説明

初代肝細胞の機能を維持する環境

細胞培養に有用な表面は、CAR材料が結合している支持体と、そのCAR材料に結合しているエラスチン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、コラーゲンI、コラーゲンIII、コラーゲンIV、およびコラーゲンVIのようなECMタンパク質、または生物学的に活性なその断片もしくは変異体とを含む。また、活性因子、好ましくはポリエチレンイミン(PEI)、ポリ−D−リジン(PDL)、ポリ−L−リジン(PLL)、ポリ−D−オルニチン(PDO)もしくはポリ−L−オルニチン(PLO)のようなポリカチオン性ポリマーまたは生物学的に活性なその断片もしくは変異体が任意選択でその表面上に存在する。この表面は細胞培養に使用され、初代肝細胞の細胞の付着、生存、機能の維持、および/または増殖を促進する。本発明は、細胞の付着、生存、機能の維持、および/または増殖のための方法のように、この表面を利用する方法にも関する。無血清培地と共に細胞培養にその表面を使用することをさらに開示する。本発明の表面を使用するスクリーニング方法も開示する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、in vitroで初代肝細胞を培養するために有用な表面およびそれらの表面を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞培養のために概して血清を補充した培養培地に細胞を分散させ、次にその培養培地を組織培養等級ポリスチレン(PS)のような細胞培養用合成基材でできた容器に分注する。これらの条件で、PS表面へのタンパク質の非特異的吸着が速やかに起こり、ほぼ天然から高度に変性したものまで一連のコンホメーション状態の多くの異なる血清タンパク質からなるタンパク質層が発生する。静置培養において細胞はその後表面に沈降し、それらの表面の細胞インテグリン、プロテオグリカンおよびセレクチンを介して、このあまり組織化されていない界面に「応答指令信号」を送り始める。このランダムに吸着したタンパク質層との相互作用によって、細胞付着(または接着)、拡散、増殖、移動および分化を含めた多様なプロセスに影響する任意の生物学的応答がもたらされる。それに反して、in vivoでは特異的で組織化されたリガンド−受容体相互作用を介して通常の生物学的反応が生じ、その相互作用は、順番に高度に組織化されたシグナル伝達プロセスを誘発する。
【0003】
このように、in vitro培養時に細胞の所望の生物学的活性をより効果的に支えるために生物学的イベントのin vivo特異性を模倣する高度に画定した細胞培養表面の必要がある。
【0004】
細胞培養に従来使用される血清は、血清のロットによって変動する特定できないタンパク質混合物を含み、さらに望ましくない煩雑さを生み出しうる。例えば細胞がヒトにおける細胞療法のようなin vivo使用のために調製されるとき、培養に血清を先行して使用することによって、細胞調製物に(1)生物学的有害物質および(2)レシピエントに望ましくない免疫応答を誘導できる動物成産物を導入することがある。
【0005】
このように、培養時に血清と同様の利益をもたらす無血清の化学的に画定した培養培地を採用する細胞培養方法の必要がある。初代肝細胞に関して無血清細胞培養およびその方法のさらなる必要があり、初代肝細胞の多くはin vitroで培養すると自然の機能のいくつかを失う。例えば初代肝臓細胞は、健康細胞の機能であるタンパク質アルブミンを生成する能力を失っている。
【0006】
【特許文献1】米国特許第6129956号明細書
【特許文献2】米国特許出願第10/259797号明細書
【特許文献3】米国特許出願第10/260737号明細書
【特許文献4】米国特許出願第10/259815号明細書
【特許文献5】米国特許出願第10/641286号明細書
【特許文献6】米国特許出願第10/660781号明細書
【特許文献7】米国特許出願第10/259817号明細書
【特許文献8】米国特許第4789601号明細書
【特許文献9】米国特許第4822741号明細書
【特許文献10】米国特許第4839280号明細書
【特許文献11】米国特許第6037141号明細書
【特許文献12】米国特許第6048723号明細書
【特許文献13】米国特許第6218178号明細書
【特許文献14】米国特許第6057150号明細書
【特許文献15】米国特許第6107081号明細書
【特許文献16】米国特許出願第10/660760号明細書
【特許文献17】米国特許出願第10/660759号明細書
【特許文献18】米国特許出願第10/259816号明細書
【特許文献19】米国特許第6043092号明細書
【非特許文献1】E. D. Hay, ed., Cell Biology of Extracellular Matrix, 2nd ed., Plenum Press, New York, 1991
【非特許文献2】Chen et al. (2000), Advanced Materials 12: 455-457
【非特許文献3】Hubbell, J. A., Biomaterials in Tissue Engineering, Biotechnology, 1995. 13: p. 565-76
【非特許文献4】Cytochrome P450, Structure, Mechanism and Biochemistry, 2nd edition, Edt Paul R. Oritz de Montellano, Plenum Press, New York and London, 1995
【非特許文献5】Block GD, Locker J, Bowen WC, Petersen BE, Katyal S, Strom SC, Riley T, Howard TA, Michalopoulos GK, Population expansion, clonal growth, and specific differentiation patterns in primary cultures of hepatocytes induced by HGF/SF, EGF and TGF alpha in a chemically defined (HGM) medium, J Cell Biol. 1996 Mar; 132(6): 1133-49
【非特許文献6】J Steroid Biochem Mol Biol. 2000 Sep; 74(1-2): 57-62
【非特許文献7】J Cell Biol. 1980 Oct; 87(1): 255-63
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、とりわけ細胞外マトリックス(ECM)タンパク質および活性因子を含む高度に画定した細胞培養表面を提供することによって上記の必要を満たすことを意図する。これらの新しい表面の利点の中には、それらの表面がin vitroで血清濃度の減少または血清の完全な回避を可能にすることがある。
【0008】
哺乳動物細胞、特に初代肝細胞の培養に適した組成物および方法を提供することが本発明の目的である。本発明に使用するのに好ましい細胞は、初代肝臓細胞のような肝細胞である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、本発明は細胞接着抵抗性(CAR)材料、ならびにそのCAR材料に結合した1つもしくは複数のECMタンパク質またはその生物学的に活性な断片もしくは変異体、および任意選択で1つもしくは複数の活性因子またはその生物学的に活性な断片もしくは変異体を含む、細胞培養に使用するために特に適した表面を提供する。「生物学的に活性な」とは、その断片または変異体が細胞の付着の促進および機能の維持に完全長未修飾ECMタンパク質または活性因子と本質的に同じ活性を有することを意味する。細胞の「付着」は、細胞が従来の洗浄または取り扱い手順によって溶離しないような、表面への細胞の結合を意味する。
【0010】
「機能を維持」または「機能状態を維持」するとは、細胞が例えば予想される形態および正常な代謝活性(例えば酵素活性、タンパク質および/またはRNAの生成、ビリルビン分泌、アルブミン分泌、薬物輸送など)を含めた正常な細胞活性および特徴を表すことを意味する。状況に応じて、1つまたは複数のそのような特徴および当業者に公知の他の特徴を細胞が機能的に維持されているかの指標として使用してもよい。好ましい実施形態では、細胞はアルブミンを生成し、および/またはチトクロムP450活性を維持する。
【0011】
「ECMタンパク質」とは、細胞の付着および成長を仲介するために使用できる細胞外マトリックスタンパク質を意味する。(ECMタンパク質のさらなる記述については非特許文献1を参照のこと)。本方法におけるECMタンパク質の例には、エラスチン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、およびコラーゲンI、コラーゲンIII、コラーゲンIV、またはコラーゲンVIのようなコラーゲンがある。特に好ましいのはエラスチン、コラーゲンI、コラーゲンIVおよびコラーゲンVIである。最も特に好ましいのはコラーゲンIおよびコラーゲIVである。
【0012】
好ましい実施形態では、活性因子はECMタンパク質と共に細胞に提示されたときに細胞の付着、生存または機能を促進する天然もしくは非天然ポリカチオン性ポリマー、またはその生物学的に活性な断片もしくは変異体である。ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ−D−リジン(PDL)、ポリ−L−リジン(PLL)、ポリ−D−オルニチン(PDO)またはポリ−L−オルニチン(PLO)のようなポリカチオン性ポリマーを使用できる。特に好ましい実施形態では、活性因子はポリ−L−リジンおよびポリ−D−オルニチンである。
【0013】
