説明

制振壁パネルの製造装置

【課題】搬送時に制振装置に作用する振動及び衝撃を十分に抑制しつつ、制振装置を第1の作業台上から第2の作業台上へ円滑に搬送でき、かつ制振壁パネルを効率的に製造する。
【解決手段】パネル製造ラインでは、移動台車120を搬送方向Fに沿って内側ロール列140の先端側の一部が一対の中間ロール列156の間に挿入される受渡位置と、内側ロール列140が一対の中間ロール列156から離間する受入位置との間で移動可能とされている。これにより、制振装置12が載置された移動台車120を受渡位置まで移動させれば、制振装置12を一対の外側ロール列126、内側ロール列140及び中間ロール列156を用いて移動台車120上から第1組付作業台150上まで円滑に移動させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁体の一部として建物等に組み込まれる制振壁パネルを製造する際に用いられる制振壁パネルの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の制振機構の一例として、特許文献1に記載のものが知られている。この特許文献1に記載の制振機構は、所謂「制振壁パネル」と言われるものであり、建物における外壁等の壁体の一部として用いられる。この制振壁パネルは、建築用の壁パネルの中央部分に矩形状の開口部を形成し、この開口部の内側に制振装置を取り付けて構成されている。この制振装置は、一対の横フレーム部材部材と、この横フレーム部材部材よりも長尺とされた一対の縦フレーム部材部材とを備えており、これらの横フレーム部材部材及び縦フレーム部材部材が略長方形の枠体状のフレーム体として組み立てられている。フレーム体の内側には、一対の支持部を介して縦フレーム部材部材により揺動可能に支持された振り子部材と、一対の横フレーム部材部材の内側にそれぞれ固定され、前記振り子部材の上端部及び下端部にそれぞれ連結された一対の制振ゴムとが設けられている。
【0003】
特許文献1記載の制振壁パネルでは、地震等の震動によってフレーム体に変形が生じると、フレーム体の変形に伴って一対の支持部が変位することに従って、振り子部材が一対の支持部を中心として振り子のように振れる。このとき、この振り子部材の上端部及び下端部では振れが増幅される。これにより、振り子部材の上端部及び下端部にそれぞれ連結された制振ゴムに大きな変形を生じさせることができるので、フレーム体(建物)に生じた変形が小さいものであっても制振機能を効率的に働かせることができる。
【0004】
ところで、上記のような制振壁パネルは、例えば、予め工場等で製造しておき、他の工場で製造される木質パネル工法によって建築する建物の構成部品の一部として使用され、又は建築済みの建物をリフォーム(耐震構造化)する際に、その建物に組み付けられている壁パネルの交換部品として使用される。
上記のような制振壁パネルを工場で製造する際には、当初、1台の作業台上に制振装置を構成する複数の部品(装置部品)を用意しておき、この装置部品を作業台上で組み立て制振装置として完成させた後に、この制振装置をローラコンベア等により他の作業台上へ搬送し、この他の作業台上にて制振装置の外周側に壁パネル部品の構成部品(パネル部品)を組み付けて制振壁パネルを製造していた。
【特許文献1】特開2006−152788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような製造方法は、多量の制振壁パネルを効率的に製造するには不適当なものであり、また制振装置については、極めて高い寸法精度が要求されることから、組立完了した制振装置を従来のローラコンベア等により搬送すると、搬送時の振動、ローラコンベア間の継目で生じる衝撃等により制振装置に歪みが生じ、寸法精度が低下してしまうことがあった。そして、このような理由により制振装置の寸法精度が規格値から外れると、制振装置に対する手直し作業が必要となり、制振壁パネルの生産性を低下させる要因となる。
本発明の目的は、上記事実を考慮し、搬送時に制振装置に作用する振動及び衝撃を十分に抑制しつつ、制振装置を第1の作業台上から第2の作業台上へ円滑に搬送でき、かつ制振壁パネルを効率的に製造できる制振壁パネルの製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る制振壁パネルの製造装置は、略矩形フレーム状の制振装置の外周側に壁パネル部品を枠状に組み付けて、制振機能を有する制振壁パネルを製造する際に用いられる制振壁パネルの製造装置であって、前記制振装置が上面側に載置される第1の作業台と、前記制振装置の外周側に前記壁パネル部品を組み付ける組付け作業が行われる第2の作業台と、前記第1の作業台の上面側における、前記制振装置の幅方向両端部にそれぞれ対応する部位に配置され、前記幅方向に直交する搬送方向に沿って配列された複数個のロール部材を具備する外側ロール列と、前記第1の作業台の上面側における、一対の前記外側ロール列の間に配置され、前記搬送方向に沿って配列された複数個のロール部材を具備すると共に、先端側の一部が前記搬送方向に沿って前記第2の作業台側へ延出した内側ロール列と、前記第2の作業台の上面側における、前記幅方向に沿って一方の前記外側ロール列と前記内側ロール列との間及び、他方の前記外側ロール列と前記内側ロール列との間にそれぞれ配置され、前記搬送方向に沿って配列された複数個のロール部材を具備する中間ロール列と、前記第1の作業台を、前記搬送方向に沿って前記内側ロール列の先端側の一部が一対の前記中間ロール列の間に挿入される受渡位置と、前記内側ロール列が一対の前記中間ロール列から離間する離間位置との間で相対的に移動可能とした作業台移動手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
上記請求項1に係る制振壁パネルの製造装置では、作業台移動手段が所定の受渡位置と離間位置との間で移動可能としたことにより、離間位置にある第1の作業台上で、装置構成部品を制振装置に組み立てた後、第1の作業台を受渡位置まで移動させれば、第1の作業台上では、制振装置を一対の外側ロール列を用いて第2の作業台側へ移動させることができる。
