説明

制御装置および建造物

【課題】照明を暗くしても、緊急時や非常時に転倒等の危険が生じないドア用照明制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置30は、ドアの動き量を検出する動き量検出部310と、動き量が予め定められた基準値より大きい場合に、ドアの少なくとも一方の側の空間の照明強度を高める制御部320とを備える。建造物は、ドアの動き量を検出する動き量検出部310、および動き量が予め定められた基準値より大きい場合にドアの少なくとも一方の側の空間の照明強度を高める制御部320を備える制御装置30と、ドアとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置および建造物に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク網に接続され、火事や煙気が発生した場合にこれを感知して所定のデータで変換して送信する通信部を備えたドアが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特表2009−535544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
省エネの観点からは、照明を暗くすることが好ましい。しかし、照明を暗くすると、例えば緊急時や非常時に転倒等の危険が生じてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様における制御装置は、ドアの動き量を検出する動き量検出部と、動き量が予め定められた基準値より大きい場合に、ドアの少なくとも一方の側の空間の照明強度を高める制御部とを備える。
【0005】
本発明の第2の態様における建造物は、ドアの動き量を検出する動き量検出部、および動き量が予め定められた基準値より大きい場合にドアの少なくとも一方の側の空間の照明強度を高める制御部を備える制御装置と、ドアとを備える。
【0006】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一実施形態に係る照明システム100の一例を示す。
【図2】居室側からドア200を見た正面図を示す。
【図3】制御装置30の機能ブロック構成の一例を示す。
【図4】基準値設定部340が記憶しているデータの一例をテーブル形式で示す。
【図5】制御装置30において実行される処理フローの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、一実施形態に係る照明システム100の一例を示す。照明システム100は、建造物の一例としての集合住宅に設けられる。照明システム100は、照明装置10aおよび照明装置10bと、制御装置30と、ドア200と、明るさセンサ150と、撮影装置40と、エレベータ装置50とを備える。
【0010】
ドア200は、複数の居室にそれぞれ設けられ、廊下の空間と居室の空間とを隔てる。照明装置10aは、廊下等の共用部に設けられた照明装置である。照明装置10aは、ドア200の出口の空間を照明するべく設けられる。照明装置10bは、エレベータ装置50への入口の空間を照明するべく設けられる。本実施形態の説明において、照明装置10aおよび照明装置10bを、照明装置10と総称する場合がある。照明装置10の通常時の発光強度は、建築基準法等に準拠した照度になるように調節されている。
【0011】
ドア200は、ノブ210を有する。ドア200が閉扉された状態でノブ210を固定の回転軸まわりに回転させると、ドア200を開扉させることが可能になる。例えば、本図の点線で示す状態にノブ210を回転させると、ドア200を開扉させることが可能になる。ドア200を開扉可能にした状態でドア200が開く方向に力を加えると、ドア200が開扉される。ドア200は、本図の手前側に開くとする。
【0012】
制御装置30は、ドア200の開扉速度を検出して、検出した開扉速度に基づいて、照明装置10aおよび照明装置10bの発光強度を制御する。具体的には、制御装置30は、ドア200の開扉速度が予め定められた基準値より大きい場合に、照明装置10の発光強度を高める。このため、例えば居室にいる人が急いで廊下に出ようとして激しくドア200を開けた場合に、ドア200の出口を明るく照明することができる。このため、急いでいる人でも、ドア200の出口にある障害物に比較的容易に気付くことができる。また、照明装置10の発光強度を高めることで、廊下を通っている人に注意を喚起することができる。また、照明装置10が照明装置10a及び照明装置10bの発光強度を高くすることで、エレベータ装置50に人を誘導することができる。
【0013】
制御装置30には、照明装置10の発光強度を手動で調整するための操作スイッチ160が設けられる。例えば照明装置10の発光強度を高低の2段階で設定できる場合、操作スイッチを用いて発光強度の高低を手動で調節することができる。例えば、照明装置10の発光強度が低に設定されている場合に、操作スイッチ160がオンにされたときには、照明装置10の発光強度を高に設定する。一方、照明装置10の発光強度が高に設定されている場合、操作スイッチ160がオフにされたときには、照明装置10の発光強度を低に設定する。なお、照明装置10の発光強度を低に設定されている場合、建築基準法等に準拠した照度レベルとなる。
