説明

制御装置、制御システム、小型無線基地局、及び制御方法

【課題】小型無線基地局の設置場所を管理する装置及び方法を提供する。
【解決手段】小型無線基地局1を制御する制御装置20であって、小型無線基地局1から、現在位置情報を受信する管理サーバ6と、小型無線基地局1を設置する位置を特定した登録位置情報を予め保持し、管理サーバ6から現在位置情報を受け取り、小型無線基地局1が登録位置情報に設置されているかを現在位置情報に基づいて判定し、判定結果を管理サーバ6へ通知する位置情報サーバと、を備え、管理サーバ6は、判定結果に応じて、小型無線基地局1の稼働を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち運びが可能な小型無線基地局を制御する装置及び方法に関し、特に、小型無線基地局を設置する場所を管理する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などが利用する無線通信システムでは、無線通信端末とコアネットワークとの通信を中継する無線基地局が設置されている。近年、無線基地局ではカバーできないエリアを小型無線基地局によって、カバーする技術が提案されている(例えば、特許文献1)。小型無線基地局は、既存の無線基地局より小さく、移動可能な設備となっている。
【0003】
小型無線基地局は、既存の無線基地局と同等のサービス品質・セキュリティを確保する目的で、携帯電話事業者が設置している。設置された小型無線基地局は、継続的に支配・管理する事業者用通信設備になる場合がある。しかし、小型無線基地局は、主に一般家庭の屋内に設置され、容易に移動可能なサイズ・重量の設備である。従って、携帯電話事業者が定めるエリアを超越した場所に移動し、使用される可能性がある。このため、小型無線基地局の設置場所を拘束する機能が求められている。
【0004】
例えば、特許文献2には、端末装置の予期しない移動を早期に検出し、情報の流出や不正使用を防ぐ技術が開示されている。しかしながら、この技術は、基地局装置が端末装置の機能を制限するものであり、小型無線基地局を設置する場所を拘束することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−266785号公報
【特許文献2】特開2005−333373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、小型無線基地局の設置場所を管理する装置及び方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る制御装置の一態様は、小型無線基地局を制御する制御装置であって、前記小型無線基地局から、現在位置情報を受信する管理サーバと、前記小型無線基地局を設置する位置を特定した登録位置情報を予め保持し、前記管理サーバから前記現在位置情報を受け取り、前記小型無線基地局が前記登録位置情報に設置されているかを前記現在位置情報に基づいて判定し、判定結果を前記管理サーバへ通知する位置情報サーバと、を備え、前記管理サーバは、前記判定結果に応じて、前記小型無線基地局の稼働を許可する。
【0008】
また、本発明に係る制御装置の別の態様は、小型無線基地局の稼働を制御する制御装置であって、前記小型無線基地局を設置する位置を特定した登録位置情報を保持する位置情報メモリと、前記小型無線基地局から現在位置情報を受信する通信手段と、前記小型無線基地局が前記登録位置情報に設置されているかを前記現在位置情報に基づいて判定する位置情報判定手段と、前記判定結果に応じて、前記小型無線基地局の稼働を許可する場合、前記小型無線基地局の稼働に必要な稼働情報を生成する制御手段と、を備え、前記通信手段は、前記稼働情報を前記小型無線基地局に送信する制御装置。
【0009】
さらに、本発明に係る制御システムの一態様は、ネットワークへ接続する小型無線基地局と、上述した小型無線基地局の稼働を制御する制御装置と、を備える。
【0010】
また、本発明に係る小型無線基地局の一態様は、小型無線基地局の制御装置に制御される小型無線基地局であって、自己の現在位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記現在位置情報を前記小型無線基地局の制御装置へ送信し、前記現在位置情報に応じて無線通信が許可された場合に、前記小型無線基地局の制御装置から稼働情報を受信する稼働情報取得手段と、
