説明

制御装置

【課題】投影装置毎に最適な制御方法で制御を行うことができる制御装置を提供する。
【解決手段】RSD(Retinal Scanning Display)5は、制御装置100及び投影装置200を備えている。制御装置100は、投影装置200とケーブル190を介して接続した場合、投影装置200に設けられたEEPROMから識別情報を読み出す。制御装置100は、読みだし他識別情報に基づいて投影装置200を識別し、最適な制御方法を特定する。制御装置100は、特定した制御方法に基づいて投影装置200を制御することで、投影装置200は駆動する。投影装置200の出射装置210からハーブミラー250に向けて、画像光が出力される。ハーブミラー250は、画像光を反射させ、画像光をユーザの瞳孔に導く。これによって、ユーザの網膜に画像が投影される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は制御装置に関する。より詳細には、ユーザの網膜上に画像を投影する投影装置を制御する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの網膜に直接結像させることによって画像をユーザに視認させることができる装置が、網膜走査型表示装置(以下「RSD」(Retinal Scanning Display)という。)として知られている。RSDでは、生成された光が走査ミラーによって二次元方向に走査される。走査された光は、接眼レンズを経て、ハーフミラー等によって反射されて瞳孔に導かれ、網膜上に投影される。ユーザは、網膜上に投影された光を画像として認識することができる。
【0003】
Head Display(以下「投影装置」という。)とSystem Box(以下「制御装置」という。)とを備えたRSDが知られている。投影装置は、走査ミラー、接眼レンズ、及びハーフミラー等を備えている。制御装置は、画像光を生成する生成部、及び、該走査ミラーを駆動するミラー駆動部を備えている。制御装置は、画像光を投影装置に供給し、ミラー駆動部の駆動を制御することで、投影装置を制御する。投影装置は、眼鏡などに直接装着される。投影装置と制御装置とは、光ファイバー及び信号線を介して着脱可能に接続される。
【0004】
一の制御装置が、異なるユーザによって使用される複数の投影装置に接続されて使用される場合がある。制御装置は、投影装置を使用するユーザ毎に最適な制御方法を選択し、投影装置を制御する必要がある。ユーザの眼幅や視力が異なると、投影装置を制御する場合の最適な制御方法も異なるためである。特許文献1には、網膜認証によってユーザを特定することができる装置が記載されている。この技術を応用することで、制御装置は、投影装置を使用するユーザを特定できるので、投影装置を制御する場合の最適な制御方法を選択することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−241822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
投影装置に個体差がある場合、制御装置は、この個体差を補正できる最適な制御方法を用いて投影装置を制御する必要がある。しかしながら上述の制御装置では、投影装置を着用するユーザは特定できるものの、投影装置自体を特定できない。従って、投影装置毎に最適な制御方法で投影装置を制御することができないという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、投影装置毎に最適な制御方法で制御を行うことができる制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る制御装置は、ユーザの網膜上に画像を投影する投影手段を備えた投影装置と接続し、前記投影装置を制御する制御装置であって、前記投影装置を識別する識別情報と、前記投影装置を制御する場合の制御パラメータとを対応付けて記憶する第一記憶手段と、前記投影装置と接続した状態で、前記投影装置が備える第二記憶手段に記憶された前記識別情報を読み出す第一読み出し手段と、前記第一読み出し手段によって読み出された前記識別情報が、前記第一記憶手段に記憶されているか否かを判断する判断手段と、前記判断手段において、前記読み出された識別情報が前記第一記憶手段に記憶されていると判断された場合に、前記第一記憶手段に記憶された前記制御パラメータのうち、前記読み出された識別情報に対応する前記制御パラメータを、対応パラメータとして特定する特定手段と、前記特定手段によって特定された前記対応パラメータに基づいて、前記投影装置に対して供給される画像光の制御、及び、前記投影手段の制御を行うことで、前記投影装置を制御する第一制御手段とを備えている。
【0009】
本発明によれば、制御装置は、投影装置の第二記憶手段に記憶された識別情報を読み出すことで、投影装置を識別できる。これによって、識別した投影装置に最適な制御パラメータを特定できるので、制御装置は、最適な制御方法で投影装置を制御することができる。
