説明

刺込管刺込用治具

【課題】水分岐装置の水抜用刺込管をホースに刺込む際に用いる刺込管刺込用治具を提供する。
【解決手段】液分岐装置10のクランプ12の互いに対向する側に、互いに噛合する噛合部13b、14bが形成されてなる互いに入れ子式に挿入可能な二叉部の間の凹曲面側に植設された水抜用刺込管15をホースHに刺込む際に用いる刺込管刺込用治具1を、前記ホースHの直径より小間隔のホース挟圧面2bを有し、前記ホースHが押込まれるホース保持凹所2と、ホース保持凹所2のホース挟圧面2bの外側に形成され、ホース保持凹所2の開口部2aから離れるに連れて互いに間隔が拡大する斜面3aを有する二叉部拡張部3と、二叉部拡張部3の斜面3aの幅方向の外側に形成され、二叉部の幅方向の側面を案内する案内面4aを有する二叉部ガイド4とから構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刺込管刺込用治具に係り、例えば、散水装置等のホースに取付けられ、ホースクランプ部のクランプの互いに入れ子式の二叉部の間の凹曲面に、ホースに刺込まれる液抜用刺込管が植設されてなる液分岐装置の前記液抜用刺込管をホースに刺込む際に用いる刺込管刺込用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一戸建ての庭園においては勿論のこと、マンション等のベランダにおいてもプランターや植木鉢等を用いてのガーデニングが行われている。プランターや植木鉢等に植えられている植物への水、液体肥料、殺虫剤等の散布は、例えば主管と、分岐管、ホース、散布具等を備えてなる散水装置や液体散布装置が用いられている。散水装置としては、例えば、後述するような構成になる植栽用散水装置が公知である。
【0003】
以下、上記従来例1に係る植栽用散水装置の概要を、添付図面を順次参照しながら説明する。図4は穴開け治具の斜視図であり、図5は穴開け治具によるホースへの穴開けを模式的に示す図であり、図6(a)は穴開け治具によりホースに開けられた穴に分岐チューブが接続された形態を示す斜視図であり、図6(b)は穴開け治具によりホースに開けられた穴にマイクロエミッター(散水手段)、ホールプラグが取付けられた場合を模式的に示した図である。
【0004】
この従来例1に係る植栽用散水装置は、蛇口に接続された蛇腹管と、この蛇腹管の先端部に取付けられたタイマー自動弁と、このタイマー自動弁に取付けられると共に各種の継手によって接続され、例えばポリエチレン製の複数のホースと、このホースの途中に設けられた複数の穴のそれぞれに取付けられる分岐チューブと、これら分岐チューブの先端部に取付けられた散水部等から構成されている。
【0005】
前記ホースの途中に開けられた穴は、握持部61と、先端が尖った穴開け部62からなる、図4に示すような構成の穴開け治具60によって開けられる。即ち、図5に示すように、握持部61を手で握り、穴開け部62の先端をホース50に強く押し当てることにより開けられる。そして、このようにして、ホース50に開けられた穴には、図6(a),(b)に示すように、コネクター72が取付けられると共に、このコネクター72に、図示しない散水手段に水を供給するポリエチレン等から製造されてなる分岐チューブ71が接続され、また例えばマイクロエミッター(散水手段)81や、ホールプラグ82が取付けられる。(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
また、従来例2に係る散水装置が開示されてなる文献では、軟質合成樹脂からなるホースに水供給先に水を供給する供給管等を接続するために、パンチを用いてホースに穴を開ける点が記載されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平10−313711号公報
