説明

制御装置、記録装置、制御装置の制御方法、及び、プログラム

【課題】制御装置と記録装置とが協働して記録に係る処理を実行する際の処理効率を向上する。
【解決手段】ホストコンピューター10は、画像データ生成処理を、テスト用の画像情報を用いて、プリンター11のプリンター側画像データ生成部13a、及び、ホストコンピューター10のホスト側画像データ生成部26bで行ったときの評価に基づいて、画像データ生成処理をより短時間で実行可能な装置を判別する処理能力判別部26dと、処理能力判別部26dによって画像データ生成処理をより短時間で実行可能であると判別された装置に、実際に、画像データ生成処理を実行させる装置選択部26cと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データ基づいて記録する記録装置、当該記録装置に接続された制御装置、当該制御装置の制御方法、及び、当該制御装置を制御するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、制御装置(ホスト装置)と、この制御装置の制御の下、画像データに基づいて画像を記録する記録装置と、を備える画像記録システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−136485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述した画像記録システムでは、制御装置と記録装置とが通信し、協働して記録に係る処理を行うこととなるが、制御装置、及び、記録装置の実態に即した態様で処理を行うことにより、システム全体としての処理効率を向上したいとするニーズがあった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、制御装置と記録装置とが協働して記録に係る処理を実行する際の処理効率を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、画像データに基づいて記録媒体に記録する記録装置に接続可能な制御装置であって、前記記録媒体に記録すべき画像の画像情報に基づいて前記画像データを生成する画像データ生成処理を、テスト用の前記画像情報を用いて、前記記録装置、及び、自身で行ったときの評価に基づいて、前記記録装置と自身とのうち前記画像データ生成処理をより短時間で実行可能な装置を判別する処理能力判別部と、前記記録装置に1の画像を記録させる際、前記処理能力判別部で判別された装置を、当該1の画像の前記画像データを生成するための前記画像データ生成処理を実行させる装置として決定する装置選択部と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、記録装置と制御装置とのうち、画像データ生成処理を短時間で実行可能な装置に画像データ生成処理を行わせることができるため、制御装置、及び、記録装置のハード的、ソフトウェア的な実際の性能を反映して、記録装置と制御装置とを含んで構成されるシステム全体における処理効率を向上することが可能である。特に、上記構成では、共通のテスト用の画像情報を用いて画像データ生成処理を行ったときの評価に基づいて、制御装置と記録装置とのうち画像データ生成処理を短時間で実行可能な装置を判別するため、実態に即してより確実に、画像データ生成処理を短時間で実行可能な装置を判別可能である。
さらに、画像データ生成処理は、画像情報の解析(例えば、画像情報としてのPDLの解析)等の処理を含んでいるため比較的複雑な処理であり、また、画像データ処理によって生成される画像データは、制御装置が生成する他のデータ(例えば、制御用の制御コマンド)と比較してデータサイズが大きくワークメモリーの消費量が大きい。従って、画像データ生成処理は、CPUに対する負荷が大きく、処理能力の低い装置で実行すると、スループットの著しい低下を招くおそれがある。しかし、上記構成によれば、記録装置と、制御装置とのうち、短時間で画像データ生成処理を実行可能な装置、すなわち、高いパフォーマンスで画像データ生成処理を実行可能な装置が、画像データ生成処理を行うこととなるため、効果的にスループットの低下を防止することが可能である。
【0006】
また、上記発明の制御装置であって、本発明は、前記画像情報として、前記画像データ生成処理における処理の内容が異なる複数の種類の前記画像情報があり、前記処理能力判別部は、前記画像情報の種類に応じたテスト用の前記画像情報を用いて、前記記録装置、及び、自身で前記画像データ生成処理を行ったときの評価に基づいて、当該種類ごとに、前記記録装置と自身とのうち前記画像データ生成処理をより短時間で実行可能な装置を判別し、前記装置選択部は、前記記録装置に1の種類の画像情報に係る1の画像を記録させる際、前記処理能力判別部によって当該1の種類の画像情報に係る前記画像データ生成処理をより短時間で実行可能であると判別された装置を、当該1の画像の前記画像データを生成するための前記画像データ生成処理を実行させる装置として決定することを特徴とする。
ここで、画像データの元となる画像情報には、例えば、バーコードに変換しようとしている文字列を指定し、当該文字列をバーコードの画像データに変換させることを指示する画像情報や、記録装置及び制御装置に内蔵されたフォントデータを指定し、当該フォントデータに基づいて文字の画像データを生成させる画像情報や、ビットマップデータ等からなるグラフィックデータを指定して当該グラフィックデータに係る画像データを生成させる画像情報等、複数の種類が存在する。そして、種類ごとに、画像情報に基づいて画像データを生成するときの画像データ生成処理の内容は異なり、従って、種類ごとに、記録装置と制御装置とのうち、いずれの装置で画像データ生成処理を実行した方がより短時間で当該処理を実行できるかは異なる。これは、記録装置及び制御装置のCPUやメモリーのスペック、実装されたプログラムの内容の相違に起因して、処理の内容によって、高いパフォーマンスで実行できるか否かが変わってくるからである。
以上を踏まえ、上記構成によれば、ある1の種類の画像情報に係る1の画像の記録に際し、記録装置と制御装置とのうち、当該1の種類の画像情報を用いた画像データ生成処理をより短時間で実行可能な装置が、当該画像データ生成処理を実行することとなるため、制御装置、及び、記録装置のハード的、ソフトウェア的な実際の性能を反映して、記録装置と制御装置とを含んで構成されるシステム全体における処理効率を向上することが可能である。
【0007】
また、上記発明の制御装置であって、本発明は、前記記録装置が記録媒体に画像を記録して印刷出力する出力物として、複数の種類の前記出力物があり、前記出力物の種類ごとに、前記出力物に記録される画像の元となる前記画像情報の種類の組み合わせの態様が異なっており、前記処理能力判別部は、前記出力物の種類ごとの前記画像情報の組み合わせの態様に応じたテスト用の前記画像情報を用いて、前記記録装置、及び、自身で前記画像データ生成処理を行ったときの評価に基づいて、当該種類ごとに、前記記録装置と自身とのうち前記画像データ生成処理をより短時間で実行可能な装置を判別し、前記装置選択部は、前記記録装置に1の画像を記録させて1の種類の前記出力物を印刷出力させる際、前記処理能力判別部によって当該1の種類の前記出力物に係る前記画像データ生成処理をより短時間で実行可能であると判別された装置を、当該1の画像の前記画像データを生成するための前記画像データ生成処理を実行させる装置として決定することを特徴とする。
この構成によれば、画像情報の種類によって画像データ生成処理の内容が異なり、より短時間で画像データ生成処理を実行可能な装置が異なること、及び、記録装置によって印刷出力しようとしている出力物の種類ごとに、当該出力物に記録される画像の元となる画像情報の組み合わせの態様が異なることを反映して、1の種類の出力物を印刷出力する際に、当該1の種類の出力物に係る画像データ生成処理をより短時間で実行可能な装置が、当該画像データ生成処理を実行することとなるため、制御装置、及び、記録装置のハード的、ソフトウェア的な実際の性能を反映して、記録装置と制御装置とを含んで構成されるシステム全体における処理効率を向上することが可能である。
【0008】
また、上記発明の制御装置であって、本発明は、前記処理能力判別部は、画像の記録に係る処理に影響しない所定のタイミングで、共通のテスト用の前記画像情報を用いて、前記記録装置に前記画像データ生成処理を行わせ、また、自身で前記画像データ生成処理を行い、各処理の評価に基づいて、前記記録装置と自身とのうち前記画像データ生成処理をより短時間で実行可能な装置を判別することを特徴とする。
ここで、装置のスペックは必ずしも一定ではなく、装置自体の交換や、ソフトウェア的、ハードウェア的な部品の交換により変わる場合がある。これを踏まえ、上記構成によれば、画像の記録に係る処理に影響しない所定のタイミングで画像データ生成処理を短時間で実行可能な装置の判別が行われるため、当該判別がより実態に即した判別となる。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明は、画像データに基づいて記録媒体に記録する記録装置であって、前記記録媒体に記録すべき画像の画像情報に基づいて前記画像データを生成する画像データ生成処理を、テスト用の前記画像情報を用いて、自身を制御するための制御装置、及び、自身で行ったときの評価に基づいて、前記制御装置と自身とのうち前記画像データ生成処理をより短時間で実行可能な装置を判別する処理能力判別部と、前記記録媒体に1の画像を記録する際、前記処理能力判別部によって判別された装置を、当該1の画像の前記画像データを生成するための前記画像データ生成処理を実行させる装置として決定する装置選択部と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、記録装置と制御装置とのうち、画像データ生成処理を短時間で実行可能な装置に画像データ生成処理を行わせることができるため、制御装置、及び、記録装置のハード的、ソフトウェア的な実際の性能を反映して、記録装置と制御装置とを含んで構成されるシステム全体における処理効率を向上することが可能である。特に、上記構成では、共通のテスト用の画像情報を用いて画像データ生成処理を行ったときの評価に基づいて、制御装置と記録装置とのうち画像データ生成処理を短時間で実行可能な装置を判別するため、実態に即してより確実に、画像データ生成処理を短時間で実行可能な装置を判別可能である。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明は、画像データに基づいて記録媒体に記録する記録装置に接続可能な制御装置の制御方法であって、前記記録媒体に記録すべき画像の画像情報に基づいて前記画像データを生成する画像データ生成処理を、テスト用の前記画像情報を用いて、前記記録装置、及び、自身で行ったときの評価に基づいて、前記記録装置と自身とのうち前記画像データ生成処理をより短時間で実行可能な装置を判別し、前記記録装置に1の画像を記録させる際、前記画像データ生成処理をより短時間で実行可能であると判別した装置に、当該1の画像の前記画像データを生成するための前記画像データ生成処理を実行させる装置として決定することを特徴とする。
この制御方法によれば、記録装置と制御装置とのうち、画像データ生成処理を短時間で実行可能な装置に画像データ生成処理を行わせることができるため、制御装置、及び、記録装置のハード的、ソフトウェア的な実際の性能を反映して、記録装置と制御装置とを含んで構成されるシステム全体における処理効率を向上することが可能である。特に、上記構成では、共通のテスト用の画像情報を用いて画像データ生成処理を行ったときの評価に基づいて、制御装置と記録装置とのうち画像データ生成処理を短時間で実行可能な装置を判別するため、実態に即してより確実に、画像データ生成処理を短時間で実行可能な装置を判別可能である。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明は、画像データに基づいて記録媒体に記録する記録装置に接続可能な制御装置の各部を制御するための制御部により実行されるプログラムであって、前記制御部を、前記記録媒体に記録すべき画像の画像情報に基づいて前記画像データを生成する画像データ生成処理を、テスト用の前記画像情報を用いて、前記記録装置、及び、自身で行ったときの評価に基づいて、前記記録装置と自身とのうち前記画像データ生成処理をより短時間で実行可能な装置を判別する処理能力判別部と、前記記録装置に1の画像を記録させる際、前記処理能力判別部によって判別された装置に、当該1の画像の前記画像データを生成するための前記画像データ生成処理を実行させる装置として決定する装置選択部と、として機能させることを特徴とする。
このプログラムを実行すれば、記録装置と制御装置とのうち、画像データ生成処理を短時間で実行可能な装置に画像データ生成処理を行わせることができるため、制御装置、及び、記録装置のハード的、ソフトウェア的な実際の性能を反映して、記録装置と制御装置とを含んで構成されるシステム全体における処理効率を向上することが可能である。特に、上記構成では、共通のテスト用の画像情報を用いて画像データ生成処理を行ったときの評価に基づいて、制御装置と記録装置とのうち画像データ生成処理を短時間で実行可能な装置を判別するため、実態に即してより確実に、画像データ生成処理を短時間で実行可能な装置を判別可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、御装置と記録装置とが協働して記録に係る処理を実行する際の処理効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る記録システムの機能的構成を示すブロック図である。
【図2】プリンターによって発行可能な各種紙片を示す図である。
【図3】ホストコンピューターの動作を示すフローチャートである。
【図4】ホストコンピューターの動作を示すフローチャートである。
【図5】別の実施形態に係る記録システムの機能的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る記録システム1の構成を示す図である。
記録システム1は、ホストコンピューター10(制御装置)と、プリンター11(記録装置)とを備え、ホストコンピューター10の制御の下、プリンター11によって所定の紙片(後述)を印刷出力するシステムである。
【0015】
プリンター11は、発熱素子が並べて設けられた記録ヘッドを備え、この記録ヘッドによって、感熱ロール紙の記録面に熱を与えて画素を形成することにより、画像を記録するサーマルプリンターである。特に、プリンター11は、感熱ロール紙に所定の画像を記録した後、所定の位置で感熱ロール紙を切断することにより、紙片を発行可能である。
図1に示すように、プリンター11は、プリンター側制御部13と、プリントエンジン14と、を備えている。
プリンター側制御部13は、プリンター11の各部を中枢的に制御するものであり、演算実行部としてのCPUや、このCPUに実行される基本制御プログラムや、この基本制御プログラムに係るデータ等を不揮発的に記憶するROM、CPUに実行されるプログラムやこのプログラムに係るデータ等を一時的に記憶するRAM、その他の周辺回路等を備えている。プリンター側制御部13は、プリンター側画像データ生成部13aを備えているが、この機能ブロックについては後述する。
プリントエンジン14は、上述した記録ヘッドや、この記録ヘッドを走査させるキャリッジ(記録ヘッドが感熱ロール紙の全幅まで延在したラインヘッドの場合は不要)、感熱ロール紙を搬送方向へ搬送させる搬送ローラー、感熱ロール紙を切断する切断機構等の、感熱ロール紙への画像の記録を伴う紙片の発行を実行するための各種機構、装置を備え、プリンター側制御部13の制御の下、記録に係る各種処理を実行する。
【0016】
一方、図1に示すように、ホストコンピューター10は、制御部16と、表示部17と、入力部18と、通信インターフェイス19(I/F)と、記憶部20と、を備えている。
制御部16は、ホストコンピューター10の各部を中枢的に制御するものであり、上述したプリンター側制御部13と同様、CPUや、ROM、RAM、その他の周辺回路等を備えている。制御部16は、アプリケーション実行部25と、プリンタードライバー実行部26と、を備え、さらに、プリンタードライバー実行部26は、PDL生成部26aと、ホスト側画像データ生成部26bと、装置選択部26cと、処理能力判別部26dと、を備えているが、これら機能ブロックについては後述する。
表示部17は、液晶表示パネルや有機ELパネル等の表示パネルを備え、制御部16の制御の下、表示パネルに各種情報を表示する。
入力部18は、各種入力デバイスに接続され、入力デバイスに対する操作を検出し、制御部16に出力する。
通信インターフェイス19は、制御部16の制御の下、プリンター11との間で、通信規格に準拠した通信を行う。
記憶部20は、EEPROMやハードディスク等の記憶媒体を備え、各種データを書き換え可能に不揮発的に記憶する。
【0017】
記録システム1では、ホストコンピューター10の制御の下、プリンター11が紙片を発行する。
以下、プリンター11が紙片を発行する際の記録システム1の基本的な動作について説明する。
以下の説明において、ホストコンピューター10のPDL生成部26a、ホスト側画像データ生成部26b、及び、プリンター11のプリンター側画像データ生成部13aは、CPUが所定のプログラム(例えば、ホストコンピューター10にインストールされたプリンタードライバーや、プリンター11にインストールされたファームウェア)を読み出して実行する等、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。
まず、アプリケーション実行部25は、ホストコンピューター10に予めインストールされたアプリケーションを実行することにより、感熱ロール紙に記録すべき画像の情報を含む画像情報データを生成し、プリンタードライバー実行部26に出力する。画像情報データとは、感熱ロール紙に記録すべき画像について、例えば、画像の内容や、画像の位置を示す情報を含むデータである。
プリンタードライバー実行部26のPDL生成部26aは、ホストコンピューター10に予めインストールされたプリンタードライバーを実行することにより、アプリケーション実行部25から入力された画像情報データに基づいて、プリンター11のコマンド仕様に対応したPDL(プリンター制御言語)を生成する。ここで生成されたPDLは、具体的には、感熱ロール紙への所定の画像の記録や、画像の記録に伴う感熱ロール紙の搬送、感熱ロール紙の切断等、紙片を発行するための一連の処理を指示する制御コマンド群である。このPDLに含まれる制御コマンドが、「画像情報」に該当する。
次いで、ホスト側画像データ生成部26b、及び、プリンター側画像データ生成部13aのうち、いずれかの機能ブロックが、PDL生成部26aが生成したPDLに基づいて、画像データ生成処理を実行して、感熱ロール紙に記録すべき画像を示す画像データ(以下、「記録画像データ」という。)を生成する。画像データ生成処理とは、PDLに基づいて、処理に適した描画コードである中間コードを生成し、生成した中間コードに基づいて記録画像データを生成する一連の処理のことである。また、記録画像データとは、ビットマップデータ等、画像を構成する画素ごとの描画情報を保持するデータのことである。
ホスト側画像データ生成部26b、及び、プリンター側画像データ生成部13aのうち、どちらの機能ブロックが、画像データ生成処理を実行するのかは、装置選択部26cによって記録システム1の実態に即して適切に判別されるが、これについては後に詳述する。
【0018】
後述する装置選択部26cによりホスト側画像データ生成部26bが画像データ生成処理を実行すると判別されている場合は、PDL生成部26aは、生成したPDLをホスト側画像データ生成部26bに出力する。ホスト側画像データ生成部26bは、入力されたPDLに基づいて、画像データ生成処理を実行して記録画像データを生成し、生成した記録画像データを含んだ制御コマンドをプリンター11に出力する。
プリンター11のプリンター側制御部13は、入力された制御コマンドに基づいて、紙片の発行に係る各種処理を実行し、紙片を発行する。特に、感熱ロール紙への画像の記録については、プリンター側制御部13は、以下のようにして行う。すなわち、プリンター側制御部13は、制御コマンドに含まれる記録画像データをRAM上の所定の領域に形成された画像バッファーに展開する。そして、プリンター側制御部13は、画像バッファーに展開された記録画像データに基づいて、記録ヘッド、その他の機構を制御して、感熱ロール紙に画像を記録する。
一方、後述する装置選択部26cによりプリンター側画像データ生成部13aが画像データ生成処理を実行すると判別されている場合は、PDL生成部26aは、生成したPDLをプリンター11に出力する。プリンター11のプリンター側画像データ生成部13aは、画像データ生成処理を実行することにより、入力されたPDLに基づいて記録画像データを生成する。プリンター側制御部13は、プリンター側画像データ生成部13aにより生成された記録画像データに基づいて感熱ロール紙への画像の記録を含む紙片の発行に係る処理を実行する。
【0019】
本実施形態に係るプリンター11は、紙片として、レシート30、ラベル31、及び、クーポン32の3つの種類の出力物を印刷出力可能である。
図2は、レシート30、ラベル31、及び、クーポン32の3つの種類の紙片の一例を模式的に示す図であり、(A)はレシート30を、(B)はラベル31を、(C)はクーポン32をそれぞれ示している。
