制御システム
遠心圧縮機における単一のサージサイクルの発生を、種々の方法および装置を使用して同定することができる制御システムが提供される。ひとたび、単一のサージサイクルの発生が同定されると、制御システムは、サージサイクルに応答して、可変形状拡散器の位置を調節することなどによる修正措置を取って、遠心圧縮機を安定な動作に回復させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、参照により本明細書に組み込まれた、2009年6月5日に出願した「サージ検出のための方法および装置(METHOD AND APPARATUS FOR SURGE DETECTION)」という名称の米国特許仮出願第61/184,551号の優先権および利益を主張するものである。
【0002】
[0002]本出願は、一般に、圧縮機のための制御システムに関する。より詳細には、本出願は、圧縮機の不安定を感知し、圧縮機を安定な動作に戻すために、不安定さに対する修正を施すためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]遠心圧縮機(centrifugal compressor)は、動作中に、サージまたはストールなどの不安定に遭遇する可能性がある。サージまたはサージングは、圧力および流れにおける振動を有する過渡現象であり、結果として圧縮機を通る流れの完全な反転をもたらす可能性がある。サージングは、制御不能の場合は、圧縮機の回転構成要素および固定構成要素の両方に過度の振動を引き起こし、結果として永久的な圧縮機故障をもたらす可能性がある。サージ状態を修正する1つの技術は、圧縮機の排出ガスのいくぶんかを圧縮機入口に戻して、圧縮機入口における流量を増加させるための高温ガスバイパス弁の開口を含んでよい。対照的に、ストールすなわち回転ストールは、圧縮機の1つまたは複数の構成要素における局所的な流れの分離であり、圧縮機の羽根車の回転周波数より小さい基本周波数における排出圧力変動を有する可能性がある。固定速度の遠心圧縮機における回転ストールは、大部分、圧縮機の拡散器において発見され、可変形状拡散器(VGD)によって修正されうる。圧縮機における回転ストールの存在は、差し迫ったサージ状態の前兆でありうる。
【0004】
[0004]遠心圧縮機のVGDは、圧縮機の排出通路の一部である、拡散器間隙の中で動くことができる環を含んでよい。VGDは、環が完全に拡散器間隙の外にあって最大ガス流量を可能にする後退位置と、環が拡散器間隙の一部を占有し、それにより、ガス流量の一部を制限する延在位置との間で環を動かすことができる。環は、ストール条件を修正するために、遠心圧縮機におけるストール条件の検出に応答して動かされてよい。
【0005】
[0005]遠心圧縮機の拡散器領域における回転ストールを検出し制御する1つの方法は、優勢な音響または音響圧力を測定するために、圧縮機排出通路または拡散器に設置された圧力変換器を使用するステップを含む。圧力変換器からの信号は、回転ストールの存在または可能性を確定するために、アナログ技術またはディジタル技術を介してフィルタをかけられ処理される。回転ストールは、測定された排出圧力のパルスまたは脈動から計算されたエネルギー量を、回転ストールの存在に対応する所定の閾量と比較することによって検出される。VGDの環は、圧力脈動レベルを低減し、ストール条件を修正するために、拡散器間隙に挿入されてよい。
【0006】
[0006]しかし、遠心圧縮機の動作範囲の一部に対して、特に圧縮機が低速で動作されているときに、圧縮機が、事前のストール条件を発生することなくサージする可能性がある。圧縮機が直接サージ状態に入ると、圧縮機に対する制御器システムは、ストール条件の前兆を感知する機会を持たない。その結果、圧縮機の制御システムは、サージ状態の始まりを可能な限り回避するための、ストール条件に対する修正措置を開始することができない。圧縮機におけるサージ状態に対処するための制御システムの他の態様は、制御システムがサージ状態を同定し、所定の手順で反応することを必要とする。制御システムがサージ状態を同定するために、制御システムが修正措置を取ることができる前の所定の長さの時間の間に、1つまたは複数のサージサイクルが発生する必要がある。また、修正ステップは、システム全体に必要とされる動作条件を維持するために、他のシステム制御との相互作用を必要とする可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0007]それゆえ、ストール条件の存在を確定すること、すなわち1つまたは複数のサージサイクルを通して待つことを必要とすることなく、サージ状態を確定するためのシステムおよび方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008]本発明は、遠心圧縮機を動作させる方法に関する。方法は、遠心圧縮機の軸の、所定の位置からの変位の振幅を測定するステップと、測定された振幅を所定の閾振幅と比較するステップとを含む。所定の閾振幅は、遠心圧縮機が安定して動作する間の軸の所定の位置からの変位の振幅に相当する。また、方法は、測定された振幅が所定の閾振幅より大きいことに応答して、サージ状態の前兆を表示するステップと、前兆が表示されたことに応答してサージ状態を修正するために、遠心圧縮機の動作パラメータを調節するステップとを含む。
【0009】
[0009]また、本発明は、遠心圧縮機を動作させる第2の方法に関する。方法は、電流を測定するステップと、測定された電流を所定の閾電流と比較するステップとを含む。所定の閾電流は、遠心圧縮機が安定して動作する間に発生する電流に相当する。また、方法は、測定された電流が所定の閾電流より小さいことに応答してサージ状態の前兆を表示するステップと、前兆が表示されたことに応答してサージ状態を修正するために、遠心圧縮機の動作パラメータを調節するステップとを含む。
【0010】
[0010]さらに、本発明は、遠心圧縮機に関する。遠心圧縮機は、羽根車と、羽根車の出力と流体連通する可変形状拡散器と、羽根車に軸で接続されたモータとを含む。また、遠心圧縮機は、モータと可変形状拡散器との動作を制御するために、センサと制御パネルとを含む。センサは、電流または軸位置の一方に関連する動作パラメータを測定するように構成され、設置される。制御パネルは、センサから測定された動作パラメータに対応する信号を受けるように構成され、センサから受けられた信号に基づいて、サージ状態の前兆が存在するかどうかを確定し、サージ状態の前兆が存在することに応答して、修正措置を取るように構成される。
【0011】
[0011]本発明は、遠心圧縮機を動作させる第3の方法に関する。方法は、遠心圧縮機に対する動作パラメータを測定するステップと、任意の無関係な情報を取り除くために、測定された動作パラメータを処理するステップとを含む。動作パラメータは、排出圧力、圧縮機振動および音響エネルギーからなる群から選択される。また、方法は、測定された動作パラメータを所定の値と比べるステップと、測定された動作パラメータが所定の値より大きいことに応答して、サージ状態の前兆を表示するステップとを含む。所定の値は、遠心圧縮機が安定して動作する間に発生する動作パラメータの値に相当する。さらに、方法は、前兆が表示されたことに応答してサージ状態を修正するために、遠心圧縮機の可変形状拡散器の位置、または遠心圧縮機の速度の少なくとも一方を調節するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】[0012]加熱、換気および空調システムのための例示的一実施形態を示す図である。
【図2】[0013]例示的な蒸気圧縮システムの等角図である。
【図3】[0014]加熱、換気および空調のシステムの例示的一実施形態を示す概略図である。
【図4】[0015]可変速度駆動の例示的一実施形態を示す概略図である。
【図5】[0016]圧縮機内の可変形状拡散器の例示的一実施形態を示す部分断面図である。
【図6】[0017]サージ状態を確定するための例示的な処理を示す図である。
【図7】[0018]例示的な、時間とともに低下する排出圧力信号を示すグラフである。
【図8】[0019]モータおよび圧縮機羽根車の例示的一実施形態を示す断面図である。
【図9】[0020]サージ状態の前、最中および後の軸方向の軸変位の例示的一実施形態を示すグラフである。
【図10】[0021]サージ状態の前、最中および後のモータ電流の例示的一実施形態を示すグラフである。
【図11】[0022]圧縮機軸付近に設置されたマイクロフォンまたは音響センサの例示的一実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0023]図1は、典型的な商用設定に対する建物12における加熱、換気および空調(HVAC)システム10に対する例示的一実施形態を示す。システム10は、建物12を冷やすために使用されうる冷却された液体を供給することができる、蒸気圧縮システム14を含んでよい。システム10は、建物12を加熱するために使用されうる加熱された液体を供給するためのボイラ16と、建物12を通して空気を循環させる空気分配システムとを含んでよい。また、空気分配システムは、空気戻りダクト18と、空気供給ダクト20と、空気処理器22とを含んでよい。空気処理器22は、導管24によってボイラ16および蒸気圧縮システム14に接続された熱交換機を含んでよい。空気処理機22内の熱交換機は、システム10の動作モードにしたがって、ボイラ16からの加熱された液体、または蒸気圧縮システム14からの冷却された液体のいずれかを受けることができる。システム10は、建物12の各階に個別の空気処理機を有するように示されるが、構成要素が複数の階の間で共用されてよいことは、理解されよう。
【0014】
[0024]図2および図3は、HVACシステム10内で使用されうる例示的蒸気圧縮システム14を示す。蒸気圧縮システム14は、圧縮機32で始まり、凝縮器34、膨脹弁もしくは膨脹装置36および蒸発器もしくは液体冷却器38を含む回路を通して、冷媒を循環させることができる。また、蒸気圧縮システム14は、アナログからディジタルへの(A/D)変換器42、マイクロプロセッサ44,不揮発メモリ46およびインターフェースボード48を含んでよい制御パネル40を含むことができる。蒸気圧縮システム14内で冷媒として使用されうる流体のいくつかの例は、例えばR−410A、R−407、R−134a、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)のハイドロフルオロカーボン(HFC)ベースの冷媒、アンモニア(NH3)、R−717、二酸化炭素(CO2)、R−744のような「天然」冷媒、または炭化水素ベースの冷媒、水蒸気もしくは他の適切な種類の冷媒である。
【0015】
[0025]圧縮機32とともに使用されるモータ50は、可変速度駆動(VSD)52で動力供給されてよく、または交流(AC)または直流(DC)の電源から直接動力供給されてよい。モータ50は、VSDによって、またはACもしくはDCの電源から直接、動力供給されうる任意の種類の電気モータを含んでよい。モータ50は、任意の適切なモータの種類、例えば、スイッチド・リラクタンス・モータ、誘導モータ、または電子的に整流される永久磁石モータであってよい。代替の例示的一実施形態では、蒸気もしくはガスの、タービンもしくはエンジン、および関連する構成要素など、他の駆動機構が、圧縮機32を駆動するために使用されてよい。
【0016】
[0026]図4は、VSDの例示的一実施形態を示す。VSD52は、AC電源から特定の固定線間電圧および固定回線周波数を有するAC電力を受け、AC電力を、所望の電圧および所望の周波数でモータ50に供給し、所望の電圧および所望の周波数は、いずれも、特定の要求を満足するように変えられてよい。VSD52は、整流器/変換器222、DCリンク224およびインバータ226の3つの構成要素を有してよい。整流器/変換器222は、AC電源からの固定周波数で固定振幅のAC電圧をDC電圧に変換する。DCリンク224は、変換器222からのDC電力をフィルタにかけ、蓄電器および/または誘導子などのエネルギー貯蔵構成要素を提供する。最後に、インバータ226は、DCリンク224からのDC電圧を、モータ50のための可変周波数で可変振幅のAC電圧に変換する。
【0017】
[0027]例示的一実施形態では、整流器/変換器222は、VSD52への入力電圧より大きいVSD52からの最大RMS出力電圧を得るために、昇圧されたDC電圧をDCリンク224に供給するための絶縁ゲートバイポーラトランジスタを有する、3相パルス幅変調昇圧整流器であってよい。あるいは、変換器222は、昇電圧能力(voltage-boosting capability)のない受動ダイオード整流器またはサイリスタ整流器であってよい。
【0018】