【特許文献2】実開平7−3737号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来例1,2に係る散水装置の場合には、上記のとおり、ホースを流れる水を抜出して散水部や散水ノズルに分配供給する分岐チューブや立ち上げ管等をホースに接続するために、穴開け治具やパンチ(構成については不明)を用いて、ホースに分岐チューブや立ち上げ管等を接続するための穴を開けている。
【0008】
故に、分岐チューブや立ち上げ管等を確実にホースに接続することができるので、接続部位における実用上の問題はないと考えられる。しかしながら、散水装置に使用されるホースは、一般的に樹脂製であるため極めて変形し易いから、穴開けが面倒であり、それなりの時間を要する。また、例えば従来例1の場合には、穴開け部の先端がホースの内壁に傷を付けたりする恐れや、穴開け部の先端が滑ってホースから外れたりすることもあり、怪我をしたりする恐れもある。つまり、ホースを流れる水(液)を分配供給する水(液)分岐装置を、穴開けするまでもなく迅速に、しかも安全、確実にホースに接続し得るようにすることが好ましい。
【0009】
従って、本発明の目的は、ホースクランプ部の互いに入れ子式の二叉部の間の凹曲面にホースに刺込まれる液抜用刺込管が植設されてなる液分岐装置の前記液抜用刺込管をホースに刺込む際に用いる刺込管刺込用治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、従って本発明の請求項1に係る刺込管刺込用治具が採用した手段の要旨は、液を送液するホースに着脱自在に外装され、開閉自在な両端に互いに入れ子式に挿入可能な二叉部が形成されると共に、これら二叉部の互いに対向する側に、互いに噛合し得る噛合部が形成されてなるクランプを備えたホースクランプ部と、前記クランプの二叉部の間の凹曲面側に植設され、前記ホースに刺込まれる液抜用刺込管とを備え、この液抜用刺込管で抜出された液を液使用側に分配供給する液分岐装置の前記液抜用刺込管を前記ホースに刺込む際に用いる刺込管刺込用治具であって、前記ホースの直径より小間隔のホース挟圧面を有し、前記ホースが押込まれるホース保持凹所と、このホース保持凹所のホース挟圧面の外側に形成され、このホース保持凹所の開口部から離れるに連れて互いに間隔が拡大する斜面を有する二叉部拡張部と、この二叉部拡張部の少なくとも一方の斜面の幅方向の外側に形成され、前記二叉部の幅方向の側面を案内する案内面を有する二叉部ガイドとからなることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項2に係る刺込管刺込用治具が採用した手段の要旨は、請求項1に記載の刺込管刺込用治具において、前記ホース保持凹所の奥から開口部までの寸法は、このホース保持凹所に押込まれた扁平後のホースの長径より小寸に設定されてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1または2に係る刺込管刺込用治具によれば、この刺込管刺込用治具のホース保持凹所にホースを押込み、液分岐装置のホースクランプ部のクランプの二叉部の相対する側を二叉部拡張部に合わせると共に、二叉部の幅方向の側面を二叉部ガイドの案内面に合わせた液分岐装置をホースの方向に押せば、液分岐装置は、二叉部の幅方向の側面が二叉部ガイドの案内面に案内されて位置ずれすることなく、かつクランプの二叉部が斜面により拡張されながらホースの方向に移動するため、液抜用刺込管がホースに刺込まれる。従って、従来例のように、穴開け治具により変形し易いホースに穴開けする必要がないから、液分岐装置を迅速に、しかも安全、確実にホースに接続することができる。
【0013】
