説明

削減帯域算出装置及び方法及び帯域削減効果評価装置及び方法

【課題】 ノードペア間野トラヒック測定装置による帯域削減効果を評価する。
【解決手段】 本発明は、障害が発生せず、現用パスが選択されており、全通信ノードペア間を流れるトラヒックが、通信網における通信リンクを流れるトラヒック量として観測されている場合に、そのトラヒック観測を行っている通信リンクで観測されるトラヒック量及び現用パス、迂回用パスの経路情報を取得し、通信網を有向グラフと見做して、トラヒック量及び経路情報を用いて最大流問題を解くことにより、通信リンクにおいて必要となる迂回用パスの帯域上限値を求め、帯域上限値及び一定の危険率αの下で迂回用パスに必要な通信リンクでの必要帯域を算出し、帯域上限値と前記必要帯域の差分を求め、前記ノードペア間のトラヒック情報を入手したときに削減できる帯域と捉え、ノード間のトラヒック測定装置のトラヒック測定による帯域削減効果を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、削減帯域算出装置及び方法及び帯域削減効果評価装置及び方法に係り、特に、障害がなく現用パスが選択され通信リンクを流れるトラヒックが観測されている状況において、障害時に選択される迂回用パスに必要な通信リンクでの帯域上限値と一定の危険率の下での必要帯域量との差分から、ノードペア間のトラヒック測定装置による帯域削減効果を評価するための削減帯域算出装置及び方法及び帯域削減効果評価装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
迂回用パスに必要な帯域上限値を算出するものとして、通信リンクを流れるトラヒックや端点ノードにおける流出入トラヒックの観測データを制約式に組み込み、通信リンクを流れる迂回用パスに必要な帯域を線形計画法によって最大化する帯域算出手法がConstraint Programmingとして考案された(例えば、非特許文献1参照)。この手法は、迂回用パスに必要な通信リンクでの帯域上限値を導出する目的としては、理想的な結果を算出するが、shared protection制約の下で適用しようとすると、各故障通信リンク毎に、それぞれ大規模な線形計画法を繰り返し解かなければならず計算時間がかかるという問題があった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この計算時間を削減するために、この線形計画法を最大流問題として解くことにより、抜本的な高速化を図る方法も提案されている。当該方法は、最大流問題によって帯域上限値を算出するために、通信網に仮の送信元ノードs及び仮の宛先ノードdを追加する。仮の送信元ノードs及び仮の宛先ノードdを通信網の各通信リンクに接続した仮の通信網において、リンクaに障害が発生した場合に、仮の送信元ノードsから出る最大の流量φを算出する。そして、障害想定リンクaを変化させて、トラヒックの最大値を求めることで、設計対象リンクbの迂回用パスで必要となる帯域上限値が求められる。
【0004】
以上は絶対安全側の帯域算出法であるが、限られたトラヒック情報の下で、一定の危険率の下では、迂回用パスにどの程度の帯域が必要になるかという問題は、トラヒックモデルを仮定しその下で解くことによって近似的にではあるが解決できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】H. Simonis, "Constraint Based Resilience Analysis", LNCS Vol. 4204,16-28, 2006.
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-172035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の手法において、一定の危険率の下での安全側帯域をあるトラヒックモデルの下で評価した値と、トラヒックモデルを仮定しないで求めた絶対安全側の帯域を比較し、その差分から、いったん測定装置によって完全なトラヒック情報が分かったときに、必要帯域は一定の危険率の下にどの程度まで削減できるようになるのかを事前に把握するという検討は未検討であった。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、通信網においてトラヒックを転送する現用パス・迂回用パスの情報が与えられており、障害がなく現用パスを流れるトラヒックが、通信リンクにおいて観測されているが、個々のソース・宛先ノードペアに流れるトラヒックが分からない状況において、障害時に選択される迂回用パスに必要な通信リンクでの帯域上限値と一定の危険率の下での必要帯域量との差分情報から、ノードペア間のトラヒック測定装置の導入により、どれだけの帯域削減効果を見込めるかを把握し、トラヒック測定装置の導入コストに見合うかどうかの評価を行うための削減帯域算出装置及び方法及び帯域削減効果評価装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明(請求項1)の帯域算出方法は、
通信網上において、単数、または、複数のソースノードと宛先ノードの間でトラヒック要求が発生する場合において、障害が発生しない通常時には「現用パス」として予め設定されたパス、現用パス上に障害が発生した時には「迂回用パス」として予め設定されたパスを選定する状況において、迂回パス用に必要な通信リンクでの必要帯域を算出する帯域算出装置における帯域算出方法であって、
障害が発生せず、現用パスが選択されており、全通信ノードペア間を流れるトラヒックが、通信網における通信リンクを流れるトラヒック量として観測されている場合に、そのトラヒック観測を行っている通信リンクで観測されるトラヒック量及び現用パス、迂回用パスの経路情報を取得するステップと、
前記トラヒック量及び前記経路情報及び一定の危険率αの下で迂回用パスに必要な通信リンクでの必要帯域を算出するステップと、を有する。
【0010】
本発明(請求項2)の帯域削減効果評価方法は、通信網上において、単数、または、複数のソースノードと宛先ノードの間でトラヒック要求が発生する場合において、障害が発生しない通常時には「現用パス」として予め設定されたパス、現用パス上に障害が発生した時には「迂回用パス」として予め設定されたパスを選定する状況において、ノードペア間のトラヒック測定による帯域削減効果を評価する帯域削減効果評価装置における帯域削減効果評価方法であって、
障害が発生せず、現用パスが選択されており、全通信ノードペア間を流れるトラヒックが、通信網における通信リンクを流れるトラヒック量として観測されている場合に、そのトラヒック観測を行っている通信リンクで観測されるトラヒック量及び現用パス、迂回用パスの経路情報を取得するデータ取得ステップと、
前記通信網を有向グラフと見做して、前記トラヒック量及び前記経路情報を用いて最大流問題を解くことにより、通信リンクにおいて必要となる迂回用パスの帯域上限値を求める帯域上限値算出ステップと、
前記帯域上限値及び一定の危険率αの下で迂回用パスに必要な通信リンクでの必要帯域を算出する必要帯域算出ステップと、
前記帯域上限値と前記必要帯域の差分を求め、前記ノードペア間のトラヒック情報を入手したときに削減できる帯域とする差分算出ステップを有する。
また、本発明(請求項3)の帯域削減効果評価方法は、
前記帯域上限値算出ステップにおいて、
リンクaを疎通する迂回用パスのトラヒックの絶対安全側の帯域Caを、対応する現用パスのトラヒックの総和を最大化するようにして最大流問題を解くことにより求めるステップと、
現用パスのトラヒックの分布関数を重力モデルから求めるステップと、
ノードペア間のトラヒック情報が分かっているときの前記リンクaを疎通する現用パスの上限値c1(a)を、対応する現用パスのトラヒックの総和計算から求めるステップと、を含み、
前記必要帯域算出ステップにおいて、
前記危険率αの下でのノードペア間のトラヒック情報が分かっているときの当該リンクを疎通する安全側の迂回用パスのトラヒックc2(a)を、対応する現用パスのトラヒックのたたみこみ計算から求めるステップと、
前記リンクaにおける実測現用トラヒック上限値をtrafsup(a)とし、該リンクaにおける危険率αの下でのノードペア間のトラヒック情報が分かっているときの迂回用パス必要帯域Mをc2(a)/c1(a)* trafsup(a)とするステップと、を含み、
前記差分算出ステップにおいて、
前記リンクaを疎通する迂回用パスのトラヒックの絶対安全側の帯域(Ca)と前記迂回用パス必要帯域(M)の差分を、測定装置によってトラヒック情報が得られたときのリンクaにおける削減帯域とするステップを含む。