【0010】
また、本発明において、前記制御パラメータは、前記ユーザによる認識が不可能な態様で前記画像が前記網膜上に投影されるように前記投影装置を制御する前記制御パラメータである第一パラメータ、及び、前記ユーザによる認識が可能な態様で前記画像が前記網膜上に投影されるように前記投影装置を制御する前記制御パラメータである第二パラメータが含まれており、前記特定手段は、前記読み出された識別情報に対応する前記第一パラメータ又は前記第二パラメータを前記対応パラメータとして特定してもよい。これによって制御装置は、接続される投影装置に応じて、認識可能な画像をユーザに出力するか、認識不可能な画像をユーザに出力するかを切り替えることができる。制御装置は、認識可能な画像の出力の可否を設定することで、セキュリティレベルを投影装置毎に割り当てることができる。制御装置は、セキュリティレベルの低い投影装置を介して、認識可能な画像がユーザに出力されてしまうことを防止できる。
【0011】
また、本発明において、前記第一パラメータ又は前記第二パラメータを受け付ける第一受付手段と、前記第一受付手段によって受け付けられた前記第一パラメータ又は前記第二パラメータを、前記識別情報に対応付けて前記第一記憶手段に記憶する記憶制御手段とを備えていてもよい。これによってユーザは、投影装置毎に割り当てるセキュリティレベルを変更することができる。
【0012】
また、本発明において、前記第一記憶手段には、前記ユーザによる認識が不可能な態様で前記画像が前記網膜上に投影されるように前記投影装置を制御する前記制御パラメータである第三パラメータが記憶されており、前記特定手段は、前記判断手段によって、前記読み出された識別情報が前記第一記憶手段に記憶されていないと判断された場合に、前記第三パラメータを前記対応パラメータとして特定してもよい。これによって制御装置は、登録されていない投影装置を介して、認識可能な画像がユーザに出力されてしまうことを防止できる。これによって制御装置は、不特定のユーザが画像を認識してしまうことを防止できるので、画像の秘匿性を良好に維持できる。
【0013】
また、本発明において、前記ユーザによる認識が可能な態様で前記画像を前記網膜上に投影させるか否かの指示を受け付ける第二受付手段を備え、前記第一記憶手段には、前記ユーザによる認識が可能な態様で前記画像が前記網膜上に投影されるように前記投影装置を制御する前記制御パラメータである第四パラメータが記憶されており、前記特定手段は、前記判断手段によって、前記読み出された識別情報が前記第一記憶手段に記憶されていないと判断された場合であって、且つ、前記第二受付手段によって、前記ユーザによる認識が可能な態様で前記画像を前記網膜上に投影させる旨の指示が入力された場合に、前記第四パラメータを前記対応パラメータとして特定してもよい。これによって制御装置は、登録されていない投影装置が接続された場合であっても、所定の指示を受け付けた場合には、該投影装置を介して、認識可能な画像をユーザに出力することができる。これによって、投影装置の利便性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明において、前記判断手段によって、前記読み出された識別情報が前記第一記憶手段に記憶されていないと判断された場合に、前記ユーザに対する通知を行う所定の第一通知画像が投影されるように前記投影装置を制御する第二制御手段を備えていてもよい。ユーザは、投影された第一通知画像を視認することで、使用中の投影装置が制御装置に登録されていないことを容易に認識することができる。
【0015】
また、本発明において、前記第二記憶手段には、前記識別情報と前記制御パラメータが記憶されており、前記投影装置と接続した状態で、前記第二記憶手段に記憶された前記制御パラメータを読み出す第二読み出し手段を備え、前記特定手段は、前記第二読み出し手段によって前記制御パラメータが読み出された場合、読み出された前記制御パラメータを前記対応パラメータとして特定してもよい。これによって制御装置は、投影装置に制御パラメータが予め記憶されている場合には、該制御パラメータに基づいて投影装置を制御できる。これによって制御装置は、制御パラメータが第一記憶手段に記憶されていない場合でも、最適な制御方法で投影装置を制御できる。
【0016】
また、本発明において、前記第一記憶手段には、ユーザに対する通知を行う第二通知画像が、前記識別情報に対応付けて記憶されており、前記判断手段によって、前記読み出された識別情報が前記第一記憶手段に記憶されていると判断された場合に、前記第一記憶手段に記憶された前記第二通知画像のうち、前記読み出された識別情報に対応する前記第二通知画像が投影されるように前記投影装置を制御する第三制御手段を備えていてもよい。これによって制御装置は、投影装置毎に異なる第二通知画像を投影することができるので、ユーザに固有の第二通知画像を、投影装置を介して出力することができる。
【0017】