本発明の請求項2に係る刺込管刺込用治具によれば、刺込管刺込用治具のホース保持凹所の奥から開口部までの寸法は、このホース保持凹所に押込まれた扁平後のホースの長径より小寸に設定されている。従って、液抜用刺込管が完全にホースに刺込まれるため、ホース保持凹所からホースを取外すと共に、クランプの二叉部を挿入して噛合部を噛合させるだけで、この液分岐装置をホースに取付けることができる。また、ホース保持凹所に押込まれたホースは、液抜用刺込管の刺込方向に長径を有する形状に変形するため、液抜用刺込管の先端がホースの液抜用刺込管の刺込位置の反対側の内周面に突き当たるようなことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る刺込管刺込用治具を、この刺込管刺込用治具が液分岐装置(以下、水分岐装置という。)の液抜用刺込管(以下、水抜用刺込管という。)を園芸用散水装置の散水用の水を送水するホースに刺込む場合を例として、添付図面の図1乃至図3を順次参照しながら説明する。図1(a)は本発明の実施の形態に係る刺込管刺込用治具の側面図であり、図1(b)は図1(a)のA矢視図であり、図2は水抜用刺込管をホースに刺込む作業手順説明図であり、図3は水分岐装置のホースへの取付け状態を示す構成説明図である。
【0015】
先ず、本発明の実施の形態に係る刺込管刺込用治具を用いて、園芸用散水装置のホースに水抜用刺込管が刺込まれる水分岐装置を、図3を参照しながら説明する。即ち、この水分岐装置10は、散水のための水を送水するホースHに着脱自在に装着されるホースクランプ部11と、このホースクランプ部11に接続され、前記分岐ホース7が接続される継手部17とから構成されている。この水分岐装置10の前記ホースクランプ部11は、前記ホースHへの装着状態においては、このホースHの外周を囲繞する、後述する構成になるクランプ12を備えている。このクランプ12は、図1において左側に示す第1クランプ13と、右側に示す第2クランプ14とから構成されている。
【0016】
より詳しくは、前記第1クランプ13の先端には、湾曲形成されてなる二叉部が形成されている。この第1クランプ13の二叉部は、内側面がホース4の外周面に押圧され、外側面に側面視で三角波状の噛合歯が形成されてなる基端側の噛合部13aと、先端側の抜け止め部13bとから構成されている。また、前記第2クランプ14の先端にも、湾曲形成されてなる二叉部が形成されている。この第2クランプ14の二叉部は、内側面がホースHの外周面に押圧され、外側面に前記第1クランプ13の噛合部13aの内側面が接触する基端側のホース押え部14aと、内側面に噛合歯が形成され、外側面が前記第1クランプ13の抜け止め部13bの内側面に接触する先端側の噛合部14bとから構成されている。
【0017】
つまり、前記クランプ12の第1クランプ13と第2クランプ14とがホースHに装着された状態にあっては、前記第1クランプ13の先端の二叉部と、前記第2クランプ14の先端の二叉部とを入れ子式に挿入すると、前記第1クランプ13の噛合部13aの噛合歯と、前記第2クランプ14の噛合部14bの噛合歯とが噛合する。そして、前記第2クランプ14の噛合部14bの外側面が前記第1クランプ13の抜け止め部13bの内側面で押圧されることにより、両二叉部が抜けることがないように構成されている。
【0018】
この水分岐装置10のクランプ12は、前記二叉部の第1クランプ13の噛合部13aの噛合歯と、第2クランプ14の噛合部14bの噛合歯との歯形は、何れも二叉部の奥側である噛合部の基端側に傾斜するように形成されている。これら噛合部13a,14bの噛合歯の歯形をこのように傾斜させたのは、噛合歯同士を噛合させるに際しての入れ子式に挿入する作業の容易化と、入れ子式に挿入された二叉部の抜け止めに対する信頼性の向上を狙いとしたものであり、極めて好ましい形態である。
【0019】
前記クランプ12の中心位置であって、かつこのクランプ12の前記二叉部の間の凹曲面に、円錐台状体12aが形成されると共に、この円錐台状体12aの頂部の中心位置に、アルミニウム合金からなるチューブを斜めに削いだ形状の先端がホースHに刺込まれ、このホースHを流れる水を分配供給するために抜き出すための水抜用刺込管15が植設されている。なお、前記円錐台状体12aは、水分岐装置10がホースHに取付けられた場合において、水抜用刺込管15の刺込位置からの漏水防止に対する信頼性の向上のために、ホースHの刺込穴の内側端面の水抜用刺込管15の外周面に対する押圧力を増加させることを狙いとして設けたものである。
【0020】
前記ホースクランプ部11のクランプ12の反対側に、円筒部16が形成されている。
