説明

制御用量薬物送達システム

医薬品として有効なアンフェタミン塩の複数回パルス用量薬物送達システムであり、前記薬物送達システムは即時放出コーティングで被覆された医薬品として有効なアンフェタミン塩と、腸溶性コーティングで被覆された医薬品として有効なアンフェタミン塩からなり、ここで、前記即時放出コーティングと前記腸溶性コーティングとは医薬品として有効なアンフェタミン塩の複数回パルス用量送達として提供される。前記製品は1つか多数のビーズからなることができ、投与形態には前記1つか多数のビーズを投与するためのカプセルか、錠剤か、サシェットかの方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
従来、薬物送達システムは薬物の効果を最適化し副作用を減らすために、体内での薬物濃度の山と谷を最小化することを目的として、一定の/持続性の薬物の放出に焦点をあててきた。即時放出製剤に比べて、投薬頻度を減らすことと患者のコンプライアンスを改善することも、一定の/持続性の薬物送達システムに期待されている。しかしながら、ある種の薬剤では、持続放出送達は下記の因子により適切でなく、影響を受ける。
【0002】
初回通過代謝:β−ブロッカーと、β−エストラジオールと、サリチルアミドなどの数種類の薬剤は広範な初回通過代謝を受け、前全身的代謝を最小にするために代謝酵素を飽和する早い薬剤投与を必要とする。このように、送達の一定の/持続性の経口法は経口生体利用性の減少をもたらすであろう。
【0003】
生物学的耐性:連続放出薬物血漿プロファイルは、例えば経皮ニトログリセリンの生物学的耐性などの薬物の薬物療法効果での減少を伴うことが多々ある。
【0004】
時間薬理学と概日リズム:ある種の生理学的機能における概日リズムはすでに確証されている。例えば喘息の発作や狭心症の発作がしばしば朝の時間帯に起こるように、症状と疾病の発症は1日24時間の特定の時間帯に起こることが確認されている(Lemmer, B, J Controlled Release. 1991; 16:63-74; Lemmer B, Pulsatile Drug Delivery: Current Applications and Future Trends (R Gurney, HE Junginger, NA Peppeas, eds.) 1993; 11-24)。
【0005】
局所治療の必要性:炎症性腸疾患などの局所疾患の治療のためには、治療効果を達成し副作用を最小限にするために、小腸での吸収によりロスが起こらないように炎症部位への化合物を送達することがきわめて望ましい。
【0006】
胃炎又は胃液内での薬物不安定性:胃炎又は胃液内での化学的不安定性を有する化合物では、持続放出製剤の使用は胃炎と胃液内での化学的不安定性を悪化させる場合もある。
【0007】
様々な胃腸部での薬物吸収の差:一般に薬物吸収は胃ではやや遅く、小腸では速く、大腸では急激に低下する。胃腸管での吸収特性の変更の補償はある薬剤にとっては重要な場合がある。例えば、排泄物に薬剤が埋没することを避けるために、送達システムが前記腸の遠位部に達する時に薬剤をより速く送り出すことはこのシステムにとって合理的である。
【0008】
持続放出製剤薬で前記の問題がある範囲に対処するために、単回の剤形か多数回の剤形かのいずれかで調合され、そして所定時間後に薬剤を放出できるパルス用量送達システム(pulsed dose delivery systems)が研究されてきた。上記と同様の因子がパルス用量剤形の開発に際しても問題となる。例えば、胃腸通過時間は患者ごとに変化するだけでなく、食物の摂取、ストレス、疾患の結果として患者内でも変化する。このように、単回パルス放出システムは多数回システムに比べてより大きな差異を示す場合がある。さらに多数回システムでは、薬剤塗布やコア作成は時間がかかり最適化し難い工程である。特に剤形科学者が取り組まなければならない問題は、遅延時間と急速な放出というパルス処方の開発のための2つの矛盾する課題を克服することである。
【0009】
例えば、酢酸フタル酸セルロースと、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、酢酸フタル酸ポリビニルと、オイドラギット(EUDRAGIT、登録商標)アクリルポリマーなどの各種の腸溶性材料が小腸での単回薬物パルス放出のための胃耐性腸溶性コーティングとして用いられてきた(Xu X and Lee P, PharmRes. 1993; 10(8):1144-1152)。高いpH値で可溶である前記腸溶性材料が、しばしば結腸特異的送達システムとして使用されることがある。そのpH依存性と胃停留時間の不確実性による生体内での性能の差異と、被験者間の差異及び被験者内の差異は、薬剤の時間制御放出として腸溶性コーティングシステムを使用する場合の主要な問題である。
【0010】
遅延膨潤親水性コーティングが経口遅延放出システムに用いられてきた(Gazzaniga et al., EurJ Pharm Biopharm. 1994; 40(4):246-250; Gazzaniga et al., S.T.P. Pharma Sciences. 1996; 5(1):83-88)。遅延時間はコーティング重量の増加と直線的に相関し、薬物放出はpHとは無関係であることが実証された。
【0011】
錠剤用量形態のための圧縮コーティング技術により形成された浸食及び/又はゲル特性を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース障壁が、薬剤の時間プログラム放出を達成するために記載されている(Conte et al., Biomaterials. 1993; 14(13):1017-1023)。(ヒドロキシプロピルメチルセルロースのグレード、水溶解性賦形剤及び水不溶性賦形剤などの)障壁剤形の可変のものが遅延時間と中心コアからの放出速度とを著しく変えた。
【0012】
アスピリンと、イブプロフェンと、アジナゾラム(WO 87/00044)などのいくつかの薬剤のニモード薬物放出を達成するために、例えばメトローズ(METOLOSE、登録商標)60SH、90SH(信越化学、日本)と、メトセル(METHOCEL、登録商標)F4M(ダウ・ケミカル・カンパニー、米国)などのヒドロキシプロピルメチルセルロースの特殊グレードが親水性マトリックス材料として用いられてきた。ニモード放出は迅速な最初の放出と、続く一定期間の定常放出と、その後の第2の迅速な薬物放出とで特徴付けられる。
【0013】
カルナウバろうと、みつろうと、ソルビタンと、モノオレイン酸ポリオキシエチレンと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの分散水溶液から製造された親水性界面活性剤層で被覆された錠剤かカプセルかが、所定の遅延時間後の迅速な薬物放出に用いられている。しかしながら、たとえ2時間の遅延時間が高いコーティングレベル(60%)のモデル薬剤テオフィンで達成されたとしても、テオフィリンの完全な放出には遅延時間後3時間が必要であった(Walia et al., PharmDev Tech. 1998; 3(1):103-113)。
【0014】
持続放出薬物送達システムは米国特許第4,871,549号公報に記載されている。このシステムが溶解媒体又は胃腸管に入った場合、水の流入と膨張剤の量的拡大により水浸透膜の破裂が起こる。このように、薬剤は所定時間帯後に放出する。
【0015】
オロス(OROS、登録商標)プッシュプルシステム(アルザ・カンパニー)は、例えばオロス−CT(OROS−CT、登録商標)システムなどの水溶解性薬剤と水不溶性薬剤のパルス送達のために開発され(Theeuwes, Drug Dev IndPharm. 1983; 9(7):1331-1357; Theeuwes F, Novel Drug Delivery and Its Therapeutic Application (LF Prescott and WS Nimmos eds.) 1989; 323-340)、これはpHとは無関係の時間制御薬物送達を提供する浸透コア部分の膨張性質に基づいている。
【0016】
パルシンキャップ(PULSINCAP、登録商標)用量形態は、その薬剤を所定時間かもしくは(例えば結腸など)胃腸管での特定部位のいずれかでその薬剤内容物を放出する(WO 90/09168)。前記薬剤処方は水不溶性カプセル本体に入れられ、ヒドロゲルプラグで封入される。経口投与の際に、カプセルキャップは胃液に溶解し、ヒドロゲルプラグは膨張する。制御され所定時間で、膨張プラグはパルシンキャップ(登録商標)用量形態から放出され、被包薬剤が放出される。カプトプリルを含み予定では5時間で放出されるパルスカプセルシステムが、溶解とガンマシンチグラフィー研究で再現性良く実行されることが発見された。しかしながら、大多数の被験者で血液中に薬物測定量が観察されず、これは遠位部の小腸での薬剤の不安定性に起因するものである(Wilding et al., PharmRes. 1992;9(5):654-657)。
【0017】
アデラル(ADDERALL、登録商標)は、硫酸デキストロアンフェタミンと、デキストロアンフェタミンサッカラートと、アスパラギン酸アンフェタミン一水和物と、硫酸アンフェタミンの4種のアンフェタミン塩の混合物を含む即時放出組成物である。前記アンフェタミンの組み合わせは、3−10歳の小児の注意欠陥多動性障害の治療に適応される。
【0018】
小児の即時放出のみの治療の不利な点は、1種類は朝、もう1種類は約4−6時間後の家から離れて親の監督下にいない時と、2つの別々の用量が投与される点である。従って前記の治療形態は第2の治療を必要とし、それは時間がかかり、不便であり、錠剤剤形を嚥下するのが難しい子供にとっては問題である。アデラルXR(登録商標)は、従来技術の薬物送達剤形を用いることが必要となる2回の経口投与ではなく1回の投与が可能であり、投与形態の需要を満たす。米国特許第6,322,819号公報と、米国特許第6,605,300号公報と、同時係属再発行出願第11/091,010号公報と、同時係属再発行出願第11/091,011号公報を参照。
【0019】
現在、成人のADHDを治療するために、米国食品医薬品局(FDA)により承認された2種類の薬剤(アデラルXR(登録商標)とストラテラ(商標)(STRATTERA))がある。アデラルXR(登録商標)は複数のアンフェタミン塩薬剤の混合物である。ストラテラ(商標)はアトモキセチン(ノルエピネフリン再摂取阻害剤)薬剤である。アデラルXR(登録商標)やコンセルタ(CONCERTA、登録商標(メチルフェニデート)のような長時間作用型刺激製剤は、12時間まで作用が持続するように設計されている。しかしながら、1日の治療効果を持続させるために、前記の剤形で治療された患者の一部は短時間作用型刺激剤によるさらなる治療を必要としていることに臨床医が着目した。10−12時間を越える臨床的有効性期間を必要とする長時間作用型刺激剤形を服用している患者には、臨床医は前記即時放出(IR)薬剤の投与と共に朝に一般的に服用後8−10時間の長時間作用型剤形を増加する。通常、前記IR薬剤の用量は長時間作用型の用量よりも少量である。この増加方法は学齢期の患者や小児患者よりも成人や青年期の患者の「より長時間の持続性の要求」に最も適している。
【0020】
このように、(例えば、14−16時間の起きている時間など)より長時間の要求がある患者のために、補充することなしにADHDの治療に効果を発揮する長時間作用型の経口組成物の一日一回の投与が求められている。
【発明の開示】
【0021】
本発明は、より長時間の持続を望むADHD患者の治療の必要性を満たすために、即時放出成分と、遅延パルス放出成分と、持続放出成分とを含む長時間作用型アンフェタミン医薬品組成物を提供する。本発明は、アデラルXR(登録商標)と8時間後のIRアンフェタミン組成物の等量の用量と生物学的に同等であるアンフェタミン医薬品組成物を提供することにより、一日一回で長時間のADHD治療の必要性を満たす。
【0022】
約8時間の遅延時間を有する第二の遅延パルス放出剤形をアデラルXR(登録商標)に加えることは、予測できるように、患者の長時間持続の要求(すなわち、アデラルXR(登録商標)と8時間後に投与される即時放出アンフェタミン組成物と生物学的に同等である一日一回のアンフェタミン組成物)に適う一日一回の長時間作用型アンフェタミン組成物の必要性の認識を満たすことはできない。前記の方法は胃腸管末端(結腸)で活性薬剤を放出し前記活性薬剤の吸収が減少するので、約8時間の遅延時間を有する遅延パルス剤形には不適である。
【0023】
予想外に、アデラルXR(登録商標)に含まれる成分と類似した即時放出
成分と遅延パルス放出成分とを組み合わせて投与される持続放出剤形により、アデラルXR(登録商標)とその8時間後の即時放出アンフェタミン組成物により与えられるアンフェタミン投与量の合計と等しい生体利用性を再現できることが明らかになった。しかしながら、「通常の」又は「典型的な」持続放出剤形の構造は適当ではない。一般的には、持続放出剤形は、持続放出コーディングに遅延放出コーティングを塗布して構築される。このような通常の又は典型的な持続放出の構造では、Tmaxが患者へ投与後の早過ぎる時期であり、ADHDの治療に必要な長時間持続の需要に見合う組成物にならないという結果となる。例えば、典型的な持続放出剤形(PD0149−124)と本発明の持続放出剤形(PD0149−120)での溶解プロファイルを図1に示す。PD0149−124は典型的な持続放出剤形構造を有し、ここで実施例1の即時放出ビーズは持続放出コーティング(シュアリース(SURELEASE、登録商標))でコーティングされ(以下、実施例1と2を参照)、そして前記持続放出コーティングは遅延放出コーティング(オイドラギット(登録商標)FS30 D)でコーティングされ、そして前記遅延放出コーティングは保護層(オパドライ(OPADRY、登録商標))でコーティングされている。PD0149−120は本発明の持続放出剤形の一実施態様である。実施例1の即時放出ビーズは遅延放出コーティング(オイドラギット(登録商標)FS30 D)でコーティングされ、前記遅延放出コーティングは保護コーティング(オパドライ(登録商標))でコーディングされ、前記保護コーティングは持続放出コーティング(シュアリース(登録商標))でコーティングされているという構造をPD0149−120は有している。図1に示したように、PD0149−120は典型的な構造の持続放出剤形であるPD0149−124に比べて、より遅いTmaxを提供する。
【0024】
本発明によると、即時放出剤形と遅延パルス放出剤形とを混合して投与した場合に、持続放出アンフェタミン剤形の特殊で単純でない構造はアデラルXR(登録商標)とこれに続いて8時間後に投与される即時放出アンフェタミン剤形と生物学的に同等である。本発明の持続放出剤形は、コア上に層形成されるかコア内に組み込まれた少なくとも1種類のアンフェタミン塩と、前記アンフェタミンコア上に層状に被覆された遅延放出コーティングと、前記遅延放出コーティング上に層状に被覆された持続放出コーティングと、任意の保護コーティングとからなる。図2を参照。好ましい実施態様では、前記遅延放出成分はpH依存性である。
【0025】
本発明の持続放出医薬品剤形は、アンフェタミン塩組成物を混合した即時放出、及び/又はアンフェタミン塩組成物を混合した長期放出のアンフェタミン投与量の約10%から約150%からなることができる。例えば、前記持続放出剤形をアデラルXR(登録商標)の前記IR成分と前記遅延パルス放出成分と共に、(例えば、即時放出アンフェタミン10mg、遅延パルス放出アンフェタミン10mg、持続放出アンフェタミン10mgといった)アンフェタミン用量比1:1:1で同じ又は異なる投与形態で投与できる。このように、本実施例では、前記持続放出組成物は全アンフェタミン用量の約33%からなる。その他の実施例では、ADHD患者と不眠症患者は、例えば即時放出アンフェタミン10mgと、遅延パルス放出アンフェタミン10mgと、持続放出アンフェタミン5mg(前記持続放出組成物は全アンフェタミン用量の20%となる)のように前記持続放出組成物の量を減じて投与されることができる。このように、本発明によると、個々のADHD患者の需要を満たすように、臨床医は前記持続放出剤形の用量を調整することができる。
【0026】
即時放出アンフェタミン成分と遅延パルス放出アンフェタミン成分と持続放出アンフェタミン成分からなる本発明の医薬品組成物は、現在入手可能な市販の長期放出組成物(すなわちアデラルXR(登録商標))とアデラルXR(登録商標)の約8時間後に投与される即時放出組成物とを用いた2回投与の治療と類似した薬物動態プロファイルで、単回投与で患者にアンフェタミン塩混合物を送達する。例として、図9を参照。本発明の組成物の前記遅延放出成分(すなわち、前記遅延パルス放出成分及び/又は前記持続放出成分)により送達される薬剤のある部分は結腸で浪費(すなわち吸収されない)してしまうと予測できるので、生物学的同等性の前記のような類似は驚くべきものである。アデラルXR(登録商標)(シャイア・US社)についてのFDA添付文書とラベリングは、言及されることによりその全体がここに援用される。
【0027】
好ましいアンフェタミン塩は硫酸デキストロアンフェタミンと、デキストロアンフェタミンサッカラートと、アスパラギン酸アンフェタミン一水和物と、硫酸アンフェタミンとであり、アデラルXR(登録商標)に含まれる。しかしながら、本発明はこれらの塩に限定されない。例えば、これらのアンフェタミン塩基と化学的誘導体とキラル誘導体と、その他のアンフェタミン塩と、前記の混合物などの他の種類のアンフェタミンとアンフェタミン塩を本発明の医薬品組成物に用いることができる。