また、本発明において、前記制御パラメータは、前記網膜上に投影される前記画像の輝度及び解像度、及び、前記投影手段を制御するためのパラメータのうち少なくとも一つを定めていてもよい。これによって制御装置は、制御パラメータに基づいて投影装置を制御することで、投影される画像の輝度及び解像度を調整することができる。また制御装置は、投影手段を制御する制御パラメータを投影装置毎に定めることで、投影装置自体の個体誤差を補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】RSD5の概要を示す図である。
【図2】RSD5の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】制御テーブル141を示す図である。
【図4】入力処理を示すフローチャートである。
【図5】メイン処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0020】
図1を参照し、RSD5の物理的構成について説明する。RSD5は、網膜走査型表示装置(Retinal Scanning Display)である。RSD5は、投影装置200及び制御装置100を備えている。投影装置200は、ユーザの眼鏡220に装着されて使用される。投影装置200は、ユーザの眼の近傍から瞳孔に向けて光を照射することで、ユーザに画像を視認させることができる。制御装置100は、投影装置200を制御する。投影装置200は、光ファイバー191(図2参照)及び信号線192、193、194、195、及び196(図2参照)が一体となったケーブル190を介して、制御装置100と着脱可能に接続される。
【0021】
投影装置200は、出射装置210、及びハーフミラー250を備えている。出射装置210は、走査ミラーを備えている。走査ミラーは、ユーザに視認させる画像のデータ信号(以下、画像信号という。)に応じて変調されたレーザ光(以下、画像光という。)を走査する。走査された画像光は、出射装置210からハーフミラー250に向けて出力される。ハーフミラー250は、出射装置210から出力された画像光を、ユーザの瞳孔に向かって反射させる。ハーフミラー250は、所定の反射率(例えば50%)を有している。ハーフミラー250は、外界からの外光の一部を透過させてユーザの瞳孔に導く。つまりハーフミラー250は、ユーザの側方から入射した画像光と、外界からの外光とを、ユーザの瞳孔に導く。これによってユーザは、実際の視界と画像光に基づく画像とを視認可能となる。なお、ハーフミラー250はプリズムであってもよい。出射装置210は、眼鏡220と一体となっていてもよい。ハーフミラー250の代わりに、外光を透過しない周知のミラーが使用されてもよい。
【0022】
制御装置100は、画像信号に基づいて画像光を生成する。生成された画像光は、ケーブル190を介して出射装置210に対して出力される。制御装置100は、出射装置210が備える走査ミラーの駆動を、ケーブル190を介して制御する。これによって制御装置100は、出射装置210において実行される画像光の走査を制御する。制御装置100は、PC300(図2参照)と接続するためのコネクタ207を備えている。コネクタ207として、例えばUSB(登録商標)コネクタが挙げられる。ユーザは、PC300を操作することで、PC300と接続した制御装置100に新たな画像データを記憶させることができる。又ユーザは、PC300を操作することで、PC300と接続した制御装置100に記憶された各種パラメータの設定や変更を行うことができる。
【0023】
制御装置100は、ケーブル190を介して投影装置200と接続した場合、投影装置200を識別する識別情報を投影装置200から取得することで、投影装置200を識別する。制御装置100は、識別した投影装置200毎に最適な制御パラメータを選択し、投影装置200を制御する。
【0024】
例えば、投影装置200の出射装置210が備える走査ミラーの個体差が要因で、走査ミラーの動作特性が投影装置200毎に異なる場合がある。このような場合、制御装置100は、投影装置200毎に適切な制御パラメータを決定し、投影装置200を制御することができる。これによって制御装置100は、走査ミラーの個体差を補正できるので、投影装置200を最適な状態で駆動させることができる。
【0025】
加えて、制御装置100は、投影装置200から取得された識別情報が不知であった場合、ユーザによる画像の認識が不可能なように制御パラメータを決定し、投影装置200を制御できる。これによって制御装置100は、不知のユーザに画像が漏洩してしまうことを防止できる。
【0026】
図2を参照して、RSD5を構成する制御装置100及び投影装置200の電気的構成について説明する。制御装置100は、CPU11、ROM12、RAM13、フラッシュメモリ14、及び通信I/F15を備えている。CPU11は、ROM12に記憶された各種プログラムを読み出すことで、後述の各処理を実行する。ROM12には、各種プログラムが記憶される。RAM13には、各処理に必要なデータが一時的に記憶される。フラッシュメモリ14には、画像データ、制御テーブル(図3参照、後述)、及び各種制御パラメータ(第三パラメータ、第四パラメータ等)が記憶される。通信I/F15は、コネクタ207(図1参照)を介して接続したPC300との通信時におけるタイミング制御を行う。
