説明

前立腺及び下部泌尿生殖路の病気を治療するためのβ−3アゴニストの使用

本発明は、前立腺に関連する病訴を治療するためのβ-3-アドレナリン受容体アゴニストの使用に関する。前記病訴として、炎症プロセス又は慢性過敏によって引き起こされるかいずれにしても前立腺で起こる病訴、或いは前立腺の良性変化と関連する病訴が挙げられる。本発明は、良性前立腺肥大症(BPH)の治療に特に好適である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
この発明は、前立腺の病的変化又は過敏と関係がある障害の治療のためのβ-3アドレナリン受容体アゴニストの使用に関する。この障害として、前立腺の良性変化と関係がある障害、特に良性前立腺肥大症(BPH)又は炎症プロセスに起因するか若しくは慢性過敏に起因するかいずれにしても、前立腺炎と関連して起こる障害が挙げられる。
【0002】
〔先行技術〕
良性前立腺肥大症(BPH)は、50歳以上の50%を超える男性に起こり、前立腺の肥大につながる病因が未知の疾患である。BPH症候群は、良性前立腺肥大(BPE)、閉塞性排尿機能障害(膀胱出口閉塞又は略してBOO)及び下部泌尿生殖路の過敏性症状と関係がありうる。用語BPHのほかに、用語良性前立腺症候群−BPS、すなわち下部泌尿路の過敏障害、前立腺肥大(BPE)及び閉塞(BOO又はBPO)の症状間で病態生理学的に非常に変化しうる関係の一般用語も見られる。かなり多くの割合のBPH患者が被る症状は、主に下部泌尿生殖路症状(LUTS)の過敏障害及びわずかな閉塞だけである。
BPHについて示唆されている原因は、とりわけ前立腺の細胞数の増加であるが、大きさは変化しない状態のままである。前立腺の肥大の結末の1つは、この領域内の尿道の収縮であり、また膀胱が完全に空になるのを妨害される。膀胱機能の障害が該疾患と関係し、過敏性症状を促進しうる。溢流尿失禁、つまり完全な尿閉が発生する可能性もある。その結果として、腎臓のような隣接器官が影響を受ける可能性もある(例えば、水腎症、進行性腎不全)。急性又は慢性の泌尿路感染症が発生する危険は、良性前立腺肥大症の存在下で増加することが多い。
良性前立腺肥大症(BPH)の機能的症状は、α-アドレナリン受容体アンタゴニスト及び5-α-レダクターゼインヒビターで治療される。この分類の代表的なα-アドレナリン受容体アンタゴニストは、シナプス後α-1受容体に選択的かつ競合的に結合することができる。それによって前立腺の平滑筋と尿道の平滑筋が弛緩し、前立腺の平滑筋と尿道の平滑筋の緊張が低減する。この結果として、尿の流速が増す。5-α-レダクターゼインヒビターは、酵素5-α-レダクターゼを阻害する。この酵素は、内在性テストステロンを、直接前立腺組織の成長を刺激するジヒドロテストステロンに変換させる。
【0003】
BPHの症状と同様の症状は、例えば、前立腺炎によるような他の病因の前立腺プロセスの枠内でも発生しうる。用語前立腺炎自体は、多くの場合、認識されていない又は認識されないままである複数の原因による外因性病的状態を包含する。現在のアメリカ国立衛生研究所(NIH)分類は、前立腺炎を以下の4つのカテゴリーに区別している:急性前立腺炎(NIH I)、慢性細菌性前立腺炎(NIH II)、慢性非細菌性前立腺炎(NIH III)及び無症候性前立腺炎(NIH IV)。慢性非細菌性前立腺炎(NIH III)は慢性骨盤疼痛症候群とも呼ばれ、順次、慢性非細菌性炎症形態(NIH IIIa)及び非炎症性疼痛症候群(NIH IIIb)に分類される。急性前立腺炎(NIH I)の診断は通常疑いの余地なく行われるにもかかわらず、慢性形態の差別的診断は困難である。細菌性前立腺炎(NIH I及びII)は、尿生殖路感染又は血行性感染によって、そうでなければ隣接器官からの炎症の伝播によって惹起されうる。急性細菌性前立腺炎は引き続き炎症性慢性前立腺炎に発達することがあり、細菌性のまま又は非細菌性になりうる。しかし、多くの場合、非細菌性前立腺炎の原因を疑いの余地なく同定することはできず、種々の神経原性及び筋肉惹起因子が示唆される。神経原性の原因として、例えば、ニューロパシー、並びに特に真骨盤の部位の神経の炎症であるが、偽骨盤の部位、腸の隣接部位及び肛門部位の神経の炎症も挙げられる。筋肉惹起因子として、骨盤床の筋肉、腰筋肉及び前立腺の近傍にある他の筋肉の不随意及び頻繁な収縮が挙げられる。この筋弛緩相がほとんどないか又は全くない筋肉の持続的な収縮は、ストレス、攻撃性、欲求不満などの相に対する不随意反応として起こりうる。骨盤床の筋肉の緊張は、長期間座っていることの結果及び自転車に乗っていること等のような他の片側姿勢の結果でもありうる。この形態の前立腺炎は、非炎症性慢性骨盤疼痛症候群、骨盤ミオニューロパシー、前立腺痛又はプロスタトパシー(prostatopathy)とも呼ばれる。
前立腺炎の症状は、BPH又はLUTSの症状と同様である。症状として、排尿障害、頻尿、排便中の痛み、尿閉、排尿中の灼熱痛、前立腺近傍の痛みと不快感、射精時の痛み等が挙げられる。
選択性β-3-アドレナリン受容体アゴニストは、種々の領域の適応症に対するその適合性に関連して議論されている。この適応症として、とりわけ肥満症、糖尿病及び尿失禁が挙げられる。1995年以来、尿失禁の治療で選択的β-3-アドレナリン受容体アゴニストを使用することは知られている(EP 0958835)。
【0004】
〔発明の目的〕
本発明は、下部泌尿生殖路、特に前立腺の障害を治療するという目的に基づき、前記障害は、前立腺の急性又は好ましくは慢性の炎症若しくは過敏に起因するか、或いは良性前立腺肥大(BPH)に起因しうる。
本発明の目的は、すべてのBHPの症候性症状のBPHの治療に関する。
本発明のさらなる目的は、急性、又は好ましくは慢性前立腺炎の治療に関する。
本発明のさらなる目的は、慢性骨盤疼痛症候群、骨盤ミオニューロパシー、前立腺痛又はプロスタトパシーの治療に関する。
さらなる目的は、男性の閉塞性排尿機能障害(obstructive bladder emptying impairments)の治療に関する。
さらなる目的は、男性のLUTS(下部泌尿路症状)の症候群の治療に関する。
この関係では、本発明は、β-3-アドレナリン受容体アゴニスト及びこの分類の活性成分由来の化合物を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0005】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、活性成分として医薬的に有効な量で少なくとも1種のβ-3-アドレナリン受容体アゴニストを含む新規な医薬組成物を提供する。
a) 活性成分
好ましい活性成分について以下に述べる。いずれの医薬的に活性な化合物が開示又はクレームされている場合も、生体内で生成されるすべての活性な代謝物も包含することを明白に意図しており、かつすべての可能な立体異性体又は互変異性体を包含することを明白に意図している。同様に、その医薬的に許容しうる塩が含まれる。塩基性化合物の塩形成について言及しうる酸の例は、酢酸、ベンゼンスルホン酸(ベシラート)、安息香酸、p-ブロモフェニルスルホン酸、カンファースルホン酸、炭酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸(メシラート)、粘液酸、硝酸、シュウ酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸などである。
【0006】
完全性のために必要な場合、先行技術で言及されている化合物の合成、その薬用量は、適切な点で引用されている該先行技術の参照によって明白に包含される。
本発明で使用するβ-3-アドレナリン受容体アゴニストは、好ましくはフェノキシ酢酸誘導体である。これらは、好ましくは下記式Iの以下の群、





【0007】
【化1】

【0008】
ここで、
1) X=Br、Y=H、R=OH
2-[2-ブロモ-4-[2-[[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ]エチル]フェノキシ]酢酸、
2) X=Cl、Y=H、R=OH
2-[2-クロロ-4-[2-[[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ]エチル]フェノキシ]酢酸、
3) X=Y=Cl、R=OH
2-[2,5-ジクロロ-4-[2-[[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ]エチル]フェノキシ]酢酸、
4) X=Y=H、R=OH
2-[4-[2-[[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ]エチル]-2,5-ジメチルフェノキシ]酢酸、
5) X=OH; Y=H; R=OH
2-[2-ヒドロキシ-4-[2-[[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ]エチル]フェノキシ]酢酸、
6) X=Cl; Y=H、R=OEt
エチル2-[2-クロロ-4-[2-[[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ]エチル]フェノキシ]アセテート、
7) X=Cl; Y=Cl、R=OEt
エチル2-[2,5-ジクロロ-4-[2-[[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ]エチル]フェノキシ]アセテート、
8) X=Me; Y=Me、R=OEt
エチル(-)-2-[4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]アセテート、及び対応する塩酸塩、
9) X=Me; Y=Me、R=OH
(-)-2-[4-(2-{[(1S,2R)-2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]アミノ}エチル)-2,5-ジメチルフェニルオキシ]酢酸、
から選択される。
これら言及した化合物はWO 00/02846又はWO 2003024916に記載されている。
【0009】
さらに以下の化合物は興味深い:
10)




【0010】
【化2】

【0011】
又はその遊離塩基。
名称:1-(4-メトキシ-3,5-ジヨードフェニル)メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-6-オール又はその塩酸塩、J. Med. Chem. 44 (2001) 1456。
11)
【0012】
【化3】

【0013】
名称:二ナトリウム-([R,R]-5-2-[[2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル]アミノ]プロピル)-1,3-ベンゾジオキソール-2,2-ジカルボキシレート又は塩酸塩、J. Med. Chem. 44 (2001) 1456; Journal of Urology 165 (2001) 240。
12)
【0014】
【化4】

【0015】
名称:4-((3-N-tert-ブチルアミノ)-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-1,3-ジヒドロベンゾイミダゾール-2-オン又はその塩酸塩、Journal of Urology 165 (2001) 240、J. Med. Chem. 44 (2001) 1456。
13)



【0016】
【化5】

【0017】
名称:シクロヘキシル[[4-[2-[[(2S)-2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシルフェノキシ)プロピル]アミノ]エチル]-フェノキシ]メチル]ホスフィン酸、J. Med. Chem. 44 (2001) 1456。
14)
【0018】
【化6】

【0019】
名称:(S)-4-[[(ヘキシルアミノ)カルボニル]アミノ]-N-[4-[2-[[2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシフェノキシ)-プロピル]アミノ]エチル]フェニル]ベンゼンスルホンアミド、J. Med. Chem. 44 (2001) 1456。
15)
【0020】
【化7】

【0021】
名称:(R)-4-[4-(3-シクロペンチルプロピル)-4,5-ジヒドロ-5-オキソ-1H-テトラゾール-1-イル]-N-[4-[2-[[2-ヒドロキシ-2-(3-ピリジニル)エチル]アミノ]エチル]フェニル]ベンゼンスルホンアミド又は塩酸塩、J. Med. Chem. 44 (2001) 1456。
16)



【0022】
【化8】

【0023】
名称:4-(N-(2-(4-ヒドロキシ-3-メチルスルホンアミドフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-アミノ)-ピペリジン-1-イル-フェン-4-イル-(n-ブチルアミノ)-スルホニル酢酸、J. Med. Chem. 44 (2001) 1456、Bioorg. Med. Chem. Lett. 9 (2001) 2045。
17)
【0024】
【化9】

【0025】
又はその塩酸塩
ここで、
a) Ar=4-HO-Ph-O、R1=オクチル、R2=H、名称:4-(4-(2-(3-(4-ヒドロキシフェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)アミノエチル)アニリノ)ピペリジニルカルボニル-N-オクチルアミド;
b) Ar=4-HO-、3-メチルスルホニルアミドフェニル-O、R1=2,5-ジフルオロベンジル、R2=H;名称:4-(4-(2-(3-(4-ヒドロキシ-3-メチルスルホニルアミドフェノキシ)-2-ヒドロキシプロピル)-アミノエチル)アニリノ)ピペリジニルカルボニル-N-(2,5-ジフルオロベンジル)アミド;
c) Ar=4-OH、3-メチルスルホニルアミドフェニル、R1=2,5-ジフルオロベンジル、R2=H、名称:4-(4-(2-(3-(4-ヒドロキシ-3-メチルスルホニルアミドフェニル)-2-ヒドロキシプロピル)アミノ-エチル)アニリノ)ピペリジニルカルボニル-N-(2,5-ジフルオロベンジル)アミド;
(Bioorg. Med. Chem. Lett. 11 (2000) 3123)。
18)








【0026】
【化10】

【0027】
又はその塩酸塩
名称:2-(4-N-(4-(2-(4-ヒドロキシ-3-メチルスルホニルアミドフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ)-ピペリジニル)ベンジル)-[1,2,4]オキサジアゾリジン-3,5-ジオン、Bioorg. Med. Chem. Lett. 11 (2001) 981。
19)
【0028】
【化11】

【0029】
又はその塩酸塩。
nは0又は1でよい;
名称:(4-(4-(2-ピリジニル-2-ヒドロキシエチルアミノエチル)アニリノ)スルホニル)-2-ベンジル-4-ナフト-2-イルメチルチアゾール(n=1)及び(4-(4-(2-ピリジニル-2-ヒドロキシエチルアミノエチル)アニリノ)-スルホニル)-2-フェニル-4-ナフト-2-イルメチルチアゾール(n=0)、Bioor. Med. Chem. Lett. 10 (2000) 1971。
20)
【0030】
【化12】

【0031】
又はその塩酸塩。
名称:2-(4-N-(4-(2-(4-ヒドロキシ-3-メチルスルホニルアミドフェニル)-2-ヒドロキシエチル)アミノ)-ピペリジニル)ベンジル)-[1,2,4]チアジアゾリジン-3,5-ジオン、Bioorg. Med. Chem. Lett. 11 (2001) 757。
21)
【0032】
【化13】

【0033】
又はその塩酸塩。
nは0又は1でよい。
名称:(4-(4-(2-ピリジニル-2-ヒドロキシエチルアミノエチル)アニリノ)スルホニル)-2-ベンジル-2-ナフチル-チアゾール(n=1)及び(4-(4-(2-ピリジニル-2-ヒドロキシエチルアミノエチル)アニリノ)スルホニル)-2-フェニル-2-ナフチルチアゾール(n=0)、Bioor. Med. Chem. Lett. 10 (2000) 1971。
22)
【0034】
【化14】

【0035】
又はその塩酸塩。
名称:(4-(4-(2-ピリジニル-2-ヒドロキシエチルアミノエチル)アニリノ)スルホニル)-2-ベンジル-(4-n-ヘキシル-フェニル)チアゾール(n=1)及び(4-(4-(2-ピリジニル-2-ヒドロキシエチルアミノエチル)アニリノ)スルホニル)-2-フェニル-(4-n-ヘキシルフェニル)チアゾール(n=0)、Bioor. Med. Chem. Lett. 10 (2000) 1971。
23)



【0036】
【化15】

【0037】
又はその塩酸塩。
名称:2-(4-(4-(2-ピリジニル-2-ヒドロキシエチルアミノエチル)アニリノ)スルホニル)フェニル-4-(シクロペンチルエチル)オキサゾール、Bioorg. Med. Chem. Lett. 10 (2000)1531。
24)
【0038】
【化16】

【0039】
又はその塩酸塩。
名称:エチル[R-(R*,S*)]-[[8-[[2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル]アミノ]-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテン-2-イル]オキシ]アセテート、塩酸塩、
25)
【0040】
【化17】

【0041】
又はその塩酸塩。
名称:[1S-[1α,3β(S*)]]-3-[3-[[2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル]アミノ]シクロヘキシル]フェノキシ]酢酸、一ナトリウム塩、
26)


【0042】
【化18】

【0043】
又はその塩酸塩。
名称:6-[(2R)-2-[[(2R)-2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル]アミノ]プロピル]-2,3-ジヒドロ-(1,4-ベンゾジオキシン-2-カルボン酸)。
27)
2-(3-{[2-(3-クロロフェニル)-2R-ヒドロキシルエチルアミノ]エチルアミノ}フェニル)チオフェン-3-カルボン酸又はその塩酸塩。
28)
【0044】
【化19】

【0045】
又はその塩酸塩。
名称:3-(1-(4-ヒドロキシ-3-メチルスルホニルアミドフェニル)-1-ヒドロキシエチルアミノ)エトキシ)-ジベンゾチオフェン及び2-(1-(4-ヒドロキシ-3-メチルスルホニルアミドフェニル)-1-ヒドロキシエチル-アミノ)エトキシ)-9H-カルバゾール。
29)
【0046】
【化20】

【0047】
又はその塩酸塩。
名称:[4-[2-[[2-(6-アミノピリジン-3-イル)-2(R)-ヒドロキシエチル]アミノ]エトキシ]フェニル]酢酸。
30)




【0048】
【化21】

【0049】
又はその塩酸塩。
名称:[[4-[[1-[[(2S)-2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル]アミノ]シクロペンチル]-メチル]フェノキシ]メチル]フェニルホスフィン酸。
31)
【0050】
【化22】

【0051】
又はその遊離塩基
名称:[1,1'-ビフェニル]-3-カルボン酸、3'-[[2-[[(2R)-2-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル]アミノ]エチル]アミノ]塩酸塩即ちソラベグロン。
32)
【0052】
【化23】

【0053】
又はその塩酸塩。
名称:6-[4-[2-[[3-[(2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンズイミダゾール-4-イル)オキシ]-2-ヒドロキシプロピル]アミノ]-2-メチルプロピル]フェノキシ]-3-ピリジンカルボキサミド。
33)






【0054】
【化24】

【0055】
又はその塩酸塩。
名称:(S)-6-[4-[2-[[3-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-2-ヒドロキシプロピル]アミノ]-2-メチルプロピル]フェノキシ]-3-ピリジンカルボキサミド。
【0056】
b)薬用量
活性成分の最適用量を決定するため、例えば、患者の年齢と体重、疾患の性質と段階、及び化合物の力価のような種々の制限条件を考慮する必要がある。これらは熟練者の能力内であるとみなされ;該成分についての現存する文献を参考にして最適用量を決定することができる。言及される薬用量は、安定化相の完了後の薬用量に関する。
後述する薬用量は、言及する範囲内のすべての数値、整数又は分数を明白に包含する。データは成人に関する。小児科の薬用量は、より少なくてよい。
同様に、毎日1回より多い投与又は毎日2回より多い投与(例えば、1日に3、4、5又は6回投与)は、本明細書で明白に考慮に入れられる。
述べた量より少ない量で十分な場合もあり、多くの総量が必要な場合もある。
1日の総用量は治療計画によって決まり、すべて一度に取るか、複数回に分けて取ってよい。治療計画が1日より長い摂取間隔を指定することもある。
成人についてβ-3-アゴニストの1日の平均用量は、1日当たり約1mg〜1000mg、好ましくは10mg〜約750mg、好ましくは20〜500mg、さらに好ましくは20〜200mgでよい。好ましくは、この量を1日に1回又は2回の用量として投与する。
【0057】
c)投与形態
便宜上、活性成分を適切な担体と共に含む医薬組成物の形態で本発明の組成物を投与することができる。技術上周知の方法で該医薬組成物を製造でき、技術上周知の担体を含みうる。この点に関して、当業者は一般に認められている専門家の研究を利用できる。
非経口(例えば、静脈内、腹腔内、皮下又は筋肉内注射によって)、局所、経口、鼻腔内、経皮、直腸、肺吸入又は鼻吸入によって本発明の組成物を投与することができ、経口投与が特に好ましい。経口投与形態のうち、胃液に耐性の製剤が好ましいだろう。この場合、胃液に耐性のカプセル剤又は胃液に耐性の錠剤が好ましく、両者の場合、例えば、胃液に耐性のコーティングによって胃液に対する耐性を達成することができる。当業者は、最新技術の胃液に耐性の製剤の指示を見つけるだろう。
以下に種々の製剤選択を与える。当業者は、これらから好適な製剤を選択できる。
経口治療投与では、本発明の組成物を1種以上の担体と併用して、バッカル錠、舌下錠、糖衣錠、経口散剤、散布剤、香錠、コーティング錠、顆粒、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、液剤、シロップ剤、ウェハー剤、チューインガム、食品等の形態で使用することができる。
例えば、活性物質の粒子を粉砕によって適切な大きさに導くことによって散剤を製造することができる。
粉末状態の物質を無毒の担体材料、例えば、ラクトースなどと共に微細に粉砕し、散剤として適用することによって希釈散剤を製造することができる。この点に関して好適な他の担体材料は、デンプン又はマンニトールのような他の炭水化物である。これら散剤は、妥当な場合、香料、保存剤、分散剤、着色剤及び他の薬理学的な賦形剤を含んでよい。
【0058】
上記タイプの散剤又は他の散剤から出発して、該散剤をカプセル中に導入してから該カプセルを閉じることによって、カプセル剤を製造することができる。
当業界で知られる滑沢剤をカプセル剤に導入し、或いはカプセル剤の2つのパーツをシールするために使用することもできる。例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム及び他の物質のような崩壊物質又は可溶化物質を添加することによって、経口摂取時のカプセル剤の効力を高めうる。活性成分は、固体としてのみならず懸濁液として、例えば、表面活性物質などの助けをかりて植物油、ポリエチレングリコール、グリセロール中の懸濁液として該カプセル剤中に存在しうる。
混合物を粉末状態で圧縮し、引き続きさらに例えば顆粒に加工することによって、錠剤を製造することができる。錠剤は、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、塩化ナトリウム、溶液及び注入用の錠剤用尿素、アミロース、種々のタイプの上述したセルロース等のような種々の賦形剤を含みうる。使用可能な湿潤剤は、例えば、グリセロール又はデンプンである。
使用可能な崩壊剤は、例えば、デンプン、アルギニン酸、アルギニン酸カルシウム、ペクチン酸、粉末寒天、ホルムアルデヒドゼラチン、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、過酸化マグネシウム、アミロースである。
適切な抗崩壊剤又は溶解遅延剤は、例えば、スクロース、ステアリン、固体パラフィン(好ましくは、50〜52℃の融点範囲を有する)、ココア脂肪、水素化脂肪である。
さらなる崩壊剤は、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギニン酸などでよい。
好適な吸収促進剤は、とりわけ四級アンモニウム化合物、ラウリル硫酸ナトリウム、サポニンである。
【0059】
結合剤ディストリビューターとして、例えばエーテルを使用でき、親水化剤又は崩壊促進剤としてセチルアルコール、グリセロールモノステアレート、デンプン、トウモロコシデンプン、ラクトース、湿潤剤(例えば、エアロゾルOT、Pluronics、Tweens)、トラガカントゴム、アラビアゴム、ゼラチン等を使用することができる。
甘味料としてスクロース、フルクトース、ラクトース又はアスパルテーム、或いは香料としてペパーミント、ウィンターグリンーン油、チェリーフレーバー等を利用することができる。
上記リストは単に例示であり、当業者は当業界の状態から他の賦形剤を考慮することができる。
【0060】
例えば、直接圧縮によって錠剤を製造することができる。
経口投与できる錠剤及び同様の固体形態をコーティングして提供することができる。例えば、ゼラチン、ワックス、シェラック又は糖などで錠剤、丸剤又はカプセル剤をコーティングすることができる。既に述べたように、経口剤形では、胃液に耐性の製剤が好ましい。従って、錠剤又はカプセル剤には胃液に耐性のコーティングが好ましい。シロップ剤又はエリキシル剤の場合、甘味料としてスクロース又はフルクトース、保存剤としてメチルパラベン及びプロピルパラベンが存在してよく、着色剤、及びチェリー又はオレンジフレーバーのような香料が存在しうる。
経口投与可能な他の製剤、例えば、液剤、シロップ剤、エリキシル剤などを製造することもできる。妥当な場合、本化合物をマイクロカプセル化しうる。
本化合物を液体に溶かして、皮下、筋肉内又は静脈内注射することによって、非経口投与を達成することができる。好適な溶媒の例は、水又は油性媒体である。
本化合物を低融点かつ水-可溶性又は水-不溶性の物質、例えばポリエチレングリコール、ココアバター、高級エステル(例えばモエリスチル(moerysthyl)、パルミテート)又はその混合物などと配合して座剤を製造することができる。
あらゆる単位剤形の製造で使用されるあらゆる物質は、当然、該使用量において医薬的に許容性であり、かつ本質的に無毒でなければならない。さらに、所望の放出プロフィールを達成するため、限定するものではないが、浸透圧に基づくもののような、遅延放出の製品やデバイス中に本活性成分を組み入れることができる。特に、各活性成分について1日1回の製剤が包含される。
このタイプの組成物及び製品は、少なくとも0.001%の活性化合物を含むべきである。組成物及び製品のパーセンテージは、当然に変化しうるが、便宜上、所定の単位剤形の重量の約0.1〜約100%に達しうる。このタイプの治療的に利用可能な組成物中の活性化合物の量は、有効な薬用量が得られるような量である。
【0061】
d)適応症
とりわけ以下に述べるいずれかの病的状態、単一の病的状態として、また他のいずれかの病的状態と組み合わせた状態の治療又は予防のため、β-3-アドレナリン受容体アゴニストとして列挙した各化合物を本発明に従って利用することができる(但し、前記病的状態は男性の下部泌尿路、特に前立腺の過敏性症状若しくは疾患又は対応する随伴症状を含むことを条件とする):良性前立腺肥大症、前立腺炎、特に神経原性の慢性非細菌性前立腺炎、筋肉又は細菌起源の慢性骨盤疼痛症候群、骨盤ミオニューロパシー、前立腺痛、LUTS(下部泌尿路症状)、閉塞性排尿障害(BOO)及び/又はプロスタトパシー。本発明の使用は、前立腺の病的変化又は上記適応症に関係がある骨盤筋肉の病的変化の原因の治療のみならず、随伴症状、特に、妥当な場合、前記病的変化に伴う痛み又は放尿の問題の治療をも目的とする。これには、排尿障害、頻尿症、尿閉、切迫尿失禁を伴うか又は伴わない抑制できる不可避的な排尿衝動、排尿頻度の増加、夜間の排尿(排尿障害及び夜尿症)、不完全な排尿、排尿中の灼熱痛、前立腺の近傍又はペニス等の下部泌尿路の近傍の痛みと不快感、勃起又は射精時の痛み、排便中の痛み、勃起機能不全が挙げられる。
【0062】
原因の治療とは、病的状態が進行するか又はこの意味で本発明の薬物を投与すると病的状態が改善されることを意味する。症状の治療とは、随伴症状と関係がある障害がほとんど知覚されないか、又は該障害が軽減されることを意味する。
本発明のこの関連に包含される病的状態は、器官の機能不全又は疾患によって引き起こされるものと、原因が細菌による炎症、機械的過剰歪み又は中枢神経系及び/又は末梢神経系の疾患若しくは機能障害に直接由来する病的状態の両方である。
従って、本発明のさらなる実施態様は、本発明の組成物の、前記パラグラフで述べた適応症のいずれかの治療又は予防用薬物を製造するための使用を含む。
上記疾患又は機能障害は、治療的に有効な量の本発明の組成物を哺乳動物に与えることによって治療される。多くの場合、哺乳動物はヒトであるが、食用動物(例えばウシ)及び家畜(例えばイヌ、ネコ及びウマ)の治療も本発明に明白に包含される。獣医学用途で使用される薬用量は、本明細書で述べる薬用量と異なるだろう。
本発明の新規組成物は、上記疾患及び機能障害を患うものを確実に最低度の有害な副作用で迅速に軽減すると予想される。
【0063】
e)併用
本発明の使用により、β-3-アドレナリン受容体アゴニストを他の活性成分と併用することもできる。いくつかの併用相手について以下に述べる。妥当な場合、中性化合物の形態又は塩の形態で活性成分を使用することができる。排他的ではなく、例としていくつかの可能性について述べる。
併用相手の好ましい例としては、
−α1-アドレナリン受容体アンタゴニスト、例えばタムスロシン、塩酸タムスロシン、アルフゾシン、ブナゾシン、ドキサゾシン、インドラミン、ナフトピジル、プラゾシン、テラゾシン、ウラピジル、シロドシン、モキシシリト、メタゾシン、フィドゥキソシン(fiduxosin)、ウピドシン(upidosin)、SNAP-5089(5-(N-(3-(4,4-ジフェニルピペリジン-1-イル)プロピル)カルバモイル)-2,6-ジメチル-4(R)-(4-ニトロフェニル)-1,4-ジヒドロピリジン-3-カルボン酸メチルエステル)、AIO-8507L、SL-890591((2-(3-(4-(5-クロロ-2-メトキシフェニル)ピペラジン-1-イル)プロピルアミノ)ピリミジン-4-カルボキサミドフマレート)、RS-100329(5-メチル-3-(3-(4-(2-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)フェニル)ピペラジン-1-イル)プロピル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン塩酸塩)、
−抗ムスカリン薬、例えば(S)-N-{3-[4- (2-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)-1-メチルエチル)-エチルアミノ]メチルピペリジン-1-イル}-3-オキソプロピル}メタンスルホンアミド、[1,1'-ビフェニル]-2-イルカルバミン酸 1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-4-イル-エステル一塩酸塩、2-メチル-α,α-ジフェニル-1H-イミダゾール、AH-9700、ベンゾヒドリルカルバミン酸N-(4-メチルアミノベンジル)ピペリジン-4-イルエステル、塩化ベタンコール(bethanchol chloride)、ダリフェナシン(darifenacin)、塩化ダリフェナシン、塩酸ジシクロミン、塩化エメプロニウム(emepronium chloride)、フェソテロジン(fesoterodin)、FK-584、硫酸ヒオスシアミン、塩酸イミプラミン、塩化オキシブチニン、塩化S-オキシブチニン、イプラトロピウム、J-104135、N-[2-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)-1-メチルエチル]-N-エチル-(1-メタンスルホニルピペリジン-4-イルメチル)-アミン、N-エチル-N-[2-(4-メトキシフェニル)-1-メチルエチル]-[1-(ジメチルアミノカルボニル)-ピペリジン-4-イルメチル]アミン、オキシブチニン、臭化プロパンテリン、プロピベリン、塩化プロピベリン、塩化レバトロペート(revatropate chloride)、ソリフェナシン(solifenacin)、テミベリン(temiverine)、塩化テミベリン、塩化テロジリン(terodiline chloride)、酒石酸トルテリジン(tolteridine tartrate)、トルテロジン(tolterodine)、トロスピウム、塩化トロスピウム、塩化バミカミドが、挙げられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
男性の下部泌尿路の過敏性症状又は疾患、特に前立腺の過敏性症状又は疾患及びその随伴症状の予防及び/又は治療用薬物を製造するためのβ-3-アドレナリン受容体アゴニストの使用であって、妥当な場合はその医薬的に有効な塩の形態での使用。
【請求項2】
前記疾患がBPHである請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記疾患が前立腺炎、特に慢性の前立腺炎、さらに好ましくは慢性の非細菌性前立腺炎及び/又はそれに関連する症状の1つである請求項1記載の使用。
【請求項4】
前記疾患がLUTSである請求項1記載の使用。
【請求項5】
前記疾患が、慢性骨盤痛症候群、骨盤ミオニューロパシー、前立腺痛、閉塞性排尿機能障害(BOO)及び/又はプロスタトパシー及び/又はこれら疾患に関連する症状の1つである請求項1記載の使用。
【請求項6】
前記β-3-アドレナリン受容体アゴニストが下記式I、
【化1】

(式中、X=H、Cl、Br、OH、メチル、Y=H、Cl、Br、OH、メチル、R=OH、メチル、エチル)の化合物又はその医薬的に許容しうる塩である請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
X=Br、Y=H、R=OHである請求項6記載の使用。
【請求項8】
X=Cl、Y=H、R=OHである請求項6記載の使用。
【請求項9】
X=Y=Cl、R=OHである請求項6記載の使用。
【請求項10】
X=Y=H、R=OHである請求項6記載の使用。
【請求項11】
X=OH、Y=H、R=OHである請求項6記載の使用。
【請求項12】
X=Cl、Y=H、R=OEt又はその対応する塩酸塩である請求項6記載の使用。
【請求項13】
X=Cl、Y=Cl、R=OEt又はその対応する塩酸塩である請求項6記載の使用。
【請求項14】
X=Me、Y=Me、R=OEt又はその対応する塩酸塩である請求項6記載の使用。
【請求項15】
X=Me、Y=Me、R=OHである請求項6記載の使用。
【請求項16】
前記β-3-アドレナリン受容体アゴニストを、10mg〜750mgの量で使用する請求項1〜15のいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
前記薬物が、直腸、局所、経口、舌下、鼻腔内、経皮又は非経口投与用に企図されている請求項1〜16のいずれか1項に記載の使用。
【請求項18】
男性の下部泌尿路の過敏性症状又は疾患、特に前立腺の過敏性症状又は疾患及びその随伴症状の治療又は予防方法であって、請求項1〜17のいずれか1項に記載の薬物を使用することを特徴とする方法。

【公表番号】特表2008−516909(P2008−516909A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536082(P2007−536082)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010975
【国際公開番号】WO2006/042679
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】