説明

前処理による産業装置の洗浄方法

clean−in−place手順を用いて装置、例えば熱交換器、蒸発器、タンクその他の産業装置を洗浄する方法、及び慣用のCIP洗浄プロセスに先立つ前処理溶液。前処理ステップは、汚れを柔らかくする程度を改善し、そしてそれゆえ汚れの除去を促進する。前処理溶液は、強酸性の溶液、強アルカリ性の溶液であることができ、又は浸透剤を含みうる。好ましい強酸性溶液は、過酸化物の溶液である。いくつかの態様においては、前処理は、強いアルカリ性又は酸性の成分を含まなくてもよく;むしろ浸透剤が、前処理の許容しうるレベルを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は、産業装置、例えば、蒸発器、熱交換器、その他の装置であって、CIP(clean−in−place)プロセスを用いて慣用的に洗浄されているものの洗浄に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
多くの産業用途、例えば、食品及び飲料の製造においては、硬い表面は一般に、汚れ(soils)例えば、炭水化物、タンパク様、及び硬質の汚れ、食用油の汚れ、その他の汚れにより汚染されるようになる。炭水化物の汚れ、例えばセルロース、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、デンプン、ガム、その他の複合材料は、乾燥したとき、特に、他の汚れ成分、例えばタンパク質、脂肪、油その他と併合されるとき、タフで除去困難な汚れを形成することができる。このような炭水化物の汚れの除去はかなりの問題となることができる。同様に、他の物質、例えば、タンパク質、脂質、及び油も、除去困難な汚れ及び残渣を形成しうる。
【0003】
食品及び飲料の汚れは、それらが加工の間に加熱されるとき特に頑固である。食品及び飲料は、加工の間にさまざまな理由で加熱される。例えば、乳製品プラントにおいては、乳製品は、乳製品を低温殺菌するために、低温殺菌装置(例えば、HTST−高温短時間低温殺菌装置又はUHT−超高温低温装置)上で加熱される。また、多くの食品及び飲料製品は、蒸発の結果として濃縮され又は作製される。
【0004】
蒸発器を用いて濃縮される食品及び飲料の特別な例は、乳製品、例えば全乳及び脱脂乳、濃縮乳、ホエー及びホエー誘導体、バターミルク、タンパク質、ラクトース溶液、及び乳酸;タンパク質溶液、例えば大豆ホエー、栄養酵母及び飼料酵母、及び全卵;フルーツジュース、例えばオレンジその他のカンキツ類ジュース、りんごジュースその他のナシ状果のジュース、赤いちごジュース、ココナッツミルク、及びトロピカルフルーツのジュース;野菜ジュース、例えばトマトジュース、ビートジュース、にんじんジュース、及び草ジュース;デンプン製品、例えばグルコース、デキストロース、フルクトース、イソメロース、マルトース、デンプンシロップ、及びデキストリン;糖、例えば液糖、白精製糖、スウィートウォーター、及びイヌリン;抽出物、例えばコーヒー及び茶抽出物、ホップ抽出物、麦芽抽出物、酵母エキス、ペクチン、肉及び骨抽出物;加水分解産物、例えばホエー加水分解産物、スープ調味料、乳加水分解産物、及びタンパク質加水分解産物;ビール、例えば脱アルコール・ビール、及び麦汁;及び赤ちゃん用食品、卵白、豆油、及び発酵酒を含む。
【0005】
一般に、蒸発器には少なくとも2つの側面が在る。1の側面は水蒸気又は蒸気加熱源(典型的には212°F〜350°F)を保持する。他の側面は、濃縮されるべきプロセス液を保持する。蒸発プロセスの間(最中)、濃縮されるべき液体が蒸発器に導入される。チューブ又はプレートを横切る熱交換が、プロセス流から水を蒸発させて液体固形物を濃縮する。濃縮されるべき液体は、それが十分に濃縮されるまで数回蒸発器を通過することができる。
【0006】
フィルム蒸発器、強制循環蒸発器、プレート蒸発器、循環蒸発器、流動床蒸発器、落下フィルム短路蒸発器、濯ぎフィルム蒸発器、向流細流(counterflow−trickle)蒸発器、撹拌機蒸発器、及びスパイラル管蒸発器を含む多くの異なるタイプの蒸発器が存在する。これらの蒸発器に加え、予熱器及び加熱器、分離器、凝縮器、脱気/真空システム、ポンプ、洗浄システム、ベーパー洗浄器、ベーパー再加圧システム、及び濃縮物仕上げ(精製)システムを含む蒸発プラント内のいくつかの他の装置片が存在する。蒸発プラント装置の全てが洗浄されるべきであるが、典型的には、実際の蒸発器は、最も難しい汚れ問題を有する。
【0007】
食品又は飲料製品が表面に接するとき、食品又は飲料製品のいくつかの部分がその表面上に残存する場合に、汚れが生じる。その表面が熱交換表面であるとき、汚れは熱により分解されて、それは除去することがさらにより困難になる。時間の経過とともに、より多くの食品又は飲料製品が熱交換器表面上を通過するとき、汚れの層の厚さが増加する。汚れの層は、熱と加熱される製品との間の断熱として作用し、それにより、熱交換器表面の効率を低下させ、そして、熱交換器表面が洗浄された場合と同一の効果を奏するためにはより大きなエネルギーを要求する。熱交換表面が蒸発器であるとき、きれいな熱交換器表面と汚れた熱交換器表面の間の差は、蒸発プラントのエネルギー費の数百万ドルの差を意味する。エネルギーの費用がかなり上昇し、そして天然資源を保存することにより環境を保護するという高まった意識があるので、熱交換器表面を洗浄し、そして効率的な熱伝達を作り出すことのできる洗浄プログラムの必要性が未だ在る。
【0008】
Clean−in−place洗浄技術は、典型的には液体製品流、例えば飲料、牛乳、ジュース等を加工するために使用されるタンク、配管、ポンプ、その他のプロセス装置の内部部品から汚れを除去するために考案された特別なクリーニング方法である。Clean−in−placeクリーニングは、システムの部品を分解せずに当該システムにクリーニング溶液を通過させることを含む。最小Clean−in−place技術は、当該装置にクリーニング溶液を通し、そしてその後、通常の処理を再開することを含む。しばしば、clean−in−place方法は、最初の濯ぎ、クリーニング溶液の適用、飲用水による第2の濯ぎ、その後の再開処理を含む。プロセスは、いずれかの他の接触ステップをも含み、かかるステップにおいて、濯ぎ、酸性又は塩基性官能性液、溶媒又は他の洗浄成分、例えば熱水、冷水等が、当該プロセスの最中のいずれかの段階で当該装置と接触されうる。しばしば最終飲用水による濯ぎは、クリーニング及び/又は殺菌ステップ後の細菌による装置の汚染を防止するために、省かれる。Clean−in−place処理は、洗浄される装置の全体の又は部分的なシャットダウンを要求し、これは逸失生産時間をもたらす。多くの場合、装置は、長い休止時間が必要であることに因り、完全には洗浄されない。必要なのは、汚れを完全に除去するためにより短い時間を使用するclean−in−placeを用いた当該装置の改良された洗浄方法である。