【0027】
制御装置100は、LD(Laser Diode)23及びLD駆動部22を備えている。LD23は、青色出力LD、緑色出力LD、及び赤色出力LDを含んでいる。LD23は、青色、緑色および赤色のレーザ光からなる画像光を、光ファイバー191に出力する。LD駆動部22は、CPU11から受信した画像信号に基づいてLD23を制御し、LD23から画像光を出力させる。制御装置100は、高速スキャナ(Hi-speed Scanner)駆動部(以下「HS駆動部」という。)24、及び、低速スキャナ(Low-speed Scanner)駆動部(以下「LS駆動部」という。)25を備えている。HS駆動部24は、投影装置200が備える高速走査ミラー(以下「HS」という。)32の駆動を、信号線192を介して制御する。具体的には、HS駆動部24は、HS32を所定の周波数で共振揺動させることで、駆動制御を行う。LS駆動部25は、投影装置200が備える低速走査ミラー(以下「LS」という。)34の駆動を、信号線194を介して制御する。具体的には、LS駆動部25は、LS34を鋸波状に非共振で強制駆動させることで、駆動制御を行う。
【0028】
投影装置200は、HS32及びLS34を備えている。HS32は、LD23から出力された画像光を垂直方向に反射させる。HS32は、HS駆動部24の制御によって共振揺動し、所定の周波数で画像光を垂直方向に走査する。LS34は、LD23から出力された画像光を水平方向に反射させる。LS34は、LS駆動部25の制御によって鋸波状に非共振で強制駆動され、所定の周波数で画像光を水平方向に走査する。投影装置200は、レンズ31及び33、接眼レンズ35、及びハーフミラー250を備えている。レンズ31は、光ファイバー191から出力された画像光をHS32に導く。レンズ33は、HS32によって反射した画像光を、LS34に導く。接眼レンズ35は、LS34によって反射した画像光をハーフミラー250に導く。ハーフミラー250は、画像光を瞳孔に導く。
【0029】
なお上述では、HS32が垂直方向に画像光を走査し、LS34が水平方向に画像光を走査しているが、例えば、HS32が水平方向に画像光を走査し、LS34が垂直方向に画像光を走査してもよい。
【0030】
投影装置200は、HS検出部36及びLS検出部37を備えている。HS検出部36は、HS32の駆動状態(共振周波数、振幅、位相など)を検出する。LS検出部37は、LS34の駆動状態を検出する。HS検出部36は、信号線193を介してCPU11と接続している。CPU11は、HS検出部36において検出されたHS32の駆動状態を認識できる。LS検出部37は、信号線195を介してCPU11と接続している。CPU11は、LS検出部37において検出されたLS34の駆動状態を認識できる。
【0031】
投影装置200は、EEPROM38を備えている。EEPROM38には、投影装置200を識別する識別情報(投影装置200のID)が記憶されている。なおEEPROM38には、投影装置200を制御するための制御パラメータが記憶されている場合もある。EEPROM38は、信号線196を介してCPU11と接続している。CPU11は、EEPROM38に記憶された情報を読み出すことができる。
【0032】
図3を参照し、制御装置100のフラッシュメモリ14に記憶された制御テーブルの一例である、制御テーブル141について説明する。制御テーブル141には、投影装置200のID、制御パラメータ、及び通知画像が対応付けられて格納されている。制御パラメータとして、「輝度」「解像度」及び「ミラーパラメータ」が格納されている。輝度は、LD23から出力される画像光の輝度を規定している。解像度及びミラーパラメータは、HS32及びLS34の駆動条件及び監視条件を規定している。例えばミラーパラメータとして、以下の内容が規定される。
・HS32の駆動条件(駆動電圧、駆動周波数、待ち時間等)
・HS32の監視条件(共振周波数、振幅、位相、監視周期、分解能、回数等)
・異常検出設定(振幅閾値等)
・LS34の駆動条件(駆動電流、駆動信号周波数、フィルタ設定等)
・異常検出設定(検出信号閾値、リンギングの振幅と周波数等)
なおリンギングは、LS34を鋸波信号で強制駆動する場合に生じるスキャナ固有の共振によって生じる不要な揺動である。本来の鋸波状の揺動に重畳される形で現れ、本来の画像に輝度むらや縞模様が認識され画質劣化の要因となる。
【0033】
通知画像としては、例えば、眼鏡に投影装置200を取り付ける為の留め具の側方方向の長さを通知する通知画像が用意される。なお制御テーブル141では、IDが1である場合のみ通知画像が格納されており、IDが2及び3の場合には格納されていない。
【0034】
制御パラメータは、以下のいずれかの特性を有している。