この円筒部16の内部に、前記水抜用刺込管15の径方向の中心をとおる中心線Lを共有する円筒部16の中心部の長手方向に沿って前記水抜用刺込管15から抜出された前記ホースHを流れる水の一部を流す流水路16aが形成されている。そして、前記円筒部16の端部に設けられた図示しない雌ネジに、分岐ホースHbが接続されるホースニップル17aを有し、かつ内部に弁機構を有する継手部17が螺着されている。
【0021】
なお、前記第1クランプ13の噛合部13aと抜け止め部13bとの間であって、かつ外側面に形成されてなる外側歯形13cと、前記第2クランプ14のホース押え部14aと噛合部13bとの間であって、かつ外側面に形成されてなる外側歯形14cとは、クランプ作業のための滑り止めであるから、必ずしも設ける必要がないものである。また、前記継手部17にはホースニップル17aが設けられているが、例えばチューブが接続されるチューブ継手用のネジが設けられていても、直に散水ノズルや散布ノズルを取付けるように構成されていてもよい。
【0022】
次に、図1(a),(b)および図2を順次参照しながら、上記水分岐装置10の水抜用刺込管15をホースHに刺込む際に用いる、本発明の実施の形態に係る刺込管刺込用治具の構成を説明する。即ち、図2,3に示す符号1は、本発明の実施の形態に係る刺込管刺込用治具である。この刺込管刺込用治具1の一端側には、前記ホースHが押込まれる、後述するホース保持凹所2が設けられている。
【0023】
前記ホース保持凹所2は、前記ホースHの直径Dより小間隔のホース挟圧面2bを備えると共に、奥側に凹曲面2cを備えており、前記ホースHが端面の開口部2aから押込まれると、押込まれたホースHの断面は扁平、つまりホース保持凹所2の開口部2aの幅方向が短径で、ホース保持凹所2の奥行き方向が長径の長円になるように設定されている。
さらに、ホース保持凹所2の奥側の凹曲面2cから開口部2aまでの寸法Lは、このホース保持凹所2に押込まれた扁平後のホースHの長径より小寸に設定されており、扁平後のホースHの一部が開口部2aから突出するように配慮されている。
【0024】
前記ホース保持凹所2のホース挟圧面2bの外側に、前記水分岐装置10のホースクランプ部11を構成するクランプ12の第1クランプ13と、第2クランプ14の間隔を次第に拡げさせる二叉部拡張部3が形成されている。この二叉部拡張部3は、前記ホース保持凹所2の開口部2aから離れるに連れて互いに間隔が大きくなる斜面3a,3aを備えている。また、これら両斜面3a,3aの幅方向の両側に、前記水分岐装置10のクランプ12の第1クランプ13と、第2クランプ14の幅方向の側面を案内する案内面4aを有する二叉部ガイド4が設けられている。
【0025】
さらに、この刺込管刺込用治具1の他端側に、この刺込管刺込用治具1を図示しない格納フックに掛けて格納するための格納用穴5が設けられると共に、前記二叉部拡張部3と格納用穴5との間が、水分岐装置10の水抜用刺込管15をホースHに刺込む際に手で持つための握持部6となっている。なお、この実施の形態の場合、握持部6の横断面の形状は矩形状になっているが、握持性の向上のために、例えば円形状にしても良い。また、二叉部拡張部3、二叉部ガイド4を含む刺込管刺込用治具1の全体が一体の同一部材から構成されているが、握持部6は別部材から構成されていても良い。
【0026】
ところで、本発明の実施の形態に係る刺込管刺込用治具1の二叉部ガイド4は、上記のとおり、二叉部拡張部3の両斜面3aの幅方向の両側に設けられているが、何れか一方の斜面3aの幅方向の両側に設けられていれば良く、機能上の観点からすると、必ずしも二叉部拡張部3の両斜面3aの幅方向の両側に設ける必要がない。しかしながら、この刺込管刺込用治具1は、樹脂(詳しくは、ポリアセタール樹脂)製で、それなりに高強度であるものの、強度上の観点からすると、本実施例のように二叉部拡張部3の両斜面3aの幅方向の両側に二叉部ガイド4を設けるのが好ましい。
【0027】