【0028】
本発明の前記長期放出アンフェタミン組成物を含む前記3種類の成分は、ADHDのような症状の1日(すなわち約14時間から約16時間)にわたる治療を行うために、様々な所定の時間で活性成分の用量を放出する。単回投与での送達が可能なADHDの治療は、一般的に子どもと比べて1日の起きている時間が長い成人と青年に対して特に有用である。
【0029】
本発明の組成物は、即時放出成分と、遅延パルス放出成分と、持続放出成分とを含む。発明の実施態様では、遅延パルス放出及び/又は持続放出が腸溶性コーティングによって提供され得る。
【0030】
ある実施態様では、即時放出成分と遅延パルス放出成分と持続放出成分とが、それぞれ等しい量の活性成分を含む。
【0031】
一実施態様では、前記組成物の即時放出成分と遅延パルス放出成分と持続放出成分とが同じコア上に存在する。その他の実施態様では、前記即時放出成分と前記遅延パルス放出成分とが異なるコア上に存在する。さらにある実施態様では、前記遅延パルス放出成分と前記持続放出成分とが異なるコア上に存在する。より好ましい実施態様では、前記即時放出成分と前記遅延パルス放出成分と前記持続放出成分とが異なるコア上に存在する。図3を参照。
【0032】
さらに異なる実施態様では、前記アンフェタミン塩がコア上にコーティングされている。さらにある実施態様では、前記アンフェタミン塩がコア内に組み込まれている。
【0033】
本発明の組成物は、前に引用された複数のコア(3種類の成分を同じコア上に含む1個以上のコアと、前記3種類の成分のうち2種類の成分をコア上に含む1個以上のコアと、3種類の成分うち1種類の成分をコア上に含む1個以上のコア)の組み合わせを含むことができることを意図する。
【0034】
本発明の一実施態様では、薬剤の即時放出と薬剤の遅延パルス放出と薬剤の持続放出があると共に、薬剤は1種類以上のアンフェタミン塩とこれらの混合物を含む医薬品組成物を提供する。好ましい実施態様では、薬剤の前記遅延パルス放出は絶食状態の患者へ前記組成物を経口投与した約1時間後に始まり、薬剤の前記持続放出は絶食状態の患者へ経口投与した約4時間後から約6時間後に開始する。
【0035】
驚いたことに、本発明のアンフェタミン塩医薬品組成物は、絶食状態の患者に対しても摂食状態の患者に対しても、ほぼ生物学的に同等な薬剤レベルを送達する。このように、本発明に係るアンフェタミン塩組成物は食物の影響を示さない。遅延放出により送達された薬剤の一部は、食物(特に、高脂肪食)の摂取に付随して起こる胃内pHの上昇により、食物が存在している早い時期に放出されることが予期できるので、これは驚くべきことである。
【0036】
(a)1種類のアンフェタミン塩を含む即時放出ビーズと;
(b)1種類のアンフェタミン塩を含む第1の遅延放出ビーズと;
(c)1種類のアンフェタミン塩を含む第2の遅延放出ビーズとからなる医薬品組成物において、
前記第1の遅延放出ビーズは前記混合アンフェタミン塩をパルス放出させ、前記第2の遅延放出ビーズは前記混合アンフェタミン塩を持続放出させることを特徴とする医薬品組成物。
【0037】
本発明の医薬品組成物は、少なくとも約14時間から16時間の有効な注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療を患者に提供する。
【0038】
本発明の実施態様では、37.5mgのアンフェタミン医薬品組成物をヒト患者に投与した後の前記d−アンフェタミンCmaxが約50ng/mlである。
【0039】
他の実施態様では、37.5mgのアンフェタミン医薬品組成物をヒト患者に投与した後の0時間から最終測定時間までの前記d−アンフェタミンの濃度曲線下面積(AUC0−last)が約1058ng・hr/mlである。
【0040】
さらなる実施態様では、37.5mgのアンフェタミン医薬品組成物をヒト患者に投与した後の0時間から無限時間までの前記d−アンフェタミンの濃度曲線下面積(AUC0−inf)が約1085ng・hr/mlである。
【0041】
一実施態様では、本発明は前記d−アンフェタミンのTmaxが、37.5mgのアンフェタミン医薬品組成物をヒト患者に投与した後約8.2時間である医薬品組成物を提供する。
【0042】
一実施態様では、37.5mgのアンフェタミン医薬品組成物をヒト患者に投与した後の前記l−アンフェタミンのCmaxが約15ng/mlである。
【0043】
さらなる実施態様では、37.5mgのアンフェタミン医薬品組成物をヒト患者に投与した後の0時間から最終測定時間までの前記l−アンフェタミンの濃度曲線下面積(AUC0−last)は約354ng・hr/mlである。
【0044】
さらなる実施態様では、37.5mgのアンフェタミン医薬品組成物をヒト患者に投与した後の0時間から無限時間までの前記l−アンフェタミンの濃度曲線下面積(AUC0−inf)は約373ng・hr/mlである。
【0045】
さらに、本発明の一実施態様では、前記l−アンフェタミンのTmaxが、37.5mgのアンフェタミン医薬品組成物をヒト患者に投与した後約8.4時間である。
【0046】
さらなる実施態様では、保護層は少なくとも1種類の腸溶性コーティング上に提供される。他の実施態様では、保護層は前記アンフェタミン塩と前記少なくとも1種類の腸溶性コーティングとの間に与えられる。また、保護層は、本発明による前記持続放出コーティング上に与えられ得る。
【0047】
一実施態様では、前記アンフェタミン塩は、硫酸デキストロアンフェタミンと、デキストロアンフェタミンサッカラートと、アスパラギン酸アンフェタミン一水和物と、硫酸アンフェタミンと、これらの混合物からなる群から選択される。
【0048】
さらなる実施態様では、前記アンフェタミン塩は、硫酸デキストロアンフェタミンと、デキストロアンフェタミンサッカラートと、アスパラギン酸アンフェタミン一水和物と、硫酸アンフェタミンとの混合物である。
【0049】
本発明の一形態において、前記医薬品組成物は食物の影響を示さない。
【0050】
本発明は、本発明の前記アンフェタミン塩医薬品組成物をADHD患者に投与することからなるADHDの治療方法を包含する。
【0051】
遅延パルス放出成分と持続放出成分は、1種類又は複数の種類の医薬活性成分の放出を所定時間までの特定の時間(「遅延時間」)にわたり遅らせるか遅延させる。例えば、腸溶性コーティング層を有する遅延パルス放出成分が遅延時間の間医薬品有効成分又は薬剤の放出を遅らせるか遅延させ、その後、薬剤を急速かつ完全に、すなわちパルス放出で放出する。遅延パルス放出の一実施態様では、前記組成物を投与し遅延時間が経過した後、約30−60分以内に全用量が放出される。その他の実施例では、腸溶性放出コーティングを有する持続放出成分は、医薬品活性成分又は薬剤の放出を遅らせるか遅延させ、その後、薬剤の放出を持続させる(すなわち、全用量の放出には約60分を超える時間を要する)。
【0052】
遅延又は遅延時間は、胃腸管のpHを変え得る通過時間か、食物の影響か、炎症性大腸炎か、制酸薬やその他の薬剤の使用のような因子を考慮することになる。
【0053】
本発明によると、前記遅延パルス放出成分の前記遅延時間はpH依存性でもよく、pH非依存性であってもよい。発明の一実施態様では、前記遅延パルス放出成分の前記遅延時間は時間にのみ依存し、すなわちpHには依存しない。好ましい実施態様では、前記遅延時間はpHに依存する。
【0054】
本発明によると、遅延時間を約1時間から約14時間とすることができる。複数回投与剤形は1種類以上の遅延時間を有することができる。好ましい実施態様では、前記遅延パルス放出成分は約60分の遅延時間を有し、前記持続放出成分は約4時間から約6時間の遅延時間を有する。
【0055】
一形態において、本発明は少なくとも1種類の医薬品として有効なアンフェタミン塩の腸溶性放出を提供する組成物を対象とし、前記医薬品として有効なアンフェタミン塩が腸溶性コーティングでコーティングされ、ここで、(1)前記腸溶性放出コーティングは規定の最小の厚みを有し、及び/又は(2)前記少なくとも1種類の医薬品として有効なアンフェタミン塩と前記腸溶性放出コーティングとの間に保護層が設けられ、及び/又は前記腸溶性放出コーティングを覆う保護層が設けられる。
【0056】
1種類のアンフェタミン塩の遅延パルス放出を提供する試みにおいて、一般的に従来技術で行われているような腸溶性放出コーティングの使用では、望ましい放出プロファイルが提供されなかったことを出願人は確認した。遅延パルス放出成分に腸溶性コーティングの典型的な量(10から15重量%)を使用した場合、送達システムから上部消化管内への薬剤の望ましくない早すぎる漏出が生じることとなり、胃腸管のより遠位部での望ましい時間での薬剤の送達は減少した。このように、前記コーティングは、望ましい時間に完全な有効な治療活性を提供する薬物放出プロファイルの必要性を満たさなかった。
【0057】
前記遅延パルス放出成分の上の腸溶性コーティングをより厚く塗布して使用すると、前記遅延放出パルス用量のみが完全に、胃腸管の望ましい所定の区域すなわち腸で、適当な時間に放出されることを出願人は発見した。
【0058】
前記最小厚みに約5から10重量%の腸溶性コーティングを増加させても、一般的には前記のようなコーティング内からの薬剤の放出に著しい効果を与えないので、これは驚くべきことであった。典型的には(例えば、pH依存性コーティングを用いる場合)、(15重量%超の)より厚いコーティングの適用により、(例えば、pH依存性コーティングに対する適当なpHのような)適当な環境条件での完全な放出の時間か服用後の適当な時間かがわずかに、すなわち(20分ほどの)短い時間増加するだけである。典型的なコーティングを使用すると、出願人は望ましい遅延パルス放出を達成できず、むしろコーティングが不適当な環境で所定時間より前に漏出し、治療薬の著しい損失をもたらす。
【0059】
従って、一形態において、前記腸溶性コーティングのある最小の厚み、すなわち、約24から約30重量%のコーティング重量パーセントを用いることにより、前記アンフェタミン塩のパルス腸溶性放出が達成される。
【0060】
本発明の一実施態様では、前記パルス用量送達は複数の層状の組成物からなり、前記複数の層状の組成物は(1)1種類以上のアンフェタミン塩と、(2)前記1種類以上のアンフェタミン塩を覆う腸溶性コーティングと、(3)前記腸溶性コーティングを覆う持続放出コーティングと、(4)前記持続放出コーティングを覆うアンフェタミン塩の第2の塗布(層など)と、(5)前記の1種類以上の医薬品として有効なアンフェタミン塩を覆う第2の腸溶性コーティングと、(6)前記第2の腸溶性コーティングを覆う1種類以上のアンフェタミン塩の第3の塗布(層など)と、即時放出層コーティングとからなる。
【0061】
一形態において、前記1種類以上のアンフェタミン塩を、持続放出腸溶性コーティングが適用されるコアシード(core seed)の内部かコアシードの一部として提供することができる。また、コアシードを、1種類以上のアンフェタミン塩の1つ以上の層でコーティングすることができる。
【0062】
さらに、遅延パルス放出腸溶性コーティングを適用する前に保護層でまず薬剤をコーティングすることにより、遅延パルス放出薬物送達を達成できることが発見された。
【0063】
このように、その他の実施態様では、薬剤と遅延パルス放出腸溶性コーティングとの間に保護層を設けることにより、遅延パルス腸溶性放出が達成される。その他の実施態様では、薬剤と持続放出腸溶性コーティングとの間に保護層を設けることにより、パルス腸溶性放出が達成される。保護コーティングを使用する場合は、遅延パルス放出腸溶性コーティングか持続放出腸溶性コーティングは、厚みを増加するか又は厚みを薄くするものである。
【0064】
発明の一形態において、保護層は1種類以上の成分を含み、前記成分には即時放出層と修飾層とを含む。前記修飾層は、好ましくは水分半透性ポリマーを含む。腸溶性コーティング上に層を形成した時に、即時放出層コーティングと組み合せて用いられる半透性ポリマーコーティングは遅延パルス放出薬物送達プロファイルを提供することを出願人は発見した。
【0065】
このように、本実施態様では、前記保護層は半透性ポリマーと即時放出コーティング層とからなる。さらなる実施態様では、前記修飾層は腸溶性コーティング層に隣接する半透性ポリマーの第一の層と、即時放出ポリマーコーティング層を含む前記半透性ポリマーコーティング層を覆う第二のコーティング層とからなる。
【0066】
前記実施態様の一形態において、長期にわたる遅延放出時間を確保するために、水分低浸透性pH非感受性ポリマーを含む半透性ポリマーを腸溶層の外表面上に層状に被覆する。前記半透性ポリマーコーティングは、pH感受性ポリマーが急速に溶解するアルカリ性pH環境下でpH感受性腸溶性ポリマーの浸食を制御する。他のpH感受性層は放出時間をさらに遅延させるために水分低浸透性層の表面に適用される場合がある。
【0067】
本発明のさらなる形態において、保護層に加えて、腸溶性ポリマー層周辺の環境のpH値を下げるために、組成物は薬学的に活性な層に組み込まれた酸か、又は活性な層の表面上にコーティングされた酸を含む。また、前記酸性層はpH感受性腸溶性ポリマー層の外層に適用され、次いで水分低浸透性ポリマーに適用されてもよい。このように、活性成分の放出が遅延され、アルカリ性環境下での溶解速度は増加する場合がある。
【0068】
更なる実施態様では、前記保護コーティングは前記薬剤上と前記腸溶性コーティング上の両方で使用される場合がある。
【0069】
本発明の前記実施態様に関連して、前記腸溶性コーティングが適用されるコアシード製造プロセスの間に、前記1種類以上のアンフェタミン塩をコアシード内又はコアシードの一部として提供できる。また、コアシードを1種類以上のアンフェタミン塩の1つ以上の層でコーティングできる。
【0070】
本発明の組成物は、約10mgから約100mgの用量の混合アンフェタミン塩を包含する。本発明の一実施態様では、前記医薬品組成物は約12.5mgの用量の混合アンフェタミン塩を含む。本発明のさらなる実施態様では、前記医薬品組成物は約18.75mgと、約25mgと、約31.25mgと、約37.5mgと、約43.75mgと、約50mgと、約62.5mgと、約75mgの用量の混合アンフェタミン塩を含む。12.5mgと、25mgと、37.5mgと、50mgの本発明の組成物の溶解プロファイルをそれぞれ図4から図7に示す。
【0071】
本明細書に記載される本発明の薬物送達システムは1つ又は多くのビーズ又はビーズレットからなり、好ましくは、カプセルか、錠剤か、サシェットか、前記ビーズを経口投与するその他の方法かの投与形態である。本発明のある実施態様では、前記薬物送達システムは3つのビーズかビーズレットからなり、カプセルか、錠剤か、サシェットか、前記ビーズを経口投与するその他の方法かの投与形態である。好ましい実施態様では、前記即時放出ビーズと前記遅延パルス放出ビーズと前記持続放出ビーズとは、約1:1:1の比で組成物中に存在する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】典型的な持続放出剤形(PD0149−124)と本発明の持続放出剤形(PD0149−120)の溶解プロファイルを示すグラフである。HFSは下記実施例2の剤形の典型例であり、HISは下記実施例1の剤形の典型例であり、FSはオイドラギット(登録商標)FS30Dである。
【図2】持続放出ビーズの構造を示す図である。
【図3】即時放出成分(IRビーズ)と、遅延パルス放出成分(DR1ビーズ)と、持続放出成分(DR2ビーズ)とを含む本発明の3−ビーズ制御投与薬物送達システムを示す図である。
【図4】本発明による12.5mgの混合アンフェタミン塩3−ビーズ組成物の溶解プロファイルを示すグラフである。
【図5】本発明による25mgの混合アンフェタミン塩3−ビーズ組成物の溶解プロファイルを示すグラフである。0−2時間はpH1.1、2−3時間はpH6.0、3時間以上はpH7.5のpH条件を用いた。
【図6】本発明による37.5mgの混合アンフェタミン塩3−ビーズ組成物の溶解プロファイルを示すグラフである。0−2時間はpH1.1、2−3時間はpH6.0、3時間以上はpH7.5のpH条件を用いた。
【図7】本発明による50mgの混合アンフェタミン塩3−ビーズ組成物の溶解プロファイルを示すグラフである。0−2時間はpH1.1、2−3時間はpH6.0、3時間以上はpH7.5のpH条件を用いた。
【図8】SPD465持続放出ビーズ(HDR2)の溶解プロファイルを示すグラフである。0−2時間はpH1.1、2−3時間はpH6.0、3時間以上はpH7.5のpH条件を用いた。
【図9】37.5mgのSPD465の平均d−アンフェタミン血漿中濃度を、25mgのアデラルXR(登録商標)とその8時間後の12.5mgの即時放出混合アンフェタミン塩と比較して示したものである。
【図10】37.5mgのSPD465の平均l−アンフェタミン血漿中濃度を、25mgのアデラルXR(登録商標)とその8時間後の12.5mgの即時放出混合アンフェタミン塩と比較して示したものである。
【図11】健常人に12.5mgのSPD465を一日一回投与した後と、一日一回投与を7回した後の平均d−アンフェタミン血漿中濃度の経時変化を示したものである。
【図12】健常人にSPD465の一日一回投与を7回した後の平均d−アンフェタミン血漿中濃度の経時変化を示したものである。
