説明

刺激緩和ポリマーおよびその使用

ポリマーの中和度(DN)を低下させることで界面活性剤組成物の臨界ミセル濃度を上げて疎水性修飾(メタ)アクリル系ポリマーの有効性を高める方法を開示する。本発明による例示的な実施形態は、組成物を含む界面活性剤のレオロジー特性に実質的な影響を与えずに組成物を含むそうした界面活性剤に一般に認められる眼および皮膚刺激を緩和する非架橋線状アクリルコポリマーを対象とする。非架橋線状ポリマーは、ポリ(メチルメタクリラート)標準で較正したゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した数平均分子量(M)が100,000以下の低分子量ポリマーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一態様では、本発明は、組成物を含む界面活性剤に溶かした低分子量の非架橋線状アクリルコポリマーならびに眼および/または皮膚刺激緩和剤としてのその使用に関する。本発明の例示的な実施形態は、低分子量の非架橋線状アクリルコポリマーと一緒に界面活性剤(単数または複数)を含むパーソナルケアクレンジング用刺激緩和組成物、家庭ケア洗浄用刺激緩和組成物ならびに工業および施設ケア洗浄用刺激緩和組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤は、湿潤剤、洗剤および乳化剤として水性パーソナルケア、家庭ケアおよび工業および施設ケア配合物において広く使用されている。パーソナルケアクレンジング製品(たとえば、シャンプー、ボディーソープ、洗顔剤、液体ハンドソープなど)、家庭ケア洗浄製品(たとえば、硬質表面洗浄剤、洗濯洗剤、食器用洗剤、自動皿洗い機用洗剤、シャワークレンザー、浴室クレンザー、車用洗剤など)ならびに工業および施設ケア洗浄剤(強力洗浄剤、洗剤など)では、浄化剤の配合において界面活性剤パッケージが最も重要な要素の1つである。これらの組成物は通常、浄化活性成分として1種または複数種の界面活性剤の混合物を含む。界面活性剤は、1)汚れた基質の湿潤性の向上;2)基質からの汚れの離脱;および3)水性洗浄媒体中の離脱した汚れ粒子の乳化、可溶化および/または懸濁を行う。
【0003】
クレンジングまたは洗浄用途であれば、原則としていずれの界面活性剤クラス(陽イオン、陰イオン、非イオン、両性など)も好適であるが、実際には大部分のパーソナルケアクレンザーおよび家庭洗浄製品は、陰イオン界面活性剤と配合されるか、第1の浄化薬としての陰イオン界面活性剤と他の界面活性剤クラスから選択される1種または複数種の第2の界面活性剤との組み合わせと配合される。陰イオン界面活性剤は、洗浄特性および起泡特性に優れているため、クレンザーおよび洗浄製品中の浄化薬として使用されることが多い。消費者の立場から見ると、泡の量および安定性は、組成物の使用時の洗浄効率に直接関係する。一般的に言えば、発生する泡の体積が大きくて泡の安定性が高いほど、組成物の使用時の洗浄作用が効率化される。従来からこれらの配合物に用いられている例示的な陰イオン界面活性剤として、アルキルスルファートおよびアルキルベンゼンスルホナートが挙げられる。陰イオン界面活性剤、特に陰イオン性スルファートおよびスルホナートは有効な浄化薬であり、泡の体積が大きく泡安定性特性がある一方で、眼刺激性が強く、感作された一部の人に軽度から中度の皮膚刺激を引き起こす恐れがある。そのため、水性クレンジング組成物が高起泡性であると同時に低刺激性であることが、消費者にとりますます重要になってきている。こうした複合特性は、クレンジング組成物がヒトの皮膚および毛髪に局所的に付着した場合、特に有用である。したがって、こうした特性を持つシャンプー、バスアンドシャワージェルおよび洗顔剤などのクレンジング製品を提供すべく、多くの試みがなされている。こうした製品を提供する上での主な問題は、2つの特性が相互に両立しないことが多いことにある。高起泡性の浄化界面活性剤は通常刺激が非常に強いのに対し、低刺激性の界面活性剤は起泡特性が不十分であることが多い。
【0004】
陰イオン性スルファートにより引き起こされる刺激は、エトキシル化により低減できることが知られている。しかしながら、エトキシル化で刺激を低減すると、それに伴い同時に泡体積が減少する。たとえば、高起泡性界面活性剤のラウリル硫酸ナトリウムはかなりの眼刺激を引き起こす。これに対し、ラウレス−12硫酸ナトリウム(12エトキシ基を含む対応するエトキシラート)は、ほぼ完全に非刺激性ではあるものの薬としての起泡性に乏しい(Schoenberg,「Baby Shampoo」,Household & Personal Products Industry 60(September 1979)を参照)。エトキシル化アルキルスルファートの起泡特性が乏しいことは、他の多くの刊行物で報告されている。たとえば、特許文献1では、アルキル(C10〜C18)スルファートにエトキシ基を5つを超えて付加すると、この分子の起泡特性が著しく低下することが開示されている。泡を生成する陰イオン界面活性剤の一部の代わりに極めて低刺激性の第2の界面活性剤を用いることで、陰イオン界面活性剤の有害な刺激作用を減弱させる別の試みも行われている。陰イオン界面活性剤は、特許文献2に開示されているように非イオンおよび/または両性界面活性剤と併用されている。しかしながら、クレンジング組成物または洗浄組成物中の陰イオン界面活性剤の量を減らすと、組成物の浄化特性および起泡特性に悪影響を与える。
【0005】
パーソナルケアクレンジング組成物の高いクレンジング特性および起泡特性を維持しつつ陰イオン浄化界面活性剤の有害な刺激作用を減弱させる別のアプローチは、ジョンソンアンドジョンソンコンシューマーカンパニーズインク(Johnson & Johnson Consumer Companies,Inc.)の特許文献3に開示されている。眼および/または皮膚刺激が比較的小さく、かつ比較的高い起泡特性および泡安定特性を維持しているパーソナルケア組成物を製造するため、界面活性剤に結合可能なある種の疎水性修飾材料と陰イオン界面活性剤を併用し得ることが開示されている。開示された疎水性修飾材料には、少なくとも1つのエチレン性不飽和カルボン酸モノマーと少なくとも1つの疎水性修飾エチレン性不飽和モノマーとから合成される疎水性修飾架橋アクリルコポリマーがある。この開示では、例示的な疎水性修飾アクリルポリマーがノベオンインク(Noveon,Inc.)への特許文献4に記載されていることが示されている。ジョンソンアンドジョンソンの開示はさらに、界面活性剤のバインダー用途に好適なポリマーとしてCarbopol(登録商標)Aqua SF−1およびCarbopol(登録商標)ETD2020という商標名で入手可能なポリマーも例示している。どちらもルーブリゾールアドバンスドマテリアルズインクのノベオンコンシューマースペシャリティーズ(Noveon Consumer Specialties of Lubrizol Advanced Materials,Inc.)が提供している。
【0006】
ここで留意すべきは、特許文献4に開示されたポリマーならびにCarbopol(登録商標)Aqua SF−1およびETD2020という商標名で知られるポリマーが架橋されている点にある。特許文献4の第5欄32行には、「本発明のコポリマーは望ましくは架橋モノマーにより架橋されている」と開示されている。さらに、特許文献4の開示に例示されるポリマーはすべて、架橋モノマーを含む。商品資料には、Carbopol(登録商標)Aqua SF−1ポリマーについて、「...界面活性剤系の様々なパーソナルクレンジング製品に懸濁特性、安定化特性および増粘特性を与えるように設計され、軽く架橋された架橋アクリルポリマー分散液」(ルーブリゾールアドバンスドマテリアルズインクのノベオンコンシューマースペシャリティーズのテクニカルデータシートTDS−294(2003年7月))と記載され、Carbopol(登録商標)ETD2020ポリマーについて、「...毒性学的に好ましい共溶媒系で処理した「分散しやすい」架橋ポリアクリル酸コポリマー」(ルーブリゾールアドバンスドマテリアルズインクのノベオンコンシューマースペシャリティーズのテクニカルデータシートTDS−187(2002年1月))と記載されている。前述のアクリル系架橋ポリマーは、相互に連結して三次元網目構造を形成し、そのレオロジー特性および構造構築特性からパーソナルケア用途で長期にわたり使用されている非線状分枝ポリマー鎖である。こうした水溶性または分散性ポリマーには、中和時に、極めて低いと見られる濃度であっても溶解または分散している液体の粘度を著しく増加させる特有の能力がある。
【0007】
上掲のジョンソンアンドジョンソンで論じたように、この出願人はその中で、溶液中の陰イオン界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC:critical micelle concentration)と界面活性剤が刺激を引き起こす傾向との関係を開示している。CMCは、ジョンソンアンドジョンソンの開示の図1の曲線11で示されている。界面活性剤を水を入れた容器(標準的な大きさ)に連続的に加えると、界面活性剤は最初水/界面活性剤溶液の表面(液体/空気界面)に集まる。界面表面積のほぼすべてが満たされるまで、界面活性剤を連続的に加えるごとに溶液の表面張力が同時に低下する。界面活性剤の添加を続けると、溶液中にミセルが形成される。界面活性剤をさらに加えても溶液の表面張力に明らかな影響が何ら確認されない界面活性剤の濃度をCMC(曲線11のポイント12)と定義される。CMC点の後に界面活性剤をさらに加えると、刺激を引き起こすことが明らかになっている。一方、図1の曲線15に示すように、陰イオン界面活性剤を疎水性修飾材料を含む水溶液に加えると、CMCは移動して界面活性剤の濃度が著しく高くなる。したがって、疎水性修飾架橋アクリルコポリマーを添加すれば、クレンジングおよび洗浄組成物において眼および皮膚刺激作用を起こすことなくより高濃度の陰イオン界面活性剤を用いることができる。
【0008】
疎水性修飾架橋アクリル系コポリマーは、組成物を含む界面活性剤の眼および皮膚刺激を緩和することが明らかになっているものの、そうしたポリマーの使用が問題となる場合もある。前述のように、疎水性修飾架橋コポリマーは溶解または分散している組成物の粘度を増加させる粘度上昇剤である。陰イオン界面活性剤の有害な刺激作用を緩和するためクレンジングまたは洗浄配合物に加える粘度上昇薬の量を増加させると、それに伴い組成物の粘度も増加する。液体のクレンザーまたは洗浄剤の粘度を理想的なものにすべきであることは、パーソナルケア、家庭ケアおよび工業および施設ケア配合技術分野においてよく知られている。実際に粘度があると、低粘度の製品と比べて使用中の製品の取り扱いおよび計量分配が思い通りにできる。パーソナルケアクレンジング用途では、感覚からすると高粘度の濃縮シャンプーまたはボディークレンザーは消費者にとって魅力的である。家庭ケア用途では、便器、流し台、シャワー室、浴槽および同種のものなど水平でない表面に製品を塗布する場合、粘度によりその有効性を高めることができる。さらに、クレンジングおよび洗浄製品は、使いやすさも期待されている。言い換えれば、液体組成物の剪断減粘性プロファイルは、低剪断条件では高粘度を示し、高剪断条件ではより低粘度を示し、製品の塗布および洗浄対象の基質からの除去に資する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,132,678号明細書
【特許文献2】米国特許第4,726,915号明細書
【特許文献3】国際公開第2005/023870号パンフレット
【特許文献4】米国特許第6,433,061号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、製品の粘度が理想的な粘度を超えて上昇すると、いくつかの問題が生じる。非常に高粘稠な製品は、特に粘度上昇剤の剪断減粘性プロファイルが不十分な場合、塗布と洗い流しが難しいのが一般的である。さらに、高粘度であると、製品のパッケージング、計量分配、溶解ならびに起泡特性および感覚特性に悪影響を及ぼす恐れもある。したがって、組成物を含む界面活性剤の理想的な粘度プロファイルを大きく変えない刺激緩和剤が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による例示的な実施形態は、組成物を含む界面活性剤のレオロジー特性に実質的な影響を与えずに組成物を含むそうした界面活性剤に一般に認められる眼および皮膚刺激を緩和する非架橋線状アクリルコポリマーを対象とする。非架橋線状ポリマーは、ポリ(メチルメタクリラート)(PMMA:poly(methyl methacrylate))標準で較正したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography)により測定した数平均分子量(M)が100,000以下の低分子量ポリマーである。このコポリマー緩和剤は、少なくとも2つのモノマー要素から重合される。第1のモノマー要素は、少なくとも1つのカルボン酸基を含む1種または複数種のα,β−エチレン性不飽和モノマーから選択される。この酸基については、一酸もしくは二酸、ジカルボン酸の無水物、二酸のモノエステルおよびこれらの塩から誘導してもよい。第2のモノマー要素は疎水性修飾され(第1のモノマー要素に対して)、(メタ)アクリル酸の直鎖および分枝C〜Cアルキルエステル、直鎖および分枝C〜C10カルボン酸のビニルエステルおよびこれらの混合物など、C〜Cアルキル基を含む1種または複数種のα,β−エチレン性不飽和非酸性モノマーから選択される。本発明の一態様では、第2のモノマー要素は、以下の式で表され:
CH=CRX
式中、Rは水素またはメチルであり;Xは−C(O)ORまたは−OC(O)Rであり;Rは直鎖または分枝C〜Cアルキルであり;Rは水素または直鎖もしくは分枝C〜Cアルキルである。本発明の別の態様では、RおよびRは直鎖または分枝C〜Cアルキルであり、さらなる態様では、RおよびRは直鎖または分枝C〜Cアルキルである。
【0012】
例示的な第1のモノマー要素として、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、アコニット酸およびこれらの混合物が挙げられる。例示的な第2のモノマー要素として、エチル(メタ)アクリラート、ブチル(メタ)アクリラート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリラート、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、1−メチルビニルアセタート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ビニル2−エチルヘキサノアート、ピバル酸ビニル、ネオデカン酸ビニルおよびこれらの混合物が挙げられる。本明細書で使用する場合、「(メタ)アクリル」酸および「(メタ)アクリラート」という語は、対応するアクリル酸のメチル誘導体および対応するアルキルアクリラートを含むことを意図している。たとえば、「(メタ)アクリル」酸は、アクリル酸および/またはメタクリル酸をいい、「(メタ)アクリラート」とは、アルキルアクリラートおよび/またはアルキルメタクリラートをいう。
【0013】
本発明の非架橋線状アクリルコポリマー緩和剤については、当該技術分野において公知のフリーラジカル重合法により合成してもよい。本発明の一態様では、使用する第1のモノマー要素と第2のモノマー要素の量は、重合媒体中のすべてのモノマーの総重量に対して約20:80wt.%〜約50:50wt.%にわたる。別の態様では、第1のモノマー要素と第2のモノマー要素の重量比は、重合媒体中のすべてのモノマーの総重量に対して約35:65wt.%であり、さらなる態様では、第1のモノマー要素と第2のモノマー要素の重量比は、重合媒体中のすべてのモノマーの総重量に対して約25:75wt.%である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】架橋アクリル系ポリマーとポリマー実施形態本発明の中和ポリマー粘質物を比較した粘度曲線のグラフである。
【図2】架橋アクリル系ポリマーを含む陰イオン界面活性剤組成物と、本発明のポリマー実施形態を含む陰イオン界面活性剤組成物とのCMC値を様々なポリマー中和度で比較したグラフである。
【図3】ポリマーの濃度レベルを上昇させたときの架橋アクリル系ポリマーを含む非イオン界面活性剤組成物と、本発明のポリマー実施形態を含む非イオン界面活性剤組成物とのCMC値を示すグラフである。
【図4】架橋アクリル系ポリマーと本発明のポリマー実施形態の粘度曲線を様々な中和度で比較したグラフである。左側の縦軸は架橋アクリル系ポリマーの粘度値を示し、右側の縦軸は本発明のポリマー実施形態の粘度値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
別の態様では、エマルジョン重合法を用いて本発明の非架橋線状アクリルコポリマー緩和剤を合成してもよい。通常のエマルジョン重合では、好適な反応器において本開示のモノマーの混合物を、好適な量の水に溶かした、たとえば、陰イオン界面活性剤(脂肪アルコールスルファートまたはアルキルスルホナートなど)などの乳化界面活性剤の溶液に混合撹拌しながら加え、モノマーエマルジョンを調製する。窒素でスパージするなど任意の簡便な方法で、このエマルジョンから酸素を除去し、次いで過硫酸ナトリウムまたはエマルジョン重合技術分野でよく知られている他の任意の好適な付加重合触媒などの重合触媒(開始剤)を加えて重合反応を開始させる。この重合媒体を、重合が終了するまで、一般に約4〜約16時間の範囲で掻き混ぜる。必要に応じて開始剤の添加前に、このモノマーエマルジョンを約70〜約95℃の範囲の温度まで加熱してもよい。未反応モノマーについては、エマルジョン重合技術分野でよく知られているように触媒をさらに加えてを除去することができる。その後得られたポリマーエマルジョン生成物を反応器から取り出し、保存または使用のため包装してもよい。任意に、反応器から取り出す前にエマルジョンのpHまたは他の物理的および化学的特性を調整してもよい。一般に、生成物エマルジョンの全固形分は約10〜約50wt.%の範囲にある。一般に、生成物エマルジョンの全ポリマー量(ポリマー固形分)は、約15〜約45wt.%の範囲、通常約35wt.%以下である。
【0016】
エマルジョン重合の促進に好適な界面活性剤には、非イオン、陰イオン、両性、陽イオン界面活性剤およびこれらの混合物がある。エマルジョン重合には、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤およびこれらの混合物が用いられることが最も多い。
【0017】
エマルジョン重合の促進に好適な非イオン界面活性剤は、ポリマー技術分野でよく知られており、直鎖または分枝アルコールエトキシラート、オクチルフェノールエトキシラートなどのC〜C12アルキルフェノールアルコキシラート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーおよび同種のものなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。他の有用な非イオン界面活性剤として、ポリオキシエチレングリコール、モノおよびジグリセリドのC〜C22脂肪酸エステル、ソルビタンエステルおよびエトキシル化ソルビタンエステル、C〜C22脂肪酸グリコールエステル、HLB(hydrophilic−lipophilic balance)値が約15を超えるエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー、エトキシル化オクチルフェノールおよびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0018】
例示的なアルキルフェノールアルコキシラート界面活性剤として、ローディアインク(Rhodia,Inc.)からIGEPAL(登録商標)CA−897という商標名で販売されているオクチルフェノールがある。例示的な直鎖アルコールアルコキシラートとして、BASFコープ(BASF Corp.)からPLURAFAC(登録商標)C−17、PLURAFAC(登録商標)A−38およびPLURAFAC(登録商標)A−39という商標名で販売されているセテアリールアルコール(セチルアルコールとステアリルアルコールの混合物)のポリエチレングリコールエーテルが挙げられる。例示的なポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとして、BASFコープからPLURONIC(登録商標)F127およびPLURONIC(登録商標)L35という商標名で販売されているコポリマーが挙げられる。
【0019】
他の例示的な非イオン界面活性剤には、DISPONIL(登録商標)A 5060(コグニス(Cognis))などのエトキシル化(50)直鎖脂肪アルコール、GENAPOL(登録商標)X 1005(クラリアントコープ(Clariant Corp.))などの分枝アルキルエトキシラート、TERGITOL(登録商標)S15−30およびS15−40(ダウケミカルコープ(Dow Chemical Co.))などの第二級C12〜C14アルコールエトキシラート、トリトン(登録商標)X−305、X−405およびX−705(ダウケミカルコープ)などのエトキシル化オクチルフェノール系界面活性剤、IGEPAL(登録商標)CA 407、887および897(ローディアインク)、ICONOL(登録商標)OP 3070および4070(BASFコープ)、SYNPERONIC(登録商標)OP 30および40(ユニケマ(Uniqema))、PLURONIC(登録商標)L35およびF127(BASFコープ)などのエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーおよびEMULSOGEN(登録商標)EPN 407(クラリアントコープ)などの第二級C11アルコールエトキシラートがある。商品資料では他の多数のサプライヤーも確認される。
【0020】
エマルジョン重合の促進に好適な陰イオン界面活性剤は、ポリマー技術分野でよく知られており、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジ−sec−ブチルナフチレンスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルスルホン酸二ナトリウムおよびn−オクタデシルスルホコハク酸二ナトリウムおよび同種のものが挙げられる。
【0021】
エマルジョン重合プロセスにおいてはポリマー安定剤(保護コロイドとも呼ばれる)を用いてもよい。ポリマー安定剤には、たとえば、ポリビニルアルコール、部分的に加水分解されたポリビニルアセタート、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、カルボキシラート官能基付加ポリマー、ポリアルキルビニルエーテルおよび同種のもののような合成ポリマーなどの水溶性ポリマー;ゼラチン、ペクチン、アルギナート、カゼイン、デンプンおよび同種のものなどの水溶性天然ポリマー;およびメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アリル変性ヒドロキシエチルセルロースおよび同種のものなどの変性天然ポリマーがある。場合によっては、合成保護コロイドと天然保護コロイドの混合物、たとえば、ポリビニルアルコールとカゼインの混合物を用いると都合がよい場合がある。さらに、好適な天然ポリマーとして、メチルヒドロキシエチルセルロースおよびカルボキシメチルメチルセルロースなどの混合エーテルが挙げられる。ポリマー安定剤については、エマルジョン総重量に対して最大約2wt.%の量で用いてもよい。一態様では、ポリマー安定剤を使用する場合、約0.0001〜約2wt.%の範囲の量で含ませ、別の態様では約0.01wt.%〜約1.0wt.%の範囲で含ませてもよい。
【0022】
例示的なフリーラジカル開始剤として、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムおよび過硫酸ナトリウムなどの水溶性無機過硫酸化合物;過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチルおよび過酸化ラウリルなどのペルオキシド;クメンヒドロペルオキシドおよびt−ブチルヒドロペルオキシドなどの有機ヒドロペルオキシド;過酢酸などの有機過酸;2,2’−アゾビスイソブチロニトリルおよび同種のものなどの油溶性フリーラジカル発生剤ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。ペルオキシドおよび過酸を任意に、重亜硫酸ナトリウムまたはアスコルビン酸、遷移金属、ヒドラジン、2−ヒドロキシ−2−スルフィナトアセタートの二ナトリウム塩と2−ヒドロキシ−2−スルホナトアセタートの二ナトリウム塩と亜硫酸ナトリウムとの混合物を含むBruggolite(登録商標)FF6(ブリュッグマンケミカルUS(Bruggemann Chemical US)から市販されている)などのスルフィン酸誘導体および同種のものなどの還元剤により活性化してもよい。他のフリーラジカル重合開始剤には、アルキル基に水溶化置換基を持つ2,2’−アゾビス(tert−アルキル)化合物などの水溶性アゾ重合開始剤がある。さらなるアゾ重合触媒として、VAZO(登録商標)44(2,2’−アゾビス(2−(4,5−ジヒドロイミダゾリル)プロパン)、VAZO(登録商標)56(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド)およびVAZO(登録商標)68(4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸))など、デュポン(DuPont)から入手できるVAZO(登録商標)フリーラジカル重合開始剤が挙げられる。
