説明

削岩装置

本発明は、送りビーム(1)およびこれに沿って前後動する削岩機と、可撓性の移動要素によって接続されて、自身の長手方向に削岩機を移動させる圧力媒体駆動の送りシリンダ(4)とを含む削岩装置に関するものであり、送りビーム(1)はその長手方向に空間を備え、そこに送りシリンダ(4)が取り付けられる。削岩装置は、測定索(9)用の測定輪(7a)を含む測定装置を含み、測定輪(7a)は測定装置の測定センサを回転させるように連結される。測定索(9)は測定輪(7a)から送り出されて送りビームの送りシリンダ(4)の空間へ、かつこの空間内を送りビーム(1)の長手方向に走行し、また測定索(9)はその端部において送りビーム(1)に対して動く送りシリンダ(4)の一部に不動に結合されて、この部分が削岩機の送り方向に動くと、それに従って測定索(9)が動く。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、送りビームおよびこれに沿って前後動する削岩機と、可撓性の移動要素によって接続されて、自身の長手方向に削岩機を移動させる圧力媒体駆動の送りシリンダとを含む削岩装置に関するものであり、送りビームはその長手方向に空間を備え、送りシリンダは、その一部、すなわちシリンダ管またはピストンロッドが送りビームに対してその長手方向に不動に取り付けられ、また同様に別の部分、すなわちピストンロッドまたはシリンダ管が送りビームに対してその長手方向に移動するように取り付けられている。
【発明の簡単な説明】
【0002】
削岩においては、削岩機の変位を測定して、掘削した孔の長さを割り出し、またその一方で、削岩機の送りビーム上の位置を知ることができるようにしなければならない。
【0003】
米国特許第6,550,554号は、端部が送りシリンダの両端部に取り付けられた索を測定装置の綱車に通すことでセンサを回転させる方式を開示している。送りシリンダの移動方向に応じて、センサは、削岩機の変位および移動方向に比例した測定値を示す。
【0004】
上述の方式における問題点は、構造体がかなり開放空間にあるために、使用中に損傷を被りやすいということである。また、測定部材がセンサの車輪から外れてしまうおそれがあり、それにより測定ミスが起きるという問題もある。
【0005】
本発明は、できる限り確かな測定結果を得ることができ、測定部材が公知のものよりも十分に保護される測定機器を提供することを目的とする。
【0006】
本発明による測定機器は、送りビームに対して横軸を中心として回転可能に取り付けられ測定索用の測定輪を備える測定装置を含み、測定輪は測定装置の測定センサを回転させるように接続され、測定索は測定輪から送り出されて送りビームの送りシリンダの空間内へ、かつその空間内を送りビームの長手方向に走行し、測定索はその端部において、送りビームに対して動く送りシリンダの一部に不動に結合されて、この部分が削岩機の送り方向に動くと、それに従って測定索が動き、これに応じて測定輪の測定センサが回転する。また削岩装置は測定輪を回転させる手段を含み、送りシリンダの可動部における測定索の取付け点が測定装置から離れると、測定索が測定輪から巻き解かれ、同様に送りシリンダの可動部における測定索の取付け点が測定装置の方へ動くと、測定索が測定輪に巻き付けられることを特徴とする。
【0007】
本発明の概念は、測定部材として次のような測定装置を使用することにある。すなわちこの装置では、測定索などの測定部材が測定輪の周囲に配されて、測定部材が引っ張られると、測定輪、およびこれに同調して測定センサが回転する。また、本発明の根本をなす基本概念は、バネを同様に測定輪に結合して、測定輪を反対方向に回転させて、測定索を測定輪に巻き付けることにある。本発明の根本をなす別の基本概念は、測定装置を送りビームの外側のすぐ近くに取り付けて、送りビームの側部に設けられた開口部から測定索を送り込んで、送りビーム内の、好ましくは送りシリンダと送りビームの溝状空間の底部の間を走行させることで、使用中に索が十分に保護されるようにすることにある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明を、添付図面を用いてより詳細に述べる。
【図1】削岩機の送りビームの部分的な概略側面断面図である。
【図2】測定装置を備えた送りビームの一部を示す概略上面図である。
【図3】送りビームの図2のA-A線に沿った断面を概略的に示す図である。
【発明のいくつかの実施例の詳細な説明】
【0009】
図1は、削岩機の送りビームの部分的な概略側面断面図である。本図は作動送りビーム1を含み、この送りビーム上に、削岩機2が送りビーム1の長手方向に移動可能に装着されている。削岩機2は、送りビームと削岩機の間に設けられた独立した送り台3上に支持されて送りビームに対して移動可能に設置するか、または送りビームに対して移動可能に直接送りビーム1上に設置してよい。
【0010】
送りビーム1の断面を見ると、その上部にU字型の溝が設けられ、溝は削岩機に向かって開口している。また、送りビーム1は管状でよく、その場合、送りビーム1は溝の代わりに管の内部に設けられた通路状の空間を備える。