【図13】投与によるd−アンフェタミンの第7日目の平均のCmax値と個々のCmax値のパワーモデル解析を示したものである。
【図14】投与によるd−アンフェタミンの第7日目の平均のAUC0−24値と個々のAUC0−24値のパワーモデル解析を示したものである。
【図15】健常人に12.5mgのSPD465を一日一回投与した後と、一日一回投与を7回した後の平均l−アンフェタミン血漿中濃度の経時変化を示したものである。
【図16】健常人にSPD465の一日一回投与を7回した後の平均d−アンフェタミン血漿中濃度の経時変化を示したものである。
【図17】投与によるl−アンフェタミンの第7日目の平均のCmax値と個々のCmax値のパワーモデル解析を示したものである。
【図18】投与によるl−アンフェタミンの第7日目の平均のAUC0−24値と個々のAUC0−24値のパワーモデル解析を示したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
本発明により、様々な種類の制御薬物放出と放出プロファイルが検討される。
【0074】
「ビーズ」と「ペレット」という用語は、投与形態の個々の構成物を指す。例えば、カプセル殻に複数のビーズかペレットを充填する。本明細書で用いるところのビーズとペレットは、あらゆる投与形態の個々の構成物を包含する。
【0075】
「即時放出」と「遅延放出」は、薬剤の投与に関する放出の開始を指す。「即時」は薬剤の放出が、例えば数分以下といった投与後の比較的短時間内に、非常に迅速に開始することを意味している。「遅延」は薬剤の放出が遅らされ、概して例えば1時間以上といった比較的長時間である、投与後の特定の時間帯(例えば、遅延時間)に薬剤の放出が開始するか誘発されることを意味する。
【0076】
「即効性」の放出と「徐放性」の放出は、発現後の放出の速度を指す。薬剤の送達が始まると、相対的に早いか相対的に遅いかで放出される。即効性放出は、発現後に、比較的短時間で最大の用量かピークに達することを示す。徐放性放出は、発現後に比較的長時間で最大の用量かピークに達することを示す。ピークに達した後は、前記の最大の用量は(急速か、緩やかか、一定かの)任意の速度で減少する。
【0077】
「持続」又は「連続」は持続的な放出の期間を指し、用量放出プロファイルがどんな形であれ、最初の発現後に通常1時間を越えて長時間にわたり薬剤の送達が(連続して、又は持続して)続くことを意味する。例えば、ある比較的長時間にわたり、薬物放出が最大値と最小値(0より大きい)の間で持続する。前記放出は用量が一定であってもよく、又は用量が時間と共に減少してもよい。
【0078】
「一定」放出は放出される用量を指し、長期間又は適度な期間にわたり比較的に一定の用量で薬剤が送達されることを意味する。これは、非常にはっきりしたピークと谷がなく、最初の発現後に比較的平らかほんのわずかに傾いている用量放出プロファイルによって表すことができる。このように、一定放出は一般的に持続するか連続するかであるが、持続放出又は連続放出は一定でない場合がある。
【0079】
「パルス」放出は、ある時間にわたって最大の用量と最小の用量との間で変動する1種類以上の用量で薬剤が送達されることを意味する。これは、1種類以上のはっきりとした山と谷とを有する用量放出プロファイルによって表すことができる。しかしながら、2種類以上のパルス放出は、重なり合うか、全体的か、合成されるかで、一定のように見えるか又は事実上一定である放出プロファイルとなる。2種類以上のパルス放出が生じると、パルスの間に放出しない期間がある場合とない場合とがある。通常、パルス放出は約60分間以内に薬剤の実質的に全量を放出することとなる。
【0080】
「長期」放出は、例えば持続放出か、パルス放出か、一定放出かのような放出の特定の機構や特徴に関わらず、比較的長時間にわたり目標とする用量範囲内での薬剤の放出か、比較的長時間にわたり目標とする用量範囲内での薬剤の血漿濃度かを提供する剤形を指す。
【0081】
本明細書で用いられるところの「有効な治療」又は「有効な処置」は、少なくとも1種類のADHDの症状又は兆候を予防するか、軽減するか、進行を止めるか、抑制することを意味する。ADHDの症状と兆候は、例えば、不注意と、多動性と、衝動性などを含む。
【0082】
本明細書で用いられるところの「食物の影響」とは、摂食状態に比べて絶食状態で薬剤を投与する場合に、患者での薬剤の生体利用性に著しい差異があることを意味している。「食物の影響がない」とは、摂食状態に比べて絶食状態で薬剤を投与する場合に、患者での薬剤の生体利用性に著しい差異がないことを意味している。
【0083】
「約」又は「およそ」という用語は、特定の値が測定の仕方や決定の仕方に部分的に依存する、当業者により決定される前記特定の値の許容可能な誤差の範囲内を意味しており、このような例としては、測定系の限界や、医薬品剤形のように特定の目的に求められる精度の度合いが含まれる。例えば、先行技術における方法によると、「約」は1以上の標準偏差であることを意味する。また、「約」はある値の20%までの範囲を、好ましくはある値の10%までの範囲を、より好ましくはある値の5%までの範囲を、さらに好ましくはある値の1%までの範囲を意味する。また、特に生物学的システム又は生物学的プロセスに関して、前記用語は1桁(10倍)の範囲内、好ましくは5倍の範囲内、より好ましくは2倍の範囲内を意味する場合がある。
【0084】
薬物放出と薬物放出プロファイルとは、投与したときに、剤形が放出するか、剤形が受容環境(例えば、胃や腸など)へ活性成分(薬剤)を送達することによる、方法とタイミングの測定量又は表示である。薬物放出を評価するためと放出プロファイルを求めるために、剤形の生体内での挙動のモデルとなる生体外試験を含む様々な方法が知られている。前記方法として、即時放出固体投与形態と制御放出固体投与形態のUSP溶出試験含む。
【0085】
薬物放出プロファイルは血漿プロファイルとは明らかに異なるものである。血漿プロファイルは、薬剤剤形を服用した患者などの哺乳類の血中の活性成分(薬剤)の用量又はレベルの測定量又は表示である。剤形から薬剤が例えば、哺乳類の消化管などに放出された場合、時間の経過に伴い血中に存在する薬剤の量を測定できる。
【0086】
薬物放出プロファイルは、望ましい血漿プロファイルか目的とする血漿プロファイルを実現するように意図される場合がある。必ずしもそうとは限らないが、多くの場合、血漿プロファイルは放出プロファイルと類似したものとなる。例えば、薬剤の持続放出は血漿中の持続用量を引き起こす傾向があるか、又はパルス放出はパルス(山と谷)血漿プロファイルを引き起こす傾向がある。しかしながら、必ずしもこのようになるとは限らない。例えば、持続血漿プロファイル又は連続血漿プロファイルがパルス送達プロファイルに起因するような血流中の薬剤の半減期(崩壊速度)となる場合がある。また、その他の因子も生体吸収と、生体利用性と、初回通過効果のような働きをする場合がある。また、ある放出プロファイルにより、もたらされる血漿プロファイルも患者によって様々である。
【0087】
当業者に公知の生体利用性の測定は、血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC)と、最大濃度(Cmax)と、Cmaxまでの時間(Tmax)を含む。
【0088】
AUCは血漿中濃度−時間曲線下面積の測定値であると共に、薬剤の単回経口投与に付随する薬剤の吸収量を表すものである(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, (Alfonso R. Gennaro ed. 2000), page 999)。
【0089】
maxは経口薬剤投与後に達っせられる最大血漿中濃度である(レミントン、999ページ)。経口薬剤投与で、あるCmaxが得られるが、(例えば、パルス用量剤形の投与に付随する)「ピーク血漿濃度」又は「血漿濃度ピーク」を超える結果にはならない。
【0090】
maxは経口薬剤投与後にCmaxに達するのに必要となる時間であり、薬剤の吸収速度に関連している(Remington, page 999)。
【0091】
生物学的同等性は、同様の状況下で同じ用量を投与した場合に、活性成分の効用において著しく異なる吸収速度と著しく異なる吸収量が生じないことである。生物学的同等性は、例えばAUCやCmaxのような薬物動態パラメーターにより測定できる。
【0092】
本発明の薬物送達システムは、典型的には薬剤で充填されているか充填されていないコアシードかマトリックス、及び薬剤を含む1層以上のコーティング層、及び/又は薬剤の発現特性と放出特性を制御する放出特性を有する層からなる場合がある。典型的なコアは糖コアである。典型的なマトリックスは親水性マトリックスを含む。親水性マトリックスを形成するために有用なポリマーはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)と、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)と、ポリ(エチレンオキサイド)と、ポリ(ビニルアルコール)と、キサンタンゴムと、カルボマーと、カラギーナンと、ズーグラン(zooglan)とを含む。また、その他の類似の親水性ポリマーを用いてもよい。
【0093】
コーティング層は即時放出か、遅延パルス放出か、持続放出を提供することができる。即時放出層からの薬剤の即時放出は、あらゆる当業者により公知の様々な方法により達成できる。第一の例では、薄いという利点により胃液が迅速に浸透し、薬剤の急速な溶出を可能にする非常に薄い層又は非常に薄いコーティングを使用する。その他の例では、胃液内で迅速に溶解する補助的な結合剤又はその他の不活性物質を含む、混合物中の薬剤に組み込むことにより、物質が溶解するにつれて薬剤を放出する。第三の例では、胃液と接触すると急速に崩壊する補助的な結合剤又はその他の不活性物質を、微小粒子として胃液中に急速に分散する物質と薬剤と共に使用する。急速に崩壊し分散する物質の例はラクトースと微結晶性セルロースである。懸濁化剤と結合剤の例はヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0094】
前記遅延パルス放出成分としての腸溶性コーティングはpH依存性であっても、pH非依存性であってもよい。前記持続放出成分としての腸溶性コーティングはpH依存性である。pH依存性コーティングは、典型的には遅延放出が望まれる環境の局所的なpHに適した公知のpH範囲内で活性化して、薬剤を放出する。典型的なpH依存性コーティングは、酢酸フタル酸セルロースか、酢酸トリメリト酸セルロースか、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースか、酢酸フタル酸ポリビニルか、カルボキシメチルエチルセルロースか、例えば商標名がオイドラギット(登録商標)L12.5かオイドラギット(登録商標)L100又はオイドラギット(登録商標)S12.5かオイドラギット(登録商標)S100かで公知の物質であるメタクリル酸/メタクリル酸メチルエステル共重合体か、腸溶性コーティングを得るために用いられる類似の化合物を含む。
【0095】
また、例えば、オイドラギット(登録商標)L30D−55と、オイドラギット(登録商標)L100−55と、オイドラギット(登録商標)S100と、オイドラギット(登録商標)preparation 4110D(ローム ・ファーマ);アクアテリック(AQUATERIC、登録商標)、アクアコート(AQUACOAT、登録商標)CPD30(FMC);コリコート MAE(KOLLICOAT MAE、登録商標)30Dと30DP(BASF);イーストアクリル(EASTACRYL、登録商標)30D(イーストマン・ケミカル)などの水性コロイドポリマー分散か水性コロイドポリマー再分散を適用できる。
【0096】
pH非依存性コーティングは腸内細菌(すなわちアゾポリマー)でのアゾレダクターゼによる酵素的活性化の影響を受けやすい物質か、結腸での多糖(天然多糖)による分解の影響を受けやすい物質を含む。アゾポリマーの例としては、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)とメタクリル酸メチル(MMA)の共重合体を含むが、これらに限定されない。天然多糖の例としては、アミロースと、キトサンと、コンドロイチン(chrondoitin)と、デキストランと、キシランとを含むが、これらに限定されない。
【0097】
前記持続放出成分には、持続放出コーティングと、持続放出マトリックスと、持続放出浸透システムとを含むことができる。持続放出コーティングは、非水溶性ポリマーか、複数の非水溶性ポリマーの組み合わせか、非水溶性ポリマーと水溶性ポリマーの組み合わせかを用いて調製することができる。通常の当業者に公知の従来の持続放出ポリマーを持続放出マトリックスに用いることができる。
【0098】
典型的な持続放出コーティングには、酢酸ポリビニルと、酢酸セルロースと、酢酸酪酸セルロースと、酢酸プロピオン酸セルロースと、エチルセルロースと、脂肪酸及びそれらのエステルと、アルキルアルコールと、ワックスと、ゼイン(トウモロコシ由来のプロラミン)と、そして、オイドラギット(登録商標)RS及びRL30Dと、オイドラギット(登録商標)NE30Dと、アクアコート(登録商標)と、シュアリース(登録商標)と、コリコート(登録商標)SR30Dと、酢酸セルロースラテックスのような水性重合体分散とを含むことができる。
【0099】
本発明に適用できる持続放出剤形技術の原理の例は、例えば、R.K. Chang and J.R. Robinson, chapter 4: “Sustained Drug Release from Tablets and Particles Through Coating,” in Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, volume 3, edited by H.A. Lieberman, L. Lachman, and J.B. Schwartz, Marcel Dekker, Inc., 1991と、R.J. Campbell and G.L. Sackett, chapter 3: “Film coating,” in Pharmaceutical Unit Operations: Coating, edited by K.E. Avis, A.J. Shukla, and R.K. Chang, Interpharm Press, Inc., 1999とに記載されている。
【0100】
本発明は、調製されるか市販の入手可能な製品かいずれかのコアシード又は開始シードからなる。前記コアシード又は出発シードは、糖球体と、微結晶性セルロースから生成される球体と、いずれかの適当な薬剤の結晶であることができる。
【0101】
薬剤含有ペレットを作る際に使用できる物質は医薬品に一般に使用されるいずれかのものであり、活性薬剤とペレットの物理的化学的特性との適合性に基づき選択されなければならない。活性薬剤を除く添加物は下記の例から選択される。
【0102】
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体と、ポリビニルピロリドンと、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体と、これらに類するものなどの結合剤。
【0103】
コーンスターチと、アルファ化デンプンと、架橋カルボキシメチルセルロース(AC−DI−SOL(登録商標))と、スターチグリコール酸ナトリウム(EXPLOTAB(登録商標))と、架橋ポリビニルピロリドン(PLASDONE XL(登録商標))と、錠剤調製に使用されるいずれかの崩壊剤などの崩壊剤。
【0104】
ラクトースと、炭酸カルシウムと、リン酸カルシウムと、硫酸カルシウムと、微晶質セルロースと、デキストランと、デンプンと、スクロースと、キシリトールと、ラクチトールと、マンニトールと、ソルビトールと、塩化ナトリウムと、ポリエチレングリコールと、これらに類するものなどの充填剤。
【0105】
ラウリル硫酸ナトリウムと、モノオレイン酸ソルビタンと、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートと、胆汁酸塩と、モノステアリン酸グリセリルと、プルロニック(PLURONIC(登録商標))系(BASF)と、これらに類するものなどの界面活性剤。
【0106】
クエン酸と、コハク酸と、フマル酸と、リンゴ酸と、酒石酸と、マレイン酸と、グルタル酸と、重炭酸ナトリウムと、炭酸ナトリウムと、これらに類するものなどの溶解剤。
【0107】
酸化防止剤と、緩衝剤と、酸と、これらに類するものなどの安定剤も同じく利用することができる。
【0108】
コアの製造方法は以下のものを含む。
【0109】
a.押出−球体化:1種類又は複数の種類の薬剤と他の添加剤とを、結合剤溶液を加えることにより粒状にする。その湿潤塊は、あるサイズのスクリーンを備えた押出機を通過させる。その押出成形物をマルメライザーで球体化する。得られたペレットを乾燥し、さらに使用するために篩いにかける。
【0110】
b.高せん断粒状化:1種類又は複数の種類の薬剤と他の添加剤とを乾燥混合し、次いで高せん断粒状化機/混合機で結合剤溶液を追加して前記混合物を湿潤化する。その顆粒は混合処理と製粉処理とを組み合わせることにより、湿潤化した後、混練される。得られた顆粒又はペレットを乾燥し、さらに使用するために篩いにかける。
【0111】