【0023】
重合系には任意に、溶媒、緩衝剤、キレート化剤、無機電解質液、連鎖停止剤およびpH調整剤などのエマルジョン重合技術分野でよく知られている他のエマルジョン重合添加剤を加えてもよい。
【0024】
本発明の非架橋線状アクリルコポリマー緩和剤を調製する一般的なエマルジョン重合手順を本明細書に例示する。
【0025】
一態様では、ポリ(メチルメタクリラート)(PMMA)標準で較正したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した、本発明の線状コポリマー緩和剤の数平均分子量(M)は、100,000以下である。本発明の別の態様では、分子量の範囲は、約5,000〜約80,000Mにあり、さらなる態様では約10,000〜50,000M、なおさらなる態様では約15,000〜40,000Mにある。
【0026】
本発明の一態様では、18wt.%NaOH溶液でpH7に中和した脱イオン水中のポリマー固形分濃度が5wt.%のとき線状コポリマー緩和剤の粘度は、500mPa・s以下(Brookfield RVT、20rpm、スピンドルNo.1)である。別の態様では、粘度の範囲は約1〜約500mPa・s、さらなる態様では約10〜約250mPa・s、なおさらなる態様では約15〜約150mPa・sにある。
【0027】
非架橋線状アクリル系コポリマーについては中和されていない状態で用いてもよいし、好適なアルカリ中和剤で所望の中和度に中和してもよい。所望の中和度を得るのに用いるアルカリ中和剤の量に関しては、ポリマーの酸価に基づき計算する。例示的な中和剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、脂肪酸アミンおよび同種のものが挙げられる。あるいは、たとえば、予め中和された界面活性剤など、他のアルカリ材料を用いてもよい。一態様では、ポリマーの中和度は100%以下、別の態様ではポリマーの中和度は80%以下、なお別の態様ではポリマーの中和度は60%以下である。さらなる態様では、中和度は50%以下である。なおさらなる態様では、中和度は40、30および20%以下である。別の態様では、ポリマーの中和度の範囲は約0%または1%〜約100%、なお別の態様では約0%または1%〜約80%、さらなる態様では約0%または1%〜約60%、なおさらなる態様では約5%〜約40%、別の態様では約10%〜約35%、さらなる態様では約15%〜約30%であってもよい。
【0028】
意外にも、ポリマーの中和度(DN:degree of neutralization)を低下させ、ポリマーの持つ酸基を塩基などの好適な中和剤で所望の中和度に中和することで、疎水性修飾(メタ)アクリル系ポリマー(本発明の非架橋線状アクリルコポリマーを含む)による界面活性剤組成物のCMC上昇の効力を最適化できることが明らかにされた。一般に、最適な粘度上昇を得るにはレオロジー調整剤Carbopol(登録商標)Aqua SF−1およびCarbopol(登録商標)ETD2020などの疎水性修飾架橋(メタ)アクリル系コポリマーをpH7.0に中和する。これはDN約80%に相当する。中和度を約80%未満のDN値まで低下させることで、組成物を含む界面活性剤のCMCを上昇させることができる。さらなる態様では、DN値の範囲は、約0%または1%〜約60%、なおさらなる態様では約5%〜約40%、別の態様では約10%〜約35%、さらなる態様では約15%〜約30%であってもよい。
【0029】
さらに、中和度低下による現象は、比較的高分子量の架橋および非架橋疎水性修飾(メタ)アクリル系ポリマーにも有効であることが明らかになっている。そうしたポリマーを、モノマーを含む少なくとも1種の一不飽和カルボン酸と少なくとも1種の疎水性修飾エチレン性不飽和コモノマーとを含むモノマー組成物から重合することができる。モノマーを含む「一不飽和カルボン酸」は、少なくとも1種のカルボキシル基を含むもので、一不飽和カルボン酸はモノカルボン酸でもポリカルボン酸でもよい。また、本明細書で使用する場合、「一不飽和カルボン酸」という語は、同一カルボン酸分子上にある2つのカルボキシル基から水1分子が除去されることにより酸無水物基が形成される、一不飽和酸無水物を含む。モノマーを含む一不飽和カルボン酸の好適な例として、(メタ)アクリル酸、エトアクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸、アコニット酸およびこれらの混合物があるが、これに限定されるものではない。一不飽和酸無水物の好適な例として、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物およびこれらの混合物があるが、これに限定されるものではない。さらに、C〜C30アルカノールでエステル化されたマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アコニット酸、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物など、一不飽和ポリカルボン酸およびその無水物のハーフエステルを用いてもよい。一態様では、モノマーを含む一不飽和カルボン酸は、混合物中の疎水性モノマーとモノマーを含む一不飽和カルボン酸との総重量に対して、重合性モノマー組成物に約10〜約98重量%の範囲、別の態様では15〜約95重量%の範囲、さらなる態様では約20〜90重量%の範囲の量で存在してもよい。
【0030】
疎水性修飾エチレン性不飽和モノマーについては、(メタ)アクリラート、(メタ)アクリルアミド、疎水性修飾会合性モノマーおよびこれらの組み合わせから選択してもよい。一態様では、(メタ)アクリラートおよび(メタ)アクリルアミドは以下の式で表され:
【0031】
【化1】

式中、Rは水素、メチルまたはエチルを示し;Xは酸素またはNHを示し;RはC〜C30アルキル、C〜Cシクロアルキル、アリールを示す。Xが酸素のとき、重合性モノマー組成物は、以下に記載の架橋モノマーを含む。アルキル基は、直鎖でも分枝でもよく、1つまたは複数のC〜C10アルコキシ置換基を含んでも構わない。代表的な(メタ)アクリラートモノマーとして、メチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、n−プロピル(メタ)アクリラート、イソプロピル(メタ)アクリラート、n−ペンチル(メタ)アクリラート、n−ブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、2−メチル−ペンチル(メタ)アクリラート、n−ヘキシル(メタ)アクリラート、n−オクチル(メタ)アクリラート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリラート、n−デシル(メタ)アクリラート、n−ドデシル(メタ)アクリラート、n−ヘキサデシル(メタ)アクリラート、ステアリル(メタ)アクリラート、n−オクタデシル(メタ)アクリラート、ベヘニル(メタ)アクリラート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、メトキシメチル(メタ)アクリラート、メトキシエチル(メタ)アクリラート、エトキシエチル(メタ)アクリラート、ブトキシエチル(メタ)アクリラート、エトキシプロピル(メタ)アクリラート、シクロヘキシル(メタ)アクリラートおよびこれらの混合物があるが、これに限定されるものではない。代表的な(メタ)アクリルアミドモノマーとして、(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、オクタデシル(メタ)アクリルアミド、ベヘニル(メタ)アクリルアミド、ドデシル(メタ)アクリルアミド、ヘキサデシル(メタ)アクリルアミドおよびこれらの混合物があるが、これに限定されるものではない。
【0032】
疎水性修飾会合性モノマーは、以下の式で表され:
【0033】
【化2】

式中、Rは各々独立に水素、メチル、−C(O)OHおよび−C(O)ORを示し;RはC〜C30アルキルであり;Aは−CHC(O)O−、−C(O)O−、−O−、−CHO−、−NHC(O)NH−、−C(O)NH−、−Ar−(CE−NHC(O)O−、−Ar−(CE−NHC(O)NH−および−CHCHNHC(O)−であり;Arは二価のアリールであり;EはHまたはメチルであり;zは0または1であり;kは0〜約30の範囲の整数であり、mは0または1であり、ただし、kが0のとき、mは0であり、kが1〜約30の範囲にあるとき、mは1であり;(R−O)はC〜Cオキシアルキレン単位のホモポリマー、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーである、ポリオキシアルキレンであり、Rは−C−、−C−、−C−であり、nは約5〜約250の範囲の整数であり、Yは−RO−、−RNH−、−C(O)−、−C(O)NH−、−RNHC(O)NH−または−C(O)NHC(O)−であり;RはC〜C40直鎖アルキル、C〜C40分枝アルキル、C〜C40炭素環式アルキル、C〜C40アルキル置換フェニル、アリール置換C〜C40アルキルから選択される置換または非置換アルキルであり、アルキル基Rは任意にヒドロキシル基、アルコキシル基およびハロゲン基から選択される1つまたは複数の置換基で置換されており;Rは、たとえば、ラノリンまたはコレステロールなどの多環式ヒドロカルビル化合物の残基および、たとえば、水素化ヒマシ油(castor seed oil)などの種子油の残基から選択されもよい。代表的な会合性モノマーには、以下に限定されるものではないが、セチルポリエトキシル化メタクリラート、セテアリールポリエトキシル化(メタ)アクリラート、ステアリルポリエトキシル化(メタ)アクリラート、アラキジルポリエトキシル化(メタ)アクリラート、ベヘニルポリエトキシル化(メタ)アクリラート、セロチルポリエトキシル化(メタ)アクリラート、モンタニルポリエトキシル化(メタ)アクリラート、メリッシルポリエトキシル化(メタ)アクリラート、ラッセリルポリエトキシル化(メタ)アクリラート、トリスチリルフェノールポリエトキシル化(メタ)アクリラート、ノニルフェノールポリエトキシル化(メタ)アクリラート、水素化ヒマシ油ポリエトキシル化(メタ)アクリラート、キャノーラポリエトキシル化(メタ)アクリラートおよびコレステロールポリエトキシル化(メタ)アクリラートがあり、モノマーのポリエトキシル化部分は約5〜約100、好ましくは約10〜約80、一層好ましくは約15〜約60のエチレンオキシド繰り返し単位を含む。一態様では、疎水性コモノマーは、混合物中の疎水性モノマーとモノマーを含む一不飽和カルボン酸との総重量に対して、重合性モノマー組成物に約2〜約90重量%、別の態様では3〜約80重量%、さらなる態様では約5〜76重量%の範囲の量で存在してもよい。
【0034】
任意に、重合性モノマー組成物は、1種または複数種の非イオン性、陽イオン性、陰イオン性および両性または両性イオン性モノマーを含んでもよい。非イオン性モノマーの例として、ヒドロキシエチル(メタ)アクリラートなど、アルキル部分が1〜10個の炭素原子を持つ種々のヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート;直鎖および分枝C〜Cアルカノールのアリルエーテル、C〜C直鎖および分枝アルカノールのアリルエステル、アクリルアミド;ビニルアルコール;n−ビニルピロリドン、1−ヒドロキシプロピルメタクリラート、2−ヒドロキシプロピルメタクリラート、これらの混合物が挙げられる。例示的な陽イオン性モノマーとして、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジエチルアンモニウムクロリド、ジエチルアミノエチルメタクリラート、ジメチルアミノエチルメタクリラート、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムスルファート、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、3−(メタクリルアミド)プロピルトリメチルアンモニウムクロリドおよびこれらの混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。例示的な陰イオン性モノマーとして、p−スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびこれらの混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。例示的な両性または両性イオン性モノマーとして、3−(2−アクリルアミド−2−メチルプロピイジメチルアンモニオ)−1−プロパンスルホナート、co−N,N−ジメチル−N−メタクロイルアミドプロプリアンモニオプロパンスルホナート、N−ビニルピロリドン−co−2−ビニルピリジニオプロパンスルホナートおよびこれらの混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。1種または複数種の非イオン性、陽イオン性、陰イオン性および両性または両性イオン性モノマーを用いる場合は、混合物中の重合性モノマーの総重量に対して100重量部当たり約0.1〜約15重量部の量で存在してもよい。