【0011】
また、本発明(請求項4)の帯域削減効果評価方法は、
前記帯域上限値算出ステップにおいて、
通信リンクbが故障したときに通信リンクaを疎通する迂回用パスのトラヒックの絶対安全側の帯域C'abを、対応する現用パスのトラヒックの総和を最大化するようにして最大流問題を解いて求めるステップと、
前記通信リンクbを変化させたときの前記絶対安全側の帯域C'abの最大値C'aを前記通信リンクaを疎通する迂回用パスのトラヒックの絶対安全側の帯域とするステップと、
現用パスのトラヒックの分布関数を重力モデルから求めるステップと、
ノードペア間のトラヒック情報が分かっているときの当該リンクaを疎通する現用パスの上限値c1(a)を、対応する現用パスのトラヒックの総和計算から求めるステップと、を含み、
前記必要帯域算出ステップにおいて、
前記危険率αの下でのノードペア間のトラヒック情報が分かっているときの通信リンクbが故障したときの当該リンクaを疎通する安全側の迂回用パスのトラヒックc3(a,b)を、対応する現用パスのトラヒックのたたみこみ計算から求めるステップと、
前記通信リンクbを変化させたときのc3(a,b)の最大値c4(a)を、前記危険率αの下でのノードペア間のトラヒック情報が分かっているときの迂回用パスの通信リンクaにおける安全側の帯域とするステップと、
前記通信リンクaにおける実測現用トラヒック上限値をtrafsup(a)とし、該通信リンクaにおける危険率αの下でのノードペア間のトラヒック情報が分かっているときの迂回用パス必要帯域M'をc4(a)/c1(a)* trafsup(a)とするステップと、を含み、
前記差分算出ステップにおいて、
前記通信リンクaを疎通する迂回用パスのトラヒックの絶対安全側の帯域(C'a)と前記迂回用パス必要帯域(M')の差分を測定装置によってトラヒック情報が得られたときの前記通信リンクaにおける削減帯域とするステップを含む。
【発明の効果】
【0012】
従来技術は、不完全なトラヒック情報下での絶対安全側の帯域評価手法しか存在せず、一定の危険率の下でどの程度の帯域が必要になるかについては考慮されていなかったが、本発明によれば、同じくトラヒックモデルを仮定したときの不完全なトラヒック情報下での一定の危険率の下の必要帯域評価手法と組み合わせることによって、トラヒック測定装置の導入によって、迂回用パスの必要帯域がどれだけ削減できるかという課題を解決することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態におけるシステムを構成する機能構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態における削減帯域計算例のための現用パス例(ノードペア間トラヒック上限値=1)である。
【図3】本発明の一実施の形態におけるdedicated protection 方式における削減帯域計算例のための当該リンクaを通る迂回用パス(図2と対応)を表す図である。
【図4】本発明の一実施の形態におけるdedicated protection方式における削減帯域計算例のための当該リンクaを通る迂回用パスに対応する現用パス(図3に対応)を表す図である。
【図5】本発明の一実施の形態におけるdedicated protection方式における削減帯域計算例のための最大流問題を解くネットワーク(図4と対応)を表す図である。
【図6】本発明の一実施の形態におけるshared protection方式における削減帯域計算例のための通信リンクABが故障したときの当該リンクaを通る迂回用パス(図2と対応)を表す図である。
【図7】本発明の一実施の形態におけるshared protection方式における削減帯域計算例のための通信リンクABが故障したときの当該リンクaを通る迂回用パスに対応する現用パス(図6に対応)を表す図である。
【図8】本発明の一実施の形態におけるshared protection方式における削減帯域計算例のための通信リンクABが故障したときの最大流問題を解くネットワーク(図7と対応)を表す図である。
【図9】本発明の一実施の形態におけるshared protection方式における削減帯域計算例のための通信リンクBCが故障したときの当該リンクaを通る迂回用パス(図2と対応)を表す図である。
【図10】本発明の一実施の形態におけるshared protection方式における削減帯域計算例のための通信リンクBCが故障したときの当該リンクaを通る迂回用パスに対応する現用パスを表す図である。
【図11】本発明の一実施の形態におけるshared protection方式における削減帯域計算例のための通信リンクBCが故障したときの最大流問題を解くネットワーク(図10と対応)を表す図である。
【図12】本発明の一実施の形態におけるshared protection方式における削減帯域計算例のための通信リンクCDが故障したときの当該リンクaを通る迂回用パス(図2と対応)を表す図である。
【図13】本発明の一実施の形態におけるshared protection方式における削減帯域計算例のための通信リンクCDが故障したときの当該リンクaを通る迂回用パスに対応する現用パス(図12に対応)を表す図である。
【図14】本発明の一実施の形態におけるshared protection方式における削減帯域計算例のための通信リンクCDが故障したときの最大流問題を解くネットワーク(図13と対応)を表す図である。
【図15】本発明の一実施の形態におけるアルゴリズムの表による整理を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面と共に、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態におけるシステム構成を示す。
【0016】
同図に示すシステムは、削減帯域算出装置100、オペレーションシステム200、削減帯域表示装置300、通信網1から構成される。
【0017】
本発明の核となる装置である削減帯域算出装置100は、通信網1上のノード・通信網を管理運用するオペレーションシステム200に接続され、必要なデータの取得と取得データを用いた削減帯域の算出を実施する。削減帯域算出装置100は、通信網1の運用者、または、設計者が直接操作する削減帯域表示装置300からの要求を受け、算出した削減帯域に関する情報を削減帯域表示装置300に送信する。
【0018】
以下で本発明を実現するオペレーションシステム200,削減帯域算出装置100、削減帯域表示装置300の機能について示す。
【0019】
[1]オペレーションシステム200:
オペレーションシステム200は、機能部としてのネットワークデータ収集部210とデータベースとしてのネットワーク情報データベース220から構成される。
【0020】
ネットワークデータ収集部210は,オペレーションシステム200が管理する通信網1上のノードに接続する通信リンク上を流れるトラヒック量を収集し、トラヒック情報としてネットワーク情報データベース220に蓄積する。また,通信網の運用者が設定するなどした現用パス・迂回用パスに関する情報はパス情報としてネットワーク情報データベース220に蓄積する。
【0021】
[2]削減帯域算出装置100:
削減帯域算出装置100は、機能部としてのデータ取得部110、帯域算出部120,及び、データベースとしてのトラヒック情報データベース140、パス情報データベース130から構成される。
【0022】
データ取得部110は、オペレーションシステム200がネットワーク情報データベース220で管理する情報のうち、削減帯域算出に必要な情報として、トラヒック情報、パス情報を取得し、それぞれ、トラヒック情報データベース140、パス情報データベース130に蓄積する。
【0023】
帯域算出部120は、トラヒック情報データベース140、パス情報データベース130に蓄積されたトラヒック情報、パス情報を用いて次に示すような計算を実施することで通信リンクに必要な帯域上限値および一定の危険率の下での必要帯域を計算する。ここで、『危険率αの下での必要帯域』とは、トラヒックを確率変数とみたとき、その値が必要帯域Cを超えるトラヒック確率密度をCから無限大まで積分した値がαになることをいう。つまり、危険率αは、トラヒックが必要帯域Cを超えてしまい、溢れてしまう確率を指す。
【0024】
対象とする通信網を有向グラフG={N, E}とする。但し、N, Eは、それぞれ通信網1に属するノード、リンクの集合とする。Fij ≧ 0をノードiからノードjへのトラヒックフローとする。
【0025】
後述する式に用いる要素を以下に示す。
【0026】
【数1】