図2(A)に示すレシート30は、顧客の会計に応じて、顧客に対して手渡されるものであり、レシート30を発行する店舗等のロゴを示すロゴマーク30aと、会計に関する情報であるレシート情報画像30bとを含んで構成されている。
ロゴマーク30aは、グラフィック画像である。グラフィック画像とは、後述するフォントデータに基づいて記録される画像ではなく、ビットマップデータからなる所定のグラフィック画像データに基づいて記録される画像のことである。PDL生成部26aが生成するPDLに含まれる制御コマンドのうち、ロゴマーク30aの記録に係る制御コマンドは、当該ロゴマーク30aを示すグラフィック画像データと、当該グラフィック画像データに基づいて画像を記録することを指示するコマンドとを含んで構成されている。ホスト側画像データ生成部26b、又は、プリンター側画像データ生成部13aは、ロゴマーク30aの記録に係る制御コマンドに基づいて記録画像データを生成する場合、制御コマンドに含まれるグラフィック画像データを、記録画像データの適切な領域に配置して、記録画像データを生成する。
【0020】
また、レシート情報画像30bは、文字列画像である。文字列画像とは、ホストコンピューター10、及び、プリンター11が内蔵するフォントデータに基づいて記録される文字の画像のことである。フォントデータとは、文字を感熱ロール紙に記録可能な態様で表現する実データのことである。本実施形態では、フォントデータの態様は、ビットマップフォントデータである。フォントデータの態様としては、ビットマップデータのほか、スケイラブルフォントデータや、ベクトルフォントデータ、アウトラインフォントデータ等がある。本実施形態では、ホストコンピューター10、及び、プリンター11のそれぞれに、記録可能な文字のそれぞれのフォントデータを集合して記憶するフォントテーブルが記憶されている。なお、文字とは、言語で使用される意味を持った文字を意味するのではなく、フォントデータに基づいて記録可能な図形(スペースを含む)の全てを含む概念である。
PDL生成部26aが生成するPDLに含まれる制御コマンドのうち、レシート情報画像30bの記録に係る制御コマンドは、当該レシート情報画像30bを構成する文字のそれぞれについて各文字のフォントデータを指定する情報と、各文字のフォントデータに基づいて文字の画像を所定の態様で記録することを指示するコマンドとを含んで構成されている。ホスト側画像データ生成部26b、又は、プリンター側画像データ生成部13aは、レシート情報画像30bの記録に係る制御コマンドに基づいて記録画像データを生成する場合、当該レシート情報画像30bを構成する文字のそれぞれについて各文字のフォントデータを特定し、特定した各フォントデータを、記録画像データの適切な領域に配置して、記録画像データを生成する。
【0021】
図2(B)に示すラベル31は、商品や商品の包装に貼付されたり、また、商品が陳列された棚に貼付されたりすることが想定された付箋であり、対応する商品の情報を表示する商品表示画像31aと、対応するバーコードを示すラベル用バーコード画像31bとを含んで構成されている。
商品表示画像31aは、上述した文字列画像である。
一方、ラベル用バーコード画像31bは、バーコード画像である。バーコード画像とは、バーコードを示す画像のことである。PDL生成部26aが生成するPDLに含まれる制御コマンドのうち、ラベル用バーコード画像31bの記録に係る制御コマンドは、HRI文字に関する各種設定(HRI文字を記録するか否か、HRI文字をバーコードとの関係でどこに記録するか等)を指定する情報、バーコードに変換しようとしている文字列を指定する情報、及び、指定した文字列を示すバーコードの画像を記録することを指示するコマンドを含んで構成されている。
ホスト側画像データ生成部26b、又は、プリンター側画像データ生成部13aは、ラベル用バーコード画像31bの記録に係る制御コマンドに基づいて記録画像データを生成する場合、所定の機能により、指定された文字列を、画像としてのバーコードを表現する画像データ(ビットマップデータ)に変換し、HRI文字に関する各種設定を反映した上で、記録画像データの適切な位置に配置して、記録画像データを生成する。
【0022】
図2(C)に示すクーポン32は、所定の商品の割引のための割引券であり、クーポンのタイトルを示すクーポンタイトル画像32aと、クーポン32の内容(割引の内容)を示すクーポン内容画像32bと、対応するバーコードを示すクーポン用バーコード画像32cと、を含んで構成されている。
クーポンタイトル画像32aは、文字列画像である。
クーポン内容画像32bは、グラフィック画像である。
クーポン用バーコード画像32cは、バーコード画像である。
【0023】
このように、本実施形態では、PDLに含まれる制御コマンド(画像情報)には、複数の種類が存在する。すなわち、制御コマンドには、グラフィック画像の記録に係る制御コマンド、文字列画像の記録に係る制御コマンド、及び、バーコード画像の記録に係る制御コマンドの3つの種類が存在する。
また、本実施形態では、発行する紙片の種類(レシート30、ラベル31、クーポン32)によって、PDLに含まれる制御コマンドの種類の組み合わせの態様が異なっている。すなわち、レシート30に係るPDLには、グラフィック画像(ロゴマーク30a)の記録に係る制御コマンド、及び、文字列画像(レシート情報画像30b)の記録に係る制御コマンドがこの順番で含まれており、ラベル31に係るPDLには、文字列画像(商品表示画像31a)の記録に係る制御コマンド、及び、バーコード画像(ラベル用バーコード画像31b)の記録に係る制御コマンドがこの順番で含まれており、また、クーポン32に係るPDLには、文字列画像(クーポンタイトル画像32a)の記録に係る制御コマンド、グラフィック画像(クーポン内容画像32b)の記録に係る制御コマンド、及び、バーコード画像(クーポン用バーコード画像32c)の記録に係る制御コマンドがこの順番で含まれている。
【0024】
ところで、上述したレシート30、ラベル31、及び、クーポン32は、顧客に手渡されることを目的として、また、所定の用途に利用することを目的として印刷出力される紙片(出力物)である。従って、記録システム1によって各紙片を発行する際には、記録システム1全体の処理効率を向上し、できるだけ速やかにこれら紙片を印刷出力したいとするニーズがある。
これを踏まえ、本実施形態に係る記録システム1は、以下の動作を実行する。
【0025】
図3は、ホストコンピューター10の制御部16のプリンタードライバー実行部26の処理能力判別部26dの動作を示すフローチャートである。
以下の説明において、処理能力判別部26dは、ホストコンピューター10のCPUがプリンタードライバーを読み出して実行する等、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。
また、以下の説明において、ホスト側画像データ生成部26bと、プリンター側画像データ生成部13aとを区別しない場合は、「画像データ生成部」と便宜的に表現するものとする。
まず、処理能力判別部26dは、ステップSA2以下の処理を実行するタイミングとして予め定められたタイミングが到来したか否かを判別する(ステップSA1)。
ここで、ステップSA2以下の処理を端的に言うと、画像データ生成処理を、ホスト側画像データ生成部26bと、プリンター側画像データ生成部13aとのいずれの画像データ生成部で行うのかを判別する処理である。そして、当該処理は、プリンター11による紙片の発行に影響を与えないタイミングとしてユーザーによって設定されたタイミングで行うものとされている。プリンター11による紙片の発行に影響を与えないタイミングとは、例えば、プリンター11の電源オンのタイミング、電源オフのタイミング、プリンター11による画像の記録が一定期間以上行われずプリンター11が休止状態へ移行するタイミング等である。
次いで、処理能力判別部26dは、共通するレシート用テストPDLに基づいて、ホストコンピューター10のホスト側画像データ生成部26b、及び、プリンター11のプリンター側画像データ生成部13aのそれぞれに画像データ生成処理を実行させ、各画像データ生成部が処理に要した時間を計測する(ステップSA2)。
以下、ステップSA2の処理について詳述する。
【0026】
レシート用テストPDLとは、レシート30のレイアウトに準じたテスト用の画像(以下、「レシート用テスト画像」という。)の記録に係る制御コマンド群のことである。図2(A)で説明したように、本実施形態では、レシート30のレイアウトは、記録面においてロゴマーク30aと、レシート情報画像30bが順に並んだレイアウトとなっているため、レシート用テスト画像は、テスト用のロゴマーク30a、及び、テスト用のレシート情報画像30bが順に並んで構成されている。そして、レシート用テストPDLは、テスト用のロゴマーク30a、及び、テスト用のレシート情報画像30bを順に記録するための制御コマンド群となっている。
ステップSA2では、処理能力判別部26dは、予め準備され、記憶部20に記憶されたレシート用テストPDLをホスト側画像データ生成部26bに出力し、ホスト側画像データ生成部26bによって当該レシート用テストPDLに基づく画像データ生成処理が開始されてから、当該処理が終了するまでに要する時間を計測する。同様に、処理能力判別部26dは、レシート用テストPDLをプリンター側画像データ生成部13aに出力し、プリンター側画像データ生成部13aによって当該レシート用テストPDLに基づく画像データ生成処理が開始されてから、当該処理が終了するまでに要する時間を計測する。
【0027】
ステップSA2の処理後、処理能力判別部26dは、ステップSA2の処理の結果に基づいて、ホスト側画像データ生成部26b、及び、プリンター側画像データ生成部13aのうち、いずれの画像データ生成部の方が、レシート30に係るPDLに基づく画像データ生成処理をより短時間で実行可能かを判別する(ステップSA3)。すなわち、処理能力判別部26dは、レシート用テストPDLに基づく画像データ生成処理をより短時間で実行できた画像データ生成部を、レシート30に係るPDLに基づく画像データ生成処理をより短時間で実行できる画像データ生成部であると判別する。
次いで、処理能力判別部26dは、ステップSA3の判別結果を示すデータを記憶部20の所定の記憶領域に記憶する(ステップSA4)。
【0028】
このように本実施形態に係る処理能力判別部26dは、レシート30に係るPDLに基づく画像データ生成処理について、ホスト側画像データ生成部26bと、プリンター側画像データ生成部13aとのうちいずれの画像データ生成部の方がより短時間で処理を実行可能か判別するに際し、レシート30のレイアウトに準じた専用のレシート用テストPDLを用いて、実際に、これら画像データ生成部のそれぞれに画像データ生成処理を実行させた上で、その評価(処理に要する時間の短さ)に基づいて当該判別を行う。これにより以下の効果を奏することが可能である。
すなわち、上述したように、PDLに含まれる制御コマンドの種類によって、画像データ生成処理の内容は変わる。具体的には、制御コマンドの種類がグラフィック画像の記録に係る制御コマンドである場合、各機能ブロックは、制御コマンドに含まれるグラフィック画像データを記録画像データの所定の領域に配置することにより、記録画像データを生成する。また、制御コマンドの種類が文字列画像の記録に係る制御コマンドである場合、各機能ブロックは、制御コマンドに基づいて、文字列画像を構成する各文字のフォントデータを特定し、特定したフォントデータを記録画像データに所定の態様で配置することにより、記録画像データを生成する。また、制御コマンドの種類がバーコード画像の記録に係る制御コマンドである場合、各機能ブロックは、制御コマンドにおいて指定された文字列を、画像としてのバーコードを表現する画像データに変換し、HRI文字に関する各種設定を反映した上で、記録画像データの適切な領域に配置して、記録画像データを生成する。
そして、画像データ生成処理の内容が異なると、ハードウェア的要因(CPUや、メモリー等のスペック)、ソフトウェア的要因(メモリー、ワークエリアの使用方法、実際に実装されているプログラムの内容)、その他の要因により、ホスト側画像データ生成部26b及びプリンター側画像データ生成部13aのうち、いずれの機能ブロックの方がより短時間で画像データ生成処理を実行できるかが異なってくる。
そして、上述したように、発行すべき紙片の種類によってPDLに含まれる制御コマンドの種類の組み合わせの態様は異なる。
以上を踏まえ、レシート30のレイアウトに準じた専用のレシート用テストPDLを用いて、実際に、画像データ生成部のそれぞれに画像データ生成処理を実行させた上で、その評価(処理に要する時間の短さ)に基づいて、いずれの画像データ生成部がより短時間でレシート30に係る画像データ生成処理を実行可能か判別することにより、制御コマンドの種類によって画像データ生成処理の内容が異なり、これに起因して制御コマンドの種類に応じてより短時間で画像データ生成処理を実行可能な画像データ生成部が異なってくること、及び、プリンター11によって印刷出力しようとしている紙片(出力物)の種類ごとに、当該出力物に記録される画像の元となる制御コマンドの組み合わせの態様が異なることを反映して、適切に、ステップSA3の判別を実行可能である。
また、共通するレシート用テストPDLを用いることにより、的確に、ステップSA3の判別を実行可能である。
【0029】
さて、前掲図3に戻り、ステップSA4の処理の実行後、処理能力判別部26dは、共通するラベル用テストPDLに基づいて、ホストコンピューター10のホスト側画像データ生成部26b、及び、プリンター11のプリンター側画像データ生成部13aのそれぞれに画像データ生成処理を実行させ、各画像データ生成部が処理に要した時間を計測する(ステップSA5)。
ラベル用テストPDLとは、ラベル31のレイアウトに準じたテスト用の画像の記録に係る制御コマンド群のことであり、具体的には、テスト用の商品表示画像31a、及び、テスト用のラベル用バーコード画像31bを順に記録するための制御コマンド群である。
次いで、処理能力判別部26dは、ステップSA5の処理の結果に基づいて、ホスト側画像データ生成部26b、及び、プリンター側画像データ生成部13aのうち、いずれの画像データ生成部の方が、ラベル31に係るPDLに基づく画像データ生成処理をより短時間で実行可能かを判別する(ステップSA6)。すなわち、処理能力判別部26dは、ラベル用テストPDLに基づく画像データ生成処理をより短時間で実行できた画像データ生成部を、ラベル31に係るPDLに基づく画像データ生成処理をより短時間で実行できる画像データ生成部であると判別する。