本発明者らは、驚くことに本表面が従来の条件を使用した標準的な培養表面(例えば血清を有するか、または有さないかのいずれかである市販の培養培地を使用した従来の組織培養用ポリスチレン上でのインキュベーション)と同様に、そしてしばしばそれよりも良好に初代肝細胞の付着および機能の維持を促進することを見出した。追加的に、ある組合せのECMタンパク質および/または活性因子(ECMタンパク質組成物)は、他の組合せよりもよく細胞の付着および機能を促進した。これらの改善した効果は、化学的に画定した無血清培地を使用して好ましくは成し遂げられる。
【0014】
本発明の利点には、以下がある:
1)画定した哺乳動物細胞培養条件の使用(それは、培養基材上に層を形成している非特異的(ランダムおよび任意に)吸着した血清タンパク質よりもむしろ細胞培養基材に結合しているECMタンパク質により制御される細胞付着プロセスを可能にし、Matrigel(商標)のようにキャラクタリゼーションされていない未精製の他の動物性製品を使用する必要を減らす)、
2)特異的細胞プロセスを特異的ECMに起因するとする能力(それによって、従来の血清補充培養培地に存在する他の生物学的因子と混ざったECMタンパク質の生物学的作用が排除される)、
3)(受動吸着しているよりもむしろ)表面に付着した共有結合しているECMおよび/または活性因子の使用(それによって、基材へのECMおよび/または活性因子が限定され、液相(培養培地)への脱着を防止し、受動的コーティング上の可溶性ECMおよび/または活性因子が懸濁細胞上の付着部位を遮断するのを防止することによって細胞の付着も増加する)、ならびに
4)血清が大きく減少または除去されることから、規制認可をより速やかに獲得する能力(それは、生物学的有害物質、免疫原性産物またはさもなければ有害な産物を排除または大きく減少させる)。
【0015】
本発明の一態様は、(a)細胞接着抵抗性(resistant)(または抵抗性(resistive))(CAR)材料、ならびに(b)そのCAR材料に結合している1つもしくは複数のECMタンパク質または生物学的に活性なその断片もしくは変異体、および任意選択で1つもしくは複数の活性因子または生物学的に活性なその断片もしくは変異体を含む表面である。ECMタンパク質の例は、エラスチン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、またはコラーゲンI、コラーゲンIII、コラーゲンIVもしくはコラーゲンVIのようなコラーゲンである。特に好ましくはコラーゲンI、コラーゲンIVおよびコラーゲンVIである。
【0016】
本明細書において使用する用語「CAR材料」は、表面に存在する場合に支持体への細胞または細胞表面にみられるタンパク質もしくはポリペプチドの非特異的結合(接着)を防止、阻害、または低減する材料を指す。CAR材料および表面は、哺乳動物細胞に抵抗性であり、好ましくは微生物にも抵抗性である。CAR材料および表面は、時に「非汚損基材」、「不活性コーティング」、「低親和性試薬」、または「非接着性コーティング」と称される。CAR材料の例には、ヒアルロン酸(HA)もしくはその誘導体、アルギン酸(AA)もしくはその誘導体、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(ポリ−HEMA)、ポリエチレングリコール(PEG)、グリムもしくはその誘導体、ポリプロピルアクリルアミド、ポリイソプロピルアクリルアミド、またはこれらの化合物の組合せがある。好ましくはCAR材料はHAである。
【0017】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプロテオグリカン、ビグリカン、グリコサミノグリカン、またはMatrigel(商標)をCAR材料に結合させてもよい。
【0018】
ECMタンパク質および活性因子を、CAR表面に共有結合的または非共有結合的のいずれかで結合させてもよいが、好ましくは共有結合させる。
【0019】
一実施形態では、支持体を酸化プラズマで処理すること、およびその処理された支持体にCAR材料を結合させることによって、CAR材料をその支持体に付着させる。別の実施形態では、支持体を酸化プラズマで処理すること、アミノ基を有するポリカチオン性ポリマーにその処理された支持体を曝露し中間層を形成させること、およびその中間層にCAR材料を結合させることによって、CAR材料をその支持体に付着させる。好ましくはポリカチオン性ポリマーはポリエチレンイミン(PEI)またはポリ−L−リジン(PLL)である。(例えばMorraらの特許文献1を参照のこと)。
【0020】
支持体は、天然もしくは合成有機ポリマーまたは無機コンポジットであってもよい。適切な支持体にはポリスチレン(PS)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリラクチド、ポリジメチルシロキサン(PDMS)もしくは他のケイ素ベースのポリマー、セルロース、ガラスまたはセラミックがある。好ましくは支持体はPSである。
【0021】
本発明は、選択的な細胞の付着および機能に有用なECM修飾ポリマー組成物を製造するための方法も含み、その方法は、(a)ポリマー表面を提供する段階と、(b)前記表面を処理してCAR表面を生成させる段階と、(c)前記CAR表面を、細胞の付着および機能を促進する少なくとも1つのECMタンパク質および任意選択で活性因子で処理する段階とを含み、それにより前記タンパク質および活性因子がそれに共有結合するようになることによって、前記ECM修飾ポリマー組成物を生成させる。
【0022】
本発明は、肝細胞の付着または機能の維持を促進するために有用な細胞接着促進(CAP)ECM修飾組成物も含み、その組成物は、1つまたは複数の細胞外マトリックス(ECM)タンパク質が共有結合して修飾されたCAP表面を形成している細胞接着抵抗性(CAR)材料でできている/作られたポリマー表面を含み、そのタンパク質/表面は、(a)前記ペプチドの不在下で前記CAR表面に実質的に付着しない細胞の付着、および(b)任意選択で、ECM修飾表面に付着し、前記ペプチドの不在下で前記CAR表面に及ぼす機能を実質的に維持しない細胞の機能の維持を促進する。
【0023】
本発明は、上記または本明細書のどこか他に記載するような本発明の表面および細胞を含む細胞培養も目的とする。スライド、マルチウェル平板、培養皿、培養フラスコ、培養瓶などのような細胞培養容器で培養物を成長させることができる。フレキシブル基材または三次元(3D)足場に培養物を成長させることもできる。好ましい一実施形態では、細胞は肝細胞、特にヒト初代肝細胞である。特に好ましい実施形態では、チトクロムP450酵素、特にCYP1A2および/またはCYP3A4活性が細胞において維持されている。
【0024】
本発明の別の態様は、培養中の初代肝細胞の付着および機能の維持を促進するための方法である。その方法は、培養培地中の細胞を、その細胞の付着および機能の維持に効果的な条件で本発明の表面と接触させることを含む。表面の例は、(a)CAR材料が結合している支持体、および(b)1つまたは複数のECMタンパク質(またはその生物学的に活性な断片もしくは変異体)を含むものである。本方法におけるECMタンパク質の例には、エラスチン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、ならびにコラーゲンI、コラーゲンIII、コラーゲンIVおよびコラーゲンVIのようなコラーゲンがある。また、CAR表面に任意選択で結合しているのは、(c)1つまたは複数の活性因子、例えばポリエチレンイミン(PEI)、ポリ−D−リジン(PDL)、ポリ−L−リジン(PLL)、ポリ−D−オルニチン(PDO)またはポリ−L−オルニチン(PLO)のようなポリカチオン性ポリマーである。CAR表面に結合している活性因子の添加は、CAR表面に付着したECMタンパク質組成物を生み出す。
【0025】
好ましい実施形態では、本方法は、a)1つまたは複数のECMタンパク質および任意選択で1つまたは複数の活性因子が結合しているCAR材料を含むことによって細胞接着促進表面を形成しているポリマー表面を提供すること、および(b)前記細胞の成長および/または維持を支える培地中で前記表面の存在下で前記肝細胞をインキュベートすることを含み、それにより肝細胞が表面に付着して機能状態に維持されることを含む。特に好ましい一実施形態では、ECMタンパク質は、コラーゲンI、コラーゲンIII、コラーゲンIV、コラーゲンVI、ラミニン、エラスチン、ビトロネクチンおよびフィブロネクチンからなる群から選択される。
【0026】
本発明の別の態様は、培養初代肝細胞の付着または機能を刺激または阻害する被験薬剤を同定するための方法であり、その方法は、(a)培養培地中の細胞を本発明の表面および被験薬剤と接触させること、(b)これらの細胞の付着および機能を、被験試料を有さない対照細胞の付着および機能と比較して測定することを含む。被験薬剤の存在下で増加した付着または機能は、細胞の付着または機能を刺激する因子が存在することを示し、被験薬剤の存在下で減少した付着および機能は、細胞の付着および機能を阻害する因子が存在することを示す。この方法を、薬物の潜在的な標的を同定するため、細胞の性質に及ぼす薬剤の効果を決定するため、または潜在的薬剤が細胞に有毒であるかどうかを決定するためなどに使用できる。
【0027】
一実施形態では、本方法は、(a)1つまたは複数のECMタンパク質および任意選択で1つまたは複数の活性因子が結合しているCAR材料を含むことによって細胞接着促進表面を形成しているポリマー表面を提供する段階、(b)前記肝細胞を、前記細胞の成長/維持を支える培地中で前記表面上で培養する段階であって、被験薬剤はその培地に含まれるか、またはその表面に結合している段階、(c)培養の開始後の時間tで特異的細胞機能を定量する段階、および(d)段階cで得られた値を前記被験薬剤の非存在下で実施された同一の培養における値と比較する段階であって、被験薬剤存在下での値の増加は前記薬剤が細胞機能を促進/増強することを示し、減少は前記薬剤が細胞機能を減速/阻害することを示す段階を含む。培養物中の酵素活性の総レベル、その特徴(例えば形態または染色)を表す細胞数のように当業者に公知の任意の手段によって特異的細胞機能を定量できる。培養を開始後の一定時間での一時点を測定でき、また変化速度を決定するために2つ以上の時点を測定できる。