c.溶液層形成又は懸濁液層形成:結合剤を含むか含まない薬剤溶液又は薬剤分散液を、流動床処理機又は他の適当な装置で、ある粒子サイズで出発シードに噴霧する。こうして、前記薬剤を前記出発シードの表面にコーティングする。薬剤含有ペレットをさらに使用するために乾燥する。
【0112】
本発明の目的では、前記コア粒子は約50−1500マイクロメートル、好ましくは100−800マイクロメートルの範囲の直径を有する。
【0113】
その後、前記粒子を交互に連続するコーティング層を持つ流動床装置でコーティングすることができる。
【0114】
前記コアは少なくとも1種類の医薬品として有効なアンフェタミン塩の1つか複数の層で直接コーティングされる場合があり、及び/又は前記医薬品として有効なアンフェタミン塩は前記コア物質内に組み込まれる場合がある。本発明の範囲内として意図される医薬品として有効なアンフェタミン塩は、アンフェタミン塩基とこれらの塩とを含む。好ましい医薬品として有効なアンフェタミン塩は、硫酸デキストロアンフェタミンと、デキストロアンフェタミンサッカラートと、アスパラギン酸アンフェタミン 一水和物と、硫酸アンフェタミンとを含む。
【0115】
保護層は活性薬剤含有層の上に加えられてもよく、活性層の間に設けられてもよい。分離層又は保護層は前記活性含有コアの表面に加えられてもよく、次いで、その上に前記腸溶性遅延パルス層か腸溶性持続放出層かがコーティングされる。また、その他の活性層も初期の用量を送達するために前記腸溶性遅延パルス層か腸溶性持続層かに加えられてもよい。
【0116】
保護コーティング層は、水又は適切な有機溶媒中のポリマー溶液を使用する鍋式コーティング法(pan coating)又は流動床式コーティング法のような従来のコーティング技術か、水性ポリマー分散液を使用することかにより、薬剤を含有するマトリックスのコア又は薬剤が層状になったコアのようなコアの外側に直接塗布される場合がある。前記保護層のための適当な材料は、ヒドロキシエチルセルロースと、ヒドロキシプロピルセルロースと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、ポリビニルピロリドンと、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体と、エチルセルロース水性分散液(アクアコート(登録商標)、シュアリース(登録商標))と、オイドラギット(登録商標)RL 30Dと、オパドライ(登録商標)とこれらに類するものとのようなセルロース誘導体を含む。典型的なコーティングレベルは1%から6%であり、好ましくは2−4%(w/w)である。
【0117】
前記腸溶性遅延パルス層又は前記腸溶性持続放出層は、水又は適当な有機溶媒中にポリマーを含む溶液を使用する鍋式コーティング法(pan coating)又は流動床式コーティング法のような従来のコーティング技術か、水性ポリマー分散液を使用することかにより、シールコーティングをしているかしていない前記コア上に層状に被覆されてもよい。適したコーティング剤は当業者に公知である。例えば、すべての入手可能な市販のpH感受性ポリマーを用いることができる。前記ポリマーを使用すると、活性薬剤はpHが約4.5未満の胃の酸性環境下では放出されないが、前記の値に限定されない。ある遅れ時間の後、又は単位用量が胃を通過した後により高いpHでpH感受性層が溶解したときに、薬理活性が得られるようになる。
【0118】
前記遅延パルス放出成分と前記持続放出成分として適した腸溶性ポリマーは、例えば、酢酸フタル酸セルロースか、酢酸トリメリト酸セルロースか、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースか、酢酸フタル酸ポリビニルか、カルボキシメチルエチルセルロースか、例えば商標名オイドラギット(登録商標)L12.5かL100、又はオイドラギット(登録商標)S12.5かS100として知られている物質のようなメタクリル酸/メタクリル酸メチルエステル共重合体か、腸溶性コーティングを得るために用いられるこれらに類似した化合物かを含む。また、水性コロイド状ポリマー分散又は再分散は、例えば、オイドラギット(登録商標)L30D−55と、オイドラギット(登録商標)L100−55と、オイドラギット(登録商標)S100と、オイドラギット(登録商標)プレパレーション(preparatio)4110D(ローム・ファーマ);及びアクアテリック(登録商標)と、アクアコート(登録商標)CPD30(FMC);及びコリコートMAE(登録商標)30Dと、30DP(BASF);及びイーストアクリル(登録商標)30D(イーストマン・ケミカル)を適用できる。
【0119】
本発明に用いられる前記腸溶性遅延パルス放出ポリマーと前記腸溶性持続放出ポリマーは、pH感受性ではない他の既知のコーティング製品と混合することにより修飾されることができる。このようなコーティング製品の例としては、オイドラギット(登録商標)RS及びオイドラギット(登録商標)RLの商標名で市販されている少量のメタクリル酸トリメチルアンモニオエチル塩化物を含む中性メタクリル酸エステルと、オイドラギット(登録商標)NE30Dの商標名で市販されているいずれかの官能基を有しない中性エステル分散剤と、pH非依存性コーティング用品とを含む。
【0120】
前記腸溶性遅延パルス放出コーティング又は前記腸溶性持続放出コーティング上で使用される前記保護層の修飾用成分は、前記腸溶性コーティング層を通じた通水速度を低減することにより前記薬剤の放出の遅延時間を増加させるために、前記腸溶性コーティング剤の後に続けてコーティングされる場合がある透水障壁層(半透性ポリマー)を含むことができる。当業者に公知のコーティング剤はこの目的のために使用され、水か適当な有機溶媒中にポリマーを含む溶液を使用する鍋式コーティング法又は流動床式コーティング法のような従来のコーティング技術か、水性ポリマー分散液を使用することかにより適用される場合がある。例えば、酢酸セルロースと、酢酸酪酸セルロースと、酢酸プロピオン酸セルロースと、エチルセルロースと、脂肪酸及びそれらのエステル、ワックスと、ゼインと、例えばオイドラギット(登録商標)RSとRL30Dとオイドラギット(登録商標)NE30Dとアクアコート(登録商標)とシュアリース(登録商標)と酢酸セルロースラテックスのような水性ポリマー分散液の材料とが使用される場合があるが、これらに限定されない。前記ポリマーと、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(クルーセル(KLUCEL、登録商標)、ヘラクレス社)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトセル(METHOCEL、登録商標)、ダウ・ケミカル社)、ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマーとの組み合せが使用される場合もある。
【0121】
オーバーコーティング層は、本発明の組成物にさらに任意に塗布される場合がある。ペレットが安っぽくなることを防ぐためと製品に着色するために、オパドライ(登録商標)と、オパドライII(登録商標)(カラコン(Colorcon))と、カラコンから市販されている対応する有色及び無色の等級の製品とが使用される場合がある。保護コーティング又は着色コーティングの典型的なレベルは1%から6%であり、好ましくは2−3%(w/w)である。また、タルクも同様の目的に使用することができ、例えば2%w/wのタルク処理を適用することができる。
【0122】
例えば、より迅速な放出を提供するために、クエン酸アセチルトリエチルと、クエン酸トリエチルと、クエン酸アセチルトリブチルと、セバシン酸ジブチルと、トリアセチンと、ポリエチレングリコールと、プロピレングリコールとその他のような可塑剤、及びタルクと、コロイド状二酸化ケイ素と、ステアリン酸マグネシウムと、ステアリン酸カルシウムと、二酸化チタンと、ケイ酸マグネシウムのような滑剤、及びこれらに類するもののような多くの成分を前記オーバーコーティング層の処方に組み込むことができる。
【0123】
単独あるいは賦形剤の添加を伴って、好ましくはビーズレット形態の前記組成物をハードゼラチンカプセル中に組み込むことができる。カプセル剤形に加えられる典型的な賦形剤は、微結晶性セルロースか、大豆多糖類か、リン酸カルシウム二水和物か、硫酸カルシウムか、ラクトースか、スクロースか、ソルビトールか、いずれかの不活性充填剤のような充填剤を含むが、これらに限定されない。さらに、ヒュームド二酸化ケイ素か、シリカゲルか、ステアリン酸マグネシウムか、ステアリン酸カルシウムか、粉末に流動性を与えるいずれかの他の物質のような流動性の酸を加えることができる。さらに、必要であれば、ポリエチレングリコールか、ロイシンか、ベヘン酸グリセリルか、ステアリン酸マグネシウムか、ステアリン酸カルシウムかを用いて、滑剤を加えることができる。
【0124】
組成物は具体的には錠剤マトリックスに組み込まれることにより錠剤に組み込まれる場合があり、前記錠剤マトリックスは服用後速やかに前記粒子を分散させる。これらの粒子を前記錠剤に組み込むために、充填剤/結合剤が前記粒子を許容可能である錠剤に添加されるが、打錠工程での前記粒子の破壊はない。この目的に適する材料は、微結晶性セルロース(アビセル(AVICEL、登録商標))と、大豆多糖類(エムコソイ(EMCOSOY、登録商標))と、アルファ化デンプン(スターチ(STARCH、登録商標)1500、ナショナル(NATIONAL、登録商標)1551)と、ポリエチレングリコール(カルボワックス(CARBOWAX、登録商標))とを含むがこれらに限定されない。前記材料は5−75%(w/w)の範囲で存在し、好ましい範囲は25−50%(w/w)である。
【0125】
また、錠剤を服用するとすぐにビーズが分散するように、崩壊剤を加える。適する崩壊剤は、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(AC−DI−SOL(登録商標))と、デンプングリコール酸ナトリウム(エクスプロタブ(EXPLOTAB、登録商標)と、プリモジェル(PRIMOJEL、登録商標))と、架橋ポリビニルポリピロリドン(Plasone−XL)とを含むがこれらに限定されない。前記材料は3−15%(w/w)の範囲で存在し、好ましい範囲は5−10%(w/w)である。
【0126】
適切な錠剤化を確実にするために滑剤を加えることができ、前記滑剤はステアリン酸マグネシウムと、ステアリン酸カルシウムと、ステアリン酸と、ポリエチレングリコールと、ロイシンと、ベヘン酸グリセリルと、硬化植物油とを含むがこれらに限定されない。前記滑剤は0.1−10%(w/w)の量で存在し、好ましい範囲は0.3−3.0%(w/w)である。
【0127】
錠剤は、例えば、以下のように形成される。粒子をアビセル(登録商標)と、崩壊剤と、滑剤と共に混合機に入れ、一定の時間(分)混合し、均一な混合物を得て、次いで錠剤を圧縮する錠剤プレスのホッパーに前記混合物を入れる。使用される圧縮力は錠剤形成に適切なものであるが、ビーズ又はコーティングを破壊するほどのものではない。
【0128】
本発明による錠剤は3種類の層で形成されることができ、ここで、前記即時放出成分は乾燥混合物であり、前記遅延パルス放出成分と前記持続放出成分は湿った粒上のものである。次いで、錠剤は1種類の層又は3種類の層の圧縮で形成される。1種類の層又は3種類の層の錠剤中の層が溶解すると、各々の成分が放出され、(前記即時放出粒子は即時放出を示し、前記遅延パルス放出粒子は遅延パルス放出を示し、前記持続放出粒子は遅延時間後に持続放出を示すような)各々に独自の作用を示す。
【0129】
本発明の複数回投与形態が医薬品として有効なアンフェタミン塩の急速かつ完全な用量を送達でき、単回経口投与で服用者に約14時間から約16時間にわたる薬剤の望ましいレベルを達成できることは高く評価されるであろう。
【0130】
また、本発明はADHD以外の症状を治療するための、長時間(longer−day)アンフェタミン組成物の使用に関する。前記症状は、単独で又はSSRIと組み合わせてアルツハイマー病及び他の記憶障害、線維筋痛、慢性疲労、うつ病、強迫障害;グアンファシン又はブプロプライオン(buproprion)の組成物か製剤と共に又は無しでADHDを伴う又は伴わない反抗的行為障害(ODD);単独で又は不安緩解剤又はSSRIと組み合わせてADHDを伴う又は伴わない不安;難治性うつ病;卒中リハビリテーション;パーキンソン病;気分障害;統合失調症;ハンチントン病;例えばAIDS認知症及び前頭葉認知症などの認知症;運動障害;無感動;疲労;ピック病;例えば、ナルコレプシー、カタプレキシー、睡眠麻痺及び入眠時幻覚などの睡眠障害;などを含むが、これらに限定されない。
【0131】
また、本発明は、本発明の長時間アンフェタミン組成物と他の治療薬との組み合せも意図している。前記薬剤は、本発明の長時間アンフェタミン組成物投与と同じ投与形態で製剤化するか、例えば前記薬剤を任意の順番で連続して、又は同時に投与するように別々に製剤できる。典型的には、用量は各薬剤を別々に使用する場合と同じ範囲であるか、又は相乗効果が起こる場合は組み合わせる薬剤の1種類以上をより低用量で使用することができる。
【0132】
前記他の治療薬は、例えば、アルツハイマー用:ガランタミン(galanthamine)、タクリン、ドネペジル、リバスティグミン、メマンチン、ヒト成長ホルモン、塩酸セレギリン、エストロゲン、クリオキノール、イブプロフェン、及び銀杏;ADHD治療薬:(例えば、リタリン(RITALIN、登録商標)、コンセルタ(CONCERTA、登録商標)などの)メチルフェニデート、アンフェタミン、ペモリン、クロニジン、グアンファシンなど;うつ病用:塩酸フルオキセチン、セルトラリンHCL、パロキセチンHCL、レボキセチン、ブプロピオンHCL、オランザピン、塩酸フルオキセチン、アミトリプチリン、イミプラミン、ノルトリプチリン、フェネルジン、硫酸トラニルシプロミン、トラゾドン、及びベンラファクシン;気分障害用:ソラジン、ハロペリドール、チオチキセン、チオリダジン、リスペラドン(risperadone)、クロザピン、リスペリドン、及びオランザピン;疲労用:ベンゾジアゼピン、ナプロキセン、塩酸フルオキセチン、セルトラリンHCL、パロキセチンHCL、ベンラファクシン、及びトラゾドン;線維筋痛用:フェニトイン、カルバマゼピン、バルプロエート、ダイバルプロエックス(divalproex)、デシプラミン、ノルトリプチリン、アミトリプチリン(amitryptiline)、ドクサピン、及び非ステロイド性抗炎症薬;反抗的行為障害(ODD)用:クロニジン、リスペリドン、及びオランザピン:無気力用:アミスルプリド、オランザピン、ビスペリドン(visperidone)、クエチアピン、クロザピン、及びゾテピン;パーキンソン病用:レボドパ、ブロモクリプチン、ペルゴリド、及びプラミペキソール(pramipexole);統合失調症のために:クロザピン、オランザピン、フマル酸クエチアピン、及びリスペリドン;ハンチントン病のために:ハロペリドール、及びクロナゼパム;認知症用:チオリダジン、ハロペリドール、リスペリドン、タクリン、ドネペジル、及びリバスティグミン;ナルコレプシー用:モダフィニル、アンフェタミン、モダフィニル及びリタリン(登録商標);カタプレキシー用:オキシバートナトリウム;幻覚用:クロザピン、リスペリドン、オランザピン、及びフマル酸クエチアピン;睡眠麻痺用:ペロセット(PEROCET、登録商標)、ビコディン(VICODIN、登録商標)、及びロルセット(LORCET、登録商標);強迫神経症用:クロミプラミン、塩酸フルオキセチン、セルトラリンHCL、パロキセチンHCL、フルボキサミン;及び不安用:アミトリプチリン、アモキセピン(amoxepine)、ブプロピオンHCL、カルバマゼピン、クロミプラミン、デシプラミン、ドクサピン、イミプラミン、ノルトリプチリン、ベンチル(VENTYL、登録商標)、トリミプラミンなど;塩酸フルオキセチン、フルボキサミン、ネファゾドン、パロキセチンHCL、セルトラリンHCLベンラファクシンなどを含む選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、ジアゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、トリアゾラムなどを含むベンゾジアゼピン、モクロベミド、フェネルジン、硫酸トラニルシプロミンなどを含むモノアミンオキシダーゼ阻害剤を含む。
【0133】
本発明は、ここに記載した実施態様による範囲に制限されるものではない。実際に、当業者は前述の説明と添付した図面から、ここに記載した内容に加えて本発明に様々な変更をなすことができる。このような変更は、添付した特許請求の範囲内である。
【0134】
以下の実施例は説明するために記載するものであり、本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0135】
即時放出剤形(HIR)
糖球体シード(30/35メッシュ、NF)を、9−ウルスター(Wurster)カラムを設けたFLM−15流動床式処理機内に載置し、60℃で流動させた。アスパラギン酸アンフェタミンと硫酸アンフェタミン,USPと、デキストロアンフェタミンサッカラートと、硫酸デキストロアンフェタミン,USPと結合剤としてハイプロメローズ(Hypromellose)2910,USP/NFとを含む混合物の懸濁液を、適した条件下でシード上に噴霧した。乾燥後、オパドライ(登録商標)ベージュ,YS−1−17274−Aシールコーティングを被覆した。表1に、成分を重量で記載する。
【0136】
【表1】