(1)ユーザによる認識が不可能な態様で画像がユーザの網膜上に投影されるように、投影装置200を制御する
(2)ユーザによる認識が可能な態様で画像がユーザの網膜上に投影されるように、投影装置200を制御する
【0035】
(1)に相当する制御パラメータとして、例えば、ユーザによる画像の認識が不可能な程度に、輝度を低くし、且つ、解像度を落とした制御パラメータが挙げられる。この制御パラメータが使用されることで、特定の投影装置200を介した画像の出力を規制することができる。以下、制御テーブルに格納された制御パラメータであって(1)に相当する制御パラメータを「第一パラメータ」という。
【0036】
(2)に相当する制御パラメータとして、例えば、投影装置200が備えるHS32及びLS34の個体差を、投影装置200毎に補正できるミラーパラメータを備えた制御パラメータが挙げられる。この制御パラメータが使用されることで、投影装置200を常に最適な状態で駆動させることができる。これによって投影装置200は、常に良好な画像をユーザに対して出力することができる。以下、制御テーブルに格納された制御パラメータであって(2)に相当する制御パラメータを「第二パラメータ」という。
【0037】
制御装置100のフラッシュメモリ14には、制御テーブルの他に、IDが対応付けられていない制御パラメータが記憶されている。この制御パラメータは、投影装置200を識別できなかった場合に適用される制御パラメータである。以下、IDが対応付けられていない制御パラメータであって(1)に相当する制御パラメータを「第三パラメータ」という。IDが対応付けられていない制御パラメータであって(2)に相当する制御パラメータを「第四パラメータ」という。
【0038】
制御装置100は、ID及び制御パラメータを制御テーブルに格納することで、識別可能な投影装置200を登録する。制御装置100は、登録された投影装置200がケーブル190を介して接続された場合、制御テーブルを参照することで、対応する制御パラメータを特定する。制御装置100は、特定された制御パラメータに基づいて、投影装置200を制御する。対応する制御パラメータが第一パラメータであった場合、投影装置200を使用するユーザは、投影される画像を認識できない。対応する制御パラメータが第二パラメータであった場合、投影装置200を使用するユーザは的確に画像を認識できる。このように制御装置100は、所望する投影装置200のユーザに対して画質の良い良好な画像を出力できる。一方、所望しない投影装置200のユーザに対して画像の出力を規制することによって、画像の秘匿性を維持できる。
【0039】
また制御装置100は、登録されていない投影装置200がケーブル190を介して接続された場合、制御装置100に設定されたセキュリティ機能が有効となっているか無効となっているかに応じて、適用する制御パラメータを、第三パラメータと第四パラメータとのいずれかに切り替える。詳細は後述する。
【0040】
図4及び図5を参照し、制御装置100のCPU11において実行される入力処理及びメイン処理のフローチャートについて説明する。入力処理は、コネクタ207(図1参照)にPC300が接続された状態で、ユーザが入力操作をPC300に対して行った場合に、CPU11によって起動され実行される。メイン処理は、ケーブル190を介して制御装置100に投影装置200が接続された場合に、CPU11によって起動され実行される。
【0041】
図4を参照し、入力処理について説明する。はじめに、セキュリティ機能を有効とする旨の入力操作がされたかが判断される(S41)。セキュリティ機能を有効とする旨の入力操作がユーザによってされた場合(S41:YES)、RAM13に記憶された設定フラグがONされる(S43)。処理はS45に進む。セキュリティ機能を有効とする旨の入力操作がされていない場合(S41:NO)、処理はS45に進む。
【0042】
セキュリティ機能を無効とする旨の入力操作がされているかが判断される(S45)。セキュリティ機能を無効とする旨の入力操作がされている場合(S45:YES)、RAM13に記憶された設定フラグがOFFされる(S47)。処理はS49に進む。セキュリティ機能を無効とする旨の入力操作がされていない場合(S45:NO)、処理はS49に進む。
【0043】
識別情報、制御パラメータ(第一パラメータ、第二パラメータ、第三パラメータ、及び第四パラメータ)、及び通知画像の入力操作がされているかが判断される(S49)。これらの情報の入力操作がされた場合(S49:YES)、入力された情報はフラッシュメモリ14に記憶される(S51)。第一パラメータ、第二パラメータ、及び通知画像は、同時に入力された識別情報に対応付けられ、制御テーブルに格納される。なお、既に同一の情報がフラッシュメモリ14に記憶されている場合、同一の情報は、入力された情報によって更新される。入力処理は終了する。このようにユーザは、制御装置100に対して新たに各種情報の設定登録や更新を行うことができる。各種情報の入力操作がされていない場合(S49:NO)、入力処理は終了する。
【0044】