【0008】
また制振装置を、第1の作業台と第2の作業台との間(継目)を跨いで第1の作業台上又は第2の作業台上を移動させる際には、先ず、制振装置を一対の外側ロール列及び内側ロール列を用いて移動させ、次いで、制振装置の後端が外側ロール列を通過した後は、この制振装置を内側ロール列及び中間ロール列を用いて第2の作業台側へ移動させることができる。
このとき、第1の作業台上では、一対の外側ロール列が幅方向に沿って制振装置の両端部にそれぞれ対応する部位に配置されていることから、制振装置の両端部をそれぞれ一対の外側ロール列により下側から支持しつつ、制振装置を円滑に第2の作業台側へ搬送できる。
【0009】
また、第1の作業台が受渡位置にある状態では、内側ロール列の先端側の一部が一対の中間ロール列の間に挿入されることから、制振装置が第1の作業台と第2の作業台との継目を跨って搬送される際には、先ず、制振装置先端部の中央側を内側ロール列により下側から支持すると共に、制振装置両端部の後端側をそれぞれ一対の外側ロール列により下側から支持しつつ、制振装置を一対の外側ロール列及び内側ロール列により第2の作業台側へ円滑に搬送できる。
【0010】
次いで、制振装置後端部が内側ロール列上を通過する際には、制振装置後端部の中央側を内側ロール列により下側から支持すると共に、制振装置の先端側を一対の中間ロール列により下側から支持しつつ、制振装置を内側ロール列及び一対の中間ロール列により第2の作業台上へ円滑に搬送できる。
従って、制振装置が第1の作業台と第2の作業台との継目上を通過する際には、制振装置が一対の外側ロール列及び内側ロール列又は、内側ロール列及び中間ロール列により支持されるので、制振装置に衝撃や大きな上下振動が発生することを効果的に抑制できる。
【0011】
また第2の作業台には、幅方向に沿って一対の中間ロール列が一対の外側ロール列の内側にそれぞれ配置されていることから、制振装置における両端部をそれぞれ一対の中間ロール列に対し、外側へ延出させた状態とすることができるので、制振装置の外側面に壁パネル部品を構成する各種のパネル部品を組み付ける際の作業性が良好になる。
また本発明の請求項2に係る制振壁パネルの製造装置は、請求項1記載の制振壁パネルの製造装置において、前記内側ロール列及び前記中間ロール列に、それぞれ複数個のロール部材が前記搬送方向に沿って配列された単ロール列を、前記幅方向に沿って互いに隣接するようにN列(Nは2以上の自然数)設けると共に、任意の前記単ロール列における複数個の前記ロール部材を、前記幅方向に沿って隣接する他の前記単ロール列における複数個の前記ロール部材に対し、それぞれ前記搬送方向に沿った位置がずれるように配置したことを特徴とする。
【0012】
また本発明の請求項3に係る制振壁パネルの製造装置は、請求項2記載の制振壁パネルの製造装置において、任意の前記単ロール列における複数個の前記ロール部材は、前記搬送方向に沿ったピッチが所定の長さPとなるように配列されると共に、前記幅方向に沿って隣接する他の前記単ロール列における複数個の前記ロール部材に対し、前記搬送方向に沿ってP/Nだけピッチがずれるように配置されたことを特徴とする。
【0013】
また本発明の請求項4に係る制振壁パネルの製造装置は、請求項1乃至3の何れか1項記載の制振壁パネルの製造装置において、前記第1の作業台には、前記外側ロール列上に載置された組立途中又は組立完了後の前記制振装置の前記幅方向に沿った変位を制限すると共に、前記制振装置を前記搬送方向に沿って前記第2の作業台側へ案内する一対のガイド壁部が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上に説明したように、本発明に係る制振壁パネルの製造装置によれば、搬送時に制振装置に作用する振動及び衝撃を十分に抑制しつつ、制振装置を第1の作業台上から第2の作業台上へ円滑に搬送でき、かつ制振壁パネルを効率的に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る制振壁パネル及び、その製造に用いられる制振壁パネルの製造装置について図面を参照して説明する。
(制振壁パネル)
図1は本発明の実施形態に係る制振壁パネルにおける制振装置の構成を示す正面図である。制振装置12は矩形枠状のフレーム体14と、このフレーム体14の内側に設けられた一対の支持部16と、一対の支持部16によって支持された振り子部材44と、フレーム体14に取り付けられた制振ボックス18とを備えている。
【0016】
フレーム体14は、左右一対の縦フレーム部材20と、上下一対の横フレーム部材22とを矩形フレーム状に組み立てることによって形成されている。一対の縦フレーム部材20は、その幅方向(矢印W方向)に沿って平行離間して配置されており、それぞれ帯板状の取付板24と、この取付板24に直角に立設された帯板状の立設板26とから構成され、断面が略T字状に形成されている。
取付板24は、その外側面が後述する壁パネル部70との固定面25とされている。取付板24には、図示しないビス孔が上下に所定間隔で2列形成されている。立設板26には、上下に所定間隔で孔が複数形成されている。これら孔は、立設板26に支持部16をボルト28によって取り付ける際に使用される孔である。
【0017】
一対の横フレーム部材22は、上下方向(矢印H方向)に沿って平行離間して配置されており、それぞれ帯板状の取付板30を有している。取付板30は、その外側面が壁パネル部70との固定面31とされている。また取付板30の左右両端部には、図2に示されるように、一対のプレート32が厚さ方向(矢印T方向)に対向して設けられている。これらプレート32の基端部間には、縦フレーム部材20の立設板26の端部が挿入されている。プレート32の基端部と、立設板26の端部とにはそれぞれ孔が形成されており、これら孔にボルト34が挿通され、この挿通されたボルト34にナット(図示省略)を螺合して締め付けることにより、縦フレーム部材20と横フレーム部材22とが連結されている。
【0018】