【0028】
被験薬剤を同定するときに測定する適切な特徴には、形態、酵素活性、タンパク質の産生、RNAの産生、ビリルビン分泌、アルブミン分泌、および薬物輸送がある。
【0029】
当業者に明らかであろうように、本発明により培養された肝細胞を細胞療法に適した装置または足場の中または上に収容させてもよい。
【0030】
上述の実施形態および本明細書全体は、初代肝細胞を用いた使用に特に好ましい。使用できる肝細胞の種類には、任意の種からの初代肝臓細胞がある。ラットおよびヒトの初代肝臓細胞を本明細書に記載する。
【0031】
本発明の実施形態では、培養培地に血清を補充できるが、好ましくは培養培地は無血清である。適切な画定した無血清培地であるBD Hepato−STIM(商標)培地を本明細書に記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明は、新規な細胞培養表面を使用して初代肝細胞における薬物代謝酵素のレベルを維持する。細胞の挙動および機能は、細胞に作用する環境シグナルに関係する。本明細書に記載した新規な表面は、代謝酵素の持続性発現に必要なシグナルを提供する。
【0033】
本発明の表面は、CAR性質を有する固体の、好ましくはポリマーの支持体を含む。その支持体は、任意の多様な形をとることができる。その支持体は、正方形、長方形、円形または多角形のような任意の適切な形状であることができ、二次元または三次元であることができる。その支持体は、天然ポリマー、合成ポリマーおよび無機コンポジットを含めた任意の多様な材料でできていることができる。天然ポリマーには、例えばコラーゲンおよびグリコサミノグリカン(GAG)ベースの材料がある。合成ポリマーには、例えばポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)およびそれらの共重合体(PGLA)のようなポリa−ヒドロキシ酸、ポリ(オルトエステル)、ポリウレタン、ならびにポリヒドロキシエチルメタクリレート(ポリHEMA)またはポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド共重合体のようなヒドロゲルがある。天然由来ポリマー材料および合成ポリマー材料を含有するハイブリッド材料も使用できる。そのような材料の非限定的な例は、非特許文献2に開示されている。無機コンポジットには、例えばリン酸カルシウムセラミック、バイオガラスおよび生体活性ガラス−セラミック、特にカルシウムヒドロキシアパタイトとケイ素安定化リン酸トリカルシウムとを組み合わせたコンポジットがある。好ましい支持体の中には、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリ−またはポリテトラ−フルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニリジンフルオリド、ポリラクチド、セルロース、ガラス、またはセラミックがある。好ましい実施形態では、支持体はPS組織培養皿またはマルチウェル平板のような組織培養容器の部分である。
【0034】
あるいは、例えば当技術分野で公知であり特許文献2に記載されているプラズマ処理を使用して表面を処理できる。その多くが当業者に公知である任意の適切なCAR材料を支持体に結合させることができる。典型的なCAR材料には、ヒアルロン酸(HA)またはその誘導体、アルギン酸(AA)またはその誘導体、ポリ−HEMA、ポリエチレングリコール(PEG)、グリムまたはその誘導体、ポリプロピルアクリルアミド、およびポリイソプロピルアクリルアミドがある。CAR材料の組合せも使用できる。好ましい実施形態では、CAR材料はHAである。
【0035】
CAR材料は、共有結合によって支持体に好ましくは結合している。多様な種類の共有結合を形成でき、そのいくつかは、同時係属の、本願の譲受人に譲渡された米国特許出願明細書であり、そのすべてが本明細書によって参照により組み込まれているAndrea Liebmann−VinsonおよびR.Clarkによる2002年9月30日出願の特許文献2、Mohammad A.HeidaranおよびMary K.Meyerによる「Method and Apparatuses for the Integrated Discovery of Cell Culture Environments」という名称で2003年9月30日出願の特許文献3、John J.Hemperlyによる「Proliferation and Differentiation of Stem Cell from Bone Marrow and Other Cells Using Extracellular Matrix and other Molecules」という名称で2002年9月30日出願の特許文献4、2003年8月15日出願の特許文献5、および2003年9月12日出願の特許文献6に、より詳細に論じられている。これらの出願は、結合したCAR材料およびECMタンパク質を有する支持体を含む表面を製造および使用する他の態様も開示する。
【0036】
一実施形態では、1つまたは複数のECMタンパク質(または生物学的に活性なその断片もしくは変異体)および任意選択で1つまたは複数の活性因子(生物学的に活性なその断片または変異体)をCAR材料に結合させる。以下の組合せ:コラーゲンI+ポリ−L−オルニチン(CAR A)、およびコラーゲンIV+ポリ−L−オルニチン(CAR B)、およびコラーゲンVIおよびエラスチンが好ましい。これらを、例えばヒアルロン酸または他のCAR表面に結合させてもよい。
【0037】
ECMタンパク質は、天然ポリペプチド(タンパク質)、組換えポリペプチド、または合成もしくは半合成ポリペプチドの形態、あるいはそれらの任意の組合せの形であることができる。用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書において相互交換可能に使用される。
【0038】
ECMタンパク質のようなポリペプチドのクローニング、発現および精製を行う方法は、合成または半合成ポリペプチドを発生させる方法のように従来法である。ECMタンパク質を市販の供給源から得ることもできる。
【0039】
他のECMタンパク質および活性因子の生物学的に活性な断片または変異体もCAR材料に結合させることができる。本明細書に使用する用語「生物学的に活性な断片または変異体」は、野生型ポリペプチドの少なくとも1つの生物学的機能または活性を実質的に保持するポリペプチドを含む。例えば、(ECMタンパク質の)生物学的に活性な断片または変異体は、CAR材料と結合できる一方で、本発明の方法に使用したときに細胞の付着および機能を促進する能力を保持しているものである。
【0040】
CAR表面に結合するための、および本明細書における使用のための好ましいECMタンパク質には、エラスチン、コラーゲンI、コラーゲンIVおよびコラーゲンVIがある。好ましい活性因子には、ポリ−D−リジンおよびポリ−L−オルニチンがある。
【0041】
ECMタンパク質および活性因子を共有結合または非共有結合(例えば静電力、イオン結合もしくは水素結合、親水性相互作用もしくは疎水性相互作用、ファンデルワールス力などのような受動吸着)のいずれかでCAR材料に結合させることができる。好ましい実施形態では、その結合は共有結合である。同時係属の特許文献2、特許文献3および特許文献4は、CAR表面への分子のそのような共有結合について記載している。
【0042】
CAR材料が支持体に結合し、かつECMタンパク質がそのCAR材料に結合している表面を製造する方法は、同時係属の特許文献2、特許文献3および特許文献4に詳細に記載されている。簡潔には、支持体にCAR材料を付着させる一方法は、酸化プラズマでその支持体を処理すること、およびその処理後の支持体にCAR材料を結合させることを含む。支持体にCAR材料を付着させる別の方法は、酸化プラズマでその支持体を処理すること、その処理後の支持体に、(ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ−L−リジン(PLL)、ポリ−D−リジン(PDL)、ポリ−L−オルニチン(PLO)、ポリ−D−オルニチン(PDO)、ポリ(ビニルアミン)(PVA)またはポリ(アリルアミン)(PAA)、好ましくはPEIまたはPLLのような)アミノ基を有するポリカチオン性ポリマーを曝露して中間層を形成させること、およびその中間層にCAR材料を結合させることを含む。CAR材料にECMまたはポリカチオン性ポリマーを結合させる方法は、従来法である。これらには、例えば過酸化ナトリウムによる酸化および還元アミノ化などがある。
【0043】
本発明の特定の実施形態では、Morraらの特許文献1に記載しているような方法を使用してHAをPSに結合させてCAR表面を生み出すことができる。ポリスチレン培養皿、96ウェル平板またはスライドに酸化高周波プラズマ処理を受けさせ、その後ポリエチレンイミン(PEI)溶液を曝露して表面に反応性アミン基を導入する。カルボジイミド/スクシンイミドが支える一次アミンとカルボン酸との縮合反応を使用してPEIコーティングと多糖との間に共有結合を形成させる。あるいは、Primaria(商標)プラズマ処理中にポリスチレン表面に導入されたか、または(PEIの代わりに)ポリリジンコーティング上に導入されたアミン基を使用できる。
【0044】
次に、過酸化ナトリウム酸化および還元アミノ化を含めた従来の生物コンジュゲーション法を使用して不活性HAにECMタンパク質を共有結合的に連結する。任意の非共有結合的に付着した細胞外マトリックスタンパク質を塩−酸洗浄によって除去し、その後水で厳密にすすぐ。このプロセスによって、HAによって提供される非汚損性(=非特異的細胞付着を除去した)バックグラウンドに共有結合的に固定化された細胞外マトリックスタンパク質からなる十分に画定した表面が生み出される。