[0028]VSD52は、特定の負荷条件に応答して、モータ50の効率的な動作を可能にする可変振幅出力電圧および可変周波数をモータ50に供給することができる。制御パネル40は、制御信号をVSD52に供給して、制御パネル40で受けられた特定のセンサ信号(sensor reading)に対する適切な動作設定において、VSD52およびモータ50を動作させることができる。例えば、制御パネル40は、蒸気圧縮システム14内で変化する条件に応答して、VSD52で供給される出力電圧および出力周波数を調節するために、制御信号をVSD52に供給することができ、すなわち、制御パネル40は、増加または減少する圧縮機32への負荷条件に応答して、VSD52で供給された出力電圧および出力周波数を増加または減少させるように、命令を供給することができる。
【0019】
[0029]圧縮機32は、冷媒蒸気を圧縮し、排出通路を通して蒸気を凝縮器34に送り出す。例示的一実施形態では、圧縮機32は、1つまたは複数の圧縮段階を有する遠心圧縮機であってよい。圧縮機32によって凝縮器34に送り出された冷媒蒸気は、熱を流体、例えば水または空気に伝達する。冷媒蒸気は、流体との熱伝達の結果として、凝縮器34内で冷媒流体に凝縮する。凝縮器34からの液体冷媒は、膨脹装置36を通って蒸発器38に流れる。高温ガスバイパス弁(HGBV)134が、圧縮機排出から圧縮機吸入まで延びる個別配管に接続されてよい。図3に示される例示的実施形態では、凝縮器34は水冷であり、冷却塔56に接続された管束(tube bundle)54を含む。
【0020】
[0030]蒸発器38に送り出された液体冷媒は、凝縮器34に使用される流体と同じ種類であってよく、またはなくてよい、別の流体から熱を吸収し、冷媒蒸気への相変化を受ける。図3に示される例示的実施形態では、蒸発器38は、冷却負荷62に接続された供給配管60Sおよび戻り配管60Rを有する管束60を含む。処理流体、例えば、水、エチレングリコール、塩化カルシウムブライン、塩化ナトリウムブライン、または任意の他の適切な液体が、戻り配管60Rを介して蒸発器38に入り、供給配管60Sを介して蒸発器38を出る。蒸発器38は、管内の処理流体の温度を下げる。蒸発器38内の管束60は、複数の管および複数の管束を含んでよい。蒸気冷媒は、蒸発器38を出て、吸入配管によって圧縮機32に戻って、巡回すなわち循環を完了する。例示的一実施形態では、蒸気圧縮システム14は、1つまたは複数の冷媒回路において、可変速度駆動(VSD)52、モータ50、圧縮機32、凝縮器34、膨脹弁36および/または蒸発器38のそれぞれの1つまたは複数を使用してよい。
【0021】
[0031]図5は、圧縮機32の例示的一実施形態の部分断面図を例示する。圧縮機32は、冷媒蒸気を圧縮するための羽根車201を含む。羽根車201からの圧縮された蒸気は、次いで、拡散器すなわちVGD119を通過する。VGD119は、冷媒蒸気の通路のために拡散器板206とノズル基板208との間に形成された拡散器の空間すなわち拡散器間隙202を有する。ノズル基板208は、拡散器環(diffuser ring)210とともに使用するように構成される。拡散器環210は、拡散器空間すなわち拡散器間隙202を通過する冷媒蒸気の速度を制御するために使用される。拡散器環210は、拡散器間隙202を通って流れる蒸気の速度を増すために拡散器間隙202の中に延ばされてよく、拡散器間隙202を通って流れる蒸気の速度を減らすために拡散器間隙202から後退されてよい。拡散器環210は、作動装置で駆動される調節機構212を使用して、拡散器間隙202の中に延ばされてよく、拡散器間隙202から後退されてよい。
【0022】
[0032]VGD119は、冷媒流が拡散器間隙202の中で十分にスムーズな、十分に開かれた位置すなわち後退位置と、拡散器間隙202の中の冷媒流量が制限された、十分に閉じられた位置すなわち延在位置との間の任意の位置に設置されてよい。例示的一実施形態では、VGD119は、閉位置にあるときに、拡散器間隙202の中の冷媒の流れを完全に止めることはない。調節機構212は、拡散器間隙202を開閉するために、拡散器環210を連続的に、または離散的な段階で累進的に、動かすことができる。1つの種類のVGDの動作および構成要素のより詳細な説明が、参照により本明細書に組み込まれた、2005年3月29日に発行の「可変形状拡散器機構(Variable Geometry Diffuser Mechanism)」という名称の米国特許第6,872,050号の中でもたらされる。
【0023】
[0033]例示的一実施形態では、圧縮機32が2段以上の圧縮段階を有するならば、VGD119は、1つまたは複数の圧縮段階の排出通路の中に組み込まれてよい。別の例示的実施形態では、2つ以上のVGD119が、羽根車201からの冷媒の流れを制御し、それにより圧縮機32の能力を制御するために、拡散器間隙202の中に設置されてよい。
【0024】
[0034]他の例示的一実施形態では、拡散器環210の位置決めで、圧縮機32内のサージ状態およびストール条件を減らすかまたは無くすことができ、部分的負荷条件で動作させるときの圧縮機32の動作効率を改善することができる。例示的一実施形態では、能力制御のためにVGD119をVSD52と組み合わせて使用することで、部分負荷における圧縮機32の効率を改善することができる。
【0025】
[0035]制御パネル40は、A/D変換器42に加えてディジタルからアナログへの(D/A)変換器を含んでよい。さらに、制御パネル40は、操作者が制御パネル40と相互作用することを可能にするユーザインターフェース194に接続されてよく、またはユーザインターフェース194を組み込んでよい。操作者は、ユーザインターフェース194を介して制御パネル40に対する命令を選択し入力することができる。さらに、ユーザインターフェース194は、蒸気圧縮システム14の動作状態に関して、制御パネル40からメッセージおよび情報を表示することができる。ユーザインターフェース194は、蒸気圧縮システム14または制御パネル40の上に装着されるなど、制御パネル40に局所的に配置されてよく、あるいは、ユーザインターフェース194は、蒸気圧縮システム14から離れた別個の制御室内に配置されるなど、制御パネル40から離れて配置されてよい。
【0026】
[0036]制御パネル40では、A/D変換器42および/またはインターフェースボード48は、蒸気圧縮システム14に対する動作パラメータを提供する、システムセンサおよび構成要素からの入力信号を受けることができる。例えば、制御パネル40で受けられた入力信号は、管束60から出て行く冷却された液体の温度、蒸発器38および凝縮器34の中の冷媒圧力、圧縮機排出温度センサ、圧縮機オイル温度センサ、圧縮機オイル供給圧力センサ、VGD位置センサ、ならびに圧縮機排出通路内の音響圧力もしくは音波圧力の測定値を含んでよい。制御パネル40は、蒸気圧縮システム14の動作を制御し、蒸気圧縮システム14の種々のセンサおよび制御装置と交信するために、信号を蒸気圧縮システム14の構成要素に伝送するためのインターフェースボード48を使用することができる。
【0027】
[0037]制御パネル40は、圧縮機32、VSD52、凝縮器34および蒸気圧縮システム14の他の構成要素を含む、蒸気圧縮システム14の動作を制御するために、単一もしくは中央の、制御アルゴリズムもしくは制御システムを実行もしくは使用することができる。一実施形態では、制御アルゴリズムは、マイクロプロセッサ44で実行可能な一連の命令を有する不揮発メモリ46に記憶されたコンピュータプログラムまたはソフトウェアであってよい。制御アルゴリズムが、コンピュータプログラムの中に埋め込まれ、マイクロプロセッサ44で実行されうる一方で、制御アルゴリズムが、ディジタルおよび/またはアナログのハードウェアを使用して組み込まれ、実行されてよいことは、当業者には理解されよう。ハードウェアが制御アルゴリズムを実行するために使用されるならば、対応する制御パネル40の構成は、必要な構成要素を組み入れ、もはや必要とされない任意の構成要素を取り除くように変更されてよい。さらに別の実施形態では、制御パネル40は、各制御器が別個の機能を実施する複数の制御器を、制御パネル40の出力を確定する中央制御器とともに組み入れてよい。
【0028】
[0038]例示的一実施形態では、制御アルゴリズムは、本出願の目的として、ストール条件およびサージ状態が存在しないシステムおよび圧縮機の安定(圧縮機の安定動作)を維持するために、特定の圧縮機条件に応答して、VGD119内の拡散器環210を何時延ばし、何時後退させるかを確定することができる。さらに、制御パネル40は、システムおよび圧縮機の安定を維持するために、特定の圧縮機条件に応答して可変速度駆動を有するモータの速度を制御または調節することによって、圧縮機の速度を調節または制御するための制御アルゴリズムを使用することができる。さらに、制御パネル40は、システムおよび圧縮機の安定を維持するために、特定の圧縮機条件に応答して、HGBV134が存在するならばそれを開閉するための制御アルゴリズムを使用することができる。
【0029】
[0039]制御パネル40のマイクロプロセッサ44で実行される中央制御アルゴリズムは、圧縮機32から所望の能力を生成させて冷却負荷を満足させるために、VSD52を介してモータ50の速度を制御し、それにより圧縮機32の速度を制御するための、能力制御のプログラムもしくはアルゴリズムを含んでよい。例示的一実施形態では、能力制御プログラムは、その温度が蒸気圧縮システム14に対する冷却負荷需要の指標となる、蒸発器38内の、出て行く冷却された液体の温度に応答して、モータ50および圧縮機32の所望の速度を自動的に確定することができる。所望の速度を確定した後、制御パネル40は、制御信号をVSD52に送りまたは伝達し、それによりモータ50の速度を加減する。
【0030】
[0040]能力制御プログラムは、蒸気圧縮システム14の選択されたパラメータを所定の範囲内に維持するように構成されてよい。選択されたパラメータは、モータ速度、出て行く冷却された液体の温度、モータ出力、ならびに最低圧縮機速度および可変形状拡散器位置に対するサージ発生限界を含む。能力制御プログラムは、連続的に監視し、システムの冷却負荷の変化に応答してモータ50および圧縮機32の速度を変更するために、種々の動作パラメータを監視するセンサからの連続的な帰還を利用してよい。言い換えれば、蒸気圧縮システム14は、付加されるか縮減されるかいずれかの冷却能力を必要とするので、蒸気圧縮システム14内の圧縮機32の動作パラメータは、新しい冷却能力要求に応答して相応に更新または改定される。最大動作効率を維持するために、圧縮機32の動作速度は、能力制御アルゴリズムで頻繁に変更されてよく、または調節されてよい。さらに、システム負荷要求とは別に、能力制御プログラムはまた、蒸気圧縮システム14内の冷媒の体積流量を最適化し、結果として圧縮機32の効率を最大化するために、冷媒システムの圧力差を連続的に監視してよい。
【0031】
[0041]マイクロプロセッサ44によって制御パネル40上で実行される中央制御アルゴリズムは、サージ状態またはサージサイクルの発生または前兆を同定するための、種々の方法または技術を含んでよい。サージ状態またはサージサイクルの発生または前兆を同定するための、種々の方法または技術の多くは、蒸気圧縮システム14内に既存のセンサまたは構成要素を使用し、追加のセンサまたは構成要素の取り付けを必要としない。
【0032】
[0042]例示的一実施形態では、圧力変換器または圧力センサ160(図3参照)が、圧縮機32に対する排出通路内に置かれてよい。圧力変換器または圧力センサ160が、排出圧力を直接感知して、排出圧力信号(PD)を生成させるために使用されてよい。この排出圧力信号(PD)が、ストール条件の検出、能力制御、および効率的な圧縮機動作など、数多くの目的のために制御システムによって使用されてよい。さらに、PDの値の変化が、サージ状態が始まったかまたは進行中であることを表示してよい。一代替実施形態では、排出圧力信号(PD)がフィルタにかけられ、次いで、図6に示される工程などによって、サージ状態の表示のために分析される。
【0033】
[0043]図6では、サージ状態の始まりまたは発生を確定するために、信号PDを分析するための工程が示される。工程は、制御パネル40がセンサ160からアナログ信号を受けるステップ(ステップ64)と、受けられた信号をA/D変換器42でディジタル信号に変換するステップ(ステップ66)とによって始まる。一代替実施形態では、制御パネル40は、センサ160からディジタル信号を受けることができ、それゆえ工程を継続する前に信号を変換する必要はない。次いで、PDに対応するディジタル信号が、制御パネル40のディジタル信号処理(DSP)チップ143(図3参照)内にプログラムされた高速フーリエ変換(FFT)で処理される(ステップ68)。例示的一実施形態では、DSP 143は、FFTを実時間で実行するために、乗算および累算など、任意の必要な演算または計算を実施するように構成されてよい。