次いで、処理能力判別部26dは、ステップSA6の判別結果を示すデータを記憶部20の所定の記憶領域に記憶する(ステップSA7)。
このように、ラベル31のレイアウトに準じたラベル用テストPDLを用いて、ホスト側画像データ生成部26b、及び、プリンター側画像データ生成部13aのうちいずれの画像データ生成部がより短時間で画像データ生成処理を実行できるか判別することのメリットは、レシート用テストPDLを用いる場合と同様である。
【0030】
ステップSA7の処理の実行後、処理能力判別部26dは、共通するクーポン用テストPDLに基づいて、ホストコンピューター10のホスト側画像データ生成部26b、及び、プリンター11のプリンター側画像データ生成部13aのそれぞれに画像データ生成処理を実行させ、各画像データ生成部が処理に要した時間を計測する(ステップSA8)。
クーポン用テストPDLとは、クーポン32のレイアウトに準じたテスト用の画像の記録に係る制御コマンド群のことであり、具体的には、テスト用のクーポンタイトル画像32a、テスト用のクーポン内容画像32b、及び、テスト用のクーポン用バーコード画像32cを順に記録するための制御コマンド群である。
次いで、処理能力判別部26dは、ステップSA8の処理の結果に基づいて、ホスト側画像データ生成部26b、及び、プリンター側画像データ生成部13aのうち、いずれの画像データ生成部の方が、クーポン32に係るPDLに基づく画像データ生成処理をより短時間で実行可能かを判別する(ステップSA9)。すなわち、処理能力判別部26dは、クーポン用テストPDLに基づく画像データ生成処理をより短時間で実行できた画像データ生成部を、クーポン32に係るPDLに基づく画像データ生成処理をより短時間で実行できる画像データ生成部であると判別する。
次いで、処理能力判別部26dは、ステップSA9の判別結果を示すデータを記憶部20の所定の記憶領域に記憶する(ステップSA10)。
このように、クーポン32のレイアウトに準じたラベル用テストPDLを用いて、ホスト側画像データ生成部26b、及び、プリンター側画像データ生成部13aのうちいずれの画像データ生成部がより短時間で画像データ生成処理を実行できるか判別することのメリットは、レシート用テストPDLを用いる場合と同様である。
【0031】
次いで、レシート30、ラベル31、及び、クーポン32のいずれかの紙片を発行する場合の記録システム1の動作について説明する。
以下の説明において、装置選択部26cの機能は、CPUがプリンタードライバーを読み出して実行する等、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。
図4は、プリンター11にレシート30、ラベル31、及び、クーポン32のいずれかの紙片を発行させる場合のホストコンピューター10の動作を示すフローチャートである。
まず、アプリケーション実行部25は、発行しようとしている紙片に記録すべき画像の画像情報データを生成し、プリンタードライバー実行部26に出力する(ステップSB1)。この画像情報データには、発行しようとしている紙片の種類(レシート30、ラベル31、及び、クーポン32のいずれか)を示す情報が含まれている。
次いで、装置選択部26cは、画像情報データに基づいて、発行しようとしている紙片の種類を特定する(ステップSB2)。
次いで、装置選択部26cは、図3のステップSA4、ステップSA7、ステップSA10において記憶部20に記憶されたデータの内容に基づいて、ステップSB2で特定した種類の紙片を発行するためのPDLに係る画像データ生成処理をより短時間で実行できる画像データ生成部が、ホスト側画像データ生成部26bと、プリンター側画像データ生成部13aとのうちいずれであるかを特定する(ステップSB3)。
詳述すると、上述したように、図3のステップSA4において、ホスト側画像データ生成部26bと、プリンター側画像データ生成部13aとのうち、レシート30に係るPDLに基づく画像データ生成処理をより短時間で実行可能であると判別された画像データ生成部を示すデータが記憶部20に記憶されている。また、ステップSA7において、ラベル31に係るPDLに基づく画像データ生成処理をより短時間で実行可能であると判別された画像データ生成部を示すデータが記憶部20に記憶され、さらに、ステップSA10において、クーポン32に係るPDLに基づく画像データ生成処理をより短時間で実行可能であると判別された画像データ生成部を示すデータが記憶部20に記憶されている。これを踏まえ、ステップSB3において、装置選択部26cは、ステップSB2で特定した紙片の種類に対応するデータを参照し、当該紙片の種類に係るPDLに基づく画像データ生成処理をより短時間で実行可能な画像データ生成部を特定する。
【0032】
次いで、装置選択部26cは、ホスト側画像データ生成部26bと、プリンター側画像データ生成部13aのうち、画像データ生成処理を実際に実行する画像データ生成部を決定する(ステップSB4)。すなわち、装置選択部26cは、ステップSB3の処理の結果に基づいて、より短時間で画像データ生成処理を実行可能な画像データ生成部を、画像データ生成処理を実際に実行する画像データ生成部として決定する。
次いで、PDL生成部26aは、ステップSB4において、画像データ生成処理を実際に実行する画像データ生成部として決定された機能ブロックが、ホスト側画像データ生成部26b、及び、プリンター側画像データ生成部13aのうちいずれであるかを判別する(ステップSB5)。
画像データ生成処理を実際に実行する画像データ生成部としてホスト側画像データ生成部26bが決定されている場合(ステップSB5:「ホスト側画像データ生成部」)、PDL生成部26aは、アプリケーション実行部25から入力された画像情報データに基づいてPDLを生成し、生成したPDLをホスト側画像データ生成部26bに出力する(ステップSB6)。ホスト側画像データ生成部26bは、入力されたPDLに基づいて画像データ生成処理を実行して記録画像データを生成し、生成した記録画像データを含んだ制御コマンドをプリンター11に出力する(ステップSB7)。プリンター11のプリンター側制御部13は、入力された制御コマンドに基づいて、紙片の発行に係る各種処理を実行し、紙片を発行する。
一方、画像データ生成処理を実際に実行する画像データ生成部としてプリンター側画像データ生成部13aが決定されている場合(ステップSB5:「プリンター側画像データ生成部」)、PDL生成部26aは、アプリケーション実行部25から入力された画像情報データに基づいてPDLを生成し、生成したPDLをプリンター11に出力する(ステップSB8)。プリンター11のプリンター側画像データ生成部13aは、入力されたPDLに基づいて画像データ生成処理を実行することにより、記録画像データを生成する。プリンター側制御部13は、プリンター側画像データ生成部13aにより生成された記録画像データに基づいて感熱ロール紙への画像の記録を含む紙片の発行に係る処理を実行する。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係るホストコンピューター10は、PDLに含まれる制御コマンドに基づいて記録画像データを生成する画像データ生成処理を、テスト用のPDLを用いて、プリンター11のプリンター側画像データ生成部13a、及び、ホストコンピューター10のホスト側画像データ生成部26bで行ったときの評価に基づいて、これら画像データ生成部のうち画像データ生成処理をより短時間で実行可能な装置を判別する処理能力判別部26dと、プリンター11に1の画像を記録させる際、プリンター側画像データ生成部13aとホスト側画像データ生成部26bとのうち、処理能力判別部26dによって画像データ生成処理をより短時間で実行可能であると判別された画像データ生成部に、当該1の画像の記録画像データを生成するための画像データ生成処理を実行させる装置選択部26cと、を備えている。