【0045】
あるいは、アルギネート(アルギン酸としても知られる)を非接着性バックグラウンドとして使用でき、ECMタンパク質をHAに関して上述したのと同じ化学反応を使用してこの表面に固定化できる。また、ポリ−HEMAまたは(PEOとしても知られている)PEGのような他の一般に知られている非接着性表面を、文献に記載されている、ECMタンパク質を連結するための多様な化学反応と組み合わせて使用できるであろう(非特許文献3を参照)。
【0046】
多様な物品が本発明の表面を含むことができる。適切な物品は当業者に明らかであろう。そのような物品には、スライド(例えば組織スライド、顕微鏡スライドなど)、平板(例えばマイクロプレートを含めた培養平板またはマルチウェル平板)、フラスコ(例えば静置フラスコまたはスピナーフラスコ)、瓶(例えばローラーボトル)、バイオリアクターなどのような細胞培養容器がある。
【0047】
より旧来の上記の二次元培養表面および培養容器以外に、本発明はECMタンパク質と共に本発明の組成物を(候補ペプチドがCAR表面上にあるときにCAP活性に関してそれらのペプチドを試験することを含めて)使用するための三次元(3D)足場の使用を含む。「三次元足場」は、本明細書においてin vitroまたはin vivoいずれかの最初の細胞付着およびその後の組織形成に使用できる3D有孔テンプレートを指す。本発明による3D足場は、天然ポリマー、合成ポリマー、無機コンポジットおよびこれらの材料の組合せのような母材、CAR層およびそれに結合したECMタンパク質、ならびに任意選択で細胞の付着および機能を促進または増強する活性因子を含む。3D足場は、同時係属の、本願の譲受人に譲渡された2003年8月15日出願の特許文献5および2002年9月30日出願の特許文献7にさらに詳細に論じられている。
【0048】
本発明は、培養へのフレキシブル基材の使用も含む。例えば、Flexcell International CorporationのFlexercell培養システムは、培養細胞に引張応力、圧縮応力または剪断応力を適用できる。(例えば、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12および特許文献13を参照のこと)。特許文献14は、細胞外マトリックスタンパク質でコートし培養細胞で覆うことのできる弾性膜への二軸歪の適用を開示している。特許文献15は、弾性ストリップを備える単方向細胞伸展装置に細胞外マトリックスをコートし、その上に細胞を培養し伸展させる別のシステムを開示している。フレキシブル基材を容易に制御されたやり方で変形でき、その基材は従来の細胞培養基材に匹敵する細胞の接着および成長を支える。ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)のようなシリコーンは、高度に柔軟であるだけではなく細胞培養の顕微鏡観察を可能にする光学的な透明性も供することから、この適用に特に適している。フレキシブル基材は、同時係属で2003年9月12日出願の特許文献16および特許文献17にも記載されている。これらは、PDMS基材上にCAR表面を有する方法および物品を教示している。
【0049】
本発明は、培養培地中の細胞に本発明の表面を接触させることを含む、培養初代肝細胞の付着および機能を促進する方法に関する。
【0050】
任意の適切な手段によって細胞は表面に「接触」していることができ、また表面と接触させることができる。例えば表面を含む培養容器に培養培地中の細胞を流し入れる、ピペットで移す、分注することなどができ、また表面を含む医用装置または足場を、細胞が懸濁している培養培地に沈下させることができる。
【0051】
本明細書に記載する本発明の任意の表面は、本方法に適する。一実施形態ではその表面は、HAおよび任意選択でCAR表面に付着した活性因子に結合しているECMタンパク質を含む。好ましい実施形態では支持体はPSであり、CAR材料はHAであり、ECMタンパク質は1つまたは複数のエラスチン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コラーゲンI、コラーゲンIII、コラーゲンIVおよびコラーゲンVIであり、ECMタンパク質はHAに共有結合している。さらに好ましい実施形態では、活性因子であるポリ−L−オルニチンまたはポリ−D−リジンはCAR表面に結合しており、HAに共有結合しているECMタンパク質組成物を生み出す。本明細書の実施例は、本方法のECMタンパク質および活性因子のいくつかの組合せの使用を記載している。もちろん他の組合せも使用できる。
【0052】
任意の多様な培養培地を本方法における発明の表面と共に使用できる。DMEM、F12、αMEM、Hepato−STIM(商標)、RPMIまたはそれらの組合せのような市販入手可能な培地を、血清の存在下または不在下のいずれかで使用できる。適切な血清には子ウシ血清、ウシ胎仔血清、ウマ血清などがある。好ましくは合成の化学的に画定した無血清培地を使用する。多様な適切な化学的に画定した培地は、熟練作業者には明らかであろう。そのような培地の1つであるBD Hepato−STIM(商標)(BD Biosciences、BD Discovery Lab Ware)培地を実施例に採用する。
【0053】
上記の方法において、細胞の付着および機能の維持に効果的な条件で、細胞を本発明の表面と接触させる。「効果的な」条件は、測定可能な量の細胞付着および機能の維持を招く条件を意味する。熟練作業者は、効果的な条件を従来の方法を使用して容易に決定および/または最適化できる。変更する因子の中には例えば容器、培養培地、温度、O/CO濃度などがある。典型的な効果的な条件のいくつかを実施例に述べる。
【0054】
本発明の別の態様は、培養物中の細胞の付着を変調(例えば刺激、阻害、強化など)する被験薬剤を同定するための方法であり、その方法は、(a)その細胞を本発明の表面および被験薬剤と接触させること、(b)その細胞の付着を被験薬剤の不在下での類似した細胞の付着と比較して測定することを含み、(i)被験薬剤の存在下での増加した付着は被験試料中に細胞の付着を刺激する因子が存在することを示し、(ii)被験薬剤の存在下で減少した付着はその試料中に細胞の付着を阻害する因子が存在することを示す。被験薬剤と平行して成長させた、被験薬剤を添加していない細胞と比較を行うことができ、または参照データベースと比較を行うことができる。好ましくは使用する培地は無血清である。
【0055】
当業者の1人は、本方法で試験できる多様な種類の薬剤を認識しているであろう。例えば関心対象の細胞の活性(例えば細胞内シグナル伝達カスケード、代謝経路など)に影響する推定上薬物(例えばタンパク質、ペプチド、低分子、アンチセンス分子のような核酸、リボザイムまたはRNAiなど)を試験するために本方法を使用できる。薬物スクリーニング、創薬および潜在的薬物標的の同定以外に、潜在的薬剤が細胞に有毒であり、測定可能な有害作用を有し、無秩序な増殖(癌遺伝子形質転換)を誘導するかどうかを決定するために本方法を使用できる。
【0056】
別の実施形態では、試験される薬剤は、関心対象のマーカーを誘導、増強または維持できるか、または望ましい細胞機能の維持に重要な推定上因子である。典型的には肝細胞で研究できるそのようなマーカー/機能には、(1)重要な肝臓細胞の機能であるチトクロムP450ファミリーの薬物/毒素代謝酵素(CYP)の誘導、または(2)肝細胞の初代培養の際に通常は失われる機能であるアルブミンの生成がある。CYPの構造および機能についてのさらなる情報を、非特許文献4に見出すことができる。
【0057】
試験できる薬剤の種類の中には、アンギオポイエチン2、BMP2、BMP4、エリスロポイエチン、aFGF、bFGF、HGF、インスリン、ノギン(noggin)、PDGF、TNF、VEGF、幹細胞因子、GDF6、CSF、FH3/F2、TGFβなどのような増殖因子がある。あるいは、従来のコンビナトリアルケミストリーによって発生した低分子またはペプチドライブラリーを試験できる(例えば同時係属の特許文献3および特許文献18を参照のこと)。他の種類の薬剤も熟練作業者に明らかであろう。
【0058】
肝細胞の付着、生存、および/または増殖を促進するために有用なキットも提供され、そのキットは、本発明の表面と、細胞の培養ならびに細胞の付着、生存、および/または増殖を可能にすることに適した1つまたは複数の構成要素または試薬とを含む。培養物中の細胞の接着、生存および/または増殖(または任意の他の細胞挙動)を変調する因子の同定に有用な別のキット実施形態も本明細書に提供され、そのキットは、本発明の表面ならびに(a)細胞の付着、成長または細胞の生存の促進と、(b)細胞の付着、生存および/もしくは増殖の測定とに適した1つまたは複数の構成要素または試薬を含む。
【0059】
本発明を全般的に記載したが、以下の実施例を参照することによって同発明はより容易に理解されるであろう。実施例は例示の目的で提供され、明記しない限り本発明を限定することを意図しない。
【実施例】
【0060】
材料と方法
下記の本実施例に使用する表面を、必要に応じてコラーゲンIVの代わりにコラーゲンIおよびコラーゲンVIを用いて特許文献3に記載する方法によって製造し、使用する表面を獲得した。
【0061】
ラット初代肝細胞は、Xeno Tech,LLC(レネクサ、カンサス州)から入手され、単離から3時間以内にBD Technologiesに発送された。BD Gentest(ウォーバーン、マサチューセッツ州)がヒト初代肝臓細胞を単離し、その細胞は市販の器官保存培地(ViaSpan(商標))に入った状態で12〜15時間以内に発送された。懸濁状態のヒト細胞またはラット細胞を標準コラゲナーゼ消化法を使用して単離した。
【0062】