【0034】
[0044]ディジタル化された、センサ160からの入力信号にFFTを適用することで、複数の周波数および対応する振幅が生成され、その振幅は、エネルギー値に関連することができる。基本周波数の特定のまたは所定の範囲だけが、サージ状態の検出に必要とされるので、基本周波数の所定の範囲内の周波数だけが、分析される必要がある。所定の範囲の外の周波数、または所定の範囲内にあるがサージ状態に関連しない周波数は、廃棄されるかまたは無視されてよい。例えば、圧縮機32の動作速度に関連する周波数は、それに関連する高調波とともに、取り除かれるかまたはゼロに設定されてよい。同様に、電力に関連する周波数、例えば60Hzが、それに関連する高調波とともに、取り除かれるかまたはゼロに設定されてよい。例示的一実施形態では、帯域通過フィルタが、関心のある周波数を取り出すために、FFTからの出力に適用されてよい。別の実施形態では、関心のあるいくつかの周波数だけが分析されることを可能にするために、FFTを実行する前に、帯域通過フィルタが信号PDに適用されてよい。
【0035】
[0045]関係のない周波数および関心のない周波数を除去した後に、残留する成分すなわちFFTからの周波数が分析される(ステップ70)。分析された結果が、サージ状態またはサージ状態の前兆が存在するかどうかを確定するために使用されうる(ステップ72)。サージ状態または前兆が存在することが確定されたならば、制御システムは、修正工程または修正措置を開始することができ(ステップ74)、工程は終了する。しかし、サージ状態が存在することが確定されないならば、工程は、センサ160で圧力値を測定するための工程の開始に戻る。
【0036】
[0046]例示的一実施形態では、サージ状態またはサージ状態の前兆の検出は、関心のある周波数の振幅を組み合わせるかまたは合計し、次いで、合計された値またはもたらされた値を、サージ状態または前兆を定義する閾値と比べることに基づいてよい。結果としてもたらされた値が閾値より大きいならば、サージ状態または前兆が存在することが確定される。閾値は、FFT成分から合計された値または結果として生じる値に対する正常動作値、すなわちサージ状態が存在しないときのFFT成分から合計された値または結果として生じる値の倍数に等しい値に設定されてよい。正常動作に対する値および閾値は、分析される信号の強度、および信号対ノイズ比を向上させるために信号に加えられる増幅の量によって決まる。別の実施形態では、サージ状態または前兆は、残留する周波数のスペクトルにおける尖頭が、所定の閾値を超えるかどうかを確定することによって検出されてよい。
【0037】
[0047]サージを確定するための別の例示的実施形態では、センサ160からの信号PDは、減少するDC成分のレベルに対して分析されてよい。図7に示されるように、センサ160からの信号PDは、重畳されたAC成分158を伴うDC成分156を有する。DC成分156を得るために、AC成分すなわち脈動158が、信号PDからフィルタで取り除かれてよい。次いで、制御システムは、信号PDのDC成分のRMS値を計算する。サージ状態を確定するために、信号のDC成分のRMS値が、平均レベルが低下または減少しているかどうかを確定するために、順次、前のRMS値と比較される。サージ状態が表示されたならば、VGD119および/または圧縮機速度が、システムに安定が戻るまで、上で説明されたように調節される。
【0038】
[0048]さらに別の実施形態では、サージ状態の前兆または存在が、圧縮機およびモータに対する軸の、軸方向および/もしくは径方向の、変位もしくは摂動の振幅を測定することによって確定されてよい。図8は、一実施形態における、圧縮機32のモータ50および羽根車201の断面図を示す。モータ50は、2つ以上の電磁軸受200を含んでよい。電磁軸受200が、モータ50の両端に配置されてよく、回転素子軸受または流体膜軸受のような従来技術の代わりに、モータ50の回転子または軸164を浮上させるために使用されてよい。電磁軸受200は、軸164の位置を監視し、位置情報を制御パネル40に供給することができる。次いで、制御パネル40は、軸164の中心を所望の位置に、または所望の許容範囲内に維持するために、電磁軸受200に供給される電流を調節することができる。軸164の中心に対する所望の位置は、電磁軸受の軸とほぼ同軸、または許容差内であってよい。本明細書で使用されるように、軸164の正常動作はまた、中心に置かれた位置とも呼ばれ、軸の軸線が軸受の軸線と一致する(または、許容差内に存在する)ことを意味する。
【0039】
[0049]電磁軸受200における、圧縮機軸の位置の、軸方向または径方向のいずれかの、不安定な断続的な軌道、逸脱または摂動が、サージ状態の始まりまたは発生を確定するために使用されてよい。図9は、中心に置かれた位置からサージサイクルに対して、すなわち安定な圧縮機動作からサージ状態を経て再び安定な圧縮機動作に戻る、軸164の軸方向変位(マイクロメートル、μm)の振幅を示す。図9では、安定な圧縮機動作が領域90で発生し、サージ状態が領域92で発生し、サージ状態からの回復が領域94で発生し、サージ状態の前兆が領域96で発生する。例示的一実施形態では、サージ状態の前兆は、圧縮機内の流れの反転に対応し、サージ状態は、圧縮がなく反対方向に流れる状態における羽根車の自由回転に対応し、サージ状態からの回復は、羽根車が、圧力上昇および正方向の流れを発達させて、再び負荷を受け始めることに対応する。
【0040】
[0050]制御システムは、電磁軸受200でもたらされる圧縮機軸位置を分析してサージ状態の前兆を同定することができ、例えばVGD119を調節するかまたは圧縮機32の速度を増すことによって、サージ状態を修正するための措置を取ることができる。制御システムは、測定された軸方向の軸変位の振幅が、安定した圧縮機動作における軸方向の軸変位の振幅より大きいときを確定することによって、サージ状態の前兆を同定することができる。
【0041】
[0051]例示的一実施形態では、測定された軸方向の軸変位の振幅は、サージ状態の前兆を表示するための、正常動作における軸方向の軸変位の振幅より大きい所定の量であってよい。例えば、測定された軸方向の軸変位の振幅が、正常動作における軸方向の軸変位の振幅より20μm以上大きいときに、サージ状態の前兆が表示されてよい。別の例示的実施形態では、測定された軸方向の軸変位の振幅は、サージ状態の前兆を表示するための、正常動作における軸方向の軸変位の振幅より数倍または数桁大きくてよい。例えば、サージ状態の前兆は、測定された軸方向の軸変位の振幅が、正常動作における軸方向の軸変位の振幅より約4倍と約25倍との間であるときに、表示されてよい。別の例示的実施形態では、径方向の軸変位の振幅の分析が、軸方向の軸変位の振幅の分析と同様に、サージ状態の前兆を確定するために実施されてよい。
【0042】
[0052]さらに別の例示的実施形態では、軸方向および径方向の軸変位の振幅の測定が、磁気軸受200からではなく、圧縮機軸164の近くに配置された位置検出プローブ(position-sensing probe)162(図8参照)から得られてよい。位置検出プローブ162は、変位振幅の測定値を制御パネル40に供給することができ、制御パネル40は、次いで、その測定値を、電磁軸受の変位振幅の測定値と同じ方法で分析することができる。
【0043】
[0053]他の例示的実施形態では、電磁軸受200内で測定された電流が、同様に、ストール条件または差し迫ったサージ状態を検出するために使用されてよい。電磁軸受200を通る電流の増加は、その電流レベルが所定の閾値を超えるならば、ストール条件またはサージ状態の存在を表示してよい。
【0044】
[0054]別の例示的実施形態では、サージ状態が、サージ状態を表示するために、モータ電流またはVSD52内のDCリンク電流を監視することによって検出されてよい。DCリンク電流のモータ電流は、任意の適切な装置で測定および/または監視されてよく、制御パネル40に供給されてよい。図10は、サージサイクル、すなわち安定な圧縮機動作からサージ状態を経て再び安定な動作に戻るサイクル、に対するモータ電流(アンペア、A)を示す。図10では、安定な圧縮機動作が領域102で発生し、サージ状態および回復が領域104で発生し、サージ状態の前兆が領域106で発生する。
【0045】
[0055]制御システムは、サージ状態の前兆を同定するためにモータ電流を分析することができ、例えばVGD119を調節することによって、サージ状態を修正するための措置を取ることができる。制御システムは、測定されたモータ電流が、安定な圧縮機動作におけるモータ電流より小さいときを確定することによって、サージ状態の前兆を同定することができる。例示的一実施形態では、測定されたモータ電流は、サージ状態の前兆を表示するために、正常動作におけるモータ電流より小さい所定の量であってよい。例えば、サージ状態の前兆は、測定されたモータ電流が、正常動作におけるモータ電流より約150Aと約350Aとの間の電流だけ小さいときに表示されてよい。サージ状態の前兆を表示するために必要な、モータ電流の特定の減少量は、モータ馬力およびモータ電圧など、いくつかの要因に基づいて変わる可能性がある。別の例示的実施形態では、測定されたモータ電流は、サージ状態の前兆を表示するために、正常動作におけるモータ電流の縮減されたパーセンテージであってよい。例えば、サージ状態の前兆は、測定されたモータ電流が、正常動作におけるモータ電流の約25%と約60%との間であるときに表示されてよい。
【0046】
[0056]次に図11を参照すると、音響検出が、マイクロフォンまたは音響センサ166を使用して実施されてよい。マイクロフォン166は、関心のある周波数(圧縮機内のサージ状態を随伴する周波数)以外の音響周波数を減衰させるために、同調フィルタを任意選択で含んでよい。別の例示的実施形態では、ストールもしくはサージに関連する振動を測定するように構成された加速度計(加速度を測定する装置)、または単軸振動および多軸振動の変換器またはセンサが、圧縮機の振動および衝撃を感知するために使用されてよい。軸を含めた圧縮機の振動が、マイクロフォン166で検出され、回転ストールまたは差し迫ったサージ状態を確定するために使用されうる空気伝播音を生成する。
【0047】
[0057]マイクロフォン166および/または加速度計および/または振動センサの出力は、サージに関連する音響エネルギーと、他の音源または振動源によるエネルギーとの間を識別するように調整されてよい。一実施形態では、調整は、基本サージ周波数およびその主要な高調波を含む周波数の範囲内のエネルギー量を単純に測定することによって発生させることができる。他の調整方式では、サージ状態のエネルギーのみの存在を検出する能力を強化するために、サージに関連する領域内でサージに関連しないいくつかの周波数が感知され、分析から取り除かれてよい。マイクロフォン166および/または加速度計および/または振動センサからの調整された出力信号が、所定の周波数、例えば約1KHzに対して線形加算され、閾値と比較されてよい。調整された出力信号が、閾量より所定の値、例えば10デシベル、dBだけ大きいならば、サージ状態の前兆が検出され、ストール条件または差し迫ったサージ状態を回避するための修正措置が取られてよい。
【0048】
[0058]別の例示的実施形態では、サージ状態の間に羽根車を通して暖かい凝縮器の蒸気の反転流れが、圧縮機の入口における温度を上昇させるので、羽根車付近の圧縮機の入口における流体温度の上昇が、サージ状態の前兆を確定するために使用されうる。圧縮機に入る流体温度を測定するために、動的温度センサ(図示せず)が、動的応答時間とともに使用されてよい。
【0049】
[0059]本出願において議論されるサージ検出および前兆検出の技術は、単段遠心圧縮機または多段遠心圧縮機に適用することができる。多段遠心圧縮機に対して、本出願において議論されるサージ検出および前兆検出の技術は、第1段、最終段または中間の段のうちの1段または複数段に適用されてよい。
【0050】
[0060]検出されたサージ状態または前兆を修正するために、制御パネルおよび制御システムは、遠心圧縮機の拡散器間隙の中に拡散器環を挿入することができる。代替として、または付加的に、制御パネルおよび制御システムは、検出されたサージ状態または前兆を修正するために、可変速度駆動を用いて遠心圧縮機の速度を、例えば3Hz、5Hzまたは7Hzだけ実質的に増加させることができる。
【0051】
[0061]例示的一実施形態は、サージ状態に関連する圧力の経時的変化を同様に感知するストール検出のために、圧縮機の排出物内で圧力変換器を使用することに関する。圧力変換器信号を適切に処理することによって、単一のサージ発生またはサージサイクルが同定可能であり、制御システムは、圧縮機の所与の動作条件において、さらなるサージサイクルを防いで修正するために、VGDを拡散器間隙内に延ばすことによって対処することができる。
【0052】
[0062]さらに別の例示的実施形態は、圧縮機入口と、圧縮機出口と、調節可能な流れ通路を有する可変形状拡散器とを有する遠心圧縮機の、安定な動作を維持するための安定性制御システムに関する。安定性制御システムは、遠心圧縮機内でサージ状態または前兆を検出したことに応答して、可変形状拡散器の流れ通路を調節するためのサージ対処状態を有する。サージ状態を感知し検出する1つの方法は、排出圧力(PD)信号を制御パネルに伝達するために、圧縮機排出管路内に配置された圧力変換器を使用してよい。サージ状態または前兆を感知し検出する他の方法は、圧縮機軸の軸方向および径方向の軸移動の測定値か、圧縮機内の電磁軸受によって使用される電流か、圧縮機駆動モータを通る電流もしくはVSDのDCリンクにおける電流か、圧縮機もしくはモータからの音の生成(音響圧力もしくは音響波)か、または圧縮機振動を使用することができる。
【0053】
[0063]本出願は、以下の記載で説明されるかまたは図面で例示された詳細または手順に限定されるものではないことを理解されたい。また、本明細書で使用される用語および術語は、説明することだけが目的であり、限定としてみなされるべきではないことも理解されたい。
【0054】
[0064]本出願は、その動作を達成するための、任意の機械可読媒体における方法、システムおよびプログラム製品を企図する。本出願の実施形態は、既存のコンピュータプロセッサを使用して、または適切なシステムのための専用のコンピュータプロセッサによって、またはハードウェアシステムによって実施されてよい。
【0055】
[0065]本出願の範囲内の実施形態は、プログラム製品に記憶された、機械で実行可能な命令またはデータ構造を伝えるためまたは有するための機械可読媒体を含むプログラム製品を含む。機械可読媒体は、汎用もしくは専用のコンピュータ、またはプロセッサを有する他の機械でアクセス可能な、任意の市販の非一時的媒体であってよい。例として、機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、または他の任意選択のディスク記憶、磁気ディスク記憶もしくは他の磁気記憶装置、または機械で実行可能な命令もしくはデータ構造の形の所望のプログラムコードを伝えるかまたは記憶するために使用可能であり、かつ汎用もしくは専用のコンピュータ、またはプロセッサを有する他の機械でアクセス可能な任意の他の媒体を含んでよい。情報が、ネットワークまたは別の通信接続(有線、無線、または有線と無線の組合せのいずれか)を介して機械に転送または供給されると、機械は、その接続を機械可読媒体として適切にとらえる。上記の組合せもまた、機械可読媒体の範囲の中に含まれる。機械で実行可能な命令は、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータまたは専用処理機械に、ある機能もしくは機能群を実施させる命令およびデータを含む。
【0056】
[0066]本明細書の図面は、方法ステップの特定の順序を示すが、そのステップの順序は、描かれているものとは異なってよい。また、2つ以上のステップが、同時に、または部分的に同時に実施されてよい。ステップ実施における変化は、選択されたソフトウェアおよびハードウェアのシステム、ならびに設計者の選択によって左右されうる。そのような変化のすべては、本出願の範囲内に入る。同様に、ソフトウェアの実施は、種々の接続ステップ、処理ステップ、比較ステップおよび決定ステップを達成するためのルールベースの論理および他の論理を有する標準的なプログラミング技術を用いて達成されてよい。
【0057】
[0067]種々の例示的実施形態に示されるような本出願の構造および配列は、単なる例であることに留意することが重要である。本開示において、ほんの数個の実施形態が詳細に説明されたにすぎないが、本出願で説明された主題の新しい教示および利点から著しく逸脱することなく、多くの改変が可能であること(例えば、種々の要素の大きさ、寸法、構造、形状および比率の変化、パラメータ値(例えば、温度、圧力など)、装着配列、材料の使用法、色、向きなど)を、この開示を精査する人達は、容易に理解するであろう。例えば、一体的に形成されるように示される要素は、複数の部品または要素で構築されてよく、要素の位置は、反転されてよく、または別のやり方で変えられてよく、個別の要素もしくは位置の、性質もしくは数は、改造されるかまたは変更されてよい。したがって、そのような改変のすべては、本出願の範囲内に含まれることが企図される。任意の工程もしくは方法ステップの、順序もしくはシーケンスは、代替実施形態によって変えられてよくまたは並べ直されてよい。特許請求の範囲において、任意のミーンズプラスファンクションクレームは、本明細書で説明された構造を、列挙された機能を実施することとして、ならびに構造的同等物ばかりでなく同等の構造物として含めることが企図される。他の代替、改変、変更および省略が、本出願の範囲を逸脱することなく、例示的実施形態の設計、動作条件および配列においてなされうる。したがって、本出願は、特定の実施形態に限定されるものではなく、やはり添付の特許請求の範囲に入る種々の改変形態に及ぶ。
【0058】
さらに、例示的実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実施のすべての態様が説明されたわけではない(すなわち、今回企図された本発明遂行の最良モードと無関係なもの、または本発明を可能にすることと無関係なもの)。任意のそのような実際の実施の開発において、任意のエンジニアリングプロジェクトまたは設計プロジェクトにおけるように、多数の実施の特定の決定がなされてよいことを理解されたい。そのような開発努力は複雑で時間がかかることもあろうが、それにもかかわらず、本開示の利益を受ける当業者によっては、過度の試験をすることのない、設計、製作および製造の定常業務であろう。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、参照により本明細書に組み込まれた、2009年6月5日に出願した「サージ検出のための方法および装置(METHOD AND APPARATUS FOR SURGE DETECTION)」という名称の米国特許仮出願第61/184,551号の優先権および利益を主張するものである。
【0002】
[0002]本出願は、一般に、圧縮機のための制御システムに関する。より詳細には、本出願は、圧縮機の不安定を感知し、圧縮機を安定な動作に戻すために、不安定さに対する修正を施すためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]遠心圧縮機(centrifugal compressor)は、動作中に、サージまたはストールなどの不安定に遭遇する可能性がある。サージまたはサージングは、圧力および流れにおける振動を有する過渡現象であり、結果として圧縮機を通る流れの完全な反転をもたらす可能性がある。サージングは、制御不能の場合は、圧縮機の回転構成要素および固定構成要素の両方に過度の振動を引き起こし、結果として永久的な圧縮機故障をもたらす可能性がある。サージ状態を修正する1つの技術は、圧縮機の排出ガスのいくぶんかを圧縮機入口に戻して、圧縮機入口における流量を増加させるための高温ガスバイパス弁の開口を含んでよい。対照的に、ストールすなわち回転ストールは、圧縮機の1つまたは複数の構成要素における局所的な流れの分離であり、圧縮機の羽根車の回転周波数より小さい基本周波数における排出圧力変動を有する可能性がある。固定速度の遠心圧縮機における回転ストールは、大部分、圧縮機の拡散器において発見され、可変形状拡散器(VGD)によって修正されうる。圧縮機における回転ストールの存在は、差し迫ったサージ状態の前兆でありうる。
【0004】
[0004]遠心圧縮機のVGDは、圧縮機の排出通路の一部である、拡散器間隙の中で動くことができる環を含んでよい。VGDは、環が完全に拡散器間隙の外にあって最大ガス流量を可能にする後退位置と、環が拡散器間隙の一部を占有し、それにより、ガス流量の一部を制限する延在位置との間で環を動かすことができる。環は、ストール条件を修正するために、遠心圧縮機におけるストール条件の検出に応答して動かされてよい。
【0005】
[0005]遠心圧縮機の拡散器領域における回転ストールを検出し制御する1つの方法は、優勢な音響または音響圧力を測定するために、圧縮機排出通路または拡散器に設置された圧力変換器を使用するステップを含む。圧力変換器からの信号は、回転ストールの存在または可能性を確定するために、アナログ技術またはディジタル技術を介してフィルタをかけられ処理される。回転ストールは、測定された排出圧力のパルスまたは脈動から計算されたエネルギー量を、回転ストールの存在に対応する所定の閾量と比較することによって検出される。VGDの環は、圧力脈動レベルを低減し、ストール条件を修正するために、拡散器間隙に挿入されてよい。
【0006】
[0006]しかし、遠心圧縮機の動作範囲の一部に対して、特に圧縮機が低速で動作されているときに、圧縮機が、事前のストール条件を発生することなくサージする可能性がある。圧縮機が直接サージ状態に入ると、圧縮機に対する制御器システムは、ストール条件の前兆を感知する機会を持たない。その結果、圧縮機の制御システムは、サージ状態の始まりを可能な限り回避するための、ストール条件に対する修正措置を開始することができない。圧縮機におけるサージ状態に対処するための制御システムの他の態様は、制御システムがサージ状態を同定し、所定の手順で反応することを必要とする。制御システムがサージ状態を同定するために、制御システムが修正措置を取ることができる前の所定の長さの時間の間に、1つまたは複数のサージサイクルが発生する必要がある。また、修正ステップは、システム全体に必要とされる動作条件を維持するために、他のシステム制御との相互作用を必要とする可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0007]それゆえ、ストール条件の存在を確定すること、すなわち1つまたは複数のサージサイクルを通して待つことを必要とすることなく、サージ状態を確定するためのシステムおよび方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008]本発明は、遠心圧縮機を動作させる方法に関する。方法は、遠心圧縮機の軸の、所定の位置からの変位の振幅を測定するステップと、測定された振幅を所定の閾振幅と比較するステップとを含む。所定の閾振幅は、遠心圧縮機が安定して動作する間の軸の所定の位置からの変位の振幅に相当する。また、方法は、測定された振幅が所定の閾振幅より大きいことに応答して、サージ状態の前兆を表示するステップと、前兆が表示されたことに応答してサージ状態を修正するために、遠心圧縮機の動作パラメータを調節するステップとを含む。
【0009】
[0009]また、本発明は、遠心圧縮機を動作させる第2の方法に関する。方法は、電流を測定するステップと、測定された電流を所定の閾電流と比較するステップとを含む。所定の閾電流は、遠心圧縮機が安定して動作する間に発生する電流に相当する。また、方法は、測定された電流が所定の閾電流より小さいことに応答してサージ状態の前兆を表示するステップと、前兆が表示されたことに応答してサージ状態を修正するために、遠心圧縮機の動作パラメータを調節するステップとを含む。
【0010】
[0010]さらに、本発明は、遠心圧縮機に関する。遠心圧縮機は、羽根車と、羽根車の出力と流体連通する可変形状拡散器と、羽根車に軸で接続されたモータとを含む。また、遠心圧縮機は、モータと可変形状拡散器との動作を制御するために、センサと制御パネルとを含む。センサは、電流または軸位置の一方に関連する動作パラメータを測定するように構成され、設置される。制御パネルは、センサから測定された動作パラメータに対応する信号を受けるように構成され、センサから受けられた信号に基づいて、サージ状態の前兆が存在するかどうかを確定し、サージ状態の前兆が存在することに応答して、修正措置を取るように構成される。
【0011】
[0011]本発明は、遠心圧縮機を動作させる第3の方法に関する。方法は、遠心圧縮機に対する動作パラメータを測定するステップと、任意の無関係な情報を取り除くために、測定された動作パラメータを処理するステップとを含む。動作パラメータは、排出圧力、圧縮機振動および音響エネルギーからなる群から選択される。また、方法は、測定された動作パラメータを所定の値と比べるステップと、測定された動作パラメータが所定の値より大きいことに応答して、サージ状態の前兆を表示するステップとを含む。所定の値は、遠心圧縮機が安定して動作する間に発生する動作パラメータの値に相当する。さらに、方法は、前兆が表示されたことに応答してサージ状態を修正するために、遠心圧縮機の可変形状拡散器の位置、または遠心圧縮機の速度の少なくとも一方を調節するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】[0012]加熱、換気および空調システムのための例示的一実施形態を示す図である。
【図2】[0013]例示的な蒸気圧縮システムの等角図である。
【図3】[0014]加熱、換気および空調のシステムの例示的一実施形態を示す概略図である。
【図4】[0015]可変速度駆動の例示的一実施形態を示す概略図である。
【図5】[0016]圧縮機内の可変形状拡散器の例示的一実施形態を示す部分断面図である。
【図6】[0017]サージ状態を確定するための例示的な処理を示す図である。
【図7】[0018]例示的な、時間とともに低下する排出圧力信号を示すグラフである。
【図8】[0019]モータおよび圧縮機羽根車の例示的一実施形態を示す断面図である。
【図9】[0020]サージ状態の前、最中および後の軸方向の軸変位の例示的一実施形態を示すグラフである。
【図10】[0021]サージ状態の前、最中および後のモータ電流の例示的一実施形態を示すグラフである。
【図11】[0022]圧縮機軸付近に設置されたマイクロフォンまたは音響センサの例示的一実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0023]図1は、典型的な商用設定に対する建物12における加熱、換気および空調(HVAC)システム10に対する例示的一実施形態を示す。システム10は、建物12を冷やすために使用されうる冷却された液体を供給することができる、蒸気圧縮システム14を含んでよい。システム10は、建物12を加熱するために使用されうる加熱された液体を供給するためのボイラ16と、建物12を通して空気を循環させる空気分配システムとを含んでよい。また、空気分配システムは、空気戻りダクト18と、空気供給ダクト20と、空気処理器22とを含んでよい。空気処理器22は、導管24によってボイラ16および蒸気圧縮システム14に接続された熱交換機を含んでよい。空気処理機22内の熱交換機は、システム10の動作モードにしたがって、ボイラ16からの加熱された液体、または蒸気圧縮システム14からの冷却された液体のいずれかを受けることができる。システム10は、建物12の各階に個別の空気処理機を有するように示されるが、構成要素が複数の階の間で共用されてよいことは、理解されよう。
【0014】
[0024]図2および図3は、HVACシステム10内で使用されうる例示的蒸気圧縮システム14を示す。蒸気圧縮システム14は、圧縮機32で始まり、凝縮器34、膨脹弁もしくは膨脹装置36および蒸発器もしくは液体冷却器38を含む回路を通して、冷媒を循環させることができる。また、蒸気圧縮システム14は、アナログからディジタルへの(A/D)変換器42、マイクロプロセッサ44,不揮発メモリ46およびインターフェースボード48を含んでよい制御パネル40を含むことができる。蒸気圧縮システム14内で冷媒として使用されうる流体のいくつかの例は、例えばR−410A、R−407、R−134a、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)のハイドロフルオロカーボン(HFC)ベースの冷媒、アンモニア(NH3)、R−717、二酸化炭素(CO2)、R−744のような「天然」冷媒、または炭化水素ベースの冷媒、水蒸気もしくは他の適切な種類の冷媒である。
【0015】
[0025]圧縮機32とともに使用されるモータ50は、可変速度駆動(VSD)52で動力供給されてよく、または交流(AC)または直流(DC)の電源から直接動力供給されてよい。モータ50は、VSDによって、またはACもしくはDCの電源から直接、動力供給されうる任意の種類の電気モータを含んでよい。モータ50は、任意の適切なモータの種類、例えば、スイッチド・リラクタンス・モータ、誘導モータ、または電子的に整流される永久磁石モータであってよい。代替の例示的一実施形態では、蒸気もしくはガスの、タービンもしくはエンジン、および関連する構成要素など、他の駆動機構が、圧縮機32を駆動するために使用されてよい。
【0016】
[0026]図4は、VSDの例示的一実施形態を示す。VSD52は、AC電源から特定の固定線間電圧および固定回線周波数を有するAC電力を受け、AC電力を、所望の電圧および所望の周波数でモータ50に供給し、所望の電圧および所望の周波数は、いずれも、特定の要求を満足するように変えられてよい。VSD52は、整流器/変換器222、DCリンク224およびインバータ226の3つの構成要素を有してよい。整流器/変換器222は、AC電源からの固定周波数で固定振幅のAC電圧をDC電圧に変換する。DCリンク224は、変換器222からのDC電力をフィルタにかけ、蓄電器および/または誘導子などのエネルギー貯蔵構成要素を提供する。最後に、インバータ226は、DCリンク224からのDC電圧を、モータ50のための可変周波数で可変振幅のAC電圧に変換する。
【0017】
[0027]例示的一実施形態では、整流器/変換器222は、VSD52への入力電圧より大きいVSD52からの最大RMS出力電圧を得るために、昇圧されたDC電圧をDCリンク224に供給するための絶縁ゲートバイポーラトランジスタを有する、3相パルス幅変調昇圧整流器であってよい。あるいは、変換器222は、昇電圧能力(voltage-boosting capability)のない受動ダイオード整流器またはサイリスタ整流器であってよい。
【0018】
[0028]VSD52は、特定の負荷条件に応答して、モータ50の効率的な動作を可能にする可変振幅出力電圧および可変周波数をモータ50に供給することができる。制御パネル40は、制御信号をVSD52に供給して、制御パネル40で受けられた特定のセンサ信号(sensor reading)に対する適切な動作設定において、VSD52およびモータ50を動作させることができる。例えば、制御パネル40は、蒸気圧縮システム14内で変化する条件に応答して、VSD52で供給される出力電圧および出力周波数を調節するために、制御信号をVSD52に供給することができ、すなわち、制御パネル40は、増加または減少する圧縮機32への負荷条件に応答して、VSD52で供給された出力電圧および出力周波数を増加または減少させるように、命令を供給することができる。
【0019】
[0029]圧縮機32は、冷媒蒸気を圧縮し、排出通路を通して蒸気を凝縮器34に送り出す。例示的一実施形態では、圧縮機32は、1つまたは複数の圧縮段階を有する遠心圧縮機であってよい。圧縮機32によって凝縮器34に送り出された冷媒蒸気は、熱を流体、例えば水または空気に伝達する。冷媒蒸気は、流体との熱伝達の結果として、凝縮器34内で冷媒流体に凝縮する。凝縮器34からの液体冷媒は、膨脹装置36を通って蒸発器38に流れる。高温ガスバイパス弁(HGBV)134が、圧縮機排出から圧縮機吸入まで延びる個別配管に接続されてよい。図3に示される例示的実施形態では、凝縮器34は水冷であり、冷却塔56に接続された管束(tube bundle)54を含む。
【0020】
[0030]蒸発器38に送り出された液体冷媒は、凝縮器34に使用される流体と同じ種類であってよく、またはなくてよい、別の流体から熱を吸収し、冷媒蒸気への相変化を受ける。図3に示される例示的実施形態では、蒸発器38は、冷却負荷62に接続された供給配管60Sおよび戻り配管60Rを有する管束60を含む。処理流体、例えば、水、エチレングリコール、塩化カルシウムブライン、塩化ナトリウムブライン、または任意の他の適切な液体が、戻り配管60Rを介して蒸発器38に入り、供給配管60Sを介して蒸発器38を出る。蒸発器38は、管内の処理流体の温度を下げる。蒸発器38内の管束60は、複数の管および複数の管束を含んでよい。蒸気冷媒は、蒸発器38を出て、吸入配管によって圧縮機32に戻って、巡回すなわち循環を完了する。例示的一実施形態では、蒸気圧縮システム14は、1つまたは複数の冷媒回路において、可変速度駆動(VSD)52、モータ50、圧縮機32、凝縮器34、膨脹弁36および/または蒸発器38のそれぞれの1つまたは複数を使用してよい。
【0021】
[0031]図5は、圧縮機32の例示的一実施形態の部分断面図を例示する。圧縮機32は、冷媒蒸気を圧縮するための羽根車201を含む。羽根車201からの圧縮された蒸気は、次いで、拡散器すなわちVGD119を通過する。VGD119は、冷媒蒸気の通路のために拡散器板206とノズル基板208との間に形成された拡散器の空間すなわち拡散器間隙202を有する。ノズル基板208は、拡散器環(diffuser ring)210とともに使用するように構成される。拡散器環210は、拡散器空間すなわち拡散器間隙202を通過する冷媒蒸気の速度を制御するために使用される。拡散器環210は、拡散器間隙202を通って流れる蒸気の速度を増すために拡散器間隙202の中に延ばされてよく、拡散器間隙202を通って流れる蒸気の速度を減らすために拡散器間隙202から後退されてよい。拡散器環210は、作動装置で駆動される調節機構212を使用して、拡散器間隙202の中に延ばされてよく、拡散器間隙202から後退されてよい。
【0022】
[0032]VGD119は、冷媒流が拡散器間隙202の中で十分にスムーズな、十分に開かれた位置すなわち後退位置と、拡散器間隙202の中の冷媒流量が制限された、十分に閉じられた位置すなわち延在位置との間の任意の位置に設置されてよい。例示的一実施形態では、VGD119は、閉位置にあるときに、拡散器間隙202の中の冷媒の流れを完全に止めることはない。調節機構212は、拡散器間隙202を開閉するために、拡散器環210を連続的に、または離散的な段階で累進的に、動かすことができる。1つの種類のVGDの動作および構成要素のより詳細な説明が、参照により本明細書に組み込まれた、2005年3月29日に発行の「可変形状拡散器機構(Variable Geometry Diffuser Mechanism)」という名称の米国特許第6,872,050号の中でもたらされる。
【0023】
[0033]例示的一実施形態では、圧縮機32が2段以上の圧縮段階を有するならば、VGD119は、1つまたは複数の圧縮段階の排出通路の中に組み込まれてよい。別の例示的実施形態では、2つ以上のVGD119が、羽根車201からの冷媒の流れを制御し、それにより圧縮機32の能力を制御するために、拡散器間隙202の中に設置されてよい。
【0024】
[0034]他の例示的一実施形態では、拡散器環210の位置決めで、圧縮機32内のサージ状態およびストール条件を減らすかまたは無くすことができ、部分的負荷条件で動作させるときの圧縮機32の動作効率を改善することができる。例示的一実施形態では、能力制御のためにVGD119をVSD52と組み合わせて使用することで、部分負荷における圧縮機32の効率を改善することができる。
【0025】
[0035]制御パネル40は、A/D変換器42に加えてディジタルからアナログへの(D/A)変換器を含んでよい。さらに、制御パネル40は、操作者が制御パネル40と相互作用することを可能にするユーザインターフェース194に接続されてよく、またはユーザインターフェース194を組み込んでよい。操作者は、ユーザインターフェース194を介して制御パネル40に対する命令を選択し入力することができる。さらに、ユーザインターフェース194は、蒸気圧縮システム14の動作状態に関して、制御パネル40からメッセージおよび情報を表示することができる。ユーザインターフェース194は、蒸気圧縮システム14または制御パネル40の上に装着されるなど、制御パネル40に局所的に配置されてよく、あるいは、ユーザインターフェース194は、蒸気圧縮システム14から離れた別個の制御室内に配置されるなど、制御パネル40から離れて配置されてよい。
【0026】
[0036]制御パネル40では、A/D変換器42および/またはインターフェースボード48は、蒸気圧縮システム14に対する動作パラメータを提供する、システムセンサおよび構成要素からの入力信号を受けることができる。例えば、制御パネル40で受けられた入力信号は、管束60から出て行く冷却された液体の温度、蒸発器38および凝縮器34の中の冷媒圧力、圧縮機排出温度センサ、圧縮機オイル温度センサ、圧縮機オイル供給圧力センサ、VGD位置センサ、ならびに圧縮機排出通路内の音響圧力もしくは音波圧力の測定値を含んでよい。制御パネル40は、蒸気圧縮システム14の動作を制御し、蒸気圧縮システム14の種々のセンサおよび制御装置と交信するために、信号を蒸気圧縮システム14の構成要素に伝送するためのインターフェースボード48を使用することができる。
【0027】
[0037]制御パネル40は、圧縮機32、VSD52、凝縮器34および蒸気圧縮システム14の他の構成要素を含む、蒸気圧縮システム14の動作を制御するために、単一もしくは中央の、制御アルゴリズムもしくは制御システムを実行もしくは使用することができる。一実施形態では、制御アルゴリズムは、マイクロプロセッサ44で実行可能な一連の命令を有する不揮発メモリ46に記憶されたコンピュータプログラムまたはソフトウェアであってよい。制御アルゴリズムが、コンピュータプログラムの中に埋め込まれ、マイクロプロセッサ44で実行されうる一方で、制御アルゴリズムが、ディジタルおよび/またはアナログのハードウェアを使用して組み込まれ、実行されてよいことは、当業者には理解されよう。ハードウェアが制御アルゴリズムを実行するために使用されるならば、対応する制御パネル40の構成は、必要な構成要素を組み入れ、もはや必要とされない任意の構成要素を取り除くように変更されてよい。さらに別の実施形態では、制御パネル40は、各制御器が別個の機能を実施する複数の制御器を、制御パネル40の出力を確定する中央制御器とともに組み入れてよい。
【0028】
[0038]例示的一実施形態では、制御アルゴリズムは、本出願の目的として、ストール条件およびサージ状態が存在しないシステムおよび圧縮機の安定(圧縮機の安定動作)を維持するために、特定の圧縮機条件に応答して、VGD119内の拡散器環210を何時延ばし、何時後退させるかを確定することができる。さらに、制御パネル40は、システムおよび圧縮機の安定を維持するために、特定の圧縮機条件に応答して可変速度駆動を有するモータの速度を制御または調節することによって、圧縮機の速度を調節または制御するための制御アルゴリズムを使用することができる。さらに、制御パネル40は、システムおよび圧縮機の安定を維持するために、特定の圧縮機条件に応答して、HGBV134が存在するならばそれを開閉するための制御アルゴリズムを使用することができる。
【0029】
[0039]制御パネル40のマイクロプロセッサ44で実行される中央制御アルゴリズムは、圧縮機32から所望の能力を生成させて冷却負荷を満足させるために、VSD52を介してモータ50の速度を制御し、それにより圧縮機32の速度を制御するための、能力制御のプログラムもしくはアルゴリズムを含んでよい。例示的一実施形態では、能力制御プログラムは、その温度が蒸気圧縮システム14に対する冷却負荷需要の指標となる、蒸発器38内の、出て行く冷却された液体の温度に応答して、モータ50および圧縮機32の所望の速度を自動的に確定することができる。所望の速度を確定した後、制御パネル40は、制御信号をVSD52に送りまたは伝達し、それによりモータ50の速度を加減する。
【0030】
[0040]能力制御プログラムは、蒸気圧縮システム14の選択されたパラメータを所定の範囲内に維持するように構成されてよい。選択されたパラメータは、モータ速度、出て行く冷却された液体の温度、モータ出力、ならびに最低圧縮機速度および可変形状拡散器位置に対するサージ発生限界を含む。能力制御プログラムは、連続的に監視し、システムの冷却負荷の変化に応答してモータ50および圧縮機32の速度を変更するために、種々の動作パラメータを監視するセンサからの連続的な帰還を利用してよい。言い換えれば、蒸気圧縮システム14は、付加されるか縮減されるかいずれかの冷却能力を必要とするので、蒸気圧縮システム14内の圧縮機32の動作パラメータは、新しい冷却能力要求に応答して相応に更新または改定される。最大動作効率を維持するために、圧縮機32の動作速度は、能力制御アルゴリズムで頻繁に変更されてよく、または調節されてよい。さらに、システム負荷要求とは別に、能力制御プログラムはまた、蒸気圧縮システム14内の冷媒の体積流量を最適化し、結果として圧縮機32の効率を最大化するために、冷媒システムの圧力差を連続的に監視してよい。
【0031】
[0041]マイクロプロセッサ44によって制御パネル40上で実行される中央制御アルゴリズムは、サージ状態またはサージサイクルの発生または前兆を同定するための、種々の方法または技術を含んでよい。サージ状態またはサージサイクルの発生または前兆を同定するための、種々の方法または技術の多くは、蒸気圧縮システム14内に既存のセンサまたは構成要素を使用し、追加のセンサまたは構成要素の取り付けを必要としない。
【0032】
[0042]例示的一実施形態では、圧力変換器または圧力センサ160(図3参照)が、圧縮機32に対する排出通路内に置かれてよい。圧力変換器または圧力センサ160が、排出圧力を直接感知して、排出圧力信号(PD)を生成させるために使用されてよい。この排出圧力信号(PD)が、ストール条件の検出、能力制御、および効率的な圧縮機動作など、数多くの目的のために制御システムによって使用されてよい。さらに、PDの値の変化が、サージ状態が始まったかまたは進行中であることを表示してよい。一代替実施形態では、排出圧力信号(PD)がフィルタにかけられ、次いで、図6に示される工程などによって、サージ状態の表示のために分析される。
【0033】
[0043]図6では、サージ状態の始まりまたは発生を確定するために、信号PDを分析するための工程が示される。工程は、制御パネル40がセンサ160からアナログ信号を受けるステップ(ステップ64)と、受けられた信号をA/D変換器42でディジタル信号に変換するステップ(ステップ66)とによって始まる。一代替実施形態では、制御パネル40は、センサ160からディジタル信号を受けることができ、それゆえ工程を継続する前に信号を変換する必要はない。次いで、PDに対応するディジタル信号が、制御パネル40のディジタル信号処理(DSP)チップ143(図3参照)内にプログラムされた高速フーリエ変換(FFT)で処理される(ステップ68)。例示的一実施形態では、DSP 143は、FFTを実時間で実行するために、乗算および累算など、任意の必要な演算または計算を実施するように構成されてよい。
【0034】
[0044]ディジタル化された、センサ160からの入力信号にFFTを適用することで、複数の周波数および対応する振幅が生成され、その振幅は、エネルギー値に関連することができる。基本周波数の特定のまたは所定の範囲だけが、サージ状態の検出に必要とされるので、基本周波数の所定の範囲内の周波数だけが、分析される必要がある。所定の範囲の外の周波数、または所定の範囲内にあるがサージ状態に関連しない周波数は、廃棄されるかまたは無視されてよい。例えば、圧縮機32の動作速度に関連する周波数は、それに関連する高調波とともに、取り除かれるかまたはゼロに設定されてよい。同様に、電力に関連する周波数、例えば60Hzが、それに関連する高調波とともに、取り除かれるかまたはゼロに設定されてよい。例示的一実施形態では、帯域通過フィルタが、関心のある周波数を取り出すために、FFTからの出力に適用されてよい。別の実施形態では、関心のあるいくつかの周波数だけが分析されることを可能にするために、FFTを実行する前に、帯域通過フィルタが信号PDに適用されてよい。
【0035】
[0045]関係のない周波数および関心のない周波数を除去した後に、残留する成分すなわちFFTからの周波数が分析される(ステップ70)。分析された結果が、サージ状態またはサージ状態の前兆が存在するかどうかを確定するために使用されうる(ステップ72)。サージ状態または前兆が存在することが確定されたならば、制御システムは、修正工程または修正措置を開始することができ(ステップ74)、工程は終了する。しかし、サージ状態が存在することが確定されないならば、工程は、センサ160で圧力値を測定するための工程の開始に戻る。
【0036】
[0046]例示的一実施形態では、サージ状態またはサージ状態の前兆の検出は、関心のある周波数の振幅を組み合わせるかまたは合計し、次いで、合計された値またはもたらされた値を、サージ状態または前兆を定義する閾値と比べることに基づいてよい。結果としてもたらされた値が閾値より大きいならば、サージ状態または前兆が存在することが確定される。閾値は、FFT成分から合計された値または結果として生じる値に対する正常動作値、すなわちサージ状態が存在しないときのFFT成分から合計された値または結果として生じる値の倍数に等しい値に設定されてよい。正常動作に対する値および閾値は、分析される信号の強度、および信号対ノイズ比を向上させるために信号に加えられる増幅の量によって決まる。別の実施形態では、サージ状態または前兆は、残留する周波数のスペクトルにおける尖頭が、所定の閾値を超えるかどうかを確定することによって検出されてよい。
【0037】
[0047]サージを確定するための別の例示的実施形態では、センサ160からの信号PDは、減少するDC成分のレベルに対して分析されてよい。図7に示されるように、センサ160からの信号PDは、重畳されたAC成分158を伴うDC成分156を有する。DC成分156を得るために、AC成分すなわち脈動158が、信号PDからフィルタで取り除かれてよい。次いで、制御システムは、信号PDのDC成分のRMS値を計算する。サージ状態を確定するために、信号のDC成分のRMS値が、平均レベルが低下または減少しているかどうかを確定するために、順次、前のRMS値と比較される。サージ状態が表示されたならば、VGD119および/または圧縮機速度が、システムに安定が戻るまで、上で説明されたように調節される。
【0038】
[0048]さらに別の実施形態では、サージ状態の前兆または存在が、圧縮機およびモータに対する軸の、軸方向および/もしくは径方向の、変位もしくは摂動の振幅を測定することによって確定されてよい。図8は、一実施形態における、圧縮機32のモータ50および羽根車201の断面図を示す。モータ50は、2つ以上の電磁軸受200を含んでよい。電磁軸受200が、モータ50の両端に配置されてよく、回転素子軸受または流体膜軸受のような従来技術の代わりに、モータ50の回転子または軸164を浮上させるために使用されてよい。電磁軸受200は、軸164の位置を監視し、位置情報を制御パネル40に供給することができる。次いで、制御パネル40は、軸164の中心を所望の位置に、または所望の許容範囲内に維持するために、電磁軸受200に供給される電流を調節することができる。軸164の中心に対する所望の位置は、電磁軸受の軸とほぼ同軸、または許容差内であってよい。本明細書で使用されるように、軸164の正常動作はまた、中心に置かれた位置とも呼ばれ、軸の軸線が軸受の軸線と一致する(または、許容差内に存在する)ことを意味する。
【0039】
[0049]電磁軸受200における、圧縮機軸の位置の、軸方向または径方向のいずれかの、不安定な断続的な軌道、逸脱または摂動が、サージ状態の始まりまたは発生を確定するために使用されてよい。図9は、中心に置かれた位置からサージサイクルに対して、すなわち安定な圧縮機動作からサージ状態を経て再び安定な圧縮機動作に戻る、軸164の軸方向変位(マイクロメートル、μm)の振幅を示す。図9では、安定な圧縮機動作が領域90で発生し、サージ状態が領域92で発生し、サージ状態からの回復が領域94で発生し、サージ状態の前兆が領域96で発生する。例示的一実施形態では、サージ状態の前兆は、圧縮機内の流れの反転に対応し、サージ状態は、圧縮がなく反対方向に流れる状態における羽根車の自由回転に対応し、サージ状態からの回復は、羽根車が、圧力上昇および正方向の流れを発達させて、再び負荷を受け始めることに対応する。
【0040】
[0050]制御システムは、電磁軸受200でもたらされる圧縮機軸位置を分析してサージ状態の前兆を同定することができ、例えばVGD119を調節するかまたは圧縮機32の速度を増すことによって、サージ状態を修正するための措置を取ることができる。制御システムは、測定された軸方向の軸変位の振幅が、安定した圧縮機動作における軸方向の軸変位の振幅より大きいときを確定することによって、サージ状態の前兆を同定することができる。
【0041】
[0051]例示的一実施形態では、測定された軸方向の軸変位の振幅は、サージ状態の前兆を表示するための、正常動作における軸方向の軸変位の振幅より大きい所定の量であってよい。例えば、測定された軸方向の軸変位の振幅が、正常動作における軸方向の軸変位の振幅より20μm以上大きいときに、サージ状態の前兆が表示されてよい。別の例示的実施形態では、測定された軸方向の軸変位の振幅は、サージ状態の前兆を表示するための、正常動作における軸方向の軸変位の振幅より数倍または数桁大きくてよい。例えば、サージ状態の前兆は、測定された軸方向の軸変位の振幅が、正常動作における軸方向の軸変位の振幅より約4倍と約25倍との間であるときに、表示されてよい。別の例示的実施形態では、径方向の軸変位の振幅の分析が、軸方向の軸変位の振幅の分析と同様に、サージ状態の前兆を確定するために実施されてよい。
【0042】
[0052]さらに別の例示的実施形態では、軸方向および径方向の軸変位の振幅の測定が、磁気軸受200からではなく、圧縮機軸164の近くに配置された位置検出プローブ(position-sensing probe)162(図8参照)から得られてよい。位置検出プローブ162は、変位振幅の測定値を制御パネル40に供給することができ、制御パネル40は、次いで、その測定値を、電磁軸受の変位振幅の測定値と同じ方法で分析することができる。
【0043】
[0053]他の例示的実施形態では、電磁軸受200内で測定された電流が、同様に、ストール条件または差し迫ったサージ状態を検出するために使用されてよい。電磁軸受200を通る電流の増加は、その電流レベルが所定の閾値を超えるならば、ストール条件またはサージ状態の存在を表示してよい。
【0044】
[0054]別の例示的実施形態では、サージ状態が、サージ状態を表示するために、モータ電流またはVSD52内のDCリンク電流を監視することによって検出されてよい。DCリンク電流のモータ電流は、任意の適切な装置で測定および/または監視されてよく、制御パネル40に供給されてよい。図10は、サージサイクル、すなわち安定な圧縮機動作からサージ状態を経て再び安定な動作に戻るサイクル、に対するモータ電流(アンペア、A)を示す。図10では、安定な圧縮機動作が領域102で発生し、サージ状態および回復が領域104で発生し、サージ状態の前兆が領域106で発生する。
【0045】
[0055]制御システムは、サージ状態の前兆を同定するためにモータ電流を分析することができ、例えばVGD119を調節することによって、サージ状態を修正するための措置を取ることができる。制御システムは、測定されたモータ電流が、安定な圧縮機動作におけるモータ電流より小さいときを確定することによって、サージ状態の前兆を同定することができる。例示的一実施形態では、測定されたモータ電流は、サージ状態の前兆を表示するために、正常動作におけるモータ電流より小さい所定の量であってよい。例えば、サージ状態の前兆は、測定されたモータ電流が、正常動作におけるモータ電流より約150Aと約350Aとの間の電流だけ小さいときに表示されてよい。サージ状態の前兆を表示するために必要な、モータ電流の特定の減少量は、モータ馬力およびモータ電圧など、いくつかの要因に基づいて変わる可能性がある。別の例示的実施形態では、測定されたモータ電流は、サージ状態の前兆を表示するために、正常動作におけるモータ電流の縮減されたパーセンテージであってよい。例えば、サージ状態の前兆は、測定されたモータ電流が、正常動作におけるモータ電流の約25%と約60%との間であるときに表示されてよい。
【0046】
[0056]次に図11を参照すると、音響検出が、マイクロフォンまたは音響センサ166を使用して実施されてよい。マイクロフォン166は、関心のある周波数(圧縮機内のサージ状態を随伴する周波数)以外の音響周波数を減衰させるために、同調フィルタを任意選択で含んでよい。別の例示的実施形態では、ストールもしくはサージに関連する振動を測定するように構成された加速度計(加速度を測定する装置)、または単軸振動および多軸振動の変換器またはセンサが、圧縮機の振動および衝撃を感知するために使用されてよい。軸を含めた圧縮機の振動が、マイクロフォン166で検出され、回転ストールまたは差し迫ったサージ状態を確定するために使用されうる空気伝播音を生成する。
【0047】
[0057]マイクロフォン166および/または加速度計および/または振動センサの出力は、サージに関連する音響エネルギーと、他の音源または振動源によるエネルギーとの間を識別するように調整されてよい。一実施形態では、調整は、基本サージ周波数およびその主要な高調波を含む周波数の範囲内のエネルギー量を単純に測定することによって発生させることができる。他の調整方式では、サージ状態のエネルギーのみの存在を検出する能力を強化するために、サージに関連する領域内でサージに関連しないいくつかの周波数が感知され、分析から取り除かれてよい。マイクロフォン166および/または加速度計および/または振動センサからの調整された出力信号が、所定の周波数、例えば約1KHzに対して線形加算され、閾値と比較されてよい。調整された出力信号が、閾量より所定の値、例えば10デシベル、dBだけ大きいならば、サージ状態の前兆が検出され、ストール条件または差し迫ったサージ状態を回避するための修正措置が取られてよい。
【0048】
[0058]別の例示的実施形態では、サージ状態の間に羽根車を通して暖かい凝縮器の蒸気の反転流れが、圧縮機の入口における温度を上昇させるので、羽根車付近の圧縮機の入口における流体温度の上昇が、サージ状態の前兆を確定するために使用されうる。圧縮機に入る流体温度を測定するために、動的温度センサ(図示せず)が、動的応答時間とともに使用されてよい。
【0049】
[0059]本出願において議論されるサージ検出および前兆検出の技術は、単段遠心圧縮機または多段遠心圧縮機に適用することができる。多段遠心圧縮機に対して、本出願において議論されるサージ検出および前兆検出の技術は、第1段、最終段または中間の段のうちの1段または複数段に適用されてよい。
【0050】
[0060]検出されたサージ状態または前兆を修正するために、制御パネルおよび制御システムは、遠心圧縮機の拡散器間隙の中に拡散器環を挿入することができる。代替として、または付加的に、制御パネルおよび制御システムは、検出されたサージ状態または前兆を修正するために、可変速度駆動を用いて遠心圧縮機の速度を、例えば3Hz、5Hzまたは7Hzだけ実質的に増加させることができる。
【0051】
[0061]例示的一実施形態は、サージ状態に関連する圧力の経時的変化を同様に感知するストール検出のために、圧縮機の排出物内で圧力変換器を使用することに関する。圧力変換器信号を適切に処理することによって、単一のサージ発生またはサージサイクルが同定可能であり、制御システムは、圧縮機の所与の動作条件において、さらなるサージサイクルを防いで修正するために、VGDを拡散器間隙内に延ばすことによって対処することができる。
【0052】
[0062]さらに別の例示的実施形態は、圧縮機入口と、圧縮機出口と、調節可能な流れ通路を有する可変形状拡散器とを有する遠心圧縮機の、安定な動作を維持するための安定性制御システムに関する。安定性制御システムは、遠心圧縮機内でサージ状態または前兆を検出したことに応答して、可変形状拡散器の流れ通路を調節するためのサージ対処状態を有する。サージ状態を感知し検出する1つの方法は、排出圧力(PD)信号を制御パネルに伝達するために、圧縮機排出管路内に配置された圧力変換器を使用してよい。サージ状態または前兆を感知し検出する他の方法は、圧縮機軸の軸方向および径方向の軸移動の測定値か、圧縮機内の電磁軸受によって使用される電流か、圧縮機駆動モータを通る電流もしくはVSDのDCリンクにおける電流か、圧縮機もしくはモータからの音の生成(音響圧力もしくは音響波)か、または圧縮機振動を使用することができる。
【0053】
[0063]本出願は、以下の記載で説明されるかまたは図面で例示された詳細または手順に限定されるものではないことを理解されたい。また、本明細書で使用される用語および術語は、説明することだけが目的であり、限定としてみなされるべきではないことも理解されたい。
【0054】
[0064]本出願は、その動作を達成するための、任意の機械可読媒体における方法、システムおよびプログラム製品を企図する。本出願の実施形態は、既存のコンピュータプロセッサを使用して、または適切なシステムのための専用のコンピュータプロセッサによって、またはハードウェアシステムによって実施されてよい。
【0055】
[0065]本出願の範囲内の実施形態は、プログラム製品に記憶された、機械で実行可能な命令またはデータ構造を伝えるためまたは有するための機械可読媒体を含むプログラム製品を含む。機械可読媒体は、汎用もしくは専用のコンピュータ、またはプロセッサを有する他の機械でアクセス可能な、任意の市販の非一時的媒体であってよい。例として、機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、または他の任意選択のディスク記憶、磁気ディスク記憶もしくは他の磁気記憶装置、または機械で実行可能な命令もしくはデータ構造の形の所望のプログラムコードを伝えるかまたは記憶するために使用可能であり、かつ汎用もしくは専用のコンピュータ、またはプロセッサを有する他の機械でアクセス可能な任意の他の媒体を含んでよい。情報が、ネットワークまたは別の通信接続(有線、無線、または有線と無線の組合せのいずれか)を介して機械に転送または供給されると、機械は、その接続を機械可読媒体として適切にとらえる。上記の組合せもまた、機械可読媒体の範囲の中に含まれる。機械で実行可能な命令は、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータまたは専用処理機械に、ある機能もしくは機能群を実施させる命令およびデータを含む。
【0056】
[0066]本明細書の図面は、方法ステップの特定の順序を示すが、そのステップの順序は、描かれているものとは異なってよい。また、2つ以上のステップが、同時に、または部分的に同時に実施されてよい。ステップ実施における変化は、選択されたソフトウェアおよびハードウェアのシステム、ならびに設計者の選択によって左右されうる。そのような変化のすべては、本出願の範囲内に入る。同様に、ソフトウェアの実施は、種々の接続ステップ、処理ステップ、比較ステップおよび決定ステップを達成するためのルールベースの論理および他の論理を有する標準的なプログラミング技術を用いて達成されてよい。
【0057】
[0067]種々の例示的実施形態に示されるような本出願の構造および配列は、単なる例であることに留意することが重要である。本開示において、ほんの数個の実施形態が詳細に説明されたにすぎないが、本出願で説明された主題の新しい教示および利点から著しく逸脱することなく、多くの改変が可能であること(例えば、種々の要素の大きさ、寸法、構造、形状および比率の変化、パラメータ値(例えば、温度、圧力など)、装着配列、材料の使用法、色、向きなど)を、この開示を精査する人達は、容易に理解するであろう。例えば、一体的に形成されるように示される要素は、複数の部品または要素で構築されてよく、要素の位置は、反転されてよく、または別のやり方で変えられてよく、個別の要素もしくは位置の、性質もしくは数は、改造されるかまたは変更されてよい。したがって、そのような改変のすべては、本出願の範囲内に含まれることが企図される。任意の工程もしくは方法ステップの、順序もしくはシーケンスは、代替実施形態によって変えられてよくまたは並べ直されてよい。特許請求の範囲において、任意のミーンズプラスファンクションクレームは、本明細書で説明された構造を、列挙された機能を実施することとして、ならびに構造的同等物ばかりでなく同等の構造物として含めることが企図される。他の代替、改変、変更および省略が、本出願の範囲を逸脱することなく、例示的実施形態の設計、動作条件および配列においてなされうる。したがって、本出願は、特定の実施形態に限定されるものではなく、やはり添付の特許請求の範囲に入る種々の改変形態に及ぶ。
【0058】
さらに、例示的実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実施のすべての態様が説明されたわけではない(すなわち、今回企図された本発明遂行の最良モードと無関係なもの、または本発明を可能にすることと無関係なもの)。任意のそのような実際の実施の開発において、任意のエンジニアリングプロジェクトまたは設計プロジェクトにおけるように、多数の実施の特定の決定がなされてよいことを理解されたい。そのような開発努力は複雑で時間がかかることもあろうが、それにもかかわらず、本開示の利益を受ける当業者によっては、過度の試験をすることのない、設計、製作および製造の定常業務であろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心圧縮機を動作させる方法であって、
前記遠心圧縮機の軸の、所定の位置からの変位の振幅を測定するステップと、
前記測定された振幅を、前記遠心圧縮機が安定に動作する間の前記軸の前記所定の位置からの前記変位の振幅に対応する所定の閾振幅と比較するステップと、
前記測定された振幅が前記所定の閾振幅より大きいことに応答してサージ状態の前兆を表示するステップと、
前記前兆が表示されたことに応答して前記サージ状態を修正するために、前記遠心圧縮機の動作パラメータを調節するステップとを含む、方法。
【請求項2】
軸の変位の振幅を測定するステップが、前記軸の軸方向変位の振幅を測定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
サージ状態の前兆を表示するステップが、前記測定された振幅が前記所定の閾振幅より所定の量だけ大きいことに応答してサージ状態の前兆を表示するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の量が約20マイクロメートルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
サージ状態の前兆を表示するステップが、前記測定された振幅が前記所定の閾振幅より所定の乗数分だけ大きいことに応答してサージ状態の前兆を表示するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記所定の乗数が約4と約25との間である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記軸の軸方向変位の振幅を測定するステップが、磁気軸受または位置検出プローブの少なくとも一方によって前記軸の軸方向変位の振幅を測定するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記遠心圧縮機の動作パラメータを調節する前記ステップが、前記遠心圧縮機の可変形状拡散器の位置を調節するステップ、または前記遠心圧縮機の速度を調節するステップの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
遠心圧縮機を動作させる方法であって、
電流を測定するステップと、
前記測定された電流を、前記遠心圧縮機が安定に動作する間に発生する電流に対応する、所定の閾電流と比較するステップと、
前記測定された電流が前記所定の閾電流より小さいことに応答してサージ状態の前兆を表示するステップと、
前記前兆が表示されたことに応答して前記サージ状態を修正するために、前記遠心圧縮機の動作パラメータを調節するステップとを含む、方法。
【請求項10】
電流を測定するステップが、モータ電流を測定するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
サージ状態の前兆を表示するステップが、前記測定された電流が前記所定の閾電流より所定のパーセンテージで小さいことに応答してサージ状態の前兆を表示するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記所定のパーセンテージが、約25%と約60%との間である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
サージ状態の前兆を表示するステップが、前記測定された電流が前記所定の閾電流より所定の量だけ小さいことに応答してサージ状態の前兆を表示するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記遠心圧縮機の動作パラメータを調節するステップが、前記遠心圧縮機の可変形状拡散器の位置を調節するステップ、または前記遠心圧縮機の速度を調節するステップの少なくとも一方を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
電流を測定するステップが、可変速度駆動からのDCリンク電流または前記遠心圧縮機内の磁気軸受に供給される電流を測定するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
羽根車と、
前記羽根車の出力と流体連通する可変形状拡散器と、
前記羽根車に軸で接続されるモータと、
電流または軸位置の一方に関連する動作パラメータを測定するように構成され、設置されたセンサと、
前記センサから前記測定された動作パラメータに対応する信号を受けるように構成された、前記モータおよび前記可変形状拡散器の動作を制御するための制御パネルとを備え、
前記制御パネルが、前記センサから前記受けられた信号に基づいて、サージ状態の前兆が存在するかどうかを確定し、サージ状態の前兆が存在することに応答して修正措置を取るように構成される、遠心圧縮機。
【請求項17】
前記モータに動力を供給するために前記モータに接続された可変速度駆動と、
前記軸を浮上させるための少なくとも1つの磁気軸受とをさらに備える、請求項16に記載の遠心圧縮機。
【請求項18】
前記センサが、
前記軸の軸方向変位を測定するためのセンサと、
前記軸の径方向変位を測定するためのセンサと、
前記モータに対する電流を測定するためのセンサと、
前記少なくとも1つの電磁軸受に対する電流を測定するためのセンサと、
前記可変速度駆動のDCリンク内の電流を測定するためのセンサとのうちの1つを含む、請求項17に記載の遠心圧縮機。
【請求項19】
遠心圧縮機を動作させる方法であって、
排出圧力、圧縮機振動および音響エネルギーからなる群から選択された、遠心圧縮機に対する動作パラメータを測定するステップと、
任意の無関係な情報を取り除くために、前記測定された動作パラメータを処理するステップと、
前記測定された動作パラメータを、前記遠心圧縮機が安定に動作する間に発生する前記動作パラメータの値に対応する所定の値と比較するステップと、
前記測定された動作パラメータが前記所定の値より大きいことに応答してサージ状態の前兆を表示するステップと、
前記前兆が表示されたことに応答して前記サージ状態を修正するために、前記遠心圧縮機の可変形状拡散器の位置、または前記遠心圧縮機の速度の少なくとも一方を調節するステップとを含む、方法。
【請求項20】
前記測定された動作パラメータが音響エネルギーであり、
サージ状態の前兆を表示するステップが、前記測定された音響エネルギーが前記所定の値より10デシベル大きいことに応答してサージ状態の前記前兆を表示するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項1】
遠心圧縮機を動作させる方法であって、
前記遠心圧縮機の軸の、所定の位置からの変位の振幅を測定するステップと、
前記測定された振幅を、前記遠心圧縮機が安定に動作する間の前記軸の前記所定の位置からの前記変位の振幅に対応する所定の閾振幅と比較するステップと、
前記測定された振幅が前記所定の閾振幅より大きいことに応答してサージ状態の前兆を表示するステップと、
前記前兆が表示されたことに応答して前記サージ状態を修正するために、前記遠心圧縮機の動作パラメータを調節するステップとを含む、方法。
【請求項2】
軸の変位の振幅を測定するステップが、前記軸の軸方向変位の振幅を測定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
サージ状態の前兆を表示するステップが、前記測定された振幅が前記所定の閾振幅より所定の量だけ大きいことに応答してサージ状態の前兆を表示するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の量が約20マイクロメートルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
サージ状態の前兆を表示するステップが、前記測定された振幅が前記所定の閾振幅より所定の乗数分だけ大きいことに応答してサージ状態の前兆を表示するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記所定の乗数が約4と約25との間である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記軸の軸方向変位の振幅を測定するステップが、磁気軸受または位置検出プローブの少なくとも一方によって前記軸の軸方向変位の振幅を測定するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記遠心圧縮機の動作パラメータを調節する前記ステップが、前記遠心圧縮機の可変形状拡散器の位置を調節するステップ、または前記遠心圧縮機の速度を調節するステップの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
遠心圧縮機を動作させる方法であって、
電流を測定するステップと、
前記測定された電流を、前記遠心圧縮機が安定に動作する間に発生する電流に対応する、所定の閾電流と比較するステップと、
前記測定された電流が前記所定の閾電流より小さいことに応答してサージ状態の前兆を表示するステップと、
前記前兆が表示されたことに応答して前記サージ状態を修正するために、前記遠心圧縮機の動作パラメータを調節するステップとを含む、方法。
【請求項10】
電流を測定するステップが、モータ電流を測定するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
サージ状態の前兆を表示するステップが、前記測定された電流が前記所定の閾電流より所定のパーセンテージで小さいことに応答してサージ状態の前兆を表示するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記所定のパーセンテージが、約25%と約60%との間である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
サージ状態の前兆を表示するステップが、前記測定された電流が前記所定の閾電流より所定の量だけ小さいことに応答してサージ状態の前兆を表示するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記遠心圧縮機の動作パラメータを調節するステップが、前記遠心圧縮機の可変形状拡散器の位置を調節するステップ、または前記遠心圧縮機の速度を調節するステップの少なくとも一方を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
電流を測定するステップが、可変速度駆動からのDCリンク電流または前記遠心圧縮機内の磁気軸受に供給される電流を測定するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
羽根車と、
前記羽根車の出力と流体連通する可変形状拡散器と、
前記羽根車に軸で接続されるモータと、
電流または軸位置の一方に関連する動作パラメータを測定するように構成され、設置されたセンサと、
前記センサから前記測定された動作パラメータに対応する信号を受けるように構成された、前記モータおよび前記可変形状拡散器の動作を制御するための制御パネルとを備え、
前記制御パネルが、前記センサから前記受けられた信号に基づいて、サージ状態の前兆が存在するかどうかを確定し、サージ状態の前兆が存在することに応答して修正措置を取るように構成される、遠心圧縮機。
【請求項17】
前記モータに動力を供給するために前記モータに接続された可変速度駆動と、
前記軸を浮上させるための少なくとも1つの磁気軸受とをさらに備える、請求項16に記載の遠心圧縮機。
【請求項18】
前記センサが、
前記軸の軸方向変位を測定するためのセンサと、
前記軸の径方向変位を測定するためのセンサと、
前記モータに対する電流を測定するためのセンサと、
前記少なくとも1つの電磁軸受に対する電流を測定するためのセンサと、
前記可変速度駆動のDCリンク内の電流を測定するためのセンサとのうちの1つを含む、請求項17に記載の遠心圧縮機。
【請求項19】
遠心圧縮機を動作させる方法であって、
排出圧力、圧縮機振動および音響エネルギーからなる群から選択された、遠心圧縮機に対する動作パラメータを測定するステップと、
任意の無関係な情報を取り除くために、前記測定された動作パラメータを処理するステップと、
前記測定された動作パラメータを、前記遠心圧縮機が安定に動作する間に発生する前記動作パラメータの値に対応する所定の値と比較するステップと、
前記測定された動作パラメータが前記所定の値より大きいことに応答してサージ状態の前兆を表示するステップと、
前記前兆が表示されたことに応答して前記サージ状態を修正するために、前記遠心圧縮機の可変形状拡散器の位置、または前記遠心圧縮機の速度の少なくとも一方を調節するステップとを含む、方法。
【請求項20】
前記測定された動作パラメータが音響エネルギーであり、
サージ状態の前兆を表示するステップが、前記測定された音響エネルギーが前記所定の値より10デシベル大きいことに応答してサージ状態の前記前兆を表示するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−528989(P2012−528989A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514173(P2012−514173)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/037398
【国際公開番号】WO2010/141815
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(598147400)ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー (224)
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/037398
【国際公開番号】WO2010/141815
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(598147400)ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー (224)
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
【Fターム(参考)】
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