【実施例2】
【0137】
中間剤形(HFS)
オイドラギット(登録商標)FS30D(本明細書において、オイドラギット(登録商標)4110Dも指す)(ローム・ファーマ,ドイツ)コーティング分散液で、実施例1の即時放出混合アンフェタミン塩ペレットをコーティングするために、下記の処方を使用した。実施例1の即時放出ペレットを、還元ウルスターカラム(GPGC−15,Glatt)を設けた流動床式処理機に入れた。前記コーティング分散液はクエン酸トリエチル、USP/NFと;タルクと、オイドラギット(登録商標)FS30Dを水に分散させ、少なくとも30分間混合して調製した。適当な流動化条件下で、前記コーティング分散液を流動化混合アンフェタミン塩ペレットに噴霧した。前記噴霧は、25−30重量パーセント(wt%)の目的とするコーティングレベルに達するまで続けられた。処理を停止するまで、コーティングペレットを30−35℃で5分乾燥した。乾燥後、ペレットをオパドライ(登録商標)ベージュ,YS−1−17274−Aで被覆した。表2に、成分を重量で記載する。
【0138】
【表2】

【実施例3】
【0139】
遅延放出剤形(HDR)
オイドラギット(登録商標)L30D−55コーティング分散液で実施例1の即時放出混合アンフェタミン塩ペレットをコーティングするために、下記の処方を使用した。実施例1の即時放出ペレットを、還元ウルスターカラム(GPGC−15,Glatt)を設けた流動床式処理機に入れた。前記コーティング分散液はクエン酸トリエチル、USP/NFと;タルクと、オイドラギット(登録商標)L30D−55を水に分散させ、少なくとも30分間混合して調製した。適当な流動化条件下で、前記コーティング分散液を、流動化混合アンフェタミン塩ペレットに噴霧した。前記噴霧は、27−32重量パーセント(wt%)の目的とするコーティングレベルに達するまで続けられた。処理を停止するまで、コーティングペレットを30−35℃で5分間乾燥した。乾燥後、ペレットをオパドライ(登録商標)ベージュ,YS−1−17274−Aで被覆した。表3に、成分を重量で記載する。
【0140】
【表3】