かかる背景技術に逆って、本発明は完成された。
【発明の開示】
【0009】
開示の概要
驚ろくべきことに、汚れを前処理ステップにおいて前処理組成物に接触させ、その後慣用のclean−in−placeプロセスを実施する2ステップ方法を用いて、食品及び飲料の汚れ、そして特に焼かれた食品及び飲料の汚れが表面から除去されうることが発見された。本発明は、clean−in−place手順を用いて、装置、例えば、熱交換器、蒸発器、タンク、その他の産業装置を洗浄する方法に関する。本法は、有機汚れの除去のために、又はより特に、食品又は飲料汚れの除去のために好適である。さらに、本法は、clean−in−place法を用いて、食品及び飲料製造地区から炭水化物及びタンパク質様汚れを除去する洗浄方法に関する。
【0010】
1の局面においては、本発明は、強い酸性の溶液で汚れた表面を前処理するステップを含む方法に関する。慣用のclean−in−placeプロセスは、この前処理ステップの後に行われる。好ましい酸性溶液は、酸過酸化物の溶液である。酸性前処理ステップの後のアルカリ性洗剤を用いた慣用のclean−in−placeプロセスが、特に有効な結果を提供することが発見された。いくつかの適用のための酸性前処理溶液中の活性成分の濃度は、少なくとも0.1%、そして通常少なくとも0.6%である。
【0011】
他の局面においては、本発明は、強いアルカリ性溶液により汚れた表面を前処理するステップを含む方法に関する。慣用のclean−in−placeプロセスは、この前処理ステップの後に行われる。強いアルカリ性の前処理ステップの後の酸性洗剤を用いた慣用のclean−in−placeプロセスが特に有効な結果を提供することが発見された。
【0012】
酸性又はアルカリ性のいずれの前処理も、浸透剤(penetrant)を含みうる。浸透剤の付加は、汚れを柔らかにする程度を改善し、そしてそれゆえ汚れの除去を促進する。前処理溶液中の浸透剤の濃度は、少なくとも0.01%、そして通常少なくとも0.15%である。約1%の濃度が許容される。
【0013】
他の局面においては、本発明は、酸又はアルカリの測定しうる量の存在なしで、浸透剤で、汚れた表面を前処理するステップを含む方法に関する。慣用のclean−in−placeプロセスは、この浸透剤前処理ステップの後に行われる。ここで、(酸又はアルカリを含まない)前処理溶液中の浸透剤の濃度は、少なくとも0.01%、そして通常少なくとも0.15%である。1の特定の態様においては、浸透剤前処理溶液は、約0.9%の溶媒を含み;浸透剤として他のレベルの溶媒も好適である。
【0014】
1の特定の態様においては、本発明は、CIPプロセスを用いた産業装置から汚れを洗浄する方法である。本法は、前処理溶液を汚れに適用し、当該溶液は少なくとも0.25wt%の活性成分を含み、当該活性成分は、アルカリ性源、酸性源、浸透剤、酸化剤、及びビルダーの内のいずれかを含む。本法は、また、前処理溶液の後に装置に希釈洗剤を含む第1CIP溶液を再循環させ、そしてその後、当該装置を濯ぐことを含む。前処理溶液は、0.25〜1.5wt%の酸、及び/又は0.01〜1wt%の酸化剤、例えば過酸化物を有しうる。浸透剤、例えば、グリコールエーテルは0.4〜10wt%で存在しうる。
【0015】
他の特別な態様においては、本法は、少なくとも0.5wt%の活性成分を含む前処理溶液で汚れを前処理し、ここで当該活性成分はアルカリ性源、酸性源、浸透剤、酸化剤、界面活性剤、及びビルダーの内のいずれかを含み;希釈洗剤溶液で、前処理された汚れの少なくとも一部を除去し;そして当該装置を濯ぐことを含む。いくつかの態様においては、前処理溶液はアルカリ性源を含み、そして希釈洗剤は酸を含む。他の態様においては、前処理溶液は酸性源を含み、そして希釈洗剤はアルカリを含む。
【0016】
本発明は、2つの異なるCIP溶液を使用することも含む。上記その他の態様は、以下の詳細な説明から当業者等にとって明らかとなるであろう。しかしながら、本概要説明及び詳細な説明はいくつかの実施例を説明するだけであり、請求に係る発明に限定することを意図されていないと理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の詳細な説明
本発明は、clean−in−place手順とともに前処理ステップを使用する産業装置の洗浄に関する。慣用のclean−in−place溶液及び手順とともに、前処理ステップを使用することは、慣用のプロセス単独よりも、高められた汚れの除去を提供する。さらに、前処理ステップの使用、その後の水による濯ぎは、予想外の量の汚れの除去を提供した。前処理ステップの使用は、伝統的な相容れない化学的性質の使用を許容し、そしてより高い濃度において、慣用の洗浄プログラムにおいて適用される。
【0018】
本明細書中に使用するとき、「重量パーセント」、「wt%」、「パーセント重量」、「%重量」その他は、物質の重量を組成物の総重量で割って100を掛けたものとしての当該物質の濃度をいう。本明細書中に使用するとき、「パーセント」、「%」その他は、「重量パーセント」、「wt%」等と同義語であると理解される。
【0019】
本明細書中に使用するとき、用語「約」は、例えば、現実の世界で濃縮物又は使用溶液を製造するために使用される典型的な計測及び液体取り扱い手順を通じて;これらの手順における不注意な誤りを通じて;組成物を製造し、又は本法を実施するために使用される成分の製造、源又は純度の差を通じて;その他を通じて;生じうる。用語「約」は、特別な開始混合物から生じる組成物のための異なる平衡条件に因り差異を生じる量をも包含する。用語「約」により修飾されるか否かに拘らず、クレームは当該量に等価なものを含む。
【0020】
