説明

制御駆動装置

駆動部品(9)と、制御・監視用電子機器(10)と、制御駆動装置(8)の動作状態を検出するためのセンサー機器(11,12)とを備えた、ビン、缶等の容器(2)を処理する設備又は機械で使用するための制御駆動装置(8)において、制御・監視用電子機器(10)が、少なくとも一つのメモリ(17)を有し、そのメモリに、制御駆動装置が動作している間、センサー機器によって検出された動作パラメータと場合によっては起こり得る故障又は障害との中の一つ以上を絶えず保存するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念にもとづく制御駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
垂直な機械軸の周りを回転して駆動可能なローターの周囲に、多数の処理ポジションが構成された、詳しく言うとそれぞれ皿形状の容器ホルダーが配備された、ビン、缶等の容器を処理する設備又は機械が周知である(特許文献1)。容器ホルダー上において、容器は、その容器の底で立つとともに、その容器の軸を垂直方向に向けて配置されており、回転するローターによって、処理ステーションを通過するように動かされる、例えば、機械がラベル貼り機械として構成されている場合にはラベル貼りユニットを通過するように動かされる。
【0003】
容器ホルダーは、容器を各処理(例えば、ラベル貼り)に必要な方向に向けるために、制御駆動装置によって制御される形で容器ホルダーの軸の周りを回転することが可能となっている。その場合、各制御駆動装置は、電気モーター式駆動部と、制御用電子機器と、電気モーター式駆動部及びそのため容器ホルダーの角度位置又はその時々の回転角度を測定するための少なくとも一つのセンサーと共に、全ての機能を実行することが可能な一つのモジュール構造ユニットを構成しており、そのユニットは、交換可能な形でローターの所に配備されるとともに、特に、一部がローター内に形成された外部バスシステムを介して制御コマンドが伝送されるように、機械を制御する中央計算機と接続されている。
【0004】
そのような制御駆動装置のモジュール構造によって、特に、故障した制御駆動装置を正常に動作する制御駆動装置と交換して、場合によっては機械の外で、例えば、機械の使用企業と異なる特定企業又は修理企業において故障した制御駆動装置の修理を行うことができる能力が得られる。その場合、多くのケースにおいて、特に、機械から制御駆動装置を取り外した後では、もはや故障又は障害の原因を追究することができず、先ずは非常に負担のかかる故障診断で原因を検出しなければならないことが欠点である。
【特許文献1】ドイツ特許公開第10034907号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、そのような欠点を防止した制御駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために、本発明による制御駆動装置は、請求項1に記載された通り構成される。
【0007】
本発明による制御駆動装置は、例えば、一般的な容器ホルダー用制御駆動装置として適しており、例えば、容器がその底で立つ形で配置された皿形状の容器ホルダーか、さもなければ容器が吊り下げられた形で保持された容器ホルダーのための制御駆動装置として、詳しく言うと容器を各処理、例えば、ラベル貼りのための方向に向けるのに適している。しかし、本発明による制御駆動装置は、ビン、缶等の容器を処理する機械又は設備における、それ以外の機能のために使用することもできる。
【0008】
本発明による制御駆動装置の特別な利点は、例えば、制御駆動装置の制御・監視用電子機器がその時々に測定又は検出された(実際値としての)動作パラメータをその動作パラメータの所定の目標値と比較することによって算出した、その時々の動作パラメータと故障データ又は故障メッセージとを、例えば、フラッシュメモリとして構成されたメモリに絶えず、即ち、順次続く短時間の時間間隔で保存することである。この場合、動作パラメータと故障データ又は故障メッセージとの保存は、その時々の日付とその時々の時刻と共に、有利には、ログ形式で行われる。
【0009】
この場合、故障を検出するために用いられる目標値は、そのような目標値が生産に依存したもの、即ち、例えば、その時々に処理する容器、処理の種類等に依存したものである場合に、例えば、制御・調整用電子機器内に保存又は記録されるか、或いは保存又は記録されたものである、即ち、例えば、固定的に記録されるか、或いは記録されたものであり、作業開始時に、外部バスシステムを介して、機械の中央制御ユニット又は中央計算機から制御駆動装置の制御・調整用電子機器のメモリに読み込まれる。
【0010】
そして、発生した故障又は目標値からの偏差は、例えば、外部バスシステムを介して機械の中央計算機に供給される。制御駆動装置に個々に保存された動作パラメータと故障データ又は故障メッセージとの中の一つ以上を用いて、例えば、故障診断が、外部バスシステムを介して、機械が動作している場合でも実行可能となり、その結果例えば、長距離データ伝送(例えば、インターネット)を介して、例えば、保存又はログとして記録しておいた動作パラメータと故障データを制御駆動装置の障害又は故障の除去を専門とする企業、例えば、機械の製造業者と付属の制御駆動装置の製造業者との中の一つ以上に伝送することによって、制御制御駆動装置をそのまま機械に取り付けた状態で、制御駆動装置の障害又は故障の除去を試みることができる。
【0011】
修理には、当該の制御駆動装置の交換が必要な場合、修理企業において、保存しておいた動作パラメータと故障データ又は故障メッセージとの中の一つ以上を読み取ることによって、速くて容易な故障診断及び修理が実行可能となる。