前記稼働情報を用いて無線通信を行う無線通信手段と、を備える。
【0011】
本発明に係る小型無線基地局を制御する制御方法の一態様は、
前記小型無線基地局を設置する位置を特定した登録位置情報を予め位置情報メモリに格納し、前記小型無線基地局から、現在位置情報を受信し、前記小型無線基地局が前記登録位置情報に設置されているかを前記現在位置情報に基づいて判定し、前記判定結果に応じて、前記小型無線基地局の稼働を許可する。
【0012】
また、本発明に係る小型無線基地局を制御する制御方法の一態様は、設置する位置情報を特定する登録位置情報を予め制御装置へ登録し、自己の現在位置情報を取得し、前記現在位置情報を前記制御装置へ送信し、前記制御装置が前記登録情報と前記現在位置情報とを用いて判定した結果に応じて、前記制御装置から無線通信の実施に必要な稼働情報を受信し、受信した稼働情報を用いて無線通信を開始する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、小型無線基地局の設置場所を管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る小型無線基地局の制御システムの一態様をブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る小型無線基地局の制御システムの一例を示すブロック図である。
【図3】小型無線基地局の起動時の動作の流れ(通常時)を示す図である。
【図4】小型無線基地局の起動時の動作の流れ(異常時)を示す図である。
【図5】実施形態1の制御システムの動作手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明に係る制御装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明に係る小型無線基地局の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0016】
以下の説明において、小型無線基地局は、既存の無線基地局より小さく、移動可能な無線基地局をさす。小型無線基地局は、超小型無線基地局、または、小型基地局ともいう。また、既存の無線基地局を大型無線基地局という。
小型無線基地局は、無線通信端末(移動端末)と無線通信を行う機能を有し、コアネットワーク(バックボーン)との通信を中継する。小型無線基地局は、小型無線基地局を管理する小型基地局制御装置にネットワーク、例えば、ISP(Internet Services Provider)網を介して接続される。
本発明の一態様では、小型無線基地局、制御装置を有する制御システムにおいて、小型無線基地局には現在位置を取得する機能、制御装置には小型無線基地局の現在位置情報を管理する機能を具備する。
【0017】
図1は、本発明に係る小型無線基地局の制御システムの一態様を示すブロック図である。制御システムは、小型無線基地局1,9、制御装置(小型無線基地局制御装置)20、及びネットワーク30を備える、図1では、小型無線基地局1,9の二つを示しているが、制御システムは、1以上の小型無線基地局を制御するものであり、2以上であってもよい。また、二つの小型無線基地局1,9は同様の機能を有するものである。以降の説明では、二つを区別して説明する場合を除き、小型無線基地局1を用いて説明する。
【0018】
小型無線基地局1は、無線通信端末と通信する機能、制御装置から無線通信に必要な稼働情報(制御情報)を取得する機能、自己が設置されている位置情報を取得する位置情報取得機能を有する。
【0019】
制御装置20は、小型無線基地局1を制御する。具体的には、小型無線基地局1の設置場所を管理する機能(位置管理機能)、小型無線基地局1が稼働するための稼働情報を生成し、稼働情報を小型無線基地局1へ送信する機能(稼働管理機能)を有する。ここでは、その他の小型無線基地局1を制御する機能については説明を省略する。
図1では、制御装置20は、管理サーバ(小型無線基地局管理サーバ)6と位置情報サーバ(位置情報管理サーバ)7とを備える例を示している。管理サーバ6は、稼働管理機能を実現し、位置情報サーバ7は、位置管理機能を実現する。
【0020】
ネットワーク30は、小型無線基地局1と制御装置20との間の通信を可能にする有線の通信網である。例えば、ISP網が用いられる。
【0021】
図1における制御システムの動作の概略を説明する。
予め、位置情報サーバ7は、小型無線基地局1を設置する位置(場所)を特定した登録位置情報を保持している。登録位置情報は、携帯電話事業者(利用者)が小型無線基地局1を設置する際に、定められた設置場所である。従って、携帯電話事業者は、小型無線基地局1を稼働させる前に、位置情報サーバ7へ、登録位置情報を格納することが必要である。
【0022】
次に、小型無線基地局1の稼働開始動作について説明する。
小型無線基地局1は、稼働開始時に、自己が現在設置されている現在位置情報を取得し、ネットワーク30を介して、現在位置情報を制御装置20へ送信する。
【0023】
制御装置20おいて、管理サーバ6は、小型無線基地局1から現在位置情報を受信し、位置情報サーバ7へ通知する。位置情報サーバ7は、管理サーバ6から現在位置情報を受け取る。位置情報サーバ7は、小型無線基地局1が登録位置情報に設置されているかを現在位置情報に基づいて判定する。具体的には、位置情報サーバ7は、登録位置情報と現在位置情報とが一致するか否かを判定する。そして、判定結果を管理サーバ6へ通知する。管理サーバ6は、位置情報サーバから判定結果を受け取り、判定結果に応じて、小型無線基地局1の稼働を許可する。具体的には、管理サーバ6は、現在位置情報が予め登録した登録位置情報と一致する場合、小型無線基地局1へ稼働情報を送信し、一致しない場合、稼働情報を送信しない。このとき、管理サーバ6は、現在位置情報が、登録位置情報の示す所定の範囲内のエリアに含まれていれば一致すると判断してもよい。すなわち、位置情報サーバ7は、現在位置情報が登録位置情報と一致する範囲内であるか否かを判定する。
【0024】
従って、設置場所が予め設定されたエリアから移動していないと判定された場合、小型無線基地局は、稼働情報を受信し、稼働開始する。これに対し、設置場所がエリア外に移動している判定された場合、小型無線基地局1は、稼働情報を受信できないため、稼働を開始することができない。
このようにして、小型無線基地局の設置場所を把握し、拘束する。以上が動作の概略である。以下、実施形態を具体的に説明する。
【0025】
(実施形態1)
図2は、本発明の実施形態1に係る小型無線基地局の制御システムの一例を示すブロック図である。図2では、図1に示した制御システムを無線通信システムに適用した一例を示している。制御システムは、小型無線基地局1,9、ISP網3、管理サーバ6、位置情報サーバ7、及びブロードバンドモデム11,12を含む。また、制御システムの周辺には、GPS(Global Positioning System)衛星2、ゲートウェイ(パケットゲートウェイ)4、コアネットワーク(CN)5、大型無線基地局制御装置(無線基地局制御装置)8、及び大型無線基地局10を備える。図2では、管理サーバ6は、ゲートウェイ4を介してISP網3と接続する。ISP網3は、ゲートウェイ4を経由してコアネットワーク5と接続する。また、実施形態1では、小型無線基地局1はGPS衛星2から現在位置情報を取得する場合を一例として説明する。以下、各構成要素について説明する。図1において説明した構成要素については、より具体的な動作を説明する。
【0026】
以下の説明では、適宜、図1と同様に小型無線基地局1及びブロードバンドモデム11を用いて説明するが、小型無線基地局9及びブロードバンドモデム12も同じ機能を備える。また、図2では、小型無線基地局とブロードバンドモデムとの組み合わせを、一例として2組示しているが、1組または2組以上であってもよい。
【0027】
小型無線基地局1,9は、無線通信端末との間で制御信号および音声/パケットデータの送受信を行う。また、ブロードバンドモデムとの間で制御信号および音声/パケットデータの送受信を行う。さらに、GPS受信機を有し、位置情報サーバ7へ現在位置情報の送信を行う。
【0028】
GPS衛星2は、小型無線基地局1,9が現在位置情報を測定するために必要な信号の送信を行う。
【0029】
ISP網3は、インターネットサービスプロバイダのネットワーク網であり、ブロードバンドモデム11及び12とゲートウェイ4との間で制御信号および音声/パケットデータの中継を行う。
【0030】
ゲートウェイ4は、ISP網3、CN5、及び管理サーバ6の間に位置する。ゲートウェイ4は、CN5と音声/パケットデータを送受信し、管理サーバ6と制御データの送受信を行う。
【0031】
CN(コアネットワーク)5は、音声/パケットデータの中継を行う。
【0032】
管理サーバ6は、小型無線基地局1及び9の初期設定を行う。また、小型無線基地局1及び9の認証管理、接続、サービスの制御を行う。さらに、位置情報サーバ7による位置情報の照合結果に基づき、小型無線基地局1及び9の電波出力の調整・管理を行う。
【0033】
位置情報サーバ7は、携帯電話事業者によって、小型無線基地局1及び9の利用者情報に基づいて、登録位置情報の登録が行われる。また、小型無線基地局1及び9からの現在位置情報を取得する。さらに、事前に登録された小型無線基地局1及び9の登録位置情報と現在位置情報を照合し、照合結果を管理サーバ6に通知する。
【0034】
大型無線基地局制御装置8は、大型無線基地局10との間で制御信号および音声/パケットデータの送受信を行う。また、CN5との間で制御信号および音声/パケットデータの送受信を行う。
【0035】
大型無線基地局10は、無線通信端末との間で制御信号および音声/パケットデータの送受信を行う。また、大型無線基地局制御装置8との間で制御信号および音声/パケットデータの送受信を行う。
【0036】
ブロードバンドモデム11,12は、ISP網3と接続し高速データ通信を行うために、データの変復調を行う。
【0037】
上述したような構成を有する無線通信システムにおいて、予め、携帯電話事業者は、位置情報サーバ7に、小型無線基地局1の利用者の加入情報に基づいて、小型無線基地局1の位置情報を登録する。そして、小型無線基地局1は、起動時に現在位置情報を位置情報サーバ7に送信する。この時、位置情報サーバ7は、事前に登録された登録位置情報と、小型無線基地局1から送信された現在位置情報を比較し、比較結果(判定結果)を管理サーバ6へ通知する。管理サーバ6は、比較結果に応じて、一致していれば小型無線基地局1の使用を許可、不一致であれば小型無線基地局1の使用を不許可とする制御を行う。このようにして、小型無線基地局1の設置場所を拘束する。
【0038】
また、小型無線基地局1の正確な現在位置情報を把握することによって、管理サーバ6は、隣接する既存の大型無線基地局10および小型無線基地局9との電波干渉の影響を推定し、電波の出力調整・管理を行う。
【0039】
続いて、実施形態1の動作について用いて説明する。図3及び図4は、起動時の動作の流れを示す図である。図2に示した小型無線基地局1,9の設置状態を正常時として、図3に正常時における情報の流れを示す。図4は、異常時における情報の流れを示し、一例として、図2の設置状態から小型無線基地局1を小型無線基地局9が設置されていた位置に移動し、ブロードバンドモデム12に接続して動作させる場合の情報の流れを示す。このときの小型無線基地局1を図3の場合と区別するため、図4では、小型無線基地局1Mとして示している。
また、図5は、実施形態1の制御システムの動作手順を示すフローチャートである。
【0040】
位置情報サーバ7は、小型無線基地局1の登録位置情報を、小型無線基地局1を識別する識別情報とともに保持する。登録位置情報は、小型無線基地局1の利用者情報に基づいて、携帯電話事業者により、管理サーバ6を介して、事前に登録される。
小型無線基地局1は、起動時に、稼動許可を得るために、ISP網3、ゲートウェイ4を介して、管理サーバ6と初期設定情報のやりとりを行う。その際に、小型無線基地局1は、GPS衛星2からの受信信号により現在位置情報を取得し、ISP網3、ゲートウェイ4を介して管理サーバ6へ送信する(S31)。
【0041】
次に、位置情報サーバ7は、小型無線基地局1より受信した現在位置情報と、位置情報サーバ7に事前に登録されている登録位置情報とを比較する(S32)。
位置情報を比較した結果、一致している場合(S32でOK)、管理サーバ6は、小型無線基地局1の稼動を許可し、小型無線基地局1の稼動に必要な稼働情報を送信する(S33)。図3に示した設置状態である場合、比較結果は一致する。
【0042】
また、管理サーバ6は、位置情報サーバ7に登録されている隣接する既存の大型無線基地局10および隣接する小型無線基地局9の位置情報から、電波干渉の影響を推定し、小型無線基地局1へ電波の出力調整・管理を行う(S34)。その後、小型無線基地局1は、ブロードバンドモデム11、ISP網3、ゲートウェイ4、CN5を介した音声/パケットデータ通信のやり取りが可能になる(S35)。
【0043】
これに対して、図4に示す設置状態である場合、小型無線基地局1Mから送信された現在位置情報と、位置情報サーバ7に事前に登録されている登録位置情報が不一致になる(S32でNG)。このため、管理サーバ6は、小型無線基地局1の動作を不許可とする。従って、小型無線基地局1Mは、ブロードバンドモデム12、ISP網3、パケットデータゲートウェイ4、CN5を介した音声/パケットデータ通信のやり取りは不可能になる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態による小型無線基地局の設置場所管理方法及び装置は、小型無線基地局1、制御装置20を有し、小型無線基地局1にはGPS受信機能、制御装置20には小型無線基地局の現在位置情報を管理する機能を具備する。これにより、小型無線基地局の設置場所の把握・拘束を図ることができる。さらに、小型無線基地局の設置場所を適切に管理することにより、電波干渉を回避することができる。
【0045】
(実施形態2)
実施形態1では、小型無線基地局1は、GPS衛星から受信した情報に基づいて、現在位置情報を取得した。すなわち、実施形態1では、小型無線基地局1の設置場所を拘束する方法として、GPS衛星2からの位置情報に基づいて、小型無線基地局1の使用許可・不許可の判断を行っている。実施形態2では、ブロードバンドモデムの固有情報に基づいて、小型無線基地局の使用許可・不許可の判断を行う場合を説明する。実施形態2の小型無線基地局の制御システムも図1または図2と同様の構成であるため、図1及び図2の構成を用いて説明する。
【0046】
位置情報サーバ7は、小型無線基地局1が接続するブロードバンドモデム11の固有情報を、小型無線基地局1の識別情報と対応させて保持する。実施形態2では、この固有情報を登録位置情報とする。携帯電話事業者が固有情報を位置情報サーバ7へ登録する点は実施形態1と同様である。
【0047】
小型無線基地局1は、起動時に接続されているブロードバンドモデム11の固有情報を取得し、管理サーバ6へ送信する。すなわち、小型無線基地局1は、現在接続しているブロードバンドモデム11の固有情報を現在位置情報として管理サーバ6へ送信する。
【0048】
位置情報サーバ7は、事前に登録されているブロードバンドモデム11の固有情報(登録位置情報)と、小型無線基地局1から送信された固有情報(現在位置情報)を比較し、比較結果を管理サーバ6へ通知する。管理サーバ6は、比較した結果、現在位置情報と登録位置情報とが一致していれば小型無線基地局1の使用を許可し、不一致であれば、小型無線基地局1の使用を不許可とする制御を行う。
【0049】
本実施形態によれば、GPS衛星2から位置情報を受信する機能を備えていない小型無線基地局1を用いる場合であっても、本発明を適用することができる。具体的には、位置情報にブロードバンドモデムの固有情報を用いることによって、小型無線基地局1の設置場所を管理することが可能になる。また、本実施形態では、位置情報としてブロードバンドモデムの固有情報を用いたが、これ以外の情報を用いてもよい。予め、小型無線基地局1の設置場所を特定するとともに、稼働開始時に小型無線基地局1が設置されている場所を特定することができる情報であればよい。
【0050】
なお、実施形態2は、位置情報サーバ7に、ブロードバンドモデム11の固有情報が保持されていることが前提である。従って、携帯電話事業者が、ブロードバンドモデムを提供した事業者から、ブロードバンドモデム11の固有情報を事前に入手する必要がある。
【0051】
(その他の実施形態)
実施形態1または実施形態2で用いる制御装置及び小型無線基地局の構成の一態様を説明する。
図6、図7は、制御装置の構成例を示すブロック図である。図8は、小型無線基地局の構成例を示すブロック図である。
【0052】
図6に示す制御装置20は、管理サーバ6と位置情報サーバ7とを備える。
管理サーバ6については具体的な構成例を示していないが、少なくとも次の機能を備える。小型無線基地局1とネットワーク30を介して情報をやり取りする機能、位置情報サーバ7から取得した判定結果に基づいて小型無線基地局1の稼働を制御する機能、小型無線基地局1の現在位置情報(登録位置情報)に基づいて、電波出力を調整して稼働情報を生成する機能を少なくとも備える。
【0053】
位置情報サーバ7は、位置情報判定手段71と位置情報メモリ72とを備える。
位置情報判定手段71は、管理サーバ6から現在位置情報を受け取る。そして、位置情報メモリ72に保持する登録位置情報と現在位置情報とを用いて小型無線基地局1が登録位置情報に設置されているか否かを判定する。
位置情報メモリ72は、登録位置情報を記録する。登録位置情報は、実施形態1または実施形態2で説明したように、GPS衛星から取得する位置情報やブロードバンドモデムの固有情報など、小型無線基地局1を特定する情報であればよい。登録位置情報は、小型無線基地局1を稼働させる前に予め登録される。登録方法は、管理サーバ6を介して登録してもよい。あるいは、位置情報サーバ7が登録用の機能、例えば登録位置情報入力画面などの機能を備えていてもよい。
位置情報メモリ72は、小型無線基地局1を識別する識別情報に対応づけて登録位置情報を記録する。位置情報判定手段71は、現在位置情報と識別情報とを管理サーバ6から受け取り、識別情報を用いて、対応づけられた登録位置情報を読み出し、照合する。
【0054】
なお、図6では、位置情報サーバ7が位置情報判定手段71を備える場合を説明したが、管理サーバ6が位置情報判定手段71を備える構成であってもよい。この場合、管理サーバ6は、小型無線基地局1から現在位置情報を受信し、位置情報サーバ7が保持する登録位置情報を読み出す。そして、現在位置情報と登録位置情報とを照合し、照合した結果に基づいて、小型無線基地局1の稼働を制御する。
【0055】
また、制御装置は、図7に示すように、各機能を実現する手段を備えている構成であってもよい。制御装置20aは、位置情報メモリ21、通信手段22、位置情報判定手段23、及び制御手段24を備える。
位置情報メモリ21は、小型無線基地局1を設置する位置を特定した登録位置情報を保持する。また、位置情報メモリ21は、制御する範囲に設置される小型無線基地局や大型無線基地局に関する情報を格納する。
通信手段22は、ネットワークを介して、小型無線基地局1から現在位置情報を受信する。また、小型無線基地局1へ稼働情報を送信する。その他小型無線基地局1との情報の送受信を行う。
位置情報判定手段23は、小型無線基地局1が登録位置情報に設置されているかを現在位置情報に基づいて判定する。
制御手段24は、位置情報判定手段23が判定した判定結果に応じて、小型無線基地局1の稼働を許可する場合、小型無線基地局の稼働に必要な稼働情報を生成する。稼働を許可しない場合、稼働情報を生成しない。また、制御手段24は、小型無線基地局1の電波出力など稼働に関する制御を行う。また、制御手段24は、位置情報メモリ21に格納する情報をネットワークを経由して通信手段22から受け取り、位置情報メモリ21へ登録する機能を備えていてもよい。
【0056】
実施形態1及び2では、通信手段22、制御手段24は、管理サーバ6が実現していた機能に相当し、位置情報メモリ21及び位置情報判定手段23は、位置情報サーバ7が実現していた機能に相当する。なお、図7も本発明に関連する機能を主に示したものであり、制御装置20aが備えるその他の機能については説明を省略している。
【0057】
次に、小型無線基地局1の構成例について説明する。小型無線基地局1は、無線通信手段101、現在位置情報取得手段102、及び稼働情報取得手段103を少なくとも備える。
無線通信手段101は、無線通信端末と通信を行う機能を有する。
現在位置情報取得手段102は、現在位置情報を取得する。例えば図2に示したように、GPS衛星2から位置情報を取得する受信機能を有する。これは、点線の矢印で示したように外部から現在位置情報を取得する場合である。あるいは、実施形態2で説明したように、ブロードバンドモデム11の固有情報を取得する。例えば、稼働情報取得手段103を介してブロードバンドモデム11から情報を取得する。なお、現在位置情報取得手段102は、これら以外の方法により現在位置情報を取得する場合であってもよい。
【0058】
稼働情報取得手段103は、管理サーバ6から稼働情報を取得し、稼働情報を用いて無線通信手段101を動作させる。稼働情報は、小型無線基地局1が稼働の開始に必要な情報であり、具体的には無線通信の実施に必要な情報である。稼働情報取得手段103は、稼働情報を取得するために、現在位置情報を管理サーバ6へ通知し、稼働情報が返信されるまで待つ。稼働情報が返信されなかった場合、無線通信手段101を動作させることができない。管理サーバ6と情報を送受信する機能について明確に示していないが、稼働情報取得手段103に含めてもよいし、他の構成要素として独立させてもよい。
【0059】
なお、図6から図8では、本発明の実施形態に関連する構成要素を説明し、その他の構成要素については説明を省略した。また、図6から図8は、一例を示したものであり、同様の機能を備える構成であればその他の構成であってもよい。
【0060】
以上説明したように、本発明の実施形態のいずれかの一態様によれば、次の効果を奏する。
第一の効果は、小型無線基地局1の設置場所を拘束し、場合に応じて遠隔から利用停止措置を講じることが可能なことである。小型無線基地局1は、主に一般家庭の屋内に設置され、容易に移動可能なサイズ・重量の設備であり、想定しない場所で使用される可能性がある。このため、小型無線基地局1の位置情報に基づく管理サーバ6の認証管理制御により、小型無線基地局1の設置場所の拘束を図るものである。このように、本発明の実施形態の一態様によれば、小型無線基地局1の設置場所を管理する機能を提供することができる。
【0061】
第二の効果は、小型無線基地局1の設置場所に応じて、遠隔から電波の出力調整・管理を行うことが可能なことである。管理サーバ6は、小型無線基地局1及び9と、既存の大型無線基地局10との正確な位置情報を位置情報サーバ7に収集し、電波干渉の影響を推定する。これにより、管理サーバ6は、小型無線基地局1の電波の出力調整することが可能になる。
小型無線基地局1は、設置場所によって隣接する既存の大型無線基地局10および、小型無線基地局9と電波が干渉する恐れがあった。その為、小型無線基地局1の設置場所に基づいた、電波干渉の影響を最小限に抑えるよう、電波の出力調整を行う機能が求められていた。本発明の実施形態の一態様によれば、電波の出力調整を行う機能を提供することができる。
【0062】
なお、本発明は上記に示す実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲において、上記実施形態の各要素を、当業者であれば容易に考えうる内容に変更、追加、変換することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
1、9 小型無線基地局
2 GPS衛星
3 ISP(インターネットサービスプロバイダ)網
4 ゲートウェイ
5 CN(コアネットワーク)
6 管理サーバ
7 位置情報サーバ
8 大型無線基地局制御装置
10 大型無線基地局
11、12 ブロードバンドモデム
20、20a 制御装置
21、71 位置情報判定手段
22 通信手段
23、72 位置情報メモリ
24 制御手段
101 無線通信手段
102 現在位置情報取得手段
103 稼働情報取得手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局を制御する制御装置であって、
前記無線基地局の位置に関する登録位置情報を記録する手段と、
前記無線基地局から、現在位置情報を受信する手段と、
前記現在位置情報と、前記登録位置情報とに基づいて、前記無線基地局の位置検証を行う手段と、
前記位置検証の結果に基づいて、前記無線基地局の稼動を許可する手段と、
前記無線基地局に対して、前記無線基地局の稼動情報を送信する手段と、を有し、
前記稼動情報は、前記無線基地局による通信に必要な情報であること特徴とする、制御装置。
【請求項2】
