説明

列車制御車上装置

【課題】低コスト化・省スペース化を図ることができる、複数の列車制御システムに対応した列車制御車上装置を提供する。
【解決手段】列車制御車上装置は、第1及び第2列車制御システムに対応する地上側設備から速度制御に用いる情報を含む信号を受信することにより列車の速度制御を行う装置である。列車制御車上装置は、周波数通過帯域が可変なフィルタと、A/D変換器と、信号から速度制御に必要な情報を出力する受信部と、制御部とを備える。第2列車制御システムが、システム切替え通知として用いられる場合、制御部は、第1列車制御システムによる制御区間では、第1及び第2列車制御システムいずれの信号も受信可能となるようにフィルタの周波数通過帯域を制御する。第2列車制御システムによる制御区間では、制御部は、第2列車制御システムの信号を受信可能となるようにフィルタの周波数通過帯域を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、列車制御車上装置に関する。
【背景技術】
【0002】
列車では、運転士の信号見落とし等による危険な状態を防止し安全に走行できるように、列車制御システムが存在する。列車制御システムとは、地上側設備と列車(車上)装置間で信号のやりとりを行うことによって、赤信号や速度超過の場合にブレーキを自動的に動作させて停止させたり、速度を減速させる仕組みである。
【0003】
列車のブレーキを自動的に動作させて停止するシステムを自動列車制御(ATS:Automatic Train Stop)システムと呼び、自動的に速度を信号現示以下に減速させるシステムを自動列車制御(ATC:Automatic Train Control)システムと呼ぶ。ATSやATCでは、地上に設置された、制御情報を車上に伝送するための地上子あるいはレールを介して、地上と列車間で信号のやりとりが行われるようになっている。列車にある車上装置は、アンテナを介して地上子あるいはレールからの信号を受信することで、必要に応じて速度停止・速度制御を行う。
【0004】
ここで、ATS及びATCには、それぞれ動作原理や用いられる通信方式によって数多くの種類が存在する。大きく分類すると、ATSには変周方式(ATS−S方式)とトランスポンダ方式(ATS-P方式)が存在し、ATCにもアナログ(A-ATC)方式とディジタル(D−ATC)方式が存在する(非特許文献1参照)。これらは、いずれも変調方式や用いられる周波数帯が異なる方式であり、動作原理が違うことから車上装置の機器構成は全く異なるため、共用することはできない。
【0005】
近年、鉄道事業者間で列車の相互乗り入れが行われるようになってきている。この場合、各鉄道事業者で採用されている列車制御システムの方式が異なることがある。また、同一鉄道事業者においても、路線により異なる方式が採用されていることがある。相互乗り入れ等によって異なる方式の区間をまたがって運転を行う列車の場合、それらの方式に対応できるようにいずれの方式にも対応した車上装置を搭載しておく必要がある。複数の方式の装置を搭載する必要がある場合、コストが増大し、またその分だけの搭載スペースを確保しなければならず、スペース確保が困難であった。
【0006】
これらの問題を解決するために、1つの車上装置で複数の列車制御システムの方式に対応する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、DSPやFPGAといった論理演算装置を備え、実行すべき方式のプログラムを切替えスイッチにより必要に応じてメモリから呼び出して実行することにより、1装置で複数の列車制御方式に対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005-323445号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】(社)日本鉄道電気技術協会発行「鉄道技術者のための電気概論 信号シリーズ7 ATS・ATC[改訂版]」(平成15年7月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の装置では、アンテナで受信した各列車制御システムにおける地上設備からの信号をアナログ回路でディジタル信号へ変換した後、論理演算装置上で対応するプログラムを切替えて処理を行なうことで、複数の列車制御システムの受信に対応している。その際、論理演算装置にディジタル信号が入出力されるまでのアナログ回路構成としては、対応する列車制御システム毎に個別に有する構成となっている。
【0010】
つまり、論理演算装置で実行される処理に対しては適宜プログラムを書き換えるだけで、対応できるため、共通の論理演算装置のみで良い。しかし、アナログ回路に関しては共通化されておらず、対応する列車制御システムの数が多くなればなるほど、多くのアナログ系統分が必要となりアナログ回路コストが増加する。受信アナログ回路として、特許文献1ではAD変換器の他に増幅器のみが備えられている。しかし、このほかにもAD変換によって周波数軸上に生じたイメージ信号が本来の信号に干渉を及ぼすことを防止するために、AD変換器の前段にアンチエイリアシング用のローパスフィルタも必要となる。
【0011】
また、対応する列車制御システム毎に個別のアナログ回路を構成する必要があるだけでなく、今後新たな相互乗入れなどにより別の列車制御システムが加わった場合には、少なくともAD変換器より前段にあるアナログ処理に関しては、ハードウェア的な改造が必要となる。
【0012】
このように、上記の従来の列車制御車上装置では、論理演算装置を備え、実行すべき方式のプログラムを切替えスイッチにより必要に応じてメモリから呼び出して実行することにより1つの装置で複数の列車制御方式に対応できる。それゆえ、複数の装置をそれぞれ搭載する場合に比べて、低コスト化・省スペース化が可能となっている。しかしながら、無線アナログ回路に関しては、それぞれ列車制御システム毎に個別に有する構成となるので、未だコスト、スペース、消費電力、汎用性などの面で課題が残る。
【0013】
本発明の一観点は、より汎用的でかつ低コスト化・省スペース化を図ることができる、複数の列車制御システムに対応した列車制御車上装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一観点に係る列車制御装置は、第1列車制御システムおよび第2列車制御システムに対応する地上側設備から速度制御のための情報を含む信号を受信することにより列車の速度制御を行う列車制御車上装置であって、前記地上側設備から受信した信号のうち周波数通過帯域の信号を通過させるフィルタと、前記フィルタが通過させる信号をディジタル化するA/D変換器と、前記A/D変換器によりディジタル化された信号から速度制御に必要な情報を出力する受信部と、前記フィルタの制御を行う制御部とを備え、前記第2列車制御システムは、前記第1列車制御システムと前記第2列車制御システム間のシステム切替え通知としても用いられる列車制御システムであり、前記制御部は、前記第1列車制御システムによる制御区間を走行中は、前記フィルタの周波数通過帯域を、前記第1列車制御システムの信号の第1周波数帯域及び前記第2列車制御システムの信号の第2周波数帯域を含む周波数帯域とし、前記第1列車制御システムによる制御区間を走行中に、前記第1列車制御システムから前記第2列車制御システムへの切替え通知信号を受けた場合、前記フィルタの周波数通過帯域を、前記第2周波数帯域を含む周波数帯域とし、前記第2列車制御システムによる制御区間を走行中は、前記フィルタの周波数通過帯域を、前記第2周波数帯域を含む周波数帯域とし、前記第2列車制御システムによって、前記第2列車制御システムから前記第1列車制御システムへの切替え通知信号を受けた場合、前記フィルタの周波数通過帯域を前記1周波数帯域を含む周波数帯域とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一観点によれば、汎用的でかつ低コスト化・省スペース化を図ることができる複数の列車制御システムに対応した列車制御車上装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る列車制御車上装置の構成を示すブロック図。
【図2】各列車制御システムで利用される周波数帯の例。
【図3】ATS−Sシステム区間からD−ATCシステム区間へ走行する場合の図。
【図4】アナログフィルタ103の通過帯域幅を説明する図。
【図5】D−ATCシステム区間からATS−Sシステム区間へ走行する場合の図。
【図6】ATS−Sシステムによる制御が行われている区間を走行中に設定されているアナログフィルタ103の帯域幅とAD変換器105のサンプリングレートの具体例を示す図。
【図7】D−ATCシステムによる制御が行われている区間を走行中に設定されているアナログフィルタ103の帯域幅とAD変換器105のサンプリングレートの具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態にかかる列車制御車上装置の構成を示すブロック図である。本実施形態では、列車制御車上装置が、2つの列車制御システムに対応する例を説明する。2つの列車制御システムは、第1列車制御システムとしてATS−Sを、第2列車制御システムとしてディジタルATC(D−ATC)を例として説明する。
【0019】
本発明の実施形態では、ATS−SシステムとD−ATCシステムを例として説明するが、その他の列車制御システムの組み合わせであってもよい。
【0020】
図2に、各列車制御システムで利用される周波数帯の一例を示す。具体的には、ATS−S方式とATS-P方式)、ATCにもアナログATC(A-ATC)方式とディジタルATC(D−ATC)方式の周波数帯の例を示す。
【0021】
列車制御車上装置は、各列車制御システムでの周波数に対応するアンテナ101, 102が備えられている。これらのアンテナはそれぞれ列車の先頭下部等の所定箇所に設置されており、走行中、地上側からの情報を、地上設備(例えば、地上子もしくは軌道回路)を介して受信が行われる。ここで、地上子とは、特定地点において制御情報を車上に伝送することを目的として、レール間に設けられる情報機器である。
【0022】
それぞれのアンテナ101,102の出力は、帯域可変なアナログフィルタ103に入力され、アナログフィルタ103を通過した周波数帯域の信号を出力する。その後、通過した周波数帯域の信号は利得が可変である増幅器104に入力され、増幅器104はその信号を増幅する。増幅器104によって増幅された信号は、AD変換器105に入力される。
【0023】
帯域可変なアナログフィルタ103は、アンテナ101,102の出力のうち通過させる周波数帯を変えられる周波数通過帯域を可変なアナログフィルタであり、例えば、ローパスフィルタもしくはバンドパスフィルタで構成されている。ローパスフィルタの場合にはカットオフ周波数が可変になっており、またバンドパスフィルタの場合には中心周波数及び帯域幅が可変になっている。
【0024】
AD変換器105は、受信した信号をディジタル信号に変換する。AD変換器105は、標本化を行うサンプリングレート及び量子化のビット分解能が変えられる。なお、AD変換器105のサンプリングレートを可変にする方法として、入力するクロックを変更することで実現でき、異なるクロックは水晶発振器によって発生したクロックを分周させることにより様々なクロックを実現できる。
【0025】
アナログフィルタ103の周波数通過帯域、増幅器104の利得、 AD変換器105のサンプリングレート及び量子化のビット分解能は、それぞれ後述する制御部110によって制御される。
【0026】
AD変換器105によってディジタル化された信号は、システム判定部106に入力され、何れの列車制御システムからの信号であるかの判定を行う。システム判定部106でこの判定がされた後、判定結果がATS−Sシステムでの信号である場合にはATS−S用の受信部(第1列車制御システム受信部)107へ、D−ATCシステムでの信号である場合にはD−ATC用の受信部(第2列車制御システム受信部)108へ入力される。
【0027】
また、両システム間で自動に切替えが行われる場合には、切替えの途中で両システムでの信号が同時に受信されることがあり得る。そのような場合、システム判定部106は両システムにおける信号を認識し、第1列車制御システム受信部107,第2列車制御システム受信部108へそれぞれの信号を分離して入力する。
【0028】
第1列車制御システム受信部107、第2列車制御システム受信部108では、復調など各列車制御システムで必要な受信処理を行い、速度制御部109へ速度制御に必要な情報を出力する。速度制御部109では、それぞれの受信部から出力された情報に基づき速度照査パターンの作成等を行い、速度制御やブレーキ制御を実施する。
【0029】
次に、制御部110が行う制御について述べる。本発明のこの実施例では、相互乗り入れの際などにおいて用いられる列車制御システムは自動的に切替えが可能なことを前提としており、その際の、列車制御システムの切替え通知には、D−ATCシステム(第2列車制御システム)が用いられるものとする。すなわち、D−ATCシステムで受信される電文(フレーム)内に、切替え通知用のフィールドが定義されており、このフィールドのビット系列によってATS−SからD−ATCへの切替え、D−ATCからATS−Sへの切替え、または切替えの必要無しのいずれかが通知されるものとする。
【0030】
図3は、ATS−Sシステム区間からD−ATCシステム区間へ走行する場合の図である。図3を用いて、ATS−Sシステムによる制御が行われている区間を走行中に、D−ATCシステムに切り替える場合の動作を説明する。
【0031】
列車301は、ATS−S用地上子302の上を通過すると、アンテナ101が地上子302と電気的に結合し、所望の共振周波数成分を受信することになる。赤信号に相当する共振周波数であった場合は、図1の速度制御部109を制御して列車の停止を行う。ATS−Sシステムで受信される共振周波数成分は図2に示すように、例えば約105kHzから約130kHzの周波数帯域が用いられるため、図1に示すアナログフィルタ103の通過範囲である周波数通過帯域として、少なくともこれらの周波数帯域を通過させる必要がある。
【0032】
一方、AD変換器105のサンプリングレートもナイキスト標本化定理から、少なくともATS−Sシステムで利用される最大周波数の2倍以上(例えば、130kHzの周波数まで利用されるとすると260kHz)のサンプリングレートが必要となる。また、AD変換器105のビット分解能もATS−Sシステムで要求されるダイナミックレンジを満たすようなビット分解能が必要となる。また、増幅器104に関してもATS−Sシステムの信号受信に合わせた利得によって信号を増幅する。
【0033】
一方、列車301は、ATS−Sシステムによる制御が行われている区間を走行中、あるタイミングでD−ATCシステムを用いて、ATS−SシステムからD−ATCシステムによる制御区間へ切替わる旨の通知を受ける(図3の(a)地点)。
【0034】
通常、列車301は走行中に切替え通知をどのタイミングで受信されうるか把握できないものとすると、ATS−Sシステムによる制御が行われている区間を走行中も、いつD−ATCシステムによる信号が通知されても良いようにD−ATCシステムの信号も受信できるようにする。つまり、ATS−Sシステム制御区間を走行中は、ATS−SシステムのみではなくD−ATCシステムの信号も受信可能にする。
【0035】
そのためには、まず、図2に示すように、ATS−Sシステムで用いられる周波数帯域とD−ATCシステムで用いられる周波数帯域が異なることから、アナログフィルタ103は、ATS−Sシステム、D−ATCシステムの信号いずれの信号も通過させるような周波数通過帯域とする。
【0036】
図4(a)に、アナログフィルタ103の周波数通過帯域について、ATS−Sシステムの信号のみ受信する場合の通過帯域を示す。図4(b)にATS−Sシステム、D−ATCシステムいずれの信号も受信するようにする場合の通過帯域を示す。アナログフィルタ103として例えばバンドパスフィルタを用いた場合には、図4(b)に点線で示すようにD−ATCシステムの信号も通過させる帯域幅にする。
【0037】
また、AD変換器105においても、両列車制御システムに対応したサンプリングレートにしておくする。具体的には、AD変換器105は、両列車制御システムのうち、要求されるサンプリングレートの高いシステムのサンプリングレート以上のサンプリングレートをとる。図2から、ATS−SシステムとD−ATCシステムを考えた場合、ATS−Sシステムの方が高い周波数帯域を用いている。したがって、例えば、サンプリングレートは、ATS−Sシステムの最大周波数の2倍以上とする。
【0038】
なお、ATS−Sシステムの最大周波数はD−ATCシステムの最大周波数と比べて、大きいため、ATS−Sシステムに要求されるサンプリングレートでのサンプリングであれば、D−ATC信号も問題なくサンプリングができると考えられる。
【0039】
しかし、もし仮にD−ATCシステムにおいてオーバーサンプリングする場合や、ATS−Sシステムに比べD−ATCシステムの方が高い周波数帯域を用いられているような場合は、D−ATCシステムにおける要求サンプリングレートが高い事も考えられる。そのような場合には、両列車制御システムに対応したサンプリングレートにしておくために、D−ATCに対応したサンプリングレートに設定する。
【0040】
また、AD変換器105は、ビット分解能もATS−SシステムとD−ATCシステムの要求されるダイナミックレンジの広い方に合わせておくことになる。
【0041】
ここで、ATS−S用地上子302の配置等によっては、ATS−Sシステムの信号とD−ATCシステムの信号が、同時に受信されるタイミングがありうる。このようなケースにおいて、ある一方の列車制御システムの信号がもう一方の列車制御システムの信号に比べ受信電力が非常に小さい場合には、受信電力が小さい方の列車制御システムの信号はAD変換時に量子化雑音として埋もれてしまう恐れがある。それゆえ、単一システムとして要求されるダイナミックレンジに比べ、ダイナミックレンジが広くなる可能性を考慮してAD変換器105のビット分解能を設定しておくことになる。増幅器104の利得に関しても同様であり、AD変換器105のビット分解能と併せて制御すべきである。
【0042】
このように、ATS−Sシステムによる制御が行われている区間を走行中は、ATS−SシステムのみならずD−ATCシステムの信号も受信可能にする。
【0043】
そのため、制御部110の制御として、アナログ処理系統を1系統で構成しつつATS−Sシステム及びD−ATCシステムの両信号を一括受信可能なように、アナログフィルタ103の通過帯域を両システムの周波数を含むように設定する。AD変換器105のサンプリングレートは2つの列車制御システムのうち高い要求のサンプリングレートでサンプリングができるように設定する。また、AD変換器105のビット分解能や増幅器104の利得も一方の列車制御システムの受信信号が他方のシステムの受信信号の量子化雑音に埋もれない事を考慮しつつ、基本は要求の高い方の列車制御システムに合わせた設定にしておく。
【0044】
また、対象となる列車制御システムの組み合わせがいずれの場合であっても、システム切換え通知に用いられる列車制御システムの信号も受信できるように、制御部110は上記のポリシーに従い、増幅器104、アナログフィルタ103、AD変換器105を制御すれば良い。
【0045】
これにより、列車制御システム毎にアナログ処理系統を構成し、それぞれのアナログ処理系統にて対応した列車制御システムの信号を独立に受信処理を行わなくても、アナログ処理系統1系統にて複数の列車制御システムからの信号を受信可能となるため、汎用性の向上やコスト削減が可能な構成となっている。
【0046】
説明を図3に戻すと、1系統のアナログ処理系統を上記のように設定しておくことでATS−Sシステムによる制御が行われている区間を走行中も、D−ATCの信号を受信可能となる。
【0047】
そのため、列車301は図3の(a)地点を通過した際、D−ATC用のアンテナ102を介してD−ATCの信号が受信開始される。受信された信号は、システム判定部106によってD−ATC用の第2列車制御システム受信部108に入力され、D−ATCの受信処理が行なわれる。
【0048】
D−ATCではMSK変調方式が用いられているため、D−ATCの第2列車制御システム受信部108ではMSK復調処理やCRC判定を行ない、D−ATCシステムで定められたフォーマットの電文(フレーム)を得る。得られた電文内の列車制御システム切替え通知用フィールドを参照することにより、ATS−SシステムからD−ATCシステムへの切替えを行う有無を把握する。図3の(a)地点を通過時に受信されるD−ATC電文には、システム切替えの旨が通知されており、列車301はそれによりATS−SからD−ATCへの切替え地点であることを把握する。
【0049】
D−ATCシステムにおける信号を受信後、復調結果によりD−ATCシステムへの切替えであることを認識した後は、D−ATCシステムによる制御が行われている区間への走行に切替わるため、制御部110は増幅器104、アナログフィルタ103、AD変換器105をD−ATCシステムによる制御区間走行中用の設定に制御する。
【0050】
制御部110は、ATS−Sシステムによる制御が行われている区間を走行中から、D−ATCシステムを受信できるように設定を行っているため、システム切替えが発生した場合でも同一の設定のままであってもD−ATCシステムの受信は可能である。
【0051】
しかしながら、D−ATCシステムによる制御が行われている区間走行中は、D−ATCシステムのみの信号を受信できれば良い。言い換えると、D−ATCシステムによる制御が行われている区間走行中は、あえてATS−Sシステムの信号を受信する必要が無い。これは、D−ATCシステムからATS−Sシステムへの切替えの際も、D−ATCシステムの信号によって通知されるためである。
【0052】
そこで、制御部110はD−ATCシステムによる制御区間走行中は、D−ATCシステムの信号のみを受信できるように制御する。
【0053】
具体的には、アナログフィルタ103は、D−ATCシステムの信号のみ通過させるような周波数通過帯域とする。また、AD変換器105のサンプリングレートもD−ATCシステムの要求サンプリングレートのみを満たすような値に設定する。具体的には、D−ATCシステムの最大周波数の2倍以上とする。また、AD変換器105は、ビット分解能はD−ATCシステムで要求されるダイナミックレンジのみに合わせて設定する。増幅器104の利得もD−ATCシステム要求に応じた利得に設定する。
【0054】
このように、ATS−SシステムからD−ATCシステムへの切り替えが行われるタイミングにおいて、制御部110はアナログ系統のそれぞれをATS−Sシステム及びD−ATCシステムの両システムを受信可能な設定から、D−ATCシステムのみを受信可能な設定に制御する。こうすることにより、アナログフィルタ103は狭帯域な通過帯域とすることができるので、ATS−Sも受信可能とする通過帯域の場合のままでは通過させてしまうような干渉信号を除去できる。
【0055】
アナログフィルタにて通過してしまう干渉信号は、最終的にディジタルフィルタにより除去可能な場合もあるが、少なくともアナログフィルタにて除去できなかった干渉信号がインパルス性の雑音などD−ATC受信信号レベルに比べて非常に大きな雑音電力の場合は、AD変換前にその雑音信号を基準に利得調整が行われてしまう恐れがあり、結果として特性劣化に繋がってしまう。そのため、本発明の実施例のようにD−ATCシステムのみを通過帯域とするフィルタに設定制御することにより、必要以上の干渉信号を受信することなく、特性劣化を招く事も防止できる。また、AD変換器105のサンプリングレートに関しても、D−ATCの要求サンプリングレートのみを満たすようにすれば良いため、サンプリングレートを下げる事ができる。
【0056】
具体的には、ATS−Sシステム及びD−ATCシステムの両システムを受信可能の場合には、要求の高いATS−Sシステムに合わせたサンプリングレート260kHz以上での設定とするが、D−ATCシステムのみを受信可能とする場合には、40kHz以上のサンプリングレートで良いため、大きくサンプリングレートを下げる事ができる。サンプリングレートを下げる事ができれば、その分低消費電力化を図る事が可能であり、また、ディジタル回路で同一の周波数分解能のディジタルフィルタを実現するためには、少ないタップ係数で実現できるため、ディジタル回路規模の削減に繋がる。
【0057】
システム判定部106は、基本的に、各列車制御システム帯域のディジタルフィルタによる出力結果もしくはFFT(Fast Fourier Transform)処理結果により、いずれの列車制御システム帯域に信号が存在するか否かで判定するため、ある一定以上の周波数分解能が必要となるため、特にシステム判定部106を実現するディジタル回路規模削減効果は大きいと考えられる。また、ビット分解能や利得に関しても、D−ATCのみを考慮して制御できるため、ATS−S及びD−ATCの両システムを考慮して制御する場合に比べて、より最適な制御が可能となる。
【0058】
次に、D−ATCシステムによる制御が行われている区間を走行中に、ATS−Sシステムに切替える場合について図5を用いて説明する。列車301は、それぞれの閉塞区間での電文を軌道回路を介してその都度受信する。通常のD−ATCシステムによる制御が行われている区間の場合は、受信した電文内の列車制御システム切替え通知用フィールドには、システム切替えの旨を表すビット系列は示されていない。しかしながら、ある閉塞区間で受信した電文内に列車制御システム切替えの旨を表すビット系列が示されている場合に、列車301はそれによりD−ATCからATS−Sへの切替え地点であることを把握する。この把握により、列車301の制御部110は増幅器104、アナログフィルタ103、AD変換器105をATS−Sシステムによる制御区間走行中用の設定に制御する。つまり、ATS−SシステムとD−ATCシステムの両システムを受信できるような設定に切替える。
【0059】
ただしこの場合、ATS−Sシステムに切替えた後、この路線が再度D−ATCシステムに切替わることが無い(つまり、ATS−Sシステムによる制御区間で終点)事を把握できる場合には、あえてD−ATCシステムの信号を受信待ち受けできるようにしておく必要がないため、このような場合にはATS−Sシステムへの切替え地点であることを把握したタイミングで、D−ATCシステムのみを受信可能な系統からATS−Sシステムのみを受信可能な系統に設定しても良い。
【0060】
具体的には、アナログフィルタ103は、ATS−Sシステムの信号のみ通過させるような周波数通過帯域とする。また、AD変換器105のサンプリングレートもATS−Sシステムの要求サンプリングレートのみを満たすような値に設定する。具体的には、ATS−Sシステムの最大周波数の2倍以上とする。また、AD変換器105は、ビット分解能はATS−Sシステムで要求されるダイナミックレンジのみに合わせて設定する。増幅器104の利得もATS−Sシステムの要求に応じた利得に設定する。
【0061】
各路線において、どのような列車制御システムが利用されるか否か、相互乗り入れによるシステム自動切換えが生じる路線か否か、また自動切換えがいずれの列車制御システムを用いて通知されるか、といった事は、一意に決まっているため、データベース化等を行っておくことにより、走行中、その先にどのような列車制御切替えが存在するかどうかは把握可能である。
【0062】
そのため、これまでは説明を分かりやすくするために、2つの列車制御システム(ATS−SシステムとD−ATCシステム)を用いて説明したが、対応する列車制御システムが3つ以上であっても基本的な考えは変わらない。すなわち、現走行区間の列車制御システムとその先にある列車制御システム切替え通知に用いられるシステムが異なる場合には、切替え通知に用いられる列車制御システムの信号をいつでも受信できるように、アナログ処理系統を現行走行区間の列車制御システム及び切替え通知に用いられる列車制御システムの両システムの信号を受信できるように制御しておく。また、現走行区間の列車制御システムとその先にある列車制御システム切替え通知に用いられるシステムが同一の場合(すなわち現走行区間の列車制御システムによって切替え通知が行なわれる場合)には、あえて他の列車制御システムの信号を受信する必要がないため、該列車制御システムの信号のみを受信できるように制御しておく。このポリシーに従い、切換え通信信号を受信したタイミングでそれぞれの列車制御システムの信号を受信できるように可変なアナログフィルタ帯域、サンプリングレート、ビット幅や、利得を制御する事になる。
【0063】
また、上述したようにデータベース化しておくことにより、走行する路線が決まれば、制御部が制御するアナログフィルタの通過帯域幅やAD変換器のサンプリングレート、ビット分解能、増幅器の利得制御を自動的に制御可能になる。
【0064】
なお、列車制御システムの切り替え通知が、列車301を所定の区間で制御する列車制御システムの1つである第2列車制御システムであるD−ATCを用いて行われる場合を例として説明した。しかしながら、列車制御システムの切り替え通知は、列車301を所定の区間で制御する列車制御システムを用いて行う必要はなく、切り替え通知のみを行う第3システムを用いて行っても良い。本実施例においては、たとえば、第3システムは、第1列車制御システムであるATS−Sと第2列車制御システムD−ATCとは異なるシステムとし、例えば、ATS-P方式とする。
【0065】
このように、列車制御システムの切り替え通知を、第3制御システムであるATS-P方式で行う場合、制御部110は、第1列車制御システムであるATS−Sによる制御区間を走行中は、第1列車制御システム及び第3列車制御システムの両方のシステムのいずれの信号も受信可能となるようにアナログフィルタ103とAD変換器105と増幅器104とを制御する。第2列車制御システムであるD−ATCの制御区間を走行中も同様に第2列車制御システムおよび第3列車制御システムの両方のいずれの信号も受信可能とするようにする。
【0066】
また、第1列車制御システムである制御区間を走行中に、第3制御システムで切り替え通知があった後は、第2列車制御システムである制御区間を走る場合であってかつ、その先に再度切り替え通知がある場合は、制御部110は、第2列車制御システム及び第3列車制御システムの両方のシステムのいずれの信号も受信可能となるようにアナログフィルタ103とAD変換器105と増幅器104とを制御する。
【0067】
一方、第3列車制御システムで切り替え通知があった後であって、第2列車制御システムである制御区間を走る場合であってかつ、その先に再度切り替え通知がない(つまり、第2列車制御システムである制御区間で終点)場合には、制御部110は、第2列車制御システムの信号のみを受信可能となるようにアナログフィルタ103とAD変換器105と増幅器104とを制御する。つまり、この場合は第3列車制御システムの信号を受信待ち受けしておく必要がないため、第3列車制御システムの信号は受信対象とせず第2列車制御システムの信号のみを受信可能となるように制御しておく。
【0068】
第2列車制御システムである制御区間を走行中に、第3制御システムで切り替え通知があった場合も、同様に、第1列車制御システムである制御区間を走ることとなり、その区間が終点でない場合、第1列車制御システム及び第3制御システムいずれの信号も受信可能となるようにし、その区間が終点である場合、第1列車制御システムの信号のみを受信可能となるようにする。
【0069】
なお、第1列車制御システム及び第3列車制御システム、あるいは第2列車制御システム及び第3列車制御システムの信号を受信可能とするための条件は、第1列車制御システム及び第2列車制御システムいずれの信号も受信可能とするための条件と同様である。
【0070】
また、本実施例の列車制御車上装置は、2つの列車制御システムとして、異なる2つの列車制御システムであるATS−SシステムとD−ATCシステムに対応させて動作可能な装置の例を説明した。しかしながら、列車制御システムは、同じ列車制御システム(例えば、ATS−Sシステム)であっても、信号に用いられる周波数帯が異なる場合があり、それに対応して、制御部はアナログフィルタの周波数帯域やAD変換器のサンプリングレートを制御する。この場合、本実施例の列車制御車上装置において、第1の列車制御システムを、ATS−Sシステムのうち、一方の周波数帯をとる制御システム、第2の制御システムを、ATS−Sシステムのうち、他方の周波数帯をとる制御システムと置き換えることにより、同様に説明することができる。
【0071】
以上述べたように、本発明の上記実施例の列車制御車上装置は、アナログ処理系統を対応する列車制御システムの数や組み合わせに依らず1系統で構成可能なためコスト削減や汎用化を可能とし、かつ、必要に応じてアナログ処理系統を2つの列車制御システムの信号を一括受信できるように、あるいは、ある1つの列車制御システムのみの信号を受信できるように制御可能とする。これによって、必要以上の干渉信号受信を防止でき、また、必要速度以上でのサンプリングを防止できるため、低消費電力化やディジタル回路規模の削減等が可能となる。
【0072】
また、本実施例の列車制御車上装置によれば、列車制御システム間の自動切換えを可能とするための複数列車制御システムからの信号を同時に受信することを可能とする。
【0073】
尚、増幅器104はノイズ環境や受信信号のレベルに応じて構成されるものであり、必ずしも必要ではない。
【0074】
また、アンテナ101,102は、それぞれの列車制御システムでの信号が受信可能なアンテナであるが、アンテナの広帯域化によって両列車制御システムでの信号が受信可能な1つのアンテナになっていても良い。
【0075】
また、図1には図示しないが、それぞれの列車制御システムにおいて列車側から地上側へ何らかの送信が行われる場合には、サンプリングレートやビット分解能が可変なDA変換器を含む送信処理部が備わっており、アンテナ101, 102を介して地上子あるいは軌道回路へ送信が行われるものとする。制御部110における制御ポリシーは、送信処理に対しても同様に適用されるものとする。
【0076】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0077】
101,102・・・アンテナ、
103・・・アナログフィルタ、
104・・・増幅器、
105・・・AD変換器、
106・・・システム判定部、
107・・・第1列車制御システム受信部、
108・・・第2列車制御システム受信部、
109・・・速度制御部、
110・・・制御部、
301・・・列車、
302・・・地上子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1列車制御システムおよび第2列車制御システムに対応する地上側設備から速度制御のための情報を含む信号を受信することにより列車の速度制御を行う列車制御車上装置であって、
前記地上側設備から受信した信号のうち周波数通過帯域の信号を通過させるフィルタと、
前記フィルタが通過させる信号をディジタル化するA/D変換器と、
前記A/D変換器によりディジタル化された信号から速度制御に必要な情報を出力する受信部と、
前記フィルタの制御を行う制御部とを備え、
前記第2列車制御システムは、前記第1列車制御システムと前記第2列車制御システム間のシステム切替え通知としても用いられる列車制御システムであり、
前記制御部は、
前記第1列車制御システムによる制御区間を走行中は、前記フィルタの周波数通過帯域を、前記第1列車制御システムの信号の第1周波数帯域及び前記第2列車制御システムの信号の第2周波数帯域を含む周波数帯域とし、
前記第1列車制御システムによる制御区間を走行中に、前記第1列車制御システムから前記第2列車制御システムへの切替え通知信号を受けた場合、前記フィルタの周波数通過帯域を、前記第2周波数帯域を含む周波数帯域とし、
前記第2列車制御システムによる制御区間を走行中は、前記フィルタの周波数通過帯域を、前記第2周波数帯域を含む周波数帯域とし、
前記第2列車制御システムによって、前記第2列車制御システムから前記第1列車制御システムへの切替え通知信号を受けた場合、前記フィルタの周波数通過帯域を前記1周波数帯域を含む周波数帯域とすることを特徴とする列車制御車上装置。
【請求項2】
前記A/D変換器のサンプリングレートは可変であり、
前記制御部は、
前記第1列車制御システムによる制御区間を走行中は、前記A/D変換器のサンプリングレートを、前記第1列車制御システムの信号を受信するために必要な第1サンプリングレート、及び前記第2列車制御システムの信号を受信するために必要な第2サンプリングレートのうちの大きい方のサンプリングレート以上とし、
前記第1列車制御システムによる制御区間を走行中に前記第1列車制御システムから前記第2列車制御システムへの切替え通知信号を受けた場合、前記A/D変換器のサンプリングレートを、前記第2サンプリングレート以上とし、
前記第2列車制御システムによる制御区間を走行中は、前記A/D変換器のサンプリングレートを、前記第2サンプリングレート以上とし、
前記第2列車制御システムによって、前記第2列車制御システムから前記第1列車制御システムへの切替え通知信号を受けた場合、前記A/D変換器のサンプリングレートを、前記第1サンプリングレート以上とすることを特徴とする請求項1記載の列車制御車上装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1列車制御システムによる制御区間を走行中は、前記A/D変換器のサンプリングレートを、前記第1第1周波数帯域及び前記第2周波数帯域のうちの最大周波数の2倍以上とし、
前記第1列車制御システムによる制御区間を走行中に前記第1列車制御システムから前記第2列車制御システムへの切替え通知信号を受けた場合、前記A/D変換器のサンプリングレートを、前記第2周波数帯域の最大周波数の2倍以上とし、
前記第2列車制御システムによる制御区間を走行中は、前記A/D変換器のサンプリングレートを、前記第2周波数帯域の最大周波数の2倍以上とし、
前記第2列車制御システムによって、前記第2列車制御システムから前記第1列車制御システムへの切替え通知信号を受けた場合、前記A/D変換器のサンプリングレートを、前記第1周波数帯域の最大周波数の2倍以上とすることを特徴とする請求項2記載の列車制御車上装置。
【請求項4】
前記列車制御車上装置は更に利得可変な増幅器を備え、
前記制御部は更に、
前記第1列車制御システムによる制御区間を走行中は、前記第1列車制御システム及び前記第2列車制御システムのいずれのダイナミックレンジを満たすように前記増幅器の利得を制御し、
前記第2列車制御システムによる制御区間を走行中は、前記第2列車制御システムのダイナミックレンジを満たすように前記増幅器の利得を制御することを特徴とする請求項1記載の列車制御車上装置。
【請求項5】
前記A/D変換器は、ビット分解能が可変であり、
前記制御部は更に、
前記第1列車制御システムによる制御区間を走行中は、前記第1列車制御システム及び前記第2列車制御システムのいずれのダイナミックレンジを満たすように前記A/D変換器のビット分解能を制御し、
前記第2列車制御システムによる制御区間を走行中は、前記第2列車制御システムのダイナミックレンジを満たすように前記A/D変換器のビット分解能を制御することを特徴とする請求項1記載の列車制御車上装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−193632(P2011−193632A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57555(P2010−57555)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】