また、二叉部拡張部3の斜面3aは、開口部2aから握持部6の握持部平面6aまで同角度に設定されているが、開口部2a側の斜面と、握持部平面6aと平行な平面とからなる構成であっても良い。さらに、外側に膨出する曲面であっても良い。
【0028】
以下、本発明の実施の形態に係る刺込管刺込用治具1の使用態様を、図2を参照しながら説明する。即ち、この刺込管刺込用治具1によれば、水分岐装置10の水抜用刺込管15を下記のようにしてホースHに刺込むと共に、このホースHに水分岐装置10を容易に取付け得る状態にすることができる。
【0029】
(1)刺込管刺込用治具1の握持部6を一方の手、例えば左手で持ち、他方の手、例えば右手で持ったホースHを開口部2aからホース保持凹所2に押込む。
(2)ホースHから離した右手で水分岐装置10の円筒部16を持ち、水分岐装置10のクランプ12の第1クランプ13の二叉部の抜け止め部13bを二叉部拡張部3の一方の斜面3aに合わせると共に、第2クランプ14の二叉部の噛合部14bを二叉部拡張部3の他方の斜面3aに合わせる。
(3)水分岐装置10をホース保持凹所2の開口部2aの方向に押し、水抜用刺込管15の先端をホース保持凹所2から突出しているホースHの外周に当接させる。
(4)水抜用刺込管15の先端がホース保持凹所2から突出しているホースHの外周に当接したら、水分岐装置10のクランプ12の第1クランプ13と第2クランプ14の二叉部の間の凹曲面が当接するまで、それなりの力で水分岐装置10をホースHの方向に押して水抜用刺込管15をホースHに刺込む。
(5)水抜用刺込管15が刺込まれたホースHから刺込管刺込用治具1を取外す。
【0030】
以上の作業により、水分岐装置10の水抜用刺込管15のホースHへの刺込み作業が終了する。刺込み作業終了後、ホースHに水分岐装置10を容易に取付け得る状態になる。
即ち、第1クランプ13の外側歯形13aと、第2クランプ14の外側歯形14aを相対する方向に押して両二叉部を入れ子式に挿入すれば、図3において示すように、第1クランプ13の噛合部13aの噛合歯と第2クランプ14の噛合部14bの噛合歯とが噛合し、水分岐装置10がホースHに強固に取付けられる。
【0031】
従って、本発明の実施の形態に係る刺込管刺込用治具1によれば、水分岐装置10の水抜用刺込管15を位置ずれさせることなく、ホースHに刺込むことができる。また、刺込管刺込用治具1のホース保持凹所2の奥から開口部2aまでの寸法が、このホース保持凹所2に押込まれた扁平後のホースHの長径よりも小寸に設定されているから、水分岐装置10の水抜用刺込管15を完全にホースHに刺込むことができる。さらに、ホース保持凹所2に押込まれたホースHは、水抜用刺込管15の刺込方向に長径を有する長円に変形するため、水抜用刺込管15の先端がホースHの水抜用刺込管15の刺込位置の反対側の内周面に突き当たるようなことがない。
【0032】
本発明の実施の形態に係る刺込管刺込用治具1では、上記従来例1,2に係る散水装置の場合のように、散水部や散水ノズルに分配供給する分岐チューブや立ち上げ管をホースに接続するために、穴開け治具やパンチを用いてホースHに接続するための穴を開ける必要がない。従って、本発明の実施の形態に係る刺込管刺込用治具1によれば、ホースHに接続するための穴を開けるまでもなく、水分岐装置10を取付けることができる。
【0033】
また、変形し易いホースHであっても、ホース保持凹所2に押込んでホースHの変形を抑制して、クランプ12の第1クランプ13と第2クランプ14の二叉部の間の凹曲面が当接するまで水分岐装置10をホースHの押すだけなので、水分岐装置10を極めて迅速に、しかも安全、確実にホースHに接続することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
なお、以上の実施の形態に係る刺込管込用治具1においては、何れも園芸用散水装置の散水用の水を送水するホースに取付けられる水分岐装置に適用した場合を例として説明した。しかしながら、入れ子式の二叉部を有するクランプを具備する水分岐装置は、例えば液体肥料の散布装置や、殺虫剤散布装置のホースに対しても適用することができるので、本発明の刺込管刺込用治具1の用途は、園芸用散水装置のホース用の水分岐装置だけに限定されるものではなく、例えば液体肥料の散布装置や、殺虫剤散布装置のホースに対しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態に係り、図1(a)は刺込管刺込用治具の側面図であり、図1(b)は図1(a)のA矢視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係り、水分岐装置の水抜用刺込管をホースに刺込む作業手順説明図である。
【図3】本発明の実施の形態に係り、水分岐装置のホースへの取付け状態を示す構成説明図である。
【図4】従来例1に係る植栽用散水装置に関し、穴開け治具の斜視図である。
【図5】従来例1に係る植栽用散水装置に関し、穴開け治具によるホースへの穴開けを模式的に示す図である。
【図6】従来例1に係る植栽用散水装置に関し、図6(a)は穴開け治具によりホースに開けられた穴に分岐チューブが接続された形態を示す斜視図であり、図6(b)は穴開け治具によりホースに開けられた穴にマイクロエミッター(散水手段)、ホールプラグが取付けられた場合を模式的に示した図である。
【符号の説明】
【0036】
1…刺込管刺込用治具,2…ホース保持凹所,2a…開口部,2b…ホース挟圧面,2c…凹曲面,3…二叉部拡張部,3a…斜面,4…二叉部ガイド,4a…案内面,5…格納用穴,6…握持部
10…水分岐装置
11…ホースクランプ部
12…クランプ,12a…円錐台状体
13…第1クランプ,13a…噛合部,13b…抜け止め部,13c…外側歯形
14…第2クランプ,14a…ホース押え部,14b…噛合部,14c…外側歯形
15…水抜用刺込管
16…円筒部,16a…流水路
17…継手部,17a…ホースニップル
D…ホースHの直径
H…ホース
Hb…分岐ホース
L…ホース保持凹所の凹曲面から開口部までの寸法
Lc…水抜用刺込管の径方向の中心をとおる中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液を送液するホースに着脱自在に外装され、開閉自在な両端に互いに入れ子式に挿入可能な二叉部が形成されると共に、これら二叉部の互いに対向する側に、互いに噛合し得る噛合部が形成されてなるクランプを備えたホースクランプ部と、前記クランプの二叉部の間の凹曲面側に植設され、前記ホースに刺込まれる液抜用刺込管とを備え、この液抜用刺込管で抜出された液を液使用側に分配供給する液分岐装置の前記液抜用刺込管を前記ホースに刺込む際に用いる刺込管刺込用治具であって、前記ホースの直径より小間隔のホース挟圧面を有し、前記ホースが押込まれるホース保持凹所と、このホース保持凹所のホース挟圧面の外側に形成され、このホース保持凹所の開口部から離れるに連れて互いに間隔が拡大する斜面を有する二叉部拡張部と、この二叉部拡張部の少なくとも一方の斜面の幅方向の外側に形成され、前記二叉部の幅方向の側面を案内する案内面を有する二叉部ガイドとからなることを特徴とする刺込管刺込用治具。
【請求項2】
前記ホース保持凹所の奥から開口部までの寸法は、このホース保持凹所に押込まれた扁平後のホースの長径より小寸に設定されてなることを特徴とする請求項1に記載の刺込管刺込用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−293640(P2009−293640A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144727(P2008−144727)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【特許番号】特許第4349498号(P4349498)
【特許公報発行日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【出願人】(000233619)株式会社ニチリン (69)
【Fターム(参考)】