完全に補充したBD Hepato−STIM(商標)培地(BD Biosciences Discovery Labware、ベッドフォード、マサチューセッツ州、米国、cat#355056)に入れて細胞を再懸濁し、完全に補充したBD Hepato−STIM(商標)培地に入れて細胞20000個/ウェルの初発密度で蒔き、非汚損表面と共有結合的に連結した多様な組合せの細胞外マトリックスタンパク質を有する平板に配置した。5%COおよび37℃のインキュベーターに平板を配置し、1〜7日間インキュベートした。平板から半分の容積の培地を除き、同容積の新鮮培地を加えることによってBD Hepato−STIM(商標)培地を1日おきに交換した。
【0063】
第6日または7日のいずれかに、下記のように3回繰り返しの平板をアッセイ用に採取した。同平板で3つのアッセイを行った:7−エトキシレゾルフィンを使用したCYP1A活性、アルブミン分泌についてのアルブミン酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)、および細胞数を決定するためのアッセイ(MTT、核計数またはピコグリーンアッセイ)。2つの別々のラット肝臓調製物および1つのヒト肝臓調製物を用いて実験を繰り返した。
【0064】
CYP1A活性アッセイおよび核染色を用いた細胞数えあげ
すべての培地を別々の平板に移し、アルブミン分泌についてのELISAアッセイを行うことができるまで培地試料を−20℃で凍結させた(下記参照)。5μM7−エトキシレゾルフィンおよび80μMジクメロール(dicumerol)を細胞を有するすべてのウェルに加え、1分間隔で30分間励起=540nmおよび発光=590nmでBMG Polarstar分光蛍光計で読み取り、CYP1A活性を検出した。
【0065】
CYP1A活性アッセイの直後にレゾルフィン溶液を除去し、以下の方法の1つまたは複数を使用して細胞数を決定した。
【0066】
1)核染色による細胞数:7−エトキシレゾルフィンを吸引し、BDT基礎培地に溶かした10μM Hoechst33334染料(Molecular probes、cat#3570)および2mMエチジウムホモダイマー−1(Molecular probes、Dead stain cat#L−3324)を有する核染料を各ウェルに加えた。平板を室温で30分間インキュベートし、HT Imager(Discovery−1、Universal Imaging Corporation、Molecular Devicesの子会社、Downington、ペンシルベニア州)で、Hoechst染料については励起405nmおよび発光480nmで、エチジウムホモダイマー染料については励起535nmおよび発光750nmで(倍率×10、ウェル1個あたり4か所)で蛍光画像を記録した。UIC Metamorph(商標)分析ソフトウェアを細胞計数に使用した。生細胞数を、総細胞から死細胞を引き算することによって決定した(Hoechst染色−死染色)。データを30分での総シグナルを細胞数で割った値として示す。CYP1A活性データを図1および図2に示す。
【0067】
2)CellTiter 96(登録商標)非放射性細胞増殖アッセイ(Promega、マディソン、ウィスコンシン州、米国)を使用してMTTアッセイによる細胞数を決定した。
【0068】
3)Molecular Probes Inc.(ユージーン、オレゴン州、米国、cat.#P7589)からのPicogreen(商標)DNA dsDNA定量キットを使用してピコグリーンDNAアッセイによる細胞数を決定した。
【0069】
アルブミンELISAアッセイ:
培地試料中のアルブミン分泌を測定するために、重炭酸塩緩衝液(pH=9.6)に溶かした2μg/mlヒツジIGG抗ラットアルブミン抗体(未コンジュゲート、Cappel cat#55729)をProbind Assay平板(Falcon353915)にコートし、4℃で一晩インキュベートした。抗体平板をPBS Tween20で3回洗浄し、PBS Tween20に溶かした1%ゼラチン(B型、75ブルーム、Sigma cat#G6650)で37℃で30分間ブロッキングした。PBS Tween20およびECM被験平板からの1:400に希釈したアルブミン(培地試料)で3回ブロッキング溶液をすすいだ。平板を37℃で1時間インキュベートし、PBS Tween20で3回洗浄し、PBS Tween20に溶かしたコンジュゲート抗アルブミン抗体をすべてのウェルに加えた。平板を37℃で1時間(ペルオキシダーゼコンジュゲートヒツジIgG抗ラットアルブミン抗体Cappel#55776については36.6mg/mlから1:500に希釈した)インキュベートし、再びPBS Tween20で3回洗浄した。ペルオキシダーゼ(Sigma#A9941)に対する0.25mg/mlのABTS基質(2,2‘−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)ジアンモニウム塩)を、0.01%過酸化水素を有するクエン酸基質緩衝液(pH5.0)に添加してから、発色用の抗体平板に暗条件で室温で40分間加えた。ペルオキシダーゼ反応を0.32%フッ化ナトリウム溶液で停止させ、BMG Optimaプレートリーダーを使用して吸光度を405nmで読み取った。
【0070】
下記の実施例に論じる対照条件を以下のように定義する:
1)HS+MG=Matrigel(商標)上のBD Hepato−STIM(商標)培地、
2)HS+TCPS=組織培養用ポリスチレン上のBD Hepto−STIM(商標)培地、
3)ブロックTCPS:組織培養用ポリスチレン上のブロック培地(実施例1および3のみ)
ブロック培地は、非特許文献5による雑誌論文および特許文献19に記載されている培地配合である。
【0071】
(実施例1)
3つのECM組成物のCYP1A活性を、上記のように培養7日後のヒト初代肝臓細胞について7−エトキシレゾルフィンを使用して評価した。図1は、評価の結果を示す。図1に示すように、ヒアルロン酸上の細胞外マトリックスタンパク質の組合せは、市販の対照に比べてヒト初代肝臓細胞のCYP活性の維持のための等しいかまたはよりよい環境を提供する。3つのECMタンパク質組成物のCYP活性は標準組織培養用ポリスチレン上に配置した細胞に匹敵するか、それよりも良好であり、コラーゲンI+ポリ−L−オルニチン(CAR A)は最高レベルの活性を示す。機能的活性は概して培養3日以内に失われることから、第7日のCYP活性は細胞機能の維持を示す。
【0072】
(実施例2)
3つのECM組成物のCYP1A活性を、上記の方法を使用して第6日のラット初代肝臓細胞について7−エトキシレゾルフィンを使用して評価した。図2に、評価の結果を示す。総CYP蛍光は図1における大部分のヒットよりも低かった。この場合も、3つのECM組成物に関するCYP1A活性は、HA単独または7−エトキシレゾルフィン単独のいずれかであるベースライン蛍光よりも一貫して高い。図の対照ウェルは、HS+Matrigel(商標)およびHS+TCPSである。このように、ヒアルロン酸上の細胞外マトリックスタンパク質の組合せは、市販の対照に比べてラット初代肝細胞のCYP1A活性の維持について等しいか、またはよりよい環境を提供する。
【0073】
(実施例3)
ヒト初代肝臓細胞のアルブミン分泌レベルを上記のアッセイを使用して第7日に得た。図3に、3つのECMタンパク質組成物に関するこのデータを示す。データは、ECMタンパク質組成物を有するウェルでアルブミンの分泌が維持され、アルブミンレベルが組織培養ポリスチレンの対照ウェルに匹敵することを示す。機能的活性は概して培養3日以内に失われることから、第7日のアルブミン活性は細胞機能の維持を示している。このデータは、CYP活性の維持も示す。このように、ヒアルロン酸上の細胞外マトリックスタンパク質の組合せは、市販の対照に比べてヒト初代肝細胞のアルブミン分泌の維持について等しいか、またはよりよい環境を提供する。
【0074】
(実施例4)
3つのECMタンパク質組成物に関するラット初代肝臓細胞のアルブミン分泌レベルを、上記のように第6日に得た。図4に示すように、ヒアルロン酸上の細胞外マトリックスタンパク質の組合せは、市販の対照に比べてラット初代肝細胞のアルブミン分泌の維持について等しいか、またはよりよい環境を提供する。再び、ECM組成物の活性のレベルは対照に匹敵するか、またはそれよりも優れ、アルブミン分泌の維持、よって細胞機能の維持を示している。
【0075】
(実施例5)
コラーゲンI単独、ポリ−L−オルニチン単独、およびポリ−L−オルニチンを伴うコラーゲンIの活性を比較する形態研究を初代肝細胞で行った。図5A〜5Cは、第4日の細胞の形態を示す。図5Aは、HA表面に共有結合的に連結したコラーゲンI単独を、図5Bは、HA表面に共有結合的に連結したポリ−L−オルニチン単独を、図5Cは、HA表面に共有結合的に連結したコラーゲンI+ポリ−L−オルニチン(CAR A)を示す。コラーゲンI単独(図5A)上で培養した細胞は拡散し、ポリ−L−オルニチン単独(図5B)上で培養した細胞は拡散も生存もしない。しかし、コラーゲンIとポリ−L−オルニチンとの組合せ(図5C)は、生化学の結果(CYPおよびアルブミン、図1〜4)および形態が示すように、BD Matrigel(商標)上で凝集する肝臓細胞と同じくらい多数の、肝機能を維持する多細胞凝集体の形成を引き起こす。このデータは、ECM組成物が個別のECMおよび活性因子構成要素単独よりも優れていることを示す。機能の維持に重要なのはECMの組合せである。
【0076】
(実施例6)
画定した細胞培養環境中でのチトクロムP450酵素の保存
チトクロムCYP3A4およびCYPIA2の発現および誘導についてCAR AおよびCAR Bを試験した。ヒト肝臓細胞を上記のように成長させた。細胞の形態および付着、CYP mRNAの発現および誘導、ならびにテストステロン6β−ヒドロキシラーゼ活性を測定した。
【0077】