一対のプレート32の先端部間には、平面視T字状をなす、固定部材36の基端部が挿入され、溶接等によって固定されている。一対の固定部材36の先端部にそれぞれ設けられた固定板38間は、設置部40とされており、この設置部40に制振ボックス18が設置されるようになっている。固定板38は、設置部40に設置された制振ボックス18の両端の端板にそれぞれ当接固定されるものであり、それぞれ4個のボルト孔39が穿設されている。
【0019】
一対の縦フレーム部材20の立設板26には、それぞれ支持部16が連結されている。すなわち、支持部16は、図4に示されるように、2枚の支持板17を備えている。支持板17は、略二等辺三角形状に形成されており、その頂部と対向する辺を上下に向け、かつ、頂部を内側に向けて配置されている。支持板17は、略二等辺三角形状に形成されているので、その長手方向(=上下方向H)中央部が端部側より幅広に形成されている。したがって、2枚の支持板17で構成された支持部16もその長手方向中央部が端部側より幅広に形成されている。さらに、一対の支持部16は、それぞれの頂部を振り子部材44の中央部において対向させて設けられている。
【0020】
一対の支持板17の上下に沿う辺部間には、立設板26が挿入されている。そして、一対の支持板17の上下に沿う辺部と、前記立設板26とにはそれぞれ孔が上下に所定間隔で複数形形されており、これら孔に、図1に示されるように、ボルト28が挿通され、この挿通されたボルト28にナットを螺合して締め付けることによって、立設板26に一対の支持板17からなる支持部16が連結されている。
【0021】
一対の支持部16の互いに対向する頂部によって振り子部材44の長手方向中央部が支持されており、この振り子部材44は、震動によって一対の支持部16が変位した場合に、一対の支持部16間の略中央部を中心として振れるように構成されている。すなわち、振り子部材44は板状でかつ略菱形状に形成されており、長手方向を上下に向けて配置されている。振り子部材44の中央部の左半分は、一方の支持部16の支持板17間に挟まれており、右半分は他方の支持部16の支持板17間に挟まれている。
【0022】
一方の支持部16の支持板17の頂部には孔が形成されており、他方の支持部16の支持板17の頂部にも孔が形成されている。一方、振り子部材44の中央部には、左右に離間して孔が形成されており、これら孔のうち左側の孔45は左右に長い長孔となっている。
一方の支持部の支持板17に形成された孔と、振り子部材44の中央部に形成された一方の長孔とには、軸48が振り子部材44を回転可能とするように、かつ、長穴の長さ方向に摺動可能となるように挿通されている。この軸48は例えば先端部にねじ部を有するボルトで形成されており、軸48は前記孔に挿通され、これら孔に挿通された軸48の先端部にはナットが螺合されている。
【0023】
また、他方の支持部の支持板17に形成された孔と、振り子部材44の中央部に形成された他方の孔とには、軸48が振り子部材44を回転可能とするように挿通されている。この軸48も先端部にねじ部を有するボルトで形成されており、軸48は前記孔に挿通され、これら孔に挿通された軸48の先端部にはナットが螺合されている。これにより、振り子部材44は、一対の支持部16によって軸48を介して支持されており、振り子部材44は、震動によって一対の支持部16が変位した場合に、一対の支持部16間の略中央部、言い換えれば、軸48間の中央部を中心として振れるように構成されている。
【0024】
またフレーム体14には、制振ボックス18が前記振り子部材44の端部に対向して取り付けられている。すなわち、 図3に示されるように、制振ボックス18は、フレーム体14の横フレーム部材22に設けられた設置部40(図2参照)に取り付けられる箱状のボックス52と、このボックス52内に取り付けられた一対の制振ゴム54と、これら制振ゴム54間に挿入され、かつ一対の制振ゴム54に固着されたプレート56とを備えている。
【0025】
ボックス52は、対向する一対の側板58と、該側板58の両端部間にそれぞれ配置され、該側板58に取り外し可能に対向して取り付けられた一対の端板60とから構成されている。一対の側板58の両端部には穴が形成されており、一対の端板60の側端面には、ボルト孔が形成されている。そして、これら孔とボルト孔を合わせたうえで、孔にボルト62を挿入してボルト孔に螺合して締め付けることによって、側板58と端板60とがボックス状に組み立てられており、ボルト62を取り外すことによって、側板58から端板60を取り外せるようになっている。また、端板60にはそれぞれ4つのボルト孔64が形成されている。
【0026】
また、側板58の対向する内面にはそれぞれ制振ゴム54が加硫接着等によって固着されている。これら制振ゴム54間には、プレート56が挿入されており、プレート56の表面は制振ゴム54に固着されている。
プレート56の一端部(上端部)は、ボックス52より上方に突出しており、この突出している一端部には、3つの孔57が形成されている。そして、上記のように構成された制振ボックス18は、図5に示されるように、ボックス52を横フレーム部材22に設けられた設置部40に設置したうえで、固定板38をボックス52の端板60に当接して、ボルト19を固定板38の孔39から挿入して端板60のボルト孔64に螺合して締め付けることによって、設置部40に位置決めされて固定されている。
【0027】
さらに、制振ボックス18のプレート56と振り子部材44の端部とが連結されている。すなわち、振り子部材44の端部には、孔が3個横方向に所定間隔で形成されている。この振り子部材44の端面は、制振ボックス18のプレート56の端面に当接されている。そして、振り子部材44の端部とプレート56の端部とを挟み付けるようにしてプレート66が設けられている。プレート66には、その上部と下部とにそれぞれ3つの孔が横方向に所定間隔で形成されており、上部の孔と振り子部材の端部に形成された孔とにボルト68を挿通し、ナットを螺合して締め付け、下部の孔とプレート56に形成された孔とにボルト68を挿通し、ナットを螺合して締め付けることによって、制振ボックス18のプレート56と振り子部材44の端部とがプレート66を介して連結されている。