【0014】
また、制御装置30は、ドア200の開扉速度に基づいて、エレベータ装置50を制御する。具体的には、制御装置30は、ドア200の開扉速度が予め定められた基準値より大きい場合に、居室が設けられた階にエレベータ籠を移動させるよう、エレベータ装置50に指示を送信する。このため、居室から出た後に速やかに籠に乗ることができる。
【0015】
撮影装置40は、ドア200の周囲を撮影する。例えば、ドア200の前に立った訪問者を撮影することができる位置に設けられてよい。撮影装置40は、魚眼レンズ等の比較的に広視野なレンズを通じて撮影してよい。後述するように、撮影装置40がドア200を撮影することができる場合、制御装置30は、撮影装置40によって撮影された映像を解析して、ドア200の動きを検出してもよい。
【0016】
図2は、居室側からドア200を見た正面図を示す。ドア200は、ドアクローザ13が設けられたドアクローザ付きドアである。本実施形態では、ドア200の上部にドアクローザ13が配設される。
【0017】
ドア200は、ドア枠11に対して本図の左側が回動自在に連結されるとともに、前方に開くようにドア枠11に嵌め込まれる。ドアクローザ13は、ドア200の上部の左側と、ドア枠11の上材とに装着されている。ドアクローザ13本体は、ケーシング16内に設けられる。ドアクローザ13本体は、ドア200の上部において、支点側寄り位置に固着されている。ケーシング16内には、回動自在に設けられた回動軸19が収納されており、回動軸19の上端部は外部に突き出ている。
【0018】
回動軸19は、ケーシング16内に設けられたネジ及び油圧等による減衰装置に連結される。このため、回動軸19の回転が減衰装置により減衰され、ドア200が開閉する動作が減衰される。回動軸19は、開扉方向の作動に伴い、バネを圧縮する。当該バネのバネ荷重により、ドア200の閉扉方向である回動方向に付勢する付勢力が蓄積されるようになっている。
【0019】
回動軸19の上端部には、扉側アーム20の基端が締結されており、扉側アーム20は回動軸19と一体的に回動する。ドア枠11の上材の下面にはブラケット21が締結されており、ブラケット21には固定側アーム22の基端が水平面内で回動自在に連結されている。扉側アーム20の先端と固定側アーム22の先端とは、ピン23により回動自在に連結されている。
【0020】
ドアクローザ13のケーシング16内には、回動軸19の回転を検出するためのセンサ220が設けられる。センサ220は、回転を検出すると、制御装置30に検出値を出力する。例えば、センサ220は、検出値を無線信号で制御装置30に送信してよい。センサ220は、例えば赤外線等の光、電波等を用いた無線通信によって検出値を送信してよい。センサ220は、制御装置30と有線で接続されていてもよい。この場合、検出値を電気信号または光信号で制御装置30に送信してよい。
【0021】
センサ220としては、回動軸19の回動中心まわりの回転角度を検出するポテンショメータを例示することができる。制御装置30は、センサ220によって検出された角度の時間変化に基づき、回動軸19の回転速度を検出することができる。回動軸19の回転速度は、ドア200の開扉速度に対応する。したがって、制御装置30は、ドア200の開扉速度を検出することができる。
【0022】
図3は、制御装置30の機能ブロック構成の一例を示す。制御装置30は、動き量検出部310と、制御部320と、操作側検出部330と、基準値設定部340と、照明指示受付部350と、明るさ判断部360とを備える。
【0023】
動き量検出部310は、ドアの動き量を検出する。特に、動き量検出部310は、ドア200が開かれる方向の動き量を検出する。具体的には、動き量検出部310は、センサ220からの検出値を取得して、検出値に基づいてドア200の動き量を検出する。より具体的には、動き量検出部310は、センサ220によって検出された角度の時間変化に基づき、回動軸19の回転速度を検出する。すなわち、動き量検出部310は、ドア200の開扉速度に対応する回動軸19の回転速度を、ドア200の動き量として検出する。
【0024】
このように、動き量検出部310は、ドア200に設けられたドアクローザ13の可動部の動き速度を、動き量として検出する。回動軸19は、ドアクローザ13の可動部の一例である。しかし、回動軸19に連動して動く部材を、動き検出の対象として適用することができる。例えば、固定側アーム22、扉側アーム20を、動き検出の対象に適用することができる。
【0025】
制御部320は、動き量が予め定められた基準値より大きい場合に、ドア200の少なくとも一方の側の空間の照明強度を高める。具体的には、制御部320は、照明装置10の発光強度を高めることにより、ドア200の少なくとも一方の側の空間の照明強度を高める。ドア200の少なくとも一方の側の空間としては、廊下側の空間を例示することができる。また、制御部320は、ドア200の廊下側の空間から続く予め定められた避難経路の照明強度を高めてよい。具体的には、制御部320は、予め定められた避難経路を照明する照明装置10の発光強度を高めてもよい。
【0026】
操作側検出部330は、ドア200が操作された側を検出する。例えば、操作側検出部330は、ノブ210に対する操作を検出することにより、ドア200が操作された側を検出する。例えば、ノブ210が廊下側および居室側にそれぞれ設けられている場合、居室側のノブ210が操作された場合に、ドア200が居室側から操作された旨を検出することができる。廊下側のノブ210が操作された場合には、ドア200が廊下側から操作された旨を検出することができる。いずれの側のノブ210が操作されたかを検出するためのセンサとして、物体が接触しているか否かを検出する接触センサをノブ210に設けてよい。操作側検出部330は、当該接触センサの検出値に基づき、ドア200が操作された側を検出してよい。
【0027】
また、操作側検出部330は、ドア200が押された方向を検出することにより、ドア200が操作された側を検出してもよい。ドア200が押された方向を検出するためのセンサとして、圧力を検出する圧力センサをドア200に設けてよい。操作側検出部330は、当該圧力センサの検出値に基づき、ドア200が操作された側を検出してよい。
【0028】
また、操作側検出部330は、ドア200に設けられた錠に対する操作を検出することで、ドア200が操作された側を検出してよい。例えば、施錠された錠が居室側から解錠された場合に、ドア200が居室側から操作された旨を検出してよい。
【0029】
また、操作側検出部330は、撮影装置40によって撮影された画像に基づいて、ドア200のいずれの側から操作されたかを検出してもよい。例えば、操作側検出部330は、ドア200の廊下側の空間を撮影した画像から人物が抽出されなかった場合に、ドア200が居室側から操作されている旨を判断してよい。
【0030】
以上のような検出機能により、ドア200を引いて開けるか押して開けるかに関係なく適用できる。制御部320は、操作側検出部330が検出した側とは異なる側の空間の照明強度を高める。例えば、ドア200が居室側から操作された旨が検出された場合、制御部320は廊下側の空間の照明強度を高める。このため、例えば居室側から急いで廊下に出ようとしたときに、ドア200の出口を明るく照明することができるので、安全性を高めることができる。
【0031】
基準値設定部340は、動き量検出部310が過去に検出した動き量の履歴に基づいて、基準値を設定する。例えば、基準値設定部340は、過去に検出された回動軸19の回転速度の履歴に基づいて、回転速度の平均的な値を算出して、当該平均的な値を基準値として設定してよい。平均的な値としては、データを加算平均した平均値を例示することができる。すなわち、基準値設定部340は、動き量検出部310が過去に検出した動き量の平均値に基づいて、基準値を設定してよい。なお、基準値設定部340は、現在により近いタイミングで検出された検出値に対してより大きい重みづけ係数を与えて算出した重みづけ平均値を算出してもよい。平均的な値としては、平均値の他に、最大値と最小値の平均値、ヒストグラムにおいて最多頻度となる値等を例示することができる。
【0032】
照明指示受付部350は、空間を照明する照明装置による照明強度を高めるべき旨の指示を受け付ける。照明指示受付部350は、空間を照明する照明装置による照明強度を低下させるべき旨の指示を受け付ける。例えば、照明指示受付部350の一部として、図1に関連して説明した操作スイッチ160を含ことができる。基準値設定部340は、照明強度を低下させるべき旨の指示を受け付けた場合に、基準値を増加させる。ユーザが操作スイッチ160等を操作して照明強度が低くなるように手動で設定したときは、通常時である可能性が高い。したがって、照明強度が低くなるように設定された場合には基準値を増加させることで、緊急時であるか否かを適切に判断することができる。このため、ユーザがドア200を普段通りに開けたにもかかわらず照明装置10の照明強度が高くなってしまうことを未然に防ぐことができる。これにより、照明装置10が消費するエネルギーを削減することができる。
【0033】
一方、基準値設定部340は、照明強度を高めるべき旨の指示を受け付けた場合には、基準値を低下させてよい。ユーザがドア200を急いで操作したにもかかわらず照明装置10の照明強度が高くならないことは、安全性の観点から好ましくない。ユーザが操作スイッチ160等を操作して照明強度が高くなるように手動で設定したときは、ユーザが急いでいる状況であった可能性が高い。したがって、照明強度が高くなるように設定された場合には基準値を低下させることで、緊急時であることを適切に検出することができる。
【0034】
明るさ判断部360は、空間の明るさが予め定められた値より小さいか否かを判断する。例えば、明るさ判断部360は、明るさセンサ150から検出値を取得して、検出値と予め定められた閾値との比較結果に基づき、明るさが予め定められた値より小さいか否かを判断してよい。制御部320は、空間の明るさが予め定められた値より小さいと判断されたことを条件として、空間の照明強度を高めてよい。例えば昼間の時間帯では十分な明るさが確保されているが、夕方や夜間では十分な明るさが確保されていない場合がある。本制御により、照明装置10によって照明される空間が十分な明るさである場合は照明強度を高くせず、照明装置10によって照明される空間の明るさが不十分である場合にだけ、照明強度を高くすることができる。したがって、エネルギーを無駄に消費してしまうことを未然に防ぐことができる。
【0035】
なお、マイクロコンピュータを、制御装置30として機能させることができる。例えば、制御装置30の各機能ブロックの機能および動作は、MPU等の演算装置、メモリ等の記憶媒体を有するコンピュータによって実装されてよい。例えば、記憶媒体に格納されたプログラムをMPUが読み出して実行し、プログラムに従ってMPUがコンピュータの各部を制御することで、制御装置30として機能させることができる。
【0036】
図4は、基準値設定部340が記憶しているデータの一例をテーブル形式で示す。基準値設定部340は、データ件数と、回動軸19の回転速度の平均値とをメモリ等に記憶する。基準値設定部340は、記憶している平均値を、回転速度の基準値として用いる。
【0037】
ドア200が開扉された場合、基準値設定部340は、動き量検出部310が検出した回転速度と、現在記憶しているデータ件数および平均値とを用いて、回転速度の平均値を新たに算出する。そして、基準値設定部340は、現在記憶している平均値を新たに算出した平均値で更新するとともに、現在記憶しているデータ件数をインクリメントする。制御部320は、次にドア200が開扉された場合に、基準値設定部340が記憶している平均値を用いて、照明装置10の発光強度を高めるか否かを判断する。
【0038】
なお本例では、基準値設定部340が、データ件数および平均値を記憶するとした。しかし、基準値設定部340は、日時情報および回動軸19の回転速度とを、データとして記憶してよい。そして、現在から予め定められた期間だけ前に検出された回転速度を用いて、平均値を算出してもよい。また、基準値設定部340は、予め定められた数の最新のデータだけを用いて、平均値を算出してもよい。
【0039】
このように、基準値設定部340は、過去の履歴に基づいて回転速度の基準値を設定することができる。このため、各居室に適した判断基準を設定することができる。
【0040】
図5は、制御装置30において実行される処理フローの一例を示す。本処理フローは、制御装置30がドア200の開扉を検出した場合に、開始される。制御装置30は、センサ220が検出した回転角度の検出値が変化した場合に、ドア200が開扉したと判断することができる。
【0041】
ステップS502において、動き量検出部310は、回転速度を算出する。続いてステップS504において、制御部320は、基準値設定部340が設定した基準値よりも、ステップS502で算出した回転速度が大きいか否かを判断する。
【0042】
算出した回転速度が基準値よりも大きいと判断された場合、ステップS508において、制御部320は、発光強度を高めるよう照明装置10に指示する。例えば、照明装置10の発光強度を高低2段階で設定できる場合、発光強度を高に設定して照明するよう照明装置10に指示する。
【0043】
続いて、ステップS510において、制御部320は、照明装置10の発光強度を手動で低下させる操作がなされたか否かを判断する。具体的には、操作スイッチ160の操作によって、発光強度が低に設定されたか否かを判断する。発光強度を手動で低下させる操作がなされなかった場合、ステップS512において、制御部320は、予め定められた時間ウェイトする。すなわち、予め定められた時間が経過するまで、照明装置10の発光強度を高めた状態に維持する。
【0044】
予め定められた時間が経過すると、ステップS516において、制御部320は照明装置10の発光強度を低下させる。例えば、発光強度を低に設定して照明するよう照明装置10に指示する。このように、制御部320は、照明強度を高めてから予め定められた時間が経過した場合に、照明強度を低下させる。このため、照明装置10の発光強度を高めたままにする場合と比較して、照明装置10の消費電力を削減することができる。また、人の手を煩わせることなく、必要な時間だけドア200の出口等を明るい状態に保つことができる。
【0045】
なお、ステップS510の判断において、照明装置10の発光強度を手動で低下させる操作がなされた旨が判断された場合、ステップS514において基準値設定部340は基準値を高める。例えば、基準値設定部340は、ステップS502で算出した回転速度以上の値に新たな基準値を設定して、次回の判断に用いる基準値としてメモリ等に記憶してよい。続いて、ステップS516に処理を進めて、制御部320が照明装置10の発光強度を低下させる。
【0046】
ステップS516の処理が完了すると、本処理フローを終了する。
【0047】
また、ステップS504の判断において、算出した回転速度が基準値以下であると判断した場合、制御部320は、照明装置10の発光強度を高めることなく、ステップS518に処理を進めて、照明装置10の発光強度を手動で高める操作がなされたか否かを判断する。具体的には、操作スイッチ160の操作によって、発光強度が高に設定変更されたか否かを判断する。
【0048】
発光強度を手動で高める操作がなされた場合、ステップS520において、基準値設定部340は基準値を低下させる。例えば、基準値設定部340は、ステップS502で算出した回転速度より小さい値に新たな基準値を設定して、次回の判断に用いる基準値としてメモリ等に記憶してよい。続いて、ステップS522に処理を進めて、制御部320が照明装置10の発光強度を高める。ステップS522の処理が完了すると、処理を終了する。
【0049】
また、ステップS518の判断において、照明装置10の発光強度を手動で高める操作がなされなかった旨が判断された場合、基準値等を変更することなく、処理を終了する。
【0050】
なお、ステップS514で基準値を高めた場合、基準値設定部340は履歴をクリアしてよい。例えば、データ件数を1とするとともに、設定した基準値を平均値として記憶してよい。ステップS520において基準値を低下させた場合も同様に、基準値設定部340は履歴をクリアしてよい。
【0051】
なお、以上の説明では、ドア200の一方の側の空間、例えば廊下側の空間の照明強度を制御するとした。しかし、居室側の空間の照明強度を制御してもよい。また、ドア200の両側の照明強度を制御してもよい。すなわち、ドア200の周囲の空間の照明強度を制御してよい。
【0052】
また、以上の説明では、ドア200の上方にドアクローザ13を設けるとした。しかし、ドア200の下方にドアクローザ13を設けてもよい。例えば、ドアクローザ13を床下等に設けてもよい。
【0053】
また、センサ220は、外部から供給される電力を使用して動作してよい。しかし、センサ220は、例えばドアクローザ13の内部等に設けられた電池から供給される電力を使用して動作してよい。なお、ドア200にセンサ220を設ける場合、ドア200の運動エネルギーを電力エネルギーに変換するエネルギー変換部をドア200に設けて、得られた電力をセンサ220に供給してよい。センサ220は、エネルギー変換部から供給された電力を使用して動作してよい。エネルギー変換部は、例えば回動軸19の回転エネルギーを電力エネルギーに変換してよい。また、ノブ210の回転エネルギーを電力エネルギーに変換するエネルギー変換部をドア200に設けて、得られた電力をセンサ220に供給してセンサ220を動作させてもよい。また、エネルギー変換で得られた電力を蓄電する蓄電池をドア200に設け、蓄電池に蓄電された電力をセンサ220に供給してもよい。
【0054】
また、以上の説明において、ドア200の動き量の指標値として、ドアクローザ13の可動部の動きを検出するとした。しかし、検出対象は、ドアクローザ13の可動部に限られない。例えば、ドア200自体の動きを検出してよい。
【0055】
例えば、撮影装置40によって撮影された画像から、ドア200の開扉速度を検出してよい。すなわち、動き量検出部310は、ドア200を撮影する撮影装置40によって撮影された画像に基づいて、動き量を検出してもよい。例えば、撮影装置40によって得られた映像を解析することによって、ドア200の開扉速度を検出してよい。
【0056】
また、ドア200自体の動きを検出するセンサとして、加速度センサを適用することができる。例えば、ドア200に加速度センサを固定して設け、当該加速度センサによる検出値を、動き量として検出してよい。すなわち、動き量検出部310は、ドア200に固定して設けられた加速度センサによって検出された加速度を、動き量として検出してよい。他にも、赤外線等の光を用いてドア200の位置を検出することによって、ドア200の動きを検出してもよい。また、ドア200に磁石を固定して設け、ドア枠11等の固定部に設けた磁気センサで磁力を検出することで、ドア200の動きを検出してもよい。
【0057】
なお、本実施形態において、ドアとは引き戸を含む概念である。引き戸の動き量を検出するセンサとして、引き戸用のレールに沿って赤外線センサまたは磁気センサ等を複数設けてもよい。例えば引き戸の動き量として速度や加速度を検出する場合、各センサの位置、各センサの出力および時刻とに基づいて検出することができる。
【0058】
以上の説明では、集合住宅を例に挙げて、照明システム100の機能および動作を説明した。しかし、照明システム100の適用先は集合住宅に限られない。例えば、照明システム100を発電所に適用すれば、緊急時の避難や、緊急対応が必要な経路の照度を確保することができる。また、照明システム100を事務所等に適用すれば、省エネを目的として室内の照度を落としているときでも、急用で急いでいるときの転倒リスクを低減することができる。また、照明システム100を飲食店等の店舗に適用すれば、例えば店舗から避難する場合等に、店舗内の照度を高めることができる。
【0059】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0060】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0061】
10 照明装置、11ドア枠、13 ドアクローザ、16 ケーシング、19 回動軸、20 扉側アーム、21 ブラケット、22 固定側アーム、23 ピン、30 制御装置、40 撮影装置、50エレベータ装置、100 照明システム、150 センサ、160 操作スイッチ、200 ドア、210 ノブ、220 センサ、310 動き量検出部、320 制御部、330 操作側検出部、340 基準値設定部、350 照明指示受付部、360 判断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの動き量を検出する動き量検出部と、
前記動き量が予め定められた基準値より大きい場合に、前記ドアの少なくとも一方の側の空間の照明強度を高める制御部と
を備える制御装置。
【請求項2】
前記動き量検出部は、前記ドアが開かれる方向の動き量を検出する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記ドアが操作された側を検出する操作側検出部
をさらに備え、
前記制御部は、前記操作側検出部が検出した側とは異なる側の空間の照明強度を高める
請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記動き量検出部が過去に検出した動き量の履歴に基づいて、前記基準値を設定する基準値設定部
をさらに備える請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記基準値設定部は、前記動き量検出部が過去に検出した動き量の平均値に基づいて、前記基準値を設定する
請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記空間を照明する照明装置による照明強度を低下させるべき旨の指示を受け付ける照明指示受付部
をさらに備え、
前記基準値設定部は、前記照明強度を低下させるべき旨の指示を受け付けた場合に、前記基準値を増加させる
請求項4または5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記空間を照明する照明装置による照明強度を高めるべき旨の指示を受け付ける照明指示受付部
をさらに備え、
前記基準値設定部は、前記照明強度を高めるべき旨の指示を受け付けた場合に、前記基準値を低下させる
請求項4から6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記照明強度を高めてから予め定められた時間が経過した場合に、前記照明強度を低下させる
請求項1から7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記空間の明るさが予め定められた値より小さいか否かを判断する明るさ判断部
をさらに備え、
前記制御部は、前記空間の明るさが予め定められた値より小さいと判断されたことを条件として、前記空間の照明強度を高める
請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、予め定められた避難経路を照明する照明装置の発光強度を高めることにより、前記照明強度を高める
請求項1から9のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記動き量検出部は、前記ドアに設けられたドアクローザの可動部の動き速度を、前記動き量として検出する
請求項1から10のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
前記動き量検出部は、前記ドアに固定して設けられた加速度センサによって検出された加速度を、前記動き量として検出する
請求項1から10のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項13】
前記動き量検出部は、前記ドアを撮影する撮影装置によって撮影された画像に基づいて、前記動き量を検出する
請求項1から12のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の制御装置と、
前記ドアと
を備える建造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−199197(P2012−199197A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63984(P2011−63984)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】