説明

制御ヘッド軸受け部の固定機構

本発明は、自転車などの二輪車の制御ヘッド軸受け部用の固定機構に属しており、この制御ヘッド軸受け部は、上側および下側の軸受ユニットを有しており、この軸受ユニットによって、二輪車のフォークのシャフトパイプが二輪車のフレームの制御ヘッドパイプと回転運動可能に結合可能である。
本発明によれば、固定機構は、上側の軸受ユニット(3)の上方でシャフトパイプ(2)にロック可能な対抗受部から成り、この対抗受部は、上側の軸受ユニット(3)に軸方向の圧力を加えるための機構(以下、軸方向圧力機構と言う)と動作結合されている。
これは、制御ヘッド軸受け部の遊びの固定が、ハンドル固定から完全に独立しているという利点を有している。軸方向圧力機構を備えた本発明の対抗受部をシャフトパイプに装着し、上側の軸受ユニットにぶつかるまでスライドさせてから、対抗受部をシャフトパイプにロックする。その後、前記の機構により上の軸受ユニットに軸方向の圧力を加える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主請求項の属概念に基づく、自転車などの二輪車の制御ヘッド軸受け部のための固定機構、および制御ヘッド軸受け部の固定方法に属する。
【背景技術】
【0002】
二輪車のフレームの一部である制御ヘッドパイプとフォークのシャフトパイプの間の軸受け部に遊びがないことを保証するために、軸受け部には、軸方向の力が永続的に加えられなければならない。フォークのシャフトパイプ内にねじ込んた調整ねじによって、上側の軸受ユニットの分断された圧力リングにハンドルステムを押し付ける(特許文献1)、またはシャフトパイプの外側にねじ止めた固定ナットが、テンションリングを円錐形のセンタリングリングに押し付ける(特許文献)、そのための既知のねじ結合は、シャフトパイプの断面を脆弱にするねじ溝、およびそのねじ溝に基づくシャフトパイプへのノッチ効果により、安定性が限られている。
【0003】
この欠点を回避するために、シャフトパイプと制御ヘッドパイプとを遊びなしに結合するためのクランプ継手が開発された。クランプ作用は、同様に円錐形の外面を備えた、分断されている圧力リングによっても発生し、この圧力リングは、加えられた軸方向の力を、シャフトパイプに作用する法線力に変換する。一般的にハンドルステムのスペーサパイプが圧力伝達部として働き、その際、スペーサパイプにもたらされる軸方向の力は、スタッドボルトまたはねじによって加えられるが、このスタッドボルトまたはねじは、シャフトパイプ内に配置された突っ張り部と、ねじを締める際に突っ張り部がシャフトパイプの内壁に引っかかるか(特許文献3)、または径方向に押し離さ(auseinanderdruecken)れるように動作結合されており、そのためこの突っ張り部は、圧力を受けてシャフトパイプの内壁に接する(特許文献4)。この解決策の欠点は、ボルトまたはねじを固く締めることにより、軸方向の力が軸受にもたらされるだけでなく、ハンドルステムが固定されることにある。このため、確実なハンドル固定を達成するのに必要な軸方向の力が大きすぎ、それにより、制御ヘッド軸受け部が機能しにくくなる可能性がある。他方で、例えば輸送し易くするためにハンドルを捻じる目的でねじを緩める度に、軸受における遊びが大きくなる。さらに、シャフトパイプ内部での突っ張り部による固定は比較的高価な構造である。とりわけ、シャフトパイプの内壁に向けられた張力により、その部分が望ましくない変形を起こし、その結果、ハンドルステムをシャフトパイプから取り外すことが困難になるか、あるいはまったく取り外せなくなる可能性もある。シャフトパイプの機械的損傷により、極端な負荷状況においてシャフトパイプの破損が早まることに対する抵抗力も低くなる。
【0004】
調整した軸受の遊びを損なわずにハンドルを取り外すことができる、制御ヘッド軸受け部の自立的な固定は、内面に鋭い歯状の溝が設けられ、この溝で圧力要素によってシャフトパイプの外被に押し付けられる、圧力リングから成る。この圧力要素は、圧力リングを放射状に取り囲んでおり、円錐形のねじ結合部または円筒形のクランプリングから成ることができる(特許文献5)。この解決策の場合も、径方向の張力がかかることにより、シャフトパイプは悪影響を受ける。というのは、圧力リングの鋭い縁がシャフトパイプの表面に食い込み、その溝が、極端な負荷がかかる際に破損が早まる原因になり得るからである。
【0005】
類似の、おそらくシャフトパイプの機械的損傷がなくてすむ解決策では、圧力リングは、上側の軸受ユニットとロックナットとのための軸受ブッシュから成るねじ結合部によって、シャフトパイプに押し付けられる。このために圧力リングは、上側の短い円錐面および下側の長い円錐面ならびに複数の上に開いた軸方向スリットを有している。軸受ブッシュおよびロックナットをねじで締め合わせることにより、スリットの間に残ったままの圧力リングの弾性領域がシャフトパイプに押し付けられる(特許文献6)。この解決策ならびに前に挙げた特許文献5に基づく制御ヘッド軸受け部の固定の欠点は、軸受の遊びがないことを保証するための軸方向の圧力を、まず手で、例えばハンドルステムを押し下げることによって、ねじ結合部またはクランプ継手が作用するまでずっと、圧力リングに加えていなければならないことにある。このように手作業で圧力を加えることは肉体的に大変であり、そのうえ再現性がない。
【0006】
最後に、圧力リングが上側の軸受ユニットのインナリングの一部である、二輪車用の制御ヘッド軸受け部が既知である。圧力リングの円錐形の外面上に、テンションリングを装着することができる。圧力リングの円錐形の外面およびテンションリングの相補形の内面は、テンションリングに圧力を一度かけた後に結合部が自動的にロックし、それによってインナリングの弾性部分が跳ね上がるのを永続的に阻止するように形成される(特許文献7)。制御ヘッド軸受け部に、軸方向の力も受け入れる円錐ころ軸受を使用する場合、インナリングと圧力リングの間の自動ロックは、取付けの際または後のインナリングの弾性部分の跳ね上がりは防止するが、円錐ころ軸受が軸方向の力の成分を受け入れるための追加的な固定を必要とする。円錐座結合の解消が簡単には可能でないことも欠点である。
【特許文献1】米国特許第5095770号明細書
【特許文献2】米国特許第5544905号明細書
【特許文献3】米国特許第6126323号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第19644968号明細書
【特許文献5】米国特許第5332245号明細書
【特許文献6】独国実用新案出願第G9420884.0号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開第10330419号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
これに対し、主請求項の特徴を有する本発明による固定機構、および請求項12の特徴を有する制御ヘッド軸受け部の固定方法は、制御ヘッド軸受け部の遊びの固定が、ハンドルの固定から完全に独立しているという利点を有している。軸方向の圧力を加えるための機構(以下、軸方向圧力機構と言う)を備えた本発明による対抗受部をシャフトパイプに装着し、上側の軸受ユニットにぶつかるまで変位させた後で、対抗受部をシャフトパイプにロックする。その後、前に挙げた機構で上側の軸受ユニットに軸方向の圧力を加える。これは、様々な方法で、例えばボルトを緩めて出すことによって、または偏心輪によって行うことができる。二輪車の使用中に遊びが大きくなった場合は、軸方向圧力機構を再調節することによって、遊びを再び小さくすることができる。この固定機構は、あまり力を使わずに操作することができ、つまり上側の軸受ユニットに直接手で圧力を加えることによって軸方向の圧力を加える必要はなくなる。調整機構は、いわば手作業での調整運動の伝動装置として作用する。
【0008】
もちろん、この固定機構は、例えば特許文献7に記載されているように、制御ヘッド軸受け部自体が保持しており、テンションリングを装着することで既に軸方向の圧力が発生する制御ヘッド軸受け部の場合に追加的な固定部としても使用することができる。これは特に、円錐ころ軸受を使用する場合に有利である。
【0009】
本発明の特に有利な一実施形態では、対抗受部は、シャフトパイプにロック可能なクランプリングから成り、軸方向圧力機構は、クランプリングの下方に回転運動可能に配置された圧力リングから成る。この圧力リングは、その下側の端面で直接または間接に上側の軸受ユニットに作用する。クランプリングと圧力リングの互いに面した端面のそれぞれが、端面の基準面から張り出した輪郭部を少なくとも1つ有しており、その輪郭部の少なくとも1つが連続的に、つまり勾配を形成しながら端面から隆起している。この1つまたは複数の輪郭部は、それぞれの端面上に平坦な楔形を形成している。これらの輪郭部は、常に対にして、向かい合って配置するのが有用である。クランプリングおよび圧力リングは、接線方向に作用する調整機構を備えており、この調整機構が圧力リングを、ロックしたクランプリングに対して捻じる。調整機構の作動によって圧力リングがその軸を中心に回転することで、保持リングおよび圧力リングの端面から張り出した両方の輪郭部が互いに動作結合し、それによって両方のリングの間隔が大きくなる。クランプリングはシャフトパイプに固定されているので、圧力リングが上側の軸受ユニット上へ、軸方向に下に移動し、その際、制御ヘッド軸受け部の軸方向および/または径方向の張力を発生させる部分を押す。圧力リングの回転運動から軸方向の運動が発生する際の運動状態に基づき、運動が反転することは、したがってシャフトパイプへの張力からの反対に作用する軸方向成分のために軸方向の圧力が弱まることはありそうにないので、この制御ヘッド軸受け部の固定は永続的に信頼性がある。
【0010】
本発明の有利な一実施形態によれば、クランプリングは開放リングから成り、このリングは、シャフトパイプにロックするために、リングの開口部にクランプねじを備えている。
【0011】
本発明の別の有利な実施形態によれば、端面から隆起した、勾配を有さない少なくとも1つの輪郭部がこぶ状に形成されており、そのためこの輪郭部は、この輪郭部またはこの輪郭部に向かい合っている楔形の輪郭部に沿ってスライドさせる際に、カムのように作用する。
【0012】
本発明の別の有利な実施形態によれば、それぞれ端面の基準面から張り出した少なくとも2つの輪郭部が設けられている。軸方向の運動を引き起こす輪郭部が複数ある場合、輪郭部ごとの面圧力が減少し、したがって材料負荷が低減される。その上、シャフトパイプに対して斜めになるための圧力リングの傾斜が低減し、それにより固定機構が機能しにくくなるのが回避される。同じ理由から、軸方向の運動を引き起こす輪郭部を2つだけ設ける場合には、これらの輪郭部を直径上で向かい合わせて配置すべきである。作用する輪郭部を3つ設ければ、斜めになるのを完全になくすことができる。
【0013】
本発明の追加の有利な実施形態によれば、輪郭部は、クランプリングおよび圧力リングの互いに面した端面の両方に勾配を有している。これは、圧力リングを捻じる際に互いにスライドする輪郭部の面圧力を減少させ、それにより制御ヘッド軸受け部の遊びのより容易な調整が可能のなるという利点を有している。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、端面から張り出した1つまたは複数の輪郭部の表面が、鋸歯のような断面を有している。これにより制御ヘッド軸受け部の遊びを、休み休み調整することが可能であり、かつシャフトパイプへの張力からの、反対に作用する軸方向成分により、圧力リングの回転が勝手に戻ることが防止される。
【0015】
本発明のその他の有利な実施形態によれば、圧力リングをクランプリングに対して捻じる手段として、圧力リングの縁部分に圧力要素が設けられており、この圧力要素に対し、クランプリングに配置された調整機構の調整部材が接線方向に作用する。
【0016】
これに関する本発明の有利な一実施形態によれば、圧力要素はピンから成る。クランプリングの調整機構は、クランプリングの外被の外側に張り出した補強部内に納められている。この調整機構は、下方に開いており、かつクランプリングの外被に沿って延びる陥凹部を備えており、この陥凹部中にピンが突き込まれる。外被の補強部にはさらに、クランプリングの外被に対して接線方向に延びるねじ孔が設けられており、このねじ孔は、細長い陥凹部で開口している。調整部材としてテンションねじをねじ孔にねじ込むことができ、このテンションねじのねじ込まれた端部がピンにぶつかり、さらにねじ込み続けることで、陥凹部内でピンを変位させる。
【0017】
既に上に述べたように、制御ヘッド軸受け部の固定は、上側の軸受ユニットに作用する軸方向の圧力を介して行われ、この軸方向の圧力は、予めシャフトパイプと固定的に結合された対抗受部から発し、対抗受部に対する軸方向の運動を実施する軸方向圧力機構によってもたらされる。
【0018】
これに関する本発明の有利な一実施形態によれば、軸方向の運動は、対抗受部に対する軸方向圧力機構の径方向の捻じれによって生じ、この対抗受部および軸方向圧力機構は、請求項2から11の特徴に対応して形成することができる。
【0019】
本発明のさらなる利点および有利な実施形態は、以下の例の説明、図面、および特許請求の範囲から読み取ることができる。
【0020】
本発明の例示的実施形態を図面に示し、以下に詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1から分かるように、制御ヘッド軸受け部は制御ヘッドパイプ1から成り、この制御ヘッドパイプ内で、図では詳しく示されていない二輪車のフォークのシャフトパイプ2が、上側の軸受ユニット3および下側の軸受ユニット4によって回転可能に支持されている。軸受として、例えばアンギュラ球軸受を使用することができる。制御ヘッドパイプ1は、同様に図では示されていない二輪車フレームの構成部品である。上側の軸受ユニット3を収容するために、制御ヘッドパイプ1は、その上側の端部に軸受ブッシュ5を有しており、この軸受ブッシュ内に、アウタ・リング6と、インナリング7と、球8とから成る球軸受が圧嵌されている。上側の軸受ユニット3は、図2に示された本発明による固定機構で覆われている。この固定機構は、クランプリング9および圧力リング10から成り、この圧力リングは、当該の例では、上側の軸受ユニット3全体の上部を閉じるフタとして形成されている。圧力リング10とシャフトパイプ2の間の径方向の遊びを調節するため、かつ上側の軸受ユニット3を密閉するために、圧力リング10のシリンダ状の内面には、Oリング・パッキンなどのパッキンを収めるための2つの溝11が設けられている。さらに圧力リング10は円筒形のガイド部12を有しており、このガイド部の外面には、インナリング7ができるだけ遊びなく接している。圧力リング10の上側の端面には、端面から楔形に張り出した隆起部13が3つ設けられており、その隆起部の上り勾配は同じ方向に、当該の例では反時計回りに走っている。さらに、圧力リング10の上側の端面からピン14が突き出ており、このピンは、図3から分かるように、クランプリング9の壁に作られた細長い陥凹部15に収容される。陥凹部15がクランプリング9の外被と同じ曲率を有しているため、ピン14は陥凹部内でスライド可能である。陥凹部15内ではさらにねじ孔16が、クランプリング9に対して接線方向に開口しており、このねじ孔内にテンションねじ17をねじ込むことができる。クランプリング9は分断されて作製されており、この分断部に、シャフトパイプ2に固定的にクランプする手段が設けられている。この例では、この分断部によって生じたクランプリング9の両方の端部が、その位置でねじ通し孔18として形成されており、このねじ通し孔内にクランプねじ19をねじ込むことができる。さらに図3から分かるように、クランプリング9は、その下側の端面に、同様に端面から楔形に張り出した3つの隆起部20を有しているが、但しその上り勾配は、圧力リング10の隆起部13の上り勾配とは逆に走っている。ピン14および分断部の位置、ならびに隆起部13および20の上り勾配は、クランプリング9の楔形の隆起部20が、圧力リング10の相補形の楔形の隆起部13と完全にぴったりと接触する場合、ピン14が陥凹部15内で壁に接するように互いに適合しており、その壁にはテンションねじ17用のねじ孔16が陥凹部内で開口している。
【0022】
以下に本発明の作用方法を詳細に説明する。上側の軸受ユニット3を固定するために、圧力リング10およびクランプリング9を、シャフトパイプ2上へ、インナリング7にぶつかるまでスライドさせる。その際、ピン14がクランプリング9の陥凹部15内に突き込まれる。この位置では、テンションねじ17は、まだ陥凹部15内に入り込まない程度にしかクランプリング9内にねじ込まれていない。続いて、クランプリング9と圧力リング10の間隔が最小になるように、つまり楔形の隆起部13および20が互いに相補的に向かい合うように、クランプリング9を位置決めする。この位置で、クランプねじ19を締めることにより、クランプリング9をシャフトパイプ2に固定的にクランプする。その後、テンションねじ17がピン14を曲げ、またはせん断し、あるいはねじ溝がつぶれることなしに、テンションねじがピン14を押し、それだけでなくさらに回転させ、テンションねじに十分な大きさの抗力が反作用するまで、テンションねじを陥凹部15内にさらにねじ込む。これによりピン14は、陥凹部15内で円弧状に移動する。ピン14と固定的に結合されている圧力リング10も、この短い回転運動を共にし、その際、圧力リングは、楔形の隆起部13および20のスライドによって、軸方向にも、互いに対して小さな距離を移動することにより、上側の軸受ユニット3のインナリング7に向かって移動する。ピン14は、圧力リング10が固定的にインナリング7に接し、インナリングをロックするまで、テンションねじ17の圧力に逆らわない。圧力リング10の軸方向の移動は、10分の数mmから約1mmである。上側の軸受ユニット3内への水分およびゴミの浸入は、圧力リング10の溝11に、Oリングなどのパッキンリングを装嵌することによって回避される。これに加えて、生じた小さな間隙を、クランプリング9および圧力リング10の外被に接するパッキンによって保護してもよい。圧力リング10のスライドが元に戻り、それに伴って上側の軸受ユニット3が緩むのを防止するために、テンションねじ17をさらに固定することもできる。
【0023】
明細書、添付の特許請求の範囲、および図面に示されたすべての特徴は、単独でも、任意の組合せにおいても、共に本発明の本質をなし得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】制御ヘッド軸受け部の断面図である。
【図2】固定機構の立体図である。
【図3】固定機構のクランプリングを下から見た立体図である。
【符号の説明】
【0025】
1 制御ヘッドパイプ
2 シャフトパイプ
3 上側の軸受ユニット
4 下側の軸受ユニット
5 軸受ブッシュ
6 アウタリング
7 インナリング
8 球
9 クランプリング
10 圧力リング
11 溝
12 円筒形部分
13 楔形の隆起部
14 ピン
15 細長い陥凹部
16 ねじ孔
17 テンションねじ
18 ねじ通し孔
19 クランプねじ
20 楔形の隆起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ヘッド軸受け部が上側および下側の軸受ユニットを有しており、前記軸受ユニットによって、二輪車のフォークのシャフトパイプが二輪車のフレームの制御ヘッドパイプと回転運動可能に結合可能である、二輪車の制御ヘッド軸受け部用の固定機構において、前記固定機構が、上側の軸受ユニット(3)の上方でシャフトパイプ(2)にロック可能な対抗受部から成り、前記対抗受部が、上側の軸受ユニット(3)に軸方向の圧力を加えるための機構(以下、軸方向圧力機構と言う)と動作結合されていることを特徴とする固定機構。
【請求項2】
対抗受部が、シャフトパイプ(2)にロック可能なクランプリング(9)から成り、
軸方向圧力機構が、クランプリング(9)のすぐ下に回転運動可能に配置された圧力リング(10)から成り、
クランプリング(9)および圧力リング(10)の互いに面する側の端面のそれぞれが、端面の基準面から張り出した輪郭部(20、13)を少なくとも1つ有しており、前記輪郭部(13、20)の少なくとも1つが勾配を有しており、
クランプリング(9)および圧力リング(10)に、圧力リング(10)をクランプリング(9)に対して捻じる手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の固定機構。
【請求項3】
クランプリング(9)が開放リングであり、シャフトパイプ(2)にロックするためのクランプねじ(19)を有することを特徴とする請求項2に記載の固定機構。
【請求項4】
端面の基準面から張り出し、勾配を有さない少なくとも1つの輪郭部が、カム状であることを特徴とする請求項2に記載の固定機構。
【請求項5】
対向する端面が、張り出した輪郭部を少なくとも2つずつ備えることを特徴とする請求項2または4に記載の固定機構。
【請求項6】
端面の基準面から張り出した2つの輪郭部が、直径上で向かい合っていることを特徴とする請求項2、4または5のいずれか一つに記載の固定機構。
【請求項7】
端面の基準面から張り出した輪郭部(13、20)をそれぞれ3つ備えることを特徴とする請求項2または4に記載の固定機構。
【請求項8】
クランプリング(9)および圧力リング(10)の互いに面している両方の端面の輪郭部が、勾配を有することを特徴とする請求項2または5〜7のいずれか一つに記載の固定機構。
【請求項9】
1つまたは複数の端面から張り出し、勾配を有する輪郭部が、鋸歯のような表面を有することを特徴とする請求項2または5〜8のいずれか一つに記載の固定機構。
【請求項10】
圧力リング(10)をクランプリング(9)に対して捻じる手段として、圧力リング(10)に圧力要素が設けられており、前記圧力要素に対し、クランプリング(9)に配置された調整機構の調整部材が、接線方向に作用することを特徴とする請求項1に記載の固定機構。
【請求項11】
圧力要素がピン(14)であり、クランプリング(9)の調整機構がクランプリング(9)の外被の補強部から成り、前記補強部内に、クランプリング(9)の外被に沿って延び、ピン(14)を収容する陥凹部(15)が設けられており、他方で前記陥凹部には、クランプリング(9)の外被に対して接線方向に走るねじ孔(16)が開口していること、ならびに調整部材としてテンションねじ(17)をねじ孔(16)にねじ込むことができ、前記テンションねじは、ねじ込まれた端部でピン(14)に当たり、前記ピンを陥凹部(15)内で変位させることを特徴とする請求項10に記載の固定機構。
【請求項12】
上側および下側の軸受ユニットを有しており、前記軸受ユニットによって、二輪車のフォークのシャフトパイプを二輪車のフレームの制御ヘッドパイプと回転運動可能に結合可能である、二輪車の制御ヘッド軸受け部の固定方法であって、制御ヘッド軸受け部のできるだけ小さな遊びを固定するために、上側の軸受ユニットに軸方向の圧力を加える方法において、最初に、上側の軸受ユニット(3)の上方でシャフトパイプ(2)を同軸に囲む対抗受部をシャフトパイプ(2)と固定的に結合し、その後、前記対抗受部から、軸方向の圧力を上側の軸受ユニット(3)にもたらすことを特徴とする方法。
【請求項13】
軸方向の圧力が、上側の軸受ユニット(3)に向かって軸方向に移動可能な圧力リング(10)によってもたらされることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
圧力リング(10)の軸方向の運動が、前記圧力リングの径方向の捻じれによって生じ、そのために圧力リング(10)が捻じれ面から張り出した輪郭部(13)を少なくとも1つ有しており、前記輪郭部が、対抗受部から反対方向に張り出した少なくとも1つの輪郭部(20)に沿ってスライドし、捻じれ面から張り出した両方の輪郭部(13、20)の少なくとも1つが楔形であることを特徴とする請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−540222(P2008−540222A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510403(P2008−510403)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【国際出願番号】PCT/DE2006/000826
【国際公開番号】WO2006/119757
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(507372578)
【Fターム(参考)】