説明

制振装置及び制振装置ユニット

【課題】簡素な構成で大きな減衰能を得ると共に、様々な配置スペースに対応することができる制振装置を提供する。
【解決手段】振動源を有する架構構造物の制振装置1であって、多層構造をなす線状部材2の束が容器3に収容されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動源を有する架構構造物の制振装置及び制振装置ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、プラントや工場における架構構造物には、モータ、ポンプ、ファン、エンジン等の機器が設けられることが通常であるが、これら機器は振動源となって上記架構構造物を振動させる。このような振動を制振させる方法としては、架構構造物の構造を変更する方法と、制振装置を付加する方法とに大別することができるが、機器配置上の制約等で構造変更が容易でない場合には、制振装置を付加する方法が採用される。
【0003】
制振装置を付加する方法としては、振動部位にオイルダンパー等の流体式の減衰機構を配置する方法が挙げられる。
また、制振装置を付加する他の方法としては、振動源と架構との間に、粒状物を充填した箱体を設ける方法が考えられる(例えば、下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−349372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のオイルダンパー等の流体式の減衰機構は、比較的に大型になり易く、配置スペースの確保が困難であるという問題がある。
また、上記特許文献1の制振装置は、構成は簡素であるが、減衰能が小さいという問題がある。換言すれば、制振装置を配置スペースに応じた大きさで構成すると、十分な制振効果を得られない一方、十分な制振効果を得るために粒状物を多量に用いると装置が大型化して、配置スペースの制約を受けてしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、簡素な構成で大きな減衰能を得ると共に、様々な配置スペースに対応することができる制振装置及び制振装置ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る制振装置は、振動源を有する架構構造物の制振装置であって、多層構造をなす線状部材の束が容器に収容されていることを特徴とする。
この構成によれば、簡素な構成で大きな減衰能を得ることができる。
すなわち、線状部材が振動すると各線状部材が無作為的に変位して、線状部材と線状部材とが摩擦及び衝突し、また、線状部材と容器とが摩擦及び衝突する。これにより、振動源からの振動エネルギが、線状部材の運動エネルギ、上記摩擦及び衝突による摩擦エネルギ(熱エネルギ)、線状部材の変形エネルギに消費される。特に、線状部材同士の摩擦及び衝突では、接触面積が大きくなるので摩擦エネルギが大きくなる。
さらに、線状部材が多層状に形成されているので、振動源からの振動エネルギが各層間における摩擦に消費される。
従って、振動源からの振動エネルギが大きく低減されるので、簡素な構成で架構構造物への加振を大きく低減することができる。
また、容器の形状は、線状部材を収容することさえできればよいので、様々な形状にすることができ、様々な配置スペースに対応することができる。
よって、簡素な構成で大きな減衰能を得ると共に、様々な配置スペースに対応することができる。
【0008】
また、前記線状部材の表層が高分子材料からなることを特徴とする。
この構成によれば、表層が高分子材料からなるので、表層自体で振動源からの振動エネルギを大きく低減させることができる。
【0009】
また、前記容器は、箱体であることを特徴とする。
この構成によれば、容器が箱体であるので、容器及び制振装置の作成・取り扱いを容易にすることができる。
【0010】
また、前記容器は、上部が開放されていることを特徴とする。
この構成によれば、容器の上部が開放されているので、制振装置の配置に伴って線状部材の調整を容易に行うことができる。
【0011】
また、前記容器は、少なくとも一部が網状に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、容器の少なくとも一部が網状に形成されているので、容器及び制振装置の軽量化を図ることができる。
【0012】
また、前記容器には、粒状体が充填されていることを特徴とする。