【0035】
任意の架橋モノマーとして、たとえば、スクロースもしくはペンタエリスリトールのアリルエーテルまたは類似の化合物、ジアリルエステル、ジメタリルエーテル、アリルアクリラートまたはメタリルアクリラートおよびアリルアクリルアミドまたはメタリルアクリルアミド、テトラアリルスズ、テトラビニルシラン、ポリアルケニルメタン、ジアクリラートおよびジメタクリラート、ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物、ジビニルグリコール、ポリアリルホスファート、ジアリルオキシ化合物、ホスフィットエステルおよび同種のものが挙げられる。そうした多価不飽和モノマーの典型として、ジ、トリまたはテトラ、ペンタまたはヘキサ−アリルスクロース;ジ、トリまたはテトラ−アリルペンタエリスリトール;ジアリルフタラート、ジアリルイタコナート、ジアリルフマラート、ジアリルマレアート、ジビニルベンゼン、アリルメタクリラート、アリルシトラート、エチレングリコールジ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリラート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリラート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリラート、テトラメチレングリコールジアクリラート、エチレングリコールジアクリラート、エチレングリコールジメタクリラート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパンエトキシル化(15)トリ(メタ)アクリラート、メチレンビスアクリルアミドおよび同種のものが挙げられる。また、エチレン性不飽和カルボン酸および同種のものでエステル化された(esterfied)ヒマシ油またはポリオールを用いてもよい。一態様では、架橋モノマーを、重合性モノマー組成物中のすべての不飽和酸および疎水性修飾コモノマー100重量部に対して約0.005〜約10重量部、別の態様では約0.01〜約5.0重量部、さらなる態様では約0.05〜約2.5重量部の量で用いてもよい。
【0036】
コポリマー組成物に立体安定剤を任意に加えてもよい。ステアリルエステルのトリブロックコポリマーなど、種々の立体安定剤を用いることができる。立体安定剤は、親水基および疎水基を持ち、可溶性ブロックと、分子量(すなわち、鎖長)がほとんどの場合、1000を大きく上回る一方、疎水部の長さが50オングストロームを超えるアンカーブロックとを含むブロックコポリマーであるのが一般的である。立体安定剤は線状ブロックコポリマーである場合、式ABAで定義され、式中、Aは分子量が約300〜約60,000で25℃の水に対する溶解性が1%未満の親水部分である。立体安定剤はランダムコポリマー櫛形立体安定剤である場合、以下の式で定義され:

式中、Rは末端基で、同一でも異なってもよいが、ZおよびQとは異なり、Zは25℃の水に対する溶解性が1%未満の疎水性部分であり、Qは25℃の水に対する溶解性が1%を超える親水性部分であり、mおよびnは1以上の整数で、ポリマーの分子量(Mn)が約100〜約250,000になるように選択される。そうした立体安定剤は、参照によって本明細書に援用する米国特許第5,373,044号および同第5,349,030号記載されている。一態様では、本発明の立体安定剤として、フェニックスケミカル(Phoenix Chemical)からPecosil(登録商標)という商標名で販売されているジメチコンコポリオール、ジメチコンコポリオールエステルおよびジメチコンコポリオールフタラートがある。上記に式ABAで定義した線状ブロックコポリマーは、ユニケマ(Uniquema)からHypermer(Hypermer B−246など)という商標名で入手できる。任意の立体安定剤が存在する場合、モノマー混合物は、ほとんどの場合、混合物中の一不飽和酸と疎水性コモノマーの100重量部当たり約0.1〜約10重量部で含む。
【0037】
モノマー組成物の重合については、フリーラジカル開始剤の存在下で行い、当該技術分野で公知の従来の分散、沈殿またはエマルジョン重合法により重合してもよい。本発明の一態様では、モノマー組成物をエマルジョン重合により重合し、重合法および重合要素は、低分子量線状ポリマーの実施形態の項に前述している。この実施形態のポリマーの分子量の範囲は、100,000M以上であり、5,000,000〜10,000,000以上にまで及ぶこともある。
【0038】
低分子量の線状ポリマーの項に前述した中和度、中和剤および手順は、本明細書に記載の比較的高分子量の架橋および非架橋疎水性修飾(メタ)アクリル系ポリマーにも適用される。
【0039】
界面活性剤、特に陰イオン界面活性剤に起因する眼および/または皮膚刺激を緩和するために、本発明の非架橋線状アクリルコポリマーを用いてもよい。本発明のコポリマー緩和剤については、パーソナルケアクレンジング組成物、動物ケアクレンジング組成物、ペットケアクレンジング組成物、家庭ケア洗浄組成物ならびに工業および施設ケア洗浄組成物に用いる任意の界面活性剤と組み合わせてもよい。界面活性剤は、陰イオン、陽イオン、非イオン、両性、両性イオンおよびこうした界面活性剤の組み合わせから選択してもよい。本発明のある態様によれば、非架橋線状コポリマー緩和剤をパーソナルおよび家庭ケアクレンザー組成物および洗浄剤組成物に通常含まれる陰イオン浄化界面活性剤と組み合わせる。例示的なパーソナルケアクレンザーとして、シャンプー(2イン1シャンプー、コンディショニングシャンプー、ボディファイングシャンプー;モイスチャライジングシャンプー、テンポラリーヘアカラーシャンプー、3イン1シャンプー、ふけ取りシャンプー、ヘアカラーメンテナンスシャンプー、酸(中和)シャンプー、サリチル酸シャンプー、薬用シャンプー、ベビーシャンプーおよび同種のものなど)ならびにスキンおよびボディークレンザー(モイスチャライジングボディーソープ、抗菌ボディーソープ;バスジェル、シャワージェル、液体ハンドソープ、固形石鹸、ボディースクラブ、泡立て剤、スクラブ洗顔料、フットスクラブおよび同種のものなど)があるが、これに限定されるものではない。例示的な家庭ケア洗浄剤には、ホームケアおよび工業および施設用途(洗濯洗剤、食器用洗剤(自動および手作業)、硬質表面洗浄剤、強力ハンドソープ、洗浄剤およびサニタイザー、自動車洗浄剤および同種のものなど)があるが、これに限定されるものではない。例示的なペットおよび動物ケアクレンザーには、シャンプー、薬用シャンプー、コンディショニングシャンプー(毛のほぐし、静電気防止、グルーミングなど)および起泡性シャンプーがあるが、これに限定されるものではない。
【0040】
刺激緩和組成物は、陰イオン、両性、両性イオン、非イオン、陽イオンまたはこれらの組み合わせなど種々の界面活性剤を含む。
【0041】
陰イオン界面活性剤は、水溶性界面活性剤組成物の技術分野において知られているか、以前用いられた陰イオン界面活性剤であればどれでもよい。好適な陰イオン界面活性剤として、アルキルスルファート、アルキルエーテルスルファート、アルキルエーテルスルホナート、アルカリルスルホナート、アルキルスクシナート、アルキルスルホスクシナート、N−アルコイルサルコシナート、アルキルホスファート、アルキルエーテルホスファート、アルキルエーテルカルボキシラート、アルキルアミノ酸、アルキルペプチド、アルコイルタウラート、カルボン酸、アシルおよびアルキルグルタマート、アルキルイセチオナートおよびα−オレフィンスルホナート、特にこれらのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩およびモノ−、ジ−およびトリエタノールアミン塩が挙げられるが、これに限定されるものではない。アルキル基は通常、6〜26個の炭素原子を含み、不飽和であってもよい。アリール基は通常、6〜14個の炭素原子を含む。一態様では、アルキルエーテルスルファート、アルキルエーテルスルホナート、アルキルエーテルホスファートおよびアルキルエーテルカルボキシラートは1分子当たり1〜25個のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド単位を、別の態様では1分子当たり1〜10個のエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド単位を含んでもよい。一態様では、アルカリルスルホナートはアルキルベンゼンスルホナートおよびその塩(たとえば、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなど)であり、アルキル基は、8〜16個の炭素原子を含む。別の態様では、アルカリルスルホナートはドデシルベンゼンスルホナートおよびその塩(たとえば、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなど)である。他の界面活性剤については、参照によって本明細書に援用する米国特許第6,051,541号に開示されている。
【0042】
好適な陰イオン界面活性剤の例として、ラウリルエーテル硫酸ナトリウムおよびラウリルエーテル硫酸アンモニウム(1、2および3モルのエチレンオキシドを付加)、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、スルホコハク酸ラウレス2ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、C12〜C14オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウレス−6カルボン酸ナトリウム、C12〜C15パレス硫酸ナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ココイルサルコシンナトリウム、モノラウリルリン酸トリエタノールアミンおよび脂肪酸石鹸が挙げられる。
【0043】
非イオン界面活性剤は、水溶性界面活性剤組成物の技術分野において知られているか、以前用いられた非イオン界面活性剤であればどれもよい。好適な非イオン界面活性剤として、C〜C18直鎖もしく分枝鎖脂肪族第一級酸、アルコールもしくフェノールまたはC〜C18直鎖もしく分枝鎖脂肪族第二級酸、アルコールもしくはフェノール、直鎖アルコールアルコキシラートおよびアルキルフェノールアルコキシラート(特にエトキシラートおよび混合エトキシ/プロポキシ)、アルキルフェノールのブロックアルキレンオキシド縮合物、アルカノールのアルキレンオキシド縮合物、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、半極性非イオン系界面活性剤(アミンオキシドおよびホスフィンオキシド)およびアルキルアミンオキシドが挙げられるが、これに限定されるものではない。他の好適な非イオン系界面活性剤として、モノまたはジアルキルアルカノールアミドおよびアルキル多糖類、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレン酸が挙げられる。好適な非イオン界面活性剤の例として、ココモノエタノールアミドまたはココジエタノールアミド、ココジグルコシド、アルキルポリグルコシド、コカミドプロピルおよびラウラミンオキシド、ポリソルベート20、エトキシル化直鎖アルコール、セテアリールアルコール、ラノリンアルコール、ステアリン酸、グリセリルステアラート、PEG−100ステアラートおよびオレス20が挙げられる。
【0044】
一態様では、非イオン界面活性剤は、アルコール残基が8〜18個の炭素原子を含み、かつアルキレンオキシドのモル数が約3〜約12のアルコールアルコキシラートである。アルキレンオキシド部分は、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびこれらの組み合わせから選択される。別の態様では、アルコールアルコキシラートについては、8〜15個の炭素原子を含む脂肪アルコールから誘導してもよく、5〜10個のアルコキシ基(エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびこれらの組み合わせなど)を含んでもよい。アルコール残基が12〜15個の炭素原子を含み、かつ約7個のエチレンオキシド基を含む例示的な非イオンアルコールアルコキシラート界面活性剤は、Tomadol(登録商標)(製品記号25−7など)およびNeodol(登録商標)(製品記号25−7など)という商標名でそれぞれトマープロダクツインク(Tomah Products,Inc.)およびシェルケミカルズ(Shell Chemicals)から入手できる。
【0045】