図5を参照し、メイン処理について説明する。信号線196を介して、投影装置200のEEPROM38に記憶された識別情報が読み出される(S11)。EEPROM38に制御パラメータが記憶されている場合、識別情報及び制御パラメータが読み出される(S11)。読み出された識別情報が、制御テーブルに格納されているかが判断される(S13)。読み出された識別情報が、制御テーブルに格納されている場合(S13:YES)、S11で、識別情報と同時に制御パラメータが読み出されたかが判断される(S15)。S11で識別情報のみ読み出されている場合(S15:NO)、制御テーブルから、読み出された識別情報に対応する制御パラメータが抽出される(S17)。抽出された制御パラメータは、投影装置200を制御する場合に使用される制御パラメータ(以下「対応パラメータ」という。)として特定される(S27)。特定された対応パラメータに基づいて、投影装置200が制御される(S29)。具体的には、特定された対応パラメータに含まれる輝度に対応する強度で、画像光が出力される。特定された対応パラメータに含まれる解像度に基づいて、HS駆動部24及びLS駆動部25が制御される。特定された対応パラメータに含まれるミラーパラメータに基づいて、HS駆動部24及びLS駆動部25の制御が補正される。これらによって投影装置200は駆動し、ユーザの網膜上に画像が投影される。処理はS31に進む。
【0045】
S27で特定された対応パラメータが第一パラメータである場合、ユーザは投影された画像を認識できないので、ユーザに対する画像の漏洩を防止することができる。一方、S27で特定された対応パラメータが第二パラメータである場合、投影装置200は最適な状態で駆動するので、ユーザは画像を確実且つ的確に認識できる。
【0046】
S11で識別情報と同時に制御パラメータが読み出されている場合(S15:YES)、読み出された制御パラメータが対応パラメータとして特定される(S27)。特定された対応パラメータに基づいて、投影装置200が制御される(S29)。投影装置200は駆動し、ユーザの網膜上に画像が投影される。処理はS31に進む。これによって制御装置100は、投影装置200のEEPROM38から読み出した制御パラメータを、投影装置200を制御する場合の制御パラメータとして使用することができる。制御装置100は、投影装置200に対応する制御パラメータが予めフラッシュメモリ14の制御テーブルに格納されていない場合でも、最適な制御パラメータを取得できる。さらに、最新の制御パラメータをEEPROM38に記憶させることで、制御テーブルの情報が古くなってしまっている場合でも、制御装置100は、最新の制御パラメータを取得できる。
【0047】
投影装置200のEEPROM38から読み出された識別情報が、制御テーブルに記憶されていない場合(S13:NO)、接続された投影装置200は制御装置100に登録されていないことになる。セキュリティ機能が有効となっているか無効となっているかが判断される(S21)。RAM13に記憶された設定フラグがONされている場合(S21:YES)、セキュリティ機能は有効となっている。この場合、フラッシュメモリ14に記憶された第三パラメータが読み出される(S23)。読み出された第三パラメータが、対応パラメータとして特定される(S27)。特定された対応パラメータに基づいて、投影装置200が制御される(S29)。投影装置200は駆動し、ユーザの網膜上に画像が投影される。処理はS31に進む。
【0048】
第三パラメータに基づいて投影装置200が制御されるので、ユーザは、投影装置200を介して出力される画像を認識することができない。このように制御装置100は、登録されていない投影装置200が接続された場合であって、セキュリティ機能が有効となっている場合、画像がユーザによって認識されてしまうことを防止できる。このように制御装置100は、不特定のユーザに画像を認識させないことで、画像の秘匿性を高めている。
【0049】
一方、RAM13に記憶された設定フラグがOFFされている場合(S21:NO)、セキュリティ機能は無効となっている。この場合、フラッシュメモリ14に記憶された第四パラメータが読み出される(S25)。読み出された第四パラメータが、対応パラメータとして特定される(S27)。特定された対応パラメータに基づいて、投影装置200が制御される(S29)。投影装置200は駆動し、ユーザの網膜上に画像が投影される。処理はS31に進む。
【0050】
第四パラメータに基づいて投影装置200が制御されるので、ユーザは、投影装置200を介して出力される画像を認識することができる。このように制御装置100は、登録されていない投影装置200が接続された場合であっても、セキュリティ機能が無効となっている場合には、ユーザに画像を視認させている。これによって制御装置100は、投影装置200の利便性を良好に維持している。
【0051】