【0012】
本発明による制御駆動装置も、全ての機能を実行することが可能であり、その機能のためには、電源供給部と、外部制御配線、例えば、外部バスシステムとの接続だけが必要であるモジュールユニットとして構成される。
【0013】
改善構成は、従属請求項に記載されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下において、本発明を図面にもとづく実施例により詳しく説明する。
【0015】
図面において符号1で共通的に表示した機械は、ビン、缶等の容器2を処理する役割を果たし、容器は、機械1に対して、コンベヤ3を介して、コンベヤ4によって構成される容器取入部に供給されて、処理後コンベヤ5によって構成される容器取出部を介してコンベヤ3に搬出される。
【0016】
例えば、容器2のラベル貼りと印刷との中の一つ以上の役割を果たす機械1は、垂直な機械軸の周りを回転して駆動されるローター6の周囲に、特に、それぞれ一つの容器ホルダー7で構成された多数の処理ポジションを有し、各容器2は、容器取入部4において一つずつ処理ポジションに引き渡されて、処理ポジション上において、容器2が、その底で立つとともに、容器の軸を垂直方向に向けて、回転するローター6によって、図示されていない処理ステーションを通過するように動かされる。
【0017】
容器ホルダー7は、特に、例えば、印刷とラベル貼りとの中の一つ以上の際に容器2の向きを調整するために、垂直な機械軸に対して平行な容器の軸の周りを制御されながら回転することが可能となっており、その結果容器ホルダー7の回転によって、各容器2をそれぞれ必要な方向に向けることができる。
【0018】
各容器ホルダー7は、制御駆動装置又はモジュール8、即ち、全ての機能を実行することが可能である、ローター6の所で交換可能な構造ユニットの一部であり、そのユニットは、各容器ホルダー7を出力シャフト上に載せた電気モーター式駆動部9(例えば、変速機を備えた電気サーボモーター)に追加して、各容器ホルダー7の制御及び機能の監視に必要な部品、即ち、分けても、
・特に、電気モーター式駆動部9の調節、特に、容器ホルダー7のその時々の回転位置とその時々の回転角度との中の一つ以上の制御及び、特に、モジュール8の動作状態と動作パラメータの連続的な監視と故障又は障害が発生した場合の故障データ又は故障メッセージの発生と保存のための制御・監視用電子機器10と、
・特に、電気モーター式駆動部9とそのため容器ホルダー7の回転位置と回転角度との中の一つ以上を検出するための少なくとも一つのセンサーを備えたセンサー機器11と、
・例えば、電気モーター式駆動部9の温度などの更に別の動作パラメータを測定するためのセンサー機器12(そのために、センサー機器12は、例えば、この駆動部の重要な領域に分散して配置された複数の温度センサーを有する)と、
・例えば、電気モーター式駆動部9等の電流と電圧との中の一つ以上の異なる電気的な動作パラメータを測定するための測定機器13と、
を備えている。
【0019】
更に、モジュール8は、両方向データ伝送、特に、制御コマンドと、例えば、故障メッセージや制御コマンドの確認などのその他のデータとの伝送のために、少なくとも一部がローター6の所に形成された外部バスシステムを介して、機械1を制御する中央計算機15とモジュール8を接続するためのインタフェース14を有する。モジュール8は、インタフェース14とそれに対応する端子に追加して、モジュール8への動作電圧の供給を行うための、有利には、多極式の少なくとも一つの端子を有する。
【0020】
モジュール8の特徴は、そのモジュール又はそのモジュールの制御・調節用電子機器10が、例えば、複数のメモリユニットから構成されるメモリ17を備えており、そのメモリには、少なくとも全ての重要な動作データ又は動作パラメータと故障データ又は故障メッセージとしての場合によっては起こり得る障害、例えば、バスシステムの領域での障害、電気モーター式駆動部9又は容器ホルダー7の角度位置と回転角度との中の一つ以上の所定の各目標値からの偏差、許容されない温度、電流の上昇とそれによる電気モーター式駆動部9の回転トルクの上昇等が絶えず保存される、或いはログとして記録されることである、詳しく言うと特に、外部バスシステムを介して伝送される更に別のデータ、例えば、時刻、日付、処理する容器の種類等と共に絶えず保存される、或いはログとして記録されることである。
【0021】
ローター6の周囲の各モジュール8の位置を規定するために、例えば、同じく制御・監視用電子機器10のメモリ17に保存された、ローター6上の各位置を規定するコードを読み取るためのユニット18、例えば、読取ユニットを各モジュール8に配備することも可能である。制御・監視用電子機器10がマイクロプロセッサによって構成される場合、所要のプログラムもメモリ17に保存される。
【0022】
動作パラメータと故障データ又は故障メッセージの保存は、その時々に、詳しく言うとメモリ17又はそこに準備されたメモリスペース内の当該のデータを所定の短い間隔で絶えず読み取って、最大メモリ容量に達した場合に、それぞれ最も古いデータを消去して、更に別の、特に、より新しい最新のデータに対するメモリスペースを確保するような形で行われる。
【0023】
更に、制御・監視用電子機器10は、重大な故障又は障害時と一定の故障が頻繁に発生した場合との中の一つ以上において、外部バスシステムを介して故障メッセージを中央計算機15に送信して、その結果所望の故障診断と場合によっては有り得る故障したモジュール8の所望の交換とを行うことが可能なように構成されている。
【0024】
