前頭洞拡張カテーテル
バルーン拡張カテーテルが、実質的に固い内部の案内部材及び実質的に固い内部の案内部材に摺動可能に取り付けられたバルーンに結合された可動シャフトを有する。バルーン拡張カテーテルを用いて対象者の副鼻腔を処置するために、実質的に固い内部の案内部材を鼻道を介して対象者の副鼻腔のドレナージ通路(例えば、前頭陥凹)の中に前進させる。実質的に固い内部の案内部材を超えてシャフト及びバルーンを遠位方向に前進させ、ドレナージ通路にバルーンを配置する。バルーンを拡張するよう膨張させ、又はそうでなければドレナージ通路を再形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、概して、バルーン膨張器具及び方法に関する。特に、本発明の分野は、副鼻腔炎を治療するためのバルーン拡張器具及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
副鼻腔炎は、3500万人以上のアメリカ人及び同様にそれ以外の先進国において多数の者がかかる疾患である。副鼻腔炎は、4つの副鼻腔(すなわち、上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞)のうちの1又はそれ以上が閉塞する場合、又はそうでなければ排出障害を有する場合に発生する。通常は、それぞれが粘膜によって覆われている副鼻腔は粘液を生成し、粘液は繊毛によって移動して副鼻腔の外に出て鼻腔に達し、咽喉に落ちる。副鼻腔は合わせて、1日に約1リットルの粘液を作り出すため、この粘液の効果的な移送が副鼻腔の健康のために重要である。
【0003】
各副鼻腔は、鼻道に広がる排出通路又は流出路を有する。この排出通路は、前頭洞のケースでは「前頭陥凹」といった、又は上顎洞のケースでは「篩骨漏斗」といった、開口の領域の「遷移空間」とともに開口を有している。1又はそれ以上の開口又は開口の近くの領域の粘膜が炎症を起こすと、粘液の放出が妨げられ、副鼻腔が感染及び/又は炎症段階になり、これがすなわち副鼻腔炎である。副鼻腔炎の多くの症例は適切な薬剤によって治療可能であるが、いくつかのケースでは、副鼻腔炎が数ヶ月又はそれ以上持続し、慢性副鼻腔炎と称される状態となり、内科的治療に対処できない。また、ある患者は、所定の期間、再発性副鼻腔炎と称される副鼻腔炎の頻回の発作を起こす傾向にある。
【0004】
バルーン拡張が、副鼻腔炎を治療するために狭窄した副鼻腔通路を治療するのに適用されている。これらのバルーン拡張器具は、一般に、バルーンカテーテルといったカテーテルの遠位端に設けられた膨張可能なバルーンの使用を含む。一般に、膨張可能なバルーンが縮小した状態で狭窄した副鼻腔通路の中に挿入される。そして、バルーンは、膨張して開き、治療される副鼻腔通路の狭窄を小さくして、良好な副鼻腔の排出及び通気を促す。同時に、総てではないが、副鼻腔の内面及びその排出通路の大部分の機能的な粘膜組織が保たれる。
【0005】
上顎洞及び前篩骨洞に関連する解剖学的構造の拡張に特に適した典型的な器具及び方法が、例えば、米国特許第7,520,876号及び米国特許出願公開公報第2008−0172033号に開示されている。前頭洞を含む様々な他の副鼻腔の治療に関する他のシステムが開示されている。例えば、米国特許出願公開公報第2008−0097295号が、前頭洞案内カテーテル(図6B)及び前頭洞の治療方法(例えば、図8B乃至8C)を開示している。米国特許出願公開公報第2008−0125626号が、治療のための前頭洞への経鼻的アクセスのための別の案内器具(例えば、図10C及び10C’)を開示している。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の実施例では、バルーン拡張カテーテルが、略硬質の内部ガイド部材及び略硬質の内部ガイド部材に摺動可能に取り付けられたバルーンに結合された可動シャフトを有する。バルーン拡張カテーテルを用いて対象者の副鼻腔(例えば、前頭洞)の排出通路を治療するために、略硬質の内部ガイド部材が、鼻道を介して対象者の排出通路の中に前進する。そして、略硬質の内部ガイド部材の周りのシャフト及びバルーンが遠位方向に前進して、排出通路にバルーンを配置する。これにより、バルーンが内部ガイド部材の周りをたどる。バルーンが膨張して、拡張又はそうでなければ通路を再構築する。副鼻腔が前頭洞の場合には、排出通路は前頭陥凹である。
【0007】
本発明の別の態様では、副鼻腔の排出路を拡張するための器具が、近位端及び遠位端を有する略硬質の内部ガイド部材及びバルーンに結合されたシャフトを有しており、シャフトは、略硬質の内部ガイド部材を収容する、少なくともその一部分に沿った第1の管腔を有しており、シャフトがバルーンの内部に動作するよう結合された第2の管腔を有する。ハンドルが、略硬質の内部ガイド部材の近位部に沿って設けられており、ハンドルが、シャフトに動作するよう結合された可動ノブを有しており、ノブの遠位への前進により、シャフト及びバルーンが略硬質の内部ガイド部材の周りを遠位方向に前進する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、一実施例に係るバルーン拡張カテーテルの斜視図である。
【図2A】図2Aは、図1のバルーン拡張カテーテルの側面図である。前進ノブを後退した近位位置に示す。
【図2B】図2Bは、図2Aのバルーン拡張カテーテルの断面図を示す。
【図3A】図3Aは、図1のバルーン拡張カテーテルの側面図を示す。前進ノブを前進した遠位位置に示す。
【図3B】図3Bは、図3Aのバルーン拡張カテーテルの断面図を示す。
【図4】図4は、図3Bのハンドル部の(点線部の)断面図である。
【図5A】図5Aは、図2BのラインA−A’に沿ったバルーン拡張カテーテルの断面図である。
【図5B】図5Bは、図4のラインB−B’に沿ったバルーン拡張カテーテルの断面図である。
【図6A】図6Aは、一実施例に係る内部ガイド部材の側面図である。
【図6B】図6Bは、別の実施例に係る内部ガイド部材の側面図である。
【図6C】図6Cは、別の実施例に係る内部ガイド部材の側面図である。
【図7】図7は、別の実施例に係るバルーン拡張カテーテルの斜視図を示す。
【図8】図8は、対象者の前頭陥凹の中に進むバルーン拡張カテーテルの内部ガイド部材を具えた対象者の前頭洞の断面図を示す。
【図9】図9は、バルーン拡張カテーテルの内部ガイド部材が対象者の前頭陥凹に配置された、対象者の前頭洞の断面図を示す。カテーテルを通って対象者の前頭洞の中に前進するガイドワイヤを示す。
【図10】図10は、(縮小状態の)バルーン及びシャフトが対象者の前頭陥凹の中に前進する状態の対象者の前頭洞の断面図を示す。
【図11】図11は、図10のバルーンが膨張状態になることで前頭陥凹を拡げて且つ作り直す対象者の前頭洞の断面図を示す。
【図12】図12は、前頭洞が拡がりバルーンカテーテルが引き出された後の対象者の前頭洞の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、対象者の前頭洞(前頭洞口及び前頭陥凹)の流出路の処置のために特に適合するバルーン拡張カテーテル10の一実施例を示す。バルーン拡張カテーテル10は、オペレータが把持するよう又はそうでなければ操作するよう構成されたハンドル12を有する。細長い形状の内部案内部材14が、ハンドル12から遠位方向に長手方向に延びている。内部案内部材14は、ステンレス鋼のハイポチューブといった適切な硬質材料で形成されている。内部案内部材14は、所定の距離だけハンドル12から遠位に突出又はそうでなければ延びている。内部案内部材14を予成形して、図1、2A、2B、3A、3B、6A、6B、7、8、及び9に示すような湾曲した遠位部16を形成し得る。例えば、湾曲した遠位部16の特性及び程度を前頭洞の流出路又は前頭陥凹に適合するよう構成し得る。
【0010】
代替的に、内部の案内部材14は、ユーザが曲げることができ又は内部の案内部材14の遠位端に所望の形状又は構成を与えることができるように、ある程度の展延性を有する。ここで詳細に説明するように、内部の案内部材14は、内部の案内部材14の長さ方向に延びる任意の管腔18(図5Aに最も良く示す)を有する。特に、内部の案内部材14及び含まれる管腔18は、遠位端20からハンドル12の近位端24に設けられたポート22の密閉構成と整合する近位端21に延びている(図2B及び3Bに最も良く示す)。ポート22は、Luerコネクタといった従来のインタフェースとして構成される。ポート22は、流体及び/又は薬剤の吸引ポート又は送出ポートとして、又はガイドワイヤの導入のために使用できる。
【0011】
さらに図1を参照すると、シャフト30が内部の案内部材14の周囲に取り付けられている。特に、シャフト30は、ハンドル12に設けられた前進ノブ32の操作に応じて内部の案内部材14にわたって摺動するような大きさである。前進ノブ32は、ハンドル12の表面に含まれる隙間42に沿って可動である。シャフト30の遠位端34は、ここで説明するように選択的に膨張又は縮小するよう構成されたバルーン36を有する。使用時に、内部の案内部材14は、関心のある解剖学的空間を超えて又はその中に、操作され且つ前進する。シャフト30は、取り付けられたバルーン36とともに、図1において後退状態で示される。図1は膨張状態のバルーン36を良く示すが、バルーン36は一般に、シャフト30が図2A及び2Bに示すような近位の位置にあるときに縮小状態となる。内部の案内部材14が適切に位置決めされた後、遠位方向に前進ノブ32を摺動させることによって、ユーザは前進ノブ32を操作し、予め配置された内部の案内部材14を超えて遠位方向にシャフト30及びバルーン36を前進させる。バルーン36が適切に配置されると、バルーン36が膨張する。バルーン36の膨張は、ハンドル12の近位端24に設けられたポート38に結合された膨張器具(図示せず)を用いて実現する。バルーン拡張カテーテル10とともに使用される1つの典型的な膨張器具は、ここに総て引用された米国特許出願第12/372,691号に記載されている。当然ながら、他の膨張器具もまた使用できる。シャフト30(以下でより詳細に説明する)の中の膨張管腔48が、ポート38をバルーン36の内部に流体結合する。
【0012】
さらに図1を参照すると、管状の任意の支持部材40が、シャフト30の一部の周囲に設けられており、バルーン拡張カテーテル10にさらなる剛性を与える。支持部材40の特定の長さは適用例に応じて変動し、シャフト30の一部又は全部に沿って延びる。支持部材40は、シャフト30に固定されたステンレス鋼のハイポチューブといった金属材料でできている。支持部材40をシャフト30の長手方向に沿って溶接又は接合できる。一般に、支持部材40は、ハンドル12に含まれるシャフト30のらせん部(以下で詳細に説明する)を覆わない。
【0013】
図2A及び2Bは、それぞれ、前進ノブ32を具えバルーン36が近位位置にあるバルーン拡張カテーテル10の側面図及び断面図である。実際の使用では、ここで説明するように、前進ノブ32が図2A及び2Bに示すように近位位置にあるときに、バルーン36は一般に縮小状態にある。図1に最も良く示すように、前進ノブ32は、隙間42の内側でハンドル12の長さ方向に沿って摺動するよう設けられている。これにより、前進ノブ32は、隙間42の長さ方向に沿って遠位/近位方向に前後に摺動し得る。隙間42は、止め具等(図示せず)を組み込んでおり、バルーン36が内部の案内部材14の長さ方向に沿って遠くに前進するのを防止する。様々な器具で隙間42の長さを変えて、バルーン36が前進する長さを調節することができる。一般に、隙間42は、約1インチ乃至約2インチの範囲内の長さを有するが、他の寸法も本発明の範囲内にある。
【0014】
図2Bに示すように、前進ノブ32は、シャフト30に取り付けられた支持部材40に直接的に結合される。代替的に、前進ノブ32がシャフト30に直接的に結合されている。ユーザの指(例えば、人さし指又は親指)によりハンドル12に含まれる隙間42に沿ってノブ32を容易に前進又は後退できるよう、前進ノブ32を構成又はそうでなければ形成し得る。
【0015】
図3A及び3Bは、それぞれ、前進ノブ32を具えバルーン36が遠位位置にあるバルーン拡張カテーテル10の側面及び断面図を示す。図2A及び2Bの構成とは異なり、前進ノブ32がハンドル12の遠位端26又はその近くに位置している。また、前進ノブ32の前進は、内部の案内部材14に沿って遠位方向(図3Aの矢印A)にシャフト30及び取り付けられたバルーン36を摺動させる。バルーン36は、内部の案内部材14の遠位端20又はその近くに位置している。バルーン拡張カテーテル10は、前進ノブ32が図2A、2B、3A、3Bに示す近位又は遠位のいずれかに位置するように構成されている。代替的に、前進ノブ32は、2つの端部間のどこかに位置している。例えば、バルーン36の最適位置は、隙間42の全進行距離のうちの何分の1(例えば、3/4)だけ前進ノブ32を摺動させることによって実現する。
【0016】
図2B及び3Bを参照すると、バルーン拡張カテーテル10の内部の案内部材14が、遠位端20から、ハンドル12の近位端24に設けられたポート22によって密閉されたインタフェースを終端とする近位端21に延びている。内部の案内部材14は、任意に、ポート22に結合された吸引器具(図示せず)を介して機能的に吸引を与えるよう使用される、それに設けられた管腔18を有する。吸引機能により、血液及び他の分泌物の除去が可能となる。それは、バルーン拡張カテーテル10の配置の視覚化を容易にする。内部の案内部材14は、全部ではないが大抵の場合、カテーテル又はガイドワイヤの別々の案内の必要無しに、バルーン拡張カテーテル10を位置決めし得るよう都合良く硬い。
【0017】
内部案内部材14は、ハンドル12に装填された場合、遠位端20から近位端21まで、約7インチ乃至約11インチの長さを有するが、他の寸法も使用できる。内部案内部材14は、約0.020インチ乃至約0.050インチ、より好適には、0.036インチ乃至0.040インチの内径、及び約0.005インチ乃至約0.020インチ、好適には約0.008インチ乃至0.012インチの範囲内の肉厚を有するステンレス鋼のハイポチューブで形成されている。内部案内部材14の湾曲した遠位部16を、遠位端20のそばに形成でき、約0.25インチ乃至約1.5インチ、好適には約0.75乃至約1.25インチの曲率半径を有する。
【0018】
バルーン36の最遠位部に遠位に突出する内部案内部材14の長さは、バルーン36が(例えば、図2A及び図2Bに示すような)完全に後退状態にある場合、約0.5インチ乃至約2.0インチ、好適には、約0.8インチ乃至約1.2インチである。図1、2A、2B、3A、3B、6A乃至6C、7乃至11に示すように、内部案内部材14の遠位端20が、遠位端20をより傷つけないようにするために、光学球状端44を組み込んでいる。球状端44は、さらに、遠位に前進した場合に、バルーン36及び取り付けられたシャフト30の前進を制限するよう機能する。端44の外径は、好適には、約1mm乃至約3mmである。
【0019】
バルーン36は、2つの部品間に流体シールを形成するように、シャフト30に取り付けられている。溶接、接着等を用いてバルーン36をシャフトに結合してもよい。代替的に、機械的結合を用いてバルーン36をシャフトに固定できる。一般に、当業者に知られた方法を用いて、シャフト30にバルーン36を固定できる。シャフト30に直接的にバルーン36を固定する場合、内部案内部材14にわたって双方の構造が摺動可能に取り付けられている。バルーン36は一般に膨張するときに円筒形をなす。特定の寸法に制限されない一方、膨張したバルーン36は、膨張したときに約3mm乃至約9mmの範囲内、好適には約5乃至7mmの範囲内の直径を有する。バルーン36の長さは、一般に、約10mm乃至25mmの範囲内にあるが、他の長さも使用できる。シャフト30及びバルーン36の双方は、好適には、ポリアミド(例えば、ナイロン)、PEBAX等といった高強度且つ可撓性を有する高分子材料で形成される。バルーン36は、比較的薄い肉厚に「吹き込み成形」でき、約6気圧乃至約20気圧の膨張圧の比較的高圧に保持し得る。バルーン36は、一般に水又は生理食塩水といった液体である流体を用いて膨張する。
【0020】
ここで、図4を参照すると、ハンドル12の一部の拡大断面図を示す。ハンドル12の近位端24に、ポート22、38が設けられている。ポート22は、ルアーコネクタ(Luer)又は当技術分野で知られた他のコネクタといった従来の境界面を有して構成される。ポート22は、ハンドル12に一体形成され、又は代替的に、ポート22は組み立ての際にハンドル12に固定される分離構造である。図4に示すように、内部案内部材14の近位端21は、ポート22との密閉構成を形成する。ここで説明するように、流体及び/又は薬剤の吸引ポート又は送出ポートとしてポート22を使用できる。
【0021】
また、図4は、上記のようなポート22と同様な又はこれに類似する方法で構成されるポート38を示す。ポート38は、シャフト30の膨張管腔48に流体結合している。これに関して、膨張器具(図示せず)からの膨張流体が、ポート38を通ってシャフト30の膨張管腔48に通り得る。ルアーコネクタといった従来の境界面を具えてポート38を構成できる。そして、バルーン36の内部に流体が入る管腔48を介して流体がシャフト30の長さ方向に沿って移動できる。このため、膨張流体は、膨張器具の動作によりバルーン36を膨張させ得る。
【0022】
図4に最も良く示すように、ハンドル12の一部が、内部案内部材14及びシャフト30の双方を受容する凹部領域50を有する。ハンドル12の凹部領域50では、シャフト30がらせん部52を形成する内部案内部材14の外縁にらせん状に巻かれる。らせん部52は、シャフト30の遠位方向への前進及び近位方向への後退を促進し、内部案内部材14に沿った取り付けられたバルーン36は、ポート38との流通を維持する。前進ノブ32の近位に設けられたシャフト30のらせん部52は、内部の案内部材14に周りに巻かれるらせん状の形状であり、前進ノブ32の移動により伸長且つ縮小するよう構成される。図4は、前進ノブ32が遠位に前進した後のらせん部52の状態を示す。このように、延伸状態では、らせん部52の長さが、凹部領域50の全部ではないが、長い距離横断している。前進ノブ32が近位位置にあり凹部領域50の近位部に押されるらせん部52を示す図2Bとこのこととを比較する。このように、らせん部52は、引張又は圧縮負荷に応じてバネのような方法で大きく伸長又は圧縮し得る。内部案内部材14の一方又は双方及びシャフト30のらせん部52は、任意に、潤滑コーティングでコーティング又は裏打ちされ、接触面が望ましくない摩擦結合等するのを防止する。
【0023】
シャフト30のらせん部52を、シャフト30の一部を「剥ぎ」取ることによって形成できる。図5Aは、図2BのラインA−A’に沿ったシャフト30、内部のサポートガイド14、及び支持部材40の断面図を示す。図2Bに示すように、この領域は遠位にあり、そこにシャフト30のらせん部52が設けられる。ここで図5Aを参照すると、シャフト30が、内部案内部材14の外径よりもわずかに大きな直径を有するような寸法のライダー管腔54を有する。このため、ライダー管腔54により、シャフト30がぴったり嵌った状態で内部の支持ガイド14にわたって前進及び後退し得る。シャフト30の外径は、一般に、約0.050乃至約0.110インチ又は約0.070インチ乃至約0.100インチの範囲内にある。内部案内部材14の一方又は双方の外面及びライダー管腔54の内面を、潤滑コーティングで任意にコーティングして、摩擦接触力を減らすことができる。図5Bは、図4のラインB−B’に沿った、内部支持ガイド14及びシャフト30のらせん部52の断面図を示す。図5Bに示すように、ライダー管腔54を有するシャフト30の一部を取り去っている。1つの管腔(膨張管腔48)が、内部支持ガイド14にらせん状に巻かれたシャフト30の中に残っている。
【0024】
図6乃至6Cは、内部案内部材14の様々な実施例を示す。内部案内部材14は、特定の適用例又は患者に応じて、様々な形状及び構成を有する。内部案内部材14の様々な形状を特定の形状に工場で作り様々なモデルとして完全に組み立てることができ、又は代替的に、内部案内部材14を、ライダー管腔54の中で摺動でき圧入タイプの密閉構成でポート22の中に挿入される交換可能な部品又はモジュール部品とし得る。さらに別の代替例では、形状が、使用者によって展性のある内部案内部材14を形成して、特定の適用例又は対象者の組織に良好に適合し得る望ましい形状を示す。
【0025】
図6Aは、直線部46を終端とする湾曲した遠位部16を含む内部案内部材14を示す。図6Aの実施例では、湾曲した遠位部16の曲線が示され、「U」字状に反転し、遠位端20が反転する。本実施例は、鼻組織が経鼻的アプローチを可能とする場合、例えば経鼻経路を介した上顎洞開口部又は篩骨漏斗といった到達しにくい開口部又は他の構成を治療するのに有用である。図6Aは「U」字形の曲線を示す一方、他の曲率が可能である。図6Bは、別の実施例に係る内部案内部材14を示す。本実施例では、曲率半径はあまりはっきりしないが、この場合も湾曲した遠位部16が直線部46を終端とする。本実施例では、直線部46が約8mm乃至約10mmの範囲内の長さを有するが、他の長さを使用できる。本実施例は、特に大部分の前頭陥凹組織に適していると考えられる。図6Cは、内部案内部材14が略直線状の一実施例を示す。後者の実施例は、対象者の蝶形骨又は真っ直ぐな前頭陥凹組織を治療するのに特に適している。
【0026】
図7は、別の実施例に係るバルーン拡張カテーテル10を示す。本実施例では、トラッキング部材60が、バルーン拡張カテーテル10のハンドル12に位置している。トラッキング部材60は、ワイヤレス信号で交信し、バルーン拡張カテーテル10の方向及び/又は位置を判断するよう受信且つ処理するアンテナ、送信部、光反射部等を有する。特定の実施例では、2以上のトラッキング部材60をバルーン拡張カテーテル10に設けることができる。そして、バルーン拡張カテーテル10の方向及び/又は位置に関するデータを処理し且つ医師が見るためにディスプレイ上に表示できる。例えば、画像誘導手術が益々一般的になっており、医師は外科手術の際に対象者の中の特定の装置の実画像又は仮想イメージをリアルタイムで参照できる。
【0027】
例えば、引用される米国特許第5,391,199号及び第5,443,489号がシステムを記載しており、このシステムでは、プローブに担持されるホール効果素子、コイル、又はアンテナといった1又はそれ以上のセンサを用いて体内プローブの座標が判定される。引用される米国特許出願公開公報第2002−0065455号は、センサ及び放射コイルを組み合わせて用いて、カテーテルの先端を表す6次元位置及び方向を生成し得るシステムを記載している。引用される米国特許出願公開公報第2008−0269596号は、整形外科手術の特定の適用例を有するさらに別のモニタリングシステムを記載している。LANDMARX部品(Medtronic Xomed Products,Inc.,Jacksonville,FL)といった商用システムがENT処置とともに使用するために利用可能である。
【0028】
図7の実施例では、トラッキング部材60により、バルーン拡張カテーテル10の遠位部の画像を、患者の解剖学的画像に重ね合わせるようにして、バルーン拡張カテーテル10の遠位端20の精密なトラッキングが可能となる。例えば、以前に実施された患者のコンピュータ断層撮影(CT)スキャンを使用して、患者の関心のある解剖学的領域の可視画像を生成できる。トラッキング部材60の位置に基づいて、画像誘導手術(IGS)システムが、画像にバルーン拡張カテーテル10の画像を重ね合わせることができ、医師はバルーン拡張カテーテル10をうまく操作且つ方向を合わせることができる。
【0029】
また、他の商用システムを図7に示すバルーン拡張カテーテル10とともに使用できる。例えば、INSTATRAK 3500 Plus−ENT from GE Healthcare,Chalfont St.Giles,United Kingdomをバルーン拡張カテーテル10と一体化し及び/又はこれとともに使用し得る。バルーン拡張カテーテル10を位置決めするためのCTガイダンスの使用が、ハンドル12を操作するのと同時にCT画像インタフェースを見ながらこの装置をオペレータによって片手で位置決めできるために好ましい。任意に、内視鏡又は他の可視化器具を用いてバルーン拡張カテーテル10を初めに位置決めできる。例えば、従来の「ホプキンスロッド」内視鏡(図示せず)をバルーン拡張カテーテル10と一緒に操作でき、配置に役立つ。
【0030】
図8乃至12は、バルーン拡張カテーテル10を用いた手術を受ける対象者の前頭洞の様々な断面図(矢状面)を示す。この断面図は、鼻経路100、前頭陥凹102、前頭洞104を示す。図8を参照すると、バルーン拡張カテーテル10が鼻経路100の中に挿入され、前進ノブ32が(例えば、図1、2A、2Bに示すように)後退位置にあり、シャフト30及びバルーン36もまた近位に後退している。さらに、バルーン36は、図8に示すように縮小状態にある。そして、図8に示すように、内部案内部材14の湾曲部16を対象者の前頭陥凹102の中に配置する。内部案内部材14のこのような位置決めは、バルーン拡張カテーテル10と並べて配置されるホプキンスロッドタイプの内視鏡といった従来の内視鏡を用いて内視鏡で視覚化した状態で行われる。代替的に、内部案内部材14が、例えば図7の実施例で示すような1又はそれ以上のトラッキング部材60を用いて、バルーン拡張カテーテル10の位置をたどるIGS法を用いて配置される。例えば、内部案内部材14をCT画像によるガイダンスの下で前進させ得る。
【0031】
ここで、図9を参照すると、前頭陥凹102の中での内部案内部材14の正確な位置決めの確認を、内部案内部材14の管腔18を通したX線透視装置で視覚化可能なガイドワイヤ64の配置によって行うことができる。ガイドワイヤ64をポート22を介して管腔18の中に挿入できる。X線による視覚化の下で、内部案内部材14を前頭陥凹102の中に適切に配置させると、ガイドワイヤ64を見て前頭洞104の中に前進させることができる。ガイドワイヤ64が前頭洞104の中に前進しない場合には、バルーン拡張カテーテル10を再配置し、その後で確認が試みられる。X線透視装置で視覚化可能なガイドワイヤ64の代替例として、ガイドワイヤ64を、米国特許出願公開公報第2007−0249896号に開示され、ここで引用されているような発光ガイドワイヤとすることができる。当然ながら、内部案内部材14をガイドワイヤ64の補助として又はその必要性なしに配置できるため、ガイドワイヤ64は任意である。代替的に、ガイドワイヤ64を、バルーンカテーテル10の配置の前に最初に前頭洞に配置できる。
【0032】
ここで、図10を参照すると、内部案内部材14の湾曲部16が適切に配置されると、前進ノブ32が遠位方向(図3Aの矢印A)に前進することで、前頭陥凹102の中にシャフト30及び取り付けられたバルーン36を前進させる。これは、図10に示されている。バルーン36が前頭陥凹102に配置された後に、バルーン36が図11に示すように膨張する。ポート38に膨張器具(図示せず)を結合することによって、膨張が行われる。膨張器具は、膨張管腔48の中に流体を注入するよう押圧される注射器等を有しており、流体をバルーン36の内部に入れ、図11に示す状態にバルーン36の膨張を達成する。圧力は、一般的に、前頭陥凹102が約3気圧乃至約12気圧の範囲内になるよう拡張し又は再構成を行うよう使用される。バルーン36を1回のみ膨張させることができ、代替的に、所望の拡張を実現するために、バルーン36を複数回膨張、縮小、さらに膨張をさせることができる。各膨張ステップを、前頭陥凹102の中の様々な位置でのバルーン36の位置決めの後に行うことができる。
【0033】
前頭陥凹102を拡張し、又はそうでなければ再構成した後に、図12に示すようにバルーン36を縮小又は除去する。図12に示すような拡張した前頭陥凹102は、前頭洞104の排出及び通気機能及び健康状態を回復させると考えられる。バルーン36の縮小は、バルーン36の内部の流体の圧力を減少させることによって行われる。例えば、ポート38に流体的に結合した注射器等のプランジャを引き出して、バルーン36の内部から流体を除去する。そして、バルーン拡張カテーテル10を鼻経路100から近位に引き出す。
【0034】
特定の患者では、一方又は双方の前頭洞104の上述のような処置が適切である。他の患者では、上顎洞及び/又は前篩骨洞といった、さらなる鼻洞の治療を必要とする。このような患者では、組み合わせ処置が非常に適している。上顎洞及び/又は前篩骨洞は、Entellus Medical,Inc.of Maple Grove,MNによってFinESSシステムとして市販されている米国特許第7,520,876号及び米国特許出願公開公報第2008−0172033号に記載されたようなシステムで治療できる。代替的には、例えば、機能的内視鏡洞手術(FESS)といった外科的処置を用いて、他の鼻洞をより従来の方法で治療できる。
【0035】
また、蝶形骨洞及び/又は上顎洞の流出路を、上述のようなバルーンカテーテル10の実施例で拡張できる。また、適切なIGS器具を組み込んだ特に図7の実施例のような、好適には図6Cに示すように真っ直ぐな内部サポート部材14の適切な形状を具えた、バルーンカテーテル10を使用して、犬歯窩経路を介して上顎洞の流出路を拡張できると考えられる。適切なアクセス器具は、ここで引用されている同時係属中の米国特許出願第12/038,719号に記載されている。これは、さらなる内視鏡的な視覚化の必要性なしに実施でき、犬歯窩の領域の鼻洞の中への比較的小さな直径のアクセス経路を通した治療が可能となる。小さな内視鏡(図示せず)を、必要に応じて、内部案内部材14の管腔18を通して利用でき、上顎洞の流出路の視覚化をさらに補助する。
【0036】
本発明の実施例を図示且つ説明したが、本発明の範囲から逸脱することなしに、様々な変更を行うことができる。このため、本発明は、以下の特許請求の範囲及びそれに相当するものを除き、限定すべきではない。
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、概して、バルーン膨張器具及び方法に関する。特に、本発明の分野は、副鼻腔炎を治療するためのバルーン拡張器具及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
副鼻腔炎は、3500万人以上のアメリカ人及び同様にそれ以外の先進国において多数の者がかかる疾患である。副鼻腔炎は、4つの副鼻腔(すなわち、上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞)のうちの1又はそれ以上が閉塞する場合、又はそうでなければ排出障害を有する場合に発生する。通常は、それぞれが粘膜によって覆われている副鼻腔は粘液を生成し、粘液は繊毛によって移動して副鼻腔の外に出て鼻腔に達し、咽喉に落ちる。副鼻腔は合わせて、1日に約1リットルの粘液を作り出すため、この粘液の効果的な移送が副鼻腔の健康のために重要である。
【0003】
各副鼻腔は、鼻道に広がる排出通路又は流出路を有する。この排出通路は、前頭洞のケースでは「前頭陥凹」といった、又は上顎洞のケースでは「篩骨漏斗」といった、開口の領域の「遷移空間」とともに開口を有している。1又はそれ以上の開口又は開口の近くの領域の粘膜が炎症を起こすと、粘液の放出が妨げられ、副鼻腔が感染及び/又は炎症段階になり、これがすなわち副鼻腔炎である。副鼻腔炎の多くの症例は適切な薬剤によって治療可能であるが、いくつかのケースでは、副鼻腔炎が数ヶ月又はそれ以上持続し、慢性副鼻腔炎と称される状態となり、内科的治療に対処できない。また、ある患者は、所定の期間、再発性副鼻腔炎と称される副鼻腔炎の頻回の発作を起こす傾向にある。
【0004】
バルーン拡張が、副鼻腔炎を治療するために狭窄した副鼻腔通路を治療するのに適用されている。これらのバルーン拡張器具は、一般に、バルーンカテーテルといったカテーテルの遠位端に設けられた膨張可能なバルーンの使用を含む。一般に、膨張可能なバルーンが縮小した状態で狭窄した副鼻腔通路の中に挿入される。そして、バルーンは、膨張して開き、治療される副鼻腔通路の狭窄を小さくして、良好な副鼻腔の排出及び通気を促す。同時に、総てではないが、副鼻腔の内面及びその排出通路の大部分の機能的な粘膜組織が保たれる。
【0005】
上顎洞及び前篩骨洞に関連する解剖学的構造の拡張に特に適した典型的な器具及び方法が、例えば、米国特許第7,520,876号及び米国特許出願公開公報第2008−0172033号に開示されている。前頭洞を含む様々な他の副鼻腔の治療に関する他のシステムが開示されている。例えば、米国特許出願公開公報第2008−0097295号が、前頭洞案内カテーテル(図6B)及び前頭洞の治療方法(例えば、図8B乃至8C)を開示している。米国特許出願公開公報第2008−0125626号が、治療のための前頭洞への経鼻的アクセスのための別の案内器具(例えば、図10C及び10C’)を開示している。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の実施例では、バルーン拡張カテーテルが、略硬質の内部ガイド部材及び略硬質の内部ガイド部材に摺動可能に取り付けられたバルーンに結合された可動シャフトを有する。バルーン拡張カテーテルを用いて対象者の副鼻腔(例えば、前頭洞)の排出通路を治療するために、略硬質の内部ガイド部材が、鼻道を介して対象者の排出通路の中に前進する。そして、略硬質の内部ガイド部材の周りのシャフト及びバルーンが遠位方向に前進して、排出通路にバルーンを配置する。これにより、バルーンが内部ガイド部材の周りをたどる。バルーンが膨張して、拡張又はそうでなければ通路を再構築する。副鼻腔が前頭洞の場合には、排出通路は前頭陥凹である。
【0007】
本発明の別の態様では、副鼻腔の排出路を拡張するための器具が、近位端及び遠位端を有する略硬質の内部ガイド部材及びバルーンに結合されたシャフトを有しており、シャフトは、略硬質の内部ガイド部材を収容する、少なくともその一部分に沿った第1の管腔を有しており、シャフトがバルーンの内部に動作するよう結合された第2の管腔を有する。ハンドルが、略硬質の内部ガイド部材の近位部に沿って設けられており、ハンドルが、シャフトに動作するよう結合された可動ノブを有しており、ノブの遠位への前進により、シャフト及びバルーンが略硬質の内部ガイド部材の周りを遠位方向に前進する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、一実施例に係るバルーン拡張カテーテルの斜視図である。
【図2A】図2Aは、図1のバルーン拡張カテーテルの側面図である。前進ノブを後退した近位位置に示す。
【図2B】図2Bは、図2Aのバルーン拡張カテーテルの断面図を示す。
【図3A】図3Aは、図1のバルーン拡張カテーテルの側面図を示す。前進ノブを前進した遠位位置に示す。
【図3B】図3Bは、図3Aのバルーン拡張カテーテルの断面図を示す。
【図4】図4は、図3Bのハンドル部の(点線部の)断面図である。
【図5A】図5Aは、図2BのラインA−A’に沿ったバルーン拡張カテーテルの断面図である。
【図5B】図5Bは、図4のラインB−B’に沿ったバルーン拡張カテーテルの断面図である。
【図6A】図6Aは、一実施例に係る内部ガイド部材の側面図である。
【図6B】図6Bは、別の実施例に係る内部ガイド部材の側面図である。
【図6C】図6Cは、別の実施例に係る内部ガイド部材の側面図である。
【図7】図7は、別の実施例に係るバルーン拡張カテーテルの斜視図を示す。
【図8】図8は、対象者の前頭陥凹の中に進むバルーン拡張カテーテルの内部ガイド部材を具えた対象者の前頭洞の断面図を示す。
【図9】図9は、バルーン拡張カテーテルの内部ガイド部材が対象者の前頭陥凹に配置された、対象者の前頭洞の断面図を示す。カテーテルを通って対象者の前頭洞の中に前進するガイドワイヤを示す。
【図10】図10は、(縮小状態の)バルーン及びシャフトが対象者の前頭陥凹の中に前進する状態の対象者の前頭洞の断面図を示す。
【図11】図11は、図10のバルーンが膨張状態になることで前頭陥凹を拡げて且つ作り直す対象者の前頭洞の断面図を示す。
【図12】図12は、前頭洞が拡がりバルーンカテーテルが引き出された後の対象者の前頭洞の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、対象者の前頭洞(前頭洞口及び前頭陥凹)の流出路の処置のために特に適合するバルーン拡張カテーテル10の一実施例を示す。バルーン拡張カテーテル10は、オペレータが把持するよう又はそうでなければ操作するよう構成されたハンドル12を有する。細長い形状の内部案内部材14が、ハンドル12から遠位方向に長手方向に延びている。内部案内部材14は、ステンレス鋼のハイポチューブといった適切な硬質材料で形成されている。内部案内部材14は、所定の距離だけハンドル12から遠位に突出又はそうでなければ延びている。内部案内部材14を予成形して、図1、2A、2B、3A、3B、6A、6B、7、8、及び9に示すような湾曲した遠位部16を形成し得る。例えば、湾曲した遠位部16の特性及び程度を前頭洞の流出路又は前頭陥凹に適合するよう構成し得る。
【0010】
代替的に、内部の案内部材14は、ユーザが曲げることができ又は内部の案内部材14の遠位端に所望の形状又は構成を与えることができるように、ある程度の展延性を有する。ここで詳細に説明するように、内部の案内部材14は、内部の案内部材14の長さ方向に延びる任意の管腔18(図5Aに最も良く示す)を有する。特に、内部の案内部材14及び含まれる管腔18は、遠位端20からハンドル12の近位端24に設けられたポート22の密閉構成と整合する近位端21に延びている(図2B及び3Bに最も良く示す)。ポート22は、Luerコネクタといった従来のインタフェースとして構成される。ポート22は、流体及び/又は薬剤の吸引ポート又は送出ポートとして、又はガイドワイヤの導入のために使用できる。
【0011】
さらに図1を参照すると、シャフト30が内部の案内部材14の周囲に取り付けられている。特に、シャフト30は、ハンドル12に設けられた前進ノブ32の操作に応じて内部の案内部材14にわたって摺動するような大きさである。前進ノブ32は、ハンドル12の表面に含まれる隙間42に沿って可動である。シャフト30の遠位端34は、ここで説明するように選択的に膨張又は縮小するよう構成されたバルーン36を有する。使用時に、内部の案内部材14は、関心のある解剖学的空間を超えて又はその中に、操作され且つ前進する。シャフト30は、取り付けられたバルーン36とともに、図1において後退状態で示される。図1は膨張状態のバルーン36を良く示すが、バルーン36は一般に、シャフト30が図2A及び2Bに示すような近位の位置にあるときに縮小状態となる。内部の案内部材14が適切に位置決めされた後、遠位方向に前進ノブ32を摺動させることによって、ユーザは前進ノブ32を操作し、予め配置された内部の案内部材14を超えて遠位方向にシャフト30及びバルーン36を前進させる。バルーン36が適切に配置されると、バルーン36が膨張する。バルーン36の膨張は、ハンドル12の近位端24に設けられたポート38に結合された膨張器具(図示せず)を用いて実現する。バルーン拡張カテーテル10とともに使用される1つの典型的な膨張器具は、ここに総て引用された米国特許出願第12/372,691号に記載されている。当然ながら、他の膨張器具もまた使用できる。シャフト30(以下でより詳細に説明する)の中の膨張管腔48が、ポート38をバルーン36の内部に流体結合する。
【0012】
さらに図1を参照すると、管状の任意の支持部材40が、シャフト30の一部の周囲に設けられており、バルーン拡張カテーテル10にさらなる剛性を与える。支持部材40の特定の長さは適用例に応じて変動し、シャフト30の一部又は全部に沿って延びる。支持部材40は、シャフト30に固定されたステンレス鋼のハイポチューブといった金属材料でできている。支持部材40をシャフト30の長手方向に沿って溶接又は接合できる。一般に、支持部材40は、ハンドル12に含まれるシャフト30のらせん部(以下で詳細に説明する)を覆わない。
【0013】
図2A及び2Bは、それぞれ、前進ノブ32を具えバルーン36が近位位置にあるバルーン拡張カテーテル10の側面図及び断面図である。実際の使用では、ここで説明するように、前進ノブ32が図2A及び2Bに示すように近位位置にあるときに、バルーン36は一般に縮小状態にある。図1に最も良く示すように、前進ノブ32は、隙間42の内側でハンドル12の長さ方向に沿って摺動するよう設けられている。これにより、前進ノブ32は、隙間42の長さ方向に沿って遠位/近位方向に前後に摺動し得る。隙間42は、止め具等(図示せず)を組み込んでおり、バルーン36が内部の案内部材14の長さ方向に沿って遠くに前進するのを防止する。様々な器具で隙間42の長さを変えて、バルーン36が前進する長さを調節することができる。一般に、隙間42は、約1インチ乃至約2インチの範囲内の長さを有するが、他の寸法も本発明の範囲内にある。
【0014】
図2Bに示すように、前進ノブ32は、シャフト30に取り付けられた支持部材40に直接的に結合される。代替的に、前進ノブ32がシャフト30に直接的に結合されている。ユーザの指(例えば、人さし指又は親指)によりハンドル12に含まれる隙間42に沿ってノブ32を容易に前進又は後退できるよう、前進ノブ32を構成又はそうでなければ形成し得る。
【0015】
図3A及び3Bは、それぞれ、前進ノブ32を具えバルーン36が遠位位置にあるバルーン拡張カテーテル10の側面及び断面図を示す。図2A及び2Bの構成とは異なり、前進ノブ32がハンドル12の遠位端26又はその近くに位置している。また、前進ノブ32の前進は、内部の案内部材14に沿って遠位方向(図3Aの矢印A)にシャフト30及び取り付けられたバルーン36を摺動させる。バルーン36は、内部の案内部材14の遠位端20又はその近くに位置している。バルーン拡張カテーテル10は、前進ノブ32が図2A、2B、3A、3Bに示す近位又は遠位のいずれかに位置するように構成されている。代替的に、前進ノブ32は、2つの端部間のどこかに位置している。例えば、バルーン36の最適位置は、隙間42の全進行距離のうちの何分の1(例えば、3/4)だけ前進ノブ32を摺動させることによって実現する。
【0016】
図2B及び3Bを参照すると、バルーン拡張カテーテル10の内部の案内部材14が、遠位端20から、ハンドル12の近位端24に設けられたポート22によって密閉されたインタフェースを終端とする近位端21に延びている。内部の案内部材14は、任意に、ポート22に結合された吸引器具(図示せず)を介して機能的に吸引を与えるよう使用される、それに設けられた管腔18を有する。吸引機能により、血液及び他の分泌物の除去が可能となる。それは、バルーン拡張カテーテル10の配置の視覚化を容易にする。内部の案内部材14は、全部ではないが大抵の場合、カテーテル又はガイドワイヤの別々の案内の必要無しに、バルーン拡張カテーテル10を位置決めし得るよう都合良く硬い。
【0017】
内部案内部材14は、ハンドル12に装填された場合、遠位端20から近位端21まで、約7インチ乃至約11インチの長さを有するが、他の寸法も使用できる。内部案内部材14は、約0.020インチ乃至約0.050インチ、より好適には、0.036インチ乃至0.040インチの内径、及び約0.005インチ乃至約0.020インチ、好適には約0.008インチ乃至0.012インチの範囲内の肉厚を有するステンレス鋼のハイポチューブで形成されている。内部案内部材14の湾曲した遠位部16を、遠位端20のそばに形成でき、約0.25インチ乃至約1.5インチ、好適には約0.75乃至約1.25インチの曲率半径を有する。
【0018】
バルーン36の最遠位部に遠位に突出する内部案内部材14の長さは、バルーン36が(例えば、図2A及び図2Bに示すような)完全に後退状態にある場合、約0.5インチ乃至約2.0インチ、好適には、約0.8インチ乃至約1.2インチである。図1、2A、2B、3A、3B、6A乃至6C、7乃至11に示すように、内部案内部材14の遠位端20が、遠位端20をより傷つけないようにするために、光学球状端44を組み込んでいる。球状端44は、さらに、遠位に前進した場合に、バルーン36及び取り付けられたシャフト30の前進を制限するよう機能する。端44の外径は、好適には、約1mm乃至約3mmである。
【0019】
バルーン36は、2つの部品間に流体シールを形成するように、シャフト30に取り付けられている。溶接、接着等を用いてバルーン36をシャフトに結合してもよい。代替的に、機械的結合を用いてバルーン36をシャフトに固定できる。一般に、当業者に知られた方法を用いて、シャフト30にバルーン36を固定できる。シャフト30に直接的にバルーン36を固定する場合、内部案内部材14にわたって双方の構造が摺動可能に取り付けられている。バルーン36は一般に膨張するときに円筒形をなす。特定の寸法に制限されない一方、膨張したバルーン36は、膨張したときに約3mm乃至約9mmの範囲内、好適には約5乃至7mmの範囲内の直径を有する。バルーン36の長さは、一般に、約10mm乃至25mmの範囲内にあるが、他の長さも使用できる。シャフト30及びバルーン36の双方は、好適には、ポリアミド(例えば、ナイロン)、PEBAX等といった高強度且つ可撓性を有する高分子材料で形成される。バルーン36は、比較的薄い肉厚に「吹き込み成形」でき、約6気圧乃至約20気圧の膨張圧の比較的高圧に保持し得る。バルーン36は、一般に水又は生理食塩水といった液体である流体を用いて膨張する。
【0020】
ここで、図4を参照すると、ハンドル12の一部の拡大断面図を示す。ハンドル12の近位端24に、ポート22、38が設けられている。ポート22は、ルアーコネクタ(Luer)又は当技術分野で知られた他のコネクタといった従来の境界面を有して構成される。ポート22は、ハンドル12に一体形成され、又は代替的に、ポート22は組み立ての際にハンドル12に固定される分離構造である。図4に示すように、内部案内部材14の近位端21は、ポート22との密閉構成を形成する。ここで説明するように、流体及び/又は薬剤の吸引ポート又は送出ポートとしてポート22を使用できる。
【0021】
また、図4は、上記のようなポート22と同様な又はこれに類似する方法で構成されるポート38を示す。ポート38は、シャフト30の膨張管腔48に流体結合している。これに関して、膨張器具(図示せず)からの膨張流体が、ポート38を通ってシャフト30の膨張管腔48に通り得る。ルアーコネクタといった従来の境界面を具えてポート38を構成できる。そして、バルーン36の内部に流体が入る管腔48を介して流体がシャフト30の長さ方向に沿って移動できる。このため、膨張流体は、膨張器具の動作によりバルーン36を膨張させ得る。
【0022】
図4に最も良く示すように、ハンドル12の一部が、内部案内部材14及びシャフト30の双方を受容する凹部領域50を有する。ハンドル12の凹部領域50では、シャフト30がらせん部52を形成する内部案内部材14の外縁にらせん状に巻かれる。らせん部52は、シャフト30の遠位方向への前進及び近位方向への後退を促進し、内部案内部材14に沿った取り付けられたバルーン36は、ポート38との流通を維持する。前進ノブ32の近位に設けられたシャフト30のらせん部52は、内部の案内部材14に周りに巻かれるらせん状の形状であり、前進ノブ32の移動により伸長且つ縮小するよう構成される。図4は、前進ノブ32が遠位に前進した後のらせん部52の状態を示す。このように、延伸状態では、らせん部52の長さが、凹部領域50の全部ではないが、長い距離横断している。前進ノブ32が近位位置にあり凹部領域50の近位部に押されるらせん部52を示す図2Bとこのこととを比較する。このように、らせん部52は、引張又は圧縮負荷に応じてバネのような方法で大きく伸長又は圧縮し得る。内部案内部材14の一方又は双方及びシャフト30のらせん部52は、任意に、潤滑コーティングでコーティング又は裏打ちされ、接触面が望ましくない摩擦結合等するのを防止する。
【0023】
シャフト30のらせん部52を、シャフト30の一部を「剥ぎ」取ることによって形成できる。図5Aは、図2BのラインA−A’に沿ったシャフト30、内部のサポートガイド14、及び支持部材40の断面図を示す。図2Bに示すように、この領域は遠位にあり、そこにシャフト30のらせん部52が設けられる。ここで図5Aを参照すると、シャフト30が、内部案内部材14の外径よりもわずかに大きな直径を有するような寸法のライダー管腔54を有する。このため、ライダー管腔54により、シャフト30がぴったり嵌った状態で内部の支持ガイド14にわたって前進及び後退し得る。シャフト30の外径は、一般に、約0.050乃至約0.110インチ又は約0.070インチ乃至約0.100インチの範囲内にある。内部案内部材14の一方又は双方の外面及びライダー管腔54の内面を、潤滑コーティングで任意にコーティングして、摩擦接触力を減らすことができる。図5Bは、図4のラインB−B’に沿った、内部支持ガイド14及びシャフト30のらせん部52の断面図を示す。図5Bに示すように、ライダー管腔54を有するシャフト30の一部を取り去っている。1つの管腔(膨張管腔48)が、内部支持ガイド14にらせん状に巻かれたシャフト30の中に残っている。
【0024】
図6乃至6Cは、内部案内部材14の様々な実施例を示す。内部案内部材14は、特定の適用例又は患者に応じて、様々な形状及び構成を有する。内部案内部材14の様々な形状を特定の形状に工場で作り様々なモデルとして完全に組み立てることができ、又は代替的に、内部案内部材14を、ライダー管腔54の中で摺動でき圧入タイプの密閉構成でポート22の中に挿入される交換可能な部品又はモジュール部品とし得る。さらに別の代替例では、形状が、使用者によって展性のある内部案内部材14を形成して、特定の適用例又は対象者の組織に良好に適合し得る望ましい形状を示す。
【0025】
図6Aは、直線部46を終端とする湾曲した遠位部16を含む内部案内部材14を示す。図6Aの実施例では、湾曲した遠位部16の曲線が示され、「U」字状に反転し、遠位端20が反転する。本実施例は、鼻組織が経鼻的アプローチを可能とする場合、例えば経鼻経路を介した上顎洞開口部又は篩骨漏斗といった到達しにくい開口部又は他の構成を治療するのに有用である。図6Aは「U」字形の曲線を示す一方、他の曲率が可能である。図6Bは、別の実施例に係る内部案内部材14を示す。本実施例では、曲率半径はあまりはっきりしないが、この場合も湾曲した遠位部16が直線部46を終端とする。本実施例では、直線部46が約8mm乃至約10mmの範囲内の長さを有するが、他の長さを使用できる。本実施例は、特に大部分の前頭陥凹組織に適していると考えられる。図6Cは、内部案内部材14が略直線状の一実施例を示す。後者の実施例は、対象者の蝶形骨又は真っ直ぐな前頭陥凹組織を治療するのに特に適している。
【0026】
図7は、別の実施例に係るバルーン拡張カテーテル10を示す。本実施例では、トラッキング部材60が、バルーン拡張カテーテル10のハンドル12に位置している。トラッキング部材60は、ワイヤレス信号で交信し、バルーン拡張カテーテル10の方向及び/又は位置を判断するよう受信且つ処理するアンテナ、送信部、光反射部等を有する。特定の実施例では、2以上のトラッキング部材60をバルーン拡張カテーテル10に設けることができる。そして、バルーン拡張カテーテル10の方向及び/又は位置に関するデータを処理し且つ医師が見るためにディスプレイ上に表示できる。例えば、画像誘導手術が益々一般的になっており、医師は外科手術の際に対象者の中の特定の装置の実画像又は仮想イメージをリアルタイムで参照できる。
【0027】
例えば、引用される米国特許第5,391,199号及び第5,443,489号がシステムを記載しており、このシステムでは、プローブに担持されるホール効果素子、コイル、又はアンテナといった1又はそれ以上のセンサを用いて体内プローブの座標が判定される。引用される米国特許出願公開公報第2002−0065455号は、センサ及び放射コイルを組み合わせて用いて、カテーテルの先端を表す6次元位置及び方向を生成し得るシステムを記載している。引用される米国特許出願公開公報第2008−0269596号は、整形外科手術の特定の適用例を有するさらに別のモニタリングシステムを記載している。LANDMARX部品(Medtronic Xomed Products,Inc.,Jacksonville,FL)といった商用システムがENT処置とともに使用するために利用可能である。
【0028】
図7の実施例では、トラッキング部材60により、バルーン拡張カテーテル10の遠位部の画像を、患者の解剖学的画像に重ね合わせるようにして、バルーン拡張カテーテル10の遠位端20の精密なトラッキングが可能となる。例えば、以前に実施された患者のコンピュータ断層撮影(CT)スキャンを使用して、患者の関心のある解剖学的領域の可視画像を生成できる。トラッキング部材60の位置に基づいて、画像誘導手術(IGS)システムが、画像にバルーン拡張カテーテル10の画像を重ね合わせることができ、医師はバルーン拡張カテーテル10をうまく操作且つ方向を合わせることができる。
【0029】
また、他の商用システムを図7に示すバルーン拡張カテーテル10とともに使用できる。例えば、INSTATRAK 3500 Plus−ENT from GE Healthcare,Chalfont St.Giles,United Kingdomをバルーン拡張カテーテル10と一体化し及び/又はこれとともに使用し得る。バルーン拡張カテーテル10を位置決めするためのCTガイダンスの使用が、ハンドル12を操作するのと同時にCT画像インタフェースを見ながらこの装置をオペレータによって片手で位置決めできるために好ましい。任意に、内視鏡又は他の可視化器具を用いてバルーン拡張カテーテル10を初めに位置決めできる。例えば、従来の「ホプキンスロッド」内視鏡(図示せず)をバルーン拡張カテーテル10と一緒に操作でき、配置に役立つ。
【0030】
図8乃至12は、バルーン拡張カテーテル10を用いた手術を受ける対象者の前頭洞の様々な断面図(矢状面)を示す。この断面図は、鼻経路100、前頭陥凹102、前頭洞104を示す。図8を参照すると、バルーン拡張カテーテル10が鼻経路100の中に挿入され、前進ノブ32が(例えば、図1、2A、2Bに示すように)後退位置にあり、シャフト30及びバルーン36もまた近位に後退している。さらに、バルーン36は、図8に示すように縮小状態にある。そして、図8に示すように、内部案内部材14の湾曲部16を対象者の前頭陥凹102の中に配置する。内部案内部材14のこのような位置決めは、バルーン拡張カテーテル10と並べて配置されるホプキンスロッドタイプの内視鏡といった従来の内視鏡を用いて内視鏡で視覚化した状態で行われる。代替的に、内部案内部材14が、例えば図7の実施例で示すような1又はそれ以上のトラッキング部材60を用いて、バルーン拡張カテーテル10の位置をたどるIGS法を用いて配置される。例えば、内部案内部材14をCT画像によるガイダンスの下で前進させ得る。
【0031】
ここで、図9を参照すると、前頭陥凹102の中での内部案内部材14の正確な位置決めの確認を、内部案内部材14の管腔18を通したX線透視装置で視覚化可能なガイドワイヤ64の配置によって行うことができる。ガイドワイヤ64をポート22を介して管腔18の中に挿入できる。X線による視覚化の下で、内部案内部材14を前頭陥凹102の中に適切に配置させると、ガイドワイヤ64を見て前頭洞104の中に前進させることができる。ガイドワイヤ64が前頭洞104の中に前進しない場合には、バルーン拡張カテーテル10を再配置し、その後で確認が試みられる。X線透視装置で視覚化可能なガイドワイヤ64の代替例として、ガイドワイヤ64を、米国特許出願公開公報第2007−0249896号に開示され、ここで引用されているような発光ガイドワイヤとすることができる。当然ながら、内部案内部材14をガイドワイヤ64の補助として又はその必要性なしに配置できるため、ガイドワイヤ64は任意である。代替的に、ガイドワイヤ64を、バルーンカテーテル10の配置の前に最初に前頭洞に配置できる。
【0032】
ここで、図10を参照すると、内部案内部材14の湾曲部16が適切に配置されると、前進ノブ32が遠位方向(図3Aの矢印A)に前進することで、前頭陥凹102の中にシャフト30及び取り付けられたバルーン36を前進させる。これは、図10に示されている。バルーン36が前頭陥凹102に配置された後に、バルーン36が図11に示すように膨張する。ポート38に膨張器具(図示せず)を結合することによって、膨張が行われる。膨張器具は、膨張管腔48の中に流体を注入するよう押圧される注射器等を有しており、流体をバルーン36の内部に入れ、図11に示す状態にバルーン36の膨張を達成する。圧力は、一般的に、前頭陥凹102が約3気圧乃至約12気圧の範囲内になるよう拡張し又は再構成を行うよう使用される。バルーン36を1回のみ膨張させることができ、代替的に、所望の拡張を実現するために、バルーン36を複数回膨張、縮小、さらに膨張をさせることができる。各膨張ステップを、前頭陥凹102の中の様々な位置でのバルーン36の位置決めの後に行うことができる。
【0033】
前頭陥凹102を拡張し、又はそうでなければ再構成した後に、図12に示すようにバルーン36を縮小又は除去する。図12に示すような拡張した前頭陥凹102は、前頭洞104の排出及び通気機能及び健康状態を回復させると考えられる。バルーン36の縮小は、バルーン36の内部の流体の圧力を減少させることによって行われる。例えば、ポート38に流体的に結合した注射器等のプランジャを引き出して、バルーン36の内部から流体を除去する。そして、バルーン拡張カテーテル10を鼻経路100から近位に引き出す。
【0034】
特定の患者では、一方又は双方の前頭洞104の上述のような処置が適切である。他の患者では、上顎洞及び/又は前篩骨洞といった、さらなる鼻洞の治療を必要とする。このような患者では、組み合わせ処置が非常に適している。上顎洞及び/又は前篩骨洞は、Entellus Medical,Inc.of Maple Grove,MNによってFinESSシステムとして市販されている米国特許第7,520,876号及び米国特許出願公開公報第2008−0172033号に記載されたようなシステムで治療できる。代替的には、例えば、機能的内視鏡洞手術(FESS)といった外科的処置を用いて、他の鼻洞をより従来の方法で治療できる。
【0035】
また、蝶形骨洞及び/又は上顎洞の流出路を、上述のようなバルーンカテーテル10の実施例で拡張できる。また、適切なIGS器具を組み込んだ特に図7の実施例のような、好適には図6Cに示すように真っ直ぐな内部サポート部材14の適切な形状を具えた、バルーンカテーテル10を使用して、犬歯窩経路を介して上顎洞の流出路を拡張できると考えられる。適切なアクセス器具は、ここで引用されている同時係属中の米国特許出願第12/038,719号に記載されている。これは、さらなる内視鏡的な視覚化の必要性なしに実施でき、犬歯窩の領域の鼻洞の中への比較的小さな直径のアクセス経路を通した治療が可能となる。小さな内視鏡(図示せず)を、必要に応じて、内部案内部材14の管腔18を通して利用でき、上顎洞の流出路の視覚化をさらに補助する。
【0036】
本発明の実施例を図示且つ説明したが、本発明の範囲から逸脱することなしに、様々な変更を行うことができる。このため、本発明は、以下の特許請求の範囲及びそれに相当するものを除き、限定すべきではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
副鼻腔の流出路を拡張するための器具であって、
近位端及び遠位端を有する金属の内部部材と;
バルーンに結合されたシャフトであって、前記金属の内部部材を含みその少なくとも一部に沿った第1の管腔を有し、前記バルーンの内側に動作するよう結合された第2の管腔を有するシャフトと;
前記金属の内部部材の近位部に沿って配置されたハンドルであって、前記シャフトに動作するよう結合された可動ノブを具えるハンドルと;
を具えており、
前記ノブの遠位方向の前進により、遠位方向に前記金属の内部部材の外側の前記シャフト及び前記バルーンを前進させることを特徴とする器具。
【請求項2】
前記金属の内部部材が、その長さ方向に沿った管腔を具えることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項3】
さらに、前記金属の内部部材の前記管腔の中で摺動するような大きさの柔軟性を有するワイヤを具えることを特徴とする請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記金属の内部部材の遠位端が、湾曲部を具えることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項5】
前記湾曲部の遠位端が、直線部を終端とすることを特徴とする請求項4に記載の器具。
【請求項6】
前記湾曲部が、0.25インチ及び1.5インチの間の曲率半径を有することを特徴とする請求項4に記載の器具。
【請求項7】
前記金属の内部部材の遠位端が、球状の先端を具えることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項8】
前記金属の内部部材の遠位端が、延性のある部分を具えることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項9】
前記シャフトが、前記ハンドルの一部に沿って前記金属の内部部材の長さの周りにらせん状に巻かれていることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項10】
さらに、前記ハンドルに配置される少なくとも1のトラッキング部材を具えることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項11】
前記金属の内部部材が、前記ハンドルの中で交換可能であることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項12】
前記ハンドルが隙間を有しており、前記ノブの一部が前記隙間の中で摺動可能に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項13】
前記隙間が、1及び2インチの間の長さであることを特徴とする請求項12に記載の器具。
【請求項14】
前記ハンドルが、止め具を有することを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項15】
前記金属の内部部材が、0.020インチ乃至0.050インチの範囲の内径及び0.005インチ乃至0.020インチの範囲の肉厚を有するステンレス鋼のチューブであることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項1】
副鼻腔の流出路を拡張するための器具であって、
近位端及び遠位端を有する金属の内部部材と;
バルーンに結合されたシャフトであって、前記金属の内部部材を含みその少なくとも一部に沿った第1の管腔を有し、前記バルーンの内側に動作するよう結合された第2の管腔を有するシャフトと;
前記金属の内部部材の近位部に沿って配置されたハンドルであって、前記シャフトに動作するよう結合された可動ノブを具えるハンドルと;
を具えており、
前記ノブの遠位方向の前進により、遠位方向に前記金属の内部部材の外側の前記シャフト及び前記バルーンを前進させることを特徴とする器具。
【請求項2】
前記金属の内部部材が、その長さ方向に沿った管腔を具えることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項3】
さらに、前記金属の内部部材の前記管腔の中で摺動するような大きさの柔軟性を有するワイヤを具えることを特徴とする請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記金属の内部部材の遠位端が、湾曲部を具えることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項5】
前記湾曲部の遠位端が、直線部を終端とすることを特徴とする請求項4に記載の器具。
【請求項6】
前記湾曲部が、0.25インチ及び1.5インチの間の曲率半径を有することを特徴とする請求項4に記載の器具。
【請求項7】
前記金属の内部部材の遠位端が、球状の先端を具えることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項8】
前記金属の内部部材の遠位端が、延性のある部分を具えることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項9】
前記シャフトが、前記ハンドルの一部に沿って前記金属の内部部材の長さの周りにらせん状に巻かれていることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項10】
さらに、前記ハンドルに配置される少なくとも1のトラッキング部材を具えることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項11】
前記金属の内部部材が、前記ハンドルの中で交換可能であることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項12】
前記ハンドルが隙間を有しており、前記ノブの一部が前記隙間の中で摺動可能に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項13】
前記隙間が、1及び2インチの間の長さであることを特徴とする請求項12に記載の器具。
【請求項14】
前記ハンドルが、止め具を有することを特徴とする請求項1に記載の器具。
【請求項15】
前記金属の内部部材が、0.020インチ乃至0.050インチの範囲の内径及び0.005インチ乃至0.020インチの範囲の肉厚を有するステンレス鋼のチューブであることを特徴とする請求項1に記載の器具。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−528702(P2012−528702A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514199(P2012−514199)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/037508
【国際公開番号】WO2010/141894
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(510229038)エンテラス メディカル インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】ENTELLUS MEDICAL,INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/037508
【国際公開番号】WO2010/141894
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(510229038)エンテラス メディカル インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】ENTELLUS MEDICAL,INC.
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]