S13で、EEPROM38から読み出された識別情報が制御テーブルに格納されていいないと判断された場合(S31:NO)、投影装置200が制御装置100に登録されていない旨をユーザに通知する通知画像(以下「第一通知画像」という。)をユーザに視認させるために、出力中の画像に、第一通知画像が重ねられる。第一通知画像が重ねられた状態の画像が、投影装置200によってユーザの網膜上に投影されるように、投影装置200が制御される(S33)。ユーザは、第一通知画像を認識することで、使用中の投影装置200が制御装置100に登録されていないことを容易に認識することができる。S33の後、メイン処理は終了する。一方、S13で、EEPROM38から読み出された識別情報が制御テーブルに記憶されていると判断された場合(S31:YES)、処理はS35に進む。
【0052】
S11でEEPROM38から読み出された識別情報に対応する通知画像(以下「第二通知画像」という。)が、制御テーブルに格納されているかが判断される(S35)。第二通知画像が制御テーブルに格納されている場合(S35:YES)、第二通知画像をユーザに視認させるために、出力中の画像に、第二通知画像が重ねられる。第二通知画像が重ねられた状態の画像が、投影装置200によってユーザの網膜に投影されるように、投影装置200が制御される(S37)。これによって制御装置100は、投影装置200毎に異なる画像をユーザに視認させることができる。例えば第二通知画像として、眼鏡に投影装置200を取り付ける為の留め具の側方方向の長さを通知する画像が用意されていた場合、ユーザは第二通知画像を視認することで、留め具の側方方向の長さを最適な状態に調整することができる。メイン処理は終了する。一方、第二通知画像が制御テーブルに格納されていない場合(S35:NO)、メイン処理は終了する。
【0053】
以上説明したように、制御装置100は、投影装置200のEEPROM38に記憶された識別情報を読み出すことで、投影装置200を識別できる。これによって、投影装置200に最適な制御パラメータを対応パラメータとして特定できるので、制御装置100は、最適な制御方法で投影装置200を制御することができる。また制御装置100は、所望する投影装置200を介してのみ、認識可能な画像をユーザに出力させることができる。これによって、画像の秘匿性を高めることができる。
【0054】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上述の実施形態では、投影装置200は網膜走査方式によってユーザの網膜に画像を投影することで、ユーザに画像を視認させていたが、本発明はこれに限定されない。投影装置200は他の方式でユーザに画像を視認させてもよい。
【0055】
上述の実施形態では、第二通知画像は制御装置100のフラッシュメモリ14の制御テーブルに格納されていた。本発明はこれに限定されない。第二通知画像は、投影装置200のEEPROM38に記憶されていてもよい。制御装置100は、図4のS11でEEPROM38から第二通知画像を読み出した場合に、表示中の画像に読み出した第二通知画像を重ねてもよい。
【0056】
上述の実施形態では、EEPROM38に識別情報が記憶されていたが、本発明はこれに限定されない。EEPROM38の代替として、フラッシュメモリ等の他の不揮発性メモリが使用されてもよい。識別情報は、該不揮発性メモリに記憶されてもよい。
【0057】
上述の実施形態では、制御装置100は表示部(LEDなど)を備えていてもよい。制御装置100は、接続された投影装置200のIDが制御テーブルに記憶されていない場合、投影装置200を介して第一通知画像をユーザに出力する代わりに、表示部を介してユーザに通知してもよい。
【0058】
なお、投影装置200のHS32及びLS34が本発明の「投影手段」に相当する。制御テーブルを記憶する図2のフラッシュメモリ14が本発明の「第一記憶手段」に相当する。図5のS11の処理を行うCPU11が本発明の「第一読み出し手段」「第二読み出し手段」に相当し、S13の処理を行うCPU11が本発明の「判断手段」に相当し、S27の処理を行うCPU11が本発明の「特定手段」に相当し、S29の処理を行うCPU11が本発明の「第一制御手段」に相当し、S33の処理を行うCPU11が本発明の「第二制御手段」に相当し、S37の処理を行うCPU11が本発明の「第三制御手段」に相当する。図4のS45の処理を行うCPU11が本発明の「第二受付手段」に相当し、S49の処理を行うCPU11が本発明の「第一受付手段」に相当し、S51の処理を行うCPU11が本発明の「記憶制御手段」に相当する。
【符号の説明】
【0059】
11 CPU
14 フラッシュメモリ
38 EEPROM
100 制御装置
141 制御テーブル
190 ケーブル
200 投影装置
32 HS
34 LS

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの網膜上に画像を投影する投影手段を備えた投影装置と接続し、前記投影装置を制御する制御装置であって、
前記投影装置を識別する識別情報と、前記投影装置を制御する場合の制御パラメータとを対応付けて記憶する第一記憶手段と、