本願明細書及び添付クレーム中に使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別段の定めなき限り複数指示物を含むことに留意すべきである。したがって、例えば、「a compound」を含む組成物に関する言及は、2以上の化合物を有することを含む。別段の定めなき限り、用語「又は」は一般に「及び/又は」を含む意味で使用されることも留意すべきである。
【0021】
本発明に係る方法は、clean−in−place(すなわち、CIP)クリーニング手順を用いて一般に洗浄される装置に適用される。このような装置の例は、蒸発器、熱交換器(tube−in−tube交換器、直接水蒸気吹き込み、及びplate−in−frame交換器を含む)、加熱コイル(水蒸気、火炎又は熱伝達液体加熱を含む)、再結晶化装置、パン(pan)結晶化装置、スプレードライヤー、ドラム乾燥機、及びタンクを含む。この方法は、固まった汚れ又は焼かれた汚れ、例えばタンパク質又は炭水化物が除去される必要があるいずれかの用途に一般に使用されることができ;当該用途は、食品及び飲料産業(特に、乳製品)、醸造、油脂加工、工業的農業、及びエタノール加工を含む。
【0022】
CIP処理は一般に周知である。この処理は、洗浄されるべき表面上に希釈溶液(典型的には約0.5〜3%)を適用することを含む。この溶液は、表面を横切って流れ(3〜6feet/秒)、汚れをゆっくりと除去する。新たな溶液が表面に再適用されるか、又は同じ溶液が再循環され、そして表面に再適用される。
【0023】
(有機、無機又はこれら2つの成分の混合物を含む)汚れを除去するための典型的なCIPプロセスは、少なくとも3つのステップ:アルカリ溶液洗浄、酸溶液洗浄、及びその後の新鮮水濯ぎを含む。アルカリ溶液は汚れを柔らかくし、そして有機アルカリ可溶性汚れを除去する。その後の酸溶液は、アルカリ洗浄ステップにより取り残された鉱物汚れを除去する。アルカリ及び酸溶液の強さ及び洗浄ステップの継続時間は、典型的には、汚れの頑固さに依存する。水濯ぎは、残存溶液と汚れを除去し、そして装置がオンラインに戻される前に表面を洗浄する。本発明は、汚れ中に浸透する、CIPプロセスに先立つ前処理を提供する。浸透物質は汚れを柔らかくし、触媒として作用し、又はその他の方法で、それが汚れに接触するとき慣用のCIP溶液の活性を高める。したがって、前処理は、汚れ物質の除去を促進する。
【0024】
図1を参照して、プロセス装置の概略図を参照番号(10)で表す。プロセス(10)は、洗浄されるべき装置であるタンク(20)を含む。供給ライン(25)は、各種洗浄溶液をタンク(20)に供給し、そしてドレイン・ライン(27)は、タンク(20)から溶液を抜き出す。適当な配管、弁、ポンプ等により運転可能な状態に接続されたCIPプロセスのための装置を参照番号(30)で表す。CIPプロセス(30)は、希釈CIP化学物質を保持するためのタンク(35)を含む。タンク(20)からのドレイン・ライン(27)は、溶液をタンク(20)からCIPプロセス(30)及びタンク(35)まで再循環して戻すために使用される。プロセス(10)は、参照番号(40)で表す前処理プロセスのための装置をも含む。前処理装置(40)は、第1タンク(42)と第2タンク(44)を含む。2つのタンクが使用されるとき、一般には、1のタンク、例えばタンク(42)は、アルカリ前処理を含むであろうし、そして他のタンク、例えばタンク(44)は酸前処理を含むであろう。適当な配管、弁、ポンプ等は、供給ライン(25)によりタンク(42,44)をタンク(20)に運転可能な状況に接続するために、設置される。プロセス(10)のこの配置は、多量の追加の装置、例えば、パイピングを使用せずに、前処理がタンク(20)に適用されることを許容する。タンク(20)の洗浄方法に関するさらなる詳細を以下に説明する。
【0025】
前処理溶液
前記したように、前処理溶液又は前処理ステップは、慣用のCIP化学的処理に先立って汚れに適用される。前処理溶液の化学的性質は、洗浄されるべき表面上の汚れの除去を促進するように選択される。前処理溶液は、汚れを予め被覆し、そしてその中に浸透して、汚れを柔らかくする。使用される特別な化学的性質は、除去されるべき汚れに基づき選択されうる。使用される化学的性質は、CIP化学と適合性であることができる。いくつかの態様においては、CIP化学と非適合性である前処理をもつことが望ましい;このような場合、前処理は、CIP化学と反応する。非適合性化学の使用は、汚れ除去の有効性をさらに高める。
【0026】
前処理溶液は、0.25%の活性成分を含み、いくつかの場合には、少なくとも0.5%、好ましくは少なくとも2%、そしてより好ましくは少なくとも3%の活性成分を含む。用語「活性成分」により意図されるものは、汚れを柔らかくし、溶解し、そして除去することを促進する非不活性の成分である。これらの活性成分は、いずれかのアルカリ/塩基、酸、浸透剤(界面活性剤を含む)、ビルダー、酸化剤、触媒、及びキレート化剤(chelant or chelating egent)を含む。ほとんどの態様においては、溶液の残部は水である。典型的には、溶液は、約15%以下の活性成分、好ましくは約10%以下の活性成分を有する。ほとんどの用途のためには、約1〜10%の濃度が好ましく;約1〜3%の濃度がほとんどの用途に好適である。
【0027】
アルカリ又は酸成分
前処理溶液は、場合により、そして好ましくは、アルカリ又は酸成分を含む。好適なアルカリ源の例は、塩基性塩、アミン、アルカノールアミン、カーボネート、及びシリケートを含む。特に好ましいアルカリ源は、NaOH(水酸化ナトリウム)、KOH(水酸化カリウム)、TEA(トリエタノールアミン)、DEA(ジエタノールアミン)、MEA(モノエタノールアミン)、炭酸ナトリウム、及びモルフォリン、メタケイ酸ナトリウム、及びケイ酸カリウムを含む。
【0028】
好適な酸源の例は、鉱酸(例えば、リン酸、硝酸、硫酸)、及び有機酸(例えば、乳酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、クエン酸、グルタミン酸、グルタル酸、及びグルコン酸)を含む。
【0029】
いくつかの場合における前処理溶液中のアルカリ又は酸の量は、少なくとも0.25wt%、そして10wt%以下である。アルカリ又は酸の好適なレベルは、2〜5wt%、そして0.5〜1.5wt%を含む。
【0030】
浸透剤
浸透剤は前処理溶液中に存在しうる。浸透剤は、溶液中でアルカリ又は酸源と混合され、又は浸透剤は、アルカリ又は酸源を伴わずに使用されうる。好ましくは、浸透剤は、水混和性である。
【0031】
好適な浸透剤の例は、アルコール、(1〜6個のエトキシレート基をもつ)短鎖エトキシル化アルコール及びフェノールを含む。有機溶媒も好適な浸透剤である。浸透剤として使用するための好適な有機溶媒の例は、エステル、エーテル、ケトン、アミン、及び硝酸化及び塩素化炭化水素を含む。
【0032】
浸透剤の他の好ましいクラスは、エトキシル化アルコールである。エトキシル化アルコールの例は、アルキル、アリール、及びアルキルアリールアルコキシレートを含む。これらのアルコキシレートは、塩素、臭素、ベンジル−、メチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−、及びアルキル−基によるキャッピングによりさらに修飾されうる。溶液中のエトキシル化アルコールの好ましいレベルは、1〜20wt%である。
【0033】
浸透剤の他のクラスは、脂肪酸である。脂肪酸のいくつかの非制限的な例は、C6〜C12直鎖又は分枝脂肪酸である。好ましい脂肪酸は室温において液体である。
【0034】
浸透剤として使用するための好ましい溶媒の他のクラスは、水可溶性であるグリコールエーテルである。グリコールエーテルの例は、ジプロピレングリコールメチルエーテル(Dow Chemical Co.から商標DOWANOL DPM下で入手可能なもの)、ジエチレングリコールメチルエーテル(Dow Chemical Co.から商標DOWANOL DMの下で入手可能である)、プロピレングリコールメチルエーテル(Dow Chemical Co.から商標DOWANOL PMの下で入手可能である)、及びエチレングリコールモノブチルエーテル(Dow Chemical Co.から商標DOWANOL EBの下で入手可能である)を含む。溶液中のグリコールエーテルの好ましい例は、0.5〜20wt%である。
【0035】
界面活性剤も、前処理溶液中で使用されるために好適な浸透剤である。好適な界面活性剤の例は、ノニオン、カチオン、及びアニオン界面活性剤である。ノニオン界面活性剤が好ましい。ノニオン界面活性剤は、汚れ除去を改善し、そして処理される表面上の溶液の接触角を低下させる。好適なノニオン界面活性剤の例は、アルキル−、アリール−、及びアリールアルキル−、アルコキシレート、アルキルポリグリコシド及びそれらの誘導体、アミン及びそれらの誘導体、並びにアミド及びそれらの誘導体を含む。
さらなる有用なノニオン界面活性剤は、界面活性剤分子の一部としてポリアルキレンオキシドポリマーをもつものを含む。このようなノニオン界面活性剤は、例えば、塩素−、ベンジル−、メチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−その他のアルキル−キャップされた、脂肪酸アルコールのポリオキシエチレン及び/又はポリオキシプロピレングリコールエーテル;ポリアルキレンオキシド不含非イオン界面活性剤、例えばアルキルポリグリコシド:ソルビタン及びスクロースエステル及びそれらのエトキシレート;アルコキシル化エチレンジアミン;脂肪酸の、カルボン酸エステル、例えばグリセロールエステル、ポリオキシエチレンエステル、エトキシル化及びグリコールエステル、その他;カルボン酸アミド、例えばジエタノールアミン縮合物、モノアルカノールアミン縮合物、ポリオキシエチレン脂肪酸アミドその他;並びにエトキシル化アミン及びエーテルアミンその他のノニオン化合物を含む。シリコーン界面活性剤も使用されうる。
【0036】
ポリアルキレンオキシドポリマー部分をもつ追加の好適なノニオン界面活性剤は、1〜約20個の酸化エチレン基をもつC6−C24アルコールエトキシレート;1〜約100個の酸化エチレン基をもつC6−C24アルキルフェノールエトキシレート;1〜約20個のグリコシド基をもつC6−C24アルキルポリグリコシド;C6−C24脂肪酸エステルエトキシレート、プロポキシレート又はグリセリド;及びC4−C24モノ又はジアルカノールアミドを有するノニオン界面活性剤を含む。
【0037】
界面活性剤が浸透剤として使用される場合、前処理溶液中の界面活性剤は、典型的には少なくとも0.25%である。界面活性剤の許容されるレベルは0.4〜8wt%、そして1〜4wt%を含む。
【0038】
総じて、アルカリ又は酸源が存在するとき、前処理溶液中の浸透剤の量は少なくとも0.2wt%、そして2.5wt%以下である。アルカリ又は酸源が存在するとき、浸透剤の許容されるレベルは0.4〜2wt%を含み;1〜2wt%が好ましい。存在するときのアルカリ又は酸源に対する浸透剤の量は、一般に1:1〜1:5である。
【0039】
アルカリ又は酸源を含まない前処理溶液に関しては、溶液中の浸透剤の量は、少なくとも0.05wt%、そして50%以下である。一般に、このレベルは0.1〜25wt%である。浸透剤の許容されるレベルは0.5〜10wt%、そして1〜5wt%を含む。
【0040】
酸化剤
前処理溶液は、酸化剤(oxidizing agent or an oxidizer)、例えば、過酸化物又は過酸素酸(ペルオキソ酸peroxyacid)を含む。得られる溶液は、タンパク質及びデンプン汚れに対してひじょうに有効である。さらに、これらの酸素化合物と汚れとの反応は、特にアルカリ源と混合されるとき、汚れに対し及び汚れの中に激しい機械的作用を創り出し、これは、化学的及び漂白作用により引き起こされる除去を超えて、汚れの除去を増強する。
【0041】
好適な成分は、酸化物、例えば、亜塩素酸、臭素、臭素酸塩、1塩化臭素、ヨウ素、1塩化ヨウ素、ヨウ素酸塩、過マンガン酸塩、硝酸塩、硝酸、ホウ酸塩、過ホウ酸塩、及び気体状酸化物、例えばオゾン、酸素、2酸化塩素、塩素、2酸化硫黄、並びにそれらの誘導体である。過炭酸塩を含む、過酸化物及び各種過カルボン酸を含む過酸素化合物が好適である。
【0042】
ペルオキシカルボン(又は過カルボン)酸は一般に、式R(CO3H)nを有し、式中、例えば、Rはアルキル、アリールアルキル、シクロアルキル、芳香族又は複素環基であり、そしてnは1,2又は3であり、そして親酸にペルオキシを接頭辞としてつけることにより命名される。R基は、飽和又は不飽和、及び置換又は非置換でありうる。中鎖ペルオキシカルボン(又は過カルボン)酸は、式R(CO3H)n{式中、RはC5−C11アルキル基、C5−C11シクロアルキル、C5−C11アリールアルキル基、C5−C11アリール基、又はC5−C11ヘテロシクリル基であり;そしてnは1,2又は3である。}を有しうる。短鎖脂肪酸は、式R(CO3H)n{式中、RはC1−C4であり、そしてnは1,2又は3である。}を有しうる。
【0043】
いくつかのペルオキシカルボン酸は、ペルオキシペンタン酸、ペルオキシヘキサン酸、ペルオキシヘプタン酸、ペルオキシオクタン酸、ペルオキシノナン酸、ペルオキシイソノナン酸、ペルオキシデカン酸、ペルオキシウンデカン酸、ペルオキシドデカン酸、ペルオキシアスコルビン酸、ペルオキシアジピン酸、ペルオキシクエン酸、ペルオキシピメリン酸、又はペルオキシスベリン酸、それらの混合物その他を含む。
【0044】
分枝鎖ペルオキシカルボン酸は、ペルオキシイソペンタン酸、ペルオキシイソノナン酸、ペルオキシイソヘキサン酸、ペルオキシイソヘプタン酸、ペルオキシイソオクタン酸、ペルオキシイソナナン酸、ペルオキシイソデカン酸、ペルオキシイソウンデカン酸、ペルオキシイソドデカン酸、ペルオキシネオペンタン酸、ペルオキシネオヘキサン酸、ペルオキシネオヘプタン酸、ペルオキシネオオクタン酸、ペルオキシネオノナン酸、ペルオキシネオデカン酸、ペルオキシネオウンデカン酸、ペルオキシネオドデカン酸、それらの混合物その他を含む。
【0045】
典型的な過酸素化合物は、過酸化水素(H22)、過酢酸、過オクタン酸、過硫酸、過ホウ酸、又は過炭酸を含む。前処理溶液中の酸化物の量は、少なくとも0.01wt%、そして1wt%以下である。酸化物の許容されるレベルは、0.01〜0.50wt%であり;0.3wt%が特に好適なレベルである。酸源に対する酸化物の好適なレベルは、一般に、1:1〜1:10、1:3〜1:7、又は1:20〜1:50である。50〜5000ppm(0.005wt%〜0.5wt%)の過酸化水素を含む0.25wt%〜10wt%のリン酸の溶液は、特に好適である。1例の前処理溶液は、0.75wt%のリン酸、及び500ppm(0.05wt%)の過酸化水素を含み、これは1:15比の酸化物:酸である。
【0046】
ビルダー
前処理溶液は、好ましくはビルダーを含む。ビルダーは、キレート化剤(キレーター)、封鎖剤(金属イオン封鎖剤)、洗剤ビルダー、その他を含む。ビルダーは、しばしば、組成物又は溶液を安定化させる。ビルダーの例は、ホスホン酸及びホスホン酸塩、リン酸塩、アミノカルボキシレート及びそれらの誘導体、ピロホスフェート、ポリホスフェート、エチレンジアミン及びエチレンジアミン誘導体、ヒドロキシ酸、並びにモノ−、ジ−、及びトリ−カルボキシレート及びそれらの対応の酸を含む。他のビルダーは、アルミノシリケート、ニトロアセテート及びそれらの誘導体、及びそれらの混合物を含む。さらに他のビルダーは、アミノカルボキシレートを含み、これは、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸(HEDTA)、及びジエチレントリアミン五酢酸の塩を含む。好ましいビルダーは水可溶性である。
【0047】
特に好ましいビルダーは、EDTA(四ナトリウムEDTAを含む)、TKPP(ポリリン酸3カリウム)、PAA(ポリアクリル酸)及びその塩、ホスホノブタンカルボン酸、及びグルコン酸ナトリウムを含む。
【0048】
前処理溶液中のビルダーの量は、存在する場合、典型的には、少なくとも0.25wt%、そして5wt%以下である。ビルダーの許容されるレベルは、0.5〜1.0wt%、そして1wt%〜2.5wt%である。
【0049】
前処理の方法
本発明に係る方法は、慣用のCIPプロセスに先立って、洗浄されるべき表面に前処理溶液を適用することに関する。得られるCIPプロセスは、各ステップに関してより少ないステップ及び/又はより短い時間を要求する。例えば、慣用のCIPプロセスは、最初の水濯ぎの後に5つのステップ:汚れを除去するための慣用のアルカリ(NaOH)洗浄、中間濯ぎ、鉱物及びスケールを除去するための慣用の酸洗浄、水濯ぎ、及び慣用の殺菌ステップを含む。このプロセスは、最初の水濯ぎの後に3ステップのプロセス:前処理ステップ、慣用の洗浄、及び水濯ぎで置き替えられることができる。
【0050】
直前に記載した、2つの前処理プロセスのいずれを使用することにより、前処理を含む洗浄プロセスの全体で使用される水の量は、慣用の5ステップのプロセスに比較して約30%以上低減される。前処理を含むプロセスの全体のための時間量は、慣用の5ステップのプロセスに比較して約30%以上低減される。低減された特定な数のステップ、水の使用又は処理時間は、前処理溶液の濃度及び化学的性質に依存するであろう。
【0051】
再び図1を参照して、前処理溶液は、40で表される装置に保存される。このプロセス(10)において、タンク(42)は、アルカリ性前処理溶液を保持し、そしてタンク(44)は、過酸化物を含む酸性前処理溶液を保持する。
【0052】
タンク(20)を洗浄するために、タンク(20)とその接続配管から、存在しうる製品が全て抜き出される。水濯ぎは、残存製品を取り除くように含まれうる。1の態様においては、タンク(42)からのアルカリ前処理溶液は、配管及び供給ライン(25)を介してタンク(20)にポンプ送出される。慣用のCIP適用装置、例えばスプレー・ヘッドは、前処理溶液を、タンク(20)の内部表面上に適用する。前処理溶液は、滝のように落下し、又はその他の方法でタンク(20)の表面を流れ落ちて、汚れを柔らかくする。前処理溶液の第2の適用が適用されうる。但し、これは一般には必要ではない。
【0053】
前処理溶液の適用及びドレイン排出の後、プロセス(30)及びタンク(35)からの洗剤を用いて、慣用のCIPプロセスが行われる。CIP洗剤は、酸性又はアルカリ性でありうる。タンク(35)からの洗剤は、供給ライン(25)、戻しライン(27)、及び他の適当な配管を介してタンク(20)を通して再循環される。
【0054】
他の態様においては、タンク(44)からの過酸化水素を含む前処理溶液は、配管及び供給ライン(25)を介してタンク(20)にポンプ送出される。過酸化物前処理溶液の適用及びドレイン排出の後、プロセス(30)及びタンク(35)からのアルカリ洗剤、例えば水酸化ナトリウムを用いた慣用のCIPプロセスは、行われる。水酸化ナトリウムは、タンク(20)の壁上の残存過酸化物を活性化する。
【0055】
前処理溶液をCIPプロセスに導入するとき、装置の一部に依存して、特定の場所に前処理溶液を添加することが有益である。例えば、HTST低温殺菌装置を処理するとき、供給バランスタンクに前処理溶液を導入することが望ましい。あるいは、前処理溶液は、プレート組立ての直前に、ブースターポンプの吸入側又はT又は弁位置で、導入されうる。UHT低温殺菌装置を処理するとき、水バランスタンクに前処理溶液を導入することが好ましい。あるいは、前処理溶液は、製品バランス又は供給タンクに、又はブースターポンプの吸入側に導入されうる。蒸発器を処理するとき、効果(effect)再循環ポンプの吸入側に前処理溶液を導入することが好ましい。あるいは、前処理溶液は、CIPバランスタンクに導入されうる。最終的に、ビール蒸留再沸騰タンクを処理するとき、ボイラー再循環ポンプの吸入側に前処理溶液を導入することが好ましい。あるいは、前処理溶液は、再循環ポンプと蒸留塔の間の弁で、又はCIPバランスタンクに導入されうる。前処理溶液は、好ましくは、洗浄されるべき表面により近い場所で注入される。これは、CIP供給タンク及び分配配管の総容量による前処理化学物質の希釈を回避することにより、より高い化学物質濃度を可能にする。
【0056】
好適な前処理ステップのさまざまな一般的な例を以下に説明する。
1の特別な例においては、10wt%NaOHのアルカリ前処理溶液が、ホールディングタンクの内部表面上にスプレーされ、そしてドレイン排出される。約20分後、1%酸性溶液を有するCIPプロセスが開始される。
【0057】
第2の特別な例においては、1wt%リン酸の酸性前処理溶液が、plate−in−frame型熱交換器の内部表面上に循環される。この溶液は0.1wt%のH22を含む。また、過酸化物は、その後の慣用のアルカリ性CIP溶液により触媒的に活性化されて、さらなる発泡、高酸化潜在種、及び汚れ除去を引き起こす。
【0058】
第3の特別な例においては、約1.0wt%の鉱酸、及び1.0wt%の溶媒浸透剤を有する酸性前処理溶液が、蒸発器の熱交換表面上に循環され、そしてその表面からドレイン排出される。約20分後、CIPプロセスが開始される。慣用のアルカリ洗浄液、約0.5wt%の活性NaOHが蒸発器内に供給される。このアルカリは酸性残渣と反応して、熱及び機械的作用を生じさせて汚れの除去を促進する。
【0059】
本発明を、食品及び飲料汚れを有する表面を洗浄する情況で主に説明してきたけれども、本発明が、一般に、膜、例えばスパイラル結合膜、水濾過又は脱塩に使用されるフラット・シャット・セラミック膜、並びに化学及び製薬産業における熱交換表面を含む、洗浄を必要とする用途において使用されうることが理解されよう。
【0060】
本発明のより完全な理解のために、以下の実施例をいくつかの態様を説明するために与える。これらの実施例及び実験は、非制限的な説明として理解されるべきである。別段の定めなき限り、部は全て重量部である。
【実施例】
【0061】
実施例
実施例1
試験手順
固形乳ペレットを、3グラムの乾燥乳粉末と3グラムの汚れを混合することにより調製した。得られた混合物を、30秒間10,000lbで型内で圧縮し、そしてその後、より大きな圧力を加えて、さらに30秒間10,000lbを再び適用した。ペレットをスクリーン内に入れ、そして5分間、以下に記載したように、前処理溶液中に浸漬し、取り出し、そしてその後5分間ドレイン排出した。スクリーンしそして乾燥させたペレットを120°Fで0.5wt%NaOHを有するビーカー内に入れた。(“None(なし)”として示された試験は前処理ステップがなかったことを、そして“None*(なし*)”として示された試験は前処理ステップがなく、かつ、0.5%NaOHよりもむしろ、120°Fで3.0%NaOH洗浄を使用したことを示す。)ビーカーを、350rpmで回転する大きな撹拌棒を伴う49℃(120°F)に設定されたホットプレート上に置いた。30分後、スクリーンとペレットを洗浄溶液から取り出し、そして5回脱イオン水中にゆっくりと浸漬し、そしてそれから取り出し、そしてその後、50℃オーブン内で一夜乾燥させた。試験の結果を以下に示す。
【0062】
前処理1
活性NaOHの10wt%溶液を調製し、そして前処理として使用した。前処理は、100,000ppmの水酸化ナトリウム(アルカリ性洗浄液)をもっていた。
【0063】
前処理2
前処理溶液であって、1360ppmのEDTA4ナトリウム(ビルダー及び/又はキレート化剤)、3000ppmのグルコン酸ナトリウム(ビルダー及び/又はキレート化剤)、2400ppmのケイ酸カリウム(アルカリ洗浄液)、7000ppmのアルキルポリグリコシド(界面活性剤)、及び4200ppmの水酸化カリウム(アルカリ洗浄液)をもつものを調製した。この前処理2は、3.66%のアルカリ、0.43%のビルダー/キレート化剤、及び0.7%の界面活性剤を有し、4.79%の活性成分を提供した。
【0064】
前処理3
41550ppmのポリカルボキシル化アルコールエトキシレート(界面活性剤)、9540ppmのオクチルアミンオキシド(界面活性剤)、25500ppmのアルキルポリグリコシド(界面活性剤)、及び4150ppmの2−エチルヘキサノール・エトキシレート(浸透剤)を有する前処理溶液を調製した。この前処理溶液3は、0.4%の浸透剤、及び7.6%の界面活性剤を有し、8%の活性成分を提供した。
【0065】
前処理4
1600ppmの水酸化カリウム(アルカリ洗浄液)、9465ppmの水酸化ナトリウム(アルカリ洗浄液)、18500ppmのポリアクリル酸(ビルダー及び/又はキレート化剤)、及び4625ppmのホスホノブタン3カルボン酸(ビルダー及び/又はキレート化剤)を有する前処理溶液を調製した。この前処理溶液4は、1.10%のアルカリ、及び2.3%のビルダー/キレート化剤を有し、2.9%の活性成分を提供した。
【0066】
【表1】

【0067】
結果は、洗浄プロセス内の一致と、本法と比較したときの差を示す。結果は、より低レベルのNaOHがより高いレベルよりも良好であり、そして前処理溶液3と4が前処理溶液1と2よりも優れていることを示す。しかしながら、この差は、使用した試験手順に因るかもしれない。試験1と2は、1のホットプレート上で行われ、一方、試験3と4は第2のホットプレート上で行われた。これらの2つのホットプレートは120°Fの温度を維持するに当り等しくなかった可能性がある。
【0068】
2連の試験の間に劇的な差が見られた(すなわち、溶液4について61%と39%);上記ペレットの内の1つは、その中にクラックを有していた。これはペレットが割れるための弱い場所を提供する。高く露出した表面積は、崩壊する場合に高められた速度をもたらす。
【0069】
ホットプレートの温度制御の間に一貫性が在ったかどうかを決定する試みにおいて、同一ホットプレート上で試験を再実行した。結果を以下の表中、「前処理によるペレットの%wt損失」なる欄の下に与える。
【0070】
別の、そして比較方法として、1グラムの前処理溶液を、315グラムの0.5%NaOH洗浄溶液に添加した。したがって、別々のステップとして前処理化学(物質)を適用するよりはむしろ、前処理化学(物質)を洗浄溶液に添加した。結果を以下の表中、「前処理によらないペレットの%wt損失」なる欄の下に与える。
【0071】
【表2】

【0072】
これらの結果は、別の前処理ステップを省き、そして化学物質を洗浄溶液に直接添加することが、2つの低い効果の溶液(1〜10%NaOH;2〜10%KX−3108)の性能を高め、そして2つの高い効果の溶液(3〜10%Quadexx 400;4〜10%Quadexx 500)の性能を低下させたことを示す。これらの結果の全てが、(約29%のペレットの損失を提供した)前処理が存在しない場合よりも良好であった。
【0073】
実施例2
試験手順
片面上に汚れをもつ汚れたステンレススチールの試験パネルを、120℃で4時間オーブン内でパネルの片側上でつぶされたコーンの固形物の混合物を乾燥させることにより調製した。次いで、汚れたパネルを、以下に記載するように洗浄した。
試験(I)について、前処理ステップを用いて、800グラムの前処理溶液5を1000mlビーカー内に入れた。約1グラムの前処理溶液が汚れたパネルに接し、そして残存していたことが測定された。前処理中に短時間浸漬した後、パネルを周囲温度で5分間、吊した。次いで乾燥パネルを、汚れた側を下向きにして40℃の水750gを入れた1000mlビーカー内に入れた。30分後、パネルを5回、脱イオン水中にゆっくり沈め、そして取り出し、そしてその後パネルを乾燥させた。試験の結果を以下に示す。
【0074】
試験(II)について、試験パネルは前処理されなかったが、1gの前処理5が添加され40℃の水750g中で洗浄された。
試験(III)について、試験パネルは前処理されなかったが、40℃の水750g中で洗浄された。
【0075】
前処理5
400ppmのEDTA四ナトリウム(ビルダー及び/又はキレート化剤)、4500ppmのポリリン酸3カリウム(ビルダー及び/又はキレート化剤)、3852ppmの水酸化カリウム(アルカリ洗浄液)、3000ppmのポリエチレンフェノールエーテルホスフェート(界面活性剤)、1000ppmのメタケイ酸ナトリウム(アルカリ洗浄液)、9000ppmのエチレングリコールモノブチルエーテル(界面活性剤)、及び2400ppmのナトリウムキシレンスルホネート(界面活性剤)を有する前処理溶液を調製した。この前処理5は、0.5%のアルカリ、0.5%のビルダー/キレート化剤、0.5%界面活性剤、及び0.9%の浸透剤を有し、2.4%の活性成分を提供した。
【0076】
【表3】

【0077】
上記の結果は、洗浄溶液に前処理化学(物質)を添加するだけでは、試験パネルからの汚れの除去を改善しないことを示す。むしろ前処理溶液と洗浄溶液の別々の、かつ、段階的な適用が改善された汚れ除去を提供する。
【0078】
実施例3
実施例3は、コーンビール希薄残液シロップ(corn beer thin stillage syrup)の除去に対する、さまざまな異なる前処理及び主洗浄化学の有効性を試験した。この試験のために、コーンビール希薄残液シロップ汚れを、3インチ掛ける5インチのステンレススチールのスクリーンを計量することにより調製した。85%コーンビール希薄残液シロップと15%脱イオン水の混合物を調製し、そしてスクリーンを混合物中に浸し、そして10分間過剰のものを放置してドレイン除去した。次いで、スクリーンを125℃で2時間焼いた。スクリーンを再び浸し、そして合計3時間さらに2回焼いた。最終的なスクリーンを再び計量した。洗浄のために、表1中の化学洗浄溶液1000mLを180°Fに加熱した。スクリーンを洗浄溶液中に挿入した。撹拌棒を洗浄溶液中に入れ、そして完全な試験について(30分間)400rpmに設定した。30分後、スクリーンを除去し、そして計量前に放置して乾燥させた。パーセント汚れ除去を以下の式を用いて計算した:
【数1】

【0079】
表1は、各種前処理と主洗浄化学のパーセント汚れ除去を示す。
【0080】
【表4】

【0081】
【表5】

【0082】
【表6】

【0083】
実施例4
実施例4は、コーンビール希薄残液シロップを除去する各種酸化剤の能力を比較した。本実施例のために、スクリーンを、コーンビール希薄残液シロップで汚し、そして実施例3に記載したように洗浄した。表2は、汚れ除去に対する各種酸化剤の影響を示す。
【0084】
【表7】

【0085】
実施例5
実施例5は、水酸化ナトリウムのみを用いた場合に比較して、本発明に係る前処理溶液を用いてスクリーンを洗浄するために要した時間量を比較した。本実施例は、コーンビール希薄残液シロップと全乳汚れに対する洗浄時間を試験した。実施例3に記載したように、コーンビール希薄残液シロップ汚れを調製し、そして洗浄した。
【0086】
全乳汚れについては、汚されるべきステンレススチールのディスクを計量し、そして1.5フィート直径3インチのステンレススチールの管の底にディスクを固定することにより、汚れを調製した。水浴を205°F〜210°Fに加熱し、そしてディスクを有する管を水浴内に入れた。1/3ガロンの全乳を、使用する各管に添加し、そして4時間放置した。4時間後、ディスクを取り出し、そして計量前少なくとも48時間乾燥させた。全乳汚れを洗浄するとき、ディスクを、オーバーヘッド・スターラーに固定した。所望の洗浄溶液をホットプレートを用いて180°Fに加熱した。ディスクを、10分間洗浄溶液を入れた1Lビーカー内に挿入し、そしてオーバーヘッド・スターラーを50rpmに設定した。10分後ディスクを洗浄溶液から取り出し、そして脱イオン水を入れたビーカー内に入れた。オーバーヘッド・スターラーを30秒間200rpmに設定した。ディスクを取り出し、そして計量前少なくとも48時間乾燥させた。パーセント汚れ除去を以下の式:
【数2】

を用いて計算した。
【0087】
表3と表4は、水酸化ナトリウム単独、Stabicip Oxi前処理その後の水酸化ナトリウム洗浄、及び処方物A(74%過酸化水素(35%)、9.75%ナトリウムクメンスルホネート(40%)、5.25%ナトリウムオクタンスルホネート、3.50%ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(60%)、3%メタンスルホン酸、1%n−ブチル・キャップ化アルコールエトキシレート(5EO)、及び3.5%ペラルゴン酸)その後の水酸化ナトリウム洗浄を用いたときの、スクリーン又はディスク上の汚れを100%除去するために要した時間を示す。Stabicip Oxiは、Ecolab Inc.(st.Paul,MN)から商業的に入手可能な、過酸化水素ベースの組成物である。
【0088】
【表8】

【0089】
表3は、水酸化ナトリウムとともに過酸化水素ベースの前処理組成物を用いることが、水酸化ナトリウム洗浄単独に比較して、コーンビール希薄残液シロップを洗浄するための時間を半分に短縮することを示す。
【0090】
【表9】

【0091】
表4は、水酸化ナトリウム洗浄とともに過酸化水素ベースの前処理組成物を用いることが、水酸化ナトリウム単独に比較して、全乳汚れを洗浄するために要する時間を半分に短縮することを示す。水酸化ナトリウム洗浄とともに処方物Aを使用することは、水酸化ナトリウム洗浄単独に比較して、全乳汚れを洗浄するために要する時間を半分超えて短縮する。
【0092】
実施例6
実施例6は、全乳汚れに対する各種の異なる前処理、及び主洗浄化学の有効性を試験した。本試験のために、実施例5に記載したように、全乳汚れを調製し、そして洗浄した。表5は、各種組合せのパーセント除去を示す。
【0093】
【表10】

【0094】
本発明をさまざまな特定の及び好ましい態様及び技術に関して説明してきた。しかしながら、本発明の本質及び範囲を逸脱せずに多くのさまざまな変更及び修正がなされうることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、洗浄されるべき装置、CIPプロセス装置、及び前処理装置を含む産業(工業)プロセスの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CIPプロセスを用いて産業装置から汚れを洗浄する方法であって、以下のステップ:
(a)汚れに前処理溶液を適用し、ここで該溶液は、少なくとも0.10wt%の活性成分を含み、該活性成分は、界面活性浸透剤と、過酸化水素、過酸素化合物、及びそれらの混合物から成る群から選ばれる酸化剤とを含み;
(b)前記前処理後に前記装置に第2溶液を再循環させ、ここで該第2溶液は希釈洗剤を含み;そして
(c)前記装置を濯ぐ;
を含む前記方法。
【請求項2】
前記前処理溶液は、0.10〜1.5wt%の酸をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前処理溶液は、0.01〜1wt%の酸化剤をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記酸化剤は過酸化物である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記前処理溶液は、0.4〜10wt%の浸透剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記前処理溶液は、0.25〜1.5wt%の酸、及び0.4〜8wt%の浸透剤を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記前処理溶液は、0.3〜10wt%のアルカリ性源を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記前処理溶液が、以下の:
(a)0.25〜1.5wt%の、リン酸、硝酸、硫酸、乳酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、及びクエン酸の内の少なくとも1つ;及び
(b)0.01〜1wt%の、過酸素化合物である酸化剤;
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記酸化剤が0.05〜0.5wt%のレベルで存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
以下のステップ:
(a)0.25〜1.5wt%の酸、及び0.01〜1wt%の酸化剤を含む前処理溶液を適用し;そして
(b)前記前処理溶液の後に装置にアルカリ性第2溶液を再循環させる;
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
(a)前記酸が、リン酸、硝酸、硫酸、乳酸、酢酸、ヒドロキシ酢酸、及びクエン酸の内の少なくとも1つであり;そして
(b)酸化剤が過酸素化合物である;
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2溶液が水酸化ナトリウムを含む、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−513339(P2009−513339A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537741(P2008−537741)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/039726
【国際公開番号】WO2007/050291
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(500320453)イーコラブ インコーポレイティド (120)
【Fターム(参考)】