は、ノードi, j間の現用パスの経路を示す (ノードi, j間の現用パスがリンクeを通るならば、
【0027】
【数2】

通らないならば、
【0028】
【数3】

とする)。
【0029】
【数4】

は、ノードi, j間の迂回用パスの経路を示す (ノードi, j間の迂回用パスがリンクeを通るならば、
【0030】
【数5】

通らないならば、
【0031】
【数6】

とする)。
【0032】
【数7】

は、リンクe上の観測トラヒック上限値を示す。
【0033】
【数8】

は、ノードiに流入するトラヒックの観測上限値を示す。
【0034】
【数9】

は、ノードjから流出するトラヒックの観測上限値を示す。
【0035】
【数10】

は、ノードiに流入するトラヒックの観測平均値を示す。
【0036】
【数11】

によって、ノードjから流出するトラヒックの観測平均値を示す。
【0037】
【数12】

は、ノードjから流出するトラヒックの確率変数を示す。
【0038】
迂回用パスに割り当てる帯域をそれぞれの現用パスの故障に対応して独立に割り当てていくdedicated protection方式と、異なるリンク故障に対応する迂回用パスに割り当てる帯域は共有して経済的に節約していくshared protection方式では、迂回用パスの帯域上限値と一定の危険率の下での必要帯域の算出法が異なるので、それぞれの手法について説明する。
【0039】
<dedicated protection方式>
●dedicated protection方式における迂回用パス帯域上限値:
迂回用パスに割り当てる帯域をそれぞれの現用パスの故障に対応して独立に割り当てていくdedicated protection方式の場合、線形計画法によって、通信リンクaにおいて必要になる迂回用パスの帯域上限値を求める手続きを定式化すると次のようになる。
【0040】
【数13】

この線形計画法の最大値が、通信リンクaにおいて必要となる迂回用パスの帯域上限値となる。この線形計画法は、次のようなグラフの最大流問題を解くことによって、より高速に導出することができる。
【0041】
ステップ1:帯域を求めたい通信リンクaを選択する。
【0042】
ステップ2:
【0043】
【数14】

を算出する。
【0044】
ステップ3: ノードs,ノードdをNに加えてN'を作る。
【0045】
N':=N∪{s}∪{d}
リンクsi:=(s,i), i∈N, dj:=(j,d), j∈NをEに加えてE'を作る。
【0046】
E':=E∪[si|i∈N}∪{dj|j∈N}.
【0047】
【数15】

とおき、
【0048】
【数16】

をtraf'(e), e∈E'に拡張する。
【0049】
【数17】

とおく。
【0050】
ステップ4: ネットワークGa={Na,Ea}と各リンクの正の容量traf':Ea→R+を入力として、各リンクの流量φ;Ea→R+のなかでノードsから出る流量が最大となるφを求める。流量φは、
【0051】
【数18】