【0011】
送りビーム1の溝または管状送りビーム内部の管状空間には送りシリンダ4が設けられ、この送りシリンダは、それ自体が公知の方法によって、ケーブルまたはチェーン5などの可撓性移動部材および遊動輪6を用いて接続され、圧力流体がいずれかの圧力流体空間に送られると、削岩機を移動させる。送りシリンダ4の一部分、通常はピストンロッド4aが、その端部において送りビーム1に対してその長手方向に不動連結される。あるいは、シリンダ管が送りビーム1に対してその長手方向に不動に装着されてもよく、この場合、ピストンロッド4aは移動可能である。このような送り装置では、遊動輪が送りシリンダ4などの可動部に沿って動くように連結されると、削岩機2はそれ自体が公知の方法によって送りシリンダの動きに比べて2倍の速さで動くため、送りシリンダの動きを測定することで、削岩機の動き、すなわち変位を判定でき、また必要に応じて、その速度も判定できる。このような送り機構はそれ自体が当業者に知られたものであり、また一般にも十分に知られているので、ここでより詳細な説明は不要であろう。
【0012】
図2は、測定装置を備える送りビーム1の一部の上面図である。圧力媒体がそれ自体一般的に知られた方法によって送りシリンダ4の圧力流体空間のどちらか一方に供給されると、シリンダ管4bが送りビーム1に対してそのいずれかの長手方向に動く。図2はまた、送りビーム1の横側近くに配設された測定装置7を示す。測定装置7は、例えば保護板8によって外部衝撃から守られている。
【0013】
測定装置7は測定輪を含み、測定輪には、測定索などの測定部材が巻き付けられている。測定輪は溝付き車輪が好ましく、それにより測定索が測定輪の端部から滑り落ちるのを防ぐことができる。7a測定部材9は例えば測定索であり、測定装置7から、送りビーム1の側部に形成された開口部を通って送りビーム1内に送られる。測定索9用の溝を備えた遊動輪10が、送りビームに設けられた開口部に配設される。それにより、測定索は円滑に方向転換でき、送りビーム1に平行になる。測定索9の端部は、送りシリンダ6に対して不動で、例えば独立したラグ11に結合され、または、別のそれ自体が公知の方法によって結合される。
【0014】
測定装置7の構造体内部にはセンサが設けられ、このセンサは回転時に回転量に比例する測定パルスを発生させる。パルスはそれ自体が知られた電気計測技術によって計測され、それにより、削岩制御装置へ容易に転送することができ、例えば制御パラメータとして示されるか、もしくは制御パラメータとして用いられる。送りシリンダ4が送りビーム1に対して図2の矢印A方向に動くと、送りシリンダは測定索9を送りビームに沿って引っ張るため、測定索はシリンダ管4bの動きに比例する分だけ測定装置7の測定輪7aから巻き解かれる。これにより測定装置の測定輪7aが回転し、その結果、測定装置内に設けられたそれ自体が公知のものであるセンサが、例えば移動距離に比例するパルス数などの変位に比例した測定信号を生成する。送りシリンダのシリンダ管4aが矢印Aに示す方向とは反対の方向に戻ると、これに応じて測定索9を測定装置7の測定輪に巻き戻すことができる。測定索を巻き解く部材として、測定装置7は、例えば装置内にそれ自体が公知の方法で配設される対抗バネ、一般的には渦巻ばねを備え、このバネは、索が引き出されると巻き締まって索が引っ張られるのに抵抗し、これに対応して、索が緩むと、測定索9を測定装置7に巻き戻して、測定装置内に配設されたセンサを引き出し方向とは反対の方向に回転させる。それとともに、これに呼応して、戻り動作中の変位をパルスなどの電気信号として表すことができる。
【0015】
図3は、図2のB-B線に沿った送りビーム1の断面を概略的に示す図である。本図は、測定索9が、測定装置7から遊動輪10を経て、送りビーム1内に設けられた溝1aに送られることを示す。測定索9は、その端部が、図2に関連して示されるビーム1の溝1aに位置するラグ11に取り付けられ、その垂直方向で見ると送りシリンダ4と溝1aの底部1bの間の高さにある。これにより、測定索9は外部接触から十分に保護される。図3はさらに、送りビーム1の側部に開口部1cが設けられ、その開口部内には遊動輪10が垂直軸を中心として回転可能に配設されている状態を示す。
【0016】