市販されている別のアルコールアルコキシラート界面活性剤は、Plurafac(登録商標)という商標名でBASFから販売されている。Plurafac界面活性剤は、直鎖高級アルコールとエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの混合物との反応生成物で、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの混合鎖を含み、ヒドロキシル基を末端に持つ。例として、6モルのエチレンオキシドおよび3モルのプロピレンオキシドと縮合したC13〜C15脂肪アルコール、7モルのプロピレンオキシドおよび4モルのエチレンオキシドと縮合したC13〜C15脂肪アルコール、および5モルのプロピレンオキシドおよび10モルのエチレンオキシドと縮合したC13〜C15脂肪アルコールが挙げられる。
【0046】
市販の別の好適な非イオン界面活性剤は、Dobanol(商標)という商標名(製品記号91−5および25−7)でシェルケミカルズから入手できる。製品記号91−5は、脂肪アルコール1モル当たりエチレンオキシドを平均5モル付加したエトキシル化C〜C11脂肪アルコールであり、製品記号25−7は、エチレンオキシドを平均7モル付加したエトキシル化C12〜C15脂肪アルコールである。
【0047】
両性および両性イオン界面活性剤は、酸としても塩基としても振る舞うことができる化合物である。こうした界面活性剤は、水溶性界面活性剤組成物の技術分野において知られているか、以前用いられた界面活性剤であればどれでもよい。好適な材料として、アルキル基およびアシル基が8〜18個の炭素原子を持つアルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルグリシナート、アルキルカルボキシグリシナート、アルキルアンホプロピオナート、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタイン、アシルタウラートおよびアシルグルタマートが挙げられるが、これに限定されるものではない。例として、コカミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウム、コカミドプロピルヒドロキシスルタインおよびナトリウムコカンホプロピオナートが挙げられる。
【0048】
陽イオン界面活性剤は、水溶性界面活性剤組成物の技術分野において知られているか、以前用いられた陽イオン界面活性剤であれどれでもよい。好適な陽イオン界面活性剤として、アルキルアミン、アルキルイミダゾリン、エトキシル化アミン、第四級化合物および四級化エステルが挙げられるが、これに限定されるものではない。さらに、アルキルアミンオキシドも低pHで陽イオン界面活性剤として挙動する場合がある。例として、ラウラミンオキシド、ジセチルジモニウムクロリド、セトリモニウムクロリドが挙げられる。
【0049】
本発明に用いることができる他の界面活性剤に関しては、参照によって本明細書に援用する国際公開第99/21530号、米国特許第3,929,678号、米国特許第4,565,647号、米国特許第5,456,849号、米国特許第5,720,964号、米国特許第5,858,948号および米国特許第7,115,550号により詳細に記載されている。他の好適な界面活性剤は、参照によって本明細書に全体を援用するMcCutcheon’s Emulsifiers and Detergents(North American and International Editions,by Schwartz,Perry and Berch)に記載されている。
【0050】
本発明の一態様では、非架橋線状アクリルコポリマーを含まない類似の界面活性剤組成物と比較して、組成物を含む界面活性剤のCMCを上げるのに十分な任意の量で本発明の非架橋線状アクリルコポリマーを用いる。本発明の別の態様では、一般に界面活性剤組成物に起因する眼および/または皮膚刺激を緩和するのに有効な任意の量で非架橋線状アクリルコポリマーを用いる。組成物を含む界面活性剤のCMC値については、参照によって本明細書に援用し、以下の実施例で例示する国際特許出願第2005/023870号および米国特許第7,084,104号および同第7,098,180号に開示されているように容易に判定することができる。
【0051】
組成物を含む界面活性剤により引き起こされる刺激については、Invittox Protocol No.86(May 1994)に記載されているように経上皮透過性(TEP:Trans−Epithelial Permeability)試験で測定することができる。上掲の国際特許出願第2005/023870に開示されているように、経上皮透過性(TEP)値は特定の界面活性剤組成物に起因する眼および/または皮膚刺激に直接相関する。TEP値が高い組成物は、TEP値の低い組成物と比べて低刺激であることが示唆される。
【0052】
本発明のなお別の態様では、たとえば、パーソナルケアクレンジング組成物、動物およびペットケアクレンジング組成物、家庭ケア洗浄組成物ならびに工業および施設洗浄組成物などの組成物を含む界面活性剤に用いる非架橋線状アクリルコポリマーの量は、組成物を含む界面活性剤の総重量に対して0wt.%超〜約20wt.%に及ぶことがある。さらなる態様では、コポリマー緩和剤の量は、約0.01wt.%〜約10wt.%、なおさらなる態様では約0.01wt.%〜約9wt.%、別の態様では約0.1wt.%〜約8wt.%(すべて、組成物を含む全界面活性剤の重量に対する割合)にわたる。
【0053】
一態様では、組成物を含む界面活性剤に使用する界面活性剤(単数または複数)を、パーソナルケアクレンジング組成物および動物およびペットケアクレンジング組成物、家庭ケア洗浄組成物および工業および施設洗浄組成物に一般に使用する量で用いてもよい。別の態様では、界面活性剤(単数または複数)の量は、組成物を含む界面活性剤の総重量に対して約0.1wt.%〜約50wt.%に及ぶこともある。さらなる態様では、界面活性剤(単数または複数)の量は、約0.5wt.%〜約45wt.%、なおさらなる態様では約1wt.%〜約15wt.%、および約3wt.%〜約8wt.%(すべて、組成物を含む全界面活性剤の重量に対する割合)の範囲にある。本発明の刺激緩和ポリマーを用いる1つの利点は、このポリマーによりクレンジングおよび洗浄組成物に使用する界面活性剤の量が増やすことができ、その結果、そうした組成物の浄化特性がレオロジープロファイルに悪影響を及ぼすことなく向上することにある。したがって、界面活性剤を一般に用いられる上記の量より多く用いても構わない。
【0054】
本発明の緩和界面活性剤組成物では、水を希釈液として用いる。一態様では、水の量は、組成物を含む全界面活性剤の重量の約5wt.%〜約95wt.%までの幅があってもよい。別の態様では、水の量は、組成物を含む界面活性剤の総重量に対して約10wt.%〜約90wt.%、さらなる態様では約20wt.%〜約80wt.%、なおさらなる態様では約30wt.%〜約75wt.%でもよい。
【0055】
本発明の界面活性剤組成物は、キレート剤、保湿スキンまたはヘアーコンディショナー、潤滑剤、モイスチャーバリア/エモリエント、乳白剤、防腐剤、拡散助剤、コンディショニングポリマー、ビタミン、粘度調節剤、粘度調整剤/乳化剤、懸濁ビーズ、酵素、ビルダー/電解質、緩衝剤、ヒドロトロープ(エタノール、ナトリウムキシレンスルホナートおよびクメンスルホン酸ナトリウムなど)、無機物(粘土、ベントナイト、カオリンなど)、汚れ剥離剤、着色添加物およびパーソナルケア組成物の特性を向上および維持する他の多くの任意の要素など、当業者によく知られている多様な要素の1種または複数種を含んでもよい。そうした要素については、Mitchell C.Schlossman,The Chemistry and Manufacture of Cosmetics,Volumes I and II,Allured Publishing Corporation,2000などよく知られている情報源にも詳細に記載されている。
【0056】
好適なキレート剤として、EDTA(ethylene diamine tetraacetic acid:エチレンジアミン四酢酸)およびEDTA二ナトリウムなどのその塩、クエン酸およびその塩、シクロデキストリンおよび同種のものならびにこれらの混合物が挙げられる。本発明の一態様では、そうした好適なキレート剤を一般に、組成物を含む界面活性剤の総重量に対して約0.001wt.%〜約3wt.%、別の態様では約0.01wt.%〜約2wt.%、さらなる態様では約0.01wt.%〜約1wt.%で含ませる。
【0057】
好適な保湿スキンまたはヘアーコンディショナーとして、アラントイン;ピロリドンカルボン酸およびその塩;ヒアルロン酸およびその塩;ソルビン酸およびその塩;尿素;リジン、アルギニン、シスチン、グアニジンおよび他のアミノ酸;グリセリン、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ヘキサントリオール、エトキシジグリコール、ジメチコンコポリオールおよびソルビトールなどのポリヒドロキシアルコールおよびそのエステル;ポリエチレングリコール;グリコール酸およびグリコラート塩(アンモニウムおよび第四級アルキルアンモニウムなど);乳酸およびラクタート塩(アンモニウムおよび第四級アルキルアンモニウムなど);糖およびデンプン;糖およびデンプン誘導体(アルコキシル化グルコースなど);D−パンテノール;ラクトアミドモノエタノールアミン;アセトアミドモノエタノールアミン;および同種のものならびにこれらの混合物が挙げられる。好ましい保湿剤として、グリセリン、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ヘキサントリオールおよび同種のものなどのC〜Cジオールおよびトリオールならびにこれらの混合物が挙げられる。本発明の一態様では、そうした好適な保湿剤を一般に、組成物を含む界面活性剤の総重量に対して約1wt.%〜約10wt.%、別の態様では約2wt.%〜約8wt.%、さらなる態様では約3wt.%〜約5wt.%で含ませる。
【0058】
好適な潤滑剤として、環状または線状ポリジメチルシロキサンなどの揮発性シリコーンおよび同種のものが挙げられる。環状シリコーンのケイ素原子数は、好ましくは約3〜約7、一層好ましくは4または5である。例示的な揮発性シリコーンは、環状、線状のいずれもダウコーニングコーポレーション(Dow Corning Corporation)からDow Corning344、345および200液体として入手できる。線状揮発性シリコーンの粘度は一般に25℃で約5cP未満である一方、環状揮発性シリコーンの粘度は一般に25℃で約10cP未満である。「揮発性」とは、シリコーンが測定可能な蒸気圧を持つことをいう。揮発性シリコーンの説明は、参照によって本明細書に援用するTodd and Byers,「Volatile Silicone Fluids for Cosmetics」,Cosmetics and Toiletries,Vol.91,January 1976,pp.27−32で確認することができる。他の好適な潤滑剤として、ポリジメチルシロキサンゴム、アミノシリコーン、フェニルシリコーン、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジメチルシロキサンゴム、ポリフェニルメチルシロキサンゴム、アモジメチコン、トリメチルシロキシアモジメチコン、ジフェニルジメチルポリシロキサンゴムおよび同種のものが挙げられる。さらに、潤滑剤の混合物を用いてもよい。本発明の一態様では、こうした好適な潤滑剤を一般に、組成物を含む界面活性剤の総重量に対して約0.10wt.%〜約15wt.%、別の態様では約0.1wt.%〜約10wt.%、さらなる態様では約0.5wt.%〜約5wt.%で含ませる。
【0059】
好適なモイスチャーバリアおよびまたはエモリエントとして、鉱油;ステアリン酸;セチルアルコール、セテアリールアルコール、ミリスチルアルコール、ベヘニルアルコールおよびラウリルアルコールなどの脂肪アルコール;アセチル化ラノリンアルコールに溶かしたセチルアセタート、イソステアリルベンゾアート、ジカプリリルマレアート、トリカプリルグリセリル、トリカプリン酸グリセリル;ペトロラタム、ラノリン、ココバター、シアバター、蜜蝋およびこれらのエステル;セテアレス−20、オレス−5およびセテス−5などのエトキシル化脂肪アルコールエステル;アボカド油またはグリセリド;ゴマ油またはグリセリド;サフラワー油またはグリセリド;ヒマワリ油またはグリセリド;植物種子油;揮発性シリコーンオイル;非揮発性エモリエントおよび同種のものならびにこれらの混合物が挙げられる。好適な非揮発性エモリエントとして、脂肪酸および脂肪アルコールエステル、高分枝炭化水素および同種のものならびにこれらの混合物が挙げられる。そうした脂肪酸および脂肪アルコールエステルとして、デシルオレアート、ブチルステアラート、ミリスチルミリスタート、オクチルドデシルステアロイルステアラート、オクチルヒドロキシステアラート、ジイソプロピルアジパート、イソプロピルミリスタート、イソプロピルパルミタート、エチルヘキシルパルミタート、イソデシルネオペンタノアートC12〜C15アルコールベンゾアート、ジエチルヘキシルマレアート、PPG−14ブチルエーテルおよびPPG−2ミリスチルエーテルプロピオナート、セテアリールオクタノアートおよび同種のものならびにこれらの混合物が挙げられる。好適な高分枝炭化水素として、イソヘキサデカンおよび同種のものならびにこれらの混合物が挙げられる。本発明の一態様では、こうした好適なモイスチャーバリアおよび/またはエモリエントを一般に、単独または組み合わせて、組成物を含む界面活性剤の総重量に対して約1wt.%〜約20wt.%、別の態様では約2wt.%〜約15wt.%、さらなる態様では約3wt.%〜約10wt.%で含ませる。