この構成によれば、容器に粒状体が充填されているので、粒状体同士の摩擦、粒状体と線状部材との摩擦、及び、粒状体と容器との摩擦による摩擦エネルギを大きくすることができ、振動源からの振動エネルギを大きく消費し、より大きな減衰能を得ることができる。
【0013】
また、前記容器の内側に設けられ、前記線状部材が挿通する案内板を備えることを特徴とする。
この構成によれば、線状部材が挿通する案内板を備えるので、線状部材と線状部材との接触面積を大きくした状態で、線状部材の位置を規定することができる。
【0014】
また、前記案内板が複数設けられ、前記線状部材が、前記案内板の配列方向と交差する方向にずらされた状態で、互いに隣接する案内板を挿通していることを特徴とする。
この構成によれば、線状部材と線状部材との接触面積が大きくなるので、摩擦エネルギを大きくすることができ、振動源からの振動エネルギを大きく消費し、より大きな減衰能を得ることができる。
【0015】
また、前記線状部材の束が屈曲状態とされると共に、該屈曲部分に沿った形状で前記容器が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、線状部材の束が屈曲状態とされているので、複数方向についての制振が可能となる。また、制振装置の配置スペースが複数方向に広がる空間形状である場合に、配置スペースの大部分を占めるように配置することができる。
【0016】
また、本発明に係る制振装置ユニットは、上記いずれかの制振装置を少なくとも一方向に連設させたことを特徴とする。
この構成によれば、制振装置単体の大きさが配置スペースよりも小さいものであっても、配置スペースの大きさを有効に利用することができ、大きな減衰能を得ることができるまた、配置スペースの様々な空間形状に対応することも可能となる。さらに、制振装置単体を小さくすることで取り扱いを容易にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、簡素な構成で大きな減衰能を得ると共に、様々な配置スペースに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一実施形態に係るプラントPを示す概略構成図であって、図1(a)が正面図であり、図1(b)が側面図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る制振装置1の概略構成斜視図である。なお、図中において、本来ならば、線状部材2を破線で、箱体3を実線で示すべきであるが、理解容易のために、線状部材2を破線で、箱体3を二点鎖線で示している。
【図3】本発明の第二実施形態に係る制振装置10の概略構成斜視図である。
【図4】本発明の第三実施形態に係る制振装置11の概略構成斜視図である。なお、図中において、理解容易のために一の線状部材2のみを図示している。
【図5】本発明の第四実施形態に係る制振装置12の概略構成斜視図である。
【図6】本発明の第五実施形態に係る制振装置ユニット20の概略構成斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態に係るプラントPの概略構成図である。図1に示すように、プラントPは、モータ等の振動源Vを有する架構構造物Cを備えたものである。振動源Vは、架構構造物Cの狭小となった上部において制振装置1を介して載置されている。
【0020】
図2は、制振装置1の概略構成斜視図である。制振装置1は、複数の線状部材2と、これら複数の線状部材2を収容する箱体(容器)3とを備えている。
【0021】
線状部材2は、本実施形態では、廃材となった電線を用いている。すなわち、線状部材2は、銅合金等からなる金属導体が、ポリエチレン等の高分子材料からなる絶縁体で覆われて構成されており、二層構造となっている。このような線状部材2は、それぞれ形状が異なっており、複数本が束状となって箱体3に収容されている。より具体的には、各線状部材2の長手方向を概ね一方向に向けた状態で、各線状部材2の間がすいて疎らな状態で、箱体3に収容されている。
【0022】
箱体3は、薄長状で内部に閉空間を形成する蓋付きのものであり、金属板から構成されている。この箱体3は、線状部材2よりも長い長さLと、線状部材2よりも十分に短い幅W及び厚さTとを有する。
このような箱体3は、箱体3の長手方向に、各線状部材2の長手方向を概ね向けさせた状態で、複数の線状部材2を収容している。なお、この箱体3は、各線状部材2の両端を特に拘束することなく、複数の線状部材2を収容している。
【0023】
このような構成の箱体3は、図1に示すように、架構構造物Cの狭小となった上部に応じて大きさが設定されて、この架構構造物Cの上部に取り付けられ、この箱体3の上に振動源Vが載置されている。
【0024】
次に、上記の構成からなる制振装置1の作用について説明する。
まず、振動源Vの作動に伴って振動源Vが振動し、この振動が制振装置1に伝播する。この制振装置1に伝播した振動により、箱体3を介して線状部材2が振動する。
【0025】
次に、線状部材2が振動すると各線状部材2が無作為的に変位して、線状部材2と線状部材2とが摩擦及び衝突し、また、線状部材2と箱体3の内面とが摩擦及び衝突する。
また、これらの衝突によって、各線状部材2が変形すると共に、この変形に伴って線状部材2における金属導体と絶縁体との各境界面に摩擦が発生する。
【0026】
この際、振動源Vからの振動エネルギが、線状部材2の運動エネルギ、上記摩擦及び衝突よる摩擦エネルギ、線状部材2の変形エネルギに消費される。特に、線状部材2同士の摩擦及び衝突では、接触面積が大きくなるので摩擦エネルギが大きくなり、振動エネルギが大きく消費される。
また、線状部材が多層状に形成されているので、振動源からの振動エネルギが各層間において生ずる摩擦に消費される。
さらに、線状部材2の表層である高分子材料が振動源Vからの振動エネルギを吸収する。
【0027】
振動源Vからの振動エネルギは、制振装置1によって大きく低減し、架構構造物Cの加振が防止されるか、あるいは、極僅かなものに抑止される。そして、振動源Vが作動し続けても、制振装置1が振動源Vからの振動エネルギを消費し続けるために、架構構造物Cの振動に伴う弊害が生ずることなく、プラントPの運転が安定的になされる。
【0028】
以上説明したように、制振装置1によれば、簡素な構成で大きな減衰能を得ることができる。
すなわち、振動源Vからの振動エネルギが、線状部材2の運動エネルギ、摩擦及び衝突に伴う摩擦エネルギ、線状部材2の変形エネルギに消費される。特に、線状部材2同士の摩擦及び衝突では、接触面積が大きくなるので摩擦エネルギが大きくなって、振動エネルギが大きく消費される。
さらに、線状部材2が二層に形成されているので、振動源Vからの振動エネルギが各層間において生ずる摩擦に消費される。
従って、振動源Vからの振動エネルギが大きく低減されるので、簡素な構成で架構構造物Cへの加振を大きく低減することができる。
また、箱体3の形状は、線状部材2を収容することさえできればよいので、様々な形状にすることができ、本実施形態のように、架構構造物Cの狭小な上部の配置スペースに応じることができる。
よって、簡素な構成で大きな減衰能を得ると共に、様々な配置スペースに対応することができる。
【0029】
また、制振装置1によれば、簡単な構造であるので、メンテナンスの必要がない。
また、制振装置1によれば、線状部材2に廃材を利用しているので、経済性や環境性に優れる。
【0030】
なお、この第一実施形態の制振装置1は、架構構造物Cの上部に取り付けると共にこの上に振動源Vを載置する取付方法としたが、他の取付方法で架構構造物Cに取り付けてもかまわない。例えば、図1において破線で示すように(符号1´を示す。)、架構構造物Cの床部の下部に取り付けてもよいし、あるいは、床部に埋設させてもよい。すなわち、振動している部位又はその周辺に取り付ければ、その部位の振動エネルギを消費することができるので、特に取付方法が限定されることはない。
【0031】
(第二実施形態)
続いて、本発明の第二実施形態について説明する。
図3は、本発明の第二実施形態に係る制振装置10の概略構成斜視図である。なお、図1,図2と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
図3に示すように、制振装置10は、複数の線状部材2と、箱体3と、箱体3に充填された粒状体4とを備えている。
粒状体4は、多孔質のセラミック球体からなり、各線状部材2の間及び線状部材2と箱体3との間に入り込んでいる。
【0033】
この第二実施形態に係る制振装置10によれば、振動源Vから制振装置10に振動が伝播すると、上述した制振装置1の作用に加えて、粒状体4同士の摩擦、粒状体4と線状部材2との摩擦、及び、粒状体4と箱体3との摩擦による摩擦エネルギにより、振動源Vからの振動エネルギを大きく消費するので、より大きな減衰能を得ることができる。
【0034】
なお、この第二実施形態に係る制振装置10は、粒状体4として多孔質のセラミックス球体を用いたが、これに限定されずに、鉄球やタングステン球等を用いてもよいし、砂や石炭灰等を用いてもよい。
【0035】
(第三実施形態)
続いて、本発明の第三実施形態について説明する。
図4は、本発明の第三実施形態に係る制振装置11の概略構成斜視図である。なお、図1から図3と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。また、本来ならば、複数の線状部材2を図示するべきであるが、理解容易のために一の線状部材2のみを図示する。
【0036】
図4に示すように、制振装置11は、複数の線状部材2と、箱体3と、箱体3の内側に設けられた三つの案内板5A〜5Cとを備えている。
案内板5(5A〜5C)は、厚さTと略同大の短辺及び幅Wと略同大の長辺からなる板面を有する部材であって、板厚方向に貫通する複数の貫通孔5aが形成されている。この貫通孔5aの断面の大きさは、線状部材2の断面よりも大きくされている。このような案内板5(5A〜5C)は、貫通孔5aの貫通方向(厚さ方向)を箱体3の長手方向に向けて、箱体3の内部に間隔を空けて固定されている。
【0037】
案内板5(5A〜5C)は、線状部材2を貫通孔5aに挿通させており、線状部材2の概ねの位置を規定している。具体的には、案内板5(5A〜5C)は、案内板5(5A〜5C)の配列方向(箱体3の長手方向)と交差する方向に線状部材2をずらして、線状部材2の概ねの位置を規定している。より具体的には、互いに隣接する案内板5A及び5B,案内板5B及び5Cのそれぞれにおいて、箱体3の長手方向の直交断面方向における位置が異なる貫通孔5aに、一の線状部材2が挿通されている。すなわち、一の線状部材2が他の線状部材2と接触する面積が大きくなっている。
【0038】
この第三実施形態に係る制振装置11によれば、線状部材2と線状部材2との接触面積が大きくなるので、摩擦エネルギを大きくすることができ、振動源Vからの振動エネルギを大きく消費し、より大きな減衰能を得ることができる。
【0039】
なお、この第三実施形態に係る貫通孔5aの断面の大きさは、線状部材2の断面よりも大きいものとしたが、線状部材2の断面と略同大にして線状部材2の位置を規定してもよい。
【0040】
(第四実施形態)
続いて、本発明の第四実施形態について説明する。
図5は、本発明の第四実施形態に係る制振装置12の概略構成斜視図である。なお、図1から図4と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
図5に示すように、制振装置12は、複数の線状部材6と、箱体7とを備えている。
【0041】
複数の線状部材6は、線状部材2とほぼ同様のものであるが、線状部材2が概ね一方向に延在しているのに対して、線状部材6が屈曲部分を有して概ね二方向に延在している点で相違する。すなわち、この複数の線状部材6は、各線状部材6の延在方向を一方向に向けた後に、屈曲部6aを介して、各線状部材6の延在方向を上記一方向の直交方向に向けている。
【0042】
箱体7は、線状部材6の延在方向に沿った形状、すなわち、屈曲部分に沿った部位を有しており、線状部材6を収容している。つまり、この箱体7は、線状部材6の延在方向に沿った断面が、略L字状(反対から見れば、逆L字状)となっている。
【0043】
この第四実施形態に係る制振装置12によれば、線状部材6の束が屈曲状態とされており、二方向についての制振が可能となる。また、制振装置の配置スペースが二方向に広がる空間形状である場合に、配置スペースの大部分を占めるように配置することができる。
【0044】
なお、この第四実施形態においては、屈曲部分を一つだけ設ける構成としたが、二つ以上設けてもよい。このようにすることで、三方向以上の制振効果を得ることができる。
【0045】
(第五実施形態)
続いて、本発明の第五実施形態について説明する。
図6は、本発明の第五実施形態に係る制振装置ユニット20の概略構成斜視図である。なお、図1から図5と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
図6に示すように、制振装置ユニット20は、上述した制振装置1を八つ組み合わせて構成したものである。具体的には、制振装置ユニット20は、制振装置1を長さL方向(長手方向)、幅W方向、厚さT方向に、それぞれ二つずつ連設させて構成させている。
【0047】
この構成によれば、制振装置1単体の大きさが配置スペースよりも小さいものであっても、配置スペースの大きさに合わせて制振装置1を連設して、配置スペース全体に制振装置ユニット20を配置することが可能となる。これにより、大きな減衰能を得ることができると共に、配置スペースの様々な空間形状に対応することも可能となる。さらに、制振装置1単体を小さく構成して、取り扱いを容易にすることができる。
【0048】
なお、この第五実施形態の制振装置ユニット20においては、制振装置1を複数連設させる構成としたが、制振装置10,11,12をそれぞれ連設されてもよいし、これらを組み合わせて連設させてもよい。
また、制振装置ユニット20においては、制振装置1を長さL方向(長手方向)、幅W方向、厚さT方向の三方向に連接させる構成としたが、一方向のみに連接させてもよい。
【0049】
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上述した箱体3,7は、線状部材2を収容することができればよいので、必ずしも金属板から構成する必要はなく、特にその材質が限定されることはない。
【0050】
また、上述した各実施形態では、箱体3,7を、その内部に閉空間を形成する蓋付きのものに構成したが、線状部材2を内部に収容し続けることができさえすればよく、上部が開放されたものや、全部又は一部を網状としたもの等を採用することができる。
例えば、箱体3を上部が開放された構成にすれば、制振装置1の配置に伴って線状部材2の調整を容易に行うことができる。
また、箱体3の全部又は一部を網状とすれば、箱体3及び制振装置1の軽量化を図ることができる。
さらに、線状部材2を内部に収容し続けることを条件として、箱体3の代わりに筒状の容器等を用いることも可能である。
【0051】
また、上述した実施の形態では、制振装置10のみに粒状体4を充填する構成としたが、制振装置11,12に粒状体4を充填してもよい。
【0052】
また、上述した各実施形態では、線状部材2として電線を使用したが、電気ケーブルやシールド線、電気コード、金属部材等をチューブ部材に挿通させたもの等、種々のものを使用することができる。
さらに、上述した各実施形態では、線状部材2が二層に構成されたものであったが、三層以上に構成されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1,10,11,12…制振装置
2,6…線状部材
3,7…箱体(容器)
4…粒状体
5(5A〜5C)…案内板
6a…屈曲部
20…制振装置ユニット
C…架構構造物
V…振動源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動源を有する架構構造物の制振装置であって、
多層構造をなす線状部材の束が容器に収容されていることを特徴とする制振装置。
【請求項2】
前記線状部材の表層が高分子材料からなることを特徴とする請求項1に記載の制振装置。
【請求項3】
前記容器は、箱体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の制振装置。
【請求項4】
前記容器は、上部が開放されていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の制振装置。
【請求項5】
前記容器は、少なくとも一部が網状に形成されていることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の制振装置。
【請求項6】
前記容器には、粒状体が充填されていることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の制振装置。
【請求項7】
前記容器の内側に設けられ、前記線状部材が挿通する案内板を備えることを特徴とする請求項1から6のうちいずれか一項に記載の制振装置。
【請求項8】
前記案内板が複数設けられ、
前記線状部材が、前記案内板の配列方向と交差する方向にずらされた状態で、互いに隣接する案内板を挿通していることを特徴とする請求項1から7のうちいずれか一項に記載の制振装置。
【請求項9】
前記線状部材の束が屈曲状態とされると共に、該屈曲部分に沿った形状で前記容器が形成されていることを特徴とする請求項1から8のうちいずれか一項に記載の制振装置。
【請求項10】
請求項1から9までの制振装置を少なくとも一方向に連設させたことを特徴とする制振装置ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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