【実施例4】
【0141】
持続放出剤形(HDR2)
実施例2の中間剤形ペレットを、還元ウルスターカラム(GPGC−15,Glatt)を設けた流動床式処理機に入れた。前記コーティング分散液はシュアリース(登録商標)と、タルク,USP/NFと、水を噴霧前に少なくとも15分間混合して調製した。適当な流動化条件下で、前記コーティング分散液を流動化ペレットに噴霧した。前記噴霧は、シュアリース(登録商標)固体が7−9重量パーセント(wt%)の目的とするコーティングレベルに達するまで続けられた。その後、コーティングペレットを床から送り出されるまで35−40℃で10分間乾燥した。表4に、成分を重量で記載する。HDR2持続放出ビーズの溶解プロファイルを図8に示す。
【0142】
【表4】

【0143】
本実施例により製造された12.5mgの混合アンフェタミン塩持続放出ビーズ(ロットナンバーB02013)を18−55歳の患者12人に投与し、クロスオーバー研究においてアデラル(登録商標)10mgと比較した(臨床研究101)。2種類の異なる試作ビーズについても試験した。各々の剤形のAUCと、Cmaxと、Tmaxと、t1/2とを算出するために、パラメーター(標準理論)一般線形モデルを適用した。また、治療試験間での生物学的同等性を評価するために、AUCとCmaxをログスケールで分析した。持続放出ビーズと参照のアデラル(登録商標)についての結果を表5に示した。
【0144】
【表5】

【0145】
この薬物動態研究の結果は、持続放出剤形の単回投与がアデラル(登録商標)の単回投与より著しく長いTmaxを有することを示す。また、持続放出剤形のAUCは、d−アンフェタミンでも、l−アンフェタミンでも、用量を調整したアデラル(登録商標)のAUCと同等であった。
【実施例5】
【0146】
制御放出カプセル(SPD465 25mg/カプセル)
実施例1の即時放出ペレットと、実施例3と実施例4の遅延放出ペレットとを組み合わせることで、制御放出カプセルを調製した。制御放出カプセルの成分の理論上のミリグラム/カプセル、25mg/カプセルを、表5に記載する。各々のペレットの種類の理論上の有効性は、製造の出発成分に基づいて導いた。プロセスの消失の結果と共に、実際の製造過程に基づき、目的とする有効値は:実施例1の即時放出ペレットでは170mg/グラムであり、実施例3の遅延放出ペレットでは107.1mg/グラムであり、実施例4の遅延放出ペレットでは100.2mg/グラムである。表6に、前記成分を理論上のミリグラム/カプセルで記載する。
【0147】
【表6】

【0148】
25mgのSPD465(ロットナンバーA03547A)の溶解プロファイルを図5に示す。
【実施例6】
【0149】
制御放出カプセル(SPD465 37.5mg/カプセル)
実施例1の即時放出ペレットと、実施例3と実施例4の遅延放出ペレットとを組み合わせることで、制御放出カプセルを調製した。制御放出カプセルの成分の理論上のミリグラム/カプセル、37.5mg/カプセルを、表7に記載する。各々のペレットの種類の理論上の有効性は、製造の出発成分に基づいて導いた。プロセスの消失の結果と共に、実際の製造過程に基づき、目的とする有効値は:実施例1の即時放出ペレットでは170mg/グラムであり、実施例3の遅延放出ペレットでは107.1mg/グラムであり、実施例4の遅延放出ペレットでは100.2mg/グラムである。表7に、前記成分を理論上のミリグラム/カプセルで記載する。
【0150】
【表7】

【0151】
37.5mgのSPD465(ロットナンバーA03549B)の溶解プロファイルを図6に示す。
【実施例7】
【0152】
制御放出カプセル(SPD465 50mg/カプセル)
実施例1の即時放出ペレットと、実施例3と実施例4の遅延放出ペレットとを組み合わせることで、制御放出カプセルを調製した。制御放出カプセルの成分の理論上のミリグラム/カプセル、50mg/カプセルを、表8に記載する。各々のペレットの種類の理論上の有効性は、製造の出発成分に基づいて導いた。プロセスの消失の結果と共に、実際の製造過程に基づき、目的とする有効値は:実施例1の即時放出ペレットでは170mg/グラムであり、実施例3の遅延放出ペレットでは107.1mg/グラムであり、実施例4の遅延放出ペレットでは100.2mg/グラムである。表8に、前記成分を理論上のミリグラム/カプセルで記載する。
【0153】
【表8】

【0154】
SPD465 50mg(ロットナンバーA03536B)の溶解プロファイルを図7に示す。
【実施例8】
【0155】
第I相 アデラルXR(登録商標)25mg+混合アンフェタミン塩IR 12.5mgと比較して実施例6の制御放出組成物37.5mgの薬物動態プロファイルを評価するための健康な成人ボランティアでの薬物動態研究(臨床研究103)
本研究の目的は、アデラルXR(登録商標)25mgに加えて8時間後に投与した実施例1に記載の混合アンフェタミン塩即時放出(IR)剤形の12.5mg用量の対照的処理と比較して、実施例6の制御放出組成物37.5mgの薬物動態(PK)を評価することである。
【0156】
これは、各々の期間の間に少なくとも7日間ウォッシュアウトをした状態での、非盲検、無作為、単回投与、2種類のクロスオーバー、2期間、第I相の検討であった。第I相において、被験者は無作為に、2種類の検討剤形のうちの1種類の朝の単回投与を受けた。次の期間には、各被験者は交代して他の治療を受けた。治療Aにおいて、被験者は実施例6の制御放出組成物37.5mgの単回投与を受けた。治療Bにおいて、被験者はアデラルXR(登録商標)25mgに加えて8時間後に投与した実施例1に記載の混合アンフェタミン塩即時放出剤形の12.5mg用量の単回投与を受けた。表9を参照。
【0157】
【表9】