を満たす。
【0052】
【数19】

がdedicated protection方式において、通信リンクaが取り得る迂回用パス帯域の上限値になる。
【0053】
[証明]
dedicated protection方式における、通信リンクaを疎通する迂回用パス帯域は、(i,j) ∈Uaをソース・デスティネーションとする現用パスの流量の総和である。この現用パス流量は、入出力トラヒックの制約からソースノードi,デスティネーションノードjにおいて、それぞれ、
【0054】
【数20】

よりも小さくなければならず、各リンクにおいては、trafsup(e), e∈Eより小さくなければならない。これを整理すると、流量φは
【0055】
【数21】

を満たす。この下で、ノードsから出る流量φを最大化した値が、dedicated protection方式における迂回用パスが通信リンクaを疎通する最大トラヒックとなる。(証明終わり)
この最大流問題はDinicの増加道法により高速に解くことができる(例えば、文献1「応用数理計画ハンドブック」,朝倉書店,2002年,pp. 379-381.参照)。
【0056】
●dedicated protection方式における危険率αの下での迂回用パス必要帯域:
ノードペア間のトラヒックはそれぞれ独立であるという仮定を置く。またトラヒック分布は一様分布トラヒックモデルを仮定する。このトラヒックモデルでは、ノードにおける総発信トラヒックと総着信トラヒック、及び発信ノード着信ノード間距離から重力モデルによりノードペア間トラヒックを算出する。このケースにおける各リンクにおける現用パスと迂回用パスの帯域比率を求め、当該リンクの実測上限トラヒックを乗ずることにより、危険率αの下での迂回用パス必要帯域を求める。以下、次のような表記法を用いる。
・K :ノードペア(ディマンド)の集合;
・k(i,j):ノードi,jからなるディマンド;
・r(k)(k∈K):ディマンドk(i,j)に対応するノードペア間距離;
・t(k)(k∈K):ディマンドk(i,j),平均発信トラヒックextoutm(i),平均着信トラヒックextoutm(j),距離r((i,j)のとき、重力モデルを適用して求めたノードペア間平均トラヒック;
・t(k)(k∈K):ディマンドk(i,j)におけるノードペア間トラヒック(一様分布に従う確率変数);
・gk(t)(t≧0)(k≧K):一様分布に従う確率変数t(k)(k∈K)の確率密度関数;
・α:危険率;
・path1k(k∈K):{1,…,hop1(k)} →Eディマンドkに対応する現用パス(現用パスを、始点から終点に至るリンクの列として表現する);
・path2k(k∈K):{1,…,hop2(k)} →Eディマンドkに対応する迂回用パス(迂回用パスを,始点から終点に至るリンクの列として表現する);
・hop1(k)(k∈K):ディマンドkに対応する現用パスpath1kのホップ数;
・hop2(k)(k∈K):ディマンドkに対応する迂回用パスpath2kのホップ数;
今、ノードiにおける発信トラヒック平均値extoutm(i),ノードjにおける着信トラヒック平均値extinm(j),ノードペア(i,j)に対応するディマンドk(i,j),ノードi,j間の距離r(k(i,j))とする。この時、重力モデルに従うと、ノードペア間平均トラヒックt(k)(k∈K)は、
【0057】
【数22】

となる。
【0058】
ノードペア間トラヒックの確率変数t(k)(k∈K)は、
【0059】
【数23】

と近似できる。ノードiにおける発信トラヒックextout(i)を
【0060】
【数24】

における一様分布確率変数と考えると、t(k(i,j))も一様分布確率変数となる。g(t)(t≧0)をその確率密度関数とする。tsup(k(i,j))をt(k(i,j))の上限値とする。
【0061】
リンクaにおける現用パス必要帯域の上限値は、
【0062】
【数25】

【0063】
【数26】

(ただし,*はたたみこみ演算とする)とおくと、
【0064】
【数27】

を満たすc2(a)となる。
【0065】
両者の比率は、c2(a)/c1(a)となる。これは、リンクa上の現用パス帯域は上限値で評価し、迂回用パスは安全側で評価したことになる。リンクaにおける実測現用トラヒック上限値trafsup(a)をこの比率に乗ずることにより、dedicated protection方式におけるリンクaにおける危険率αの下での迂回用パス必要帯域Maは,
Ma:=c2(a)/c1(a)・trafsup(a)
となる。
【0066】
●dedicated protection方式における迂回用パス削減帯域:
dedicated protection方式においては、ノードペア間のトラヒックが分かっていない状況でも、各リンクaにおいてCaの迂回用パス帯域を設定すれば絶対安全側の設計ができ、このCaはその安全側設計の最小値でもある。他方、この時、実際にノードペア間のトラヒックがどのような値であるかは、一意に決められないが、重力モデルを仮定すると危険率αの下での安全側の値としてMaが考えられる。トラヒック測定装置によってノードペア間のトラヒックを測定することを重力モデルによってトラヒックを算出することに置き換えて考えると、測定装置によってトラヒック情報が得られたとき、危険率αを考慮したとき帯域Maで安全側帯域設計ができると考えられる。したがって、トラヒック測定装置によるノードペア間トラヒック測定による帯域削減効果は重力モデルの下で通信リンクaにおいてCa−Maと考えられる。この削減帯域からネットワーク削減コストを試算し、トラヒック測定装置にかかるコストと比較することにより、ノードペア間のトラヒックが分かっていない時点で、トラヒック測定の効果を具体的に把握することができる。
【0067】
<shared protection方式>
●shared protection方式における迂回用パス帯域上限値:
異なるリンク故障に対応する迂回用パスに割り当てる帯域は共有して経済的に節約していくshared protection方式の場合、線形計画法によって、通信リンクbが故障したとき、通信リンクaにおいて必要になる迂回用パスの帯域を求める手続きを定式化すると次のようになる。
【0068】
【数28】

これをすべての通信リンクbについて計算し、その最大値を求めると、通信リンクaにおいて必要となる迂回用パスの帯域を求めることができる。通信リンクbが故障したとき、通信リンクaにおいて必要になる迂回用パスの帯域は、次のようなグラフの最大流問題を解くことによって、より高速に導出することができる。
【0069】
ステップ1:故障通信リンクb,帯域を求めたい通信リンクa (a≠b)を選択する。
【0070】
ステップ2:
【0071】
【数29】

を算出する。
【0072】
ステップ3: ノードs,ノードdをNに加えてN'を作る。
【0073】
N':=N∪{s}∪{d}
リンクsi:=(s,i), i∈N,dj:=(j,d), j∈NをEに加えてE'を作る。
【0074】
E':=E∪[si|i∈N}∪{dj|j∈N}.
【0075】
【数30】

とおき、trafsup(e), e∈Eをtraf'(e),e∈E'に拡張する。
【0076】
【数31】

とおく。
【0077】
ステップ4: ネットワークGab={Nab,Eab}と各リンクの正の容量traf':Eab→R+を入力として、各リンクの流量φ:Eab→R+のなかでsから出る流量が最大となるφを求める。φは、
【0078】
【数32】

を満たす。
【0079】
【数33】

が通信リンクbが故障したときに,通信リンクaが取り得るトラヒックの上限値になる。
【0080】
ステップ5:
【0081】
【数34】

を計算する。C'aが求める通信リンクaの迂回用パス帯域の上限値になる。
【0082】
[証明]
通信リンクbが故障したときに、通信リンクaを疎通するトラヒックは、(i,j) ∈Uabをソース、デスティネーションとする現用パスの流量の総和である。この現用パスの流量は、入出力トラヒックの制約からソースノードi、デスティネーションノードjにおいて、それぞれ、
【0083】
【数35】

よりも小さくなければならず、各リンクにおいては、trafsup(e), e∈Eより小さくなければならない。これを整理すると、流量φは、
【0084】
【数36】

を満たす。この下で、sから出るφを最大化した値が、通信リンクbが故障したときに、迂回用パスが通信リンクaを疎通する最大トラヒックとなる。あとは通信リンクbを変化させて、最大トラヒックの最大値を求めればよい。(証明終わり)
この最大流問題はDinicの増加道法により高速に解くことができる(文献1参照)。
【0085】
●shared protection方式における迂回用パス帯域平均値:
ノードペア間のトラヒックはそれぞれ独立であるという仮定を置く。またトラヒック分布は一様分布トラヒックモデルを仮定する。このトラヒックモデルでは、ノードにおける総発信トラヒックと総着信トラヒック、及び発信ノード着信ノード間距離から重力モデルによりノードペア間トラヒックを算出する。このケースにおける各リンクにおける現用パスと迂回用パスの帯域比率を求め、当該リンクの実測上限トラヒックを乗ずることにより、危険率αの下での迂回用パス必要帯域を求める。
この時、トラヒックモデルに従うと、通信リンクaにおける現用パス帯域上限値は、
【0086】
【数37】

となる。
【0087】
通信リンクbが故障したとき、通信リンクaにおける一定の危険率αの下での迂回用パス必要帯域の安全側評価は、
【0088】
【数38】

(ただし,*はたたみこみ演算とする)とおくと、
【0089】
【数39】

を満たすc3(a,b)となる。
【0090】
shared protection方式における、通信リンクaにおける迂回用パス帯域は、
【0091】
【数40】

したがって現用パス帯域上限値と一定の危険率αの下での迂回用パス必要帯域の比率は、c4(a)/c1(a)となる。リンクaにおける実測現用トラヒック上限値trafsup(a)を比率に乗ずることにより、shared protection方式におけるリンクaにおける危険率αの下での迂回用パス必要帯域M'aは、安全側評価として
M':=c4(a)/c1(a)・trafsup(a)
となる。
【0092】
●shared protection方式における迂回用パス削減帯域:
shared protection方式においては、ノードペア間のトラヒックが分かっていない状況でも、各リンクaにおいてC'aの迂回用パス帯域を設定すれば絶対安全側の設計ができ、このC'aはその絶対安全側設計の最小値でもある。他方、この時、実際にノードペア間のトラヒックがどのような値であるかは、一意に決められないが、危険率αの下での安全側の値としてM'aが考えられる。トラヒック測定装置によってノードペア間のトラヒックを測定することによって、危険率αを考慮したときこのM'aに近い帯域設計ができると考えられる。したがって、トラヒック測定装置によるノードペア間トラヒック測定による帯域削減効果は通信リンクaにおいてC'a−M'aと考えられる。この削減帯域からネットワーク削減コストを試算し、トラヒック測定装置にかかるコストと比較することにより、ノードペア間のトラヒックが分かっていない時点で、トラヒック測定の効果を具体的に把握することができる。
<アルゴリズムの計算例>
以上のアルゴリズムを図2〜5によってdedicated protection方式の場合について説明する。図2は4ノードA, B, C, Dからなるリング型通信網を示す。今通信リンクa=ADを迂回用パスの帯域上限値と帯域平均値を求めたい通信リンクとする。ここで図2の矢印の示すように現用パスのトラヒックが流れていたものとする。各矢印のトラヒックは、すべて1とする。ここで図示されている情報はノードペアのトラヒック情報をすべて見ている状況を示している。実際には、各矢印のトラヒックがすべて1であることは隠されていて、実際に分かっているトラヒック情報は、
trafsup(AD)=trafsup(DC)=trafsup(CB)=trafsup(BA)=3,
extinsup(A)=extinsup(D)=extinsup(C)=extinsup(B)=2,
extoutsup(A)=extoutsup(D)=extoutsup(C)=extoutsup(B)=2
がすべてである。図2の当該リンクaを通る現用パスの本数は3本である。今、重力モデルよりもさらにシンプルなモデルを考えてノードペア間のトラヒックはすべて同一の分布に従うとし、トラヒックの上限値は関与するパスの本数と一致するものとする。そのとき、
c1(a)=3
となる。
【0093】
図3に迂回用パスで当該リンクaを通るものを示す。当該リンクaにおける迂回用パスの本数を数えて全部で5本あることが分かる。この5本のトラヒック上でたたみこみ計算を行い、危険率αの下での安全側のノードペア間トラヒックが仮に上限値の0.8倍に相当するとする。このとき、
c2(a)=5*0.8=4
となる。当該リンクaにおける危険率αの下での安全側の迂回用パスの帯域は、これから次のように求めることができる。
【0094】
Ma=c2(a)/c1(a)・trafsup(a)=4/3・3=4
当該リンクaにおける迂回用パスの帯域上限値は、最大流問題を解くことによって求めることができる。
【0095】
図4に図3の迂回用パスに対応する現用パスを示す。これらの現用パスが通過するリンクにソースノードS0と宛先ノード D0を付け加えた最大流問題を解くネットワークを図5に示す。このネットワークの最小カットは、{S0}か、N-{D0}で、その容量は、
extin(B)+extin(C)+extin(D)=2+2+2=6({S0}の場合).
または、
extout(A)+extout(B)+extout(C)=2+2+2=6(N-{D0}の場合)
となり、最大流は6、すなわち、
Ca=6
であることが分かる。ノードペア間のトラヒック測定をすることによって削減できる当該リンクaにおける迂回パス帯域は、
Ca-Ma=6-4=2
となり、平均して2トラヒックの迂回用パス帯域削減が当該リンクaに期待できることが、ノードペア間のトラヒック測定をする前に把握できる。
【0096】
次に、図6〜14を用いてshared protection方式における迂回用パス削減帯域アルゴリズムの説明を行う。Dedicated protection方式の場合との違いは故障リンクbを変化させて繰り返し計算を行う点にある。対象とする網とトラヒックはdedicated protection方式の場合と同じく図2の通りとする。
【0097】
今、故障リンクb=ABとしたときに、迂回用パスで通信リンクaを通るものを図6に示す。故障リンクb=ABを迂回する当該リンクaにおける迂回用パスの本数を数えて全部で2本あることが分かる。この2本のトラヒック上でたたみこみ計算を行い、危険率αの下での安全側のノードペア間トラヒックが仮に上限値の0.8倍に相当するとする。このとき、
c3(a, AB)=2*0.8=1.6
となる。故障リンクb=ABとしたときの当該リンクaにおける迂回用パスの帯域上限値は、最大流問題を解くことによって求めることができる。
【0098】
図7に図6の迂回用パスに対応する現用パスを示す。これらの現用パスが通過するリンクにソースノードS0と宛先ノードD0を付け加えた最大流問題を解くネットワークを図8に示す。このネットワークの最小カットは、N-{D0}で、その容量は、
Extout(A) =2 (最小カット=N-{D0})
となり、最大流は2、すなわち、
C'aAB=2
であることが分かる。
【0099】
次に故障リンクb=BCとしたときに、迂回用パスで通信リンクaを通るものを図9に示す。故障リンクb=BCを迂回する当該リンクaにおける迂回用パスの本数を数えて全部で3本あることが分かる。この3本のトラヒック上でたたみこみ計算を行い、危険率αの下での安全側のノードペア間トラヒックが仮に上限値の0.8倍に相当するとする。このとき、
c3(a, BC)=3*0.8=2.4
となる。故障リンクb=BCとしたときの当該リンクaにおける迂回用パスの帯域上限値は、最大流問題を解くことによって求めることができる。図10に図9の迂回用パスに対応する現用パスを示す。これらの現用パスが通過するリンクにソースノードS0と宛先ノードD0を付け加えた最大流問題を解くネットワークを図11に示す。このネットワークの最小カットは、{S0}か、N-{D0}で、その容量は、
extin(C)+extin(D)=2+2=4(最小カット={S0}の場合).
または、
extout(A)+extout(B)=2+2=4(最小カット=N-{D0}の場合)
となり、最大流は4、すなわち、
C'aBC=4
であることが分かる。
【0100】
同様にして故障リンクb=CDとしたときに,迂回用パスで通信リンクaを通るものを図12に示す。故障リンクb=CDを迂回する当該リンクaにおける迂回用パスの本数を数えて全部で2本あることが分かる。この3本のトラヒック上でたたみこみ計算を行い、危険率αの下での安全側のノードペア間トラヒックが仮に上限値の0.8倍に相当するとする。このとき、
c3(a, CD)=2*0.8=1.6
となる。故障リンクb=CDとしたときの当該リンクaにおける迂回用パスの帯域上限値は,最大流問題を解くことによって求めることができる。図13に図12の迂回用パスに対応する現用パスを示す。これらの現用パスが通過するリンクにソースノードS0と宛先ノード D0を付け加えた最大流問題を解くネットワークを図14に示す。このネットワークの最小カットは、{S0}で,その容量は、
extin(D)=2(最小カット={S0})
となり、最大流は2、すなわち、
C'aCD=2
であることが分かる。
【0101】
以上から、
c4(a)=max{1.6, 2.4, 1.6}=2.4,
M'a=c4(a)/c1(a)・trafsup(a)=2.4/3・3=2.4
C'a=max{2, 4, 2}=4
従って、ノードペア間のトラヒック測定をすることによって削減できる当該リンクaにおける迂回パス帯域は、
C'a-M'a=4-2.4=1.6
となり、平均して1.6トラヒックの迂回用パス帯域削減が当該リンクaに期待できることが、ノードペア間のトラヒック測定をする前に把握できる。
【0102】
図15に本特許のアルゴリズムを表の形で整理した。同図に示すように、帯域算出部120では、絶対安全側設計の出力から危険率αの下での安全側設計の出力を、トラヒック情報を増やしたときに高精度設計により削減できる帯域量と見做し、トラヒック測定装置導入によるコスト削減量の装置導入前の評価尺度とする。なお、重力モデルがトラヒック測定値を模擬しているものと考える。
【0103】
[3]削減帯域表示装置300:
削減帯域表示装置300は、機能部としての帯域表示部310から構成される。
【0104】
帯域表示部310は、通信網の運用者、または,設計者による操作に基づき、削減帯域算出装置100に対して、設計・運用・管理の対象である通信網1において対象とする通信リンクのものとして算出された帯域上限値、危険率αの下での安全側帯域の取得要求を実施し、削減帯域算出装置100から受信した値を表示する。
【0105】
なお、上記の実施の形態におけるオペレーションシステム200、削減帯域算出装置100、削減帯域表示装置300の各動作をプログラムとして構築し、コンピュータとして利用されるそれぞれの装置にインストールして実行させる、または、ネットワークを介して流通させることも可能である。例えば、削減帯域算出装置100のデータ取得部110、帯域算出部120の各機能がソフトウェアで実現することが可能である。
【0106】
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【符号の説明】
【0107】
1 通信網
100 削減帯域算出装置
110 データ取得部
120 帯域算出部
130 パス情報データベース
140 トラヒック情報データベース
200 オペレーションシステム
210 ネットワークデータ収集部
220 ネットワーク情報データベース
300 削減帯域表示装置
310 帯域表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信網上において、単数、または、複数のソースノードと宛先ノードの間でトラヒック要求が発生する場合において、障害が発生しない通常時には「現用パス」として予め設定されたパス、現用パス上に障害が発生した時には「迂回用パス」として予め設定されたパスを選定する状況において、迂回パス用に必要な通信リンクでの必要帯域を算出する帯域算出装置における帯域算出方法であって、
障害が発生せず、現用パスが選択されており、全通信ノードペア間を流れるトラヒックが、通信網における通信リンクを流れるトラヒック量として観測されている場合に、そのトラヒック観測を行っている通信リンクで観測されるトラヒック量及び現用パス、迂回用パスの経路情報を取得するステップと、
前記トラヒック量及び前記経路情報及び一定の危険率αの下で迂回用パスに必要な通信リンクでの必要帯域を算出するステップと、
を有することを特徴とする帯域算出方法。
【請求項2】
通信網上において、単数、または、複数のソースノードと宛先ノードの間でトラヒック要求が発生する場合において、障害が発生しない通常時には「現用パス」として予め設定されたパス、現用パス上に障害が発生した時には「迂回用パス」として予め設定されたパスを選定する状況において、ノードペア間のトラヒック測定による帯域削減効果を評価する帯域削減効果評価装置における帯域削減効果評価方法であって、
障害が発生せず、現用パスが選択されており、全通信ノードペア間を流れるトラヒックが、通信網における通信リンクを流れるトラヒック量として観測されている場合に、そのトラヒック観測を行っている通信リンクで観測されるトラヒック量及び現用パス、迂回用パスの経路情報を取得するデータ取得ステップと、
前記通信網を有向グラフと見做して、前記トラヒック量及び前記経路情報を用いて最大流問題を解くことにより、通信リンクにおいて必要となる迂回用パスの帯域上限値を求める帯域上限値算出ステップと、
前記帯域上限値及び一定の危険率αの下で迂回用パスに必要な通信リンクでの必要帯域を算出する必要帯域算出ステップと、
前記帯域上限値と前記必要帯域の差分を求め、前記ノードペア間のトラヒック情報を入手したときに削減できる帯域とする差分算出ステップと、
を有することを特徴とする帯域削減効果評価方法。
【請求項3】
前記帯域上限値算出ステップにおいて、
リンクaを疎通する迂回用パスのトラヒックの絶対安全側の帯域Caを、対応する現用パスのトラヒックの総和を最大化するようにして最大流問題を解くことにより求めるステップと、
現用パスのトラヒックの分布関数を重力モデルから求めるステップと、
ノードペア間のトラヒック情報が分かっているときの前記リンクaを疎通する現用パスの上限値c1(a)を、対応する現用パスのトラヒックの総和計算から求めるステップと、
を含み、
前記必要帯域算出ステップにおいて、
前記危険率αの下でのノードペア間のトラヒック情報が分かっているときの当該リンクを疎通する安全側の迂回用パスのトラヒックc2(a)を、対応する現用パスのトラヒックのたたみこみ計算から求めるステップと、
前記リンクaにおける実測現用トラヒック上限値をtrafsup(a)とし、該リンクaにおける危険率αの下でのノードペア間のトラヒック情報が分かっているときの迂回用パス必要帯域Maをc2(a)/c1(a)*trafsup(a)とするステップと、
を含み、
前記差分算出ステップにおいて、
前記リンクaを疎通する迂回用パスのトラヒックの絶対安全側の帯域(Ca)と前記迂回用パス必要帯域(Ma)の差分を、測定装置によってトラヒック情報が得られたときのリンクaにおける削減帯域とするステップを含む
請求項2記載の帯域削減効果評価方法。
【請求項4】
前記帯域上限値算出ステップにおいて、
通信リンクbが故障したときに通信リンクaを疎通する迂回用パスのトラヒックの絶対安全側の帯域C'abを、対応する現用パスのトラヒックの総和を最大化するようにして最大流問題を解いて求めるステップと、
前記通信リンクbを変化させたときの前記絶対安全側の帯域C'abの最大値C'aを前記通信リンクaを疎通する迂回用パスのトラヒックの絶対安全側の帯域とするステップと、
現用パスのトラヒックの分布関数を重力モデルから求めるステップと、
ノードペア間のトラヒック情報が分かっているときの当該リンクaを疎通する現用パスの上限値c1(a)を、対応する現用パスのトラヒックの総和計算から求めるステップと、
を含み、
前記必要帯域算出ステップにおいて、
前記危険率αの下でのノードペア間のトラヒック情報が分かっているときの通信リンクbが故障したときの当該リンクaを疎通する安全側の迂回用パスのトラヒックc3(a、b)を、対応する現用パスのトラヒックのたたみこみ計算から求めるステップと、
前記通信リンクbを変化させたときのc3(a、b)の最大値c4(a)を、前記危険率αの下でのノードペア間のトラヒック情報が分かっているときの迂回用パスの通信リンクaにおける安全側の帯域とするステップと、
前記通信リンクaにおける実測現用トラヒック上限値をtrafsup(a)とし、該通信リンクaにおける危険率αの下でのノードペア間のトラヒック情報が分かっているときの迂回用パス必要帯域M'aをc4(a)/c1(a)*trafsup(a)とするステップと、
を含み、
前記差分算出ステップにおいて、
前記通信リンクaを疎通する迂回用パスのトラヒックの絶対安全側の帯域(C'a)と前記迂回用パス必要帯域(M'a)の差分を測定装置によってトラヒック情報が得られたときの前記通信リンクaにおける削減帯域とするステップを含む
請求項2記載の帯域削減効果評価方法。
【請求項5】
通信網上において、単数、または、複数のソースノードと宛先ノードの間でトラヒック要求が発生する場合において、障害が発生しない通常時には「現用パス」として予め設定されたパス、現用パス上に障害が発生した時には「迂回用パス」として予め設定されたパスを選定する状況において、迂回パス用に必要な通信リンクでの必要帯域を算出する帯域算出装置であって、
障害が発生せず、現用パスが選択されており、全通信ノードペア間を流れるトラヒックが、通信網における通信リンクを流れるトラヒック量として観測されている場合に、そのトラヒック観測を行っている通信リンクで観測されるトラヒック量及び現用パス、迂回用パスの経路情報を取得し、それぞれトラヒック情報記憶手段、パス情報記憶手段に格納するデータ取得手段と、
前記トラヒック量及び前記経路情報及び一定の危険率αの下で迂回用パスに必要な通信リンクでの必要帯域を算出する必要帯域算出手段と、
を有することを特徴とする帯域算出装置。
【請求項6】
通信網上において、単数、または、複数のソースノードと宛先ノードの間でトラヒック要求が発生する場合において、障害が発生しない通常時には「現用パス」として予め設定されたパス、現用パス上に障害が発生した時には「迂回用パス」として予め設定されたパスを選定する状況において、ノードペア間のトラヒック測定による帯域削減効果を評価する帯域削減効果評価装置であって、
障害が発生せず、現用パスが選択されており、全通信ノードペア間を流れるトラヒックが、通信網における通信リンクを流れるトラヒック量として観測されている場合に、そのトラヒック観測を行っている通信リンクで観測されるトラヒック量及び現用パス、迂回用パスの経路情報を取得し、それぞれトラヒック情報記憶手段、パス情報記憶手段に格納するデータ取得手段と、
前記通信網を有向グラフと見做して、前記トラヒック情報記憶手段及び前記パス情報記憶手段の前記トラヒック量及び前記経路情報を用いて最大流問題を解くことにより、通信リンクにおいて必要となる迂回用パスの帯域上限値を求める帯域上限値算出手段と、
前記帯域上限値及び一定の危険率αの下で迂回用パスに必要な通信リンクでの必要帯域を算出する必要帯域算出手段と、
前記帯域上限値と前記必要帯域の差分を求め、前記ノードペア間のトラヒック情報を入手したときに削減できる帯域とする差分算出手段と、
を有することを特徴とする帯域削減効果評価装置。
【請求項7】
前記帯域上限値算出手段は、
リンクaを疎通する迂回用パスのトラヒックの絶対安全側の帯域Caを、対応する現用パスのトラヒックの総和を最大化するようにして最大流問題を解くことにより求める手段と、
現用パスのトラヒックの分布関数を重力モデルから求める手段と、
ノードペア間のトラヒック情報が分かっているときの前記リンクaを疎通する現用パスの上限値c1(a)を、対応する現用パスのトラヒックの総和計算から求める手段と、
を含み、
前記必要帯域算出手段は、
前記危険率αの下でのノードペア間のトラヒック情報が分かっているときの当該リンクを疎通する安全側の迂回用パスのトラヒックc2(a)を、対応する現用パスのトラヒックのたたみこみ計算から求める手段と、
前記リンクaにおける実測現用トラヒック上限値をtrafsup(a)とし、該リンクaにおける危険率αの下でのノードペア間のトラヒック情報が分かっているときの迂回用パス必要帯域Maをc2(a)/c1(a)*trafsup(a)とする手段と、
を含み、
前記差分算出手段は、
前記リンクaを疎通する迂回用パスのトラヒックの絶対安全側の帯域(Ca)と前記迂回用パス必要帯域(Ma)の差分を、測定装置によってトラヒック情報が得られたときのリンクaにおける削減帯域とする手段を含む
請求項6記載の帯域削減効果評価装置。
【請求項8】
前記帯域上限値算出手段は、
通信リンクbが故障したときに通信リンクaを疎通する迂回用パスのトラヒックの絶対安全側の帯域C'abを、対応する現用パスのトラヒックの総和を最大化するようにして最大流問題を解いて求める手段と、
前記通信リンクbを変化させたときの前記絶対安全側の帯域C'abの最大値C'aを前記通信リンクaを疎通する迂回用パスのトラヒックの絶対安全側の帯域とする手段と、
現用パスのトラヒックの分布関数を重力モデルから求める手段と、
ノードペア間のトラヒック情報が分かっているときの当該リンクaを疎通する現用パスの上限値c1(a)を、対応する現用パスのトラヒックの総和計算から求める手段と、
を含み、
前記必要帯域算出手段は、
前記危険率αの下でのノードペア間のトラヒック情報が分かっているときの通信リンクbが故障したときの当該リンクaを疎通する安全側の迂回用パスのトラヒックc3(a、b)を、対応する現用パスのトラヒックのたたみこみ計算から求める手段と、
前記通信リンクbを変化させたときのc3(a、b)の最大値c4(a)を、前記危険率αの下でのノードペア間のトラヒック情報が分かっているときの迂回用パスの通信リンクaにおける安全側の帯域とする手段と、
前記通信リンクaにおける実測現用トラヒック上限値をtrafsup(a)とし、該通信リンクaにおける危険率αの下でのノードペア間のトラヒック情報が分かっているときの迂回用パス必要帯域M'aをc4(a)/c1(a)*trafsup(a)とする手段と、
を含み、
前記差分算出手段は、
前記通信リンクaを疎通する迂回用パスのトラヒックの絶対安全側の帯域(C'a)と前記迂回用パス必要帯域(M'a)の差分を測定装置によってトラヒック情報が得られたときの前記通信リンクaにおける削減帯域とする手段を含む
請求項6記載の帯域削減効果評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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