説明

列車無線システム

【課題】 基地局装置が増設された場合に、基地局番号の重複を基地局装置で検出すると
ともに、検出した情報を中央制御装置に通知するようにした列車無線システムを得る。
【解決手段】 中央制御装置1は、データライン3を介してタンデム接続された複数の基
地局装置2に順次、基地局番号管理データ4を送信し、各基地局装置2では、基地局番号
管理データ4に、書き込み回数情報のインクリメント及び自装置の基地局番号の該当位置
のビットを立てると共に、このビットが予め立っていたときは、基地局番号の重複として
、基地局番号管理データ4に障害情報として書き込み回数及び重複した基地局番号を設定
し、これらを設定された基地局番号管理データ4を、中央制御装置1に返信するようにし
た。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、列車に搭載される移動局に対応して配置される複数の基地局装置と、この
複数の基地局装置を制御する中央制御装置とにより構成される列車無線システムに関する
ものである。
【背景技術】
【0002】
従来の列車無線システムにおいては、複数の移動局と、これら複数の移動局に対応して
配置される複数の基地局と、複数の基地局を制御する中央制御装置とにより構成されてい
る。
特許文献1は、この内の中央制御装置を既存のものから新規のものに置き換える場合に、
新規の中央制御装置と基地局に既存及び新規の回線制御方式を予め設定しておくことによ
り、移行時に新/旧接続装置の配設を不要とするものが、記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−123041号公報(第2〜3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の列車無線システムでは、基地局を増設する場合に、基地局番号を誤って設定し、
既設の基地局と基地局番号が重複した場合、その重複を自動的に検出し、中央制御装置側
に通知する仕組みがないため、保守性に問題があった。
特許文献1は、中央制御装置の新旧の置き換えについて記載しているものの、基地局の
増設については何らの記載がなく、上記問題についての記載がなかった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、基地局装置が増
設された場合に、基地局番号の重複を基地局装置で検出するとともに、検出した情報を中
央制御装置に通知するようにした列車無線システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係わる列車無線システムにおいては、中央制御装置と、この中央制御装置に
タンデム接続され、それぞれ列車に搭載された移動局と無線通信を行う複数の基地局装置
とにより構成された列車無線システムにおいて、
中央制御装置は、タンデム接続された複数の基地局装置の最前段の基地局装置に基地局番
号管理データを送信し、この基地局番号管理データは、基地局装置間を順次送信され、最
後段の基地局装置から中央制御装置に返信され、
基地局番号管理データを送信された各基地局装置は、基地局番号管理データに、書き込み
回数情報のインクリメント及び自装置の基地局番号情報の設定を行うと共に、基地局番号
情報の設定時に基地局番号の重複を検出したときは、基地局番号管理データに障害情報と
してインクリメントした書き込み回数及び重複した基地局番号を設定するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、以上説明したように、中央制御装置と、この中央制御装置にタンデム接続
され、それぞれ列車に搭載された移動局と無線通信を行う複数の基地局装置とにより構成
された列車無線システムにおいて、
中央制御装置は、タンデム接続された複数の基地局装置の最前段の基地局装置に基地局番
号管理データを送信し、この基地局番号管理データは、基地局装置間を順次送信され、最
後段の基地局装置から中央制御装置に返信され、
基地局番号管理データを送信された各基地局装置は、基地局番号管理データに、書き込み
回数情報のインクリメント及び自装置の基地局番号情報の設定を行うと共に、基地局番号
情報の設定時に基地局番号の重複を検出したときは、基地局番号管理データに障害情報と
してインクリメントした書き込み回数及び重複した基地局番号を設定するので、基地局装
置を増設する場合に、基地局番号の重複を検出できるため、保守者が容易に誤りを認識す
ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による列車無線システムの基地局番号管理方式を示す
図であり、図1(a)は、基地局装置増設前の図、図1(b)は、基地局装置増設後の図
である。
図1において、この発明の列車無線システムは、中央制御装置1にタンデム接続された
基地局装置2により構成される。基地局装置2a〜2cは、タンデム接続され、それぞれ
基地局番号が割当てられている。基地局装置2nは増設された基地局装置であり、新たに
基地局番号が入力されている。中央制御装置1からは、周期的にデータライン3を介して
基地局番号管理データ4がタンデム接続された基地局装置2に順次送信され、この送信さ
れた基地局番号管理データ4は、最後段の基地局装置2から中央制御装置1に返信され、
検証される。
図2は、この発明の実施の形態1による列車無線システムの基地局番号管理データフォ
ーマット例を示す図である。
図2において、書込み回数情報1バイト、基地局番号情報(n/8)+1バイト、基地
局番号重複障害情報n×2バイトが含まれ、この2バイトは、書込み回数と基地局番号が
各1バイトである。なお、nは基地局装置数である。
【0009】
次に、動作について説明する。
各基地局装置2には、固有の基地局番号が、保守員により、ディップスイッチ設定によ
り入力され、これを基地局装置2が読取ることにより、基地局番号を認識している。
中央制御装置1から周期的にデータライン3を介して、図2に示されるようなフォーマ
ットの基地局番号管理データ4を送信する。基地局装置2aは、基地局番号管理データ4
を受信すると、まず基地局番号管理データ4中の書き込み回数情報をインクリメントする。
次に、基地局装置2a自身に設定された基地局番号に該当する基地局番号管理データ4中
の基地局番号情報(例えば左から1ビット目)にビットを立て(例えば1とする)、次段
の基地局装置2bへ基地局番号管理データ4を送信する。基地局装置2bでも同様の動作
が行われ、基地局装置2b自身に設定された基地局番号に該当する基地局番号管理データ
4中の基地局番号情報(例えば左から2ビット目)にビットを立て、さらに次段の基地局
装置2cへ基地局番号管理データ4を送信し、この動作が、中央制御装置1に接続されて
いる基地局台数分実施され、最後段の基地局から基地局番号管理データ4が中央制御装置
1に返信される。
【0010】
例えば、図1(b)のように基地局装置2nが増設されたとき、その基地局番号が基地
局装置2a〜基地局装置2cの何れかと重複していた場合、基地局装置2nが基地局番号
管理データ4中の基地局番号情報にビットを立てようとした際、既にビットが立てられて
いることになる。このため、基地局装置2nは、基地局番号重複障害と認識し、基地局番
号管理データ4中の基地局番号重複障害情報に、その時の書込み回数と、基地局装置2n
自身に設定されている基地局番号を設定する。このように、順次、基地局装置2により設
定された基地局番号管理データ4が中央制御装置1に通知される。
【0011】
この基地局番号管理データ4が返信された中央制御装置1側では、返信された基地局番
号管理データ4に、基地局番号重複障害情報として、書き込み回数と、基地局番号が書か
れていた場合、障害が発生したことを認識する。基地局番号重複障害情報中の書き込み回
数は、中央制御装置1から(例えば、図1では時計回りで)何番目に接続された基地局装
置かを判断する情報として使用される。基地局番号重複障害情報中の基地局番号は、重複
している基地局番号を特定する情報として使用される。
このように順次、基地局装置により設定された基地局番号管理データ4が中央制御装置
1に通知されることにより、中央制御装置1から何番目に接続された基地局装置で基地局
番号重複を起こしているか、及び重複を起こしている基地局番号が、保守者に判断可能と
なる。
【0012】
実施の形態1によれば、基地局を増設する場合に、基地局番号の重複が検出できるので
、保守者が容易に誤りを認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1による列車無線システムの基地局番号管理方式を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1による列車無線システムの基地局番号管理データフォーマット例を示す図である。
【符号の説明】
【0014】
1 中央制御装置
2 基地局装置
3 データライン
4 基地局番号管理データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央制御装置と、この中央制御装置にタンデム接続され、それぞれ列車に搭載された移
動局と無線通信を行う複数の基地局装置とにより構成された列車無線システムにおいて、
上記中央制御装置は、上記タンデム接続された複数の基地局装置の最前段の基地局装置に
基地局番号管理データを送信し、この基地局番号管理データは、上記基地局装置間を順次
送信され、最後段の基地局装置から上記中央制御装置に返信され、
上記基地局番号管理データを送信された各基地局装置は、上記基地局番号管理データに、
書き込み回数情報のインクリメント及び自装置の基地局番号情報の設定を行うと共に、上
記基地局番号情報の設定時に基地局番号の重複を検出したときは、上記基地局番号管理デ
ータに障害情報として上記インクリメントした書き込み回数及び重複した基地局番号を設
定することを特徴とする列車無線システム。
【請求項2】
上記基地局装置による自装置の基地局番号情報の設定は、上記基地局番号管理データ中
の上記基地局番号に対応するビットを立てることにより行うことを特徴とする請求項1記
載の列車無線システム。
【請求項3】
上記基地局番号管理データを返信された中央制御装置は、上記基地局番号管理データの
障害情報から上記障害を検出した基地局装置を特定することを特徴とする請求項1または
請求項2記載の列車無線システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate