説明

刺激付与装置

【課題】着座者に刺激を付与するための刺激付与手段の位置をより簡単な作業で変更できるようにする。
【解決手段】シートカバー12の上部12A側の端部12Bには、引掛部材32が設けられており、この引掛部材32は、その先端側に設けられたフック36が車両用シート100のシートレール112に固定される。例えば、大柄な人の場合には、車両用シート100を後側の位置にスライドさせることで、シートカバー12の上部12A側の端部12Bが引掛部材32により引っ張られて、シートカバー12全体をシートバック102の支持面102Aに対し上側にずらすことができ、これにより、シートヒータ28を高い位置に位置させることができる。つまり、車両用シート100の前後位置調整を行うという簡単な作業により、シートヒータ28の支持面102Aに対する位置を着座者の体格や好み等に合わせて変更することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刺激付与装置に係り、特に、車両用シートに装着されて着座者に例えば温熱や押圧等の刺激を付与する刺激付与装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の刺激付与装置としては、次のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。例えば、特許文献1には、マッサージ器付きシートマットの例が開示されている。この特許文献1に記載のマッサージ器付きシートマットでは、マット本体とこのマット本体に対して剥離自在に接着されるフレキシブルカバーとが備えられており、このマット本体とフレキシブルカバーとの間に着座者の好みの位置に合わせて空間を形成することができるようになっている。そして、この空間内に電動バイブレータを内蔵した柱状クッションが挿入されるようになっている。
【特許文献1】実用新案登録第3100677号公報
【特許文献2】特開平11−123218号公報
【特許文献3】特開2004−121279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の例では、電動バイブレータを内蔵した柱状クッションの位置を着座者の好みに合わせて変更するためには、その都度、マット本体に対してフレキシブルカバーを剥離させて空間の位置を変更する必要がある。従って、電動バイブレータを内蔵した柱状クッションの位置をより簡単な作業で変更できるようにするためには改善の余地がある。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、着座者に刺激を付与するための刺激付与手段の位置をより簡単な作業で変更できる刺激付与装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の刺激付与装置は、着座者に刺激を付与するための刺激付与手段と、前記刺激付与手段が支持され、車両用シートにおける着座者を支持する支持面に沿って配置される支持体と、前記支持体の端部に設けられて前記支持体の端部を前記車両用シートに固定すると共に、前記支持体の前記支持面に対する位置が変更されるように前記車両用シートに対する前記支持体の端部の固定位置を変更可能な固定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の刺激付与装置によれば、支持体の端部には、この支持体の端部を車両用シートに固定するための固定手段が設けられており、この固定手段は、車両用シートの支持面に対する支持体の位置が変更されるように車両用シートに対する支持体の端部の固定位置を変更可能としている。
【0007】
従って、車両用シートに対する支持体の端部の固定位置を変更するという簡単な作業により、車両用シートの支持面に対する支持体の位置、ひいては、この支持体に支持された刺激付与手段の支持面に対する位置を着座者の体格や好み等に合わせて変更することができる。
【0008】
請求項2に記載の刺激付与装置は、着座者に刺激を付与するための刺激付与手段と、前記刺激付与手段が支持され、車両用シートにおける着座者を支持する支持面に沿って配置される支持体と、前記支持体の端部に設けられると共に、前記車両用シートの前後位置調整に伴い前記車両用シートに対し相対移動される相対移動部に固定される固定手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の刺激付与装置によれば、支持体の端部には、固定手段が設けられており、この固定手段は、車両用シートの前後位置調整に伴い車両用シートに対し相対移動される相対移動部に固定される。
【0010】
従って、車両用シートの前後位置調整を行うという簡単な作業により、支持体の端部が固定手段により引っ張られて、車両用シートの支持面に対する支持体の位置、ひいては、この支持体に支持された刺激付与手段の支持面に対する位置を着座者の体格や好み等に合わせて変更することができる。
【0011】
請求項3に記載の刺激付与装置は、請求項1又は請求項2に記載の刺激付与装置において、前記刺激付与手段は、着座者に付与する刺激を発生するための刺激発生部、及び、前記刺激発生部を挟んだ両側に配置されて一方が他方よりも外表面から前記刺激発生部までの距離が長く形成された一対のクッション部を有して構成された刺激付与本体部と、前記刺激付与本体部の表面と裏面とを前記支持体に着脱可能に固定するための着脱固定部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の刺激付与装置によれば、刺激付与本体部の表面と裏面とを支持体に着脱可能に固定するための着脱固定部が設けられている。従って、刺激付与本体部をひっくり返して表面と裏面のいずれの面でも支持体に固定することができ、着座者を加温する面を変更できる。
【0013】
ここで、刺激付与本体部において、刺激発生部を挟んだ両側に配置された一対のクッション部は、一方が他方よりも外表面から刺激発生部までの距離が長く形成されている。従って、一方のクッション部が着座者側に位置されるように刺激付与本体部が支持体に固定された場合には、刺激発生部と着座者との距離が長くなるので、着座者に対する刺激を弱くできる。
【0014】
一方、他方のクッション部が着座者側に位置されるように刺激付与本体部が支持体に固定された場合には、刺激発生部と着座者との距離が短くなるので、着座者に対する刺激を強くできる。このように、刺激付与本体部をひっくり返して支持体に固定するという簡単な作業により、刺激発生部から着座者に付与される刺激の強弱を変更することができる。
【0015】
請求項4に記載の刺激付与装置は、請求項1〜請求項3に記載の刺激付与装置において、前記支持体は、前記支持面を外側から覆うシートカバーとされていること特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の刺激付与装置によれば、支持体としてのシートカバーにより車両用シートの支持面を外側から覆うことができる。
【発明の効果】
【0017】
以上詳述したように、本発明によれば、着座者に刺激を付与するための刺激付与手段の位置をより簡単な作業で変更できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態について説明する。
【0019】
図1乃至図4には、本発明の第一実施形態に係る刺激付与装置10が車両用シート100への装着状態で示されている。これらの図に示されるように、刺激付与装置10は、布状のシートカバー12(本発明における支持体に相当)を備えて構成されている。シートカバー12は、車両用シート100に備えられたシートバック102の着座者を支持する支持面102Aの略全体を覆うように構成されている。
【0020】
シートカバー12の上部12Aは、シートバック102における支持面102A側から上部を介して背面102B側へ垂れ掛けられる構成とされている。このシートカバー12の上部12Aには、図1,図2に示されるように、シート前後方向に沿って一対の長穴14が設けられている。この一対の長穴14には、ヘッドレスト106の脚部108が相対移動可能に挿入される。また、図3,図4に示されるように、このシートカバー12の上部12A側の端部12Bは、シートバック102の背面102Bの上部との間に設けられた固定手段としての接合部材16によって背面102Bと固定される。
【0021】
接合部材16は、例えば、面状ファスナ等により構成されており、接合部18と被接合部20とを有している。接合部18は、シートカバー12の上部12A側の端部12Bに一体に設けられており、被接合部20は、シートバック102の背面102Bの上部に一体に設けられる。被接合部20は、接合部18よりも上下方向の長さが長く構成されており、接合部18の接合位置を上下に変更可能としている。
【0022】
一方、シートカバー12の下部12Cは、シートバック102における支持面102Aの下部に位置される。このシートカバー12の下部12C側の端部12Dは、シートバック102の支持面102Aの下部との間に設けられた固定手段としての接合部材22によって支持面102Aと固定される。
【0023】
接合部材22は、上述の接合部材16と同様に、例えば、面状ファスナ等により構成されており、接合部24と被接合部26とを有している。接合部24は、シートカバー12の下部12C側の端部12Dに一体に設けられており、被接合部26は、シートバック102の支持面102Aの下部に一体に設けられる。被接合部26は、接合部24よりも上下方向の長さが長く構成されており、接合部24の接合位置を上下に変更可能としている。
【0024】
また、このシートカバー12における例えば着座者の肩部が接する部位(より具体的には、肩甲骨が接する部位)、腰部が接する部位の内側面には、刺激付与手段としてのシートヒータ28が設けられている。各シートヒータ28は、車両から電力供給を受けて発熱される構成とされている。
【0025】
そして、上記構成からなる刺激付与装置10によれば、以下の作用及び効果を奏する。
【0026】
すなわち、シートカバー12の上部12A側の端部12Bには、この端部12Bをシートバック102の背面102Bに固定するための接合部材16が設けられており、接合部材22は、接合部18よりも被接合部20の方が上下方向の長さが長く構成されて被接合部20に対する接合部18の接合位置を上下に変更可能としている。
【0027】
同様に、シートカバー12の下部12C側の端部12Dには、この端部12Dをシートバック102の支持面102Aに固定するための接合部材22が設けられており、接合部材22は、接合部24よりも被接合部26の方が上下方向の長さが長く構成されて被接合部26に対する接合部24の接合位置を上下に変更可能としている。
【0028】
そして、例えば、小柄な人の場合には、図3に示されるように、シートカバー12全体をシートバック102の支持面102Aに対し下側にずらして、シートカバー12の上部側の接合部18を被接合部20の上側に接合すると共に、シートカバー12の下部側の接合部24を被接合部26の下側に接合する。これにより、シートヒータ28を低い位置に位置させることができる。
【0029】
一方、例えば、大柄な人の場合には、図4に示されるように、シートカバー12全体をシートバック102の支持面102Aに対し上側にずらして、シートカバー12の上部側の接合部18を被接合部20の下側に接合すると共に、シートカバー12の下部側の接合部24を被接合部26の上側に接合する。これにより、シートヒータ28を高い位置に位置させることができる。
【0030】
このように、本発明の第一実施形態に係る刺激付与装置10によれば、シートバック102に対するシートカバー12の端部12B,12Dの固定位置を変更するという簡単な作業により、シートバック102の支持面102Aに対するシートヒータ28の位置を着座者の体格や好み等に合わせて変更することができる。
【0031】
以上、本発明の第一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【0032】
例えば、上記実施形態において、刺激付与装置10は、車両用シート100を構成するシートバック102に位置変更可能に固定されていたが、車両用シート100を構成するシートクッション104に位置変更可能に固定されていても良い。
【0033】
また、上記実施形態では、本発明における刺激付与手段の一例として、シートヒータ28が用いられていたが、例えば、バイブレーション式の電動マッサージ器やツボ刺激器具等が用いられていても良い。
【0034】
また、上記実施形態では、シートカバー12がシートバック102に例えば面状ファスナ等により構成された接合部材16,22によって位置変更可能に固定されていたが、次のようにしても良い。すなわち、例えば、シートカバー12の端部12B,12Dに複数のボタン穴が設けられると共に、シートバック102にボタンが設けられ、この複数のボタン穴のいずれかにボタンが係合されることで、シートカバー12がシートバック102に位置変更可能に固定されるように構成されていても良い。
【0035】
また、上記実施形態では、シートカバー12の下部12Cがシートバック102における背面102Bの下部に接合部材22により固定される構成とされていたが、この接合部材22が省かれた構成とされていても良い。
【0036】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
【0037】
図5,図6には、本発明の第二実施形態に係る刺激付与装置30が車両用シート100への装着状態で示されている。本発明の第二実施形態に係る刺激付与装置30は、上述の第一実施形態に係る刺激付与装置10に対し、接合部材16,22の代わりに固定手段としての引掛部材32を備えたものである。
【0038】
なお、本発明の第二実施形態において、引掛部材32以外の構成については上述の本発明の第一実施形態と同一であるので、この同一の構成については上述の本発明の第一実施形態と同一の符合を用いることとしその説明を省略する。
【0039】
本発明の第二実施形態に係る刺激付与装置30において、引掛部材32は、シートカバー12の上部12A側の端部12Bに一体に設けられている。この引掛部材32は、紐材34を有すると共にこの紐材34の先端部にフック36を有して構成されている。フック36は、車両用シート100をフロア110に対して前後に位置調整するためのシートレール112(相対移動部)の孔部114に引っ掛けられる。
【0040】
そして、上記構成からなる刺激付与装置30によれば、以下の作用及び効果を奏する。
【0041】
すなわち、シートカバー12の上部12A側の端部12Bには、引掛部材32が設けられており、この引掛部材32は、その先端側に設けられたフック36が車両用シート100の前後位置調整に伴い車両用シート100に対し相対移動されるシートレール112に固定される。
【0042】
そして、例えば、小柄な人の場合には、図5に示されるように、車両用シート100を前側の位置にスライドさせておくことで、シートカバー12全体をシートバック102の支持面102Aに対し下側に位置させることができる。これにより、シートヒータ28を低い位置に位置させることができる。
【0043】
一方、例えば、大柄な人の場合には、図6に示されるように、車両用シート100を後側の位置にスライドさせることで、シートカバー12の上部12A側の端部12Bが引掛部材32により引っ張られて、シートカバー12全体をシートバック102の支持面102Aに対し上側にずらすことができる。これにより、シートヒータ28を高い位置に位置させることができる。
【0044】
このように、本発明の第二実施形態に係る刺激付与装置30によれば、車両用シート100の前後位置調整を行うという簡単な作業により、車両用シート100の支持面102Aに対するシートカバー12の位置、ひいては、このシートカバー12に設けられたシートヒータ28の支持面102Aに対する位置を着座者の体格や好み等に合わせて変更することができる。
【0045】
以上、本発明の第二実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【0046】
例えば、上記実施形態において、引掛部材32のフック36は、シートレール112に固定されていたが、フロア110(相対移動部)に直接的に固定されていても良い。
【0047】
また、シートカバー12の端部12Bと反対側の端部は、シートバック102の下部に伸縮性のある部材で連結されていても良い。本構成とした場合には、シートカバー12の不用意なズレの防止ができると共に、シートカバー12を常に張設した状態とすることができ見栄えを良くすることができる。
【0048】
また、本発明の第二実施形態において、上述の第一実施形態と同一の構成については上述の本発明の第一実施形態と同様に変形できることは勿論である。
【0049】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
【0050】
図7,図8には、本発明の第三実施形態に係る刺激付与装置40が車両用シート100への装着状態で示されており、図9には、本発明の第三実施形態に係る刺激付与装置40に備えられたシートヒータ42の分解斜視図が示されている。本発明の第三実施形態に係る刺激付与装置40は、上述の第一実施形態に係る刺激付与装置10に対し、シートヒータ28の代わりに刺激付与手段としてのシートヒータ42を備えたものである。
【0051】
なお、本発明の第三実施形態において、シートヒータ42以外の構成については上述の本発明の第一実施形態と同一であるので、この同一の構成については上述の本発明の第一実施形態と同一の符合を用いることとしその説明を省略する。
【0052】
本発明の第三実施形態に係る刺激付与装置40において、シートヒータ42は、図7,図8に示されるように、シートカバー12における例えば着座者の肩部が接する部位(より具体的には、肩甲骨が接する部位)、腰部が接する部位の外側面に配置されている。
【0053】
各シートヒータ42は、図9に示されるように、発熱部44(刺激発生部)、一対のクッション部46,48、表皮材50からなるシートヒータ本体部52(刺激付与本体部)を備えている。発熱部44は、例えば電熱線ヒータ等により構成され、車両から電力供給を受けて発熱される構成とされている。
【0054】
一対のクッション部46,48は、発熱部44を挟んだ両側に配置されており、一方(表面側)のクッション部46は、他方(裏面側)のクッション部48よりも発熱部44までの厚みが厚く形成されている(t1>t2)。表皮材50は、上述の発熱部44及び一対のクッション部46,48の全体を覆う構成とされている。
【0055】
また、シートヒータ本体部52の表面と裏面には、シートカバー12に一体に設けられる被接合部58とで例えば面状ファスナ等の接合部材54(着脱固定部)を構成する接合部56がそれぞれ一体に設けられている。
【0056】
そして、上記構成からなる刺激付与装置40によれば、以下の作用及び効果を奏する。
【0057】
すなわち、本発明の第三実施形態に係る刺激付与装置40では、シートヒータ本体部52の表面と裏面とをシートカバー12に着脱可能に固定するための接合部材54が設けられている。従って、シートヒータ本体部52をひっくり返して表面と裏面のいずれの面でもシートカバー12に固定することができ、着座者を加温する面を変更できる。
【0058】
ここで、シートヒータ本体部52において、発熱部44を挟んだ両側に配置された一対のクッション部46,48は、一方が他方よりも発熱部44までの厚みが厚く形成されている(t1>t2)。従って、一方のクッション部46が着座者側に位置されるようにシートヒータ本体部52がシートカバー12に固定された場合には、発熱部44と着座者との距離が長くなるので、着座者に対する加熱温度を低くできる。
【0059】
一方、他方のクッション部48が着座者側に位置されるようにシートヒータ本体部52がシートカバー12に固定された場合には、発熱部44と着座者との距離が短くなるので、着座者に対する加熱温度を高くできる。
【0060】
このように、本発明の第三実施形態に係る刺激付与装置40によれば、シートヒータ本体部52をひっくり返してシートカバー12に固定するという簡単な作業により、着座者に対する加熱温度の高低を変更することができる。
【0061】
ここで、本発明の第三実施形態に係る刺激付与装置40の応用例について説明する。図10,図11には、本発明の第三実施形態に係る刺激付与装置40の応用例が示されている。これらの図に示される車両用シート100のシートクッション104には、シートヒータ116が設けられている。
【0062】
シートヒータ116は、刺激付与装置40に設けられたシートヒータ42と同様に、表面と裏面のいずれの面でもシートクッション104に固定することができると共に、表面は温度が低く裏面は温度が高い構成とされている。
【0063】
そして、例えば、着座者の肩凝りを改善するためには、次のようにすれば良い。すなわち、図10に示されるように、刺激付与装置40の各シートヒータ42については、温度が高い裏面を着座者側にしてシートカバー12に固定し、シートクッション104のシートヒータ116については、温度が低い表面を着座者側にしてシートクッション104に固定する。このようにすれば、着座者の肩部から腰部に至る部位を重点的に温めることができ、これにより、着座者の肩部から腰部に至る部位の血流を促進でき、着座者の肩凝りを改善できる。
【0064】
一方、例えば、着座者の冷え性を改善するためには、次のようにすれば良い。すなわち、図11に示されるように、刺激付与装置40の各シートヒータ42については、温度が低い表面を着座者側にしてシートカバー12に固定し、シートクッション104のシートヒータ116については、温度が高い裏面を着座者側にしてシートクッション104に固定する。このようにすれば、着座者の大腿部の裏側を重点的に温めることができ、これにより、着座者の大腿部から足先に至る部位の血流を促進でき、着座者の冷え性を改善できる。
【0065】
このように、本発明の第三実施形態に係る刺激付与装置40は、車両用シート100に設けられたシートヒータ116と組み合わせて使用されることにより、着座者に対しより快適な車室内空間を提供することができる。
【0066】
以上、本発明の第三実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【0067】
例えば、上記実施形態では、本発明における刺激付与手段の一例として、シートヒータ42が用いられていたが、例えば、バイブレーション式の電動マッサージ器やツボ刺激器等が用いられていても良い。
【0068】
また、刺激付与手段としてツボ刺激器62が用いられる場合には、次のようにしても良い。例えば、図12に示される変形例において、ツボ刺激器62は、ツボ刺激部64(刺激発生部)、一対のクッション部66,68、表皮材70からなるツボ刺激本体部72(刺激付与本体部)を備えている。ツボ刺激部64は、表面側と裏面側に複数のツボ刺激用の突起74,76をそれぞれ有して構成されている。
【0069】
一対のクッション部66,68は、ツボ刺激部64を挟んだ両側に配置されており、一方(表面側)のクッション部66は、他方(裏面側)のクッション部68よりもツボ刺激部64までの厚みが厚く形成されている(t3>t4)。そして、ツボ刺激本体部72は、図示しない例えば面状ファスナ等の着脱固定部により表面と裏面のいずれの面でもシートカバー12に固定することができるようになっている。
【0070】
このような構成によれば、ツボ刺激本体部72をひっくり返してシートカバー12に固定するという簡単な作業により、着座者に対するツボ刺激の強弱を変更することができる。
【0071】
また、上記変形例では、ツボ刺激部64の各突起74,76の高さが同一とされ、一方(表面側)のクッション部66が、他方(裏面側)のクッション部68よりもツボ刺激部64までの厚みが厚く形成されていたが(t3>t4)、次のようにしても良い。
【0072】
すなわち、例えば、図13に示されるように、一対のクッション部66,68のツボ刺激部64までの厚みは同一とされているが(t3=t4)、ツボ刺激部64の表面側の突起74の高さが裏面側の突起76の高さよりも低く形成されていても良い。つまり、一方のクッション部66の外表面から各突起74までの距離L3の方が他方のクッション部68の外表面から各突起76までの距離L4よりも長くなるように構成されていても良い(L3>L4)。
【0073】
このような構成によっても、ツボ刺激本体部72をひっくり返してシートカバー12に固定するという簡単な作業により、着座者に対するツボ刺激の強弱を変更することができる。
【0074】
また、本発明の第三実施形態において、上述の第一実施形態と同一の構成については上述の本発明の第一実施形態と同様に変形できることは勿論である。
【0075】
また、上記実施形態において、刺激付与装置40は、上述の第一実施形態に係る刺激付与装置10に対し、シートヒータ28の代わりにシートヒータ42を備えた構成とされていたが、上述の第二実施形態に係る刺激付与装置30に対し、シートヒータ28の代わりにシートヒータ42を備えた構成とされていても良い。
【0076】
また、この場合に、上述の第二実施形態と同一の構成については上述の本発明の第二実施形態と同様に変形できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第一実施形態に係る刺激付与装置の車両用シートへの装着状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る刺激付与装置の車両用シートへの装着状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る刺激付与装置の車両用シートへの装着状態を示す側面図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る刺激付与装置の車両用シートへの装着状態を示す側面図である。
【図5】本発明の第二実施形態に係る刺激付与装置の車両用シートへの装着状態を示す側面図である。
【図6】本発明の第二実施形態に係る刺激付与装置の車両用シートへの装着状態を示す側面図である。
【図7】本発明の第三実施形態に係る刺激付与装置の車両用シートへの装着状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の第三実施形態に係る刺激付与装置の車両用シートへの装着状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の第三実施形態に係る刺激付与装置に備えられたシートヒータの分解斜視図である。
【図10】本発明の第三実施形態に係る刺激付与装置の応用例を示す図である。
【図11】本発明の第三実施形態に係る刺激付与装置の応用例を示す図である。
【図12】本発明の第三実施形態に係る刺激付与装置の変形例を示す図である。
【図13】本発明の第三実施形態に係る刺激付与装置の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
10,30,40 刺激付与装置
12 シートカバー(支持体)
16,22 接合部材(固定手段)
28,42 シートヒータ(刺激付与手段)
32 引掛部材(固定手段)
44 発熱部(刺激発生部)
46,48,66,68 クッション部
52 シートヒータ本体部(刺激付与本体部)
54 接合部材(着脱固定部)
62 ツボ刺激器(刺激付与手段)
64 ツボ刺激部(刺激発生部)
72 ツボ刺激本体部(刺激付与本体部)
110 フロア(相対移動部)
112 シートレール(相対移動部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座者に刺激を付与するための刺激付与手段と、
前記刺激付与手段が支持され、車両用シートにおける着座者を支持する支持面に沿って配置される支持体と、
前記支持体の端部に設けられて前記支持体の端部を前記車両用シートに固定すると共に、前記支持体の前記支持面に対する位置が変更されるように前記車両用シートに対する前記支持体の端部の固定位置を変更可能な固定手段と、
を備えたことを特徴とする刺激付与装置。
【請求項2】
着座者に刺激を付与するための刺激付与手段と、
前記刺激付与手段が支持され、車両用シートにおける着座者を支持する支持面に沿って配置される支持体と、
前記支持体の端部に設けられると共に、前記車両用シートの前後位置調整に伴い前記車両用シートに対し相対移動される相対移動部に固定される固定手段と、
を備えたことを特徴とする刺激付与装置。
【請求項3】
前記刺激付与手段は、
着座者に付与する刺激を発生するための刺激発生部、及び、前記刺激発生部を挟んだ両側に配置されて一方が他方よりも外表面から前記刺激発生部までの距離が長く形成された一対のクッション部を有して構成された刺激付与本体部と、
前記刺激付与本体部の表面と裏面とを前記支持体に着脱可能に固定するための着脱固定部と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の刺激付与装置。
【請求項4】
前記支持体は、前記支持面を外側から覆うシートカバーとされていること特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の刺激付与装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−28142(P2009−28142A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−193245(P2007−193245)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】