説明

刺股状防護具兼救出用梯子

【構成】棒部100と棒部100の先端に取付られたU字形部101とを備えて刺股状防護具として使用できると共に、当該刺股状防護具の棒部100に手で把持し又は足場とすることができる把持・足場部102を有して救出用梯子としても使用できるようにしてなる刺股状防護具兼救出用梯子1。
【効果】刺股防御具としての役目は勿論のこと、救出用梯子(ハシゴ)として使用でき、駅等での暴漢対策等として使用できるだけでなく、ホームから誤って落ちてしまったような人を救出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刺股(さすまた)状防護具兼救出用梯子に関し、特に、鉄道等における暴漢対策として使用できると共に、ホームから線路に誤って落ちてしまった人を救出することができる梯子(ハシゴ)としての役目をも果たすことができる刺股状防護具兼救出用梯子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
刺股(さすまた)は、江戸時代、乱暴者や犯罪人を捕縛するための武器の一種として使用されており、一般に、かしの棒の先端にU字形の金具をつけたもので、その長さは、例えば、約2m程あり、その用法の一例は、当該刺股を用いて相手のむこうずねを突き、相手をねじ倒し、首を押さえて縄を掛け、乱暴者や犯罪人を捕縛していた。
当該刺股は、現在でも、基本的な構造は従来と余り変わりはなく、一般に、棒部(柄部)とU字形部とからなっている。当該刺股は、侵入者に対する防御具として現在でも立派に役立つており、警備が必要な交番等に置かれ、近時は、学校や建物等への不法侵入事件が多発しているので、こうした学校等へも広く置かれるようになってきている。
一方、駅のホームから鉄道線路に人が誤って落ちてしまったような場合、線路とホームとの間にはかなりの高さがあるので、その人が線路からホームへと自力で登ることや人が手を差し伸べ助けようとしても通常困難で、又、駅のホームには、線路に物を落とした場合にその物を拾うような治具は備えていても、ホームから鉄道線路に人が誤って落ちてしまったような場合の救命具は通常備えていないのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記従来技術の有する欠点を解消することができる新規の技術を提供することを目的としたものである。
本発明の他の目的や新規な特徴については本件明細書及び図面の記載からも明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記に鑑みて完成されたもので、本発明による刺股状防護具兼救出用梯子は、刺股防御具としての役目は勿論のこと、救出用梯子(ハシゴ)として特に鉄道において誤ってホームから線路に落ちてしまったような人を救出できる役目をも果たすことができる新規の技術に関するものである。
本発明の特許請求の範囲は、次の通りである。
(請求項1)棒部と該棒部の先端に取付られたU字形部とを備えて刺股状防護具として使用できると共に、当該刺股状防護具の棒部に手で把持し又は足場とすることができる把持・足場部を有して救出用梯子としても使用できるようにしてなることを特徴とする刺股状防護具兼救出用梯子。
(請求項2)把持・足場部が、刺股状防護具の棒部に対して直角方向に設けてなることを特徴とする、請求項1に記載の刺股状防護具兼救出用梯子。
(請求項3)把持・足場部が、適宜間隔を開けて複数個設けてなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の刺股状防護具兼救出用梯子。
(請求項4)把持・足場部が、刺股状防護具の棒部を中心として両側に設けられてなることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の刺股状防護具兼救出用梯子。
(請求項5)刺股状防護具兼救出用梯子が、ロ−プを備えてなることを特徴とする、請求項1、2、3又は4に記載の刺股状防護具兼救出用梯子。
(請求項6)ロ−プが、U字形部と把持・足場部の端部との間に架設されてなることを特徴とする、請求項1、2、3、4又は5に記載の刺股状防護具兼救出用梯子。
(請求項7)刺股状防護具兼救出用梯子が、中空管により構成され、U字形部及び把持・足場部の端部に蓋部を有してなることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5又は6に記載の刺股状防護具兼救出用梯子。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、棒部と該棒部の先端に取付られたU字形部とを備えているので刺股状防護具として使用できると共に、当該刺股状防護具の棒部に手で把持し又は足場とすることができる把持・足場部を有しているので救出用梯子としても使用でき、例えば、駅等での暴漢対策として使用できるだけでなく、ホームから誤って落ちてしまったような人を救出できる。
請求項2によれば、把持・足場部が、刺股状防護具の棒部に対して直角方向に設けられているので、手で把持し又は足場とし易くなり、人がホームへと登りやすくなる。
請求項3によれば、把持・足場部が、適宜間隔を開けて複数個設けてなるので、同様に、手で把持し又は足場とする箇所が増え、人がホームへと登りやすくなる。
請求項4によれば、把持・足場部が、刺股状防護具の棒部を中心として両側に設けられているので、両手で持ち易く、人がホームへと登りやすくなる。
請求項5によれば、駅員などが、そのロープをもって現場にいち早く駆けつけることが出来るし、ホームと線路との間に刺股状防護具兼救出用梯子を立て掛けるのにその作業を楽にする事が出来るし、又、救助を必要としている人が当該ロープをその手に把持すれば、より一層ホーム上に楽にあがってくることが出来る。
その場合、請求項6によれば、ロ−プが、U字形部と把持・足場部の端部との間に架設されているので、ハシゴにより近いものになり、手で把持し又は足場とし易くなり、人がホームへと登りやすくなる。
請求項7によれば、刺股状防護具兼救出用梯子を中空管により構成すれば、軽く持ち運びが楽になるが、刺股状防護具兼救出用梯子におけるU字形部及び把持・足場部の端部が開放されてしまい不都合を生じるので、キャップ(蓋部)にて蓋をするようにしている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1に示すように、刺股状防護具兼救出用梯子1は、棒部(柄部)100とU字形部101とを備えてなる。
当該刺股状防護具兼救出用梯子1における刺股状防護具は、当該棒部100とU字形部101とを備えて構成することができる。
図1に示すように、当該棒部100には、適宜間隔を開けて複数(図示では、4個)の把持・足場部102が、当該棒部100に対して直角方向に設けられている。
当該把持・足場部102は、例えば、ホームから誤って落ちてしまったような人が、当該把持・足場部102を手に把持して、及び(又は)、足を把持・足場部102にかけて、登ってこれるようになっている。
当該把持・足場部102は、棒部100を中心としてその両側に設けられている。
当該刺股状防護具兼救出用梯子1の端部には、例えば、紐からなるような吊下部103が取り付けられている。
【0007】
当該刺股状防護具兼救出用梯子1には、図2に示すように、例えばロープのような補助具104を設けるとよい。当該補助具104は、手に把持する時の補助となること、又、当該刺股状防護具兼救出用梯子1の持ち運びを楽にし、ホームと線路との間に当該刺股状防護具兼救出用梯子1を立て掛けるのにその作業を楽にすること、更には、当該刺股状防護具兼救出用梯子1を強度的に補強できる。
図示例では、当該補助具104は、当該刺股状防護具兼救出用梯子1におけるU字形部101と把持・足場部102の端部との間を繋いで架設されている。
当該補助具104は、図示のように、棒部100を中心としてその両側に架設するとよい。
【0008】
当該刺股状防護具兼救出用梯子1は、例えば、中空管(パイプ)により構成されているので、図3に示すように、当該刺股状防護具兼救出用梯子1におけるU字形部101の両端部と把持・足場部102の端部には、例えばゴム製の蓋部(キャップ)105を取り付けて、上記中空管(パイプ)の開放部を閉鎖するようにすることが好ましい。
【0009】
本発明による当該刺股状防護具兼救出用梯子1は、駅や線路などの鉄道の場において、刺股状防護具として例えば暴漢対策として使用できるだけでなく、手で把持し及び(又は)足場とすることができる把持・足場部を有しているので救出用梯子としても使用でき、例えば、駅等でのホームから誤って落ちてしまったような人を救出できるハシゴとしても使用できる。
人が駅のホームから誤って線路に落ちてしまったような場合、図4に示すような駅の線路400とホーム401との間に、当該刺股状防護具兼救出用梯子1を立て掛ければ、人は、当該刺股状防護具兼救出用梯子1における把持・足場部102を手に把持し、及び(又は)当該把持・足場部102を足場としてホーム上に登ってくれるので、緊急事態に駅員なども対処でき、人命を救うことができ、通常は、暴漢などの対策として防護具としての機能を果たすべく備えているものを、救出用梯子としての機能をも果たすことが出来る。
前記した例えばロープのような補助具104を設ければ、更に、駅員などが、そのロープ104をもって現場にいち早く駆けつけることが出来るし、ホームと線路との間に当該刺股状防護具兼救出用梯子1を立て掛けるのにその作業を楽にする事が出来るし、又、救助を必要としている人が当該ロープ104をその手に把持すれば、より一層ホーム上に楽にあがってくることが出来る。
【0010】
本発明では、適宜変更が可能であり、例えば、前記実施例では、直線状の把持・足場部(横木)102を設ける例を示したが、例えば、L字状などで当該把持・足場部102を構成してもよい。
又、当該把持・足場部102を棒部100に対して直角方向に設ける例を示したが、斜めにする等の変更も可能である。
本発明の刺股状防護具兼救出用梯子における棒部とU字形部とは一体化されていても又個別に独立した形態であってもよい。又、これら棒部とU字形部は、同じ材質の材料からなっていてもいてもよいし又異なった材質の材料からなっていてもよい。材質として好ましいのは、アルミニウムで、軽く丈夫にできる。アルマイト処理を施すとなおよい。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明は、鉄道の場での使用例を示したが、崖のような場所などでも適用してもよい。梯子は、救出用以外の通常の梯子としても使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例を示す刺股状防護具兼救出用梯子の構成図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す刺股状防護具兼救出用梯子の構成図である。
【図3】本発明の更に他の実施例を示す刺股状防護具兼救出用梯子の構成図である。
【図4】本発明の使用例の説明図である。
【符号の説明】
【0013】
1 刺股状防護具兼救出用梯子
100 棒部(柄部)
101 U字形部
102 把持・足場部
103 U字形部
104 把持・足場部
105 蓋部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒部と該棒部の先端に取付られたU字形部とを備えて刺股状防護具として使用できると共に、当該刺股状防護具の棒部に手で把持し又は足場とすることができる把持・足場部を有して救出用梯子としても使用できるようにしてなることを特徴とする刺股状防護具兼救出用梯子。
【請求項2】
把持・足場部が、刺股状防護具の棒部に対して直角方向に設けてなることを特徴とする、請求項1に記載の刺股状防護具兼救出用梯子。
【請求項3】
把持・足場部が、適宜間隔を開けて複数個設けてなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の刺股状防護具兼救出用梯子。
【請求項4】
把持・足場部が、刺股状防護具の棒部を中心として両側に設けられてなることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の刺股状防護具兼救出用梯子。
【請求項5】
刺股状防護具兼救出用梯子が、ロ−プを備えてなることを特徴とする、請求項1、2、3又は4に記載の刺股状防護具兼救出用梯子。
【請求項6】
ロ−プが、U字形部と把持・足場部の端部との間に架設されてなることを特徴とする、請求項1、2、3、4又は5に記載の刺股状防護具兼救出用梯子。
【請求項7】
刺股状防護具兼救出用梯子が、中空管により構成され、U字形部及び把持・足場部の端部に蓋部を有してなることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5又は6に記載の刺股状防護具兼救出用梯子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−17077(P2007−17077A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−198775(P2005−198775)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(505257615)株式会社三和製作所 (5)
【Fターム(参考)】