これによれば、プリンター11のプリンター側画像データ生成部13aと、ホストコンピューター10のホスト側画像データ生成部26bとのうち、画像データ生成処理を短時間で実行可能な装置に画像データ生成処理を行わせることができるため、ホストコンピューター10、及び、プリンター11のハード的、ソフトウェア的な実際の性能を反映して、記録システム1全体における処理効率を向上することが可能である。特に、上記構成では、共通のテスト用のPDLを用いて画像データ生成処理を行ったときの評価に基づいて、各画像データ生成部のうち画像データ生成処理を短時間で実行可能な画像データ生成部を判別するため、実態に即してより確実に、画像データ生成処理を短時間で実行可能な画像データ生成部を判別可能である。
さらに、画像データ生成処理は、PDLの解析等の処理を含んでいるため比較的複雑な処理であり、また、画像データ生成処理によって生成される画像データは、ホストコンピューター10が生成する他のデータ(例えば、制御コマンド)と比較してデータサイズが大きくワークメモリーの消費量が大きい。従って、画像データ生成処理は、CPUに対する負荷が大きく、処理能力の低い装置で実行すると、スループットの著しい低下を招くおそれがある。しかし、本実施形態の構成によれば、プリンター11のプリンター側画像データ生成部13aと、ホストコンピューター10のホスト側画像データ生成部26bとのうち、短時間で画像データ生成処理を実行可能な画像データ生成部、すなわち、高いパフォーマンスで画像データ生成処理を実行可能な装置が、画像データ生成処理を行うこととなるため、効果的にスループットの低下を防止することが可能である。
【0034】
また、本実施形態では、プリンター11が印刷出力する紙片(出力物)として、レシート30、ラベル31、及び、クーポン32の3つの種類がある。そして、処理能力判別部26dは、紙片の種類ごとの制御コマンドの種類の組み合わせの態様に応じたテスト用のPDLを用いて、プリンター11のプリンター側画像データ生成部13a、及び、ホストコンピューター10のホスト側画像データ生成部26bで画像データ生成処理を行ったときの評価に基づいて、紙片の種類ごとに、画像データ生成処理をより短時間で実行可能な画像データ生成部を判別する。さらに、装置選択部26cは、プリンター11に1の画像を記録させて1の種類の紙片を印刷出力させる際、ホスト側画像データ生成部26bと、プリンター側画像データ生成部13aのうち、処理能力判別部26dによって当該1の種類の紙片に係る画像データ生成処理をより短時間で実行可能であると判別された画像データ生成部に、当該1の画像の画像データを生成するための画像データ生成処理を実行させる。
これによれば、制御コマンドの種類によって画像データ生成処理の内容が異なり、より短時間で画像データ生成処理を実行可能な装置(画像データ生成部)が異なってくること、及び、プリンター11によって印刷出力しようとしている紙片の種類ごとに、当該紙片に記録される画像の元となる制御コマンドの組み合わせの態様が異なることを反映して、1の種類の紙片を印刷出力する際に、当該1の種類の紙片に係る画像データ生成処理をより短時間で実行可能な装置が、当該画像データ生成処理を実行することとなるため、ホストコンピューター10、及び、プリンター11のハード的、ソフトウェア的な実際の性能を反映して、記録システム1全体における処理効率を向上することが可能である。
【0035】
また、本実施形態に係る処理能力判別部26dは、画像の記録に係る処理に影響しない所定のタイミングで、共通のテスト用のPDLを用いて、プリンター11のプリンター側画像データ生成部13aに画像データ生成処理を行わせ、また、ホストコンピューター10のホスト側画像データ生成部26bに画像データ生成処理を行わせ、各処理の評価に基づいて、画像データ生成処理をより短時間で実行可能な画像データ生成部を判別する。
ここで、プリンター11、及び、ホストコンピューター10のスペックは必ずしも一定ではなく、装置自体の交換や、ソフトウェア的、ハードウェア的な部品の交換により変わる場合がある。これを踏まえ、上記構成によれば、画像の記録に係る処理に影響しない所定のタイミングで画像データ生成処理を短時間で実行可能な装置の判別が行われるため、当該判別がより実態に即した判別となる。
【0036】
次いで、別の実施形態について説明する。
図5は、別の実施形態に係る記録システム1の機能的構成を示すブロック図である。
図1と、図5との比較において明らかなように別の実施形態に係る記録システム1では、装置選択部26c、及び、処理能力判別部26dを、プリンター11のプリンター側制御部13が備えている。
この別の実施形態では、予め定められた所定のタイミングで、プリンター側制御部13の処理能力判別部26dが、ホスト側画像データ生成部26bと、プリンター側画像データ生成部13aとのうち、いずれの画像データ生成部のほうがより短時間で画像データ生成処理を実行できるかを、紙片の種類ごとに判別する。また、プリンター11による1の種類の紙片の発行に際し、プリンター側制御部13の装置選択部26cが、当該1の種類の紙片に係る画像データ生成処理をより短時間で実行可能な画像データ生成部を選択的に決定する。
このような構成であっても、紙片の発行に際し、ホスト側画像データ生成部26bと、プリンター側画像データ生成部13aとのうち、より短時間で画像データ生成処理を実行可能な画像データ生成部が、実際に、画像データ生成処理を実行することとなり、記録システム1全体における処理効率の向上を図ることが可能である。
【0037】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、処理能力判別部26dは、紙片の種類ごとに、換言すれば、制御コマンド(画像情報)の種類の組み合わせごとに、画像データ生成処理をより短時間で実行可能な画像データ生成部を判別していたが、制御コマンドの種類ごとに当該判別を行うようにしてもよい。この場合、装置選択部26cは、記録媒体への画像の記録に際し、当該画像の元となるPDLに含まれる制御コマンドの種類に応じて、処理能力判別部26dによる制御コマンドの種類ごとの上記判別の結果を参照して、いずれの画像データ生成部が、当該PDLをより短時間で実行可能かを決定することが可能となる。これにより、装置選択部26cは、紙片の種類にかかわらず、PDLの内容に応じて、適切に上記決定をすることが可能となる。