【0158】
スクリーニングでは、各被験者は病歴と薬歴を提出した。12誘導心電図(ECG)と、バイタルサインと、身長と、体重とが得られた。血液サンプルと尿サンプルとを所定の臨床検査分析と、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)と、B型肝炎と、C型肝炎と、尿アルコール及び薬剤スクリーニングのために収集した。スクリーニングを通して、妊娠の可能性がある女性(WOCP)全員について妊娠血清検査を実施した。
【0159】
各治療期間の間、尿アルコール及び薬剤スクリーニングと、WOCPに対する妊娠尿検査と、体重と、所定の臨床検査分析と、12誘導ECGと、バイタルサインとにより継続する資格が確認されたことを、被験者は投与前の朝に病院に報告した。また、被験者は健康診断を受け、病歴と薬歴の概要をそろえた。
【0160】
d−アンフェタミン血漿中濃度とl−アンフェタミン血漿中濃度を測定するための血液サンプルを、各治療期間の特定の期間に収集した。投与前と投与の2時間後と、4時間後と、8時間後と、12時間後と、24時間後と、60時間後に、バイタルサインを得た。各治療期間にわたり、有害事象(AE)と併用薬とが報告された。投与前と投与の2時間後と、4時間後と、8時間後と、12時間後と、24時間後と、60時間後に、12誘導ECG測定を収集した。
【0161】
各治療期間の終了時の終了評価は、健康診断と、12誘導ECGと、所定の臨床検査測定と、バイタルサインと、AE評価とを含む。試験の終了/中止時に、WOCPに対する妊娠血清検査を実施した。投薬試験の最後の暴露の30±2日後に、AEを評価するために被験者全員に追跡調査の電話をかけた。
【0162】
試験の期間:11日(2つの治療期間は、各期間4日であり、薬剤投与試験の間に少なくとも7日ウォッシュアウトをする。)
薬物動態:以下の時間の時点で収集した血漿サンプルのd−アンフェタミン濃度とl−アンフェタミン濃度を測定した:各治療について、第1日目の投与30分前(0時間)、投与の1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、7時間後、8時間後、9時間後、10時間後、12時間後、14時間後、16時間後、24時間後、36時間後、48時間後、60時間後。d−アンフェタミン血漿中濃度とl−アンフェタミン血漿中濃度はタンデム質量分析計を設置した有効な液体クロマトグラフィ(LC/MS/MS)法で測定した。
【0163】
統計的方法:
固定効果として手順、期間、治療法を含む分散分析(ANOVA)を用いて、そして、変量効果として連続内での多重の被験者を用いて、治療群の間で薬物動態パラメーターを比較した。SAS PROC MIXEDを用いて、最大血漿中濃度(Cmax)と、0時間から無限時間までの血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC(0−inf))と、0時間から最終測定時間までの血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC(0−last))の自然対数変換で、前記分析を実施した。
【0164】
maxと、AUC(0−inf)と、AUC(0−last)について、ログスケールでLS平均の真数を取ることにより、各治療の累乗の最小二乗(LS)平均を得た。試験治療(37.5mgのSPD465)の参照治療(25mgアデラルXR(登録商標)と8時間後の12.5mg混合アンフェタミン塩IR)に対する累乗のLS平均の比と、前記比の90%信頼区間(CI)を提供する。前記90%CIは、ログスケールでのLS平均の間の差に対する90%CIの真数を取ることで得られた。
【0165】
maxと、AUC(0−last)と、AUC(0−inf)と、終末半減期(t1/2)と、終末期速度定数(λz)と、最大血漿中濃度の時間(tmax)とを、各治療に対してまとめて記載した。
【0166】
メディカル・ディクショナリー・フォア・レギュラトリー・アクティビティズ(MedDRA)バージョン7.1アドバース・イベント・ディクショナリーを用いて有害事象をコードした。治療により発現した有害事象の頻度(TEAE)を各治療の身体組織と望ましい期間で表にまとめた。さらに、AEを重症度と、試験薬との関係と、性別と、民族性でまとめた。試験中断に至ったAEを体組織と、望ましい期間と、治療群とにより分類しまとめた。
【0167】
治療と診察により、臨床実験評価をまとめた。血液学と生理学は記述統計学を用いてまとめ、不連続の尿検査測定は度数とパーセントとを用いてまとめ、連続尿検査測定は記述統計学を用いてまとめた。正常な範囲外の検査データは、表の被験者のデータに印を付けた。
【0168】
記述統計学を用いた各測定時刻での治療により、脈と、収縮期血圧と、拡張期血圧と、呼吸数を含むバイタルサインをまとめた。また、各ベースライン時刻に対するベースラインからの変化を計算しまとめた。
【0169】
結果:
被験者層:全体の性別の分布は、女性が60%(12/20)であり、男性が40%(8/20)であった。全体の人種の分布は白人が90%(18/20)であり、黒人/アフリカ系アメリカ人が10%(2/20)であった。検討対象の被験者は21−50歳の範囲であり、全体の平均年齢(SD)は30.0歳(8.83)であった。被験者の体重は61kgから97kgで、平均体重(SD)は73.8kg(10.15)であり、身長は158cm−188cmの範囲で平均身長(SD)は172.6cm(8.05)であった。肥満度指数(Body Mass Index)は20.1kg/m−29.2kg/mであり、平均BMI(SD)は24.75(2.267)であった。
【0170】
薬物動態結果
図9は、37.5mgのSPD465の前記d−アンフェタミン血漿中濃度プロファイルを、アデラルXR(登録商標)(25mg)と8時間後の即時放出混合アンフェタミン塩(12.5mg)とに比較して示したものである。CmaxとAUC値で記載されるd−アンフェタミンへの暴露は、以下の治療Aと治療Bとで同程度であった。試験対参照の比率の90%CIは、80%−125%の生物学的同等性の範囲内であった。
【0171】
図10は、37.5mgのSPD465のl−アンフェタミン血漿中濃度プロファイルを、アデラルXR(登録商標)(25mg)と8時間後の即時放出混合アンフェタミン塩(12.5mg)と比較して示したものである。治療Aの投与後のl−アンフェタミンのCmaxとAUC値は、治療Bの投与後のl−アンフェタミンのCmaxとAUC値と同程度であった。試験対参照の比率の90%CIは、80%−125%の生物学的同等性の範囲内であった。
【0172】
d−アンフェタミンとl−アンフェタミンの消失半減期は、両方の治療で同程度であった。表10を参照。
【0173】
【表10】

【0174】
結論:
d−アンフェタミンのCmaxとAUCに関して、治療Aと治療Bは生物学的に同等であった。全ての治療は耐容性が良好であると共に、報告された全てのAEは予測されたものであった。
【実施例9】
【0175】
第I相 健康な成人ボランティアに摂食状態と、絶食状態と、振りかけた状態で投与した50mgのSPD465の薬物動態プロファイルを評価するための検討(臨床研究105)
これは、各々の薬剤投与の間に少なくとも7日間ウォッシュアウトをした状態での、非盲検、無作為、単回投与、3種類のクロスオーバー、3期間の検討であった。18歳から55歳までの16人の健康な男性と女性の被験者が試験に参加した。本検討は、(1)参照治療と比較した50mgのSPD465のPKへの高脂肪食の効果と、(2)参照治療と比較したアップルソースに振りかけた50mgのSPD465カプセルの効果とを評価することを意図した。
参照治療は、少なくとも10時間の絶食後の50mg用量のSPD465であった。表11を参照。本検討の主な目的は、絶食状態に比べて、SPD465の生体利用性への高脂肪食の効果を評価することである。
【0176】
【表11】

【0177】
前記検討は、試験薬の投与の間に少なくとも7日間のウォッシュアウト期間で区切った3回の単回投与期間を含む。無作為化した日程により、各期間の試験第1日目に、被験者に少なくとも10時間の絶食後の50mgのSPD465か、標準的な高脂肪食後の50mgのSPD465か、アップルソースに振りかけた50mgのSPD465カプセルの含有量を単回投与した。
【0178】
d−アンフェタミン血漿中濃度とl−アンフェタミン血漿中濃度を測定するための血液サンプルを、各治療期間での薬剤投与の30分前(0時間)、投与の1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、7時間後、8時間後、9時間後、10時間後、12時間後、14時間後、16時間後、24時間後、36時間後、48時間後、及び60時間後に収集した。
【0179】
結果:
d−アンフェタミン
maxと、AUC(0−last)と、AUC(0−inf)とにより記載される血漿中d−アンフェタミン濃度は絶食被験者で高く、アップルソースに振りかけたSPD465を服用した被験者でわずかに低く、高脂肪食で前処理した被験者で最も低かった。表12と表13を参照。参照治療として絶食を用いた試験対参照の比率の90%CIは、80%−125%の典型的な許容可能な生物学的同等性の範囲内であり、これは非摂食/摂食状態での著しい差異がないことを示している。高脂肪食を摂取した被験者と絶食の被験者の比率でのCIは100%未満であった。
【0180】
最大d−アンフェタミン血漿中濃度となる中央時間(Tmax)は、絶食被験者で7時間であり、アップルソースに振りかけたSPD465を服用した被験者で7.5時間であった。高脂肪食の後にSPD465を服用した被験者のTmaxは約4から5時間遅延し、中央値は12時間であった。
【0181】
【表12】

【0182】
【表13】

【0183】
l−アンフェタミン
maxと、AUC(0−last)と、AUC(0−inf)とにより記載される血漿中l−アンフェタミン濃度は、絶食被験者で高く、アップルソースに振りかけたSPD465を服用した被験者でわずかに低く、高脂肪食で前処理した被験者で最も低かった。表14と表15を参照。参照治療として絶食を用いた試験対参照の比率の90%CIは、80%−125%の典型的な許容可能な生物学的同等性の範囲内であり、これは非摂食/摂食状態での著しい差異がないことを示している。高脂肪食を摂取した被験者と絶食の被験者の比率でのCIは100%未満であった。
【0184】
最大l−アンフェタミン血漿中濃度となる中央時間(Tmax)は、絶食被験者で7.5時間であり、アップルソースに振りかけたSPD465を服用した被験者で8時間であった。高脂肪食の後にSPD465を服用した被験者のTmaxは約4.5時間遅延し、中央値は12時間であった。
【0185】
【表14】

【0186】
【表15】

【0187】
結論
絶食後か、高脂肪食後かに50mgのSPD465を被験者に投与するか、アップルソースと共にSPD465を被験者に投与した場合、血漿中のd−アンフェタミン濃度か血漿中のl−アンフェタミン濃度において統計的な著しい差異はなかった。高脂肪食が存在する場合、d−アンフェタミンとl−アンフェタミンの吸収速度が減少するが吸収の範囲は影響を受けないことを、薬物動態の結果は示している。このように、食物を伴うSPD465の投与は食物なしでのSPD465の投与と生物学的に同等であることを前記の結果は示している。
【実施例10】
【0188】
非盲検、不完全ブロック無作為、3期間、4種類の治療、用量漸増で、健康な成人ボランティアに定常態で投与したSPD465の薬物動態の検討(臨床研究110)。
【0189】
本検討の主な目的は、12.5mgから75mgまでの用量の範囲で反復投与後のSPD465の薬物動態を調べることである。18人全ての被験者は、第1期間では7日間、1日12.5mgの用量でSPD12.5mgを服用した。次の7日間、約半数の被験者が1日25mg用量を、残りの被験者が1日50mgを服用するように、用量を増加させた(第2期間)。第3期間では、第2期間に続く7日間、被験者全員は1日75mgまで増加された。
【0190】
d−アンフェタミン濃度とl−アンフェタミン濃度を測定するために、各期間での第1日目、第5日目、第6日目、及び第7日目に、各被験者から血液サンプルを収集した。
【0191】
表16に記載したSPD465用量を被験者に投与した。
【0192】
【表16】

【0193】
以下の薬物動態パラメーターを算出した。
max:最大血漿中濃度
max:最大血漿中濃度の時間
AUC0−24:0時間から24時間までの血漿中濃度−時間曲線下面積。
Cmin:最小血漿中濃度
CL/F:見かけの口腔クリアランス
CL/F/Wt:重量で調整したみかけの口腔クリアランス
R:蓄積比
AUC0−24/AUC0−2412.5mg:12.5mgでの第7日目のAUC0−24に対する25mgと、50mgと、75mgでの第7日目の0時間から24時間までの血漿中濃度−時間曲線下面積
ウィンノンリン(WinNonlin、登録商標)プロフェッショナル・ヴァージョン4.1を用いて非コンパートメント技術により、薬物動態パラメーターを算出した。全ての計算は、実際のサンプリング時間に基づいた。タンデム質量分析計を設置した有効な液体クロマトグラフィ(LC/MS/MS)法を用いて測定した血漿濃度−時間データから、薬物動態パラメーターを決定した。
【0194】
薬物動態の結果を図11−12と図15−16に示すと共に、表17に示した。
【0195】
【表17】