【0028】
制振装置12の外周側には、図6に示されるように、住宅の壁を構成する壁パネル部70が組み付けられる。これにより、制振装置12及び壁パネル部70により制振壁パネル10が製造される。壁パネル部70は、上部の小壁パネル72と下部の腰壁パネル74とを左右の柱材76で連結してなるものであり、その中央部には開口部78が形成される。この開口部78は矩形状に形成されており、その内側には制振装置12が配置される。
【0029】
フレーム体14における一対の縦フレーム部材20の固定面25には、一対の柱材76がそれぞれ突き当てられ、縦フレーム部材20の取付板24にビスを通し、そのビスを柱材76にねじ込むことによって、縦フレーム部材20の外側に柱材76が取り付けられている。同様に、フレーム体14における一対の横フレーム部材22の固定面31には、小壁パネル72の下端面と腰壁パネル74の上端面がそれぞれ突き当てられ、縦フレーム部材20の取付板30にビスを通し、そのビスを縦フレーム部材20にねじ込むことによって、横フレーム部材22の外側に小壁パネル72及び腰壁パネル74がそれぞれ取り付けられている。
また小壁パネル72及び腰壁パネル74の外側面には、接着剤等により柱材76の上端部及び下端部がそれぞれ固着される。これにより、矩形枠状の壁パネル部70が制振装置12の外周側に組み付けられて、制振壁パネル10の組立てが基本的に完了する。
【0030】
(制振壁パネルの製造ライン)
次に、上記のような制振壁パネル10を製造するために用いられる制振壁パネルの製造ラインについて説明する。
図7には、本発明の実施形態に係る制振壁パネルの製造ライン(以下「パネル製造ライン」という。)100の全体構成が示されている。パネル製造ライン100は、所定のライン搬送方向に沿って設置された複数台の装置により構成されている。パネル製造ライン100には、その上流側にアセンブリステージ102が配置されている。アセンブリステージ102には、工場フロア104上に略矩形ループ状に延在するガイド溝106が設けられると共に、このガイド溝106に沿って複数台(本実施形態では、2台)の作業台車108が移動可能に配置されている。工場フロア104の下側には、ガイド溝106に沿ってチェーン駆動機構(図示省略)が環状に配置されており、チェーン駆動機構は2台の作業台車108にそれぞれ連結されている。
【0031】
作業台車108には、その下面側における移動方向(矢印C方向:反時計方向)の先端側に固定ガイドピン109が設けられると共に、後端側にスライドガイドピン110が設けられているスライドガイドピン110は、移動方向Cに沿って前後に所定ストローク移動可能とされている。
これらのガイドピン109、110は、それぞれガイド溝106内に挿入されると共に、ガイド溝106に沿って移動可能とされている。作業台車108は、固定ガイドピン109を介してチェーン駆動機構に連結されており、チェーン駆動機構からの駆動力によりガイド溝106に沿って移動する。またスライドガイドピン110は、作業台車108がガイド溝106に沿って移動する際に、ガイド溝106のコーナ部付近では前後にスライドすることにより、作業台車108がガイド溝106のコーナ部付近を通過可能になる。なお、アセンブリステージ102には、制振壁パネル10の製造速度に対する要求等に応じて作業台車108が最大4台まで増設可能になっている。
【0032】
作業台車108はその上面側が作業面111とされており、この作業面111上には、制振装置12を構成する複数個の部品(以下「装置構成部品」という。)が所定の手順に従って順次載置されつつ、それらの装置構成部品が所定の手順に従って制振装置12(図1参照)に組立てられる。
パネル製造ライン100には、アセンブリステージ102の下流側(図7の紙面では下側)に固定作業台114が配置されると共に、アセンブリステージ102と固定作業台114との間にベルトクレーン116が配置されている。ベルトクレーン116は、工場の天井梁から吊り下げられており、アセンブリステージ102と固定作業台114との間で移動可能とされている。またベルトクレーン116は、それぞれ環状に形成された2本のベルト(図示省略)と、これら2本のベルトがそれぞれ巻き掛けられるベルトドラム(図示省略)と、このベルトドラムを回転するモータとを備えている。
【0033】
パネル製造ライン100では、作業台車108上で制振装置12の組立てが完了すると、作業員が制振装置12の長手方向両端部にそれぞれベルトクレーン116のベルトを巻き掛ける。この状態で、ベルトクレーン116により制振装置12を作業台車108上から持ち上げると共に、モータによりベルトドラムを回転させつつ、2本のベルトを循環移動させて制振装置12の表裏を反転する。この後、作業員は、ベルトクレーン116により制振装置12を固定作業台114上に移動させて、固定作業台114上に載置する。
【0034】
図7に示されるように、固定作業台114は、その形状が平面視にて略長方形とされており、制振装置12は、その長手方向が固定作業台114の長手方向と一致するように固定作業台114上に載置される。ここで、固定作業台114の長手方向は、後述する移動台車120及び第1組付作業台150上における制振装置12の搬送方向Fと実質的に一致している。作業員は、固定作業台114上に載置された制振装置12の各部寸法を測定し、必要に応じて制振装置12に対する寸法の修正作業を行う。
【0035】
固定作業台114の上面側には、図8(A)に示されるように、搬送方向Fに沿って直線的に延在する一対の外側ロール列118が配置されている。外側ロール列118は、搬送方向Fに沿って直線的に配列された複数個のロール部材119により構成されており、各ロール部材119は、その両端部がそれぞれ軸受(図示省略)を介して固定作業台114により支持されている。
【0036】
ここで、一対の外側ロール列118は、搬送方向Fに直交する搬送直交方向FCに沿って制振装置12の幅方向(図1の矢印W方向)両端部にそれぞれ対応する位置に配置されている。具体的には、一対の外側ロール列118は、固定作業台114上に制振装置12が載置されると、ロール部材119を制振装置12における一対の縦フレーム部材20(図1参照)の下端面にそれぞれ当接させる。
