の布材を用いた面ファスナー等を所望形状に切断する際、切断刃とその切断刃の刃先が垂直に当接する刃受け面とを備えた切断装置が用いられる。
【0004】
この種の切断機能を備えた装置として、例えば、特許文献1に開示されているように、加熱軟化した熱可塑性シートを所定形状に成形する成形手段と、成形手段で成形された成形品の不要部分を切断する切断手段とを備え、当該切断手段は、切断刃を樹脂製又は金属製の受け板に向けて押圧することによって当該不要部分を切断するよう構成した成形トリミング装置がある。
【0005】
また、特許文献2に開示されているように、カード基材を個々のカードの形状に切断する切断装置であって、切断刃が押圧される刃受け面を、ゴム硬度70〜80のポリウレタンゴムで成る内層と、ゴム硬度90〜95度のポリウレタンゴムで成る表層の2層構造に形成した情報記録媒体の切断装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−9698号公報
【特許文献2】特開平1−289700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の一般的なトムソン刃は、ベニヤ板のスリットに差し込んで固定されているだけであり、腰が弱く、刃先の位置にばらつきがあり、切断精度が悪いという問題があった。従って、高精度に位置決めして切断する必要がある被切断物には利用できないものであった。
【0008】
一方、特許文献1に開示された成形トリミング装置の切断手段は、切断刃の位置決め精度は従来のトムソン刃よりも高いが、受け板が樹脂製の場合、受け板表面に切断刃の刃先がくい込んで受け板に刃先形状の食い込み部が生じ、削りくずが発生したり、薄い被切断物の場合、この食い込み部に被切断物が入り込んで切り残しが生じ易いという問題があった。
【0009】
また、受け板が金属製の場合、切断刃の受け板への大きな食い込みがないので、切りくずが発生しないが、切断刃の下死点と受け板とが干渉すると切断刃の刃先の欠けやダレ、摩耗が生じ易い。このため、従来は油圧シリンダ等により駆動される切断刃がちょうど受け板に接する位置にストッパ部材を設けて、切断刃の下死点を設定している。しかし、そのストッパ部材や下死点の位置調整は工数がかかり、しかも切断刃にかかる負荷が大きく、切断刃の寿命も短いものであった。さらに、ストッパ同士が衝突する際の衝撃が大きく、動作時の騒音も大きなものとなっていた。特に、被切断物が面ファスナーの基材等の薄い材料である場合、切り残しが生じやすく、薄い材料を確実に切断可能に位置調整することは困難であった。
【0010】
さらに、特許文献1の切断刃であるトムソン刃の取り付けは、トムソン刃自体の寸法精度にばらつきがある上、刃先をハンマーで叩いてテーブルの取付部に固定するものであり、トムソン刃の取付時に、刃先のダレや変形が生じてしまうものであった。さらに、叩いて取り付けるため、刃先位置が傾いたりして正確な位置設定はできないものであり、切断刃の精密な下死点調節もできないものであった。また、上述のように叩いて取り付けるので、複数のトムソン刃の刃先位置を正確に揃えることはできないものであり、刃先の保護のため、受け板には刃先よりも軟らかい材料のもの使用せざるを得ないものであった。
【0011】
また、特許文献2に開示された情報記録媒体の切断装置の場合、切断時に切断刃の刃先が被切断物を介して刃受け面を押圧すると、刃受け面がゴムで形成されているため、被切断物は、刃先が当接した部分を頂点として略V字形に変形しながら刃受け面にくい込む。従って、例えば、薄手の樹脂成形品を切断するとき、切断時の刃受け面の変形具合いのばらつきによって、刃先がくい込む切断位置にずれが生じたり、切断面にバリやダレが残ってきれい仕上がらなかったり、食い込みによる未切断部分が残る等、寸法精度や切断品質が不安定になるという問題があった。
【0012】
さらに、受け板に刃先よりも柔らかい材料を用いることにより、食い込みによるV溝ができた部分では、薄い材料になればなるほど切り残しが発生しやすく、切りくずの発生も多く、製品不良の原因となっていた。また、受け板の受け面に切断刃が食い込むので、受け板の寿命が短く交換頻度が高くなり、メンテナンスにも時間をとられるものであった。
【0013】
この発明は、上記背景技術に鑑みて成されたもので、切断刃の取り付けが容易であり、耐久性が高く、被切断物が軟らかい素材や薄い材料であっても安定して高品質で切断可能な切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、トムソン刃等の切断刃と、前記切断刃の駆動装置とを備えた切断装置であって、前記切断刃を位置決めする保持部材と、この保持部材に形成された側面に対向して設けられ前記切断刃を挟持する固定部材と、前記固定部材を前記保持部材の側面に対して押圧し前記切断刃を固定する押圧部材とを備えた切断装置である。
【0015】
前記保持部材は、前記切断刃よりも大きな収容孔を備え、この収容孔に前記切断刃が収容され、前記収容孔内に設けられた前記固定部材と前記収容孔の内面とにより前記切断刃が挟持され、前記押圧部材である止めネジにより前記固定部材を前記保持部材内で前記切断刃側へ押圧することにより、前記固定部材を介して前記切断刃を固定するものである。
【0016】
前記保持部材は、前記切断刃の形状に形成された側面を備え、この側面に前記切断刃を押圧して、前記切断刃の形状を前記側面の形状に倣わせて固定するものである。
【0017】
前記切断刃の刃先は、閉じた環状に形成され、前記保持部材は複数に分割されて設けられ、前記複数の保持部材の側面により形成された面に前記環状の刃先が固定されるものである。
【0018】
また、前記切断刃は、前記切断装置の可動部と、この可動部と対向した固定部に互いに刃先が対向して各々設けられ、前記可動部に固定された前記切断刃が、前記固定部に固定された前記切断刃に最も近接した状態でも互いに刃先が当接しないで往復運動可能に設けられたものでも良い。
【0019】
前記切断刃の刃先は、前記切断刃と対面した前記切断装置の固定部の表面に対して、僅かに傾いて位置しているものでもよい。
【0020】
さらに、前記切断刃は複数設けられ、前記保持部材が前記各切断刃に対応して複数設けられたものでも良い。
【0021】
またこの発明は、前記切断刃と対向する位置には、前記切断刃が当接可能に設けられた刃受け部を備え、前記刃受け部は、シート状等の弾性ゴム体と、前記弾性ゴム体の表面に配置された金属受け部材とを備え、前記金属受け部材は前記切断刃と同等以上の硬い金属材料で構成された切断装置である。
【0022】
前記弾性ゴム体は、前記切断刃による被切断物の切断抵抗よりも大きい弾発力を発生可能であり、前記被切断物を介して前記切断刃が前記金属受け部材の表面を押圧すると、前記金属受け部材が、前記弾性ゴム体に生じる圧縮によって板厚方向に平行移動して一旦押圧方向に移動するとともに、前記弾性ゴム体の圧縮による弾性力が前記被切断物の切断抵抗よりも大きくなると、前記弾性ゴム体の圧縮が復元し、前記切断刃の刃先が前記被切断物を切断するものである。
【0023】
前記切断刃は、前記保持部材に固定され、前記切断刃の刃先の下死点の位置が、前記刃受け部の表面の刃受け面よりも下方であって、前記弾性ゴム体の弾性変形可能な範囲内に位置しているものである。
【0024】
さらに、前記切断刃の刃先の線は、前記切断刃と対面した前記刃受け面に対して、僅かに傾いた面上に位置しているものでも良い。
【0025】
また、前記切断刃が複数設けられ、前記刃受け部の前記金属受け部材は、前記各切断刃に対応して複数に分割されて設けられたものでも良い。
【0026】
前記弾性ゴム体は、ゴム硬度85〜95度の硬度であり、厚みが1〜5mm程度のものである。
【発明の効果】
【0027】
この発明の切断装置は、切断刃の取り付けを、保持部材と固定部材により挟持して押圧部材により固定するようにしたので、切断刃の位置決めが正確に行われ高精度の切断を可能とし、切断刃の刃先を傷めることなく、長期に亘って正確に切断を行うことができる。
【0028】
さらに、刃先を保持部材の側面に倣わせて固定することにより、正確な刃先形状が維持され、精密できれいな切断を行うことができる。
【0029】
また、切断刃が対向して設けられることにより、被切断物を両面から切断可能にし、被切断物にクラック等が生じずよりきれいな切断を可能にしている。
【0030】
また、切断刃の刃先を僅かに傾いて設けることにより、硬い被切断物も容易にきれいに切断することができる。
【0031】
また、切断刃と対面して刃受け部を設け、この刃受け部が弾性ゴム体と金属受け部材の2層構造にすることにより、切断刃の移動方向の寸法誤差や取付誤差を弾性ゴム体により吸収するとともに、金属受け部材により切断刃の刃受け部への食い込みをなくし、被切断物をきれいに確実に切断することができる。さらに、切断時に切断刃の刃先が被切断物を介して刃受け部を押圧すると、弾性ゴム体が僅かに弾性変形し、刃先にかかる衝撃荷重を緩和し刃先の損傷を抑え、金属受け部材表面にキズや割れが発生することを防止する。さらに、衝撃音も小さくすることができる。これにより、切断刃の寿命を大幅に伸ばすことができる。
【0032】
また、金属受け部材は、切断刃の押圧を受けても、変形したりせず平面形状を維持するので、合成樹脂等を素材とする薄手の被切断物であっても切断部の形状が変形しない。従って、常に正確な切断位置で切断を行うことができ、且つ、きれいな切断面に仕上げることができる。特に、金属受け部材の硬度を切断刃と同等以上とすることにより、金属受け部材の寿命が半永久的となり、切断刃の寿命が長いことと相まって、切断装置のメンテナンスを大幅に簡略化することができる。
【0033】
また、切断刃の刃先の押圧によって金属受け部材が押圧方向に僅かに移動すると、それを押し返す向きに弾性ゴム体の弾発力が発生する。従って、被切断物は、刃先による押圧と金属受け部材から受ける弾発力に挟まれ、切断刃の刃先の位置に対して、被切断物が一旦僅かに下降した後上昇して切断が進行し、確実な切断が行われ、切断面にバリやダレが残らず良好に切断される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の第一実施形態の切断装置を示す部分破断正面図である。
【図2】この発明の第一実施形態の切断装置のベース部材と刃受け部を示す平面図である。
【図3】この発明の第一実施形態の切断刃部を示す平面図(a)、右側面図(b)、正面図(c)である。
【図4】この発明の第一実施形態の切断刃部の固定部材を示す平面図(a)、右側面図(b)である。
【図5】この発明の第一実施形態の切断刃部の内部構造を示す図3のA−A断面図である。
【図6】この発明の第一実施形態の切断刃部の内部構造を示す図3のB−B断面図である。
【図7】この発明の第一実施形態が被切断物を切断する動作の途中を示す概略縦断面図である。
【図8】この発明の第一実施形態が被切断物を切断する動作を示す概略縦断面図である。
【図9】この発明の第一実施形態の切断装置及び駆動装置を示す正面図である。
【図10】この発明の第二実施形態の切断装置を示す概略縦断面図である。
【図11】この発明の第二実施形態の切断装置の切断刃を保持した状態を示す平面図である。
【図12】この発明の第二実施形態の切断装置の切断刃を保持した状態を示す斜視図である。
【図13】この発明の第二実施形態の切断装置の切断刃を示す斜視図である。
【図14】この発明の他の実施形態の切断装置を示す状態を示す概略縦断面図である。
【図15】この発明のさらに他の実施形態の切断装置を示す状態を示す概略縦断面図である。
【図16】この発明のさらに他の実施形態の切断装置を示す状態を示す概略縦断面図である。
【図17】この発明のさらに他の実施形態の切断装置を示す状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、この発明の第一実施形態の切断装置10について、図1〜図9に基づいて説明する。切断装置10は、射出成形装置で成形された薄板状の製品12aの樹脂成形体でありランナー12bが付いた被切断物12の、製品12a部分の側端面から延びた4本のランナー12bを切り離し、製品12aの外形を整える装置である。切断装置10は、図1、図2に示すように、位置が固定された基台14と、基台14と等しい大きさで基台14の上方に位置し、図示しない駆動装置によって上下駆動される昇降部材16を備えている。
【0036】
昇降部材16下面側には、基台14側を向いて突出した切断刃18が取り付けられている。切断刃18は、昇降部材16の下面に固定されたブロック状の保持部材20に差し込まれて、後述する止めネジ32a等により下向きに垂直に突出して保持されている。昇降部材16の一対の水平方向両端部であって、切断刃18を回避した位置には、製品12aを上方から押さえる一対の押圧部材17が取り付けられている。押圧部材17は、コイルばね19により収縮可能に設けられ、ランナー12bの切断前後に亘り製品12a及びランナー12bを押圧する。
【0037】
基台14の上面には、切断刃18の先端が垂直に当接する刃受け部24が設けられている。刃受け部24は、所定の厚みを有し基台14に固定された金属製のベース部材42と、ベース部材42の上面に矩形に掘り込まれた凹部42a内に敷かれたシート状の弾性ゴム体44と、弾性ゴム体44の平坦な上面に当接状態に配置された金属受け部材46とを備えている。弾性ゴム体44及び金属受け部材46は、ベース部材42の凹部42aに収容され、金属受け部材46の表面とベース部材42の表面が面一に設定され、ボルト48により固定されている。刃受け部24の金属受け部材46等は、後述するように、複数の切断刃18毎に独立にベース部材42に固定されている。
【0038】
また、図1、図2に示すように、基台14の周縁部であって四隅よりも中央寄りの4カ所に、ストッパ28aが突設され、対向する昇降部材16の下面にもストッパ28bが突設されている。ストッパ28a,28bが当接する位置は、後述するように切断刃18が金属受け部材46の表面に当接して僅かに弾性ゴム体44が圧縮した状態まで、昇降部材16が降下した位置である。さらに、基台14の四隅には、昇降ガイド用のガイド突起25が固定され、対向する昇降部材16の下面には、ガイド突起25が嵌合するガイド凹部26aを有したガイドブッシュ26が取り付けられている。
【0039】
基台14には、図2に示すように、基台14上の3方の側縁部近傍に固定された直方体の棒状の位置決め部材43が、各辺に平行に固定されている。基台14の長辺に平行な位置決め部材43には、2つのベース部材42の長辺側の側面が、ボルト45により固定されている。さらに、基台14の短辺に平行な一対の位置決め部材43には、長辺側の位置決め部材43に固定された2つのベース部材42が、ボルト45により各々固定されている。また、短辺側の位置決め部材43に固定される、他の2つのベース部材42は、短辺側の位置決め部材43に形成された長孔43aにより位置合わせ可能にボルト45で固定されている。そして、各ベース部材42間の長辺に沿った隙間には、位置合わせ用の図示しない薄いスペーサが挿入され、長孔43aを利用して、一対のベース部材42位置決めを可能に設けられている。さらに、ベース部材42上には、一対の樹脂成形品である被切断物12のランナー12bに形成された位置決め孔に嵌合する位置決めピン41が突設され、被切断物12が正確に位置決めされて載置可能に設けられている。
【0040】
ここで、昇降部材16を駆動する駆動装置としては、図9に示すように、スライダとクランク機構を用いた装置が好ましい。これにより、昇降部材16の下死点付近では降下速度が徐々に小さくなって停止し、切断刃18と金属受け部材46とが接する際の衝撃が小さい。
【0041】
以下、昇降部材16を駆動する切断駆動装置50について、図9を基にして説明する。この実施形態の切断駆動装置50は、左右に一対のトグル機構52,54を用いた装置であり、中央部には切断動作を行う駆動モータ56が設けられている。駆動モータ56の駆動軸には、図示しないチェーン等の連動機構が接続され、トグル機構52,54を動かすために回動する偏心カム60が、連動機構に連結されている。
【0042】
偏心カム58は、その円板の互いに180°反対側に揺動ピン61,22が設けられ、揺動ピン61,62には、水平方向に配置された一対のクランクアーム63,64の一端部が軸支されている。クランクアーム63の他端部は、トグル機構52の各トグルアーム65,66の一端部で、揺動連結ピン71に軸支され、クランクアーム64の他端部は、トグル機構54の各トグルアーム67,68の一端部で、揺動連結ピン72に軸支されている。そして、トグルアーム65,67の各他端部は、切断駆動装置50の本体70に設けられた固定ピン73,74に各々軸支されている。また、他方のトグルアーム66,68の各他端部は、切断駆動装置50の本体70の側方に位置した位置検知用の連動部材75,76の基端部に、揺動連結ピン77,78により各々軸支されている。そして、連動部材75,76は上下方向に配置され、枠状の本体70の図示しない固定部材にガイドされて上下に摺動する。
【0043】
昇降部材16は、切断駆動装置50の上部に位置した昇降取付盤80の下面に固定され、ガイド部材82により上下方向にガイドされ、所定のストロークで往復動可能に設けられている。昇降部材16は、昇降取付盤80に対して水平になるように固定され、昇降取付盤80も正確に水平に位置するように連動部材75,76に固定されている。
【0044】
昇降取付盤80の下方の対面する位置には、基台14が取り付けられる摺動基盤86が水平に設けられている。摺動基盤86の下面には、2本のスライドレール88が互いに平行に、本体70に対いて前後方向に固定されている。スライドレール88には、各々リニアスライダ90が摺動自在に取り付けられ、リニアスライダ90上に摺動基盤86が固定され、昇降取付盤80と対面している。摺動基盤86は、本体70の手前側に移動した退避位置と、昇降取付盤80の下面との間を往復動可能に設けられている。
【0045】
また、昇降取付盤80の移動に連動する連動部材75には、これと一体に移動する当接部材92を備えている。当接部材92は、リニア位置センサ94のプローブ96に当接し、プローブ96を押し下げ可能に設けられている。リニア位置センサ94は、プローブ96の移動による位置情報を電気的に検知し、昇降取付盤80の位置情報を電気信号に変えて、図示しない制御装置に出力する。
【0046】
なお、切断駆動装置として油圧シリンダやエアーシリンダを用いても良く、この場合、ストッパ28a,28bの先端部の衝突位置が昇降部材16の停止位置であり、これの位置を調節することによって、切断刃18の刃先の下死点と金属受け部材46表面との位置調整を行うことができる。
【0047】
次に、切断刃部22と刃受け部24の構成について説明する。この実施形態では、図3に示すように切断刃部22は、被切断物12の4カ所のゲート部に対応して4枚の切断刃18を備えている。4個の切断刃18は、同一の刃物鋼材により形成された長尺のトムソン刃体から各切断刃18を同一形状に切断し成形したものである。各切断刃18は、根元から刃先までの高さが一定に形成されているが、厳密には一定の寸法誤差を有しており、さらに取付誤差等により、保持部材20に固定して昇降部材16に取り付けた状態で、例えば±8μm程度の誤差が刃先位置に生じる。また、切断刃18は、被切断物12の4本のランナーに要求される切断形状に合わせて、やや弓状に湾曲した形状を有している。
【0048】
保持部材20は、金属製のブロック体で、切断刃18を固定するほぼ立方体の固定部材30が収容可能な略矩形状に貫通した4個の収容孔34が設けられている。収容孔34の内壁の一側面は、切断刃18の一方の側面が当接する当接面34aであり、切断刃18と同様の弓状に湾曲した面形状を有している。また、当接面34aと対向する背面34bの中央には、押圧部材である止めネジ32a,32bが螺合するネジ穴36が設けられ、さらにネジ穴36から同軸に連続し、止めネジ32bよりも大きな内径を有した逃がし穴38が設けられ、保持部材20の側面まで貫通している。
【0049】
固定部材30は、図4に示すように、切断刃18の一方の側面に当接し、反対側の側面を収容孔34の当接面34aに押し付けるように切断刃18を挟持固定する部材であり、切断刃18の側面に当接する当接面30aを有している。当接面30aは、図3に示すように、切断刃18と同様に弓状に湾曲した面形状を有している。また、当接面30aと対向する壁面の中央には、止めネジ32aの約半分が嵌合可能に掘り込まれた固定穴30bが設けられている。
【0050】
切断刃部22は、保持部材20に切断刃18が組み付けられて構成され、図5に示すように、先ず定盤40上に保持部材20を置き、固定部材30を保持部材20の収容孔34内に収容する。次に、止めネジ32aを保持部材20の逃がし穴38から挿入し、固定穴30bに嵌合させて取り付ける。このとき、止めネジ32aは、保持部材20のネジ穴36よりも短く、ねじ穴36内に位置して、固定穴30bに先端部が挿入されるが、固定部材30は固定しない。次に、固定部材30を収容孔34の背面34b側に寄せ、収容孔34と固定部材30の各当接面34a,30aの隙間に、切断刃18を根元側から差し入れて、根元を定盤40上に当接させる。これにより、切断刃18の刃先の高さが一定に構成される。この状態で、止めネジ32aを回転して、固定部材30を切断刃18に向けて押しつける。これにより、切断刃18は、収容孔34の当接面34aと固定部材30の当接面30aとの間に挟まれて固定される。さらに、保持部材20の逃がし穴38から短い止めネジ32bを挿入し、ネジ穴36に螺合させる。止めネジ32bは、ネジ穴36に螺合させて奥に進行させ、止めネジ32bの先端で止めネジ32aの後端を押しつけて、止めネジ32a,32bの緩みを防止する。以上により、図5、図6に示すように、切断刃18は、収容部34と固定部材30の各当接面34a,30aで両面を挟持され、確実に固定される。他の3個の切断刃18も、図6に示すように同様の方法で取り付けられる。
【0051】
このように組み立てられた切断刃部22は、4個の切断刃18が被切断物12の4本のランナー12bの各切断部分に対応する位置に配置され、各刃先18aが保持部材20の上側に互いに等しい長さだけ突出する。そして、切断刃部22は、図1に示すように、切断刃18の刃先18aを下向きにして配置され、昇降部材16の下面に取り付けられる。
【0052】
また、刃受け部24の金属受け部材46の表面である刃受け面46aは、切断刃18と同等の硬さ好ましくはより硬い金属材料であり、例えばHRC硬度が50度程度の焼き入れ鋼等の、鉄を主成分とした各種鋼材が適している。外形は、切断刃部22に取り付けられた4個の切断刃18に各々対応した大きさである。金属受け部材46には、2つの透孔が形成され、ベース部材42に固定するボルト48がその透孔に挿通可能に形成されている。さらに金属受け部材46の透孔には、ボルト48の頭部が突出しないように、大径部が形成され、ボルト48の頭部表面は、組み立て状態で金属受け部材46の表面よりも下方に位置する。
【0053】
弾性ゴム体44は、例えばゴム硬度が約90度の硬度をもっており、ここでは、機械的強度や耐摩耗性等の面で優れたウレタンゴムが用いられている。外形は、金属受け部材46とほぼ同様の大きさである。また、ボルト48が挿通する透孔が形成されている。弾性ゴム体44は、軟らかすぎ又は厚すぎると、金属受け部材46の沈み込みが大きくなって切断の切れ味が悪くなり、硬すぎ又は薄過ぎると、切断刃18の刃先が欠けやすくなる等の問題が生じる。従って、被切断物により適宜設定されるが、シート状の薄い材料の切断であれば、ゴム強度85〜95度の範囲で、厚さも5mm以下、好ましくは1〜2mmのものを選択するとよい。また、切断刃18による押圧により、金属受け部材46が弾性ゴム体44の圧縮により沈み込む量は、例えば0.1mm〜0.3mm程度の僅かな量である。
【0054】
刃受け部24の組み立ては、まず、ベース部材42上面の凹部42a内に、4枚の弾性ゴム体44を敷き、その上面に4個の金属受け部材46を載置する。そして、ボルト48により各弾性ゴム体44と各金属受け部材46を固定する。刃受け部24は、金属受け部材46を上にして、図2に示すように、基台14上面に配置され、切断刃18が取り付けられた位置の真下に取り付けられる。切断刃18先端の下死点の位置と刃受け部24の表面は、僅かに切断刃18先端の下死点が刃受け部24の表面である刃受け面46aより下方に位置するように調整する。このマイナス分は、弾性ゴム体44が弾性変形する量程度である。
【0055】
次に、この実施形態の切断駆動装置50の動作について説明する。切断刃18を昇降部材16に取り付け、昇降部材16を昇降取付盤80に固定する。さらに、刃受け部24を取り付けた基台14を、摺動基盤86にセットする。そして、昇降取付盤80の最下端の位置を、図示しない制御装置により設定する。この最下端の位置は、必ずしもトグル機構52,54による切断刃18の下死点ではなく、下死点近傍の手前の位置であり、昇降取付盤80の動作に必要な位置の下端で、リニア位置センサ94と制御装置により任意に設定し得る。
【0056】
そして、駆動モータ56が回動して揺動ピン71,72の位置が移動するとともに、クランクアーム63,64の水平方向の位置が徐々に互いに離れる方向に移動する。これとともに、トグル機構52,54の一対のトグルアーム65,66及びトグルアーム67,68が、互いのなす角度を大きくするように揺動し、トグルアーム66,68の揺動連結ピン77,78が下方に移動し、トグルアーム65,66及びトグルアーム67,68の揺動連結ピン73,77間及び揺動連結ピン74,78間の間隔が広がる。
【0057】
これにより、連動部材75,76を介して、昇降取付盤80が下方に移動する。これとともに、連動部材75と一体に移動する当接部材92が下方に移動し、プローブ96に当接してプローブ96を押し下げ、リニア位置センサ94から位置情報が電気信号として制御装置に出力される。このときの連動部材75,76の移動速度は、切断駆動装置50が上死点にある時の偏心カム60の角度を0°とすると、切断駆動装置50の下死点付近ではその角度がほぼ180°である。そして、揺動連結ピン77の移動速度は、クランクアーム63,64及びトグルアーム75,76,77,78の幾何学的構成により、偏心カム60の角度のsin値のほぼ二乗に比例するため、偏心カム60の回動角度が180°近傍では、偏心カム60の回動速度に対して連動部材75,76は極めて低速で垂直方向に移動していることになる。従って、リニア位置センサ94により位置を検知してモータ56を停止させることにより、極めて精密な位置制御が可能となる。これにより、後述するように金属受け部材46の刃受け面46aの僅かに下方であって、下死点手前の任意の設定位置で、制御装置によりモータ56を停止させ、良好な切断動作を行うことができる。
【0058】
次に、合成樹脂切断装置10が被切断物12のランナー12bを切断する動作について説明する。まず、ベース板42の金属受け部材46上に被切断物12を載置し、ガイドピン41により、被切断物12の水平方向の位置決めをする。そして、駆動装置を作動させると、昇降部材16と共に切断刃部22が下降し、図7に示すように、切断刃18の刃先が被切断物12の切断部分12c上面に当接する。この状態では、切断刃18は、被切断物12及び金属受け部材46を押圧しておらず、弾性ゴム体44の厚みは初期値taである。
【0059】
図7の状態から切断刃部22がさらに下降すると、切断刃18の刃先は切断部分12c上面を押圧してくい込み、徐々に切断が進行する。同時に、その押圧力は、金属受け部材46を介して弾性ゴム体44に伝わり弾性ゴム体44を弾性的に圧縮させ、金属受け部材46が下方へ移動する。金属受け部材46は、切断刃18の刃先からの押圧力を受けても変形せず、押圧力は弾性ゴム体14の上面に均等に分散して伝わる。従って、金属受け部材46は下方に平行移動し、金属受け部材46上の被切断物12も平坦な形状を維持することができる。さらに、切断刃18の下降により、金属受け部材46を介して伝わる押圧力によって弾性ゴム体44が弾性変形すると、弾性ゴム体44の圧縮量に比例して増大する弾発力が金属受け部材44に作用し、この弾発力により切断が進行する。
【0060】
そして、切断が進行し切断刃18の位置が下死点付近に位置した状態でも、弾性ゴム体44が圧縮状態で弾性変形し、その分被切断物12は僅かに降下しているが、弾性ゴム体44の圧縮により、金属受け部材46に対して上方に復帰する力が作用し、弾性ゴム体44の復元とともに、金属受け部材46が上昇し切断刃18の刃先との間隔が狭まり、切断が進行する。従って、弾性ゴム体44の弾性は、切断刃18による切断に際して、弾性ゴム体44の圧縮時にその弾発力で、被切断物12を切断可能な弾発力を得ることができるものでなければならない。即ち、弾性ゴム体44の弾性は、被切断物12の切断抵抗よりも大きい弾発力を発生可能なものである。そして、図8に示すように、切断刃18の刃先が金属受け部材46の上面である刃受け面46aに当接して、切断部分12cの切断が完了する。このとき、切断刃18の刃先は下死点付近で金属受け部材46に当接しており、切断刃18が下死点から僅かに上昇した状態で、弾性ゴム体44の厚みが初期値taに戻る。
【0061】
以上説明したように、トムソン刃から成る切断刃18の取り付けを、従来のように切断刃18の刃先をハンマーで叩いてベース板に固定するものではなく、切断刃18に取付時の歪みや刃先のダレを発生させず、しかも正確に位置合わせを行うことができる。また、切断刃18の交換作業も容易なものである。
【0062】
さらに、切断装置10は、刃受け部24が、弾性ゴム体44とその表面に配置された金属受け部材46とから成る2層構造であり、各切断刃18に対応して分割された金属受け部材46を備えるので、切断時に切断刃18の刃先が被切断物18を介して金属受け部材46上面を押圧すると、各弾性ゴム体44が僅かに弾性変形し、金属受け部材46が切断刃18の刃先の並びに沿って平行移動するように変位し、刃先の位置の微少なずれや形状の誤差等に対しても、各刃先に対してほぼ均等に金属受け部材46の表面が当接する。これにより、一部の切断刃18が欠けるようなストレスを吸収することができ、同様に、金属受け部材46表面にキズや割れが発生することも防止でき、切断刃18及び金属受け部材46の寿命を大幅に伸ばすことができる。
【0063】
また、金属受け部材46は、切断刃18の押圧を受けても当初の形状を維持するので、被切断物12が切断部分12cでV字状に変形しない。従って、正確な切断位置で切断を行うことができ、且つ、きれいな切断面に仕上げることができる。
【0064】
また、切断刃18の刃先の押圧力によって金属受け部材46が下方に移動すると、それを押し返す方向に弾性ゴム体44の弾発力が発生する。従って、被切断物12は、刃先による押圧力と金属受け部材46から受ける弾発力に挟まれ、切断刃18の切断方向の進行に加えて、一旦弾性ゴム体44の圧縮の後、その復元による金属受け部材46の上昇により、切断が進行し、切断面にはバリやダレが残らず、切れ味よく切断される。
【0065】
また、上記のように切断刃18の欠けが発生しにくく、且つ優れた切断性を実現する構造のため、切断刃18の下死点と金属受け部材46との位置調整の自由度が高く、位置調整の頻度も少なくなる。例えば、切断の難易度が高い用途の例として、裏面に接着剤が塗布された薄い面ファスナーテープを離型紙上に貼り付け、離型紙はそのまま残し、面ファスナーテープのみを切断して所定形状の面ファスナー製品を切り出す、という作業がある。布材を切断するとき、切断刃18の下死点と刃受け面との間隔が広いと繊維に切り残しが生じ易く、逆に間隔が狭いと離型紙も一緒に切断してしまうおそれがある。従って、一般的な従来の切断装置を用いると、装置の設定が難しく、使用によりその相対的位置が狂い、短時間で切り残しが発生し、頻繁な再調整を要していた。しかし、この切断装置10を用いれば、各種設定が容易であり、位置関係の狂いが少なく、長時間の使用が可能であり、設定に要する工数を削減することができる。
【0066】
また、この実施形態の切断駆動装置50によれば、トグル機構52,54を利用した簡単な駆動機構と、トグル機構52,54の特性を利用して、リニア位置センサ94により極めて精密に位置を検知して高さ方向の位置を制御しているので、簡単な装置で高い位置制御が可能となり、薄く硬い被加工物や脆い被加工物の切断や打ち抜きを、切断刃18により割れが広がることなく、容易に且つ綺麗に精度良く加工することができる。
【0067】
次に、この発明の第二実施形態の切断装置100について、図10〜図13に基づいて説明する。ここで、上述の実施形態と同様の部材は同一の符号を付して説明する。この切断装置100は、基台14と昇降部材16の各々に、保持部材20と固定部材30が固定され、切断刃18が突設されたものである。
【0068】
この切断装置100は、可動部である昇降部材16は切断駆動装置の昇降取付盤80に対して水平になるように固定されている。昇降部材16は、ガイドポスト104により水平状態を維持して昇降可能に設けられている。また、昇降部材16と対向して固定された固定部である基台14も、切断装置100の固定の基盤106に固定される。そして、互いに刃先18aが対向している。
【0069】
昇降部材16に固定された切断刃18は、基台14側の切断刃18に対して、互いに刃先18aが当接しないで、近接状体で停止するように電気的に昇降制御され、又は図示しないストッパにより位置規制され、往復運動可能に設けられている。
【0070】
この実施形態の切断刃18は、図11〜図13に示すように、枠状の刃であり、枠の内側に保持部材20が位置し、切断刃18の外側を4分割された固定部材30により、四方の角部を中心に各々押圧するように固定されている。この固定は、図12に示すように、基台14又は昇降部材16にボルト108により保持部材20が固定され、保持部材20に切断刃18が嵌合するように取り付けられている。そして、切断刃18の周囲を4つの固定部材30が囲んでいる。
【0071】
固定部材30は、基台14又は昇降部材16に対して各々ボルト110で取り付けられている。固定部材30は、基台14又は昇降部材16の表面に対して僅かに摺動可能に設けられ、切断刃18を挟持可能に設けられている。そして、固定部材30の外側には、各々側方から保持部材20方向へ押圧する押圧ブロック112が、止めネジ114により保持部材20方向に押圧可能に設けられている。さらに、押圧ブロック122は、基台14又は昇降部材16に対して面方向に僅かに摺動可能にボルト116により取り付けられている。
【0072】
この実施形態の切断装置100によれば、切断時にクラックの入りやすい素材でも、きれいに切断することができ、厚いものから薄いものまで、良好に切断することができる。
【0073】
なお、切断刃18の固定は、図14に示すように、切断刃18を保持部材20に固定した状態で、金属受け部材46の刃受け面46aに対して、切断刃18の刃先18aの線が、僅かに角度θだけ傾斜して取り付けられたものでも良い。この傾斜は、例えば、刃先18aの位置の高さ方向の差が、被切断物12の厚み以内に収まる程度、若しくは弾性ゴム体44の弾性変形可能な範囲内に収まる程度の傾斜である。
【0074】
これにより、例えば、0.2mm程度のステンレス等の金属薄板の切断を確実にきれいに行うことができる。
【0075】
また、図14に示すような刃先18aが被切断物12の表面に対して傾斜した切断刃18と固定型98のエッジ部98aにより、図15に示すように、被切断物12をせん断するように切断するものでも良い。
【0076】
さらに、図16、図17に示すように、両刃トムソン刃の切断刃18を保持部材20と固定部材30とにより挟持して固定し、保持部材20と固定部材30の刃先18a側の端部には、切断刃18の両側に位置して被切断物12を固定型98に対して押さえるウレタンゴム等の弾性材102が取り付けられている。固定型98は、切断刃18が挿入される部分にスリット104が形成されている。
【0077】
この構成の場合も、図17に示すように、切断刃18の刃先18aは、固定型98に接地された被切断物12に対して僅かに傾斜している。これにより、硬い被切断物12であっても良好にきれいに切断することができる。
【0078】
なお、この発明の切断装置は上記実施形態に限定されるものではなく、1つの切断刃部に複数の切断刃が取り付けられ、刃受け部を一体の金属受け部材により構成しても良い。
【0079】
また、被切断物の素材や種類も合成樹脂以外に、紙や布、皮革等、適宜選択可能である。さらに、金属受け部材や弾性ゴム体の大きさや厚みは、被切断物の素材の種類、切断刃が被切断物に加えられる押圧力の強さ等を考慮して適宜決定され、金属受け部材と弾性ゴム体の基台への固定方法についても、上述した作用によって切断が行われる範囲で自由に変更することができる。
【符号の説明】
【0080】
10 切断装置
12 被切断物
12a 製品
12b ランナー
16 昇降部材
18 切断刃
18a 刃先
20 保持部材
22 切断刃部
24 刃受け部
30 固定部材
32a,32b 止めネジ
34 収容孔
42 ベース部材
42a 凹部
44 弾性ゴム体
46 金属受け部材
50 切断駆動装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断刃と、前記切断刃の駆動装置とを備えた切断装置において、前記切断刃を位置決めする保持部材と、この保持部材に形成された側面に対向して設けられ前記切断刃を挟持する固定部材と、前記固定部材を前記保持部材の側面に対して押圧し前記切断刃を固定する押圧部材とを備えたことを特徴とする切断装置。
【請求項2】
前記保持部材は、前記切断刃よりも大きな収容孔を備え、この収容孔に前記切断刃が収容され、前記収容孔内に設けられた前記固定部材と前記収容孔の内面とにより前記切断刃が挟持され、前記押圧部材である止めネジにより前記固定部材を前記保持部材内で前記切断刃側へ押圧することにより、前記固定部材を介して前記切断刃を固定する請求項1記載の切断装置。
【請求項3】
前記保持部材は、前記切断刃の形状に形成された側面を備え、この側面に前記切断刃を押圧して、前記切断刃の形状を前記側面の形状に倣わせて固定する請求項1記載の切断装置。
【請求項4】
前記切断刃の刃先は、閉じた環状に形成され、前記保持部材は複数に分割されて設けられ、前記複数の保持部材の側面により形成された面に前記環状の刃先が固定される請求項3記載の切断装置。
【請求項5】
前記切断刃は、前記切断装置の可動部と、この可動部と対向した固定部に互いに刃先が対向して各々設けられ、前記可動部に固定された前記切断刃が、前記固定部に固定された前記切断刃に最も近接した状態でも互いに刃先が当接しないで往復運動可能に設けられた請求項1記載の切断装置。
【請求項6】
前記切断刃の刃先の線は、前記切断刃と対面した前記切断装置の固定部の表面に対して、僅かに傾いて位置している請求項1記載の切断装置。
【請求項7】
前記切断刃は複数設けられ、前記保持部材が前記各切断刃に対応して複数設けられた請求項1記載の切断装置。
【請求項8】
前記切断刃と対向する位置には、前記切断刃が当接可能に設けられた刃受け部を備え、前記刃受け部は、弾性ゴム体と、前記弾性ゴム体の表面に配置された金属受け部材とを備え、前記金属受け部材は前記切断刃と同等以上の硬い金属材料で構成された請求項1記載の切断装置。
【請求項9】
前記弾性ゴム体は、前記切断刃による被切断物の切断抵抗よりも大きい弾発力を発生可能であり、前記被切断物を介して前記切断刃が前記金属受け部材の表面を押圧すると、前記金属受け部材が、前記弾性ゴム体に生じる圧縮によって板厚方向に平行移動して一旦押圧方向に移動するとともに、前記弾性ゴム体の圧縮による弾性力が前記被切断物の切断抵抗よりも大きくなると、前記弾性ゴム体の圧縮が復元し、前記切断刃の刃先が前記被切断物を切断する請求項8記載の切断装置。
【請求項10】
前記切断刃は、前記保持部材に固定され、前記切断刃の刃先の下死点の位置が、前記刃受け部の表面の刃受け面よりも下方であって、前記弾性ゴム体の弾性変形可能な範囲内に位置している請求項7記載の切断装置。
【請求項11】
前記切断刃の刃先は、前記切断刃と対面した前記刃受け面に対して、僅かに傾いた面上に位置している請求項8又は10記載の切断装置。
【請求項12】
前記切断刃が複数設けられ、前記刃受け部の前記金属受け部材は、前記各切断刃に対応して複数に分割されて設けられた請求項8記載の切断装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−16218(P2011−16218A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126997(P2010−126997)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(592209087)株式会社フロンティア (8)
【Fターム(参考)】