ヒト肝臓細胞をBD Hepato−STIM(商標)に入れてCAR A上で20、44および72時間、コラーゲンI上で20時間成長させた。図6に示すようにCAR A表面はヒト肝臓細胞の付着および三次元構造の形成を可能にする。この種の三次元構造は、分化した肝臓の機能を維持するのに適していると予想される。
【0078】
(実施例7)
ヒト肝臓細胞をHepato−STIM(商標)培地に入れてCAR A、CAR BおよびコラーゲンI上で一晩成長させ、その後GAPDH、CYP3A4およびCYP1A2のmRNAレベルの測定を行った。Genospectra,Inc.、フリーモント、カリフォルニア州からのQuantiGene(登録商標)bDNAアッセイを使用してRNAの測定を行った。bDNAアッセイ用のヒトCYP3A4および1A2特異的プローブセットをXeno Tech,Inc.、レネクサ、カンサス州から得た。図7Aおよび7Bに示すように、これらのRNA種の初発レベルは、蒔いた初発細胞数を反映して3種の表面の間で類似している。パネルAおよびBは、種々の表面上のCYP RNA種の比較を可能にする2つの異なる目盛りを示す。さらに長時間培養する間に細胞はCAR表面にあまり接着せず、細胞−細胞相互作用および形態変化を可能にし、ハウスキーピングGAPDH転写体に対して標準化したCYP RNAレベルのよりよい維持を招く。
【0079】
(実施例8)
2つの調製物からのヒト肝臓細胞をHepato−STIM(商標)培地に入れてCAR A、CAR BおよびコラーゲンI上で成長させ、CYP1A2 mRNAの基礎レベルを経時的に測定した。CYP1A2 mRNAの基礎レベルをハウスキーピングGAPDH転写体に対して標準化した後に記録する。図8Aおよび8Bに示すように、CYP1A2 mRNAの基礎レベルは上昇し、より長時間維持される。これは薬物代謝を決定するために細胞をより長時間使用できることを示している。
【0080】
(実施例9)
ヒト肝臓細胞をBD Hepato−STIM(商標)に入れてCAR A、CAR BおよびコラーゲンI上で成長させ、CYP3A4 mRNAの基礎レベルを経時的に測定した。図9Aおよび9Bに示した結果は、CYP3A4 mRNAの基礎レベルも上昇し、コラーゲンIよりもCAR表面上で長時間維持されることを実証している。ヒトの薬物代謝の最も重要なアイソフォームであるCYP3A4は標準培養条件では速やかに失われるが、CAR AおよびCAR B表面では維持される。
【0081】
(実施例10)
ヒト肝臓細胞をHepato−STIM(商標)培地に入れてCAR A、CAR BおよびコラーゲンI表面上で成長させた。培養5日後に細胞をCYP3A4の公知の誘導剤である薬物リファンピシン(20μM)で24時間処理するか、または未処理対照のいずれかとした。対照およびリファンピシン誘導ヒト肝臓細胞におけるGAPDHおよびCYP3A4のmRNAの相対レベルを培養第6日に測定した。図10A〜10Cに示した結果は、CAR表面がCYP3A4 mRNAの誘導を維持することを実証している。さらに、前の実施例に記載したように細胞はCAR表面にあまり接着せず、細胞−細胞相互作用および形態変化を可能にして、ハウスキーピングGAPDH転写体に対して標準化したCYP RNAレベルのよりよい維持を招く。このように、表面上の細胞数を反映するように標準化した後で、CYP3A4 mRNAの基礎レベルおよび誘導レベルは、標準的なコラーゲン1表面よりもCAR表面の場合の方が高い。
【0082】
(実施例11)
ヒト肝臓細胞の2つの調製物をHepato−STIM(商標)培地に入れて、CAR A、CAR BおよびコラーゲンI表面上で成長させた。培養時間に細胞を20uMリファンピシンで24時間誘導し、次いでCYP3A4およびGAPDHのmRNAレベルを測定した。アッセイする細胞数を反映するようにGAPDH転写体に対して標準化した後でCYP3A4 mRNAレベルを記録する。図11Aおよび11Bに示す結果は、CAR AおよびCAR Bが誘導されたCYP3A4レベルの維持にコラーゲンよりも優れていることを実証している。
【0083】
(実施例12)
ヒト肝臓細胞をBD Hepato−STlM(商標)培地に入れてCAR A、CAR BおよびコラーゲンI上で4日間成長させた。追加の72時間10μMリファンピシンで培養物を誘導し、対照培養物にはリファンピシンを含有させなかった。テストステロン(200μM)を添加し、インキュベーション30分後にテストステロンから6β−ヒドロキシ−テストステロンへの変換を高速液体クロマトグラフィーを使用して測定した(非特許文献6)。図12は、CAR表面上でのテストステロン6β−ヒドロキシラーゼの酵素活性の誘導および特にCAR−B表面上での誘導活性のレベルの改善を示す(、P<0.05)。
【0084】
(実施例13)
表Iに示すように多様な濃度のコラーゲンIおよびポリ−オルニチンを使用して誘導体化したCAR表面を調製した。ラット肝臓細胞をウェル1個あたり細胞50000個となるようにウェルに蒔き、6日間成長させた。表面上の種々の形態を観察した(図13)。上記のように7−エトキシレゾルフィンを使用して各ウェル中のCYP1A測定した。表1の第4列に示す相対生物学的活性は、30分での蛍光シグナルをゼロ時間での蛍光シグナルで割った値を表す。これらの結果は、CAR表面上のECM(コラーゲンI)および活性因子(ポリ−オルニチン)の濃度を調整して細胞の形態および相対的な細胞機能を改善し釣り合わせることができることを示している。
【0085】
【表1】

【0086】
結果は、2つの酵素であるチトクロムP450 1A2(CYP1A2)およびチトクロムP450 3A4(CYP3A4)の維持を実証している。その維持は、CYP1A2についてはmRNAレベルで、CYP3A4についてはmRNAおよび酵素活性のレベルで観察される。さらに、その表面は、細胞が化学薬剤の曝露に応答してCYP1A2およびCYP3A4両方のレベルを増加させる、誘導として知られるプロセスの能力を維持する。
【0087】
本明細書に記載された方法および表面の使用によって、組織培養用に処理されたポリスチレン上のI型コラーゲンのような現在使用されている表面上で可能であるよりも長時間組織培養でCYP1A2およびCYP3A4を維持することが可能になる(非特許文献7)。誘導されたCYP3A4酵素活性がコラーゲンI上よりもCAR−B表面上で大きかったことは、予想外であった。CYP1AおよびCYP3A4両方のRNAレベルが6日間CAR表面上で維持されたことも予想外であった。
【0088】
本発明の表面は、肝細胞を培養するときに普通みられる細胞の形状および細胞−細胞相互作用の変化を防止する。おそらく標準的な培養でみられる細胞の形状における変化(いわゆる玉石状形態)は酵素活性の維持に有害で、BD表面上にみられる細胞クラスターの形態は酵素活性の維持を助けている。
【0089】
新規な細胞培養表面を市販入手可能な多くの標準二次元細胞培養形式で発生させることができる。これらには6ウェルから96ウェル平板形式およびフラスコ形式がある。本明細書で使用した表面は、組織足場およびバイオリアクターを含めた三次元培養形式にも使用できる。さらに新規な細胞培養表面を含む構成要素の濃度を変動させて所望の酵素活性および細胞対表面の細胞接着を果たすことができる。
【0090】
本明細書において引用したすべての参照および特許は、本明細書により参照により組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】1)ヒアルロン酸上のコラーゲンVIおよびエラスチン(Col VI+エラスチン)、2)ヒアルロン酸上のコラーゲンIVおよびポリ−L−オルニチン(Col IV+Orn=CAR B)、3)ヒアルロン酸上のコラーゲンIおよびポリ−L−オルニチン(Col I+Orn=CAR A)、4)組織培養用ポリスチレン上のブロック培地(Block TCPS)、5)Matrigel(商標)上のBD Hepato−STIM(商標)培地(HS+MG)、6)組織培養用ポリスチレン上のBD Hepato−STIM(商標)培地(HS TCPS)の上でのヒト初代肝臓細胞の付着および細胞機能(CYP活性)の維持を示す図である。比は、総CYP1A活性を細胞数で割った値を表す。
【図2】ラット初代肝臓細胞の付着および細胞機能(CYP活性)の維持を示す図である。比は、総CYP1A活性を細胞数で割った値を表す。
【図3】ヒト初代肝臓細胞の付着およびアルブミン分泌の維持を示す図である。
【図4】ラット初代肝臓細胞の付着およびアルブミン分泌の維持を示す図である。
【図5A】CAR表面上のコラーゲンI上で培養した初代肝臓細胞の形態を示す図である。
【図5B】CAR表面上のオルニチン上で培養した初代肝臓細胞の形態を示す図である。
【図5C】CAR表面上のコラーゲンI+オルニチン上で培養した初代肝臓細胞の形態を示す図である。
【図6】AからDは、CAR A上で平板培養した20、44および72時間後の、ならびにコラーゲンI表面上で平板培養した20時間後のヒト肝臓細胞の形態を示す図である。
【図7】AおよびBは、第1日でのCAR A表面およびCAR B表面上でのチトクロムP450 mRNAの発現を標準的なコラーゲン1表面と比較して示す図である。Aは、Bの発展版である。
【図8】AおよびBは、CAR A、CAR BおよびコラーゲンI表面上の2つのヒト肝細胞調製物のCYP1A2 mRNAの基礎レベルを経時的に示す図である。測定された値は、ハウスキーピング遺伝子GAPDHと比較したものである。
【図9】AおよびBは、CAR A、CAR BおよびコラーゲンI表面上で培養したヒト肝細胞のCYP3A4 mRNAの基礎レベルを経時的に示す図である。測定された値は、ハウスキーピング遺伝子GAPDHと比較したものである。
【図10】AからCは、CAR表面が誘導を維持することを示す図である。(Genospectaアッセイを使用して第6日にCYP3A4 mRNAを測定)
【図11】AおよびBは、CAR A、CAR BおよびコラーゲンI表面上で培養した細胞から誘導されたCYP3A4 mRNAのレベルを経時的に示す図である。