【0037】
パネル製造ライン100では、固定作業台114上に載置された制振装置12が、後述する移動台車120上へ搬送される。このとき、制振装置12における一対の縦フレーム部材20がそれぞれ一対の外側ロール列118上に載っているので、作業員が制振装置12に搬送方向Fの力を作用させると、ロール部材119が回転すると共に、制振装置12が円滑に搬送方向Fに沿って移動台車120側へ移動する。
【0038】
ここで、縦フレーム部材20(取付板24)の下端面は、搬送方向Fに沿って制振装置12の略全長に亘って延在し、かつ平滑な平面状に加工されている。このことから、制振装置12が一対の外側ロール列118により固定作業台114上を搬送される際には、常に複数個のロール部材119の頂部が縦フレーム部材20の下端面に当接するので、制振装置12に振動が生じることが効果的に抑制される。
【0039】
パネル製造ライン100には、搬送方向Fに沿って固定作業台114の下流側に移動台車120が配置されている。図8(A)に示されるように、移動台車120は、その形状が平面視にて搬送方向Fを長手方向とする略長方形に形成されている。また移動台車120には、図9に示されるように、四隅部にそれぞれ上下方向に延在する脚部122を備えており、これら4本の脚部122の下端部には、転動輪124がそれぞれ回動可能に取り付けられている。
【0040】
移動台車120の上面側には、固定作業台114の上面側と同様に、搬送方向Fに沿って直線的に延在する一対の外側ロール列126が配置されている。外側ロール列126は、搬送方向Fに沿って直線的に配列された複数個のロール部材128を備えており、各ロール部材128は、その軸線方向が搬送直交方向FCと一致しており、両端部がそれぞれ軸受(図示省略)を介して移動台車120により支持されている。
【0041】
ここで、一対の外側ロール列126は、搬送直交方向FCに沿って制振装置12の幅方向W(図1参照)の両端部にそれぞれ対応する位置に配置されている。具体的には、一対の外側ロール列126は、移動台車120上に制振装置12が載置されると、ロール部材128を一対の縦フレーム部材20(図1参照)の下端面にそれぞれ当接させる。
パネル製造ライン100では、所定のタイミングで、移動台車120上に載置された制振装置12が、後述する第1組付作業台150上へ搬送される。このとき、制振装置12における一対の縦フレーム部材20がそれぞれ一対の外側ロール列126上に載っているので、作業員が制振装置12に搬送方向Fの力を作用させると、ロール部材128が回転すると共に、制振装置12が円滑に搬送方向Fへ移動する。このとき、常に複数個のロール部材128の頂部が縦フレーム部材20の下端面に当接するので、搬送途中に制振装置12に振動が生じることが効果的に抑制される。
【0042】
図7に示されるように、工場フロア104には、搬送方向Fに沿ってそれぞれ直線状に延在する一対のガイドレール130が敷設されており、移動台車120は、搬送直交方向FCに沿って一端側の2個の転動輪124を一方のガイドレール130上に係合させ、他端側の転動輪124を他方のガイドレール130に係合させている。これにより、移動台車120は、一対のガイドレール130により搬送方向Fへ案内されつつ、所定の受入位置RP1と受渡位置SP1との間で移動可能となる。
【0043】
ここで、受入位置RP1は、搬送方向Fに沿って移動台車120が固定作業台114に最近接する位置である。これにより、制振装置12は、一対の外側ロール列118、126により固定作業台114上から移動台車120上へ移動可能になる。
図9に示されるように、移動台車120の上面側には、搬送直交方向FCに沿って一対の外側ロール列126の外側にそれぞれガイド壁部132が立設されている。一対のガイド壁部132は、それぞれ移動台車120の上面両端部から上方に突出すると共に、搬送方向Fに沿って移動台車120の略全長に亘って直線的に延在している。ガイド壁部132の上端部は、ロール部材128の頂部に対して上側に位置している。
【0044】
ガイド壁部132は搬送方向Fに沿って細長いガイドフレーム134を備えており、ガイドフレーム134は、搬送直交方向FCに沿った断面が内側へ向かって開いた略コ字状に形成されている。ガイドフレーム134には、その内側に円板状に形成された多数個のガイドコロ136が配置されており、これらのガイドコロ136は、搬送方向Fに沿って直線状に配列されている。ガイドコロ136は、ガイドフレーム134を上下方向へ貫通した軸部材138を介してガイドフレーム134に回転可能に連結されている。
【0045】
一対のガイドフレーム134の搬送直交方向FCに沿った間隔は、制振装置12の幅に対応するものになっており、一方のガイドフレーム134のガイドコロ136と他方のガイドフレーム134のガイドコロ136との間には、制振装置12の幅より僅かに広い空間が形成されている。これにより、移動台車120上に載置された制振装置12等は、一対のガイド壁部132のガイドコロ136により搬送直交方向FCに沿った移動が拘束される。また制振装置12等が移動台車120上で搬送方向Fへ移動する際には、ガイドコロ136が制振装置12等の側端面に当接しつつ、従動回転することで、制振装置12等の側端面に打痕等の損傷を発生させることなく、制振装置12が円滑に搬送方向Fへ移動する。
【0046】
図9に示されるように、移動台車120の上面側には、搬送方向Fの下流側の端部に内側ロール列140が配置されている。内側ロール列140は、搬送方向Fに沿って細長い2本のローラフレーム142を備えており、ローラフレーム142は、搬送直交方向FCに沿った断面形状が上方へ向かって開いた略コ字状に形成されている。内側ロール列140は、搬送直交方向FCに沿って一対の外側ロール列126間の中心部位に配置されている。
【0047】