前記投影装置と接続した状態で、前記投影装置が備える第二記憶手段に記憶された前記識別情報を読み出す第一読み出し手段と、
前記第一読み出し手段によって読み出された前記識別情報が、前記第一記憶手段に記憶されているか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段において、前記読み出された識別情報が前記第一記憶手段に記憶されていると判断された場合に、前記第一記憶手段に記憶された前記制御パラメータのうち、前記読み出された識別情報に対応する前記制御パラメータを、対応パラメータとして特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された前記対応パラメータに基づいて、前記投影装置に対して供給される画像光の制御、及び、前記投影手段の制御を行うことで、前記投影装置を制御する第一制御手段と
を備えたことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記制御パラメータは、前記ユーザによる認識が不可能な態様で前記画像が前記網膜上に投影されるように前記投影装置を制御する前記制御パラメータである第一パラメータ、及び、前記ユーザによる認識が可能な態様で前記画像が前記網膜上に投影されるように前記投影装置を制御する前記制御パラメータである第二パラメータが含まれており、
前記特定手段は、
前記読み出された識別情報に対応する前記第一パラメータ又は前記第二パラメータを前記対応パラメータとして特定することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第一パラメータ又は前記第二パラメータを受け付ける第一受付手段と、
前記第一受付手段によって受け付けられた前記第一パラメータ又は前記第二パラメータを、前記識別情報に対応付けて前記第一記憶手段に記憶する記憶制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第一記憶手段には、前記ユーザによる認識が不可能な態様で前記画像が前記網膜上に投影されるように前記投影装置を制御する前記制御パラメータである第三パラメータが記憶されており、
前記特定手段は、
前記判断手段によって、前記読み出された識別情報が前記第一記憶手段に記憶されていないと判断された場合に、前記第三パラメータを前記対応パラメータとして特定することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記ユーザによる認識が可能な態様で前記画像を前記網膜上に投影させるか否かの指示を受け付ける第二受付手段を備え、
前記第一記憶手段には、前記ユーザによる認識が可能な態様で前記画像が前記網膜上に投影されるように前記投影装置を制御する前記制御パラメータである第四パラメータが記憶されており、
前記特定手段は、
前記判断手段によって、前記読み出された識別情報が前記第一記憶手段に記憶されていないと判断された場合であって、且つ、前記第二受付手段によって、前記ユーザによる認識が可能な態様で前記画像を前記網膜上に投影させる旨の指示が入力された場合に、前記第四パラメータを前記対応パラメータとして特定することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記判断手段によって、前記読み出された識別情報が前記第一記憶手段に記憶されていないと判断された場合に、前記ユーザに対する通知を行う所定の第一通知画像が投影されるように前記投影装置を制御する第二制御手段を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の制御装置。
【請求項7】
前記第二記憶手段には、前記識別情報と前記制御パラメータが記憶されており、
前記投影装置と接続した状態で、前記第二記憶手段に記憶された前記制御パラメータを読み出す第二読み出し手段を備え、
前記特定手段は、
前記第二読み出し手段によって前記制御パラメータが読み出された場合、読み出された前記制御パラメータを前記対応パラメータとして特定することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記第一記憶手段には、ユーザに対する通知を行う第二通知画像が、前記識別情報に対応付けて記憶されており、
前記判断手段によって、前記読み出された識別情報が前記第一記憶手段に記憶されていると判断された場合に、前記第一記憶手段に記憶された前記第二通知画像のうち、前記読み出された識別情報に対応する前記第二通知画像が投影されるように前記投影装置を制御する第三制御手段を備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御パラメータは、
前記網膜上に投影される前記画像の輝度及び解像度、及び、前記投影手段を制御するためのパラメータのうち少なくとも一つを定めていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate