説明

列車位置検出装置

【課題】列車が定位置に在線しているか否を検出する定位置判定範囲を容易に調整する。
【解決手段】ジャスト位置用の電力波受信アンテナコイル10bとジャスト位置受信部16bは、ショート位置判定用及びオーバ位置判定用と比較して高い電力波受信応動特性を有し、電力波受信アンテナコイル10bの受信レベルLbはショート位置判定用とオーバ位置判定用の電力波受信アンテナコイル10a,10cの受信レベルLcのピーク値近傍で交差するように受信感度の設定と必要な利得調整がされ、複数の異なる駅で機器設置後に現地で再調整を行うとき、ジャスト位置受信部16bの利得を調整して、受信レベルLbと受信レベルLaの交点A及び受信レベルLbと受信レベルLcの交点Bを受信レベルLa,Lcのピーク値近傍で左右に移動して定位置判定範囲の調整を容易に行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、列車が駅の定位置判定範囲内に在線しているか否を検知する列車位置検出装置、特に検知精度の向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
列車の制御システムは自動列車制御装置(以下、ATC装置という)と自動列車運転制御装置(以下、ATO装置という)を利用して運転操作等を自動化するとともに安全度の向上が図られている。ATC装置を利用した運転方式では、軌道回路や軌道に沿って閉塞区間毎に設けたATCル−プにATC地上装置から送られたATC信号を列車の先頭車両に設けた受電器やATCアンテナで受信し、受信したATC信号に基づき列車の速度を自動的に制限速度以下に制御している。このATC装置として、近年は、多くの情報を伝送することができるデジタル式ATC装置が採用されている。このデジタル式ATC装置を採用することにより多現示化,多機能化が可能になり、速度制御以外の他の機能が実現可能となってきている。
【0003】
また、列車の定速度制御や定位置停止,ドア開閉などの運転操作を自動的に制御するデジタル式ATO装置を採用することにより多機能化が可能になり、速度制御以外の他の機能が実現可能となっている。この列車を定位置に停止させるために、トランスポンダを利用した列車の位置検出装置が特許文献1や特許文献2及び特許文献3等に開示されている。
【0004】
特許文献1に示された列車位置検出装置は、地上子に、情報波受信用アンテナコイルとは別に列車の進行方向に沿ってショート位置判定用電力波受信アンテナコイルとジャスト位置判定用電力波受信アンテナコイルとオーバ位置判定用電力波受信アンテナコイルの3つの電力波受信アンテナコイルを配置し、車上子から送信している電力波を各電力波受信アンテナコイルで受信したときの受信レベルが閾値を超えているか否により列車の停止位置を判断し、ショート位置判定用電力波受信アンテナコイルの受信レベルだけが閾値を超えている場合は、列車がショート位置にあると判定し、ジャスト位置判定用電力波受信アンテナコイルの受信レベルだけが閾値を超えている場合は、列車がジャスト位置にあると判定し、オーバ位置判定用電力波受信アンテナコイルの受信レベルだけが閾値を超えている場合は、列車がオーバ位置にあると判定している。
【0005】
また、特許文献2に示された列車位置検出装置は、前記3つの電力波受信アンテナコイルの受信レベルが閾値を超えているか否により列車の停止位置を判定するのではなく、地上子は、列車の進行方向に沿って電力波受信応動特性が一定の3個の電力波受信アンテナコイルを配置し、図4に示すように、ショート位置判定用の電力波受信アンテナコイルの電力波受信応動特性Laとジャスト位置判定用の電力波受信アンテナコイルの電力波受信応動特性Lbの交点Aと、ジャスト位置判定用の電力波受信アンテナコイルの電力波受信応動特性Lbとオーバ位置判定用の電力波受信アンテナコイルの電力波受信応動特性Lcの交点Bとの間を定位置判定範囲として、車上子が送信する電力波の受信レベルが、車上子の通常起こり得る範囲内で物理的、電気的に変動した場合でも、2つの交点間の距離変動が定位置判定範囲に比較して極めて小さいことを利用して定位置判定範囲の判定精度を向上させるようにしている。
【0006】
特許文献3に示された列車位置検出装置は、車上子から制御情報用の情報波と位置検出するための電力波を別個に送信することを避けるために制御情報用の情報波を車両検出用の情報波として共用し、ショート位置判定用アンテナコイルとジャスト位置判定用アンテナコイルの応動特性上の交点と、ジャスト位置判定用アンテナコイルとオーバ位置判定用アンテナコイルの応動特性上の交点との間を定位置判定範囲としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に示すように、3つの電力波受信アンテナコイルの受信レベルの交点検知により定位置判定範囲を検出している場合、3つの電力波受信アンテナコイルは、それぞれ接続された受信回路の使用電磁環境条件の下での雑音レベルを考慮した受信感度以上で、電力波受信応動特性上の交点を構成することを条件としている。
【0008】
また、3つの電力波受信アンテナコイルが車上子に対して可能な限り独立した電気的性能を確保するためには、相互誘導の影響を抑え込む必要があり、そのために3つの電力波受信アンテナコイルは物理的に離隔して配置する必要がある。このように3つの電力波受信アンテナコイルを物理的に離隔することにより、電力波受信応動特性上の交点は、各電力波受信アンテナコイルに接続された受信回路の受信感度に近づき、点制御システムにおける電力波受信応動特性上の傾きの大きい、すなわち、受信感度変化に対する距離の変化が小さい範囲になるため、定位置判定範囲の調整範囲が狭くなるという問題を有している。
【0009】
また、この状況では、開発段階の性能と実使用の電磁環境条件の違い、あるいは、地上子のケーブル長の違いによるレベルダイヤ上の調整範囲も狭いものになり、車両編成に応じて複数台設置するようなシステムにおいては地上子が設置される電磁環境条件別、あるいは地上子のケーブル長別に種類を増やして対応しなければならなかった。
【0010】
また、特許文献3に示すように、制御情報用の情報波を車両検出用の情報波として共用する場合、情報波は電力波に比較して10倍以上高い周波数を使用しており、送信電力に関する電波法の規制に対する余裕が少ないため送信電力波は規制され、適用電磁環境下の雑音レベルを考慮したなかで伝送品質を確保するために必要なS/Nを確保した受信側装置の受信感度以上で、車上子の移動に伴う情報波の受信応動特性上のレベル変化は限られてしまう。この限られた狭いレベル変化のなかで物理的に分離したアンテナコイルの交点検出を実現するためには、各アンテナコイルを近接して配置しなければならない。このように近接して配置したアンテナコイルは車上子を含めた相互誘導により影響を考慮する必要があり、さらにサイドローブの影響も考慮しなければならない。そのため、特許文献3に示すように、物理的に分離された情報受信アンテナコイルが電気的に独立した受信応動特性を有することを前提条件としているシステム構成には適合できない。
【0011】
また、情報波の受信応動特性上の交点は、同じく受信応動特性上のピークレベルに比較して低いため、受信感度とピークレベルの差が小さい情報波の交点付近では地上子と車上子が結合中に実施している情報伝送について必要な伝送品質を確保するためのS/Nの確保が困難であるという問題を有している。
【0012】
この発明は、このような問題を解消し、列車が駅の定位置に在線しているか否を検出するための定位置判定範囲を容易に調整することができるとともに列車が定位置判定範囲に在線しているか否を高精度に検出することができる列車位置検出装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明の列車位置検出装置は、列車に搭載された車上子から送信される電力波を受信するトランスポンダを利用した地上子及び地上装置を有する列車位置検出装置であって、前記地上子は、レールに沿って一定長さを有し、駅の列車の停止位置に配置され、前記車上子から送信された電力波を受信する第1の電力波受信アンテナコイルと、前記第1の電力波受信アンテナコイルの列車進行走行手前の位置に、前記第1の電力波受信アンテナコイルに隣接して配置され、前記車上子から送信された電力波を受信する第2の電力波受信用アンテナコイルと、前記第1の電力波受信アンテナコイルの列車進行走行前方の位置に、前記第1の電力波受信アンテナコイルに隣接して配置され、前記車上子から送信された電力波を受信する第3の電力波受信アンテナコイルを有し、
前記地上装置は、電力波受信部及び位置判定部を有し、前記電力波受信部は、前記第1の電力波受信アンテナコイルで受信した電力波を検波して出力する第1の受信部と、前記第2の電力波受信アンテナコイルで受信した電力波を検波して出力する第2の受信部と、前記第3の電力波受信アンテナコイルで受信した電力波を検波して出力する第3の受信部を有し、前記第1の電力波受信アンテナコイルと第1の受信部は、前記第2の電力波受信アンテナコイルと第2の受信部及び第3の電力波受信アンテナコイルと第3の受信部と比較して高い電力波の受信特性と広いダイナミックレンジ及び利得調整の特性を有し、前記第1の電力波受信アンテナコイルの電力波受信応動特性は、前記第2の電力波受信アンテナコイル及び前記第3の電力波受信アンテナコイルの電力波受信応動特性のピーク値近傍で交差するように調整され、
前記位置判定部は、前記地上子で前記車上子から送信される電力波を受信しているとき、前記第2の電力波受信アンテナコイルの電力波受信応動特性と前記第1の電力波受信アンテナコイルの電力波受信応動特性が一致した位置と、前記第1の電力波受信アンテナコイルの電力波受信応動特性と前記第3の電力波受信アンテナコイルの電力波受信応動特性が一致した位置との間を列車が定位置判定範囲に在線していると判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、第1の電力波受信アンテナコイルと第1の受信部は、第2の電力波受信アンテナコイルと第2の受信部及び第3の電力波受信アンテナコイルと第3の受信部と比較して高い電力波の受信特性と広いダイナミックレンジ及び利得調整の特性を有し、第1の電力波受信アンテナコイルの電力波受信応動特性は、第2の電力波受信アンテナコイル及び第3の電力波受信アンテナコイルの電力波受信応動特性のピーク値近傍で交差するように調整することにより、複数の異なる駅で機器設置後に現地で再調整を行うとき、第1の電力波受信アンテナコイルの電力波受信応動特性が上下に移動し、第2の電力波受信アンテナコイルの電力波受信応動特性と一致した交点及び第3の電力波受信アンテナコイルの電力波受信応動特性と一致した交点は、第2の電力波受信アンテナコイルと第3の電力波受信アンテナコイルの電力波受信応動特性のピーク値近傍で左右に移動し、各交点間の距離の変化が大きくなり、定位置判定範囲の調整を容易に行なうことができ、現地作業を低減することができる。また、地上装置のみの電気的性能の維持管理を行うことにより、高い検出精度で列車の停止位置を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の列車停止位置検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】トランスポンダ地上装置の電力波受信部と位置判定部の構成を示すブロック図である。
【図3】地上子に有する電力波受信アンテナコイルの受信レベルの変化を示す模式図である。
【図4】従来の地上子の電力波受信アンテナコイルの配置と受信レベルの変化を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1はこの発明の列車位置検出装置の構成を示すブロック図である。図に示すように、列車位置検出装置は、列車に搭載されたトランスポンダ車上装置1と車上子2と、地上の列車停止位置に設けられた地上子3とトランスポンダ地上装置4を有する。車上子2は情報波送信アンテナコイル5と電力波送信アンテナコイル6及び情報波受信アンテナコイル7を有する。情報波送信アンテナコイル5はトランスポンダ車上装置1から送られる車上情報を有する情報波を地上子3に送信する。電力波送信アンテナコイル6はトランスポンダ車上装置1から送られる電力波を地上子3に送信する。情報波受信アンテナコイル7は地上子3から送信される地上情報を有する情報波を受信してトランスポンダ車上装置1に送る。
【0017】
地上子3は情報波受信アンテナコイル8と情報波送信アンテナコイル9及び列車進行方向に沿って配置され、列車が所定の停止位置より手前の位置(ショート位置)にあることを判定するための電力波受信アンテナコイル10aと、列車が所定の定位置(ジャスト位置)にあることを判定するため一定長さを有する電力波受信アンテナコイル10bと、列車が所定の定位置を越えた位置(オーバ位置)にあることを判定するための電力波受信アンテナコイル10cを有する。情報波受信アンテナコイル8は車上子2から送信された車上情報を有する情報波を受信してトランスポンダ地上装置4に送る。情報波送信アンテナコイル9はトランスポンダ地上装置4から送られる地上情報を有する情報波を車上子2に送信する。3個の電力波受信アンテナコイル10a,10b,10cはそれぞれ車上子2から送信される電力波を受信してトランスポンダ地上装置4に送る。
【0018】
トランスポンダ地上装置4は、車上情報受信部11と地上情報送信部12と電力波受信部13及び位置判定部14を有する。車上情報受信部11は地上子3の情報波受信アンテナコイル8で受信した情報波を復調し、復調した車上情報を駅制御装置15に出力する。地上情報送信部12は駅制御装置15から出力される地上情報と位置判定部14から入力する位置情報を変調し、変調した情報波を情報波送信アンテナコイル9から車上子2に送信する。
【0019】
電力波受信部13は、図2のブロック図に示すように、ショート位置受信部16aとジャスト位置受信部16bとオーバ位置受信部16cを有する。ショート位置受信部16aは電力波受信アンテナコイル10aで受信した電力波を検波等の処理をして、図3に示す電力波受信アンテナコイル10aの受信レベルLaを位置判定部14に出力する。ジャスト位置受信部16bは電力波受信アンテナコイル10bで受信した電力波を処理して電力波受信アンテナコイル10bの受信レベルLbを位置判定部14に出力する。オーバ位置受信部16cは電力波受信アンテナコイル10cで受信した電力波を処理して電力波受信アンテナコイル10cの受信レベルLcを位置判定部14に出力する。また、図3において、受信レベルLsaは電力波受信アンテナコイル10aの受信感度を示し、受信レベルLsbは電力波受信アンテナコイル10bの受信感度を示し、受信レベルLscは電力波受信アンテナコイル10cの受信感度を示す。なお、受信レベルLiは情報波受信アンテナ8の受信レベルを示す。
【0020】
この列車がジャスト位置にあることを判定するための電力波受信アンテナコイル10bとジャスト位置受信部16bは、ショート位置判定用及びオーバ位置判定用と比較して高い電力波の受信特性と広いダイナミックレンジ及び利得調整の特性を有し、図3に示すように、ジャスト位置用の電力波受信アンテナコイル10bの受信レベルLbはショート位置判定用の電力波受信アンテナコイル10aの受信レベルLa及びオーバ位置判定用の電力波受信アンテナコイル10cの受信レベルLcのピーク値近傍で交差するように受信感度の設定と必要な利得調整がされている。
【0021】
位置判定部14は2個のレベルコンパレータ17a,17bと論理部18を有する。レベルコンパレータ17aはショート位置受信部16aから入力した受信レベルLaとジャスト位置受信部16bから入力した受信レベルLbの大小を比較し、受信レベルLaと受信レベルLbが一致する交点Aを検出して交点Aの検知信号を論理部18に出力する。レベルコンパレータ17bはジャスト位置受信部16bから入力する受信レベルLbとオーバ位置受信部16cから入力する受信レベルLcの大小を比較し、受信レベルLbと受信レベルLcが一致する交点Bを検出して交点Bの検知信号を論理部18に出力する。論理部18はレベルコンパレータ17aから入力した交点Aの検知信号とレベルコンパレータ17bから入力した交点Bの検知信号の間を列車が定位置判定範囲に在線していると判定する。
【0022】
この列車位置検出装置で列車の位置を検出するときの動作を説明する。列車が走行して車上子2が地上子3と電磁結合して、車上子2から送信している電力波を電力波受信アンテナコイル10aで受信してショート位置受信部16aから受信レベルLaが位置判定部14の論理部18に入力し、論理部18に受信レベルLaのみを入力している状態を論理部18は列車がショート位置に在線していると判定して、ショート位置を示す情報を駅制御装置15と地上情報送信部12に出力する。地上情報送信部12は入力したショート位置を示す情報を地上子3から車上子2に送信する。
【0023】
また、論理部18に受信レベルLaを入力してから引き続いて車上子2から送信している電力波を電力波受信アンテナコイル10bで受信してジャスト位置受信部16bから受信レベルLbが論理部18に入力し、論理部18にレベルコンパレータ17aから交点Aの検知信号が入力すると、論理部18は列車が定位置判定範囲に進入したと判定する。
【0024】
また、論理部18にコンパレータ17aから交点Aの検知信号が入力されてから受信レベルLbが入力されている状態が継続しているとき、論理部18は列車がジャスト位置に在線していることを示す情報を駅制御装置15に出力する。駅制御装置15は入力したジャスト位置在線を示す情報を地上情報送信部12を介して地上子3から車上子2に送信し、ホームドア制御装置等の動作を制御する。
【0025】
また、論理部18で列車が定位置判定範囲に進入したと判定した後、引き続いて車上子2から送信している電力波を電力波受信アンテナコイル10cで受信して論理部18に受信レベルLcが入力し、レベルコンパレータ17bから交点Bの検知信号が入力すると、論理部18は列車が定位置判定範囲から進出したと判定してオーバ位置進入を示す情報を駅制御装置15と地上情報送信部12に出力する。地上情報送信部12は入力したオーバ位置進入を示す情報を地上子3から車上子2に送信する。
【0026】
このように論理部18はレベルコンパレータ17aから入力した交点Aの検知信号とレベルコンパレータ17bから入力した交点Bの検知信号の間を定位置判定範囲にすることにより、異なる形式の列車が走行して各車上子2から送信する電力波の送信レベルが異なるために、図3に示すように地上子3の電力波受信アンテナコイル10a,10b,10cで受信した電力波の受信レベルLa,Lb,Lcが受信レベルLa1,Lb1,Lc1と変動しても受信レベルLa1,Lb1の交点Aと受信レベルLb1,Lc1の交点Bは変動しないで定位置判定範囲を一定にすることができる。したがって異なる形式の列車が相互乗り入れ運転を行っている線区においても列車が定位置判定範囲内に在線していることを高精度に検知することができる。
【0027】
この列車位置検出装置の地上子3とトランスポンダ地上装置4を複数の異なる駅に適用する場合、地上子3とトランスポンダ地上装置4とを接続したケーブル長は一定でなく、機器設置後に現地で再調整が行われることが一般的である。このような場合、ジャスト位置判定用の電力波受信アンテナコイル10bとジャスト位置受信部16bは、ショート位置判定用及びオーバ位置判定用と比較して高い電力波の受信特性と広いダイナミックレンジ及び利得調整の特性を有し、ジャスト位置用の電力波受信アンテナコイル10bの受信レベルLbはショート位置判定用の電力波受信アンテナコイル10aの受信レベルLa及びオーバ位置判定用の電力波受信アンテナコイル10cの受信レベルLcのピーク値近傍で交差するように受信感度の設定と利得調整されるから、ジャスト位置受信部16bの利得を調整すると、ジャスト位置判定用の電力波受信アンテナコイル10bの受信レベルLbが上下に移動し、ショート位置判定用の電力波受信アンテナコイル10bの受信レベルLaと受信レベルLbの交点A及び受信レベルLbとオーバ位置判定用の電力波受信アンテナコイル10cの受信レベルLcの交点Bは、ショート位置判定用の電力波受信アンテナコイル10aとオーバ位置判定用の電力波受信アンテナコイル10cの受信レベルLcのピーク値近傍で左右に移動し、交点Aと交点B間の距離の変化が大きくなり、定位置判定範囲の調整を容易に行なうことができ、現地作業を低減することができる。
【符号の説明】
【0028】
1;トランスポンダ車上装置、2;車上子、3;地上子、
4;トランスポンダ地上装置、5;情報波送信アンテナコイル、
6;電力波送信アンテナコイル、7;情報波受信アンテナコイル、
8;情報波受信アンテナコイル、9;情報波送信アンテナコイル、
10;電力波受信アンテナコイル、11;車上情報受信部、12;地上情報送信部、
13;電力波受信部、14;位置判定部、15;駅制御装置、
16a;ショート位置受信部,16b;ジャスト位置受信部、
16c;オーバ位置受信部、17;レベルコンパレータ、18;論理部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】特開平10−264814号公報
【特許文献2】特開昭60−191870号公報
【特許文献3】特開平9−226581号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車に搭載された車上子から送信される電力波を受信するトランスポンダを利用した地上子及び地上装置を有する列車位置検出装置であって、
前記地上子は、レールに沿って一定長さを有し、駅の列車の停止位置に配置され、前記車上子から送信された電力波を受信する第1の電力波受信アンテナコイルと、前記第1の電力波受信アンテナコイルの列車進行走行の手前の位置に、前記第1の電力波受信アンテナコイルに隣接して配置され、前記車上子から送信された電力波を受信する第2の電力波受信用アンテナコイルと、前記第1の電力波受信アンテナコイルの列車進行走行の前方の位置に、前記第1の電力波受信アンテナコイルに隣接して配置され、前記車上子から送信された電力波を受信する第3の電力波受信アンテナコイルを有し、
前記地上装置は、電力波受信部及び位置判定部を有し、
前記電力波受信部は、前記第1の電力波受信アンテナコイルで受信した電力波を検波して出力する第1の受信部と、前記第2の電力波受信アンテナコイルで受信した電力波を検波して出力する第2の受信部と、前記第3の電力波受信アンテナコイルで受信した電力波を検波して出力する第3の受信部を有し、前記第1の電力波受信アンテナコイルと第1の受信部は、前記第2の電力波受信アンテナコイルと第2の受信部及び第3の電力波受信アンテナコイルと第3の受信部と比較して高い電力波の受信特性と広いダイナミックレンジ及び利得調整の特性を有し、前記第1の電力波受信アンテナコイルの電力波受信応動特性は、前記第2の電力波受信アンテナコイル及び前記第3の電力波受信アンテナコイルの電力波受信応動特性のピーク値近傍で交差するように調整され、
前記位置判定部は、前記地上子で前記車上子から送信される電力波を受信しているとき、前記第2の電力波受信アンテナコイルの電力波受信応動特性と前記第1の電力波受信アンテナコイルの電力波受信応動特性が一致した位置と、前記第1の電力波受信アンテナコイルの電力波受信応動特性と前記第3の電力波受信アンテナコイルの電力波受信応動特性が一致した位置との間を列車が定位置判定範囲に在線していると判定することを特徴とする列車位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−215167(P2010−215167A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66365(P2009−66365)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000001292)株式会社京三製作所 (324)
【Fターム(参考)】