本発明は上述の説明および図面にその一例として開示したが、これに限定するものではない。肝心なことは、測定装置として測定索を測定輪に巻き付ける方式を用い、この装置は測定輪を回転させる例えばバネなどの手段を備えて、シリンダ管内の測定索の取付け点が測定装置から離れると、測定索を測定輪から巻き解き、これに対して、シリンダ管内の測定索の取付け点が測定装置方向に動くと、測定索を測定輪に巻き付けるということである。好ましくは、対抗バネを備えた構造体を用いて、対抗バネが測定索を測定装置のセンサの遊動輪を巻回して引っ張ろうとし、それと同時にセンサを回転させるようにするが、例えば圧力流体によって駆動される回転機構など、他の戻し手段を用いてもよい。他の重要な点は、測定装置から送りビーム内に設けられた溝に測定索を通すことであり、この溝によって測定索が外部接触から保護される。測定索または他の可撓性の測定部材は、送りビームの壁を貫通して溝に送ってもよく、あるいは送りビームの後方端から直接溝に通してもよい。後者の場合、当然のことながら、測定装置は送りビームの後方端付近に位置すると有利である。測定装置の送りビームに対する位置は、例えば測定索などの測定部材の移動方向が測定輪の軸に対して実質的に垂直であり、かつ測定輪の接線に平行である限り、変更可能である。また、測定装置の位置は、適用状態に応じて変更してもよい。したがって、測定装置を送りビームの前方部に配置してもよく、またその最前部にすら配置してもよく、あるいは同様に、その後方部に、また最後部にすら配置してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送りビーム(1)およびこれに沿って前後動する削岩機と、可撓性の移動要素によって接続されて、自身の長手方向に前記削岩機を移動させる圧力媒体駆動の送りシリンダ(4)とを含み、前記送りビーム(1)はその長手方向に空間を備え、前記送りシリンダ(4)は、その一部、シリンダ管またはピストンロッドが前記送りビームに対してその長手方向に不動に取り付けられ、また同様に別の部分、ピストンロッドまたはシリンダ管が該送りビームに対してその長手方向に移動するように取り付けられた削岩装置において、該削岩装置は、該送りビーム(1)に対して横軸を中心として回転可能に取り付けられ測定索(9)用の測定輪(7a)を備える測定装置を含み、該測定輪(7a)は該測定装置の測定センサを回転させるように接続され、前記測定索(9)は該測定輪(7a)から送り出されて前記送りビームにおける前記送りシリンダ(4)の空間内へ、かつ該空間内を該送りビーム(1)の長手方向に走行し、該測定索(9)はその端部において、該送りビーム(1)に対して動く該送りシリンダ(4)の一部に不動に結合されて、この部分が前記削岩機の送り方向に動くと、それに従って該測定索(9)が動き、これに応じて前記測定輪(7a)の測定センサが回転し、また該削岩装置は該測定輪(7a)を回転させる手段を含み、前記送りシリンダ(4)の可動部における該測定索の取付け点が前記測定装置から離れると、該測定索(9)を該測定輪(7a)から巻き解き、同様に該送りシリンダ(4)の可動部における該測定索(9)の取付け点が該測定装置(7)の方へ動くと、該測定索(9)を該測定輪(7a)に巻き付けることを特徴とする削岩装置。
【請求項2】
請求項1に記載の削岩装置において、前記送りビーム(1)の壁は開口部を有し、該開口部を通って前記測定索(9)が該送りビーム(1)の空間内に送られ、該開口部は遊動輪を備え、該測定索は該遊動輪の表面に沿って方向転換して該送りビーム(1)と平行になることを特徴とする削岩装置。
【請求項3】
請求項1に記載の削岩装置において、前記測定索(9)は前記送りビーム(1)の後方端から該送りビーム(1)の空間に送られることを特徴とする削岩装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の削岩装置において、前記測定装置は前記送りビーム(1)の後方部に設置されることを特徴とする削岩装置。
【請求項5】
請求項1に記載の削岩装置において、前記測定索(9)は前記送りビーム(1)の前方端から該送りビーム(1)の空間に送られることを特徴とする削岩装置。
【請求項6】
請求項1、2または5のいずれかに記載の削岩装置において、前記測定装置は前記送りビーム(1)の前方部に設置されることを特徴とする削岩装置。
【請求項7】
前記請求項のいずれかに記載の削岩装置において、前記送りシリンダ(4)が取り付けられている前記送りビーム(1)の空間は該送りビーム内に設けられた溝であり、前記削岩機に面していることを特徴とする削岩装置。
【請求項8】
前記請求項のいずれかに記載の削岩装置において、前記測定輪(7a)を回転させる手段は前記測定装置において対抗バネを含み、該バネは、前記測定索(9)が引っ張られることで該測定輪(7a)が回転すると巻き締まり、同様に、該測定索(9)が緩んで前記送りシリンダ(4)が反対方向に動くとき、該測定輪(7a)を回転させて、該測定索(9)の張りを維持することを特徴とする削岩装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−532439(P2010−532439A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515542(P2010−515542)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【国際出願番号】PCT/FI2008/050412
【国際公開番号】WO2009/007504
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】