2本のローラフレーム142は、図8に示されるように、搬送方向Fに沿った後端側の端部(基端部)が移動台車120の上面部に連結固定されている。これにより、2本のローラフレーム142の先端側は、移動台車120上から搬送方向F(第1組付作業台150側)へ片持ち状態となって延出している。また2本のローラフレーム142の基端部は、一対の外側ロール列126の先端部と搬送方向Fに沿って部分的にオーバラップしている。
【0048】
2本のローラフレーム142の内側には、それぞれ円板状に形成された複数個のロール部材144が配置されており、これらのロール部材144は、搬送方向Fに沿って直線状に配列されている。ロール部材144は、ローラフレーム142を貫通した軸部材149を介してローラフレーム142に回転可能に連結されている。
図10に示されるように、ローラフレーム142には、搬送方向Fに沿って複数個(本実施形態では、4個)のロール部材144が直線状に配列された単ロール列146が搬送直交方向FCに沿って2列設けられている。従って、内側ロール列140全体では、2本のローラフレーム142にそれぞれ2列ずつ、合計4列の単ロール列146が設けられている。4列の単ロール列146は、図10に示されるように、搬送直交方向FCに沿って互いに隣接するように配置されており、それぞれ複数個のロール部材144の搬送方向Fに沿ったピッチが値P1になっている。
【0049】
また、任意の単ロール列146における複数個のロール部材144は、搬送直交方向FCに沿って隣接する他の単ロール列146における複数個のロール部材144に対し、搬送方向Fに沿ってP1/4だけピッチがずれるように配置されている。これにより、4列の単ロール列146では、それぞれ搬送方向F上流側からn番目(n=1、2、3、4)に配置された4個のロール部材144が搬送方向Fに沿ってそれぞれ異なる位置に位置する。このとき、n番目のロール部材144は、隣接する他のn番目のロール部材144に対して搬送方向Fに沿ってP1/4だけ搬送方向に沿った位置がずれる。
【0050】
図8に示されるように、パネル製造ライン100には、搬送方向Fに沿って移動台車120の下流側に第1組付作業台150が配置されている。第1組付作業台150は、その形状が平面視にて搬送方向Fを長手方向とする略長方形に形成されている。第1組付作業台150の上面側には、搬送方向Fに沿ってそれぞれ直線的に延在する一対の中間ロール列156が配置されている。1本の中間ロール列156は、搬送方向Fに沿って細長い2本のローラフレーム158備えており、ローラフレーム158は、搬送直交方向FCに沿った断面形状が上方へ向かって開いた略コ字状に形成されている。図8(B)に示されるように、一対の中間ロール列156は、搬送直交方向FCに沿って一対の外側ロール列126の内側であって、かつ内側ロール列140の外側となる部位にそれぞれ配置されている。
【0051】
パネル製造ライン100では、図8(B)に示されるように、移動台車120が受渡位置SP1にある状態では、移動台車120が第1組付作業台150に連結された状態となる。この連結状態では、搬送方向Fに沿って内側ロール列140の先端側が一対の中間ロール列156の間に挿入される。すなわち、搬送方向Fに沿って内側ロール列140の先端側と一対の中間ロール列156の上流側の端部とが部分的にオーバラップする。
【0052】
ここで、内側ロール列140は、搬送直交方向FCに沿って制振装置12の幅方向W(図1参照)の中心側に対応する配置されている。これにより、制振装置12が、連結状態にある移動台車120と第1組付作業台150との間に形成される隙間からなる継目160(図8参照)を跨いで、移動台車120上から第1組付作業台150側へ移動する際には、内側ロール列140は、ロール部材144を制振装置12先端部に配置された横フレーム部材22(取付板30)の下端面に当接させる。
【0053】
このとき、図10に示されるように、内側ロール列140には、搬送方向Fに沿ってP1/4間隔で1個のロール部材144が配置されていることから、内側ロール列140は、制振装置12がP1/4の距離だけ移動する毎に、1個のロール部材144のローラ面の頂部を横フレーム部材22に当接させつつ、このロール部材144を横フレーム部材22に従動回転させる。これにより、横フレーム部材22の下端面の搬送方向Fに沿った幅がロール部材144のピッチP1よりも狭い場合でも、横フレーム部材22が内側ロール列140上を通過する際に、横フレーム部材22(制振装置12)が上下方向に振動することを効果的に抑制できる。
【0054】
すなわち、横フレーム部材22がロール部材144上を通過する際には、横フレーム部材22が搬送方向Fへ移動しつつ、ロール部材144のローラ面に沿って上下移動することで、制振装置12に上下方向の振動が生じるが、例えば、複数の単ロール列146における各ロール部材144が搬送方向Fに沿って同一位置にある場合と比較し、横フレーム部材22の上下移動(振動)を大幅に低減できる。
【0055】
さらに、制振装置12の後端部に配置された横フレーム部材22が内側ロール列140上を通過する際にも、例えば、複数の単ロール列146における各ロール部材144が搬送方向Fに沿って同一位置にある場合と比較し、制振装置12が上下方向に振動することを効果的に抑制できる。
図11に示されるように、中間ロール列156における2本のローラフレーム158は、ボックス状の基台162を介して第1組付作業台150の上面部に固定され、第1組付作業台150の略全長に亘って延在している。2本のローラフレーム158の内側には、円板状に形成された多数個のロール部材164が配置されており、これらのロール部材164は搬送方向Fに沿って配列されている。
【0056】
図12に示されるように、ロール部材164はローラフレーム158を貫通した軸部材166を介してローラフレーム158に回転可能に連結されている。1本のローラフレーム158には、多数個のロール部材164が搬送方向Fに沿って直線状に配列された単ロール列167が2列設けられている。従って、1本の中間ロール列156全体では、2本のローラフレーム158にそれぞれ2列ずつ、合計4列の単ロール列167が設けられている。これら4列の単ロール列167は、搬送直交方向FCに沿って互いに隣接するように配置されており、それぞれ複数個のロール部材164の搬送方向Fに沿ったピッチが値P2になるように配列されている。