また例えば、上述した実施形態では、プリンター11は、サーマル式であったが、記録形式はこれに限らず、インクジェットプリンター、ドットインパクトプリンター、レーザープリンター、熱昇華型プリンター等であってもよい。すなわち、本発明は、画像データに基づいて記録媒体に記録する記録装置、当該記録装置を制御する制御装置、当該記録装置と当該制御装置とを備えるシステムに広く適用可能である。
また例えば、本実施形態では、装置選択部26cや、処理能力判別部26dの機能は、プリンタードライバーにより実現されていたが、プリンタードライバーとは独立したプログラムにより実現されていてもよい。
また例えば、図1、図5に示す各機能ブロックはハードウェアとソフトウェアの協働により任意に実現可能であり、特定のハードウェア構成を示唆するものではない。
また例えば、制御部16や、プリンター側制御部13の機能を、装置の外部接続される別の装置に持たせるようにしてもよい。
また例えば、装置の外部の記憶媒体に記憶させたプログラムを実行することにより、図で示した各フローチャートの各ステップを実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…記録システム、10…ホストコンピューター(制御装置)、11…プリンター(記録装置)、13…プリンター側制御部、13a…プリンター側画像データ生成部、26b…ホスト側画像データ生成部、26c…装置選択部、26d…処理能力判別部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて記録媒体に記録する記録装置に接続可能な制御装置であって、
前記記録媒体に記録すべき画像の画像情報に基づいて前記画像データを生成する画像データ生成処理を、テスト用の前記画像情報を用いて、前記記録装置、及び、自身で行ったときの評価に基づいて、前記記録装置と自身とのうち前記画像データ生成処理をより短時間で実行可能な装置を判別する処理能力判別部と、
前記記録装置に1の画像を記録させる際、前記処理能力判別部で判別された装置を、当該1の画像の前記画像データを生成するための前記画像データ生成処理を実行させる装置として決定する装置選択部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記画像情報として、前記画像データ生成処理における処理の内容が異なる複数の種類の前記画像情報があり、
前記処理能力判別部は、
前記画像情報の種類に応じたテスト用の前記画像情報を用いて、前記記録装置、及び、自身で前記画像データ生成処理を行ったときの評価に基づいて、当該種類ごとに、前記記録装置と自身とのうち前記画像データ生成処理をより短時間で実行可能な装置を判別し、
前記装置選択部は、
前記記録装置に1の種類の画像情報に係る1の画像を記録させる際、前記処理能力判別部によって当該1の種類の画像情報に係る前記画像データ生成処理をより短時間で実行可能であると判別された装置を、当該1の画像の前記画像データを生成するための前記画像データ生成処理を実行させる装置として決定することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記記録装置が記録媒体に画像を記録して印刷出力する出力物として、複数の種類の前記出力物があり、前記出力物の種類ごとに、前記出力物に記録される画像の元となる前記画像情報の種類の組み合わせの態様が異なっており、
前記処理能力判別部は、
前記出力物の種類ごとの前記画像情報の組み合わせの態様に応じたテスト用の前記画像情報を用いて、前記記録装置、及び、自身で前記画像データ生成処理を行ったときの評価に基づいて、当該種類ごとに、前記記録装置と自身とのうち前記画像データ生成処理をより短時間で実行可能な装置を判別し、
前記装置選択部は、
前記記録装置に1の画像を記録させて1の種類の前記出力物を印刷出力させる際、前記処理能力判別部によって当該1の種類の前記出力物に係る前記画像データ生成処理をより短時間で実行可能であると判別された装置を、当該1の画像の前記画像データを生成するための前記画像データ生成処理を実行させる装置として決定することを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記処理能力判別部は、
画像の記録に係る処理に影響しない所定のタイミングで、共通のテスト用の前記画像情報を用いて、前記記録装置に前記画像データ生成処理を行わせ、また、自身で前記画像データ生成処理を行い、各処理の評価に基づいて、前記記録装置と自身とのうち前記画像データ生成処理をより短時間で実行可能な装置を判別することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項5】
画像データに基づいて記録媒体に記録する記録装置であって、
前記記録媒体に記録すべき画像の画像情報に基づいて前記画像データを生成する画像データ生成処理を、テスト用の前記画像情報を用いて、自身を制御するための制御装置、及び、自身で行ったときの評価に基づいて、前記制御装置と自身とのうち前記画像データ生成処理をより短時間で実行可能な装置を判別する処理能力判別部と、
前記記録媒体に1の画像を記録する際、前記処理能力判別部によって判別された装置を、当該1の画像の前記画像データを生成するための前記画像データ生成処理を実行させる装置として決定する装置選択部と、
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項6】
画像データに基づいて記録媒体に記録する記録装置に接続可能な制御装置の制御方法であって、
前記記録媒体に記録すべき画像の画像情報に基づいて前記画像データを生成する画像データ生成処理を、テスト用の前記画像情報を用いて、前記記録装置、及び、自身で行ったときの評価に基づいて、前記記録装置と自身とのうち前記画像データ生成処理をより短時間で実行可能な装置を判別し、
前記記録装置に1の画像を記録させる際、前記画像データ生成処理をより短時間で実行可能であると判別した装置に、当該1の画像の前記画像データを生成するための前記画像データ生成処理を実行させる装置として決定することを特徴とする制御装置の制御方法。
【請求項7】
画像データに基づいて記録媒体に記録する記録装置に接続可能な制御装置の各部を制御するための制御部により実行されるプログラムであって、
前記制御部を、
前記記録媒体に記録すべき画像の画像情報に基づいて前記画像データを生成する画像データ生成処理を、テスト用の前記画像情報を用いて、前記記録装置、及び、自身で行ったときの評価に基づいて、前記記録装置と自身とのうち前記画像データ生成処理をより短時間で実行可能な装置を判別する処理能力判別部と、
前記記録装置に1の画像を記録させる際、前記処理能力判別部によって判別された装置に、当該1の画像の前記画像データを生成するための前記画像データ生成処理を実行させる装置として決定する装置選択部と、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−55389(P2013−55389A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190408(P2011−190408)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】