メモリ17に保存された情報を用いて、特に、機械の外でメモリ17を読み取ることによって機械から取り外したモジュール8を故障に関して解析して、必要な場合には修理することも可能である。しかし、更に、機械1が動作している間に、故障診断のためにモジュール8を取り外すこと無く個々に、外部バスシステムを介してモジュール8のその時々の故障用メモリ17を読み取って、引き続き機械が動作した状態で、或いは後で機械を停止させた状態で発生した故障の原因を追究するか、或いは当該のモジュール8を交換して修理を実行する能力も得られる。
【0025】
前述した通り、本発明を実施例により説明した。本発明がベースとする技術思想から逸脱すること無く、多くの変更及び変化形態が可能であることは明らかである。
【0026】
前述した通り、モジュール8がそれぞれ一つの皿形状の容器ホルダー7を制御して動かす役割を果たすことを出発点としている。当然のことながら、駆動用のモジュール8は、容器2を処理するための機械又は設備の別の部品を制御して動かす役割も果たすことができ、例えば、容器が吊り下げられた形で保持された容器ホルダーを制御して動かす役割も果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】多数の処理ポジションがローターの周囲に構成された、ビン、缶等の容器を処理するための巡回構造形式の機械の簡略化した平面図
【図2】作業ステーションの交換可能な駆動モジュールの簡略化した図
【符号の説明】
【0028】
1 機械
2 容器
3 コンベヤ
4 容器取入部又は取入用回転バー
5 容器取出部又は取出用回転バー
6 ローター
7 容器ホルダー
8 モジュール
9 電気モーター式駆動部
10 制御・監視用電子機器
11,12 センサー機器
13 測定機器
14 インタフェース
15 機械1を制御するための中央計算機
16 電流又は電圧を供給するための多極式端子
17 故障及び動作パラメータを保存するためのメモリ
18 読取ユニット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部品(9)、有利には、電気モーター式駆動部と、制御・監視用電子機器(10)と、制御駆動装置(8)の動作状態又は動作パラメータを検出するためのセンサー機器(11,12)とを備えた、ビン、缶等の容器(2)を処理する設備又は機械で使用するための制御駆動装置において、
制御・監視用電子機器(10)が、少なくとも一つのメモリ(17)を有し、そのメモリに、制御駆動装置(8)が動作している間、センサー機器によって検出された動作パラメータと場合によっては起こり得る故障又は障害との中の一つ以上を故障データと故障メッセージとの中の一つ以上として絶えず保存することを特徴とする制御駆動装置。
【請求項2】
メモリ(17)又は動作パラメータと場合によっては起こり得る故障との中の一つ以上のために配備されたメモリスペースは、その容量の限界に達した場合に、それぞれ最も古いデータを消去して、新しいデータを保存するためのスペースを確保するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の制御駆動装置。
【請求項3】
当該の動作パラメータと故障データ又は故障メッセージとの中の一つ以上が、それぞれ日付と時刻との中の一つ以上と共にメモリ(17)に保存されることを特徴とする請求項1又は2に記載の制御駆動装置。
【請求項4】
センサー機器(11,12)によって検出されてメモリ(17)に保存される動作パラメータが、モーター式駆動部の温度と、制御位置と、制御ストロークと、回転トルクとの中の一つ以上であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載の制御駆動装置。
【請求項5】
許容されない温度と、モーター式駆動部の制御位置、制御ストローク及び回転トルクの中の一つ以上の所定の目標値又は閾値からの許容されない偏差とが、故障データとしてメモリに保存されることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載の制御駆動装置。
【請求項6】
当該のセンサー機器が、温度センサー(12)と、モーター式駆動部の位置を検出する位置センサー(11)又はモーター式駆動部の制御ストロークを検出するストロークセンサー(11)と、回転トルクセンサーとの中の一つ以上を少なくとも一つ有することを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の制御駆動装置。
【請求項7】
電気モーター式駆動部(10)が使用される場合、当該の回転トルクを測定するセンサー機器が、モーターの電流を検出する測定機器(13)を有することを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の制御駆動装置。
【請求項8】
制御・監視用電子機器(10)が、外部バスシステムを介したデータ交換、特に、両方向データ交換用に構成されていることを特徴とする請求項1から7までのいずれか一つに記載の制御駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−538593(P2009−538593A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511394(P2009−511394)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004505
【国際公開番号】WO2007/137728
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(598125028)カーハーエス・アクチエンゲゼルシヤフト (125)
【Fターム(参考)】