【0057】
また、任意の単ロール列167における多数個のロール部材164は、隣接する他の単ロール列167における多数個のロール部材164に対し、搬送方向Fに沿ってP2/4だけピッチがずれるように配置されている。これにより、4列の単ロール列167では、それぞれ搬送方向F上流側からn番目(nは1以上の自然数で、かつ各単ロール列167におけるロール部材164の設置数以下の数値)に配置されたロール部材164が搬送方向Fに沿ってそれぞれ異なる位置に位置する。このとき、n番目のロール部材164は、隣接する他のn番目のロール部材164に対して搬送方向Fに沿ってP2/4だけ位置がずれる。
【0058】
一対の中間ロール列156は、搬送直交方向FCに沿って制振装置12における幅方向W(図1参照)の両端部に対しては、内側に配置されている。具体的には、一対の中間ロール列156は、それぞれ制振装置12における一対の縦フレーム部材20の内側に位置する。これにより、第1組付作業台150上に制振装置12が載置されると、一対の中間ロール列156は、それぞれロール部材164を一対の横フレーム部材22(図1参照)の一方又は双方に当接させる。
【0059】
従って、制振装置12が第1組付作業台150上に載置された状態では、制振装置12における一対の縦フレーム部材20を含む両端側がそれぞれ一対の中間ロール列156の外側へ延出する。これにより、制振装置12の縦フレーム部材20の外側面(固定面25)等に柱材76等のパネル部品148をビス等で取り付ける際に、中間ロール列156がパネル部品148に干渉することがなくなるので、パネル部品148を制振装置12の外周側に組付けつつ、パネル部品148を壁パネル部70とする作業(組付け作業)の作業性が良好になる。
【0060】
図7に示されるように、パネル製造ライン100には、搬送方向Fに沿って第1組付作業台150の下流側にパネル反転機168が配置されると共に、このパネル反転機168の下流側に第2組付作業台170が配置されている。
パネル製造ライン100では、第1組付作業台150で制振装置12へパネル部品148を組付ける作業が完了した後、制振装置12における一対の支持部16の裏面側に桟部材(図示省略)を接着する作業が完了すると、制振装置12及び制振装置12に組付けられたパネル部品148を第1組付作業台150上からパネル反転機168上へ移動させる。ここで、桟部材は、制振壁パネルの表裏面にそれぞれ張り付けられる壁板と制振装置12とのスペーサとして機能する。
【0061】
パネル反転機168は、その反転機構(図示省略)により制振装置12及びパネル部品148の表裏を反転する。この表裏が反転された制振装置12及びパネル部品148は、パネル反転機168上から第2組付作業台170上に搬送される。第2組付作業台170上では、制振装置12における一対の支持部16の表面側に桟部材(図示省略)を接着する作業が行われると共に、最終的な仕上げが行われて制振壁パネル10の組立てが完了する。この制振壁パネル10はクレーン等により一時保管スペース(図示省略)又は恒温室172へ搬入され、所定の養生時間に亘って保管された後、他の工場等へ出荷される。
【0062】
次に、上記のように構成されたパネル製造ライン100の作用について説明する。
パネル製造ライン100では、移動台車120上では制振装置12を一対の外側ロール列126を用いて第1組付作業台150側へ移動させることができる。
また、制振装置12が載置された移動台車120を受入位置RP1から受渡位置SP1まで移動させた状態で、制振装置12を、継目160を跨いで移動台車120上から第1組付作業台150上へ移動させる際には、制振装置12を一対の外側ロール列126及び内側ロール列140を用いて移動させ、制振装置12の後端が外側ロール列126を通過した後は、制振装置12を内側ロール列140及び中間ロール列156を用いて第1組付作業台150側へ移動させることができる。また第1組付作業台150上では、制振装置12を一対の中間ロール列156を用いて搬送方向へ移動させることができる。
【0063】
このとき、移動台車120上では、一対の外側ロール列126が搬送直交方向FCに沿って制振装置12における一対の縦フレーム部材20にそれぞれ対応する部位に配置されていることから、一対の縦フレーム部材20をそれぞれ一対の外側ロール列126により下側から支持しつつ、制振装置12等を円滑に第1組付作業台150側へ搬送できる。
また、移動台車120が受渡位置SP1にある状態では、内側ロール列140の先端側が一対の中間ロール列156の間に挿入されることから、制振装置12が継目160を跨って搬送される際には、先ず、制振装置12の先端側の横フレーム部材22を内側ロール列140により下側から支持しつつ、この制振装置12を第1組付作業台150側へ円滑に搬送できる。
【0064】
次いで、制振装置12の後端側の横フレーム部材22が内側ロール列140上を通過する際には、制振装置12の後端側の横フレーム部材22を内側ロール列140により下側から支持しつつ、制振装置12における先端側の横フレーム部材22を一対の中間ロール列156により下側から支持することにより、制振装置12を第1組付作業台150上へ円滑に搬送できる。
従って、制振装置12が移動台車120と第1組付作業台150との継目160上を通過する際に、制振装置12に衝撃や大きな上下振動が発生することを効果的に抑制できる。
【0065】
また第1組付作業台150上では、制振装置12における一対の縦フレーム部材20を含む両端部をそれぞれ一対の中間ロール列156に対して外側へ延出させた状態とすることができるので、制振装置12の外側面に柱材76等のパネル部品148を組み付ける際の作業性が良好になる。
この結果、本実施形態に係るパネル製造ライン100によれば、制振装置12に発生する振動及び制振装置に作用する衝撃を十分に抑制しつつ、制振装置12を移動台車120上から第1組付作業台150上へ円滑に搬送でき、かつ制振壁パネル10を効率的に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施形態に係る制振壁パネルにおける制振装置の構成を示す正面図である。
【図2】図1に示される制振装置における設置部の構成を示す斜視図である。
【図3】図1に示される制振装置における制振ボックスの構成を示す斜視図である。
【図4】図1に示される制振装置における支持部及び振り子部材の構成を示す斜視図である。
【図5】図1に示される制振装置における制振ボックスと振り子部材との連結部の構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る制振壁パネルの構成を示す正面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る制振壁パネルの製造ラインの全体構成を示す平面図である。
【図8】図7に示される制振壁パネル製造ラインにおける第1作業台車及び第2作業台車の構成を示す平面図である。
【図9】図8に示される移動台車の構成を示す斜視図である。
【図10】図9に示される移動台車における内側ロール列の構成を示す平面図である。
【図11】図8に示される第1組付作業台(第2の作業台)の構成を示す斜視図である。
【図12】図11に示される第1組付作業台(第2の作業台)における中間ロール列の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0067】
10 制振壁パネル
12 制振装置
14 フレーム
16 支持部
17 支持板
18 制振ボックス
20 縦フレーム部材
22 横フレーム部材
24 取付板
25 固定面
26 立設板
30 取付板
31 固定面
32 プレート
36 固定部材
38 固定板
40 設置部
44 振り子部材
52 ボックス
54 制振ゴム
56 プレート
58 側板
60 端板
66 プレート
70 壁パネル部品
72 小壁パネル
74 腰壁パネル
76 柱材
78 開口部
100 制振壁パネルの製造ライン(パネル製造ライン)
102 アセンブリステージ
104 工場フロア
106 ガイド溝
108 作業台車
109 固定ガイドピン
110 スライドガイドピン
114 固定作業台(第1の作業台)
116 ベルトクレーン
118 外側ロール列
119 ロール部材
120 移動台車
122 脚部
124 転動輪(作業台移動手段)
126 外側ロール列
128 ロール部材
130 ガイドレール(作業台移動手段)
132 ガイド壁部
134 ガイドフレーム
136 ガイドコロ
140 内側ロール列
142 ローラフレーム
144 ロール部材
146 単ロール列
148 パネル部品
150 第1組付作業台(第2の作業台)
156 中間ロール列
158 ローラフレーム
160 継目
162 基台
164 ロール部材
167 単ロール列
168 反転作業台
170 第2組付作業台
172 恒温室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形フレーム状の制振装置の外周側に壁パネル部品を枠状に組み付けて、制振機能を有する制振壁パネルを製造する際に用いられる制振壁パネルの製造装置であって、
前記制振装置が上面側に載置される第1の作業台と、
前記制振装置の外周側に前記壁パネル部品を組み付ける組付け作業が行われる第2の作業台と、
前記第1の作業台の上面側における、前記制振装置の幅方向両端部にそれぞれ対応する部位に配置され、前記幅方向に直交する搬送方向に沿って配列された複数個のロール部材を具備する外側ロール列と、
前記第1の作業台の上面側における、一対の前記外側ロール列の間に配置され、前記搬送方向に沿って配列された複数個のロール部材を具備すると共に、先端側の一部が前記搬送方向に沿って前記第2の作業台側へ延出した内側ロール列と、
前記第2の作業台の上面側における、前記幅方向に沿って一方の前記外側ロール列と前記内側ロール列との間及び、他方の前記外側ロール列と前記内側ロール列との間にそれぞれ配置され、前記搬送方向に沿って配列された複数個のロール部材を具備する中間ロール列と、
前記第1の作業台を、前記搬送方向に沿って前記内側ロール列の先端側の一部が一対の前記中間ロール列の間に挿入される受渡位置と、前記内側ロール列が一対の前記中間ロール列から離間する離間位置との間で相対的に移動可能とした作業台移動手段と、
を有することを特徴とする制振壁パネルの製造装置。
【請求項2】
前記内側ロール列及び前記中間ロール列に、それぞれ複数個のロール部材が前記搬送方向に沿って配列された単ロール列を、前記幅方向に沿って互いに隣接するようにN列(Nは2以上の自然数)設けると共に、
任意の前記単ロール列における複数個の前記ロール部材を、前記幅方向に沿って隣接する他の前記単ロール列における複数個の前記ロール部材に対し、それぞれ前記搬送方向に沿った位置がずれるように配置したことを特徴とする請求項1記載の制振壁パネルの製造装置。
【請求項3】
任意の前記単ロール列における複数個の前記ロール部材は、前記搬送方向に沿ったピッチが所定の長さPとなるように配列されると共に、前記幅方向に沿って隣接する他の前記単ロール列における複数個の前記ロール部材に対し、前記搬送方向に沿ってP/Nだけピッチがずれるように配置されたことを特徴とする請求項2記載の制振壁パネルの製造装置。
【請求項4】
前記第1の作業台には、前記外側ロール列上に載置された組立途中又は組立完了後の前記制振装置の前記幅方向に沿った変位を制限すると共に、前記制振装置を前記搬送方向に沿って前記第2の作業台側へ案内する一対のガイド壁部が設けられたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の制振壁パネルの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−298552(P2009−298552A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155489(P2008−155489)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】