【図12】CAR A、CAR BおよびコラーゲンI表面上で成長した細胞における10μMリファンピシンによるテストステロン6β−ヒドロキシラーゼ活性の誘導を示す図である。
【図13】表1に記載する種々の表面上での細胞形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
初代肝細胞を付着および/または維持するための方法であって、
(a)1つまたは複数のECMタンパク質および任意選択で1つまたは複数の活性因子が結合し、これによって細胞接着促進表面を形成している、CAR材料を含むポリマー表面を提供すること、
(b)前記細胞の成長および/または維持を支える培地中で前記表面の存在下で前記肝細胞をインキュベートすること
を含み、それにより前記肝細胞が前記表面に付着して機能状態に維持されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ECMタンパク質がコラーゲンI、コラーゲンIII、コラーゲンIV、コラーゲンVI、ラミニン、エラスチン、ビトロネクチンおよびフィブロネクチンからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ECMがエラスチン、コラーゲンI、コラーゲンIV、およびコラーゲンVIからなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
CAR材料に結合している活性因子をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記活性因子がポリカチオン性ポリマーであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリカチオン性ポリマーがポリエチレンイミン(PEI)、ポリ−D−リジン(PDL)、ポリ−L−リジン(PLL)、ポリ−D−オルニチン(PDO)およびポリ−L−オルニチン(PLO)からなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ECMタンパク質および活性因子が非共有結合していることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記ECMタンパク質および活性因子が共有結合していることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記ECMタンパク質がエラスチンおよびコラーゲンVIであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記ECMタンパク質がコラーゲンIであり、前記活性因子がポリ−L−オルニチンであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記ECMタンパク質がコラーゲンIVであり、前記活性因子がポリ−L−オルニチンであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項12】
前記CAR材料がヒアルロン酸(HA)、アルギン酸(AA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、およびポリヒドロキシエチルメタクリレート(ポリ−HEMA)からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記CAR材料がHAであることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
修飾されたECMタンパク質組成物が三次元(3D)足場の形であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記修飾されたポリマー表面がフレキシブル材料の形であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記フレキシブル材料がポリジメチルシロキサン(PDMS)または他のシリコーンベースのポリマーであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法によって成長させることを特徴とする細胞培養物。
【請求項18】
ヒト初代肝細胞を含むことを特徴とする請求項17に記載の細胞培養物。
【請求項19】
前記ECMタンパク質がコラーゲンI、コラーゲンIII、コラーゲンIV、コラーゲンVI、ラミニン、エラスチン、ビトロネクチンおよびフィブロネクチンからなる群から選択されることを特徴とする請求項17に記載の細胞培養物。
【請求項20】
前記ECMがエラスチン、コラーゲンI、コラーゲンIVおよびコラーゲンVIからなる群から選択されることを特徴とする請求項17に記載の細胞培養物。
【請求項21】
前記CAR表面に結合している活性因子をさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の培養物。
【請求項22】
前記活性因子がポリカチオン性ポリマーであることを特徴とする請求項21に記載の培養物。
【請求項23】
前記ポリカチオン性ポリマーがポリエチレンイミン(PEI)、ポリ−D−リジン(PDL)、ポリ−L−リジン(PLL)、ポリ−D−オルニチン(PDO)およびポリ−L−オルニチン(PLO)からなる群から選択されることを特徴とする請求項22に記載の培養物。
【請求項24】
前記ECMタンパク質および活性因子が前記CAR表面に非共有結合していることを特徴とする請求項21に記載の培養物。
【請求項25】
前記ECMタンパク質および活性因子が前記CAR表面に共有結合していることを特徴とする請求項21に記載の培養物。
【請求項26】
前記ECMタンパク質がエラスチンおよびコラーゲンVIであることを特徴とする請求項21に記載の培養物。
【請求項27】
前記ECMタンパク質がコラーゲンIであり、前記活性因子がポリ−L−オルニチンであることを特徴とする請求項21に記載の培養物。
【請求項28】
前記ECMタンパク質がコラーゲンIVであり、前記活性因子がポリ−L−オルニチンであることを特徴とする請求項21に記載の培養物。
【請求項29】
被験薬剤を、肝細胞の細胞機能に及ぼす被験薬剤の影響についてスクリーニングする方法であって、
(a)1つまたは複数のECMタンパク質および任意選択で1つまたは複数の活性因子が結合し、これによって細胞接着促進表面を形成している、CAR材料を含むポリマー表面を提供する段階と、
(b)前記細胞の成長/維持を支える培地中で前記表面上で前記肝細胞を培養する段階であって、被験薬剤が前記培地に含まれるか、または前記表面に結合している段階と、
(c)前記培養の開始後の時間tで特異的細胞機能を定量して値を得る段階と、
(d)段階cで得られた値を前記被験薬剤の不在下の同一の培養における値と比較する段階と
を含み、前記被験薬剤の存在下での値の増加は前記薬剤が細胞機能を促進/増強することを示し、減少は前記薬剤が細胞機能を減速/阻害することを示すことを特徴とする方法。
【請求項30】
前記細胞機能が酵素活性、タンパク質の増加または減少した産生、RNAの増加または減少した産生、増加または減少したビリルビン分泌、増加または減少したアルブミン分泌、および増加または減少した薬物輸送からなる群から選択されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記細胞機能が増加または減少したCYP1A2および/またはCYP3A4活性であることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記ポリマー表面がHA、AA、PEGおよびポリ−HEMAからなる群から選択されるCAR材料を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記CAR材料がHAであることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ポリマー表面が3Dマトリックス足場であることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記ポリマー表面がフレキシブル材料の形であることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記肝細胞が細胞療法に適した装置または足場の中または上に収容されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項37】
選択的な細胞の付着および機能の維持に有用なECM組成物を生成させるための方法であって、細胞の付着および機能の維持を促進する1つまたは複数のECMタンパク質および活性因子をCAR表面に適用し、その結果、前記タンパク質および活性因子がそれに共有結合するようになり、これによって、前記ECM修飾ポリマー組成物を生成させる段階を含むことを特徴とする方法。
【請求項38】
選択的な細胞の付着および機能に有用なECM修飾ポリマー組成物を生成させるための方法であって、
(a)ポリマー表面を提供する段階と、
(b)前記表面を処理してCAR表面を生成させる段階と、
(c)前記CAR表面を、細胞の付着および機能を促進する少なくとも1つのECMタンパク質および任意選択で活性因子で処理し、その結果、前記タンパク質および活性因子がそれに共有結合するようになる段階と
を含み、それにより前記ECM修飾ポリマー組成物を生成させることを特徴とする方法。
【請求項39】
肝細胞の付着または機能の維持を促進するために有用な細胞接着促進(CAP)ECM修飾組成物であって、1つまたは複数の細胞外マトリックス(ECM)タンパク質が共有結合して修飾CAP表面を形成している細胞接着抵抗性(CAR)材料でできた/作られたポリマー表面を含み、前記タンパク質/表面が、
(a)細胞の付着であって、細胞が前記ペプチドの不在下で前記CAR表面に実質的に付着しない、細胞の付着、および