【0060】
好適な乳白剤として、グリコール脂肪酸エステル;アルコキシル化脂肪酸エステル;ポリマー乳白剤、脂肪酸アルコール;水素化脂肪酸、ワックスおよびオイル;カオリン;ケイ酸マグネシウム;二酸化チタン;シリカ;および同種のものならびにこれらの混合物が挙げられる。本発明の一態様では、こうした好適な乳白剤を一般に、組成物を含む界面活性剤の総重量に対して約0.1wt.%〜約8wt.%、別の態様では約0.5wt.%〜約6wt.%、さらなる態様では約1wt.%〜約5wt.%で含ませる。
【0061】
好適な防腐剤として、ポリメトキシ二環式オキサゾリジン、メチルパラベン、プロピルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、安息香酸および安息香酸の塩、ベンジルトリアゾール、DMDMヒダントイン(1,3−ジメチル−5,5−ジメチルヒダントインとも呼ばれる)、イミダゾリジニル尿素、フェノキシエタノール、フェノキシエチルパラベン、メチルイソチアゾリノン、メチルクロロイソチアゾリノン、ベンゾイソチアゾリノン、トリクロサン、ソルビン酸、クアンテルニウム−15、サリチル酸塩および同種のものならびにこれらの混合物が挙げられる。一態様では、こうした好適な防腐剤を一般に、組成物を含む界面活性剤の総重量に対して約0.01wt.%〜約1.5wt.%、別の態様では約0.1wt.%〜約1wt.%、さらなる態様では約0.3wt.%〜約1wt.%で含ませる。
【0062】
好適な拡散助剤として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、疎水性修飾セルロース誘導体、キサンタンガム、カッシアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、様々な程度のアルコキシル化ジメチコンコポリオール、窒化ホウ素、タルクおよび同種のものならびにこれらの混合物が挙げられる。本発明の一態様では、こうした好適な拡散助剤を一般に、組成物を含む界面活性剤の総重量に対して約0.01wt.%〜約5wt.%、別の態様では約0.1wt.%〜約3wt.%、さらなる態様では約0.1wt.%〜約2.0wt.%で含ませる。
【0063】
好適なコンディショニングポリマーとして、カチオン化グアー、カチオン化カッシア、カチオン化ローカストビーン、四級化セルロース誘導体、ポリクオタニウム4、ポリクオタニウム7、ポリクオタニウム10、ポリクオタニウム11、ポリクオタニウム39、ポリクオタニウム44および同種のものなどの四級化ポリガラクトマンナンならびにこれらの混合物が挙げられる。本発明の一態様では、こうした好適なコンディショニング剤を一般に、組成物を含む界面活性剤の総重量に対して約0.01wt.%〜約3wt.%、別の態様では約0.1wt.%〜約2wt.%、さらなる態様では約0.1wt.%〜約1wt.%で含ませる。
【0064】
好適なビタミンとして、ビタミンA、ビタミンB、ビオチン、パントテン酸、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、酢酸トコフェロール、レチニルパルミタート、マグネシウムアスコルビルホスファートおよび同種のものならびにこれらの誘導体および混合物が挙げられる。
【0065】
好適な粘度調節剤として、イソプロピルアルコール、エタノール、ソルビトール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジメチルエーテル、ブチレングリコールおよび同種のものならびにこれらの混合物が挙げられる。本発明の一態様では、こうした好適な粘度調節剤を一般に、組成物を含む界面活性剤の総重量に対して約0.1wt.%〜約60wt.%、別の態様では約1wt.%〜約40wt.%、さらなる態様では約5wt.%〜約20wt.%で含ませる。
【0066】
好適な粘度調整剤/乳化剤として、天然、半合成および合成ポリマーが挙げられる。天然および変性天然ポリマーの例として、キサンタンガム、セルロース誘導体、変性セルロース誘導体、デンプン、多糖類および同種のものが挙げられる。合成ポリマーの例としては、架橋ポリアクリラート、アルカリ膨潤性エマルジョンアクリラートコポリマー、疎水性修飾アルカリ膨潤性コポリマー、疎水性修飾非イオン性ポリウレタンおよび同種のものが挙げられる。さらに、混合物を用いても構わない。本発明の一態様では、こうした好適な粘度調整剤/乳化剤を一般に、単独または組み合わせて、組成物を含む界面活性剤の総重量に対して約0.1wt.%〜約5wt.%、別の態様では約0.3wt.%〜約3wt.%、なお別の態様では約0.5wt.%〜約2wt.%で含ませる。
【0067】
組成物を含む界面活性剤を懸濁化剤と併用する場合、組成物を含む界面活性剤を、組成物中に懸濁させたコスメティックビーズ要素の組成物の総重量に対して約0.1wt.%〜約10wt.%で含ませてもよい。コスメティックビーズについては、美観を高めるために含ませてもよいし、有益剤を皮膚に送達する際のマイクロカプセル材料およびマクロカプセル材料として機能してもよい。例示的なビーズ要素として、マイクロスポンジ、ゼラチンビーズ;アルギナートビーズ;発泡ポリスチレンビーズ;ホホバビーズ;ポリスチレンビーズ;たとえば、製品記号YE−501およびUEA−509などのUnispheres(登録商標)コスメティックビーズ(インデュケム(Induchem));ゼラチンビーズに封入したLipopearls(商標)ビタミンE(リポテクノロジーズ(Lipo Technologies Inc.));およびConfetti(商標)(ユナイテッドガーディアンカンパニー(United Guardian Company))が挙げられるが、これに限定されるものではない。好適な懸濁化剤として、ルーブリゾールアドバンスドマテリアルズインクのノベオンコンシューマースペシャリティーズから入手できるCarbopol(登録商標)Aqua SF−1などの架橋アクリルコポリマーレオロジー調整剤が挙げられる。こうしたレオロジー調整剤を、組成物を含む界面活性剤の重量に対して約1.5wt.%〜約5wt.%(ポリマー固形分)の範囲で用いてもよい。
【0068】
パーソナルケア組成物の特性の維持および向上のため、他の任意の要素を用いてもよい。こうした任意の要素として、種々の溶媒、噴霧剤、コーミング助剤、パーライジング剤、植物抽出物、酸化防止剤、帯電防止剤、防蝕剤、香料、芳香剤、色素、染料および着色剤など製品の美観に好適な薬および同種のものが挙げられる。
【0069】
本発明の選択した実施形態および態様では、本発明の組成物を含む界面活性剤に含ませてもよい種々の要素および成分を重複する重量範囲で示してきたが、組成物を含む界面活性剤の各要素の具体的な量は、各要素の量を調整して組成物中のすべての要素の合計が全体で100wt.%になるようにその開示範囲から選択されることが容易に明らかになるはずである。使用量については、所望の製品の目的および特徴によって異なるが、配合技術分野の当業者により、および文献から容易に判定することができる。
【0070】
さらに、本発明のポリマー緩和剤を含む組成物を含む界面活性剤成分の選択および量は、配合技術分野の当業者によく知られているように、目的の製品およびその機能によって異なることも認識されるはずである。各物質およびその通常の機能および製品カテゴリーの広範なリストは、参照によって本明細書に援用するINCI Dictionaryの全般、特に第7版の第2巻セクション4および5に見られる。
【0071】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態をさらに説明し、証明する。こうした実施例については、例示のみを目的として示すものであり、本発明の精神および範囲から逸脱することなく多くの変形形態が可能であるため、本発明を制限するものとして解釈してはならない。他に記載がない限り重量パーセント(wt.%)は、全組成物の重量に対する重量パーセントを示す。
【0072】
方法の説明
濁度
組成物を含む界面活性剤の濁度を報告する場合、蒸留水(NTU=0)を基準として比濁計濁度メーター(Mircro100Turbidimeter,HFサイエンティフィック(HF Scientific,Inc.))を用いて比濁計濁度単位(NTU:Nephelometric Turbidity Unit)で測定した。6ドラムのスクリューキャップバイアル(70mm×25mm)にほぼ上部まで被検サンプルを充填し、すべての泡が除去されるまで100rpmで遠心する。遠心の際、各サンプルバイアルをティッシュペーパーで拭き取り汚れを除去してから濁度メーターに導入する。このサンプルを濁度メーターに導入して測定値を得る。測定値が安定したら、NTU値を記録する。このバイアルを4分の1回転させ、さらに測定値を得て記録する。これを4つの測定値が得られるまで繰り返す。4つの測定値のうち最も低いものを濁度値として報告する。NTU値が約90以上の組成物を濁りと判断した。
【0073】
粘度
Brookfield回転スピンドル法:組成物を含む各ポリマーの粘度を、周囲室温約20〜25℃、毎分約20回転(rpm)でBrookfield回転スピンドル粘度計Modeel RVT(ブルックフィールエンジニアリングラボラトリーズインク(Brookfield Engineering Laboratories,Inc.))を用いてmPa・sで測定する(以下、粘度という)。適切なスピンドルのサイズは、実施例に記載してある。
【0074】
Brookfield Helipath(商標)法:回転スピンドルでは評価対象の物質内に空間またはチャネルができ、粘度測定値が得られなくなるため、回転粘度計で高粘稠材料の正確な粘度測定値を得るのは難しい。Tバースピンドルを備えたBrookfield RVT粘度計を搭載したBrookfield Helipath(商標)Stand(ブルックフィールエンジニアリングラボラトリーズインク)は、RVT粘度計をゆっくりと上下させるため、Tバースピンドルの回転(@5rpm)により被検サンプルに螺旋路が形成される。スピンドルは常に被検サンプルに接触しており、空間の発生またはチャネリングを排除する。組成物を周囲室温で少なくとも約24時間放置させてから粘度を測定する。
【0075】
降伏値
降伏値は降伏応力とも呼ばれ、応力を加えたときの流れに対する初期抵抗と定義される。これを、Brookfield粘度計(Model RVT)を用いてBrookfield降伏値(BYV:Brookfield Yield Value)外挿法で測定する。Brookfield粘度計を用いて、液体サンプルに入れたスピンドルを0.5〜100rpmの速度で回転させるのに必要なトルクを測定する。このトルク測定値にスピンドルおよび速度の適切な定数を乗じて見掛け粘度を得る。測定値を剪断速度ゼロに外挿して降伏値を求める。BYVは、以下の式で計算される:
BYV、dyn/cm=(ηα1−ηα2)/100
式中、ηα1およびηα2は、2種類のスピンドル速度(それぞれ0.5rpmおよび1.0rpm)で得られた見掛け粘度である。こうした降伏値測定の技法および有用性は、参照によって本明細書に援用するルーブリゾールアドバンスドマテリアルズインクのノベオンコンシューマースペシャリティーズのTechnical Data Sheet Number 244(Revision:5/98)に説明されている。低降伏値(<50dyns/cm)からは、滑らかでニュートン流体のような特性が示される。
【0076】
臨界ミセル濃度プロトコル
被検サンプル水溶液のCMCについては、周囲室温で界面活性剤濃度を一定の範囲で徐々に高めサンプルの表面張力を測定して判定する(正滴定張力測定試験(Forward Titration Tensiometry Test))。被検サンプルに、自動添加メーター665DosimatとLabDesk(商標)(CMCアドオンプログラムを含むバージョン3.0)測定および解析ソフトウェアをロードしたパーソナルコンピューターとを統合したKruss K12自動張力計(クルスUSA(Kruss USA),マシューズ(Matthews),ノースカロライナ州)を用いて界面活性剤含有溶液を連続的に加える。この試験を、白金プレート(幅19.9mm×高さ10mm×厚み0.2mm)およびSV20ガラスサンプル容器(vessel)(直径66.5mm×高さ35.0mm;体積=121.563ml)を用いてウィルヘルミプレート法で行う(Holmberg,K.;Jonsson,B.;Kronberg,B.;Lindman,B.Surfactants and Polymers in Aqueous Solution,Wiley & Sons,p.347)。
【0077】
100gの被検サンプル溶液を、本発明の非架橋線状アクリルコポリマー緩和剤500mg(ポリマー固形分)相当量を好適な容器に秤量して調製する。このコポリマー緩和剤にHPLC(high performance liquid chromatography)用水(EMDケミカルズインク(EMD Chemicals Inc),ニュージャージー州)を溶液重量が100gになる十分な量で加える。被検サンプルについては、試験パラメータに応じて中和されていない状態で検査してもよいし、所望のpH値または中和度に中和してもよい。
【0078】
界面活性剤含有溶液を、十分な量の界面活性剤をHPLC用水に分散させて調製し、HPLC用水に溶かした界面活性剤活性物質を原液濃度5750mg/Lで得る。この添加溶液に線量計の供給系を浸す。
【0079】
50mlの被検サンプルを、磁気撹拌子を備えたサンプル容器(vessel)に測定し、界面活性剤添加および表面張力解析のできる張力計プラットフォームに導入する。濃度を上げながら界面活性剤を被検サンプルに42回連続的に加えて、これを計量する。界面活性剤濃度については、当初添加の0mg/Lから最終添加後の約3255mg/Lまで上げる。添加量をそれぞれ計量した後、被検溶液の表面張力を張力計で測定する。各添加サイクル後、表面張力測定値を得る前に溶液を少なくとも3分間撹拌する。得られたデータから、濃度に対して測定した表面張力をプロットすると、一定の界面活性剤濃度での被検サンプルの表面張力プロファイルが得られる。作成された曲線は特定の点で急激な屈曲を示し、それ未満では表面張力は界面活性剤濃度の影響をあまり受けない。この屈曲点での界面活性剤濃度がCMCに相当する。CMC点が適切であれば、プロットの濃度依存性部分のデータポイントを通って引かれる直線とプロットの濃度非依存性セクションのデータポイントを通って引かれる直線の交差点にある。
【0080】
分子量の判定
ポリマーサンプルの数平均(M)を、ポリマーラボラトリーズ(Polymer Laboratories)製のPL−220高温GPC装置を用いてGPC法により判定する。この装置は、Waters Empower Pro LC/GPCソフトウェアを導入したCompaq Dell OptiPlex GX270コンピューターを統合している。ポリマーサンプル約0.02gを、250ppmのBHT(butylated hydroxytoluene)および0.05モルのNaNOを含む5mlのジメチルアクトアミド(DMAc)に溶解する。この被検サンプル溶液を約2時間穏やかに振盪し、0.45μmのPTFEディスポーザブルディスクフィルターで濾過する。クロマトグラフ条件を以下のようにする:
移動相:250ppmのBHTと0.05mのNaNOを含むDMAc、70℃、1.0ml/分。
サンプルサイズ:100μl
カラムセット:PLgel(ガード+2×Mixed−B)、すべて10μm、直列
検出器:屈折率検出器
較正標準:PMMA 。
【0081】
エマルジョン重合法
本発明の非架橋線状アクリルコポリマーを調製する一般的なエマルジョン重合手順は、以下のとおりである。窒素入口および混合撹拌機を備えた第1の反応器においてモノマーエマルジョンを、所望の量の各モノマーと乳化量の陰イオン界面活性剤を含む水とを組み合わせて調製する。この各要素を窒素雰囲気下でエマルジョンが得られるまで混合する。混合撹拌機、窒素入口およびフィードポンプを備えた第2の反応器に、所望の量の水および任意に追加の陰イオン界面活性剤を加える。内容物を混合撹拌しながら窒素雰囲気下で加熱する。第2の反応器の温度が約70〜95℃の範囲に達してから、所望の量のフリーラジカル開始剤を第2の反応器内の溶液に注入する。次いで第1の反応器のモノマーエマルジョンを、反応温度を約80〜90℃の範囲に制御して約1〜約4時間の期間にわたり第2の反応器に計量する。モノマー添加の終了後、必要に応じて一定量のフリーラジカル開始剤を第2の反応器にさらに加えてもよい。得られた反応混合物を約85〜95℃の温度で重合反応が終了するのに十分な期間、一般に約90分保持する。その後、得られたポリマーエマルジョンを冷却してもよく、反応器から取り出してもよい。
【実施例】
【0082】
実施例1〜9
モノマー反応混合物を、約500rpmで回転する撹拌機を装備した、窒素雰囲気下の第1の反応器内で調製する。表1に記載の量(全モノマー重量に対するwt.%)のモノマーを、約1.0重量%の30%水性ラウリル硫酸ナトリウムを含む約17.5重量%の脱イオン水を含む反応器に秤量する。混合撹拌機、窒素入口およびフィードポンプを備えた第2の反応器に約47.0重量%の脱イオン水と約0.1重量%の30%水性ラウリル硫酸ナトリウムとを加える。第2の反応器の内容物を窒素雰囲気下で回転速度約350rpmで混合撹拌しながら加熱する。第2の反応器の内容物の温度が約85〜88℃の範囲に達してから、このように形成された第2の反応器内の熱い界面活性剤溶液に約0.6重量%の2.5%過硫酸アンモニウム溶液(フリーラジカル開始剤)を注入する。第1の反応器のモノマー混合物の水性エマルジョンを、約100〜120分の期間にわたり反応温度を約85〜88℃の範囲に制御した第2の反応器に徐々にする。同時に、約4.5重量%の0.25%過硫酸アンモニウム溶液を約120〜150分かけて第2の反応器内の反応混合物に秤量し、反応温度を約90℃に維持する。残存のない完全な重合に追加量の開始剤を加えてもよい。得られたポリマーエマルジョンを室温まで冷却し、反応器から取り出し、回収する。
【0083】
【表1】

実施例9〜15
実施例2〜9までの非架橋線状ポリマーの粘度、降伏値および濁度値を測定し、表2に報告する。非架橋線状ポリマーの粘質物を、脱イオン水に溶かした1、2、3および5wt.%の各ポリマー(ポリマー固形分)を18%NaOH水溶液を用いてpH約7に中和して調製する。
【0084】
【表2】

粘度が上昇する範囲において本発明の非架橋線状ポリマーが示す降伏値の上昇がゼロおよびわずかであることから、ニュートンレオロジー特性が示唆される。このデータからは、ポリマーの粘質物濃度が上昇しても、レオロジー特性(粘度および降伏値など)が大きく向上しないことが示される。
【0085】
実施例16〜18
(比較例)
比較実施例1の架橋ポリマーと、Carbopol(登録商標)Aqua SF−1およびCarbopol(登録商標)ETD2020として市販されている2つの架橋アクリル含有コポリマーとの粘度、降伏値および濁度値を測定する。実施例9〜15と同様に架橋ポリマーの粘質物を調製する。Carbopol ETD2020から調製した粘質物の高粘稠特性のため、粘質物とpH測定プローブとが密着できない。したがって、ETD2020粘質物を目標pH点でなく、約6.5〜約7.5の目標pH範囲に中和する。測定した各ポリマーのレオロジー特性を表3に示す。
【0086】
【表3】

Carbopol(登録商標)Aqua SF−1=(メタ)アクリル酸およびC〜Cアルキルアクリラートの架橋コポリマー(ルーブリゾールアドバンスドマテリアルズインクのノベオンコンシューマースペシャリティーズから入手可能)
Carbopol(登録商標)ETD 2020=(メタ)アクリル酸およびC10〜C30アルキルアクリラートの架橋コポリマー(ルーブリゾールアドバンスドマテリアルズインクのノベオンコンシューマースペシャリティーズから入手可能)
注記1:粘質物の粘度および降伏値が高すぎてチャネリング現象のため標準スピンドルを用いたBrookfield RVT粘度計では測定できない
注記2:粘稠過ぎてNTUを測定できない。
【0087】
実施例19
比較例
Carbopol(登録商標)ETD2020レオロジー調整剤の1、2、3、4および5wt.%(ポリマー固形分)粘質物の粘度を、Brookfield Helipath(商標)StandおよびTバースピンドル(T−7)を備えたBrookfield RVT粘度計を用いて判定する。実施例18と同様に粘質物サンプルを調製する。粘度の結果を表4に記載する。
【0088】
【表4】

表3および表4のデータから、ポリマーの粘質物濃度が上昇すると架橋ポリマーのレオロジー特性(粘度上昇および降伏値など)が向上することが示される。比較実施例16(架橋)および17(架橋)に記載したとおり作成した1、2、3および5wt.%(ポリマー固形分)のポリマー粘質物および実施例14(非架橋)と同様に作成した非架橋線状ポリマー粘質物の粘度曲線を図1に示す。
【0089】
実施例20
2種類の陰イオン界面活性剤組成物、ラウレス−2硫酸ナトリウム(SLES−2)および非架橋線状ポリマーを含む組成物と、SLES−2および市販されている架橋ポリマーを含む組成物とのCMCを、Kruss K12自動張力計で作成した張力測定データをプロットして判定する。界面活性剤原液を5762mg/Lとし、SLES−2を0mg/L〜3200mg/Lで添加量調節する以外は、CMCプロトコルに記載されているとおりCMC法を用いる。各ポリマー(500mg/L)の複数のサンプルで添加量調節を行い、各サンプルを18%NaOH溶液を用いてすぐ下の表に示す中和度(DN)に中和する。所望の中和度にするため添加するNaOHの量は、ポリマーそれぞれの酸価に基づく。添加量調節には実施例7の非架橋線状ポリマーおよびCarbopol(登録商標)Aqua SF−1という商標名で市販されている架橋ポリマーを用いる。それぞれのDNにおける各ポリマーのCMC値を表5に示す。
【0090】
【表5】

非架橋線状ポリマーおよび架橋ポリマーは、SLES−2で添加量調節を行うとCMC値が上昇を示す。図2に示すように、2つのポリマーは比較的低いDN値で最適CMCに達している。文献では疎水性修飾アクリル系ポリマーの中和度を低下させることで界面活性剤組成物のCMCを上げられることが開示または示唆されていないため、この知見は予想外である。2つのポリマーの臨界ミセル濃度値は、DN値が約25%を超えると低下し始める。この現象は、中和度が高まるとそれぞれのポリマー骨格で負電荷が増大し斥力が働くためと考えられる。理論に拘泥するわけではないが、線状アクリル系ポリマー(架橋なし)では架橋により形成されるポリマー鎖の網目構造に対してポリマー鎖が強固なため、架橋アクリル系コポリマーよりもミセルの斥力がより強くなると思われる。中和度が高まりCMC値が低下しても、CMCは依然として界面活性剤単独の場合よりも高い。
【0091】
実施例21
非イオン界面活性剤において実施例7の非架橋線状ポリマーおよび市販されている架橋ポリマーCarbopol(登録商標)Aqua SF−1の濃度を上げたときのCMC値については、Kruss K12自動張力計により作成された張力測定データをプロットすることで得られる。界面活性剤原液を5752mg/Lとし、界面活性剤を0mg/L〜3257mg/Lで添加量調節する以外は、CMCプロトコルに記載されているとおりCMC法を用いる。被検ポリマー溶液の濃度の範囲は、250mg/L刻みで0mg/L〜1000mg/Lとする。非イオン界面活性剤は、Tomadol(登録商標)25−7として入手できるエトキシル化(約7エチレンオキシド単位)直鎖C12〜C15アルコールである。2つのポリマーの得られたCMC値の比較プロットを図3に示す。ポリマー濃度が上昇すると、2つのポリマーはともに、CMC値の上昇を示す。しかしながら、同じポリマー濃度では非架橋線状ポリマーの方が高いCMC値を示す。
【0092】
実施例22〜24
本発明の非架橋線状ポリマーおよび2つの比較架橋ポリマーのレオロジー特性(粘度、降伏値など)および濁度を、市販されているシャンプー組成物にポリマーを別々に配合して評価する。小売店で購入した市販のシャンプーJohnson’s(登録商標)Baby Shampoo(ジョンソンアンドジョンソンコンシューマーカンパニーズインコーポレイテッドインク)(ロットNo.718844)をpH、粘度、降伏値および濁度について評価する。このレオロジー特性値を対照実験として記録する。市販シャンプーの94gのアリコート3つを別のガラス容器に秤量する。穏やかに撹拌しながら、それぞれの容器に以下の表に記載の各ポリマーエマルジョン6gを加え、各サンプル中に約1.8グラムの活性ポリマー固形分を得る。18%NaOH溶液を用いて各被検サンプルのpH値をおおよそ市販の対照サンプルのpH値に調整する。結果を表6に示す。
【0093】
【表6】

実施例25〜26
実施例22〜24に記載の手順に従い、本発明の非架橋線状ポリマーおよび比較架橋ポリマーのレオロジー特性(粘度および降伏値など)および濁度を、小売店で購入しSLES−2ベースの市販シャンプーJohnson’s(登録商標)Head−to−Toe(登録商標)Baby Wash(ジョンソンアンドジョンソンコンシューマーカンパニーズインコーポレイテッドインク)(ロットNo.720842)にポリマーを別々に配合して評価する。結果を表7に示す。
【0094】
【表7】

表6および表7のデータから、非架橋線状ポリマーは、滑らかな流動特性を示唆する著しい低粘度特性および低降伏値を示すことが明らかにされる。非架橋線状ポリマーのレオロジープロファイルは、市販のシャンプー組成物のそれとかなり類似している。一方、比較架橋ポリマーは、高粘度特性および高降伏値を示し、製品のパッケージング、取り扱い、計量分配、感覚(消費者の感触)および使用に悪影響を及ぼすと考えられる。
【0095】
実施例27
実施例7の非架橋線状ポリマーおよび市販されている架橋ポリマーCarbopol(登録商標)Aqua SF−1の粘度を、ポリマーの中和度を上げながら測定する。各ポリマー(脱イオン水中の1wt.%ポリマー固形分)の複数の粘質物を調製する。各ポリマーの粘質物を20、40、60、80および100%DNに中和する。さらに、各ポリマーの粘質物サンプルを150および200%DNに中和する。ポリマーサンプルを18%NaOH溶液(NaOHの使用量はポリマーの酸価に基づき算出)で中和する。各粘質物サンプルの粘度を24時間後に上記の粘度手順を用いて測定する。結果を図4にプロットしてある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性修飾(メタ)アクリルポリマーを含む界面活性剤組成物の臨界ミセル濃度を上げる方法であって、該ポリマーを該ポリマーの酸価に基づき約1〜約75%の範囲の中和度(degree of neutralization)に中和することを含む、方法。
【請求項2】
前記中和度は前記ポリマーの酸価に基づき約5〜約60%の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記中和度は前記ポリマーの酸価に基づき約15〜約30%の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマーはモノマーを含む少なくとも1つの一不飽和カルボン酸および少なくとも1つの疎水性修飾エチレン性不飽和コモノマーを含むモノマー組成物から重合される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記モノマーを含む少なくとも1つの一不飽和カルボン酸は(メタ)アクリル酸、エトアクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸、アコニット酸、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、C〜C30アルカノールでエステル化されたマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アコニット酸、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物のハーフエステルおよびこれらの混合物から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの疎水性修飾エチレン性不飽和コモノマーは式(I)および(II)およびこれらの組み合わせで表され:
【化3】

式中、Rは水素、メチルまたはエチルを示し;Xは酸素またはNHを示し;RはC〜C30アルキル、C〜Cシクロアルキルまたはアリールを示し;
【化4】

式中、Rは各々独立に水素、メチル、−C(O)OHおよび−C(O)ORを示し;RはC〜C30アルキルであり;Aは−CHC(O)O−、−C(O)O−、−O−、−CHO−、−NHC(O)NH−、−C(O)NH−、−Ar−(CE−NHC(O)O−、−Ar−(CE−NHC(O)NH−および−CHCHNHC(O)−であり;Arは二価アリールであり;EはHまたはメチルであり;zは0または1であり;kは0〜約30の範囲の整数であり、mは0または1であり、ただし、kが0の場合、mは0であり、kが1〜約30の範囲にある場合、mは1であり;(R−O)はC〜Cオキシアルキレン単位のホモポリマー、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであるポリオキシアルキレンであり、式中、Rは−C−、−C−、−C−であり、nは約5〜約250の範囲の整数であり、Yは−RO−、−RNH−、−C(O)−、−C(O)NH−、−RNHC(O)NH−または−C(O)NHC(O)−であり;RはC〜C40直鎖アルキル、C〜C40分枝アルキル、C〜C40炭素環式アルキル、C〜C40アルキル置換フェニル、アリール置換C〜C40アルキルから選択される置換または非置換アルキルであり、該Rアルキル基は任意にヒドロキシル基、アルコキシル基およびハロゲン基から選択される1つまたは複数の置換基で置換されており;Rは、たとえば、ラノリンまたはコレステロールなどの多環式ヒドロカルビル化合物の残基および、たとえば、水素化ヒマシ油(castor seed oil)などの種子油の残基から選択されてもよい、
モノマーから選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーは陰イオン性モノマー、陽イオン性モノマー、モニオニック(monionic)モノマー、両性モノマーおよびこれらの混合物から選択されるモノマーをさらに含むモノマー組成物から重合される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマーは架橋モノマーをさらに含むモノマー組成物から重合される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
線状疎水性修飾(メタ)アクリルポリマーを含む界面活性剤組成物の臨界ミセル濃度を上げる方法であって、該ポリマーを該ポリマーの酸価に基づき約1〜約75%の範囲の中和度に中和することを含み、かつ18%NaOH溶液で(and)約pH7に中和された脱イオン水中の該ポリマーの3wt.%粘質物は20〜25℃の温度範囲で降伏値が0であり、ブルックフィールド粘度が1000mPa・s(Brookfield RVT、20rpm、スピンドルNo.1)未満である、方法。
【請求項10】
前記中和度は前記ポリマーの酸価に基づき約5〜約60%の範囲にある、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記中和度は前記ポリマーの酸価に基づき約15〜約30%の範囲にある、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記線状ポリマーはモノマーを含む少なくとも1つの一不飽和カルボン酸および以下の式で表される少なくとも1つの疎水性修飾エチレン性不飽和コモノマーを含むモノマー組成物から重合され:
CH=CRX
式中、Rは水素およびメチルから選択され;Xは−C(O)ORおよび−OC(O)Rから選択され;Rは直鎖および分枝C〜Cアルキルから選択され;Rは水素および直鎖または分枝C〜Cアルキルから選択される、
請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記線状ポリマーは(メタ)アクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、アコニット酸;これらの無水物;これらのC〜C30アルカノールのモノエステル;およびこれらの混合物を含むモノマー組成物から重合される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの疎水性修飾エチレン性不飽和コモノマーはエチル(メタ)アクリラート、ブチル(メタ)アクリラート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリラート、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、1−メチルビニルアセタート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ビニル2−エチルヘキサノアート、ピバル酸ビニル、ネオデカン酸ビニルおよびこれらの混合物から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記線状ポリマーの分子量は100,000M以下である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記(a)疎水性修飾エチレン性不飽和モノマーはC〜Cアルキル(メタ)アクリラートから選択され、かつPMMA標準で較正したGPCにより測定した前記ポリマーの分子量は100,000M以下であり、ブルックフィールド粘度は18wt.%NaOH溶液でpH7に中和した脱イオン水中の5wt.%ポリマー固形分濃度において500mPa・s以下(Brookfield RVT、20rpm、スピンドルNo.1)である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
界面活性剤および線状疎水性修飾(メタ)アクリルポリマーを含む家庭ケア、ペットケア、動物ケア、工業および施設ケア浄化組成物の臨界ミセル濃度を上げる方法であって、該ポリマーを該ポリマーの酸価に基づき約1〜約75%の範囲の中和度に中和することを含み、かつ18%NaOH溶液で(and)約pH7に中和した脱イオン水中の該ポリマーの3wt.%粘質物は20〜25℃の温度範囲で降伏値が0であり、ブルックフィールド粘度が1000mPa・s未満(Brookfield RVT、20rpm、スピンドルNo.1)である、方法。
【請求項18】
前記中和度は前記ポリマーの酸価に基づき約5〜約60%の範囲にある、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記中和度は前記ポリマーの酸価に基づき約15〜約30%の範囲にある、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記線状ポリマーはモノマーを含む少なくとも1つの一不飽和カルボン酸および以下の式で表される少なくとも1つの疎水性修飾エチレン性不飽和コモノマーを含むモノマー組成物から重合され:
CH=CRX
式中、Rは水素およびメチルから選択され;Xは−C(O)ORおよび−OC(O)Rから選択され;Rは直鎖および分枝C〜Cアルキルから選択され;Rは水素および直鎖または分枝C〜Cアルキルから選択される、
請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記線状ポリマーは(メタ)アクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、アコニット酸;これらの無水物;これらのC〜C30アルカノールのモノエステル;およびこれらの混合物を含むモノマー組成物から重合される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの疎水性修飾エチレン性不飽和コモノマーはエチル(メタ)アクリラート、ブチル(メタ)アクリラート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリラート、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、1−メチルビニルアセタート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ビニル2−エチルヘキサノアート、ピバル酸ビニル、ネオデカン酸ビニルおよびこれらの混合物から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記線状ポリマーの分子量は100,000M以下である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記界面活性剤は陰イオン界面活性剤(単数または複数)、陽イオン界面活性剤(単数または複数)、両性界面活性剤(単数または複数)、モニオニック(monionic)界面活性剤(単数または複数)およびこれらの混合物から選択される、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−509468(P2010−509468A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536509(P2009−536509)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/084239
【国際公開番号】WO2008/060997
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(506347528)ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド (74)
【Fターム(参考)】