前記位置検証を行う手段は、前記現在位置情報が前記登録位置情報と一致するか否かを判定し、前記判定結果が一致する場合、前記無線基地局へ稼働に必要な稼働情報を送信し、前記判定結果が一致しない場合、前記稼働情報を送信しないことを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記登録位置情報は、前記無線基地局の利用を予め登録した設置場所であることを特徴とする請求項1または2記載の制御装置。
【請求項4】
前記現在位置情報は、衛星から取得する情報であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記現在位置情報は、前記無線基地局が接続しているブロードバンドモデムの固有情報であり、前記登録位置情報は、予め前記無線基地局が接続することを登録したブロードバンドモデムの固有情報であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記管理サーバは、前記現在位置情報に基づいて、前記無線基地局の電波出力の調整を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
無線基地局と、
前記無線基地局の稼働を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記無線基地局の位置に関する登録位置情報を記録する手段と、
前記無線基地局から現在位置情報を受信する通信手段と、
前記現在位置情報と、前記登録位置情報とに基づいて、前記無線基地局の位置検証を行う手段と、
前記位置検証の結果に基づいて、前記無線基地局の稼動を許可する手段と、
前記無線基地局に対して、前記無線基地局の稼動情報を送信する手段と、を備え、
前記稼動情報は、前記無線基地局による通信に必要な情報であること特徴とする、制御システム。
【請求項8】
前記無線基地局は、ブロードバンドモデムを経由してISP(Internet Services Provider)へ接続し、
前記管理サーバは、前記ISP網を介して、前記現在位置情報を受信し、前記無線基地局の稼働を許可するため、稼働に必要な情報を送信することを特徴とする請求項7記載の制御システム。
【請求項9】
無線基地局の制御装置に制御される無線基地局であって、
自己の現在位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記現在位置情報を前記制御装置へ送信する手段と、
前記制御装置が記録する登録位置情報と前記現在位置情報とに基づいて、前記制御装置から稼働の許可を受ける手段と、
前記制御装置から、前記無線基地局の稼動情報を受信する手段と、を備え、
前記稼動情報は、前記無線基地局による通信に必要な情報であること特徴とする、無線基地局。
【請求項10】
無線基地局を制御する制御方法であって、
前記無線基地局の位置に関する登録位置情報を格納し、
前記無線基地局から、現在位置情報を受信し、
前記登録位置情報と前記現在位置情報とに基づいて位置検証を行い、
前記位置検証の結果に応じて、前記無線基地局の稼働を許可し、
前記無線基地局に対して、前記無線基地局の稼動情報を送信し、
前記稼動情報は、前記無線基地局による通信に必要な情報であること特徴とする、制御方法。
【請求項11】
前記無線基地局の稼働が許可された場合、稼働に必要な稼働情報を前記無線基地局へ送信し、
前記無線基地局において、稼働情報に基づいて無線通信が開始され、
稼働が許可されなかった場合、前記稼働情報を送信しないことを特徴とする請求項10記載の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−21731(P2013−21731A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−237583(P2012−237583)
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【分割の表示】特願2008−319497(P2008−319497)の分割
【原出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】