【0196】
推定のパワーモデル回帰直線を用いた用量に対する個々の被験者と平均の第7日目のCmaxとAUC0−24をプロットすることにより、パワーモデルと図を用いて、SPD465のd−アンフェタミンとl−アンフェタミンのCmaxとAUC0−24の用量比例性を分析した。図13−14と図17−18を参照。
【0197】
SPD465の反復投与が、化合物の半減期と化合物の用量と一致する血漿中のd−アンフェタミンとl−アンフェタミンの蓄積を導くことをこれらの結果は示している。さらに、CmaxとAUC0−24とはSPD465の用量の増加に伴い直線的に増加した。SPD465は即時放出ビーズと、遅延パルス放出ビーズと、持続放出ビーズとを1:1:1で含んでいるので、持続放出ビーズのみのCmaxとAUC0−24もSPD465の用量の増加に伴い直線的に増加する(例えば、25mgの持続放出ビーズのCmaxは12.5mgの持続放出ビーズのCmaxの2倍であり、37.5mgの持続放出ビーズのCmaxは12.5mgの持続放出ビーズのCmaxの3倍である。)。
【0198】
すべての特許と、公開された特許出願と、出版物と、製品に関する文書と、手順とを含むここに記載したすべての参考文献は、言及されることによりその全体がここに援用される。本発明の範囲は上記の特定の実施態様に限定されるものではないことが理解されるであろう。本発明は具体的に記載した以外の方法で実施できる場合があり、これは添付した特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種類のアンフェタミン塩を含む即時放出ビーズと;
(b)少なくとも1種類のアンフェタミン塩を含む第1の遅延放出ビーズと;
(c)少なくとも1種類のアンフェタミン塩を含む第2の遅延放出ビーズとからなる医薬品組成物において、
前記第1の遅延放出ビーズは少なくとも1種類のアンフェタミン塩をパルス放出させ、前記第2の遅延放出ビーズは少なくとも1種類のアンフェタミン塩を持続放出させることを特徴とする医薬品組成物。
【請求項2】
前記第1の遅延放出ビーズと前記第2の遅延放出ビーズとが1層の腸溶性コーティングを備えたことを特徴とする請求項1記載の医薬品組成物。
【請求項3】
前記腸溶性コーティングがpH依存性であることを特徴とする請求項2記載の医薬品組成物。
【請求項4】
前記第1の遅延放出ビーズと前記第2の遅延放出ビーズとが異なる腸溶性コーティングを備えたことを特徴とする請求項2記載の医薬品組成物。
【請求項5】
前記第1の遅延放出ビーズと前記第2の遅延放出ビーズとが同じ腸溶性コーティングを備えたことを特徴とする請求項2記載の医薬品組成物。
【請求項6】
前記医薬品組成物は、アデラル(登録商標)XRとこれに続いて前記アデラル(登録商標)XRの8時間後に投与される即時放出アンフェタミン剤形と生物学的に同等であり;
前記アデラル(登録商標)XRと前記即時放出アンフェタミン剤形の総用量が前記医薬品組成物の用量と等しいことを特徴とする請求項1記載の医薬品組成物。
【請求項7】
37.5mgの用量の前記医薬品組成物をヒト患者に投与することで、d−アンフェタミンCmaxが約50ng/mlとなることを特徴とする請求項1記載の医薬品組成物。
【請求項8】
37.5mgの用量の前記医薬品組成物をヒト患者に投与した後の前記d−アンフェタミンの0時間から最終測定時間までの濃度曲線下面積(AUC0−last)が、約1058ng・hr/mlであることを特徴とする請求項1記載の医薬品組成物。
【請求項9】
37.5mgの用量の前記医薬品組成物をヒト患者に投与した後の前記d−アンフェタミンの0時間から無限時間までの濃度曲線下面積(AUC0−inf)が、約1085ng・hr/mlであることを特徴とする請求項1記載の医薬品組成物。
【請求項10】
前記d−アンフェタミンのTmaxが、37.5mgの用量の前記医薬品組成物をヒト患者に投与した後、約8.2時間であることを特徴とする請求項1記載の医薬品組成物。
【請求項11】
37.5mgの用量の前記医薬品組成物をヒト患者に投与することで、l−アンフェタミンCmaxが約15ng/mlとなることを特徴とする請求項1記載の医薬品組成物。
【請求項12】
37.5mgの用量の前記医薬品組成物をヒト患者に投与した後の前記l−アンフェタミンの0時間から最終測定時間までの濃度曲線下面積(AUC0−last)が、約354ng・hr/mlであることを特徴とする請求項1記載の医薬品組成物。
【請求項13】
37.5mgの用量の前記医薬品組成物をヒト患者に投与した後の前記l−アンフェタミンの0時間から無限時間までの濃度曲線下面積(AUC0−inf)が、約373ng・hr/mlであることを特徴とする請求項1記載の医薬品組成物。
【請求項14】
前記l−アンフェタミンのTmaxが、37.5mgの用量の前記医薬品組成物をヒト患者に投与した後、約8.4時間であることを特徴とする請求項1記載の医薬品組成物。
【請求項15】
前記即時放出ビーズと少なくとも1種類の遅延放出ビーズとが単一のコア上に存在することを特徴とする請求項1記載の医薬品組成物。
【請求項16】
前記即時放出ビーズと少なくとも1種類の遅延放出ビーズとが異なるコア上に存在することを特徴とする請求項1記載の医薬品組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩がコア上にコーティングされていることを特徴とする請求項1記載の医薬品組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩がコア内に組み込まれていることを特徴とする請求項1記載の医薬品組成物。
【請求項19】
さらに、少なくとも1層の腸溶性コーティング上に保護層を備えたことを特徴とする請求項2記載の医薬品組成物。
【請求項20】
さらに、アンフェタミン塩と少なくとも1層の腸溶性コーティングの間に保護層を備えたことを特徴とする請求項2記載の医薬品組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩が、硫酸デキストロアンフェタミンと、デキストロアンフェタミンサッカラートと、アスパラギン酸アンフェタミン一水和物と、硫酸アンフェタミンと、これらの混合物とからなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載の医薬品組成物。
【請求項22】
前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩が、硫酸デキストロアンフェタミンと、デキストロアンフェタミンサッカラートと、アスパラギン酸アンフェタミン一水和物と、硫酸アンフェタミンとの混合物であることを特徴とする請求項21記載の医薬品組成物。
【請求項23】
前記組成物が食物の影響を示さないことを特徴とする請求項1記載の医薬品組成物。
【請求項24】
前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩の量が約12.5mgであることを特徴とする請求項6記載の組成物。
【請求項25】
前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩の量が約18.75mgであることを特徴とする請求項6記載の組成物。
【請求項26】
前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩の量が約25mgであることを特徴とする請求項6記載の組成物。
【請求項27】
前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩の量が約31.25mgであることを特徴とする請求項6記載の組成物。
【請求項28】
前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩の量が約37.5mgであることを特徴とする請求項6記載の組成物。
【請求項29】
前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩の量が約43.75mgであることを特徴とする請求項6記載の組成物。
【請求項30】
前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩の量が約50mgであることを特徴とする請求項6記載の組成物。
【請求項31】
前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩の量が約62.5mgであることを特徴とする請求項6記載の組成物。
【請求項32】
前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩の量が約75mgであることを特徴とする請求項6記載の組成物。
【請求項33】
少なくとも1種類のアンフェタミン塩と1種類の医薬品として許容可能なキャリアーとを含む医薬品組成物において、
アデラル(登録商標)の約8時間後に即時放出組成物を患者に投与した場合における、前記アデラル(登録商標)と前記即時放出アンフェタミン塩組成物とを合計したものに含まれる少なくとも1種類のアンフェタミン塩の相当量と比較して、前記組成物が患者に生物学的にほぼ同等なアンフェタミンの血漿中濃度を与えることを特徴とする医薬品組成物。
【請求項34】
アデラル(登録商標)の約8時間後に即時放出組成物を患者に投与した場合における、前記アデラル(登録商標)と前記即時放出アンフェタミン塩組成物とを合計したものに含まれる少なくとも1種類のアンフェタミン塩の相当量と比較して、前記組成物が患者に生物学的にほぼ同等なd−アンフェタミンの血漿中濃度を与えることを特徴とする請求項33記載の医薬品組成物。
【請求項35】
アデラル(登録商標)の約8時間後に即時放出組成物を患者に投与した場合における、前記アデラル(登録商標)と前記即時放出アンフェタミン塩組成物とを合計したものに含まれる少なくとも1種類のアンフェタミン塩の相当量と比較して、前記組成物が患者に生物学的にほぼ同等なl−アンフェタミンの血漿中濃度を与えることを特徴とする請求項33記載の医薬品組成物。
【請求項36】
請求項1記載の医薬品組成物をADHD患者に投与することを含むADHDの治療方法。
【請求項37】
(a)少なくとも1種類のアンフェタミン塩と、
(b)1層の持続放出コーティングと、
(c)1層の遅延放出コーティングとからなる持続放出医薬品組成物において、
前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩は患者に経口投与した後約4時間から約6時間までに放出されることを特徴とする持続放出医薬品組成物。
【請求項38】
前記持続放出コーティングが前記遅延放出コーティングの外側に位置することを特徴とする請求項37記載の医薬品組成物。
【請求項39】
前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩の約50%が、pH約7.5において約6時間で放出されることを特徴とする請求項37記載の医薬品組成物。
【請求項40】
(a)コア上に層状に被覆した少なくとも1種類のアンフェタミン塩と、
(b)前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩上に層状に被覆した1層の遅延放出コーティングと、
(c)前記遅延放出コーティング上に層状に被覆した1層の持続放出コーティングと、
(d)前記持続放出コーティング上に層状に被覆した1層の保護コーティングとを備えたことを特徴とする請求項37記載の医薬品組成物。
【請求項41】
前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩が、硫酸デキストロアンフェタミンと、デキストロアンフェタミンサッカラートと、アスパラギン酸アンフェタミン一水和物と、硫酸アンフェタミンと、これらの混合物を含むことを特徴とする請求項37記載の医薬品組成物。
【請求項42】
前記遅延放出コーティングが酢酸フタル酸セルロースと、酢酸トリメリト酸セルロースと、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースと、酢酸フタル酸ポリビニルと、カルボキシメチルエチルセルロースと、メタクリル酸/メタクリル酸メチルエステル共重合体と、オイドラギット(EUDRAGIT、登録商標)L12.5及びL100と、オイドラギット(登録商標)S12.5及びS100と、オイドラギット(登録商標)FS30Dとからなる群から選択されることを特徴とする請求項37記載の医薬品組成物。
【請求項43】
前記持続放出コーティングが、酢酸ポリビニルと、酢酸セルロースと、酢酸酪酸セルロースと、酢酸プロピオン酸セルロースと、エチルセルロースと、脂肪酸及びそれらのエステルと、アルキルアルコールと、ワックスと、ゼイン(トウモロコシ由来のプロラミン)と、オイドラギット(登録商標)RS及びRL30Dと、オイドラギット(登録商標)NE30Dと、アクアコート(AQUACOAT、登録商標)と、シュアリース(SURELEASE、登録商標)と、コリコート(KOLLICOAT、登録商標)SR30Dと、酢酸セルロースラテックスとからなる群から選択されることを特徴とする請求項37記載の医薬品組成物。
【請求項44】
前記遅延放出コーティングがオイドラギット(登録商標)FS−30Dであることを特徴とする請求項42記載の医薬品組成物。
【請求項45】
前記持続放出コーティングがシュアリース(登録商標)であることを特徴とする請求項43記載の医薬品組成物。
【請求項46】
12.5mgの前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩を含む医薬品組成物において、前記組成物は約367ng・hr/mLのd−アンフェタミンAUC(0−inf)を有することを特徴とする請求項37記載の医薬品組成物。
【請求項47】
12.5mgの前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩を含む医薬品組成物において、前記組成物は約125ng・hr/mLのl−アンフェタミンAUC(0−inf)を有することを特徴とする請求項37記載の医薬品組成物。
【請求項48】
18.75mgか、25mgか、31.25mgか、37.5mgか、50mgかの前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩を含む前記組成物が、12.5mgの少なくとも1種類のアンフェタミン塩組成物に対するAUC(0−inf)と直線的に比例する前記AUC(0−inf)を有することを特徴とする請求項37記載の医薬品組成物。
【請求項49】
12.5mgの前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩を含む医薬品組成物において、前記組成物は約18.67ng/mLのd−アンフェタミンCmaxを有することを特徴とする請求項37記載の医薬品組成物。
【請求項50】
12.5mgの前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩を含む医薬品組成物において、前記組成物は約5.64ng/mLのl−アンフェタミンCmaxを有することを特徴とする請求項37記載の医薬品組成物。
【請求項51】
18.75mgか、25mgか、37.5mgか、50mgかの前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩を含む前記組成物が、12.5mgの少なくとも1種類のアンフェタミン塩組成物に対する前記Cmaxと直線的に比例するCmaxを有することを特徴とする請求項37記載の医薬品組成物。
【請求項52】
12.5mgの前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩を含む医薬品組成物において、前記組成物は約8.83時間のd−アンフェタミンTmaxを有することを特徴とする請求項37記載の医薬品組成物。
【請求項53】
12.5mgの前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩を含む医薬品組成物において、前記組成物は約9.33時間のl−アンフェタミンTmaxを有することを特徴とする請求項37記載の医薬品組成物。
【請求項54】
18.75mgか、25mgか、37.5mgか、50mgかの前記少なくとも1種類のアンフェタミン塩を含む前記組成物が、12.5mgの少なくとも1種類のアンフェタミン塩組成物に対する前記Tmaxと直線的に比例するTmaxを有することを特徴とする請求項37記載の医薬品組成物。
【請求項55】
請求項37記載の医薬品組成物を即時放出混合アンフェタミン塩組成物及び/又は長期放出混合アンフェタミン塩組成物と組み合わせて、ADHD治療を必要とする患者に投与することからなるADHDの治療方法。
【請求項56】
請求項37記載の医薬品組成物、及び即時放出混合アンフェタミン塩組成物、及び/又は長期放出混合アンフェタミン塩組成物を同時に投与することを特徴とする請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記持続放出医薬品組成物が、前記即時放出混合アンフェタミン塩組成物のアンフェタミン用量、及び/又は長期放出混合アンフェタミン塩組成物のアンフェタミン用量の約10%から約150%を含むことを特徴とする請求項55記載の方法。
【請求項58】
前記即時放出混合アンフェタミン塩組成物、及び/又は長期放出混合アンフェタミン塩組成物がアデラル XR(登録商標)であることを特徴とする請求項55記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2009−536945(P2009−536945A)
【公表日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509529(P2009−509529)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/018453
【国際公開番号】WO2007/133203
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(507055017)シャイア エルエルシー (29)
【Fターム(参考)】