(b)任意選択で、ECM修飾表面に付着している細胞の機能の維持であって、細胞が前記ペプチドの不在下で前記CAR表面上で実質的に機能を維持しない、細胞の機能の維持
を促進することを特徴とする組成物。
【請求項40】
前記ECMタンパク質がコラーゲンI、コラーゲンIII、コラーゲンIV、コラーゲンVI、ラミニン、エラスチン、ビトロネクチンおよびフィブロネクチンからなる群から選択されることを特徴とする請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記ECMがエラスチン、コラーゲンI、コラーゲンIV、コラーゲンVIからなる群から選択されることを特徴とする請求項39に記載の組成物。
【請求項42】
活性因子が前記CAR表面に付着/結合していることを特徴とする請求項39に記載の組成物。
【請求項43】
前記活性因子がポリカチオン性ポリマーであることを特徴とする請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
前記ポリカチオン性ポリマーがポリエチレンイミン(PEI)、ポリ−D−リジン(PDL)、ポリ−L−リジン(PLL)、ポリ−D−オルニチン(PDO)およびポリ−L−オルニチン(PLO)からなる群から選択されることを特徴とする請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記ECMタンパク質および活性因子が前記CAR表面に非共有結合していることを特徴とする請求項39に記載の組成物。
【請求項46】
前記ECMタンパク質および活性因子が前記CAR表面に共有結合していることを特徴とする請求項39に記載の組成物。
【請求項47】
前記ECMタンパク質がエラスチンおよびコラーゲンVIであることを特徴とする請求項39に記載の組成物。
【請求項48】
前記ECMタンパク質がコラーゲンIであり、前記活性因子がポリ−L−オルニチンであることを特徴とする請求項44に記載の組成物。
【請求項49】
前記ECMタンパク質がコラーゲンIVであり、前記活性因子がポリ−L−オルニチンであることを特徴とする請求項44に記載の組成物。
【請求項50】
前記CAR材料がヒアルロン酸(HA)、アルギン酸(AA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、およびポリヒドロキシエチルメタクリレート(ポリ−HEMA)からなる群から選択されることを特徴とする請求項39に記載の組成物。
【請求項51】
前記CAR材料がHAであることを特徴とする請求項39に記載の組成物。
【請求項52】
前記修飾ECM組成物が三次元(3D)足場の形であることを特徴とする請求項39に記載の組成物。
【請求項53】
前記修飾ポリマー表面がフレキシブル材料の形であることを特徴とする請求項39に記載の組成物。
【請求項54】
前記フレキシブル材料がポリジメチルシロキサン(PDMS)または別のシリコーンベースのポリマーであることを特徴とする請求項39に記載の組成物。
【請求項55】
ECM修飾CARポリマー表面に細胞を付着させるための方法であって、
(a)請求項39に記載の組成物を提供すること、
(b)接着細胞を前記組成物と接触させること、
(c)前記細胞を前記ECM修飾表面に付着させること
を含むことを特徴とする方法。
【請求項56】
初代肝細胞を付着および/または維持するための方法であって、
(a)コラーゲンIおよびポリ−L−オルニチンが結合し、これによって細胞接着促進表面を形成している、CAR材料を含むポリマー表面を提供すること、
(b)前記細胞の成長および/または維持を支える培地中で前記表面の存在下で前記肝細胞をインキュベートすること
を含み、それにより前記肝細胞が機能状態に維持されることを特徴とする方法。
【請求項57】
初代肝細胞を付着および/または維持するための方法であって、
(a)コラーゲンIVおよびポリ−L−オルニチンが結合し、これによって細胞接着促進表面を形成している、CAR材料を含むポリマー表面を提供すること、
(b)前記細胞の成長および/または維持を支える培地中で前記表面の存在下で前記肝細胞をインキュベートすること
を含み、それにより前記肝細胞が機能状態に維持されることを特徴とする方法。
【請求項58】
初代肝細胞を付着および/または維持するための方法であって、
(a)コラーゲンVIおよびエラスチンが結合し、これによって細胞接着促進表面を形成している、CAR材料を含むポリマー表面を提供すること、
(b)前記細胞の成長および/または維持を支える培地中で前記表面の存在下で前記肝細胞をインキュベートすること
を含み、それにより前記肝細胞が機能状態に維持されることを特徴とする方法。
【請求項59】
ラット初代肝細胞またはヒト初代肝細胞の培養物であることを特徴とする請求項15に記載の細胞培養物。
【請求項60】
前記細胞がラット初代肝細胞またはヒト初代肝細胞であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項61】
前記肝細胞においてチトクロムP450酵素が維持されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項62】
CYP1A2および/またはCYP3A4活性の少なくとも一方が維持されていることを特徴とする請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記細胞においてCYP1A2および/またはCYP3A4活性の少なくとも一方が維持されていることを特徴とする請求項18に記載の培養物。
【請求項64】
前記細胞においてチトクロムP450酵素が維持されていることを特徴とする請求項18に記載の培養物。
【請求項65】
適切な培養培地を配合するための組成物および/または使用説明書を任意選択で含む、請求項39から54の一項に記載の組成物を含むことを特徴とするキット。
【請求項66】
培養物中の細胞の付着を変調する被験薬剤を同定するための方法であって、
(a)培養培地中で細胞を、1つまたは複数のECMタンパク質および任意選択で1つまたは複数の活性因子が結合し、これによって細胞接着促進表面を形成している、CAR材料を含むポリマー表面および前記被験薬剤と接触させること、
(b)前記細胞の付着を、前記被験薬剤の不在下での類似した培養物中の細胞の付着と比較して測定すること
を含み、
(i)前記被験薬剤の存在下での増加した付着は、前記被験試料中に前記細胞の付着を刺激する因子が存在することを示し、かつ
(ii)前記被験薬剤の存在下での減少した付着は、前記試料中に前記細胞の付着を阻害する因子が存在することを示すことを特徴とする方法。
【請求項67】
前記細胞が初代肝細胞であることを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記培地が無血清であることを特徴とする請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記表面がCAR AまたはCAR Bを含むことを特徴とする請求項68に記載の方法。
【請求項70】
被験薬剤を、肝細胞の細胞機能に及ぼす被験薬剤の影響について前記被験薬剤をスクリーニングする方法であって、
(a)1つまたは複数のECMタンパク質および任意選択で1つまたは複数の活性因子が結合し、これによって細胞接着促進表面を形成している、CAR材料を含むポリマー表面を提供する段階と、
(b)前記細胞の成長/維持を支える培地中で前記表面上で肝細胞を培養し、さらにそれに試験薬剤を提供し、前記試験薬剤が前記培地中に存在するか、または前記ポリマー表面に結合している段階と、
(c)前記被験薬剤の不在下で前記細胞の成長/維持を支える培地中で前記表面上で肝細胞を培養する段階と、
(d)段階(b)における培養の開始後の時点で特異的細胞機能の値を測定する段階と、
(e)段階(d)で得られた特異的細胞機能の値を、段階(c)の培養物から定量された同一の特異的細胞機能の値と比較する段階と
を含み、段階(e)の細胞特異的機能の値の相対的な増加は、前記薬剤が細胞機能を促進/増強することを示し、段階(e)の細胞特異的機能の値の相対的な減少は、前記薬剤が細胞機能を減速/阻害することを示すことを特徴とする方法。
【請求項71】
前記細胞機能が酵素活性、タンパク質の増加または減少した産生、RNAの増加または減少した産生、増加または減少したビリルビン分泌、増加または減少したアルブミン分泌、および増加または減少した薬物輸送からなる群から選択されることを特徴とする請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記細胞機能が増加または減少したCYP1A2および/またはCYP3A4活性であることを特徴とする請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記ポリマー表面がHA、AA、PEGおよびポリ−HEMAからなる群から選択されるCAR材料を含むことを特徴とする請求項70に記載の方法。
【請求項74】
前記CAR材料がHAであることを特徴とする請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記ポリマー表面が3Dマトリックス足場であることを特徴とする請求項70に記載の方法。
【請求項76】
前記ポリマー表面がフレキシブル材料の形であることを特徴とする請求項70に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2007−513603(P2007−513603A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526939(P2006−526939)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/029466
【国際公開番号】WO2005/028639
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】